(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】集積回路応力センサ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
G01B7/16 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542154
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 US2021012396
(87)【国際公開番号】W WO2021142051
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】バヘル ハルーン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ベルンハルト フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル シェロン
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト ミュルナー
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063CA34
2F063EC06
2F063EC18
2F063EC25
2F063NA01
2F063NA02
(57)【要約】
本願において、半導体基板(102)を含む集積回路(100)が説明される。第1及び第2のピエゾ抵抗センサ(108、112)が、基板(102)上又は基板(102)内にあり、各ピエゾ抵抗センサ(108、112)は、基板(102)の表面(104)に平行にそれぞれ第1及び第2の方向に延在するそれぞれの感知軸(110、114)を有し、第2の方向は、第1の方向に垂直である。第3のピエゾ抵抗センサ(116)が、基板(102)上又は基板(102)内にあり、第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない、基板(102)の表面(104)に平行の第3の方向に延在するそれぞれの感知軸(118)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(IC)であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に平行の第1の方向に延在する第1の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第1の歪み感知センサと、
前記半導体基板の前記表面に平行であり前記第1の方向に垂直の第2の方向に延在する第2の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第2の歪み感知センサと、
前記半導体基板の前記表面に平行であり、前記第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない、第3の方向に延在する第3の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第3の歪み感知センサと、
を含む、IC。
【請求項2】
請求項1に記載のICであって、前記半導体基板が、前記第1又は第2の方向の一方に平行である方向に結晶方位を有するモノリシックシリコン基板を含む、IC。
【請求項3】
請求項2に記載のICであって、
前記第1、第2、及び第3の歪み感知センサの各々が、それぞれのピエゾ抵抗センサであり、前記ピエゾ抵抗センサが、第1の端子及び第2の端子を有する第1のシリコン抵抗器と、第1の端子及び2の端子を有する第2のシリコン抵抗器とを含み、
前記ICがさらに、第1の入力、第2の入力、及び出力を有する感知回路を含み、前記第1の入力が、前記第1のシリコン抵抗器の前記第1の端子に結合され、前記第2の入力が、前記第2のシリコン抵抗器の前記第1の端子に結合される、IC。
【請求項4】
請求項3に記載のICであって、前記第1及び第2のピエゾ抵抗センサの前記第1のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の変形に応答して変化する抵抗を有し、前記第1又は第2のピエゾ抵抗センサの少なくとも一方の前記第2のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の前記変形に応答して一定のままである抵抗を有する、IC。
【請求項5】
請求項4に記載のICであって、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、結晶方位の前記方向に平行のそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、その前記出力において第1の感知信号を提供するように構成され、前記第1の感知信号が、結晶方位の前記方向に平行の、前記半導体基板に印加される応力に応答して、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器間の抵抗の差を表し、
前記第2のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、結晶方位の前記方向に垂直なそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、その前記出力において第2の感知信号を提供するように構成され、前記第2の感知信号が、結晶方位の前記方向に垂直の、前記半導体基板に印加される力に応答して、前記第2のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器間の抵抗の差を表す、IC。
【請求項6】
請求項5に記載のICであって、前記第3のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の結晶方位の前記方向に対して+45度及び-45度に向けられるそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、前記半導体基板に印加されるせん断力を表すそれぞれの感知信号を提供するように構成される、IC。
【請求項7】
請求項4に記載のICであって、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1のシリコン抵抗器が、
前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1の感知軸に平行のそれぞれの感知軸を備える、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の感知ピエゾ抵抗器要素と、
前記第1の感知軸に対して横断のそれぞれの感知軸を備える、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の一つ又は複数の補償ピエゾ抵抗器要素と、
を含み、
前記一つ又は複数の補償ピエゾ抵抗器要素の抵抗の変化が、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記感知軸に対して横断の応力に起因する前記感知ピエゾ抵抗器要素の抵抗の変化を相殺する、IC。
【請求項8】
請求項3に記載のICであって、前記感知回路がそれぞれの感知信号を提供するように構成され、前記感知信号が、前記半導体基板の変形に応答して、前記それぞれの第1、第2、及び第3のピエゾ抵抗センサの抵抗の変化を表し、前記ICが、前記半導体基板上又は前記半導体基板内に温度センサをさらに含み、前記温度センサが、基板の温度を表す温度信号を提供するように構成され、前記ICが、前記温度信号に応答して温度に関して前記感知信号を補償するように構成される、IC。
【請求項9】
請求項1に記載のICであって、前記半導体基板が、対向する表面から離間されるコンタクト表面を含み、前記コンタクト表面が、前記ICを機械的構造に結合するように適合され、前記ICが、前記半導体基板の前記コンタクト表面に取り付けられるカップリング層をさらに含み、前記カップリング層が、前記ICを前記機械的構造に結合するように適合される、IC。
【請求項10】
感知システムにおいて実装される請求項9に記載のICであって、前記感知システムが、
前記対向する表面に取り付けられる通信デバイスと、
前記対向する表面に取り付けられ、前記通信デバイスに結合されるコントローラと、
を含み、
前記通信デバイスが、前記ICと外部読取りデバイスとの間でセンサデータを通信するように構成される、IC。
【請求項11】
請求項10に記載の感知システムであって、前記通信デバイスが、有線接続或いはワイヤレス接続を介して通信する、感知システム。
【請求項12】
システムオンチップ(SoC)として実装される、請求項10に記載の感知システムであって、前記SoCが、前記ICと、前記通信デバイス及び前記コントローラの少なくとも一つとを封入するパッケージング材料を含む、感知システム。
【請求項13】
請求項12に記載の感知システムであって、前記ICが第1のICであり、前記SoCが、同じく前記パッケージング材料内に封入されるマルチチップモジュールの一部として第2のICをさらに含み、前記第2のICが前記コントローラを含み、前記コントローラが、状態機械、マイクロコントローラ、及びマイクロプロセッサの少なくとも一つを含む、感知システム。
【請求項14】
システムであって、
半導体基板上又は半導体基板内に歪み感知センサを含む集積回路(IC)であって、前記半導体基板が或る結晶方位を有し、前記歪み感知センサの各々が、前記半導体基板の前記結晶方位に関して或る角度に向けられるそれぞれの感知軸を有し、前記ICが、前記半導体基板の変形に応答して、前記それぞれの歪み感知センサの各々のための抵抗の変化を判定するように構成される感知回路を含む、前記ICと、
前記ICに結合され、抵抗の前記変化に応答して前記半導体基板の前記変形を表すデータをワイヤレスに通信するように構成される通信デバイスと、
前記IC及び前記通信デバイスに結合され、前記通信デバイスとの通信を制御するように構成される、コントローラと、
を含む、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記歪み感知センサが、
前記半導体基板の表面と前記半導体基板の前記結晶方位とに平行の第1の方向に延在する第1の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第1の歪み感知センサと、
前記半導体基板の前記結晶方位に対して横断であり、前記半導体基板の前記表面に平行であり、前記第1の方向に垂直である、第2の方向に延在する第2の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第2の歪み感知センサと、
前記半導体基板の前記表面に平行であり、前記第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない、第3の方向に延在する第3の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第3の歪み感知センサと、
を含み、
前記感知回路が、前記第1、第2、及び第3の歪み感知センサに結合され、前記感知回路が、前記半導体基板の前記変形に応答して、前記第1、第2、及び第3の歪み感知センサの各々の抵抗の変化を表す感知信号を提供するように構成される、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記第1及び第2の歪み感知センサが、それぞれの第1及び第2のピエゾ抵抗センサであり、各々が、
第1の端子及び第2の端子を有する第1のシリコン抵抗器と、
第1の端子及び第2の端子を有する第2のシリコン抵抗器とを含み、
各第1のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の前記変形に応答して変化する抵抗を有し、各第2のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の前記変形に応答して一定のままである抵抗を有する、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、前記結晶方位に平行のそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、その第1の出力において第1の感知信号を提供するように構成され、前記第1の感知信号が、前記結晶方位に平行の、前記半導体基板に印加される法線応力に応答して、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器間の抵抗の差を表し、
