(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】神経血管内腔内介入のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/221 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A61B17/221
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546035
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2021051903
(87)【国際公開番号】W WO2021151969
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300167
【氏名又は名称】ユリア メディカル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ビーアン, ナイアル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM33
(57)【要約】
特に、虚血性脳卒中の治療のための神経血管内腔内介入のための装置が、提供される。本装置は、循環器系(CS)内に存在する1つまたはいくつかの血餅(C)を吸引するために、患者の循環器系(CS)の中への挿入のためのカテーテル(2)を備える。カテーテル(2)の遠位外側区分(22)は、遠位外側区分(22)の直径(D2)がカテーテル(2)の近位外側区分(21)の直径(D1)より小さい、循環器系を通したカテーテルの通行を促進するための、非拡張状態と、カテーテル(2)を通した1つまたはいくつかの血餅(C)の吸引を促進するための、半径方向拡張状態とを備える。さらに、そのような装置を適用するための方法が、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に虚血性脳卒中の治療のための神経血管内腔内介入のための装置であって、
その長手方向長に沿ってヒトまたは動物患者の循環器系(CS)の中に挿入されるためのカテーテル(2)であって、前記カテーテル(2)は、第1の直径(D1)を伴う近位外側区分(21)と、第2の直径(D2)を伴う遠位外側区分(22)とを有する、カテーテル(2)
を備え、
前記カテーテル(2)は、前記循環器系(CS)内に存在する1つまたはいくつかの血餅(C)を吸引するように適合され、
前記カテーテル(2)の遠位外側区分(22)が、前記第2の直径(D2)が前記第1の直径(D1)より小さい前記循環器系(CS)を通した前記カテーテル(2)の通行を促進するための非拡張状態と、前記カテーテル(2)を通した前記1つまたはいくつかの血餅(C)の吸引を促進するための半径方向拡張状態とを備えること
を特徴とする、装置。
【請求項2】
加えて、前記循環器系(CS)内に存在する前記1つまたはいくつかの血餅(C)と係合するために、前記カテーテル(2)を用いて前記循環器系(CS)内に位置付けられるように、かつ前記カテーテル(2)の拡張された遠位外側区分の中に後退されるように適合される血餅回収器(4)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記拡張状態において、前記遠位外側区分(22)の第2の直径(D2)は、前記近位外側区分(21)の第1の直径(D1)と同一またはそれより大きい、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記遠位外側区分(22)は、前記非拡張状態において、好ましくは、前記拡張状態においても、本質的にその長手方向長全体に沿って円筒形形状を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記遠位外側区分(22)は、少なくとも1つの補強要素(222)、特に、長手方向に圧縮されているとき、半径方向に拡張する、または長手方向に伸展されているとき、半径方向に収縮する、または、長手方向に伸展されているとき、半径方向に拡張する、または長手方向に圧縮されているとき、半径方向に収縮するように適合される編組構造を備える、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記遠位外側区分(22)は、その非拡張状態からその拡張状態に、およびその拡張状態からその非拡張状態にもたらされるように適合される、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記カテーテル(2)は、加えて、内側管状要素(23)、特に、前記遠位外側区分(22)をその非拡張状態からその拡張状態にもたらすために、前記遠位外側区分(22)に対して長手方向に移動され得る内側管を備える、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記遠位外側区分(22)は、前記内側管状要素(23)が前記遠位外側区分(22)の外側に配列される場合、前記遠位外側区分(22)をその非拡張状態に保ち、前記内側管状要素(23)が前記遠位外側区分(22)の中に移動される場合、半径方向に外向きに伸展される、弾性材料から成る、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記遠位外側区分(22)は、編組構造(222)と、外側殻構造(223)とを備え、前記編組構造(222)は、第1の端部を伴う前記内側管状要素(23)と、第2の端部を伴う前記外側殻構造(223)の遠位端とに取り付けられ、前記編組構造(222)は、前記内側管状要素(23)を前記外側殻構造(223)の遠位端に向かって移動させることによって長手方向に圧縮されているとき、半径方向に拡張するように適合される、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記内側管状要素(23)は、好ましくは、前記内側管状要素(23)の長手方向長全体に沿って延在するコイル(231)を備える、請求項7-9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記遠位外側区分(22)の非拡張状態において、前記近位外側区分(21)から前記遠位外側区分(22)への前記カテーテル(2)の遷移が、連続的に減少する外径および/または内径によって画定される、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、加えて、前記遠位外側区分(22)の遠位端に取り付けられる作動要素(24、25、26)を備え、前記遠位外側区分(22)は、前記作動要素(24、25、26)の作動に応じてその非拡張状態からその拡張状態にもたらされるように適合される、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記作動要素は、引動要素(24)であり、前記遠位外側区分(22)は、前記遠位端が前記引動要素(24)によって近位方向に引動される場合、その非拡張状態からその拡張状態にもたらされるように適合される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記作動要素は、押動要素(25)であり、前記遠位外側区分(22)は、前記遠位端が前記押動要素(24)によって遠位方向に押動される場合、その拡張状態からその非拡張状態にもたらされるように適合される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記作動要素は、長手方向に圧縮されているとき、前記遠位外側区分(22)の領域内で半径方向に拡張するように適合されるコイル状螺入体(26)である、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
第1の直径(D1)を伴う近位外側区分(21)と、第2の直径(D2)を伴う遠位外側区分(22)とを有するカテーテル(2)を備える装置を用いた、特に、前記請求項のいずれか1項に記載される装置を用いた、神経血管内腔内介入のための方法であって、少なくとも、
a.)前記カテーテル(2)を、その長手方向長に沿って、前記ヒトまたは動物患者の循環器系(CS)の中に挿入するステップと、
b.)前記カテーテル(2)を通して、前記循環器系(CS)内に存在する1つまたはいくつかの血餅(C)を吸引するステップと
を含み、
前記カテーテル(2)の遠位外側区分(22)が、前記第2の直径(D2)が前記第1の直径(D1)より小さい非拡張状態と、半径方向拡張状態とを備えることと、
前記遠位外側区分(22)が、ステップa.)の間に、前記循環器系(CS)を通した前記カテーテル(2)の通行を促進するためのその非拡張状態にあることと、
前記遠位外側区分(22)が、ステップb.)の間にその拡張状態にあることと
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、虚血性脳卒中の治療のための神経血管内腔内介入のための装置および方法に関する。本装置は、特に、血管からの血餅の除去のための血餅回収装置と称され得、本方法は、血管からの血餅の回収のための方法と称され得る。
【背景技術】
【0002】
虚血性脳卒中は、脳血液潅流に対する部分的または完全な中断によって引き起こされる。そのような中断は、血栓または塞栓、すなわち、狭窄する頭蓋内脈管内に閉じ込められた状態になった、血流内のより近位の場所を起点とする血餅によって引き起こされ得る。任意の長時間の時間周期にわたる脳の部分への血流の中断は、不可逆的に損傷され、時間に伴ってより大きく増殖する、中核梗塞として公知である、梗塞組織の領域をもたらす。脳の梗塞領域は、軽度の発話および協調の問題から筋肉ならびに認知制御の全体的喪失の範囲に及び得る、神経学的欠損をもたらすであろう。
【0003】
中核梗塞の周囲の酸素が欠乏している領域もまた、より大きく増殖し、中断が、より長く継続する。ペナンブラとして公知である、本領域は、血液潅流が適時に復元された場合、再生されることができる。治療可能な虚血事象の本現象は、現在関連付けられる臨床医の間で一般的である、語句「時間は脳である」を生じさせている。
