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▶ エルブイエムエイチ レシェルシェの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230314BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230314BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230314BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230314BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230314BHJP
   A61K 8/68 20060101ALI20230314BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230314BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230314BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/06
A61K8/33
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/68
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K8/39
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537593
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 IB2019001401
(87)【国際公開番号】W WO2021123857
(87)【国際公開日】2021-06-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】金 ボラ
(72)【発明者】
【氏名】小澤 舞
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB04
4C083CC02
4C083CC11
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE05
(57)【要約】
本発明は、(a)水性媒体、(b)2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、(c)炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物、(d)(d-1)微生物由来の多糖類、及び(d-2)(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリロイルアルキルタウリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を構成単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを含む増粘剤、並びに(e)非イオン界面活性剤を含有する水中油型乳化化粧料を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水性媒体、
(b)2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、
(c)炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物、
(d)(d-1)微生物由来の多糖類、及び(d-2)(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリロイルアルキルタウリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を構成単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを含む増粘剤、並びに
(e)非イオン界面活性剤
を含有する水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
(f)セラミドを更に含有する、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記非イオン界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
前記2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩が、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそれらのアルカリ金属塩からなる群より選択され、好ましくはステアリン酸又はそのアルカリ金属塩及びベヘン酸又はそのアルカリ金属塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
前記炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が、モノステアリルグリセリルエーテルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
前記微生物由来の多糖類が、キサンタンガムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーからなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
前記非イオン界面活性剤が、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸ポリエチレングリコールの組合せである、請求項1~7のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項9】
25℃における粘度が2000mPa・s以下であり、特に100mPa・sから2000mPa・sまでの範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項10】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料をケラチン物質、特に皮膚に適用することを含む方法。
【請求項11】
皮膚上に明るい又は光輝く顔色を提供するための、請求項10に記載の化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真珠光沢の外観を有するスキンケア製品が知られているが、そのような真珠光沢の外観は、マイカ/酸化スズなどのパール顔料によって作り出されている。しかし、これらのパール顔料は毛穴の詰まりや肌の乾燥を引き起こすことから、一般的にパール顔料を含むスキンケア製品は消費者に好まれていない。
【0003】
パール顔料によらず真珠光沢の外観を作り出した化粧料として、例えば、米国特許第6835700号に記載されているアルキレングリコールエステル等のロウ類、乳化剤、及びポリオールエステルを含有する化粧料組成物、国際公開第2010/046406号に記載されている高級脂肪酸と、アルカリ金属の高級脂肪酸石鹸を含有する化粧料組成物などが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記先行技術に記載の化粧料組成物は、ロウ類や高級脂肪酸を多く含有するために粘度が高く、塗布時にべたつき感や重い感触を与えてしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、パール顔料を含むことなく真珠光沢の外観を有し、塗布時に軽いテクスチャーを与えることのできる、安定な水中油型乳化化粧料を提供することにある。ここで、「真珠光沢の外観」とは、水中油型乳化化粧料1mgを黒色のプレートに塗布して視覚的に評価される真珠のような外観を意味する。本発明の組成物は、皮膚上に適用された場合、皮膚をより若く見えるようにするための、明るい又は光輝く顔色を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)水性媒体、(b)2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、(c)炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物、(d)(d-1)微生物由来の多糖類、及び(d-2)(メタ)アクリル系ポリマーを含む増粘剤、並びに、(e)非イオン界面活性剤を含有する水中油型化粧料を提供する。なお、「(a)水性媒体」を、単に「(a)成分」と呼ぶ場合があり、他の構成についても同様に略称する。また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、他の類似の骨格においても同様である。
