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特表2023-511840ウエッジプレート放射状導波路を用いた放射給電セグメンテーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ウエッジプレート放射状導波路を用いた放射給電セグメンテーション
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/24 20060101AFI20230315BHJP
   H01Q 13/28 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H01Q3/24
H01Q13/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539748
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020066238
(87)【国際公開番号】W WO2021138095
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/955,079
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/124,061
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アイランダー クリス
(72)【発明者】
【氏名】アイランダー ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB05
5J021AB06
5J021DB04
5J021GA02
5J045AA26
5J045DA03
5J045DA10
5J045HA01
(57)【要約】
給電セグメンテーションによるウエッジプレートベースの導波路を有するアンテナ、及びこのアンテナを用いる方法が開示される。1つの実施形態では、アンテナは、無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、を有するアパーチャを含み、サブアパーチャの各々は、1つのウエッジプレートとアレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットとを含み、複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために前記各ウエッジプレートを介した伝播のための給電波を提供する給電ポイントを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アパーチャを備えるアンテナであって、
前記アパーチャは、
無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、を有し、各サブアパーチャは、1つのウエッジプレートと、前記アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットと、を含み、前記複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、前記アレイにおける前記RF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために前記各ウエッジプレートを介した伝播のための給電波を提供する給電ポイントを有する、
アンテナ。
【請求項2】
隣接するサブアパーチャの隣接するサイド間に境界構造を更に備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記境界構造は完全導体(PEC)境界である、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記複数のサブアパーチャは、前記アパーチャを円筒形状又は矩形状に形成するように結合される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記複数のウエッジプレートの給電ポイントは、前記円筒形状のアパーチャに対して中心に位置する、請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記アパーチャは、表面散乱アンテナ素子を備えるメタサーフェスを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記アパーチャは、複数のビームを同時に生成するように動作可能であり、前記ビームの少なくとも2つは前記複数のウエッジプレートの少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記複数のビームのどれで信号が受信されるかを決定するために空間識別を実行する処理回路を更に備える、請求項7に記載のアンテナ。
【請求項9】
複数のRFチェーン及び複数のポートを更に備え、前記複数のRFチェーンの1つのRFチェーンは、前記複数のポートの1つのポートに結合され、各ポートは、前記複数のサブアパーチャの1つのサブアパーチャに関連付けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記複数のサブアパーチャは、前記複数のウエッジプレートを介した給電波伝播を少なくとも一部協働することによって、互いにコヒーレントに動作される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
各サブアパーチャは、方向性カプラを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複数のウエッジプレートの少なくとも1つのウエッジプレートには、前記複数のウエッジプレートの別のウエッジプレートに給電される第2の給電波に対して時間遅延された第1の給電波が給電される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記複数のウエッジプレートのウエッジプレートは互いに同一である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項14】
アパーチャを備えるアンテナであって、
前記アパーチャは、
無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、
複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路であって、前記複数のサブアパーチャは、円筒形状のアパーチャを形成するように結合され、各サブアパーチャは、1つのウエッジプレートと、前記アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットと、を含み、前記複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、前記アレイにおける前記RF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために給電波を提供する給電ポイントを有し、更に前記複数のウエッジの給電ポイントは、中心に位置する給電ポイントから外向きに放射状に前記給電波を伝播するように前記円筒形状アパーチャに対して中心に位置する、セグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、
隣接するサブアパーチャの隣接するサイド間の境界構造と、を有する、
アンテナ。
【請求項15】
前記境界構造は完全導体(PEC)境界である、請求項14に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記アパーチャは、表面散乱アンテナ素子を備えるメタサーフェスを含む、請求項14に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記アパーチャは、複数のビームを同時に生成するように動作可能であり、前記ビームの少なくとも2つは前記複数のウエッジプレートの少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成され、前記複数のビームのどれで信号が受信されるかを決定するために空間識別を実行する処理回路を更に備える、請求項14に記載のアンテナ。
【請求項18】
複数のRFチェーン及び複数のポートを更に備え、前記複数のRFチェーンの1つのRFチェーンは、前記複数のポートの1つのポートに結合され、各ポートは、前記複数のサブアパーチャの1つのサブアパーチャに関連付けられる、請求項14に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記複数のサブアパーチャは、前記複数のウエッジプレートを介した給電波伝播を少なくとも一部協働することによって、互いにコヒーレントに動作される、請求項14に記載のアンテナ。
【請求項20】
アパーチャを備えるアンテナであって、
前記アパーチャは、
表面散乱アンテナ素子を備えるメタサーフェスと、
複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路であって、各サブアパーチャは、1つのウエッジプレートと、表面散乱アンテナ素子の別個のサブセットとを含み、前記複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、前記表面散乱アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために外向きに放射状に伝播する給電波を提供する、前記アパーチャに対して中心に位置する給電ポイントを有し、前記アパーチャは、複数のビームを同時に生成するように動作可能であり、前記ビームの少なくとも2つは前記複数のウエッジプレートの少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成される、セグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、
