(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】滅菌器
(51)【国際特許分類】
A61L 2/07 20060101AFI20230315BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61L2/07
A61L2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538814
(86)(22)【出願日】2021-01-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 IB2021050322
(87)【国際公開番号】W WO2021148920
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248858
【氏名又は名称】トゥトゥナウアー エルティーディー.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】キノリー,ニア
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058AA25
4C058BB05
4C058DD01
4C058DD02
4C058DD04
4C058DD05
4C058DD11
4C058DD13
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、滅菌装置に関するものであり、この滅菌装置は、少なくとも1つのアイテムを収容するための滅菌チャンバーと、滅菌装置に電力供給するための電源手段と、アイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段と、および複数の滅菌サイクルプログラムと、を特徴とする。複数の滅菌サイクルプログラムは、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムおよび少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含む。第1状態では、滅菌装置は、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムを使用して滅菌を行い、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用不能である。本発明は、Bクラス滅菌をロック解除して、提供するよう適合可能な滅菌装置を提供する。さらに、本発明は、切り替え可能なSクラス滅菌装置をBクラス滅菌装置に切り替える方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌装置であって、
少なくとも1つの滅菌されるアイテムを収容するための滅菌チャンバーと、
前記装置に電力供給するための電源手段と、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段と、
複数の滅菌サイクルプログラムであって、
少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および
少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含む複数の滅菌サイクルプログラムと、を含む、滅菌装置。
【請求項2】
第1状態では、前記滅菌装置は、前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムを使用して滅菌を行い、および前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用不能である、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
第2状態であって、この状態では、前記滅菌装置は、ロック解除されて、ユーザによる使用には利用可能である少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを提供する、第2状態を含む、請求項2に記載の滅菌装置。
【請求項4】
ロックされた前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、コードでロック解除されるように構成される、請求項2に記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記コードは、滅菌装置から別々に提供される、請求項4に記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記滅菌装置は、コードを入力するためのキーボードを含む、請求項4に記載の滅菌装置。
【請求項7】
前記コードは、遠隔で入力可能である、請求項4に記載の滅菌装置。
【請求項8】
前記滅菌媒体は、蒸気滅菌のための蒸気である、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項9】
前記滅菌装置は、少なくとも1つの空気除去システムを含み、および前記空気除去システムは、前記滅菌チャンバーから空気を除去するように構成される、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの空気除去システムは、蒸気パルス化システムおよび真空システムの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の滅菌機装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの空気除去システムは、蒸気パルス化システムを含み、前記滅菌チャンバーは、
蒸気および水の少なくとも1つのための少なくとも1つの入口と、
空気および蒸気の少なくとも1つのための少なくとも1つの出口と、を含み、
前記蒸気パルス化システムは、前記滅菌チャンバーの少なくとも1つの入口に接続される、請求項10に記載の滅菌装置。
【請求項12】
前記蒸気パルス化システムは、水、水ポンプおよび水加熱器を含む、請求項11に記載の滅菌装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの空気除去システムは、真空システムを含み、前記滅菌チャンバーは、少なくとも1つのバルブを含み、前記真空システムは、少なくとも1つのバルブに接続される、請求項10に記載の滅菌装置。
【請求項14】
前記滅菌装置が、第1状態であり、かつBクラス滅菌を行うための少なくとも1つのプログラムがロックされているとき、前記少なくとも1つの空気除去システムは、Sクラス滅菌に十分なほどに滅菌チャンバーから空気を除去するように構成される、請求項9に記載の滅菌装置。
【請求項15】
前記装置が、第2状態で構成され、かつBクラス滅菌を行うための少なくとも1つのプログラムがロック解除されているとき、前記少なくとも1つの空気除去システムはBクラス滅菌の生成に十分なほどに空気を除去するように構成される、請求項9に記載の滅菌装置。
【請求項16】
前記滅菌装置が、第2状態で構成され、かつBクラス滅菌のための少なくとも1つのプログラムがロック解除されているとき、前記滅菌装置は、Sクラス滅菌、またはBクラス滅菌を行う、請求項15に記載の滅菌装置。
【請求項17】
前記滅菌装置が、第2状態で構成され、かつBクラス滅菌のための少なくとも1つのプログラムがロック解除されているとき、前記滅菌装置は、Bクラス滅菌のみを行う、請求項15に記載の滅菌装置。
【請求項18】
前記滅菌装置が、第1状態であるとき、前記滅菌装置はSクラス滅菌のみを行う、請求項2に記載の滅菌装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、滅菌装置の製造業者によって確定されるような少なくとも1つのアイテムを滅菌するためのものである、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、多孔性製品、内腔装置、単一包装製品、および多層製品の少なくとも1つを滅菌するためのものである、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項21】
前記滅菌装置の滅菌サイクルを制御するための少なくとも1つのコントローラーをさらに含む、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項22】
圧力を測定するための手段、温度を測定するための手段、および時間を測定するための手段の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項23】
圧力を制御するための手段、温度を制御するための手段、および時間を制御するための手段の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項24】
前記蒸気パルス化システムを制御するための少なくとも1つの制御部をさらに含む、請求項10に記載の滅菌装置。
【請求項25】
前記真空システムを制御するための少なくとも1つの制御部をさらに含む、請求項10に記載の滅菌装置。
【請求項26】
滅菌装置であって、
少なくとも1つの滅菌されるアイテムを収容するための滅菌チャンバー、
前記装置に電力供給するための手段、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段、ならびに
複数の滅菌サイクルプログラムであって、
少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および
ロック状態である少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含み、
前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルがロック状態で実行することができない複数の滅菌サイクルプログラムを含み、
ここで、前記滅菌装置は、Sクラス滅菌を行い、およびBクラス滅菌をロック解除して、提供するよう適合可能である、滅菌装置と、
前記少なくとも1つのロックされたBクラス滅菌サイクルをロック解除するためのコードと、を含む、滅菌システム。
