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特表2023-511497耐火性の鋳型基材とレゾールとを含む物体を層状構造にするための方法、当該方法を用いて製造した3次元物体、及び3次元構造の物体のための結合剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】耐火性の鋳型基材とレゾールとを含む物体を層状構造にするための方法、当該方法を用いて製造した3次元物体、及び3次元構造の物体のための結合剤
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/02 20060101AFI20230313BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20230313BHJP
   B22C 1/22 20060101ALI20230313BHJP
   B22C 1/10 20060101ALI20230313BHJP
   B22C 9/12 20060101ALI20230313BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230313BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230313BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20230313BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230313BHJP
【FI】
B22C9/02 101Z
B22C1/00 B
B22C1/22 M
B22C1/22 B
B22C1/10 E
B22C9/12 J
B33Y70/00
B33Y10/00
B33Y40/20
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022537824
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 DE2020101080
(87)【国際公開番号】W WO2021121487
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019135605.9
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516319588
【氏名又は名称】アーエスカー ケミカルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ASK CHEMICALS GMBH
【住所又は居所原語表記】Reisholzstrasse 16-18, 40721 Hilden (DE)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス,デニス
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキー,アルカディウス
【テーマコード(参考)】
4E092
4E093
【Fターム(参考)】
4E092AA02
4E092AA03
4E092AA04
4E092AA26
4E092AA45
4E092AA46
4E092BA01
4E092BA04
4E092CA01
4E092CA02
4E092CA03
4E092DA01
4E093RC03
(57)【要約】
本開示の目的は、耐火性の鋳型基材と、フェノールに加えて、単量体の構成要素としてのオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールを有する、結合剤としてのレゾール樹脂とを含む物体を層状構造にするための方法であり、本方法によって製造された三次元物体であり、三次元に構成された物体、特に金属鋳造用の金型及び中子のための結合剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を層状構造にする方法であって、
(a)エステルを含浸した鋳型材料の混合物を取得すべく、1以上の耐火性の鋳型基材と、1以上のエステルとを収集する工程と、
(b)層厚が1~6粒、好適には1~5粒、特に好適には1~3粒である、前記エステルを含浸した鋳型材料の混合物の薄層を塗布する工程と、
(c)前記薄層の選択された領域を、前記領域を硬化させるアルカリ性のレゾール樹脂を含む結合剤で刷り込みを行う工程と、
(d)少なくとも部分的に硬化された三次元物体の仕上げのために、工程(b)及び工程(c)を複数回反復する工程と
を少なくとも含み、
アルカリ性の前記レゾール樹脂は、少なくともフェノール、並びに少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールでのホルムアルデヒドの転化により取得可能であり、
当該置換基は、1~15の炭素原子を有する脂肪族型、分岐型若しくは非分岐型、又は飽和型若しくは不飽和型の炭化水素ラジカルであり、前記フェノール(B)に対する前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:1.5~1:15(A:B)である
方法。
【請求項2】
前記フェノール(B)に対する、少なくとも前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:2~1:10、であり、好適には1:4~1:6である
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールの前記炭化水素ラジカルは、1又は数個のメチル基であり、
前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールは特に、o-クレゾール、p-クレゾール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、及びそれらの混合物、特にo-クレゾールを含む群から選択される
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(e1)少なくとも部分的に硬化された鋳造鋳型から、未結合の鋳型材料の混合物を除去する工程
を少なくとも更に含み、
選択的に、
(e2)炉において、あるいはマイクロ波によって、少なくとも部分的に硬化された前記三次元物体を事後硬化させる工程
を少なくとも更に含み、
工程(e1)、工程(e2)の順、又は工程(e2)、工程(e1)の順に、当該工程が行われる
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記耐火性の鋳型基材は、石英砂、ジルコンサンド、又はクロム鉱砂、カンラン石、バーミキュライト、ボーキサイト、シャモット、ガラスビード、ガラス顆粒、ケイ酸アルミニウムの中空マイクロビード、ムル石に基づく合成鋳型基材、及びそれらの混合物を含み、特に、粒子形状は、略円形であり、好適には、前記耐火性の鋳型基材に基づき、50重量パーセントを超える石英砂からなる
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
80重量パーセントを超え、好適には90重量パーセントを超え、特に好適には95重量パーセントを超える前記鋳型材料の混合物は、耐火性の鋳型基材である
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記耐火性の鋳型基材の平均粒径は、80μm~600μm、好適には100μm超~400μmであり、ふるい分析によって決定される
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
特に前記鋳型材料の混合物には、面積が、好適には1~200m/gであり、好適には1m/g以上かつ30m/g以下であり、特に好適には15m/g以下である非晶質二酸化ケイ素が更に添加され、前記面積はBETによって決定される
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記レゾール樹脂における、90モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、特に95モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、又は全てのヒドロキシ芳香族化合物は、それぞれフェノール並びにオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールであるか、あるいはその単量体の構成要素に基づくものである