【0007】
本発明の水中油型乳化化粧料は、(f)セラミドを更に含有するとよい。(f)成分を含有することで、塗布時に一層の潤いを与えることができる。
【0008】
本発明の水中油型乳化化粧料において、(e)非イオン界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種であるであるとよい。これにより、水中油型乳化化粧料の安定性がより優れたものとなる。
【0009】
本発明の水中油型乳化化粧料の25℃における粘度は、2000mPa・s以下であるとよい。粘度が上記範囲内であると、塗布時により軽いテクスチャーを与えることができる。
【0010】
本発明はまた、本発明で定義される水中油型乳化化粧料をケラチン物質、特に皮膚に適用することを含む、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法に関する。特に、本発明の化粧方法は、皮膚上に明るい又は光輝く顔色を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パール顔料を含むことなく真珠光沢の外観を有し、塗布時に軽いテクスチャーを与えることのできる、安定な水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
水性媒体
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、(a)水性媒体を含有する。水性媒体は、水のみを含むものであってもよく、水に可溶な溶媒を更に含むものであってもよい。
【0014】
水としては、蒸留水、精製水、温泉水、深層水の他、ラベンダー水、ローズ水、オレンジフラワー水等の植物由来の水蒸気蒸留水を用いることができる。
【0015】
水に可溶な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、フェノキシエタノール等のモノオール;エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコールが挙げられる。水に可溶な溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
(a)水性媒体の含有量は、全質量基準で80~95質量%であることが好ましく、90~95質量%であることがより好ましい。なお、本明細書において「全質量基準」とは、水中油型乳化化粧料の全質量を基準とするという意味である。「質量%」は、以下「重量%」ともいう。
【0017】
高級脂肪酸
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、(b)2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩を含有する。
【0018】
炭素数12~24の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0019】
炭素数12~24の高級脂肪酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
【0020】
2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩の組合せとしては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びそれらのアルカリ金属塩からなる群より選択される2種以上が挙げられる。これらの中でも、より輝きのある真珠光沢を呈することができることから、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそれらのアルカリ金属塩からなる群より選択される2種の組合せが好ましく、ステアリン酸又はそのアルカリ金属塩、及びベヘン酸又はそのアルカリ金属塩の組合せがより好ましい。
【0021】
(b)成分の含有量は、全質量基準で0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。(b)成分の含有量を上記範囲とすることで、水中油型乳化化粧料の真珠光沢の外観がより良好なものとなり、かつ塗布時により軽いテクスチャーを与えることができる。
【0022】
エーテル
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、(c)炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する。
【0023】
炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルは、炭素数12~24の高級アルコールとグリセリン分子中の1つの水酸基がエーテル結合した化合物群である。
【0024】
炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノラウリルグリセリルエーテル、モノミリスチルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル(キミルアルコール)、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、モノイソステアリルグリセリルエーテル、モノアラキジルグリセリルエーテル、モノベヘニルグリセリルエーテル等が挙げられる。炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノパルミトレイルグリセリルエーテル、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)、モノリノレイルグリセリルエーテル、モノリノレニルグリセリルエーテル等が挙げられる。(c)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(c)成分の中でも、より輝きのある真珠光沢を呈することができることから、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)が好ましい。
【0025】
(c)成分の含有量は、全質量基準で0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。(c)成分の含有量を上記範囲とすることで、水中油型乳化化粧料の真珠光沢の外観がより良好なものとなり、かつ塗布時により軽いテクスチャーを与えることができる。
【0026】
(b)成分及び(c)成分としては、より明るい真珠光沢を示すことができることから、少なくとも(i)2種以上の炭素数12~24の高級脂肪酸、(ii)炭素数12~24のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数12~24のアルケニル基を有するモノアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物、及び(iii)アルカリ金属水酸化物を混合し、加熱して得られる組成物を用いることが好ましい。なお、上記(b)成分及び(c)成分として、ステアリン酸又はそのカリウム塩、ベヘン酸又はそのカリウム塩、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)及びセラミド3を含有する、Mizoan(登録商標) Cerawax-Bril(Biobeautech社製)を用いることもできる。
