IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エンノババイオ(チョーチアン)ファーマシューティカルズ カンパニー, リミテッドの特許一覧 ▶ シャンハイ エンノババイオ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2023-511610セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ阻害剤の調製およびその適用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ阻害剤の調製およびその適用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20230313BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 9/08 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61P29/00
A61P3/10
A61P25/18
A61P9/10
A61P9/08
A61P27/02
A61P25/04
A61K31/506
A61P35/00
A61P37/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545436
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2021073649
(87)【国際公開番号】W WO2021148032
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】202010076810.0
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522297018
【氏名又は名称】エンノババイオ(チョーチアン)ファーマシューティカルズ カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ENNOVABIO (ZHEJIANG) PHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1806, Building A, Science & Technology Park, No. 398 Mahuan Road, Lihai Town, Shaoxing Binhai District, Shaoxing, Zhejiang 312000, China
(71)【出願人】
【識別番号】521119946
【氏名又は名称】シャンハイ エンノババイオ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ENNOVABIO PHARMACEUTICALS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 404,Building 2,Lane 720 Cailun Road,China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone,Pudong New Area,Shanghai 201203,China
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シェンヤン
(72)【発明者】
【氏名】デン,ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,リー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チー
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ケ
(72)【発明者】
【氏名】シェー,シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,シューリー
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ユーアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ハイシャ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC29
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA18
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZB11
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ阻害剤の調製およびその適用を提供する。具体的には、本発明は、式Iに示される化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩を開示する。本発明は、上記の化合物がセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼを阻害できることをさらに開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩であって、
式I:
【化1】
ここで、
Aは、置換または非置換の5~12員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され、
は、H、置換または非置換のC1-C8アルキル基、置換または非置換の-(CH-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、-C(O)NRからなる群から選択され、
mは、1、2、3または4からなる群から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、H、F、-OH、=O、-CN、置換または非置換のC1-C8-アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換の-O-C3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-C6-C10アリール基、置換または非置換の-O-C1-C4アルキル-C6-C10アリール基、置換または非置換の-S-C1-C8アルキル基からなる群から選択されるか、またはR、Rは、単独で、または一緒にそれらが結合している炭素原子と一緒になって、3~8員の炭素環または3~8員の複素環を形成し(R、Rは、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合する)、
、Rは、それぞれ独立して、H、-OH、置換または非置換のC1-C8-アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-C6-C10アリール基、置換または非置換の-C1-C4アルキル基(C6-C10アリール基)、置換または非置換の-C1-C4アルキル基(C3-C8シクロアルキル基)からなる群から選択されるか、またはR、Rは、それらが結合している窒素原子と一緒になって置換または非置換の3~8員の複素環基を形成し、
条件は、上記の各基が一緒になって化学的に安定した構造を形成することであり、特に明記しない限り、上記のシクロアルキル基、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基は、単環、縮合環、架橋環またはスピロ環の任意の形態を含み、
特に明記しない限り、上記の「置換」とは、一つまたは複数の水素原子が、オキソ(=O)、ヒドロキシル基、置換または非置換のC5-C6シクロアルキル基、置換または非置換の一つの窒素原子を含む5~6員複素環、一つの酸素原子を含む4~6員複素環、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、フルオロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルコキシ基置換C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アミド基、C1-C6アルキルNH-、(C1-C6アルキル基)(C1-C6アルキル基)N-からなる群から選択される置換基によって置換されることを指し、前記置換は、上記の基が、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルカルボニル基からなる群から選択される基によって置換されることを表すことを特徴とする、
前記式Iに示される化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