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レゾール樹脂は、各々の場合において、耐火性の鋳型基材の重量に基づき、0.8~8重量パーセント、好適には1~7重量パーセント、特に好適には1.5~5重量パーセントの量で用いられる
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記物体は、COで遡及的に硬化される
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記鋳型材料の混合物は、水酸化アルカリを含む
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記レゾール樹脂は、アルカリ性の水溶液の形態で用いられ、好適には、固体含有量は20~75重量パーセントであり、かつ/あるいは、pH値は11を超え、特にpH値は12である(25℃で測定)
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エステルは、アルカリ加水分解が可能なエステル化合物又はリン酸エステル化合物である
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エステルは、ラクトン、有機カーボネート、並びに炭素数が1~10のモノカルボン酸及びポリカルボン酸と炭素数が1~10のモノアルコール及びポリアルコールとのエステル、好適には、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、二酢酸エチレングリコール、モノアセチン、ジアセチン、及びトリアセチン、並びに、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のジメチルエステルから選択され、それらの混合物を含む
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エステルは、
(a)各々の場合において、前記結合剤に基づき、5重量パーセント~50重量パーセント、好適には5重量パーセント~40重量パーセント、特に好適には5重量パーセント~30重量パーセントの量、及び/又は
(b)各々の場合において、前記鋳型基材に基づき、0.04重量パーセント~4.0重量パーセント、好適には0.05重量パーセント~3.5重量パーセント、特に好適には0.08重量パーセント~2.5重量パーセントの量
で用いられる
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記物体は、前記金属鋳造のための金型又は中子である
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記刷り込みは、複数の噴射口を有するプリントヘッドによって行われ、前記噴射口は、好適には独立して選択的に制御可能である
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プリントヘッドは、コンピュータによって制御される1以上の平面において少なくとも移動可能であり、前記噴射口は、液状の前記結合剤を層ごとに塗布する
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プリントヘッドは、バブルジェット技術又はピエゾ技術を含むドロップオンデマンド方式のプリントヘッドである
請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載により製造可能である
金属鋳造のための金型又は中子。
【請求項22】
アルカリ性のレゾール樹脂を含む結合剤であって、
アルカリ性の前記レゾール樹脂は、少なくともフェノール、並びに少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールでのホルムアルデヒドの転化から取得可能であり、
前記置換基は、1~15個の炭素原子、好適には1~4個の炭素原子を有する脂肪族型、分岐型若しくは非分岐型、又は飽和型若しくは不飽和型の炭化水素ラジカルであり、前記フェノール(B)に対する前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:1.5~1:15(A:B)である
結合剤。
【請求項23】
請求項2、3、9、及び13のいずれか一項により更に特徴づけられた
結合剤。
【請求項24】
前記結合剤の粘度は、3mPas~100mPasであり、好適には4mPas~50mPasであり、特に好適には5mPas~20mPasであり、前記粘度は、ブルックフィールド回転粘度計、番号21のスピンドルの補助により、100U/分及び25℃で決定される
請求項22又は23に記載の結合剤、及び請求項1~22のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐火性の鋳型基材と、単量体の構成要素としてオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールを有する結合剤としてのレゾール樹脂とを含む物体を層状構造にする方法、及び当該方法によって製造された三次元物体、並びに三次元的に構成された物体、特に金属鋳造用の金型及び中子のための結合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
層状構造によって三次元物体を製造するための様々な方法は、ラピッドプロトタイピングという名称で既知である。当該方法の利点は、アンダーカット及び中空空間を含む1つの部品からなる複雑な物体を製造する選択肢となることである。従来の方法を用いると、当該物体は、いくつかの別個に製造された部品から接合する必要がある。更なる利点は、当該方法は高度に自動化されており、鋳造工具がなくてもCADデータから直接的にコンピュータ制御された方法で、物体が製造できることにある。
【0003】
鋳型本体を層状に製造する方法は、多様な設計が知られている。当該設計によると、好適な鋳型基材、例えば、三次元物体を構成すべき石英砂の遊離粒は層状に塗布され、結合剤が設けられることによって硬化剤が層ごとに選択的に塗布されるか、あるいは、結合剤そのものが、各々の層に選択的に、例えば、各々の場合において、薄い噴射又は薄い噴射の束により、インクジェットプリンターの動作モードと同様に塗布されるかのいずれかである。硬化は、例えば鋳型基材に対応する硬化剤が提供された場合に、又は三次元物体の製造に必要である層の全てが仕上がった時点で、層において行うことができる。当該設計によると、硬化反応は例えば、ガス状の硬化剤で成分全体をフラッディングすることによってか、あるいは熱的に始動可能である。
【0004】
特許文献1には、耐火性の鋳型基材とレゾールとを含む物体を層状構造にする方法が開示されている。アルカリ性のレゾール樹脂は、エステルにより本方法の間に硬化され、鋳型基材と共に層状に塗布され、プリントヘッドを介して選択的に塗布される。
【0005】
レゾール又はレゾール樹脂はそれぞれ、フェノール樹脂であり、フェノールホルムアルデヒド樹脂の分類に属する。レゾール又はレゾール樹脂は、アルカリ性触媒の存在下で、ヒドロキシ芳香族化合物と、アルデヒド、特にホルムアルデヒドとの縮合によって製造される。アルカリ性のレゾール樹脂の製造には、ホルムアルデヒドとフェノールが単量体として通常用いられ、重縮合反応に供される。ホルムアルデヒドの分量は、大部分(例えば、最大2.5:1)が超化学量論的に用いられるため、エーテル基は更に、連結目的のために、メチル基に加えて形成される。
【0006】
フェノールに加えて、アルキルフェノール、例えばキシレノール又はクレゾールが、レゾールの製造用の単量体の構成要素として更に用いられうることは、当業者に既知である。しかしながら、鋳造鋳型及び中子の製造用の結合剤としてのアルカリ水溶液の形態におけるレゾールは、値段及び臭気について不利な効果を奏するため、追加の単量体の構成要素として、クレゾールと共に通常は用いられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第3137246号明細書
