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特表2023-511737作動可能な要素を備える、マルチチャネルで、かつ気流が反転された、エアロゾル発生物品用マウスピース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(54)【発明の名称】作動可能な要素を備える、マルチチャネルで、かつ気流が反転された、エアロゾル発生物品用マウスピース
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20230314BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230314BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546128
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2020077404
(87)【国際公開番号】W WO2021151530
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】20154650.4
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】プレスティア イヴァン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC02
4B162AC06
4B162AC16
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル発生物品用のマウスピース(10)は、エアロゾル流路(20)を画定するために相互の中へと軸方向に挿入することができる少なくとも二つの主要部(30、40)から形成される。二つの主要部は、第一の組み立てられた位置と第二の組み立てられた位置との間で、相互に対して軸方向に移動可能である。マウスピースは、作動に伴いエアロゾルの特性を修正するための作動可能な要素(28)をさらに備える。第一の組み立てられた位置から第二の組み立てられた位置への二つの主要部の移動に伴い、作動可能な要素は作動される。本発明はまた、マウスピースを備えるエアロゾル発生システムおよび、マウスピースを組み立てる方法も対象とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用のマウスピースであって、マウスピースは、エアロゾル流路を画定するために相互の中へと軸方向に挿入することができる少なくとも二つの主要部から形成され、
二つの主要部が、第一の組み立てられた位置と第二の組み立てられた位置との間で、相互に対して軸方向に移動可能であり、
前記マウスピースは、作動に伴いエアロゾルの特性を修正するための作動可能な要素をさらに備え、
前記第一の組み立てられた位置から前記第二の組み立てられた位置への前記二つの主要部の移動の際に、前記作動可能な要素が作動され、
前記マウスピースが、
前記マウスピースの中へとエアロゾルが流れることを可能にするように構成された入口端と、
前記マウスピースの外へと前記エアロゾルが流れることを可能にするように構成された出口端と、を備え、
前記エアロゾル流路が、前記入口端と前記出口端との間に延び、
前記マウスピースが、前記エアロゾルの流れ方向が前記入口端と前記出口端との間で少なくとも1回反転されるように形成され、かつ
前記作動可能な要素が、前記マウスピース内にクランプ留めされることによって適所に保持される、マウスピース。
【請求項2】
前記作動可能な要素が、基体および封入された液体を備え、また前記基体が前記マウスピース内にクランプ留めされることによって適所に保持される、請求項1に記載のマウスピース。
【請求項3】
前記作動可能な要素の作動の際に、前記封入された液体が、前記基体へと少なくとも部分的に放出される、請求項2に記載のマウスピース。
【請求項4】
前記基体が低密度材料であり、かつ前記主要部が前記第二の組み立てられた位置にある時、前記エアロゾル流路の前記断面にわたって少なくとも部分的に延びるように、前記作動可能な要素が提供される、請求項2または請求項3に記載のマウスピース。
【請求項5】
前記主要部のうちの一つが、前記作動可能な要素を作動するために前記作動可能な要素を貫通する貫通要素を備える、請求項1~4のうちの一項に記載のマウスピース。
【請求項6】
前記貫通要素が、前記マウスピースの前記長軸方向軸に平行に延びる細長い要素である、請求項5に記載のマウスピース。
【請求項7】
前記マウスピースが、外側部および内側部から形成され、前記外側部が、前記マウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成し、かつ前記内側部が、側壁、一つの開放端、および一つの閉鎖端を有する中空円筒状形状を有し、前記内側部が、前記内側部の前記側壁が前記中央チャネルと前記外側部の前記外壁との間に位置するようなやり方で、前記外側部の中へと軸方向に挿入される、請求項1~6のうちの一項に記載のマウスピース。
【請求項8】
前記内側部の前記閉鎖端において貫通要素が提供され、かつ前記貫通要素の頂点が、前記内側部および前記マウスピースの前記外側が前記第二の位置において組み立てられる時に、前記作動可能な要素から上流の区域の中へと延びる、請求項7に記載のマウスピース。
【請求項9】
前記マウスピースの前記二つの主要部が、所定の寸法を有するマウスピースが得られるように、相互に係合する対応する相互係止構造を有する、請求項1~8のうちの一項に記載のマウスピース。
【請求項10】
前記相互係止構造が、前記マウスピースの前記主要部の向かい合った表面において提供される、一つ以上の突出部、および一つ以上の一つ以上の係止空洞を備える、請求項9に記載のマウスピース。
【請求項11】
前記相互係止構造が、相互係止構造の一つ以上の組を備え、これにより前記二つの主要部が相互に対して二つ以上の異なる軸方向位置において組み立てられてもよい、請求項9または請求項10に記載のマウスピース。