【0027】
増粘剤
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、(d)(d-1)微生物由来の多糖類、及び(d-2)(メタ)アクリル系ポリマーを含む増粘剤を含有する。
【0028】
本明細書において「微生物由来の多糖類」とは、微生物が産生した物質を精製、加工等することにより得られる多糖類を意味する。微生物由来の多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、スクレロチウムガム、アルカリゲネス産生多糖体、シロキクラゲ多糖体等が挙げられる。(d-1)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(d-1)成分の中でも、水中油型乳化化粧料の安定性に優れることから、キサンタンガムが好ましい。
【0029】
本明細書において「(メタ)アクリル系ポリマー」とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体を構成単位として含むポリマーを意味する。特定の実施形態において、(メタ)アクリル系ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸塩、並びに(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロイルアルキルタウリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1つを構成単位として含むポリマーからなる群より選択される。(メタ)アクリル系ポリマーは、親水性であることが好ましい。別の態様として、(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリロイルアルキルタウリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を構成単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。(メタ)アクリル酸又はその塩を構成単位として含むポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルを構成単位として含むポリマーの具体例としては、(アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー、(アクリレーツ/エチルヘキシルアクリレート)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25)コポリマー等が挙げられる。(メタ)アクリロイルアルキルタウリン又はその塩を構成単位として含むポリマーの具体例としては、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチルアンモニウム)クロスポリマー、(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/VP)クロスポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。(d-2)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(d-2)成分の中でも、水中油型乳化化粧料の安定性に優れることから、ポリ(メタ)アクリル酸塩、並びに(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロイルアルキルタウリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1つを構成単位として含むポリマーが好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーがより好ましく、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーがさらに好ましい。なお、本明細書において「VP」とは、ビニルピロリドンを意味する。
【0030】
(d)成分における(d-1)成分及び(d-2)成分の組合せとしては、上記(d-1)成分として例示した各成分、及び上記(d-2)成分として例示した各成分の組合せであればよく、これらの中でも、水中油型乳化化粧料の安定性に特に優れることから、キサンタンガム、並びにポリアクリル酸ナトリウム、(アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーからなる群より選択される1種との組合せが好ましく、キサンタンガムと(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーとの組合せがより好ましい。
【0031】
(d)成分は、(d-1)成分及び(d-2)成分に加えて、(d-1)成分以外の多糖類(例えば、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、寒天、アルギン酸又はその塩、デンプン、デキストリン等)を含有してもよい。
【0032】
(d)成分の含有量は、全質量基準で0.1~6質量%であることが好ましく、0.2~4質量%であることがより好ましい。(d)成分の含有量を上記範囲とすることで、水中油型乳化化粧料の安定性がより優れたものとなる。
【0033】
(d)成分のうち、(d-1)成分の含有量は、全質量基準で0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。(d-1)成分の含有量を上記範囲とすることで、水中油型乳化化粧料の安定性がより一層優れたものとなる。
【0034】
(d)成分のうち、(d-2)成分の含有量は、全質量基準で0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。(d-2)成分の含有量を上記範囲とすることで、水中油型乳化化粧料の安定性がより一層優れたものとなる。
【0035】
非イオン界面活性剤
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、(e)非イオン界面活性剤を含有する。
【0036】
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド(例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ココグリコシド)、脂肪酸ポリエチレングリコール(例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール)、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10)等が挙げられる。非イオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(e)成分としては、水中油型乳化化粧料の安定性に優れることから、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸ポリエチレングリコールの組合せがより好ましい。
【0037】
(e)成分の含有量は、全質量基準で0.5~5質量%であることが好ましく、1~4質量%であることがより好ましい。(e)成分の含有量を上記範囲とすることで、水中油型乳化化粧料の安定性がより優れたものとなる。
【0038】
セラミド
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、(f)セラミドを更に含有してもよい。水中油型乳化化粧料が(f)成分を含有することで、肌に塗布したときに一層の潤いを与えることができる。
【0039】
セラミドは、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群である。セラミドの具体例としては、セラミド1(セラミドEOP)、セラミド2(セラミドNG)、セラミド3(セラミドNP)、セラミド4(セラミドEOH)、セラミド5(セラミドAG)、セラミド6II(セラミドAP)、セラミド9(セラミドEOS)等が挙げられる。セラミドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(f)成分としては、塗布時に一層の潤いを与えることができることから、セラミド3(セラミドNP)が好ましい。