【請求項27】
前記滅菌装置は、前記滅菌装置の少なくとも1つの滅菌サイクルを制御するための少なくとも1つのコントローラーを含む、請求項26に記載の滅菌システム。
【請求項28】
前記滅菌装置は、前記滅菌チャンバーから空気を除去するために、蒸気パルス化システムおよび真空システムの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の滅菌システム。
【請求項29】
請求項1に記載の滅菌装置を提供する工程と、
滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、
Sクラス滅菌サイクル、またはBクラス滅菌サイクルを選択する工程と、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するために選択されたクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む、滅菌の方法。
【請求項30】
請求項2に記載の滅菌装置を提供する工程と、
滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するために少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む、滅菌の方法。
【請求項31】
前記滅菌装置は、第1状態であり、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムはロックされている、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
Sクラス滅菌を行う滅菌装置を、Bクラス滅菌を行う滅菌装置へと切り替える方法であって、
第1状態である請求項2に記載の滅菌装置を提供する工程と、
前記滅菌装置に少なくとも1つの利用可能なBクラス滅菌サイクルプログラムを提供するために、および滅菌装置を、前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルがロックされている第1状態から、前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルがロック解除されている第2状態へと切り替えるために、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムをロック解除するためのコードを入力する工程と、を含む、滅菌の方法。
【請求項33】
請求項2に記載の滅菌装置を提供する工程であって、前記滅菌装置は、第1状態であり、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムがロックされている、工程と、
少なくとも1つの利用可能なBクラス滅菌サイクルプログラムを提供するために、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムをロック解除する工程と、
滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するために少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む、滅菌の方法。
【請求項34】
Bクラス滅菌サイクルを選択する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ロック解除する工程はコードを入力することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
複数の滅菌サイクルプログラムは、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラムをさらに含む、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムの少なくとも1つは、ロック状態である、請求項36に記載の滅菌装置。
【請求項38】
第1状態では、前記滅菌装置は、前記少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラムを使用して滅菌を行い、および前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用不能であり、および前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用不能である、請求項37に記載の滅菌装置。
【請求項39】
第2状態では、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、ロック解除されており、ユーザによる使用には利用可能であり、および前記滅菌装置は、前記少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、または前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムのいずれかを使用して滅菌を行い、および前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用不能である、請求項37に記載の滅菌装置。
【請求項40】
第3状態では、前記滅菌装置は、前記少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、または少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、または前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムのいずれかを使用して滅菌を行う、請求項36に記載の滅菌装置。
【請求項41】
第4状態では、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロック解除されており、ユーザによる使用には利用可能であり、および前記滅菌装置は、前記少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、または前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムのいずれかを使用して滅菌を行い、および前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用不能である、請求項37に記載の滅菌装置。
【請求項42】
滅菌装置であって、
少なくとも1つの滅菌されるアイテムを収容するための滅菌チャンバー、
前記装置に電力供給するための手段、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段、ならびに
複数の滅菌サイクルプログラムであって、
少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、
ロック状態の少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および
ロック状態の少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含み、
ここで、前記滅菌装置は、Nクラス滅菌を行い、ならびにSクラス滅菌およびBクラス滅菌をロック解除して、提供するよう適合可能である、滅菌装置と、
ロックされた前記少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルをロック解除するためのコードと、
ロックされた前記少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルをロック解除するためのコードと、を含む、滅菌システム。
【請求項43】
前記滅菌装置は、前記滅菌チャンバーから空気を除去するために、受動的な蒸気空気除去システム、ならびに蒸気パルス化システムおよび真空システムの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の滅菌システム。
【請求項44】
請求項36に記載の滅菌装置を提供する工程と、
滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、
Nクラス滅菌サイクル、Sクラス滅菌サイクル、またはBクラス滅菌サイクルのうちの1つを選択する工程と、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するために選択されたクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む、滅菌の方法。
【請求項45】
請求項37に記載の装置を提供する工程であって、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムがロックされている、工程と、
少なくとも1つの利用可能なBクラス滅菌サイクルプログラムを提供するために、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムをロック解除する工程と、
滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、
前記少なくとも1つのアイテムを滅菌するために少なくとも1つの1Bクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む、滅菌の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年1月23日に出願された、および全体を引用することで本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/964,690号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は滅菌器に関連する。さらに、本発明は、1より多くのクラスの滅菌サイクルを提供するように構成される滅菌器である。
【背景技術】
【0003】
