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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】貫通部
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20230314BHJP
   F16J 15/02 20060101ALI20230314BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H02G3/22
F16J15/02
F16L5/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546127
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 SE2021050076
(87)【国際公開番号】W WO2021158160
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】2050114-4
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ストラング ダニエル
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA05
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA06
5G363CA17
5G363CB01
5G363CB11
(57)【要約】
仕切り壁を貫通するケーブル及び/又はパイプ用の貫通部である。貫通部は、ゴム又はプラスチック材料で作られた1つ以上の部品を含む。前記少なくとも1つ以上の部品は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる。爆発性環境では、散逸性材料を用いることにより、静電荷による爆発の危険性を低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り壁を貫通するケーブル及び/又はパイプ用の貫通部であり、前記貫通部は、ゴム又はプラスチック材料の1つ以上の部品を含む、貫通部であって、前記ゴム又はプラスチック材料の少なくとも1つの部品は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られることを特徴とする、貫通部。
【請求項2】
前記貫通部は、モジュール(2)を含み、前記モジュールは、各々半円筒状の凹部を有する2つのベース部(9)を含み、前記ベース部(9)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる、請求項1に記載の貫通部。
【請求項3】
各ベース部(9)は、前記半円筒状の凹部内に配置された1組の剥離可能なレイヤ(10)を含む、請求項2に記載の貫通部。
【請求項4】
前記剥離可能なレイヤ(10)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる、請求項3に記載の貫通部。
【請求項5】
前記貫通部は、フレーム(1、7)を含み、前記フレーム(1、7)の内部に多数のモジュール(2)と、ステープレート(4)と、圧縮ユニット(3)とが配置される、請求項2~4のいずれか一項に記載の貫通部。
【請求項6】
前記圧縮ユニット(3)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られたウェッジエレメント(12、13、14、15)を含む、請求項5に記載の貫通部。
【請求項7】
前記貫通部は、円筒状の本体(21)と、前記円筒状の本体(21)の両端にある第1の嵌合部(22)及び第2の嵌合部(23)とを含み、前記円筒状の本体(21)は、1つ以上のモジュール(2)を収容する貫通開口部を有し、前記円筒状の本体(21)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる、請求項2~4のいずれか一項に記載の貫通部。
【請求項8】
前記貫通部は、円筒状の本体(16)と、前記円筒状の本体(16)の両端にある第1の嵌合部(17)及び第2の嵌合部(18)とを含み、前記円筒状の本体(16)は、ケーブル又はパイプを収容する貫通開口部を有し、前記円筒状の本体(16)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる、請求項1に記載の貫通部。
【請求項9】
前記円筒状の本体(16)は、前記貫通開口部内に配置された1組の剥離可能なレイヤ(20)を含む、請求項8に記載の貫通部。
【請求項10】
前記剥離可能なレイヤ(20)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる、請求項9に記載の貫通部。
【請求項11】
前記貫通部は、内側フレームエレメント(27)の両側に配置された2つの外側フレームエレメント(25、26)を含むフレームを含み、前記フレームは、1つ以上のモジュール(2)を収容する貫通開口部を有し、前記2つの外側フレームエレメント(25、26)は、前記内側フレームエレメント(27)を圧縮するために、ネジ(28)によって互いに向かって移動し、前記内側フレームエレメント(27)は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる、請求項2~4のいずれか一項に記載の貫通部。
【請求項12】
散逸性のゴム又はプラスチック材料に接触している前記貫通部の任意の金属部品がグランドに接続される、請求項1~11のいずれか一項に記載の貫通部。
【請求項13】
