(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】アルミニウム系部品の表面処理方法
(51)【国際特許分類】
C25D 11/18 20060101AFI20230314BHJP
C25D 11/04 20060101ALI20230314BHJP
C25D 11/08 20060101ALI20230314BHJP
C25D 11/10 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
C25D11/18 301E
C25D11/04 101H
C25D11/04 304
C25D11/08
C25D11/10
C25D11/18 301B
C25D11/18 301C
C25D11/18 306Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546036
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 FR2021050110
(87)【国際公開番号】W WO2021152240
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300189
【氏名又は名称】サフラン・エアロシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドルベ,ジャン-アルチュール
(72)【発明者】
【氏名】デプレ,バランタン
(57)【要約】
本発明は、陽極酸化ステップと、ケイ酸塩で封止するステップとを含む、アルミニウム又はアルミニウム合金で作られた部品の表面処理のための方法に関する。本発明はまた、特に航空分野での使用を目的としたアルミニウム又はアルミニウム合金部品を製造するための本発明による表面処理方法の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法であって、少なくとも以下の
A)陽極酸化ステップ、及び
B)前記ステップA)の後に、前記部品上に形成された前記陽極層を詰まらせるステップ
を含み、前記詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される、方法。
【請求項2】
陽極酸化ステップA)は、前記部品が150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に浸漬される陽極酸化であり、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陽極酸化ステップA)が、TSA(スルホ-酒石酸陽極酸化)、OAS(硫酸陽極酸化)、PSAA(硫酸リン酸陽極酸化)、BSAA(硫酸ホウ酸陽極酸化)、又はOAC(クロム陽極酸化)タイプの陽極酸化であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルミニウム合金が、付加製造によって得られた2014、2017A、2024、2214、2219、2618、AU5NKZr、7175、5052、5086、6061、6063、7010、7020、7050、7050 T7451、7055 T77、7068、7085 T7651、7075、7175、及び7475、AS7G06、AS7G03、AS10G、AS9U3、AS7G06、及びAS10Gからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩が、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記浴に浸漬された前記部品に印加される電圧が、次いで、前記部品の表面上に2~7μmの厚さを有する陽極層を得るために、適切な期間にわたって前記プラトー値に維持されることを特徴とする、請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記浸漬部品に印加される電圧が、20~80分の期間にわたってプラトー値に維持されることを特徴とする、請求項1、2、4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プラトーと呼ばれる電圧の値が6~10Vであることを特徴とする、請求項1、2、4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
詰まりステップB)の後に、15~35℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水での詰まり後すすぎステップB1)が続くことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ケイ酸塩を詰まらせるステップ(ステップB))の前に、前記部品の浸漬ステップA1)を、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで、任意選択的に、
-過酸化水素(H
2O
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K
2ZrF
6)、過マンガン酸カリウム(KMnO
4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO
4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2)中
で含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の表面処理の方法。
【請求項11】
三価クロム塩を含有する前記水性浴(ステップA1-1))及び酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2))の温度が、20~80℃の間、好ましくは20~60℃の間であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
97~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱詰まり(ステップC))をさらに含み、前記ステップC)が、ステップB)によるケイ酸塩による前記詰まらせることの後に行われることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
浸漬ステップA1)において、水性浴(ステップA1-1))中の三価クロム塩の濃度が0.5~500g/Lであり、水性浴(ステップA1-2))中の酸化化合物の濃度が0.1~500g/Lであることを含むことを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の表面処理方法。
【請求項14】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、及び
B)前記ステップA)の後に、前記部品上に形成された前記陽極層を詰まらせるステップであって、
