IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江▲蘇▼▲時▼代新能源科技有限公司の特許一覧

特表2023-511819電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム
<>
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図1
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図2
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図3
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図4
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図5
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図6
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図7
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図8
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図9
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図10
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図11
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図12
  • 特表-電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20230315BHJP
   H02M 7/42 20060101ALI20230315BHJP
   H02M 7/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H02M3/00 J
H02M7/42
H02M7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534389
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2021129511
(87)【国際公開番号】W WO2022142745
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011620158.0
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522021826
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲時▼代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1000 Chengbei Road, Kunlun Street, Liyang City, Changzhou, Jiangsu 213300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲ウェイ▼▲チェン▼
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲錦▼▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】但 志▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】侯 ▲貽▼▲真▼
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H006CA00
5H006DA02
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC05
5H730AS02
5H730FD01
5H730FD31
5H770BA02
5H770BA11
5H770EA01
5H770HA02Z
5H770HA03Z
(57)【要約】
本願は、電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システムを開示する。該制御装置は、電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得するために用いられる第1の制御モジュールと、電圧変換器の出力電流が第1の電流閾値よりも大きい場合、電流基準値を減少させるために用いられる電流変調モジュールと、減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、電圧変換器の出力電流を制御するために用いられる第2の制御モジュールと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧変換器の制御装置であって、
前記電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得するために用いられる第1の制御モジュールと、
前記電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させるために用いられる電流変調モジュールと、
前記減少された電流基準値及び前記出力電流に基づいて、前記電圧変換器の出力電流を制御するために用いられる第2の制御モジュールと、を含む電圧変換器の制御装置。
【請求項2】
前記電流変調モジュールは、
前記出力電流と第1の電流閾値を取得し、かつ前記出力電流の絶対値が前記第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、第1の信号を出力するために用いられる第1の比較ユニットと、
前記第1の信号に応答して、前記電流基準値を減少させるために用いられる電流変調ユニットと、を含む請求項1に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項3】
前記第1の比較ユニットは、第1の比較サブシステムCMPSSを含む請求項2に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項4】
前記第2の制御モジュールは、
前記減少された電流基準値及び前記出力電流に基づいて、前記出力電流の調整量を生成するために用いられる制御ユニットと、
前記調整量に基づいて、前記電圧変換器の制御信号を生成することにより、前記制御信号を利用して前記電圧変換器の出力電流を制御するために用いられる第1の信号生成ユニットと、を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項5】
前記第1の信号生成ユニットは、第1の改良型のパルス幅変調ePWMユニットを含む請求項4に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
