(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】適応的データサブサンプリングおよび計算
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20230314BHJP
G01N 15/14 20060101ALN20230314BHJP
【FI】
G06Q10/04
G01N15/14 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544381
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 US2021012609
(87)【国際公開番号】W WO2021150381
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520431409
【氏名又は名称】ザルトリウス バイオアナリティカル インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ケニントン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
フローサイトメトリーおよび他の生体分析技法を介して作り出されるマルチパラメータデータは、完了するのに長い時間および/または計算リソースを要する可能性がある膨大な量のデータを生成する場合がある。本明細書で提供される実施形態は、分析に先立ってそのようなデータの適応的サブサンプリングを可能にし、一定の性能基準を満たしながら、そのような分析が実施されることを可能にする。そのような性能基準は、たとえば、分析のレイテンシを指定された持続時間以下に保つことを含み得る。これは、データが生成されるときに、たとえば、フローサイトメトリーデータが細胞計数器または他のフローサイトメトリー計器によって生成されるときにデータの分析がリアルタイムで実施されることを可能にすることができる。これは、反復の間の合計時間が低減されるように、再分析に先立ってデータを適応的にサブサンプリングすることによってデータ分析がより少ない時間で反復的に発展または改善されることを可能にすることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析計算時間を低減するためにフローサイトメトリーデータを適応的にサブサンプリングするための方法であって、
第1の時間期間中に、フローサイトメトリーデータを受信するステップであって、前記受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、ステップと、
性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップと、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが、前記データサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、ステップと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して分析を実施するステップであって、前記データサブサンプリング比を決定するステップが、前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施するステップが前記性能基準を満たすように、前記データサブサンプリング比を決定するステップを含む、ステップと、
前記分析の結果の指示を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記分析を実施するステップおよび前記分析の前記結果の前記指示を提供するステップが、前記第1の時間期間中に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記性能基準がリアルタイムレイテンシ基準であり、前記性能基準に基づいて前記データサブサンプリング比を決定するステップが、前記分析を実施するのに前記第1の時間期間の持続時間よりも少ない時間を要するように、前記フローサイトメトリーイベントの平均発生率に基づいて前記データサブサンプリング比を決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施するステップが、前記フローサイトメトリーデータが受信されると、前記第1の時間期間中に複数回、前記分析を更新するステップを含み、前記分析の前記結果の前記指示を提供するステップが、前記分析が更新されると、前記第1の時間期間中に複数回、更新された指示を提供するステップを含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記性能基準が分析持続時間基準であり、前記性能基準に基づいて前記データサブサンプリング比を決定するステップが、前記分析が指定された持続時間未満で実施できるように、前記フローサイトメトリーデータ内の前記フローサイトメトリーイベントの数に基づいて前記データサブサンプリング比を決定するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記分析がパラメータの数によって特徴付けられ、前記データサブサンプリング比を決定するステップが、前記パラメータの数に基づいて前記分析の予想される計算コストを決定するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フローサイトメトリーデータから、前記イベントデータのノイズ除去されたサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたノイズ除去されたサブサンプルが、指定されたノイズ基準を満たすフローサイトメトリーイベントを表さない、ステップをさらに含み、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択するステップが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択するステップを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリングレートに基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択するステップが、所定のパターンに従って選択されたフローサイトメトリーイベントに対応するデータを選択するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記データサブサンプリング比が第1のデータサブサンプリング比であり、前記イベントデータの前記サブサンプルが前記イベントデータの第1のサブサンプルであり、前記分析が第1の分析であり、前記方法が、
前記第1の分析の表現を受信するステップであって、前記イベントデータの前記第1のサブサンプルに対して前記第1の分析を実施するステップおよび前記第1の分析の結果の指示を提供するステップが、前記第1の分析の前記表現を受信することに応答して実施され、前記イベントデータの前記第1のサブサンプルに対して前記第1の分析を実施するステップが、前記第1の分析の前記受信された表現に従って前記第1の分析を実施するステップを含む、ステップと、
第2の分析の表現を受信するステップと、
前記フローサイトメトリーデータから、第2のサブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの第2のサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択された第2のサブサンプルが前記第2のデータサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、ステップと、
前記第2の分析の前記受信された表現に従って前記イベントデータの第2のサブサンプルに対して前記第2の分析を実施するステップと、
前記第2の分析の結果の指示を提供するステップと
をさらに含む、1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記性能基準に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定するステップであって、前記性能基準が分析持続時間基準であり、前記性能基準に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定するステップが、前記イベントデータの前記第2のサブサンプルに対して前記第2の分析を実施するステップが指定された持続時間未満で実施できるように、前記フローサイトメトリーデータ内の前記フローサイトメトリーイベントの数に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定するステップを含む、ステップ
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フローサイトメトリーデータ分析計算時間を低減するための方法であって、
ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信するステップと、
フローサイトメトリーデータを受信するステップであって、前記受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、ステップと、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、ステップと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して低減された分析を実施するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記低減された分析の結果の指示を提供するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信するステップと、
前記完全分析を実施するための前記命令を受信することに応答して、前記フローサイトメトリーデータに対して前記完全分析を実施するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記完全分析の結果の指示を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記完全分析を実施するステップが追加として、スペクトル補償を前記フローサイトメトリーデータに適用するステップを含み、前記低減された分析を実施するステップが、前記スペクトル補償を前記フローサイトメトリーデータに適用するステップを含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フローサイトメトリーデータから、前記イベントデータのノイズ除去されたサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたノイズ除去されたサブサンプルが、指定されたノイズ基準を満たすフローサイトメトリーイベントを表さない、ステップをさらに含み、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択するステップが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択するステップを含み、
前記フローサイトメトリーデータに対して前記完全分析を実施するステップが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルに対して前記完全分析を実施するステップを含む、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
コンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスにコントローラ動作を実施させる少なくともコンピュータ可読命令を記憶するように構成された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コントローラ動作が、
第1の時間期間中に、フローサイトメトリーデータを受信することであって、前記受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、受信することと、
性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定することと、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、選択することと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して分析を実施することであって、前記データサブサンプリング比を決定することが、前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施することが前記性能基準を満たすように、前記データサブサンプリング比を決定することを含む、実施することと、
前記分析の結果の指示を提供することと