前記詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される、請求項1~13のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項15】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで
-過酸化水素(H
2O
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K
2ZrF
6)、過マンガン酸カリウム(KMnO
4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO
4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴中(ステップA1-2)の浸漬ステップ、及び
B)0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップを含む、請求項1~13のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項16】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1))中、
次いで
-過酸化水素(H
2O
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K
2ZrF
6)、過マンガン酸カリウム(KMnO
4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO
4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴中(ステップA1-2))の浸漬ステップ、
B)0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップ、及び
C)97~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱中で詰まらせるステップ
を含む、請求項1~13のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法。
【請求項17】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1))中の浸漬ステップ、及び
B)0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップを含む、請求項1~13のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項18】
ステップA1)の前に、前記陽極酸化部品を有機又は鉱物染料の浴中に含浸させるステップ(ステップIm)を含む、請求項15に記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項19】
航空分野での使用を意図したアルミニウム又はアルミニウム合金部品を製造する方法であって、
(i)-請求項1~18のいずれかに記載の方法によって前記部品を表面処理するステップと、任意選択に、
(ii)-塗料、ワニス、乾式潤滑剤、又はマスチックの1つ又は複数の層を塗布するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
航空部門向けを意図したアルミニウム又はアルミニウム合金部品の製造のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の表面処理方法の使用。
【請求項21】
塗料、ワニス、乾式潤滑剤又はマスチックの1つ又は複数の層を含む、前記部品が航空部門向けを意図した、請求項1~18のいずれか一項に記載の表面処理方法によって詰まらせた陽極酸化アルミニウム又はアルミニウム合金部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の生物学的腐食特性を改善するための新しい解決策の探索の一部である。
【背景技術】
【0002】
生物学的腐食は、微生物、特に細菌がそれらの代謝によって直接的又は間接的に作用するすべての腐食現象を包含する。これは、微生物、特に細菌が発生し得るすべての産業に影響を及ぼす金属の溶解の電気化学現象である。ほとんどの金属及び合金は、生物学的腐食に敏感であり、鉄、鋼、非合金又は低合金、ステンレス鋼、銅、アルミニウム及びそれらの合金がある。生物学的腐食は、航空宇宙及び自動車などの多くの産業、油田及び海洋環境において深刻な問題と考えられている。生物学的腐食に直接関連する経済的損失は、毎年数十億ドルに達する可能性がある。したがって、金属又は金属合金部品の生物学的腐食の防止は、近年相当の関心を集めている。
【0003】
金属又は金属合金部品、特にアルミニウム又はアルミニウム合金部品の生物学的腐食特性を改善するための最も一般的な技術の1つは、陽極酸化である。陽極酸化は、アルミニウムを覆う厚さ数ナノメートルの天然酸化物(自然酸化物)を、数マイクロメートルまでの酸化物の層で置換する電解法である。陽極酸化処理によって生成された酸化物層は、長期の腐食保護を提供するために、約10μmの厚さを有することができる。要求に応じて、陽極層の厚さはまた、数ミクロンから20~30ミクロンまで変化し得る。陽極酸化(anodization)は陽極酸化(anodic oxidation)とも呼ばれ、強酸型電解質を含む電解浴に浸漬させた部品を、電解システムのアノードとして電流を印加することによって、陽極層と呼ばれる部品の表面に多孔質酸化アルミニウム/水酸化物層を形成する。このようにして部品の表面に形成された層は、詰まらせる処理後に、部品の耐食性を強化することを可能にする。この詰まらせた陽極層は、塗料系の接着のための支えとして使用することもできる。
【0004】
一般に、陽極酸化によって成長させた陽極層は部品の耐食性を改善するが、それらの高い多孔性によって、攻撃的な環境に対して非常に敏感である。多孔質構造は、微生物などの攻撃種に対する有効なバリアを提供せず、主に保護を確実にするバリア層である。したがって、適切な詰まらせる処理を行うことにより、陽極層の生物学的腐食耐性を高めることができる。
【0005】
市販の標準的な製品で詰まらせた場合、現在の陽極酸化表面処理、すなわち、例えばhttps://www.a3ts.org/actualite/commissions-techniques/fiches-techniques-traitement-surface/anodisation-sulfo-tartrique-oast-tartric-sulfuric-anodizing-tsa/に記載されているようなOAC(クロム陽極酸化)、TSA(酒石酸硫酸陽極酸化)、例えばhttps://www.a3ts.org/news/technical-commissions/technical-sheets-surface-treatment/sulfuric-anodizing-version-5-2/に記載されているような微細OAS(微細陽極酸化)、OAS(陽極酸化)、例えばhttps://www.anoplate.com/finishes/boric-sulfuric-acid-anodize-bsaa/に記載されているようなBSAA(ホウ硫酸陽極酸化)、例えばhttp://www.metroplating.co.uk/phosphoric-acid-anodising.phpに記載されているようなPSAA(リン硫酸陽極酸化)は、上記で定義された媒体に耐えることはできない。今日まで、これらの表面処理のいずれも、例えば航空機の貯蔵器の低位置で起こり得る生物学的腐食に耐性がない。生理食塩水環境の存在下での微生物による酸性物質の放出に関連する腐食性酸性環境は、陽極酸化アルミニウムを攻撃する。これは、pH<4での陽極酸化の非安定性に直接関係している。