滅菌は、多くの産業で、および医療および食品産業と関連するアイテムなどの様々なアイテムに対して慣例的に行われている。滅菌されるアイテムは、滅菌装置の滅菌チャンバーに配置することができ、および滅菌サイクルは、例えば、蒸気と熱などの、適切な滅菌媒体を使用して実行され得る。
【0004】
蒸気滅菌器の滅菌サイクルは、サイクルの性能に基づいてクラスB、クラスNおよびクラスSに分類することができる。これらのサイクルは、空気が除去される方法、滅菌することができる積み荷のタイプ、および滅菌中にアイテムを包むことができるか否かで異なる。3つのタイプはすべて滅菌チャンバーから空気を除去するが、これを成し遂げる方法は異なる。クラスN滅菌器は、滅菌器の受動的な空気除去を使用する。クラスS滅菌器は、例えば、蒸気パルス化により能動的な空気除去を使用し、およびクラスB滅菌器は、例えば、真空ポンプにより能動的な空気除去を使用する。クラスBは包装されたまたは未包装の中実あるいは中空のアイテムに使用されている一方、クラスN滅菌サイクルは未包装の中実アイテムに適している。クラスS滅菌サイクルは、滅菌器の製造業者によって指定された積み荷のタイプのみに適している。クラスBは最も幅広い用途があるが、一般的により高価であり、クラスS滅菌サイクルより時間がかかる場合がある。
【0005】
どのタイプの滅菌サイクルをどのタイプのアイテムに使用するべきかに関するガイドラインは、国によって異なる。アメリカでは、クラスS滅菌は特定の最終用途用の推奨ガイドラインの範囲内であり、このタイプの滅菌器は、例えば、歯科および医療クリニックの卓上滅菌器に一般的に使用される。しかしながら、政府ガイドラインが変更される可能性、および/または、より幅広い種類の対象物に対する最適な滅菌に対するユーザの潜在的な将来のニーズを考慮して、クラスN滅菌器をクラスSまたはクラスB滅菌器に取り替え、およびクラスS滅菌器をクラスB滅菌器に取り替える広範なニーズもあり得る。現在、クラスNまたはクラスSの滅菌器は、ユーザのニーズを満たすことがある。ユーザは、使い慣れた機械を使用し続けたいことがあり、それと同様に典型的にクラスB滅菌器などのより高いクラスの滅菌器よりも安価に実行できる。したがって、ユーザは、必要なときまたは必要な場合にのみクラスB滅菌器に取り替えたいかもしれない。そのようなユーザは、この将来的にクラスNまたはクラスS滅菌器を高価なクラスB滅菌器に取り替えなければならない費用を嫌がるかもしれない。
【0006】
したがって、1つより多くのクラスの滅菌を行う滅菌器を有することが望ましい。クラスNまたはクラスS滅菌装置を有することは有益であり、同じ滅菌器を、クラスB滅菌を行うように適合させることができる。クラスB滅菌を行うように容易に構成することができるクラスNまたはクラスS滅菌器を有することはさらに有利であろう。クラスN滅菌器またはクラスS滅菌器をクラスB滅菌器に取り替えるよりもアップグレードが大幅に安価である場合、有益である。不必要なクラスNまたはクラスS滅菌器を廃棄する必要をなくし、アップグレード可能な滅菌器を提供することはさらに、環境上望ましい。本発明はそのようなシステム、装置およびそれらの使用方法を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明には様々な態様があり得る。1つの態様は滅菌装置である。滅菌装置は、少なくとも1つの滅菌されるアイテムを収容するための滅菌チャンバーを含む場合がある。滅菌装置は、電力供給するのために電源手段を含む場合がある。滅菌装置は、少なくとも1つのアイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段を含む場合がある。滅菌装置は、複数の滅菌サイクルプログラムを含んでもよい。複数の滅菌サイクルプログラムは、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含んでもよい。少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、滅菌装置の製造業者によって確定されるような少なくとも1つのアイテムを滅菌するためのものであってもよい。少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、Sクラスが十分であるアイテムに加えて、中実製品、多孔性製品、内腔装置、単一包装製品、および多層製品、未包装の製品などの少なくとも1つであるがそれらに限らないSクラスが滅菌に適していないアイテムを滅菌するためであってもよい。第1状態では、滅菌装置は、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムを使用して滅菌を行い、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされており、ユーザによる使用には利用できない。滅菌装置は、第2状態を含む場合があり、ここで、滅菌装置はロック解除されており、ユーザによる使用には利用可能である少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを提供する。滅菌媒体は、蒸気滅菌のための蒸気を含む場合がある。滅菌チャンバーは、蒸気のための少なくとも1つの入口を含んでもよい。滅菌チャンバーは、真空システムに接続されるように構成された少なくとも1つのバルブを含んでもよい。
【0008】
滅菌装置の様々な実施形態では、ロックされた少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、コードでロック解除されるように構成される。コードは、滅菌装置から別々に提供されてもよい。滅菌装置は、コードを入力するためのキーボードを含むことがある。コードは、遠隔で入力されてもよい。
【0009】
滅菌装置の様々な実施形態では、装置は少なくとも1つの空気除去システムを含む。空気除去システムは、滅菌チャンバーから空気を除去するように構成される。少なくとも1つの空気除去システムは、蒸気パルス化システムおよび真空システムの少なくとも1つを特徴としてもよい。滅菌チャンバーは、蒸気および水の少なくとも1つのための少なくとも1つの入口を含んでもよい。滅菌チャンバーは、蒸気および水の少なくとも1つのための少なくとも1つの出口を含んでもよい。空気除去システムが蒸気パルス化システムを特徴とする実施形態では、蒸気パルス化システムは、滅菌チャンバーの蒸気および/または水のための少なくとも1つの入口に接続される場合がある。蒸気パルス化システムは、水タンク、水ポンプおよび水加熱器に保存され得る水を含む場合がある。空気除去システムが真空システムを特徴とする実施形態では、真空システムは滅菌チャンバーの少なくとも1つのバルブに接続される場合がある。
【0010】
滅菌装置の様々な実施形態では、装置が第1状態である時、Bクラス滅菌を行うための少なくとも1つのプログラムはロックされており、および少なくとも1つの空気除去システムはSクラス滅菌に十分なほどに滅菌チャンバーから空気が除去されるように構成される。装置は、Sクラス滅菌のみを行ってもよい。
【0011】
様々な実施形態において、前記装置は、Bクラス滅菌のための少なくとも1つのプログラムがロックされている第2状態で構成されている。少なくとも1つの空気除去システムは、Bクラス滅菌の生成に十分なほどに空気を除去するように構成される。前記装置は、Sクラス滅菌またはBクラス滅菌を行うことがある。前記装置は、Bクラス滅菌のみを行うことがある。
【0012】
様々な実施形態では、滅菌装置は、滅菌装置の滅菌サイクルを制御するための少なくとも1つのコントローラーをさらに含む場合がある。滅菌装置は、圧力を測定するための手段、温度を測定するための手段、および時間を測定するための手段の少なくとも1つをさらに含む場合がある。滅菌装置は、圧力を制御するための手段、温度を制御するための手段、および時間を制御するための手段の少なくとも1つをさらに特徴とする場合がある。滅菌装置は、蒸気パルス化システムを制御するための少なくとも1つの制御部をさらに含む場合がある。滅菌装置は、真空システムを制御するための少なくとも1つの制御部をさらに含む場合がある。
【0013】
滅菌装置の様々な実施形態では、複数の滅菌サイクルプログラムは、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルをさらに含んでもよい。少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムの少なくとも1つは、ロック状態であってもよい。第1状態では、滅菌装置は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラムを使用して滅菌を行い、および少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用できず、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用できない場合がある。第2状態では、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、ロック解除されており、ユーザによる使用に利用可能であり、および滅菌装置は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、または少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムのいずれかを使用して滅菌を行い、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用には利用できない場合がある。第3状態では、滅菌装置は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、または少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、または少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムのいずれかを使用して滅菌を行う場合がある。第4状態では、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロック解除されており、ユーザによる使用に利用可能であり、および滅菌装置は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、または少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムのいずれかを使用して滅菌を行い、および少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムは、ロックされ、ユーザによる使用に利用できない場合がある。
