(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】青色レーザー金属積層造形システム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/21 20140101AFI20230313BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20230313BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20230313BHJP
【FI】
B23K26/21 Z
B23K26/34
B23K26/064 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525722
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020059525
(87)【国際公開番号】W WO2021092475
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316003531
【氏名又は名称】ヌブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ゼディカー, マーク
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168BA87
4E168CA11
4E168CB04
4E168DA03
4E168DA38
4E168DA44
4E168EA11
4E168EA15
4E168EA17
4E168EA25
4E168FB03
(57)【要約】
デジタルミラーデバイスを使用し、物体全体の画像を作り出す画像セグメントがターゲットエリアに投射されて造形される物体の全体画像に加工用レーザービームを送達するようにした、高解像度の積層造形装置及び方法。レーザービーム経路中にDMDを使用した積層造形のための方法及びシステム。造形レーザービーム経路に沿ったDMDを有する造形レーザービームと組み合わせた予加熱レーザービームの使用。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源(1504)と、
b.レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイス(1510)であって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路(1511)に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイス(1510)と、
c.メモリ装置(1503)と制御通信接続(1530)され、GUI(1502)と制御通信接続(1531)され、前記デジタルミラーデバイス(1510)と制御通信接続(1533)され、前記レーザー光源(1504)と制御通信接続(1532)され、ステージ(1505)と制御通信接続(1534)された、制御システム(1501)と、を備え、
d.前記メモリ装置が、造形される物体の全体画像の複数の画像セグメントを有し、
e.前記ステージ(1505)が、モータ(1506)及び前記デジタルミラーデバイス(1510)を備え、
f.前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路(1512)に沿ってターゲットエリア(1550)にまで所定のパターンで投射するようにされ、前記ターゲットエリアは粉末(1551)を有しており、
g.前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み、
h.前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動き(1570)と前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ、
i.それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に前記加工用レーザービームを送達して、前記粉末から前記物体を造形するようにされた、金属のための積層造形システム(1500)。
【請求項2】
前記デジタルミラーデバイスが、デジタルマイクロミラーデバイスと微小電気機械システムとからなる群から選択された、請求項1に記載の積層造形システム。
【請求項3】
前記加工用レーザービームが、300nm~800nmの範囲の波長を有する、請求項1又は2に記載のレーザーシステム。
【請求項4】
前記加工用レーザービームが、300nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項1又は2に記載のレーザーシステム。
【請求項5】
前記加工用レーザービームが、400nm~500nmの範囲の波長を有する、請求項1又は2に記載のレーザーシステム。
【請求項6】
前記加工用レーザービームが、500nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項1又は2に記載のレーザーシステム。
【請求項7】
前記デジタルミラーデバイスが空冷式である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項8】
前記デジタルミラーデバイスが、前記マイクロチャネル冷却器、水熱交換器、及びペルチェ冷却器からなる群から選択された冷却装置によって冷却される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項9】
前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターをさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項10】
加熱された造形プレートをさらに備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項11】
前記パターンが当たることになる場所のみで前記粉末層を加熱するための別個の補助レーザーをさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項12】
不活性雰囲気をさらに備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項13】
前記所定のパターンが数kWのパワー密度を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項14】
前記システムが、大きな機械的動作なしでビームを操作するシステムである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項15】
金属粉末から物体を造形するように請求項1乃至14のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法。
【請求項16】
前記金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
a.加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源(1504)と、
b.レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイス(1510)であって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路(1511)に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイス(1510)と、
c.メモリ装置(1503)と制御通信接続(1530)され、前記デジタルミラーデバイス(1510)と制御通信接続(1533)され、ステージ(1505)と制御通信接続(1534)された、制御システム(1501)と、を備え、
d.前記メモリ装置が、造形される物体の全体の複数の画像セグメントを有し、
e.前記ステージ(1505)が前記デジタルミラーデバイス(1510)を備え、
f.前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路(1512)に沿ってターゲットエリア(1550)にまで所定のパターンで伝播させるようにされ、
g.前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み、
h.前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動き(1570)と前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ、
i.それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像を提供する、金属のための積層造形システム(1500)。
【請求項18】
前記デジタルミラーデバイスが、デジタルマイクロミラーデバイスと微小電気機械システムとからなる群から選択された、請求項17に記載の積層造形システム。
【請求項19】
前記加工用レーザービームが、300nm~800nmの範囲の波長を有する、請求項17又は18に記載の積層造形システム。
【請求項20】
前記加工用レーザービームが、300nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項17又は18に記載のレーザーシステム。
【請求項21】
前記加工用レーザービームが、400nm~500nmの範囲の波長を有する、請求項17又は18に記載の積層造形システム。
【請求項22】
前記加工用レーザービームが、500nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項17又は18に記載の積層造形システム。
【請求項23】
前記デジタルミラーデバイスが空冷式である、請求項17乃至22のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項24】
前記デジタルミラーデバイスが、前記マイクロチャネル冷却器、水熱交換器、及びペルチェ冷却器からなる群から選択された冷却装置によって冷却される、請求項17乃至22のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項25】
前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターをさらに備える、請求項17乃至24のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項26】
加熱された造形プレートをさらに備える、請求項17乃至25のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項27】
前記パターンが当たることになる場所のみで前記粉末層を加熱するための別個の補助レーザーをさらに備える、請求項17乃至26のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項28】
、不活性雰囲気をさらに備える、請求項17乃至27のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項29】
前記所定のパターンが数kWのパワー密度を有する、請求項17乃至28のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項30】
前記システムが、大きな機械的動作なしでビームを操作するシステムである、請求項17乃至29のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項31】
金属粉末から物体を造形するように請求項17乃至30のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法。
【請求項32】
前記金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記制御システム(1501)がさらにGUI(1502)と制御通信接続(1531)している、請求項17乃至30のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項34】
前記制御システム(1501)がさらに前記レーザー光源(1504)と制御通信接続(1533)している、請求項17乃至30及び33のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項35】
前記ステージ(1505)がモータ(1506)を備える、請求項17乃至30及び33乃至34のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項36】
前記ターゲットエリアが粉末(1551)を有する、請求項17乃至32及び33乃至35のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項37】
前記金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項36に記載の積層造形システム。
【請求項38】
前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の前記画像に前記加工用レーザービームを送達し、それにより前記粉末から前記物体を造形するようにされた、請求項36又は37に記載の積層造形システム。
【請求項39】
a.加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源(1504)と、
b.レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイス(1510)であって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路(1511)に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイス(1510)と、
c.メモリ装置(1503)と制御通信接続(1530)され、前記デジタルミラーデバイス(1510)と制御通信接続(1533)され、ステージ(1505)と制御通信接続(1534)された、制御システム(1501)と、を備え、
d.前記メモリ装置が、造形される物体の全体画像を画定する複数の画像セグメントを有し、
e.前記ステージ(1505)が前記デジタルミラーデバイス(1510)を備え、
f.前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路(1512)に沿ってターゲットエリア(1550)にまで所定のパターンで伝播させるようにされ、
g.前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み、
h.前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動き(1570)と前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ、
i.それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に前記加工用レーザービームを送達する、金属のための積層造形システム(1500)。
【請求項40】
前記デジタルミラーデバイスが、デジタルマイクロミラーデバイスと微小電気機械システムとからなる群から選択された、請求項39に記載の積層造形システム。
【請求項41】
前記加工用レーザービームが、300nm~800nmの範囲の波長を有する、請求項39又は40に記載のレーザーシステム。
【請求項42】
前記加工用レーザービームが、300nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項39又は40に記載のレーザーシステム。
【請求項43】
前記加工用レーザービームが、400nm~500nmの範囲の波長を有する、請求項39又は40に記載のレーザーシステム。
【請求項44】
前記加工用レーザービームが、500nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項39又は40に記載のレーザーシステム。
【請求項45】
前記デジタルミラーデバイスが空冷式である、請求項39又は40に記載のレーザーシステム。
【請求項46】
前記デジタルミラーデバイスが、前記マイクロチャネル冷却器、水熱交換器、及びペルチェ冷却器からなる群から選択された冷却装置によって冷却される、請求項40乃至45のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項47】
前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターをさらに備える、請求項40乃至46のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項48】
加熱された造形プレートをさらに備える、請求項40乃至47のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項49】
前記パターンが当たることになる場所のみで前記粉末層を加熱するための別個の補助レーザーをさらに備える、請求項40乃至48のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項50】
不活性雰囲気をさらに備える、請求項40乃至49のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項51】