【0006】
さらに、アルミニウム合金を腐食から保護するために使用されるクロム陽極酸化(OAC)及び硫酸陽極酸化(OAS)法は、REACH規則の影響を受ける。
【0007】
生物学的腐食に対する別の解決策は、貯蔵器のこれらの重要な領域と接触する機器の外面を塗装することである。これにより、追加のコスト及びサイクル時間が発生する。
【0008】
したがって、REACH規則に準拠するアルミニウム又はアルミニウム合金部品の耐生物学的腐食性を改善するための表面処理方法が実際に必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】https://www.a3ts.org/actualite/commissions-techniques/fiches-techniques-traitement-surface/anodisation-sulfo-tartrique-oast-tartric-sulfuric-anodizing-tsa/
【非特許文献2】https://www.a3ts.org/news/technical-commissions/technical-sheets-surface-treatment/sulfuric-anodizing-version-5-2/
【非特許文献3】https://www.anoplate.com/finishes/boric-sulfuric-acid-anodize-bsaa/
【非特許文献4】http://www.metroplating.co.uk/phosphoric-acid-anodising.php
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特に処理された部品の生物学的腐食に対する耐性に関して、上記で露出したアルミニウム又はアルミニウム合金部品の陽極酸化方法の欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも以下のステップを含む、アルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法を提供することによって、特に処理された部品の生物学的腐食耐性に関して、これらのニーズを満たすことを正確に意図している:
A)陽極酸化ステップ、及び
B)ステップA)の後に、前記部品上に形成された陽極層を詰まらせるステップ、
詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される。
【0012】
本発明の一実施形態では、陽極酸化ステップA)が、前記部品が150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に浸漬される陽極酸化であり、5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される。
【0013】
本発明の別の実施形態は、詰まらせるステップB)の後に、15~35℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水中で詰まり後すすぎ(ステップB1))を行うことにある。
【0014】
本発明の別の実施形態は、ケイ酸塩を詰まらせるステップ(ステップB))の前に、前記部品の浸漬ステップA1)を、
-CrF3・xH2O、CrCl3・xH2O、Cr(NO3)3・xH2O、(CH3CO2)2Cr・xH2O、(CH3CO2)7Cr3(OH)2・xH2O、Cr2(SO4)3・xH2O、CrK(SO4)2・xH2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで、任意選択的に、
-過酸化水素(H2O2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K2ZrF6)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2)中
で実現することにある。
【0015】
別の実施形態では、ステップB)によるケイ酸塩による詰まらせることの後、表面処理方法は、97~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱中で詰まらせること(ステップC))をさらに含み得る。
【0016】
本発明の表面処理方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の生物学的腐食耐性特性を大幅に改善し、REACH規則の要件を満たす。
【0017】
本発明の方法は、航空、自動車、石油産業などにおいて、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の生物学的腐食耐性特性を改善しようとするあらゆる種類の産業において大きな関心を持たれている。
【0018】
本発明の別の目的は、航空部門で使用するためのアルミニウム又はアルミニウム合金部品を製造する方法であって、
(i)- 本発明による方法によって前記部品を表面処理するステップと、任意選択に、
(ii)- 塗料、ワニス、乾式潤滑剤、又はマスチックの1つ又は複数の層を塗布するステップに関する。
【0019】
本発明の別の目的は、航空部門向けを意図したアルミニウム又はアルミニウム合金部品の製造のための、本発明による表面処理方法の使用である。
【0020】
本発明はまた、その目的として、塗料、ワニス、乾式潤滑剤又はマスチックの1つ又は複数の層を含む、前記部品が航空部門向けを意図した、本発明による表面処理方法によって詰まらせた陽極酸化アルミニウム又はアルミニウム合金部品を有する。
【0021】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになり、その理解のために添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】MIL-C-27725B規格の§4.7.19に従って、本発明の方法及び従来技術の方法によって処理された部品に対する生物学的腐食試験を実現するための実装図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的は、少なくとも以下のステップを含む、アルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法を提供することによって、特に処理された部品の生物学的腐食耐性に関して、従来技術のニーズを満たすことである。
【0024】
