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特表2023-511587液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/12 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
B65B9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544852
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 NL2021050041
(87)【国際公開番号】W WO2021150114
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】2024745
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522129672
【氏名又は名称】ミュー-ドロップ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒューベルテュス・エデュアルト・ヒルブリンク
(72)【発明者】
【氏名】レオナルドゥス・ヒューベルテュス・マリア・ランメルス
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB04
3E050AB08
3E050BA01
3E050CA01
3E050CB03
3E050DF01
3E050DF07
3E050HA01
3E050HA02
3E050HA03
3E050HB01
3E050JA05
(57)【要約】
本発明は、液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するための方法に関する。この方法は、第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するステップと、前記第1リールから前記チューブを巻き出し、これを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するステップとを含む。ここで、前記チューブは、実質的に垂直にかつ実質的に機械的張力なしで溶接装置を通じて移動し得る。前記溶接装置内で優勢な温度は、前記溶接装置を通じて液体を循環させることにより、各溶接操作中、一定に保たれ得る。1つ又は複数の溶接パラメータは、各溶接操作中に記録され、前記液体に関するデータと共に格納され得る。本発明は更に、この方法を実行するためのシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するための方法であって、
第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するステップと、
前記第1リールから前記チューブを巻き出し、これを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するステップとを含み、
前記チューブは、実質的に垂直にかつ実質的に機械的張力なしで溶接装置を通じて移動する方法。
【請求項2】
前記チューブは、前記溶接装置の上流で前記溶接装置に向けて圧力を前記チューブに作用させることにより移動する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チューブは、プロファイルコンベヤローラにより移動する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記チューブは、前記プロファイルコンベヤローラを通る移動中に一時的に変形する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記チューブは、各溶接操作後、第2リールに巻き取られる請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1リールは、前記第2リールよりも高い位置に配置される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記チューブは、前記溶接装置と前記第2リールとの間のバッファに通される請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記チューブは、前記バッファと前記第2リールとの間で付勢される請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記溶接装置を通じて液体を循環させることにより、各溶接操作中、前記溶接装置内で優勢な温度が実質的に一定に保たれる請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
各溶接操作は、前記チューブの両側に配置された2つの電極により実行され、前記2つの電極の温度が実質的に同じに保たれる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ又は複数の溶接パラメータが各溶接操作中に記録され、前記液体に関するデータと共に格納される請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記格納されたパラメータ及び/又はデータの少なくとも一部は、前記第2リール上に配置される請求項5及び11に記載の方法。
【請求項13】
液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するためのシステムであって、
第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するための第1リールを有する供給装置と、