【0014】
さらなる態様は滅菌システムである。滅菌システムは、滅菌装置および、滅菌装置の少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルをロック解除するためのコードを含む場合がある。滅菌装置は、少なくとも1つの滅菌されるアイテムを収容するための滅菌チャンバーを含む場合がある。滅菌装置は、上記装置に電力供給するための手段を含む場合がある。滅菌装置は、少なくとも1つのアイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段を含む場合がある。滅菌装置は、複数の滅菌サイクルプログラムを含む場合がある。複数の滅菌サイクルプログラムは、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムおよび少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含む場合がある。少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムは、ロック状態であってもよい。滅菌装置は、Sクラス滅菌を行い、ならびにBクラス滅菌をロック解除して、提供するよう適合可能であってもよい。
【0015】
滅菌システムの様々な実施形態では、滅菌装置は、滅菌装置の少なくとも1つの滅菌サイクルを制御するための少なくとも1つのコントローラーを含む場合がある。滅菌装置は、滅菌チャンバーから空気を除去するために、蒸気パルス化システムおよび真空システムの少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
まださらなる態様は滅菌装置を特徴する滅菌システムである。装置は、少なくとも1つの滅菌されるアイテムを収容するための滅菌チャンバー、上記装置に電力供給するための手段、少なくとも1つのアイテムを滅菌するための滅菌媒体を提供するための手段、および複数の滅菌サイクルプログラムを含む場合がある。複数の滅菌サイクルプログラムは、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、ロック状態の少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、およびロック状態の少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを含む場合がある。滅菌装置は、Nクラス滅菌を行い、ならびにSクラス滅菌およびBクラス滅菌をロック解除および提供するように適合可能であってもよい。滅菌システムは、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルをロック解除するためのコード、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルをロック解除するためのコードを含む場合がある。滅菌装置は、滅菌チャンバーから空気を除去するために、受動的な蒸気空気除去システム、ならびに蒸気パルス化システムおよび真空システムの少なくとも1つを含む場合がある。
【0017】
ある態様は滅菌の方法である。上記方法は本発明の滅菌装置を提供する工程を特徴とする。滅菌装置は、第1状態であってもよく、ここで、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムはロックされている。方法は、滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、少なくとも1つのアイテムを滅菌するための少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む。
【0018】
ある態様はさらなる滅菌の方法である。上記方法は本発明の滅菌装置を提供する工程を特徴とする。上記方法は、滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、Sクラス滅菌サイクル、またはBクラス滅菌サイクルを選択する工程と、を含む。方法は、少なくとも1つのアイテムを滅菌するために選択されたクラス滅菌サイクルを実行する工程をさらに含む。
【0019】
さらなる態様は、Sクラス滅菌を行う滅菌装置を、Bクラス滅菌を行う滅菌装置に切り替える方法である。方法は、本発明の滅菌装置を提供する工程を含む場合がある。滅菌装置は、第1状態であってもよく、ここで、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムはロックされている。方法は、滅菌装置に少なくとも1つの利用可能なBクラス滅菌サイクルプログラムを提供するために、および滅菌装置を、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルがロックされている第1状態から、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルがロック解除されている第2状態で切り替えるために、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムをロック解除するためのコードを入力する工程を含む。
【0020】
一態様はさらなる滅菌の方法である。方法は、本発明の滅菌装置を提供する工程を含む場合がある。滅菌装置は、第1状態であってもよく、ここで、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムはロックされている。方法は、少なくとも1つの利用可能なBクラス滅菌サイクルプログラムを提供するために、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムをロック解除する工程を含む。ロック解除する工程はコードを入力することを特徴とする場合がある。方法は、滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程と、少なくとも1つのアイテムを滅菌するために少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む。方法はBクラス滅菌サイクルを選択する工程を含む場合がある。
【0021】
一態様は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラムおよび少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを特徴とする滅菌装置を使用する滅菌の方法である。方法は、本発明の滅菌装置を提供する工程を含み、ここで、滅菌装置は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクルプログラム、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムを特徴とする複数の滅菌サイクルプログラムを含む。方法は、滅菌チャンバーに少なくとも1つのアイテムを配置する工程を含む。方法は、Nクラス滅菌サイクル、Sクラス滅菌サイクル、またはBクラス滅菌サイクルのうちの1つを選択する工程と、少なくとも1つのアイテムを滅菌するために選択されたクラス滅菌サイクルを実行する工程と、を含む。方法の様々な実施形態では、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルプログラム、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムのうちの1つはロック状態である。一実施形態では、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムはロック状態である。方法は、少なくとも1つの利用可能なBクラス滅菌サイクルプログラムを提供するために、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルプログラムをロック解除する工程を含む場合がある。方法は、少なくとも1つのアイテムを滅菌するために少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルを実行する工程を含む場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の様々な特徴は、以下の説明と縮尺通りに描かれていない添付の図面を同時に参照することによって、最良に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器の概略図を示す。
【
図2a】
図2aは、本発明の滅菌器に滅菌条件を提供するための例示的なシステムの少なくとも一部の概略図を示す。
【
図2b】
図2bは、本発明の滅菌器に滅菌条件を提供するための例示的なシステムの少なくとも一部の概略図を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器の概略図を示す。
【
図3b】
図3bは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器の概略図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器の例示的なプログラムの概略図を示す。
【
図5a】
図5aは、本発明の一態様に係る、ロック解除されているクラスB滅菌サイクルプログラムを有する例示的な滅菌器の例示的なプログラムの概略図を示す。
【
図5b】
図5bは、本発明の一態様に係る、ロック解除されているクラスB滅菌サイクルプログラムを有する例示的な滅菌器の例示的なプログラムの概略図を示す。
【
図6a】
図6aは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器システムの概略図を示す。