前記減少された電流基準値と前記出力電流との差分値を決定するために用いられる差分値決定サブユニットと、
前記差分値に基づいて前記調整量を決定するために用いられる調整量決定サブユニットと、を含む請求項4又は5に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項7】
前記出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、前記電圧変換器が出力電流を停止するように制御する第3の制御モジュールをさらに含み、
前記第2の電流閾値の絶対値は、前記第1の電流閾値の絶対値よりも大きい請求項1~6のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項8】
前記第3の制御モジュールは、
前記出力電流と前記第2の電流閾値を取得し、かつ前記出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、前記電圧変換器が出力電流を停止するように制御するために用いられる制御指令を出力する第2の比較ユニットと、
前記制御指令に応答して、前記電圧変換器の制御信号を生成するために用いられる第2の信号生成ユニットと、を含む請求項7に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項9】
前記第2の比較ユニットは、第2のCMPSSを含む請求項8に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項10】
前記第2の信号生成ユニットは、
前記制御指令に応答して、前記制御信号をローレベル信号に変調するために用いられるイベントトリガサブユニットを含む請求項8又は9に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項11】
前記第2の信号生成ユニットは、第2のePWMユニットを含む請求項8~10のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項12】
前記電流変調ユニットは、
前記第1の信号に応答して、電流減少量を決定するために用いられる処理サブユニットと、
前記電流基準値を前記電流減少量だけ減少させ、減少された電流基準値を取得するために用いられる電流変調サブユニットと、を含む請求項2又は3に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項13】
前記電圧変換器の一端は、電池に接続され、前記電圧変換器の他端は、電力網又は交流負荷に接続される請求項1~12のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御装置。
【請求項14】
電圧変換器の制御方法であって、
前記電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得する工程と、
前記電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させる工程と、
前記減少された電流基準値及び前記出力電流に基づいて、前記電圧変換器の出力電流を制御する工程と、を含む制御方法。
【請求項15】
前記電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させることは、具体的には、
前記出力電流と第1の電流閾値を取得し、かつ前記出力電流の絶対値が前記第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、第1の信号を出力する工程と、
前記第1の信号に応答して、電流減少量を決定する工程と、
前記電流基準値を前記電流減少量だけ減少させ、減少された電流基準値を取得する工程と、を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記減少された電流基準値及び前記出力電流に基づいて、前記電圧変換器の出力電流を制御することは、具体的に、
前記減少された電流基準値と前記出力電流に基づいて、前記出力電流の調整量を生成する工程と、
前記調整量に基づいて、前記電圧変換器の制御信号を生成することにより、前記制御信号を利用して前記電圧変換器の出力電流を制御する工程と、を含む請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得した後、
前記出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、前記電圧変換器が出力電流を停止するように制御する工程をさらに含み、ここで、前記第2の電流閾値の絶対値が前記第1の電流閾値の絶対値よりも大きい請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御装置と、
前記電圧変換器と、を含む電圧制御システム。
【請求項19】
電圧変換器の制御デバイスであって、
プロセッサ及びコンピュータプログラム指令を記憶したメモリを含み、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラム指令を読み出して実行することにより、請求項14~17のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御方法を実現する制御デバイス。
【請求項20】
プロセッサにより実行される場合に請求項14~17のいずれか一項に記載の電圧変換器の制御方法を実現するコンピュータプログラム指令が記憶されたコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月31日に提出された名称が「電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システム」である中国特許出願202011620158.0の優先権を要求し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、電力の分野に属し、特に電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電力技術の発展に伴い、電圧変換器を利用して電圧を変換することができる。例えば、交流電圧-交流電圧の間、交流電圧-直流電圧の間又は直流電圧-直流電圧の間で変換することができる。
【0004】
電圧変換の正確な制御を実現するために、電圧変換器の出力電圧及び出力電流をフィードバック信号とし、かつフィードバック信号を一定の方式で制御の入力端に戻し、入力端に対し制御影響を与えることができる。
【0005】
そして、従来の制御方式では、制御過程全体の遅延時間が長くなり、電圧変換器の出力電流をタイムリーに調整することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例が提供する電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システムは、電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、それをタイムリーに調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本願の実施例は、