前記第2のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、前記結晶方位に垂直なそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、その第2の出力において第2の感知信号を提供するように構成され、前記第2の感知信号が、前記結晶方位に垂直の、前記半導体基板に印加される法線応力に応答して、前記第2のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器間の抵抗の差を表す、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、前記第3の歪み感知センサが、第1及び第2のシリコン抵抗器を有する第3のピエゾ抵抗センサであり、前記第3のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の結晶方位の前記方向に対して+45度及び-45度に向けられるそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、前記半導体基板に印加されるせん断力を表すそれぞれの感知信号を提供するように構成される、システム。
【請求項19】
請求項16に記載のシステムであって、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1のシリコン抵抗器が、
前記第1の方向に平行のそれぞれの感知軸を備える、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の感知ピエゾ抵抗器要素と、
前記第1の方向に対して横断のそれぞれの感知軸を備える、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の一つ又は複数の補償ピエゾ抵抗器要素と、
を含み、
前記一つ又は複数の補償ピエゾ抵抗器要素の抵抗の変化が、前記第1の方向に対して横断の応力に起因する前記感知ピエゾ抵抗器要素の抵抗の変化を相殺する、システム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、前記半導体基板の前記表面上又は前記表面内に温度センサをさらに含み、前記温度センサが、前記半導体基板の温度を表す温度信号を提供するように構成され、前記コントローラが、前記温度信号に応答して前記温度に関して前記感知信号を補償するように構成される、システム。
【請求項21】
システムオンチップ(SoC)として実装される、請求項14に記載のシステムであって、前記SoCが、前記ICと、前記通信デバイス及び前記コントローラの少なくとも一つとを封入するパッケージング材料を含む、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記ICが第1のICであり、前記SoCが、前記パッケージング材料内に同じく封入されるマルチチップモジュールの一部として第2のICをさらに含む、システム。
【請求項23】
集積回路(IC)であって、
半導体基板上又は半導体基板内の歪み感知センサであって、前記半導体基板が或る結晶方位を有し、前記歪み感知センサが、
前記半導体基板の表面及び前記半導体基板の前記結晶方位に平行の第1の方向に延在する第1の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第1の歪み感知センサと、
前記半導体基板の前記結晶方位に対して横断であり前記半導体基板の前記表面に平行である第2の方向に延在する第2の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第2の歪み感知センサであって、前記第2の方向が前記第1の方向に垂直である、前記第2の歪み感知センサと、
前記半導体基板の前記表面に平行であり、前記第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない、第3の方向に延在する第3の感知軸を有する、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の第3の歪み感知センサと、
を含む、前記歪み感知センサ、及び
前記第1、第2、及び第3の歪み感知センサの各々に結合される感知回路、
を含み、前記感知回路がそれぞれの感知信号を提供するように構成され、前記感知信号が、前記半導体基板の変形に応答して、前記それぞれの第1、第2、及び第3の歪み感知センサの抵抗の変化を表す、IC。
【請求項24】
請求項23に記載のICであって、前記第1及び第2の歪み感知センサがそれぞれの第1及び第2のピエゾ抵抗センサであり、各々が、
第1の端子及び第2の端子を有する第1のシリコン抵抗器と、
第1の端子及び第2の端子を有する第2のシリコン抵抗器と、
を含み、
各第1のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の前記変形に応答して変化する抵抗を有し、各第2のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の前記変形に応答して一定のままである抵抗を有する、IC。
【請求項25】
請求項24に記載のICであって、前記第1のピエゾ抵抗センサの前記第1のシリコン抵抗器が、
前記第1の方向に平行のそれぞれの感知軸を備える、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の感知ピエゾ抵抗器要素と、
前記第1の方向に対して横断のそれぞれの感知軸を備える、前記半導体基板上又は前記半導体基板内の一つ又は複数の補償ピエゾ抵抗器要素と、
を含み、前記一つ又は複数の補償ピエゾ抵抗器要素の抵抗の変化が、前記第1の方向に対する横断の応力に起因する前記感知ピエゾ抵抗器要素の抵抗の変化を相殺する、IC。
【請求項26】
請求項24に記載のICであって、前記第3の歪み感知センサが、第1及び第2のシリコン抵抗器を有する第3のピエゾ抵抗センサであり、前記第3のピエゾ抵抗センサの前記第1及び第2のシリコン抵抗器が、前記半導体基板の結晶方位の前記方向に対して+45度及び-45度に向けられるそれぞれの感知軸を有し、前記感知回路が、前記半導体基板に印加されるせん断力を表すそれぞれの感知信号を提供するように構成される、IC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、トルクセンサに関し、より具体的には、集積回路応力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
回転シャフト上のトルクを測定及び記録するため、種々のタイプのトルクセンサが存在する。多くの既存のトルクセンサシステムは、たいていコストがかかるものであり、及び/又は、電気、磁気、又は光学効果など、シャフトからの或る効果を測定するための構成要素を含み、その結果、システムは大きく嵩張るものとなる。例えば、ホールベースの磁気システムは、磁化されたシャフト或いはシャフトに取り付けられる磁石を必要とし、これらは、磁場からの干渉を受けやすい。光学システムは、組み立てが複雑であり、特別なハウジングを必要とすることがある。微小電子機械システム(MEMS)トルクセンサは、シャフトの曲げ及び/又はねじれを測定するために、集積回路(IC)チップの外部に取り付けられるピエゾ抵抗器を用いる。しかし、MEMSトルクセンサは、印刷回路基板に搭載される外部スタンドアローン読み出し及び信号調整回路を必要とし、これにより、嵩張るシステムとなる。
【0003】
他のトルクセンサシステムは、構造の回転シャフトに取り付けられる歪みゲージを含む。歪みゲージは、接着剤を介してシャフトに取り付けられる金属片又はワイヤを含み得る。また、こうしたトルクセンサシステムは、信号調整回路要素と、シャフトに搭載される電力供給とを含む。シャフトがトルクを与えられると、歪みゲージが伸びて信号を信号調整回路要素に送る。このように、歪みゲージトルクセンサシステムも、シャフトに搭載される互いから分離された幾つかの別個の構成要素を必要とする嵩張るシステムである。
【発明の概要】
【0004】
一例において、半導体基板を含む集積回路が説明される。集積回路は、基板の表面に平行の第1の方向に延在する第1の感知軸を有する、基板上又は基板内の第1の歪み感知センサと、基板の表面に平行であり第1の方向に垂直である第2の方向に延在する第2の感知軸を有する、基板上又は基板内の第2の歪み感知センサとを含む。第3の歪み感知センサが、基板上又は基板内にあり、基板の表面に平行であり、第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない第3の方向に延在する第3の感知軸を有する。
【0005】
別の例において、半導体基板上又は半導体基板内に歪み感知センサを含む集積回路(IC)を含むシステムが説明される。基板は、或る結晶方位を有し、歪み感知センサの各々は、基板の結晶方位に関して或る角度に向けられるそれぞれの感知軸を有する。ICは、基板の変形に応答して、それぞれの歪み感知センサの各々に対する抵抗の変化を判定するように構成される感知回路を含む。通信デバイスがICに結合され、通信デバイスは、抵抗の変化に応答して、基板の変形を表すデータをワイヤレスに通信するように構成される。コントローラが、IC及び通信デバイスに結合され、通信デバイスとの通信を制御するように構成される。
【0006】
更に別の例において、或る結晶方位を有する半導体基板上又は半導体基板内に歪み感知センサを含む集積回路(IC)が説明される。歪み感知センサは、基板の表面及び基板の結晶方位に平行の第1の方向に延在する第1の感知軸を有する、基板上又は基板内の第1の歪み感知センサを含む。第2の歪み感知センサが、基板上又は基板内にあり、基板の結晶方位に対して横断及び基板の表面に平行の第2の方向に延在する第2の感知軸を有し、第2の方向は、第1の方向に垂直である。第3の歪み感知センサが、基板上又は基板内にあり、基板の表面に平行であり、第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない第3の方向に延在する第3の感知軸を有する。感知回路が、第1、第2、及び第3の歪み感知センサの各々に結合され、感知回路は、それぞれの感知信号を提供するように構成され、感知信号は、基板の変形に応答して、それぞれの第1、第2、及び第3の歪み感知センサの抵抗の変化を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【0008】
【0009】
【
図2A】ピエゾ抵抗センサを示し、異なる方向からセンサに印加される応力を示す。
【0010】
【
図2B】或る抵抗器モデルであり、
図2Aにおいてセンサに印加される応力に応答する直列の抵抗器を示す。
【0011】
【
図3】一対のピエゾ抵抗センサから法線応力を感知するための例示の読み出し回路である。
【0012】
【
図4】
図3の読み出し回路などによって提供される抵抗対応力の例示のグラフである。
【0013】
【
図5】一対のピエゾ抵抗センサからのせん断応力を感知するための別の例示の読み出し回路である。
【0014】
【
図6】
図5の読み出し回路などによって提供される抵抗対応力の例示のグラフである。
【0015】
【
図7】トルクセンサを実装する例示のシステムオンチップ回路の分解組立図である。
【0016】
【
図8】トルクセンサを実装する別の例示のシステムオンチップ回路の分解組立図である。
【0017】
【
図9】機械的構造の表面上に搭載される例示のトルクセンサシステムの斜視図である。
【0018】
【
図10】
図9の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【
図11】
図9の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【