前記所定のパターンが数kWのパワー密度を有する、請求項40乃至50のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項52】
前記システムが、大きな機械的動作なしでビームを操作するシステムである、請求項40乃至51のいずれか一項に記載のレーザーシステム。
【請求項53】
金属粉末から物体を造形するように請求項40乃至52のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法。
【請求項54】
前記金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記制御システム(1501)がさらにGUI(1502)と制御通信接続(1531)している、請求項40乃至52のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項56】
前記制御システム(1501)がさらに前記レーザー光源(1504)と制御通信接続(1533)している、請求項42乃至52及び55のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項57】
前記ステージ(1505)がモータ(1506)を備える、請求項42乃至52及び55乃至56のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項58】
前記ターゲットエリアが粉末(1551)を有する、請求項52乃至52及び55乃至57のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項59】
前記金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項58に記載の積層造形システム。
【請求項60】
前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の前記画像に前記加工用レーザービームを送達し、それにより前記粉末から前記物体を造形するようにされた、請求項58又は59に記載の積層造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この本願は、(i)米国特許法第35条§119(e)(1)に基づき、2019年11月6日に出願された米国仮出願第62/931,734の出願日の利益及び優先権の利益を主張し、その開示全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、材料のレーザー加工に関し、特に、約350nmから約700nmの波長を有するレーザービームを使用したレーザー積層造形処理を含む、材料のレーザー造形(laser building)に関する。
【背景技術】
【0003】
(例えば、700nmよりも大きな波長、特に1,000nmよりも大きな波長を有する)赤外(IR)に基づいた積層造形システムは、とりわけ、2つの短所、すなわち造形体積(build volume)と造形速度(build speed)の両方が制限されるという短所を抱えている。このようなIRシステムにおいて、造形体積は、スキャニングシステム並びに所定の焦点距離のコリメートレンズ及びfθレンズのために作られるスポットの限界サイズによって、制限される。例えば、そのような従来のIRシステムにおいては、焦点距離14mmのコリメートレンズと焦点距離500mmのfθレンズを使用した場合、スポットサイズは回折限界IRレーザービームに対して約350μmである。これは、造形原材料、例えば粉末層、の上に約85mm×85mmの指定可能なフットプリント(foot print)を与え、これは次いでその所与の解像度(例えば、スポットサイズ)での造形体積の有限の限界(finite limitation)を付与又は規定する。IRレーザーシステムに対する造形速度についての第2の制限は、材料によるレーザービームの吸収である。もともと、たいていの造形原材料は赤外スペクトラム内の波長に対して控えめな低い反射性を有していたが、積層造形において、とても高いIR反射性を有する金、銀、プラチナ、銅、アルミニウム、及びそれらの合金のような金属が使用し始められたときに、これらのIR高反射性の造形材料をIR積層造形で使用することに対する問題に直面した。結果として、造形原材料、例えば、粉末層又は粒子への赤外レーザーエネルギーの結合は、そのエネルギーのかなりの部分が造形原材料から離れて又は後方に若しくは造形原材料内にさらに深く反射された状態となり、制限される。これらの制限はさらに一緒に関連付けられるか又は結び付けられて、IR積層システムの問題や欠点を悪化させる。よって、赤外レーザー光の有限な侵入深さが最適な層厚さを決定し、結果として加工の解像度を制限する。よって、IRレーザーシステムは、典型的な造形原材料に対するそれらの反射性のために、層厚さが制限され、よって解像度が制限される。
【0004】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「UV」、「紫外」、「UVスペクトラム」、「スペクトラムのUV部分」、及び同様な用語は、最も広い意味を与えられるべきであり、約10nmから約400nm、及び10nmから400nmの波長の光を含む。
【0005】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「可視」、「可視スペクトラム」、「スペクトラムの可視部分」、及び同様な用語は、最も広い意味を与えられるべきであり、約380nmから約750nm、及び400nmから700nmの波長の光を含む。
【0006】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「青色レーザービーム」、「青色レーザー」、及び「青色」は、最も広い意味を与えられるべきであり、また概してレーザービーム、レーザービーム、レーザー光源、例えば、400nm(ナノメーター)から500nm及び約400nmから約500nmの波長を有するレーザービーム又は光を提供、例えば伝播させる、レーザー及びダイオードレーザーを提供するシステムを参照する。青色レーザーは、450nm、約450nm、460nm、約460nmの波長を含む。青色レーザーは、約10pm(ピコメーター)から約10nm、約5nm、約10nm、及び約20nm、並びにより大きな値及び同様な値のバンド幅を有し得る。
【0007】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「緑色レーザービーム」、「緑色レーザー」、及び「緑色」は、最も広い意味を与えられるべきであり、また概してレーザービーム、レーザービーム、レーザー光源、例えば、500nmから575nm及び約500nmから約575nmの波長を有するレーザービーム又は光を提供、例えば伝播させる、レーザー及びダイオードレーザーを提供するシステムを参照する。緑色レーザーは、515nm、約515nm、532nm、約531nm、550nm、約550nmの波長を含む。緑色レーザーは、約10pmから約10nm、約5nm、約10nm、及び約20nm、並びにより大きな値及び同様な値のバンド幅を有し得る。
【0008】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「デジタルミラーデバイス」は、最も広い意味を与えられるべきであり、レーザービームを含む光を向ける又は向け直すために、特性、表面特徴構造、表面輪郭、及びそれらの両方、又は反射、屈折、及びその両方を変えることによってレーザービームを向ける又は向け直すことができるような変形可能なミラーを含む、如何なる装置も含まれ得る。用語デジタルミラーデバイスには、デジタルマイクロミラーデバイス(「DMD」)及び微小電気機械システム(「MEMS」)が含まれる。
【0009】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「DMD」、「デジタルマイクロミラーデバイス」、「微小電気機械システム」、「MEMS」、及び類似のそのような用語は、最も広い意味を与えられるべきであり、概して、可動な又は位置変更可能な多数の小さな反射面、例えばミラー、を有する装置を含み得る。概して、小さな反射面は、例えば正方形、ダイアモンド形、長方形、円形、又は楕円形を有し、また約1μmから約50μm、典型的には約5μmから約25μmの断面(最大断面)を有し、さらに特に約5μm、約10μm、約15μmとすることができ、より大きなサイズ及びより小さなサイズも使用することができる。これらのデバイスは、約10から約1,000,0000又はそれ以上の可動な反射面;数十、数百、数千、数万の可動な反射面;約100,000から約700,000の可動な反射面;約200,000から約500,000の可動な反射面;典型的には、数十万の可動な反射面を有することができる。概して、反射面のそれぞれは、個別に制御可能な傾き自由度を有し、また2、3、又はそれ以上の位置を有することができ、さらにはその軸から、約±5度から約±25度、典型的には約±10度から±15度、±10度、±12度、及び±15度の軸外への傾き動作を有することができる。
【0010】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「大きな機械的動作なしでビームを操作する(non-macro-mechanical motion beam steering)」デバイス又はシステムは、レーザービームを向けるために、大きな機械的動作でビームを操作するデバイスを用いないか又は有さないデバイス又はシステム、具体的にはレーザービームを向けるためにガルバノミラー、ジンバル、高速操作ミラー、リズレープリズム、又は回転ポリゴンを用いないデバイス又はシステムを意味する。
【0011】
概して、本明細書で使用する場合、用語「約」及び記号「~」は、特に明記しない限り、±10%の変化又は範囲、上述の値を取得するのに関連した実験的又は装置的エラー、及び好ましくはそれらのより大きな変化又は範囲を包含する。
【0012】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、室温は25℃である。また、標準環境温度及び標準環境圧力は25℃及び1気圧である。特に明記しない限り、全てのテスト、テスト結果、物理的特性、並びに温度依存性の値、圧力依存性の値、又はそれら両方に依存する値は、標準環境温度及び標準環境圧力で与えられ、これには粘度000も含まれうる。
【0013】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、ここでの値の範囲の列挙は、単にその範囲内に含まれるそれぞれ別個の値を個別に参照する簡単な方法としての役割を果たしているだけである。本明細書で特に明記しない限り、範囲内のそれぞれの個別の値は、あたかもそれらが本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書内に組み込まれている。
【0014】
典型的には、積層造形において現在採用されている方法は、赤外レーザー、及びレーザービームを粉末層の表面に亘って所定のパターンでスキャンするためのガルバノメーターを使用する。IRレーザービームは、液化された粉末を溶かして下層又は基台に融合させるキーホール溶接加工を引き起こすのに十分な強度を有するものである。このやり方には、加工の速度を決める幾つかの制限がある。例えば、単一のレーザービームが表面をスキャンするために使用され、造形速度はガルバノメーターの最大スキャン速度(7m/秒)によって制限される。製造業者らは、IR技術を強く利用しようとし、典型的には唯一の可視波長であると信じ、よって、2つ以上のIRレーザー/ガルバノメーターをシステムに組み込むことによって、その2つが連動して1つの部品を造形するか、又は独立して動作して複数の部品を並行して造形することができるようにして、この制限を克服するように努めているが、限定的な成功しか得られない。これらの努力は、積層造形システムの処理能力を改善する目的で行なわれるが、もっぱらIRに集中してきており、限定的な成功しか得られてこず、改善された積層造形に対する長年の需要を満たしていない。
【0015】
IRプロセスにおける別の制限の例は、IRレーザー/ガルバノメーターシステムによって対応可能な体積の限界である。固定ヘッドシステムにおいて、造形体積は、fθレンズの焦点距離、ガルバノメーターのスキャン角度、IRレーザーの波長、及び赤外レーザーのビーム品質によって決まる。例えば、500mmのfθレンズを用いた場合、IRレーザーは、回折限界赤外レーザーに対して約50μmのスポットサイズを生成する。レーザービームが100ワットの光出力で動作している場合には、ビームの強度はキーホール溶接モードを開始するのに要求される強度よりも大きい。キーホール溶接モードは蒸発した材料のプルームを生じさせ、このプルームは交差噴流によってレーザービームの経路の外に取り除かれなければならず、さもなければレーザービームは蒸発した金属によって散乱及び吸収される。また、溶接のキーホールモードは液体金属の表面に穴を形成し、穴は蒸発した金属の蒸気圧によって維持されるため、蒸発した金属以外の材料をキーホールから放出する。この材料はスパッタと呼ばれ、溶けた材料が造形平面上の他の場所に堆積する結果となり、これは最終製品に欠陥を生じさせ得る。積層造形システムの製造業者らは、ラピッドプロトタイピング装置の開発において限定的な成功しか得られておらず、長年の需要を満たして商業的な又は実際の部品を製造するのに必要な要求を達成していない。これを達成するためには、部品のパターニング方法において本発明以前には成し遂げられていない飛躍的進歩が必要である。
【0016】
概して、IRプロセス及びシステムに関する問題及び欠点は、キーホール溶接モードで粉末を融合する要件又は要求である。これは、典型的には、単一ビームを粉末の加工に使用することによるものである。レーザービームが100ワットの光出力で動作している場合には、ビームの強度はキーホール溶接モードを開始するのに要求される強度よりも大きい。キーホール溶接モードは蒸発した材料のプルームを生じさせ、このプルームは交差噴流によってレーザービームの経路の外に取り除かれなければならず、さもなければレーザービームは蒸発した金属によって散乱及び吸収される。また、溶接のキーホールモードは液体金属の表面に穴を形成し、穴は蒸発した金属の蒸気圧によって維持されるため、蒸発した金属のような材料はキーホールから放出される。この材料はスパッタと呼ばれ、溶けた材料が造形平面上の他の場所に堆積する結果となり、これは最終製品に欠陥を生じさせ得る。
【0017】
オプティカリー・アクティベイテッド・ライト・バルブ(Optically Activated Light Valve) (OALV)を使用したローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratories)による最近の研究では、これらのIRの制限を対処する試みがなされた。OALVは、高出力レーザーを用いて光パターンを生成するために使用される高出力空間光変調器である。OALV上のパターンはプロジェクターからの青色LED又はレーザー光源で作り出され、4つのレーザーダイオードアレイからの出力は空間光変調器を介して伝送されて画像を融点にまで加熱するために使用され、キーホール溶接を開始するためにQスイッチIRレーザーが必要とされる。IRレーザーは、キーホールモードにおいて溶接を開始するために使用され、特に銅又はアルミニウム材料を融合するときに、これらの材料に対して必要とされる。このキーホール溶接プロセスは、通常、スパッタ、部品の多孔性、及び大きな表面粗さを生じさせる。よって、OALVシステムは、典型的なIRシステムと同様に、造形プロセスのキーホール開始の副作用を排除していない。キーホール溶接ステップを完全に避けるのが良いが、技術はこの問題に打ち勝つことができておらず、またこの解決策を提供していない。この欠点は主として、多くの金属のIR波長での吸収特性がとても低く、プロセスを開始するのに高ピーク出力レーザーが必要とされるために生じる。OALVはスペクトラムのIR領域においてのみ透過的であるので、高エネルギー光源として可視レーザー光源を使用するこのタイプのシステムを構築又は使用することは適切ではない。このシステムの部品のコスト、とりわけカスタム品であるOALVは、非常に高い。
【0018】
従来の金属ベースの積層造形装置は、粉末層の中にバインダーを噴霧し次いで高温での圧密ステップを行なうこと、又はガルバノメーターシステムによって高出力シングルモードレーザービームで粉末層上を高速にスキャンすること、の何れかを基本としている点で非常に制限される。これらの両方のシステムは、技術が克服することができなかったかなりの低下を有する。前者のシステムは、部品の大量生産が可能であるが、それは圧密プロセス中の部品の収縮による大きな公差を有する。後者のプロセスは、使用可能な最大出力レベルレーザーが制限されるガルバノメーターのスキャン速度によって造形速度が制限され、結果として造形速度が制限される。スキャンベースの積層造形システムの製造業者らは、複数のスキャンヘッド及びレーザーシステムを備える装置を構築することによってこの制限を克服しようとしてきたが、これはこれらの問題に対する適切な解決策をもたらしていない。これは、確かにスループットを増加させるが、スケーリング則は線形であり、換言すると2つのレーザースキャナーを備えるシステムは1つのスキャナーを備えるシステムに比べて2倍の部品を造形することができるだけであるか、又は1つの部品を2倍の速度で造形することができるだけである。よって、既存のシステムの制限に悩まされることのない、高いスループットのレーザーベースの金属積層造形システムが必要とされている。