【0004】
近年では、そのような塞栓物の機械的除去の技術が、ある場合には、血流の再灌流および卒中の効果的な治療を可能にしている。これまでの数年の間に、静脈内血栓溶解薬剤および吸引血餅回収であった、当時の標準治療と対比した、血流復元のためのステント回収器の有効性を実証した、いくつかの臨床研究の第1のものが、公開された。
【0005】
機械的血餅回収デバイスは、例えば、回収ワイヤに接続される、金属バスケットまたはステントである。血餅除去手技の間、ガイドワイヤが、血餅の長さを横断して設置され、カテーテルが、血餅に交差するようにガイドワイヤにわたって通行される。血餅回収デバイスは、カテーテルを通して要求される場所に送達される。カテーテルまたはシースは、血餅回収デバイスにわたったところから後退され、これは、次いで、拡張し、血餅と係合する。血餅回収デバイスおよびその中に統合された血餅が、次いで、回収ワイヤを引き出すことによって、張力を使用して、血管を通して除去されることができる。随意に、吸込カテーテルが、除去を補助するために使用されることができる。
【0006】
多くの場合では、血餅は、血餅回収デバイスの第1の通過の間に未損傷で除去されることができず、血流の復元を得るために、複数の通過が、要求される。第1の通過における血餅除去の改良が、本技術分野における多くの現在の開発の標的である。
【0007】
実践では、臨床医は、血管内手技の間に、血餅を除去するためのいくつかの異なるツールを使用するであろう。概して、ガイドワイヤが、修正セルディンガー技法を使用して大腿動脈の中に設置され、頸動脈を通して脳の大脳血管系の中に通行されるであろう。
【0008】
ガイドワイヤは、次いで、血餅を通して押動される。いったんガイドワイヤが定位置に来ると、マイクロカテーテル(およそ0.4mm直径)として公知の非常に狭小な管状カテーテルが、ワイヤにわたって血餅の遠位側まで前進される。
【0009】
ガイドワイヤは、次いで、除去され、ステント回収器が、マイクロカテーテルを通して押動され、血餅の長さに沿って展開される。ステント回収器は、血餅と係合し、次いで、患者の循環器系から血餅を除去するために後退される。大部分の場合では、本手技が、行われながら、同時に、マイクロカテーテルにわたって血餅に近接して通行される、より大きい直径のカテーテルを通して吸引を印加する。吸引カテーテルは、吸引の間の圧潰を防止するために要求される、そのより大きい直径および補強に起因して、マイクロカテーテルより硬質である。マイクロカテーテルは、したがって、血管系を通した吸引カテーテルの導入のための支持体およびガイドとしても要求される。
【0010】
同一の出願人の、まだ未公開である欧州特許出願第EP 19 167 604.8号は、複数の血餅係合要素が相互から独立して展開され得る、ヒトまたは動物患者の循環器系からの血餅の除去のためのカテーテル装置を開示する。このように、第1の通過による血餅除去率は、改良されることができる。
【0011】
上記の技法に加えて、ステント回収器および吸引カテーテルの組み合わせを使用して説明される、複数の異なるアプローチが、存在している。これらの技法のうちのいくつかが、吸引カテーテルの中へのステント回収器および血餅の完全な抜去を説明する。他のアプローチは、血餅の近位部分が除去の間に吸引カテーテルに取り付けられる、吸引カテーテルを用いた血餅およびステント回収器の抜去を対象とする。
【0012】
選定される血餅回収アプローチは、多くの場合、血餅組成によって影響を受け、血餅が、例えば、非常に軟質の血栓である、ある場合には、吸引カテーテルは、単独で、吸込を介して血餅全体を除去するために十分である。本場合には、マイクロカテーテルは、依然として、所望の部位への吸引カテーテルの通行を補助するように支援するために要求される。
【0013】
使用される具体的な技法にかかわらず、遅延のない血餅の除去が、極めて重要である。ガイドワイヤおよびマイクロカテーテルは、概して、迅速に血餅まで前進されるが、吸引カテーテルの位置付けが、限定要因となり得る。吸引カテーテルを前進させるプロセスが、特に、内頸動脈を通して通過した後、困難な状態になる。これは、大脳血管系内の本点以降の狭小かつ蛇行性の脈管に起因し、血管系が罹患し、伸長している、より高齢の患者において悪化する。手技の本時間がかかる部分は、患者の臨床転帰に影響を及ぼし得る。血餅が第1の通過の間に除去されない場合では、複数の試行の間に要した累積時間が、有意になり得る。
【0014】
吸引カテーテルの遠位端に遠位に拡張する漏斗を伴うデバイスを配列することが、公知である。これらのデバイスは、概して、吸引カテーテルと別個であり、管腔を通して付置され、吸引カテーテルの遠位端から外に押し出され、拡張する。そのようなデバイスは、吸引カテーテルのすでに大きい内腔径を広げ、抜去用のステント回収器および/または血餅を巻き込み、いかなる微小塞栓も血餅除去の間に放出されないことを確実にすることを意図している。第WO 02/087677 A2号、第US 2017/0303949 A1号、第WO 2016/113047 A1号、第US 2019/0269491 A1号、第US 2017/0333060 A1号は、本種類の技法を対象とする文書の実施例である。
【0015】
第WO 2017/097616 A1号は、血管から塞栓物を除去するための複数のデバイスおよび方法を開示する。本書の
図1-2fに示される第1の実施形態によると、ステント回収器が、最初に、マイクロカテーテルを用いて展開される。血餅除去プロセスを改良するために、吸引カテーテルが、次いで、血餅の位置まで前進される。
【0016】
吸引カテーテルを用いて、ステント回収器および血餅が、除去プロセスの間に受容体デバイスのテーパ状開口部を通して吸引され得るように、吸引カテーテルの遠位区分に対して円周方向にシールする、血餅受容体デバイスが、展開される。同一の文書の
図10-11dに示される別の実施形態では、ステント回収器もまた、マイクロカテーテルを用いて展開される。吸引カテーテルが、次いで、ステント回収器および血餅を吸引するために、血餅の位置まで進められる。吸引カテーテルの遠位先端は、吸引および除去プロセスにおいて血餅の受容を促進するためのテーパ状開口部を形成するために、拡張性であることが提案されている。
【0017】
第US 8,425,549 B2号は、カテーテル内で遠位に変位可能である、コイルまたは螺旋状リボンを用いて半径方向に拡張され得る遠位部分を有する、カテーテルを開示する。拡張構成は、カテーテルの遠位端開口部を通し、その管腔の中への閉塞性物質を吸引するために、カテーテルの管腔を通して陰圧を印加することを可能にする。
【0018】
示されるような種類の神経血管内腔内介入のためのさらなるデバイスが、第WO 2016/126974 A1号、第WO 2018/169959 A1号、および第WO 98/23320 A1号に開示される。
【0019】
上記に説明されるカテーテルデバイス以外にも、脈管アクセスのために使用される短いカニューレ様デバイスである、導入器シースが、公知である。それらは、標的脈管に経皮的に導入され、中心拡張器が、次いで、除去され、ガイドワイヤおよびカテーテル等の他のデバイスの挿入のためのアクセスを可能にする。近年では、拡張し、公称の脈管サイズより大きいデバイスを収容するための能力を有する、いくつかの導入器デバイスが、開発されている。拡張シースタイプデバイスの実施例は、Edwards eSheath(登録商標)およびTerumo Solopath(登録商標)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
血管からの全体的により容易かつより迅速な血餅の除去を可能にする、特に、虚血性脳卒中の治療のための神経血管内腔内介入のための装置を提供することが、本発明の目的である。
【0021】
本目的は、請求項1に請求されるような装置によって解決される。本装置のさらなる実施形態が、従属請求項2-15に提供される。特に、請求項1に請求されるような装置との組み合わせにおいて使用され得る、神経血管内腔内介入のための方法が、請求項16に提供される。
【0022】
本発明は、特に、虚血性脳卒中の治療のための神経血管内腔内介入のため、より具体的には、ヒトまたは動物患者の循環器系からの血餅の除去のための装置であって、
その長手方向長に沿ってヒトまたは動物患者の循環器系の中に挿入されるためのカテーテルであって、第1の直径を伴う近位外側区分と、第2の直径を伴う遠位外側区分とを有する、カテーテルを備え、
カテーテルは、循環器系内に存在する1つまたはいくつかの血餅を吸引するように適合される、装置を提供する。
【0023】
カテーテルの遠位外側区分は、第2の直径が、第1の直径より小さい、循環器系を通したカテーテルの通行を促進するための、非拡張状態を備える。さらに、カテーテルの遠位外側区分は、カテーテルを通した1つまたはいくつかの血餅の吸引を促進するための、半径方向拡張状態を備える。
【0024】
したがって、示されるような本装置では、マイクロカテーテルおよび吸引カテーテルが、1つのカテーテルの中に組み合わせられる。カテーテルは、2つの状態または構成を有し、一方は、それによって、カテーテルが、吸引カテーテルとして機能するために概ね十分に広い、比較的に広い近位外側区分と、マイクロカテーテルとして機能する、狭小な遠位外側区分とを有する、第1の構成である。本第1の構成では、遠位外側区分は、容易に血管系を通して通行されるように適合される。カテーテルは、次いで、好ましくは、第2の状態または構成に可逆的に変化されることができ、それによって、遠位外側区分が、好ましくは、概ね近位外側区分の直径に等しい、より広い直径に拡張される。本アプローチは、カテーテルが容易かつ迅速に標的部位まで通行され、続いて、吸引による1つまたはいくつかの血餅の除去を促進するように拡張されることを可能にする。本設計を使用すると、臨床医は、蛇行性の脈管を通した大きい吸引カテーテルを通行させることに貴重な時間を浪費することはない。加えて、単一のカテーテルの中へのマイクロカテーテルおよび吸引カテーテルの組み合わせはまた、コスト節約を表し得る。