【特許文献2】欧州特許第0323096号明細書
【特許文献3】欧州特許第1228128号明細書
【特許文献4】米国特許第4426467号明細書
【特許文献5】米国特許第4474904号明細書
【特許文献6】米国特許第5405881号明細書
【特許文献7】米国特許第4988745号明細書
【特許文献8】米国特許第5424376号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第102007045649号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第102012020509号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第102012020510号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第102012020511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フェノールを用いる場合、アルカリ性のレゾール樹脂の粘度が経時的に強く上昇するため、結合剤のプリント適性が経時的に低下するという課題が生じることが示されている。特に粘度の増加により、プリントヘッドの故障点まで、プリントヘッドを通るレゾール樹脂の流量の低下が生じる。更には、レゾール樹脂の反応性が経時的に増加するという課題が生じる。反応性の増加により、結合した鋳造鋳型の安定性の水準の低下が生じる。反応性の増加は、特にゲル化時間の短縮に顕在化する。反応性の増加及び粘度の上昇は印刷プロセスの均一性に悪影響を及ぼし、印刷プロセス中の経時的なレゾール樹脂の安定性を低下させる。
【0009】
本開示の目的は、更に貯蔵安定性のレゾール樹脂を提供することであり、レゾール樹脂の粘度は更に経時的に安定となり、ゲル化時間の低下が更に小さくなるため、レゾール樹脂からなる結合剤の長期間にわたるプリント適性を確保する。当該結合剤は、結合された鋳造鋳型の十分な安定性を更に達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、請求項1の特徴を備える物体を層状構造にする方法又は請求項22に記載の結合剤によって解決することであり、更なる有効な発展形態は、従属請求項の主題であるか、あるいは以降に説明される。
【0011】
物体を層状構造にする方法は、
(a)エステルを含浸する鋳型材料の混合物を取得すべく、1以上の耐火性の鋳型基材と、1以上のエステルとを収集する工程と、
(b)層厚が1~6粒、好適には1~5粒、特に好適には1~3粒である、薄層を、エステルを含浸する鋳型材料の混合物に塗布する工程と、
(c)薄層の選択された領域を、領域を硬化させるアルカリ性のレゾール樹脂を含む結合剤で刷り込みを行う工程と、
(d)少なくとも部分的に硬化された三次元物体の仕上げのために、工程(b)及び工程(c)を複数回反復する工程と
を含み、アルカリ性のレゾール樹脂は、少なくともフェノール、並びに少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールでのホルムアルデヒドの転化により取得可能であり、
置換基(それぞれの場合における)は、1~15個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する脂肪族型、分岐型若しくは非分岐型、飽和型又は不飽和型の炭化水素ラジカルであり、フェノール(B)に対する少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:1.5~1:15(A:B)である。
【0012】
金属鋳造のための金型及び中子を3次元的に構築するための結合剤は、1以上のアルカリ性のレゾール樹脂を含み(特に、当該レゾール樹脂からなり)、少なくとも
a.フェノール、並びに
b.少なくとも、オルト位及び/又はパラ位に1以上の置換基、好適には1つの置換基を有するフェノール
の転化によって取得可能であり、置換基は、各々の場合において(選択的に異なる)、1~15個の炭素原子を有する脂肪族型、分枝型若しくは非分枝型、又は飽和型若しくは不飽和型の炭化水素ラジカルであり、
残存する位置(それぞれ、2、4、6、又はオルト/パラ)のうちの1つ又は2つに、水素への結合ではない、レゾールの更なる構造単位への結合が存在し、
c.ホルムアルデヒド
を含んでいる。
【0013】
重合体は、少なくともフェノール及び置換型のフェノール(オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール)を含むフェノールの中核部分を、メチレン基及び/又はエーテル架橋(-CH-OOOA-)を介して連結し、上述のように生成される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
鋳造鋳型の製造のための耐火性の鋳型基材(以降では、鋳型基材と略記する場合がある)としては、従来の材料かつ公知の材料を用いることができる。好適なものとしては、例えば、石英砂、ジルコンサンド、又はクロム鉱砂、カンラン石、バーミキュライト、ボーキサイト、シャモット、及び例えばムル石(焼結されたムル石)に基づく合成鋳型基材があり、特に、耐火性の鋳型基材に基づく50重量パーセントを超える石英砂が好適である。鋳型基材は、融点(融解温度)の高い物質であると理解される。耐火性の鋳型基材の融点は、好適には600℃を超え、好適には900℃を超え、特に好適には1200℃を超え、特に好適には1500℃を超える。耐火性の鋳型基材は、自由流動状態を有する。
【0015】
鋳型基材は、好適には80重量パーセントを超え、特に90重量パーセントを超え、特に好適には95重量パーセントを超えて、鋳型材料の混合物を占有する。
【0016】
耐火性の鋳型基材の平均径は、通常、80μm~600μm、好適には100μm~400μm、特に好適には120μm~300μmである。粒径は例えば、DIN ISO3310による、ふるい分けによって決定できる。最大長さの範囲と最小長さの範囲(互いに直角であり、各々の場合において、空間の全方向に対する)との比が1:1~1:5又は1:1~1:3である粒子形状、すなわち、例えば、繊維状ではないものが特に好適である。
【0017】
特別なクロマイト砂は特に好適であり、Oregon Resources社(ORC)によって,「Spherichrome」という名称で販売されている。欧州においては、Spherichromeは、リューベック市のPossehl Erzkontor社によって販売されている。Spherichromは、粒子形状について現在既知の南アフリカのクロム鉱砂と異なる。後者とは対照的に、Spherichromeの粒子は、大部分が円形である。好適な実施形態によると、Spherichromは、鋳型基材の100重量パーセントを占有する必要はなく、他の鋳型基材、特に石英砂との混合物は更に可能である。混合比によって、鋳造鋳型のそれぞれの歪みが決まる。しかしながら、後者は一般的には、石英砂を用いる場合、20重量パーセント以上、好適には40重量パーセント以上、特に好適には60重量パーセント以上のSpherichromを含有すべきである。上述とは別に、Spherichromの鋳型基材の粒子形状は、最大長さの範囲と最小長さの範囲(互いに直角であり、各々の場合において、空間の全方向に対する)との比(平均値)が、特に1:1~1:3、特に好適には1:1~1:3となる。
【0018】
結合剤は、アルカリ性のレゾール樹脂からなる。本開示によるレゾール樹脂は、アルカリ性触媒の存在下において、少なくともフェノール、オルト型の置換型のフェノール、又はパラ置換型のフェノール、及びホルムアルデヒドの縮合によって生成される。
【0019】
本開示の一実施形態によると、レゾールはアルカリ水溶液の形態で存在し、好適には、固体含有量が20~75重量パーセントであり好適には、pHが11を超え、特に好適には、12を超える(25℃で測定)。
【0020】
レゾール樹脂は、鋳型基材に基づいて、それぞれ0.8重量パーセント~8重量パーセント、好適には1~7重量パーセント、特に好適には1.5~5重量パーセントの濃度で有効に用いられる。上述により、結合剤の濃度は、鋳造鋳型において変化させることができる。更に厚い金型の部分領域の場合は、結合剤の比率が実際には上述よりも小さくできるが、薄く複雑な部分では、結合剤の含有量は、上述の限界値を超過できる。
