(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ソーラー屋根瓦の保持手段
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20230315BHJP
E04D 1/30 20060101ALI20230315BHJP
H02S 20/25 20140101ALI20230315BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20230315BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
E04D1/30 603H
H02S20/25
H02S20/23 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542385
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2021050406
(87)【国際公開番号】W WO2021140252
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522384787
【氏名又は名称】メガソル エネルギー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギスラー, マルクス
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK04
2E108LL01
2E108MM04
2E108MM06
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】傾斜屋根におけるソーラー屋根瓦の保持手段を提供する。
【解決手段】ソーラー屋根瓦2の保持手段1は、長手方向xに延在し、取付位置において、傾斜屋根11の第1上部バテン9に支持される第1支持体4と、取付位置において、第2下部バテン10に支持される第2支持体5と、を備える長方形梁3を備える。保持手段1は、ソーラー屋根瓦2の少なくとも1つの載置部6と少なくとも1つの載置部6に隣接して配置され、前記長手方向に延在してソーラー屋根瓦2の長手方向の外縁8に沿って大気水を排出する排水路7と、をさらに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラー屋根瓦(2)の保持手段(1)であって、
a. 長手方向(x)に延在し、取付位置において、傾斜屋根(11)の第1上部バテン(9)に支持される第1支持体(4)と、前記取付位置において、第2下部バテン(10)に支持される第2支持体(5)と、を備える長方形梁(3)と、
b. 前記ソーラー屋根瓦(2)のための少なくとも1つの載置部(6)と、
c. 前記少なくとも1つの載置部(6)に隣接して配置されて、前記長手方向に延在しており、前記ソーラー屋根瓦(2)の前記長手方向の外縁(8)に沿って大気中の水分を排出する排水路(7)と、を備える保持手段(1)。
【請求項2】
前記第1支持体(4)および前記第2支持体(5)の各々は、少なくとも1つの第1受け部領域(12)を備え、
前記少なくとも1つの第1受け部領域(12)は、前記第1上部バテン(9)および前記第2下部バテン(10)に対して、前記長手方向(x)の延伸方向と概して直交する方向に、前記長方形梁(3)を支持する、請求項1に記載の保持手段(1)。
【請求項3】
前記第1支持体(4)および/または前記第2支持体(5)は、少なくとも1つの第2受け部領域(13)を備え、
前記少なくとも1つの第2受け部領域(13)は、前記第1上部バテン(9)および前記第2下部バテン(10)に対して、前記長手方向(x)に、前記長方形梁(3)を支持する、請求項1または2に記載の保持手段(1)。
【請求項4】
前記長方形梁(3)の略延伸方向(x)と直交する方向に、前記第1支持体(4)の前記第1受け部領域(12)は前記載置部(6)から第1距離(d1)だけ離間するとともに前記第2支持体(5)の前記第1受け部領域(12)は前記載置部(6)から第2距離(d2)だけ離間しており、
前記ソーラー屋根瓦(2)がその下端での前記取付位置において前記第1上部バテン(9)および前記第2下部バテン(10)により画定される平面に対して傾斜するように、前記第2距離(d2)は前記第1距離(d1)より大きくなっている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項5】