【請求項12】
エアロゾル発生装置と、請求項1~11のうちの一項に記載のマウスピースと、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記エアロゾル発生装置および前記マウスピースが、前記マウスピースが前記エアロゾル発生装置に取り外し可能に取り付け可能であるように、対応する接続部分を備える、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
マウスピースを組み立てるための方法であって、
(a)外側部を提供する工程であって、前記外側部が前記マウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成する、工程と、
(b)内側部を提供する工程であって、前記内側部が、側壁、一つの開放端、および一つの閉鎖端を有する中空円筒状形状を有する、工程と、
(c)作動可能な要素を提供する工程と、
(d)前記作動可能な要素を前記内側部の中へと挿入し、かつ前記内側部を前記外側部の中へと軸方向で挿入することによって、前記外側部、前記内側部、および前記作動可能な要素を組み立てる工程であって、これにより前記内側部の前記側壁が前記中央チャネルと前記外側部の外壁との間に位置する、工程と、を含み、
前記マウスピースが、
前記マウスピースの中へとエアロゾルが流れることを可能にするように構成された入口端と、
前記マウスピースの外へと前記エアロゾルが流れることを可能にするように構成された出口端と、を備え、
前記エアロゾル流路が、前記入口端と前記出口端との間に延び、
前記マウスピースが、前記エアロゾルの流れ方向が前記入口端と前記出口端との間で少なくとも1回反転されるように形成され、かつ
前記作動可能な要素が、前記マウスピース内にクランプ留めされることによって適所に保持される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品用のマウスピース、マウスピースとエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システム、およびマウスピースを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、吸入可能な蒸気が異なるやり方で発生される、数多くの異なるエアロゾル発生システムが知られている。いわゆるeベイピング装置では、液体エアロゾル形成基体は、電動式加熱装置によって気化される。加熱非燃焼式装置では、たばこ材料を含有する場合がある固体エアロゾル形成基体は、加熱されるが燃焼されない。これらの加熱非燃焼式装置は、電動式であってもよい。また、燃焼反応または化学反応によって熱が生成される加熱非燃焼式システムもある。
【0003】
これらのシステムのすべてでは、エアロゾル形成基体は発熱体によって気化され、その後エアロゾルが形成される。エアロゾル形成、特に液滴サイズ、総粒子状物質収率(TPM)、エアロゾル温度、またはエアロゾルの均質性は、エアロゾル形成基体の下流の空気の冷却、および空気圧などの複数の要因に依存する。エアロゾル形成はまた、温度、空気圧、または湿度などの環境的条件にも依存する。その結果、平均温度の変化および湿度レベルの変化は、エアロゾル発生システムにおけるエアロゾル化形成に影響を与える関連因子である場合がある。
【0004】
エアロゾル発生を改善するためにエアロゾル発生システム用のマウスピースを提供することが望ましいことになる。
【0005】
環境的条件または気候条件とは無関係に、エアロゾル発生システムが、最適化されたエアロゾル化に到達することを可能にする、エアロゾル発生システム用のマウスピースを提供することが望ましいことになる。
【0006】
使用中にエアロゾル化特性に影響を与えるように、かつユーザーの好みを満たすように構成されてもよい調整可能なマウスピースを提供することが望ましいことになる。特に、冷却特性および風味特性が、使用中にユーザーの好みを満たすように調整されてもよい、調整可能なマウスピースを提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生物品用のマウスピースが提供される。マウスピースは、相互の中へと軸方向に挿入されてエアロゾル流路を画定することができる少なくとも二つの主要部から形成される。二つの主要部は、第一の組み立てられた位置と第二の組み立てられた位置との間で、相互に対して軸方向に移動可能である。マウスピースは、作動に伴いエアロゾルの特性を修正するための作動可能な要素をさらに備える。作動可能な要素は、二つの主要部の移動に伴い、第一の組み立てられた位置から第二の組み立てられた位置へと作動される。
【0008】
本発明のマウスピースは、エアロゾル流路に沿ってエアロゾル発生装置のエアロゾル化点からマウスピースの出口に向かう気流の管理を可能にする。特に、作動可能な要素を作動させる可能性は、風味、液滴サイズ、温度、または総粒子状物質収率など、発生したエアロゾルの態様を修正する吸入条件を個人的に適合させるために使用されてもよい。
【0009】
マウスピースのエアロゾル流路は、複数のチャネルを含んでもよい。エアロゾル流路の全長は、各個別のチャネルの長さの合計によって定義される。チャネルは、エアロゾル流路の全長がマウスピースの軸方向長さより大きくてもよいように配設されてもよい。それ故に、チャネルの特定の配設によって、一つの概して直線的な気流チャネルのみを有する従来のマウスピースについて気流経路の効果的な延長が達成される。気流経路の延長は、エアロゾルの冷却および均質化を強化する。
【0010】
チャネルは管状チャネルであってもよい。管状チャネルは、マウスピース内に同軸に配設されてもよい。マウスピースの入口端は、マウスピースの中央の長軸方向軸に沿って配設された管状チャネルと直接的に流体接続してもよい。次いで気流経路は、一つ以上のさらに同軸に配設されたチャネルを通して継続してもよい。同軸に配設された管状チャネルの最も外側は、マウスピースの出口端と直接的な流体接続の状態にある。
【0011】