【0021】
本開示に関するレゾールは、芳香族化合物であり、メチレン基(-CH-)基を介して、及び/又はエーテル架橋(特に-CH-OOOA-)を介して相互に結合し、各々の場合において、1以上の-OH基を有する(ヒドロキシ芳香族化合物)。
【0022】
オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールは、オルト位及び/又はパラ位(2、4、6)のフェノールに基づいて、好適にはオルト位に基づいて、1~15個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する1以上の脂肪族型、分枝型若しくは非分枝型、飽和型又は不飽和型の炭化水素ラジカルで置換され、最大で2個の遊離基/置換基を有する化合物であると理解される。脂肪族ラジカルは、好適には非分岐型かつ飽和型である。特に好適には、置換型のフェノールは、オルトクレゾール又はパラクレゾール、更に好適にはオルトクレゾールである。
【0023】
少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールの炭化水素ラジカルは、特に1つ又は数個のメチル基であり、オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールは特に、例えば、o-クレゾール、p-クレゾール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、及びそれらの混合物、特にo-クレゾールを含む群から選択される。オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールは、更にメタ置換型にできる。
【0024】
特に、レゾール樹脂において、90モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、特に95モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、又は全てのヒドロキシ芳香族化合物は、それぞれフェノール並びにオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールであるか、又はその単量体の構成要素に基づくものである。
【0025】
ホルムアルデヒドは、様々な形態、例えばホルマリン溶液(ホルムアルデヒドの水溶液)又はパラホルムアルデヒドの形態で用いることができる。実質的には、ホルムアルデヒドのみが、好適にはアルデヒドとして用いられる。
【0026】
驚くべきことに、レゾールが少なくともフェノール及びオルト置換型又はパラ置換型のフェノールから生成された場合、アルカリ性のレゾール樹脂の貯蔵又は粘度及び反応安定性を顕著に増加できることが示された。上述により、オルト置換型又はパラ置換型のフェノールに対するフェノールの特定の比は、一方では結合剤によって結合された鋳造鋳型の十分な安定性の水準を実現し、他方では、結合剤の貯蔵安定性の増大を確保するために必要となる。
【0027】
アルカリ性のレゾール樹脂における、フェノール(B)に対するオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(総合)(A)のモル比は、1:1.5(A:B)~1:15であり、好適には1:2~1:10であり、特に好適には1:4~1:6である。
【0028】
ヒドロキシ芳香族化合物のホルムアルデヒドに対するモル比は、1:1~1:3の間で変えることができるが、好適には1:1.2~1:2.6の間、特に好適には1:1.3~1:2.5の間である。
【0029】
ヒドロキシ芳香族化合物は、好適にはフェノール、オルト置換型フェノール、パラ置換型フェノール、及びオルト置換型及びパラ置換型のフェノール、すなわちオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールによって本質的に排他的に形成される。
【0030】
上述のレゾールは、アルカリ性のレゾール樹脂の一部として好適であり、近くのヒドロキシ芳香族化合物はそれぞれ、メチレン架橋及び/又はエーテル架橋を介して(導入されたフェノール/芳香族の水酸基に対して)オルト位及び/又はパラ位に連結され、すなわち、複数の連結はパラ位及び/又はオルト位で生じる。
【0031】
アミン又はアンモニウム化合物などの有機塩基、及び水酸化アルカリ金属などの無機塩基は、アルカリ性触媒として用いることができる。水酸化アルカリ金属、特に好適には水溶液の形態の水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムは好適に用いられる。アルカリ性触媒の混合物は、同様に用いることができる。
【0032】
結合剤系におけるヒドロキシ芳香族化合物(例えば、フェノール、同様に導入される)と水酸化物イオンとのモル比は、好適には1:0.4~1:1.2であり、好適には1:0.5~1:1.0である。
【0033】
塩基の量全体は、縮合の開始時に事前に添加されている必要はなく、通常、2回又は数回の副工程で添加を行うことによって、一部は製造工程の終わりにのみ添加できる。
【0034】
レゾール樹脂における、分子量が5000ダルトン(g/mol)を超える化合物の含有量は、好適には最大3重量パーセントであり、特に好適には最大1重量パーセントである。
【0035】
レゾール樹脂の平均分子量(重量平均)は、特に1500ダルトン(g/mol)未満であり、好適には1400ダルトン(g/mol)未満であり、特に好適には1300ダルトン(g/mol)未満である。
【0036】
レゾール樹脂の多分散性D=Mw(重量平均)/Mn(数平均)は、特に1.1~4であり、好適には1.2~3.5であり、特に好適には1.5~3である。
【0037】
特定の分子量は、ゲル透過クロマトグラフィによって決定した。較正のため、上述の分子量は、プルラン-デキストランに等価な分子量となる。以下のパラメータを用いた。
【0038】
溶出液:0.5MのKOH
プレカラム:PSSMCX、5μm、ガードカラム、ID 8.0mmx50mm
カラム:PSSMCX、5μm、500Å、ID 8.0mmx300mm
ポンプ:PSS SECcurity 1260 HPLCポンプ
流量:5mL/min
注入システム:PSS SECcurity 1260 オートサンプラ
(20μL)
試料濃度:1g/l
温度:注入量 35℃
検出装置:PSS SECcurity 1260 UV/VIS(254nm)
評価:PSS WinGC UniChrom バージョン8.31
較正:プルラン-デキストランの分子量基準
(Mp 180~45900ダルトン)
【0039】
レゾールの製造は例えば、特許文献2及び特許文献3に開示されている。更に、レゾール系結合剤は、例えば、特許文献4及び特許文献5に記載されている。3つの特許では、エステルの補助でレゾールを硬化させ、硬化は液体硬化剤、例えばラクトン(特許文献4)又はトリアセチン(特許文献5)をそれぞれ添加することによって行われる。
【0040】
既述した成分に加えて、レゾールは、組成物の重量に基づいて、好適には25重量パーセント~75重量パーセントの量の水分を含む。一方では、水は、結合剤製造に用いられる水溶液(重縮合によって生成される水以外)に由来しうるが、他方では、結合剤に別個に添加できる。
【0041】
溶媒としての機能に加えて、水は、例えば、特に3mPas~100mPas、好適には4mPas~50mPas、特に好適には5mPas~20mPasの塗布向きの粘度を結合剤に与える目的で供される。粘度は、ブルックフィールド回転粘度計、小さな試料、番号21のスピンドルを用いて、100U/分及び25℃で測定する。
【0042】
結合剤は更に、最大約50重量パーセントの添加剤、例えば、アルコール,グリコール,界面活性剤、及びシランを含むことができる。上述の添加剤の補助により、鋳型材料料の湿潤性は例えば、鋳型材料上の結合剤及びその接着によって増加させることができ、更には、安定性の改善及び耐湿性の増加に導くことができる。上述について、シラン、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン又はγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、各々の場合において、組成物の重量に基づいて、0.1重量パーセント~1.5重量パーセント、好適には0.2重量パーセント~1.3重量パーセント、特に好適には0.2~1.0重量パーセント添加することは、特に有効な効果を奏する。