前記チューブを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するための溶接装置とを備え、
前記システムには、前記チューブを、実質的に機械的張力なしで前記溶接装置を通じて移動させる目的で前記溶接装置と協働する変位手段が更に設けられ、
前記変位手段は、前記チューブを実質的に垂直に前記溶接装置を通じて移動させるように構成されるシステム。
【請求項14】
前記変位手段は、前記溶接装置の上流で前記溶接装置に向けて圧力を前記チューブに作用させることにより前記チューブを移動させるように構成される請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記変位手段は、前記チューブの両側に配置されるプロファイルコンベヤローラを含む請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
両側の前記プロファイルコンベヤローラは共に、前記チューブの断面外形とは異なる外形を形成する請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
第2リールを有する巻き取り装置が更に設けられ、前記第1及び第2リールは、前記溶接装置の異なる側に配置される請求項13~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記供給装置及び前記巻き取り装置それぞれは、それぞれ自体の駆動部を含む請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1リールは、前記第2リールよりも高い位置に配置される請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記溶接装置と前記第2リールとの間に配置されたバッファが更に設けられる請求項17~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記バッファと前記第2リールとの間に配置され、前記チューブに係合する付勢部材が更に設けられる請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
各溶接作業中、前記溶接装置内で優勢な温度を実質的に一定に保つための温度制御手段が更に設けられ、前記温度制御手段は、前記溶接装置を通じて液体を循環させるように構成される請求項13~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記溶接装置は、前記チューブの両側に配置された2つの電極を備え、前記温度制御手段は、前記2つの電極の温度を実質的に同じに保つように構成される請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記溶接装置は、前記システムに解放可能に受け入れられる請求項13~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
溶接操作中に1つ又は複数の溶接パラメータを記録する目的で、及び、前記液体に関するデータと共に記録された溶接パラメータを格納する目的で溶接装置に接続される記録手段が更に設けられる請求項13~24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記記録手段は、格納されたパラメータ及び/又はデータの少なくとも一部を前記第2リール上に配置するように構成される請求項17及び25に記載のシステム。
【請求項27】
請求項13~26のいずれか1項に記載のシステムに適用することが明らかに企図されてた変位手段。
【請求項28】
請求項22~26のいずれか1項に記載のシステムに適用することが明らかに企図された温度制御手段。
【請求項29】
請求項25又は26に記載のシステムに適用することが明らかに企図された記録手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するための方法に関し、第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するステップと、第1リールからチューブを巻き出し、これを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するステップとを含む。このような方法は、国際公開第2018/208152A1号から知られている。
【背景技術】
【0002】
既知の方法により、それぞれ液体で満たされ、溶接により両側で他のパッケージに連結される多数の管状パッケージの列を短時間で形成することが可能である。これらのパッケージは、後の段階で、溶接された接続部を切断又は引き裂くことにより、互いに分離することができる。
【0003】
欧州特許出願公開第1442979A1号明細書から、包装材料の円滑な走行を可能にする予備成形装置が知られている。予備成形装置は、ウェブ状の包装材料を管状の包装材料に形成するための第1~第4のガイドと、管状の包装材料を縦方向にシールするための縦方向シール装置と、駆動ユニットと、管状の包装材料を取り囲むような態様で配置され、駆動ユニットにより駆動されながら管状の包装材料を案内するチューブガイド装置とを含む。駆動ユニットの作動により、チューブガイド装置は、包装材料を案内及び供給し、これによりチューブガイド装置が包装材料の走行に抵抗することを防止する。従って、チューブガイド装置は制動効果をもたらさず、これにより包装材料の円滑な走行を可能にする。また、包装材料がチューブガイド装置と第1又は第2のシールジョー装置との間を移動する際、包装材料の走行方向に沿う高い張力が包装材料に生じない。