隣接するサブアパーチャの隣接するサイド間の境界構造と、を有し、
前記アンテナは、
前記複数のビームのどれで信号が受信されるのかを決定するために空間識別を実行する処理回路を備える、
アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2019年12月30日に出願された米国仮特許出願第62/955,079号明細書及び2020年12月16日に出願された米国仮出願第17/124,061号明細書の本出願であり、これらの利益を主張し、これらは引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、無線通信に関し、詳細には、本発明の実施形態は、ウエッジプレートベースの導波路を有するアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
タイリング又はセグメンテーションは、フェーズドアレイアンテナ及び静的アレイアンテナの製作に関連する問題の低減を助けるための、このようなアンテナの製作に共通する方法である。大型のアンテナアレイを製作する時には、大型アンテナアレイは通常、同一セグメントであるLRU(列線交換ユニット)にセグメント化される。アパーチャタイリング又はセグメンテーションは、大型アンテナ、特にフェーズドアレイなどの複雑なシステムにおいて極めて一般的である。
【0004】
セグメンテーションは、円筒状給電アンテナのタイリング手法を提供するために見出された。例えば、2016年3月3日に出願され、2018年2月6日に公布された「円筒状給電アンテナのアパーチャセグメンテーション(Aperture segmentation of a cylindrical feed antenna)」という名称の米国特許第9,887,455号を参照されたい。
【0005】
一部の現行のアンテナは、多重ビーム(例えば、ビーム1及びビーム2)をフォーミングすることができるが、どのビームで信号が受信されたかを決定することの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/955,079号明細書
【特許文献2】米国非仮出願第17/124,061号明細書
【特許文献3】米国特許第9,887,455号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
給電セグメンテオーションを用いたウエッジプレートベースの導波路(wedge plate-based waveguide)を有するアンテナ、並びにこのアンテナを用いた方法が開示される。1つの実施形態では、アンテナは、無線周波数(RF)放射アンテナ素子(radiating antenna elements)のアレイと、複数のサブアパーチャ(sub-apertures)を形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路(segmented wedge plate radial waveguide)と、を有するアパーチャを備え、各サブアパーチャが、1つのウエッジプレートと、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセット(distinct subset)とを含み、複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートが、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のため各ウエッジプレートを介して伝播する給電波を提供する給電ポイント(feed point)を有する。
【0008】
記載される実施形態及びその利点は、添付図面と共に用いられる以下の説明を参照することにより最も良く理解することができる。これらの図面は、記載された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して当業者が行い得る形態及び詳細の何らかの変更を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ウエッジプレートを用いたアンテナアパーチャのタイリングの実施例を示す図である。
図2】ウエッジプレートを用いたアンテナアパーチャのタイリングの実施例を示す図である。
図3】1つの90°ウエッジプレート放射ガイドの1つの実施形態を示す図である。
図4A】各々が90°ウエッジプレート放射ガイドである、90°セグメント/サブアパーチャによって構成されたアンテナアパーチャの1つの実施形態を示す図である。
図4B】円筒状中心給電方向性カプラの1つの実施例を示す図である。
図4C】セグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラの1つの実施形態を示す図である。
図4D】矩形ウエッジプレート導波路の1つの実施形態を示す図である。
図4E】三角形ウエッジプレート導波路の1つの実施形態を示す図である。
図5】方向性カプラの設計プロセスの1つの実施形態を示す流れ図である。
図6】各サブアパーチャが固有の無線周波数(RF)チェーンを有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
図7A】円筒状給電アンテナの入力給電の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアパーチャを示す図である。
図7B】グランドプレーン及び再構成可能共振器層を含むアンテナ素子の1つの行を示す斜視図である。
図8A】可変波長共振器/スロットの1つの実施形態を示す図である。
図8B】物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態を示す断面図である。
図9A】スロットアレイを生成するための様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図9B】スロットアレイを生成するための様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図9C】スロットアレイを生成するための様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図9D】スロットアレイを生成するための様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図10】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態を示す側面図である。
図11】外向き波を有するアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
図12】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
図13】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
図14】同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、アンテナの実施形態、このようなアンテナを含む通信システム、及びこのようなアンテナを用いる方法が記載される。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本明細書に記載される技術は、特定の詳細の1又は2以上が無くても、又は他の方法、構成要素、材料、その他などと共に実施できることは、当業者であれば理解するであろう。他の事例では、公知の構造、材料、又は作動が、特定の態様を曖昧にしないために詳細には図示又は記載されていない。
【0011】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、この実施形態に関して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、この明細書を通して様々な箇所での「1つの実施形態では」又は「ある実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではない。更にまた、特定の特徴、構造、又は特性は、1又は2以上の実施形態において何れかの適切な方式で組み合わせることができる。
【0012】
1つの実施形態では、アンテナは、ウエッジプレートを用いてセグメント又はサブアパーチャに分割されたアパーチャを有する。1つの実施形態では、ウエッジプレートは、TE10ウエッジプレートである。他のウエッジプレートも用いることができる。1つの実施形態では、アンテナは、無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイを有する。1つの実施形態では、RF放射アンテナ素子は、表面散乱アンテナ素子(surface scattering antenna elements)であり、メタサーフェス(metasurface)の一部である。このようなアレイ及びRF放射アンテナ素子の例を、以下に詳細に記述する。
【0013】
1つの実施形態では、アンテナは、円筒状アパーチャを形成するために互いに結合される複数のサブアパーチャにセグメント化されたアパーチャを有し、各サブアパーチャは、対応するウエッジプレートを有する。全体として、サブアパーチャのウエッジプレートは、セグメント化ウエッジプレート放射状導波路として作動し、各サブアパーチャは、アンテナ素子のアレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットに給電波を提供するための1つのウエッジプレートを含む。1つの実施形態では、各ウエッジプレートは、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために伝播する(ウエッジプレートを介して)給電波を提供するための給電ポイントを有する。1つの実施形態では、ウエッジプレートの給電ポイントは、円筒形状のアパーチャに対して中心に位置する(located centrally)。この場合、アンテナの給電はセグメント化給電を含む。1つの実施形態では、セグメント化給電が、単一給電としてアンテナに現れる。
【0014】