【0025】
カテーテルは、好ましくは、通常の成人ヒト患者の大腿動脈の中に挿入され、脳、特に、患者の中大脳動脈まで通行されるように適合される。したがって、カテーテルの長さは、好ましくは、カテーテルが、少なくとも、通常の成人ヒト患者の大腿動脈から脳、特に、同一の患者の中大脳動脈まで拡張し得るようなものである。用途(例えば、動物またはヒトにおけるもの、子供におけるもの、女性(メス)もしくは男性(オス)の成人におけるものかどうか等)に依存して、カテーテルは、好ましくは、少なくとも30cm、より好ましくは、少なくとも40cmの全長を有する。ヒト、特に成人のヒトにおける使用のために、カテーテルの全長は、好ましくは、100cm~200cmの範囲内、より好ましくは、130cm~180cmの範囲内である。
【0026】
その長手方向の拡張に沿って、カテーテルは、好ましくは、カテーテルの長手方向に沿って相互の真裏に配列され、特に、遷移を介して相互に直接融合する、近位外側区分と、遠位外側区分とを有する。近位外側区分は、第1の直径、好ましくは、カテーテルの外径を画定し、遠位外側区分は、好ましくは、また、カテーテルの外径である、第2の直径を画定する。遠位外側区分の第2の直径は、遠位外側区分がその非拡張状態からその拡張状態にもたらされる(または逆もまた同様)ときに応じて、長さが変化する。
【0027】
拡張状態において、遠位外側区分の第2の直径は、好ましくは、非拡張状態と比較して拡大される。遠位外側区分の非拡張状態から拡張状態まで、第2の直径は、好ましくは、少なくとも1.5の倍数、より好ましくは、少なくとも2の倍数、最も好ましくは、少なくとも3の倍数だけ増加する。近位外側区分の第1の直径は、好ましくは、遠位外側区分がその非拡張状態からその拡張状態にもたらされるとき、不変のままである。
【0028】
絶対的には、遠位外側区分の第2の直径は、非拡張状態において、0.1~1mmの好ましい範囲内、より好ましくは、0.1~0.8mm、さらにより好ましくは、0.2~0.6mm、最も好ましくは、0.3~0.5mmの範囲内、特に、およそ0.4mmである。拡張状態において、遠位外側区分の第2の直径は、好ましくは、1~2mm、より好ましくは、1.2~1.8mm、最も好ましくは、1.4~1.6mmの範囲内、特に、およそ1.5mmである。
【0029】
非拡張状態において、遠位外側区分の第2の直径は、近位外側区分の第1の直径よりも、好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは、少なくとも70%小さい。
【0030】
好ましくは、カテーテルは、遠位外側区分の第2の直径が近位外側区分の第1の直径を超えて拡張され得ないように設計される。
【0031】
用語「血餅」は、個別の血管内の自由血流を可能にするために除去されることを必要とする、ヒトまたは動物患者の循環器系の血管内の障害物を指す。血餅は、例えば、狭小な頭蓋内脈管内、すなわち、患者の神経血管系内で閉じ込められた状態になりつつある、心臓または肺等からの血流内のより近位の場所を起点とする、血栓もしくは塞栓であり得る。
【0032】
特に好ましい実施形態では、本装置は、加えて、循環器系内に存在する1つまたはいくつかの血餅と係合するために、カテーテルを用いて循環器系内に位置付けられるように、かつカテーテルの拡張された遠位外側区分の中に後退されるように適合される、血餅回収器を備える。本装置は、好ましくは、血餅回収器を後退させながら、同時に、カテーテルを通して1つまたはいくつかの血餅を吸引するように適合される。このように、血餅除去は、特に、信頼性があり、安全である。
【0033】
血餅回収器は、特に、ステント回収器の形態を有することができる。有利なこととして、血餅回収器は、カテーテル全体を通して延在し、特に、血管系から1つまたはいくつかの血餅を伴う血餅回収器を後退させるための血餅回収器を作動させる役割を果たす、回収ワイヤに接続される。
【0034】
ある実施形態では、血餅回収器は、複数の血餅係合要素を備えることができる。複数の血餅係合要素が、提供される場合、それらは、同一の出願人のまだ未公開である欧州特許出願第EP 19 167 604.8号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される装置におけるように、相互から独立して展開されるように適合されることができる。
【0035】
血餅回収器は、好ましくは、非拡張状態と、半径方向拡張状態とを備える。非拡張状態において、血餅回収器は、通常、好ましくは、拡張状態にある外側半径方向直径より複数倍小さい、外側半径方向直径を有する。したがって、血餅回収器は、好ましくは、展開に応じて半径方向に拡張するように適合され、これは、血餅回収器の半径方向拡張が増大することを意味する。拡張を用いて、血餅回収器の少なくとも一部が、直接、または後退されているときに血餅と係合する。非拡張状態において、血餅回収器は、循環器系内に位置付けられるために、特に、カテーテルを用いて血餅の領域にもたらされるために、カテーテルの中に挿入されることができる。したがって、非拡張状態において、血餅回収器は、好ましくは、血餅回収器がカテーテルに伴って移動するように、カテーテル内に配列され、後者によって定位置に保持される。
【0036】
血餅回収器は、好ましくは、少なくとも部分的に、ステント生産のために一般的に使用される、ニチノール等の弾性金属から、または別の合金から成る。血餅回収器は、好ましくは、ニチノールから、または別の超弾性金属からレーザ切断され得る、1つまたはそれを上回るステント様構造を備える。
【0037】
血餅回収器は、好ましくは、その弾性のために、その非拡張状態からその拡張状態にもたらされる。したがって、血餅回収器は、有利には、例えば、カテーテルの中に装填されることが要求されると、可逆的に圧潰されることができる。非拡張状態において、血餅回収器は、好ましくは、半径方向に沿って予め応力が印加される。拡張が、次いで、好ましくは、半径方向限定要素、すなわち、カテーテルを、少なくとも部分的に、血餅回収器から離れるように移動させることによって行われ、これは、その弾性性質のために、そうすることによって、半径方向に拡張することが可能にされる。
【0038】
遠位外側区分の拡張状態において、遠位外側区分の第2の直径は、好ましくは、近位外側区分の第1の直径とほぼ同一である。このように、血餅の吸引は、近位外側区分および遠位外側区分を通して最適に行われることができる。いくつかの実施形態では、第2の直径は、遠位外側区分の拡張状態において、例えば、カテーテルの中への血餅回収器および/または血餅の後退を促進するために、第1の直径よりさらに大きくあることができる。
【0039】
特に好ましい実施形態では、遠位外側区分は、非拡張状態および/または拡張状態において、円筒形形状を有する。遠位外側区分の円筒形形状は、血管系を通したカテーテルの通行を促進するだけではなく、位置決めプロセスの間に遠位外側区分の内側のその長手方向拡張全体に沿って血餅回収器をしっかりと保持するために有利でもある。有利なこととして、遠位外側区分は、本質的にその長手方向長全体に沿って円筒形形状を有する。遠位外側区分の長手方向長全体は、好ましくは、1cm超、より好ましくは、2cm超、最も好ましくは、3cm超である。ある実施形態では、遠位外側区分の長さは、さらに、5cm超、10cm超、または15cm超であることができる。特に好ましい実施形態では、遠位外側区分は、15cm~20cmの範囲内の長さを有する。
【0040】
遠位外側区分は、有利には、少なくとも1つの補強要素、特に、長手方向に圧縮されているとき、半径方向に拡張する、および/または長手方向に伸展されているとき、半径方向に収縮する、ならびに/もしくは長手方向に伸展されているとき、半径方向に拡張する、および/または長手方向に圧縮されているとき、半径方向に収縮するように適合される、編組構造、もしくは製編構造、またはかぎ針編み構造を備える。補強要素の長さの変化に応じた半径方向の拡張または収縮は、好ましくは、可逆的である。したがって、カテーテルの遠位外側区分は、本場合では、長手方向に圧縮する(または長手方向に伸展する)少なくとも1つの補強要素を用いて、非拡張状態から拡張状態にもたらされることができ、好ましくは、逆もまた同様である。言い換えると、少なくとも1つの補強要素が、例えば、作動要素の長手方向移動を遠位外側区分の半径方向の拡張および/または半径方向の収縮に転換するように適合される。少なくとも1つの補強要素を長手方向に圧縮および/または伸展させるために、作動要素は、好ましくは、遠位外側区分、特に、少なくとも1つの補強要素の近位端もしくは遠位端に取り付けられる、または取付可能である。遠位端または近位端のうちの他方は、好ましくは、近位外側区分に対して定常状態である。有利なこととして、作動要素は、少なくとも1つの補強要素、特に、少なくとも1つの補強要素の近位端または遠位端に解放可能に取り付けられる、もしくは解放可能に取付可能である。解放可能な取付が、例えば、遠位外側区分を拡張させた後に、作動要素がカテーテルから除去されることを可能にする。作動要素は、押動要素または引動要素であることができる。押動要素は、例えば、押動螺入体またはワイヤ、押動管もしくは押動コイルの形態にあることができる。引動要素は、それに応じて、例えば、引動螺入体またはワイヤ、引動管もしくは引動コイルの形態にあることができる。
【0041】
特に好ましい実施形態では、作動要素は、押動管の形態を有し、本装置は、加えて、少なくとも1つの補強要素の遠位端に取り付けられ、押動管内に延在する、後部ワイヤを備える。押動管を、後部ワイヤが少なくとも1つの補強要素またはさらにより遠くに取り付けられる点まで遠位方向に沿って長手方向に移動させることによって、押動管は、少なくとも1つの補強要素が押動管によって長手方向に伸展され得るように、後部ワイヤを介して少なくとも1つの補強要素に係止されることができる。本実施形態は、作動要素が、要求される限り頻繁に補強要素に係止され、それから解放され得るという特定の利点を有する。当然ながら、代替実施形態では、後部ワイヤに係止される押動管を用いて少なくとも1つの補強要素を長手方向に圧縮するために、後部ワイヤを少なくとも1つの補強要素の近位端に取り付けることもまた、可能であろう。