A)陽極酸化ステップ、及び
B)ステップA)の後に、前記部品上に形成された陽極層を詰まらせるステップ、
詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、陽極酸化ステップA)が、前記部品が150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に浸漬される陽極酸化であり、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される。
【0026】
プラトーと呼ばれる電圧の値に達すると、印加電圧は、2~7μmの厚さを有する前記部品の表面上の陽極層を得るために、適切な期間にわたって前記プラトー値に維持される。
【0027】
前記浸漬部品に印加される電圧は、20~80分の期間にわたってプラトー値に維持することができる。
【0028】
プラトーと呼ばれる電圧の値は、6~10Vであり得る。
【0029】
この陽極酸化は、微細OASである。
【0030】
本発明の方法では、陽極酸化ステップA)は、TSA(スルホ-酒石酸陽極酸化)、OAS(硫酸陽極酸化)、PSAA(硫酸リン酸陽極酸化)、BSAA(硫酸ホウ酸陽極酸化)、又はOAC(クロム陽極酸化)タイプの陽極酸化であってもよい。
【0031】
本発明の方法は、2014、2017A、2024、2214、2219、2618、AU5NKZr、7175、5052、5086、6061、6063、7010、7020、7050、7050T7451、7055T77、7068、7085T7651、7075、7175及び7475、AS7G06、AS7G03、AS10G、AS9U3、AS7G06、及びAS10Gからなる群から選択されるアルミニウム及びアルミニウム合金部品に特に適しており、異なる製造モード、すなわち付加製造によって得られる。
【0032】
示されるように、部品に印加される電圧プロファイルは、開始の値0Vから、1V/分未満、好ましくは0.3V/分~0.7V/分の速度で、5~13V、好ましくは6~10Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまでの電圧上昇を含む。次いで、前記浴に浸漬された前記部品に印加される電圧は、前記部品の表面上に2~7μmの厚さ、例えば約3μmに等しい厚さを有する酸化アルミニウム/水酸化物の陽極層を得るために、適切な期間にわたって前記プラトー値に維持される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記浸漬部品に印加される電圧は、20~80分、好ましくは30~60分の期間にわたってプラトー値に維持される。
【0034】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、予想外にも、上述の好ましい微細OAS陽極酸化方法による陽極酸化の間、電圧上昇が遅いほど、部品の表面上に形成された陽極層の生物学的腐食耐性が大きくなることを見出した。同様に、印加電圧が低いほど、前記陽極層の生物学的腐食耐性は高くなる。これらの2つのパラメータは、より多孔性でなく、より高密度であり、したがってより生物学的腐食耐性のある層を作り出すことを可能にする。
【0035】
本発明の好ましい実施形態による陽極酸化ステップA)では、浴中の硫酸濃度は、好ましくは160g/L~220g/L、例えば190g/Lに等しい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態による陽極酸化ステップA)では、浴の温度は10~25℃の間、好ましくは14~21℃の間、例えば18℃であり得る。
【0037】
本発明の方法では、陽極酸化ステップA)の後に、ステップA)の間に前記部品上に形成された陽極層を詰まらせるステップであるステップB)が直接的又は間接的に続く。上述のように、ステップB)の詰まりは、水溶液中で、
- 0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水、及び
-アルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩1~500g/L
で実現される。
【0038】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩は、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウムからなる群から選択することができる。
【0039】
詰まり浴の水質は、部品上に形成された陽極層の生物学的腐食に対する耐性に影響を及ぼすため、重要である。例えば、10MOhms以上の抵抗率を有する水などの純粋な水は、10MOhms未満の抵抗率を有する水よりも経時的に良好なパフォーマンスを提供する可能性が高い。好ましい実施形態によれば、脱イオン水は、実装水、すなわちその実装/充填中に活性浴を充填するために使用される水であり、前記水は、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する。
【0040】
詰まりステップB)において、溶液中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩の濃度は、好ましくは15~40g/Lの間、例えば23g/Lである。
【0041】
ステップB)における詰まり溶液の温度は、60℃~100℃、好ましくは97℃~100℃、例えば98℃であり得る。
【0042】
詰まりステップB)の持続時間は、1~40分、好ましくは15~25分、例えば20分である。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ケイ酸塩を詰まらせるステップ(ステップB))の前の、
-CrF3・xH2O、CrCl3・xH2O、Cr(NO3)3・xH2O、(CH3CO2)2Cr・xH2O、(CH3CO2)7Cr3(OH)2・xH2O、Cr2(SO4)3・xH2O、CrK(SO4)2・xH2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで、任意選択的に、
-過酸化水素(H2O2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K2ZrF6)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2)中の、前記部品の浸漬ステップA1)である。
【0044】
三価クロム塩は、例えば、以下のSURTEC社のSurtec 650、COVENTYA社のLanthane 613.3、SOCOMORE社のTCS、HENKEL社のBonderite MNT 65000の市販品のうちの1つであり得る。
【0045】
酸化化合物は、例えば、SOCOMORE社の製品PACSであり得る。
【0046】
浸漬ステップA1)では、ステップA1-1)及びA1-2)は、以下のステップA1-1)、次いでステップA1-2)という順序で連続して行うことができる。浸漬ステップA1)は、ステップA1-2)を経ることなく、ステップA1-1)のみとすることもできる。