1つの実施形態では、セグメント化円筒状アンテナは、例えば複数のビームを同時に生成する(例えば、異なる方向に同時に指向するウエッジ)などの追加のビームポインティング機能を提供する。1つの実施形態では、円筒状アンテナ及びTE10ウエッジプレート導波路の両方についての表面電流の空間特性は、90度回転だけ異なる。これは、m=0,n=0の半径モード及びn=1,p=1のウエッジプレートモードに対して当てはまる。放射状導波路において、磁界は、phiに沿って表面に対して接線方向であるが、他方、ウエッジプレートにおいて、磁界は表面に対して接線方向にあるが、rhoに沿って整列されている。2つのモードの類似性は、放射状導波路及びウエッジプレート導波路についての以下の2つの式で示すことができる。
(放射状導波路):
【数1】
【数2】
正常モードTM0(n=0)で動作。

(ウエッジプレート導波路):
【数3】
・Hzが同様に存在するが、コンダクタ表面にて消失
・正常モード動作(n=1)
両方のモードの大きさが同じハンケル関数を利用し、表面電流ベクトルが、素子配置に対して直交性を維持するので、これは、ウエッジプレートセグメント化給電を別々にコヒーレントに用いることを可能にする。コヒーレント動作は、円筒状アンテナの同一ビームポインティング特性を結果として生じることができる。この場合、以下に記載されるものを含む複数の基板(例えば、1又は両方のパッチ基板及びアイリス基板のガラス層)及びビームフォーミングを備えた特定のアンテナ実施構成は、以下に記載するものと同様に作用することができるが、追加のマルチビーム機能が追加される。
【0015】
1つの実施形態では、複数のウエッジプレートが、円筒状アンテナがマルチビーム能力を追加するのに用いられる。すなわち、アンテナアパーチャは、複数のビームを同時に生成するように動作する。このような場合、ビームの少なくとも2つが、少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成される。1つの実施形態では、ウエッジプレートの各々が給電ポイントを有する。複数の給電ポイントが存在するので、サブアパーチャからの受信信号を命令することができ、空間的に区別することができる。
【0016】
1つの実施形態では、複数のウエッジプレートの使用が、熱膨張係数(CTE)の低減をもたらす。これは、アパーチャの最大寸法がここで2の因数によって分割されることに起因する。
【0017】
セグメント化円筒状アンテナ設計が、本明細書で論じられるが、ウエッジプレート放射ガイドを、タイリングのための独立構造として用いることができる点に留意されたい。このようなタイリングの実施例が、図1及び2に示されている。1つの実施形態では、等辺三角形状を有するウエッジプレートが、タイリングには最も理想的であるとされる。1つの実施形態では、ウエッジプレートは、互いにサイズ及び形状が同一である。図1を参照すると、例えばウエッジプレート101及び102などのウエッジプレートは、タイル様で(tile like manner)位置付けられて互いに隣接して配置されている(エリア100だけが部分的に示されている)。この場合、ウエッジプレートの1つの行のウエッジプレートは、このウエッジプレートの反対の向きに位置付けられた1又は2以上の接合ウエッジプレートを有する。
【0018】
図2は、ウエッジプレートを備えた複数のタイルを含むアンテナアパーチャの別の例を示す。図2を参照すると、アンテナ200は、図示されたウエッジプレート201-206を備えたアパーチャを含む。1つの実施形態では、ウエッジプレート201-206の各々は、異なる周波数帯域(例えば、Ka帯域、Ku帯域、他の帯域(図2のQ、V、Xとして表される)の使用に対して専用である。1つの実施形態では、アパーチャの2又は3以上のタイルは、同じ帯域に用いることができる(例えば、帯域Xに対してウエッジプレート202及び203)。
【0019】
タイリング構造の構築は、増加する製品スケーラビリティを可能にする点に留意されたい。
【0020】
1つの実施形態では、潜在的に同じガラスピースを用いるマッシブマルチ帯域アンテナは、ウエッジプレートを用いて構築することができる。
【0021】
本明細書に記載される構成は、従来技術のホログラフィックアンテナとは異なる点に留意されたい。従来技術では、線形アレイ又は放射アレイが、ホログラフィックアンテナに用いられる。線形アレイは、タイルされるが、周期的構造からコヒーレントに形成される非線形性からの高離散的サイドローブを生じやすい可能性がある。本明細書に記載される円筒状導波路におけるモードは、すぐれたサイドローブ性能を結果として生じる非線形性を展開する。ウエッジプレート放射状導波路は、円筒状導波路と類似の放射状対称モード構造を有し、これは、同じサイドローブ特性を生じることになる。すなわち、電波はアパーチャの中心から外に向かって放射状に伝播する。
【0022】
図3は、1つの90°ウエッジプレート放射ガイド上の表面電流分布の大きさを示す。1つの実施形態では、4つのこのような90°ウエッジプレート放射ガイド401-404が、互いに組み合わされて結合され、例えば図4Aに示されたアンテナアパーチャのようなアンテナアパーチャを生成する。図3を参照すると、ウエッジプレート放射ガイド300は、給電ポイント301を含む。図4Aは、大きなアパーチャを生成するために放射ガイド300からの4つのウエッジプレートのフィッティングを示す。図4Aを参照すると、90°ウエッジプレート放射ガイド401-404を有するアンテナアパーチャが示されている。1つの実施形態では、90°ウエッジプレート放射ガイド401-404の各々は、アパーチャの中心に位置付けられた給電ポイントを有し、4つの給電ポイントが存在するようになる。
【0023】
1つの実施形態では、アンテナは、サブアパーチャの各々の間の境界構造を含む。1つの実施形態では、境界構造は、隣接するサブアパーチャの隣接するサイド(adjacent sides)間にある。1つの実施形態では、90°ウエッジプレート放射ガイドの縁部上に境界構造410がある。境界構造410は、給電波伝播がウエッジプレート放射ガイドの1つから出て隣接するウエッジプレート放射ガイドに入るか又はこれと干渉するのを回避するよう動作する。1つの実施形態では、境界構造410は、縁部上に金属完全導体(PEC)境界又は他の金属(例えば、アルミニウムなど)境界構造を含む。
【0024】
1つの実施形態では、各サブアパーチャは、方向性カプラ(directional coupler)を含む。図4Bは、中心給電アンテナアパーチャのための円筒状中心給電方向性カプラの例を示す。対照的に、図4Cは、セグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラの1つの実施形態を示す。
【0025】
1つの実施形態では、矩形(図4D)又は三角形(図4E)を含むウエッジプレート導波路は、干渉ウエッジプレートとして境界なしの複数のサイドから給電される。例えば、図4Dの矩形ウエッジプレート導波路は、給電ポイント441-444を有するように示されているが、図4Eの三角形ウエッジプレート導波路は、給電ポイント451-453を有するように示されている。直交モードをサポートする干渉ウエッジプレートは、アドバンスドビームフォーミング技術において用いられ、複数のビームをサポートするか又は瞬時帯域幅を増加させることができる。
【0026】
図4Cを参照すると、セグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラは、RF放射アンテナ素子(例えば、表面散乱アンテナ素子)を包含するRFアレイ構造411、RFアレイ構造411の下方の上部ガイド412、上部ガイド412の真下のカプラ413、カプラ413の真下の下部ガイド414、ウエッジプレートにおける底部導波路415及び吸収材416を含む。セグメント化ウエッジプレート放射ガイドの間の境界構造が、1つのセグメント化ウエッジプレート放射ガイドのRFエネルギーが隣接するセグメント化ウエッジプレート放射ガイドに伝播して更にこれに干渉するのを回避するので、図4Bの右側の吸収材がない点に留意されたい。
【0027】
作動時には、給電波は、底部導波路415(図示せず)の右側からセグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラに給電され、吸収材416に向けて伝播する。伝播の間、給電波は、カプラ413を介して下部ガイド414に伝播し、これが給電波を上部ガイド412に結合し、RFアレイ構造411の一部であるアンテナ素子と相互作用する。1つの実施形態では、RFアレイ構造411は、以下に記載されるように液晶又は別の誘電体層を間に備えたパッチ及びアイリスを有する基板(例えば、ガラス基板)のペアを含む。1つの実施形態では、給電波とアンテナ素子との間の相互作用が、以下に詳細に記載されるように当該技術において公知であるように、ビームのフォーメーションを結果として生じる。給電波の何れかの残りのRFエネルギーも吸収材416によって吸収される。
【0028】
図5は、セグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラを設計するプロセスの1つの実施形態の流れ図を示す。図5を参照すると、このプロセスは、セグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラの低周波数及び高周波数を定義することから始まる(501)。次に、低及び高周波数に基づいて、ガイド材料及びガイドの高さが選択される(502)。ガイド材料の選択は、1.5から3.0の誘電率又は誘電定数を有する材料の使用を含むことができる。ガイドの高さの変化は、これとは異なる誘電率又は誘電定数を有する材料の選択を生じる可能性がある。低及び高周波数及び選択されたガイド材料及び高さに基づいて、所望の帯域幅に適合するかどうかを決定するために、この設計がチェックされる(503)。適合する場合、下部ガイド及び上部ガイドの結合が決定される(504)。この情報によって、方向性カプラが設計される(505)。
【0029】