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記分析を実施することおよび前記分析の前記結果の前記指示を提供することが、前記第1の時間期間中に実施される、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記性能基準がリアルタイムレイテンシ基準であり、前記性能基準に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することが、前記分析を実施するのに前記第1の時間期間の持続時間よりも少ない時間を要するように、前記フローサイトメトリーイベントの平均発生率に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することを含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施することが、前記フローサイトメトリーデータが受信されると、前記第1の時間期間中に複数回、前記分析を更新することを含み、前記分析の前記結果の前記指示を提供することが、前記分析が更新されると、前記第1の時間期間中に複数回、更新された指示を提供することを含む、請求項15または16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記性能基準が分析持続時間基準であり、前記性能基準に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することが、前記分析が指定された持続時間未満で実施できるように、前記フローサイトメトリーデータ内の前記フローサイトメトリーイベントの数に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することを含む、請求項14または15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記分析がパラメータの数によって特徴付けられ、前記データサブサンプリング比を決定することが、前記パラメータの数に基づいて前記分析の予想される計算コストを決定することをさらに含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記コントローラ動作が、
前記フローサイトメトリーデータから、前記イベントデータのノイズ除去されたサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたノイズ除去されたサブサンプルが、指定されたノイズ基準を満たすフローサイトメトリーイベントを表さない、選択することをさらに含み、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することを含む、
請求項14から19のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリングレートに基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することが、所定のパターンに従って選択されたフローサイトメトリーイベントに対応するデータを選択することを含む、請求項14から20のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記データサブサンプリング比が第1のデータサブサンプリング比であり、前記イベントデータの前記サブサンプルが前記イベントデータの第1のサブサンプルであり、前記分析が第1の分析であり、前記コントローラ動作が、
前記第1の分析の表現を受信することであって、前記イベントデータの前記第1のサブサンプルに対して前記第1の分析を実施することおよび前記第1の分析の前記結果の前記指示を提供することが、前記第1の分析の前記表現を受信することに応答して実施され、前記イベントデータの前記第1のサブサンプルに対して前記第1の分析を実施することが、前記第1の分析の前記受信された表現に従って前記第1の分析を実施することを含む、受信することと、
第2の分析の表現を受信することと、
前記フローサイトメトリーデータから、第2のサブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの第2のサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択された第2のサブサンプルが前記第2のデータサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、選択することと、
前記第2の分析の前記受信された表現に従って前記イベントデータの第2のサブサンプルに対して前記第2の分析を実施することと、
前記第2の分析の結果の指示を提供することと
をさらに含む、請求項14から21のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記コントローラ動作が、
前記性能基準に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定することであって、前記性能基準が分析持続時間基準であり、前記性能基準に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定することが、前記イベントデータの前記第2のサブサンプルに対して前記第2の分析を実施することが指定された持続時間未満で実施できるように、前記フローサイトメトリーデータ内の前記フローサイトメトリーイベントの数に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定することを含む、決定すること
をさらに含む、請求項22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
コンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスにコントローラ動作を実施させる少なくともコンピュータ可読命令を記憶するように構成された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コントローラ動作が、
ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信することと、
フローサイトメトリーデータを受信することであって、前記受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、受信することと、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、選択することと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して低減された分析を実施することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記低減された分析の結果の指示を提供することと、
前記ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信することと、
前記完全分析を実施するための前記命令を受信することに応答して、前記フローサイトメトリーデータに対して前記完全分析を実施することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記完全分析の結果の指示を提供することと
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記完全分析を実施することが追加として、スペクトル補償を前記フローサイトメトリーデータに適用することを含み、前記低減された分析を実施することが、前記スペクトル補償を前記フローサイトメトリーデータに適用することを含まない、請求項24に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記コントローラ動作が、
前記フローサイトメトリーデータから、前記イベントデータのノイズ除去されたサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたノイズ除去されたサブサンプルが、指定されたノイズ基準を満たすフローサイトメトリーイベントを表さない、選択することをさらに含み、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することを含み、
前記フローサイトメトリーデータに対して前記完全分析を実施することが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルに対して前記完全分析を実施することを含む、
請求項24または25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサを備えるコントローラと、
前記コントローラの前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記コントローラにコントローラ動作を実施させるコンピュータ可読命令を記憶したメモリとを備え、前記コントローラ動作が、
第1の時間期間中に、フローサイトメトリーデータを受信することであって、前記受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、受信することと、
性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定することと、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、選択することと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して分析を実施することであって、前記データサブサンプリング比を決定することが、前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施することが前記性能基準を満たすように、前記データサブサンプリング比を決定することを含む、実施することと、
前記分析の結果の指示を提供することと
を含む、システム。
【請求項28】
前記分析を実施することおよび前記分析の前記結果の前記指示を提供することが、前記第1の時間期間中に実施される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記性能基準がリアルタイムレイテンシ基準であり、前記性能基準に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することが、前記分析を実施するのに前記第1の時間期間の持続時間よりも少ない時間を要するように、前記フローサイトメトリーイベントの平均発生率に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施することが、前記フローサイトメトリーデータが受信されると、前記第1の時間期間中に複数回、前記分析を更新することを含み、前記分析の前記結果の前記指示を提供することが、前記分析が更新されると、前記第1の時間期間中に複数回、更新された指示を提供することを含む、請求項28または29に記載のシステム。
【請求項31】
前記性能基準が分析持続時間基準であり、前記性能基準に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することが、前記分析が指定された持続時間未満で実施できるように、前記フローサイトメトリーデータ内の前記フローサイトメトリーイベントの数に基づいて前記データサブサンプリング比を決定することを含む、請求項27または28に記載のシステム。
【請求項32】
前記分析がパラメータの数によって特徴付けられ、前記データサブサンプリング比を決定することが、前記パラメータの数に基づいて前記分析の予想される計算コストを決定することをさらに含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記コントローラ動作が、
前記フローサイトメトリーデータから、前記イベントデータのノイズ除去されたサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたノイズ除去されたサブサンプルが、指定されたノイズ基準を満たすフローサイトメトリーイベントを表さない、選択することをさらに含み、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することを含む、
請求項27から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリングレートに基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することが、所定のパターンに従って選択されたフローサイトメトリーイベントに対応するデータを選択することを含む、請求項27から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記データサブサンプリング比が第1のデータサブサンプリング比であり、前記イベントデータの前記サブサンプルが前記イベントデータの第1のサブサンプルであり、前記分析が第1の分析であり、前記コントローラ動作が、
前記第1の分析の表現を受信することであって、前記イベントデータの前記第1のサブサンプルに対して前記第1の分析を実施することおよび前記第1の分析の前記結果の前記指示を提供することが、前記第1の分析の前記表現を受信することに応答して実施され、前記イベントデータの前記第1のサブサンプルに対して前記第1の分析を実施することが、前記第1の分析の前記受信された表現に従って前記第1の分析を実施することを含む、受信することと、
第2の分析の表現を受信することと、