【
図6b】
図6bは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器システムの概略図を示す。
【
図6c】
図6cは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器システムの概略図を示す。
【
図6d】
図6dは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器システムの概略図を示す。
【
図6e】
図6eは、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器システムの概略図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一態様に係る、例示的なクラスS切り替え可能滅菌器をクラスB滅菌器に切り替える例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図8】
図8は、本発明の一態様に係る、例示的なクラスN可変切り替え可能滅菌器をクラスB滅菌器に切り替える例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図9】
図9は、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器を使用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図10】
図10は、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器を使用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図11】
図11は、本発明の一態様に係る、例示的な滅菌器を使用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1つの態様では、本発明は滅菌装置である。滅菌装置は、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクルおよび少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルを提供するように構成される。滅菌装置はSクラス滅菌を提供し、Bクラス滅菌を提供するよう適合可能であってもよい。さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つのNクラス滅菌サイクル、少なくとも1つのSクラス滅菌サイクル、および少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルを提供するように構成される滅菌装置である。さらなる態様では、本発明は、滅菌装置、および滅菌装置のBクラス滅菌サイクルのロック解除するためのキーを特徴とする滅菌システムを提供する。さらなる態様では、本発明は、滅菌装置をBクラス滅菌装置に切り替える方法を提供する。さらに、本発明は、滅菌の方法を提供する。
【0024】
本発明の装置およびシステムは多数の利点を有する。本発明は、ユーザが単一の滅菌器から滅菌の1つのクラスのみの使用に限定されないことを保証する。本発明は、将来同じS型滅菌器をB型滅菌器に切り替えるオプションをユーザに提供する。本発明は、同じN型滅菌器をS型滅菌器および/またはB型滅菌器に切り替えるオプションをユーザに提供する。本発明はさらに、冗長なS型滅菌器および冗長なN型滅菌器を廃棄することによって生じる廃棄物を削減する方法を提供する。本発明はさらに、ユーザが単一の滅菌器でS型滅菌とB型滅菌との間で選択することを可能にし得る。本発明はさらに、単一の滅菌器でN型、S型、またはB型の滅菌を使用する選択をユーザに与えることを容易にする場合がある。
【0025】
本明細書で使用されるように、用語「クラス」および「型」は交換可能に使用されてもよい。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「ロックされた」および「ロック状態」は、適切な方法でロック解除されないとユーザが使用できないように滅菌プログラムまたはサイクルが構成されている状態を含み得るが、これに限定されない。ロック解除は、適切なキーによって行われてもよい。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「利用可能」は、ユーザが使用および実行できるようにサイクルが構成されている状態を含んでもよいが、これに限定されない。この用語は、サイクルがロックされない状態を含む。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「適合」および「適合された」は、滅菌器のアップグレードおよび再構成を含む場合があるが、これらに限定されない。この用語は、物理的手段および/またはソフトウェア手段を使用するなどであるがこれらに限定されない任意の適切な適合方法を含んでもよい。
【0029】
本明細書で使用されるように、用語「分配システム」は、材料を第1の場所から第2の場所に提供するための任意の適切な手段を含む場合があるが、これに限定されない。この用語は、システムのある部分からシステムの別の部分に材料を提供することを含む。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「滅菌チャンバー」は、滅菌を実行することができるコンパートメントを含む場合があるが、これに限定されない。
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「接続」は、直接的および間接的な取り付けを含む場合があるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「入口」は、入口の手段を含む場合があるが、これに限定されない。この用語は、ベント、ダクト、パイプ、煙道、および開口部などであるが、これらに限定されない任意の適切な入口の手段を含んでもよい。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「出口」は出口の手段を含む場合があるが、これに限定されない。この用語は、何かを出すために構成された開口部または通路を含んでもよい。この用語は、何かを排出するためのベント、パイプ、ダクト、および出口を含んでもよい。
【0034】
本明細書で使用されるように、用語「チャネル」は、ガス、蒸気、または液体などの材料が流れるための通路または経路を提供する通路または構造を含む場合があるが、これらに限定されない。この用語は、運ぶ材料に対して耐性がある材料で作られたチャネルを含んでもよい。この用語は、材料の分離された通路のためのチャネルを含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用されるように、用語「滅菌装置」は、滅菌チャンバーを特徴とする滅菌器を含む場合があるが、これに限定されない。滅菌器は、滅菌チャンバー内のアイテムの滅菌プロセスおよび滅菌を促進するための滅菌条件、材料、および他の手段を滅菌チャンバーに提供することができる。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「滅菌」は、特定の領域からの微生物、病原体、細菌、ウイルス、真菌、胞子形態、およびプリオンなどがあるがこれらに限定されない生物因子の排除、殺傷、除去または不活性化を含む場合があるが、これらに限定されない。滅菌は、滅菌プロセスを使用して実行される場合があり、滅菌保証レベルを提供するために必要な時間よりも長く実行される場合がある。この用語は、少なくとも10-6の無菌性保証レベルを提供するプロセスを含んでもよい。
【0037】
本明細書で使用されるように、用語「消毒」は、特定の領域上の微生物を破壊するプロセスを含む場合があるが、これに限定されない。この用語は、滅菌よりも微生物を死滅させる効果が低く、耐性菌の胞子など、特定の領域上のすべての微生物を死滅させない可能性がある方法を含む。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「滅菌サイクル」は、滅菌手順の少なくとも1つの段階を含む場合があるが、これに限定されない。滅菌サイクルは、滅菌手順のすべての段階または少なくとも1つの段階のみを含んでもよい。
【0039】
本明細書で使用されるように、用語「a」および「an」は、「1つ」あるいは「1つを超える」を意味することがある。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含有する(containing)」、「特徴とする」、「有する」、およびその用語の任意の形式は、包括的かつオープンエンドであり得、列挙されていない追加の要素または方法の工程を除外するものではない。
【0041】
本発明に係るシステムおよび滅菌器などの装置、ならびにそれを利用する方法の原理および操作は、図を参照することでより一層理解され得る。図は、本発明の非限定的な態様を示す。
【0042】
滅菌装置
【0043】
図1は、本発明の一態様に係る例示的な滅菌器(10)の概略図を示す。滅菌器(10)はSクラス滅菌を行うための滅菌器として構成される。Sクラス滅菌を行うために適切な滅菌器(10)の非限定的な例は、蒸気滅菌器および卓上用のオートクレーブを含む。滅菌器(10)は、Bクラス滅菌を行うための滅菌器としてさらに構成される。滅菌器は、SクラスおよびBクラス滅菌サイクルを提供する2つのクラスの滅菌器であってもよい。
【0044】
一つの態様では、滅菌器は複数の状態を特徴とする。第1状態では、滅菌器が提供され、ここで、Bクラス滅菌サイクルは、ユーザによる使用には利用不能であり、かつユーザは、Sクラス滅菌のみのためにこの第1状態で滅菌器を使用することができる。この第1状態では、Bクラス滅菌サイクルプログラムは、休止状態またはロック状態である。滅菌器(10)は、Bクラス滅菌サイクルが使用に利用可能である第2状態で適合可能である。
【0045】