爆発性環境での請求項1~12のいずれか一項に記載の貫通部の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル又はパイプ用の貫通部(transit)、シール又はリードスルーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ケーブル、ワイヤ又はパイプを収容するための多数のモジュールが内部に配置されたフレームを有するケーブル又はパイプの貫通部などがある。フレームは、通常、仕切り壁の開口部に固定される。モジュールは、ゴム又はプラスチックなどの弾性材料で作られるため、圧縮可能である。フレームの内部では、通常、多数のモジュールが、ある種の圧縮ユニットと共に、1つ以上の行において並べて収容される。圧縮ユニットは、フレームとモジュールとの間に配置され、圧縮ユニットが膨張すると、圧縮可能なモジュールは、ケーブル、ワイヤ又はパイプの周囲に圧縮されるようになる。説明を容易にするために、本明細書では、「ケーブル」という表現が主に用いられるが、この表現は広く解釈されるべきであり、当業者であれば、通常、パイプ又はワイヤもカバーすることを理解するであろう。
【0003】
別のタイプのシール、ケーブル貫通部、パイプ貫入部などは、ほぼ円筒形状であり、壁内のスリーブ又は壁内の開口部に収容される。所望の方法で機能するために、シールは、シールが収容される壁のスリーブ又は壁の開口部にぴったりと嵌合する必要があり、また、シールは、実際の取付寸法に適合可能である必要がある。取付寸法は、スリーブ又は開口部の内径によって決まる。シールは、円筒状の圧縮可能な本体を有し、円筒状の圧縮可能な本体は、圧縮可能な本体の両端にある嵌合部の間に軸方向に圧縮される。この軸方向の圧縮により、円筒状の本体は、半径方向に内側と外側の両方に膨張する。
【0004】
上記両方の種類のシール又は貫通部は、キャビネット、技術的シェルター、接続箱、機械など、多くの異なる環境でのシーリングに用いられる。それらは、自動車、電気通信、発電及び配電、並びに船舶及び海洋などの異なる工業環境において用いられる。シール又は貫通部は、流体、ガス、火、齧歯動物、シロアリ、ダスト、湿気などに対してシールする必要があり、電気、通信、コンピュータなどのためのケーブル又はワイヤ、水、圧縮空気、油圧油及び調理用ガスなどの異なるガス又は液体のためのパイプ、又は、負荷保持のためのワイヤを収容する場合がある。
【0005】
また、収容されたパイプ、ワイヤ又はケーブルの外径が異なる可能性があるため、モジュール又は圧縮可能な本体は、異なる外径を有するケーブル、ワイヤ又はパイプに適合可能である必要がある。上記両方の種類の単一のケーブルなどを収容する部品は、内部に剥離可能なレイヤ又はシートのパックを有することが多い。レイヤ又はシートは、部品の内径がこの部品に収容されるケーブルの外径に適合するまで剥離される。シートは、一緒になるように互いに十分強く接着されるとともに、スタックから、シートが1つずつ又は多数のシートが一緒に剥離されるように十分緩い。
【発明の概要】
【0006】
多くの場合、シール又は貫通部の金属部品をアースに接続する必要がある。これは、例えば、ケーブル内、又は、ケーブルに沿って広がる障害を防ぐために行うことができる。爆発の危険性がある空間では、外部エンクロージャ、エンクロージャの一部、又は貫通部に関連する表面への静電荷の蓄積を回避することにより、静電荷による発火の危険を回避するために用いられる。
【0007】
爆発性環境では、非金属で構成される表面積が特定の大きさを超えてはならない、また、アースに接続されていない外部導電性部品を使用してはならない、という指令及び規格がある。
【0008】
以上のことから、本発明の1つの目的は、非金属表面を減らし、アースに接続されていない金属部品をなくすことである。この目的は、請求項1に記載の貫通部によって達成される。本発明の実施形態は、従属請求項において定義される。
【0009】
散逸性材料(dissipative material)は、電荷が通常の導電性材料よりもゆっくりと材料内を流れることを許容する。電荷は、通常の導電性材料よりも制御された方法で流れると言える。散逸性材料は、電荷が通常の導電性材料よりも制御された方法でよりゆっくりとグランドに流れることを可能にする。散逸性材料の定義でよく用いられる1つの特徴は、10~1012オームの抵抗を有することである。
【0010】
本発明の更なる目的及び利点は、以下の詳細な説明を読むと、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、例によって本発明を更に説明する。
【0012】
図1図1は、仕切り壁に配置された貫通部の斜視図である。
図2図2は、他の貫通部の斜視図である。
図3図3は、モジュールの分解図である。
図4図4は、図1及び図2の貫通部に用いることができる圧縮ユニットの側面図である。
図5図5は、円筒状の貫通部の斜視図である。
図6図6は、他の円筒状の貫通部の斜視図である。
図7図7は、更なる貫通部の分解図である。
図8図8は、仕切り壁の開口部に取り付けられた図7の貫通部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
2つのベース部9を含むモジュール2が設けられる。モジュール2の中心には、軸方向の貫通開口部(through opening)が形成される。この軸方向の貫通開口部は、それぞれのベース部9内の半円筒状の凹部(semi-cylindrical recess)によって形成される。したがって、軸方向の貫通開口部は、半円筒状の凹部を互いに向かい合わせて2つのベース部9を互いに対向して配置することによって形成される。
【0014】
モジュール2の軸方向の貫通開口部の内部には、多数の剥離可能なレイヤ10が配置される。モジュール2のレイヤ10は、モジュール2の貫通開口部の内径を、モジュール2の内部に収容されるケーブル又はパイプの外径に適合させるように剥離される。モジュール2の貫通開口部に配置されたブラインド11は、ケーブル又はパイプを収容する前に取り外される。
【0015】
モジュール2のベース部9は、散逸性の(dissipative)ゴム又はプラスチック材料で作られる。また、レイヤ10は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られてもよい。
【0016】