1つの実施形態では、サブアパーチャ又はセグメント化ウエッジプレート放射ガイド中心給電方向性カプラの各々は、固有のRFチェーンを有する。従って、このような場合、アンテナは、複数のRFチェーン及び複数のポートを含み、複数のRFチェーンの1つのRFチェーンが、複数のポートの1つのポートに結合され、各ポートは、複数のサブアパーチャの1つのサブアパーチャに関連付けられる。1つの実施形態では、各セグメントは、固有の送信RFチェーン及び受信RFチェーンを有する。図6は実施例を示す。1つの実施形態では、RFチェーンは、各アンテナサブアパーチャのためのコントローラを備えて図14に関して図示し記載されたのと同じとすることができる。
【0030】
上記で論じたように、サブアパーチャは、互いにコヒーレントに動作し、各々が、固有のビームを生成する。1つの実施形態では、これらサブアパーチャは、ウエッジプレート放射ガイドを介した給電波伝播を少なくとも一部協働する(coordinating)ことによって互いに動作する。
【0031】
現行のアンテナでは、複数のビーム(例えば、ビーム1及びビーム2)がフォーミングできるが、信号が受信された時に、特定のビームを用いて受信された(例えば、ビーム1又はビーム2を介して受信された)かどうかが未知である。複数の給電ポイント(各ウエッジプレートに対して1つ)を生成することにより、空間識別(spatial discrimination)が実行されて、どのビームで信号が受信されたかを決定することができる。加えて、全てのサブアパーチャは、互いにコヒーレントに動作させることができる。1つの実施形態では、受信RFチェーンは、複数のビームのどれで信号が受信されたかを決定するために空間識別を実行する処理回路を含む。別の実施形態では、アンテナのコントローラ(例えば、1又は2以上のプロセッサ)によって実行される後処理ソフトウェアが、空間識別を実行して、複数のビームのどれで信号が受信されたかを決定する。
【0032】
1つの実施形態では、コントローラは、給電の1又は2以上が他の給電に対して時間遅延されるように、RFチェーン及びセグメント/サブアパーチャ給電を制御する。すなわち、1つの実施形態では、アンテナアパーチャの一部である複数のウエッジプレートの少なくとも1つのウエッジプレートには、ウエッジプレートの別のプレートに給電される第2の給電波に対して時間遅延された第1の給電波が給電される。時間遅延は、真の時間遅延(TTD)であり、この導入により、アンテナの帯域幅の拡大が生じる。1つの実施形態では、TDDは、別の導波路と比較したある時間デルタを表す長い導波路によって物理的に実施することができる。
【0033】
別の実施形態では、アンテナは、複数のセグメント化ウエッジプレート放射ガイドのポートからの信号を1又は2以上の信号に組み合わせるRF結合器を含むことができる。
【0034】
アンテナ実施形態の実施例
上述の技術は、平面アンテナと共に用いることができる。このような平面アンテナの実施形態を開示する。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ素子は液晶セルを含む。1つの実施形態において、平面アンテナは、行及び列状に配置されていないアンテナ素子の各々を一意にアドレス指定して駆動するマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、アンテナ素子は、リング状に配置される。
【0035】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、互いに結合された複数のセグメントから構成される。互いに結合された時に、セグメントの組み合わせは、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナフィードに対して同心である。
【0036】
アンテナシステムの実施例
1つの実施形態において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態について説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信のためのKa帯域周波数又はKu帯域周波数の何れかを用いて動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上など)上で動作する衛星地上局(ES)の構成要素又はサブシステムである。アンテナシステムの実施形態は、モバイルプラットフォーム上ではない地上局(例えば、固定又は可搬型地上局)でも用いることができる点に留意されたい。
【0037】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術を用いて、別個のアンテナを介した送信及び受信ビームを形成しステアリングする。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号プロセスを用いてビームを電気的に形成しステアリングするアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。
【0038】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち(1)円筒波給電アーキテクチャから構成される導波構造、(2)アンテナ素子の一部である波散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、及び(3)ホログラフィック原理を用いたメタマテリアル散乱素子から調節可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0039】
アンテナ素子
図7Aは、円筒状給電ホログラフィック半径アパーチャアンテナの1つの実施形態の概略図である。図7Aを参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電602の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子603の1又は2以上のアレイ601を有する。1つの実施形態では、アンテナ素子603は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態では、アンテナ素子603は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブされ分布されたRx及びTxアイリスの両方を含む。このようなアンテナ素子の例について、以下で詳細に記載される。本明細書に記載されるRF共振器は、円筒状給電を含まないアンテナにも用いることができる点に留意されたい。
【0040】
1つの実施形態では、アンテナは、入力給電602を介して円筒波給電を提供するのに用いられる同軸給電を含む。1つの実施形態では、円筒波給電アーキテクチャは給電ポイントから円筒状に外向きに拡がる励起を中心ポイントからアンテナに給電する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心給電波を生成する。それでも、円筒状給電の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施形態では、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合、給電波は円形構造から生じるのが最も自然である。
【0041】
1つの実施形態では、アンテナ素子603はアイリスを含み、図7Aのアパーチャアンテナは、可変波長液晶(LC)材料を介してアイリスに放射する円筒状給電波からの励起を用いることによって形成される主ビームを生成するのに用いられる。1つの実施形態では、アンテナを励起して、所望の走査角度の水平又は垂直分極電界を放射することができる。
【0042】
1つの実施形態では、アンテナ素子は、1つのグループのパッチアンテナを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。1つの実施形態では、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、上部導体にエッチング加工され又は堆積される相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者であれば理解されるであろうが、CELCの関連におけるLCは、液晶とは異なり、インダクタンス・キャパシタンスを意味する。
【0043】
1つの実施形態において、液晶(LC)は、散乱素子の周りのギャップに配置される。この液晶は、上述の直接駆動型実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、液晶は、各単位セルに封入されて、スロットに関連する下部導体をスロットのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(従って、誘電率)は、液晶の両端のバイアス電圧を調整することによって制御することができる。1つの実施形態において、液晶は、この特性を利用して、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためにオン/オフスイッチを組み込む。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。本明細書における教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する液晶を有することに限定されるものではない。
【0044】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0045】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/-45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0046】
