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特表2023-511512軌道からの振動測定による平坦車輪変形の検出方法
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  • 特表-軌道からの振動測定による平坦車輪変形の検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】軌道からの振動測定による平坦車輪変形の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/10 20060101AFI20230313BHJP
   B61K 9/12 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G01M17/10
B61K9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539303
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 TR2020050394
(87)【国際公開番号】W WO2021154172
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2020/01306
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516350341
【氏名又は名称】ゴクメン サブリ ハルク
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ゴクメン サブリ ハルク
(57)【要約】
本発明は、鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を検出するための、軌道システムの技術分野で使用できる方法に関する。特に、本発明は、振動センサー(40)を使用して軌道(10)上を移動している車輪(30)からの振動波(50)によって発生する機械的な振動の検出及び分析に関する。したがって、本発明は、鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況の存在及び深刻度を決定する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)を検出するための、軌道システムの技術分野で使用できる方法であって、
・前記鉄道車両(20)に軌道(10)上を移動させるステップと、
・前記鉄道車両(20)が移動している間に、前記軌道(10)と変形していない前記車輪(30)との接触の結果として発生する機械的な振動波(50)を前記軌道(10)上の振動センサー(40)で検出するステップと、
・前記軌道(10)上の前記振動センサー(40)によって、前記軌道(10)上を移動している前記鉄道車両(20)の平坦車輪変形(31)の状況を有する前記車輪(30)によって生じる前記軌道(10)上の追加の機械的な振動波(50)を検出するステップと、
・平坦車輪変形(31)の状況を有さない前記車輪(30)からの振動波(50)の信号と、平坦車輪変形(31)の状況から生じる振動波(50)の信号とを組み合わせるステップと、
・前記組み合わせの結果として得られたデータセットを、fft(高速フーリエ変換)分析法を使用して周波数領域に転送するステップと、
・得られた周波数スペクトルデータセットにおける、前記鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況の周波数の存在を分析し、正しい決定を確実にするステップと、を順に含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)を決定するために使用できる方法、及びその特徴であって、
前記車輪(30)からの前記振動波(50)は、前記車輪(30)からの叩打信号の叩打角度情報を分析するために振動センサー(40)を使用して3軸(x、y、z)で測定されることを特徴とする、方法およびその特徴。
【請求項3】
請求項1に記載の、鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定するために使用できる方法、及びその特徴であって、
前記軌道(10)の本体に前記振動センサー(40)を配置して、3軸(x、y、z)の振動値を測定し、前記3軸の測定値をfft変換プロセスで変換し、関連周波数領域の3軸データセットをベクトル形式で追加することにより、平坦車輪変形(31)の状況の決定結果としての値を得て、このベクトルの合計値を使用して平坦車輪変形(31)の状況を決定することを特徴とする方法、およびその特徴。
【請求項4】
請求項1に記載の、鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定するために使用できる方法、及びその特徴であって、
前記鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形を決定する際に、前記鉄道車両(20)の速度を使用してfft分析を実行することを特徴とする方法、およびその特徴。
【請求項5】