前記フローサイトメトリーデータから、第2のサブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの第2のサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択された第2のサブサンプルが前記第2のデータサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、選択することと、
前記第2の分析の前記受信された表現に従って前記イベントデータの第2のサブサンプルに対して前記第2の分析を実施することと、
前記第2の分析の結果の指示を提供することと
をさらに含む、請求項27から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記コントローラ動作が、
前記性能基準に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定することであって、前記性能基準が分析持続時間基準であり、前記性能基準に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定することが、前記イベントデータの前記第2のサブサンプルに対して前記第2の分析を実施することが指定された持続時間未満で実施できるように、前記フローサイトメトリーデータ内の前記フローサイトメトリーイベントの数に基づいて前記第2のデータサブサンプリング比を決定することを含む、決定すること
をさらに含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサを備えるコントローラと、
前記コントローラの前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記コントローラにコントローラ動作を実施させるコンピュータ可読命令を記憶したメモリとを備え、前記コントローラ動作が、
ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信することと、
フローサイトメトリーデータを受信することであって、前記受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、受信することと、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記フローサイトメトリーイベントの一部分を表す、選択することと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して低減された分析を実施することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記低減された分析の結果の指示を提供することと、
前記ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信することと、
前記完全分析を実施するための前記命令を受信することに応答して、前記フローサイトメトリーデータに対して前記完全分析を実施することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記完全分析の結果の指示を提供することと
を含む、システム。
【請求項38】
前記完全分析を実施することが追加として、スペクトル補償を前記フローサイトメトリーデータに適用することを含み、前記低減された分析を実施することが、前記スペクトル補償を前記フローサイトメトリーデータに適用することを含まない、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記コントローラ動作が、
前記フローサイトメトリーデータから、前記イベントデータのノイズ除去されたサブサンプルを選択することであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたノイズ除去されたサブサンプルが、指定されたノイズ基準を満たすフローサイトメトリーイベントを表さない、選択することをさらに含み、
前記フローサイトメトリーデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータの前記サブサンプルを選択することを含み、
前記フローサイトメトリーデータに対して前記完全分析を実施することが、前記イベントデータの前記ノイズ除去されたサブサンプルに対して前記完全分析を実施することを含む、
請求項37または38に記載のシステム。
【請求項40】
分析計算時間を低減するためにマルチパラメータデータを適応的にサブサンプリングするための方法であって、
第1の時間期間中に、マルチパラメータデータを受信するステップであって、前記受信されたマルチパラメータデータが複数のイベントのイベントデータを含む、ステップと、
性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップと、
前記マルチパラメータデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記イベントの一部分を表す、ステップと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して分析を実施するステップであって、前記データサブサンプリング比を決定するステップが、前記イベントデータの前記サブサンプルに対して前記分析を実施するステップが前記性能基準を満たすように、前記データサブサンプリング比を決定するステップを含む、ステップと、
前記分析の結果の指示を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項41】
マルチパラメータデータ分析計算時間を低減するための方法であって、
ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信するステップと、
マルチパラメータデータを受信するステップであって、前記受信されたマルチパラメータデータが複数のイベントのイベントデータを含む、ステップと、
前記マルチパラメータデータから、前記サブサンプリング比に基づいて前記イベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、前記イベントデータの前記選択されたサブサンプルが前記データサブサンプリング比に対応する前記イベントの一部分を表す、ステップと、
前記イベントデータの前記サブサンプルに対して低減された分析を実施するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記低減された分析の結果の指示を提供するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信するステップと、
前記完全分析を実施するための前記命令を受信することに応答して、前記マルチパラメータデータに対して前記完全分析を実施するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記完全分析の結果の指示を提供するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年1月24日に出願された米国出願第16/751983号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
様々な生体実験は、非常に多くのサンプルの分析を含み、サンプルの各々は、いくつかのパラメータまたはサンプルの測定もしくは評価を介して生成された他の情報に関連付けられ得る。そのようなサンプルは、細胞または他の生体内容物を含んでもよく、各サンプルは、増殖培地(たとえば、増殖培地内のホルモン、サイトカイン、薬剤、または他の物質)、供給源(たとえば、自然組織から培養される、生検されるまたは他の方法で移植される)、インキュベーション条件(たとえば、温度、pH、光レベルまたはスペクトル、電離放射線)、ウイルス、細菌、もしくは他の微生物への暴露、または適用された条件に対する細胞もしくは他の生体内容物の反応を観測するための何らかの他の制御された条件に関して異なる。これは、たとえば、推定上の療法に対するサンプルの反応を評価するために、何らかの生物学的プロセスを解明するために、または興味のある何らかの他の問題を調査するために行われ得る。
【0003】
そのようなサンプルを評価することは、様々な異なる調査を実施することを含み得る。いくつかの例では、サンプルからの細胞は、フローサイトメトリーを介して計数され、識別され、および/または分別され得る。追加または代替として、サンプルは、1つまたは複数の時点におけるサンプルの形態または他の特性を評価するために撮像され得る。サンプル全体を撮像することは、サンプルの発展を大幅に混乱させることなく、複数の時点でサンプルが評価されることを可能にすることができる。そのような評価を容易にするために(たとえば、サンプル内の興味のあるタンパク質または他の内容物の分析および/または可視化を可能にするために、サンプル内の細胞を識別または分別するために、など)、蛍光染料または他の物質がサンプルに追加され得る。
【0004】
上記で説明されたものなどの大きいマルチパラメータデータセットに対して分析を実施することは、計算的に高価である場合がある。したがって、そのような分析を完了するのに長期間かかる場合がある。しかしながら、この長期間は、分析の構造およびパラメータの反復的な発展の一部として分析が何度も再計算される場合は特に、不利であり得る。そのような例では、分析を完了するのに必要な時間を低減するために(たとえば、マルチウェルプレートのウェルのセットに対応するデータを削除することによって)データセットのサイズを低減することが有益であり得る。しかしながら、データセット低減のための既存の方法は、多くの場合、低減されないデータセットの分析の結果を代表しない分析結果をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、分析計算時間を低減するためにフローサイトメトリーデータを適応的にサブサンプリングするための方法に関し、この方法は、(i)第1の時間期間中に、フローサイトメトリーデータを受信するステップであって、受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、ステップと、(ii)性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップと、(iii)フローサイトメトリーデータから、サブサンプリング比に基づいてイベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、イベントデータの選択されたサブサンプルがデータサブサンプリング比に対応するフローサイトメトリーイベントの一部分を表す、ステップと、(iv)イベントデータのサブサンプルに対して分析を実施するステップであって、データサブサンプリング比を決定するステップが、イベントデータのサブサンプルに対して分析を実施するステップが性能基準を満たすように、データサブサンプリング比を決定するステップを含む、ステップと、(v)分析の結果の指示を提供するステップとを含む。
【0006】
本開示の別の態様は、フローサイトメトリーデータ分析計算時間を低減するための方法に関し、この方法は、(i)ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信するステップと、(ii)フローサイトメトリーデータを受信するステップであって、受信されたフローサイトメトリーデータが複数のフローサイトメトリーイベントのイベントデータを含む、ステップと、(iii)フローサイトメトリーデータから、サブサンプリング比に基づいてイベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、イベントデータの選択されたサブサンプルがデータサブサンプリング比に対応するフローサイトメトリーイベントの一部分を表す、ステップと、(iv)イベントデータのサブサンプルに対して低減された分析を実施するステップと、(v)ユーザインターフェースを介して、低減された分析の結果の指示を提供するステップと、(vi)ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信するステップと、(vii)完全分析を実施するための命令を受信することに応答して、フローサイトメトリーデータに対して完全分析を実施するステップと、(viii)ユーザインターフェースを介して、完全分析の結果の指示を提供するステップとを含む。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、分析計算時間を低減するためにマルチパラメータデータを適応的にサブサンプリングするための方法に関し、この方法は、(i)第1の時間期間中に、マルチパラメータデータを受信するステップであって、受信されたマルチパラメータデータが複数のイベントのイベントデータを含む、ステップと、(ii)性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップと、(iii)マルチパラメータデータから、サブサンプリング比に基づいてイベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、イベントデータの選択されたサブサンプルがデータサブサンプリング比に対応するイベントの一部分を表す、ステップと、(iv)イベントデータのサブサンプルに対して分析を実施するステップであって、データサブサンプリング比を決定するステップが、イベントデータのサブサンプルに対して分析を実施するステップが性能基準を満たすように、データサブサンプリング比を決定するステップを含む、ステップと、(v)分析の結果の指示を提供するステップとを含む。