各単位セルからの放射出力の量は、コントローラを使用してパッチに電圧(LCチャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチへのトレースは、パッチアンテナに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、静電容量及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を実現するのに使用される。必要な電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、それ以上に電圧を高めても液晶での大きな同調が生じなくなる飽和電圧とによって、主として説明される。これらの2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物については変化することができる。
【0047】
1つの実施形態において、上記で検討したように、マトリクス駆動回路は、セルごとに別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、パッチに電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0048】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要コンポーネントを含み、アンテナシステム用のアンテナアレイコントローラ(駆動電子機器を含む)は、波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整し、商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0049】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部でないものとすることができる。
【0050】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0051】
送信については、コントローラが、RFパッチに一連の電圧信号を供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に同調するようになる。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する。可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0052】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象よって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔を置いて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0053】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。このように、どのメタマテリアル単位セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0054】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームと、ダウンリンクアンテナの用の1つの誘導可能なビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用して、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0055】
図7Bは、グランドプレーン及び再構成可能な共振器層を含むアンテナ素子の1つの行の斜視図を示している。再構成可能共振器層1230は、可変波長スロット(tunable slots)1210のアレイを含む。可変波長スロット1210のアレイは、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。可変波長スロットの各々は、液晶の両端の電圧を変化させることによって同調/調整することができる。
【0056】
制御モジュール1280は、再構成可能共振器層1230に結合され、図8Aにおける液晶の両端の電圧を変化させることによって可変波長スロット1210のアレイを変調する。制御モジュール1280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、可変波長スロット1210のアレイを駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、可変波長スロット1210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていないが、制御モジュール1280と同様の制御モジュールは、本開示の図に記載された可変波長スロットの各アレイを駆動することができる。
【0057】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波1205などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信の何れかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「ステアリング(steering)」されるように、可変波長共振器/スロット1210のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのWin及び射出波上の波動方程式としてのWoutを用いて、Whologram=Win*Woutによって計算される。
【0058】
図8Aは、可変波長共振器/スロット1210の1つの実施形態を示している。可変波長共振器/スロット1210は、アイリス/スロット1212、放射パッチ1211、及びアイリス/スロット1212とパッチ1211との間に配置された液晶1213を含む。1つの実施形態において、放射パッチ1211は、アイリス1212と同じ場所に配置される。
【0059】
図8Bは、物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態の断面図を示している。アンテナアパーチャは、グランドプレーン1245と、再構成可能共振器層1230に含まれるアイリス層1233内の金属層1236とを含む。1つの実施形態において、図8Bのアンテナアパーチャは、図8Aの複数の可変波長共振器/スロット1210を含む。アイリス/スロット1212は、金属層1236の開口部によって定められる。図8Aの給電波1205などの給電波は、衛星通信チャネルに適合するマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン1245と共振器層1230との間を伝播する。
【0060】
再構成可能共振器層1230はまた、ガスケット層1232及びパッチ層1231を含む。ガスケット層1232は、パッチ層1231及びアイリス層1233の間に配置される。1つの実施形態において、スペーサは、ガスケット層1232と置き換えることができることに留意されたい。1つの実施形態において、アイリス層1233は、金属層1236として銅層を含むプリント回路基板(「PCB」)である。1つの実施形態において、アイリス層1233はガラスである。アイリス層1233は、他のタイプの基板とすることができる。
【0061】
開口部は、銅層内でエッチングされて、アイリス/スロット1212を形成する。1つの実施形態において、アイリス層1233は、導電性接合層によって、図8Bにおける別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施形態において、アイリス層は、導電性接合層によって導電的に結合されるものではなく、その代わりに、非導電性接合層と相互連結することに留意されたい。
【0062】
また、パッチ層1231は、放射パッチ1211として金属を含むPCBとすることができる。1つの実施形態において、ガスケット層1232は、金属層1236とパッチ1211との間の寸法を定める機械的離隔部をもたらすスペーサ1239を含む。1つの実施形態において、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば3から200mm)が使用できる。上述したように、1つの実施形態において、図8Bのアンテナアパーチャは、図8Aのパッチ1211、液晶1213、及びアイリス1212を含む可変波長共振器/スロット1210などの複数の可変波長共振器/スロットを備える。液晶1213用のチャンバは、スペーサ1239、アイリス層1233、及び金属層1236によって定められる。チャンバが、液晶で充填された場合には、パッチ層1231は、スペーサ1239上に積層されて、共振器層1230内に液晶をシールすることができる。
【0063】
パッチ層1231とアイリス層1233との間の電圧は、パッチとスロット(例えば、可変波長共振器/スロット1210)との間のギャップ内の液晶を同調するように変調することができる。液晶1213の両端の電圧を調整すると、スロット(例えば、可変波長共振器/スロット1210)の静電容量が変化する。従って、スロット(例えば、可変波長共振器/スロット1210)のリアクタンスは、静電容量を変化させることによって変えることができる。また、可変波長共振器/スロット1210の共振周波数は、次式:
【数4】
に従って変化し、ここで、fは、可変波長共振器/スロット1210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、可変波長共振器/スロット1210のインダクタンス及び静電容量である。可変波長共振器/スロット1210の共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波1205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1205が20GHzである場合には、可変波長共振器/スロット1210の共振周波数は、17GHzに調整(静電容量を調整することによって)されて、可変波長共振器/スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、可変波長共振器/スロット1210の共振周波数は、20GHzに調整されて、可変波長共振器/スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及びひいては可変波長共振器/スロット1210の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各可変波長共振器/ススロット1210から放射されるエネルギーを精密に制御して、可変波長スロット(例えば、可変波長共振器/スロット)のアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0064】