【0019】
背景技術は、本発明の実施形態に関連するであろう技術の様々な態様を紹介することを意図している。よって、この項での上述の記載は本発明をよりよく理解するためのフレームワークを提供しており、従来技術の承認として見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、積層造形プロセス及びシステムがより広く普及するように、IR積層造形システム及びプロセスに関するこれらの及びその他の問題を解決し、これらの及びその他の長年の要求や将来的な要求に対処する。本発明は、とりわけ、本願で教示され開示される製造、装置、及びプロセスの項目を提供することによって、これらの問題及び要求を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、金属のための積層造形システムが提供され、このシステムは、加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源と;レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイスであって、レーザー光源が加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイスと;メモリ装置と制御通信接続され、GUIと制御通信接続され、デジタルミラーデバイスと制御通信接続され、レーザー光源と制御通信接続され、ステージと制御通信接続された、制御システムと;を備え、メモリ装置が、造形される物体の全体画像(全体イメージ)の複数の画像セグメント(イメージセグメント)を有し;ステージが、モータ及びデジタルミラーデバイスを備え;デジタルミラーデバイスが、加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路に沿ってターゲットエリアにまで所定のパターンで投射するようにされ、ターゲットエリアは粉末を有しており;所定のパターンが画像セグメントを含み;制御システムが命令を含み、命令がステージの動きと画像セグメントのターゲットエリアへの投射を同期させるようにされ;それにより、画像セグメントがターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に加工用レーザービームを送達して、粉末から物体を造形するようにされている。
【0022】
さらに以下の特徴の1つ以上を有するシステム、装置、及び方法を提供する。デジタルミラーデバイスが、デジタルマイクロミラーデバイスと微小電気機械システムとからなる群から選択される;加工用レーザービームが、300nm~800nmの範囲の波長を有する;加工用レーザービームが、300nm~600nmの範囲の波長を有する;加工用レーザービームが、400nm~500nmの範囲の波長を有する;加工用レーザービームが、500nm~600nmの範囲の波長を有する;デジタルミラーデバイスが空冷式である;デジタルミラーデバイスが、マイクロチャネル冷却器、水熱交換器、及びペルチェ冷却器からなる群から選択された冷却装置によって冷却される;造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターをさらに備える;加熱された造形プレートをさらに備える;パターンが当たることになる場所のみで前記粉末層を加熱するための別個の補助レーザーをさらに備える;不活性雰囲気をさらに備える;所定のパターンが数kWのパワー密度を有する;システムが、大きな機械的動作なしでビームを操作するシステムである;金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される。
【0023】
さらに、金属粉末から物体を造形するためのこれらのシステムのいずれかを動作させる方法が提供される。
【0024】
さらに3-Dシステムが提供され、この3-Dシステムは、空間光変調器、空間光変調器のアレイ、及びその両方を使用してエネルギーパターンを粉末層上に形成し、プラスチック又はナイロン材料を直接融合するか、又はその領域の温度を主レーザーがスキャンする領域の融点を僅かに下回る温度に制御する。この手法を検討する理由はシステムのエネルギー効率を改善するためであることが理論化される。現在のところ、輻射ヒーター、ゾーン輻射ヒーター、又は造形プレート温度制御システムの何れかが、処理されるビード全体を予加熱するために使用される。予加熱される領域の大きさを削減することにより、システムの全体的な消費エネルギーを低減することができる。
【0025】
また、本発明の一実施形態は、デジタルミラーデバイス空間光変調器、デジタルミラーデバイスのアレイ、及びその両方を使用することを基本とし、連続モードで動作している場合には出力密度は100W/cm2以下に制限されなければならず、これはプラスチックを溶かして流すのには十分であるが、金属を溶かして融合するのには十分でない。
【0026】
下の層に融合される粉末金属層上にエネルギーパターンを形成するためのレーザー及び空間光変調器、空間光変調器のアレイ、並びのその両方と、粉末層に亘って画像をステップアンドリピートするためのガントリーシステムと、移動制御システムと、各層が融合されたときに前記部品を下方に移動させるためのエレベータと、粉末の拡散と圧縮の両方を可能とする粉末分配システムと、気密造形チャンバーと、を使用する、金属のための積層造形システムが提供される。
【0027】
さらに、以下の特徴の1つ以上を有するレーザー、システム、及び方法が提供される。300-400nmの範囲の波長のレーザー;400-500nmの波長のレーザー;500-600nmの範囲の波長のレーザー;600-800nmの範囲の波長のレーザー;800nm-2000nmの範囲の波長の赤外レーザー;前記レーザーは、光導体、マイクロレンズホモジナイザー、回折素子、並びにこれらの組み合わせ及び変形例によって均質化される;前記レーザーは、複数のプリントヘッド又は複数のプリンターシステムの間で時分割される;前記空間光変調器は、マイクロミラーのアレイであるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)アレイである;前記空間光変調器は、数Wから数kWの出力レベルを扱うことができるいずれかのクラスの空間光変調器である;前記DMDは空冷式である;前記DMDは水冷式である;前記DMDは、マイクロチャネル冷却器のような水熱交換器による水冷式である;前記DMDは、ペルチェ冷却器によって冷却される;前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターを含む;加熱された造形プレートを含む;前記造形プレートの温度を監視又は制御するための、前記造形プレートに埋め込まれた熱電対又はRTDを含む;前記最適造形計画を決定するためのソフトウェアを含む;前記パターンが照射される場所のみで前記粉末層を加熱するための別個の補助レーザーを含む;前記部品造形のために不活性雰囲気を使用する;前記システム内の光学部品を清浄に保つために不活性雰囲気を使用する;前記レーザー-空間変調器の組み合わせが金属を融合するのに必要な数W/cm2の出力密度を有する画像を前記粉末層上に生成する。
【0028】
さらに、粉末金属層上にパターンを形成するためのレーザー及び空間光変調器であって、粉末層を予加熱するための第2のレーザーの補助のもとで例えば伝導モード溶接プロセスを使用することによってその下の層に融合される粉末金属層上にエネルギーパターンを形成するための、レーザー及び空間光変調器、空間光変調器のアレイ、並びにその両方と、前記粉末層に亘って前記画像をステップアンドリピートし、前記画像を前記ヘッドの動きと同期された前記DMDに亘ってスクロールすることによって前記画像を連続的にプリントするためのガントリーシステムと、移動制御システムと、各層が融合されたときに前記部品を下方に移動させるためのエレベータと、融合の前に前記粉末の拡散及び圧縮の両方を可能とする粉末分配システムと、気密造形チャンバーと、を使用する、金属のための積層造形システムが提供される。
【0029】
また、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、鋼鉄、ステンレス鋼、ニッケル、銅、これらの組み合わせ、及び粉末と同じ又は異なる材料でありうる他の材料を含む、さまざまな金属材料を含む造形プレートの特徴を有するこれらのシステム及び方法が提供される。
【0030】
さらに、以下の特徴の1つ以上を有するレーザー、システム、及び方法が提供される。前記レーザーは、約450nmの青色レーザーである;前記レーザーは、300-400nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、400-500nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、500-600nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、600-800nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、800nm-2000nmの範囲の赤外レーザーである;前記レーザーは、光導体又はマイクロレンズホモジナイザーによって均質化される;前記レーザーは、複数のプリントヘッド又は複数のプリンターシステムの間で時分割される;補助レーザーがある;前記補助レーザーは、450nmの青色レーザーである;前記補助レーザーは、300-400nmの範囲の波長のレーザーである;前記補助レーザーは、400-500nmの範囲の波長のレーザーである;前記補助レーザーは、500-600nmの範囲の波長のレーザーである;前記補助レーザーは、600-800nmの範囲の波長のレーザーである;前記補助レーザーは、800nm-2000nmの範囲の赤外レーザーである;前記補助レーザーは、光導体、マイクロレンズホモジナイザー、又は回折光学素子によって均質化される;前記補助レーザーは、複数のプリントヘッド又は複数のプリンターシステムの間で時分割される;前記システムは空間光変調器を有する;前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である;前記空間光変調器は、数Wから数kWの出力レベルを扱うことができるいずれかのクラスの空間光変調器である;前記システムは、前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターを含む;前記システムは、加熱された造形プレートを含む;前記システムは、前記造形プレートの温度を監視又は制御するためのパイロメーター又はFLIRカメラを含む;前記システムは、前記造形プレートの温度を監視又は制御するための、前記造形プレートに埋め込まれた熱電対又はRTDを含む;前記システムは、前記最適造形計画を決定するためのソフトウェアを含む;前記システムは前記部品造形のために不活性雰囲気を使用する;前記システムは、前記システム内の光学部品を清浄に保つために不活性雰囲気を使用する;前記システムは、前記粉末層上に数ワットから数kワットの出力密度を有する画像を生成するレーザー-空間変調器の組み合わせを有する。
【0031】
また、以下の特徴の1つ以上を有するこれらのレーザー、システム、及び方法が提供される。第2のレーザーを有し、前記第2のレーザーは、前記システムにおいて予加熱のために使用され、また数ワットから数kワットの出力密度を有する前記空間フィルターレーザーシステムの前記粉末層上の前記画像と重なる領域を生成する;レーザーシステムは、数ワットから数kワットの出力密度を有する粉末層を有する。
【0032】
さらには、下の層と融合する粉末金属層上にパターンを形成するためのレーザー及び空間光変調器と、前記粉末層に亘って前記画像をステップアンドリピートするためのガントリーシステムと、移動制御システムと、各層が融合されたときに前記部品を下方に移動させるためのエレベータと、融合の前に前記粉末の拡散及び圧縮の両方を可能とする粉末分配システムと、気密造形チャンバーと、を使用する、金属のための積層造形システムが提供される。
【0033】
加えて、以下の特徴の1つ以上を有するこれらのシステム、サブシステム、及び方法が提供される。前記レーザーは、約450nmの青色レーザーである;前記レーザーは、300-400nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、400-500nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、500-600nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、600-800nmの範囲の波長のレーザーである;前記レーザーは、800nm-2000nmの範囲の赤外レーザーである;前記補助レーザーは、光導体又はマイクロレンズホモジナイザーによって均質化される;前記補助レーザーは、複数のプリントヘッド又は複数のプリンターシステムの間で時分割される;前記空間光変調器は、マイクロミラーのアレイであるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のアレイである;前記空間光変調器は、数Wから数kWの出力レベルを扱うことができるいずれかのクラスの空間光変調器である;前記DMDは空冷式である;前記DMDは、マイクロチャネル冷却器のような水熱交換器による水冷式である;前記DMDは、ペルチェ冷却器によって冷却される;前記システムは、前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーターを含む;前記システムは、加熱された造形プレートを含む;前記システムは、前記造形プレートの温度を監視又は制御するためのパイロメーター又はFLIRカメラを含む;前記システムは、前記造形プレートの温度を監視又は制御するための、前記造形プレートに埋め込まれた熱電対又はRTDを含む;前記システムは、前記最適造形計画を決定するためのソフトウェアを含む;前記システムは、前記パターンが照射される場所のみで前記粉末層を加熱するための別個の補助レーザーを含む;前記システムは、造形された部品のために不活性雰囲気を使用する;前記システム内の光学部品を清浄に保つために不活性雰囲気を使用する;前記システムの前記レーザー-空間変調器の組み合わせが、前記粉末層上に数kWの出力密度を有する画像を生成する。
【0034】
さらには、粉末金属層上にパターンを形成するためのレーザー及び空間光変調器であって、前記粉末金属層は前記粉末層を予加熱するための第2のレーザーの補助のもとでその下の層と融合する、レーザー及び空間光変調器と、前記粉末層に亘って前記画像をステップアンドリピートするためのガントリーシステムと、移動制御システムと、各層が融合されたときに前記部品を下方に移動させるためのエレベータと、融合の前に前記粉末の拡散及び圧縮を可能とする粉末分配システムと、気密造形チャンバーと、を使用する、金属のための積層造形システムが提供される。
【0035】
またさらに、下の層と融合する粉末金属層上に1つの大きなパターンを形成するための複数のレーザー及び複数の空間光変調器と、前記粉末層に亘って前記画像をステップアンドリピートするためのガントリーシステムと、移動制御システムと、各層が融合されたときに前記部品を下方に移動させるためのエレベータと、融合の前に前記粉末の拡散及び圧縮を可能とする粉末分配システムと、気密造形チャンバーと、を使用する、金属のための積層造形システムが提供される。
【0036】
また、下の層と融合する粉末金属層上に画像部と非画像部のチェッカー盤パターンを形成するための複数のレーザー及び複数の空間光変調器と、前記粉末層に亘って前記画像をステップアンドリピートするためのガントリーシステムと、移動制御システムと、各層が融合されたときに前記部品を下方に移動させるためのエレベータと、融合の前に前記粉末を広げて圧縮することができる粉末分配システムと、気密造形チャンバーと、を使用する、金属のための積層造形システムが提供される。
【0037】
またさらに、画像を生成し、前記画像を前記DMDに亘って動かして前記移動しているガントリーシステム上に静止画像を生成して、融合される前記材料に前記パターンをプリントするための前記露光時間を延ばすようにする、レーザーと空間光変調器の組み合わせが提供される。またさらに、金属粉末から金属物体を形成するための積層造形システムであって、前記システムは、造形レーザービーム経路に沿って造形レーザービームを提供するレーザー光源;金属粉末を加熱するための加熱手段;前記レーザービーム経路上のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)であって、前記造形レーザービームは前記DMDに向けられるようにされており、前記DMDは、前記DMDから前記レーザービーム経路に沿って光学アセンブリに反射される2-D画像パターンを生成する、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD);及び、前記レーザービームを前記金属粉末に向けて、前記2-D画像パターンが前記金属粉末に送られるようにする前記光学アセンブリ;を備える積層造形システムが提供される。
【0038】