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、マルチパラメータデータ分析計算時間を低減するための方法に関し、この方法は、(i)ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信するステップと、(ii)マルチパラメータデータを受信するステップであって、受信されたマルチパラメータデータが複数のイベントのイベントデータを含む、ステップと、(iii)マルチパラメータデータから、サブサンプリング比に基づいてイベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、イベントデータの選択されたサブサンプルがデータサブサンプリング比に対応するイベントの一部分を表す、ステップと、(iv)イベントデータのサブサンプルに対して低減された分析を実施するステップと、(v)ユーザインターフェースを介して、低減された分析の結果の指示を提供するステップと、(vi)ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信するステップと、(vii)完全分析を実施するための命令を受信することに応答して、マルチパラメータデータに対して完全分析を実施するステップと、(viii)ユーザインターフェースを介して、完全分析の結果の指示を提供するステップとを含む。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、コンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに本明細書で説明される方法のうちの1つまたは複数を実行するコンピュータ動作を実施させる少なくともコンピュータ可読命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体に関する。そのようなコンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、システムであって、(i)1つまたは複数のプロセッサと、(ii)1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、システムに本明細書で説明される方法のうちの1つまたは複数を実施させる少なくともコンピュータ可読命令を記憶するように構成された非一時的コンピュータ可読媒体とを含むシステムに関する。
【0011】
これらのならびに他の態様、利点、および代替案は、必要に応じて添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって当業者に明らかとなろう。さらに、この概要のセクションおよび本明細書の他の場所で提供される説明は、特許請求される主題を限定としてではなく例として示すことが意図されていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】フローサイトメトリー装置の概略図である。
【
図1B】
図1Aのフローサイトメトリー装置の導管内のサンプルの断面概略図である。
【
図2】例示的な自動サンプル撮像デバイスの要素を示す図である。
【
図3】本明細書で説明されるデータサブサンプリング方法を実装するために使用され得る例示的なシステムの要素を示す図である。
【
図4】マルチパラメータデータを適応的にサブサンプリングするための例示的な方法のフローチャートである。
【
図5】マルチパラメータデータ分析計算時間を低減するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
方法およびシステムの例が本明細書で説明される。「例示的な(exemplary)」、「例(example)」、および「例証的な(illustrative)」という語は、「例、事例、または例示として働くこと」を意味するために本明細書で使用されることを理解されたい。「例示的な(exemplary)」、「例(example)」、または「例証的な(illustrative)」として本明細書で説明される任意の実施形態または特徴は、必ずしも他の実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利なものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書で説明される例示的な実施形態は、限定的であることを意図されていない。開示されるシステムおよび方法のいくつかの態様は、多種多様な異なる構成で配置され、組み合わされ得ることが容易に理解されよう。
【0014】
I.概要
生体系に関する実験は、大量のマルチパラメータデータの生成をもたらす場合がある。たとえば、多数の生体サンプルの各々についてデータが生成され得、各サンプルについて生成されたデータ自体は、多数のパラメータ、画像、イベント、または他の情報を含む。そのような実験は、増殖培地、供給源、細胞型、適用される薬剤、またはサンプルの各々について生成され得る非常に多くの直接測定されたおよび/または導出されたパラメータを含む他の要因および広範なデータ(たとえば、蛍光画像または他の画像、フローサイトメトリーデータ)に関して異なる、数十または数百のサンプルを含むことができる。したがって、そのような実験についてのデータ分析を実施することは、時間および/または計算リソースに関して高価であり得る。
【0015】
一例では、フローサイトメトリーは、サンプルのセットのうちの各サンプル(たとえば、マルチウェルサンプル容器のウェルの内容物)を評価するために実施され得る。細胞または他の粒子は、各サンプルから取られ、サンプル内の細胞(または他の粒子)を識別および計数するためにフローサイトメータによって評価され得る。フローサイトメータは、各検出された細胞/粒子について、前方散乱光および/もしくは側方散乱光、1つもしくは複数の波長における光の吸収、放出、および/もしくは透過、またはサンプルから検出された各細胞/粒子に関する何らかの他の情報に関する複数のパラメータを出力することができる。複数の出力パラメータは、各検出された細胞/粒子または他の検出されたイベントについて、パルス振幅、幅、形状、または、光の各検出された波長および/もしくは細胞/粒子を照明するために使用される光の各波長(たとえば、それぞれの異なる励起スペクトルおよび/または放出スペクトルを有するサンプル内の異なるフルオロフォアを照明するため、ならびにそれらのフルオロフォアから蛍光放出された光を検出するために使用される複数の波長)に関する他のパラメータを含むことができる。そのようなパラメータは、イベントを検出することの一部として直接検出され得る(たとえば、特定の波長において検出された光強度)か、またはそのような直接検出されたパラメータから導出され得る(たとえば、複数の検出された光強度から決定された放出ピーク、検出された細胞/粒子の予測された識別情報、あるパラメータと別のパラメータの比)。
【0016】
そのようなマルチパラメータデータの分析を指定するとき、ユーザは、(たとえば、サンプルが特定のパラメータに関連付けられた波長に対応するフルオロフォアを欠いていることに起因して、特定のパラメータが興味のある要因によって異なるように見えないことに起因して)パラメータのうちのいくつかを選択または選択解除することがあり、分析を計算するコストの対応する増減につながる。
【0017】
実験(たとえば、上記で説明されたようなフローサイトメトリー実験)から生成されたマルチパラメータデータを分析する計算コストおよび時間コストは、様々な悪影響を及ぼす場合がある。たとえば、高すぎる計算コストを有する分析は、データが生成されるときに(たとえば、実験のサンプルが撮像され、フローサイトメトリーを介して評価され、および/または何らかの他の方法で評価されるときに)実験データの分析の結果をリアルタイムで提供することを困難または不可能にする場合がある。いくつかの適用例では、人間のユーザは、データを探索するおよび/または公開もしくは何らかの他の用途に先立って分析を改善するために分析用の入力パラメータまたは他の構成データを調整することによって、分析を反復的に発展させることができる。そのような例では、人間のユーザが調整の影響を評価し、さらなる調整を行うことができるように、そのような調整の後に分析が再計算されなければならない。しかしながら、そのような再計算はかなりの時間を要することがあり、このことは人間のユーザが自身の調整の影響を直感するかまたは最終分析を完全に発展させるのに十分な時間を割く能力を低下させる可能性がある。
【0018】
いくつかの適用例では、低減された分析を実施すること、たとえば、利用可能なデータセット全体に満たないものに対して分析を実施することまたは計算コストに関して他の方法で低減された分析を実施することが望ましい場合がある。たとえば、分析は、分析の出力の完全性または精度を低減しながら、分析を実施するために必要な時間および/または計算リソースも低減する方法で低減され得る。そのような低減された分析は、実験データが1つまたは複数の計器によって生成されるときに実験データの大まかな分析を提供するために、たとえば、進行中の分析をほぼ「リアルタイム」で提供するために、実施され得る。
【0019】
別の例では、そのような低減された分析は、分析の構成および/または特性に対するユーザ調整(たとえば、分析への入力の追加もしくは削減、特定の分析ステップもしくはタイプの追加もしくは削減、p値の調整、学習率、または他の分析パラメータ)の後に実験データの大まかな分析を提供するために実施され得る。これは、完全分析が毎回再実施されることを必要とすることなく、調整の影響に関するフィードバックを提供するために行われ得る。低減された分析を実施することによってそのような例示的な適用例において節約される時間は、特にユーザが何回も分析を更新する例では、相当なものであり得る。ユーザが分析を調整し終えると、分析は、結果を提供するために低減されない方法(「完全分析」)で実施され得、次いで、結果は、何らかの他の方法で公開または適用され得る。
【0020】
そのような低コストの低減された分析は、いくつかのサンプル、パラメータ、または入力データの他の態様を分析から除去することによって実施され得る。たとえば、データがマルチウェルプレートの異なるウェル内のサンプルから生成される場合、ウェルのセットからのデータは、分析が実施されるデータセットのサイズを低減するためにデータセットから除去され得る。次いで、そのような分析を実施するための時間および/または計算リソースのコストは、分析から省略されたサンプル/パラメータの数に比例して低減され得る。しかしながら、この方法で低減された分析はまた、偏りのある方法で不正確になりやすい。これは、その分析が省略されたサンプルおよび/またはパラメータを欠いていることに起因し得る。そのような低減された分析の出力は、省略されたサンプル/パラメータが分析の出力全体にとって特に「重要」である場合に、たとえば、省略されたサンプルおよび/またはパラメータが省略されていないサンプルおよび/またはパラメータの挙動から著しく逸脱する挙動を示す例では、特に不正確になり得る。
【0021】
その代わりに、データが複数の個別の「イベント」を含む場合、サンプル全体または入力パラメータからのデータを省略することと比べて改善されたデータの低減された分析を提供するために、イベントデータがサブサンプリングされ得る。たとえば、入力データがフローサイトメトリーデータを含む場合、各検出された細胞または他の粒子はそのような個別のイベントであり得る。したがって、分析は、イベントのサブセットからのデータ(たとえば、フローサイトメトリーを介して検出された細胞または他の粒子のサブサンプルからのデータ)のみを使用して分析を実施することによって、計算時間および/または計算コストに関して低減され得る。このようにして分析を低減することによって、低減された分析の出力は、分析がサンプル全体、パラメータ、または入力データの他の態様を省略することによって低減された場合よりも、個々のイベントのサブサンプリングの結果として偏ったものになる可能性が低い。したがって、イベントサブサンプリングを介して低減された分析の出力は、入力データセット全体の低減されない(または「完全」)分析に比べて、より正確なものになる可能性が高い。
【0022】
本明細書で説明される分析の対象となるマルチパラメータデータセットは、分析のコストを低減するためにサブサンプリングされ得る様々な個別のイベントを含み得る。上述のように、データセットはフローサイトメトリーデータを含むことができ、その場合、イベントは個々の検出された細胞、粒子、または他のフローサイトメトリーイベントであり得る。データセットがサンプルの複数の画像(たとえば、一定の間隔で撮られた蛍光画像)を含む場合、各画像はイベントであり得、その画像が分析に先立ってサブサンプリングされることを可能にする。追加または代替として、画像において表されるサンプルの個々の細胞または他の内容物(たとえば、細胞、細菌、または自動画像セグメンテーション技法を介して識別される他の内容物)は、分析を実施するコストを低減するためにサブサンプリングされ得るデータセット内の個別のイベントを表すことができる。これは、サンプルの画像内で識別された細胞のサブセットに対して分析を実施することのみ、たとえば、画像に基づいて、画像において表される細胞のサブセット内に含まれるフルオロフォアの濃度または量を決定することのみを含むことができる。さらに別の例では、イベントは、質量分析計によって検出された粒子検出イベント、サンプル内の筋細胞もしくは神経細胞のその他の活動の電気的なものから検出された活動電位、移動もしくは他の運動データの個々のステップもしくは他の個別の要素、またはマルチパラメータデータセットに存在するおよび/もしくはマルチパラメータデータセットによって表される何らかの他の個別のイベントであり得る。