請求項1に記載の、鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)を決定するために使用できる方法、及びその特徴であって、
振動の測定は、前記軌道(10)の本体に配置された振動センサー(40)を使用して、3軸(x、y、z)で連続的に実行されるため、前記鉄道車両(20)の前記車輪(30)に生じる平坦車輪変形(31)の状況を瞬時に検出することができることを特徴とする、方法、及びその特徴。
【請求項6】
請求項1に記載の、鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)を決定するために使用できる方法、及びその特徴であって、
前記軌道(10)に印加される、前記鉄道車両(20)の前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の衝撃力の決定において、
・前記軌道(10)の温度情報に従って測定された振動信号の振幅値を所定の温度値に正規化するステップと、
・fft分析により、前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況の存在を決定するステップと、
・時間領域振幅データセットの前記軌道(10)の温度情報に従って、前記車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況に関連する周波数帯域における周波数スペクトルデータセットに逆fft演算を応用することにより得られた平坦車輪変形(31)の信号の正規化後の平坦車輪変形(31)の状況の衝撃強度を決定するステップと、を含むことを特徴とする、方法、及びその特徴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の車輪上の平坦車輪変形(flat wheel deformations)を検出するための、軌道システムの技術分野で使用できる方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、軌道上の振動センサーによって、軌道上を移動する鉄道車両の車輪によって発生する機械的な振動波を分析することにより、鉄道車両の平坦車輪を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
世界の鉄道システムは、高速で、経済的で、環境に優しく、安全で最新のシステムであるため、日々重要になっている。軌道輸送システムの最も重要な特徴の1つは、それらが最も安全で快適な公共交通手段であると認められていることである。この特徴の維持は、これらのシステムの定期的なメンテナンスの努力により実現することができる。これらの努力の中で、鉄道車両の車輪のメンテナンスは、重要な位置を占めている。軌道に変形が発生した結果として、鉄道車両の車輪は、摩耗し、元の幾何学的形状を失う。このため、鉄道車両の車輪の幾何学的形状は、安全性のために重要である。鉄道車両の車輪に発生する変形は、屈曲部の遠心力、車輪の外側部分に伝達される力、所定の速度以上の列車の速度、列車の急ブレーキ、ブレーキ機構の故障、軌道上を移動しているときにある車輪が線路上でロックすること、両方の軌道が同じ高さレベルにないという事実及びこの標高差を通過するときに車輪が衝突されるという事実、気候の変化によって生じる膨張、引っ張り、並びに他の多くの理由によるものである。これらの理由から、車輪の変形及び安全性を脅かす全ての要因の検出は、より重要になる。
【0004】
現在の技術では、鉄道車両の車輪の変形を測定しながら、列車が発車する前に人により制御を行う。これらの担当者は、目又は基本的な手動測定装置によって制御を提供しようとする。人力でこのプロセスを実行することは、この方法が非常に役に立たないことを証明する。鉄道車両の車輪に変形が存在する可能性があることを考えると、そのような状況は、検出が困難であり、適時に検出できないため、巨大な鉄道事故が発生し、これにより、多くの人が死亡する。
【0005】
現在の技術に使用される方法は、鉄道車両の車輪の形状を監視し、コンピュータが接続された電子カメラにより平坦車輪を決定しようとすることである。これらのシステムでは、鉄道車両の底部に取り付けられて車両の車輪を確認できる特殊なカメラとセンサーを使用して、平坦表面を観察しようとする。しかしながら、カメラ画像化技術は、平坦度が大きい場合にしか十分な検出ができず、外的条件によって画像の品質が急激に低下するという事実は、この方法が好ましいことを妨げる。
【0006】
現在の技術では、最も好ましい方法は、軌道と地面との間に配置されたセンサーに基づいて行われており、このセンサーは、車輪がこのセンサーの上を通過する際に、このセンサー上での車輪の平坦表面に関連する衝突を検出しようとする。これらのシステムに使用されるセンサーは、地面と軌道との間での車輪の平坦部の衝突を検出する。地面の滑り又は悪天候条件、地面の崩壊などの場合、センサーによって収集された、車輪の平坦部による情報は、誤解を招く可能性があり、この情報は信頼できない。
【0007】
現在の技術に関する予備調査の結果として決定された特許出願US9395276を調べた。この方法では、列車の車輪に取り付けられたばねを測定し、車輪の平坦部を決定することを試みる。この方法は、各車輪に適用する必要があるため、非常に重く、高価である。
