(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】動的空冷を有する冷凍ユニットおよびユニットの作業要素。
(51)【国際特許分類】
F25B 9/02 20060101AFI20230314BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F25B9/02 Z
F28F1/40 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546034
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-12
(86)【国際出願番号】 IB2021050606
(87)【国際公開番号】W WO2021152464
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300145
【氏名又は名称】ディエーシー エスピー.ゼット オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラズムセヴァ,オルハ
(72)【発明者】
【氏名】ラズムセブ,オレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】パナジュク,パヴェル
(57)【要約】
動的空冷を有する冷凍ユニットであって、電気駆動(2)を有する遠心圧縮機(1)からなり、その出口が作業要素(5)に接続され、その出口が電気エネルギー発生器(6)に接続された、放射軸を有するタービン(7)の入口に接続されており、タービン(7)の出口が、プロセス流体のポンプ(9)にさらに接続された壁-パイプ熱交換器(8)に向けられており、遠心圧縮機(1)と作業要素(5)との間の配置において、ファン(4)が接続されている空気-空気タイプのパイプ-壁交換器(3)があることを特徴とする、冷凍ユニット。ユニットの作業要素(5)は、実質的に楕円形の形を有する螺旋状の凹部(5.1)を含む円筒形の中空プロファイルを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的空冷を有する冷凍ユニットであって、電気駆動(2)を有する遠心圧縮機(1)と、動的空冷を提供する作業要素(5)と、放射軸を有するタービン(7)と、電気エネルギー発生器(6)と、壁-パイプ熱交換器(8)と、プロセス流体のポンプ(9)と、を備え、ファン(4)が接続された空気-空気タイプのパイプ-壁交換器(3)をさらに備え、前記遠心圧縮機(1)の出口が、パイプ-壁交換器(3)に接続され、前記パイプ-壁交換器(3)の出口が作業要素(5)に接続され、その出口が、前記電気エネルギー発生器(6)に接続された、放射軸を有する前記タービン(7)の入口に接続され、前記タービン(7)の前記出口が、前記プロセス流体の前記ポンプ(9)にさらに接続された前記壁-パイプ熱交換器(8)に向けられ、前記作業要素(5)が、実質的に楕円形の形を有する螺旋状の凹部(5.1)を含む円筒形の中空プロファイルを有し、空気流の内部熱エネルギーを運動エネルギーに変換することによって空冷を提供するように構成されていることを特徴とする、冷凍ユニット。
【請求項2】
前記タービン(7)の前記発生器(6)に接続されているインバータ(10)をさらに備え、主電源の周波数変換および同期を提供するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記インバータ(10)が、前記遠心圧縮機(1)の前記電気駆動(2)に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
冷凍ユニットの作業要素であって、遠心空気圧縮機を備え、前記作業要素(5)が円形の入口(5.1)を有し、その入口の背後には、その開口部のクリアランスの直径よりも実質的に短い長さを有する円筒形セグメント(5.2)があり、前記セグメント(5.2)の背後には、突起(5.3)があり、その壁が外側に向かって凸状であり、半円形状を有し、前記突起(5.3)の直径が前記円筒形セグメント(5.2)の直径よりも大きく、前記突起(5.3)の背後には、内壁が楕円に似た形状の凹部(5.5)を有し、その縦断面に沿って螺旋状に延在するように形成された、実質的に最も長いセグメント(5.4)があり、前記凹部(5.5)の断面が前記作業要素(5)のこの部分に沿って均一ではなく、この断面のサイズが流動的に増減し、前記セグメント(5.4)の背後には、
斜めの形状の壁を有する出口(5.6)があり、より大きい直径が前記作業要素(5)の端部に置かれ、前記凹部(5.5)が前記出口(5.6)の面積まで縮小され、それにより、前記作業要素(5)において、空気の内部熱エネルギーが流れる空気の運動エネルギーに変換され、その結果、その速度が増加し、その温度が低下することを特徴とする、作業要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、例えば、家庭および産業冷却および空調システムにおける水などの技術的流体のため、ならびに原子炉の冷却から人工条件下での水産養殖までの幅広い技術プロセスのための冷凍ユニットである。本発明の目的は、ユニットの作業要素でもある。
【背景技術】
【0002】
蒸気圧縮の動作原理、吸収の原理を使用し、周囲との自然な熱交換に基づく、プロセス流体のための冷却システムが知られている。
【0003】