【0023】
マルチパラメータデータセットにおいて表されるイベントは、データセットの生成中に識別されるかまたは他の方法で検出され得る。たとえば、データセットはフローサイトメトリーデータを含むことができ、イベントはフローセルを通過する個々の検出された細胞または他の粒子であり得る。フローセルを通って流れる粒子の検出は、前方散乱光、側方散乱光、1つもしくは複数の波長における透過光および/もしくは蛍光放出光に関する振幅、幅、もしくは他のパラメータ、または粒子検出イベントに関する何らかの他のパラメータの生成をもたらすことができる。追加または代替として、イベントはデータセット生成後のデータセット内で検出され得る。たとえば、イベントは、(カルシウム感受性染料の撮像を介して、または何らかの他の方法によって電気生理学的に検出された)活動電位またはデータセットにおいて観測される他の過渡プロセスもしくは挙動を含むことができる。そのようなデータセットに対して低減された分析を実施することは、データセット内でそのようなイベントを識別することに続いて、データセット内で識別されたイベントのサブセットのみに対して追加の分析(たとえば、活動電位の振幅、幅、タイミングまたは他のパラメータの統計)を実施することを含むことができる。
【0024】
マルチパラメータデータセット内のイベントのサブサンプリングされた部分に対して分析を実施するために、データサブサンプリング比が決定され、次いでデータサブサンプリング比に従ってイベントデータがサブサンプリングされ得る。たとえば、利用可能なイベントデータから利用可能なイベントデータの4分の1を表すサブサンプルを選択するために、4:1のサブサンプリング比が決定され、使用され得る。
【0025】
そのようなデータサブサンプリング比は、ユーザによって手動で選択され得、たとえば、ユーザは、データセットを分析するのに要する時間をほぼ半分にするために2:1のデータサブサンプリング比を選択することができる一方で、その低減された分析の出力の精度の対応する低減を経験する。代替として、データサブサンプリング比は、性能基準を満たすために適応的に決定され得る。たとえば、データサブサンプリング比は、指定された持続時間未満でデータサブサンプリング比に対応するデータセット内のイベントの一部分に対して分析が実施され得るように指定され得る。データサブサンプリング比のそのような適応的な決定は、一度(たとえば、データ分析の実施の初めに)実施され得るか、または繰り返し実施され得る。データサブサンプリング比の繰り返される決定は、分析の構成の変更(たとえば、ユーザによる分析に含まれるパラメータの追加または削減)、リアルタイム分析シナリオにおいて分析されるデータの生成速度の変更(たとえば、フローサイトメータによる細胞の検出率の増加)、分析を実施するために使用されるハードウェアの動作の変更(たとえば、他の構成要素のハードドライブの故障もしくはデータサービングの増加、インターネットストリーミングもしくは通信、または分析を実施することに加えてサーバが実施している他の計算タスク)、または本明細書で説明されるマルチパラメータデータセットの分析の計算に影響を及ぼす場合がある他の要因の変更に直面しても性能基準が満たされることを可能にすることができる。
【0026】
そのような指定された持続時間自体は手動で選択され得る。たとえば、指定された持続時間は、分析の仕様の調整の後に分析を繰り返した結果を待つことに関するユーザの選好に従って選択され得る。代替として、指定された持続時間は、新たに生成されるデータと共にリアルタイムで更新されているように見せるために、ラボ計器によって新たに生成されるデータに基づいて分析が繰り返し更新され得るように選択または決定され得る(たとえば、持続時間は100ミリ秒未満であり得る)。
【0027】
データサブサンプリング比は様々な方法で決定され得る。指定された持続時間内で分析を実施するために、データサブサンプリング比は、分析を実施するのに指定された持続時間よりも少ない時間を要するように、データセット内のイベントの数に基づいて決定され得る。データセットが生成されるときに(たとえば、追加のデータが生成されるときに分析の結果が提供され更新され得るように、ほぼリアルタイムで)分析を実施するために、データサブサンプリング比は、分析を実施するのに(たとえば、指定されたデータキャプチャ期間内で)データセットを生成するのに要する時間よりも少ない時間を要するように、イベントの平均生成率または発生率に基づいて決定され得る。
【0028】
データサブサンプリング比は、分析を実施するための、たとえば、イベントデータ内の単一のイベントについて分析の一部または全部を実施するための予想される時間および/または計算コストに基づいて決定され得る。たとえば、データサブサンプリング比は、目標持続時間をデータセット内のイベントの数でおよびイベントごとの計算コストで割ることによって決定され得る。分析についてのそのような計算コストは様々な方法で決定され得る。いくつかの例では、計算コストは、分析のおよび/または分析の部分の過去の実施に基づいて決定され得る。追加または代替として、計算コストは、分析についての情報に作用する関数または他のアルゴリズムに基づいて決定され得る。たとえば、計算コストは、分析に対する入力パラメータの数についての情報、分析のステップもしくはサブ分析についての識別情報もしくは他の情報、または分析を実施する計算コストを推定するために使用され得る何らかの他の情報に基づいて作用する関数またはアルゴリズムを使用して決定され得る。そのような関数または他のアルゴリズムは、分析のおよび/または分析の部分の過去の実施に基づいて決定され得るおよび/または更新され得るバイアス項または他のパラメータを含むことができる。
【0029】
性能メトリックに基づいて(たとえば、その間に分析が完了しなければならない指定された持続時間に基づいて)データサブサンプリング比を決定することは、(たとえば、分析が反復的に発展されるときにパラメータが分析に追加されるかまたは分析から引かれるときの)分析の変更、分析を実施するために使用されるシステムの変更(たとえば、やはりシステムによって実行されている無関係のプロセスにおける利用可能なメモリの変更)、または経時的な分析の実施に関する他の変更に適応するためにデータサブサンプリング比が自動的に修正されることを可能にすることができる。
【0030】
たとえば、第1のデータサブサンプリング比は、第1の分析(たとえば、データセットからの入力パラメータの第1の選択に対して分析タスクの第1のセットを実施する第1の分析)について決定され、データセット(たとえば、フローサイトメトリーデータセット)において表されるイベントの第1のサブセットのイベントデータを選択するために使用され得る。第1のデータサブサンプリング比は、性能基準に従って(たとえば、指定された持続時間未満で)イベントの第1のサブセットに対して第1の分析が実施され得るように、第1の分析の詳細に基づいて決定され得る。第2の分析を定義するために、第1の分析に対する更新が受信され得る。たとえば、人間のユーザは、分析に対して1つもしくは複数の利用可能な入力パラメータを追加または減じることができる。次いで、第2のデータサブサンプリング比は、(第1のデータサブサンプリング比を決定するために使用される性能基準と同じであるかまたはその性能基準とは異なり得る)性能基準に従ってイベントの第2のサブセットのイベントデータに対して第2の分析が実施され得るように、第2の分析の詳細に基づいて決定され、データセットにおいて表されるイベントの第2のサブセットを選択するために使用され得る。したがって、分析を実施するために使用されるデータサブサンプリング比は、分析を更新する人間のユーザの視点から見た分析の見かけの性能が実質的に同じままであるおよび/または指定された量未満だけ異なるように経時的に適応され得る。
【0031】
性能基準が、新たに生成されるデータをそれが生成されるときに分析することを含む場合、データサブサンプリング比は、更新される分析が新たに生成されるデータが生成されている時間速度と同じ時間速度で完了しているかどうかに基づいて経時的に更新され得る。分析が遅れている場合、単位時間ごとに分析されているイベントの数を低減するために、データサブサンプリング比を上げることができる。逆に、分析がより迅速に完了している場合、依然として更新された分析を実質的にリアルタイムで提供しながら、分析に含まれる新たに生成されるイベントの部分を増やすために、データサブサンプリング比を下げることができる。
【0032】
データサブサンプリング比が決定されると、データセット(たとえば、複数のフローサイトメトリーイベントを含むデータセット)内のイベントの対応する割合に対応するデータが選択され分析され得る。この選択は様々な方法で実施され得る。いくつかの例では、イベントはランダムに選択され得る。これは、どのイベントを分析するかを選択するための乱数発生器またはランダム性の他のハードウェアソースを動作させることを含むことができる。代替として、イベントは、どのイベントを分析するかを選択するための事前生成された疑似乱数列および/または疑似乱数発生器の出力を使用してランダムに選択され得る。
【0033】
代替として、イベントは所定のパターンに従って選択され得る。たとえば、データサブサンプリング比が4:1である場合、データセット内の4つのイベントのうちの1つが分析のために選択され(4つのイベントのうちのその他の3つが分析から省略され)得る。別の例では、データサブサンプリング比が4:1であり、データセット内の8つのイベントのうちの1番目のイベントおよび2番目のイベントが分析のために選択され(8つのイベントのうちのその他の3番目から8番目のイベントが分析から省略され)得る。
【0034】
データサブサンプリング比に従って選択されるイベントデータは、データセット内の利用可能なすべてのイベントのセットから選択され得る。代替として、イベントは、何らかの基準または他のプロセスに従って事前選択されたサブセットから選択され得る。たとえば、イベントのうちのどれがしきい度よりも大きくノイズの影響を受けているかまたは何らかの他の理由で(たとえば、実験の範囲外である細胞型に対応するイベントに起因して)後の分析から省略されるべきであるかを決定するために、ノイズゲートフィルタ(または他のタイプのフィルタ)がデータセット内のイベントのすべてに適用され得る。そのようなノイズゲートフィルタを適用することは、信号電力、信号対雑音比、最大および/もしくは最小信号値、またはイベントデータに存在するノイズの存在および大きさに関する何らかの他のパラメータを決定することを含むことができる。次いで、ノイズゲートフィルタを適用することは、決定されたパラメータに基づいて、イベントデータを後の分析に含めるかどうかまたはイベントデータを省略/破棄するかどうかを含み、かつ決定することができる。次いで、データサブサンプリング比は、ノイズゲートフィルタに従っておよび/または何らかの他の事前選択プロセスに従ってすでに選択されたイベントのサブサンプルを選択するために使用され得る。
【0035】
本明細書で説明されるデータ分析は、上記で説明されたようなイベントをサブサンプリングするための追加の方法または代替の方法で低減され得る。上述のように、そのような低減された分析を実施することは、分析の精度が分析のより迅速な実施またはより低い計算コストと交換されることを可能にし得る。これは、ソースデータが生成されるときにリアルタイムで分析を提供することを試みるとき、分析を反復的に発展させながら分析を繰り返し再計算するとき、または他の状況において有益な取引であり得る。分析の計算コストを低減するためのそのような代替の方法は、適応的データサブサンプリングに加えてまたは適応的データサブサンプリングの代替として実施され得る。たとえば、静的データサブサンプリングレートがユーザから受信され、イベントデータをサブサンプリングするために使用される場合があり、イベントデータは次いで、本明細書で説明される代替の分析低減方法のうちの1つにおいてやはり低減された分析に適用される。(たとえば、最終決定された分析構成の反復的な発展の間の)1回または複数回の低減された分析の実施の後に、何らかの他の方法で公開または適用され得る分析出力を生成するために、イベントデータのサブサンプリングされていないセットに対して低減されていない分析が実施され得る。
【0036】
そのような低減された分析は、低減されていない分析と比べて、いくつかのデータ前処理ステップまたはサブ分析を省略することによって低減され得る。たとえば、イベントデータは、異なるスペクトルチャネル間のクロストークを含み得る(たとえば、検出された細胞、粒子、または他のフローサイトメトリーイベントについての)スペクトル情報を含むことができる。そのようなクロストークは、被試験サンプルに存在する異なるフルオロフォア(たとえば、サンプルの中に取り込まれる染料)の励起スペクトルおよび/または放出スペクトル間の重複に起因し得る。低減されていない分析では、そのようなクロストークは、(たとえば、チャネル間のクロストークの観測レベル、混合係数などに基づいて)スペクトル補償をスペクトルに適用することによって除去または低減され得る。低減された分析は、そのようなスペクトル補償ステップを省略することができる。他の種類の補償ステップ、正規化ステップ、または他の前処理ステップは、対応する低減されていない分析の実施と比べて、低減された分析を実施するときに省略され得る。