【0047】
上記のステップA1-1)及びA1-2)における三価クロム塩を含有する水性浴及び酸化化合物を含有する水性浴の温度は、20~80℃の間、好ましくは20~60℃の間である。2つの浴の温度は同じであっても異なっていてもよい。
【0048】
ステップA1)における各浴への浸漬時間は、同じであっても異なっていてもよい。5~40分、好ましくは5~20分であり得る。
【0049】
三価クロム塩を含有する浴のpHは、3と4.5との間、好ましくは3と4との間、例えば3.5であり得る。
【0050】
浴中の三価クロム塩の濃度は、好ましくは0.5~500g/Lの間である。
【0051】
酸化化合物を含有する浴のpHは3~6である。
【0052】
浴中の酸化化合物の濃度は、好ましくは0.1~500g/Lの間である。
【0053】
本発明の別の実施形態によれば、本方法は、ステップB)によるケイ酸塩を詰まらせた後の最終水熱中で詰まらせることをさらに含む。これは、ステップC)と呼ばれる。最終水熱中で詰まらせるC)は、抵抗率が0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の脱イオン水中で、温度T>96℃、例えば97~100℃で実現される。
【0054】
最終水熱中で詰まらせるC)では、部品は、有利には10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水に浸漬される。このステップにおける部品の浸漬は、10~30分、好ましくは15~25分であり得る。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、本発明によるアルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法は、以下のステップを含む:
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、及び
B)前記ステップA)の後に、前記部品上に形成された前記陽極層を詰まらせるステップであって、
前記詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される。
【0056】
本発明の別の実施形態によれば、本発明によるアルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法は、以下のステップを含む:
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF3・xH2O、CrCl3・xH2O、Cr(NO3)3・xH2O、(CH3CO2)2Cr・xH2O、(CH3CO2)7Cr3(OH)2・xH2O、Cr2(SO4)3・xH2O、CrK(SO4)2・xH2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで
-過酸化水素(H2O2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K2ZrF6)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴中(ステップA1-2)の浸漬ステップ、及び
B)0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップ。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、本発明によるアルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法は、以下のステップを含む:
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップと、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される;
A1)前記部品の浸漬ステップと、
-CrF3・xH2O、CrCl3・xH2O、Cr(NO3)3・xH2O、(CH3CO2)2Cr・xH2O、(CH3CO2)7Cr3(OH)2・xH2O、Cr2(SO4)3・xH2O、CrK(SO4)2・xH2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中;
次いで
-過酸化水素(H2O2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K2ZrF6)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2)中);
B)60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される詰まりステップ;及び
C)97~100℃の間の温度で、0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱中で詰まらせるステップ。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明によるアルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法は、以下のステップを含む:
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF3・xH2O、CrCl3・xH2O、Cr(NO3)3・xH2O、(CH3CO2)2Cr・xH2O、(CH3CO2)7Cr3(OH)2・xH2O、Cr2(SO4)3・xH2O、CrK(SO4)2・xH2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中の浸漬ステップ、及び
B)0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップ。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、本発明によるアルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法は、以下のステップを含む:
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
Im)ステップA)の最後に前記陽極酸化部品を有機又は無機染料の浴に含浸させるステップ、次いで任意選択的に
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF3・xH2O、CrCl3・xH2O、Cr(NO3)3・xH2O、(CH3CO2)2Cr・xH2O、(CH3CO2)7Cr3(OH)2・xH2O、Cr2(SO4)3・xH2O、CrK(SO4)2・xH2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで
-過酸化水素(H2O2)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K2ZrF6)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴中(ステップA1-2)の浸漬ステップ、及び、次いで任意選択的に