【0043】
レゾールの硬化に好適なエステル(以降では、硬化剤と称される場合がある)は、例えば、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6から当業者に公知である。多くの場合、ラクトン、有機カーボネート、並びに炭素数が1~10のモノカルボン酸及びポリカルボン酸と炭素数が1~10のモノアルコール及びポリアルコールとのエステルを含む。
【0044】
γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、二酢酸エチレングリコール、モノアセチン、ジアセチン、及びトリアセチン、並びにコハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のジメチルエステル(DBEの名称で既知のそれらの混合物を含む)が、当該エステル又は硬化剤の好適な例である。個々のエステルのアルカリ加水分解の速度が異なるため、レゾールの硬化速度は、用いるエステルに応じて異なる速度で行うが、これも安定性に影響を及ぼしうる。2種又は数種のエステルを混合することによって、所望の硬化時間を広い範囲で変化させることができる。
【0045】
エステル成分の改良の選択肢は、エステル成分に基づいて、特許文献7によるベンジルエステル樹脂、特許文献6によるエポキシ化合物及び/又は特許文献8によるポリフェノール樹脂を、各々の場合において、最大約40重量パーセントの量で添加することである。
【0046】
エステル成分は更に、約50重量パーセントまでの更なる成分、例えば、アルコール,グリコール,界面活性剤、及びシランを含有することができ、これらは結合剤の中ですでに言及されている。
【0047】
硬化剤の添加量は、通常、5重量パーセント~50重量パーセント、好適には5重量パーセント~40重量パーセント、特に好適には5重量パーセント~30重量パーセントであり、各々の場合において、鋳型基材に基づき、0.04重量パーセント~4.0重量パーセント、好適には0.05重量パーセント~3.5重量パーセント、特に好適には0.08重量パーセント~2.5重量パーセントの濃度で用いられる。
【0048】
更なる実施形態によると、鋳型材料の混合物は、一部の非晶質SiOを含むことができる。特に、粒子状の非晶質SiOである。合成的に製造された粒状の非晶質二酸化ケイ素は、特に好適である。
【0049】
非晶質SiOは、特に以下の種類にできる。
(a)ケイ酸アルカリ溶液から沈殿によって得られる非晶質SiO
(b)SiClの火炎加水分解によって得られる非晶質SiO
(c)石英砂をコークス又は無煙炭で一酸化ケイ素に還元して、次いでSiOに酸化することによって得られる非晶質SiO
(d)SiO及びZrOへのZrSiOの熱分解の過程で得られる非晶質SiO
(e)酸素含有気体による金属Siの酸化によって得られる非晶質SiO
(f)結晶石英の溶融後の急速冷却によって得られる非晶質SiO
【0050】
上述の(c)は、非晶質SiOが主生成物として特異的に生成される場合、並びに、例えばケイ素又はケイ素鉄の生成などの副生成物として生成される場合の処理を含む。
【0051】
合成して製造されたシリカ、及び自然発生するシリカは、非晶質SiOとして用いることができる。後者は例えば特許文献9で既知であるが、一般的には、相当な結晶部分を含み、発癌性があると分類されるため好適ではない。
【0052】
合成物は、自然発生する非晶質SiOではないと理解され、言い換えると、合成物の製造は、ヒトによって開始されるような意図的に実施された化学反応、例えばケイ酸アルカリ溶液からのイオン交換工程によるシリカゾルの製造、ケイ酸アルカリ溶液からの沈殿、四塩化ケイ素の火炎加水分解、ケイ素鉄及びケイ素の製造中の電気アーク炉における石英砂のコークスによる還元を含む。最後に述べた2つの方法によって製造された非晶質SiOは、焼成SiOと称される。
【0053】
合成した非晶質二酸化ケイ素は、単なる沈降シリカ(CAS番号112926-00-8)及び火炎加水分解生成SiO(焼成シリカ,フュームドシリカ、CAS番号112945-52-5)であると場合によっては理解されるが、ケイ素鉄又はケイ素の製造の間に生成される生成物は、各々が、単に非晶質二酸化ケイ素と称される(シリカフューム,マイクロシリカ、CAS番号69012-64-12)。本開示の目的においては、ケイ素鉄又はケイ素製造中に製造された生成物も更に、非晶質SiOであると理解される。
【0054】
沈降シリカ及び焼成シリカ、すなわち火炎加水分解又は電気アークで生成された二酸化ケイ素が、好適には用いられる。ZrSiOの熱分解によって製造される非晶質二酸化ケイ素(特許文献10に記載)、及び酸素含有気体によって金属Siを酸化することにより製造されるSiO(特許文献11に記載)は、特に好適に用いられる。更に、結晶石英からの溶融及び急速再冷却により製造された石英ガラス粉末(主に非晶質二酸化ケイ素)は、粒子が球状であり、細片の状態ではないため好適である(特許文献12に記載)。
【0055】
粒子状の非晶質二酸化ケイ素の平均一次粒径は、0.05μm~10μmにでき、特に0.1μm~5μmにでき、特に好適には0.1μm~2μmにできる。一次粒径は例えば、動的光散乱(例えば、Horiba LA950)の補助により決定でき、走査型電子顕微鏡の画像(例えば、FEI社のNova NanoSEM 230によるSEM画像)によって検証できる。
【0056】
SEM画像の補助があれば、最大0.01μmの大きさの一次粒子形態の細部は、更に可視できる。二酸化ケイ素の試料はSEM測定のために蒸留水に分散させ、次いでアルミニウム製のホルダに塗布し、銅ストリップを適用した後、水分を蒸発させた。
【0057】
粒子状の非晶質二酸化ケイ素の比表面積は、DIN66131による気体吸着測定(BET法)の補助により更に測定された。粒子状の非晶質SiOの比表面積は、1~200m/gであり、特に1~50m/gであり、特に好適には17m/g未満であり、又は更に15m/g未満である。生成物は例えば、特定の粒径分布を有する混合物を特異的に得るために、選択的に混合できる。
【0058】
粒子状の非晶質SiOは、様々な量の副生成物を含みうる。以下は、例示的に述べる。
・石英砂をコークス又は無煙炭で還元する際の炭素
・ケイ素又はケイ素鉄の製造の際の酸化鉄及び/又はケイ素
・ZrSiOをZrO又はSiOへ熱分解する際のZrO
更なる副生成物は例えば、Al、P、HfO、TiO、CaO、NaO、及びKOがなりうる。
【0059】
本開示による鋳型材料の混合物に添加される非晶質SiOの量は、各々の場合において、鋳型基材に基づいて、0.05重量パーセントから3重量パーセントの間、好適には0.1重量パーセントから2.5重量パーセントの間、特に好適には0.1重量パーセントから2重量パーセントの間である。
【0060】
非晶質SiOの鋳型基材への添加は、水中の懸濁液として、又は乾燥粉末として、水性ペーストの形態で行うことができる。したがって、後者が好適である。粒子状の非晶質SiOは、粉末(粉塵を含む)として用いることが好適である。本開示により好適に用いられる粒子状の非晶質二酸化ケイ素の含水量は、15重量パーセント未満であり、特に5重量パーセント未満であり、特に好適には1重量パーセント未満である。
【0061】
非晶質SiOは、好適には粒子状態にある。粒子状の非晶質二酸化ケイ素の粒径は、好適には300μm未満であり、好適には200μm未満であり、特に好適には100μm未満であり、例えば、0.05μm~10μmの平均一次粒径(動的光散乱によって決定される一次粒径)を有する。
【0062】
125μm(120メッシュ)のメッシュ幅のふるいを通過するときの粒子状非晶質SiOのふるい残渣は、好適には10重量パーセント以下であり、特に好適には5重量パーセント以下であり、最も好適には2重量パーセント以下である。上述とは別に、63μmのメッシュ幅のふるい上のふるい残渣は、10重量パーセント未満であり、好適には8重量パーセント未満である。ふるい残渣の測定は、DIN66165(第2部)に記載の装置のふるい分け法によって行われ、チェーンリングがふるい補助材として更に用いられる。
【0063】