、Rは、それぞれ独立して、H、F、=O、-CN、置換または非置換のC1-C8-アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換の-O-C3-C8シクロアルキル基からなる群から選択されるか、またはR、Rは、単独で、または一緒にそれらが結合している炭素原子と一緒になって3~8員の炭素環、または3~8員の複素環を形成する(R、Rは、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合する)ことを特徴とする、
請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体またはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記環Aは、置換または非置換の5-7員ヘテロ芳香族環であることを特徴とする、
請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体またはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記環Aは、
【化2】
からなる群から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体またはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記式Iの化合物は、以下の式:
【化3】
に示される構造を有することを特徴とする、
請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体またはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記化合物は、以下:
【化4】
からなる群から選択されることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体またはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
医薬組成物であって、
治療有効量の請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、SSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質によって調節される疾患を予防および/または治療するために使用され、好ましくは、前記疾患は、炎症性疾患および/または炎症関連疾患、糖尿病および/または糖尿病関連疾患、精神疾患、虚血性疾患、血管疾患、眼疾患、線維症、神経炎症性疾患、疼痛関連疾患、癌または組織移植拒絶からなる群から選択されることを特徴とする、
請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩または請求項7に記載の医薬組成物の使用であって、
SSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質によって調節される疾患を予防および/または治療するための薬物の調製に用いられることを特徴とする、前記使用。
【請求項10】
前記SSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質によって調節される疾患は、炎症性疾患および/または炎症関連疾患、糖尿病および/または糖尿病関連疾患、精神疾患、疼痛関連疾患、虚血性疾患、血管疾患、眼疾患、線維症、神経炎症性疾患、癌、線維症または組織移植拒絶からなる群から選択されることを特徴とする、
請求項9に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学の技術分野に関し、より具体的には、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(semicarbazide-sensitive amine oxidase、SSAO)は、ドーパミンキノン基を含むアミンオキシダーゼのクラスであり、血管接着タンパク質-1、VAP-1(vascular adhesion protein 1)としても呼ばれる、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼファミリーのメンバーに属する。動物の体内で、主にAOC3遺伝子によってコードされる。哺乳動物の平滑筋細胞、脂肪細胞、内皮細胞にはSSAOが豊富に含まれ、血管系、軟骨、腎臓等の様々な臓器にも発現される。哺乳動物において、SSAOは、膜結合型および可溶性の2種類に分類される。異なる種間、同じ種の異なる組織間の酵素の活性の差は、大きく異なる。SSAOは、内因性または食物中のアミンのアルデヒドへの代謝を触媒し、かつ過酸化水素およびアンモニアの同時生成が伴われる。体内の天然代謝基質は、主に脂肪族アミンおよび芳香族アミンであり、ここで、メチルアミン(Methylamine、MA)およびアミノアセトン(Aminoacetone)は、SSAOの生理的基質として認識され、それぞれホルムアルデヒドおよびグリオキサールに触媒される。内皮細胞において、SSAOは、血管接着タンパク質-1の形態で存在し、白血球と内皮細胞との接着、滲出プロセスを仲介する。
【0003】
大量の研究によると、SSAOおよびその代謝産物は、アテローム性動脈硬化症、糖尿病およびその合併症、肥満、脳卒中,慢性腎臓病,網膜病変,慢性閉塞性肺疾患(COPD)、自己免疫性疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、関節炎による疼痛、アルツハイマー病等の炎症関連疾患に密接に関連される。SSAO/VAP-1が癌生物学において重要な役割を果たすことが報告され、SSAO/VAP-1小分子阻害剤は、黒色腫およびリンパ腫における血管新生促進骨髄細胞の数を減少させる。近年の研究では、異常なSSAO機能が脂肪肝疾患等の肝疾患の発生および発症に関与することを示唆する。脂肪肝疾患は、炎症反応と合併して進行して非アルコール性脂肪肝に発展し、一定の割合の患者は、一定期間後に肝線維症、肝硬変さらには肝がんにまで進行する。
【0004】
SSAO機能が様々な炎症関連疾患の病理過程で重要な役割を果たしていることを考えると、異常なSSAOによって引き起こされる疾患を制御するための効率の阻害剤を見つけることは、非常に重要な価値および意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新しいクラスのSSAO阻害剤ならびにその調製方法および用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、式Iに示される化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩を提供し、
式I:
【化1】
ここで、
Aは、置換または非置換の5~12員ヘテロ芳香族環からなる群から選択され、
は、H、置換または非置換のC1-C8アルキル基、置換または非置換の-(CH-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、-C(O)NRからなる群から選択され、
mは、1、2、3または4からなる群から選択され、
、Rは、それぞれ独立して、H、F、-OH、=O、-CN、置換または非置換のC1-C8-アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換の-O-C3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-C6-C10アリール基、置換または非置換の-O-C1-C4アルキル-C6-C10アリール基、置換または非置換の-S-C1-C8アルキル基からなる群から選択されるか、またはR、Rは、単独で、または一緒にそれらが結合している炭素原子と一緒になって、3~8員の炭素環または3~8員の複素環を形成し(R、Rは、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合する)、
、Rは、それぞれ独立して、H、-OH、置換または非置換のC1-C8-アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-C6-C10アリール基、置換または非置換の-C1-C4アルキル基(C6-C10アリール基)、置換または非置換の-C1-C4アルキル基(C3-C8シクロアルキル基)からなる群から選択されるか、またはR、Rは、それらが結合している窒素原子と一緒になって置換または非置換の3~8員の複素環基を形成し、
条件は、上記の各基が一緒になって化学的に安定した構造を形成することであり、特に明記しない限り、上記のシクロアルキル基、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基は、単環、縮合環、架橋環またはスピロ環の任意の形態を含み、