B)0.01MOhms以上、好ましくは0.1MOhms以上、より好ましくは10MOhms以上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップ。
【0060】
ステップIm)は、当業者に知られている任意の技術によって実現することができる。例えば、Clariantのような会社から入手可能な表面処理に適合した染料浴で実現することができる。一例として、2g/Lの酢酸ナトリウムを添加しなければならない濃度3g/L、pH5~6、40~65℃、好ましくは50℃の温度で、5~35分、好ましくは20分の持続時間の有機染料Sanodal Blue(Clariant社製)を挙げることができる。有機色素の有効成分は、アントラキノン分子である。
【0061】
すべての実施形態において、部品を本発明の表面処理方法に供する前に、したがって陽極酸化ステップA)の前に、部品は、その表面に存在するグリース、汚れ及び酸化物を除去するために、脱脂及び/又は酸洗による表面調製ステップに供され得る。
【0062】
表面調製のこの予備ステップは、以下の操作のうちの1つ以上を含むことができる:
-部品の表面にグリースを溶解するための溶剤脱脂。この操作は、浸漬、噴霧、又は当業者に知られている任意の他の方法によって実現することができる;
-部品の表面にグリースを溶解するためのアルカリ脱脂。この操作は、浸漬、噴霧、又は当業者に知られている任意の他の技術によって実現することができる;
-アルカリ酸洗は、部品の表面に自然に形成された酸化物を溶解する。この操作は、浸漬、噴霧、又は当業者に知られている任意の他の技術によって実現することができる。この操作の終わりに、部品は、金属間化合物の酸化生成物によって形成された粉末層で覆われ、これは酸の酸洗ステップによって除去されなければならない;
-酸洗は、部品の表面に自然に形成された酸化物及び/又はアルカリ性酸洗ステップの間に部品の表面に形成された酸化層を溶解する。
この操作は、浸漬、噴霧、又は当業者に知られている任意の他の技術によって実現することができる。
【0063】
これらのステップは、例えば、国際公開第2013/117759号に詳細に記載されている。
【0064】
特に脱塩水による中間リンスは、好ましくは、上記の連続するステップの間、及び部品が陽極酸化によって処理される前に実現される。
【0065】
本発明の表面処理方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の生物学的腐食耐性特性を大幅に改善し、REACH規則の要件を満たす。
【0066】
本発明の方法は、航空、自動車、石油産業などにおいて、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の生物学的腐食耐性特性を改善しようとするあらゆる種類の産業において非常に興味深いものである。
【0067】
本発明の別の目的は、航空分野で使用するためのアルミニウム又はアルミニウム合金部品を製造する方法であって、
(i)- 本発明による方法によって前記部品を表面処理するステップと、任意選択に、
(ii)- 塗料、ワニス、乾式潤滑剤、又はマスチックの1つ又は複数の層を塗布するステップに関する。
【0068】
塗料、ワニス、乾式潤滑剤又はマスチックの1つ又は複数の層の塗布は、当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。さらに、当業者は、航空分野で使用するための適切な塗料、ワニス、乾式潤滑剤及びマスチックを選択する方法を知っている。
【0069】
本発明の別の目的は、航空部門向けを意図したアルミニウム又はアルミニウム合金部品の製造のための、本発明による表面処理方法の使用である。
【0070】
本発明はまた、その目的として、塗料、ワニス、乾式潤滑剤又はマスチックの1つ又は複数の層を含む、前記部品が航空部門向けを意図した、本発明による表面処理方法によって詰まらせた陽極酸化アルミニウム又はアルミニウム合金部品を有する。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
アルミニウム合金部品の表面を処理する方法
寸法120×60×2mmの2つの面の一方に機械加工された圧延された2024T3アルミニウム合金部品は、以下に説明する方法に従って処理される。
【0072】
部品の表面調製ステップは、最初に連続的に実現される:
-アルカリ脱脂、ALUMAL CLEAN 101(COVENTYA社製)の浴中に部品を60℃の温度で20分間浸漬することによる、
-水道水又は脱塩水でのすすぎ、
-酸の酸洗:ALUMAL DEOX 411(COVENTYA社製)の溶液に部品を浸漬することによる、
-水道水又は脱塩水でのすすぎ。
【0073】
次いで、酸洗及びすすがれた部品は、本発明による陽極酸化方法に供され、その間、部品は、160g/L~220g/L、例えば190g/Lに等しい濃度の硫酸を含む水性浴に浸漬される。この浴は、18℃の温度で運ばれ、維持される。以下の電圧プロファイルに従って浸漬部品に直流電圧が印加される:0Vの値から0.4V/分の速度で6Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで電圧が上昇する。電圧をプラトー値に50分間維持する。部品の表面に厚さ2~4μmの陽極層が形成される。
【0074】
比較例として、同じ表面調製操作を受けた同一の部品を、クロミック陽極酸化(OAC)及び微細硫酸陽極酸化(微細OAS)の従来の方法を使用して陽極酸化する。これらの陽極酸化の操作状態を[表1]に示す。
【0075】
【0076】
部品上に形成された陽極層の厚さは、ISO2360規格に従って渦電流によって測定される。
【0077】
次いで、本発明による陽極酸化部品を、好ましくは脱塩水で1回以上すすぎ、続いて以下に示す条件下及び順序で、本発明による詰まり操作に供する。
【0078】
-ステップA1.1)及びステップA1.2):29%Vol/Volの三価クロム塩(化学式KCr(SO4)2のクロムIII硫酸カリウム)を含有する水性浴中に、40℃の温度で20分間及びpH3.9で前記部品を連続的に浸漬するステップ、次いで
7%Vol/VolH2O2を含有する水性浴中、25℃の温度で5分間及びpH4.2、
-ステップB):23g/Lのケイ酸ナトリウムを含む10MOhmsの抵抗率を有する脱イオン実装水の水溶液に、98℃の温度で20分間浸漬することによる、先行する2つの操作の最後の部品の詰まり。
【0079】
各詰まりステップの間に、脱塩水によるすすぎを約20℃の温度で1分間行う。
【0080】
比較として、従来のOAC法及び微細OAS法を使用して陽極酸化された部品はまた、[表2]に示す条件に従って、六価クロム塩(OAC用)による高温詰まり、三価クロム塩による事前詰まり(又は含浸)を伴う水熱高温詰まりなどの1つ又は複数の従来の詰まり操作を酸化浴中で受ける。
【0081】
【0082】
生物学的腐食に対する耐性