前記第1受け部領域(12)は前記取付位置において前記長方形梁(3)の上端(14)から第3距離(d3)だけ離間するとともに、前記第2受け部領域(13)は前記取付位置において前記長方形梁(3)の下端(15)から第4距離(d4)だけ離間しており、
前記長方形梁(3)が、前記保持手段(1)の前記取付位置において、前記長手方向(x)に前記第2下部バテン(10)を超えて延在するオーバーハング部(16)を備えるように、前記第4距離(d4)は前記第3距離(d3)より大きくなっている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項6】
前記長方形梁(3)は、前記長手方向(x)に垂直なC字形断面またはU字形断面の少なくとも1つの領域を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項7】
前記保持手段(1)は、前記取付位置において、隣り合う2つの前記ソーラー屋根瓦(2)の間の前記排水路(7)に隣接して延在するリブ(17)を備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項8】
前記載置部(6)は、別の部品として前記長方形梁(3)および/または前記ソーラー屋根瓦(2)に相互接続されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項9】
前記載置部(6)は、少なくともその一部が弾性材料で形成されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項10】
前記排水路(7)は、少なくともその一部が弾性材料で形成されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項11】
前記長方形梁(3)は、少なくともその一部が、プレス加工および曲げ加工された板金、および/または射出成型されたプラスチック材料で形成されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項12】
前記保持手段(1)は、前記ソーラー屋根瓦(2)を前記長手方向(x)の取付位置に固定する少なくとも1つの固定部品(18)を備える、請求項1から11までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項13】
前記固定部品(18)は、前記長方形梁(3)に取り付けられたフック(19)として形成されている、請求項12に記載の保持手段(1)。
【請求項14】
前記第1支持体(4)および/または前記第2支持体(5)は、それぞれの前記第1受け部領域(12)および/または前記第2受け部領域(13)に配置された少なくとも1つの接続手段(20)を備え、前記接続手段(20)は、前記第1支持体(4)および/または前記第2支持体(5)を前記第1上部バテン(9)および前記第2下部バテン(10)のそれぞれに固定する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の保持手段(1)。
【請求項15】
傾斜屋根(11)を覆うためのソーラー屋根瓦(2)であって、請求項1から14までの少なくとも1項に記載の保持手段(1)により、前記傾斜屋根(11)の2つのバテン(9、10)に取り付けられたソーラー屋根瓦(2)。
【請求項16】
前記ソーラー屋根瓦(2)は、2つの前記ソーラー屋根瓦(2)の少なくとも1つの水平外縁(22)に平行に延在する水還流ストッパ(24)を備え、取付位置において、2つのソーラー屋根瓦(2)の間を空気が流れるように空隙(25)が提供される、請求項15に記載のソーラー屋根瓦(2)。
【請求項17】
前記水還流ストッパ(24)は、前記ソーラー屋根瓦(2)の前記水平外縁(22)に隣接するソーラー屋根瓦(2)の面に取り付けられている、請求項16に記載のソーラー屋根瓦(2)。
【請求項18】
前記ソーラー屋根瓦(2)は、前記ソーラー屋根瓦(2)の少なくとも1つの長手方向の外縁(8)または水平外縁(22)に平行に延在する短冊状の封止部品(21)を備える、請求項15に記載のソーラー屋根瓦(2)。
【請求項19】
前記封止部品(21)は、太陽に面する取付位置にあって、前記ソーラー屋根瓦(2)の表面の上方で隣接するソーラー屋根瓦(2)のオーバーハング部(16)の陰になる領域において、前記水平外縁(22)に隣接して配置される、請求項15から18までのいずれか1項に記載のソーラー屋根瓦(2)。