特に明記しない限り、上記の「置換」とは、基上の一つまたは複数の水素原子が、オキソ(=O)、ヒドロキシル基、置換または非置換のC5-C6シクロアルキル基、置換または非置換の一つの窒素原子を含む5~6員複素環、一つの酸素原子を含む4~6員複素環、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、フルオロC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルコキシ基置換C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アミド基、C1-C6アルキルNH-、(C1-C6アルキル基)(C1-C6アルキル基)N-からなる群から選択される置換基によって置換されることを指、前記置換は、上記の基が、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルカルボニル基からなる群から選択される基によって置換されることを表す。
【0007】
別の好ましい例において、R、Rは、それぞれ独立して、H、F、=O、-CN、置換または非置換のC1-C8-アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換の-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換の-O-C3-C8シクロアルキル基からなる群から選択されるか、またはR、Rは、単独で、または一緒にそれらが結合している炭素原子と一緒になって3~8員の炭素環、または3~8員の複素環を形成する(R、Rは、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合する)。
【0008】
別の好ましい例において、前記環Aは、置換または非置換の5-7員ヘテロ芳香族環である。
別の好ましい例において、前記環Aは、
【化2】
からなる群から選択される。
【0009】
別の好ましい例において、前記式Iの化合物は、以下の式に示される構造を有する。
【化3】
別の好ましい例において、Rは、H、置換または非置換のC1-C8アルキル基、置換または非置換の-(CH-O-C1-C8アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、-C(O)NRからなる群から選択され、
ここで、mは、1、2、3、4である。
【0010】
別の好ましい例において、前記化合物は、以下からなる群から選択される。
【化4】
【0011】
本発明の第2の態様は、治療有効量の本発明の第1の態様に記載の化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0012】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、SSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質または活性によって調節される疾患を予防および/または治療するために使用され、好ましくは、前記疾患は、炎症性疾患および/または炎症関連疾患、糖尿病および/または糖尿病関連疾患、精神疾患、虚血性疾患、血管疾患、眼疾患、線維症、神経炎症性疾患、癌、疼痛、線維症または組織移植拒絶からなる群から選択される。
【0013】
別の好ましい例において、前記炎症性疾患および/または炎症関連疾患は、関節炎(若年性関節リウマチを含む)および関節炎による疼痛、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸症候群)、乾癬、喘息、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、皮膚炎症、眼病、接触性皮膚炎、肝炎、肝自己免疫性疾患、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性胆管炎、アルコール性肝疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性心不全、うっ血性心不全、虚血性疾患、脳卒中およびその合併症、心筋梗塞およびその合併症、脳卒中後の炎症性細胞破壊、滑膜炎、全身性炎症性敗血症等からなる群から選択される。
【0014】
別の好ましい例において、前記炎症は、関節炎(若年性関節リウマチを含む)および関節炎による疼痛、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸症候群)、乾癬、喘息、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、皮膚炎症、眼病、接触性皮膚炎、肝炎、肝自己免疫性疾患、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性胆管炎、アルコール性肝疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性心不全、うっ血性心不全、虚血性疾患、脳卒中およびその合併症、心筋梗塞およびその合併症、脳卒中後の炎症性細胞破壊、滑膜炎、全身性炎症性敗血症等からなる群から選択される。
【0015】
別の好ましい例において、前記疼痛は、筋肉痛、骨関節痛、神経因性疼痛、腫瘍による疼痛、腰痛、炎症性疼痛等からなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記糖尿病および/または糖尿病関連疾患は、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害または糖尿病性黄斑浮腫である。
別の好ましい例において、前記眼疾患は、ブドウ膜炎または黄斑変性症である。
【0016】
別の好ましい例において、前記線維症は、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、非アルコール性脂肪肝(NASHのような非アルコール性脂肪肝疾患)およびアルコール誘発を含む線維症による肝硬変肝硬変、腎線維症、強皮症、放射線誘発性線維症、および線維症による合併症からなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記神経炎症性疾患は、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、血管性認知症、多発性硬化症、慢性多発性硬化症等からなる群から選択される。
【0017】
別の好ましい例において、前記癌は、肺がん:乳がん:結腸直腸がん:肛門がん:膵臓腺がん:前立腺がん:卵巣がん:肝臓がんおよび胆管がん:食道がん:非ホジキンリンパ腫:膀胱がん:子宮がん:神経膠腫、神経膠芽腫、髄芽腫および他の脳腫瘍:腎がん:頭頸部がん:胃がん:多発性骨髄腫:精巣がん:胚細胞腫瘍:神経内分泌腫瘍:子宮頸がん:消化管、乳房および他の臓器の良性腫瘍:印環細胞がん:肉腫、線維肉腫、血管腫、血管腫症、血管周囲細胞腫、仮性血管腫間質過形成、筋線維芽細胞性腫瘍、線維腫症、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、脂肪腫、血管脂肪腫、顆粒膜細胞腫瘍、神経繊維腫、神経鞘腫、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋腫または平滑筋肉腫を含む間葉系細胞腫瘍からなる群から選択される。
【0018】
別の好ましい例において、前記糖尿病および/または糖尿病関連疾患は、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害または糖尿病性黄斑浮腫である。
別の好ましい例において、前記精神疾患は、大うつ病、双極性うつ病または注意欠陥多動性障害である。
【0019】
別の好ましい例において、前記虚血性疾患は、脳卒中および/またはその合併症、心筋梗塞および/またはその合併症または脳卒中後の炎症細胞による組織破壊である。
別の好ましい例において、前記血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、慢性心不全またはうっ血性心不全である。
【0020】
別の好ましい例において、前記関節炎は、変形性関節症、rheumatic arthritis、関節リウマチまたは若年性関節リウマチである。
別の好ましい例において、前記全身炎性症候群は、全身性炎症性敗血症である。
別の好ましい例において、前記炎症性腸疾患は、過敏性腸疾患である。
【0021】
別の好ましい例において、前記肝疾患は、肝自己免疫性疾患、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性胆管炎、アルコール性肝疾患または非アルコール性脂肪性肝疾患である。
別の好ましい例において、前記呼吸器疾患は、喘息、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎または気管支拡張症である。
【0022】
別の好ましい例において、前記眼睛疾患は、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜炎、自己免疫性眼炎症、血管新生および/またはリンパ新生による炎症または黄斑変性症である。