これらの詰まり操作の終了時に、詰まらせた陽極層が各処理部品上に得られる。処理されると、部品は、MIL-27725B規格の§4.7.19のプロトコルに従う生物学的腐食を表す培地中で浸漬試験に供される。異なる部品を有するMIL-C-27725B規格の§4.7.19による生物学的腐食試験を実現するための実装の図を[
図1]に示す。
【0083】
結果の評価は、処理の劣化及び/又は媒体による基材の攻撃(下相)の可能性のあるマークに留意するために、媒体から部品を除去することによって視覚的に行われる。この試験は、歴史的処理(OAC)及びより最近の先行技術の代替処理(REACH準拠)と比較して実施された。視覚的劣化は、層のオーム抵抗率の測定によって確認することができ、これは、それが無限でない場合、基板まで進むことができる層の劣化を強調する。
【0084】
オーム計を用いて抵抗を測定するための方法:
マルチメータを使用して抵抗を測定することができる。その場合、それはオーム計モードで使用されなければならない。
【0085】
オーム計モードでマルチメータを使用:
端子の選択:COM端子及びΩシンボルを搬送する端子。
【0086】
接続:マルチメータは、二相媒体の下相と接触していた領域上の試験対象の標本の2点で直接接続される。
【0087】
サイズ:最も大きいサイズが選択され、次いで、測定値を上回るサイズのうちの最も小さいサイズが見出されるまで減少される。
【0088】
[表3]は、二相媒体への浸漬日数の関数としての異なる表面処理の生物学的腐食耐性試験の結果をまとめたものである。
【0089】
【0090】
へこみの腐食は、アルミニウム合金部品の表面に不規則な形状の空洞の形成をもたらす局所的な腐食である。それらは、アルミニウム合金部品がハロゲン化物イオン、最も頻繁には塩化物イオンを含む水溶液と接触するときに起こる。[表3]に示す結果に基づいて、本発明による表面処理は、従来の表面処理と比較して生物学的腐食試験のパフォーマンスの少なくとも2倍を可能にすることが明らかである。
【0091】
本発明による処理を受けた部品で観察された挙動は、同じ試験を受ける塗装された部品で得られた挙動(例えば、アナフォレーシスによって)と同等である。
【0092】
[実施例2]
微細OAS陽極酸化ステップにおける電圧の上昇率
12個の標本を脱脂し、実施例1と同じ条件下で酸洗した。次いで、それらを異なる電圧上昇時間(5分及び15分)及び異なるプラトー電圧(50、40及び30分の持続時間でそれぞれ6、10及び13ボルト)で陽極酸化した。次いで、これらの標本を、実施例1に記載したのと同じ条件下で、ステップA1-1)、A1-2)の浴に連続的に浸漬した。次いで、標本1、3、6、7、9及び11を、事前に98℃(ステップC))の温度で、10MOhms以上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱中で詰まらせる浴に30分間浸漬した。
【0093】
標本2、4、5、8、10、12を詰まらせ、次いで、実施例1(ステップB))に記載したのと同じ条件に従って、随伴するポストリンスですすいだ。
【0094】
詰まらせた陽極層の厚さは、ISO2360規格に従って渦電流によって測定した。各層の条件及び厚みの測定値を[表4]に示す。
【0095】
【0096】
次いで、標本の生物学的腐食耐性を、実施例1と同じ条件及び対照タイプで試験した。確認は浸漬の14及び17日後に行った。結果が[表5]に示されている。
【0097】
17日間の浸漬後、試験結果は、本発明によるケイ酸塩を含む浴中で詰まりが実現された場合、標本の外観は変化しないか、又はごくわずかに変色したままであることを示す。反対に、13ボルト及び10ボルトで陽極酸化された標本では、詰まりが水熱的である場合、全体的な腐食が認められる。この効果は、6ボルトで陽極酸化された標本1及び3ではあまり顕著ではない。また、ケイ酸塩で詰まった6及び10ボルトの陽極酸化された標本の場合、15分の電圧上昇は、5分の電圧上昇よりも良好な結果をもたらすことにも留意されたい。
【0098】
結果として、これらの結果から、本発明によるケイ酸塩の詰まりを伴う、好ましくは10又は6ボルトに等しいプラトー電圧でのより緩慢な電圧上昇(5分間を超える、好ましくは15分間)が、生物学的腐食シミュレーション試験に耐えるための最良の結果を提供すると推定することができる。
【0099】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法であって、少なくとも以下の
A)陽極酸化ステップ、及び
B)前記ステップA)の後に、前記部品上に形成された前記陽極層を詰まらせるステップ
を含み、前記詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以
上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される、方法。
【請求項2】
陽極酸化ステップA)は、前記部品が150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に浸漬される陽極酸化であり、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陽極酸化ステップA)が、TSA(スルホ-酒石酸陽極酸化)、OAS(硫酸陽極酸化)、PSAA(硫酸リン酸陽極酸化)、BSAA(硫酸ホウ酸陽極酸化)、又はOAC(クロム陽極酸化)タイプの陽極酸化であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルミニウム合金が、付加製造によって得られた2014、2017A、2024、2214、2219、2618、AU5NKZr、7175、5052、5086、6061、6063、7010、7020、7050、7050 T7451、7055 T77、7068、7085 T7651、7075、7175、及び7475、AS7G06、AS7G03、AS10G、AS9U3、AS7G06、及びAS10Gからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩が、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記浴に浸漬された前記部品に印加される電圧が、次いで、前記部品の表面上に2~7μmの厚さを有する陽極層を得るために、適切な期間にわたって前記プラトー値に維持されることを特徴とする、請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記浸漬部品に印加される電圧が、20~80分の期間にわたってプラトー値に維持されることを特徴とする、請求項1、2、4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プラトーと呼ばれる電圧の値が6~10Vであることを特徴とする、請求項1、2、4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
詰まりステップB)の後に、15~35℃の間の温度で、0.01MOhms以