【請求項20】
請求項1から14までの少なくとも1項に記載された少なくとも2つの保持手段(1)と、請求項15から19までの少なくとも1項に記載されたソーラー屋根瓦(2)と、を備える前記傾斜屋根(11)向けのソーラー屋根キットであって、前記2つの保持手段(1)が前記傾斜屋根の前記2つのバテン(9、10)に取り付けられ支持される、ソーラー屋根キット。
【請求項21】
請求項15から19までの少なくとも1項に記載された少なくとも1つのソーラー屋根瓦(2)であって、請求項1から14までの少なくとも1項に記載された、少なくとも2つの取り付けられた前記保持手段(1)を介して2つのバテンに支持されているソーラー屋根瓦(2)を備える、ソーラー屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に傾斜屋根における屋根瓦の保持手段に関し、特に、傾斜屋根におけるソーラー屋根瓦に関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜屋根を備えた新しい物件を建設するとき、または既存の傾斜屋根を改修するときには、「屋根内」に組み込まれたソーラー屋根瓦を選択することが推奨されている。ソーラー屋根瓦は、屋根の覆いとして機能および発電機としての機能の2つの目的を同時に達成する。通常、ソーラー屋根瓦は、ソーラー屋根瓦を固定する特別な保持手段を用いて傾斜屋根の水平バテンに取り付けることで、水の侵入や大気中の水分からの保護も組み合わせて提供されている。
【0003】
従来技術から、以下のソーラー屋根瓦の保持手段が知られている。
【0004】
スイスパールグループ株式会社(Swisspearl Group AG)の名称で2014年10月に公開された特許文献1は、屋根の覆いに関するものであり、下端および上端の横側の継手部品は、基板上での流れ方向に対して上下に取り付けて固定する下端および上端の横側の継手部品からなる。これは、水を集めるために基板と水平方向で平行に貯水部を配置する、および/または基板と水平方向に配置された上板と下板の重なり部分の間にシールを配置するものである。上板および下板の下端は、パネル固定具を用いて一緒に保持される。上板および下板は重なっているので、板の下端は横側の継手部品と重なっている。
【0005】
センチュリーワット(Centurywatt)の名称で、2012年に公開された特許文献2は、傾斜した屋根の覆いに関するのものであり、屋根の傾斜に沿って延伸するフレームと、屋根の傾斜に沿って垂直に、上側パネルの下端部が下側パネルの上端部を覆って一列に並ぶように部分的に重なる複数の太陽光発電パネルと、を備える。この発明は、太陽光発電パネルの上端部に継手を有し、これらのパネルを実質的に同一平面上に延在させて、覆いを封止するものであり、継手は、その継手と重なるパネルの幅方向全体とは直接接触しない、ことを特徴とする。この発明は、特に、合わせガラスまたは二重ガラスの太陽光発電パネルに適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2784241号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/120208号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
好ましい変形例では、ソーラー屋根瓦の保持手段は、長手方向に延在する長方形梁を備え、取付位置において、傾斜屋根の第1上部バテンに支持される第1支持体を備える。長方形梁は、取付位置において、第2支持体により第2下部バテンでさらに支持する。ソーラー屋根瓦を支持するために保持手段は、ソーラー屋根瓦のための少なくとも1つの載置部を備える。載置部は、いくつかの変形例において、水平方向で隣り合う2つ以上のソーラー屋根瓦を載置し得る。保持手段を、水の侵入に対する保護として機能させるために、排水路が、少なくとも1つの載置部に隣接して配置されるとともに長手方向に延在してソーラー屋根瓦の長手方向の外縁に沿って大気中の水を排出する。
【0008】
通常、第1支持体および第2支持体の各々は、第1上部バテンおよび第2下部バテンに対して、長手方向の延伸方向と概して直交する長方形梁を支持する、少なくとも1つの第1受け部領域を備える。あるいは、またはさらに、第1支持体および第2支持体の各々は、第1上部バテンおよび第2下部バテンに対して、長手方向において長方形梁を支持する、少なくとも1つの第2受け部領域を備え得る。