電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得する第1の制御モジュールと、
電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させる電流変調モジュールと、
減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、電圧変換器の出力電流を制御する第2の制御モジュールと、を含む電圧変換器の制御装置を提供する。
【0008】
第2の態様において、本願の実施例は、
電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得する工程と、
電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させる工程と、
減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、電圧変換器の出力電流を制御する工程と、を含む電圧変換器の制御方法を提供する。
【0009】
第3の態様において、本願の実施例は、
第1の態様又は第1の態様のいずれかの選択可能な実施形態に係る制御装置と、
電圧変換器と、を含む電圧制御システムを提供する。
【0010】
本願の実施例に係る電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システムでは、電圧変換器の出力電流が過電流になった時、即ち、電圧変換器の出力端から収集された出力電流が第1の電流閾値よりも大きい場合、電流基準値を減少させ、かつ減少された電流基準値及び出力電流を利用して電圧変換器の出力電流を制御することができる。従来の電圧変換器の制御方式に比べて、電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電流基準値をタイムリーに減少させることができ、それにより電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電圧変換器のタイムリーな調整を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願の実施例に係る技術案をより明確に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明された図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
図1】本願の実施例が提供する電圧制御システムのシステムアーキテクチャ図である。
図2】本願の実施例が提供する別の電圧制御システムのシステムアーキテクチャ図である。
図3】本願の実施例が提供する第1種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。
図4】本願の実施例が提供する第2種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。
図5】本願の実施例が提供する第3種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。
図6】本願の実施例が提供する第4種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。
図7】本願の実施例が提供する例示的な電圧変換器の制御装置の制御ロジックの概略図である。
図8】本願の実施例が提供する第5種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。
図9】本願の実施例が提供する第6種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。
図10】本願の実施例が提供する別の例示的な電圧変換器の制御装置の制御ロジックの概略図である。
図11】本願の実施例が提供する電圧変換器の制御方法のフローチャートである。
図12】本願の実施例が提供する別の電圧変換器の制御方法のフローチャートである。
図13】本願の実施例が提供する電圧変換器の制御デバイスのハードウェア構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本願の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明し、本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面及び具体的な実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。理解すべきことは、ここで説明された具体的な実施例は本願を解釈するためのものであり、本願を限定するものではない。当業者にとって、本願はこれらの特定の詳細のいくつかを必要とせずに実施することができる。以下に実施例の説明は単に本願の例を示すことにより本願をよりよく理解するためのものである。
【0013】
なお、本明細書において、第1及び第2などのような関係用語は、一つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作と区別するために用いられ、必ずしもこれらのエンティティ又は操作の間にいかなるこのような実際の関係又は順序が存在することを要求するか又は暗示するものではない。また、「備える」、「含む」という用語又はその他の任意の変形体は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それにより一連の要素を含む過程、方法、物品又はデバイスは、それらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されていない他の要素も含み、又は、このような過程、方法、物品又はデバイスに固有の要素をさらに含む。より多くの制限がない場合に、「~を備える」という文で要素を限定することは、その要素を備える過程、方法、物品又はデバイスにおいて他の同じ要素が更に存在することを排除しない。
【0014】
現段階において、電圧変換を必要とする場合、電圧変換器を利用して電圧変換を実現することができる。出力電圧及び出力電流の正確性を向上させるために、クローズドループメカニズムを採用して出力電圧及び出力電流を変調することができる。例えば、電圧アウターループ、電流インナーループの二重クローズドループポリシーを採用することができ、即ち、出力電圧と出力電流をフィードバック信号とし、入力端に戻し、それにより入力端に対し制御影響を与える制御関係である。
【0015】
しかしながら、従来の二重クローズドループ制御ポリシーにおいて、アウターループの出力電圧が急変する場合、インナーループ電流の迅速な応答により、大きなオーバーシュート量を引き起こし、この時に生成された過渡電流は出力電流の過電流をもたらす。
【0016】
例えば、電池の分野を例として、外部への車のエネルギー伝送(Vehicle to Everything、V2X)シーンで、出力電流にオーバーシュートが発生すると、電圧変換器の出力端に接続されたデバイスの使用性能に対し深刻な影響を与える。
【0017】
本願をよりよく理解するために、本願の実施例は、順に電圧変換器、電池、V2Xシーン等の概念を具体的に説明する。
【0018】
(1)電圧変換器