図12】
図9の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【
図13】
図9の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【0019】
【
図14】機械的構造の表面に垂直に搭載される例示のトルクセンサシステムの斜視図である。
【0020】
【
図15】
図14の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【
図16】
図14の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【
図17】
図14の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【
図18】
図14の例示のトルクセンサシステムによって応力を感知するため、異なる感知角度に向けられるピエゾ抵抗センサの概略図を示す。
【0021】
【
図19】例示のトルクセンサシステムの断面図である。
【0022】
【
図20】構造に印加される法線応力を感知するため、機械的構造に搭載される
図19の例示のトルクセンサシステムを図示する断面図である。
【
図21】構造に印加される法線応力を感知するため、機械的構造に搭載される
図19の例示のトルクセンサシステムを図示する断面図である。
【0023】
【
図22】構造に印加されるねじれの応力を感知するため、機械的構造に搭載される
図19の例示のトルクセンサシステムを図示する断面図である。
【
図23】構造に印加されるねじれの応力を感知するため、機械的構造に搭載される
図19の例示のトルクセンサシステムを図示する断面図である。
【0024】
【
図24】シャフトに搭載される
図19のトルクセンサを示し、電力供給及び通信を示す。
【0025】
【
図25】別の例示のトルクセンサシステムの断面図である。
【
図26】別の例示のトルクセンサシステムの上面図である。
【0026】
【
図27】
図25及び
図26の構造に印加されるねじれの応力を感知するため、機械的構造に搭載される
図25及び
図26の例示のトルクセンサシステムを図示する断面図である。
【0027】
【
図28】半導体基板における例示の基準抵抗器の断面図である。
【0028】
【
図29】半導体基板における例示の感知抵抗器の断面図である。
【0029】
【
図30】トルクセンサを機械的構造に搭載するための例示の搭載方法である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
歪み感知センサを含む集積回路(IC)が、本願で説明される。歪み感知センサは、ICに印加される機械的力に応答して応力成分(例えば、法線及びせん断)を測定するために、感知回路に関連して機能するように構成される。ICは、機械的構造(例えば、シャフト、ビーム、フェザーキー、リードフレーム等)に結合されて、そうした機械的構造に印加されるトルク又は他の応力を測定するように適合される。歪み感知センサが、ICの基板の表面上又は表面内に形成され、基板の結晶方位に対して異なる方向に向けられるそれぞれの感知軸を備える。このように、歪み感知センサは、接着剤、クランプ、金属継手、粘着性継手、押し込み又は非押し込み嵌合(positive or non-positive fit)継手を介してICが結合される機械的構造に印加されるか又はその他の方式で機械的構造が受ける機械的力に応答して、基板における変形を測定するように構成され得る。歪み感知センサは、半導体基板上又は半導体基板内に形成される回路構成要素又はデバイスを含み得る。歪み感知構成要素の例は、バイポーラトランジスタ、相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタ、金属線、ピエゾ抵抗器などを含む、能動的及び受動的構成要素である。歪み感知構成要素は、下記の例では、主にピエゾ抵抗センサとして説明される。しかし、他のタイプの歪み感知構成要素が、本願で説明されるIC及びSoCに実装されてもよい。
【0031】
更なる例として、ピエゾ抵抗センサは、当該センサとIC内で統合され得る回路要素に結合される。例えば、ピエゾ抵抗センサは、基板が受ける機械的力(例えば、せん断及び法線力)に応答して変化するそれぞれの抵抗値を有する。そのため、回路要素は、ピエゾ抵抗センサの測定された抵抗値に基づいて法線及びせん断力の表示を判定するように構成され得る。また、それぞれのピエゾ抵抗センサの抵抗値は、ICにおける関連する回路要素上の力の衝撃を補正するために用いられ得る。或る例において、ICは、ピエゾ抵抗センサの近傍で基板内に統合される温度センサを含む。温度センサは、基板温度を表す温度信号を提供し得る。回路要素は、測定された抵抗値を温度信号に応答して調節して、測定された抵抗値に対する温度衝撃を低減させ、そのため、力の判定された表示に対する温度衝撃も低減させるように構成され得る。
【0032】
図1Aは、集積回路(IC)100のブロック図である。IC100は、機械的構造(例えば、シャフト、ビーム、フェザーキー、リードフレーム等)に結合するように適合される。IC100は、コンタクト表面と、対向する搭載表面104とを有する基板102を含む。ICのコンタクト表面は、接着剤、クランプ、金属継手、粘着性継手、押し込み嵌合、非押し込み嵌合などによってIC100を機械的構造に結合するように適合される。基板102は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウムなどの半導体材料からつくられる。基板は、基板102の材料及び形成に基づいて、任意の方向(例えば、x方向、y方向、z方向、又はそれらの組み合わせ)に延在し得る結晶方位(軸)を有する。
図1Aの例では、基板102の結晶方位は、x方向に延在する結晶(又は中心)軸106によって表される。
【0033】
一例として、基板102は、単結晶ロッドから形成される半導体ウエハであり、そのため、基板表面は結晶面に関して向けられる。波括弧{ }によって示されるミラー指数が、立方晶におけるそれぞれの面を決定するために用いられる。例えば、基板は、{100}面でカットされるp型(又はn型)半導体基板であり得る。
【0034】
例示のIC100は更に、基板102の表面104上又は表面104内に形成されるピエゾ抵抗センサを含む。例えば、第1のピエゾ抵抗センサ108が、基板102の搭載表面104に平行であり結晶軸(例えば、[100]又は別の結晶軸)に平行である第1の方向に延在する感知軸110を有する。第2のピエゾ抵抗センサ112が、基板102の搭載表面104に平行であり第1のピエゾ抵抗センサ108の第1の方向に垂直である第2の方向に延在する感知軸114を有する。第3のピエゾ抵抗センサ116が、基板102の搭載表面104に平行であり、それぞれ、第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112の第1及び第2の方向に平行でも垂直でもない第3の方向に延在する感知軸118を有する。或る例において、感知軸118は、それぞれの感知軸110及び114の第1方向と第2の方向との間の角度のほぼ中間である角度(例えば、軸110及び114から約45°)に向けられ得る。別の例において、第3のピエゾ抵抗センサ116の感知軸118は、それぞれの感知軸110及び114に対して他の角度(例えば、15°、30°、60°、75°等)に向けられ得る。基板102上又は基板102内のピエゾ抵抗センサ108、112、116の配置は、それぞれの感知軸の方位が、異なる結晶面(例えば、[110]結晶、[111]結晶)でカットされたウエハの結晶軸に平行、垂直であり得る、又は、その結晶軸に対して他の角度(例えば、15°、30°、60°、75°等)に向けられ得るようなものであり得る。
【0035】
ピエゾ抵抗センサ108、112、116は、感知(読み出し)回路120に結合される。例えば、ピエゾ抵抗センサ108、112、116の各々は、感知回路120のそれぞれの出力及び入力に結合される入力及び出力端子を有する。感知回路120は、それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112、116の各々の抵抗の変化を測定するように構成される。抵抗の変化は、基板102に印加される機械的力(例えば、圧縮力、伸張力、及び/又はせん断力)などによって生じ得る、基板102の通常(休止)状態からの変形に応答する。感知回路120は、それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112、116の抵抗の測定された変化に応答して、長手方向の(例えば、圧縮及び/又は伸張)、法線、及びせん断力を表す出力信号(感知信号)を提供する。本願で説明されるように、各ピエゾ抵抗センサ108、112、116によって測定される特定の力は、基板102の結晶軸106の方位に対するそれぞれのピエゾ抵抗センサの感知軸の方位に依存する。
【0036】
更なる例として、第1のピエゾ抵抗センサ108の感知軸110は、基板102の結晶軸106の方位に平行に(例えば、[100]結晶軸に平行に)向けられる。第2のピエゾ抵抗センサ112の感知軸114は、基板102の結晶軸106の方位と垂直に(例えば、[100]結晶軸に垂直又は[010]軸に平行に)向けられる。この構成において、ピエゾ抵抗センサ108は、第1のピエゾ抵抗センサ108における抵抗の変化が、基板102に印加される力に応答する長手方向の(例えば、圧縮及び伸張)力を表すように構成される。ピエゾ抵抗センサ112は、第2のピエゾ抵抗センサ112における抵抗の変化が、基板102に印加される力に応答する法線力を表すように構成される。同様に、第3のピエゾ抵抗センサ116の感知軸118は、結晶軸106の方位に平行でも垂直でもなく向けられる(例えば、[100]結晶軸に関して約±45°の角度である)。そのため、第3のピエゾ抵抗センサ116は、第3のピエゾ抵抗センサ116における抵抗の変化が、基板102に印加される力に応答するせん断力に対応するように構成される。
【0037】
上述したように、感知回路120が、長手方向の法線及びせん断力を測定することを可能にするために、基板102の結晶軸106の方位は、IC100が搭載される機械的構造の縦軸に平行(或いは横断)に向けられる。このように、機械的構造に印加される長手方向の法線力を測定するために、第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112の感知軸110、114は、それぞれ、機械的構造の縦軸に平行及び垂直に向けられる。せん断力を測定するために、第3のピエゾ抵抗センサ116の感知軸118は、機械的構造の縦軸に平行でも垂直でもない(例えば、縦軸に対し約±45°の角度である)。
【0038】
第1、第2、及び第3のピエゾ抵抗センサ108、112、116は、それらの感知軸に沿った機械的力に対する抵抗の変化を示すように構成されるが、ピエゾ抵抗センサ108、112、116は、他の力に起因する抵抗変化も経験する。例えば、それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112、116の抵抗は、それらのそれぞれの感知軸に垂直の力にも応答する。或る例において、ピエゾ抵抗センサ108、112、116の各々は、それぞれの端子間に直列に結合される複数のピエゾ抵抗器要素として、基板102上又は基板102内に形成される。例えば、ピエゾ抵抗器要素の各々は、半導体基板のドーピングに依存した(例えば、P型又はN型の)ドープされたシリコン抵抗器として実装される。複数のピエゾ抵抗器要素は、それぞれのピエゾ抵抗センサにとって所望(メイン)の感知軸に平行の感知軸を有して基板に形成されるピエゾ抵抗器要素の第1(メイン)のセットを含む。例えば、メインの感知軸は、半導体基板の結晶軸に関してピエゾ抵抗器要素の長手方向に基づいて決定される。一つ又は複数のピエゾ抵抗器要素の第2(例えば、補償)のセットが、それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112、116にとって所望(メイン)の感知軸に対して横断の感知軸を有して基板に形成される。それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112、116におけるピエゾ抵抗器要素の第2のセットは、それぞれのピエゾ抵抗センサの所望(メイン)の感知軸に垂直の力に起因する抵抗の変化を相殺する抵抗を提供するように構成される。