【0008】
現在の技術に関する予備調査の結果、US10377397特許出願を特定し、調べた。この方法では、軌道に平行な光ファイバー技術、例えば、軌道から80cm~10cm離れ、地表から10cm下に光ファイバーが地面に埋め込まれ、軌道からの全ての振動信号を検出する。このシステムは、しばしば地面の歪み及び悪天候条件で誤解を招く情報を提供する可能性がある。
【0009】
現在の技術に関する予備調査の結果として発見した別の特許は、US8818585である。この特許の要約箇所の説明は下記のとおりである。この発明のセンサーが軌道上に配置され、車輪が平坦である場合、車輪から受け取ったデータを共有する。このシステムは、走行中の列車で車輪が平坦になる欠陥を検出する方法、特にアコースティックエミッションセンサーを用いた方法に関するものである。この発明の目的は、移動中の列車上の車輪の平坦化における欠陥を検出することであり、ここで、1つのアコースティックエミッションセンサーのみを使用して操作してもよく、必要に応じて多数のアコースティックエミッションセンサーを使用して操作してもよい。この発明のシステムの課題は、1つのセンサーのみで車輪の平坦部による叩打(beat) を検出すると主張することである。この特許の主題である発明では、車輪の平坦部の叩打は、軌道に沿って連続的に検出される。軌道に発生する可能性のある局所的な欠陥と車輪の平坦部の欠陥を区別するために、本発明では、線路上の複数の点で軌道に取り付けられた振動センサーを使用して、複数のセンサーによって同じ車輪の平坦部の発見を検出し、有効な車輪の平坦部警報を発することが想定される。
【0010】
その結果、上記欠点を補う多機能の車輪の平坦の感知システム及び方法の必要性は、既存の解決手段が不十分であるため、上述したその欠点を補い、これらの対応するものよりもはるかに安全で信頼性が高い必要があり、既存の解決手段の不十分さが、関連する技術分野での改善を必要としている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、軌道本体に接続された振動センサーによって、軌道上を移動している列車の車輪によって発生する振動を検出し、このデータセットから、もし列車の車輪に平坦な表面があれば、その平坦な表面によって生じる振動情報を明らかにすることである。
【0012】
本発明の目的は、車両の平坦化した車輪によって軌道上に生ずる車輪の平坦部に起因する機械的な振動信号を線路上の複数の地点に設置された信号センサーで鉄道車両が移動している間に解析して、互いに検証し合う地点の解析結果の結果として、問題の存在を決定することである。
【0013】
また、この処理を行う際に、環境条件による振動や瞬間的に発生する振動は評価せず、軌道上の振動のみを利用し、線路に沿って継続する振動を検出することで車輪の平坦部を検出する。こうして、鉄道車両の安全性と、平坦化した車輪が軌道に衝突することによる鉄道の損傷を防ぐことの両方を確実にし、そうして大きな鉄道事故を防止する。
【0014】
本発明の他の目的は、電磁的又は電気機械的な試験装置で行われる点分析の欠点を解消し、また線路に沿った平坦車輪変形を、いつでも、簡単に、素早く検出可能にすることを確実にすることである。平坦車輪変形の情報を継続的に収集し評価することは非常に重要な相違である。その結果、平坦車輪変形によるレールの変形や損傷が大きくならないよう、鉄道車両を直ちに停止させ、人命や財産の損失を防ぐことができる。その結果、大きな変形及び車輪の平坦変形による軌道の損傷を防止するために、鉄道車両を直ちに停止させて、人命及び財産の損失を防止する。
【0015】
本発明は、軌道の温度情報を検出プロセスに組み込むことにより、誤った結果の可能性を排除することを別の目的とする。
【0016】
本発明は、現在の技術で使用される他の電子センサー及びカメラセンサーの場合のように特定の領域のみで測定するのではなく、軌道線路全体に沿った振動信号を分析し処理することによって、列車の速度と軌道の温度に応じて叩打の強弱を決定することを別の目的とする。
【0017】
本発明は、3軸(x、y、z)で軌道上を移動している車輪によって発生する軌道内の振動波を測定することによって、摩擦、突然のブレーキなどの結果として生じる平坦車輪変形を決定することを別の目的とする。
【0018】
本発明は、平坦車輪変形の存在及び深刻度を知覚するプロセスにおけるエラーを防止することを別の目的とする。本発明では、軌道上のセグメントの破損、割れ又は亀裂などの局所的な軌道変形の影響から生じる信号は、連続的ではないため、考慮されない。言い換えれば、システムは、データを連続的に収集して処理する。
【0019】
本発明は、コスト及び使用法の点で容易さを提供し、その簡単な構造で、非常に高感度のセンサー、高解像度及び高速撮影カメラなどの他のいくつかのシステム及び同様のシステムの欠点を解消することを別の目的とする。
【0020】
本発明は、全ての線路、特に高速鉄道路線を走行する鉄道車両の平坦車輪の欠陥を、その形成段階又は生成直後に検出することができ、事前に列車に必要な警告を出すことができることを別の目的とする。
【0021】
