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特表2023-511549角度が設定された粉砕ローラーを有するローラーミル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】角度が設定された粉砕ローラーを有するローラーミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
B02C15/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022543047
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021050682
(87)【国際公開番号】W WO2021144358
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】20151718.2
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517346059
【氏名又は名称】ゲブリューダー プファイファー エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルヴェ ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ハーナウアー サスキア
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ディルク
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063GA06
4D063GA07
4D063GA08
4D063GD04
4D063GD12
4D063GD13
(57)【要約】
本発明は、粉砕テーブル2と、粉砕ローラー3とを有するローラーミル1において、粉砕テーブル2は、粉砕ローラー3がローラー回転軸300を中心として粉砕テーブル2の粉砕トラック9上を転動転するように、粉砕テーブル回転方向200に粉砕テーブル2の中心軸100を中心にして粉砕ローラーに対して回転可能であるローラーミル1に関する。少なくとも1つの粉砕ローラー3が、ローラー回転軸300が粉砕テーブル2の中心軸100から径方向距離600に延伸するように、粉砕テーブル回転方向200の方向に設定角度500に設定されるように回転される。設定角度500は、1°から9°である。また、本発明は、ローラーミル1の動作方法ならびに粒子状バルク材料を粉砕するためのローラーミル1の使用に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーミル(1)において、
粉砕テーブル(2)と、粉砕ローラー(3)とを備え、
前記粉砕テーブル(2)は、前記粉砕ローラー(3)がローラー回転軸(300)を中心として前記粉砕テーブル(2)の粉砕トラック(9)上を転動するように、粉砕テーブル回転方向(200)に前記粉砕テーブル(2)の中心軸(100)を中心として前記粉砕ローラーに対して回転可能であり、
少なくとも1つの前記粉砕ローラー(3)は、前記ローラー回転軸(300)が前記粉砕テーブル(2)の中心軸(100)から径方向距離(600)に延伸するように、前記粉砕テーブル回転方向(200)の方向に、設定角度(500)に設定されるように回転され、
前記設定角度(500)は1°から9°である、ローラーミル。
【請求項2】
請求項1に記載のローラーミルにおいて、前記設定角度(500)は1°から4.5°であるローラーミル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のローラーミルにおいて、前記粉砕ローラー(3)は前記粉砕トラック(9)との接触領域において円筒形状であるローラーミル。
【請求項4】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記粉砕ローラーの幅に対する前記粉砕ローラー(3)の直径の比率は1.5から6であるローラーミル。
【請求項5】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記粉砕テーブル(2)の前記中心軸(100)から前記粉砕ローラー(3)の軸方向中心までの径方向距離と前記粉砕ローラー(3)の幅との比率は1.5から6であるローラーミル。