モジュール2は、貫通部(transition)に用いられ、多数のモジュール2は、仕切り壁(partition)6の開口部に収容されるフレーム1の内部に配置される。図1に示す例では、多数のモジュール2は、フレーム1の内部に行(row)に配置される。フレーム1の内部のモジュール2の行(row)の間には、ステープレート4が配置される。また、フレーム1の内部には、本明細書ではウェッジ形状の圧縮ユニット3が配置される。
【0017】
多数の剥離可能なレイヤを有するモジュールの代わりに、レイヤがない対応するモジュールを用いてもよい。このモジュールは、レイヤがないことを除いて、上述したモジュールに対応する。各モジュールの半体は、半円筒状の凹部を有し、半円筒状の凹部を互いに向かい合わせて2つのモジュールの半体を互いの上に配置すると、軸方向の貫通開口部が形成される。
【0018】
図示の例では、フレーム1は、仕切り壁に溶接される。溶接により、フレーム1とフレーム1の内部に収容された異なる部品が接地される。モジュール2及び圧縮ユニット3の散逸性部品(dissipative parts)は、フレーム1、ステープレート4と接触し、及び/又は互いに接触している。
【0019】
図2の例では、他のフレーム7が示される。このフレーム7の内部に収容された部品は、図1のフレームに関連して説明した部品に対応するため、ここでは更に説明しない。図2のフレーム7は、仕切り壁(図示せず)にボルトで固定され、フレーム7上の接地点8に接続された別個の接地接続部を有する。
【0020】
図示の圧縮ユニット3は、2つのネジ5を含み、ネジ5によって、圧縮ユニット3は、圧縮状態と非圧縮状態との間で移動可能である。圧縮ユニット3の圧縮状態では、フレーム1、7の内部のモジュール2が圧縮され、それにより、各モジュール2は、モジュール2の内部に収容されたケーブル又はパイプに対して押し付けられる。ウェッジ形状の圧縮ユニットは、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られた4つのウェッジエレメント12、13、14、15を含む。2つのウェッジエレメント12、13は、第1のペアを形成し、ウェッジエレメント12、13は、ネジ5によって互いに向かって、及び互いから離れて移動することができる。他の2つのウェッジエレメント14、15は、第1のペアのウェッジエレメント12、13の両側(opposite sides)に配置された第2のペアを形成する。第1のペアのウェッジエレメント12、13は、傾斜面に沿って、第2のペアのウェッジエレメント14、15に接触している。使用時には、第1のペアのウェッジエレメント12、13は、ネジ5に沿って軸方向に移動するが、第2のペアのウェッジエレメント14、15は、ネジ5に向かって、及びネジ5から離れて半径方向に移動する。
【0021】
円筒状の本体16と、第1の嵌合部(fitting)17と、第2の嵌合部(fitting)18とを含む円筒状の貫通部(transit)又はシールが設けられてもよく、第1及び第2の嵌合部17、18は、円筒状の本体16の両端(opposite ends)に配置される。ネジ19は、円筒状の本体16を圧縮するために、円筒状の本体16の両端にある嵌合部17、18を互いに向かって移動させるように設けられる。円筒状の貫通部は、通常、仕切り壁の開口部に直接配置される。
【0022】
円筒状の貫通部の円筒状の本体16は、軸方向の貫通開口部を有する。円筒状の本体16は、2つの半体で形成され、各半体は、半円筒状の凹部を有し、半円筒状の凹部を互いに向かい合わせて2つの半体を互いに対向して配置すると、この軸方向の貫通開口部が形成される。軸方向の貫通開口部の内部には、剥離可能なレイヤ20が配置される。このレイヤ20は、軸方向の貫通開口部に収容されるケーブル又はパイプの外径に適合するように剥離される。円筒状の本体16は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる。また、レイヤ20は、散逸性材料(dissipative material)で作られてもよい。
【0023】
他の実施形態では、円筒状の貫通部は、端面図から見ると矩形である貫通開口部を有する。したがって、この円筒状の貫通部は、円筒状の本体21と、第1の嵌合部22と、第2の嵌合部23とを含む。第1及び第2の嵌合部22、23は、円筒状の本体21の両側に配置される。第1及び第2の嵌合部22、23は、ネジとナット24の配置により、互いに向かって移動する。円筒状の貫通部の矩形の貫通開口部は、1つ以上のモジュール2を収容する。上述したように、少なくともモジュール2のベース部は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる。また、円筒状の本体21は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる。
【0024】
更に他の実施形態では、貫通部は、矩形のフレームによって形成され、フレームの内部に1つ以上のモジュール2が収容される。フレームは、金属などの比較的硬い材料の2つの外側フレームエレメント25、26と、圧縮可能な材料の内側フレームエレメント27とを含む。外側フレームエレメント25、26は、内側フレームエレメント27の両側(opposite sides)に配置される。外側フレームエレメント25、26がネジ28によって互いに向かって移動することにより、内側フレームエレメント27は圧縮され、引き続いてフレームの開口部に収容されたモジュール2を押し付ける。ネジ28は、貫通部を仕切り壁29に接続するためにも用いられる。上述したように、少なくともモジュール2のベース部9は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる。また、内側フレームエレメント27は、散逸性のゴム又はプラスチック材料で作られる。
【0025】
上述した異なる実施形態のモジュール、ウェッジ及び圧縮可能な部品は、散逸性材料で作ることができる。散逸性材料(dissipative material)に接触している異なる実施形態の全ての金属部品は、アースに接続される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】