上記の目的に従って、既存の実施形態における負の影響を排除する本発明は、軌道システムの技術分野で使用し、鉄道車両で発生する平坦車輪変形の検出に使用することができ、本発明は、軌道本体に接続された振動センサーによって、軌道上を移動している列車の平坦車輪によって発生する振動を感知し、このデータセットから、もしあれば、列車の車輪の平坦表面によって生じる振動情報を明らかにすることを可能にする方法である。
【0022】
以下に与えられる図及びこれらの図を参照して書かれた詳細な説明によって、本発明の構造的及び特徴的な特徴並びに全ての利点はより明確に理解されるであろう。このため、これらの図と詳細な説明を考慮して評価する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】移動している鉄道車両の車輪の平坦表面変形を検出するために使用できる本発明で使用される方法の動作原理を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の鉄道車両(20)の車輪(30)に形成される平坦車輪変形(31)を決定する際に使用できる方法の動作原理を概略的に示す図を示す。
【0025】
軌道(10)に取り付けられた振動センサー(40)モジュールは、3軸(x、y、z)で、振動センサーモジュールに接近するか又はそれから離れる鉄道車両(20)の平坦車輪変形(31)を有する車輪(30)によって生じる振動波(50)を測定するために使用される。これらの振動波(50)の測定の結果として得られたデータセットのfft(高速フーリエ変換)分析の最後に、鉄道車両(20)の速度と軌道(10)の温度を考慮することにより、車輪(30)によって生じる、平坦車輪変形(31)に関連する信号が存在することが明らかになる。周波数の知覚の結果として、平坦車輪変形(31)の存在は、決定される。次に、平坦車輪変形(31)の深刻度は、特定の周波数帯域に固有のfftデータを、逆fft(inverse fast fourier transformation、逆高速フーリエ変換)演算で再び時間領域に変換し、この新しい時間領域データセットを、所定の軌道(10)の温度レベルで設定された値に正規化することによって定義される。
【0026】
鉄道車両(20)の移動による軌道(10)の振動の強度は、軌道(10)の温度に応じて連続的に変化する。軌道(10)の温度を測定することにより、この変化の量を決定することができる。測定された軌道(10)の温度で以前に決定された相関値に従って、測定された振動値を最初に補正した後、振幅情報を含むこの補正されたデータセットを、fft演算によって周波数領域に転送する。この変換プロセスの結果として得られた周波数スペクトルデータセットでは、軌道(10)上の鉄道車両(20)の速度に従って、平坦車輪変形(31)の信号の周波数の存在を調べる。この周波数領域データセットから平坦車輪変形(31)の存在を決定した後、特定の周波数付近のデータセットを逆fftプロセスにより時間領域に変換し、この変換されたデータセットを、リアルタイムに測定された軌道(10)の温度に従って正規化して、正しい平坦車輪変形(31)の深刻度レベル値を取得する。
【0027】
本発明では、軌道(10)の強度に対する平坦車輪変形(31)の叩打の量は、軌道(10)の温度に事前に決定されて正規化された平坦車輪変形(31)の参照値を使用して決定される。
【0028】
本発明をよりよく理解するために、以下の例が例として適切であると見なされた。
【0029】
鉄道車両(20)の車輪(30)の円周が例えば200cmであると仮定すると、軌道(10)上を時速250kmで走行する高速鉄道車両(20)によって生成される軌道(10)上の振動信号に34.72Hz成分が追加される。この成分は、平坦車輪変形(31)の状況を有する車輪(30)の存在を示すが、この周波数での信号の振幅は、車輪の平坦車輪変形(31)の状況によって軌道(10)に印加された力に関する情報も提供する。
【0030】
【化1】
【0031】
分析結果-1には、軌道(10)において平坦車輪変形(31)を有さない鉄道車両(20)によって発生する、軌道(10)のz軸に記録された振動データセットが表示される。このデータセットのfft分析後に得られたスペクトル画像は、以下の分析結果-2に示される。
【0032】
【化2】
【0033】
上記分析結果-2では、周波数スペクトル画像には約1700Hz主成分があり、この成分は、平坦車輪変形(31)表面がない鉄道車両(20)の軌道(10)上の車輪(30)によって発生する振動の基本周波数成分である。
【0034】
以下の分析結果-3では、平坦車輪変形(31)を有する、軌道(10)上を移動している鉄道車両(20)によって発生する振動が振動センサー(40)によって記録されることが示される。
【0035】
【化3】
【0036】
以下の分析結果-4に示されるグラフは、分析結果-3に示される上記グラフに示されるデータセットをfft変換した後に得られた周波数スペクトルデータセットに属する。
【0037】
【化4】
【0038】
分析結果-4のグラフの左下隅に表示される信号は、約35Hzのピークを有し、該ピークは、測定されて変換されたデータセットにおいて明確な周波数信号成分を生成する鉄道車両(20)の平坦車輪変形(31)表面を有する車輪(30)に属する。軌道(10)上に配置された振動センサー(40)により軌道(10)上において3軸で受信されたこの信号の連続測定値のベクトル収集の結果として得られた値は、車輪(30)上の平坦車輪変形(31)表面の存在と角度を決定する。