【0004】
国際公開第2008/089762A1号は、パッケージを形成するためにフィルムウェブの縦方向及び横方向に熱シールされるプラスチックフィルムからなる2つの重ねられたヒートシール可能な細長いウェブの媒体充満パッケージを作製するための方法及び装置を開示する。形成されたパッケージは媒体で満たされ閉じられる。フィルムウェブは、互いに押し付けられた一対のローラ間に通され、この間にフィルムウェブを保持する。フィルムウェブの幅の一部にわたる熱シールは、いかなる熱シールもない壊れていない縦方向領域がフィルムウェブの縦方向に現れるように実行される。媒体は、媒体充満パッケージの形成のためにパッケージを閉じる前にパッケージに満たされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/208152A1号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1442979A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/089762A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記タイプの方法を更に発展させ拡張することを目的とする。本発明によれば、これは、チューブが、実質的に垂直にかつ実質的に機械的張力なしで溶接装置を通じて配置されることにより達成される。移動中にチューブに機械的張力又は外部の張力がかからないように保つことは、最近形成された溶接接続部が壊れ得るため、負荷を効果的に回避する。チューブの垂直配向はまた、液体中に存在し得る気泡が上昇して溶接装置に到達せず、そのため気泡が最終的にパッケージング内にないことをも実現する。
【0007】
ここで、チューブは、溶接装置の上流で溶接装置に向けて圧力をチューブに作用させることにより移動することができる。これにより、チューブ及びチューブに形成される溶接接続部に対する引張力も防止される。
【0008】
チューブは、プロファイルコンベヤローラ間に通すことにより、均一に移動することができる。これによりチューブの移動速度を正確に制御することができる。
【0009】
プロファイルコンベヤローラを通る移動中に、チューブは一時的に変形し得る。コンベヤローラは、例えば、それぞれV字形の溝を有することができ、これによりチューブの円形断面がひし形の断面へと一時的に変化する。
【0010】
チューブが各溶接操作後に第2リールに巻き取られる時、チューブを管状セグメントに分割する直前だけでなく分割後も簡易な態様で、チューブを移送又は保管することができる。ここでは、巻き出し及び巻き取りは互いに独立に制御され実行され得る。これにより、張力がチューブ内に生じることも防止することができる。
【0011】
チューブの垂直配向は、第1リールが第2リールよりも高い位置にある場合に実現され得る。
【0012】
チューブ内及び溶接接続部内の応力を更に回避するために、チューブは、溶接装置と第2リールとの間のバッファを通過可能である。従って、各溶接操作中及びその後、溶接された接続部には、すでに溶接されたセグメントの重量のみによる負荷がかかり、総質量はグラムのオーダーである。
【0013】
最終的に管状セグメントの列を第2リールにコンパクトに再度巻き付けることができるようにするために、列はバッファと第2リールとの間で付勢され得る。
【0014】
溶接装置内で優勢な温度は、溶接装置を通じて液体を循環させることにより、各溶接操作中、実質的に一定に保たれ得る。このような液体冷却により、チューブのプラスチック材料を、単位時間当たりの溶接操作が多い場合でも冷たく保つことができる。これは、高周波溶接の場合に特に重要である。何故なら、プラスチックによる高周波エネルギーの吸収が高温で増長し、これにより変動が減少するよりはむしろ増加するからである。
【0015】
各溶接操作がチューブの両側に配置された2つの電極により実行される際、2つの電極の温度が実質的に同じに保たれることが好ましい。これにより、チューブの材料の対称的な加熱が達成され、その結果、溶接接続部が各ケースで電極間において正確に中間で形成される。ここで、電極はまた、チューブに対して対称的な形態をとることができ、これは加熱の対称性を更に高める。
【0016】
最後に、1つ又は複数の溶接パラメータが各溶接操作中に記録され、チューブ内の液体に関するデータと共に格納され得る。個々の溶接接続部の品質に関する情報、従って、決定したグループ又はバッチに属する液体充満パッケージの品質に関する情報は、溶接パラメータの格納された値から任意の時点で導き出すことができる。
【0017】
格納されたパラメータ及び/又はデータの少なくとも一部は、第2リール上に配置され得、そのため、パッケージの更なる使用において、その品質に関する情報が常に利用可能である。
【0018】
本発明は更に、液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するためのシステムに関し、このシステムは、第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するための第1リールを有する供給装置と、チューブを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するための溶接装置とを備える。そのような方法は、同様に国際公開第2018/208152A1号から知られている。
【0019】
本発明によれば、このシステムには、チューブを、実質的に機械的張力なしで溶接装置を通じて移動させる目的で溶接装置と協働する変位手段が設けられる。変位手段は、チューブを実質的に垂直に溶接装置を通じて移動させるように構成される。
【0020】