滅菌装置(10)は滅菌チャンバー(12)を特徴とする場合がある。滅菌チャンバー(12)は、任意の適切な滅菌チャンバーであってもよく、ステンレス鋼またはポリカーボネートなどであるがこれらに限定されない任意の適切な材料から構築されてもよい。滅菌チャンバー(12)は、少なくとも1つのアイテムを滅菌するために適した任意のサイズおよび形状であってもよい。
図1は、正方形の滅菌チャンバー(12)の例を示しているが、これは限定を意図するものではない。滅菌チャンバー(12)は、単一のチャンバーであってもよく、複数のチャンバーまたは複数のサブコンパートメントを含んでもよい。滅菌チャンバー(12)は、滅菌サイクル中に閉じることができる任意の適切なドア(14)を含む場合がある。ドアは、任意の開閉機構を含んでもよい。滅菌器(10)は、滅菌されるアイテムを配置するための任意の適切な棚またはラックを含んでもよい。
【0046】
滅菌器(10)は、滅菌チャンバー(12)に滅菌条件を提供するための少なくとも1つのシステムを含む場合がある。滅菌チャンバーに滅菌条件を提供するための少なくとも1つのシステムは、滅菌チャンバー(12)に熱を提供するための加熱装置(16)を含んでもよい。加熱装置は、任意の適切な加熱装置であってもよい。適切な加熱装置の非限定的な例は、滅菌チャンバーを加熱するための電気ジャケットヒーターである。加熱装置(16)は、滅菌チャンバー(12)を取り囲むように構成することができ、または滅菌チャンバーに均一な熱を提供するように任意の他の適切な方法で配置されてもよい。加熱装置は、約100°Cを超える温度の熱を提供する場合がある。いくつかの実施形態では、加熱装置は、約120℃を超える温度を提供する場合がある。
【0047】
滅菌チャンバーに滅菌条件を提供するための少なくとも1つのシステムは、蒸気(20)を滅菌チャンバー(12)に提供するための手段(18)を含む場合がある。滅菌チャンバーに蒸気(20)を提供するための手段(18)は、滅菌チャンバー(12)の外部に配置されてもよい。
図2aに概略的に示されるように、滅菌チャンバー(12)に蒸気(20)を提供するための手段(18)は、蒸気供給部(20)、または蒸気(20)への変換のための適切な水の供給源(22)を含んでもよい。水(22)は、リザーバー(24)に保存される場合がある。いくつかの実施形態では、滅菌器(10)は、水道の蛇口などの外部水源に接続可能であってもよい。適切な水ポンプ(26)は水を汲み上げる場合がある。滅菌チャンバー(12)に蒸気(20)を供給するための手段(18)は、滅菌チャンバー(12)の少なくとも1つの蒸気入口(28)に適切に接続され、蒸気(20)をチャンバー(12)に供給することができる。非限定的な1つの実施形態では、蒸気(20)は、電気パイプ水加熱システム(30)などであるがこれに限定されない蒸気発生器(30)によって生成される場合がある。得られた蒸気(20)は、これに限定されないが、上流(34)にあってもよく、滅菌チャンバー(12)の入口ポート(28)に接続されてもよい蒸気バルブを介して配管(32)などの蒸気分配チャネル(32)によって滅菌チャンバーに提供されてもよい。水ポンプ(26)は、滅菌チャンバー(12)の内容物の滅菌のために、蒸気を滅菌チャンバー(12)に提供することを促進する場合がある。水ポンプ(26)は、蒸気発生器(30)に水を提供する場合があり、蒸気は蒸気発生器(30)から滅菌チャンバー(12)まで流れ得る。水ポンプ(26)は、蒸気パルス化の制御を提供するためにポンプ制御部(27)によって制御される場合がある。したがって、滅菌チャンバーに蒸気(20)を提供するための手段(18)は、
図2bに示されるように、水ポンプ(26)および水加熱システムを特徴とし得る蒸気パルス化システム(46)として構成され得る。
【0048】
図1に示されていない代替例では、滅菌チャンバー(12)に蒸気(20)を提供するための手段(18)が滅菌チャンバー(12)内に配置される場合がある。そのような例では、蒸気(20)を提供するための手段(18)は、水ポンプ(26)を必要とすることなく、水源および加熱システムによって蒸気を生成および提供することができる。
【0049】
図1に概略的に示されるように、滅菌チャンバーに滅菌条件を提供するための少なくとも1つのシステムは、滅菌チャンバー(12)から能動的に空気を除去するための手段(40)を含み得る。滅菌チャンバー(12)は、空気および/または蒸気を放出するための少なくとも1つの出口(36)を含む場合がある。
図1に示される1つの実施形態では、本発明の滅菌器(10)は、クラスS滅菌(42)のために十分な能動的空気除去のための手段を有し、および滅菌器(10)は、クラスB滅菌(44)のために十分な能動的空気除去のための追加手段を有する。クラスS滅菌のために十分な空気除去のための手段(42)は、上記および
図2bで説明したように滅菌チャンバー(12)に蒸気パルス化(46)を提供するための手段を含んでもよく、蒸気パルス化システム(46)として構成された、滅菌チャンバーに蒸気(20)を提供するための手段(18)を含んでもよい。クラスB滅菌(44)のために十分な空気除去のための手段は、滅菌チャンバー(12)に適切な方法で接続された真空ポンプ(48)などであるがこれに限定されない真空システム(48)を含んでもよい。非限定的な1つの実施形態では、真空ポンプ(48)などの真空システム(48)は、バルブ(50)で滅菌チャンバー(12)に接続される。真空システム(48)は、十分な真空を提供するためのいずれかの装置または成分も含んでもよい。適切な真空システム(48)のさらなる非限定的な例は水ポンプである。
【0050】
図3aおよび
図3bに概略的に示される代替的な実施形態では、滅菌器は、クラスSおよびクラスB滅菌の両方のために十分なほどに空気を除去するように操作できる手段を有する。同じ手段は、達成する滅菌のクラスに応じて、異なる条件で異なる方法で操作され得る。
図3aに示される非限定的な例では、手段は、真空ポンプ(48)などの真空システム(48)であってもよく、これは、クラスS滅菌(42)を行うための条件を使用して操作され得、およびクラスB滅菌(44)のための異なるパラメータを使用して操作され得る。そのような例では、滅菌装置は、蒸気(20)を滅菌チャンバーに提供するための手段(18)を含み、これは、非限定的な1つの例では、蒸気パルス化システム(46)であってもよい。しかし、この例では、蒸気パルス化システムの機能およびその操作は、所望のクラスの滅菌を行うために蒸気パルス化システムを制御して一定量の空気を除去する必要なく、滅菌用の蒸気を提供することである。
図3bに概略的に示される代替の非限定的な例では、クラスSおよびクラスB滅菌の両方のために十分なほどに空気を除去する手段は、クラスS滅菌を行うための条件を使用して操作され得、かつクラスB滅菌のための異なるパラメータを使用して操作され得る。さらなる非限定的な例では、手段は、真空ポンプ(48)などの真空システム(48)と、クラスS(42)、またはクラスB(44)滅菌のそれぞれの条件を使用して操作できるスチームパルサー(46)との組み合わせを含む場合がある。
【0051】
図1に概略的に示されるように、滅菌器(10)は制御部(60)を含む場合がある。この図は、制御部の特徴の1つの非限定的な配置を示す。装置は、制御部要素の任意の適切な配置および順序を含んでもよい。その制御部は、滅菌装置を始動および停止するためのスイッチ(62)を含んでもよい。その制御部は、適切なキーボード(64)を含んでもよい。その制御部は、電力制御手段(66)を含んでもよい。その制御部は、時間測定のための時計(68)を含んでもよい。その制御部は、滅菌サイクルの時間のセットするためにタイマー(70)を含んでもよい。その制御部は、スクリーン(72)およびディスプレイ(74)を含んでもよい。
【0052】
制御部(60)は、滅菌サイクルの様々なプログラム(76)を含む場合がある。プログラムはメニュー(78)の一部として提供される場合がある。プログラム(76)は、プリセットされてもよく、および/またはプログラム可能であってもよい。
図4は、本発明の一態様による例示的な滅菌器の例示的なプログラムの概略図を示す。制御部(60)は、Sクラス滅菌サイクル(42)の少なくとも1つのプログラム(76a)を含む場合がある。Sクラス滅菌のための少なくとも1つのプログラムは、任意の適切な数のプログラム(76a)を含んでもよい。制御部(60)は、Bクラス滅菌サイクル(44)の少なくとも1つのプログラム(76b)を含む場合がある。Bクラス滅菌のための少なくとも1つのプログラム(76b)は、任意の適切な数のプログラム(76b)を含んでもよい。非限定的な1つの例では、滅菌装置(10)は少なくとも2つのBクラス滅菌サイクルプログラム(76b)を含む場合がある。Bクラス滅菌サイクルプログラム(76b)の非限定的な例は、121°CのBクラスサイクルおよび134°CのBクラスサイクルを含む場合がある。前述のように、第1状態では、Bクラス滅菌サイクルの少なくとも1つのプログラム(76b)は、ユーザに利用不能な場合がある。滅菌器は、Bクラス滅菌を行うための構成要素を含み得るが、この状態では、Bクラス滅菌サイクルプログラム(76b)は、ユーザがBクラス滅菌サイクルにアクセスするまたはこのサイクルを使用することを防止するために、任意の適切な方法でロックされ得る。典型的に、ユーザは、Sクラス滅菌を実行するように構成され、かつロックされた使用不能な状態のBクラス滅菌プログラムを備えた本発明の滅菌装置を購入することができる。そのような状態では、ユーザはクラスS滅菌のみを実行することができる。滅菌装置は、Bクラス滅菌プログラムのオプションをユーザに提供するように適合可能であってもよい。滅菌器は、ロックされたBクラス滅菌サイクルプログラムを適切なキーでオープンすることができ、その結果、Bクラス滅菌サイクルをユーザが実行できる第2状態でなるように、適合させることができる。ユーザがBクラス滅菌サイクルをロック解除するためのキーを持っていない場合、Bクラス滅菌はユーザにとって使用可能にならない。適切なキーはコードを含む場合がある。コードは、キーボードを使用して制御部にコードを入力するなどの適切な方法を使用して入力することができるが、これに限定されない。非限定的な1つの例では、コードは遠隔に入力される場合がある。コードは、電子メール、郵便配達、電話、口頭、WWW(IoT)ネットワーク、およびそれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない、任意の適切な方法で、ユーザに与えることができる。コードは、装置ごとに異なるように構成された特有のコードであってもよい。コードは、QRコード(登録商標)、バーコード、2Dコード、一連の適切な数の数字または文字、または記号またはそれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない、任意の適切なコードであってもよい。ロックされたBクラス滅菌サイクルをオープンし、Bクラス滅菌サイクルを選択すると、上記のようにクラスB滅菌の空気除去に十分な手段およびパラメータが有効になる。一実施形態では、Bクラス滅菌サイクルをロック解除すると、