1つの実施形態において、行における可変波長スロットは、互いにλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、行における各可変波長スロットは、隣接する行における最も近い可変波長スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる行における共通して配向された可変波長スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各可変波長スロットは、隣接する行における最も近い可変波長スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0065】
本発明の実施形態は、2014年11月21日に出願された「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(誘導可能な円筒状給電ホログラフィックアンテナからの偏波及び結合の動的制御)」という名称の米国特許出願14/550,178号、及び2015年1月30日に出願された「Ridged Waveguide Feed Structures for Reconfigurable Antenna(再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造)」という名称の米国特許出願第14/610,502号に記載されているような再構成可能なメタマテリアル技術を使用する。
【0066】
図9A-Dは、スロットアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示している。アンテナアレイは、図10に示されている例示的なリングのようなリング状に位置決めされたアンテナ素子を含む。この実施例では、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有することに留意されたい。
【0067】
図9Aは、スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部を示している。図9Aを参照すると、円は、アイリス基板の底部側におけるメタライゼーション内の空き領域/スロットであり、給電部(給電波)への素子の結合を制御するためのものである。この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用される訳ではない点に留意されたい。図9Bは、スロットを含む第2のアイリス基板層の一部を示している。図9Cは、第2のアイリス基板層の一部を覆うパッチを示している。図9Dは、スロットアレイの一部の上面図を示している。
【0068】
図10は、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの層の給電構造)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向きに進む構造を用いることができる。1つの実施形態では、図10のアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日に出願された「ステアラブル円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的分極及び結合制御」という名称の米国特許公開第2015/0236412号に記載されるような同軸給電を含む。
【0069】
図10を参照すると、同軸ピン1601は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1601は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1601は、導電性グランドプレーン1602であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0070】
内部導体である間隙導体1603は、導電性グランドプレーン1602から離隔される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1602及び間隙導体1603は互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0071】
グランドプレーン1602は、スペーサ1604を介して間隙導体1603から離隔される。1つの実施形態において、スペーサ1604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1604は、プラスチックスペーサを含む。
【0072】
間隙導体1603の上部には、誘電体層1605がある。1つの実施形態において、誘電体層1605はプラスチックである。誘電体層1605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層1605は、自由空間に対して30%進行波を減速する。1つの実施形態において、ビーム形成に好適な屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を誘電体層1605として使用することができる。
【0073】
RFアレイ1606は誘電体層1605の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλeff/2とすることができ、ここでλeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0074】
アンテナは、側面1607及び1608を含む。側面1607及び1608は、同軸ピン1601からの進行波給電が反射によって間隙導体1603の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体1603の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。1つの実施形態において、側面1607及び1608の角度は45度の角度である。代替の実施形態において、側面1607及び1608は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。図10は、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0075】
動作中、給電波が同軸ピン1601から供給されると、この給電波は、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の領域で同軸ピン1601から同心円状に外向きに進む。同心円状射出波は、側部1607及び1608により反射され、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1605によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1606の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0076】
進行波を終了させるため、アンテナの幾何学的中心で終端部1609がアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部1609は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ1606の上部で使用することができる。
【0077】
図11は、アンテナシステムの別の実施形態を射出波と共に示している。図11を参照すると、2つのグランドプレーン1610、1611は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーンの間に誘電体層1612(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1619(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1610及び1611を共に結合する。同軸ピン1615(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1616は、誘電体層1612及びグランドプレーン1610の上部に存在する。
【0078】
作動時には、給電波は。同軸ピン1615を介して給電され、同心状外向きに進んでRFアレイ1616の素子と相互作用する。
【0079】
図10及び11の両方のアンテナにおける円筒状給電は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45° Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25° El)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何らかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0080】
円筒状給電を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、及びひいては全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波を動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0081】
電波散乱素子のアレイ