【請求項6】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記粉砕テーブル(2)の中心軸(100)から前記粉砕ローラー(3)の軸方向中心までの径方向距離と前記粉砕ローラー(3)の直径との比率は0.5から1.5であるローラーミル。
【請求項7】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記粉砕トラック(9)は前記粉砕テーブル(2)の平面領域により形成されるローラーミル。
【請求項8】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記粉砕ローラー(3)は前記粉砕トラック(9)上でその軸方向中心接触点を中心として回転可能であるローラーミル。
【請求項9】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、いくつかの粉砕ローラー(3)が備えられ、前記粉砕ローラー(3)のサブアセンブリのみが角度が設定されているローラーミル。
【請求項10】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記ローラー回転軸(300)は、前記粉砕テーブル(2)の回転軸(100)に直交し、および/または前記粉砕テーブル(2)の表面と平行であるローラーミル。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記ローラー回転軸(300)は、前記粉砕テーブル(2)の表面に対して0.5°から20°の角度で傾斜させるローラーミル。
【請求項12】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、ロッカーアーム部(5)が備えられ、前記ロッカーアーム部(5)は、ベアリング軸(400)を中心に旋回可能に取り付けられ、前記粉砕ローラー(3)は、前記ローラー回転軸(300)を中心に回転可能に前記ロッカーアーム部(5)に取り付けられ、前記ロッカーアーム部(5)の前記ベアリング軸(400)は、前記ローラー回転軸(300)に平行であるローラーミル。
【請求項13】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミルにおいて、前記ロッカーアーム部(5)は、前記粉砕テーブル(2)の径方向外側で、前記ベアリング軸(400)を中心に旋回可能にブラケット(6)に取り付けられ、前記ブラケット(6)は、前記基部に取り付けられているローラーミル。
【請求項14】
前記請求項のいずれか一項に記載のローラーミル(1)の動作方法において、前記粉砕テーブル(2)は、前記粉砕テーブル(2)上で前記粉砕トラック(9)の径方向中心において、少なくとも1gの径方向加速度が粉砕材料に作用するような回転速度で回転され、gが9.81m/s^2の正規重力加速度である、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記径方向加速度は、少なくとも1.3gであり、好ましくは、少なくとも1.4gである方法。
【請求項16】
ローラーミル(1)の動作方法において、
粉砕テーブル(2)上で粉砕ローラー(3)を転動させ、横方向の滑り速度が、少なくとも1つの前記粉砕ローラー(3)の幅における少なくとも1つの接触領域において、前記粉砕テーブル(2)と少なくとも1つの前記粉砕ローラー(3)との間で一定である、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記粉砕ローラーの横方向の前記滑り速度によって、粉砕材料(3)が、前記粉砕テーブル(2)の内部の方向に運搬される方法。
【請求項18】
粒子状バルク材料を粉砕するためのローラーミル(1)の使用において、粉砕テーブルの回転方向(200)における少なくとも1つの粉砕ローラー(3)の設定角度によって、前記ローラーミル(1)の振動が、角度が設定されていない粉砕ローラー(3)を有する状態と比べて低減される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はローラーミル、ローラーミルの動作方法、ならびに粒子状バルク材料を粉砕するためのローラーミルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術においては、粉砕テーブル及び設定角度に設定されるように回転可能な粉砕ローラーを有するローラーミルが知られている。例えば、EP 2 252 403 B1において、粉砕テーブルの1つ以上の駆動部の停止中に、粉砕テーブルから1つ以上の粉砕ローラーを分離し、残りの粉砕ローラーは角度を設定して、ラジアル力をさらに低減することが知られている。特に、例えば、US 1,661,297またはDE 32 40 931 A1のような先行技術において、ローラーを、粉砕テーブルの回転方向と反対方向の角度に設定することが教示されている。