加えて、以下の特徴の1つ以上を有するこれらのシステム、サブシステム、及び方法が提供される。前記加熱手段が、電気ヒーター、輻射ヒーター、IRヒーター、及びレーザービームからなる群から選択される;前記加熱手段が、青色波長領域内の波長を有するレーザービームである;前記金属粉末が金属粉末の層を形成する;前記レーザービームが青色と緑色からなる群から選択された波長を有する;前記レーザービームが、約450nm、約460nm、約515nm、約532nm、及び約550nmからなる群から選択された波長を有する;前記レーザー光源が、約1kWから約20kWの出力を有する;前記2-D画像が、約2kW/cm2から約5kW/cm2のピーク出力密度を前記金属粉末に送達する;前記DMDが最大平均出力密度レベルを有する;前記金属粉末上での前記2-D画像の前記ピーク出力密度のレベルが、前記DMDの前記最大平均出力密度レベルよりも少なくとも500倍大きい;前記DMDが最大平均出力密度レベルを有する;前記金属粉末上での前記2-D画像の前記ピーク出力密度のレベルが、前記DMDの前記最大平均出力密度レベルよりも少なくとも1,000倍大きい;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の200℃以内に加熱する;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の100℃以内に加熱する;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の400℃以内に加熱する;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の600℃以内に加熱する;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の400℃以内に加熱して、前記粉末をその温度に維持する;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の600℃以内に加熱して、前記粉末をその温度に維持する;前記加熱手段が、前記粉末を前記金属粉末の融点の200℃以内に加熱して、前記粉末をその温度に維持する;第2の造形レーザービーム経路に沿った第2の造形レーザービームを提供する第2のレーザー光源を有する;前記第2のレーザービーム経路上の第2のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備え、前記第2の造形レーザービームが前記第2のDMDに向けられ、前記第2のDMDが前記第2のDMDから前記第2のレーザービーム経路に沿って第2の光学アセンブリに反射される第2の2-D画像パターンを生成する;前記2-D画像パターンが前記金属粉末の第1エリアに送達され、前記第2の2-D画像パターンが前記金属粉末の第2エリアに送達される;前記第1エリアと前記第2エリアが異なる;前記第1エリアと前記第2エリアが隣接している。
【0039】
加えて、以下の特徴の1つ以上を有するシステム、サブシステム、及び方法が提供される。前記DMDアレイは、以下の波長の少なくとも一つの波長に最適化されている:青色波長領域、400nm、約440nm、450nm、約450nm、460nm、約460nm、緑色波長領域、515nm、約515nm、532nm、約532nm、600nmから700nmの赤色波長領域。
【0040】
加えて、以下の特徴の1つ以上を有するシステム、サブシステム、及び方法が提供される。前記造形レーザービームは、以下の波長の少なくとも一つから選択された波長を有する。青色波長領域、400nm、約440nm、450nm、約450nm、460nm、約460nm、緑色波長領域、515nm、約515nm、532nm、約532nm、600nmから700nmの赤色波長領域。
【0041】
またさらに、金属粉末から金属物体を形成するための積層造形システムであって、前記システムは、造形レーザービーム経路に沿って造形レーザービームを提供するレーザー光源;加熱レーザービームを提供するための第2のレーザー光源;前記レーザービーム経路上のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)であって、前記造形レーザービームは前記DMDに向けられるようにされており、前記DMDは、前記DMDから前記レーザービーム経路に沿って光学アセンブリに反射される画像を生成する、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD);及び、前記レーザービームを前記金属粉末に向けて、前記画像が前記金属粉末に送られるようにする前記光学アセンブリ;を備える、積層造形システムが提供される。
【0042】
またさらに、最適化された時間的な又はパターン的なグレースケールを有する2-Dパターンを粉末層上に投射して、前記熱が、前記溶けた金属のたまりを、より明瞭な形状移行とより高密度な部品とを生み出す前記所望の造形形状へと操作するようにする、レーザー-空間光変調器の組み合わせが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明に係る積層造形システムの一実施形態の斜視図である。
【0044】
【
図2】本発明に係るレーザーDMDプリントヘッドの実施形態の切断斜視図である。
【0045】
【
図3】本発明に係る所与の出力の実施形態における、パルス幅と繰り返し数を比較したチャートである。
【0046】
【
図4A】本発明に係るレーザー空間光変調器の実施形態を使用してプリントされたパターンの写真である。
【
図4B】本発明に係るレーザー空間光変調器の実施形態を使用してプリントされたパターンの写真である。
【0047】
【
図5】本発明に係るシステムの実施形態における粉末層中への青色光の吸収を、IRレーザーシステムと比較したチャートである。
【0048】
【
図6】本発明に係る予加熱ビームと造形レーザービームの重ねあわせの実施形態の概略図である。
【0049】
【
図7】本発明に係るシステム及び方法におけるタイミングの実施形態のフローダイヤグラムである。
【0050】
【
図8】本発明に係るシステム及び方法におけるタイミングの実施形態のフローダイヤグラムである。
【0051】
【
図9】本発明に係るマルチDMDレーザープリンターシステムの実施形態の概略図である。
【0052】
【
図10】本発明に係るマルチDMDレーザープリンターシステムの実施形態の概略図である。
【0053】
【
図11】本願発明に係る、デジタルミラーデバイスで構成されたプリンティングシステムの一実施形態の概略図であり、モーションシステムが動いているときのターゲット基盤にわたる画像のスクロールを示す図である。
【0054】
【
図12A】本願発明に係る、金属中の画像の良好な溶融及び復元を実現するための粉末層上での様々なパワー密度における、粉末の出発材料からの造形パターンの一実施形態の写真である。
【
図12B】本願発明に係る、金属中の画像の良好な溶融及び復元を実現するための粉末層上での様々なパワー密度における、粉末の出発材料からの造形パターンの一実施形態の写真である。
【0055】
【
図13A】本願発明に係る、銅に直接プリントされる部品の単一層をマッピングするために使用される画像分割の一実施形態である。
【0056】
【
図13B】本願発明に係る、
図13Aのマッピングを使用した銅部品造形の一実施形態である。
【0057】
【
図14A】本願発明に係る、銅粉末の造形材料中での、IRレーザーの光吸収に対する青色レーザーの光吸収の一実施形態を示すグラフである。
【0058】
【
図14B】本願発明に係る、青色レーザー光のレーザー出力に対する造形速度の一実施形態を示すグラフである。
【0059】
【
図15】本願発明に係る、当該システム及び方法で使用するための制御システムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
概して、本発明は、材料のレーザー加工、材料による高い又は増加したレベルの吸収性を有するようにするために、予め選択されたレーザービーム波長を加工される材料に合わせることによるレーザー加工、より大きな速度、より高い効率、及び造形される物体のより大きなサイズを提供するシステム構成、並びに、特に原材料を大きな構造体、部品、コンポーネント、及び物品とする、出発原材料による高い吸収性を有するレーザービームを備えた、レーザー積層造形に関する。
【0061】
デジタルミラーデバイスで構成されたプリンティングシステムの一実施形態においては、デジタルミラーデバイスを備えるステージが移動したときに、画像がターゲットにわたってスクロールされる。この実施形態においては、物体(例えば銅部品などの部品)の3-D画像がシステムに提供される。画像は、好ましくは造形される部品の3-Dデジタル画像又はビットマップである。この3-D画像は、一連の層及び他のセグメントに分割される。画像セグメントは、プリンティングシステムのためのコントローラ及び制御システムに関連付けられた記憶装置内に収められている。画像セグメントは、ステージの動き(例えば、X方向、水平方向)にしたがって順序づけられている。ステージは、レーザー光源と光学連通したデジタルミラーデバイスを含む。そして、画像はステージの動きにしたがって所定の態様で再生される。すなわち、画像の再生はステージ動きと同期される。このようにして、同期画像の分割部分が、造形材料、例えば銅粉末に送られて、元の3-D画像の形状で物体を造形する。
【0062】
よって、この例示によって限定されるものではないが、デジタルミラーデバイスは、ステージが造形材料を元の3-D画像の形状に形成するように動かされているときに、画像セグメントを造形材料の上に再生するものとして理解される。
【0063】
図12A及び12Bは、粉末層上での適切な出力密度が金属中の画像の良好な溶融及び復元をもたらすことにおいて果たす役割の例を示している。造形物体は、一連の隆起した銅の文字である。
【0064】
図12Aの造形物体は、画像を1/5.6に縮小する150mmの対物焦点レンズを使用して造形された。ステージのX方向での動きの速度、及び2つの異なるレーザーパルスの長さが、写真に右側に示されている。
【0065】
図12Bの造形物体は、画像を1/9に縮小する100mmの対物焦点レンズを使用して造形された。ステージのX方向での動きの速度、及び3つの異なるレーザーパルスの長さが、写真の右側に示されている。
【0066】
DMDの800×600ピクセルが、
図12A及び12Bの物体を造形するために使用された。プリントされた最小の構造は0.1mm幅である。
図12Bの文字の高さは約0.65mmである。
【0067】
図12Aと12Bの比較は、
図12Bで使用されたより高い出力密度によって、より良い速度と造形物体のより良い品質(例えば、公差)がもたらされることを示している。より短い焦点距離のレンズは、造形材料上でのレーザー画像の強度を増加させる。より短い焦点距離のレンズは、ある実施形態では、予加熱ステップ、例えば予加熱レーザー、の必要性を小さくするか又は無くすことができる。より短い焦点距離のレンズは、より長い距離の焦点レンズに対して、速度及び造形物体の品質において4倍、5倍、6倍又はそれ以上の改善をもたらすことができる。
【0068】
システムの実施形態においては、実施形態ではレーザービームがデジタルミラーデバイスをレーザーパターンとして出た後に配置されている集束レンズの好ましい焦点距離は、約100mm、約50mmから約150mm、及びそれより大きいか小さい長さとすることができる。
【0069】
図13A及び13Bは、銅に直接プリントされる部品の単一の層をマッピングするために使用される画像分割の例を示している。
図13Aでは、引張試験棒(上部のみが示されている)の画像が、多くの異なる画像セグメントに分割されている。よって、例えば、画像のセクション1300は画像セグメント1300aに対応し、セクション1301は画像セグメント1301aに対応し、セクション1302は画像セグメント1302aに対応する。
【0070】
図13Bは、ステージの動きと同期した造形材料上へのレーザービームパターンとしての画像セグメントをスクロールすることで造形された引張試験棒の写真である。画像1350は、軸に沿って造形された引張試験棒の層のものである。画像1351は、軸に沿って造形された引張試験棒の層のものである。画像1352は、軸に沿って造形された引張試験棒の層のものである。部品は、長軸、単軸、横軸、及びそれらの組合せ及びその変形形態に沿って造形することができる。軸に沿って造形されることは、水平(X方向)の動きがその軸に沿ったステージのものを意味する。
【0071】
図14Aは、粉末層への青色光吸収が非常に短い平均自由行程で急速であることを示しており、これは、青色光を使用した場合に、IR光と比較して、スポット又は画像の外側への高出力光の光の広がりが少ないことを意味する。
【0072】
図14Bは、DMD上での平均出力密度及びレーザー出力の関数としての造形速度を示している。例えば、100CC/hrを超える造形速度を、500ワットの低いピークレーザー出力で達成することができる。粉末層、例えば金属粉末内での青色レーザービームの平均自由行程は、IR光よりもかなり小さい。このようにして、青色レーザービームは、散乱による熱損失が小さく、よってより薄い粉末層を可能とする。このようにして、より高い解像度を実現することができる。このようにして、より高い造形速度を実現することができる。
部品設計
【0073】
画像は、モノクロのビットマップ、又は任意でより精緻な部品の細部若しくはレーザーの減衰のためのグレースケール、として生成されて保存される。黒のピクセルは、高密度な部分を示し、対応する位置で粉末表面に少なくとも一度は見られるレーザーパルスに対応する。
【0074】
1回の反復で3Dモデルを一連の層に分割し、それらは画像として保存される。
画像分割
【0075】
画像分割は、2つの段階、すなわち経路の画定と経路の順序付けにより達成される。経路の画定において、ユーザーは、元部品の画像を層ごとに扱う。画像は、より小さなオーバーラップする形状に分割され、その最も単純なものは四角形であり、最終的なツールの経路を示し、またDMD上に表示されてプリントされるパターンに対応する。経路を計算するために要求されるパラメータは、ここで選択され、またそれらに限定されるわけではないが以下のものを含む:ステージ速度、使用されるDMD領域(高さ、幅、オフセット)、レーザーパルス持続時間、レーザーパルス選択(すなわちデューティーサイクル)、フレーム表示、タイミングに関連付けられたステージのランプアップ及びスローダウンの要求、経路の長さ/幅、オーバーラップ、タイミング、方向、並びに実行順序。追加のプロセスパラメータをこの時点で選択することができ、それには、限定されるわけではないが、レーザー出力及びレーザー焦点オフセットが含まれる。
【0076】
画像から部品へのスケーリングも経路の画定の最中に設定される。経路選択のための最も単純な方法は、画像がDMDのスペースにスケーリングされることで開始されるであろうが、このスケーリングはプロセスにおける他の場所で実行されようにもできる。経路が特定されると、命令ファイルが、コンパイルされて部品を実世界での座標に変換する。命令ファイル(Gコード)には、部品、層、又はセグメントを稼働するのに必要とされる全ての情報、画像が見つけれるべき方向、それらのフレームへの変換の仕方、及びそれらをステージの動きとレーザーのパルスとが同期した態様で表示する仕方についての情報、が含まれる。
【0077】
経路の順序は、一連のフレームとそれらを表示するための命令である。フレームは、上述のパラメータに基づいて計算される。フレームは、ステージの速度、DMDから粉末表面への縮小、DMDミラーのピッチ、レーザーパルス持続時間、及び画像表示に関連した遅延、に基づいてオフセットされる。フレームは、粗い形状をプリントするとき又は演算時間を抑えるときに、繰り返えされるようにできる。元の画像ファイルは実行時にフレームに変換されるようにすることができ、又はそれはいくつかの小さなステップに分解されるようにすることができる。それらのステップは、個別の画像としてファイルするために各経路を保存すること、画像としてファイルするためにフレームを保存すること、及びバイナリーデータとしてファイルするために順序を保存することを含むことができる。
【0078】
代わりに、DMDは、画像スクロールのような内蔵の順序付け機能を利用することに応じた態様で方向付けられるようにできる。この例では、経路用の画像の全体がメモリに読み込まれて、。ステージの動きと同期して適切な部品セクションを表示することに進む。代わりに、画像スクロールは、DMD又はプリンターソフトウェアで低レベルでの任意のスキャン方向に対して効力があるようにできる。これは、メモリに保存された画像を、DMD上に表示される前に、回転させること又は変形させることを含むことができる。
【0079】
代わりに、層又は部品の全体がメモリに読み込まれて、上述のものと同様な態様でアクセスされる。
【0080】
反復は、ステージ座標をDMD及び画像座標にマッピングする。部品の上でのステージの動きは、表示されてプリントされる対応画像に同期される。
【0081】
画像は、レーザーと粉末の相互作用に影響を及ぼしたり、収集された現場データを活用したり、最終的な造形特性にバイアスを与えたり、粉末中に存在する異常に対応したりするために、実行時を含む如何なるときに変形されたりそうでなければ処理されたりすることができる。画像の操作は、部品、環境、又はプロセスについての他の情報に基づいて行なわれるようにもできる。
プログラムの実行/プロセス
【0082】
これらに限定されるわけではないが、粉末の選択、粉末の厚さ、粉末の圧縮、粉末層温度、及び粉末の表面でのプロセスガスを含むプロセス環境変数が処理の前に設定される。
【0083】
経路の順序を処理するときに、レーザーがDMD上での個々のフレームの表示時間内に含まれるパルス幅で誘発される。レーザーパルストリガはDMDからレーザーに直接送られる。フレームのDMD上への表示とステージの動作との間のタイミングは、元の画像が粉末内で実世界での寸法に正確にスケーリングされるように調整される。
【0084】
レーザーのパルス及びプロセスのタイミングは、DMDの過熱を避けるために管理される。
【0085】
ベース層は、それに続く層との融合を支援し且つ造形完了後にベース層がそれに続く層から容易に分離できるようにして、構成される。