【0042】
好ましくは、編組構造の形態にある、少なくとも1つの補強要素は、有利には、また、特に、血管系を通したカテーテルの通行の間、および血餅の吸引の間、カテーテルが圧潰しないように防止するために、カテーテルの捻転を防止する役割も果たす。少なくとも1つの補強要素は、特に、遠位外側区分の構造支持要素を形成することができる。少なくとも1つの補強要素は、特に、吸込の間にカテーテルの遠位外側区分の圧潰を防止する役割を果たす。好ましい実施形態によると、少なくとも1つの補強要素は、被覆される。
【0043】
遠位外側区分は、好ましくは、その非拡張状態からその拡張状態だけではなく、その拡張状態からその非拡張状態にももたらされるように適合される。非拡張状態から拡張状態(逆もまた同様)への変化は、好ましくは、臨床医によって作動要素を用いて能動的に行われることができる。
【0044】
別の実施形態では、カテーテルは、加えて、遠位外側区分をその非拡張状態からその拡張状態にもたらすために遠位外側区分に対して長手方向に移動され得る、内側管状要素、特に、内側管を備える。したがって、内側管状要素は、有利には、臨床医のための作動要素としての役割を果たす。内側管状要素は、好ましくは、本質的にカテーテルの全長に沿ってカテーテルの内側管腔を画定する。遠位外側区分を拡張させるように内側管状要素を進めることによって、近位外側区分と遠位外側区分との間の特に平滑な内側遷移および外側遷移が、遠位外側区分がその拡張状態にあるとき、達成されることができる。したがって、遠位外側区分は、好ましくは、内側管状要素を遠位外側区分の内側管腔の中に押し込むことによって、拡張されることができる。
【0045】
遠位外側区分は、好ましくは、内側管状要素が同軸かつ遠位外側区分の近位に配列される場合、遠位外側区分をその非拡張状態に保ち、内側管状要素が遠位外側区分の中に同軸に移動される場合、半径方向に外向きに伸展される、弾性材料から成る。その弾性のために、遠位外側区分は、好ましくは、内側管状要素が、再び、遠位外側区分から後退される場合、自動的にその非拡張状態に戻る。
【0046】
代替として、遠位外側区分は、編組構造と、外側殻構造とを備えることができ、編組構造は、第1の端部を用いて、内側管状要素、特に、内側管状要素の遠位端に取り付けられ、第2の端部を用いて、外側殻構造の遠位端に取り付けられている。編組構造は、次いで、好ましくは、内側管状要素を外側殻構造の遠位端に向かって移動させることによって、長手方向に圧縮されると半径方向に拡張するように適合される。
【0047】
内側管状要素は、好ましくは、内側管状要素の長手方向長全体に沿って延在する、皮下管またはコイルを備える、もしくはそれによって形成されることができる。コイルの巻線が、好ましくは、隣接する巻線間にいかなる間隙も存在しないように、相互のすぐ隣に置かれる。したがって、コイルは、好ましくは、緊密に巻回される。コイルのような内側管状要素の構築物は、一方では内側管状要素の所望の可撓性および他方では吸引の間に捻転ならびに圧潰に対するその抵抗性に関して有利である。内側管状要素は、PTFEまたはパリレン等の低摩擦コーティングでコーティングされてもよい。別の実施形態では、内側管状要素はまた、それぞれの場合において少なくとも円周の一部にわたって交互に入れ替わる円周方向において延在する、連続的ワイヤ形成構造の形態にあることができる。さらに別の実施形態では、内側管状要素は、長手方向に延在するワイヤに付着される、特に、溶接される、複数のCまたはO字形要素の形態にあることができる。
【0048】
遠位外側区分の非拡張状態において、有利なこととして、拡張状態においても、近位外側区分から遠位外側区分までのカテーテルの遷移が、好ましくは、連続的に、すなわち、急激な変化または不連続性を伴わずに徐々に減少する外径ならびに/もしくは内径によって画定される。カテーテルの通行の間の血管系損傷、または吸引の間の空気力学乱流を引き起こし得る、急激な内縁ならびに/もしくは外縁が、このように回避されることができる。
【0049】
本装置は、好ましくは、それによって臨床医が遠位外側区分の状態を能動的に非拡張状態から拡張状態に、および有利には、同様にその逆にも変化し得る、作動要素を備える。上記にすでに述べられたように、そのような作動要素は、例えば、押動要素または引動要素の形態にある、もしくは内側管状要素、特に、遠位外側区分に対して移動可能である、内側管の形態にあることができる。しかしながら、作動要素はまた、異なる形態を有することができる。ある実施形態では、作動要素は、遠位外側区分の近位端または遠位端に取り付けられることができ、遠位外側区分は、本場合では、作動要素の作動に応じて、その非拡張状態からその拡張状態にもたらされるように適合されることができる。例えば、遠位端が引動要素によって近位方向において引動される場合、作動要素は、引動螺入体等の引動要素であることができ、遠位外側区分は、その非拡張状態からその拡張状態にもたらされるように適合されることができる。本場合には、遠位外側区分は、好ましくは、長手方向に圧縮されるために、引動要素によって近位外側区分に向かって圧接される。本長手方向の圧縮に起因して、遠位外側区分は、半径方向に拡張され、これは、例えば、遠位外側区分の編組構造によって引き起こされることができる。別の実施形態では、作動要素は、屈曲に対してある剛度を有する、押動螺入体等の押動要素であることができ、遠位外側区分は、遠位端が押動要素によって遠位方向において押動される場合、その拡張状態からその非拡張状態にもたらされるように適合されることができる。本場合には、遠位外側区分の遠位端は、好ましくは、押動要素によって近位外側区分から離れるように押動され、遠位外側区分を長手方向等に伸展させる。本長手方向の伸展に起因して、遠位外側区分は、半径方向に収縮され、これは、例えば、遠位外側区分の編組構造によって引き起こされることができる。別の実施形態では、作動要素はまた、管状構造であることができ、遠位外側区分の遠位端に可逆的に付着されることができる。可逆的な付着は、弱い接着剤接合、磁気取付、または弾性外側殻構造の圧縮力によって引き起こされる摩擦等の手段を使用して達成され得る。
【0050】
別の代替実施形態では、作動要素は、長手方向に圧縮されているとき、遠位外側区分の領域内で半径方向に拡張するように適合される、コイル状螺入体であることができる。コイル状螺入体は、好ましくは、形状記憶材料、特に、ニチノール(NiTi)等の形状記憶合金から成る。
【0051】
当然ながら、上記に述べられる作動要素、すなわち、内側管状要素、押動要素、引動要素、およびコイル状螺入体もまた、遠位外側区分の拡張を促進するために、組み合わせられることができる。
【0052】
循環器系を通したカテーテルの通行を促進し、管腔内損傷を防止するために、潤滑性コーティングが、好ましくは、カテーテルの外側表面、特に、遠位外側区分の外側表面上に提供される。
【0053】
さらに、本発明は、第1の直径を伴う近位外側区分と、第2の直径を伴う遠位外側区分とを有するカテーテルを備える装置を用いた、特に、上記に説明されるような装置を用いた、神経血管内腔内介入のための方法を対象とする。本方法は、少なくとも、
a.)カテーテルを、その長手方向長に沿って、ヒトまたは動物患者の循環器系の中に挿入するステップと、
b.)カテーテルを通して、循環器系内に存在する1つまたはいくつかの血餅を吸引するステップと、
を含む。
【0054】
本方法において使用されるカテーテルの遠位外側区分は、第2の直径が第1の直径より小さい、非拡張状態と、半径方向拡張状態とを備える。ステップa.)の間、遠位外側区分は、循環器系を通したカテーテルの通行を促進するための、その非拡張状態にある。ステップb.)の間、遠位外側区分は、その拡張状態にある。
【0055】
上記に述べられるような方法ステップa.)およびb.)は、好ましくは、示されるような連続する順序において、特に、順々に行われる。
【0056】
したがって、循環器系の中へのカテーテルの挿入の後、カテーテルの遠位外側区分は、カテーテルを通した1つまたはいくつかの血餅の吸引を促進するために、その非拡張状態からその拡張状態にもたらされる。
【0057】
本方法において使用されるカテーテルの遠位外側区分は、好ましくは、第2の直径が第1の直径より小さい、非拡張状態と、第2の直径が、特に、第1の直径と同一であり得る、半径方向拡張状態とを備える。本場合には、カテーテルは、好ましくは、循環器系を通したカテーテルの通行を促進するために、遠位外側区分がその非拡張状態にある状態で、ステップa.)において挿入される。ステップb.)において、1つまたはいくつかの血餅は、好ましくは、遠位外側区分がその拡張状態にある状態で吸引される。さらに、本方法において使用されるカテーテルの遠位外側区分は、有利には、少なくとも1つの補強要素、特に、長手方向に圧縮されているときに半径方向に拡張する、および/または長手方向に伸展されているときに半径方向に収縮するように適合される、編組構造を備える。
【0058】
本装置は、好ましくは、また、血餅回収器を、循環器系内に存在する1つまたはいくつかの血餅と係合させるために、ステップa.)とステップb.)との間のさらなる方法ステップにおいて、カテーテルを用いて循環器系内に位置付けられる、すなわち、展開される、血餅回収器を備える。ステップb.)における吸引の間、血餅回収器は、好ましくは、カテーテルの中に同時に後退される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して以下に説明され、これは、本発明の本好ましい実施形態を図示する目的のためのものであり、これを限定する目的のためのものではない。
【0060】
【
図1a】