【0003】
さらに、かなり大きな設定角度について、例えば、DE 10 2007 009 723 A1、DE 10 2008 039 541 A1或いはCN 105 080 665 Aの先行技術に、しばしば教示されている。CN 105 080 665 Aによれば、設定角度によって粉砕テーブルの端方向の摩擦力が生じ、すなわち、このことは、粉砕ローラーが、粉砕テーブルの回転方向と反対方向の設定角度に設定されるように回転されることを意味する。JP 11 156 220 Aは、粉砕テーブル回転方向と反対方向に3°から粉砕テーブル回転方向の方向に0.7°の設定角度範囲を開示している。JP 11 156 220 Aには、粉砕テーブル回転方向と反対方向の設定角度が3°を超えると、モータートルクが大きくなりすぎることが説明されている。また、粉砕テーブル回転方向の設定角度が0.7°を超えると、この場合振動が生じるため、使用しないほうがよいとの記載がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、摩耗の増加を原則生じることなく、より均一な粉砕結果と、より高い粉砕成果を実現する、ローラーミル、ならびに、ローラーミルの動作方法と使用を提供することである。
【0005】
本発明は、粉砕テーブルと粉砕ローラーとを備えたローラーミルであって、粉砕テーブルは、粉砕ローラーが粉砕テーブルの粉砕トラック上でローラー回転軸を中心として転動するように、粉砕テーブル回転方向に粉砕テーブルの中心軸を中心として粉砕ローラーに対して回転可能である、ローラーミルを提供する。粉砕ローラーの少なくとも1つは、ローラー回転軸が粉砕テーブルの中心軸から径方向距離に延伸するように、粉砕テーブル回転方向の方向に設定角度に設定されるよう回転される。本発明によれば、設定角度は、1°~9°である。
【0006】
1つの実施形態において、設定角度は、1°~4.5°である。
【0007】
好ましい実施形態において、設定角度は、1°~3°、1°~2°、2°~3°、2.5°~3.5°、3°~4.5°、2°~9°、3°~8°、または4°~7°である。設定角度が9°を超えると、そして特に4.5°を超えると、粉砕テーブルの少なくとも1つの駆動部において、粉砕結果を改善することなく、不必要に高い駆動トルクが生じることがある。
【0008】
ローラーミルは、特に、粒子状バルク材料の形態である粉砕材料を粉砕するように設計される。粒子状バルク材料は、特に、石灰岩、石膏、石炭または粘土岩等の粉砕した岩質材料、セメント、セメント原料等の鉱物バルク材料、または、リサイクル石膏コンクリート板材料、高炉スラグ、排煙脱硫石膏、または排煙灰等のリサイクルバルク材料である。
【0009】
粉砕テーブル回転方向の方向に角度が設定されるように粉砕ローラーを回転させる際の、本発明による設定角度の範囲では、相対速度、すなわち粉砕ローラーと粉砕テーブルとの間の滑りが径方向に追加的に生じるため、粉砕ローラーと粉砕テーブルとの間のせん断力を増大させる。このせん断力は追加の摩擦を生み、今度はダンピングが生じることで、振動が低減される。これにより、均一な粉砕ベッド厚さが形成され、特に、特定の箇所で粉砕ベッドが薄くなりすぎる事態を防ぐ。こうして、粉砕ローラーと粉砕テーブルの摩耗も減少できる。本発明による設定角度により、ローラーミルは、より均一に動作可能になるが、このことは、すなわち、特に、粉砕テーブルと粉砕ローラーの間に生じる法線力の変動が抑えられることを意味し、より均一で効率的な粉砕動作が可能になる。法線力は、粉砕ローラーから粉砕トラックの表面の法線方向に、粉砕テーブルに対して作用する力である。
【0010】
粉砕材料は、ローラーミル内で粉砕されるが、再度粉砕圧力をかけて圧縮して凝集粒子にし、その後、分級装置内の粉砕材料の大きさに応じて、粉砕動作や粉砕テーブルに戻される。設定角度によって生じた追加のせん断力によって、凝集粒子の形成を回避することができる。せん断力によって、粉砕材料の主な構成要素、特に凝集粒子及び/またはスキャブが粉砕され、分級装置経由で個々の粒子が粉砕領域から、よりスピーディーに離れることになる。特に、設定角度によって、せん断力が、粉砕テーブルの径方向内側方向に作用する。これにより、より徹底した粉砕動作が達成される。