本願の実施例において、電圧変換器は、直流電圧の間の変換を行うための直流-直流(Direct Current-Direct Current、DCDC)変換モジュールを含むことができる。或いは、交流電圧の間の変換を行うための(Alternating Current-Alternating Current、ACAC)変換モジュールを含むことができる。或いは、交流-直流(Direct Current-Alternating Current、DCAC)変換モジュールを含むことができる。
【0019】
本願の実施例において、V2Xモードでは、電圧変換器は、DCAC双方向変換モジュールを選択することができる。
【0020】
(2)電池
本願の実施例における電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池等であってもよいが、ここで限定しない。規模から言えば、測定対象の電池パックは、電池セル単体であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよいが、ここで限定しない。応用シーンから見て、電池は、自動車、船舶等の動力装置に適用することができる。例えば、電気自動車に適用することができ、電気自動車のモータに給電し、電気自動車の動力源とする。電池はさらに電気自動車における他の電気装置に電力を供給することができ、例えば車内エアコン、車載プレーヤなどに電力を供給することができる。
【0021】
(3)V2Xシーン
電気自動車内に取り付けられた電池の使用シーンは、V2Xシーンと呼ばれてもよく、具体的には、V2Xシーンは、電力網から車両までのエネルギー伝送(Grid to Vehicle、G2V)シーン、車両から電力網までのエネルギー伝送(Vehicle to Grid、V2G)シーン、車両から負荷までのエネルギー伝送(Vehicle to Load、V2L)シーン等を含むことができる。
【0022】
ここで、G2Vモードで、電力網は入力端と呼ばれ、電池は出力端と呼ばれてもよい。G2Vモードでは、電力網の電気エネルギーを利用して電池を充電することができる。
【0023】
V2Gシーンで、電池は、入力端と呼ばれ、電力網は出力端と呼ばれてもよい。V2Gモードでは、電気自動車は、電圧変換器により逆方向に電力網に放電することができる。例えば、電気自動車は、非動作時に、電圧変換器により電力網に接続され、電池のアイドル電気エネルギーを電力網に販売することができる。
【0024】
V2Lモードで、電池は、入力端と呼ばれ、交流側負荷は出力端と呼ばれてもよい。V2Lモードで、電池の電気エネルギーを利用して交流側電気負荷に電力を供給することができる。
【0025】
上記概念を説明した後、関連する技術的問題を解決するために、本願の実施例は電圧変換器の制御方法、装置及び電圧制御システムを提供する。
【0026】
理解を容易にするために、本願の実施例に係る下記部分では、図面を参照して本願の実施例に係る電圧制御システムを先に展開して具体的に説明する。
【0027】
図1は、本願の実施例が提供する電圧制御システムのシステムアーキテクチャー図である。図1に示すように、電圧制御システムは、電圧変換器の制御装置10及び電圧変換器20を含むことができる。
【0028】
電圧変換器20は、電圧変換を行うために用いられる。
【0029】
電圧変換器の制御装置10は、電圧変換器20が電圧変換を行う過程において、電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させ、かつ減少された電流基準値に基づいて、電圧変換器20の出力電流を制御するために用いられる。
【0030】
本願の実施例に係る電圧制御システムは、電圧変換器の出力電流が過電流になった時、即ち電圧変換器の出力端から収集された出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させ、かつ減少された電流基準値及び出力電流を利用して電圧変換器の出力電流を制御することができる。従来の電圧変換器の制御方式に比べて、電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電流基準値をタイムリーに減少させることができ、それにより電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電圧変換器のタイムリーな調整を実現することができる。
【0031】
いくつかの実施例において、本願の実施例が提供する電圧制御システムは、電気自動車のシーンで用いることができる。
【0032】
それに応じて、図2は本願の実施例が提供する別の電圧制御システムのシステムアーキテクチャ図である。図2に示すように、電圧変換器20の一端は電池30に接続され、電圧変換器20の他端は電力網41又は交流負荷42に接続される。ここで、直感的な区別を容易にするために、図2において選択可能な接続関係を破線で示す。
【0033】
いくつかの実施例において、電圧制御システムは、さらに出力電圧を収集するための電圧収集モジュール、及び出力電流を収集するための電流収集モジュールを含むことができる。
【0034】
電圧制御システムを説明した後、以下に本願の実施例が提供する電圧変換器の制御装置を説明する。
【0035】
図3は、本願の実施例が提供する第1種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。図3に示すように、電圧変換器の制御装置10は、第1の制御モジュール11、電流変調モジュール12及び第2の制御モジュール13を含む。
【0036】
第1の制御モジュール11は、電圧変換器20の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得するために用いられる。
【0037】
ここで、所定の電圧値は、具体的なシーン及び実際の需要に応じて設定することができる。例示的には、V2Gモード又はV2Lモードで、所定の電圧値は、電池30の最小放電電圧であってもよい。別の例示的には、G2Vモードで、所定の電圧値は、電池30の公称充電電圧であってもよい。
【0038】
いくつかの実施例において、まず減算器により電圧変換器の出力電圧と所定の電圧値との間の差分値を計算し、次に比例積分制御器(Proportional Integral、PI)を介して電流基準値を取得することができる。
【0039】
電流変調モジュール12は、電圧変換器20の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させるために用いられる。
【0040】
いくつかの実施例において、第1の電流閾値は、通常の出力電流に基づいて決定されてもよく、例えば予め設定された倍数の通常の出力電流であってもよい。ここで、予め設定された倍数は1よりも大きい。
【0041】
別の実施例において、第1の電流閾値は、過電流と非過電流との間の限界値を表すことができる。即ち、出力電流が第1の電流閾値を超えると、出力電流が過電流になったことを示す。
【0042】
いくつかの実施例において、比較器を利用して電圧変換器20の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きいか否かを判断することができる。
【0043】
いくつかの実施例において、減算器により電流基準値を減少させることができる。