管状チャネルの同軸配設によって、マウスピースを通る、明確に定義された、かつ対称的な気流経路が提供される。こうした対称的な設計は、最適かつ再現可能な吸入条件を可能にする。
【0012】
マウスピースの実施形態では、複数のチャネルを通るエアロゾルの流れの方向は異なってもよい。複数のチャネルを通るエアロゾルの流れの方向は、各連続的に配設されたエアロゾル流れチャネルの間で反転されてもよい。このようにして、エアロゾルは、入口端から出口端へとマウスピースを通して複数回案内され、これにより気流経路の著しい延長が達成される。
【0013】
マウスピースの気流経路内に、複数の膨張チャンバーが形成されてもよい。これらの膨張チャンバーは、二つの連続的に配設された管状チャネルの間の反転点に形成されてもよい。膨張チャンバーは、気流体積を一時的に膨張することによって、かつ気流方向を反転させることによって、エアロゾル特性に影響を与えてもよい。このようにして、所望の粒子サイズを有する均質なエアロゾルが得られてもよい。加えて、エアロゾルの温度は、膨張によって低減されてもよい。
【0014】
最も外側の管状チャネルは、マウスピースの出口端へと延びてもよく、またマウスピースの環状またはリング形状の出口端を画定してもよい。
【0015】
マウスピースは、任意の所望の外側形状を有してもよい。有利なことに、マウスピースは、マウスピースが取り付けられるエアロゾル発生装置の外側形状に対応する外側形状を有する。例えば、マウスピースは管状または円筒状の外側形状を有してもよく、また中央の長軸方向軸を画定してもよい。
【0016】
マウスピースの出口端は、任意の他の所望の形態を有してもよく、またマウスピースの外壁によって形成されてもよい。マウスピースは、マウスピースの出口端から陥凹した空洞を備えてもよい。この空洞はまた、体積陥凹部として示されてもよい。こうした体積陥凹部は、気流経路の最終的な膨張チャンバーと見なされてもよい。その結果、体積陥凹部は、エアロゾルの均質化に寄与する場合があり、特にエアロゾルの冷却を容易にする場合がある。陥凹した出口は、マウスピースの出口端にてさらに強化されたエアロゾル化に到達することを可能にし、したがって消費者の異なる知覚および満足を可能にする場合がある。
【0017】
マウスピースは、入口端から延び、かつエアロゾルの流れの方向に沿って半径方向に分岐する中央チャネルを備えてもよい。マウスピースは、中央チャネルに対して同軸に配設され、かつ中央チャネルと流体連通する少なくとも二つの管状チャネルをさらに備えてもよい。これらの三つのチャネルを通るエアロゾル流れの方向は、連続的に配設された各エアロゾル流れチャネルの間で反転されてもよい。その結果、中央チャネルでは、気流の方向は入口端から出口端に向かって通る。隣接する第二の管状チャネルでは、気流方向は反転され、そして出口から入口端に向かって通る。第二の管状チャネルの終わりにおいて、気流方向は再度反転され、これにより第三の管状チャネルにおいて、気流方向は再度出口端に向かって方向付けられる。第三の管状チャネルの終わりにおいて、エアロゾルはマウスピースから排出される。
【0018】
このようにして、エアロゾルは、入口端から出口端へとマウスピースを通して複数回案内され、これにより気流経路の著しい延長が達成される。
【0019】
エアロゾルの特性をさらに変化させるために、マウスピースは作動可能な要素を備える。作動可能な要素は、マウスピースを通して案内されるエアロゾルの特性を修正するための物質を含んでもよい。作動可能な要素を作動する前は、物質はエアロゾルとの相互作用が防止されている。作動可能な要素の作動に伴い、物質が放出され、物質はエアロゾルの特性を修正することを可能にする。この特性は、エアロゾルの感覚特性、エアロゾルの寸法特性、およびエアロゾルの風味のうちの一つ以上であってもよい。
【0020】
作動可能な要素は、エアロゾルの当該特性を修正するための物質が中に含有される壊れやすいカプセルを含んでもよい。作動可能な要素の作動に伴い、液体が封入されたカプセルは破裂してもよく、そして前もって封入された液体は、作動可能な要素の近くへと放出されてもよい。
【0021】
作動可能な要素は、基体を備えてもよい。基体は、封入された液体を保持するカプセルのための支持体として使用されてもよい。封入された液体を保持するカプセルは、基体に取り付けられてもよい。
【0022】
基体は、多孔性であり、また前もって封入された液体を作動後に吸収するように構成されてもよい。多孔性材料は、前もって封入された液体の少なくとも一部を吸収してもよい。多孔性材料は、前もって封入された液体のすべてを吸収するように構成されてもよい。放出された前もって封入された液体のすべてを吸収することができるように基体を構成することによって、液体はいつでもマウスピース内に安全に保持されることになる。特に、液体がその出口端を通してマウスピースを離れることを避けることができる。
【0023】
基体は、低い引き出し抵抗(RTD)を有する低密度材料であってもよい。その引き出し抵抗が低いことに起因して、基体はマウスピースを吸うための全体抵抗に有意な影響を与えない。
【0024】
基体は、主要部が第二の組み立てられた位置にある時、マウスピース内のエアロゾル流路の断面にわたって少なくとも部分的に延びるように提供されてもよい。基体は、エアロゾル流路の断面の少なくとも50パーセントにわたって延びてもよい。基体は、エアロゾル流路の断面の少なくとも70パーセントにわたって延びてもよい。基体は、エアロゾル流路の断面の少なくとも90パーセントにわたって延びてもよい。基体は、エアロゾル流路の実質的に断面全体にわたって延びてもよい。エアロゾル流路内に少なくとも部分的に基体を提供することによって、エアロゾルは、前もって封入された物質とエアロゾルとの間の相互作用が促進されるように、基体を通して少なくとも部分的に案内される。
【0025】
作動可能な要素の作動のために使用される作動手段は、使用される封入のタイプに依存する場合がある。ハードシェルまたはソフトシェルのゼラチンカプセルなどのゲルカプセルは、シェルを破裂させることによって作動されてもよい。シェルは、押すこと、または貫通することによって破裂させてもよい。
【0026】