別の好ましい例において、前記皮膚疾患は、接触性皮膚炎、皮膚炎症、乾癬または湿疹である。
【0023】
別の好ましい例において、前記神経炎症性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、血管性認知症、多発性硬化症または慢性多発性硬化症である。
別の好ましい例において、前記非アルコール性脂肪性肝疾患は、非アルコール性単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患関連の原因となる肝硬変、または原発性肝がんである。
【0024】
本発明の第3の態様は、SSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質または活性によって調節される疾患を予防および/または治療するための薬物の調製に使用される、本発明の第1の態様に記載の化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩または本発明の第2の態様に記載の医薬組成物の用途を提供する。
【0025】
別の好ましい例において、前記SSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質または活性によって調節される疾患は、炎症性疾患および/または炎症関連疾患、糖尿病および/または糖尿病関連疾患、精神疾患、虚血性疾患、血管疾患、眼疾患、線維症、神経炎症性疾患、癌、線維症または組織移植拒絶からなる群から選択される。
【0026】
本発明の方法および用途の一実施形態において、疾患は、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病網膜病変、非アルコール性脂肪肝疾患および脈絡膜血管新生から選択される糖尿病誘発性疾患である。
【0027】
本発明の方法および用途の別の実施形態において、疾患は、神経炎症性疾患である。本発明の方法および用途の他の実施形態において、前記疾患は、肝線維症、肝硬変、腎線維症、特発性肺線維症および放射線誘発性線維症から選択される。本発明の方法および用途の他の実施形態において、疾患は、癌である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者らは、広範囲かつ綿密な研究を通じて、新規で効率的なSSAO小分子阻害剤のクラスを初めて発見した。これに基づいて、本発明を完成させた。
【0030】
用語
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に使用されるように、「含有」または「包括(含む)」という用語は、開放式、半閉鎖式および閉鎖式であり得る。言い換えれば、前記用語も、「基本的にからなる」、または「からなる」を含む。
【0031】
本明細書に使用されるように、「アルキル基」という用語は、炭素原子および水素原子のみかならり、かつ単結合によって分子の残りの部分に結合する、完全に飽和した直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖基を指し、例えば、1~12個(好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個)の炭素原子を有し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、2-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基等を含むがこれらに限定されない。本発明の場合、「C1-C6アルキル基」という用語は、1~6個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0032】
本明細書に使用されるように、「アルコキシ基」という用語は、アルキルオキシ基を指す。前記アルキル基は、上記で定義されたとおりである。
【0033】
本明細書に使用されるように、「シクロアルキル基」という用語は、炭素原子および水素原子のみからなる環状アルキル基を指す。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を含むがこれらに限定されず、前記シクロアルキル基は、任意選択で、縮合環、スピロ環または架橋環構造を有することができる。「C3-C5シクロアルキル基」とは、3~5個の炭素原子を有する環状アルキル基を指し、「C5-C6シクロアルキル基」とは、5~6個の炭素原子を有する環状アルキル基を指す。
【0034】
本出願において、基または他の基の一部として、「5~12員複素環基」または「5~12員複素環」という用語は、炭素原子、および窒素、酸素および硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子とからなる安定な5~12員非芳香族環基を意味する。本明細書で特に明記しない限り、複素環基は、単環、二環、三環またはそれ以上の環上環系であり得、それは、縮合環系、架橋環系またはスピロ環系を含み得、複素環基中の窒素、炭素または硫黄原子は、任意選択で酸化されることができ、窒素原子は、任意選択で要求化されることができ、複素環基は、部分的または完全に飽和されることができる。複素環基は、炭素原子またはヘテロ原子を介して、かつ単結合を介して、分子の残りの部分に結合することができる。縮合環を含む複素環基において、一つまたは複数の環は、以下で定義されるアリール基またはヘテロアリール基であり得、条件は、分子の残りの部分への結合点は、非芳香族環原子である。複素環基の例としては、テトラヒドロピロリル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基、チオモルホリニル基、2,7-ジアザ-スピロ[3.5]ノナン-7-イル、2-オキサ-6-アザ-スピロ[3.3]ヘプタン-6-イル、2,5-ジアザ-ジシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、アゼチジニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、チオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサジニル基、ジオキソラン、テトラヒドロイソキノリニル基、デカヒドロイソキノリニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、キナジニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、イソキサゾリジニル基、ジヒドロインドリル基、オクタヒドロインドリル基、オクタヒドロイソインドリル基、ピロリジン基、ピラゾリジン基、フタルイミド基等を含むがこれらに限定されない。
【0035】
本明細書に使用されるように、「一つの窒素原子を含む5~6員複素環」という用語は、環内に1個の窒素原子のみを含む5員または6員複素環を指す。
本明細書に使用されるように、「一つの酸素原子を含む4~6員複素環」という用語は、環内に1個の酸素原子のみを含む4員、5員または6員複素環を指す。
【0036】
本明細書に使用されるように、「5~6員芳香族環」という用語は、5員または6員の芳香族環を指す。
本明細書に使用されるように、「5~6員ヘテロ芳香族環」という用語は、窒素、硫黄および酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5員または6員芳香族環を指す。
本明細書に使用されるように、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0037】
本発明の化合物
本発明の化合物は、式Iに示される化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩である。
【0038】
本発明の化合物は、一つまたは複数のキラル炭素原子を含むことができるため、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体の形態を乗じさせることができる。各キラル炭素原子は、立体化学に基づいて(R)-または(S)-として定義されることができる。本発明は、すべての可能な異性体、ならびにそのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことを意図する。本発明の化合物の調製は、原料または中間体としてラセミ体、ジアステレオマーまたはエナンチオマーを選択することによって調製されることができる。光学活性異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製するか、または結晶化およびキラルクロマトグラフィー等の従来技術を使用して分割できる。
【0039】