本発明に従うシステムの更なる実施形態は従属請求項14-26に記載される。
【0021】
最後に、本発明はまた、上述したシステムにおける適用が明らかに企図される変位装置、温度制御手段、記録手段に関する。
【0022】
本発明は、以下、実施形態に基づいて説明され、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に従う無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するためのシステムの概略正面図である。
図2図2は、図1の矢印IIによる拡大スケールの詳細図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、図1のシステムの溶接装置の電極の概略図である。
図5図5は、バッファと巻き取りリールとの間の付勢部材を概略的に示す。
図6図6は、本発明に従うシステムの異なる構成要素を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するためのシステム1は、液体で少なくとも部分的に満たされたチューブ3を供給するための供給装置2と、連続的な溶接操作(図1)によりチューブ3を多数の管状セグメント5に分割するための溶接装置4とを備える。本発明の第1の態様によれば、システム1には、機械的張力又は外部の張力なしで溶接装置4を通じてチューブ3を変位させる目的で、溶接装置4と協働する変位手段6が更に設けられる。チューブ3の変位の方向は、矢印Mで示される。図示の例において、変位手段6は、溶接装置の上流で溶接装置4に向けて圧力を作用させることによりチューブを移動させるように構成され、チューブ3の両側に配置された2つのプロファイルコンベヤローラ7(図2)を備える。
【0025】
コンベヤローラ7は、駆動部33(図6)により反対方向に回転駆動され、ここではそれぞれ、それらの周囲にV字形の溝8が設けられる。そのため、チューブ3の両側のコンベヤローラ7は共に、チューブ3の断面外形とは異なる外形を形成する。チューブ3の円形断面(図3に破線で示されている)は、これにより、コンベヤローラ7を通過する時、ひし形断面又は正方形断面(図3に実線で示される)へと一時的に変形する。この断面の局所的変化により、コンベヤローラ7はチューブ3の周囲をしっかりと把持し、これによりコンベヤローラ7は、送り込み管37を通じて所望の速度でチューブ3を溶接装置4へと正確に搬送することができる。
【0026】
供給装置2は、ここでは第1リール9を備える。システム1は、第2リール11を有する巻き取り装置10を更に備える。第1リール9及び第2リール11は、溶接装置4の異なる側に配置され、第1リール9及び第2リール11にはそれら自体の駆動部が設けられる。この例のように、2つのリール9、11の一方が駆動され、他方のリールが自由回転態様で取り付けられ、又はブレーキがかけられることさえも可能である。この場合、溶接装置4を通るチューブ3の移動は、駆動型コンベヤローラ7によって専ら実現され、供給リール9は自由回転形態を採ることができる。巻き取りリール11には駆動部28(図6)が設けられ、この駆動部28は、コンベヤローラ7の駆動部33と同様に、システム1の制御装置25によって制御される。
【0027】
供給リール9及び巻き取りリール11を利用することにより、チューブ3はシステム1に配置される前に容易に取り扱うことができ、その一方、管状セグメント5の列は、その後、他の装置で個々の管状パッケージに分割される前に同様に容易に取り扱うことができる。供給リール9及び巻き取りリール11はここでは、矢印R1、R2に従って反対方向に回転可能であり、そのため供給リール9はその上側で外側から内側へと巻き解かれ、他方、巻き取りリール11は同様に上側で内側から外側へと巻き取られる。それ故、供給リール9上のチューブ3の巻き取り方向は、巻き取りリール11上の管状セグメント5の列の巻き取り方向と同じであり、そのため2つのリール9、11を同様の態様で取り扱うことができる。
【0028】
本発明の一態様によれば、変位手段6は、溶接装置4を通じてチューブ3を実質的に垂直に変位させるように構成される。図示のシステムでは、これは、第1リール9がシステム1において第2リール11よりも高い高さに配置されることで成就される。
【0029】
ここで、システム1には、溶接装置4と第2リール11との間に配置されたバッファ12が更に設けられる。このバッファ12は、ここでは、管状セグメント5の列を、巻き取りリール11で巻き取る前に溶接装置4の下にループLで垂れ下げることにより形成される。そのため、管状セグメント5の列が巻き取りリール11に巻き取られる速度は、溶接装置4においてセグメント5間に溶接接続部13が形成される速度から切り離すことができる。これにより溶接接続部13は、巻き取りリール11に巻き取られることによって負荷がかけられる前に冷却するのに十分な時間を有することができる。溶接装置4とバッファ12との間の新しい溶接接続部13に作用する唯一の負荷は、管状セグメント5の列の重量であり、これは数グラムのオーダーである。従って、列は、いずれの場合でも、溶接操作中、実質的に応力を受けない。
【0030】
各溶接操作により、ループLの長さは、降下してセンサ14、例えば光ビームを通過する(破線と文字L’で示される)まで増長する。このセンサ14はここでは、制御装置25に接続される。制御装置25は、列の一部が再び巻き取られるように巻き取りリール11の駆動部28を制御する。
【0031】