結合剤及び/又は鋳型基材への非晶質SiOの添加の順序は、無関係である。添加は、結合剤の前後又は結合剤と同時に行うことができる。好適には、非晶質SiOの添加は、最初に行われ、次いで結合剤の添加が行われる。
【0064】
更に、鋳造産業において一般的な更なる添加剤、例えば、粉砕木材繊維又は鉱物添加剤、例えば、酸化鉄などを、選択的に鋳型基材物と混合でき、割合は、鋳型基材に基づいて、通常は0重量パーセント~6重量パーセントであり、好適には0重量パーセント~5重量パーセントであり、特に好適には0重量パーセント~4重量パーセントである。
【0065】
本開示は、鋳造鋳型又は中子(又は一般的に物体)を製造するための方法であって
(a)鋳型材料の混合物を取得すべく、耐火性の鋳型基材を、エステル成分と、選択的に無機質の添加剤と、選択的に更なる添加剤と混合する工程と、
(b)層厚が1~約6、好適には1~約5、特に好適には1~3粒である、工程(a)で製造された鋳型材料の混合物の薄層を、規定された加工面に塗布する工程と、
(c)鋳型材料の混合物の前記薄層を、CADデータによって特定された位置で、前記結合剤で選択的に刷り込みをする工程であって、結合剤は、エステルとの接触によって少なくとも部分的に硬化する工程と、
(d)鋳型が仕上がるまで工程(b)及び(c)を複数回反復する工程と、
(e1)炉において、あるいはマイクロ波によって、少なくとも部分的に硬化された鋳型を、未結合の鋳型材料の混合物を事前に除去ことなく、事後硬化させる工程と、工程(e1)と代替的に、
(e2)少なくとも部分的に硬化された鋳型から、未結合の成型材混合物を除去する工程と
を含む。
【0066】
安定性が認められれば即時に、工程(e1)に続いて、未結合の鋳型材料の混合物を鋳造鋳型から除去ができ、鋳造鋳型を更なる処理、例えば金属鋳造の調製に供給できる。
【0067】
工程(e2)に続き、鋳造鋳型は、必要に応じて、増大した温度での貯蔵のような従来の手段によって、又はマイクロ波によって、事後硬化できる。安定性が認められれば即時に、鋳造鋳型を更なる処理、例えば金属鋳造の調製に供給できる。
【0068】
双方の代替例においては、未結合の鋳型材料の混合物は、少なくとも部分的に硬化された鋳造鋳型から除去された後に、更なる鋳造鋳型に供給できる。
【0069】
本開示は、以下の実施例に基づいて更に詳細に説明されるが、それに限定されるものではない。
【0070】
種々の含有量のフェノールとo‐クレゾールとを含むアルカリ性のレゾール樹脂は、最初に製造された。安定性、貯蔵安定性、及び反応性への影響をより明確に強調するために、アルカリ性のレゾール樹脂は、40~60mPasの粘度の範囲に設定した。ラピッドプロトタイピング(3Dプリンティング)を用いるために、レゾールは、好適な溶媒、例えばエタノール及び水分により、5~20mPasの使用粘度に設定できる。
【0071】
レゾールにおけるo-クレゾールの割合の影響は、従来の試験物、いわゆるGeorg-Fischerの試験棒に基づいて、安定性に関して後に試験した。
【0072】
貯蔵安定性及び反応性におけるレゾール中のo‐クレゾールのパー割合の影響は、粘度測定及びゲル化時間測定に基づいて、貯蔵サイクルについて試験した。
【0073】
[試験例]
1.レゾール樹脂の製造
樹脂1は、ヒドロキシ芳香族化合物の単量体の構成要素としてフェノールのみを含んでいた。
【0074】
樹脂2~6は、フェノール及びo-クレゾールの総量に基づいて、12~51重量パーセントのo-クレゾールを含んだ。
【0075】
[実施例1]樹脂1
調合物は以下のとおりである。
【0076】
【表1】
【0077】
[製造の仕様]
・原料1、2、及び3は、実験室の反応器の還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び撹拌機に装填した
・撹拌機を始動し、以降の工程の間に更なる攪拌を行った
・調製物は、75℃に加熱した
・原料4は、75℃で連続的に装填した
・調製物は、85℃に加熱し、2時間保持した
・調製物は、70℃に冷却し、1.5時間保持した
・原料5は、30℃未満の温度で連続的に装填した
・原料6は装填し、15分間均質化した
【0078】
樹脂は、透明な溶液として得られ、49mPasの粘度(ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドル、100U/分及び25℃)であった。
【0079】
[実施例2]樹脂2
調合物は以下のとおりである。
【0080】
【表2】
【0081】
[製造の仕様]
・原料1、2、3、及び4は、実験室の反応器の還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び撹拌機に装填した
・撹拌機を始動し、次の工程の間に更なる攪拌を行った
・調製物は、75℃に加熱した
・原料5は、75℃で連続的に装填した
・調製物は、85℃に加熱し、1.75時間保持した
・調製物は、70℃に冷却し、2時間保持した
・原料6は、30℃未満の温度で連続的に装填した
・原料7は、装填し、15分間均質化した
【0082】
樹脂は、透明な溶液として得られ、47mPasの粘度(ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドル、100U/分及び25℃)であった。
【0083】
[実施例3]樹脂3
調合物は以下のとおりである。
【0084】
【表3】
【0085】
[製造の仕様]
・原料1、2、3、及び4は、実験室の反応器の還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び撹拌機に装填した
・撹拌機を始動し、次の工程の間に更なる攪拌を行った
・調製物は、75℃に加熱した
・原料5は、75℃で連続的に装填した
・調製物は、85℃に加熱し、1.5時間保持した
・調製物は、70℃に冷却し、原料6は、連続的に装填した
・調製物は、80℃に加熱し、1時間保持した
・調製物は、30℃未満の温度に冷却した
・原料7は、装填し、15分間均質化した
【0086】
樹脂は、透明な溶液として得られ、51mPasの粘度(ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドル、100U/分及び25℃)であった。
【0087】
[実施例4]樹脂4
調合物は以下のとおりである。
【0088】
【表4】
【0089】
[製造の仕様]
・原料1、2、3、及び4は、実験室の反応器の還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び撹拌機に装填した
・撹拌機を始動し、次の工程の間に更なる攪拌を行った
・調製物は、75℃に加熱した
・原料5は、75℃で連続的に装填した
・調製物は、85℃に加熱し、1.75時間保持した
・調製物は、70℃に冷却し、原料6は、連続的に装填した
・調製物は、80℃に加熱し、1.5時間保持した
・調製物は、30℃未満の温度に冷却した
・原料7は、装填し、15分間均質化した
【0090】
樹脂は、透明な溶液として得られ、51mPasの粘度(ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドル、100U/分及び25℃)であった。
【0091】
[実施例5]樹脂5
調合物は以下のとおりである。
【0092】
【表5】
【0093】
[製造の仕様]
・原料1、2、3、及び4は、実験室の反応器の還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び撹拌機に装填した
・撹拌機を始動し、次の工程の間に更なる攪拌を行った
・調製物は、75℃に加熱した
・原料5は、75℃で連続的に装填した
・調製物は、85℃に加熱し、1.25時間保持した
・調製物は、70℃に冷却し、原料6は、連続的に装填した
・調製物は、80℃に加熱し、1時間保持した
・調製物は、30℃未満の温度に冷却した
・原料7は、装填し、15分間均質化した
【0094】
樹脂は、透明な溶液として得られ、51mPasの粘度(ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドル、100U/分及び25℃)であった。
【0095】
[実施例6]樹脂6
調合物は以下のとおりである。
【0096】
【表6】
【0097】
[製造の仕様]
・原料1、2、3、及び4は、実験室の反応器の還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び撹拌機に装填した