【0039】
この平坦車輪変形(31)の叩打の強度を決定する際に、約35Hzのピークがある分析結果-4のグラフの左下隅に表示されるこの周波数信号領域のデータセットは、分析結果-5に示すように、逆fft演算により時間領域に変換される。下記のグラフは、軌道(10)上の平坦車輪変形(31)による叩打の強度レベルを決定するために使用される。
【0040】
【化5】
【0041】
この信号の存在は、鉄道車両(20)とセットになった車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を示すが、信号の強度は、この車輪(30)によって軌道(10)に印加された平坦車輪変形(31)の叩打力に比例する。軌道(10)から得られた平坦車輪変形(31)の信号の振幅の変化を軌道(10)の温度で計算した後、平坦車輪変形(31)の叩打力をより現実的に計算することができる。結局のところ、回帰分析法に基づいて、軌道(10)から収集され、人工知能アルゴリズムによって処理された様々な平坦車輪変形(31)の状況に属するデータセットにおける軌道(10)の温度による振動信号の変化の相関研究により、軌道(10)上の温度変化に対する信号変化挙動を学習すると、量と質の両方の観点から、非常に現実的で感度の高い平坦車輪変形(31)の測定結果が得られる。
【0042】
要約すると、軌道システムの技術分野では、本発明を使用して、軌道(10)上を移動している鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定することができる。本発明は、変形していない車輪(30)と軌道との接触から生じる機械的な振動波(50)を軌道(10)上の振動センサー(40)で感知するステップと、平坦車輪変形(31)の状況を有する変形した車輪(30)と軌道との接触から生じる追加の機械的な振動波(50)を軌道(10)上の振動センサー(40)で感知するステップと、これらの2つの振動波(50)のデータセットを組み合わせ、fft(高速フーリエ変換)変換法を使用してこの組み合わせたセットを周波数領域に転送するステップと、軌道(10)上を移動している鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を指す周波数成分の存在を探索するために、この周波数領域データセットを分析するステップと、を含む。
【0043】
この方法では、振動センサー(40)を使用して、車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況によって生じる叩打信号内の衝撃角情報を分析するために、軌道(10)上を移動している鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定し、3軸(x、y、z)で車輪(30)からの振動波(50)を測定する。同様に、平坦車輪変形(31)の状況の決定は、軌道(10)の本体に振動センサー(40)を配置し、3軸(x、y、z)で振動値を測定し、fftプロセスの最後に得た周波数スペクトルデータから得られた関連値をベクトル形式で収集することにより実行される。鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定する際に、鉄道車両(20)の速度を使用して適切なfft分析を実行する。鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定する際に、振動測定が、軌道(10)の本体に配置された振動センサー(40)を使用して、3軸で連続的に行われるため、鉄道車両(20)の車輪(30)に形成された平坦車輪変形(31)の状況を直ちに検出することができる。このセクションでは、連続的な測定を行うことにより、即時検出を提供する。
【0044】
この方法による、軌道(10)上を移動している鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況の衝撃力の決定プロセスでは、該方法を使用して、鉄道車両(20)の車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況を決定するステップと、軌道(10)の温度情報を測定し、軌道(10)に接続された振動センサー(40)から得られた振動信号の振幅データセットを所定の温度値に正規化するステップと、fft分析によって平坦車輪変形(31)の状況の存在を決定するステップと、車輪(30)上の平坦車輪変形(31)の状況に関連する周波数帯域における周波数スペクトルデータセットに逆fft演算を応用することにより、振動センサー(40)によってリアルタイムに得られた軌道(10)の温度情報に対して、この逆fft演算後に得られたデータセットを正規化して、平坦車輪変形(31)の叩打強度を決定するステップと、を実行することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 軌道
20 鉄道車両
30 車輪
31 平坦車輪変形
40 振動センサー
50 振動波
図1
【国際調査報告】