【0011】
粉砕された粒子は、気流によって粉砕テーブルの径方向外側に運ばれ、分級装置に案内される。分級装置において、既に望ましい粒径になった小さめの材料は、分離され、排出され、再度粉砕が必要な大きめの材料は、再度粉砕テーブルに案内される。しかしながら、凝集粒子も、その大きさゆえに、再度粉砕テーブルに戻される。本発明による設定角度により、凝集粒子の形成は少なくとも減じられ、さらなる再粉砕が回避できる。このようにして、全体的に粉砕効率が上がる。
【0012】
特に、ローラーミルは、粉砕テーブルが、粉砕ローラーに対して粉砕テーブル回転方向にのみ駆動可能となるように設計される。これは、例えば、粉砕テーブル回転方向の動作用にのみ設計された駆動歯車によって条件付けがなされ得る。上記に代えて、または上記に加えて、粉砕テーブルが、粉砕テーブル回転方向にのみ回転するように粉砕テーブルの少なくとも1つの駆動部を制御するように構成される電子制御装置が提供される。これにより、ローラーミルが、意図した粉砕テーブル回転方向とは反対方向に動作して、粉砕結果に悪影響を及ぼすことが回避できる。
【0013】
1つの実施形態において、粉砕ローラーは、粉砕トラックとの接触領域において円筒形状である。特に、粉砕トラックは、上記に対応して平面形状である。円筒形状により、特にせん断力が、粉砕テーブルと粉砕ローラーの間の粉砕テーブルの円周方向に生じることを実現できる。さらに、円筒状の粉砕ローラーと平面状の粉砕トラックの間の平面状の粉砕領域は、粉砕テーブルの粉砕材料運搬の見地から好適である。特に、粉砕ローラーが円筒形状をしていると、粉砕ローラーの横方向における滑り速度が一定に維持できる。
【0014】
粉砕ローラーは、軸方向における伸びの少なくとも70%が円筒形状であることが好ましく、少なくとも80%が円筒形状であることが好ましく、また、少なくとも90%が円筒形状であることがさらに一層好ましく、またその軸端領域にのみ丸み付けがなされていることが好ましい。
【0015】
粉砕ローラーの幅に対する粉砕ローラーの直径比率は、好ましくは1.5~6であり、好ましい実施形態においては、2~5、3~5、3.5~5、または2~4であり、さらにより好ましい実施形態においては、3~4である。このことは、粉砕ローラーが、その幅に対して相対的に大きな直径を有すること、したがって、粉砕ローラーは比較的幅の狭いものであることを意味する。これにより、特に、振動の発生や、極端に高い駆動トルクを回避しつつ、高い局所的な粉砕圧や高い特定の表面圧を加えることが可能になる。
【0016】
好ましい実施形態において、粉砕テーブルの中心軸から粉砕ローラーの軸方向中心までの径方向距離と粉砕ローラーの幅との比率は、1.5~6である。別の実施形態において、この比率は1.5~5とすることもできる。さらに好ましい実施形態において、この比率は1.75~5または3.5~5である。この比率であれば、特に、粉砕テーブルのかなり大きな直径に対して相対的に小さな粉砕ローラーであっても、本発明による設定角度と併せて、振動を増大させることなく、好ましい粉砕結果を得ることができる。特に、必要な特定の仕事量、すなわち、質量(kg)あたりの駆動エネルギー量(kWh)を低減することができる。この理由は、とりわけ、凝集粒子粉砕、不要な再粉砕、弾性変形、及び/または振動のためのエネルギー消費が回避できることによる。
【0017】
粉砕テーブルの中心軸から粉砕ローラーの軸方向中心までの径方向距離と粉砕ローラーの直径との比率は、0.5~1.5であることが好ましい。別の実施形態において、この比率は0.6~1.3とすることもできる。
【0018】
粉砕トラックは、粉砕テーブルの平面領域により形成され、特に、径方向内側と径方向外側で粉砕トラックに隣接する粉砕テーブルの領域も平面であることが好適である。特に、粉砕テーブルの完成形は、平面に設計することができる。平面領域により、粉砕ローラーと粉砕テーブルの間の粉砕ギャップを通して粉砕材料の運搬を好適に行うことができる。特に、本発明による設定角度と併せることにより、粉砕材料の運搬を粉砕テーブルの内部の方向に好適に行うことができる。
【0019】