図1aは、遠位外側区分の非拡張状態にある、部分的に切断され、開放している外側殻構造を伴う、本発明の第1の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0061】
【
図1b】
図1bは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図1aのカテーテルを示す。
【0062】
【
図1c】
図1cは、
図1aのカテーテルとの組み合わせにおいて使用され得る、内側管状要素の異型を示す。
【0063】
【
図1d】
図1dは、
図1aのカテーテルとの組み合わせにおいて使用され得る、内側管状要素の別の異型を示す。
【0064】
【
図2a】
図2aは、遠位外側区分の非拡張状態にある、部分的に切断され、開放している外側殻構造を伴う、本発明の第2の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0065】
【
図2b】
図2bは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図2aのカテーテルを示す。
【0066】
【
図3a】
図3aは、遠位外側区分の拡張状態にある、部分的に切断され、開放している外側殻構造を伴う、本発明の第3の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0067】
【
図3b】
図3bは、遠位外側区分の非拡張状態にある、
図3aのカテーテルを示す。
【0068】
【
図4a】
図4aは、遠位外側区分の非拡張状態にある、部分的に切断され、開放している外側殻構造を伴う、本発明の第4の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0069】
【
図4b】
図4bは、遠位外側区分の部分拡張状態にある、
図4aのカテーテルを示す。
【0070】
【
図4c】
図4cは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図4aのカテーテルを示す。
【0071】
【
図5a】
図5aは、遠位外側区分の非拡張状態にある、部分的に切断され、開放している外側殻構造を伴う、本発明の第5の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0072】
【
図5b】
図5bは、遠位外側区分の部分拡張状態にある、
図5aのカテーテルを示す。
【0073】
【
図5c】
図5cは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図5aのカテーテルを示す。
【0074】
【
図6a】
図6aは、遠位外側区分の非拡張状態にある、可視にされた内側コイル状螺入体の形態における作動要素を伴う、本発明の第6の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0075】
【
図6b】
図6bは、遠位外側区分の部分拡張状態にある、
図6aのカテーテルを示す。
【0076】
【
図6c】
図6cは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図6aのカテーテルを示す。
【0077】
【
図7a】
図7aは、遠位外側区分の非拡張状態にある、本発明の第8の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0078】
【
図7b】
図7bは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図7aのカテーテルを示す。
【0079】
【
図8a】
図8aは、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第9の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0080】
【
図8b】
図8bは、遠位外側区分の拡張状態にある、
図8aのカテーテルを示す。
【0081】
【
図9a】
図9aは、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第10の実施形態による、装置のカテーテルの斜視図を示す。
【0082】
【
図9b】
図9bは、
図9aのカテーテルとの組み合わせにおいて使用される押動要素の遠位端部分の斜視図を示す。
【0083】
【
図9c】
図9cは、
図9aのカテーテルに取り付けられ、
図9bの押動要素を
図9aで使用されるような巻上構成に保持する役割を果たし、平坦構成にある、ばねクリップの斜視図を示す。
【0084】
【
図10a】
図10aは、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第11の実施形態による、装置の挿入された押動要素を伴う、カテーテルの側面図を示す。
【0085】
【
図10b】
図10bは、弾性ループを用いてカテーテルに解放可能に取り付けられている押動要素を伴う、
図10aのカテーテルを示す。
【0086】
【
図10c】
図10cは、カテーテルの遠位端に取り付けられる弾性ループを伴う、
図10aのカテーテルを示す。
【0087】
【
図11】
図11は、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第12の実施形態による、装置の挿入された押動要素を伴う、カテーテルの側面図を示す。
【0088】
【
図12a】
図12aは、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第13の実施形態による、装置の挿入された押動要素を伴う、カテーテルの側面図を示す。
【0089】
【
図12b】
図12bは、渦巻状コイルおよび弾性ループを用いてカテーテルに解放可能に取り付けられている押動要素を伴う、
図12aのカテーテルを示す。
【0090】
【
図13a】
図13aは、カテーテルの遠位端に取り付けられているループを伴う、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第14の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0091】
【
図13b】
図13bは、遠位外側区分をその非拡張状態にもたらすために、押動要素がループに解放可能に取り付けられ、引張力を付与するような方法においてカテーテルの中に挿入されている押動要素を伴う、
図13aのカテーテルを示す。
【0092】
【
図14a】
図14aは、カテーテルの中に挿入され、後部ワイヤを介してそれに解放可能に接続される押動要素を伴う、遠位外側区分の弛緩拡張状態にある、本発明の第15の実施形態による、装置のカテーテルの側面図を示す。
【0093】
【
図14b】
図14bは、押動要素が、遠位外側区分をその非拡張状態にもたらすためにカテーテルの遠位端上に引張力を付与するような方法において後部ワイヤに係止されている押動要素を伴う、
図14aのカテーテルを示す。
【0094】
【
図15】
図15は、製編構造の形態における、発明装置のカテーテルのための補強要素を示す。
【0095】
【
図16】
図16は、発明装置のカテーテルのための製編補強要素の製編パターンの第1の異型を示す。
【0096】
【
図17】
図17は、発明装置のカテーテルのための製編補強要素の製編パターンの第2の異型を示す。
【0097】
【
図18】
図18は、発明装置のカテーテルのためのかぎ針編み補強要素のかぎ針編みパターンを示す。
【0098】
【
図19】
図19は、発明装置のカテーテルのための編組補強要素の2軸編組を示す。
【0099】
【
図20】
図20は、発明装置のカテーテルのための編組補強要素の3軸編組を示す。
【0100】
【
図21a】
図21aは、収縮状態にある、発明装置のカテーテルの補強要素を形成するための補助構造を示す。
【0101】
【0102】
【
図22】
図22は、発明装置のカテーテルのための補強要素を形成するための別の補助構造を提供するための切断パターンを示す。
【0103】
【
図23】
図23は、発明装置のカテーテルのための補強要素を形成するためのさらに別の補助構造を提供するための切断パターンを示す。
【0104】
【
図24a】
図24aは、血餅を通して延在するガイドワイヤを伴う、
図1aおよび1bに示されるような装置を用いた虚血性脳卒中の治療における第1のステップを示す。
【0105】
【
図24b】
図24bは、血餅を通して延在する、その非拡張状態にある、ガイドワイヤおよびカテーテルの遠位外側区分を伴う、
図1aならびに1bに示されるような装置を用いた虚血性脳卒中の治療における第2のステップを示す。
【0106】
【
図24c】
図24cは、部分拡張状態にある、部分的に後退されたカテーテルを伴い、展開され、血餅と係合された血餅回収器を伴う、
図1aおよび1bに示されるような装置を用いた虚血性脳卒中の治療における第3のステップを示す。
【0107】
【
図24d】
図24dは、その拡張状態にあるカテーテルを伴い、依然として、血餅と係合された血餅回収器を伴う、
図1aおよび1bに示されるような装置を用いた虚血性脳卒中の治療における第4のステップを示す。
【0108】
【
図24e】
図24eは、血餅回収器と、血管から後退されている拡張されたカテーテル内に受容される血餅とを伴う、
図1aおよび1bに示されるような装置を用いた虚血性脳卒中の治療における第5のステップを示す。
【0109】
【
図25a】
図25aは、虚血性脳卒中の治療のための患者の循環器系の中へのガイドワイヤの挿入を図式的に示す。
【0110】
【
図25b】
図25bは、非拡張状態にあるカテーテルの遠位外側区分を伴う、
図25aのガイドワイヤに沿った循環器系の中への発明カテーテルの部分的挿入を図式的に示す。
【0111】
【
図25c】
図25cは、内頸動脈内の血餅を通した非拡張遠位外側区分を伴う、延在すること等のためにさらに血管系の中に前進された、
図25bのカテーテルを図式的に示す。
【0112】
【
図25d】