実施形態では、主要部のうちの一つは、作動可能な要素を作動させるための貫通要素を備えてもよい。貫通要素は、封入された液体を保持するカプセルを、作動に伴い貫通してもよい。
【0027】
貫通要素は、細長い要素であってもよい。貫通要素は、マウスピースの長軸方向軸と平行に延びてもよい。貫通要素は、円錐形状を有してもよく、または針状であってもよい。
【0028】
貫通要素は、二つの主要部が第一の組み立てられた位置にある時、貫通要素の頂点が、作動可能な要素から少し離れて位置するように構成されてもよい。二つの主要部の第二の組み立てられた位置への相対的な軸方向移動に伴い、貫通要素は、作動可能な要素に向かって案内されてもよく、また作動可能な要素を作動させるように構成されてもよい。貫通要素は、二つの主要部が第二の組み立てられた位置へと移動する時に、作動可能な要素のカプセルを破裂させるように構成されてもよい。
【0029】
貫通要素は、マウスピース内でのエアロゾル流路の画定を支援するように構成されてもよい。貫通要素は、エアロゾルを基体に向かって案内するように形成されてもよい。例えば、第二の組み立てられた位置では、円錐状の貫通要素の頂点は、作動可能な要素の基体を通して完全に貫通してもよく、また作動可能な要素から上流の区域の中へと延びてさえもよい。次に、貫通要素の頂点は、エアロゾルを基体の濡れた区域の中へと案内するために使用されてもよい。このようにして、貫通要素は、エアロゾルと前もって封入された液体との間の相互作用を強化するために使用されてもよい。
【0030】
マウスピースは、高分子材料などの任意の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料としては、食品グレードおよび/または医療グレードの高分子化合物、特に熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPC-ET)、ポリオキシメチレン化合物(POM)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリル系マルチポリマー、生分解性ポリ乳酸(PLA)、または環状オレフィンコポリマー(COC)が挙げられる。
【0031】
マウスピースは、相互の中へと軸方向に挿入することができる少なくとも二つの主要部から構築されてもよい。これらの二つの主要部は、相互の中へと軸方向に挿入された時、これらの二つの主要部によって気流経路が画定されるように形成されてもよい。
【0032】
マウスピースは外側部および内側部から形成されてもよい。外側部は中央内側チャネルを形成してもよく、また同時にマウスピースの外壁を形成する管状外壁を備えてもよい。
【0033】
内側部は、側壁、一つの開放端、および一つの閉鎖端を有する中空円筒状形状を有してもよい。内側部は、内側部の側壁が中央チャネルと外側部の外壁との間に位置するようなやり方で、外側部の中へと軸方向に挿入されてもよい。このようにして、第二のチャネルが内側部の側壁と中央チャネルとの間に形成される。第三のチャネルは、内側部の側壁と外側部の外壁との間に実施される。それ故に、二つの部品が組み立てられた時、気流チャネルは、入口端から中央チャネルを通って、さらに第二のチャネルおよび第三のチャネルを通ってマウスピースの出口端に向かって形成される。この二部品構築は、気流経路の迷路様のコースを有するマウスピースの製造を容易にする。
【0034】
この二部品構築は、従来の、かつ周知のブロー成形プロセスによる個別の部品の製造を可能にする。こうしたプロセスは、取り扱いが、本発明によるマウスピースを一体型の部品として製造するために必要とされる他の潜在的な製造技法より便利である場合がある。
【0035】
マウスピースの二つの主要部は、第一の位置で組み立てることができる。二つの主要部は、第二の組み立てられた位置へと軸方向に移動可能であるようにさらに構成される。この機能を達成するために、マウスピースの二つの主要部は、対応する相互係止構造を有してもよい。相互係止構造は、組み立てに伴い、所定の寸法を有するマウスピースが得られうるように、相互に係合する。加えて、相互係止構造は、組み立てられた構成におけるマウスピースの維持を支援する。特に、使用中の不注意によるマウスピースの分解を防止するためなどの、相互係止構造が形成される。
【0036】
相互係止構造は、マウスピースの主要部の対向する表面において提供される、一つ以上の突出部および一つ以上の係止空洞を備えてもよい。相互係止構造は、マウスピースの主要部の対向する表面に提供される、三つの突出部および三つの対応する係止空洞を備えてもよい。組み立てに伴い、一方の部分の表面上に提供される一つ以上の突出部の各々は、マウスピースのもう一方の部分の表面上に提供される対応する係止空洞と係合する。突出部は、内側部の側壁の外表面に提供されてもよく、一方で係止空洞は、外側部の外壁の内表面に提供されてもよい。
【0037】
組み立て後に二つの部品が、同軸に整列した位置においてしっかりと保持されるように、突出部および係止空洞は二つの部品の周囲にわたって均等に分布されてもよい。相互係止構造は、マウスピースの二つの主要部の側壁に沿って異なる軸方向位置において提供される、二つ以上の相互係止構造の組として提供されてもよい。各組は、三つ以上の突出部および係止空洞から成ってもよい。二組以上の相互係止構造を提供することによって、二つの主要部を相互に対して所定の向きで確実に保持することができる。
【0038】
相互係止構造を対応する突出部および係止空洞の形態で構成することによって、二部品マウスピースの、単純であるが信頼性の高い製造が可能になる。相互係止構造間の接続は、不注意によるマウスピースの分解が防止されるように構成することができ、一方で意図される分解は、二つの部品の制御された引き離しによって容易にされる場合がある。
【0039】