【0039】
更なる例として、第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112の抵抗は、それぞれの感知軸に対し長手方向でも垂直でもない角度で印加されるせん断力にも応答する。そのようなせん断力に起因する第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112に対する抵抗の変化は、せん断力に応答する抵抗の変化を導入することによって、それぞれのピエゾ抵抗センサの測定された抵抗をスキューし得る。また、この結果、不正確な力が、それぞれの軸110及び114に沿って判定される恐れがある。せん断力に起因する抵抗のばらつきを補償するため、及び、測定された力の最終値を補正するため、第3のピエゾ抵抗センサ116の抵抗に起因する測定されたせん断力が、第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112が受けるせん断力を補償するために用いられる。一般に、異なって向けられる4つの抵抗器(結晶軸に対して、それぞれ、およそ0°、90°、+45°、-45°の方位の例)を用いると、法線及びせん断応力が同時に異なる方向に存在する場合、センサの各々の出力を、その他のセンサの出力によって、それらの不正確性について補正し得る。
【0040】
一例として、IC100は、コントローラを含む、IC上に実装される他の回路要素123を含む。コントローラは、状態機械、プロセッサコア、又はマイクロコントローラとして実装され得る。コントローラは、(例えば、感知回路120によって判定される)それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112のための抵抗の変化に応答して、軸110、114に沿った長手方向及び垂直の力を表す値を判定するように構成される。また、コントローラは、(例えば、感知回路120によって判定される)センサ116のための抵抗の変化に応答して、軸118に沿ったせん断力を表す値を判定するように構成される。或る例において、コントローラはさらに、第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112が受けるせん断力を補償するために、(第3のピエゾ抵抗センサ116に起因する)せん断力値を用いるように構成される。その結果、それぞれの第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112の抵抗の変化に応答してコントローラによって判定される長手方向及び垂直の力の最終値は、それぞれのセンサ軸110、114と整合される又はセンサ軸110、114に沿った力成分のみを含むように提供され得る。
【0041】
同様に、第3のピエゾ抵抗センサ116は、軸118に沿って基板100に印加されるせん断力に応答して変化するように構成される抵抗を有する一つ又は複数のピエゾ抵抗器の配置を含む。しかし、第3のピエゾ抵抗センサ116の抵抗もまた、基板100に印加される長手方向及び垂直の力に応答して変化する。長手方向及び垂直の力に起因する第3のピエゾ抵抗センサ116の抵抗の変化は、長手方向及び垂直の力に応答するその抵抗の変化を導入することによって、それぞれのピエゾ抵抗センサ116の測定された抵抗をスキューし得る。ピエゾ抵抗センサ116の抵抗に対する長手方向及び垂直の力の影響の結果、不正確なせん断力がそれぞれの軸118に沿って判定される恐れがある。第1及び第2のピエゾ抵抗センサ108、112の抵抗の変化に応答して判定される長手方向及び垂直の力は、第3のピエゾ抵抗センサ116が受ける長手方向及び垂直の力を補償するために用いられ得る。例えば、コントローラはさらに、第3のピエゾ抵抗センサ116が受ける長手方向及び垂直の力を補償するために、(ピエゾ抵抗センサ108、112からの)長手方向及び垂直の力の値を用いるように構成される。その結果、そのような例では、第3のピエゾ抵抗センサ116の抵抗の変化に応答してコントローラによって判定されるせん断力の最終値は、それぞれのセンサ軸118と整合される又はセンサ軸118に沿った力成分のみを含むように判定され得る。
【0042】
更なる例として、依然として
図1Aの例を参照すると、IC100は、基板表面104上又は基板表面104内に形成される温度センサ122を含む。温度センサは、他の回路要素123の入力に結合される出力を有し、基板102の温度を表す温度信号を提供するように構成される。IC100の、及びそれゆえ基板102の温度の変化が、それぞれのピエゾ抵抗センサ108、112、116の各々におけるピエゾ抵抗器の抵抗に影響を及ぼし得、これが、感知回路120によって判定される抵抗値に影響を及ぼし得る。そのため、基板102の温度は監視され、基板温度の変化が、感知回路120によって測定される法線及びせん断力値を補正するために他の回路要素によって用いられる。また、センサ基板及び機械的構造の熱膨張係数の不一致の温度補償が、回路120によって測定される法線及びせん断力値を補正するために用いられ得る。
【0043】
また、他の回路要素123は、IC100の機能性に依存した構成要素の配置を含む。例えば、他の回路要素は、システムオンチップ(SoC)などを実装するために、基板102の搭載表面104上に形成されるインダクタ、コンデンサ、アンテナ、A/Dコンバータ、マイクロコントローラ等を含む。或る例において、本願で説明されるSoCは、マルチチップモジュール(MCM)である。MCMは、異なる技術/機能を有する回路要素/構成要素を含み得る。例えば、MCMの一つ又は複数のICは、歪みを測定するように構成される歪み感知センサ及び感知回路要素/構成要素を含む。このように、歪み感知ICは、アナログ回路要素及び構成要素を含み得る。MCMの一つ又は複数の他のICは、処理及び演算並びに関連する制御機能を実施するように構成される回路要素(例えば、マイクロコントローラ、状態機械、プロセッシングコア)及び構成要素を含む。MCMにおけるICは、例えば、データ及び命令を通信するため、導電性トレース、ワイヤなどを介して互いに結合され得る。
【0044】
別の例において、回路要素123のいくつかが、IC又はSoCが結合される回路基板上に実装される。また、SoC(又はMCM)における他の回路要素123は、外部回路要素からIC100への電力伝送のため、有線又はワイヤレスリンク(例えば、誘導リンク、近距離無線通信(NFC)、ブルートゥース等)を確立するように構成され得る。他の回路要素123はさらに、IC及び遠隔システム間でデータを通信するため、有線又はワイヤレス通信チャネルを確立するために用いられ得る。例えば、ワイヤレスリンクは、回路要素120又は123を較正するために、及び/又は、センサ読み出し値を外部読取りシステムに通信するために、ワイヤレス通信チャネルを用い得る。
【0045】
図1Bは、
図1Aのピエゾ抵抗センサ108と感知回路120とを含む抵抗応力感知回路要素の或る例のブロック図である。従って、
図1Bの記載もまた、
図1Aを参照する。
図1Bの例に示すように、第1のピエゾ抵抗センサ108は、一対のピエゾ抵抗器124及び130を含む。例えば、ピエゾ抵抗器124は、端子126及び128を含む。端子128は、感知回路120の出力に結合され、端子126は、感知回路120の第1の入力に結合される。ピエゾ抵抗器130は、端子132及び134を含む。端子134は、感知回路120の出力に結合され、端子132は、感知回路の第2の入力に結合される。本願で説明されるように、ピエゾ抵抗器124及び130の各々は、それぞれの端子126、128及び132、134間に結合される一つ又は複数のピエゾ抵抗器要素を含み得、ピエゾ抵抗器要素は、基板に印加される力に対する感度を提供するために基板102に形成される。例えば、こうした感度は、感知軸[110]に沿うもの又は別の感知軸に沿うものである。第1のピエゾ抵抗器124の出力端子126は、感知回路120の第1の入力136に結合され、第2のピエゾ抵抗器130の出力端子132は、感知回路120の第2の入力138に結合される。
【0046】
図1Bの例において、ピエゾ抵抗器124は、端子126及び128間に可変抵抗(R_SENSE)を提供するように構成される感知抵抗器である。例えば、抵抗R_SENSEは、軸110に沿って基板に印加される長手方向の力に応答して可変である。ピエゾ抵抗器130は、端子132及び134間に固定の抵抗(R_REF)を提供するように構成される基準抵抗器である。感知回路120は、第1及び第2の入力信号(例えば、DC入力電圧)をそれぞれの端子128及び134に提供するように構成される。例えば、第1及び第2の入力信号は同じであってもよく(例えば、この場合、R_SENSE=R_REF)、又は、第1及び第2の入力信号は異なってもよい(例えば、この場合、R_SENSE≠R_REF)。感知回路120の入力136及び138は、128及び134において提供される入力信号に基づいて、それぞれのピエゾ抵抗器124、130から出力信号を受け取る。感知回路120は、136及び138)において受け取られる信号間の差を表す感知信号を提供するように構成される。ピエゾ抵抗器130の抵抗R_REFが固定されたままであるので、感知信号は、基板102に印加される力に応答するピエゾ抵抗器124の抵抗の変化を表す。別の例として、R_REFは、R_SENSEと比較して異なる応力に依存する。そのため、感知信号(差)もまた、応力の変化を表す。本願で説明されるように、感知信号は、その後、感知信号によって測定される抵抗の変化に基づいて、応力成分(例えば、長手方向、法線、及びせん断成分)を判定するために(例えば、他の回路要素123によって)用いられ得る。
【0047】
更なる例として、ピエゾ抵抗器124は、基板102の搭載表面に平行の横方向面に配置される。ピエゾ抵抗器130は、横方向面に垂直の方向にその感度軸を有して、基板102に形成される。また、それぞれの抵抗器を、実質的に同じドーピングを有するように形成することによって、基準ピエゾ抵抗器130は、関連する感知ピエゾ抵抗器124と同じ温度依存性を有するように構成され得る。この構成は、感知及び基準ピエゾ抵抗器124及び130が、同じ温度係数を有すること、及び、実質的に同じ方式で温度変化に反応することを保証することを助け、これにより、温度に関して測定される抵抗の変化の正確さが改善される。別の例において、異なるピエゾ抵抗器が直列に組み合わされ、この場合、各々が、R_SENSEの温度係数(TC)に類似する総TCを実現するために異なるドーピング及び異なる材料を有し、同時に、異なる応力係数を有する。この例では、TCは相殺するが、応力は相殺しない。さらに別の例において、R_REFは、シリコン内に同じドーピングを有するが、異なる方位(例えば、表面に平行ではなく垂直)を有する。
【0048】
第2及び第3のピエゾ抵抗センサ112、116の各々は、それぞれの軸114及び118に沿って(印加される機械的力に応答して)抵抗を感知するために、センサ108と同様に構成され得る。また、第2及び第3のピエゾ抵抗センサ112、116の各々は、基板102に印加される力に応答してそれぞれのピエゾ抵抗センサ112、116の抵抗の変化を表す感知信号を生成するため、感知回路120のそれぞれのインスタンスに結合され得る。
【0049】
図2A及び
図2Bは、異なる機械的応力に対する感度を示す単一ピエゾ抵抗器200の例を示す。ピエゾ抵抗器200は、ピエゾ抵抗センサ108、112、及び116を形成するために実装され得るピエゾ抵抗器(例えば、
図1Bの可変ピエゾ抵抗器124)の有用な例である。
図2A及び
図2Bの例において、ピエゾ抵抗器200が受ける力は、(x及びy方向の)長手方向及び横断(例えば、法線)応力としてのみ表される。例示の単一ピエゾ抵抗器200は、R1~R5として示される抵抗器構成要素を含む。5つの抵抗器要素R1~R5は、互いに直列に結合される。本願で説明されるように、抵抗器R1~R5の各々は、長手方向に第1の感度及び横断方向に第2の感度を有し、抵抗器要素の各々の第1の感度は、結晶軸に関して向けられる感度の軸を備えて基板上に形成され、そのため、R1~R5の組み合わされた抵抗(例えば、