管状セグメント5の列を十分にコンパクトに巻き取ることができるように、付勢部材22が、図示の例ではバッファ12と巻き取りリール11との間に配置され、これにより列は巻き取り前に付勢される。この時点で、溶接接続部13は既に十分に冷却及び硬化され、張力の張りの下に置かれる。そのため付勢部材22は、実際、列が走行する経路の張力のない部分、すなわちコンベヤローラ7から溶接装置4を通りバッファ12を通る部分と、列に再度(軽く)負荷がかかる部分との間に移行を形成する。この例では、付勢部材22は、列が搬送される連続開口部23を有する。この開口部23は、各溶接接続部13の幅Wよりもわずかに小さい直径dを有し、そのため列が開口部23を通過する時に一瞬つっかえ、これにより付勢される。
【0032】
本発明の一態様によれば、システム1には、各溶接操作中に溶接装置4において優勢な温度を実質的に一定に保つための温度制御手段36を設けることができる。図示の例では、これらの温度制御手段36は、溶接装置4を通じて液体を循環させるように構成される。このような液体冷却は、従来の空冷よりも大きい冷却能力を有する。これは重要であり、何故なら本発明によるシステム1が、比較的短時間で多数の溶接操作、例えば時間当たり1000溶接を実行するように構成されるからである。これにより溶接装置4は、効果的に冷却されない場合、急速に熱くなるであろう。
【0033】
この例では、溶接装置4は、チューブ3の両側に配置された2つの電極15を有し、その一方は固定され、他方は矢印S(図4)に従って往復ストロークを行うことができる。従って、温度制御手段は、2つの電極15の温度を実質的に一定に保つように構成されるが、加えて、チューブ3の両側の温度を可能な限り同じに保つようにも構成される。これは、チューブ3が2つの側面から対称的に加熱されることを保証するために重要であり、これにより溶接接続部13は、2つの電極15間において正確に中間で形成される。
【0034】
温度制御手段36は、例えばアルミニウムである容易導電性材料からなる2つの本体16を備え、本体16内にチャネル17が形成され、チャネル17を通じて冷却液が流入側の接続部18から流出側の接続部19へと流れることができる。ここで、各電極15は全体として本体16と共に形成され、これにより優れた熱伝達が保証される。更に、電極15及び冷却本体16は比較的小さい形状を採り、これによりそれらは低い熱含量を有し、従って急速に加熱及び冷却される。そのため最適な温度制御が保証される。ここでの追加要因は、関連する冷却本体16を有する各電極15が絶縁体24によりシステム1の他の部分から分離され、これにより電極の温度がシステム1の周囲部分により影響を受けないことである。
【0035】
図示の例では、温度制御手段36は、電極15の温度を制御するだけでなく、溶接装置4の他の構成要素、特に発電機26の温度をも制御するように作動する。発電機26は多くの熱を発生させ、そのため多くの冷却を必要とする。図示の例では、この発電機26はそのため、電極15と同様に液体冷却される。溶接装置4の周波数コントローラ27は、温度制御手段36に接続することもできる。
【0036】
本発明の更に別の態様によれば、発電機26、周波数コントローラ27及び電極15を含む溶接装置4全体は、システム1に解放可能に受け入れることができる。そのため、溶接装置4は、故障の際や定期的メンテナンスのために迅速かつ簡易な態様で解放及び交換することができる。そのため修理及び保守作業は現場で行う必要はなく、専門のワークショップで行うことができ、他方、システム1は、交換用の溶接装置4が据え付けられた後はすぐに再使用できる。
【0037】
最後に、本発明の一態様によれば、システムには、各溶接操作中に1つ又は複数の溶接パラメータを記録する目的で、及び、チューブ3にパッケージ化された液体に関するデータと共に溶接パラメータの記録値を格納する目的で溶接装置4に接続される記録手段を設けることができる。上記液体に関するデータは既知のソースから発生する。この情報は、メモリ35又は記憶媒体29に格納することができる。記録手段は、システム1の既述した制御装置25の一部を形成することができる。この制御装置25は、通常の態様でプロセッサ34及び前記メモリ35を備え、制御信号を溶接装置4に送信し、溶接パラメータを溶接装置4から受信することができる。
【0038】
システムのユーザは、GUI(グラフィカルユーザインターフェース)20を介してこの制御装置と通信することができる。GUIは、ここでは概略的に示され、入力手段31及び表示手段32が組み合わされる。
【0039】
記録手段は、格納された情報の概要を第2リール11上に配置するように構成することができる。情報の概要は、管状セグメント5の品質及び完全性の表示を形成する。管状セグメント5はその後のステップにおいて液体を有する管状パッケージへと変形する。液体を有するチューブ3及び溶接パラメータに関するデータに加えて、使用されるシステム1のデータも記憶され、第2リール11上に配置することができる。この目的のために、システムには印刷ユニット30を設けることができ、これにより必要な全データがステッカー上に印刷可能であり、ステッカーは次いでリール11上に貼られる。記録された値はまた、いわゆるバッチ製造記録(BMR)の形態で生産チェーンにおける他のシステムに電子的に転送可能である。
【0040】
図示の例では、システム1は他の点では、直立ハウジング又はキャビネット21に受け入れられ、その前面が図1に示される。すべての駆動部、供給部、制御部等はキャビネット21内に組み込まれ、キャビネット21は前面を扉で閉じることもできる。これにより、システム1のすべての構成要素を、意図しない操作に対して保護する。これは、無菌液体の処理において特に重要である。扉は、溶接プロセスを外部から監視できるように、少なくとも部分的に透明とされ得る。システム1は、扉が開いた時に自動的にオフに切り換わるように構成可能である。
【0041】
従って、本発明に従う方法及びシステムは、迅速かつ簡易な態様で、工業的規模で、非常に高い品質及び再現性で、更に完全滅菌態様で、液体で満たされたチューブを液体で満たされた多数の個々の管状パッケージに分割することを可能にする。