マウスピースの二つの主要部をマウスピースの長軸方向軸に沿った二つの異なる軸方向位置で組み立てることを可能にするために、追加的な相互係止構造が提供されてもよい。例えば、外側部は、内側部に提供された二組の突出部と協働する、三組の係止空洞を備えてもよい。内側部の二組の突出部が外側部の係止空洞の第一の組および第二の組と係合し、これにより第一の構成を有するマウスピースが得られるようなやり方で、内側部は外側部内に挿入されてもよい。別の方法として、内側部は、内側部の二組の突出部が、外側部の係止空洞の第二の組および第三の組と係合するように、挿入されてもよく、これにより第二の構成を有するマウスピースが得られる。第一の構成および第二の構成にあるマウスピース内に形成された気流チャネルの寸法は、相互に異なる。その結果、気流管理および全体的なエアロゾル化性能に関して調整可能な特徴を有するマウスピースが得られる。
【0040】
上記の実施例において、内側部は、マウスピースの外側部に対して二つの所定の軸方向位置において配設されてもよい。相互係止構造の追加的な組を提供することによって、外側部に対して内側部の追加的な所定の軸方向位置が確立されてもよい。このようにして、対応するマウスピースの多用途性をさらに向上することができる。
【0041】
作動可能な要素はマウスピース内に提供される。二つの主要部が第一の位置において組み立てられるとき、作動可能な要素は、二つの主要部の対応する構造の間に位置してもよい。作動可能な要素は、マウスピース内にクランプ留めされることによって適所に保持されてもよい。作動可能な要素は、主要部のうちの一つの中にクランプ留めされることによって、または二つの主要部の対応する構造の間にクランプ留めされることによって、適所に保持されてもよい。
【0042】
一実施形態では、作動可能な要素は、連続的な長軸方向のチャネル間の反転点に形成された膨張チャンバーのうちの一つの中に位置してもよい。例えば、マウスピースの二つの主要部の第一の組み立てられた位置では、作動可能な要素は、マウスピースを通るエアロゾルの流れ方向の第一の膨張チャンバー内に位置してもよい。作動可能な要素は、内側主要部の内径に対応するサイズを有してもよく、また内側主要部内に摩擦的に保持されてもよい。
【0043】
貫通要素は、マウスピースの内側主要部の閉鎖端に提供されてもよい。貫通要素は、尖った端がマウスピースの内側体積の中へと延びた状態で、マウスピースの長軸方向軸に平行に延びてもよい。二つの主要部の第二の組み立てられた位置への軸方向移動に伴い、内側主要部の閉鎖端に形成された貫通要素は、作動可能な要素が内側部の貫通要素とマウスピースの外側主要部の中央チャネルの側壁との間にクランプ留めされるまで、作動可能な要素に向かって移動してもよい。第二の組み立てられた位置への軸方向移動の完了に伴い、貫通要素はさらに作動可能な要素に向かって移動され、それによってカプセル壁を破裂させ、そして封入された液体を放出する。
【0044】
放出された液体は、作動可能な要素の基体の中へと分散され、そしてその後、この作動手順の後、マウスピースを通して案内された任意のエアロゾルと相互作用してもよい。放出された液体は、基体全体を通して分散されてもよい。放出された液体は、基体全体を通して部分的に分散されてもよい。放出された液体は、基体全体を通して実質的に完全に分散されてもよい。分散された液体を基体全体を通して分散させることによって、液体とエアロゾルとの相互作用のための使用可能な接触区域は増加する。
【0045】
本発明のマウスピースは、任意の種類のエアロゾル発生装置、またはエアロゾル発生物品とともに使用されてもよい。これについて、マウスピースの入口端は、こうしたエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品にマウスピースを取り付けるように構成された接続部分を備えてもよい。
【0046】
接続部分は、ユーザーがマウスピースをエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品に取り外し可能に取り付けることを可能にする任意の適切な機構を採用してもよい。例えば、接続部分はオス/メスカップリングとすることができる。オス/メスカップリングは、対応して形作られたカップリング要素であってもよく、これは摩擦嵌めまたは形態嵌め接続を提供するように構成される。
【0047】
摩擦嵌め接続は、相互の中へと挿入されることができ、かつカップリング要素間の摩擦によって接続された位置に維持される、対応する形状を有するカップリング要素によって確立されてもよい。
【0048】
形態嵌め接続は、螺着した継手を形成するねじ付き部分をカップリング要素に提供することによって得られてもよい。こうしたカップリング要素は、カップリング要素の90度の回転によって相互に素早くかつ確実に取り付けられる90度のオス/メスフィッティングを含んでもよい。当然のことながら、より大きい回転角度を含むカップリング要素が採用されてもよい。オス/メスの螺着カップリングは、確実で、かつ漏れのない接続を可能にし、またエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品へのマウスピースの気密締結を可能にする。
【0049】
接続部分は、医薬品または医療機器タイプのカップリングとして構成されてもよい。医薬品または医療機器タイプのカップリングは追加的に、発生したエアロゾルの完全性を増大する場合がある。
【0050】
本発明はまた、上述のようなマウスピースと、エアロゾル発生装置および/またはエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにも関する。マウスピース、およびエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品は、マウスピースをエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品に取り外し可能に取り付けるための対応する接続部分を有する。エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品は、液体基体がエアロゾル化される、加熱非燃焼式製品(HNB)またはベイピングシステムを含むがこれらに限定されない、現時点で使用可能なエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品のうちのいずれかとすることができる。