図25dは、非拡張状態にあり、血餅と係合された血餅回収器を展開するために部分的に後退される、
図25bおよび25cのカテーテルを図式的に示す。
【0113】
【
図25e】
図25eは、拡張状態にあり、血餅を吸引する準備ができている、
図25b、25c、および25dのカテーテルを図式的に示す。
【0114】
【
図25f】
図25fは、カテーテルの中への吸引力の印加下で血餅回収器および血餅を後退させた後の、拡張状態にある、
図25b、25c、ならびに25dのカテーテルを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
好ましい実施形態の説明
図では、異なる実施形態であるが、同じまたは類似の機能ならびに/もしくは設計を有する要素が、同一の参照番号を用いて示される。
【0116】
図1a-23では、発明装置の複数の実施形態および異型、特に、神経血管内腔内介入、特に、虚血性脳卒中の治療のためのそのような装置のカテーテルが、示される。
【0117】
図1aおよび1bは、発明血餅回収装置のカテーテル2の第1の実施形態を示す。カテーテル2は、概して、その長手方向長全体の大部分に沿って、ヒトまたは動物患者の循環器系の中に挿入されるための、全体的管状構造を有する。カテーテル2の内側管腔を通して、種々のデバイス、特に、血餅回収器は、脳血管の中断の部位まで進められることができる。
【0118】
カテーテル2は、近位外側区分21と、遠位外側区分22とを備える。近位外側区分21の長手方向長は、通常、遠位外側区分22のものより複数倍上回る。遠位外側区分22は、近位外側区分21に直接接続される。近位外側区分21は、好ましくは、通常、介入の間に患者の外側に留まる、カテーテル2の近位端(図に示されず)を形成する。近位端は、カテーテル2の内側管腔へのアクセスを与える、第1の開口部を備える。カテーテル2の遠位端221が、遠位外側区分22によって形成される。遠位端211は、カテーテル2の内側管腔へのアクセスを与える、第2の開口部を備える。近位端および遠位端における第1ならびに第2の開口部を除き、カテーテルは、好ましくは、いかなるさらなる開口部も有していない。したがって、カテーテル2は、吸引力を近位端における第1の開口部から遠位端における第2の開口部まで進めることが可能である。
【0119】
近位外側区分21および遠位外側区分22は、カテーテル2の半径方向最外部分を形成する。本実施形態では、弾性殻構造223が、近位外側区分21および遠位外側区分22の両方を完全に被覆する。カテーテル2の半径方向圧潰が、内側管状要素23によって近位外側区分21内で防止される。内側管状要素23は、完全に、すなわち、その全長に沿って、弾性殻構造223によって外側に被覆される。内側管状要素23は、ここでは、すなわち、本実施形態では、緊密に巻回されたコイル231によって形成される。コイル231の形態における内側管状要素23の設計は、一方では、カテーテル2が血管系を通した通行のための所望の可撓性を有することを可能にする。他方では、コイル231は、吸引力、すなわち、真空が、その内側管腔を通して印加される場合、カテーテル2が半径方向に圧潰しないように防止する、ある半径方向抵抗をカテーテル2に与える。コイル231を備える代わりに、内側管状要素23はまた、当技術分野において公知であるような皮下管によって形成され得る。
【0120】
図1aおよび1bの組み合わせられた図から見え得るように、カテーテル2の遠位外側区分22は、非拡張状態(
図1a)と、半径方向拡張状態(
図1b)とを有する。遠位外側区分22は、遠位外側区分22がその非拡張状態からその半径方向拡張状態にもたらされると、実質的に拡大される、外径D2を有する。また、遠位外側区分22の内径、すなわち、内側管腔の直径は、非拡張状態と比較して拡張状態において実質的に拡大される。
【0121】
遠位外側区分22を拡張状態にもたらすために、内側管状要素23は、臨床医によって、近位外側区分および遠位外側区分21、22に対して、特に、外側殻構造223に対して進められる必要がある。したがって、内側管状要素23は、近位外側区分および遠位外側区分21、22に対して長手方向に沿って移動可能である。内側管状要素23を遠位外側区分22の中に進めることによって、全体的に弾性的に設計された遠位外側区分22は、半径方向に拡張され、拡張状態において、近位外側区分21の直径D1と同一の直径D2を有する。内側管状要素23が、後退される場合、遠位外側区分22は、外側殻構造223の弾性に起因して、再びその非拡張状態に戻る。
【0122】
十分な半径方向剛度を達成し、同時に、遠位外側区分22が屈曲することを可能にするために、補強要素222が、遠位外側区分22の一部として提供される。補強要素222は、ここでは、遠位外側区分22の編組構造によって形成される。循環器系の中へのカテーテル2の挿入プロセスの間に採用される、非拡張状態において、補強要素222は、遠位外側区分に、患者の血管系を通して通行されるために要求される可撓性を与える。拡張状態において、補強要素222は、吸引プロセスの間の遠位外側区分22の半径方向圧潰を防止する。
【0123】
拡張状態および非拡張状態の両方において、外径D1ならびにD2は、個別の近位外側区分または遠位外側区分21、22の全長に沿って一定である。したがって、拡張状態および非拡張状態の両方において、近位外側区分21ならびに遠位外側区分22はそれぞれ、全体として、中空の円筒の形態を有する。近位外側区分21の直径D1は、遠位外側区分22が、非拡張状態にあるか、または拡張状態にあるかどうかにかかわらず、独立して、同一のままである。
【0124】
特に、近位外側区分21と遠位外側区分22との間の遷移の領域内の内径および外径が、遠位外側区分22の拡張状態において長手方向に沿って一定であり、遠位外側区分の非拡張状態において近位外側区分から遠位外側区分に連続的に減少していることに留意されたい。したがって、内径および外径のいかなる急激な変化または不連続性も、遠位外側区分22の拡張状態ならびに非拡張状態の両方における遷移部内に存在しない。
【0125】
内側管状要素23のコイル231は、例えば、金属またはポリマーから成るワイヤから形成されることができる。ワイヤは、丸みを帯びた、特に、円形である、または長方形、特に、平坦である、断面外形を有することができる。代替として、内側管状要素23は、レーザ切断またはパターン化された管から、もしくは熱可塑性物質または複合物から作製される可撓性の管から構築されてもよい。
【0126】
内側管状要素23の近位端は、好ましくは、臨床医がカテーテル2の外側区分21、22に対する内側管状要素23の摺動を促進するための取扱手段に接続される。これは、
図1bに示されるように、管状構造がより大きい直径D1の近位外側区分21からより小さい直径D2の遠位外側区分22の中に摺動され、したがって、遠位外側区分22の拡張を引き起こすことを可能にする。拡張された遠位外側区分22内の内側管状要素23の存在が、遠位外側区分22に付加的なフープ強度を追加し、これを、陰圧または真空の場合におけるもの等の半径方向の力に暴露されるときの圧潰に対してより耐久性がある状態にする。
【0127】
遠位外側区分22のメッシュ様補強要素222が、特に、ニチノール(NiTi)から作製され得る、編組構造によって形成される。外側殻構造223は、好ましくは、ポリマーから作製される。
【0128】
図1cおよび1dは、
図1aならびに1bの実施形態の内側管状要素23のための異型を示す。コイル231の形態にある代わりに、内側管状要素23はまた、図lcに示されるように、肋骨様構造を形成する連続ワイヤの形態にあり得る。ワイヤによって形成される肋骨様構造が、それぞれの場合において、交互に入れ替わる円周方向において、円周の少なくとも一部にわたって延在する。本実施形態では、肋骨様構造はそれぞれ、長方形形状を有する。他の実施形態では、肋骨様構造は、当然ながら、また、他の形状、例えば、丸みを帯びた形状等を有し得る。内側管状要素23のさらなる異型が、
図1dに示される。内側管状要素23は、ここでは、長手方向に延在するワイヤに付着、特に、溶接される、複数のC字形要素の形態にある。別の異型では、C字形要素はまた、円周方向に閉鎖される、すなわち、O字形であり得る。
図1cおよび1dの異型は、内側管状要素23がある程度まで半径方向に圧縮可能であり、これは、近位外側区分21から遠位外側区分22へのより平滑な遷移につながり得るという利点を有する。
【0129】
図2aおよび2bは、内側管状要素23を有していないが、代わりに、遠位外側区分22を
図2aに示されるような非拡張状態から
図2bに示されるような拡張状態に転換するための作動要素として引動要素24を有することによって、
図1aならびに1bのうちの一方と異なる、発明カテーテル2のある実施形態を示す。ここでは、引動螺入体の形態において提供される引動要素24は、これが介入の間に臨床医によって取り扱われ得るように、遠位外側区分22の遠位端221に取り付けられ、カテーテル2の全長に沿って延在する。
【0130】
引張力が引動要素24に印加されない限り、遠位外側区分22は、
図2aに示されるように、その非拡張状態にある。しかしながら、引張力が、臨床医によって引動要素24に印加される場合、引動要素24は、遠位外側区分22を近位外側区分21に対して長手方向に圧縮する。長手方向の圧縮の結果として、遠位外側区分22は、半径方向に拡張される(
図2b)。
【0131】
図3aおよび3bの実施形態では、引動要素24の代わりに、押動要素25が、作動要素として提供される。ここでは、押動螺入体の形態において提供される、押動要素25は、遠位外側区分22の遠位端221に取り付けられる。本実施形態では、編組構造の形態にある、補強要素222は、力が押動要素25によって印加されない場合、遠位外側区分22をその拡張状態に保持する。したがって、弛緩状態において、遠位外側区分22は、
図3aに示されるように拡張される。押動力を押動要素25に印加することによって、近位外側区分21に取り付けられる遠位外側区分22は、長手方向に伸展され、これは、補強要素222の、したがって、近位外側区分21の半径方向の収縮を引き起こす。