【0044】
第2の制御モジュール13は、減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、電圧変換器の出力電流を制御するために用いられる。
【0045】
本願の実施例に係る電圧変換器の制御装置では、電圧変換器の出力電流が過電流になった時、即ち電圧変換器の出力端から収集された出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させ、かつ減少された電流基準値及び出力電流を利用して電圧変換器の出力電流を制御することができる。従来の電圧変換器の制御方式に比べて、電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電流基準値をタイムリーに減少させることができ、それにより電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電圧変換器のタイムリーな調整を実現することができる。
【0046】
いくつかの実施例において、図4は、本願の実施例が提供する第2種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。図4図3の違いは、電流変調モジュール12が第1の比較ユニット121及び電流変調ユニット122を含むことである。
【0047】
第1の比較ユニット121は、出力電流と第1の電流閾値を取得し、かつ出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、第1の信号を出力するために用いられる。
【0048】
ここで、第1の比較ユニット121が第1の信号を出力する場合、電圧変換器の出力電流が過電流になったことを示す。
【0049】
一例において、出力電流が第1の比較ユニット121の非反転入力端に供給され、第1の電流閾値が第1の比較ユニット121の反転入力端に供給されると、第1の信号はローレベル信号であってもよい。即ち、出力電流が第1の電流閾値よりも大きい場合、第1の比較ユニット121はローレベル信号を出力する。具体的な例において、第1の電流閾値は関連レジスタによって提供されてもよく、ユーザはソフトウェアにより関連レジスタにおける第1の電流閾値を調整することができる。例示的には、デジタル量をアナログ量に変換する(DA converter、DA)コンバータにより第1の電流閾値を設定することができる。
【0050】
実施例において、第1の比較ユニットは、第1の比較サブシステム(Comparator Subsystem、CMPSS)を含む。
【0051】
なお、純粋なソフトウェア制御ポリシーを採用する関連技術において、以下のフローを経て過電流保護機能を実現する必要がある。まず、保護対象回路の予め設定された期間内における複数の電流データ(保護対象回路を指標する実際の部品パラメータ)を収集し、次に複数の電流データに対して有効電流選別を行う必要がある。選別処理後の結果に基づいて、保護対象回路に対応する目標過電流保護値を決定する。以上より、ソフトウェアにより過電流保護を実現し、サンプループ及びフィルタループを行う必要があり、電流応答時間遅延が相対的に長くなる。電圧変換器のスイッチ、例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)のハードウェア特性に求められる電流応答時間遅延が短いため、純粋なソフトウェアの実現方式は、リスクが大きい。
【0052】
別の純粋なハードウェア制御ポリシーの関連技術において、純粋なハードウェア方式で過電流制限保護機能を実現するには、少なくとも以下のデバイスユニットであるサンプループユニット、フィルタループユニット、演算処理ユニット、比較動作ユニットを必要とするため、コストが高くなる。
【0053】
本実施例において、CMPSSは、デジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)チップの構成モジュールであり、CMPSSは、アナログ回路機能を内蔵し、それにより電流応答時間遅延を低減し、電圧変換器の安全性を向上させることができ、かつ純粋なハードウェア方式に比べてコストを低減することができる。
【0054】
また、CMPSSは、ハイサイド比較ユニット(COMPH)を備えるため、正電流と第1の電流閾値の正の値を比較することができ、かつCMPSSは、さらにローサイド比較ユニット(COMPL)を備えるため、負電流と第1の電流閾値の負の値を比較することができる。したがって、電気自動車の使用シーンでは、例えばV2GとG2Vモードで、電流の流れ方向が逆であっても、CMPSSを利用して出力電流と第1の電流閾値との比較を実現することができる。例示的には、COMPHユニットにおいて、第1の電流閾値は、正の値であってもよく、例えば55アンペア(A)であり、COMPLユニットにおいて、第1の電流閾値は負の値であってもよく、例えば-55Aである。具体的には、関連レジスタは、第1の電流閾値を生成した後、DAコンバータを介して第1の電流閾値の正の値と第1の電流閾値の負の値を取得することができる。
【0055】
電流変調ユニット122は、第1の信号に応答して、電流基準値を減少させるために用いられる。
【0056】
本実施例において、二重クローズドループ制御ポリシーにおいて、電流がオーバーシュートする場合、第1の比較ユニット121により電流信号をタイムリーにフィードバックし、電流インナーループの電流基準値を調整することができ、PIループの制御パラメータを修正する必要がなく、PIループの動的応答速度を保証する状況で、PIループのオーバーシュートをできるだけ回避することができる。
【0057】
一つの実施例において、図5は、本願の実施例が提供する第3種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。図5図4の違いは、電流変調ユニット122が処理サブユニット1221及び電流変調サブユニット1222を含むことである。
【0058】
処理サブユニット1221は、第1の信号に応答して、電流減少量を決定するために用いられる。いくつかの実施例において、電流減少量は、一定値であってもよい。例示的には、第1の比較ユニット121から送信されたローレベル信号を受信すれば、電流減少量を生成する。
【0059】
電流変調サブユニット1222は、電流基準値を電流減少量だけ減少させ、減少された電流基準値を取得するために用いられる。ここで、減少された電流基準値は、減少前の電流基準量と電流減少量との差分値に等しくてもよい。
【0060】
例示的には、電流変調サブユニット1222は、具体的には減算器として実現することができる。具体的には、電流基準値及び電流減少量を減算器に入力した後、減少された電流基準値を出力することができる。
【0061】
いくつかの実施例において、図6は、本願の実施例が提供する第4種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。図6図3の違いは、第2の制御モジュール13が制御ユニット131及び第1の信号生成ユニット132を含むことである。
【0062】
制御ユニット131は、減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、出力電流の調整量を生成するために用いられる。