【0051】
本発明はまた、マウスピースを組み立てるための方法にも関する。方法は、外側部を提供することを含み、外側部はマウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成する。方法は、内側部を提供することをさらに含み、内側部は、側壁、一つの開放端、および一つの閉鎖端を有する中空円筒状形状を有する。方法は、作動可能な要素を提供することをさらに含む。
【0052】
作動可能な要素は、マウスピースの内側部の中へと挿入される。内側部は、外側部の中へと軸方向で挿入され、これにより内側部の側壁は、中央チャネルと外側部の外壁との間に位置する。作動可能な要素は、エアロゾルの流れ方向でマウスピース内に形成された第一の膨張チャンバー内に位置してもよい。
【0053】
マウスピースを形成するための方法で使用される内側部および外側部は、上述のように内側部およびもう一方の部品に対応してもよい。特に、これらの部品には、相互係止構造が提供されてもよく、これによりその組み立てに伴い、所定の寸法および所定の気流経路を有するマウスピースが得られる。
【0054】
下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちの任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0055】
〔実施例A〕
エアロゾル発生物品用のマウスピースであって、マウスピースは、エアロゾル流路を画定するために相互の中へと軸方向に挿入することができる少なくとも二つの主要部から形成され、
二つの主要部が、第一の組み立てられた位置と第二の組み立てられた位置との間で、相互に対して軸方向に移動可能であり、
マウスピースは、作動に伴いエアロゾルの特性を修正するための作動可能な要素をさらに備え、かつ
第一の組み立てられた位置から第二の組み立てられた位置への二つの主要部の移動の際に、作動可能な要素が作動される、マウスピース。
【0056】
〔実施例B〕
作動可能な要素が、基体および封入された液体を備える、実施例Aに記載のマウスピース。
【0057】
〔実施例C〕
作動可能な要素の作動の際に、封入された液体が、基体へと少なくとも部分的に放出される、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0058】
〔実施例D〕
主要部のうちの一つが、作動可能な要素を作動するために作動可能な要素を貫通する貫通要素を備える、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0059】
〔実施例E〕
貫通要素が、マウスピースの長軸方向軸に平行に延びる細長い要素である、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0060】
〔実施例F〕
基体が低密度材料であり、かつ主要部が第二の組み立てられた位置にある時、エアロゾル流路の断面にわたって少なくとも部分的に延びるように、作動可能な要素が提供される、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0061】
〔実施例G〕
マウスピースが、
マウスピースの中へとエアロゾルが流れることを可能にするように構成された入口端と、
マウスピースの外へとエアロゾルが流れることを可能にするように構成された出口端と、を備え、
エアロゾル流路が、入口端と出口端との間に延び、かつ
マウスピースが、エアロゾルの流れ方向が入口端と出口端との間で少なくとも1回反転されるように形成され、かつ
基体が、マウスピース内にクランプ留めされることによって、適所に保持される、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0062】
〔実施例H〕
マウスピースが、外側部および内側部から形成され、外側部が、前記マウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成し、かつ内側部が、側壁、一つの開放端、および一つの閉鎖端を有する中空円筒状形状を有し、内側部が、内側部の側壁が中央チャネルと外側部の外壁との間に位置するようなやり方で、外側部の中へと軸方向に挿入される、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0063】
〔実施例I〕
内側部の閉鎖端において貫通要素が提供され、かつ貫通要素の頂点が、内側部およびマウスピースの外側が第二の位置において組み立てられる時に、作動可能な要素から上流の区域の中へと延びる、実施例Hに記載のマウスピース。
【0064】
〔実施例J〕
マウスピースの二つの主要部が、所定の寸法を有するマウスピースが得られるように、相互に係合する対応する相互係止構造を有する、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0065】
〔実施例K〕
相互係止構造が、マウスピースの主要部の向かい合った表面において提供される、一つ以上の突出部、および一つ以上の一つ以上の係止空洞を備える、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0066】
〔実施例L〕
相互係止構造が、相互係止構造の一つ以上の組を備え、これにより二つの主要部が相互に対して二つ以上の異なる軸方向位置において組み立てられてもよい、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピース。
【0067】
〔実施例M〕
エアロゾル発生装置と、先行する実施例のうちの一つに記載のマウスピースと、を備えるエアロゾル発生システム。
【0068】
〔実施例N〕
エアロゾル発生装置およびマウスピースが、マウスピースがエアロゾル発生装置へと取り外し可能に取り付け可能であるように、対応する接続部分を備える、実施例Mに記載のエアロゾル発生システム。
【0069】
〔実施例O〕
マウスピースを組み立てるための方法であって、