図10のRFアレイ1606及び図11のRFアレイ1616は、放射体として機能する1つのグループのパッチアンテナ(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0082】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体と、誘電体基板と、相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んだ上部導体とからなる単位セルの一部であり、相補的電気誘導型容量性共振器は、上部導体にエッチング又は堆積される。
【0083】
1つの実施形態において、液晶(LC)が、散乱素子の周りのギャップに注入される。液晶は各単位セルにエンキャプスレートされ更にスロットに関連付けられる下部導体をパッチに関連付けられる上部導体から分離する。液晶は、液晶を含む分子の向きの関数である誘電率を有し、更に分子の向き(及び従って誘電率)は、液晶両端のバイアス電圧を調節することによって制御することができる。この特性を用いて、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギーの伝送のためのオン/オフスイッチとして作用する。スイッチオンされた時に、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのような電磁波を発生する。
【0084】
LCの厚みを制御することで、ビームスイッチング速度が上昇する。下部導体と上部導体の間のギャップ(液晶の厚み)が50パーセント(50%)低減すると、速度が4倍に増大する。別の実施形態では、液晶の厚みが、約14ミリ秒(14ms)のビームスイッチング速度を結果として生じる。1つの実施形態において、LCが、7ミリ秒(7ms)要件を満たすことができるよう、応答性を改良するために当該技術で公知の方式でドープされる。
【0085】
CELC素子は、CELC素子の平面に平行に且つCELCギャップ補完材に垂直に印加される磁界に応答する。電圧がメタマテリアル散乱単位セルの液晶に印加されると、誘導波の磁界成分がCELCの磁気励起を誘導し、その結果、誘導波と同じ周波数の電磁波を生成する。
【0086】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波ベクトルのCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCに平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCが波長より小さいので、出力波は、CELCの真下を通過する場合の誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0087】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒形給電幾何形状が、CELC素子を波給電の波ベクトルに対して45度(45°)角度に位置付けられるようにする。素子のこの位置は、素子から生成されるか又は素子によって受信される自由空間波の偏波の制御を可能にする。1つの実施形態において、CELCは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子がある場合、30GHz送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)になる。
【0088】
1つの実施形態において、CELCは、スロットの上方に並置されたパッチを含むパッチアンテナと、これらパッチアンテナ間に液晶を有して用いて実施される。この点において、メタマテリアルアンテナは、スロット(散乱)導波路のように作用する。スロット導波路に関しては、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0089】
セルの配置
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。図12は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。図12を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711、1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1711、1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0090】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数が著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0091】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。このことは、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0092】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0093】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。図13は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。図13を参照すると、TFT及び保持キャパシタ1803が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1801に接続された2つの入力ポートと、トレース1802に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用してTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることがある。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0094】
全二重通信システムの実施例
別の実施形態において、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。図14は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つよりも多い送信経路及び/又は1つよりも多い受信経路を含むことができる。
【0095】
図14を参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1401は、ダイプレクサ1445に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0096】
ダイプレクサ1445は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1427は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1427は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0097】
モデム1460は、アナログデジタル変換器(ADC)1422を含み、このADCは、LNB1427に結合されて、ダイプレクサ1445から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1423によって復調されて、復号器1424によって復号されて、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1425に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1440に送る。
【0098】
モデム1460は更に、コンピューティングシステム1440から送信されたデータを符号化するエンコーダ1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1445の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1433は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0099】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1445は、伝送のため送信信号をアンテナ1401に供給する。
【0100】
コントローラ1450は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0101】
通信システムは、上述のコンバイナ/アービターを含むよう修正されることになる。このような場合、コンバイナ/アービターは、モデムの後で且つBUC及びLNBの前にある。
【0102】
図14に示された全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェアアップデートを含む)などを含む幾つかの用途を有する点に留意されたい。
【0103】
本明細書に記載する幾つかの例示的な実施形態が存在する。
【0104】
実施例1は、アパーチャを備えるアンテナであって、アパーチャが、無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、を有し、各サブアパーチャは、1つのウエッジプレートと、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットと、を含み、複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために各ウエッジプレートを介した伝播のための給電波を提供する給電ポイントを有する、アンテナである。
【0105】
実施例2は、隣接するサブアパーチャの隣接するサイド間に境界構造を任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0106】
実施例3は、境界構造が完全導体(PEC)境界であることを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナである。