【0063】
いくつかの実施例において、制御ユニット131は、具体的に減算器及びPI制御器として実現することができる。具体的には、電流基準値と出力電流をPI制御器に入力した後、両者の差分値を取得し、次にPI制御器を介して出力電流の調整量を取得する。
【0064】
第1の信号生成ユニット132は、出力電流の調整量に基づいて、電圧変換器の制御信号を生成するために用いられる。
【0065】
実施例において、第1の信号生成ユニット132は、第1の改良型パルス幅変調(Enhanced Pulse Width Modulator、ePWM)ユニットを含む。具体的には、ePWMにより、制御信号の周期及びデューティ比を生成することができる。
【0066】
一例において、ePWMユニットとCMPSSは、同じDSPチップの構成ユニットであり、合理的に配置することにより、一つのDSPチップを利用して電圧変換器に対する制御を実現することができ、それによりハードウェア回路コストを低減することができる。例示的には、DSPチップの型番は、DSP28337Dであってもよい。
【0067】
いくつかの実施例において、制御ユニット131は、差分値決定サブユニット及び調整量決定サブユニットを含む。
【0068】
差分値決定サブユニットは、減少された電流基準値と出力電流との差分値を決定するために用いられる。
【0069】
一例において、差分値決定サブユニットは、具体的に減算器として実現することができる。
【0070】
調整量決定サブユニットは、差分値に基づいて調整量を決定するために用いられる。
【0071】
具体的な例において、調整量決定サブユニットは、具体的にPI制御器として実現することができる。
【0072】
なお、差分値決定サブユニット及び調整量決定サブユニットは、制御ユニット131の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0073】
理解を容易にするために、図7は、本願の実施例が提供する例示的な電圧変換器の制御装置の制御ロジックの概略図である。
【0074】
図7に示すように、電圧変換器20の出力電圧Vbatと所定の電圧値VbatBMSは減算を行った後、電圧差分値を取得する。電圧差分値をPI演算した後、電流基準値を取得する。
【0075】
第1のCMPSSは、出力電流Ioutを取得し、出力電流Ioutの絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、第1の信号を出力する。
【0076】
電流基準値と第1の信号を減算した後、減少された電流基準値を取得する。そして、減少された電流基準値と出力電流Ioutを減算し、両者の差分値を取得する。次に、両者の差分値をPI演算した後、出力電流の調整量を取得する。例示的な実施例において、PI演算は、比例-積分-共振(PI-RES)コントローラにより実現することができる。
【0077】
最後に、出力電流の調整量を第1のePWMユニットに入力し、電圧変換器20の制御信号を取得する。
【0078】
いくつかの実施例において、二重クローズドループ制御ポリシーによる出力電流のオーバーシュート現象をさらに防止するために、図8は、本願の実施例が提供する第5種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。図8図3との違いは、電圧変換器の制御装置10がさらに第3の制御モジュール14を含むことである。
【0079】
第3の制御モジュール14は、出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電圧変換器が出力電流を停止するように制御するために用いられる。
【0080】
ここで、第2の電流閾値の絶対値は、第1の電流閾値の絶対値よりも大きい。
【0081】
ここで、第2の電流閾値の具体的な内容は、第1の電流閾値の関連説明を参照することができるが、ここでは説明を省略する。
【0082】
例示的に、第1の電流閾値が55Aであれば、第2の電流閾値は60Aであってもよい。なお、第1の電流閾値及び第2の電流閾値は、実際のシーン及び具体的な需要に応じて設定することができ、例えば第2の電流閾値を第1の電流閾値の予め設定された倍数に設定することができ、予め設定された倍数は1よりも大きい。出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、深刻なオーバーシュートが発生することを示し、例えば、第2の電流閾値は、電圧変換器の最大許容電流に基づいて設定することができる。
【0083】
一つの実施例において、図9は、本願の実施例が提供する第6種類の電圧変換器の制御装置の構造概略図である。図9図8との違いは、第3の制御モジュール14が第2の比較ユニット141及び第2の信号生成ユニット142を含むことである。
【0084】
第2の比較ユニット141は、出力電流と第2の電流閾値を取得し、かつ出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、制御指令を出力するために用いられる。
【0085】
ここで、制御指令は、電圧変換器が出力電流を停止するように制御するために用いられる。例示的には、電圧変換器20の全てのスイッチユニットをオフにするように制御することにより、出力電流の停止を実現することができる。
【0086】
一例では、第2の比較ユニット141は、第2のCMPSSを含む。なお、第2のCMPSSと第1のCMPSSは、二つの異なるCMPSSであってもよい。
【0087】
第2のCMPSSの具体的な内容は、第1のCMPSSの関連説明を参照することができるが、ここで説明を省略する。例示的には、第2のCMPSSのCOMPHユニットにおいて、第2の電流閾値は正の値であってもよく、例えば60Aであり、第2のCMPSSのCOMPLユニットにおいて、第2の電流閾値は負の値であってもよく、例えば-60Aである。
【0088】
第2の信号生成ユニット142は、さらに制御指令に応答して、電圧変換器20の制御信号を生成するために用いられる。この制御信号は、変換器の作動停止を制御するためのものである。
【0089】
一例において、第2の信号生成ユニット142は、制御指令に応答して、制御信号をローレベル信号に変調するために用いられるイベントトリガサブユニットを含む。この時、イベントトリガサブユニットにより、強制イベントをトリガし、この時に電圧変換器20の制御信号を強制的にローレベル信号に変調する。
【0090】
例示的に、第2の信号生成ユニットは、第2のePWMユニットを含む。それに応じて、イベントトリガサブユニットは、第2のePWMユニットにおけるトリガ(Trip)サブモジュールであってもよく、Tripサブモジュールは第2のePWMユニットの強制イベントをトリガすることができる。
【0091】
理解を容易にするために、図10は、本願の実施例が提供する別の例示的な電圧変換器の制御装置の制御ロジックの概略図である。
【0092】
図10に示すように、第2のCMPSSは、出力電流Ioutを取得した後、出力電流Ioutの絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きいと決定すると、第2のePWMユニットに制御指令を出力し、第2のePWMユニットは該制御指令に応答して、強制イベントをトリガし、制御信号を強制的にローレベル信号に変調し、出力電流Ioutをゼロに等しくするように制御する。