蒸気圧縮の動作原理を使用するシステムの場合、その欠点は、中間作動流体の使用を伴い、これは温室効果を引き起こす人工冷却剤(クロロフルオロカーボン)を意味する。
吸収システムの場合、欠点としては、幾何学的寸法が大きく、金属の消費量が多く、冷却能力が低いことが挙げられる。
【0004】
一方、自然熱交換、いわゆる「自由冷却」の場合は、得られる容量が少なく、熱エネルギーの排出が発生する。さらに、低温かつ大量の水が供給される条件下で、大気中にデバイスを置く必要がある。
【0005】
背景技術では、チェコの実用新案第CZ30873U1号から、既知の冷却デバイス、電気遠心圧縮機を備える動的空気冷凍ユニットがあり、遠心式圧縮機の出口パイプは、特殊なプロファイルチャネルの入口パイプに接続され、そこから高い運動エネルギーを有する冷却空気の流れは、発生器を有する放射軸方向タービンの入口に向けられる。
【0006】
このプロトタイプデバイスは、遠心式圧縮機の背後の空気流が、作業要素の入口パイプに直接送られ、これにより、周囲温度よりも高い温度で作業要素に空気を供給することで冷却能力が低下するという欠点がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点を解消し、人工冷却剤を使用することなく、プロセス流体を冷却するための快適で、環境に優しく、エネルギー効率の高いデバイスを開発することであり、温室効果ガスの排出がなく、より高いエネルギー効率と信頼性が提供され得る。
【0008】
発明の開示
本発明は、電気駆動を有する遠心圧縮機からなる動的空冷を有する冷凍ユニットであり、その出口は、実質的に楕円形の螺旋状凹部を備える円筒形の中空プロファイルを有する作業要素に接続され、その出口は、電気エネルギー発生器に接続された放射軸を有するタービンの入口に接続されている。タービンの出口は、プロセス流体ポンプにさらに接続された壁-パイプ熱交換器に向けられている。本発明の本質は、遠心圧縮機と作業要素との間の配置において、ファンが接続されたパイプ-壁交換器が存在することにある。
【0009】
好ましくは、インバータは、放射軸を有するタービンの発生器に接続されている。
【0010】
好ましくは、上述のインバータは、遠心圧縮機の電気駆動に接続されている。
【0011】
本発明の本質はまた、円形の入口を有することを特徴とする冷凍ユニットの作業要素を構成し、入口の背後には、
その開口部のクリアランスの直径よりも実質的に短い長さを有する円筒形セグメントがあり、セグメントの背後には、突起があり、その壁は外側に向かって凸状であり、半円形状を有し、突起の直径は円筒形セグメントの直径よりも大きく、突起の背後には、内壁が楕円に似た形状の凹部を有し、その縦断面に沿って螺旋状に延在するように形成された、実質的に最も長いセグメントがあり、凹部の断面は作業要素のこの部分に沿って均一ではなく、この断面のサイズが流動的に増減し、セグメントの背後には、斜めの形状の壁を有する出口があり、より大きい直径が作業要素の端部に置かれ、凹部は出口の面積まで縮小される。
【0012】
動的空冷を有する冷凍ユニットは、冷却が機械的エネルギーの生成を伴い、その後電気エネルギーに変換されるコージェネレーション要素である。電気エネルギーは、本発明によるデバイス自体に電力を供給するために回収されるエネルギーとして機能することができ、システムの外部から電気エネルギーを取り込むことを部分的に制限することが可能である。熱が大気中に放出される既知のユニットとは対照的に、本発明によるユニットでは、大気中への熱の放出はないが、熱エネルギーは機械的エネルギーに変換される。このようなエネルギーの利用は非常に大きい経済効果をもたらし、環境に対してほぼ中立的である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施形態は、図面に提示される。
【0014】
【
図1】動的空冷を有するユニットの形態でのデバイスの配置のレイアウトを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明を実施するための最良のモード
実施形態における動的空冷を有する冷凍ユニットは、電気駆動2を有する遠心圧縮機1からなる。遠心圧縮機1の出口パイプは、ファン4に接続されたパイプ-プレート熱交換器3の入口パイプに接続されている。交換器3は、空気-空気タイプの交換器である。パイプ-プレート熱交換器3の出口パイプは、作業要素5の入口パイプに接続されている。作業要素5は、電気エネルギー6の発生器に接続された放射軸を有するタービン7の入口パイプに接続されている。タービン7の出口パイプは、ポンプ9に接続されたパイプ-プレート熱交換器8に向けられている。交換器8は、空気-水タイプの交換器を構成する。発生器6は、インバータ10にさらに接続されている。発生した電気エネルギーの周波数変換、および主電源の周波数との同期は、インバータ10で生じる。
【0016】