【0086】
当該システム及び方法の実施形態は、如何なるレーザー波長を使用することもできるが、好ましい実施形態では一対の青色レーザーを使用し、融合される粉末層の上にパターンを画定するための手段として空間光変調器を使用して、並行して部品の層をプリント及び融合する。実施形態におけるレーザー光源及びレーザービームは、青色波長領域の波長を有することができ、好ましくは450nm、約450nm、460nm、約460nmの波長であり、約10pm、約5nm、約10nm、約20nm、及び約2nmから約10nmのバンド幅を有することができ、並びにより大きな値及びより小さな値を有することができる。実施形態におけるレーザー光源及びレーザービームは、緑色波長領域の波長を有することができ、例えば、515nm、約515nm、532nm、約532、550nm、約550nmの波長とすることができ、また約10pm、約5nm、約10nm、約20nm、約2nmから約10nmのバンド幅を有することができ、並びにより大きな値及びより小さな値を有することができる。これらのさまざまな波長の組み合わせ及び変形例がシステムにおいて使用され得る。
【0087】
当該システム及び方法の実施形態におけるプリントエンジンは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)アレイを基本としており、その実施形態はテキサス・インスツルメンツ(TI)から入手可能であり、プリントされる2-Dエネルギーパターンを生成する。TIによって作られた全てのDMD製品がこのプロセスの対象であり、プリントするために使用されたDMDはDLP9500である。2-Dエネルギーパターンは、融合される粉末の層の上にレーザービーム又はレーザービームパターンが形成する画像を意味する。本明細書で説明されるように、この画像は、2-Dエネルギーパターン、すなわち粉末の層の上の画像として観察されるが、エネルギーが層の中に浸透して材料を造形物体の下の層に融合するので、深さ、即ち3-D特性を有する。これらのプリントエンジンは、本明細書で提供されるレーザー積層造形システム及び方法並びに他のもののいずれとともにでも使用可能である。DMDアレイから反射された青色レーザーは、再結像されたときに、数ワットから数kワットの出力密度を粉末層上の2-Dエネルギーパターンに提供する。粉末層を2-Dエネルギーパターンが結像される正確な場所で予加熱するために第2の青色レーザーを加え、レーザー-空間光変調器の組がパターン化された粉末を下層に融合するために必要とするエネルギーを低減させることができる。このプリントエンジンは、2-D画像を繋ぎ合わせて部品の1つの層である大きな2-D画像を形成することができる精密なガントリーシステム上に搭載される。システムは、好ましくは、ガントリーシステムの一部又はガントリーシステムとは別の粉末拡散器と、造形容積の一部としてのエレベータとを含む。造形容積は、好ましくは非常に低酸素であり、より好ましくは無酸素であり、アルゴンのような不活性ガス、又は融合プロセスを促進するアルゴン-CO2のような混合ガスで満たすことができる。粉末層とチャンバーは、製造プロセス中の部品からの熱損失を低減するために、電気ヒーター、輻射ヒーター、並びにこれらの又は他のタイプのヒーターの組み合わせ及び変形形態によって直接加熱することができる。一実施形態では、伝導モード溶接プロセスは各層を融合するための好ましい方法であり、これは、本明細書で教示及び開示された当該実施形態の以前には全ての積層造形走査レーザーシステムにおける典型的なプロセスであったキーホールプロセスにおいて通常引き起こされるスパッタを排除する。
【0088】
概して、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)は、アルミニウム製の非常に小さいミラーを使用し、光を反射して画像を作り出す装置である。DMDはDLPチップとも呼ばれる。これらの装置の実施形態は、これらの断面寸法(例えば、四角の一辺、円の直径、又は長方形の長い方の辺、これらの装置は他の形状を有することもある)について、数センチメートル(cm)、約1cmから約3cm、約1cmから約2cm、1センチメートル以下、0.5cm未満、0.2cm未満、又はそれ未満とすることができる。これらのDMDは、約100,000から4百万、少なくとも約100,000、少なくとも約500,000、少なくとも約百万、約2百万、又はそれより多くのミラーを含み、各ミラーは、約4μm以下、約7.56μm以下、約10.8μm以下、約10μm以下、約4μmから約20μm、並びにこれら及びより大きな及び小さなサイズの組み合わせ及び変形例に分けられている。ミラーは、例えば、写真のモザイクのようなマトリックスなどの所与のパターンで配置され、各ミラーが1つのピクセルを表わしている。
【0089】
一実施形態では、DMDは、その論理値(0又は1)に従ってミラーをオン位置又はオフ位置に静電気的に傾けるメモリーセルであるCMOS・DDR・SRAMチップと、ヒートシンクと、ミラーをほこりや屑から保護しながらレーザーを通す光学窓と、を含む。
【0090】
実施形態では、DMDは、形成されて表示される画像のピクセルに対応した典型的には方形アレイに並べられている数十万以上の微細なミラーをその表面上に有する。ミラーは、オン状態又はオフ状態にまで、例えば±10-12°又はそれより多く若しくは少なく、個々に回転される。オン状態では、レーザー光源からのレーザー、例えば、造形レーザー及び造形レーザービームはレンズ内へと反射され、そのピクセルが造形レーザーのエネルギーを粉末層上の画像に向ける。オフ状態では、レーザービーム、例えば造形レーザーは、別の場所、例えばビームダンプに向けられ、そのピクセルが画像又は粉末の融合に寄与しないようにする。実施形態において、予加熱レーザービームもDMDデバイスに向けられてDMDデバイスから反射されるようにして、予加熱画像を層の粉末上に形成するようにすることもできることを理解されたい。
【0091】
写真のグレースケールと同様であると理論化できる一実施形態においては、ミラーはオンとオフを非常に素早く切り替えられ、オフ時間に対するオン時間の比が粉末層内の粉末の融合又は結合の量を決定する。これにより、レーザー出力、及び粉末層上でのレーザービームの出力密度(例えば、kW/cm2)を、レーザー光源からの出力ビーム出力を変えること無く、制御することが可能となる。いくつかの実施形態では、500より多くの異なる出力及び出力密度、700より多くの異なる出力及び出力密度、並びに100、000より多くの異なる出力及び出力密度を得ることができる。グレースケール効果を実現する代替の方法では、加工される材料での熱拡散距離に比べて小さいサイズである個々のピクセルを省いて、画像をピクセル化する。これにより、画像に送られる平均出力が効率的に低減される。このグレースケールは、時間的であれ空間的であれ、溶融プールを操作してそれを好ましい形状とするために使用することができる。
【0092】
当該システム、プリントヘッド、及びプリントエンジンで使用するためのDMDの実施形態は、TIから入手することができ、これらのDMDには、デジタルコントローラを備えた、DLP2010、DLP3000、DLP3010、DLP4500、DLP4710、DLP5500、DLP6500、DLP7000、DLP9000、DLP9000x、DLP9500;DLPA2000、DLPA3000、DLPA3005、DLPC3430、DLPC3433、DLPC3435、DLPC3438、DLPC3439、DLPC3470、DLPC3478、が含まれる。
【0093】
図1には、一実施形態にかかる積層造形システム100が示されている。システム100は、ベース108と、ベース108上に取り付けられたガントリーシステム101を有する。ガントリーシステム101は、DMDプリントヘッド103を移動させる。この移動は、x軸102又はy軸102a内である。システム100は、(部品の上に次の層が堆積されるようにするためにその部品を下に移動させるための)粉末層エレベータ104、粉末層拡散器105、及び粉末ローラー106を有する。DMDプリントヘッド103からの画像107は、図面において、粉末の表面上に示されている。システムは、層流エアーナイフ109、及びパイロメーター又はFLIRカメラ110を有する。ベース108及びガントリーシステム101は、例えば、ガントリーの電源線や制御線及びレーザービーム伝送のための光ファイバーを収めることができるワイヤーハーネス111を有する。レーザー光源又はその一部は、実施形態においては、ガントリー上に位置してガントリーとともに移動する。実施形態においては、レーザー光源は、ベースから離れて、レーザーヘッドから離れて、又は両方から離れて配置され、例えば、光ファイバーによってレーザーヘッド103に接続され、例えば光学連通して配置される。レーザー光源は、レーザービームがプリントヘッドにまで自由空間を伝播するフライング光学ヘッドデザイン(flying optic head design)によって接続されてもよい。
【0094】
図2には、一実施形態のレーザーDMDプリントヘッド200の切断斜視図が示されている。この実施形態は、
図1のシステムおよび他のシステムを含む、本発明の如何なるシステムとともにでも使用可能である。レーザーDMDプリントヘッド200は、光学部品を収容するハウジング230を有し、また第1のレーザー入力部201、第2のレーザー入力部212、及び出力又は射出窓209を有する。ハウジング230の中へと伝播したレーザービームは、光学部品によって向けられて整形され、その後に射出窓209を通ってハウジング230から出てパターンを(この図では示されていない粉末層上に)形成する。一実施形態においては、これらレーザー入力部201、212は、例えば、レーザー光源に接続されて光学連通してレーザービームをプリントヘッドに伝送するQBH光ファイバーケーブルのような、レーザー光源からのレーザービームを伝導するためのコネクタ及びファイバーである。ハウジング230内の光学部品は2つレーザービーム経路を画定し、それぞれが入力部のためのものである。第1のレーザービーム経路に沿ってレーザービーム伝播の方向で、入力部201、コリメートレンズ205、反射ミラー206、(冷却器203よって冷却される)DMD202、(冷却器を有していてもよい)オフ状態ビームダンプ204、及びDMD結像レンズ208があり、DMD結像レンズ208からのレーザービームが窓209を通って伝播して画像210を形成する。第2のレーザービーム経路に沿ってレーザービーム伝播の方向で、入力部212、コリメートレンズ210、反射ミラー207、(結像レンズ208、これは第2のビーム経路内にあってもなくてもよく、第2の又は別の結像レンズが採用されてもよい)があり、そして窓209を通って粉末層上の場所に至る。
【0095】
積層造形システムの一実施形態において、第1のレーザービーム経路は、造形レーザービーム及び造形レーザービーム経路であり、粉末を融合して物体を造形するレーザービームである。造形レーザービームは、青色波長領域の好ましくは440nm、約440nm、450nm、約450nm、460nm、約460nmの波長、緑色波長領域の例えば515nm、約515nm、532nm、約532nmの波長を有することができる。造形レーザービームは本明細書に記載されている如何なる出力、出力密度、ピーク出力、及び繰り返し数を有することができる。第2のレーザービーム経路及びその経路に沿って伝播する第2のレーザービームは、予加熱レーザービームである。それは同じ波長である必要はなく、440nmから1,100ミクロンのどの波長とすることもでき、又は造形レーザーと同じ波長とすることもでき、粉末層上でより小さい、同様な、又はより高い出力密度を有し、また粉末を融合して物体を造形するための造形レーザーの能力を手助けするために、粉末層を予加熱するため及び粉末層の温度を維持するために使用される。
【0096】
一実施形態のプリントヘッド230においては、第2のレーザー入力部212は粉末の層を予加熱するためのレーザー光源に接続されている。このように、第2のレーザービーム経路、及びそれに関連する光学部品は、予加熱システムのためのものである。よって、この実施形態では、第1のビーム経路及びコネクタ201から窓209を通って画像210に至るまでの部品は、上述のように、粉末層材料を一緒に融合するためのレーザービーム、すなわち造形レーザービーム又は融合レーザービームを提供し、第2のビーム経路は予加熱レーザービームを提供するためのものである。
【0097】
当該システム及び方法の実施形態は如何なるレーザー波長を使用することもできるが、好ましい実施形態は、一対の青色レーザーを使用し、融合される粉末層上の2-Dエネルギーパターンを画定するための手段としてレーザーのアレイと組み合わせた空間光変調器のアレイを使用して部品の層を並行してプリント及び融合する。エネルギーパターンは、部品の別の部分又は別個の部品が並列に加工されるときに、連続的な又は分離したものとすることができる。複数のエネルギーパターニングシステムを一緒に組み合わせることによって、より高い総合出力を粉末層の表面に送達することができ、結果として、より大きな部品を単一パルスでプリントすることが可能となり、その装置での造形速度がかなり向上する。DMDの出力対応能力の限界のために、複数のDMDが使用される。シェルフ(shelf)DMDシステムは、バックプレート温度及び冷却方法に応じて、25W/cm2から75W/cm2までの青色レーザー光を継続的に取り扱う能力がある。加工される部品が大きいほど、表面に亘って2-Dパターンを完全に溶かすのに必要な合計出力は大きくなる。実施形態におけるDMDは送達される出力に対して限定要因になりうるので、所望の高い造形速度を達成するのに必要なエリアスケーリング(area scaling)をもたらすために複数のDMDを並列に使用することができる。さらに、このプリントエンジンは、2-D画像を繋ぎ合わせて部品の単一層であるより大きな2-D画像を形成するようにする精密ガントリーシステム上に搭載されている。システムの実施形態は、ガントリーシステムの一部としての又はガントリーとは別の粉末拡散器、及び造形容積の一部としてのエレベータを含むことができる。造形容積は、低減された酸素を有するべきであり、好ましくは無酸素であって、例えばアルゴンのような不活性ガス又はアルゴン-CO2などの融合プロセスを促進するための混合ガスで満たすことができる。エネルギーでパターン化されたエリアは、補助レーザー光源によって予加熱されるか、又は電気ヒーター及び輻射ヒーターによって直接加熱されて、製造プロセス中の部品からの熱損失を低減することができる。補助レーザー又は補助加熱源は、粉末層のベース温度を上昇させ、レーザー/空間変調器システム、すなわち溶融又は造形レーザービーム又は積層造形システムのサブシステムによって粉末を溶かすために必要とされるエネルギーを低減させる。実施形態では、伝導モード溶接プロセスが各層を融合するための好ましい方法であり、これは、全ての積層造形走査レーザーシステムにおける基本的なプロセスであるキーホールプロセスにおいて通常引き起こされるスパッタを排除する。
【0098】
2-Dエネルギーパターニングシステム(3-D造形のための)
【0099】
このシステムのための好ましい実施形態は、TIのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。このアレイは、伝播光をオフ又はオンに切り替えるように命令されたときに傾くマイクロミラーで構成されている。グレースケールは、ミラーの位置若しくはレーザーの設定出力をプロセス中に高速で変調して表面に送達されるエネルギーの量を設定するか、又はミラー画像全体に亘ってオフ状態にランダムに切り替えて画像内の平均出力密度を低減することによって、成し遂げられる。好ましいDMDアレイは、レーザービームの波長で使用するために最適化されたものであり、例えば、青色波長領域の波長の、好ましくは400nm、約440nm、450nm、約450nm、460nm、約460nmに最適化されたもの、また、緑色波長領域の波長に最適化されたものであり、例えば515nm、約515nm、532nm、約532nm、及び600nmから700nmの赤色波長領域とすることもできる。可視波長の光のための典型的なDMDは、450nmで88%の反射性、及び64%を超える回折効率を有する。この高い透過率によってこれらのデバイスは、冷却方法に応じて、25W/cm
2以上の平均出力密度を取り扱うことができ、また青色、緑色、及び赤色(可視光)の波長の造形レーザービームを取り扱うことができる。マイクロチャネル冷却器を備えたDMDで行なわれたテストでは、そのデバイスを最大75W/cm
2の出力密度で動作させることが安全であることが示された。DMDは、約25W/cm
2から160W/cm
2、約50W/cm
2から100W/cm
2、約25W/cm
2から75W/cm
2、及びそれより大きい又は小さい値の動作出力密度、例えば平均出力密度定格(average power density rating)を有することができる。平均出力密度定格は、このデバイスに対する連続加熱負荷定格(continuous heat load rating)である。高い反射性のために、低い繰り返し数での短いパルスは、デバイスの連続出力定格よりもかなり高い出力密度を有することができる。
図3には、この平均出力密度を維持するための所与の繰り返し数に対する最大パルス幅の見積もりを与えるチャートが示されている。見積もりは、150W(ワット)から6kW(キロワット)のレーザー出力レベル定格に対して行なわれている。6kWでは、DMDデバイス上での瞬間出力密度又はピーク出力は、DLP9500デバイスにおいて2.5kW/cm