1つの実施形態において、粉砕ローラーは、粉砕トラック上で軸方向中心接触点を中心として回転可能である。このことは、粉砕ローラーの接触点を変更する必要なく設定角度が達成可能であるという利点を有する。これにより、粉砕ローラーと粉砕テーブルの間の法線力の導入が同じ場所に維持され、粉砕テーブルの耐久性(bearing)の見地からも好適であり得る。しかしながら、上記に代わるものとして、粉砕テーブルの径方向から逸れた方向、特に、粉砕テーブルの径方向に対する直交方向に、粉砕ローラーを線形移動することも可能である。そうすることでも、粉砕ローラーの設定角度となる。角度が設定されるように、粉砕ローラーを回転させることは、特に、円形セグメントの形状を有するガイド部によって可能になる。線形調整は、特に、線形ガイド部によって達成することができる。特に、ガイド部は、ガイドスロットとして設計可能である。特に、摩擦接触や、ねじを使用した確実な係合によって、固定可能である。
【0020】
1つの実施形態において、いくつかの粉砕ローラーが提供され、その粉砕ローラーのサブアセンブリのみが角度が設定される。特に、サブアセンブリの全ての粉砕ローラーは、粉砕テーブル回転方向の方向に設定角度に設定されるように、回転される。粉砕ローラーのサブアセンブリのみが角度を設定されるように回転される場合、角度が設定されていない粉砕ローラーも、粉砕テーブルと接触する。1つの実施形態において、全ての粉砕ローラーは、粉砕テーブル回転方向の方向に設定角度に設定されるように回転させることができる。
【0021】
1つの実施形態において、ローラー回転軸は、粉砕テーブルの表面と平行である。特に、ローラー回転軸は、粉砕テーブルの回転軸に対して直交するように設けることができる。特に、粉砕テーブルの回転軸は鉛直である。特に、ローラー回転軸は水平である。粉砕テーブルの回転軸に対してローラー回転軸が直交していることにより、それぞれの場合において、粉砕ローラーの周方向において粉砕ローラーの軸方向中心を起点として、粉砕テーブルに対して滑りが発生する。その過程において、せん断力が、粉砕トラックの径方向外側領域では粉砕テーブルの回転方向とは反対方向に作用し、また、粉砕トラックの径方向内側領域では粉砕テーブルの回転方向に作用する。
【0022】
別の実施形態において、粉砕ローラーの回転軸は、粉砕テーブルの表面に対して0.5°~20°の角度で傾斜させることができる。特に、粉砕ローラーの回転軸は、粉砕テーブルの表面に対して0.5°~10°の角度、または10°~18°の角度で傾斜させ、好適には12°~15°の角度で傾斜させる。回転軸の傾斜に、特に、円錐形のローラーを併せてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、粉砕トラックは、粉砕テーブルの径方向に対して傾斜するよう設計することもできる。特に、円錐形のローラー及び/または傾斜した粉砕トラックと併せた回転軸の傾斜により、粉砕ローラーと粉砕トラックとの間の滑りは、そして、それゆえ、せん断力は、影響され得る。特に、粉砕ローラーと粉砕トラックの間の粉砕テーブルの周方向における滑りをもたらさず、粉砕テーブルの径方向における設定角度から生じる滑りのみをもたらすことができる。これにより、いくつかの応用において、特に均一な粉砕結果を達成することができる。特に、粉砕ローラーの回転軸は、設定角度なしに、粉砕テーブルの回転軸における粉砕トラックを起点とする粉砕テーブルの径方向のベクトルに交差するよう傾斜する。
【0023】
1つの実施形態において、ロッカーアーム部が備えられ、ロッカーアーム部はベアリング軸を中心に旋回可能に取り付けられる。粉砕ローラーは、特に、ローラー回転軸を中心に回転可能にロッカーアーム部に取り付けられ、好適には、ロッカーアーム部のベアリング軸は、ローラー回転軸と平行である。こうすることで、粉砕材料の異なる厚みに対する粉砕ローラーの高さ補正が行われ、これにより、ローラー回転軸が平行移動する。これにより、粉砕ギャップが平行のまま維持され、その厚みのみが変更され得る。これにより、均一な粉砕結果が達成され得る。
【0024】
1つの実施形態において、ロッカーアーム部は、粉砕テーブルの径方向外側で、基部に取り付けられたブラケットに取り付けられる。これにより、粉砕ローラーに作用する力が、ロケットアーム部を介して基部に直接放出される。
【0025】
本発明は、さらに、粉砕テーブルが、粉砕テーブル上で少なくとも1gの径方向加速度が粉砕トラックの径方向中心の領域において径方向外側に向かって、粉砕材料に対して作用するような速度で回転される、上記ローラーミルの動作方法を提供する。gは、9.81m/s^2(9.81メートル毎秒毎秒)の重力加速度定数である。