実施形態では、デバイスは、電気駆動2によって動力を供給される電気遠心圧縮機1が周囲の空気を引き込み、パイプ-プレート熱交換器3の入口パイプ内に向けられた空気流を生成するように動作し、空気流の温度は、大気の温度と等しくなる。次いで、空気流は、作業要素5の入口パイプ内に導かれる。次の部分で説明する特殊なプロファイルを有するチャネルを構成する作業要素5では、空気の内部エネルギーの一部分が、空気流の運動エネルギーに変換され、その冷却がもたらされる。遠心圧縮機1のパラメータは、動的空冷を有するユニットの技術的特性に関わる要件に基づいて選択される。作業要素5のプロファイルは、動的空冷を有するユニットの技術的特性に関わる要件に基づき、開発されたガス力学プロセスの数学的モデルに基づいて計算され、設計される。続いて、高い運動エネルギーを有する冷却された空気の流れは、電気発生器6に接続された放射軸を有するタービン7内に導かれる。発生器6を有する放射軸タービン7のロータ上では、冷却された空気流の運動エネルギーはシャフト回転の機械的作用に変換され、空気速度および電気エネルギーの生成の減少をもたらす。電気発生器6を有する放射軸を有するタービン7は、動的空冷を有する冷凍ユニットの技術的特性に関わる要件に基づいて選択される。タービン7の背後には、冷却されている低速の空気の流れがパイプ-プレート熱交換器8内に向けられ、冷却されるプロセス流体がポンプ9によって移動しながら循環する。発生器6で生成された電気エネルギーはインバータ10を通過し、そこで周波数変換および主電源との同期が行われ、その際に電気主電源に伝送され、デバイスの高いエネルギー効率が提供される。
【0017】
作業要素5を、
図2および
図3に示す。作業要素5の形状は、その内部を通る空気の流れを可能にし、竜巻効果と同様の回転運動に設定する。この要素では、空気の内部(熱)エネルギーが流れる空気の運動エネルギーに変換され、その速度が増加し、かつその温度が低下する。
【0018】
作業要素5は、パイプ-プレート熱交換器3の出口に調整された円形入口5.1を有する。入口の背後には、その開口部のクリアランスの直径よりも実質的に短い長さを有する円筒形セグメント5.2がある。セグメント5.2の背後には突起5.3があり、その壁は外側に向かって凸状であり、半円形の形状を有している。突起5.3の直径は、円筒セグメント5.2の直径よりも大きい。突起5.3の背後には、乱流を伴う空気の渦運動に空気を設定する実質的に最長のセグメント5.4がある。セグメント5.4は、その外壁が、その縦断面に沿って斜めに(螺旋状に)延在する、楕円形に似た形状の凹部5.5を有するような形状である。凹部5.5は、銃身の施条に似ている。凹部5.5の断面は、作業要素5のこの部分に沿って均一ではない。この断面の大きさは、流動的に増減する。作業要素5は、より大きい直径が要素の端部に置かれる斜め(円錐形)の形状の壁を有する出口5.6で終わる。作業要素の出口5.6は、タービン7に向けられている。本例では、作業要素5は、その内部周辺に沿って均一に分布した6つの凹部5.5を有する。
【0019】
本発明が作成されている動的空冷は、熱力学の第1の法則、連続媒体の力学、ベルヌーイの原理、断熱的空気膨張のプロセスの利用、パルス活性流によってガスを排出するプロセスにおいてドラフトが異常に増大する現象、ジュールトムソン効果の利用などの物理学の原理に基づいている。
【0020】
動的空冷プロセスの独自の数学的モデルは、一般的な理論的研究に基づいて開発された。数学的モデルは、動的空冷発生器を構築するために必要な計算の実行を可能にした。
【0021】
冷却プロセスは、空気流の内部熱エネルギーの運動エネルギーへの部分的変換を通じて生じる。
【0022】
変換は、作業要素の構造によって制御されたストリームおよび頂点プロセスに基づいて進む。
【0023】
作業要素内の角速度および半径方向の空気速度は、パラメータS(Gupta,A.Turbulent flows[Text]/A.Gupta,D.Lilly,N.Sayred.-M.:Mir,1987.-588p.)に基づいて計算され、これは無次元係数であり、
【0024】
【0025】
式中、pは空気流の密度であり、Vは半径方向の速度であり、Wは軸方向の空気流量である。作業要素は、仮想モデルおよび物理モデル上のすべてのパラメータの検証、および必要に応じて所望の結果をもたらすためのこれらのパラメータの調整を用いる数学モデルに基づいて開発される。
【0026】
CFDソフトウェアスイートにおいて検証された、数学的モデル化および視覚化によって得られた本発明の実施形態の1つの熱物理パラメータは、作業要素5のチャネルの入力における空気温度が323Kまたは+50℃である場合、作業要素5のチャネルの出力における空気温度が約253Kまたは-20℃であることを示す。その場合、空気流量は40m/秒~375m/秒に増加する。
【0027】
プロセスの理論、ならびに数学的モデリングおよび設計計算に関する情報は、以下の出版物に提示されている:
1.Abramowicz,G.N.Applied gas dynamics.O 2 h.Part 1:handbook instructions for technical schools.-第5版、改訂・増補版。/G.N.Abramowicz.-M.:Nauka,1991.-600p.
2.Maake,V.,Eckert,G.-I,Koshpen J.-L.Guidebook on cooling[Text]-M.:Moscow University Publishing House,1998.-1142p.
3.Baklastov,A.N.Processes and industrial installations for exchanging heat and mass.-M.:Energoizdat,2006.
【0028】
産業上の利用性
動的空冷を有する冷凍ユニットは、大量生産することができ、ユーザのニーズに応じて様々な電力を有することができる。本ユニットは、冷却技術に利用可能である。
【国際調査報告】