図1BにおいてR_SENSEとして示される)は、応力の一方向、すなわち長手方向、に対してのみ感度がある。抵抗器R1~R4の各々は、縦軸に平行の感度軸を有するように基板に形成される。抵抗器R5は、縦軸に対して横断の(法線の)感度軸を有するように基板に形成される。このように、ピエゾ抵抗器200は、基板の結晶軸に関して特定の方位を有する感知軸を備えて半導体基板に形成される単一方向(例えば、単軸)感知抵抗器である。
【0050】
図2A及び
図2Bの例において、ピエゾ抵抗器200は、(y方向の)長手方向応力(σ
long)のみに応答する可変抵抗を提供する長手方向応力センサである。ピエゾ抵抗器200は、横断応力(σ
trans)の影響を相殺するように内部に構成される。一例として、ピエゾ抵抗器200の各抵抗器要素R1~R4は、およそ1%/100MPaである横断応力(σ
trans)に対する感度を有し、これは、R1~R4の組み合わせでは合計4%/100MPaとなる。ピエゾ抵抗器200の抵抗器要素R5は、およそマイナス4%/100MPaである横断応力(σ
trans)に対する個別の感度を有する。例えば、下記の式は、0%/100MPaのx方向における横断(法線)応力(σ
trans)の総感度を示す。
このように、ピエゾ抵抗器200は、x方向の横断応力に対して感度を有さない。
【0051】
説明するように、ピエゾ抵抗器200は、y方向の長手方向応力(σ
long)に対して感度があるように構成される。R1~R4は、y方向(例えば、長手方向感知軸)に沿って又はこれに平行に延在する方向にピエゾ抵抗器要素を介する電流の流れを提供するように基板に形成される。
図2Bの例において、ピエゾ抵抗器200は、長手方向に-3%/100MPaの純感度を有する。例えば、各抵抗器要素R1~R4は、y方向の長手方向応力(σ
long)に対して約マイナス4%/100MPAの個別の感度を有する。また、ピエゾ抵抗器200の抵抗器要素R5は、およそプラス1%/100MPaである長手方向応力(σ
long)に対する個別の感度を有する。例えば、下記の式は、およそ-3%/100MPaのy方向の長手方向(法線)応力(σ
long)に対する総感度を示す。
それゆえ、長手方向応力に対する例示のピエゾ抵抗器200の全体の感度は、およそ-3%/100MPaである。
【0052】
この例では、ピエゾ抵抗器200がy方向法線応力センサであるようにx方向の応力を相殺するために、y方向対x方向における抵抗器構成要素の比は4:1である。しかし、この比は、結晶基板のタイプ、それぞれの抵抗器要素の寸法、ICパッケージの搭載方位、応用例のタイプ等に基づいて変化し得る(例えば、1.5:1、2:1、3:1、5:1等)。また、他の例において、異なる数の抵抗器要素がピエゾ抵抗器200を形成するために用いられ得る。
【0053】
図3は、基板の結晶軸に平行又は垂直に印加される力などに起因して、垂直又は長手方向応力に応答するように構成されるピエゾ抵抗センサを有するICのための応力感知回路300の或る例である。回路300は、第1及び第2のピエゾ抵抗器306、308のそれぞれの端子302及び304に結合される出力を有する電圧源301を含む。ピエゾ抵抗器306、308の各々は、電気接地に結合される別の端子を有する。増幅器(例えば、演算増幅器)310が、第1及び第2の入力312及び314と、出力316とを有する。第1の入力312は、ピエゾ抵抗器306の入力302に結合され、第2の入力314は、ピエゾ抵抗器308の入力304に結合される。ピエゾ抵抗器306、308は、
図1のIC100におけるピエゾ抵抗センサ108及び112などを実装するために、ピエゾ抵抗センサを形成する。
【0054】
一例として、電圧源301は、320及び322として示される定電流をピエゾ抵抗器306、308の各々に提供するDC電圧(VDD)を提供するように構成される。そのため、ピエゾ抵抗器306、308を介する電流は、各ピエゾ抵抗器306、308間に、その抵抗に基づいて変化する電圧を提供する。増幅器310は、入力302及び304の電圧の差を表す感知信号を出力316において提供するように構成される。例えば、ピエゾ抵抗器の一方308が、長手方向の応力に対して最高感度を有するように、
図2A及び
図2Bに対して説明したように構成される。他方のピエゾ抵抗器306は、固定の抵抗を有する(応力依存性がない)。本願で説明されるように、ピエゾ抵抗器306、308の両方は、同じ温度依存性を有する。そのため、感知回路300は、第1及び第2のピエゾ抵抗器306、308間の抵抗の差を表す感知信号(電圧信号)を出力する。或る例において、316における感知信号は、ピエゾ抵抗器306、308を含むピエゾ抵抗センサ318に印加される長手方向応力に比例する。
【0055】
図4は、応力(σ
long)が0MPaから100MPaまで増加するにつれての、ピエゾ抵抗器306、308の抵抗値の変化を示すグラフである。例えば、ピエゾ抵抗器306、308の抵抗の差は、応力が0MPaから100MPaまで増加するにつれて、およそ-7%変化する。
図4に示すように、この例では、抵抗の変化は、長手方向応力に直線的に反比例している。また、他の例において、抵抗の変化は、長手方向及び横断応力係数の符号(
図2Bを参照)に基づいて正比例し得、これは、材料のタイプ、ドーピングのタイプ等に依存する。上述したように、感知回路300は、長手方向応力に応答する抵抗の変化に比例する電圧を出力する。
【0056】
図5は、基板の結晶軸に平行に印加される機械的力の成分に起因するせん断応力(σ
shear)に応答するように構成されるピエゾ抵抗センサ502を有するICのための別の応力感知回路500の例である。回路500は、ピエゾ抵抗センサ502におけるそれぞれの抵抗器要素(例えば、ドープされたシリコン抵抗器)の方位を除いて、回路300と同じである。回路500は感知回路要素504を含み、感知回路要素504は、ピエゾ抵抗センサ502の第1及び第2のピエゾ抵抗器512、514のそれぞれの端子508及び510に結合される出力を有する電圧源506を含む。ピエゾ抵抗器512、514の各々は、電気接地に結合される別の端子を有する。増幅器516が、それぞれの入力508及び510に結合される第1及び第2の入力518及び520を有する。また、増幅器516は出力522を含む。
【0057】
図3に関して説明したものと同様に、電圧源506は、524及び526として示される定電流をピエゾ抵抗器512、514の各々に提供するDC電圧(VDD)を提供するように構成される。そのため、ピエゾ抵抗器512、514を介する電流は、各ピエゾ抵抗器512、514間に、その抵抗に比例して変化する電圧を生じさせる。
図3の例とは異なり、ピエゾ抵抗器512及び514の各々は、せん断応力に対して最高感度を備えて基板に形成される。例えば、ピエゾ抵抗器512は、結晶軸に関しておよそ-45度に向けられる最高感度の軸を有し、ピエゾ抵抗器514は、結晶軸に関しておよそ+45度に向けられる最高感度の軸を有する。このように、この例では、ピエゾ抵抗器512及び514は、最高感度の直交軸によって(90度離れて)向けられる。
【0058】
増幅器516は、ピエゾ抵抗器512、514間の抵抗の変化を表す感知信号を出力522において提供するように構成される。このように、感知回路504の増幅器516は、第1及び第2のピエゾ抵抗器512、514間の抵抗の差を表す感知信号(電圧信号)を出力する。或る例において、522における感知信号は、ピエゾ抵抗センサ502を実装するICの基板に印加されるせん断応力に比例する。
【0059】
図6は、応力(σ
shear)が0MPaから110MPaまで増加するにつれての、ピエゾ抵抗器512、514の抵抗値の変化を示すグラフである。例えば、ピエゾ抵抗器512、514の抵抗の差は、応力が0MPaから100MPaまで増加するにつれて、およそ-X変化する。
図6に示すように、この例では、抵抗の変化は、せん断応力に直線的に反比例している。また、他の例において、抵抗の変化は、長手方向及び横断応力係数の符号(
図2Bを参照)に基づいて正比例し得、これは、材料のタイプ、ドーピングのタイプ等に依存する。上述したように、感知回路500は、せん断応力に応答する抵抗の変化に比例する電圧を出力する。
【0060】
図7及び
図8は、それぞれの応力感知システムを提供するためにIC100を用いて実装され得るSoC700、800の例を示す。SoCは、(一つ又は複数の方向の)法線応力及びせん断応力を含め、構造の機械的応力を測定するために、機械的構造に結合されるように適合される。本願で説明されるように、ICは、基板表面上又は基板表面内に形成されるピエゾ抵抗センサ(例えば、センサ108、112、116)と統合された基板102を含む。ピエゾ抵抗センサは、IC100に印加される力に応答して抵抗を変化させるように構成される。また、IC100は、応力成分(例えば、法線及び/又はせん断応力)を表す(例えば、これに比例する)抵抗の変化を測定するように構成される回路要素(例えば、感知回路120)を含む。別の例において、SoC700、800は、本願で説明されるようなそれぞれの機能を実施するように構成される(IC100の一つ又は複数の例を含む)複数のICを含むマルチチップモジュール(MCM)として実装される。
【0061】
図7の例において、SoC700は、IC100に結合される他の構成要素及び/又は回路要素702を含む。SoC700は、その内部に搭載されるIC100及び構成要素/回路要素702を封入するパッケージング材料(例えば、エポキシモールディング化合物、磁気モールディング化合物、ポリイミド、金属、プラスチック、ガラス、セラミック等)704を含む。他の構成要素及び/又は回路要素702には、インダクタ、コンデンサ、アンテナ、A/Dコンバータ、マイクロコントローラなどが含まれ得る。他の構成要素及び/又は回路要素702は、基板102及びICの一部に統合されるか、或いは、相互接続(例えば、はんだバンプ)708を介して基板102の搭載表面706に搭載される。
図7の例において、アンテナ710が、基板102の搭載表面706に搭載されるものとして示されている。代替として、アンテナ710は、外部アンテナであり得る。例えば、SoC700は、そのような外部(又は他の外部構成要素)を基板102に結合するように構成される一つ又は複数のピン712を含み得る。このように、他の構成要素/回路要素は、パッケージ700の内側にあり得、或いは、外側で、内部回路要素及び/又は構成要素に結合されるピンのセットを介して接続され得る。ピン712は、外部構成要素への及び外部構成要素からの通信(例えば、信号読み出し、アナログ/デジタル信号、感知信号等)を提供し得る。SoC700は、機械的構造718のそれぞれの表面716にSoC700を取り付けるため、ICのコンタクト表面(搭載表面706の反対の表面)に取り付けられるカップリング層(例えば、リードフレームなどを含む金属層)714を含み得る。代替として、カップリング層714は省かれ得、基板102のコンタクト表面は、機械的構造718の処理された表面716に直接搭載される。
【0062】
図8は、上述したようなモノリシック単結晶基板102を有するIC100を含むSoC800の別の例である。SoC800は、
図7のSoC700の類似する構成要素を含む。そのため、
図8の記載も
図7を参照する。また、SoC800は、相互接続708を介して基板102の搭載表面706上に搭載されるインターポーザ層(例えば、印刷回路基板(PCB))802を含む。他の構成要素/回路要素702及びアンテナ710は、インターポーザ(PCB)802に搭載され、及び、インターポーザ802に形成される相互接続を介して基板102に結合される。別の例において、他の構成要素/回路要素702及びアンテナ710は、インターポーザ802と共に、一つのパッケージに統合される、それ自体の機能を備える付加的なPCB基板であり得る。
【0063】
更なる例として、
図9~
図13は、SoC900のための例示の搭載方位を図示する。SoC900は、SoC700、800によって実装され得、上述したようなIC100を含む。