【0009】
適用分野に応じて、第1支持体および/または第2支持体は、それぞれの第1受け部領域および/または第2受け部領域に配置された少なくとも1つの接続手段を備え、第1支持体および/または第2支持体を第1上部バテンおよび第2下部バテンのそれぞれに固定し得る。接続手段は、ねじ、ボルト、釘、ピン、接着剤、スリングなどにうちの少なくともいずれか1つであり得る。保持手段は、曲げ加工の板金など、さまざまなバテンに固定し得るが、在来の木製バテンがより好ましい。
【0010】
好ましい変形例では、長方形梁の略延伸方向と概して直交する第1支持体の第1受け部領域は、載置部から第1距離d1だけ離間しており、第2支持体の第1受け部領域は、載置部から第2距離d2だけ離間している。ここで、第2距離d2は第1距離d1より大きい。このことは、ソーラー屋根瓦は、第1上部バテンおよび第2下部バテンにより画定される平面に対して傾斜した、その下端部の取付位置に設置される、という利点を有する。好ましくは、第1受け部領域は、取付位置において長方形梁の上端から第3距離d3だけ離間しており、第2受け部領域は、取付位置において長方形梁の下端から第4距離d4だけ離間している。ここで、第4距離d4は第3距離d3より大きい。このことは、長方形梁は、長手方向xにおいて、保持手段の取付位置よりも第2下部バテンを超えて延在するオーバーハング部を備える、というさらなる利点を有する。前述の構造を有する保持手段は、屋根瓦の列が、特に、ソーラー屋根瓦および/または(通常の)屋根瓦の列が、長方形梁のオーバーハング部においてかわら状に重なることを可能にする。
【0011】
少なくとも第2支持体がそれぞれの第2下部バテンにしっかりと固定され、第1支持体が第1上部バテンに置かれているときに、良好な結果を達成し得る。保持手段の下端に風が当たると場合は、保持手段が、揚力をロッカーのように伝達して、第1上部バテンを押圧する。
【0012】
好ましい変形例では、長方形梁は、長手方向xに垂直なC字形断面またはU字形断面の少なくとも1つの領域を有する。長方形梁は、良好な重量対強度比を達成するために、少なくともその一部を、プレス加工および曲げ加工された板金、および/または射出成型されたプラスチック材料で形成されている。これらの形状および材料は、軽量で剛性の高い長方形梁を可能にする、という利点を有する。
【0013】
設計に応じて、載置部は、別の部品として長方形梁および/またはソーラー屋根瓦に相互接続され得る。好ましくは、載置部は、少なくともその一部が弾性材料で形成されている。載置部の材料として、発泡およびゴム材料で構成され得る。いくつかの変形例では、載置部はゴム製マットとして形成し得る。このマットは、長方形梁に接着し得る。
【0014】
排水路が載置部および/または長方形梁に組み込まれている場合には、材料を節約する構造が実現され得る。好ましくは、排水路が載置部に組み込まれて、それによりソーラー屋根瓦を載置するラビリンス型シーリングが提供される。
【0015】
保持手段は、取付位置において、ソーラー屋根瓦を長手方向xに固定する少なくとも1つの固定部品を備え得る。固定部品は、好ましくは、長方形梁に取り付けられたフックとして形成される。しかしながら、アイレットおよび/またはボルトおよび/またはクランプおよび/または接着剤などの他のタイプの固定部品も可能である。いくつかの変形例では、ソーラー屋根瓦を保護するために、フックの少なくとも1部が弾性材料で覆われ得る。さらに、ソーラー屋根瓦は、上向きに配置された保持手段のオーバーハング部により固定し得る。
【0016】
好ましくは、スペーサーは、オーバーハング部とソーラー屋根瓦との間に配置され、これは、少なくとも部分的に弾性材料からなり、ソーラー屋根瓦のオーバーハング部への可動範囲を制限する。
【0017】
スペーサーがその間を封止する追加的な機能を有すると、良好な結果が得られる。
【0018】
スペーサーが封止としてではなく、風によって還流する水を保持するための水還流ストッパとして機能し、少なくとも1つの空隙を提供して、張り出した屋根瓦の間に空気が流れるようにすると、優れた結果が得られる。これは、ソーラー屋根瓦を冷却することで発電効率が向上するため有用である。いくつかの変形例では、2つ以上の水還流ストッパをオーバーハング部に配置し得る。
【0019】