【0093】
同様の出願構想に基づいて、本願の実施例は、電圧変換器の制御装置の他に、それに対応する電圧変換器の制御方法を提供する。
【0094】
以下に図面を参照して、本願の実施例に基づいて提供された電圧変換器の制御方法を詳細に説明する。
【0095】
図11は、本願の実施例が提供する電圧変換器の制御方法のフローチャートである。図11に示すように、電圧変換器の制御方法は、S1110~S1130を含む。
【0096】
S1110では、電圧変換器の出力電圧及び所定の電圧値に基づいて電流基準値を取得する。
【0097】
S1120では、電圧変換器の出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させる。
【0098】
S1130では、減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、電圧変換器の出力電流を制御する。
【0099】
本願の実施例に係る電圧変換器の制御方法では、電圧変換器の出力電流が過電流になった時、即ち電圧変換器の出力端から収集された出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電流基準値を減少させ、かつ減少された電流基準値及び出力電流を利用して電圧変換器の出力電流を制御することができる。従来の電圧変換器の制御方式に比べて、電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電流基準値をタイムリーに減少させることができ、それにより電圧変換器の出力電流が過電流になった時に、電圧変換器のタイムリーな調整を実現することができる。
【0100】
本願のいくつかの実施例において、S1120は、具体的に、
出力電流と第1の電流閾値を取得し、かつ出力電流の絶対値が第1の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、第1の信号を出力する工程と、
第1の信号に応答して、電流基準値を減少させる工程と、を含む。
【0101】
本願のいくつかの実施例において、S1130は、具体的に、
減少された電流基準値及び出力電流に基づいて、出力電流の調整量を生成する工程と、
調整量に基づいて、電圧変換器の制御信号を生成する工程と、を含む。
【0102】
本願のいくつかの実施例において、S1130における調整量に基づいて電圧変換器の制御信号を生成することは、具体的には、
減少された電流基準値と出力電流との差分値を決定するための差分値決定サブユニットと、
差分値に基づいて調整量を決定するための調整量決定サブユニットと、を含む。
【0103】
本願のいくつかの実施例において、S1120における第1の信号に応答して、電流基準値を減少させることは、具体的に、
第1の信号に応答して、電流減少量を決定する工程と、
電流基準値を電流減少量だけ減少させ、減少された電流基準値を取得する工程と、を含む。
【0104】
本願のいくつかの実施例において、図12は、本願の実施例が提供する他の電圧変換器の制御方法のフローチャートである。図12図11との違いは、S1130の後に、電圧変換器の制御方法がさらにS1140を含むことである。
【0105】
S1140では、出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電圧変換器を制御して出力電流を停止する。
【0106】
ここで、第2の電流閾値の絶対値は第1の電流閾値の絶対値よりも大きい。
【0107】
本願のいくつかの実施例において、S1140は、具体的に、
出力電流と第2の電流閾値を取得し、かつ出力電流の絶対値が第2の電流閾値の絶対値よりも大きい場合、電圧変換器が出力電流を停止するように制御するために用いられる制御指令を出力する工程と、
制御指令に応答して、電圧変換器の制御信号を生成する工程と、を含む。
【0108】
本願のいくつかの実施例において、S1140における制御指令に応答して電圧変換器の制御信号を生成することは、具体的に、
制御指令に応答して、制御信号をローレベル信号に変調する工程を含む。
【0109】
本願の実施例に係る電圧変換器の制御方法の他の詳細は、以上図3図10に示す実施例を参照して説明された電圧変換器の制御装置と類似し、かつそれに対応する技術的効果を達成することができ、簡潔に説明するために、ここでは説明を省略する。
【0110】
図13は、本願の実施例が提供する電圧変換器の制御デバイスのハードウェア構成図を示す。
【0111】
電圧変換器の制御デバイスは、プロセッサ1301とコンピュータプログラム指令を記憶したメモリ1302とを含むことができる。
【0112】
具体的には、上記プロセッサ1301は、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、又は特定の集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)を含むことができ、又は本願の実施例に係る一つ又は複数の集積回路を実施するように構成されてもよい。
【0113】
メモリ1302は、データや指令のための大容量のメモリを含んでもよい。例えば、メモリ1302は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)、フレキシブルディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ又はユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)ドライブ又は二つ以上のこれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、メモリ1302は除去可能又は除去不可能(又は固定)の媒体を含むことができ、又はメモリ1302は不揮発性固体メモリである。いくつかの実施例において、メモリ1302は電圧変換器の制御デバイスの内部又は外部に位置することができる。
【0114】
いくつかの実施例において、メモリ1302は、リードオンリーメモリ(Read Only Memory、ROM)であってもよい。一実施例において、該ROMはマスクプログラムのROM、プログラム可能なROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、電気的に書き換え可能なROM(EAROM)又はフラッシュメモリ又は二つ以上のこれらの組み合わせであってもよい。
【0115】
メモリ1302は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体デバイス、光記憶媒体デバイス、フラッシュメモリデバイス、電気、光学又は他の物理/有形のメモリ記憶デバイスを含むことができる。したがって、一般的に、メモリは、コンピュータ実行可能な指令を含むソフトウェアをコードした一つ以上の有形(非一時的)コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリデバイス)を含み、かつ該ソフトウェアが実行される(例えば、一つ又は複数のプロセッサにより)場合、それは本開示の一態様に係る方法で説明された操作を操作して実行することができる。