図9は、機械的構造(例えば、シャフト、ビーム、フェザーキーなど)902の表面に搭載されるSoC900を図示する。或る例において、二つ以上のSoCが、機械的構造902に搭載されてもよい。代替として、本願で説明されるように、IC100自体が、SoCとして用いられ得、機械的構造902に直接搭載され得る。SoC又はICは、接着剤、クランプ、金属継手、フェザーキーを介して、機械的構造902に結合され得る。
【0064】
図10~
図13は、本願で説明されるような、機械的構造の機械的応力を測定するために機械的構造に結合されるときのピエゾ抵抗センサの配置を有する例示のSoC900(又はIC100)の方位を図示する。
図10~
図13の例において、IC100上に実装されるピエゾ抵抗センサは、各々、半導体基板102の結晶軸に関してそれぞれの方位を有する感知軸を有する。別の例において、ピエゾ抵抗センサの配置は、ピエゾ抵抗センサのそれぞれの感知軸が、異なるそれぞれの結晶面においてカットされた(例えば、[100]、[110]、[111]又は他の結晶面においてカットされた)ウエハの結晶軸に関して向けられるように、IC100上に実装され得る。このように、基板の結晶軸の方位に従って、IC100及びSoC900は、それぞれのピエゾ抵抗センサの最高感度軸を、機械的構造902上で測定されるべき力成分と整合させるための方位で機械的構造に結合され得る。例えば、法線及びせん断ピエゾ抵抗センサの各々は、機械的構造に印加される又は機械的構造が受ける長手方向、法線、及びせん断力を測定するように整合される。整合された印が、(例えば、基板102の結晶軸に平行の)長手方向感知の方向などを示すために、IC100又はSoCに印刷され得る。別の例において、SoC900は、本願で説明されるように、それぞれの機能を実施するように構成される(IC100の一つ又は複数の例を含む)複数のICを含むMCMとして実装される。
【0065】
図10及び
図11は、機械的構造1002の表面に結合される例示のIC(又はSoC)1000を図示する。
図10及び
図11の例において、IC1000は、1010で示される、ICを介して延在する結晶軸を有する[100]半導体基板上に形成されるピエゾ抵抗センサ1004、1006、及び1008を含む。例えば、ピエゾ抵抗センサ1004、1006、及び1008は、ピエゾ抵抗センサ108、112、116によって実装され得、これらは各々、本願で説明されるようにピエゾ抵抗器のそれぞれのペアを含む。
【0066】
図10は、それぞれ、x方向及びy方向にそれぞれの長手方向感知軸1012及び1014を有する法線ピエゾ抵抗センサ1004及び1006の方位を示す。例えば、(可変抵抗R
0°を有する)ピエゾ抵抗センサ1004は、軸1010に平行のx方向に対して平行に向けられる長手方向感知軸を有するx方向法線応力センサである。他方の(可変抵抗R
90°を有する)法線ピエゾ抵抗センサ1006は、軸1010に垂直のy方向に対して平行に向けられる長手方向感知軸を有するy法線応力センサである。
【0067】
図11は、R
45°、R
-45°として示される二つのピエゾ抵抗器を含むものとしてピエゾ抵抗センサ1008を別個に示す。ピエゾ抵抗センサ1008は、軸1010に対して平行でも垂直でもなく向けられる感知軸1016を有するせん断応力センサである。或る例において、ピエゾ抵抗センサ1008は、R
45°、R
-45°として示されるピエゾ抵抗器を含み、これらは、IC1000の基板の(x方向の)軸1010に関しておよそ+45°及び-45°に向けられる。
【0068】
図10及び
図11の例において、IC1000の基板の軸1010は、機械的構造1002の縦軸1018に平行である。それゆえ、ピエゾ抵抗器1004の感知軸1012は、機械的構造1002の縦軸1018に平行であり、ピエゾ抵抗器1006の感知軸1014は、機械的構造1002の縦軸1018と垂直である。また、ピエゾ抵抗センサ1008の感知軸1016は、機械的構造1002の縦軸1018に関して±45°に向けられる。機械的構造1002の縦軸1018に対して、それぞれ、平行及び垂直の感知軸1012、1014を有するピエゾ抵抗器1004、1006は、機械的構造の表面に沿って法線力を測定するように構成される。ピエゾ抵抗センサ1008は、機械的構造の表面に沿ってせん断力を測定するように構成される。
【0069】
図12及び
図13は、機械的構造1202の表面に結合される例示のIC(又はSoC)1200を図示する。
図12及び
図13の例において、IC1200は、1210として示される、IC1200を介して延在する[100]結晶軸を有する[110]半導体基板上に形成されるピエゾ抵抗センサ1204、1206、及び1208を含む。例えば、ピエゾ抵抗センサ1204、1206、及び1208は、ピエゾ抵抗センサ108、112、116によって実装され得、これらは各々、本願で説明されるようにピエゾ抵抗器のそれぞれのペアを含む。
【0070】
図12は、示されるように、基板方位(基板軸)1210からおよそ45°オフセットされるそれぞれの長手方向感知軸1212及び1214を有する法線ピエゾ抵抗センサ1204及び1206の方位を示す。例えば、(可変抵抗R
-45°を有する)ピエゾ抵抗センサ1204は、基板方位に関して-45°に向けられ、基板の[100]に沿い、軸1210に平行の長手方向感知軸1212を有する。このように、ピエゾ抵抗センサ1204は、機械的構造1202の軸1218に平行である方向の応力を感知するように構成される。他方の(可変抵抗R
45°を有する)法線ピエゾ抵抗センサ1206は、結晶軸に関して+45°に向けられ、結晶の[010]に沿い、軸1210に垂直の長手方向感知軸1214を有するy法線応力センサである。このように、ピエゾ抵抗センサ1206は、機械的構造の軸1218に垂直である方向の法線応力を感知するように構成される。
【0071】
図13は、R
90°、R
0°として示される二つのピエゾ抵抗器を含むものとしてピエゾ抵抗センサ1208を別個に示す。ピエゾ抵抗センサ1208は、基板方位に対して平行及び垂直であり、軸1210に対して+/-45°に向けられる抵抗器を有するせん断応力センサである。或る例において、ピエゾ抵抗センサ1208は、R
0°、R
90°として示されるピエゾ抵抗器を含み、これらは、軸1210に関しておよそ45°及び-45°に、すなわち、IC1200の基板の[110]及び[-110]に沿って向けられる。
【0072】
図12及び
図13の例において、センサ1204、1206のための基板の軸1210は、示されるように、(
図10及び
図11と比較して)IC1200を45°回転させることによって、機械的構造1202の縦軸1218に平行に整合される。IC1200の回転の結果、ピエゾ抵抗器1204の感知軸1212は、機械的構造1202の縦軸1218に平行となり、ピエゾ抵抗器1206の感知軸1214は、機械的構造1202の縦軸1218と垂直となる。また、ピエゾ抵抗センサ1208の感知軸1216が、機械的構造1202の縦軸1218に関して±45°に向けられる。このように、ピエゾ抵抗器1204、1206は、機械的構造の表面に沿って法線力を測定するように構成される。ピエゾ抵抗センサ1208は、機械的構造1202の表面に沿ってせん断力を測定するように構成される。
【0073】
図14~
図18は、SoC1400のための別の例示の搭載方位を図示する。SoC1400は、各々がIC100を含む、上述したような
図7及び8の例示のSoC700、800に従って実装され得る。
図14は、機械的構造1404(例えば、シャフト、ビームなど)の表面に垂直の切り欠き又はスリット1402に搭載されるSoC1400を図示する。別の例において、SoC1400は、キー溝又は窪みに搭載され得るキャリア材料の側壁上(例えばフェザーキー構造の側部上)に搭載される。
【0074】
図14~
図18は、長手方向、法線、及びせん断機械的力を測定するための、機械的構造に対するSoC及びそれぞれのピエゾ抵抗センサの方位を図示する。本願で説明されるように、IC100上に実装されるピエゾ抵抗センサは、各々、半導体基板102の結晶軸に関してそれぞれの方位を有する感知軸を有する。そのため、基板の結晶軸の方位に従って、IC100及びSoC1400は、それぞれのピエゾ抵抗センサの最高感度軸を、機械的構造1404上の測定されるべき力成分と整合させるための方位で、機械的構造1404に結合され得る。例えば、法線及びせん断ピエゾ抵抗センサの各々が、機械的構造1404に印加される又は機械的構造1404が受ける長手方向、法線、及びせん断力を測定するように整合される。整合された印が、長手方向感知の(例えば、基板102結晶軸に平行の)方向などを示すように、IC100又はSoCに印刷され得る。或る例において、
図14~
図18のSoCは、例えば本願で説明されるようにそれぞれの機能を実施するように構成される(一つ又は複数の歪み感知ICを含む)複数のICを含むMCMとして実装される。
【0075】
図15及び
図16は、機械的構造1502のスロット1501において結合される例示のIC(又はSoC)1500を図示する。IC1500は、1510で示される、SoCを介して延在する結晶軸を有する[100]半導体基板上に形成されるピエゾ抵抗センサ1504、1506、及び1508を含む。例えば、ピエゾ抵抗センサ1504、1506、及び1508は、ピエゾ抵抗センサ108、112、116によって実装され得、これらは各々、本願で説明されるように、ピエゾ抵抗器のそれぞれのペアを含む。
【0076】
図15は、それぞれ、x方向及びy方向にそれぞれの長手方向感知軸1512及び1514を有する法線ピエゾ抵抗センサ1504及び1506の方位を示す。例えば、(可変抵抗R
0°を有する)ピエゾ抵抗センサ1504は、軸1510に平行のx方向に対して平行に向けられる長手方向感知軸を有するx法線応力センサである。他方の(可変抵抗R
90°有する)法線ピエゾ抵抗センサ1506は、軸1510に垂直のy方向に対して平行に向けられる長手方向感知軸を有するy法線応力センサである。
【0077】
図16は、R
45°、R
-45°として示される二つのピエゾ抵抗器を含むものとしてピエゾ抵抗センサ1508を別個に示す。ピエゾ抵抗センサ1508は、軸1510に対して平行でも垂直でもなく向けられる感知軸1516を有するせん断応力センサである。或る例において、ピエゾ抵抗センサ1508は、IC1500の基板の(x方向の)軸1510に関しておよそ+45°及び-45°に向けられる、R
45°、R
-45°として示されるピエゾ抵抗器を含む。
【0078】
図15及び
図16の例において、IC1500の基板の軸1510は、機械的構造1502の縦軸1518に平行である。そのため、ピエゾ抵抗器1504の感知軸1512は、機械的構造1502の縦軸1518に平行であり、ピエゾ抵抗器1506の感知軸1514は、機械的構造1502の縦軸1518と垂直である。また、ピエゾ抵抗センサ1508の感知軸1516は、機械的構造1502の縦軸1518に関して±45°に向けられる。このように、ピエゾ抵抗器1504、1506は、法線力を測定するように構成され、ピエゾ抵抗センサ1508は、基板内の機械的構造に沿ってせん断力を測定するように構成される。これが、それぞれ、機械的構造のトルク及び曲げを測定することにつながる。
【0079】
図17及び
図18は、機械的構造1702のスロット1701において結合される例示のIC(SoC)1700を図示する。
図17及び18の例において、IC1700は、1710で示される、IC1700を介して延在する結晶軸を有する[110]半導体基板上に形成されるピエゾ抵抗センサ1704、1706、及び1708を含む。例えば、ピエゾ抵抗センサ1704、1706、及び1708は、ピエゾ抵抗センサ108、112、116によって実装され得、これらは各々、本願で説明されるように、ピエゾ抵抗器のそれぞれのペアを含む。
【0080】
図17は、示されるように、基板方位1710からおよそ45°オフセットされるそれぞれの長手方向感知軸1712及び1714を有する法線ピエゾ抵抗センサ1704及び1706の方位を示す。例えば、(可変抵抗R-
45°を有する)ピエゾ抵抗センサ1704が、結晶の[100]に沿っており、軸1710に平行である基板方位に関して-45°に向けられる長手方向感知軸1712を有する。そのため、ピエゾ抵抗センサ1704は、機械的構造1702におけるトルク及び/又は曲げを表す、基板における法線応力を感知するように構成される。他方の(可変抵抗R