【0132】
図4a-4cの実施形態では、補強要素222の第1の遠位端が、外側殻構造223に取り付けられ、補強要素222の第2の近位端が、内側管状要素23に取り付けられる。また、本実施形態では、補強要素222は、編組構造によって形成される。外側殻構造223は、本場合、好ましくは、ある半径方向弾性を有するが、それは、いかなる長手方向弾性も有していないか、または軽微なもののみを有する。
【0133】
弛緩状態において、遠位外側区分22は、
図4aに示されるように、非拡張である。内側管状要素23を近位外側区分および遠位外側区分21、22に対して遠位に前方に移動させることによって、補強要素222は、長手方向に圧縮され、結果として、遠位外側区分の完全拡張状態が、
図4cに示されるように到達されるまで、
図4bに示されるように、半径方向に拡張される。
【0134】
代替実施形態では、
図4a-4cに示される実施形態の内側管状要素23は、補強要素222の近位端、すなわち、編組構造に取り付けられないが、それに、または補強要素222の近位端に取り付けられる要素にのみ当接する。これは、カテーテル2が、内側管状要素23を用いることなく要求される場所まで通行されることを可能にする。内側管状要素23は、次いで、カテーテル2を通して進められ、遠位外側区分22が患者の身体内の所望の場所に到達すると遠位外側区分22を拡張させることができる。
【0135】
図5a-5cの実施形態は、ここでは、緊密に巻回されるコイルの代わりに皮下管の形態にある、内側管状要素23によって、
図4a-4cのうちの1つのみと異なる。
【0136】
図6a-6cは、カテーテル2のさらなる実施形態を示す。本場合には、遠位外側区分22は、再び、弛緩状態において、遠位外側区分22に
図6aに示されるような非拡張形態を与える、弾性材料によって形成される。本実施形態では、コイル状螺入体26が、カテーテル2の、特に、遠位外側区分22の内側管腔内に配列される。コイル状螺入体26の遠位端は、遠位外側区分22の遠位端221に取り付けられる。コイル状螺入体26は、
図6bに示されるように、例えば、臨床医によって長手方向に圧縮されているとき、その外径を遠位外側区分22の領域内で半径方向に拡大させるように適合される。そうすることによって、コイル状螺入体26は、拡張状態が到達されるまで、遠位外側区分22を半径方向に拡張させる(
図6c)。
【0137】
コイル状螺入体26は、好ましくは、形状記憶材料、特に、ニチノール等の形状記憶合金から作製される。形状記憶材料のために、コイル状螺入体26は、好ましくは、長手方向に圧縮されているとき、拡大された半径およびより多い数の巻線が、遠位外側区分22の領域内に存在している状態で、
図6cに示されるような構成を採用するように適合される。
【0138】
図7aおよび7bは、カテーテル2のさらなる実施形態を示し、遠位外側区分22の非拡張状態が、
図7aに示され、拡張状態が、
図7bに示される。拡張状態において、遠位外側区分22の外径D2は、近位外側区分21の外径D1と同一である。しかしながら、
図7aの非拡張状態において、遠位外側区分22の直径D2は、近位外側区分21の直径D1より複数倍小さい。
【0139】
その弛緩状態では、遠位外側区分22は、
図7aに示されるような非拡張状態または
図7bに示されるような拡張状態のいずれかにあることができる。
【0140】
図7aおよび7bのカテーテル2は、遠位外側区分22全体に沿って、本実施形態では、少なくとも近位外側区分21の遠位端部分に沿って提供される、編組構造の形態にある、補強要素222を有する。補強要素222は、遠位外側区分22が患者の血管系を通して通行されるために要求される可撓性を確実にするだけではなく、トルクおよび柱強度に対するカテーテル2の機械的堅性ならびに抵抗を向上させることも行う。遠位外側区分22の拡張状態において、補強要素222は、カテーテル2の内側管腔内に印加される真空に抵抗し、したがって、カテーテル2が圧潰しないように防止するように適合される。さらに、補強要素222は、長手方向に圧縮されているとき、半径方向に拡張する、および/または長手方向に伸展されているとき、半径方向に収縮するように適合される。したがって、補強要素222は、遠位外側区分22の非拡張状態から拡張状態への変化(逆もまた同様)をもたらすように適合される。本目的のために、押動要素または引動要素の形態にある作動要素(
図7a、bに示されず)が、遠位外側区分22の遠位端221もしくは近位端に取り付けられる、特に、それに解放可能に取り付けられることができる。
【0141】
遠位外側区分22の遠位端221は、
図7bに示されるように、円周方向補強ワイヤ224を用いて補強されることができる。押動要素または引動要素は、補強ワイヤ224に取り付けられることができる。
【0142】
図8aおよび8bは、
図7aならびに7bの実施形態のような設計を有するが、加えて、取付要素229を用いて遠位外側区分22の遠位端221に固定して取り付けられる半円筒形のばね構造225を備える、カテーテル2のある実施形態を示す。半円筒形のばね構造225は、カテーテル2の長手方向中心軸に沿って同軸方向に延在し、その構造をより多く巻上することによって半径方向に圧縮されることができる。圧縮状態において、
図8bに示されるように、半円筒形のばね構造225は、構造の全長に沿って延在する貫通スリットを伴う、ほぼ完全な円筒形形状を採用する。
【0143】
その半径方向圧縮状態において、半円筒形のばね構造225は、押動要素25の遠位端を形成する、受容部円筒物251によって受容されることができる。押動要素25は、例えば、押動管または押動螺入体であることができる。受容部円筒物251は、端面によって近位方向に向かって閉鎖される。受容部円筒物251によって受容されているとき、半円筒形のばね構造225は、本端面に近位に当接する。したがって、半円筒形のばね構造225、それと、遠位外側区分22の遠位端221は、遠位外側区分22を長手方向に伸展させるために、押動要素25によって遠位に押動されることができる。補強要素222、すなわち、編組構造に起因して、遠位外側区分22は、その非拡張状態を採用するために、長手方向に伸展されているとき、半径方向に収縮される。
【0144】
使用時、
図8aおよび8bのカテーテル2は、遠位外側区分22を長手方向に伸展させ、これをその非拡張状態に保持するために、押動要素25がカテーテル2の内側管腔全体に沿って延在し、半円筒形のばね構造225が受容部円筒物251内に受容されている状態で、患者の循環器の中に挿入され、それを通して通行される。循環器系内の所望の位置に到達した後、押動要素25は、遠位外側区分を血餅吸引のためにその拡張状態にもたらすために、カテーテル2から部分的に後退されることができる。後退は、半円筒形のばね構造225が、後の遠位外側区分22の長手方向の伸展を可能にするために、受容部円筒物251内に留まるようなものであることができる。代替として、押動要素25は、可能性として、血餅回収のためにカテーテル2を通して進められる、血餅回収器の助けを借りて吸引プロセスを開始するために、カテーテル2から完全に後退されることができる。
【0145】
図9a-9cは、尖頭状遠位端221を伴うカテーテル2のある実施形態を示す。弛緩状態において、カテーテル2の遠位外側区分22は、
図9aに示されるように、その拡張状態にある。患者の循環器系を通してカテーテル2を通行させるために外側遠位区分22をその非拡張状態にもたらし、保持するために、広げられた端部252を伴う押動要素25が、提供される。特に、押動管であり得る、押動要素25は、全て、カテーテル2を通してそれに沿って誘導され、広げられた端部252は、取付要素229を用いて遠位外側区分22の遠位端221に取り付けられるばねクリップ26によって係合される。押動要素25を遠位に、カテーテル2の中にさらに押動することによって、遠位外側区分22は、ばねクリップ226への広げられた端部252の取付に起因して、長手方向に伸展される。結果として、編組構造の形態にある補強要素222に起因して、遠位外側区分22は、半径方向に収縮される。ばねクリップ226は、
図9cに示されるように、単純な長方形プレートを巻回することによって形成されることができる。
【0146】
異なる実施形態では、
図9aのカテーテル2の遠位外側区分22は、弛緩されると、その非拡張状態になり得る。遠位外側区分22を拡張状態にもたらすための作動要素は、次いで、押動要素の代わりに、引動要素であり得る。引動要素を近位に引動することによって、遠位外側区分22は、引動要素のばねクリップ226への取付に起因して、かつ補強要素222に起因して、長手方向に圧縮され、結果として、半径方向に拡張されるであろう。
【0147】
図10a-10cは、尖頭状遠位外側区分22を有するカテーテル2を伴う、ある実施形態を示す。
図9a-9cの実施形態におけるものと同様に、カテーテル2はまた、弛緩されると遠位外側区分22をその拡張状態に保持する編組構造の形態にある、補強要素222を備える。遠位外側区分22を半径方向に収縮させるために、押動要素25、例えば、押動螺入体または押動管が、全て、カテーテル2を通してそれに沿って誘導され、弾性ループ227を用いて遠位外側区分22の遠位端221に取り付けられる。弾性ループ227が、カテーテル2の遠位端221に固定して取り付けられ、摩擦を用いて押動要素25を保持する。押動要素25の外側表面の一部が、ループ227への押動要素25の取付を改良するために、摩擦増強コーティングを含むことができる。摩擦増強コーティングが、押動要素25の片側上のみに提供される場合、押動要素25は、取付を解放するために、回転されることができる。ループ227は、補強要素222、すなわち、編組構造と織り交ぜられることができる。
【0148】
図11は、カテーテル2の遠位端21に押動要素25を解放可能に取り付けるためのさらなる選択肢を示す。ループ253が、ここでは、押動要素25の遠位端に取り付けられる。遠位外側区分22を半径方向に収縮させるために、押動要素25は、ループ253が、カテーテル2の遠位端221に取り付けられる掛止された要素228によって係合される、カテーテル2等の中に挿入される。