図5aに概略的に示されるように、滅菌器Sクラス滅菌システムを回避して、Bクラス滅菌サイクル(76b)のオプションのみをユーザに提供することができる。代替的な実施形態では、Bクラス滅菌サイクルのロック解除は、
図5bに概略的に示されるように、Sクラス滅菌サイクル(76a)またはBクラス滅菌サイクル(76b)のいずれかを操作するオプションをユーザに提供し得る。そのような実施形態では、ユーザは、滅菌装置内で滅菌されるアイテムに対して、SクラスまたはBクラスのいずれのタイプの滅菌を実行するかを選択することができる。さらなる代替的な実施形態では、滅菌器は、ロック解除状態でSクラスおよびBクラス滅菌クラスの両方を備えてもよく、Bクラス滅菌を行うために滅菌器をロック解除する必要はない。そのような実施形態では、ユーザは、
図5bに概略的に示されるように、Sクラス滅菌サイクル(76a)またはBクラス滅菌サイクル(76b)のいずれかを選択することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、ロックされた滅菌クラスは一度オープンされてもよく、その後、オープンされ続ける場合がある。1つの実施形態では、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクル(76b)は再ロック可能(relockable)であってもよい。非限定的な1つの例では、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクル(76b)のロック解除は、特定の持続時間であってその後にBクラス滅菌サイクル(76b)が再ロックしてもよい。代替的に、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクル(76b)は遠隔でロックされ得る。このような再ロック可能な滅菌器は、Bクラス滅菌サイクルを使用するためのサブスクリプション支払いスキームに適している場合がある。1つの実施形態では、少なくとも1つのBクラス滅菌サイクルは、ロック解除されると、利用不能になる場合がある。Bクラス滅菌が利用不能なことは、Sクラス滅菌メニューの選択などでもあるが、これに限定されない、滅菌サイクルメニューでの選択の結果であってもよい。
【0054】
コントローラー(60)は、滅菌装置の滅菌サイクルを制御するための手段を含む場合がある。コントローラーは、チャンバー提供される温度の制御のために加熱制御部(80)を含んでもよい。装置は、温度を測定するための少なくとも1つの温度計(82)を含んでもよい。コントローラーは、蒸気の生成を制御するための制御部(84)を含んでもよい。コントローラーは、インキュベーションチャンバーに提供される蒸気のパルス化(86)を制御するための手段を含んでもよい。コントローラーは、ポンプ制御(27)を制御することによって、蒸気のパルス化を制御するために水ポンプを制御し得る。コントローラーは、圧力(88)を制御するための手段を含んでもよい。コントローラーは、圧力計測装置(90)を含んでもよい。コントローラーは、滅菌サイクルの時間を制御するための手段(92)を含んでもよい。コントローラーは、インキュベーションチャンバーに蒸気を入れるための蒸気入口(94)を開閉するための手段を含んでもよい。コントローラーは、真空ポンプ(96)などの真空システムの操作およびパラメータを制御するための手段を含んでもよい。コントローラーは、滅菌チャンバーの蒸気および空気の出口を開閉するための手段を含んでもよい。
【0055】
滅菌器は、滅菌装置(10)とその構成要素に電力を供給するために電源(100)および電気接続を含み得る。電源(100)は、電力を供給する任意の適切な電源であってもよい。滅菌器は安全バルブ(102)を含む場合がある。
【0056】
滅菌器は、クラスS滅菌条件に適した材料およびクラスB滅菌条件に適した材料から構築される場合がある。
【0057】
1つの非限定的な実施形態では、本発明の滅菌器は、滅菌サイクルの3つのクラス、クラスN、クラスSおよびクラスBを提供するように構成され得る。そのような実施形態では、3クラス滅菌器は4つの状態を有し得る。第1状態では、クラスNの滅菌サイクルはユーザに利用可能であってもよい。クラスSおよびクラスBの滅菌サイクルは、適切なキーでオープンすることができるロックなど、クラスBについて本明細書で記載される任意の適切な方法でロックされてもよい。1つの非限定的な例では、異なるキーは、ロックされた各々のクラスをロック解除する場合がある。第2状態では、クラスS滅菌サイクルがロック解除され、クラスNおよびクラスSのロック解除された利用可能な滅菌サイクルがユーザに提供される。第3状態では、クラスSおよびクラスB滅菌サイクルのロックを解除し、クラスN、クラスS、およびクラスBのロック解除された利用可能な滅菌サイクルがユーザに提供され得る。第4状態では、クラスB滅菌サイクルをロック解除し、クラスNおよびクラスBのロック解除された利用可能な滅菌サイクルがユーザに提供され得る。1つの非限定的な実施形態では、3クラス滅菌器は、クラスN、クラスS、およびクラスB滅菌サイクルを備えられ得、これらは、ユーザが所望の滅菌クラスを選択する際に利用可能である。
【0058】
3クラス滅菌器は、本明細書中上記に記載される2クラスSおよびB滅菌器(10)と実質的に同じ構成要素を特徴とする場合がある。繰り返しを避けるために、クラスSおよびクラスBの滅菌を提供する滅菌器(10)の構成要素については再度記載しない。3クラス滅菌器では、クラスN滅菌は、蒸気を使用した空気の重力置換によって行われ得る。
図1を参照すると、滅菌チャンバー(12)に蒸気(20)を提供するための手段(18)は、前述の2クラスSおよびB滅菌器で利用可能であり、クラスN滅菌条件を促進する受動的な空気除去のために滅菌チャンバーに蒸気を提供することができる。第1状態では、滅菌装置は、クラスN滅菌のために受動的な空気除去のみを提供するように構成され、クラスSおよびクラスBを提供するための条件および構成要素は起動されない。それらは、ロックすることもできるし、そのクラスを選択して、滅菌サイクルの選択したクラスに関連する条件のロック解除または有効化など、装置の再構成を行った場合にのみ、オープンにして使用可能にすることもできる。クラスS滅菌サイクルのロック解除は、上記に記載されるようにクラスS滅菌用のパラメータで構成された真空ポンプなどの蒸気パルス化または真空システムによる滅菌装置の空気除去をオープンし、利用できるようにすることを特徴とする場合がある。クラスB滅菌サイクルのロック解除は、上記に記載されるようにクラスB滅菌用のパラメータで構成された真空ポンプなどの蒸気パルス化または真空システムによる滅菌装置の空気除去をオープンし、利用できるようにすることを特徴とする場合がある。滅菌器は、クラスN滅菌条件、クラスS滅菌条件、およびクラスB滅菌条件に適した材料から構築され得る。
【0059】
本発明の滅菌器は、様々な滅菌用途に適し得る。非限定的な例は、診療所およびあらゆる種類の歯科医院で使用される器具の滅菌を含む。
【0060】
滅菌システム
【0061】
本発明は、
図6aで概略的に示されるような滅菌システムを提供する。システムは、本明細書中上記に
図1~4に記載されるような滅菌装置(10)を特徴とする。この装置は、クラスS滅菌およびクラスB滅菌を行うように構成された装置であってもよく、第1状態では、クラスB滅菌サイクルはロックされ、利用不能である。滅菌システムは、滅菌器(10)の少なくとも1つのクラスB滅菌サイクルをロック解除するためのキー(110)を含む。1つの非限定的な例では、キー(110)はコードであってもよい。コードは、滅菌器キーボード(64)を使用してユーザによって、または任意の適切な方法によって入力され得る。コードは、クラスB滅菌サイクルをオープンするためのソフトウェアコマンドを含む場合がある。1つの非限定的な例では、コードは、クラスS滅菌サイクルをロックするためのソフトウェアコマンドを含む場合がある。代替的な非限定的な実施形態では、キーは物理的なキーであってもよい。滅菌装置でキーを使用すると、必要な開口部の滅菌チャンバーへの物理的な接続、またはクラスB殺菌に十分な能動的な空気除去のための手段の作動が促進され得る。物理的なキーはまた、クラスS滅菌に十分な能動的な空気除去の手段を滅菌チャンバーから切断し得る。
図6bは、クラスB滅菌を行うための真空ポンプなどであるがこれに限定されない真空システムを含む、本発明の滅菌器の非限定的な例を概略的に示す。真空ポンプ(48)などの真空システムは、少なくとも1つのバルブ(112)を含み得、バルブ(112)は閉じられた状態で提供され、真空ポンプなどの真空システムによる滅菌チャンバーの空気除去を防止するように構成され得る。真空ポンプなどの真空システムは、空気排出の制御を提供するために少なくとも1つの追加バルブ(50)に接続され得る。キー(110)を使用して滅菌器を適合(116)させると、真空ポンプなどの真空システムのバルブ(112)が開き、クラスB滅菌を行うために滅菌チャンバーからの十分な空気除去、およびバルブ(50)による制御を可能にする。1つの実施形態では、キーは、その滅菌クラスの選択時に滅菌の目標クラスを提供するために十分な空気除去のために、滅菌チャンバーへの空気除去システムのブロックされていないアクセスを促進するために、任意の適切な入口または出口の開閉をさせ得る。代替的な実施形態では、
図6cで概略的に示されるように、滅菌器は、クラスB滅菌を行うために構成された真空ポンプ(48)などの真空システムを含み得、ここで、真空ポンプなどの真空システムは、