45°を有する)法線ピエゾ抵抗センサ1706は、(結晶の[010]に沿っており)軸1710に垂直である基板方位に関して+45°に向けられる長手方向感知軸1714を有するy法線応力センサである。このように、ピエゾ抵抗センサ1706は、機械的構造1702の軸1718に垂直である方向の法線応力を感知するように構成される。
【0081】
図18は、R
90°、R
0°として示される二つのピエゾ抵抗器を含むものとしてピエゾ抵抗センサ1708を別個に示す。ピエゾ抵抗センサ1708は、基板方位に対して平行及び垂直であり、軸1710に対して+/-45°に向けられる抵抗器を有するせん断応力センサである。或る例において、ピエゾ抵抗センサ1708は、基板方位に関しておよそ90°及び0°、並びに、軸1710に関して+/-45°、すなわちIC1700の基板の[010]及び[100]に沿って向けられる、R
0°、R
90°として示されるピエゾ抵抗器を含む。
【0082】
図17及び
図18の例において、IC1700の基板上の結晶軸1710は、示されるように(
図15及び16と比較して)IC1700を45°回転させることによって、機械的構造1702の縦軸1718に平行に整合される。IC1700の回転の結果、ピエゾ抵抗器1704の感知軸1712は機械的構造1702の縦軸1718に平行となり、ピエゾ抵抗器1706の感知軸1714は、機械的構造1702の縦軸1718と垂直となる。また、ピエゾ抵抗センサ1708の感知軸1716は、機械的構造1702の縦軸1718に関して±45°に向けられる。このようにピエゾ抵抗器1704、1706は、法線力を測定するように構成され、ピエゾ抵抗センサ1708は、機械的構造1702に沿ってせん断力を測定するように構成される。
【0083】
図19は、IC1902を含む例示の応力感知システム1900を図示する。或る例において、IC1902は、基板と、センサ108、112、116など又はその他の方式で本願で説明される、ピエゾ抵抗センサの配置とを含む。IC1902は、垂直感知軸に沿った法線応力及びせん断応力を含め、複数の方向に沿って応力を測定するように構成され得る。それゆえ、応力感知システム1900はトルクセンサシステムと呼ばれ得る。
【0084】
図19の例において、トルクセンサシステム1900は、相互接続(例えば、はんだボール)1908を介してIC1902の搭載表面1906に結合される印刷回路基板(PCB)1904を含む。トルクセンサシステム1900は、IC1902のコンタクト表面1912に結合されるカップリング(金属)層1910を含み得、カップリング層1910は、機械的構造に結合されるように適合される。代替として、コンタクト表面1912は、接着剤、クランプ、金属継手、シャチ継手などによって機械的構造に直接取り付けるように適合され得る。通信デバイス(例えば、トランスポンダーコイル)1914が、PCB1904の反対側に取り付けられ、IC1902と外部電子回路要素との間で電力及びデータを伝送するために、ワイヤレスインターフェースを提供するように構成される。また、システム1900は、PCB1904の反対側に取り付けられるマイクロコントローラ(例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、FPGAなどの一つ又は複数)1916を含み得る。例えば、マイクロコントローラは、(ピエゾ抵抗センサからの)抵抗の測定された変化を、それぞれの応力及び/又はトルク測定値に変換するための読み出し回路として機能するように構成される。さらにまた、マイクロコントローラ1916は、例えば、付加的な温度補償を実装するため、又は、システム1900が結合される機械的構造の状況を判定するために、ICからの信号を処理し得る。また、マイクロコントローラ1916は、例えば、有線を介して又はワイヤレス通信プロトコル(例えば、NFC、ZigBee、ブルートゥース等)を介してIC1902及び外部回路要素間でセンサデータなどを通信するように、通信デバイス1914を制御し得る。
【0085】
図20及び
図21は、機械的構造2000に結合される
図19のトルクセンサシステム1900の例示の応用例を図示する。機械的構造2000は、一方の端部に固定の支持2002、及び反対の端部に可撓性の支持2004を含む。或る代替の例において、機械的構造2000の両端が固定される。金属ビームカンチレバー2006が、固定の支持2002に固定される固定の端部2008と、可撓性の支持2004に配置される可動端部2010とを有する。代替として、金属ビーム2006は、機械的構造2000の側部表面に沿って固定され得る。トルクセンサシステム1900は、本願で説明されるように、カップリング層1910を介して金属ビームカンチレバー2006の表面に結合される。IC1902は、カンチレバー2006の固定の端部2002の近傍のカンチレバー表面上に置かれる。或る例において、法線力NFが機械的構造2000に印加されるとき、金属ビームカンチレバー2006の可動端部2010が
図21に示すように偏向される。この偏向が金属ビームカンチレバー2006を曲げ、それにより、この曲げに応答して、トルクセンサシステム1900のIC1902のコンタクト表面上に応力が与えられる。上述したように、応力は、トルクセンサシステム1900のIC1902上に実装されるピエゾ抵抗器の抵抗の変化を測定することによって判定され得る。
【0086】
図22、
図23、及び
図24は、別の機械的構造2200に結合される
図19のトルクセンサシステム1900の別の例示の応用例を図示する。
図22及び
図23に示すように、トルクセンサシステム1900は、機械的構造2200の切り欠きエリア2202に搭載され、それぞれの感知軸(例えば、
図14~
図18を参照)に沿って応力を検出するために向けられる。機械的構造2200は、可動シャフト2204と、一方の端部の固定された支持2206と、反対の端部の可撓性の支持2208とを含む。金属ビームカンチレバー2210が、固定の支持2206に固定される固定の端部2212と、シャフト2204に印加されるトルクに応答して移動可能な可撓性の支持2208に配置される別の端部2214とを有する。トルクセンサシステム1900は、カップリング層1910を介して金属ビームカンチレバー2210に結合される。
図23に示すように、トルク力TF(
図23を参照)が機械的構造2200に印加されるとき、トルク力はシャフト2204をその縦軸を中心にねじる。シャフト2204の半径方向に沿って延在するようにセンサトルクシステム1900を設置すると(例えば、
図14を参照)、トルクは、
図20及び
図21の例における金属ビームカンチレバーに対する応力に類似するそれぞれの応力成分に変換される。例えば、トルク力TFに応答して、金属ビームカンチレバー2210の端部2214が撓み、これが金属ビームカンチレバー2216を曲げて、それにより、カンチレバーに結合されたIC基板の表面上に応力が加わる。上述したように、応力は、トルクセンサシステム1900におけるIC1902上に実装されるピエゾ抵抗器の抵抗の変化を測定することによって判定され得る。
【0087】
図24は、トルクセンサシステム1900及び外部システム間のワイヤレス通信の例を図示する。例えば、トランスミッタコイル(例えば、アンテナ)2216が、可動シャフト2204のハウジング2218の周りに巻かれる。そのため、ハウジング2218は、可動シャフト2204と比較して、可動シャフト2204に印加される力に対して静止したままである。電界2220が、通信デバイス(例えば、トランスポンダーコイル)1914によって生成され、電界2220がデータ信号2222をトランスミッタコイル2216に伝送し、トランスミッタコイル2216は外部読取りシステムに通信する。また、外部回路要素が、通信デバイス1914によって受信される、トランスミッタコイル2216に提供され得るワイヤレス電力信号を提供するように構成され得る。受信された電力信号は、それを、PCB1904上に実装されるバッテリー(又は他のエネルギー蓄積要素)に蓄積するための電気エネルギーに変換することなどによって収集され得る。代替として、通信デバイス(例えば、トランスポンダーコイル)1914は、可動シャフト2204の周りに巻かれ得、トランスミッタコイル2216は、シャフトハウジング2218上に置かれ得る。さらに別の構成において、通信デバイス(例えば、トランスポンダーコイル)1914は、可動シャフト2204の周りに巻かれ得、トランスミッタコイル2216は、シャフトハウジング2218の周りに巻かれ得る。また、ワイヤレス通信システムは、複数のアンテナ(例えば、シャフトハウジング上のシャフト軸に対して90°の方位に静止して置かれる4つのトランスミッタアンテナと、シャフト上で自由に回転する一つのトランスポンダーアンテナ、又は逆の場合も同様)を含み得る。さらにまた、ハウジング内部のシャフト上に置かれる複数のトランスミッタ及びトランスポンダーアンテナが在ってもよい。アンテナは、シャフト或いはシャフトハウジングの周りに完全に巻かれる必要はない。
【0088】
図25及び
図26は、本願で説明されるIC100などのICを含む別の例示のトルクセンサシステム2500を図示する。トルクセンサシステム2500は、センサエリア2504を有する基板2502を含み、センサエリア2504は、本願で説明されるようなピエゾ抵抗センサの配置を含む。
図25及び
図26の例において、基板2502(例えば、モノリシック単結晶基板)は、機械的構造においてキャリア(すなわち、上記の例における金属ビーム)として機能する。また、システム2500は、相互接続(例えば、はんだボール)2510を介して基板2502の搭載表面2508に取り付けられる印刷回路基板(PCB)2506を含み得る。基板2502の表面に対してPCB2506の均一の高さを保つために、ポリマーピラー2512が、PCB2506と基板2502との間に提供される。カップリング層(例えば、リードフレーム)2514が、基板2502のコンタクト表面2516に取り付けられる。カップリング層2514は、基板2502を機械的構造に結合する。
図25及び
図26の例において、通信デバイス(例えば、トランスポンダー/電力コイル)2518がPCB2506の反対側に結合され、システム2500と外部回路要素との間で電力及び/又はデータを伝送するためのインターフェースを提供する。また、マイクロコントローラ2520が、PCB2506の反対側に結合され得る。説明されるように、マイクロコントローラは、読み出し回路として機能するように、さらに感知信号を処理するように、及び/又は、ワイヤレスプロトコルを介するシステム2500と外部回路要素と間の通信を制御し得るように構成され得る。別の例において、PCB2506に結合される回路要素のいくつか又は全てがICにおいて実装され得、又はSoCにおけるICにその他の方式で結合され得る。
【0089】
図27は、機械的構造2700に結合される
図25のトルクセンサシステム2500の例示の応用例を図示する。機械的構造2700はハウジング2702を含む。ハウジング2702は、ハウジング2702の一方の端部に固定の支持2706を含み、固定の支持2706は、カップリング層2514と基板2502の一方の端部とを固定する。また、ハウジング2702は、ハウジング2702の反対の端部に非固定の支持2708を含む。カップリング層2514と基板2502の反対の端部とが、非固定の支持2708内に配置される。非固定の支持2708は、基板2502の平面に垂直の方向ではなく、推力方向TDの、キャリア(すなわち、基板2502)の移動を可能にする。このように、トルクセンサ2500は、推力方向に基板2502を変位させる任意の力に応答して応力を測定するように構成され得る。
【0090】
図28は、例示の基準ピエゾ抵抗器2800の断面図である。ピエゾ抵抗器2800は、
図1Bに示される基準ピエゾ抵抗器130の有用な例である。ピエゾ抵抗器2800は、半導体基板を形成するために用いられるドーパントのタイプに応じて、n型抵抗器、又は代替としてp型抵抗器であり得る。ディープウェル2801が、反対の導電型のドーパントで、ドープされた基板2802内に注入される。基板2802は、エピタキシャル層(特に図示せず)を含み得る。ディープウェル2801は、埋め込み層を形成しており、電流の流れを促進し低抵抗を示すように高度にドープされる。トレンチ2804が、ディープウェル2801の両端部に接する、側壁をドープしたディープトレンチであり、水平の電流の流れのために高度にドープされ、垂直の電流の流れのために低くドープされる。これにより、トレンチ2804が、横方向の電流の流れのための第1のピエゾ抵抗係数と、垂直方向の電流の流れのための、第2の一層高いピエゾ抵抗係数とを有するようになる。