個々の異性体の調製/分離のための従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、またはキラル高速液体クロマトグラフィーを使用したラセミ体(または塩または誘導体のラセミ体)の分割を含み、例えば、Gerald Gubitz and Martin G.Schmid(Eds.)、Chiral Separations、Methods and Protocols、Methods in Molecular Biology、Vol.243、2004、A.M.Stalcup、Chiral Separations、Annu.Rev.Anal.Chem.3:341-63、2010、Fumiss et al.(eds.)、VOGEL’S ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5.sup.TH ED.、Longman Scientific and Technical Ltd.、Essex、1991、809-816、Heller、Acc.Chem.Res.1990、23、128を参照することができる。
【0040】
「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される酸付加塩および薬学的に許容される塩基付加塩を含む。
【0041】
「薬学的に許容される酸付加塩」とは、他の副作用なしに遊離塩基の生物学的に有効性を保持する無機酸または有機酸で形成された塩を指す。無機酸塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等を含むがこれらに限定されず、有機酸塩は、ギ酸、酢酸塩、2,2-ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ウンデシレン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、セバシン酸塩、アジピン酸塩、グルタル酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、桂皮酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、ベシル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、4-アミノサリチル酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩等を含むがこれらに限定されない。これらの塩は、当技術分野で知られている方法によって調製されることができる。
【0042】
「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、他の副作用なしに遊離酸の生物学的利用能を保持する無機塩基または有機塩基で形成された塩を指す。無機塩基に由来する塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩等を含むがこれらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩は、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミン、例えば、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂を含むがこれらに限定されず、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等である。好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインを含む。これらの塩は、当技術分野で知られている方法によって調製されることができる。
【0043】
調製方法
以下の反応スキームは、式Iに示される化合物またはその立体異性体またはラセミ体またはその薬学的に許容される塩を調製するための方法を例示的に説明し、ここで、各基は、上記のとおりである。以下の反応スキームにおいて、前記一般式における置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容されることを理解されたい。有機化学の分野の当業者は、本明細書に開示される方法(適切に置換された出発物質を適用し、かつ当業者に周知の方法を使用することにより、必要に応じて合成パラメーターを変更する)または既知の方法により、他の一般式を調製できることも理解されたい。
【0044】
以下に記載の方法において、中間体化合物の官能基を適切な保護基によって保護する必要がある場合があることも、当業者には理解されたい。このような官能基は、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基およびカルボン酸を含む。適切なヒドロキシル基保護基は、トリアルキルシリル基またはジアリールアルキルシリル基(例えば、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基またはトリメチルシリル基)、テトラヒドロピラニル基、ベンジル基等を含む。適切なアミノ基、アミジノ基およびグアニジノ基の保護基は、t-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を含む。適切なチオール保護基は、-C(O)-R’’(ここで、R’’は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基である)、p-メトキシベンジル基、トリチル基等を含む。適切なカルボキシル保護基は、アルキル基、アリール基またはアラルキルエステルを含む。
【0045】
保護基は、当業者に知られており、本明細書に記載されている標準的な技術に従って導入および除去することができる。保護基の使用については、Greene、T.W.およびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organi Synthesis、(1999)、4th Ed.、Wileyに詳細に期されている。保護基は、ポリマー樹脂でもあり得る。
【0046】
適用
本発明の化合物は、優れたSSAO阻害活性を有し、本発明の化合物を有効成分として含有する医薬組成物に使用されることができ、例えば、アテローム性動脈硬化症、糖尿病およびその合併症、肥満、脳卒中、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、自己免疫性疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、関節炎による疼痛、アルツハイマー病、眼病、肝疾患(例えば、脂肪肝、肝炎、肝線維症、肝硬変、肝がん)等のSSAOに関連する疾患またはSSAO/VAP-1タンパク質によって調節される疾患を予防および/または治療するために使用される。
【0047】
本出願において、「医薬組成物」という用語は、生物学的に活性な化合物を哺乳動物(例えば、ヒト)に送達するために当技術分野で一般に認められている媒体を用いた本発明の化合物の製剤を指す。当該媒体は、薬学的に許容されるベクターを含む。医薬組成物の目的は、生物への投与を容易にし、有効成分の吸収を促進し、次いで生物学的活性を発揮することである。
【0048】
本出願において、「薬学的に許容される」という用語は、本発明の化合物の生物学的活性または特性に影響せず、比較的非毒性である物質(例えば、ベクターまたは希釈剤)を指し、即ち、当該物質は、有害な生物学的応答を引き起こすことなく、または組成物に含まれる成分のいずれかと望ましくない形で相互作用することなく、個体に投与されることができる。
【0049】
本出願において、「薬学的に許容される賦形剤」は、関連する政府規制当局によってヒトまたは家畜の使用に許容されるものとして承認された任意のアジュバント、ベクター、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、香料、表面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒または乳化剤を含むがこれらに限定されない。
本出願において、「予防的」、「予防」および「防止」という用語は、患者における疾患または病症の発生または悪化の可能性を低減することを含む。
【0050】
本出願において、「治療」および他の類似な同義語は、以下の意味を含む。
(i)特にそのような哺乳動物が疾患または病症にかかりやすいが、疾患または病症と診断されていない場合、哺乳動物における疾患または病症の出現を予防する。
(ii)疾患または病症を阻害し、即ち、その進行を抑制する。
(iii)疾患または病症を緩和し、即ち、当該疾患または病症の状態の退縮を引き起こす。または
(iv)当該疾患または病症によって引き起こされる症状を軽減する。
【0051】
本出願において、「有効量」、「治療有効量」または「薬学的な有効量」という用語は、投与により治療される疾患または病症の一つまたは複数の症状をある程度軽減するのに十分な、少なくとも一つの薬剤または化合物の量を指す。その結果は、徴候、症状または病因の軽減および/または緩和、または生物系におけるその他の所望の変化であり得る。例えば、治療に使用される「有効量」は、状態の臨床的に有意な軽減を提供するために必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。個々の場合に適切な有効量は、用量漸増試験等の技術を使用して決定することができる。