上の抵抗率を有する脱イオン水での詰まり後すすぎステップB1)が続くことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ケイ酸塩を詰まらせるステップ(ステップB))の前に、前記部品の浸漬ステップA1)を、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中
、
で含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の表面処理の方法。
【請求項11】
ケイ酸塩を詰まらせるステップ(ステップB))の前に、前記部品の浸漬ステップA1)を、ステップA1-1に次いで、
-過酸化水素(H
2
O
2
)、フッ化アンモニウム(NH
4
F)、フルオロジルコン酸カリウム(K
2
ZrF
6
)、過マンガン酸カリウム(KMnO
4
)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO
4
)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2)中
で含むことを特徴とする、請求項10に記載の表面処理の方法。
【請求項12】
三価クロム塩を含有する前記水性浴(ステップA1-1))及び酸化化合物を含有する水性浴(ステップA1-2))の温度が、20~80℃の
間であることを特徴とする、請求項10
又は11に記載の方法。
【請求項13】
97~100℃の間の温度で、0.01MOhms以
上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱詰まり(ステップC))をさらに含み、前記ステップC)が、ステップB)によるケイ酸塩による前記詰まらせることの後に行われることを特徴とする、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
浸漬ステップA1)において、水性浴(ステップA1-1))中の三価クロム塩の濃度が0.5~500g/Lであり、水性浴(ステップA1-2))中の酸化化合物の濃度が0.1~500g/Lであることを含むことを特徴とする、請求項10~
13のいずれか一項に記載の表面処理方法。
【請求項15】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、及び
B)前記ステップA)の後に、前記部品上に形成された前記陽極層を詰まらせるステップであって、
前記詰まらせることは、60℃~100℃の間の温度で、0.01MOhms以
上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で実現される、請求項1~
14のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項16】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1)中、
次いで
-過酸化水素(H
2O
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K
2ZrF
6)、過マンガン酸カリウム(KMnO
4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO
4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴中(ステップA1-2)の浸漬ステップ、及び
B)0.01MOhms以
上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップを含む、請求項1~
14のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項17】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1))中、
次いで
-過酸化水素(H
2O
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フルオロジルコン酸カリウム(K
2ZrF
6)、過マンガン酸カリウム(KMnO
4)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO
4)からなる群から選択される酸化化合物を含有する水性浴中(ステップA1-2))の浸漬ステップ、
B)0.01MOhms以
上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップ、及び
C)97~100℃の間の温度で、0.01MOhms以
上の抵抗率を有する脱イオン水中の最終水熱中で詰まらせるステップ
を含む、請求項1~
14のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品を表面処理する方法。
【請求項18】
以下の、
A)150~250g/Lの間の濃度及び14~21℃の間の温度の硫酸を含む水性浴に前記部品を浸漬する陽極酸化ステップであって、
5~13Vのプラトーと呼ばれる電圧の値に達するまで、1V/分未満の速度での電圧上昇を含む電圧プロファイルに従って、前記浸漬部品に直流電圧が印加される、陽極酸化ステップ、
A1)前記部品の浸漬ステップであって、
-CrF
3・xH
2O、CrCl
3・xH
2O、Cr(NO
3)
3・xH
2O、(CH
3CO
2)
2Cr・xH
2O、(CH
3CO
2)
7Cr
3(OH)
2・xH
2O、Cr
2(SO
4)
3・xH
2O、CrK(SO
4)
2・xH
2Oからなる群から選択される三価クロム塩を含有する水性浴(ステップA1-1))中の浸漬ステップ、及び
B)0.01MOhms以
上の抵抗率、及び1~500g/Lのアルカリ金属又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する脱イオン水の水溶液中で、60℃~100℃の間の温度で実現される詰まらせるステップを含む、請求項1~
14のいずれかに記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項19】
ステップA1)の前に、前記陽極酸化部品を有機又は鉱物染料の浴中に含浸させるステップ(ステップIm)を含む、請求項
16に記載の、アルミニウム又はアルミニウム合金部品の表面処理方法。
【請求項20】
航空分野での使用を意図したアルミニウム又はアルミニウム合金部品を製造する方法であって、
(i)-請求項1~
19のいずれかに記載の方法によって前記部品を表面処理するステッ
プ
を含む、方法。
【請求項21】
(ii)-塗料、ワニス、乾式潤滑剤、又はマスチックの1つ又は複数の層を塗布するステップ
を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
航空部門向けを意図したアルミニウム又はアルミニウム合金部品の製造のための、請求項1~
19のいずれか一項に記載の表面処理方法の使用。
【請求項23】
塗料、ワニス、乾式潤滑剤又はマスチックの1つ又は複数の層を含む、前記部品が航空部門向けを意図した、請求項1~
19のいずれか一項に記載の表面処理方法によって詰まらせた陽極酸化アルミニウム又はアルミニウム合金部品。
【国際調査報告】