【0037】
別の例では、低減されていない分析は、マルチパラメータデータセットの各イベント、サンプル、ウェル、または他のサブセクションがさらなる処理から省略されるべきかどうかを決定するために、ノイズの多いデータの検出プロセスを実施することを含むことができる。マルチパラメータデータセットのそのようなサンプル、ウェル、または他のサブセクションは、アーティファクト(たとえば、フローサイトメータを通過する興味のある細胞または他の粒子ではなく、気泡)を表す省略された部分、範囲外のデータ、無関係であるかもしくはその他の点で分析するに値しないデータ、適切にインキュベートするのに失敗したおよび/もしくは外部の病原体に感染したウェルもしくはサンプルに起因して、または何らかの他の要因もしくは考慮事項に起因して省略され得る。そのようなノイズの多いデータの検出プロセスは、(省略されていたであろうデータのイベントまたは他の態様を含む)データのすべてに対して低減分析の残りを単に実施することよりも、実施することが計算的に高価であり得る。したがって、低減された分析は、そのようなノイズの多いデータの検出プロセスを省略し得る。
【0038】
低減された分析は、低減されていない分析と比べて、データのパラメータについての要約統計の決定を省略することによって低減され得る。そのような要約統計は、(たとえば、データセット全体に作用することに起因して、分別、積和、もしくは他の計算的に高価なステップを含むことに起因して、または何らかの他の要因に起因して)決定するのに計算的に高価である場合がある。低減された分析は、平均値(mean)、中央値、平均値(average)、標準偏差、三次もしくは高次キュムラント、エントロピー、ダイバージェンス、適合パラメトリック分布(たとえば、ガウス分布、指数分布、二項分布、対数分布、ポアソン分布、または何らかの他の離散分布もしくは連続分布)、または低減された分析の一部としてイベントデータから決定されたパラメータについての何らかの他の統計情報を決定することを省略することができる。たとえば、低減された分析は、サブサンプリングされるイベントデータの特定のパラメータについて、パラメータのビン境界、各ビン内のパラメータのカウント、およびパラメータのヒストグラムを決定することを含むことができる。対応する低減されていない分析は、これらのステップ、ならびに、パラメータの平均値、中央値、標準偏差、および適合ガウス分布を決定することを含むことができる。
【0039】
低減された分析は、低減されていない分析と比べて、いくつかの複雑な分析の決定を省略することによって低減され得る。たとえば、低減された分析は、プレートマップ、ヒートマップ、用量反応曲線、複雑なユーザ定義の数値計算、データセットへの複雑なモデルの適合、および/または何らかの他の分析の決定を省略することができる。追加または代替として、低減された分析は、低減されていない分析と比べて、一定の分析を低減されたレベルで、たとえば、低減された分解能で実施することによって低減され得る。たとえば、低減された分析は、低減されていない(または「完全」)分析の一部として決定されたヒストグラムと比べてより少ないビンを有するおよび/またはより広いビン幅を有するヒストグラムを生成することができる。別の例では、低減された分析は、より少ない反復を使用して、および/または、反復から反復へのモデルパラメータもしくは出力精度の変更が、低減されていない分析の一部として実施されるときの反復的な分析プロセスを終了するために使用される終了しきい値よりも大きい終了しきい値未満だけ変化するまで、反復的な分析プロセス(たとえば、データセットへのモデルのパラメータの勾配降下適合)を実施することができる。
【0040】
II.例示的なシステム
本明細書で説明される様々な実施形態を実施するために、様々なシステムが用いられ(たとえば、プログラムされ)得る。そのようなシステムは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、または他のシングルユーザワークステーションを含むことができる。追加または代替として、本明細書で説明される実施形態は、サーバ、クラウドコンピューティング環境、または他のマルチユーザシステムによって実施され得る。
【0041】
そのようなシステムは、他のシステムから受信されたデータ、たとえば、サーバ上のリモートデータストレージから、リモート細胞計数器もしくは他の計器から、または何らかの他の供給源から受信されたデータを分析することができる。追加または代替として、本明細書で説明される実施形態を実施するように構成されたシステムは、自動インキュベータ、サンプル撮像システム、セルソータ、フローセル、もしくはフローサイトメトリー装置の他の要素、または分析用の実験データを生成することが可能な何らかの他の計器を含み得るおよび/またはそれらに結合され得る。たとえば、そのような計器は、マルチウェルサンプル容器を含むインキュベータを含むことができる。そのようなマルチウェルサンプル容器内のサンプルは、サンプルのゲノム、サンプルの供給源、サンプルに適用される増殖培地、サンプルに適用される薬剤、生物製剤(biologic)もしくは微生物、またはサンプルに適用される何らかの他の条件に関して異なり得る。
【0042】
そのような装置内のサンプルは、様々な方法で実験的に評価され得る。サンプルは、(たとえば、可視光、赤外線光、および/または紫外線光を使用して)撮像され得る。そのような撮像は、サンプルの内容物の蛍光撮像、たとえば、(たとえば、フルオロフォアをコードする遺伝子の挿入後に)サンプルに追加されたおよび/またはサンプルの細胞によって生成された蛍光染料または蛍光レポータを撮像することを含むことができる。追加または代替として、材料(たとえば、細胞、増殖培地)は、クロマトグラフィ、質量分析、細胞計数もしくは他のフローサイトメトリー法、または何らかの他の方法を介した分析を介して、分析用のサンプルから抽出され得る。自動ガントリは、サンプル容器のそれぞれのウェル内の様々なサンプルの撮像を容易にするために、(たとえば、サンプル容器の指定されたウェルから細胞もしくは他の内容物を選択的に抽出するように構成された吸引管もしくは他の装置を操作することによって)サンプル容器のそれぞれのウェル内の様々なサンプルの細胞計数もしくは他のフローサイトメトリー分析を容易にするために、またはサンプル容器のそれぞれのウェル内の様々なサンプルの測定および分析を容易にするために、そのようなインキュベータ内に配置され得る。
【0043】
図1Aは、ウェルプレート110または他の様々なマルチウェルサンプル容器と接続して使用するための例示的なフローサイトメトリー装置100を示す。フローサイトメトリー装置100は、マルチウェルサンプル容器内のサンプルに適用される温度または他の環境パラメータの制御を容易にするために、全体的にまたは部分的にインキュベータ内に配設され得る。フローサイトメトリー装置100は、中空のプローブ106が取り付けられた調整可能アーム101を有するオートサンプラ102を含む。アーム104が前後(
図1Aの左および右)ならびに左右(
図1Aの平面の手前および奥)に動くと、プローブ106はフローサイトメトリー装置100を使用して分析されるべき(蛍光タグでタグ付けされ得る(
図1Aに図示せず))粒子を含むサンプルを取得するためにウェルプレート110の個々のソースウェル108の中に下ろされる。ソースウェル108の各々からサンプル材料を取り入れる間に、プローブ106は(空気などの)剥離流体の一定分量を取り入れるように動作させることができ、それによって、流体流ストリーム内の連続するサンプルの間に剥離泡を形成する。
【0044】
サンプルがプローブ106によって持ち上げられると、サンプルは流体流ストリームの中に取り込まれ、ポンプ112(たとえば、蠕動ポンプ)はオートサンプラ102からポンプ112を通ってフローセル118とレーザー照射デバイス120とを含むフローサイトメータ116に延びる導管114にサンプルを通す。フローセル118は、流体流ストリームを集中させ、流体流ストリームがフローサイトメータを通過するときに複数のサンプルの各々の中の粒子(たとえば、細胞)を分析するように連続的に動作させることができる。レーザー照射デバイス120は、フローセル118から流れる個々のサンプルをレーザー照射点122において検査する。
【0045】
図1Bは、泡で剥離された流体流ストリームを形成する、導管114内の剥離泡136および138によって互いから分離された一連のサンプル130、132および134を示す。
図1Bでは、サンプル130はサンプル132に隣接し、サンプル132はサンプル134に隣接する。サンプル130、132および134がレーザー照射点122を通過するとき、サンプル内の粒子はフローサイトメータ116によって感知される。前方散乱光は前方散乱検出器124によって検出される。フローセル内のタグ付けされた粒子から放出された蛍光は蛍光検出器126によって検出される。側方散乱光も(たとえば、図示しない側方散乱検出器によって)検出され得る。対照的に、気泡136および138がレーザー照射点122を通過するとき、粒子は感知されない。したがって、一連のサンプルがフローサイトメータを使用して分析された時間に対する感知された蛍光のデータ点のグラフは、各々が粒子を含むサンプルがレーザー照射点を通過する時間と一致する、個別のグループを形成する。そのようなグラフは、前方散乱検出器124、蛍光検出器126の両方および/またはレーザー照射点122上でエントレインされる他のセンサーの出力によって生成され得る。
【0046】
追加または代替として、自動撮像システムは、経時的に複数の異なる走査期間中にサンプル容器のそれぞれのウェル内の複数の生体サンプルの画像(たとえば、蛍光活性画像)を自動的に取得するために用いられ得る。走査期間の各々の間に各サンプルの画像のセットが自動撮像システムによって撮られ、たとえば、3分の走査期間にわたって1秒当たり3つの画像の割合で画像のセットが撮られ得る。次いで、画像は、たとえば、本明細書で説明される方法に従って、サンプルについての何らかの情報を決定するために分析され得る。
【0047】
そのような自動撮像システムの使用は、手動の撮像と比べると、生成される画像のタイミング、位置決め、および画像パラメータに関して一貫性を高めるだけでなく、生体サンプルを撮像する人件費を大幅に減らすことができる。さらに、そのような自動撮像システムは、インキュベータ内で動作するように構成され得、撮像のためにインキュベータからサンプルを除去する必要性を取り除く。したがって、サンプルのための成長環境は、より一貫して維持され得る。追加として、自動撮像システムが(たとえば、静的な撮像装置によって撮像されるべきサンプル容器を動かす代わりに)サンプル容器に対して顕微鏡または他の撮像装置を動かすように働く場合、サンプルの動きに関係した摂動が低減され得る。これは、サンプルの成長および発展を改善し、動きに関係した混乱を低減することができる。
【0048】
そのような自動撮像システムは、24時間超で、3日超で、30日超で、または何らかのより長い時間期間で区切られる走査中に、1つまたは複数の画像を取得するように動作することができる。走査は、指定された割合で、たとえば、1日に1回、1日に2回以上、1日に3回以上、または1日に4回以上行われるように指定され得る。走査は、少なくとも2回、少なくとも3回、または何らかのそれより多い回数の走査が24時間の期間内に行われるように指定され得る。いくつかの例では、1つまたは複数の走査からのデータが(たとえば、本明細書で説明される方法に従って)分析され、(たとえば、サンプル内で発生すると予測される個別のイベントの発生を検出するために走査の速度、持続時間、画像キャプチャレート、または何らかの他の特性を上げるための)追加の走査のタイミングを決定するために使用され得る。
【0049】
そのような自動撮像システムの使用は、長い時間期間にわたる複数の時点における同じ生体サンプルの撮像を容易にすることができる。したがって、個々の細胞および/または細胞のネットワークの発展および/または挙動が経時的に分析され得る。たとえば、細胞のセット、細胞の部分、または他の能動型物体が、単一のサンプル内で、異なる広い間隔をあけた時間期間の間に行われた走査内で識別され得る。次いで、識別された物体のこれらのセットは、走査にわたる同じ能動型物体を識別するために走査同士の間で比較され得る。したがって、個々の細胞または細胞の部分の挙動は、数時間、数日、数週間、または数か月にわたって追跡され、分析され得る。
【0050】
図2は、そのような自動撮像システム200の要素を示す。自動撮像システム200は、自動撮像システム200の他の要素が取り付けられるフレーム210を含む。フレーム210は、インキュベータ内に収めるために構成され(たとえば、サイズ設定され)得る。自動撮像システム200は、フレーム210に結合されたサンプル容器トレイ230内に取外し可能に配置されたサンプル容器220を含む。サンプル容器トレイ230は取外し可能であり得るおよび/または様々な異なるサンプル容器(たとえば、様々な業界標準のサンプル容器)を保持するのを容易にするために取外し可能インサートを含むことができる。システム200は追加として、撮像装置240がサンプル容器220の個々のウェル(たとえば、例示的なウェル225)の内容物の画像を取得するように動作することができるように、サンプル容器220に対して撮像装置240を位置決めするように構成された作動ガントリ250を含む。