【0052】
本出願において、「服用」、「投与」、「投薬」という用語は、生物学的作用のために所望の部位に化合物または組成物送達できる方法を指す。これらの方法は、経口経路、十二指腸経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、動脈内注射または注入を含む)、局所投与および直腸投与を含むがこれらに限定されない。当業者は、本明細に記載の化合物および方法に有用な投与技術に精通しており、例えば、Goodman and Gilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics、current ed.、Pergamon、and Remington’s、Pharmaceutical Sciences(current edition)、Mack Publishing Co.、Easton、Paで議論されたものである。好ましい実施形態において、本明細書で議論される化合物および組成物は、経口投与される。
【0053】
本出願において、「薬物の組み合わせ」、「薬物の併用」、「併用投与」、「他の治療の投与」、「他の治療剤の投与」という用語は、活性成分の固定および非固定の組み合わせを含む、複数の活性成分を混合または組み合わせることによって得られる薬物療法を指す。「固定された組み合わせ」という用語は、本明細書に記載の少なくとも一つの化合物および少なくとも一つの相乗剤を、単一の実体または単一の剤形の形態で患者に同時に投与することを指す。「固定されていない組み合わせ」という用語は、本明細書に記載の少なくとも一つの化合物と少なくとも一つの相乗的製剤とを別々の実体として患者に同時投与、併用投与、または可変間隔で順次投与することを指す。これらは、カクテル療法、例えば、三つ以上の有効成分の投与にも適用される。
【0054】
例えば、インビトロ試験で組換えヒトタンパク質または組換え非ヒト酵素を使用して、正常な齧歯類動物酵素を発現する細胞試験において、ヒトタンパク質をトランスフェクトした細胞試験において、げっ歯類動物および他の哺乳動物種類におけるインビボ試験において等で、様々な方法でSSAO/VAP-1のアミンオキシダーゼ活性を阻害するのに必要な量によって化合物の相対的阻害効力を決定できる。
【0055】
本発明は、式IおよびIIによって表される化合物を使用して、炎症性疾患を有する患者におけるSSAO/VAP-1を阻害する方法、および炎症性疾患を治療する方法をさらに開示する。ヒト炎症性疾患は、関節炎および関節炎による疼痛、クローン病、過敏性腸症候群、乾癬、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、関節硬化症、糖尿病による炎症および脳卒中後の炎症性細胞破壊を含む。
【0056】
従って、一態様において、本発明は、必要とする個体におけるアミンオキシダーゼを阻害する方法に関し、前記方法は、前記個体に有効量の式Iまたは式IIの化合物を投与して、正の治療応答を生じさせることを含む。
【0057】
別の態様において、本発明は、アミンオキシダーゼに関連する疾患を治療する方法に関し、前記方法は、必要とする個体に治療有効量の式Iまたは式IIの化合物を投与することを含む。
別の態様において、本発明は、SSAO/VAP-1によって調節される疾患を治療する方法に関し、前記方法は、必要とする個体に治療有効量の式Iまたは式IIの化合物を投与することを含む。
【0058】
上記の方法は、疾患が炎症である場合に適用されることができる。本明細書に使用されるように、「炎症」は、様々な適用症を含み、関節炎(若年性関節リウマチを含む)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸症候群)、乾癬、喘息、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、皮膚炎症、眼病、接触性皮膚炎、肝炎、肝自己免疫性疾患、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性胆管炎、アルコール性肝疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性心不全、うっ血性心不全、虚血性疾患、脳卒中およびその合併症、心筋梗塞およびその合併症、脳卒中後の炎症性細胞破壊、滑膜炎、全身性炎症性敗血症等を含む。
【0059】
上記の方法は、前記疾患がI型糖尿病およびその合併症、II型糖尿病およびその合併症等である場合にも適用されることができる。
上記の方法は、前記疾患が黄斑変性症および/または他の眼病である場合にも適用されることができる。
【0060】
上記の方法は、前記疾患が線維症である場合にも適用されることができる。本明細書に使用されるように、「線維症」は、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪肝(NASH)のような非アルコール性脂肪肝疾患およびアルコール誘発を含む線維症による肝硬変、腎線維症、強皮症、放射線誘発性線維症ならびに過剰な線維症が疾患病理学を促進する他の疾患等の疾患を含む。
【0061】
上記の方法は、神経炎症性疾患の治療にも適用されることができる。本明細書に使用されるように、「神経炎疾患」は、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、血管性認知症、多発性硬化症、慢性多発性硬化症等の様々な適応症を含む。
上記の方法は、筋肉痛、骨関節痛、神経因性疼痛、腫瘍による疼痛、腰痛、炎症性疼痛等からなる群から選択されるがこれらに限定されない疼痛関連疾患にも適用されることができる。
【0062】
上記の方法は、癌の治療にも適用されることができる。一実施形態において、前記癌は、肺がん:乳がん:結腸直腸がん:肛門がん:膵臓腺がん:前立腺がん:卵巣がん:肝臓がんおよび胆管がん:食道がん:非ホジキンリンパ腫:膀胱がん:子宮がん:神経膠腫、神経膠芽腫、髄芽腫および他の脳腫瘍:腎がん:頭頸部がん:胃がん:多発性骨髄腫:精巣がん:胚細胞腫瘍:神経内分泌腫瘍:子宮頸がん:消化管、乳房および他の臓器の良性腫瘍:印環細胞がん:肉腫、線維肉腫、血管腫、血管腫症、血管周囲細胞腫、仮性血管腫間質過形成、筋線維芽細胞性腫瘍、線維腫症、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、脂肪腫、血管脂肪腫、顆粒膜細胞腫瘍、神経繊維腫、神経哺瘤、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋腫または平滑筋肉腫を含む間葉系細胞腫瘍から選択される。
【0063】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてさらに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常従来の条件または製造業者によって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージと部数とは、重量パーセンテージと重量部数とで計算される。
以下の実施例で使用される実験材料および試薬は、特に明記しない限り、商業チャネルから入手することができる。
【0064】
中間体Aの合成:
t-ブチル(E)-(2-(ブロモメチル)-3-フルオロアリル)カルバメート
【化5】
【0065】
中間体A1:
【化6】
0~10℃下で、攪拌した3-アミノプロパン-1,2-ジオール(400g、4395.6mmol)およびトリエチルアミン(665.9g、6593.4mmol)のメタノール溶液(4L)に二炭酸ジt-ブチル(1040.1g、4835.2mmol)を加える。25℃下で反応液を2時間攪拌する。メタノール芽なくなるまで反応液を減圧濃縮する。濃縮物をジクロロメタン(5L)に溶解し、イミダゾール(448.6g、6593.4mmol)を加える。0~10℃下で、TBDMSCl(791.2g、5274.7mmol)のジクロロメタン(1L)溶液をゆっくりと滴下する。滴下完了後に室温下で2時間攪拌する。1%クエン酸溶液(2L)を加える。有機相を分離する。次に飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、無色の油状物を得る。当該油状物をn-ヘプタン(5L)で溶解し、イミダゾールおよびトリエチルアミンが残らなくなるまで5%食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、無色の油状物の粗生成物A1(1206.6g、91%)を得る。
【0066】
中間体A2:
【化7】