(a)外側部を提供する工程であって、外側部がマウスピースの中央内側チャネルおよび管状外壁を形成する、工程と、
(b)内側部を提供する工程であって、内側部が、側壁、一つの開放端、および一つの閉鎖端を有する中空円筒状形状を有する、工程と、
(c)作動可能な要素を提供する工程と、
(d)作動可能な要素を内側部の中へと挿入し、かつ内側部を外側部の中へと軸方向で挿入することによって、外側部、内側部、および作動可能な要素を組み立てる工程であって、これにより内側部の側壁が中央チャネルと外側部の外壁との間に位置する、工程と、を含む、方法。
【0070】
一態様に関して記述された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0071】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、本発明によるマウスピースを示す。
図2図2は、二部品ハウジングを有する本発明によるマウスピースを示す。
図3図3は、図1のマウスピースの出口端の3D図および平面図を示す。
図4図4は、作動可能な要素の二つの実施形態を示す。
図5図5は、作動可能な要素の作動を示す。
図6図6は、図5のマウスピースの寸法を示す。
図7図7は、図5のマウスピースを有するエアロゾル発生装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1では、本発明によるマウスピース10が図示されている。マウスピースは管状形状であり、また入口端12と出口端14との間に気流経路20を画定する。図1では、入口端12は、マウスピース10の左側に提供され、かつマウスピース10をエアロゾル発生装置に接続するための接続部分16が提供されている。出口端14は、マウスピース10の反対側の端に提供され、かつユーザーによって吸入のために口の中へと入れられるように構成されている。
【0074】
入口端12と出口端14との間の気流経路20は、同心かつ同軸に配設される複数の管状チャネル22、23、24を備える。管状チャネル22、23、24は、エアロゾルが出口端14においてマウスピース10を出る前に気流方向が二回反転するように配設される。
【0075】
マウスピース10は、入口端12から延びる、かつマウスピースの出口端14に向かって延びる中央チャネルを備える。中央チャネル22は、エアロゾル流れの方向に沿って半径方向に分岐する。言い換えれば、中央チャネル22の直径は、エアロゾル流の方向に沿って増大する。中央チャネル22の端において、エアロゾルの流れ方向は反転され、またエアロゾルは、マウスピース10の入口端12に向かって、同軸に配置された中間管状チャネル23を通してさらに案内される。中間チャネル23の端において、エアロゾルの流れ方向は再度反転され、またエアロゾルは、同軸に配設された外側管状チャネル23を通して、マウスピース10の出口端14に向かって案内される。エアロゾルは最終的に、消費者による吸入のために出口端14を通して排出される。
【0076】
本発明の設計では、マウスピース10を通る気流経路20の長さは、熱エネルギーを消散するための追加的な時間が得られるように、効果的に延長される。加えて、膨張チャンバー25、26は、連続的なチャネル22、23、24の間の反転点に形成される。これらの膨張チャンバー25、26は、エアロゾルの冷却および均質化を支援する。
【0077】
これらに加えて、膨張チャンバー25内に位置する作動可能な要素28が提供される。作動可能な要素28は、気流経路20内に提供され、そしてエアロゾルの特性をさらに修正するために使用される。
【0078】
マウスピース10の迷路様の気流経路20は、図2Aに示すような二部品からマウスピース10のハウジングを製造することによって適切に得られる。マウスピース10の第一部または外側部30は、図2aの左側に図示され、そして入口32、接続部分34、中央チャネル22、マウスピース10の管状外壁36を画定する。マウスピース10の内側部40は、概してU字形状である。これは、側壁42、一つの開放端44、および一つの閉鎖端46を有する中空円筒状形状を有する。閉鎖端46の内側に、貫通要素84が提供される。貫通要素84は、尖った端を有する円錐形状を有する。尖った端は、外側部30の中央チャネル22に向かって方向付けられる。内側部40は、その開放端44をマウスピース10の外側部30の中へと軸方向に挿入することができるように形成される。
【0079】
外側部30および内側部40に加えて、作動可能な要素28が提供される。マウスピース10の組み立ての際に、作動可能な要素28は、マウスピース10の内側部30と外側部40との間に挿入される。これは、最初に、作動可能な要素28を内側部40の内側体積の中へと挿入することによって達成することができる。その後、作動可能な要素28を備える内側部40は、マウスピース10の外側部30の中へと挿入されてもよい。完全に組み立てられた時、内側部40の側壁42は、中央チャネル22と外側部30の外壁36との間に位置する。さらに、作動可能な要素は、図2bに図示するように、マウスピース10の第一の膨張チャンバー25内に位置する。
【0080】
マウスピース10の二つの主要部30、40は、マウスピース10が完全に組み立てられた時、相互に係合する、対応する相互係止構造50を有する。相互係止構造50は、ユーザー体験中、完全に組み立てられた構成でマウスピース10を維持するように形成される。相互係止構造50は、所定の寸法を有するマウスピース10が得られることをさらに確実にする。
【0081】
図2に図示する実施形態において、マウスピース10の内側部40は、内側部40の側壁42の外周に提供された突出部52を備える。外側部30は、外側部30の外壁36の内表面38に提供された、対応する係止空洞54を備える。完全に組み立てられた状態では、図2Bに図示するように、内側部40の突出部52は、もう一方の部分30の係止空洞54と係合する。マウスピース10の内側部40は、相互から軸方向に離隔した二組の突出部52A、52Bを備える。マウスピース10の外側部30は、これも相互から軸方向に離隔した、三組の係止空洞54A、54B、54Cを備える。