ソーラー屋根瓦への損傷を防ぐために、保持手段は、好ましくは、隣り合う2つのソーラー屋根瓦の間の排水路に隣接する取付位置に延在するリブをさらに備える。これは、特に2つのソーラー屋根瓦が互いに水平に隣接して配置されているときに有用であり、2つのソーラー屋根瓦は、それらの間に配置された保持手段の載置部に隣接するそれぞれの長手方向の外縁と共に載置されている。リブは、好ましくは弾性材料でできており、ソーラー屋根瓦が互いに損傷するのを防ぐ。好ましい変形例では、リブは残りの部分と一体的に形成され得るが、リブは、別個の部分として隣り合う2つのソーラー瓦の間に配置され得る。ソーラー屋根瓦の間に配置された保持手段の共通の載置部にそれぞれ部分的に配置された隣り合う2つのソーラー屋根瓦のこの状況において、保持手段はさらに大気中の水分の侵入に対して保護する機能を有する。
【0020】
本開示の別の態様によれば、ソーラー屋根瓦は、傾斜屋根を覆い、前述の保持手段により傾斜屋根のバテンに取り付けられる。
【0021】
一変形例では、ソーラー屋根瓦は、ソーラー屋根瓦の少なくとも長手方向の外縁または水平外縁に平行に延在する短冊状の封止部品を備える。封止部品が、太陽に面する取付位置にあるソーラー屋根瓦の表面において、隣り合うソーラー屋根瓦のオーバーハング部の陰になる領域で水平外縁に隣接して配置されると、水密封止が達成され得る。ソーラー屋根瓦は、短冊状の封止部品で覆われた領域、および/または上方の保持手段のオーバーハング領域の陰になるソーラー屋根瓦の表面領域には、太陽電池が配置されないことが好ましい。
【0022】
好ましい変形例では、ソーラー屋根瓦は、ソーラー屋根瓦の少なくとも水平外縁に平行に延在する水還流ストッパを備える。ソーラー屋根瓦の取付位置では、水還流ストッパが下側のソーラー屋根瓦と上側のソーラー屋根瓦の間に空隙を提供し、上側のソーラー屋根瓦と下側のソーラー屋根瓦の間に空気が流れることを可能とする。空気循環はソーラー屋根瓦を冷却することを可能とし、ソーラー屋根瓦の発電効率を高める。ここでは、ソーラー屋根瓦を冷却する空気循環を提供しながら、屋根に入る可能性のある水の量を最小限に抑制している。水還流ストッパは、好ましくは、L字型または三角形の断面を有する。いくつかの変形例では、水還流ストッパは、下側のソーラー屋根瓦の上方に取り付けられた保持手段のオーバーハング領域に機械的に接続し、その結果、ソーラー屋根瓦の、上方に取り付けられた保持手段のオーバーハング領域への変位が制限される。ただし、水還流ストッパは、空気循環のための空隙を提供するため、通常、隣接する2つのソーラー屋根瓦を接続しない。
【0023】
有利なことに、水還流ストッパは、ソーラー屋根瓦の水平外縁に隣接するソーラー屋根瓦の表面に取り付けられている。ただし、設計次第では、水還流ストッパをソーラー屋根瓦の水平外縁に取り付けることも可能である。通常、水還流ストッパはソーラー屋根瓦から突出しており、屋根に流入する水を保持する障壁を形成するとともに、空気循環のための空隙を提供する。水還流ストッパは、緊結手段によって、または接着剤、ネジ、釘、ボルト、クランプのうちの少なくとも1つにより、ソーラー屋根瓦に取り付け得る。
【0024】
本開示のさらなる態様において、2つの保持手段と、前述の各々に記載のソーラー屋根瓦と、を備える傾斜屋根向けのソーラー屋根キットであって、2つの保持手段が傾斜屋根の2つのバテンに取り付けられ支持されている。好ましくは、ソーラー屋根キットは、必要な封止部品をさらに備え、水密構造を提供する。
【0025】
本開示の別の態様において、前述の少なくとも2つの取り付けられた保持手段を介して2つのバテンに支持されている、前述の少なくとも1つのソーラー屋根瓦を備えるソーラー屋根に関する。(通常の)屋根瓦とソーラー屋根瓦の両方がソーラー屋根に組み込まれているとき、ソーラー屋根瓦と(通常の)屋根瓦とは長手方向xにおいて同様な高さを有することが好ましい。これにより、視覚的により美しい外観が得られる。
【0026】
好ましい変形例では、保持手段の載置部は、(通常の)屋根瓦を載置部の第1載置領域で保持し、ソーラー屋根瓦を、第1載置領域で(通常の)屋根瓦と連結されて、隣接する第2載置領域で保持するように構成し得る。第1載置領域と(通常の)屋根瓦とは、好ましくは水密となるように連結する。
【発明の効果】
【0027】
本開示の保持手段およびソーラー屋根瓦のさらなる利点は、ソーラー屋根ではない屋根瓦を、屋根支持構造、特にバテンの配置や種類を変更することなく、保持手段と組み合わせてソーラー屋根瓦に置き換えが可能であるところにある。これは、既存の屋根を改修するときに特に有用である。