2であり、そのデバイスの平均出力密度定格よりも1,000倍以上大きい。出力スループットのこのレベルは、レーザーパルス幅が短くてデューティーサイクルが低いことでデバイス上での平均出力が最大定格を超えないため、達成できる。光学コーティング、この例では強化アルミニウムは、吸収したエネルギーがコーティングミラーの損傷閾値を超えない限りにおいては、非常に高いピーク出力レベルを維持することができる。パルスモードでのアルミニウム光学コーティングの損傷レベルは、典型的にはショートパルスに対して10-50MW/cm
2であり、当該システムのこの用途はこの損傷限界よりも十分に下である。また、ミラーの熱質量は、入射エネルギーの12%を吸収する働きをし、ミラーの温度を推奨動作範囲内に維持するための所与の出力密度に対する最大露光時間を決定する。結果として、当該DMDシステム及び方法は、金属粉末を直接的に融合することができるピーク強度を、DMDを損傷させることなく、粉末層に送達することができる。
【0100】
したがって、当該システムの実施形態において、積層造形システム及び積層造形方法でのDMDデバイスは、レーザービームの影響下にあり、レーザービームを反射して粉末層上に画像を形成し、レーザービームは粉末層上でDMDに対する平均出力密度定格の2倍、10倍、100倍、1、500倍、100倍から1,000倍、及びそれより大きなピーク出力密度(kW/cm2)を有する。
【0101】
図4A及び4Bには、プリントされたパターンの写真が示されている。
図4Aには、直接的に融合された金属粉末が示されており、この例では、100μmの厚さの銅粉末の層であり、「N」の画像がレーザー/空間変調器システムによって直接プリントされている。銅粉末の融点は1085℃である。
図4Bは、レーザー/空間変調器システムによって直接プリントされた第2の文字「U」を示している。粉末は、手動で予め配置され、加工前に不純物を取り除くために100℃で加熱された。プリントプロセスは、文字Nの画像をDMDにダウンロードすることから始まる。青色レーザーシステムは、推奨動作点の25W/cm
2を維持するデューティーサイクルで4ミリ秒の間パルスを発し、3.7kW/cm
2の出力密度に相当する85ワットのピーク出力を粉末層の表面上に送達する。このテストには低出力レーザーが使用されたので、粉末を加熱してそれを画像に融合するのに十分なエネルギーが貯まるまで、移動しているガントリーシステム上の画像が静止するようにDMD上の画像はスクロールされた。画像は、次いで、次の文字に変更されて、プロセスは繰り返された。粉末層は20℃であったので、粉末を加熱して溶かすための全てのエネルギーはレーザー/空間光変調器システムによってもたらされた。文字は、約500μmの高さ、500μmの幅である。より高いレーザー出力と加熱された層を用いることで、粉末を単一パルスで溶かすことも実現可能である。
【0102】
一実施形態において、6kWの青色レーザー光源(造形レーザービーム)は、パルス幅6.5ミリ秒、繰り返し数3Hzで動作され、これは銅粉末を使用した場合の75cc/hrを超える造形速度に相当する。レーザーエネルギーをDMDに亘って均等に分布させるためにホモジナイザーが使用される。DMD上での出力密度は、幅2cm×高さ1.1cmで、2.5kW/cm
2である。DMDは、10.8μmピッチで1,920ミラー×1,080ミラーの解像度を有する。DMDミラーのこの波長での反射率は約88%であり、装置の窓の透過率は97%であり、DMDの回折効率はこの波長で~62%であり、結像光学系の透過率は99%であると推定される。2:1の結像光学系を使用して、10mm×5.5mmの画像が粉末層に送られ、その見積損失は粉末層上でレーザー-空間光変調器の組み合わせから~6kW/cm
2の出力密度となり、これは
図4A及び4Bのテストで使用された強度の1.6倍であり、送られた総エネルギーは60倍より大きい。「システム」の画像の解像度は約5.04μmであり、システムに他のどのようなレーザー焼結手法よりも高い解像度を与える。DMDチップの公開された平均出力密度は25W/cm
2に限定されているので、6kWレーザー光源に対して6.5ミリ秒のパルス幅が選択され、これは粉末層に送られる約21ジュールのエネルギーに相当する。
図4A及び4Bに示された実験では、照射領域がたったの0.5mm×0.5mmであったので、必要とされるエネルギー付与はかなり低かった(0.34ジュール)。層の温度が600℃であったと仮定すると、25%の空洞が含まれる10mm×5.5mm×0.1mmの体積の銅粉末を溶かすのに14ジュールのエネルギーが必要であったと見積もられる。この分析は、必要なエネルギーを押し上げる基板の加熱を考慮していない。部品の第1層をプリントするときに最も大きなエネルギーが必要とされ、そこでは粉末を溶かして融合するのに必要なエネルギーが熱エネルギーの基板への拡散によって3倍に増加する。このステップで必要とされる追加のエネルギーを送るように結像システムを補助するために補助加熱レーザーを使用することができる。造形が進むと、今度は熱拡散が前の層の質量の要因となり、部品が薄いほど必要な出力は小さくなり、前の層の寸法が大きいほど必要な出力は大きくなり、第1層を造形プレートに結合する間に最も高い出力が必要とされる。
【0103】
システム又は方法の解像度により、システムによって造形された物体はその最も小さい部分又は最も小さい寸法が上述の解像度と等しくなることを意味し、例えば、解像度は造形することができる物体の最小寸法を画定する。よって、レーザーシステムの解像度及び方法の解像度によって、システム及び方法は、その解像度で部品を造形する、すなわちその部品にその解像度での特徴を持たせる能力を有することを意味する。よって、例として75μmの解像度は、75μmの最小寸法、75μmの最小特徴部、又はその両方、を有する部品を造形する能力をもたらすであろう。青色レーザー3-D積層造形システム、例えば3-D青色レーザープリンターの実施形態、及び青色レーザー3-D積層造形方法の実施形態は、約0.5μmから約200μm以上、約0.5μmから約100μm、約0.5μmから約50μm、約100μm未満、約75μm未満、約50μm未満、約25μm未満、約10μm未満、及び約5μm未満の解像度を有する。このシステムは、大きな解像度、例えば200μmより大きい解像度と、約0.5μmから約10μm及び1μmから約5μmの非常に細かい解像度との両方の能力を有することができる。また、本明細書の実施形態や例、並びに、青色、440nm、約440nm、460nm、緑色、515nm、約515nm、532nm、約532nm、550nm、及び約550nmの波長を有する実施形態、及び本明細書の実施形態や例、を含む当該システム及び方法の実施形態は、約10μmから約0.5μm、10μm未満、5μm未満、2μm未満、約3μmから約0.9μm、約1μm、より小さな値、及びこの段落内の他の値の解像度を有する。
【0104】
図5は、青色レーザー光が銅粉末層の中にどのくらい速く吸収されるのかのIRレーザーに対する比較である。IRレーザーは融合されるパターンの外側の粉末層内に拡散されて、より高い出力レベルのレーザーが必要となり、解像度は高い拡散要因によってIRでは制限されるので、青色レーザー光の高い吸収率は、このプロセスで所望の解像度、造形速度、及びその両方を得るための要因となる。したがって、光の100%が吸収されるという仮定を使うことができる。もし粉末層が75%の密集度であれば、粉末層を600℃から銅の融点である1085℃にまで加熱するのに必要なエネルギーは、熱容量の計算式に基づいて計算することができる。相転移が含まれるので、必要なエネルギーの計算には融解熱が含まれる。2つの成分の合計に基づいて、10mm×5.5mm×100μmの体積の銅を溶かすのに必要なエネルギーは約14ジュールである。この計算に基づいて、好ましくは粉末のベース温度が金属を溶かすのに必要なエネルギーを補償するために調節されるか、又は画像エリアを予加熱するために補助レーザーが使用されれば、現在入手可能な典型的なDMDアレイは金属ベースの積層造形システムにおいて使用するのに適している。
【0105】
500ワットの青色レーザー光源を使用して銅粉末層をDMDを介して加熱する実施形態は、1.5Hzの繰り返し数でパルスが発せられるときに、最大で78ミリ秒までのパルス幅を提供することができる。これら条件下で、500ワットの青色レーザー光源は、400℃のバックグラウンド層温度から銅を溶かすのに十分なエネルギーである39ジュールを銅粉末層に供給する。
【0106】
いくつかの実施形態では、レーザー-空間光変調器の組み合わせは50μmの厚さの粉末層を溶かすのに十分なエネルギーを提供することができるが、それは下の層に融合するのには十分なエネルギーではないかもしれない。伝導モード溶接は材料の層を通して球形状的に進むので、溶接は深さと同じ幅となる。例えば、50μmの深さのビードは少なくとも50μmの幅となるであろう。粉末層がその下の層と融合されることを確実にするために、最小の形体サイズは粉末層の深さの少なくとも1.5~2倍でなければならない。これは、粉末層を下の層に融合するために75~100μmの幅のビードが使用されることを意味する。下の固形化した層に融合するのに必要なエネルギーを考慮に入れると、400℃から銅の融点にする場合、粉末を溶かして融合するのに必要なエネルギーは36ジュールから86ジュールに増加する。実施形態においては、これはレーザー-空間フィルターの組み合わせだけでは達成可能ではないので、層温度を上昇させるか、又は別の熱源が加えられる。第2のレーザーを加えることによって、好ましくは空間光変調器なしで、追加の熱が加えられてその温度を、粉末を溶かすこと無く、上昇させる。よって、この第2のレーザーは、粉末を予加熱して粉末層と造形物体の温度を環境温度以上に維持し、例えば粉末は予加熱されて、100℃よりも高い温度、200℃よりも高い温度温、300℃よりも高い温度、400℃よりも高い温度、約300℃から約600℃の温度、粉末の融点の300℃以内の温度、粉末の融点の200℃以内の温度、粉末の融点の100℃以内の温度、粉末の融解温度までの及びそれを僅かに下回る温度、並びにより高い及びより低い温度に維持される。
【0107】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、空間光変調器、レーザー/空間光変調器、DMDシステム、レーザー-空間、及び同様な用語は、造形レーザービームのためにレーザーパターン及び画像を粉末層上に生成するための、マイクロミラー、マイクロ反射アッセンブリ、又はマイクロレベル若しくはサブマイクロレベルの解像度を有する類似の反射コンポーネントを使用した、同様な一般的なタイプのシステム又はサブシステム、並びに液晶及び他のタイプの結晶をベースとした空間光変調器を参照する。
【0108】
第2のレーザー(例えば、上述の
図2の第2のビーム経路)は、
図6に示されるように、レーザー-空間光変調器が照射するエリアと同じエリアに照射される。
図6には、金属粉末の層600が示されている。予加熱レーザービームは、層600のエリア605を加熱する予加熱レーザーパターン601を形成する。金属粉末の層600上に造形レーザーパターン602、603が示されている。よって、エリア605内の材料は第2のレーザービーム、例えば予加熱レーザービームによって加熱され、レーザーパターン602、603内の加熱された材料は物体に融合される。上述の場合、粉末を溶かして融合するのに86ジュールの加熱が必要とされる。もし500ワットのレーザー-空間フィルターの組み合わせが39ジュールをパターンに提供すれば、第2のレーザーは残りの47ジュールを提供する。移動、コート及び他の機能を果たすための時間をもたらすために、予加熱レーザーのパルス幅はデューティーサイクルの10%、すなわち66ミリ秒とすることができる。これは、750ワットの予加熱レーザー出力に相当する。第2のレーザーが粉末層領域を融点の200℃以内にまで加熱するとすれば、レーザー-空間光変調器がその部品に照射されたときに、パターン化されたエリアの粉末層及びその下層の温度は銅の融点にまで上昇する。
図7はシステムのタイミングを示す。この手順は、50μmの粉末層の融解及び完全に詰まった下の層への完全な融合をもたらす。
【0109】
一実施形態では、レーザー-空間光変調器の組は、繰り返し数1.5Hzで動作する6,000ワットの青色レーザーをもとにしている。予加熱レーザーは750ワットのレーザーである。予加熱レーザーは、上述のものと同じ持続時間(66ミリ秒)の間動作し、銅の場合には粉末層の温度を溶かされる材料(例えば粉末層内の粉末)の融解温度の200℃以内にまで増加させる。パイロメーター又はFLIRカメラが、この予加熱プロセスの間、粉末層の温度を監視し、レーザー-空間光変調器の画像が粉末層の領域を照射されて粉末を下の層に融合させるまで、レーザー出力を制御してその温度を維持する。6,000ワットのレーザーは6.5ミリ秒の間オンとなり、750ワットのレーザーは66ミリ秒以上の間オンとすることができる。この実施形態では、チャンバー温度は室温または室温に近い温度であるとされる。
【0110】
一実施形態においては、レーザー-空間光変調器の組は、最大繰り返し数1.5Hzで動作する500ワットの青色レーザーをもとにしている。予加熱は1,000ワットのレーザーである。予加熱レーザーは、上述のものと同じ約78ミリ秒の持続時間の間動作する。しかしながら、高出力レベルの予加熱レーザーは、パターンの再配置のための追加時間を与えるように、25ミリ秒だけ動作するこの実施形態では、チャンバー温度は室温または室温に近い温度であったとされる。
【0111】
開示のレーザープリントエンジンは、気密筐体内で
図1の実施形態のような精密ガントリーシステム上に搭載されている。気密筐体は不活性ガスで満たされており、この不活性ガスはプロセスが進行しているときにヒュームを取り除くために連続的に循環する。不活性ガスの環境は、部品に多孔性をもたらす造形中の表面酸化が無いようにする。ガントリーシステムによってヘッドがx-y方向に位置決めされるようにし、新しい層がそれぞれプリントされるときに部品を下方に動かすためにエレベータが使用される。原則として、2-Dエネルギーパターンのステップアンドリピートを行なうこの手法は、採用されたガントリーシステムの精度の制約内で、如何なる大きさの体積、例えば、0.5m
3、1m
3、2m
3、3m
3、10m
3、1m
3から10m
3、及びより大きな値及びより小さな値の体積に適用可能である。
【0112】
造形は、コンピュータ支援設計ファイル、典型的にはステップファイル(step file)で開始される。ソフトウェアは、最初に、解像度及び形状に応じて、物体を50μmの又はそれより大きい若しくは小さい薄片にスライスして分割する。スライス後に現れる表面は、次いで、空間光変調器と同じ画像サイズのセクションに分けられる。そして、パターンのどの部分が最初に露光されるか、どれくらいの露光レベルとすべきか、及び必要であればどの支持構造が使用されるべきかについて、造形計画がソフトウェアによって決定される。ソフトウェアはまた、予加熱レーザーおよびレーザー-空間変調システムのための最適なオン時間を決定する。予加熱時間は、ベース材料の密度、ベース材料の融解温度、融合される層の下の層の材料の量、及び融合される層の下の層の材料の密度に応じて変わる。部品のサイズ、部品の複雑さ、及び部品の向きに基づいて、層、及び造形チャンバーの壁又は天井を最適な温度に維持して造形環境への不適切な速度での熱損失を防止するために、輻射ヒーターを使用しても良い。このプロセス順の概要が
図8に記載されている。
【0113】
以下の例は、本発明のレーザーシステム及びコンポーネントのさまざまな実施形態を説明するために提供されている。これらの例は、説明目的のためのものであり、予言的でありえ、また限定として見なされるべきでは無く、本発明の範囲を限定しない。
【0114】
例1
【0115】
積層造形システムの実施形態は、概して
図1に示されている。システム100は、振動絶縁プラットホームの上に搭載されたx-yガントリーシステム101からなる。ガントリーシステムのx軸102は、一対の空気ベアリングと、1ミクロン以下の絶対位置への位置決めが可能なリニアモータとからなる。ガントリーシステムのx軸のためのモータはまた、粉末を広げるために粉末拡散器105を二方向に移動させる。粉末は、粉末で満たされた第2のエレベータセクションか又は粉末を粉末層の上に落とす粉末ホッパーによって、供給される。粉末ホッパーは、この図には示されていないが、ガントリーシステムの前方部分と後方部分に取り付けられている。システムの全体が、この図には示されていない気密筐体の中に囲われる。DMDレーザープリントヘッド103は、ガントリーシステムのy軸上に搭載されて、層を横断することができ、また軸に沿ってどの位置にでも1ミクロン以内で繰り返し位置決めすることができる。粉末層104は、層を各プロセスステップの後に最小10μmで下げることができる高精度エレベータの上にある。これにより、粉末拡散器105が前に融合された画像の上に粉末の均一な層を配置することが可能となる。粉末層を平らにして圧縮するために、移動方向とは反対方向に回転するローラー106が使用される。粉末層は、上昇した温度を造形サイクルで使用することができるようにヒーター内で造形される。層流エアーナイフ109がDMDレーザープリントヘッドの下に直接配置されていて、屑や煙がDMD画像及び補助予加熱レーザーが出射される窓に至るのを防止する。DMD画像107はスライスソフトウェアに従って粉末層の上に位置決めされ、パターンは、部品の隣接する部分を完成するために画像が画像の幅をまたいで移動するときに変化する。部品内の熱蓄積の管理や部品内の反りや応力を最小にするということの要望に応じて、画像はより大きく離れて移動しても良い。
【0116】
例2
【0117】
DMDプリントヘッドの実施形態は、概して