-78℃下で、窒素ガス雰囲気下で塩化オキサリル(203.4g、1603.2mmol)の無水ジクロロメタン(3000mL)溶液に無水ジメチルスルホキシド(158.4g、2030.8mmol)をゆっくりと滴下する。滴下完了後に、-78℃下で反応液を30分間攪拌する。反応液に化合物A1(326.0g、1068.8mmol)の無水ジクロロメタン(500mL)溶液をゆっくりと滴下する。滴下完了後に、-78℃下で反応液を1時間攪拌する。-78℃下でトリエチルアミン(545.1g、5344.0mmol)をゆっくりと滴下する。滴下完了後に、反応液を室温に昇温させ、反応液を1時間攪拌し続け、TLCによって反応をモニターリングする。反応液に原料がなくなった時点で、反応液に水(1000mL)を加え、有機層を分離し、水層をジクロロメタン(200mL×2)で抽出し、有機層を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物を3Lのn-ヘプタンに溶解し、トリエチルアミンが残らなくなるまで3%食塩水で洗浄し、次に濃縮して、粗生成物を得、蒸留および精製によって、無色の油状物の表題化合物A2(225.0g、70.1%)を得る。
【0067】
中間体A4:
【化8】
-68℃下で、中間体A3(438.0g、1148.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(1000mL)溶液にナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(2M、1673.0mL、3346.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと滴下する。滴下完了後に、-68℃下で反応液を1時間攪拌する。-68℃下で、反応液に中間体A2(290.0g、956.0mmol)のテトラヒドロフラン(400mL)溶液をゆっくりと滴下する。滴下完了後に、-68℃下で反応液を8時間攪拌する。反応液を0℃に昇温させ、0℃下で2時間攪拌する。LCMSによって反応ををモニターリングする。反応液に原料がなくなった時点で、反応液に水(1000mL)を加え、次いで酢酸エチル(500mL×3)で抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水(200mL×2)で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物に1kgのシリカゲルを加え、石油エーテルで溶出し、濃縮して、濃縮物を得る。濃縮物を減圧蒸留して、淡黄色の油状物の表題化合物A4(173.0g、46.2%、E/Z=10:1)を得る。MS(ESI):m/z=264.15[M-56+H]
【0068】
中間体A5:
【化9】
0℃下で、中間体A4(173.0g、538.9mmol、E:Z=10:1)のテトラヒドロフラン(400mL)溶液にTBAF四水和物(170.0g、538.9mmol)を加える。添加完了後に、反応液を室温に昇温させ、反応液を1時間攪拌する。LCMSによって反応をモニターリングする。反応液に原料がなくなった時点で、反応液に水(1000mL)を加えかつ酢酸エチル(400mL×2)で抽出し、有機相を合併し、0.1N塩酸水溶液(200mL×2)で洗浄し、飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物を減圧蒸留および精製して、淡黄色の油状物の表題化合物A5(104.0g、94.2%、E:Z=10:1)を得る。
【0069】
H NMR(400MHz、CDCl)δ 6.59(d、J=83.7Hz、1H)、5.01(brs、1H)、3.95(s、2H)、3.91(dd、J=6.5、1.6Hz、2H)、3.81(brs、1H)、1.43(s、9H)。
【0070】
中間体A:
【化10】
0℃下で、中間体A5(104.0g、507.3mmol)およびトリフェニルホスフィン(199.4g、761.0mmol)の無水1,2-ジクロロメタン(580mL)溶液にCBr(251.9g、761.0mmol)の無水1,2-ジクロロメタン(100mL)溶液をゆっくりと滴下する。滴下完了後に、反応液を室温に昇温し、かつ反応液を30分間攪拌する。LCMSによって反応をモニターリングする。反応液に原料がなくなった時点で、反応液を濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)によって精製して、白色の固体(104.0g、E:Z=10:1)の表題化合物Aを得る。石油エーテル(500mL)で2回再結晶化して、白色の固体の化合物A(85.5g、63.2%、E:Z=50:1)を得る。
【0071】
H NMR(400MHz、CDCl)δ 6.77(d、J=81.2Hz、1H)、4.76(brs、1H)、4.00(d、J=4.6Hz、2H)、3.95(dd、J=3.4、0.6Hz、2H)、1.45(s、9H)。
【0072】
中間体B:
t-ブチル(E)-(2-(((2-クロロピリミジン-5-イル)オキソ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバメート
【化11】
【0073】
中間体B:
【化12】
2-クロロピリミジン-5-オール(572mg、44.0mmol)、炭酸カリウム(7600mg、55.0mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(80mL)溶液に中間体A(9800mg、36.7mmol)を加え、50℃下で3時間加熱および反応させる。反応終了後に、反応液を室温に冷却し、水(800mL)にゆっくりと滴下し、固体がゆっくりと析出し、固体が均等になるまで室温下で2時間攪拌する。固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた後に、200mLの溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)を加えて6時間スラリー化し、固体をろ過し、乾燥させて、オフホワイトの固体の表題化合物B(9600mg、82.5%)を得る。MS(ESI):m/z=262.0[M-55]
【0074】
実施例1:(E)-1-(5-((2-(アミノメチル)-3-フルオロアリル)オキソ)ピリミジン-2-イル)-4-メチルピペリジン-4-オール
【化13】
【0075】
t-ブチル(E)-(3-フルオロ-2-(((2-(4-ヒドロキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)オキソ)メチル)アリル)カルバメート
【化14】
【0076】
4-メチルピペリジン-4-オール(70mg、0.6mmol)、中間体B(96mg、0.3mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に炭酸カリウム(125mg、0.9mmol)を加え、50℃下で16時間加熱および反応させる。反応終了後に、反応液を高速液体クロマトグラフィー(移動相:アセトニトリル/炭酸水素アンモニウム水溶液)によって精製して、白色の固体の表題化合物1A(100mg、84%)を得る。MS(ESI):m/z=397.0[M+H]
【0077】
(E)-1-(5-((2-(アミノメチル)-3-フルオロアリル)オキソ)ピリミジン-2-イル)-4-メチルピペリジン-4-オール
【化15】
【0078】
0℃条件下で、1A(100mg、0.25mmol)に塩酸の酢酸エチル溶液(4M、4mL)を加え、室温下で1時間反応させる。反応終了後に、濃縮した後に高速液体クロマトグラフィー(移動相:アセトニトリル/炭酸水素アンモニウム水溶液)によって精製して、黄色っぽいのゲル状物の表題化合物(59.4mg、79%)を得る。MS(ESI):m/z=297.2[M+H]
【0079】
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.12(s、2H)、6.98(s、0.5H)、6.77(s、0.5H)、4.51(d、J=2.8Hz、2H)、4.07(t、J=4.1Hz、1H)、4.04(t、J=4.2Hz、1H)、3.50-3.41(m、4H)、1.62-1.49(m、4H)、1.22(s、3H)。
【0080】
実施例2:(E)-1-(5-((2-(アミノメチル)-3-フルオロアリル)オキソ)ピリミジン-2-イル)-4-(メトキシメチル)ピペリジン-4-オール
【化16】
【0081】
t-ブチル(E)-(3-フルオロ-2-(((2-(4-ヒドロキシ-4-(メトキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)オキソ)メチル)アリル)カルバメートの調製
【化17】
【0082】