【0040】
(f)成分の含有量は、全質量基準で0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。(f)成分の含有量を上記範囲とすることで、肌に塗布したときにより一層の潤いを与えることができる。
【0041】
なお、上記(f)成分として、ステアリン酸又はそのカリウム塩、ベヘン酸又はそのカリウム塩、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)及びセラミド3(セラミドNP)を含有する、Mizoan(登録商標) Cerawax-Bril(Biobeautech社製)を用いることもできる。
【0042】
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、油剤を更に含有してもよい。油剤としては、炭化水素油(例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等)、油脂(例えば、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ローズピップ油、アボカド油等)、ロウ(例えば、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等)、エステル油(例えば、ホホバ油、セチルイソオクタネート、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等)、シリコーン油(例えば、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ポリメチルフェニルシロキサン(ジフェニルジメチコン)、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等)、フッ素系油(例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン)等が挙げられる。油剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書における油剤には、(b)成分及び(c)成分は含まれない。
【0043】
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、上記成分に加えて、pH調整剤、キレート剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防腐剤、薬効成分、安定化剤、粉体、色素、香料等の添加成分を各種の効果の付与のために適宜配合することができる。本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、毛穴の詰まりや肌の乾燥を避けるため、マイカ/酸化チタンなどのパール顔料を含まないことが好ましい。
【0044】
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料の25℃における粘度は、2000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以下であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることがさらに好ましい。25℃における粘度を上記範囲とすることで、塗布時により軽いテクスチャーを与えることができる。また、本実施形態に係る水中油型乳化化粧料の25℃における粘度は、例えば100mPa・s以上、500mPa・s以上、又は600mPa・s以上であってよい。特定の実施形態において、組成物の粘度は100mPa・sから2000mPa・sまで、特に500mPa・sから1500mPa・sまで、好ましくは600mPa・sから1000mPa・sまでの範囲である。粘度は、回転粘度計(例えば、Rheolab QC;Anton Paar社製)を用いることにより測定することができる。
【0045】
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、例えば、以下の工程によって調製することができる。
1)(a)成分、及び必要に応じてその他の水性成分を混合し、加熱攪拌した後、(d)成分を添加して加熱撹拌し、水系混合物を得る。
2)(b)成分、(c)成分、(e)成分、及び必要に応じて(f)成分、油剤、その他の油性成分を混合して加熱攪拌し、油系混合物を得る。
3)1)で得られた水系混合物に2)で得られた油系混合物を添加して加熱撹拌した後、室温に冷却する。
【0046】
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、皮膚化粧料として好適に使用することができ、好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等のいずれかに塗布して使用することができる。本実施形態に係る水中油型乳化化粧料は、例えば、乳液、美容液等として利用することができる。本発明はまた、本発明で定義される水中油型乳化化粧料をケラチン物質、特に皮膚に適用することを含む、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法に関する。特に、本発明の化粧方法は、皮膚上に明るい又は光輝く顔色を提供する。
【実施例
【0047】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されない。
【0048】
(1)ステアリン酸又はそのカリウム塩、ベヘン酸又はそのカリウム塩、及びバチルアルコールを含有する組成物(表1;Mizoan(登録商標) Cerawax-Bril)の調製
ステアリン酸、ベヘン酸及びバチルアルコールを混合し、95~110℃に加熱して溶解させた。この溶解物にイソステアリン酸フィトステリル及びセラミド3を添加して、150~210℃で約3時間撹拌した。次いで水酸化カリウムを添加して、80~95℃で約1時間撹拌し、さらにクエン酸を添加して、70~85℃で撹拌した。得られた混合物を室温に冷却して標題の組成物を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
(2)水中油型乳化化粧料の調製
表2に示す組成に基づき、以下の方法により、各水中油型乳化化粧料を調製した。
(a)成分に含まれる各成分を70℃で混合し、これに(d)成分に含まれる各成分を添加して70℃で撹拌し、水系混合物を得た。また、Mizoan(登録商標) Cerawax-Bril((b)成分、(c)成分及び(f)成分を含有する組成物)、(e)成分、及び油剤に含まれる各成分を混合して、80~85℃で攪拌し、油系混合物を得た。水系混合物に油系混合物を添加して80~85℃で攪拌した後、室温に冷却して、各水中油型乳化化粧料を得た。各成分の割合(質量%)を表2に示す。
【0051】
(3)外観評価
各化粧料の外観について、1mgの化粧料を黒色プレートに載せて目視で観察し、13名の化粧品専門評価パネルにより以下の基準で評価した。
A:良好な真珠光沢を有する外観
B:真珠光沢を有する外観
C:真珠光沢を有さない外観
【0052】
(4)官能評価
各化粧料の塗布時におけるテクスチャーの軽さについて、13名の化粧品専門評価パネルによる肌への単回使用試験において、以下の基準にて評価した。ここで、「テクスチャーの軽さ」とは、肌にサンプルを適用したときに新鮮な水感と良好な塗布性を付与できる組成物のテクスチャー(すなわち、肌にのせた時の感触の軽さ)を意味する。
A:テクスチャーがとても軽い
B:テクスチャーが軽い
C:テクスチャーが軽くない
【0053】
(5)安定性評価
透明容器に各化粧料を収容し、蓋をして密閉したうえで50℃で1ヶ月保管し、油相と水相の分離が観察されなかったものをY、油相と水相の分離が観察されたものをNと評価した。
【0054】
(6)粘度測定
各化粧料の25℃における粘度を、回転粘度計(例えば、Rheolab QC;Anton Paar社製;スピンドル:ST22-4V;回転速度:100rpm(3分間))を用いて測定した。
【0055】
【表2】
【国際調査報告】