【0051】
撮像装置240は、顕微鏡、蛍光イメージャ、二光子撮像システム、位相コントラスト撮像システム、1つまたは複数の照明源、1つまたは複数の光学フィルタ、および/またはサンプル容器220内に含まれるサンプルの撮像を容易にするように構成された他の要素を含むことができる。いくつかの例では、撮像装置240は、サンプル容器220の両側に配設された要素(たとえば、生体サンプルの位相コントラスト撮像を容易にするために、たとえば、コヒーレント、偏光、単色、または別途指定された照明光の供給源)を含む。そのような例では、サンプル容器220の両側の要素は、それぞれの異なるガントリに、同じガントリに結合されてもよく、および/またはサンプル容器220の片側の要素は、サンプル容器220に対して移動可能でなくてもよい。
【0052】
作動ガントリ250は、フレーム210および撮像装置240に結合され、サンプル容器220内の複数の異なるサンプルの撮像を容易にするために、サンプル容器220に対して少なくとも2つの方向において装置240の位置を制御するように構成される。作動ガントリ250はまた、撮像装置240を使用して取得された画像の焦点を制御するのを容易にするためにおよび/または撮像装置240を使用して撮像され得るサンプル容器220内の材料の深さを制御するために、サンプル容器220に向かうおよびサンプル容器220から離れる第3の方向において撮像装置240の位置を制御するように構成され得る。追加または代替として、撮像装置240は、撮像装置240の焦点距離を制御するための1つまたは複数のアクチュエータを含み得る。撮像装置240は、1つまたは複数のモータ、ピエゾ素子、液体レンズ、または撮像装置240の焦点設定を制御するのを容易にするための他のアクチュエータを含むことができる。たとえば、撮像装置240は、撮像装置240と撮像されているサンプルとの間の距離を制御するように構成されたアクチュエータを含むことができる。これは、焦点を合わせて画像が撮られることを保証するために、および/または画像補正方法を容易にするために様々な異なる焦点設定で画像が撮られることを可能にするために行われ得る。
【0053】
作動ガントリ250は、サンプル容器220に対する(たとえば、サンプル容器220の特定のウェルに対する)撮像装置240の絶対位置および/または相対位置の検出を容易にするように構成された要素を含み得る。たとえば、作動ガントリ250は、エンコーダ、リミットスイッチ、および/または他の位置感知要素を含み得る。追加または代替として、撮像装置240またはシステムの他の要素は、サンプル容器220に対する撮像装置240の絶対位置および/または相対位置を決定するために、サンプル容器220のおよび/またはサンプル容器トレイ230の基準マークまたは他の特徴を検出するように構成され得る。
【0054】
計算機能(たとえば、指定された時間期間の間にサンプル容器220内のサンプルを撮像するために作動ガントリ250および/もしくは撮像装置240を動作させるための機能、オートサンプラ102、フローサイトメータ116、もしくはフローサイトメトリー装置100の他の要素を動作させるための機能、および/または本明細書で説明される何らかの他の方法を実施するための機能)が1つまたは複数のコンピューティングシステムによって実施され得る。そのようなコンピューティングシステムは、実験室計器システム(たとえば、100、200)に統合されてもよく、(たとえば、直接的なワイヤードもしくはワイヤレス接続を介して、ローカルネットワークを介して、および/またはインターネット上のセキュア接続を介して接続されることによって)そのようなシステムに関連付けられてもよく、および/または何らかの他の形態(たとえば、自動撮像システムと通信しているおよび/または生体サンプルの画像のストアにアクセスできるクラウドコンピューティングシステム)を取ってもよい。
【0055】
図3は、本明細書で説明される方法を実装するために使用され得るそのようなコンピューティングシステム300の一例を示す。例示的なコンピューティングシステム300は、通信インターフェース302、ユーザインターフェース304、プロセッサ306、1つまたは複数のセンサー307(たとえば、光検出器、カメラ、またはフローサイトメトリー装置、顕微鏡、質量分析計、もしくは何らかの他の計装された実験室装置の他のセンサー)、およびデータストレージ308を含み、それらはすべて、システムバス310によって一緒に通信可能にリンクされる。
【0056】
通信インターフェース302は、コンピューティングシステム300が電気信号、磁気信号、電磁信号、光信号、または他の信号のアナログまたはデジタル変調を使用して他のデバイス、アクセスネットワーク、および/またはトランスポートネットワークと通信することを可能にするように機能し得る。したがって、通信インターフェースは、基本電話サービス(POTS: plain old telephone service)通信および/またはインターネットプロトコル(IP)もしくは他のパケット化通信などの、回線交換通信および/またはパケット交換通信を容易にし得る。たとえば、通信インターフェース302は、無線アクセスネットワークまたはアクセスポイントとのワイヤレス通信用に配置されたチップセットおよびアンテナを含み得る。また、通信インターフェース302は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)、または高品位マルチメディアインターフェース(HDMI)(登録商標)ポートなどのワイヤラインインターフェースの形態を取るか、またはそれらを含み得る。通信インターフェースはまた、WiFi、BLUETOOTH(登録商標)、全地球測位システム(GPS)、またはワイドエリアワイヤレスインターフェース(たとえば、WiMAXまたは3GPP(登録商標)ロングタームエボリューション(LTE))などのワイヤレスインターフェースの形態を取るか、またはそれらを含み得る。しかしながら、他の形態の物理レイヤインターフェースおよび他のタイプの標準通信プロトコルまたはプロプライエタリ通信プロトコルが通信インターフェース302上で使用されてもよい。さらに、通信インターフェース302は、複数の物理通信インターフェース(たとえば、WiFiインターフェース、BLUETOOTH(登録商標)インターフェース、およびワイドエリアワイヤレスインターフェース)を備えてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、通信インターフェース302は、コンピューティングシステム300が他のデバイス、リモートサーバ、アクセスネットワーク、および/またはトランスポートネットワークと通信することを可能にするように機能し得る。たとえば、通信インターフェース302は、生体サンプルの画像(たとえば、蛍光活性画像)の指示を送信するおよび/または受信するように、1つもしくは複数の生体サンプルに関するフローサイトメトリー情報の指示または何らかの他の情報を送信するおよび/または受信するように機能し得る。
【0058】
そのようなコンピューティングシステム300のユーザインターフェース304は、たとえば、コンピューティングシステム300がユーザから入力を受信するためにおよび/またはユーザに出力を提供するためにユーザと対話することを可能にするように機能し得る。したがって、ユーザインターフェース304は、キーパッド、キーボード、タッチセンシティブまたはプレゼンスセンシティブパネル、コンピュータマウス、トラックボール、ジョイスティック、マイクロフォンなどの入力構成要素を含み得る。ユーザインターフェース304はまた、たとえば、プレゼンスセンシティブパネルと組み合わされ得るディスプレイスクリーンなどの1つまたは複数の出力構成要素を含み得る。ディスプレイスクリーンは、CRT、LCD、および/もしくはLED技術、または現在知られているかもしくは今後開発される他の技術に基づき得る。ユーザインターフェース304はまた、スピーカー、スピーカージャック、オーディオ出力ポート、オーディオ出力デバイス、イヤフォン、および/または他の同様のデバイスを介して可聴出力を生成するように構成され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース304は、ビデオまたは他の画像(たとえば、特定の生体サンプルの特定の走査中に生成された画像のビデオ)をユーザに提示するのに役立つディスプレイを含み得る。追加として、ユーザインターフェース304は、コンピューティングデバイスの構成および動作を容易にする1つまたは複数のボタン、スイッチ、ノブ、および/またはダイヤルを含み得る。これらのボタン、スイッチ、ノブ、および/またはダイヤルの一部または全部は、タッチセンシティブまたはプレゼンスセンシティブパネル上の機能として実装されることが可能であり得る。ユーザインターフェース304は、ユーザが自動撮像システム内に含まれるサンプルのタイプを指定すること、サンプルの撮像もしくは他の評価のスケジュールを指定すること、画像セグメンテーション、イベント分析、および/もしくはシステム300によって実施されるべき何らかの他の分析のパラメータを指定すること、または自動実験室システムの動作のためのおよび/もしくはそれによって生成されたデータの分析のための何らかの他のコマンドもしくはパラメータを入力することを可能にし得る。
【0060】
プロセッサ306は、1つもしくは複数の汎用プロセッサ、たとえば、マイクロプロセッサ、および/または1つもしくは複数の専用プロセッサ、たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、浮動小数点ユニット(FPU)、ネットワークプロセッサ、テンソル処理ユニット(TPU)、もしくは特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。いくつかの事例では、専用プロセッサは、数あるアプリケーションまたは機能の中でも、画像処理、画像位置合わせ、統計分析、フィルタリング、またはノイズリダクションが可能であり得る。データストレージ308は、磁気ストレージ、光ストレージ、フラッシュストレージ、またはオーガニックストレージなどの1つまたは複数の揮発性および/または不揮発性ストレージ構成要素を含んでもよく、全体的にまたは部分的にプロセッサ306と統合されてもよい。データストレージ308は、取外し可能および/または取外し不可能な構成要素を含み得る。
【0061】
プロセッサ306は、本明細書で説明される様々な機能を実行するために、データストレージ308に記憶されたプログラム命令318(たとえば、コンパイルされたまたはコンパイルされていないプログラム論理および/または機械コード)を実行することが可能であり得る。したがって、データストレージ308は、コンピューティングデバイス300によって実行されると、コンピューティングデバイス300に本明細書および/または添付の図面で開示される方法、プロセス、または機能のうちのいずれかを実行させるプログラム命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体を含んでもよい。プロセッサ306によるプログラム命令318の実行の結果として、プロセッサ306がデータ312を使用し得る。
【0062】
例として、プログラム命令318は、オペレーティングシステム322(たとえば、オペレーティングシステムカーネル、デバイスドライバ、および/または他のモジュール)と、コンピューティングデバイス300上にインストールされた1つまたは複数のアプリケーションプログラム320(たとえば、フィルタリング機能、データ処理機能、統計分析機能、画像処理機能、イベントサブサンプリング機能)とを含み得る。データ312は、フローサイトメトリーデータ、マイクロコピー画像、または複数のイベント(たとえば、検出された細胞もしくは他の粒子または他のフローサイトメトリーイベント)についての情報を含む他のマルチパラメータデータを含み得る。
【0063】
アプリケーションプログラム320は、1つまたは複数のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を通じてオペレーティングシステム322と通信し得る。これらのAPIは、たとえば、アプリケーションプログラム320が、通信インターフェース302を介して情報を受信すること、ユーザインターフェース304上で情報を受信することおよび/または表示すること、マルチパラメータデータ314内のイベントに対しておよび/またはマルチパラメータデータ314内のイベントのサンプリングされたサブセットに対して完全分析または低減された分析を実施することなどを容易にし得る。
【0064】
アプリケーションプログラム320は、1つまたは複数のオンラインアプリケーションストアまたはアプリケーションマーケットを通じて(たとえば、通信インターフェース302を介して)コンピューティングデバイス300にダウンロード可能であり得る「アプリ」の形態を取り得る。しかしながら、アプリケーションプログラムは、ウェブブラウザを介してまたはコンピューティングデバイス300の物理インターフェース(たとえば、USBポート)を通じてなどの他の方法でコンピューティングデバイス300上にインストールされることも可能である。
【0065】