【0028】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が実施形態を提示し、本開示の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、さらに理解を深めるために含まれており、この仕様に組み込まれ、その一部を構成している。図面は様々な実施形態を示しており、説明とともに、開示された概念の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本明細書に記載の発明は、以下に記載する詳細な説明および添付の図面からより完全に理解され、これらは、添付の特許請求の範囲に記載される発明に限定されると見なされるべきではない。図面は次のとおりである。
【
図1】本開示による保持手段の一変形例の斜視図である。
【
図2】ソーラー屋根瓦および保持手段を備えた傾斜屋根の斜視図および部分分解図である。
【
図3】
図2においてラベルFを付された長方形の範囲内の傾斜屋根の詳細図である。
【
図4】本開示による屋根バテン、ならびに保持手段の第2変形例および第3変形例の斜視図である。
【
図5】隣り合う通常の屋根瓦およびソーラー屋根瓦を備えた傾斜屋根の斜視図である。
【
図8】
図7において線分E-Eで示された部分の傾斜屋根の断面図である。
【
図9】本開示によるソーラー屋根瓦が取り付けられた保持手段の第4変形例を示す図である。
【
図10】
図9において2つの保持手段とソーラー屋根瓦を備えた傾斜屋根の斜視図である。
【
図11】本開示によるソーラー屋根瓦が取り付けられた保持手段の第5変形例を示す図である。
【
図12】
図11において2つの保持手段とソーラー屋根瓦を備えた傾斜屋根の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、特定の実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示し、すべてではないがいくつかの特徴を示す。実際には、本明細書に開示される多くの実施形態は、多くの異なる形態で具体化可能であり、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態が提供されることで、本開示は、適用可能な法的要件を満たす。可能なかぎり、同様のコンポーネントまたは部品について同様の参照番号を付して参照する。
【0031】
図1は、本開示による保持手段1の一変形例の斜視図を示す。
図2は、ソーラー屋根瓦2および保持手段1を有する傾斜屋根11を斜視図および部分分解図で示す。示されている傾斜屋根11は、通常の屋根瓦23とソーラー屋根瓦2で構成されている。
図3は、ラベルFの長方形で示された
図2の傾斜屋根11の詳細図を示し、
図4は、本開示による屋根バテン9、10、ならびに保持手段1の第2変形例および第3の変形例の斜視図を示す。
図5は、隣り合う通常の屋根瓦23およびソーラー屋根瓦2を備えた傾斜屋根11の斜視図を示し、
図6は、横方向の視点からの傾斜屋根の斜視図を示している。
図7は、部分的に組み立てられた状態の傾斜屋根の上面図を示し、
図8は、
図7において線分E-Eで示された傾斜屋根の断面図を示す。
図9から
図12は、本開示による保持手段の第4変形例および第5変形例を示す。
【0032】
ソーラー屋根瓦2を保持するための
図1から4に示されるように、保持手段1は、長手方向xに延びる長方形梁3を備える。長方形梁3は、
図4に最も視覚的にわかりやすく記載されているように、取付位置において、傾斜屋根11の第1上部バテン9に支持される第1支持体4を備える。長方形梁3の、図示された変形例では、取付位置において、第2支持体5が第2下部バテン10でさらに支持されている。保持手段1の取付位置を
図4に示す。ただし、ソーラー屋根瓦2を保持する保持手段1の取付位置は、
図3が最も見やすい。少なくとも1つのソーラー屋根瓦2を保持するために、保持手段1は、ソーラー屋根瓦2のための少なくとも1つの載置部6をさらに含む。また、
図2と
図3に見られるように、いくつかの実施形態では、載置部6は、水平方向で隣り合う2つのソーラー屋根瓦2を保持する。
【0033】
図1に示されるように、排水路7が少なくとも1つの載置部6に隣接して配置されることで、保持手段1が水の浸入に対する保護としても機能する。排水路7は、長手方向xに延在し、ソーラー屋根瓦2の長手方向の外縁8に沿って大気中の水分を排水する。