【0107】
実施例4は、複数のサブアパーチャがアパーチャを円筒形状又は矩形状に形成するよう結合されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0108】
実施例5は、複数のウエッジプレートの給電ポイントが円筒形状のアパーチャに対して中心に位置することを任意選択的に含むことができる実施例4のアンテナである。
【0109】
実施例6は、アパーチャが表面散乱アンテナ素子を備えるメタサーフェスを含むことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0110】
実施例7は、アパーチャが、複数のビームを同時に生成するように動作可能(operable)であり、ビームの少なくとも2つは複数のウエッジプレートの少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0111】
実施例8は、複数のビームのどれで信号が受信されるのかを決定するために空間識別を実行する処理回路を任意選択的に含むことができる実施例7のアンテナである。
【0112】
実施例9は、複数のRFチェーン及び複数のポートを任意選択的に含むことができ、複数のRFチェーンの1つのRFチェーンが複数のポートの1つのポートに結合され、各ポートが複数のサブアパーチャの1つのサブアパーチャに関連付けられる、実施例1のアンテナである。
【0113】
実施例10は、複数のサブアパーチャが、複数のウエッジプレートを介した給電波の伝播を少なくとも一部協働することによって、互いにコヒーレントに動作されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0114】
実施例11は、各サブアパーチャが方向性カプラを含むことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0115】
実施例12は、複数のウエッジプレートの少なくとも1つのウエッジプレートには、複数のウエッジプレートの別のウエッジプレートに給電される第2の給電波に対して時間遅延された第1の給電波が給電されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0116】
実施例13は、複数のウエッジプレートのウエッジプレートが互いに同一であることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0117】
実施例14は、アパーチャを備えるアンテナであって、アパーチャが、無線周波数(RF)放射アンテナ素子のアレイと、複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路であって、複数のサブアパーチャは、円筒形状のアパーチャを形成するように結合され、各サブアパーチャは、1つのウエッジプレートと、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットと、を含み、複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、アレイにおけるRF放射アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために給電波を提供する給電ポイントを有し、更に複数のウエッジの給電ポイントは、円筒形状アパーチャに対して中心に位置して、中心に位置する給電ポイントから外向きに放射状に給電波を伝播するようにする、セグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、隣接するサブアパーチャの隣接するサイド間の境界構造と、を有する、アンテナである。
【0118】
実施例15は、境界構造が完全導体(PEC)境界であることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0119】
実施例16は、アパーチャが表面散乱アンテナ素子を備えるメタサーフェスを含むことを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0120】
実施例17は、アパーチャが、複数のビームを同時に生成するように動作可能であり、ビームの少なくとも2つは複数のウエッジプレートの少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成され、複数のビームのどれで信号が受信されるのかを決定するために空間識別を実行する処理回路を含むことを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0121】
実施例18は、複数のRFチェーン及び複数のポートを任意選択的に含むことができ、複数のRFチェーンの1つのRFチェーンが複数のポートの1つのポートに結合され更に各ポートが複数のサブアパーチャの1つのサブアパーチャに関連付けられる実施例14のアンテナである。
【0122】
実施例19は、複数のサブアパーチャが、複数のウエッジプレートを介した給電波伝播を少なくとも一部協働することによって、互いにコヒーレントに動作されることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0123】
実施例20は、アパーチャを備えるアンテナであって、アパーチャが、表面散乱アンテナ素子を備えるメタサーフェスと、複数のサブアパーチャを形成する複数のウエッジプレートを含むセグメント化ウエッジプレート放射状導波路であって、各サブアパーチャは、1つのウエッジプレートと、表面散乱アンテナ素子の別個のサブセットとを含み、複数のウエッジプレートの各ウエッジプレートは、表面散乱アンテナ素子の別個のサブセットとの相互作用のために外向きに放射状に伝播する給電波を提供する、アパーチャに対して中心に位置する給電ポイントを有し、アパーチャは、複数のビームを同時に生成するように動作可能であり、ビームの少なくとも2つは複数のウエッジプレートの少なくとも2つのウエッジプレートを介して生成される、セグメント化ウエッジプレート放射状導波路と、隣接するサブアパーチャの隣接するサイド間の境界構造と、を有し、アンテナが、複数のビームのどれで信号が受信されるのかを決定する空間識別を実行する処理回路を備える、アンテナである。
【0124】
以上の詳細な説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、望ましい結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必須ではないが、通常は、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、符号、用語、又は数字などと言及することは、主として共通使用という理由で時に好都合であることが判明している。
【0125】
しかしながら、これらの用語及び類似の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるものとし、且つこれらの量に付与される有利なラベルに過ぎないことに注意されたい。以下の説明から明らかなように、特に明記しない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」などのような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータをそのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報ストレージ、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスのアクション及び処理を指すことが認められる。
【0126】
本発明はまた、本明細書の作動を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを有することができる。このようなコンピュータプログラムは、限定ではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0127】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、何れの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連付けられたものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要とされる方法ステップを実行するより特殊化された装置を構成することが有利であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、何れの特定のプログラミング言語に関連しても説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが認められるであろう。
【0128】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形態の情報を格納又は送信するための何れかの機構を含む。例えば機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0129】
本発明の多くの改変及び修正が前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者には明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明された何れの特定の実施形態も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施形態の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとしてみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0130】
100 エリア
101 ウエッジプレート
102 ウエッジプレート
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】