図11の場合におけるように、掛止された要素228は、遠位端221からカテーテル2の内側管腔の中に近位に延在する、単純な堅固なワイヤの形態にあることができる。ループ253を掛止された要素228と係合させ、さらに、押動要素25をカテーテル2に対して遠位方向に沿って押動することによって、遠位外側区分は、長手方向に伸展され、結果として、編組補強要素222に起因して半径方向に収縮される。
【0149】
押動要素25をカテーテル2の遠位端221に解放可能に取り付けるためのさらに別の選択肢が、
図12aおよび12bに示される。本実施形態では、第1の端部を伴うコイルばね254が、押動要素25の遠位端部分に取り付けられる。その取り付けられた第1の端部から、コイルばね254が、近位方向に沿って押動要素25の周囲に巻回される。第2の端部は、これがカテーテル2の遠位端221に取り付けられるループ227の中に容易に挿入され得るように、押動要素25に取り付けられておらず、それからわずかに突出する。押動要素25を回転させることによって、ループ227はさらに、カテーテルの遠位端221が押動要素25を用いて遠位および近位に移動され得るような方法において取付を改良するために、コイルばね254の中に螺入されることができる。遠位端221から押動要素25を解放するために、押動要素25は、反対方向に回転されることができる。
【0150】
図13aおよび13bに示される実施形態は、遠位端221が、ここでは尖頭状ではないこと、ならびに遠位外側区分22が非拡張状態において円筒形形状を有していないことを除いて、
図10a-10cのうちの1つに対応する。代わりに、
図13bに示されるように、遠位外側区分22の遠位端部分は、収縮され、非拡張状態において半球様形状を採用する。ループ227は、本目的のために、補強ワイヤ224の継続によって形成される。
【0151】
特に好ましい実施形態が、
図14aおよびbに示される。
図14aは、弛緩拡張状態にある、カテーテル2の遠位外側区分22を示す。遠位外側区分22は、編組補強要素222によって本拡張状態に保持される。遠位外側区分22を半径方向に収縮させるために、押動管の形態にある中空押動要素25が、後部ワイヤ27がその全長に沿って押動管を通して延在するような方法において、カテーテル2の中に長さ方向に挿入される。後部ワイヤ27は、カテーテル2の遠位端221に取り付けられる。これは、補強ワイヤ224の継続によって形成されることができる。押動要素25は、カテーテル2の近位端から突出する。同様に、後部ワイヤ27は、医師が押動要素25および後部ワイヤの両方を動作させ得るように、押動要素25の近位端から突出する。後部ワイヤ27を、これが緊張されるようにカテーテル2に対して近位に引き寄せ、後部ワイヤ27を本位置に保持しながら、同時に、押動要素25を遠位に、少なくとも後部ワイヤ27の取付点まで、カテーテル2の遠位端221に進めることによって、後部ワイヤ27および押動管25は、相互に係止されることができる。押動管25が、次いで、さらに、カテーテル2に対して遠位に移動される場合、遠位外側区分22は、長手方向に伸展され、補強要素222に起因して、半径方向に収縮される(
図14b)。後部ワイヤ27および押動管25の係止は、カテーテル2に対して後部ワイヤ27を解放することによって、解放されることができる。
【0152】
医師のための取扱を促進するために、動作器具が、カテーテル2の、押動要素25の、および、提供される場合、後部ワイヤ27の近位端が、遠位外側区分22を半径方向に収縮させる、ならびに/もしくは拡張させるために上記に解説されるような操作が可能性として考えられるような方法において配列される、上記に述べられる実施形態の全てにおいて提供されることができる。
【0153】
編組構造を備える上記に述べられる実施形態の全てにおいて、例えば、1つまたはいくつかの螺旋状に巻回されるワイヤの形態、もしくは織り交ぜられたフィラメントの形態にある補強要素等、任意の他の補強要素も、同一の目的の、ために編組構造の代わりに提供され得る。少なくとも1つの補強要素に関してさらに可能性として考えられる異型が、
図15-23に示される。
【0154】
図15は、製編構造の形態における補強要素222を示す。製編構造を用いると、比較的に顕著である半径方向拡張または収縮が、構造のわずかな長手方向変化であっても、それに伴って達成されることができる。
【0155】
図16および17は、
図15に示されるもののように製編構造内で使用され得る、可能性として考えられる製編パターンの2つの異型を示す。横編み(
図16)または縦編み(
図17)を使用することによって、製編構造、すなわち、補強要素222の指向的弾性が、ある弾性が半径方向において提供され、低減された弾性が長手方向において提供されない、もしくはそれのみが提供されるような方法において制御されることができる。
【0156】
補強要素222のための別の代替異型は、
図18に示されるようなかぎ針編み構造である。製編構造を用いる場合と同様に、指向的弾性が、構造の弾性が長手方向においてよりも半径方向においてはるかにより顕著となるような方法において、かぎ針編み構造を提供されることができる。
【0157】
2軸編組(
図19)および3軸編組(
図20)の形態にある、補強要素222のためのさらなる代替異型が、
図19ならびに20に示される。2軸編組では、フィラメントは、2つの異なる方向に配列される。
図19の本場合では、2つのフィラメント方向間の角度は、およそ90°である。そのような編組は、長手方向に短縮されているとき、半径方向に拡張される。フィラメントの別のセットが、編組の間に第3の方向において配向されると、3軸編組が、
図20に示されるもののように結果として生じる。フィラメントの第3のセットは、例えば、半径方向の拡張および収縮に応答して長手方向移動を限定するために使用されることができる。
【0158】
図21aおよび21bは、ここでは補助構造または材料によって形成される、補強要素222のさらなる異型を示す。補助構造または材料を用いると、長手方向に伸展されているとき、半径方向に拡張される(
図21b)、もしくは長手方向に圧縮されているとき、半径方向に収縮される(
図21a)、遠位外側区分22のための補強要素222を提供することが、可能である。負のポアソン比を有する、そのような構造は、例えば、
図21a、bに示されるもののような具体的な切断パターンを用いて取得されることができる。
【0159】
図22および23は、補強要素222を形成するために補助構造を提供するために使用され得る、2つのさらなる切断パターンのタイプを示す。パターンは、例えば、プラスチックまたは金属管から切断されることができ、凹角補助パターンとして公知である。
【0160】
図24a-24eおよび25a-25fでは、患者の頭蓋内脈管から、ならびにその循環器系CSからの血餅Cの回収のための方法ステップが、より大きい縮尺において(
図25a-25f)、およびより詳細に(
図24a-24e)示される。
図24a-24eおよび25a-25fの実施例では、血餅除去は、吸引を用いて、かつ血餅Cと係合する血餅回収器3を用いて達成される。しかしながら、他の状況では、血餅回収器の使用は、必要ではない場合があり、血餅は、カテーテルの中への吸引のみを用いて除去され得る。
【0161】
図24aおよび25aは、動物、または、示される状況におけるように、ヒト患者の循環器系CSの中へのガイドワイヤ1の挿入ならびに位置付けを図式的に図示する。特に、ガイドワイヤ1が患者の大腿動脈FAの領域内から循環器系の中に挿入される方法が、
図25aに見られ得る。大腿動脈FA内の挿入の点から、ガイドワイヤ1が、大動脈を通して内頸動脈ICAおよび中大脳動脈MCAの中に、血餅Cの場所まで進められる。血餅Cの場所は、例えば、X線コンピュータ断層撮影を用いて事前に識別されている。循環器系CSを通したガイドワイヤ1の通行が、最先端の方法に従って行われる。ガイドワイヤ1は、例えば、本目的のために蛍光透視マーカを備えることができる。ガイドワイヤ1は、これが血管BVに沿って、その長手方向の拡張に沿って血餅Cを通して延在するような方法において標的位置まで通行される。
【0162】
図25bに示される次のステップでは、カテーテル2が、カテーテル2の遠位外側区分22が血餅Cを通して延在するように位置付けられるために(
図24bおよび25c)、事前に位置付けられたガイドワイヤ1の補助を借りて挿入され、進められる。
【0163】
ガイドワイヤ1は、次いで、後退され、送達ワイヤ4によって差し替えられる。送達ワイヤ4は、血餅回収器3が取り付けられる、遠位端を有する。血餅回収器3は、循環器系から血餅Cを除去するために、血餅Cと係合するように適合され、好ましくは、当業者によって公知であるようなステント回収器の形態を有する。しかしながら、血餅回収器3はまた、他の形態を有し、特に、同一の出願人のまだ未公開である欧州特許出願第EP 19 167 604.8号に開示されるような複数の血餅係合要素を備えることができる。
【0164】
次のステップでは、カテーテル2が、血餅Cと係合した血餅回収器3を展開するために、部分的に後退される(
図24cおよび25d)。代替として、または加えて、血餅回収器3を伴う送達ワイヤ4はまた、展開のために遠位に進められることができる。
【0165】
カテーテル2を通した血餅吸引を可能にするために、
図24dおよび25eに示されるように、遠位外側区分22は、次いで、その非拡張状態からその拡張状態にもたらされ、遠位開口部221は、血餅Cの近位に直接位置付けられる。
【0166】
図24eおよび25fに示されるステップでは、血餅回収器3ならびに血餅Cを伴う送達ワイヤ4が、カテーテル2の中に後退される。同時に、カテーテル2を通した血餅Cの吸引が、後退プロセスを支援するために、印加される。
【0167】
最後に、カテーテル2が、血餅Cが、血餅回収器3と、好ましくは、依然としてカテーテルの内側管腔内に印加される真空との両方によって保持された状態で、循環器系から完全に後退される。
【0168】
【国際調査報告】