【0034】
図1に示されるように、第1支持体4および第2支持体5の各々は、少なくとも1つの第1支持領域12を備え、第1支持領域12は、第1上部バテン9および第2下部バテン10に対して、長手方向xの延伸方向と略直交する方向に長方形梁3を支持する。また、図示された変形例では、第2支持体5が、第2支持領域13を備え、第1上部バテン9および第2下部バテン10に対して、この第2支持領域13は、長手方向xにおいて長方形梁3を支持する。
【0035】
第1支持体4および/または第2支持体5はそれぞれ、第1受け部領域12および/または第2受け部領域13に配置された接続手段を備え、第1支持体4および/または第2支持体5を第1上部バテン9および第2下部バテン10のそれぞれに固定する。
図1に示されるように、接続手段は、この変形例において、第1支持体4の第1受け部領域12および第2支持体5の第2受け部領域13のそれぞれに、バテン9、10をねじ止めおよび/または釘止めするための貫通孔を備える。
【0036】
図1に示されるように、長方形梁3の略延伸方向xと直交する方向に、第1支持体4の第1受け部領域12は載置部6から第1距離d1だけ離間し、第2支持体5の第2受け部領域13は載置部6から第2距離d2だけ離間しており、第2距離d2は第1距離d1より大きい。これにより、
図4に最も視覚的にわかりやすく記載されているように、ソーラー屋根瓦2は、その下端15において、第1上部バテン9および第2下部バテン10により画定される平面に対して傾斜して、その下端15の取付位置に設置される、という利点を有する。
図1でさらに示されているのは、第1受け部領域12は、取付位置において長方形梁3の上端14から第3距離d3だけ離間しており、第2受け部領域13は、取付位置において長方形梁3の下端15から第4距離d4だけ離間しており、第4距離d4は第3距離d3より大きいことである。これにより、長方形梁3は、長手方向xにおいて、保持手段1の取付位置よりも第2下部バテン10を超えて延在するオーバーハング部16を備えられる、という利点を有する。前述の構造を有する保持手段1は、
図2および
図3から見てとれるように、屋根瓦、特にソーラー屋根瓦の列が、オーバーハング部16においてかわら状に重なることを可能にする。
【0037】
長方形梁3について示されている変形例では、長手方向xに垂直なU字形断面を有する。さらに、長方形梁3は、プレス加工および曲げ加工された板金から形成されている。
【0038】
図1および
図4に示された載置部6は、長方形梁3に相互接続され、別個の部品として形成され、弾性材料、より具体的にこの例ではゴムから作成され、ゴム製マットを形成する。このマット6は、長方形梁3の接着されている。排水路7は、そのゴム製マットに組み込まれている。より具体的には、複数の排水路7がそのゴム製マットに組み込まれている。複数の排水路7は、
図3に最も視覚的にわかりやすく記載されているように、互いに隣接して配置されてソーラー屋根瓦2をその取付位置に載置することで、ラビリンス型シーリングを提供する。
【0039】
保持手段は、ソーラー屋根瓦2を長手方向xの取付位置に固定する少なくとも1つの固定部品18を備える。示されている変形例では、固定部品18は、長方形梁3に取り付けられたフック19として形成され、取付位置において、
図3に示されるように、ソーラー屋根瓦2の下部の水平外縁22を囲む。さらに、ソーラー屋根瓦2は、保持手段1のオーバーハング部16、および/または屋根瓦23、および/またはその上に配置されたソーラー屋根瓦2により固定される。
【0040】
排水路7に隣接する取付位置に延在するリブが、隣り合う2つのソーラー屋根瓦2の間に配置される。
図3から見てとれるように、リブは別個の部分として形成され、ソーラー屋根瓦2の長手方向の外縁8に取り付けられている。さらに、リブ17は、ソーラー屋根瓦2が互いに損傷するのを防ぐように弾性材料で作られている。ソーラー屋根瓦2の間に配置された保持手段1の共通の載置部6にそれぞれ部分的に配置された隣り合う2つのソーラー屋根瓦2の図示された状況では、保持手段1はさらに大気中の水分の侵入に対して保護する機能を有する。
【0041】
本開示の別の態様では、ソーラー屋根瓦2は、傾斜屋根11を覆っており、前述の保持手段1により傾斜屋根11のバテン9、10に取り付けられる。ソーラー屋根瓦2は、