【0042】
本発明は実施形態に基づいて上記で説明されたが、これは多くの方法で変更することができる。記述及び図示した本発明の異なる態様は、関連する効果を維持しながら、組み合わせて及び個別に適用することができる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するための方法であって、
第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するステップと、
前記第1リールから前記チューブを巻き出し、これを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するステップとを含み、
前記チューブは、実質的に垂直にかつ実質的に機械的張力なしで溶接装置を通じて移動する方法。
【請求項2】
前記チューブは、前記溶接装置の上流で前記溶接装置に向けて圧力を前記チューブに作用させることにより移動する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チューブは、プロファイルコンベヤローラにより移動し、
選択的に、前記チューブは、前記プロファイルコンベヤローラを通る移動中に一時的に変形する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記チューブは、各溶接操作後、第2リールに巻き取られ、選択的に、前記第1リールは、前記第2リールよりも高い位置に配置される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記チューブは、前記溶接装置と前記第2リールとの間のバッファに通され、選択的に、前記チューブは、前記バッファと前記第2リールとの間で付勢される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接装置を通じて液体を循環させることにより、各溶接操作中、前記溶接装置内で優勢な温度が実質的に一定に保たれ、選択的に、各溶接操作は、前記チューブの両側に配置された2つの電極により実行される請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
1つ又は複数の溶接パラメータが各溶接操作中に記録され、前記液体に関するデータと共に格納され、選択的に、前記格納されたパラメータ及び/又はデータの少なくとも一部は、前記第2リール上に配置される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
液体、特に無菌液体で満たされた多数の管状パッケージを製造するためのシステムであって、
第1リールに巻かれ、かつ少なくとも部分的に液体で満たされたチューブを供給するための第1リールを有する供給装置と、
前記チューブを連続溶接操作により多数の管状セグメントに分割するための溶接装置とを備え、
前記システムには、前記チューブを、実質的に機械的張力なしで前記溶接装置を通じて移動させる目的で前記溶接装置と協働する変位手段が更に設けられ、
前記変位手段は、前記チューブを実質的に垂直に前記溶接装置を通じて移動させるように構成されるシステム。
【請求項9】
前記変位手段は、前記溶接装置の上流で前記溶接装置に向けて圧力を前記チューブに作用させることにより前記チューブを移動させるように構成される請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記変位手段は、前記チューブの両側に配置されるプロファイルコンベヤローラを含み、選択的に、両側の前記プロファイルコンベヤローラは共に、前記チューブの断面外形とは異なる外形を形成する請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
第2リールを有する巻き取り装置が更に設けられ、前記第1及び第2リールは、前記溶接装置の異なる側に配置され、選択的に、前記供給装置及び前記巻き取り装置それぞれは、それぞれ自体の駆動部を含み、及び/又は、前記第1リールは、前記第2リールよりも高い位置に配置される請求項8~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記溶接装置と前記第2リールとの間に配置されたバッファが更に設けられ、選択的に、前記バッファと前記第2リールとの間に配置され、前記チューブに係合する付勢部材が更に設けられる請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
各溶接作業中、前記溶接装置内で優勢な温度を実質的に一定に保つための温度制御手段が更に設けられ、前記温度制御手段は、前記溶接装置を通じて液体を循環させるように構成され、選択的に、前記溶接装置は、前記チューブの両側に配置された2つの電極を備え、前記温度制御手段は、前記2つの電極の温度を実質的に同じに保つように構成される請求項8~12のいずれか1項にシステム。
【請求項14】
前記溶接装置は、前記システムに解放可能に受け入れられる請求項13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
溶接操作中に1つ又は複数の溶接パラメータを記録する目的で、及び、前記液体に関するデータと共に記録された溶接パラメータを格納する目的で溶接装置に接続される記録手段が更に設けられ、選択的に、前記記録手段は、格納されたパラメータ及び/又はデータの少なくとも一部を前記第2リール上に配置するように構成される請求項8~14のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】