図2に示されている。変調される主レーザーの出力は、業界標準のQBHファイバーケーブル201を通してプリントヘッド200に送られる。予加熱のために使用される第2のレーザーも、業界標準のQBHファイバーケーブル212を通して送られる。これらのケーブルは、堅牢であり、動作中に外部環境に対する密封をもたらすように設計されている。両ケーブルは、保護シースの内側の400μm又はそれより小さい直径のファイバーである。一対の40mmのコリメートレンズ205、210が各光ファイバーの出力をコリメートするために使用される。光ファイバーからのビームの形状や均一性に応じて、ホモジナイザー及びビーム整形光学部品がコリメート光学部品のすぐ後に挿入される。主レーザー光源(造形レーザー)と補助レーザー光源(予加熱レーザー)の両方が、ホモジナイザーを使用して、均一で、融合したプリントが均一であるのに十分な強度を提供する。反射ミラー206が、主レーザーの光ファイバー201からのコリメートビームを、DMDの面法線から24度の要求角度でDMD上に向けるために使用される。レーザーがオン状態のとき、DMD202のミラーは、入射ビームに向かって傾いてビームをDMD表面に対して垂直に向け直す。レーザーがオフ状態のとき、DMD202のミラーは、入射ビームから離れるように傾いて、入射ビームを入射ビームから離れDMDの表面の垂直ベクトルから48度に向け直す。画像内でオフ状態にあるビームエネルギーを捕らえなければならないので、ここにビームダンプ204が配置されている。DMD202からのビームは、100mmのFLレンズで、レーザープリントヘッドの200mm下のスポットに再結像される。これは1:1結像配列であるが、要求される部品のサイズや精度に応じて他の比を採用することもできる。補助レーザーの光ファイバー出力部212は、レンズ205によってコリメートされ、ビームホモジナイザーを通って所望の融合の均一性を実現するようにされる。補助ビームは、ビーム調整の後、ミラー207を使用して、DMDの画像と同じスポットに向けられるか又は再結像される。このシステムは、DMDのビームと同じ結像レンズを通過しない。しかしながら、2つのビーム、すなわちDMDのビームと補助ビームの両方ともが、共通の窓209を通ってプリントヘッドから出射される。しかし、システムの形状に応じて、予加熱レーザーが出射される第2の窓を使用することもできる。最終的には、
図6に示すように、DMD画像210は粉末ビード上で補助レーザービームと重なる。
【0118】
例3
【0119】
本発明の実施形態は、同じ結像開口又は平行な結像開口内で複数のDMDを使用することに関する。
図9には、マルチDMDレーザープリントシステム200の概略図が示されている。このシステムは2つのレーザー造形サブシステム941、942を有している。サブシステム941は、レーザー光源901と、コリメータ/ホモジナイザー903と、DMD905と、ミラー905aと、レンズ907及びレンズ909を有する2:1画像サイズ縮小光学アセンブリと、ミラー911と、結像レンズ920とを有しており、これらはレーザービーム経路913に沿って配置されている。このようにして、粉末を融合するためのレーザービーム、例えば、造形レーザービームは、レーザービーム経路913に沿ってこれらのさまざまなコンポーネントを通って伝播し、画像タイル950aとして画像を提供する。画像タイル950a、950b、950c、950dが、多くのタイルを有するタイル状の画像を形成する。サブシステム942は、レーザー光源902と、コリメータ/ホモジナイザー904と、DMD906と、ミラー906aと、レンズ908及び910を有する2:1画像サイズ縮小光学アセンブリと、ミラー912と、結像レンズ920とを有し、これらはレーザービーム経路914に沿って配置されている。このようにして、粉末を融合するためのレーザービーム、例えば造形レーザービームは、レーザービーム経路914に沿ってこれらのさまざまなコンポーネントを通って伝播し、画像タイル950bとして画像を提供する。
【0120】
システム941、942と同様な構成の2つの追加のレーザー造形サブシステムがこのシステムでは使用されるかもしれないが、図には示されていない。これらの追加の2つのシステムは、画像タイル950c、950dのための画像を提供するであろう。この実施形態では、タイル画像は好ましくは隣接している。
【0121】
システム941、942と同様な構成の4つの追加のレーザー造形サブシステムがこのシステムでは使用されるかもしれないが、図には示されていない。これらの追加の4つのシステムは、950a、950b、950c、及び950dに隣接する画像タイルのための画像を紙面奥行き方向側に提供して、2-Dのタイル状画像を生成するであろう。
【0122】
このシステムは、倒立像又は正立像の何れかを提供するレンズ構成を有することができる。
【0123】
各DMDはそれ自身のレーザー光源を有し、各DMDの像空間がシアリングミラー(shearing mirror)を使用してタイル状とされ、単一のDMDシステムで達成できるよりもずっと大きいエリアの上に連続的な像空間を生成することができる。各DMD像空間の間にデッドスペースがあるが、これはシアリングミラーの適切な配置によって最小化することができる。像空間は、各シアリングミラーの傾きと位置を調整することによって、効果的に繋ぎ合わせることができる。
図9には、2つのDMDの像空間が一軸方向でタイル状とされ、粉末層表面上に大きな複合画像を作っていることが示されている。これは、各DMD画像を縮小光学系を用いて圧縮し、各縮小画像を一緒に切り取り(shearing)、そして単一レンズを使用して画像を所望のサイズに再結像又は拡大し直すことによって、N×MのDMD像空間に拡張することができる。
【0124】
例4
【0125】
本発明の実施形態は、並行な造形能力をもたらすために異なる結像開口内で複数のDMDを使用することに関する。
図10には、2つの平行な造形レーザービームを提供して粉末層上に別々の画像を造形するための第1のDMDサブシステム1040及び第2のDMDサブシステム1041を有するマルチDMDシステム1000が示されている。サブシステム1040は、レーザービーム経路1013に沿って配置されたDMD1005を有する。サブシステム1040は画像1050aを提供する。サブシステム1041は、レーザービーム経路1014に沿って配置されたDMD1006を有する。サブシステム1041は画像1050bを提供する。
【0126】
各DMDはそれ自身のレーザー光源を有し、各DMDの像空間は、粉末層の表面上でタイル状とされ、チェッカー盤パターンの画像と画像のないエリアとを生成する。造形計画は、単一のDMD像空間を使用して個別の部品を造形するか、又はそれぞれの個別のDMD像空間を使用して複数のセクションを並列に造形することによってより大きな部品を造形するようにできる。
【0127】
粉末層上の指定可能な画像エリアを拡大するために、紙面奥行き方向に又は図示のシステムに隣接するように拡張する第2の、第3の、又は第4のシステムのセットを使用することができる。
【0128】
このシステムは、倒立像又は正立像の何れかを提供するレンズ構成を有することができる。
【0129】
例5
【0130】
本発明の実施形態は、可視レーザービーム、特に350nmから700nmの波長を有するレーザービームを、積層レーザー造形プロセス及び積層レーザー造形システムにおいて使用して、物品(例えば、構造体、装置、コンポーネント、部品、フィルム、立体形状物、など)を、出発粉末、ナノ粒子、粒子、ペレット、層、粉末層、噴霧粉末、液体、懸濁液、エマルジョン、並びにこれら及び3-Dプリンティング技術を含むレーザー積層造形技術において知られているか又は後に開発される他の出発材料の組み合わせ及び変形形態などの原材料から造形することに関連する。
【0131】
例6
【0132】
レーザー積層プロセスで原材料から物品を造形する実施形態においては、出発原材料に対して低い反射性、高い吸収性、及び好ましくはその両方を有する波長が使用される。特に、一実施形態においては、レーザービームの波長は、出発材料に基づいて、好ましくは約10%以上、約40%以上、約50%以上、及び約60%以上の吸収性、並びに10%から85%、10%から50%、及び約40%から約50%の範囲の吸収性を有するように予め決められる。特に、一実施形態においては、レーザービームの波長は、出発材料に基づいて、好ましくは約97%以下、約60%以下、及び約30%以下、並びに70%から20%の範囲、80%から30%の範囲、及び約75%から約25%の範囲、の反射性を有するように予め決められる。実施形態においては、これらの高い吸収性と低い反射性の組み合わせがあり得る。システム及びプロセスの好ましい実施形態においては、約400nmから約500nmの波長を有するレーザービーム又はビームを使用して、金、銅、真ちゅう、銀、アルミニウム、ニッケル、これらの金属の合金、並びに他の金属、非金属、材料、及びこれらの合金や組み合わせや変形例から成る出発材料から、物品を造形する。
【0133】
例7
【0134】
一実施形態においては、金、銅、真ちゅう、ニッケル、ニッケルめっきをした銅、ステンレス鋼、並びに他の材料、金属、非金属、及び合金から物品を積層造形するために、青色レーザー、例えば約380nmから約495nmの波長を使用することが好ましい。青色レーザービームは、室温でこれらの材料によってよく吸収され、例えば約50%を超える吸収性を有する。本発明の幾つかの利点のうちの一つは、レーザー操作中、例えば積層造形プロセス中に、レーザーエネルギーを材料によく結合させることができる青色レーザービームなどの予め選択された波長のレーザービームの能力である。レーザーエネルギーを物品に造形される材料によりよく結合させることにより、赤外レーザーで典型的に起きる暴走プロセスの可能性が大きく低減され、好ましくは排除される。レーザーエネルギーのよりよい結合によってより低い出力のレーザーを使用することが可能となり、これにより資本コストを節約することができ、又はマルチレーザーシステムをコスト効率の良いものとすることができる。よりよい結合はまた、より高い制御性、より高い耐性、よって造形物品のより高い再現性をもたらす。IRレーザー及びIRレーザー積層造形の工程には見られないこれらの特徴は、とりわけ、電子部品、マイクロ機械システム、医療用部品、エンジン部品、及び電力貯蔵の分野の製品にとって重要である。
【0135】
例8
【0136】
一実施形態においては、CWモードで動作する青色レーザーが使用される。CW動作は、レーザー出力を素早く変調して造形プロセスをフィードバックループで制御する能力で、抑制された表面粗さ、改善された多孔性、及び改善された電気的特性などの最適な機械的特性、並びに他の物理的及び美観的特性を備えた高い再現性を有するため、多くの積層造形用途において短パルスレーザーよりも好ましい。
【0137】
例9
【0138】
好ましくは、いくつかの実施形態においては、造形される物品の能動的監視が、物品の品質並びに積層造形プロセス及びシステムの効率を確認するために使用される。例えば、プリントされる部品の高い解像度の領域をレーザーが加工しているときに、表面の平均温度を監視するために温度カメラを使用し、またレーザー出力を低下又は増加させて溶接だまり及び部品の最終的な表面品質を改善するためにフィードバックループを使用することができる。同様に、焦点をぼかしてレーザービームを部品の低い解像度の大きな領域を通過させるときに、フィードバックループがより大きなレーザー出力を命令して平均温度を最適な加工温度に維持し、これにより部品をプリントする時間を大幅に低減させることができる。
【0139】
例10
【0140】
当該システムとともに使用可能なスキャナー及び光学部品の例には、高速モータに搭載されたミラー、回転するポリゴンミラー、又は高速ガルバノメーターが含まれる。高速モータの軸に取り付けられたミラーは、ミラーが360度に亘って回転されるときに、スキャンビームを生成する。モータの速度が速いほど、スキャンが速くなる。この手法の唯一の課題は、ミラーの後側がレーザービーム入射窓のそばを通るときにミラーがビームをもはや反射しなくなるとすぐに、レーザーを止めなければならないことである。高速ミラーはx軸又はy軸のいずれかのスキャンに使用することができ、いずれの軸が選ばれても、他方の軸をスキャンするミラーは、最初の軸での1回の完全なスキャンが完了する時間に比例した遅い速度でスキャンしなければならない。高速ステッピングモータをこの軸で使用して、ミラーを離散的幅で動かすようにして、第1軸のスキャンが完了する間は静止させるようにするのが好ましい。同様に、多面ミラー又はポリゴンミラーは、ビームがミラーの各面を横断するとスキャンが開始位置にリセットされるので、高いスキャン速度を可能とする高速スキャンの機能を実行するために使用することができる。これらのタイプのミラーは、スーパーマーケットのスキャナーで商品が通過するときに商品のバーコードをスキャンするために現在使用されている。主軸は、共振タイプ(resonant type)のモータでありビームの高速移動を生み出す連続周波数で振動する高速ガルバノメーターのタイプのミラーでスキャンされる。ガルバノメーターミラーを精密に所定の位置に位置決めして、第1軸及び第2軸がガルバノメーター駆動のミラーとされたシステムを両方のミラーを同時に動かすことによって、加工層のどの位置でも即座に指定可能であるベクトルモードとすることが可能である。ビームが自由空間を通ってガントリータイプのシステムに取り付けられたミラーにまで送られて、2次元モード、ラスターモード、又はベクトルモードで非常に高速に移動する「フライング光学(flying optic)」タイプの設計において、移動ステージ上に搭載されたミラーを組み合わせることも実現可能である。
【0141】
例11
【0142】
図11には、レーザーシステム及び方法の一実施形態が示されている。システム1100は、レーザービーム(光線軌跡1122で示されている)を第1のレーザービーム経路1122aに沿って提供するためのレーザー光源1101を有する。レーザービームは、レーザー光源1101を出て、コリメートレンズ1102を通過してデジタルミラーデバイス1103に入るビーム経路1122aに沿って伝播し、デジタルミラーデバイスは、レーザービームをレーザービームパターン(光線軌跡1123で示されている)でレーザービーム経路1123aに沿って集束レンズ1107に向け、そして集光したレーザービームパターン(光線軌跡1124で示す)をレーザービーム経路1124aに沿ってサンプル1108(例えば、金属粉末層、出発材料、出発粉末層、又は造形材料)にまでターゲット位置1109に向ける。ターゲットエリア1109に向かいその上を通るプロセスガス(例えば、アルゴンのような不活性ガス、)の流れも示されている。このようにして、システムは、デジタルミラーデバイス1103を使用し、デジタルミラーデバイスからターゲットに送られるレーザーパターンによって画定される体積形状で物体(例えば、銅部品のような金属物体)を造形するためにレーザーパターンを提供する。
【0143】
システムは、加熱レーザービーム(光線軌跡1133で示される)をレーザービーム経路1133aに沿って提供する加熱レーザー1105を有する。デジタルミラーデバイス1103を保持しているステージの動きは、矢印1104で示された方向である。
【0144】
例12A
【0145】
例12のシステムの実施形態において、レーザー光源1101は、表1及び表2のレーザーのうちの1つのレーザーのパラメータを有するレーザービームを提供する青色レーザーである。
【0146】
【0147】
【0148】
焦点レンズは100mmの焦点距離である。
【0149】
デジタルミラーデバイスはDMD又はMEMSである。一実施形態では、DMDは、可動ミラーのアレイを有し、1920×1080のピクセルに対応する。
【0150】
加熱レーザー1105は、表2のAO-150の特性を有するビームを提供する。
【0151】
例12B
【0152】
例12A又は12Bのシステムは、金属出発材料の粉末ベース1108から造形される物体の画像を記憶する。これらの画像は、順番に記憶され、ステージの動き1104に同期して再生される。金属粉末ベースを融合させて造形物体を形成することは、伝導モード溶接によるものである。レーザー1101のピーク出力は80Wであり、ステージ速度は5mm/秒であり、粉末層は100μmである。
【0153】
例13
【0154】
当該システムの実施形態は、大きな機械的動作なしでビームを操作する装置である。例えば、これらの実施形態は、物体を造形するためにスキャナーを含んでおらず、またそれを必要としない。よって、例えば、例1~12B及び14から18の実施形態は、大きな機械的なものではないシステムとすることができる。
【0155】
例14
【0156】
例1~13のシステム及び方法は、造形レーザービームが以下の波長のうちから選択された波長を有する:青色波長領域、400nm、約440nm、450nm、約450nm、460nm、約460nm、緑色波長領域、515nm、約515nm、532nm、約532nm、及び600nmから700nmの赤色波長領域。また、造形レーザービームは、本明細書で記載した、例えば出力、出力密度、繰り返し数などのビーム特性のうちの一つ以上を有する。
【0157】
例15
【0158】