図6bについて記載される少なくとも1つのバルブ(112)を含まない。滅菌器は、コード(110)の使用によってクラスB滅菌サイクルをブロック解除するために適合され得る。コード(110)は、クラスB滅菌を行うために真空ポンプなどの真空システムによる十分な空気除去のために適切な連続、順序、およびパラメータのコマンドを提供することによって、クラスB滅菌サイクルの使用を促進し得る。
図6dに概略的に示される1つの実施形態では、滅菌器は、クラスSおよびクラスB滅菌の両方を行うように構成され得る蒸気パルサー(46)を含んでもよい。ブロックされたクラスB滅菌サイクルを備えた滅菌器は、コード(110)を使用することによってクラスB滅菌を促進するように適合(116)させることができ、このコードはクラスB滅菌を行うための十分な空気除去のために適切な連続、順序、およびパラメータの蒸気パルサー(46)へのコマンドを含むコマンドを提供する。いくつかの実施形態では、
図6eを概略的に示されるように、ブロックされたクラスB滅菌サイクルを備えた滅菌器は、クラスSおよびクラスB滅菌の両方を行うために、真空ポンプ(48)などの真空システムおよび蒸気パルサー(46)の両方を含み得る。滅菌器は、クラスB滅菌を促進するコマンドを提供するコード(110)を使用することによって、クラスB滅菌サイクルをブロック解除するように適合(116)され得る。コマンドは、蒸気パルサー、およびクラスB滅菌を行うために十分な空気除去のための適切な連続、順序、およびパラメータの真空ポンプなどの真空システムの少なくとも1つなどの関連する空気除去システムへのコマンドを含み得る。
【0062】
1つの非限定的な実施形態では、システムは、クラスN、クラスS、およびクラスB滅菌を行うために構成された滅菌装置を含み得、ここで、クラスSおよびクラスB滅菌サイクルの少なくとも1つがロックされる。システムは、クラスS滅菌サイクルをロック解除するための第1のキーおよびクラスB滅菌サイクルをロック解除するための第2のキーの2つのキー(110)を含み得る。クラスB滅菌サイクルをロック解除するためのキーは、クラスSおよびクラスB滅菌器でクラスB滅菌サイクルをロック解除するためのキーについて記載されるように機能し得る。クラスS滅菌サイクルをロック解除するためのキーを使用すると、任意の必要な開口部の滅菌チャンバーへの物理的な接続および/もしくはコマンド、またはクラスS殺菌のために十分な能動的な空気除去のための手段もしくは条件の起動が促進され得る。
【0063】
滅菌器をBクラス滅菌器に切り替える方法
【0064】
本発明は、本発明の切り替え可変なクラスS滅菌器をクラスB滅菌器に切り替える方法を提供する。
図7は、本発明の態様に係る、例示的な切り替え可能なクラスS滅菌器をクラスB滅菌器に切り替える例示的な方法のフローチャートを示す。本方法は、本発明のクラスS滅菌器(200)を提供する工程を特徴とし、この滅菌器は、クラスB滅菌を提供する滅菌器にアップグレード可能である。滅菌器は、ロックされ、そのクラスBロック状態ではユーザがクラスB滅菌に使用できない少なくとも1つのクラスB滅菌サイクルプログラムを含む。ユーザは、アップグレード可能なクラスS滅菌器をこのクラスBロック状態でクラスS滅菌サイクルのみに使用できる。この方法は、少なくとも1つのクラスBプログラム(202)をロック解除するためのキーを得るユーザを含む。キーは、滅菌器の製造業者などであるがこれに限定されない適切な供給元から購入することによって入手することができる。キーは、コードを含み得る任意の適切なキーであってもよい。この方法は、滅菌器装置(204)にコードを入力するユーザを特徴とする。入力は、滅菌器のキーボードを使用してコードを入力するなどであるがこれに限定されない適切な方法で行うことができる。コードは、クラスB滅菌サイクルをロック解除するためのソフトウェアコマンドによるなどの任意の適切な方法で機能し得る。ロック解除は、本明細書中上記に記載されるように、クラスB滅菌サイクルプログラムの起動、およびクラスB滅菌の条件を滅菌チャンバー(206)に提供するための手段の物理的接続の少なくとも1つを含み得る。クラスB滅菌サイクルがロック解除されると、滅菌器はクラスB滅菌を行うように構成され、ユーザはクラスB滅菌サイクルを実行できる。
【0065】
図8は、Nクラス滅菌を提供する例示的な滅菌器を、Bクラス滅菌を行う滅菌器に切り替える例示的方法のフローチャートを概略的に示す。本方法は、本発明のクラスN滅菌器(210)を提供することを特徴とし、この滅菌器は、クラスB滅菌を提供する滅菌器にアップグレード可能である。滅菌器は、ロックされ、そのクラスBロック状態ではユーザはクラスB滅菌に使用できない少なくとも1つのクラスB滅菌サイクルプログラムを含む。ユーザは、アップグレード可能なクラスN滅菌器を、このクラスBロック状態でクラスN滅菌サイクルのみのために使用できる。この方法は、少なくとも1つのクラスBプログラム(212)をロック解除するためのキーを得るユーザを含む。キーがコードである実施形態では、この方法は、コードが滅菌器(214)に入力されることを特徴とする。コードの入力は任意の適切な方法によって行われ得る。コードを入力すると、少なくとも1つのクラスB滅菌プログラムをロック解除することを容易にし、その結果、これはユーザ(216)によって使用できるようになる。
【0066】
滅菌の方法
【0067】
本発明は、
図9のフローチャートに概略的に示されるように、少なくとも1つのアイテムを滅菌する方法を提供する。本方法は、本発明の滅菌器を提供することを含み、この滅菌器は、ユーザによる使用には利用可能なクラスS滅菌サイクルを提供し、かつ滅菌器は、ロックされユーザによる使用には利用不能な少なくとも1つのクラスB滅菌サイクル(220)を含む。この方法は、滅菌器(222)において滅菌される少なくとも1つのアイテムを挿入するユーザを含む。滅菌される少なくとも1つのアイテムは、クラスS滅菌サイクルによる滅菌に適していると指定されたアイテムである。ユーザはクラスS滅菌プログラム(224)を選択する。滅菌サイクル(226)を実行し、滅菌器は滅菌チャンバーにクラスS滅菌条件(228)を提供するように動作する。クラスS滅菌サイクルは少なくとも1つのアイテム(230)を滅菌する。工程の順序は、限定的であることを意味することなく、任意の適切な順序を使用してもよい。
【0068】
代替的な実施形態では、本発明は、
図10のフローチャートで概略的に示されるように、少なくとも1つのアイテムを滅菌する方法を提供する。本方法は、本発明の滅菌器を提供する工程を含み、この滅菌器は、ユーザによる使用には利用可能なクラスS滅菌サイクルを提供し、かつ滅菌器は、ロックされてユーザによる使用には利用不能な少なくとも1つのクラスB滅菌サイクル(250)を含む。ユーザは、本明細書中上記および
図7で記載されるように、クラスB滅菌を可能にするために、本発明の滅菌器(252)をロック解除することができる。ロック解除は、コードを滅菌器(254)に入力することによって達成することができ、これは滅菌器キーボードを使用して行ってもよい。ユーザは、滅菌チャンバー(256)に滅菌される少なくとも1つのアイテムを挿入する場合がある。少なくとも1つのアイテムは、クラスS滅菌サイクルがそのアイテムの滅菌のために十分であるとして推奨されなかったアイテムであり得、クラスB滅菌がそのアイテムの滅菌のために必要とされ得る。ユーザはプログラムオプション(258)からクラスB滅菌サイクルを選択する。ユーザはクラスB滅菌プログラム(260)を実行する。滅菌器は、インキュベーションチャンバーにクラスB滅菌条件を提供し、少なくとも1つのアイテムがこれらの条件(262)下で滅菌される。工程の順序は、限定的であることを意味することなく、任意の適切な順序を使用してもよい。
【0069】
さらなる実施形態では、本発明は、
図11のフローチャートに概略的に示されるように、少なくとも1つのアイテムを滅菌する方法を提供する。この方法は、本発明の滅菌器を提供する工程を含み、この滅菌器は、ユーザによる使用には利用可能な少なくとも1つのクラスS滅菌サイクルを提供し、かつ滅菌器は、ユーザによる使用には利用可能な少なくとも1つのクラスB滅菌サイクル(280)を提供する。この方法は、滅菌器において滅菌される少なくとも1つのアイテム(282)を挿入するユーザを含む。ユーザはクラスSまたはクラスB滅菌サイクル(284)を選択する。選択は、滅菌されるアイテムおよび、そのアイテムの滅菌のために必要な滅菌のクラスに依存し得る。非限定的な実施例では、滅菌装置は、どの滅菌のクラスが必要かを自動的に選択する場合がある。ユーザは、滅菌サイクル(286)を実行し、滅菌器は選択されたクラスの滅菌(288)の滅菌条件をインキュベーションチャンバーに提供するように動作する。選択された滅菌クラスは、少なくとも1つのアイテム(290)を滅菌する。工程の順序は、限定的であることを意味することなく、任意の適切な順序を使用してもよい。
【0070】
ここで以下の実施例に対する言及が行われ、これらは、上記の記載と一緒に、限定しない方法で本発明を例示する。
【0071】
実施例1
【0072】
歯科医は、Sクラス滅菌を提供しかつBクラス滅菌を提供するようにアップグレード可能な本発明の滅菌器を購入する。彼女は、Sクラス滅菌に適していると指定された歯科用機器を滅菌するために、滅菌器の標準モードを使用する。この歯科医は診療を拡大し、彼女の同僚の一部の機器はSクラス滅菌では滅菌できない。彼女はBクラス滅菌器を買いたくない。代わりに、この歯科医は、本発明のSクラス滅菌器を、Bクラス滅菌を提供できる滅菌器に切り替えるためのコードを購入する。彼女がコードを入力すると、Bクラス滅菌プログラムはロック解除され、使用には利用可能になる。彼女は滅菌器をアップグレードし、彼女のクリニックのすべての機器を十分なほどに滅菌できるようになる。
【0073】
当業者は、前述の説明から、本発明の態様の広範なシステム、装置、および技法をさまざまな形で実施できることを理解できる。したがって、本発明の態様はその特定の例に関連して説明されてきたが、本発明の態様の真の範囲はそのように限定されるべきではなく、なぜなら、当業者にとって、本明細書および以下の特許請求の範囲を検討する際に他の改変が明白になるからである。
【国際調査報告】