・撹拌機を始動し、次の工程の間に更なる攪拌を行った
・調製物は、75℃に加熱した
・原料5は、75℃で連続的に装填した
・調製物は、85℃に加熱し、1.25時間保持した
・調製物は、70℃に冷却し、原料6は、連続的に装填した
・調製物は、80℃に加熱し、0.5時間保持した
・調製物は、30℃未満の温度に冷却した
・原料7は、装填し、15分間均質化した
【0098】
樹脂は、透明な溶液として得られ、51mPasの粘度(ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドル、100U/分及び25℃)であった。
【0099】
2.試験物の生成
2.1 鋳型材料の混合物の製造
鋳型材料は、Beba(L7型)製の撹拌機のボウルに充填した。攪拌により、硬化剤を最初に添加し、次いで結合剤を添加し、各々の場合において、1分間、鋳型基材と集中的に混合した。
【0100】
鋳型基材、硬化剤、及び結合剤の種類、並びに各々の添加量は、表7に列挙されている。
【0101】
【表7】
(a)H32:Haltern Quarzwerke社の石英砂
(b)触媒5090(ASK Chemicals社)トリアセチン
(c)GT=重量部
【0102】
2.2 試験片の生成
寸法が172mm×22.36mm×22.36mmの立方体形状の試験棒(いわゆるGeorg-Fischer棒)を、物体を試験するために生成した。2.1により生成した混合物の一部は、彫り込みを有する鋳造工具12に導入し、振動テーブル(Morek社、マルチソー型LUZ-2e)での振動によって圧縮し、離型時間が終了した後に鋳造工具から除去した。
【0103】
処理時間(VZ)、すなわち混合物を問題なく圧縮できる時間を視覚的に決定した。混合物は自由に流れるのではなく、土塊状に巻き取られるという点で、処理時間の超過が認識されうる。個々の混合物の処理時間は、表8に規定されている。
【0104】
離型時間(AZ)を決定するために、すなわち、混合物が鋳造工具から除去できる程度に凝固した後、各々の混合物の第2部分を、高さ100mm及び径100mmの丸型に手で充填し、押板によって圧縮した。
【0105】
続いて、圧縮した混合物の表面硬度を、Dietert(型番473)による表面硬度試験機であるグリーン硬度「B」スケールによって、一定の時期に試験した。混合物は非常に硬いため、スケールが95以上の値に到達するとすぐに、離型時刻に到達する。個々の混合物の離型時間は、表8に明記している。
【0106】
3.曲げ強度の試験
曲げ強度を決定するために、試験棒を、3点曲げ装置を備えた安定性試験装置(Jung Instruments社、SJ1型)に挿入し、力を測定し、試験棒の破損をもたらした。曲げ強度は、以下の方式によって決定した。
・成形後1時間
・成形後2時間
・成形後4時間
・成形後24時間
【0107】
結果を表8に示す。
【0108】
【表8】
(a)処理時間
(b)離型時間
【0109】
4.貯蔵安定性試験
貯蔵安定性を評価するために、1に記載のレゾール樹脂1~5を室温で貯蔵した。粘度及びゲル化時間は、製造直後及び貯蔵後の一定の間隔で試験した。レゾール樹脂6は、離型期間が長く、曲げ強度が小さいことから利点がないと分類され、3の時点で決定され、更なる分析をしなかった。
【0110】
4.1粘度試験
レゾール樹脂の粘度は、100U/分及び25℃で、ブルックフィールド回転粘度計、小試料、番号21のスピンドルによって測定した。
【0111】
結果を表9に示す。
【0112】
【表9】
【0113】
4.2ゲル化時間の試験
レゾール樹脂のゲル化時間は、Gel Instrumente社(Geltimer-m型及びST1型)によるGelnorm Geltimerによって25℃で測定した。
この目的のために、18gのレゾール樹脂及び2gの触媒5090(ASK Chemicals 社)のトリアセチンは、各々の場合において、試験管において混合し、混合物の硬化までの時間をゲル化時間により測定した。
【0114】
結果を表10に示す。
【0115】
【表10】
【0116】
5.評価
評価は、表8~10から理解できる
【0117】
・レゾール樹脂2~5から製造した鋳型材料混合物は、o-クレゾールを用いて製造しており、o-クレゾールを用いていない比較のレゾール樹脂1から製造された鋳型材料の混合物に匹敵し、かつ有効な処理時間及び離型時間を示した
・o-クレゾールとフェノールとを含むレゾール樹脂2~5によって製造された試験棒は、o-クレゾールを含まない比較のレゾール樹脂1から製造された試験棒以上の安定性を示した
・o-クレゾールの量が多いレゾール樹脂6から製造された鋳型材料の混合物は、更に遅い離型期間を示した。当該鋳型材料の混合物から製造された試験棒は、より低い安定性を示した。レゾール樹脂6は、使用にあまり好適ではない。
・o-クレゾールを用いて製造されたレゾール樹脂2~5は、o-クレゾールを用いずに製造された比較のレゾール樹脂1よりも、特に貯蔵後の粘度増加が低く、ゲル化時間が長かった。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を層状構造にする方法であって、
(a)エステルを含浸した鋳型材料の混合物を取得すべく、1以上の耐火性の鋳型基材と、1以上のエステルとを収集する工程と、
(b)層厚が1~6粒、好適には1~5粒、特に好適には1~3粒である、エステルを含浸した鋳型材料の混合物の薄層を塗布する工程と、
(c)前記薄層の選択された領域を、前記領域を硬化させるアルカリ性のレゾール樹脂を含む結合剤で刷り込みを行う工程と、
(d)少なくとも部分的に硬化された三次元物体の仕上げのために、工程(b)及び工程(c)を複数回反復する工程と
を少なくとも含み、
アルカリ性の前記レゾール樹脂は、少なくともフェノール、並びに少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールでのホルムアルデヒドの転化により取得可能であり、
当該置換基は、1~15個の炭素原子を有する脂肪族型、分枝型若しくは非分枝型、又は飽和型若しくは不飽和型の炭化水素ラジカルであり、前記フェノール(B)に対する前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は1:1.5~1:15(A:B)であり、
前記結合剤の粘度は、3mPas~100mPasであり、ブルックフィールド回転粘度計、番号21のスピンドルの補助により、100U/分及び25℃で決定可能である
方法。
【請求項2】
前記フェノール(B)に対する、少なくとも前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:2~1:10、であり、好適には1:4~1:6である
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールの前記炭化水素ラジカルは、1又は数個のメチル基であり、
前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールは特に、o-クレゾール、p-クレゾール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、及びそれらの混合物、特にo-クレゾールを含む群から選択される
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(e1)少なくとも部分的に硬化された鋳造鋳型から、未結合の鋳型材料の混合物を除去する工程
を少なくとも更に含み、
選択的に、
(e2)炉において、あるいはマイクロ波によって、少なくとも部分的に硬化された前記三次元物体を事後硬化させる工程
を少なくとも更に含み、
工程(e1)、工程(e2)の順、又は工程(e2)、工程(e1)の順に、当該工程が行われる
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記耐火性の鋳型基材は、石英砂、ジルコンサンド、又はクロム鉱砂、カンラン石、バーミキュライト、ボーキサイト、シャモット、ガラスビード、ガラス顆粒、ケイ酸アルミニウムの中空マイクロビード、ムル石に基づく合成鋳型基材、及びそれらの混合物を含み、特に、粒子形状は、略円形であり、好適には、前記耐火性の鋳型基材に基づき、50重量パーセントを超える石英砂からなる
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