【0116】
プロセッサ1301は、メモリ1302に記憶されたコンピュータプログラム指令を読み出して実行することにより、図11及び図12に示される実施例における方法を実現し、かつ図11及び図12に示される実施例がその方法を実行することによる対応する技術的効果を達成し、簡潔に説明するためにここで説明を省略する。
【0117】
一例において、電圧変換器の制御デバイスは、さらに通信インタフェース1303及びバス1310を含むことができる。ここで、図13に示すように、プロセッサ1301、メモリ1302、通信インタフェース1303はバス1310を介して接続され、かつ相互間の通信を完了する。
【0118】
通信インタフェース1303は、主に本願の実施例における各モジュール、装置、ユニット及び/又はデバイスの間の通信を実現するために用いられる。
【0119】
バス1310は、ハードウェア、ソフトウェア又は両者を含み、オンラインデータ流量課金装置の部品を互いに結合する。例えば、バスは、アクセラブルグラフィーポート(Acerated Graphics Port、AGP)又は他のグラフィックスバス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture、EISA)バス、フロントサイドバス(Front Side Bus、FSB)、ハイパートランスポート(Hyper Transport、HT)相互接続、業界標準アーキテクチャ(Industry Standard Architecture、ISA)バス、無限帯域幅相互接続、低ピンイン数(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、周辺機器コンポーネント相互接続(PCI)バス、PCI-Express(PCI-X)バス、シリアル高度な技術アクセサリ(SATA)バス、ビデオ電子標準協会ローカル(VLB)バス又は他の適切なバス又は二つ以上のこれらの組み合わせを含むことができる。適切な状況で、バス1310は、一つ又は複数のバスを含むことができる。本願の実施例は、特定のバスを説明して示したが、本願は任意の適切なバス又は相互接続を考慮する。
【0120】
該電圧変換器の制御デバイスは、本願の実施例における電圧変換器の制御方法を実行することができ、それにより図3図12を参照して説明した電圧変換器の制御方法及び装置を実現する。
【0121】
また、上記実施例における電圧変換器の制御方法を合わせて、本願の実施例は、コンピュータ記憶媒体を提供して実現することができる。該コンピュータ記憶媒体にコンピュータプログラム指令が記憶される。該コンピュータプログラム指令がプロセッサにより実行される時に上記実施例のいずれかの電圧変換器の制御方法を実現する。
【0122】
なお、本願は、上記説明した且つ図に示された特定の構成及び処理に限定されるものではない。簡単のために、ここで既知の方法の詳細な説明を省略する。上記実施例において、いくつかの具体的なステップを例として説明して示す。しかしながら、本願の方法過程は記述及び示された具体的なステップに限定されず、当業者は本願の精神を理解した後に、様々な変更、修正及び追加を行い、又はステップの間の順序を変更することができる。
【0123】
以上に述べた構成ブロック図に示された機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせとして実現することができる。ハードウェア方式で実現する場合、それは例えば電子回路、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、適切なファームウェア、プラグイン、機能カード等であってもよい。ソフトウェア方式で実現する場合、本願の要素は必要なタスクを実行するためのプログラム又はコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、機器可読媒体に記憶されてもよく、又は搬送波に搬送されたデータ信号により伝送媒体又は通信リンクに伝送されてもよい。「機器読み取り可能な媒体」には、情報を記憶または送信可能な任意の媒体が含まれ得る。機器可読媒体の例は、電子回路、半導体メモリ装置、ROM、フラッシュメモリ、消去可能ROM(EROM)、フレキシブルディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、光ファイバ媒体、無線周波数(Radio Frequency、RF)リンク等を含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネット等のコンピュータネットワークを介してダウンロードされてもよい。
【0124】
なお、本願で言及した例示的な実施例は、一連のステップ又は装置に基づいていくつかの方法又はシステムを説明する。しかしながら、本願は上記ステップの順序に限定されず、即ち、実施例に言及された順序に応じてステップを実行することができ、実施例における順序と異なり、又は複数のステップを同時に実行することもできる。
【0125】
以上本開示の実施例に係る方法、装置、デバイス及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して本開示の各態様を説明する。理解すべきことは、フローチャート及び/又はブロック図における各ブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図における各ブロックの組み合わせはコンピュータプログラム指令によって実現されてもよい。これらのコンピュータプログラム指令は汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルなデータ処理装置のプロセッサに提供され、それにより機器を生成することにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサにより実行されたこれらの指令はフローチャート及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックに指定された機能/動作を実現する。このようなプロセッサは、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特殊アプリケーションプロセッサ又はフィールドプログラマブルロジック回路であってもよいが、それらに限定されない。理解されるように、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する専用ハードウェアで実現されてもよく、又は専用ハードウェアとコンピュータ指令の組み合わせで実現されてもよい。
【0126】
以上、本願の具体的な実施形態に過ぎず、当業者であれば、説明の便宜上簡潔にするために、上記説明したシステム、モジュール及びユニットの具体的な動作過程は、前述の方法実施例における対応するプロセスを参照することができることが分かるが、ここでは説明を省略する。理解すべきことは、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者が本願の開示する技術的範囲内に、様々な等価な修正又は置換を容易に想到でき、これらの修正又は置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】