図15の概略図を参照して、金属のための積層造形システム(1500)であって、加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源(1504);レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイス(1510)であって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路(1511)に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイス(1510);メモリ装置(1503)と制御通信接続(1530)され、GUI(1502)と制御通信接続(1531)され、前記デジタルミラーデバイス(1510)と制御通信接続(1533)され、前記レーザー光源(1504)と制御通信接続(1532)され、ステージ(1505)と制御通信接続(1534)された、制御システム(1501)、を備え、;前記メモリ装置が、造形される物体の全体画像の複数の画像セグメントを有し;前記ステージ(1505)が、モータ(1506)及び前記デジタルミラーデバイス(1510)を備え;前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路(1512)に沿ってターゲットエリア(1550)にまで所定のパターンで投射するようにされ、前記ターゲットエリアは粉末(1551)を有しており;前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み;前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動き(1570)と前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ;それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に前記加工用レーザービームを送達して、前記粉末から前記物体を造形するようにされた、金属のための積層造形システム(1500)。
【0159】
一実施形態においては、この例15の制御システム及び制御通信接続は、例1から14のシステムとともに使用される。
【0160】
例16
【0161】
金属のための積層造形システム(1500)であって、加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源(1504);レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイス(1510)であって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路(1511)に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイス(1510);メモリ装置(1503)と制御通信接続(1530)され、前記デジタルミラーデバイス(1510)と制御通信接続(1533)され、ステージ(1505)と制御通信接続(1534)された、制御システム(1501)と、を備え;前記メモリ装置が、造形される物体の全体の複数の画像セグメントを有し;前記ステージ(1505)が前記デジタルミラーデバイス(1510)を備え;前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路(1512)に沿ってターゲットエリア(1550)にまで所定のパターンで伝播させるようにされ;前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み;前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動き(1570)と前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ;それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像を提供する、金属のための積層造形システム(1500)。
【0162】
一実施形態においては、この例16の制御システム及び制御通信接続は例1から14のシステムとともに使用される。
【0163】
例17
【0164】
金属のための積層造形システム(1500)であって、加工用レーザービームを提供するためのレーザー光源(1504);レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイス(1510)であって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経路(1511)に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイス(1510);メモリ装置(1503)と制御通信接続(1530)され、前記デジタルミラーデバイス(1510)と制御通信接続(1533)され、ステージ(1505)と制御通信接続(1534)された、制御システム(1501)と、を備え;前記メモリ装置が、造形される物体の全体画像を画定する複数の画像セグメントを有し;前記ステージ(1505)が前記デジタルミラーデバイス(1510)を備え;前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経路(1512)に沿ってターゲットエリア(1550)にまで所定のパターンで伝播させるようにされ;前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み;前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動き(1570)と前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ;それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に前記加工用レーザービームを送達する、金属のための積層造形システム(1500)。
【0165】
一実施形態においては、この例17の制御システム及び制御通信接続は例1から14のシステムとともに使用される。
【0166】
例18
【0167】
例1-17のシステム及び方法では、レーザー光源は本明細書に開示されているレーザーの1つ以上である。
【0168】
本発明の実施形態の主題であるか又はそれに関連する新規で革新的な、プロセス、材料、性能、他の長所、及び特性の根底にある理論を提供したり又はそれに取り組んだりする必要はないことに留意されたい。それにもかかわらず、本明細書には、この領域の技術をさらに進めるためにさまざまな理論が提供されている。本明細書で出された理論は、明示的に記載されていなければ、請求項に記載された発明に与えられる保護範囲を全く限定も制限も狭めることもしない。これらの理論は、本発明を利用するために必要とされず又は実行されないかもしれない。本発明は、本発明の方法、物品、材料、装置、及びシステムの実施形態の機能的特徴を説明するために新規でこれまで知られていない理論を導いており、後に開発されるそのような理論は本発明に与えられる保護範囲を制限しないことを理解されたい。
【0169】
本明細書の表題の使用は、明確性を目的とするためであり、どのようなかたちでも限定していないことを理解されたい。よって、表題以下に記載されたプロセス及び開示はさまざまな例を含む本明細書の全体の文脈で読まれるべきである。本明細書の表題の使用は、本発明に与えられる保護範囲を限定するべきではない。
【0170】
本明細書に記載のシステム、機器、技術、方法、活動及び動作のさまざまな実施形態は、ここ記載されたものに加えてさまざまな他の活動や他の分野に対しても使用できる。とりわけ、本発明の実施形態は、特許公報第WO2014/179345、2016/0067780、2016/0067827、2016/0322777、2017/0343729、2017/0341180、及び2017/0341144の方法、装置、及びシステムとともに使用可能であり、それぞれの開示全体が参照によりここに含まれる。加えて、これらの実施形態は、例えば、将来開発されるかも知れない他の装置又は活動、及び部分的に本明細書の技術に基づいて改良される既存の装置又は活動に使用し得る。また、本明細書に記載された様々な実施形態は、相互に異なる様々な組み合わせで使用し得る。よって、例えば、本明細書の様々な実施形態に提供されている構成は、相互に使用し得る。例えば、A、A’及びBを有する実施形態のコンポーネントとA”、C及びDを有する実施形態のコンポーネントは、本明細書の教示に従って、様々な組み合わせ、例えば、A、C、D、及びAや、A”C及びDなど、とすることができる。よって、本発明に与えられる保護範囲は、特定の実施形態、例、又は特定の図の実施形態に記載された、特定の実施形態、構成、又は配置に限定されるべきではない。
【0171】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書で具体的に開示されたもの以外の形態で具体化することができる。説明された実施形態は、あらゆる点で、例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.加工用レーザービームを提供するためのレーザー光
源と、
b.
前記レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイ
スであって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経
路に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイ
スと、
c.メモリ装
置と制御通信接
続され、GU
Iと制御通信接
続され、前記デジタルミラーデバイ
スと制御通信接
続され、前記レーザー光
源と制御通信接
続され、ステー
ジと制御通信接
続された、制御システ
ムと、を備え、
d.前記メモリ装置が、造形される物体の全体画像の複数の画像セグメントを有し、
e.前記ステー
ジが、モー
タ及び前記デジタルミラーデバイ
スを備え、
f.前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経
路に沿ってターゲットエリ
アにまで所定のパターンで投射するようにされ、前記ターゲットエリアは粉
末を有しており、
g.前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み、
h.前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動
きと前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ、
i.それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に前記加工用レーザービームを送達して、前記粉末から前記物体を造形するようにされた、金属のための積層造形システ
ム。
【請求項2】
a.加工用レーザービームを提供するためのレーザー光
源と、
b.
前記レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイ
スであって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経
路に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイ
スと、
c.メモリ装
置と制御通信接
続され、前記デジタルミラーデバイ
スと制御通信接
続され、ステー
ジと制御通信接
続された、制御システ
ムと、を備え、
d.前記メモリ装置が、造形される物体の全体の複数の画像セグメントを有し、
e.前記ステー
ジが前記デジタルミラーデバイ
スを備え、
f.前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経
路に沿ってターゲットエリ
アにまで所定のパターンで伝播させるようにされ、
g.前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み、
h.前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動
きと前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ、
i.それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像を提供する、金属のための積層造形システ
ム。
【請求項3】
a.加工用レーザービームを提供するためのレーザー光
源と、
b.レーザー光源と光学連通するデジタルミラーデバイ
スであって、前記レーザー光源が前記加工用レーザービームを第1のレーザービーム経
路に沿って当該デジタルミラーデバイスにまで伝播させることができるようにされた、デジタルミラーデバイ
スと、
c.メモリ装
置と制御通信接
続され、前記デジタルミラーデバイ
スと制御通信接
続され、ステー
ジと制御通信接
続された、制御システ
ムと、を備え、
d.前記メモリ装置が、造形される物体の全体画像を画定する複数の画像セグメントを有し、
e.前記ステー
ジが前記デジタルミラーデバイ
スを備え、
f.前記デジタルミラーデバイスが、前記加工用レーザービームを第2のレーザービーム経
路に沿ってターゲットエリ
アにまで所定のパターンで伝播させるようにされ、
g.前記所定のパターンが前記画像セグメントを含み、
h.前記制御システムが命令を含み、前記命令が前記ステージの動
きと前記ターゲットエリアへの前記画像セグメントの投射を同期させるようにされ、
i.それにより、前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の画像に前記加工用レーザービームを送達する、金属のための積層造形システ
ム。
【請求項4】
前記制御システムがさらにGUIと制御通信接続している、請求項2又は3に記載の積層造形システム。
【請求項5】
前記制御システムがさらに前記レーザー光源と制御通信接続している、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項6】
前記ステージがモータを備える、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項7】
前記ターゲットエリアが粉末を有する、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項8】
前記粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項7に記載の積層造形システム。
【請求項9】
前記画像セグメントが前記ターゲットエリアに投射されて前記造形される物体の全体の前記画像に前記加工用レーザービームを送達し、それにより前記粉末から前記物体を造形するようにされた、請求項7又は8に記載の積層造形システム。
【請求項10】
前記パターンが当たることになる場所のみで前記粉末を加熱するための別個の補助レーザーをさらに備える、請求項1及び7乃至9のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項11】
前記デジタルミラーデバイスが、デジタルマイクロミラーデバイスと微小電気機械システムとからなる群から選択された、請求項
1乃至10のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項12】
前記加工用レーザービームが、300nm~800nmの範囲の波長を有する、請求項
1乃至11のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項13】
前記加工用レーザービームが、300nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項
1乃至12のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項14】
前記加工用レーザービームが、400nm~500nmの範囲の波長を有する、請求項
1乃至12のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項15】
前記加工用レーザービームが、500nm~600nmの範囲の波長を有する、請求項
1乃至12のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項16】
前記デジタルミラーデバイスが空冷式である、請求項
1乃至15のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項17】
前記デジタルミラーデバイスが
、マイクロチャネル冷却器、水熱交換器、及びペルチェ冷却器からなる群から選択された冷却装置によって冷却される、請求項
1乃至
15のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項18】
造形チャンバーと、前記造形チャンバーの温度を維持するための帯状輻射ヒーター
とをさらに備える、請求項
1乃至
17のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項19】
加熱された造形プレートをさらに備える、請求項
1乃至
18のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項20】
不活性雰囲気をさらに備える、請求項
1乃至
19のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項21】
前記所定のパターンが数kWの
出力密度を有する、請求項
1乃至
20のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項22】
大きな機械的動作なしでビームを操作するシステムである、請求項
1乃至
21のいずれか一項に記載の
積層造形システム。
【請求項23】
金属粉末から物体を造形するように請求項
1乃至
22のいずれか一項に記載の
積層造形システムを動作させる方法。
【請求項24】
前記金属粉末が、金、銀、白金、銅、アルミニウム、及びそれらの合金からなる群から選択される、請求項
23に記載の方法。
【国際調査報告】