【0091】
図28をさらに参照すると、ウェル2806がトレンチ2804に接するように基板2802の表面内に注入され、その後、第2の反対の導電性を有するウェル2808の注入が続く。その後、誘電体層2810が、基板2802の表面を覆うように形成される。第1の導電型(例えば、N型)を有するコンタクト2812が、ウェル2806(例えば、Nウェル)に注入され、第2の反対の導電性(例えば、P型)を有するコンタクト2814が、第2の導電性を有するウェル2808に注入される。中間誘電体層2816が誘電体層2810の上に堆積され、ビア2818が、中間誘電体層2816を介して、コンタクト2812及びコンタクト2814まで形成される。メタライゼーション層2820がビア2818の上に形成される。動作の間、
図28に示すように、電流2822が、一方のウェル2806から、トレンチ2804及びディープウェル2801を介して及び他方のウェル2806を介して上方に流れる。
【0092】
図29は、例示の感知ピエゾ抵抗器2900の断面図である。ピエゾ抵抗器2900は、
図1Bに示される感知ピエゾ抵抗器124の抵抗器要素の有用な例である。例えば、一つ又は複数の感知ピエゾ抵抗器2900が、感知ピエゾ抵抗器124を実装するために用いられ得、ピエゾ抵抗センサを形成するためにピエゾ抵抗器2800と組み合わされ得る。
【0093】
図29の例において、感知ピエゾ抵抗器2900は、基板2801上(例えば、ピエゾ抵抗器2800と同じ基板上)に形成される。感知ピエゾ抵抗器2900は、基板の頂部表面上にP型又はN型拡散抵抗器として形成され得、或る特定の結晶軸に向けられ得る(例えば、[100]、[010]、又は[110]に沿って向けられ得る)。埋め込み層2904が、基板2801上又は基板2801内に形成される。例えば、埋め込み層2904は、第1の導電型のドーパント(例えば、N型又はP型ドーパント)を注入することによって形成される。エピタキシャル層2906が、埋め込み層2904の上に形成される。別の埋め込み層2908が、エピタキシャル層2906内に形成される。例えば、埋め込み層2908は、埋め込み層2904とは反対の導電型を有するドーパントを注入することによって形成される。ドープされたウェル領域2910が、そこに形成される埋め込み層2908と同じ導電型を有するドーパントなどを注入することによって、埋め込み層2908内に形成される。付加的なドープされたウェル領域2912が、ウェル領域2910の反対側に形成される。このウェル領域は、ウェル領域2910とは反対の導電性を有するドーパントを注入することによって形成され、そのため、それぞれのウェル領域2912及び2910間にそれぞれの接合を形成する。例えば、N型ピエゾ抵抗器が、ウェル2912を形成するためにN型ドーパントを及びウェル2910のためにP型ドーパントを注入することによって形成され得る。
【0094】
シャロートレンチアイソレーション構造2914が、ウェル領域2912の周りに形成され得る。それぞれのn‐コンタクト2918を含む誘電体層2916が、ウェル領域2912の上に形成される。ビア2920が、誘電体層2916を介してそれぞれのコンタクト2918まで形成される。メタライゼーション層2922が、ビア2920の上に形成される。電流2924が、誘電体層2916の一方の端部のn‐コンタクト2918から、層2910及び2912間の接合に沿って、ピエゾ抵抗器2900の反対の端部の他方のn‐コンタクト2918へ流れる。
【0095】
本願で説明される例において、法線ピエゾ抵抗センサ(例えば、センサ108及び/又は112)が、基板2801の搭載表面に平行の横方向面に形成される感知抵抗器2900の配置を含む。感知抵抗器からの抵抗は、横方向面に垂直の垂直方向にある基準抵抗器2800からの抵抗と比較される。基準抵抗器は、感知抵抗器を同じ基板内に、実質的に同じドーピング濃度で形成することによって、関連する感知抵抗器2900と同じ温度依存性を有し得る。これが、感知及び基準抵抗器が同じ温度係数を有すること及び実質的に同じ方式で温度変化に応答することを保証し、感知抵抗器への実際の応力に対する異なる温度応答の混乱を防止する。
【0096】
図30は、機械的構造(例えば、シャフト、ビーム等)3006の表面3004に取り付けられるIC3002を含む例示の搭載アセンブリ3000の斜視図である。IC3002は、基板3008と、基板3008の搭載表面3010上に配置される、センサ108、112、116などの又はその他の方式で本願で説明されるピエゾ抵抗センサの配置とを含む。相互接続3012が、基板3008のコンタクト表面(搭載表面3010の反対の表面)と機械的構造3006の表面3004との間に配置される。IC3002及び機械的構造3006間の相互接続を向上させるために、相互接続3012の配置の前に、一方又は両方の表面が加工を介して処理され得る。それぞれの表面を処理するために用いられる処理のタイプは、表面の材料特性及び粘着性相互接続3012の形態に応じて変化し得る。処理技法は、テクスチャリング、パターン形成、クリーニング、ストライピング等、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0097】
基板3008と機械的構造3006との間の相互接続3012の一例が、粘着性相互接続である。粘着性相互接続は、二つの材料(例えば、金属)間の相互接続であり、二つの材料は本質的に一つの統合された継手となる。粘着性相互接続3012のいくつかの異なるタイプの例は、接着剤(例えば、エポキシ)、ナノワイヤ、溶接(例えば、スポット溶接、超音波溶接、又はレーザー溶接など、溶接プロセスによって形成されるもの)、及び焼結(例えば、銅又は銀焼結)を含む。
【0098】
相互接続3012の別の例は、形状嵌合(form fit)相互接続を含み、この場合、二つの接続部材の連結が押し込み接続をつくる。形状嵌合接続は厳しい公差を有し、接続部材がはずれるおそれがない。形状嵌合相互接続の例には、ねじ、クランプ、圧入フック/ボルト、さねはぎなどが含まれる。
【0099】
相互接続3012のさらに別の例は、牽引又は摩擦接続を含み、この場合、二つの接続部材の隣り合う表面間の静止摩擦が、二つの接続部材間の移動を防止する。例えば、二つの接続部材の相互の変位は、接続部材間の静止摩擦によって生じる反対力が上回らない限り、防止される。
【0100】
上述の搭載方法のいくつかの例は、誘導加熱によるシリコン-金属(例えば、スチール)間結合を含み得る。誘導加熱の場合、相互接続3012は、基板のコンタクト表面及び/又は機械的構造の処理された表面に付加されるはんだを含み得る。機械的構造の表面の数マイクロメートル下の絶縁されたエリアに熱が生成される。その後、例えば金、銀、又はニッケルの接着層を備える低温共晶はんだによって、結合が形成される。
【0101】
別の例が、レーザー微細溶接を含み、例えばこの場合、ICのリードフレームが、機械的構造(例えば、ステンレススチールシャフト)に溶接される。この例では、ICは、機械的構造に溶接され得る材料によって部分的に封入され、或いは、相互接続3012を形成するために機械的構造に溶接され得るカップリング層(例えば、金属ベース層)を有する。
【0102】
相互接続3012のさらに別の例が、平坦な(例えば、パターン形成されていない)又はパターン形成された金属の塑性変形及び冷間金属溶接を含む。この例では、基板(又はカップリング層)のコンタクト表面と機械的構造の処理された表面の両方が、結合を高めるためにパターン形成される。より具体的には、封止リングが、コンタクト表面と処理された表面の両方の上でパターン形成される。取り付けられるとき、金属リングが重なり合い、塑性変形を受ける。金属リングは、金属間結合及びそれぞれのパーツ間の封止をつくるために冷間溶接され得る。
【0103】
相互接続3012の別の例が超音波溶接を含み、この場合、高周波超音波音響振動が、製作品に局所的に印加され、製作品が圧力を受けて結合されて固体溶接をつくる。これは、一般にプラスチック及び金属に、特に異種の材料を接合するために用いられる。超音波溶接では、材料を互いに結合するために必要な接続ボルト、釘、はんだ材料、又は接着剤がない。金属に適用される場合、超音波溶接の注目すべき特性は、温度が、関与する材料の融点を充分に下回ったままであり、それゆえ、そうした材料の高温暴露から生じ得る望ましくない特性又は反応を防止することである。
【0104】
本願で説明される例示の相互接続3012の各々について、ICを機械的構造に取り付けるとき、隣接した表面(すなわち、基板のコンタクト表面と、機械的構造の処理された表面)間の相互接続の物理的(例えば、電気的、機械的、及び/又は熱的)特性が、ICセンサの応用例に基づいて構成され得る。例えば、機械的特性に関して、接合表面間の機械的接続は、応用例に基づいて、一層強い接続又は一層弱い接続として構成され得る。強力な継手接続が、一層多くの応力を、機械的構造の表面からセンサに伝送することによって、センサの感度を向上させる。その結果、感度が重要である応用例などにおいて、一層強力な機械的接続が、応力の伝送を増加させ得る。逆に、一層弱い機械的接続が、センサに対する応力伝送の量を低減させ得、この結果、センサの感度が低下する。
【0105】
また、相互接続3012の機械的特性は、等方性又は異方性であるように構成され得る。異方性相互接続の例の場合、相互接続3012は、一つ又は複数の特定の方向に沿ってセンサに応力を伝送するように構成され、そのため、センサは、他の方向に関連して、それぞれの方向の応力に対して一層感度がある。対照的に、等方性相互接続3012は、全ての方向からの応力を機械的構造からセンサに均一に伝送し得る。
【0106】
また、相互接続3012の電気的特性が構成可能であり得る。例えば、相互接続は、導電性材料、電気的絶縁材料から形成され得、又は、応用例に基づいて構成される抵抗率又は誘電率を有し得る。
【0107】
また、相互接続3012の熱特性が構成可能であり得る。例えば、相互接続は、二つの接合表面間の熱移動を制御するための熱伝導率を有する材料から形成され得る。相互接続3012は、(例えば、IC又はSoCもまた温度センサを含むときに)機械的構造の温度にICを晒すことが望ましい応用例の場合、高い熱伝導率を有し得る。逆に、相互接続3012は、センサが取り付けられる機械的構造の温度からセンサを隔離することが望ましい応用例の場合、低い熱伝導率を有する材料から形成され得る。熱伝導率に加えて、相互接続3012、基板、及び機械的構造が、同じ又は同様の熱膨張係数を有する材料から形成され得る。これは、基板が、及びそれゆえICが、機械的構造と同様の割合で膨張及び収縮することを保証する。
【0108】
この応用例において、「結合する」という用語は、間接的或いは直接的な接続を意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、そうした接続は、直接的な接続を介するもの、又は、他のデバイス及び接続を介した間接的な接続を介するものであり得る。例えば、デバイスAが、或るアクションを実施するためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例ではデバイスAはデバイスBに結合され、又は第2の例では、デバイスAは、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変更しない場合に介在構成要素Cを介してデバイスBに結合され、デバイスBは、デバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御される。
【0109】
本記載において、「~に基づく」という記載は、「~に少なくとも部分的に基づく」ことを意味する。そのため、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数のその他の要因の関数であり得る。
【0110】
特許請求の範囲内で、説明される実施例における改変が可能であり、他の実施例が可能である。
【国際調査報告】