磁気攪拌機が備えられた10mLの密閉バイアルにt-ブチル(E)-(2-(((2-クロロピリミジン-5-イル)オキソ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバメート(50mg、0.157mmol)、4-(メトキシメチル)ピペリジン-4-オール塩酸塩(31mg、0.173mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(87mg、0.314mmol)およびN-メチルピロリドン(0.6mL)を順次に加える。当該反応液を90℃に加熱し、かつ18時間攪拌し、LCMSによって反応終了を検出する。反応液を室温に冷却した後に、ろ過し、ろ液を分取高速液体クロマトグラフィー(移動相:アセトニトリル/ギ酸)によって分離して、淡黄色の固体のt-ブチル(E)-(3-フルオロ-2-(((2-(4-ヒドロキシ-4-(メトキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)オキソ)メチル)アリル)カルバメート(18mg、26.8%)を得る。LCMS(ESI):m/z=427.0[M+H]
【0083】
(E)-1-(5-((2-(アミノメチル)-3-フルオロアリル)オキソ)ピリミジン-2-イル)-4-(メトキシメチル)ピペリジン-4-オールの調製
【化18】
【0084】
氷浴下で、t-ブチル(E)-(3-フルオロ-2-(((2-(4-ヒドロキシ-4-(メトキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)オキソ)メチル)アリル)カルバメート(18mg、0.042mmol)の酢酸エチル(0.2mL)溶液に塩酸-酢酸エチル溶液(4M,2.0mL)溶液を加える。25℃下で当該反応液を1時間攪拌する。LCMSによって反応を検出する。溶媒を減圧濃縮して、粗生成物を得、当該粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(移動相:アセトニトリル/ギ酸)によって分離して、白色の固体の(E)-1-(5-((2-(アミノメチル)-3-フルオロアリル)オキソ)ピリミジン-2-イル)-4-(メトキシメチル)ピペリジン-4-オール(11mg、80%)を得る。LCMS(ESI):m/z=327.2[M+H]
【0085】
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.55(s、1H)、8.19(s、2H)、7.17(d、J=81.4Hz、1H)、4.60(d、J=2.9Hz、2H)、4.31(d、J=13.2Hz、2H)、3.80(d、J=1.7Hz、2H)、3.40-3.35(m、4H)、3.26(s、2H)、1.64(ddd、J=23.0、16.0、8.9Hz、4H)。
【0086】
生物学的試験例1.インビトロでSSAO/VAP-1酵素活性を阻害する化合物の検出方法
当該検出方法は、異なる種のSSAO/VAP-1に対する本発明の化合物のインビトロ阻害活性を評価するために使用される。当該方法では、組換えヒトSSAOタンパク質またはマウスSSAOタンパク質またはラットSSAOタンパク質(Eli Lilly会社によって提供される)を使用する。酵素活性検出キットMAO-Glo Assays kit(V1402)は、Promega会社から購入される。酵素反応緩衝液(50mMのHEPES、120mMのNaCl、5mMのKCl、2mMのCaCl、1.4mMのMgCl、0.001%Tween-20、pH7.4)を調製する。試験化合物をDMSOに溶解し、3倍濃度勾配で希釈し、SSAOの検出のための10μlの反応系の試験化合物の最終濃度は、1μM~0.05nMである。検出反応中のDMSO含有量は、1%である。試験化合物のDMSO溶液を酵素反応緩衝液で体積比1:25に希釈した後、検出プレートの各ウェルに2.5μlを加え、各濃度につき二つのデュープリケートウェルを複製する。各ウェルに5μlの酵素反応緩衝液で希釈したSSAOタンパク質を加え、10μl反応系での最終濃度は、10nM~80nMである。室温下で10分間インキュベートする。各ウェルに2.5μlの酵素反応緩衝液で希釈した反応基質を加え、10μlの反応系での最終濃度は、10μMである。室温下で120分間反応させた後に各ウェルに10μlの検出試薬を加える。室温下で20分間インキュベートし、Synergy Neo 2でプレート検出を読み取る。数値は、以下の式により読み取り数値を阻害率に換算する。
【数1】
【0087】
Signalpositiveは、試験化合物を含まない陽性対照であり、Signalnegativeは、試験化合物およびSSAOを含まない陰性対照であり、Signaltestは、異なる化合物の各濃度の検出値である。4パラメーター曲線フィッティングによりIC50データを計算する。化合物の試験範囲内ですべて50%未満の阻害率を示す化合物については、IC50数値は、最高試験濃度よりも高いと報告される。
検出により、本発明の実施例の化合物は、異なる種のSSAO/VAP-1酵素活性を効果的に阻害することができ、結果は、表1に示される。
【0088】
生物学的試験例2.MAO-A、MAO-B酵素活性を阻害する化合物の検出
組換えヒトMAO-A、MAO-Bタンパク質は、Sigma(M7316、M7441)から購入される。他の試薬は、生物学的試験例1と同じである。MAO-A、MAO-Bを検出する場合に、10μlの反応系中の試験化合物の最終濃度は、100μM~5nMである。10μlの反応系中のMAO-A、MAO-Bタンパク質の最終濃度は、それぞれ70nMおよび300nMである。他の反応条件は、生物学的試験例1と同じである。データ分析およびIC50計算方法は、生物学的試験例1と同じである。化合物の試験範囲内ですべて50%未満の阻害率を示す化合物については、IC50数値は、最高試験濃度よりも高いと報告される。結果は、表1に示される。
【0089】
生物学的試験例3.AOC1酵素活性を阻害する化合物の検出方法
組換えヒトAOC1/DAOタンパク質は、R&D systems(Cat:8298-AO)から購入される。Amplex UltraRedは、Thermo scientific(Cat:A36006)から購入される。HRP(Cat:P8250)、Putrescine(Cat:V900377)は、Sigmaから購入される。酵素反応緩衝液(50mMのHEPES、120mMのNaCl、5mMのKCl、2mMのCaCl、1.4mMのMgCl、0.001%Tween-20、pH7.4)を調製する。試験化合物をDMSOに溶解し、3倍濃度勾配で希釈し、AOC1の検出のための10μlの反応系の試験化合物の最終濃度は、100μM~5nMである。検出反応中のDMSO含有量は、1%である。試験化合物のDMSO溶液を酵素反応緩衝液で体積比1:25に希釈した後、検出プレートの各ウェルに10μlを加える。酵素反応緩衝液で4×基質混合物(400μMのPutrescine、4U/mlのHRP、4μMのAmplex UltraRedを含む)を調製し、各ウェルに10μlを加える。各ウェルに20μlの酵素反応緩衝液で希釈したAOC1タンパク質を加え、40μl反応系での最終濃度は、0.4nMである。Synergy Neo 2でプレート検出を読み取り、装置については、温度を30℃に、励起波長を530nm二、透過波長を590nm二設定し、1分ごとに1回検出し、30分間検出し続ける。各ウェルの10分目から30分目までの増加数値として酵素活性を計算する。数値は、以下の式により読み取り数値を阻害率に換算する。
【数2】
【0090】
Signalpositiveは、試験化合物を含まない陽性対照であり、Signalnegativeは、試験化合物およびAOC1を含まない陰性対照であり、Signaltestは、異なる化合物の各濃度の検出値である。4パラメーター曲線フィッティングによりIC50データを計算する。化合物の試験範囲内ですべて50%未満の阻害率を示す化合物については、IC50数値は、最高試験濃度よりも高いと報告される。
結果は、表1に示される。
【0091】
生物学的試験例4.AOC2酵素活性を阻害する化合物の検出方法
組換えヒトAOC2タンパク質は、Eli Lilly会社によって提供される。他の試薬は、生物学的試験例1と同じである。AOC2を検出する場合に、10μlの反応系中の試験化合物の最終濃度は、100μM~5nMである。10μlの反応系中のAOC2タンパク質の最終濃度は、10nMである。他の反応条件は、生物学的試験例1と同じである。データ分析およびIC50計算方法は、生物学的試験例1と同じである。化合物の試験範囲内ですべて50%未満の阻害率を示す化合物については、IC50数値は、最高試験濃度よりも高いと報告される。結果は、表1に示される。
【0092】
表1.異なる種におけるSSAOおよび他のアミンオキシダーゼに対する本発明の化合物のインビトロ阻害活性IC50(nM)
【表1】
【0093】
上記の結果は、本発明の化合物がAOC3に対して非常に良好な阻害活性を有し、AOC3サブタイプに対して非常に良好な選択制を有することを示す。
【0094】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態もまた添付の本出願の特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解されたい。
【国際調査報告】