【0026】
方法のさらなる実施形態において、粉砕テーブルは、少なくとも1.1g、または少なくとも1.2gの径方向加速度が、粉砕トラックの径方向中心の領域において粉砕テーブル上の粉砕材料に作用する回転速度で回転される。
【0027】
方法の好適な実施形態において、粉砕テーブルは、少なくとも1.3g、少なくとも1.4g、または少なくとも1.5gの径方向加速度が、粉砕トラックの径方向中心の領域において粉砕テーブル上の粉砕材料に作用する回転速度で回転される。
【0028】
粉砕テーブルの回転方向の方向に設定角度に設定されるように回転される少なくとも1つの粉砕ローラーが粉砕材料に対して径方向内側に作用するせん断力を加え、径方向加速度によって粉砕材料に対して径方向外側に作用する加速力と対抗するため、比較的高い回転速度が可能となる。
【0029】
このように、粉砕テーブルの速度が速く、これに対応して径方向加速度も高いにもかかわらず、粉砕ローラーと粉砕テーブルの間の粉砕ギャップには常に十分な粉砕材料が存在し、従って、高い粉砕成果が達成され、かつ、摩耗が低減される。
【0030】
本発明はさらに、ローラーミルの動作方法であって、粉砕ローラーが粉砕テーブル上で転動し、粉砕ローラーの横方向の滑り速度が、少なくとも粉砕ローラーの幅における接触領域で一定である、ローラーミルの動作方法を提供する。これにより、振動の低減と粉砕結果の改善が達成できる。方法は、好適には、凝集粒子の形成を防ぐことができる。特に、方法は、少なくとも1つの粉砕ローラーを設けるステップを有し、粉砕ローラーは、その設定角度が1°~9°に、1つの実施形態においては、1°~4.5°に設定されるように、粉砕テーブル回転方向の方向に回転される。好適には、粉砕ローラーは、粉砕トラックとの接触領域において、円筒形状である。
【0031】
特に、粉砕ローラーの横方向における滑り速度により、粉砕材料は粉砕テーブルの内部の方向に運搬される。粉砕ローラーの横方向は、粉砕ローラーの軸方向である。内部の方向に粉砕材料を運搬する粉砕ローラーにより、滑りが遠心力と対抗し、粉砕テーブルの回転により粉砕材料を外側に運搬する。このように、粉砕テーブルの高い回転速度を維持しつつ、同時に粉砕ローラーの領域における粉砕材料の滞留時間の長期化が達成でき、粉砕結果が改善する。
【0032】
最後に、本発明は、粉砕テーブルの回転方向における少なくとも1つの粉砕ローラーの設定角度によって、角度が設定されていない粉砕ローラーの状態に比べてローラーミルの振動が減じられる、粒子状バルク材料を粉砕するローラーミルの使用を提供する。先行技術においては、対応する応用について、角度が設定されていない状態と比較すると、振動が増大している。しかしながら、本発明による方法ならびに本発明による使用は、特に、上記定義したローラーミルの実施形態に基づく動作によって、一定の、またはさらに改善した粉砕結果とともに振動を低減可能である。
【0033】
本発明は、さらに以下の図面で示す例示的な実施形態を参照して、以下のように説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態によるローラーミルの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるローラーミルの平面図である。
図3】粉砕テーブルの回転方向の滑り速度の表示を伴った、本発明の一実施形態によるローラーミルの粉砕テーブルと粉砕ローラーの概略図である。
図4】粉砕テーブルの径方向の滑り速度の表示を伴った、本発明の一実施形態によるローラーミルの粉砕テーブルと粉砕ローラーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1において、本発明の一実施形態のローラーミルが示されている。ローラーミルは、1つの粉砕テーブル2と4つの粉砕ローラー3を有する。粉砕テーブル2は、粉砕テーブル回転方向200にその中心軸100を中心として駆動される。このため、少なくとも1つの粉砕テーブル駆動部4が備えられる。粉砕ローラー3は、ローラー回転軸300を中心としてロッカーアーム部5に取り付けられる。ロッカーアーム部5は、ベアリング軸400を中心として旋回するように、ブラケット部6に取り付けられる。ブラケット部6は、基部に直接取り付けられる。さらに、油圧シリンダ部7を備えることができ、これは、ベアリング軸400から間隔を空けてロッカーアーム部5に接続され、基部を起点としてロッカーアーム部5に力を加えることができる。これにより、粉砕ローラー3を粉砕テーブル2との係合から逸らしたり、各粉砕ローラー3と粉砕テーブル2の間の法線力を調整するように機能することができる。