【0082】
突出部52A、52Bの各組は、内側部30の側壁36の周囲にわたって等距離で配分された三つ以上の突出部52から成る。対応して、係止空洞54A、54B、54Cの各組は、これも外側部30の外壁36の内表面38にわたって等距離で配分された、三つ以上の係止空洞54から成る。二つの主要部の第一の組み立てられた位置では、図2bに示すように、突出部52A、52Bは、この軸位置で二つの主要部の係止空洞54A、54Bと係合し、作動可能な要素は作動されない。内側部40を、突出部52A、52Bが係止空洞54B、54Cと係合する第二の組み立てられた位置に向かって軸方向で移動させることによって、図5と関連して下記にさらに考察されるように、作動可能な要素を作動させてもよい。
【0083】
図3は、本発明によるマウスピース10の斜視図および側面図を示す。図3Aの斜視図では、マウスピース10の管状の全体的な形状、および内側部40の閉鎖端46の球状形状を見ることができる。図3Bの側面図は、内側部40および外側部30のそれぞれの周囲にわたって等距離で分布された三つの要素から成る相互係止構造50の組の円周方向分布を示す。
【0084】
図4は、作動可能な要素28の実施形態を示す。作動可能な要素28は、基体80と、基体へと接着されたカプセル82、83とを含む。基体80は、低密度のセルロースアセテートトウのディスクの形態で提供される。その低密度に起因して、基体材料は、低い引き出し抵抗を有し、またマウスピース10およびまたはマウスピース10が使用されるエアロゾル形成システム100の全体的な引き出し抵抗の知覚可能な増加を引き起こさない場合がある。
【0085】
図4aに図示するように、作動可能な要素28上に提供されたカプセル82は、実質的に球状のゲルカプセルとして提供されてもよい。カプセル82は、水、風味剤、または任意の他の活性液体で充填されてもよい。カプセル82は、基体80内の中央に提供されてもよく、またこの目的のために有用な従来の接着剤によって基体80に貼り付けられてもよい。基体の直径Sおよび球状カプセル82の直径Tは、下記の表1に示すような寸法を有してもよい。
【0086】
カプセルは、代替的に、図4bの実施形態に図示されるように、平坦なカプセル83として提供されてもよい。平坦なカプセル83はまた、当業者に知られている従来の接着剤によって基体80に接着されてもよい。図4bの平坦なカプセル83は、図4aの実施形態の球状カプセル82と同じ液体を含有してもよい。基体80の直径Sおよび平坦なカプセル83の直径Tは、下記の表1に示すような寸法を有してもよい。
【0087】
封入された液体が放出されるように作動可能な要素28を作動させるために、貫通要素84が提供される。ここで、貫通要素84および貫通プロセスを図5に関連して説明する。図5は、図2のマウスピースを図示し、マウスピース10の外側部30は、三組の係止空洞54を備える。図5aに図示するように、マウスピース10は、二組の突出部52A、52Bが、係止空洞の第一の組および第二の組54A、54Bと係合する、第一の組み立てられた位置において組み立てられてもよい。この第一の組み立てられた位置では、作動可能な要素28は、膨張チャンバー25内に提供され、またこれは未だ作動されていない。
【0088】
作動可能な要素28を作動するために、マウスピース10は、図5bに図示するような、第二の組み立てられた位置にされてもよい。この第二の組み立てられた位置では、内側部40は、二組の突出部52A、52Bが、係止空洞の第二の組および第三の組54B、54Cと係合するまで、外側部30の中へとさらに軸方向に移動される。この第二の組み立てられた位置では、マウスピース10の内側部40の閉鎖端46において提供される貫通要素84は、作動可能な要素28に向かって移動する。図5bに図示するように、貫通要素84は、カプセル82および基体80を完全に貫通し、また貫通要素84は、マウスピース10の外側部30の中心に形成された中央チャネル22の中へとわずかに延びさえもする。それ故に、貫通要素84は、作動可能な要素28を形成する上流の区域の中へと延びる。貫通要素84は、カプセル82の外側シェルを破裂させた。前もって封入された液体はそれによって解放され、そして包囲する基体80の中へと分散される。作動可能な要素28は、この第二の組み立てられた位置では気流経路20の全断面にわたって延びるため、完成したエアロゾルは、液体が混入した基体80を通して案内される。それ故に、作動可能な要素28の作動後、エアロゾルを修正するために前もって封入された液体が使用されてもよく、そしてユーザー体験中に望ましい効果を引き起こしてもよい。
【0089】
図内に図示されたマウスピース10の30および40の両方の部分は、製造管理および品質管理に関する基準の下で使用される食品グレードの高分子化合物を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーから形成される。図6は、マウスピース10の内側部および外側部を再度示し、また図4および図6に示される寸法に対する優先的な範囲を下記の表1に列挙する。
【表1】

【0090】
図7は、上述のようなエアロゾル発生装置60とマウスピース10とを備える、エアロゾル発生システム100を示す。エアロゾル発生装置60は、電源64、制御電子機器66、エアロゾル形成基体68、およびエアロゾル発生ユニット70を有するハウジング62を備える。エアロゾル発生ユニット70は、エアロゾル発生装置60の一方の端に提供されているエアロゾル形成チャンバー72を含む。エアロゾル発生装置60のこの端は、上述のようなマウスピース10を接続することができる接続部分74をさらに備える。マウスピース10がエアロゾル発生装置60に接続される時、エアロゾル形成チャンバー72からマウスピース10を通る気流経路20が確立される。これは、ユーザーが、エアロゾル形成チャンバー72内で作り出されたエアロゾルを、マウスピース10を通して吸入することを可能にする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A-5B】
図6
図7
【国際調査報告】