いくつかの例では、本明細書で説明される方法の部分は、アプリケーションに従って異なるデバイスによって実施され得る。たとえば、システムの異なるデバイスは、異なる量の計算リソース(たとえば、メモリ、プロセッササイクル)およびデバイス間の通信用の異なる情報帯域幅を有する場合がある。たとえば、第1のデバイスは、複数の異なる期間におよび/またはそれらの期間中に生体サンプルについての情報を生成するために、作動ガントリ、撮像装置、フローサイトメトリー装置、または他の要素を動作させることができる組込みプロセッサであり得る。次いで、第2のデバイスは、第1のデバイスからの情報(たとえば、画像情報、フローサイトメトリーデータ、および/またはイベント情報)を第1のデバイスから(たとえば、インターネットを介して、専用ワイヤードリンクを介して)受信し、受信されたデータに対して本明細書で説明される処理方法および分析方法を実施することができる。本明細書で説明される方法の異なる部分は、そのような考慮事項に従って分配され得る。
【0066】
V.例示的な方法
図4は、分析計算時間を低減するためにマルチパラメータデータ(たとえば、フローサイトメトリーデータ)を適応的にサブサンプリングするための方法400のフローチャートである。そのような方法は、たとえば、データが生成されるときに実質的にリアルタイムの分析を可能にするために、または内容物を反復的に指定して分析のパラメータを定義するときに分析時間を低減するために、精度が低減された結果がより少ない時間で完了し得る場合に、その精度が低減された分析結果が許容可能である状況において有利であり得る。
【0067】
方法400は、第1の時間期間中に、マルチパラメータデータを受信するステップであって、受信されたマルチパラメータデータが複数のイベントのイベントデータを含む、ステップ(410)を含む。そのようなマルチパラメータデータはフローサイトメトリーデータであり得、その場合、イベントはフローサイトメトリーイベント(たとえば、個々の検出された細胞または他の粒子)であり得る。
【0068】
方法400は追加として、性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップ(420)を含む。そのような性能基準はリアルタイムレイテンシ基準であり得、その場合、性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップは、分析を実施するのに第1の時間期間の持続時間よりも少ない時間を要するように(たとえば、分析の結果がリアルタイムまたはほぼリアルタイムで決定され得るように)、イベントの平均発生率に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップを含むことができる。そのような性能基準は分析持続時間基準であり得、その場合、性能基準に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップは、分析が指定された持続時間未満で実施できるように、マルチパラメータデータ内のイベントの数に基づいてデータサブサンプリング比を決定するステップを含むことができる。
【0069】
方法400は追加として、マルチパラメータデータから、サブサンプリング比に基づいてイベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、イベントデータの選択されたサブサンプルがデータサブサンプリング比に対応するイベントの一部分を表す、ステップ(430)を含む。これは、事前指定されたパターン(たとえば、50%比の場合は1つおきのイベント、または何らかの他の規則的なパターン)に従ってイベントを選択するステップ、またはイベントをランダムに選択するステップを含むことができる。
【0070】
方法400は、イベントデータのサブサンプルに対して分析を実施するステップであって、データサブサンプリング比を決定するステップが、イベントデータのサブサンプルに対して分析を実施するステップが性能基準を満たすように、データサブサンプリング比を決定するステップを含む、ステップ(440)をさらに含む。
【0071】
方法400は、分析の結果の指示を提供するステップ(450)をさらに含む。
【0072】
方法400は、追加の要素または特徴を含むことができる。
【0073】
図5は、マルチパラメータデータ(たとえば、フローサイトメトリーデータ)分析計算時間を低減するための方法500のフローチャートである。そのような方法は、たとえば、データが生成されるときに実質的にリアルタイムの分析を可能にするために、または内容物を反復的に指定して分析のパラメータを定義するときに分析時間を低減するために、精度が低減された結果がより少ない時間で完了し得る場合に、その精度が低減された分析結果が許容可能である状況において有利であり得る。
【0074】
方法500は、ユーザインターフェースを介して、データサブサンプリング比の指示を受信するステップ(510)を含む。方法500は追加として、マルチパラメータデータを受信するステップであって、受信されたマルチパラメータデータが複数のイベントのイベントデータを含む、ステップ(520)を含む。そのようなマルチパラメータデータはフローサイトメトリーデータであり得、その場合、イベントはフローサイトメトリーイベント(たとえば、個々の検出された細胞または他の粒子)であり得る。
【0075】
方法500は追加として、マルチパラメータデータから、サブサンプリング比に基づいてイベントデータのサブサンプルを選択するステップであって、その結果として、イベントデータの選択されたサブサンプルがデータサブサンプリング比に対応するイベントの一部分を表す、ステップ(530)を含む。これは、事前指定されたパターン(たとえば、50%比の場合は1つおきのイベント、または何らかの他の規則的なパターン)に従ってイベントを選択するステップ、またはイベントをランダムに選択するステップを含むことができる。
【0076】
方法500は、イベントデータのサブサンプルに対して低減された分析を実施するステップ(540)をさらに含む。低減された分析を実施するステップは、いくつかのデータ前処理ステップ(たとえば、ノイズ除去またはフィルタリングステップ、誤イベント検出および拒否ステップ)を省略する分析、いくつかのサンプル統計(たとえば、データ内のイベントのサンプルについての平均値、中央値、最頻値、または他の要約統計)の決定を省略する分析、ヒストグラムの決定を省略する分析および/もしくは低減されていない分析と比べて低減された分解能および/もしくはより少ないビンを有するヒストグラムの決定を含む分析、または低減されていない分析もしくは「完全」分析と比べて何らかの他の方法で低減された分析を実施するステップを含むことができる。
【0077】
方法500は、ユーザインターフェースを介して、低減された分析の結果の指示を提供するステップ(550)をさらに含む。
【0078】
方法500は、ユーザインターフェースを介して、完全分析を実施するための命令を受信するステップ(560)をさらに含む。
【0079】
方法500は、完全分析を実施するための命令を受信することに応答して、マルチパラメータデータに対して完全分析を実施するステップ(570)をさらに含む。そのような完全分析は、それが低減された分析と比べて低減されていないという意味で「完全」であり得る。たとえば、完全分析を実施するステップは、いくつかのデータ前処理ステップを実施するステップ、いくつかのサンプル統計を決定するステップ、ヒストグラムを決定するステップおよび/もしくは低減されていない分析と比べて高い分解能および/もしくはより多くのビンを有するヒストグラムを決定するステップ、または低減された分析から省略された何らかの他の分析を実施するステップおよび/もしくは低減された分析の一部として実施される分析の低減されたバージョンよりも比較的複雑な方法で何らかの他の分析を実施するステップを含むことができる。
【0080】
方法500は、ユーザインターフェースを介して、完全分析の結果の指示を提供するステップ(580)をさらに含む。
【0081】
方法500は、追加の要素または特徴を含むことができる。
【0082】
VI.結論
上記の詳細な説明は、添付の図を参照しながら、開示されるシステム、デバイス、および方法の様々な特徴および機能について説明している。図では、文脈が別段に示さない限り、同様の符号は通常、同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図、および特許請求の範囲で説明される例証的な実施形態は、限定的であることを意図されていない。本明細書で提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を加えることができる。本明細書で概略的に説明され、図に示される本開示の態様は、すべてが本明細書で明示的に企図される多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計され得ることが容易に理解されよう。
【0083】
図におけるおよび本明細書で論じられるメッセージフロー図、シナリオ、およびフローチャートのいずれかまたはすべてに関して、各ステップ、ブロックおよび/または通信は、例示的な実施形態による情報の処理および/または情報の送信を表し得る。代替実施形態は、これらの例示的な実施形態の範囲内に含まれる。これらの代替実施形態では、たとえば、ステップ、ブロック、送信、通信、要求、応答、および/またはメッセージとして説明される機能は、関与する機能性に応じて、実質的に同時の順序または逆の順序を含めて、示されたまたは論じられた順序から外れた順序で実行されてもよい。さらに、より多いまたはより少ないステップ、ブロックおよび/または機能は、本明細書で論じられるメッセージフロー図、シナリオ、およびフローチャートのいずれかと共に使用されてもよく、これらのメッセージフロー図、シナリオ、およびフローチャートは、部分的にまたは全体的に互いと組み合わされてもよい。
【0084】
情報の処理を表すステップまたはブロックは、本明細書で説明される方法または技法の特定の論理機能を実施するように構成され得る回路に対応し得る。代替または追加として、情報の処理を表すステップまたはブロックは、モジュール、セグメント、または(関連するデータを含む)プログラムコードの一部分に対応し得る。プログラムコードは、方法または技法における特定の論理機能またはアクションを実装するためのプロセッサによって実行可能な1つまたは複数の命令を含み得る。プログラムコードおよび/または関連するデータは、ディスクドライブ、ハードドライブ、または他の記憶媒体を含むストレージデバイスなどの、任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に記憶され得る。
【0085】
コンピュータ可読媒体はまた、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)のような、短い時間期間の間にデータを記憶するコンピュータ可読媒体などの非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体はまた、たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、光ディスクもしくは磁気ディスク、および/またはコンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)のような、2次または永続性長期ストレージなどの、より長い時間期間の間にプログラムコードおよび/またはデータを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体はまた、任意の他の揮発性または不揮発性ストレージシステムであり得る。コンピュータ可読媒体は、たとえば、コンピュータ可読記憶媒体、または有形のストレージデバイスとみなされ得る。
【0086】
さらに、1つまたは複数の情報送信を表すステップまたはブロックは、同じ物理デバイス内のソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェアモジュール間の情報送信に対応し得る。しかしながら、他の情報送信は、異なる物理デバイス内のソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェアモジュール間であってもよい。
【0087】
様々な態様および実施形態が本明細書で開示されてきたが、他の態様および実施形態が当業者に明らかとなろう。本明細書で開示される様々な態様および実施形態は、例示を目的とするものであり、限定的であることを意図されておらず、真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0088】
100 フローサイトメトリー装置
102 オートサンプラ
104 アーム
106 プローブ
108 ソースウェル
110 ウェルプレート
112 ポンプ
114 導管
116 フローサイトメータ
118 フローセル
120 レーザー照射デバイス
122 レーザー照射点
124 前方散乱検出器
126 蛍光検出器
130 サンプル
132 サンプル
134 サンプル
136 剥離泡、気泡
138 剥離泡、気泡
200 自動撮像システム
210 フレーム
220 サンプル容器
225 ウェル
230 サンプル容器トレイ
240 撮像装置
250 作動ガントリ
300 コンピューティングシステム、コンピューティングデバイス
302 通信インターフェース
304 ユーザインターフェース
306 プロセッサ
307 センサー
308 データストレージ
310 システムバス
312 データ
314 マルチパラメータデータ
318 プログラム命令
320 アプリケーションプログラム
322 オペレーティングシステム
400 方法
500 方法
【国際調査報告】