【0036】
粉砕テーブル2の内側領域において、粒子状バルク材料が導入され、その後粉砕テーブル2上で径方向外側に移動し、粉砕ローラー3と粉砕テーブル2の間で粉砕される。その後粉砕されたバルク材料は、粉砕テーブルの径方向外側に配置されたノズルリング部8を経由した気流にさらされる。気流は図示されていない分級装置に粉砕されたバルク材料を供給し、粗い成分を粉砕テーブル2に戻すことができ、ローラーミル1から十分に微細な粒子を放出する。
【0037】
図2において、粉砕テーブル2、粉砕ローラー3、およびそれらの取り付け具の平面図が示されている。粉砕ローラー3は、設定角度のない配置は、破線で表示され、設定角度のある配置は、実線で表示される。ここで、粉砕ローラーは、粉砕テーブル回転方向200の方向に、設定角度500に設定されるように回転される。これにより、ローラー回転軸300は、粉砕テーブル2の中心軸100から径方向距離600に延伸する。粉砕ローラー3は、粉砕テーブル2上の粒子状バルク材料が、法線力とせん断力によって粉砕される粉砕トラック9の領域に、粉砕ギャップを形成する。
【0038】
粉砕ローラー3の軸中心は、粉砕テーブル2の中心軸100から径方向距離700にある。特に、粉砕ローラー3の軸中心は、粉砕トラック9の径方向中心も規定する。図2によれば、設定角度は、粉砕テーブル2上の粉砕ローラー3の軸方向中心接触点を中心とした粉砕ローラー3の回転によって達成される。このため、目盛盤の形状を有するガイドが、特にブラケット部6に設けることができ、これにより、ロッカーアーム部5がブラケット部6に対して移動可能となる。上記に代えて、または上記に加えて、設定角度は、粉砕ローラー3を、特にその径方向に、直線的に移動させることによって達成することができる。しかしながら、これにより、粉砕テーブル2に対する粉砕ローラー3の軸方向中心接触点の位置が変化する。
【0039】
図3図4において、設定角度にある粉砕ローラー3と粉砕テーブル2の間の滑りが示されている。図3から、周方向の粉砕テーブルの速度が半径に対する一次関数として計算される。しかしながら、粉砕テーブル2に平行に、またその中心軸100に直交するように取り付けられた円筒形状の粉砕ローラー3の速度は、その軸方向の伸びに沿って等しい。その結果、粉砕テーブル2によってのみ駆動される粉砕ローラー3は、粉砕テーブルに対する径方向内側端部において、粉砕トラック9の対応領域よりも速く動作する。粉砕テーブル2に対する径方向外側領域11において、粉砕ローラー3は、粉砕テーブル2よりも遅く動作する。これにより、粉砕ローラー3と粉砕テーブル2の間に滑りが生じ、これによってそれぞれに粉砕作業を行い得るせん断力が生じる。粉砕テーブル回転方向200の方向において設定角度500に回転配置されることで、上記に示した形状並びに配置によれば、粉砕テーブル2の径方向に一定の滑り900が生じ、滑り速度が粉砕ローラー3の全軸方向の伸びに沿って一定、すなわち、これは粉砕ローラー3の幅における全接触領域において一定であることを意味する。これにより、粉砕テーブル2の径方向内側に作用するせん断力が生じ、これが粉砕テーブル2とともに回転する粒子状バルク材料に作用する遠心力に対抗する。そのため、バルク材料の粉砕の改善が達成され、特に、本発明に従って設計されていない設定角度によってよりも小さな振動ですむ。均一な粉砕により、より多くの粉砕材料が分級装置を通過することができることで、再度粉砕すべき粉砕材料の比率を減らすことができ、結果としてローラーミルの全体的な性能向上に資する。
【0040】
本発明による方法の一実施形態において、上記に示したローラーミル1は、粉砕ローラー3が粉砕テーブル2上を転動するように、粉砕テーブル2を回転することによって動作させ、粉砕ローラー3の設定角度によって、粉砕ローラー3の横方向または軸方向において一定の滑り速度900が達成される。特に、滑り速度900によって、粉砕材料が粉砕テーブル3の径方向内部の方向に運ばれ、または、特定の領域において遠心力と対抗し、よりよい粉砕効果が達成される。このように、ローラーミルは設定角度によりローラーミル内の振動を低減するために用いられ、同時に、粉砕成果の改良がもたらされる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】