80重量パーセントを超え、好適には90重量パーセントを超え、特に好適には95重量パーセントを超える前記鋳型材料の混合物は、耐火性の鋳型基材である
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記耐火性の鋳型基材の平均粒径は、80μm~600μm、好適には100μm超~400μmであり、ふるい分析によって決定される
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
特に前記鋳型材料の混合物には、面積が、好適には1~200m/gであり、好適には1m/g以上かつ30m/g以下であり、特に好適には15m/g以下である非晶質二酸化ケイ素が更に添加され、前記面積はBETによって決定される
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記レゾール樹脂における、90モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、特に95モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、又は全てのヒドロキシ芳香族化合物は、それぞれフェノール並びにオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールであるか、あるいはその単量体の構成要素に基づくものである
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レゾール樹脂は、各々の場合において、耐火性の鋳型基材の重量に基づき、0.8~8重量パーセント、好適には1~7重量パーセント、特に好適には1.5~5重量パーセントの量で用いられる
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記物体は、COで遡及的に硬化される
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記鋳型材料の混合物は、水酸化アルカリを含む
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記レゾール樹脂は、アルカリ性の水溶液の形態で用いられ、好適には、固体含有量は20~75重量パーセントであり、かつ/あるいは、25℃で測定した各々の場合において、pH値は11を超え、特にpH値は12を超える
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エステルは、アルカリ加水分解が可能なエステル化合物又はリン酸エステル化合物である
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エステルは、ラクトン、有機カーボネート、並びに炭素数が1~10のモノカルボン酸及びポリカルボン酸と炭素数が1~10のモノアルコール及びポリアルコールとのエステル、好適には、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、二酢酸エチレングリコール、モノアセチン、ジアセチン、及びトリアセチン、並びに、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のジメチルエステルから選択され、それらの混合物を含む
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エステルは、
(a)各々の場合において、前記結合剤に基づき、5重量パーセント~50重量パーセント、好適には5重量パーセント~40重量パーセント、特に好適には5重量パーセント~30重量パーセントの量、及び/又は
(b)各々の場合において、前記鋳型基材に基づき、0.04重量パーセント~4.0重量パーセント、好適には0.05重量パーセント~3.5重量パーセント、特に好適には0.08重量パーセント~2.5重量パーセントの量
で用いられる
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記物体は、前記金属鋳造のための金型又は中子である
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記刷り込みは、複数の噴射口を有するプリントヘッドによって行われ、前記噴射口は、好適には独立して選択的に制御可能である
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プリントヘッドは、コンピュータによって制御される1以上の平面において少なくとも移動可能であり、前記噴射口は、液状の前記結合剤を層ごとに塗布する
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プリントヘッドは、バブルジェット技術又はピエゾ技術を含むドロップオンデマンド方式のプリントヘッドである
請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載により製造可能である
金属鋳造のための金型又は中子。
【請求項22】
アルカリ性のレゾール樹脂を含む結合剤であって、
アルカリ性の前記レゾール樹脂は、少なくともフェノール、並びに少なくともオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールでのホルムアルデヒドの転化から取得可能であり、
前記置換基は、1~15個の炭素原子、好適には1~4個の炭素原子を有する脂肪族型、分岐型若しくは非分岐型、又は飽和型若しくは不飽和型の炭化水素ラジカルであり、前記フェノール(B)に対する前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:1.5~1:15(A:B)であり、
前記結合剤の粘度は、3mPas~100mPasであり、ブルックフィールド回転粘度計、番号21のスピンドルの補助により、100U/分及び25℃で決定可能である
結合剤。
【請求項23】
前記フェノール(B)に対する、少なくとも前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノール(A)のモル比は、1:2~1:10、であり、好適には1:4~1:6である
請求項22に記載の結合剤。
【請求項24】
少なくとも前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールの前記炭化水素ラジカルは、1又は数個のメチル基であり、
前記オルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールは特に、o-クレゾール、p-クレゾール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、及びそれらの混合物、特にo-クレゾールを含む群から選択される
請求項22又は23に記載の結合剤。
【請求項25】
前記レゾール樹脂における、90モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、特に95モル%を超えるヒドロキシ芳香族化合物、又は全てのヒドロキシ芳香族化合物は、それぞれフェノール並びにオルト置換型及び/又はパラ置換型のフェノールであるか、あるいはその単量体の構成要素に基づくものである
請求項22~24のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項26】
前記レゾール樹脂は、アルカリ性の水溶液の形態で存在し、25℃で測定した各々の場合において、pH値は11を超え、特にpH値は12である
請求項22~25のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項27】
前記レゾール樹脂は、アルカリ性の水溶液の形態で存在し、前記結合剤において、固体含有量は20~75重量パーセントである
請求項22~26のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項28】
前記結合剤の粘度は4mPas~50mPasであり好適には5mPas~20mPasであ
請求項22~27のいずれか一項に記載の結合剤、及び請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】