図3にわかりやすく記載されている。
【0042】
第1変形例では、ソーラー屋根瓦2は、ソーラー屋根瓦2の少なくとも長手方向の外縁8または水平外縁22と平行に延在する短冊状の封止部品21を備える。封止部品21が、太陽に面する取付位置にあるソーラー屋根瓦2の表面において、隣り合うソーラー屋根瓦2のオーバーハング部16の陰になる領域で水平外縁22に隣接して配置されると、水密封止が達成される。ソーラー屋根瓦2は、短冊状の封止部品21で覆われた領域、および/または上方の保持手段1のオーバーハング部16の陰になるソーラー屋根瓦の表面領域には、太陽電池を有さないことが好ましい。
【0043】
第2変形例では、ソーラー屋根瓦2は、ソーラー屋根瓦2の少なくとも水平外縁22に平行に延在する水還流ストッパ24を備える。取付位置では、水還流ストッパ24がソーラー屋根瓦2とその真上に取り付けられた別のソーラー屋根瓦2の間にオーバーハング部16に空隙25を提供する。上側のソーラー屋根瓦と下側のソーラー屋根瓦の間に空気が流れることを可能とする。このようにして、空気の流れ26は、傾斜屋根11に入りそうな水の量を最小限に抑制しながら、オーバーハング部16において、ソーラー屋根瓦2の間を流れることが可能である。このソーラー屋根瓦2の後ろを循環する空気の流れ26は、ソーラー屋根瓦2から熱を奪って持ち去る。
【0044】
この第2変形例では、
図7に示すように、水還流ストッパ24は、ソーラー屋根瓦2の水平外縁22に隣接する面に配置される。示されている変形例では、水還流ストッパ24は、三角形の断面を有するゴムストリップであり、ソーラー屋根瓦を、その上方に取り付けられた保持手段1の下端15に接続する。
【0045】
図5には、本開示による保持手段1の第4の変形例の載置部6にその長手方向の外縁8の1つとともに設置されている通常の屋根瓦23を示す。載置部6と通常の屋根瓦23は、ラビリンス型シーリングにより水密となるように連結する。通常の屋根瓦23とソーラー屋根瓦2とは、長手方向xにおいて同様の長さを有する。通常の屋根瓦23に隣接して、載置部6は、長手方向xへの滑りに対して長方形梁の下端15に配置されたフック19により固定されたソーラー屋根瓦2を保持する。
【0046】
図6に、本開示による保持手段1を介してそのバテン9、10に取り付けられたソーラー屋根瓦2を有する傾斜屋根11を示す。ソーラー屋根瓦2は、保持手段1のフック19に加えて、上方に位置する保持手段1のオーバーハング部16によってさらに固定されていることが見てとれる。ソーラー屋根瓦2とその上方に位置するオーバーハング部16との間に、短冊状の封止部品21が配置される。封止部品21はさらに、ソーラー屋根瓦2とその上方の保持手段1との間のスペーサーとして機能する。さらに見てとれるように、保持手段1は、第1上部バテン9および第2下部バテン10によって画定される平面に対して、ソーラー屋根瓦2から傾斜させた載置部6を提供する。
【0047】
図9から
図12に示すように、前述の説明は、同様に有利な方法で保持手段1の第4変形例および第5変形例に適用される。しかしながら、これらの変形例は、少なくとも1つのソーラー屋根瓦2が保持手段1に取り付けられているという点で異なる。ここで、1つの保持手段1および1つのソーラー屋根瓦2は、好ましくは、傾斜屋根11の1つの建築区画を形成する。ソーラー屋根瓦2と保持手段1との接続は、機械的な接続手段により行うことができるが、その接続は、好ましくは接着剤を用いて行われる。接着剤を使用することの1つの利点は、接着剤を載置部6および/または長方形梁3に沿って塗布することで水密封止を達成し得るところにある。保持手段1は、典型的には、少なくとも1つの固定部品18を含み、第4変形例では、保持手段1は、保持手段1の載置部6により取付位置に支持される隣の瓦を固定する1つのフック19を備える。
【0048】
図11および
図12に示されるように、保持手段1の第5変形例は、通常、2つの固定部品18を備え、これらは、取り付けられた状態で、ソーラー屋根瓦の表面に取り付けられた関連する固定部品18´と相互接続する。第5変形例では、固定部品18は、長方形梁3から垂直に延在し、そして、本質的に長手方向xと直交する。関連する固定部品18´は、形状固定方式で取り付けられた状態の固定部品18と連動する。また、関連する固定部品18´は、本質的にL字型の受け側の切り欠きとして形成可能であり、固定部品18は、切り欠きと係合するために本質的に棒状にし得る。(関連する)固定部品18´は、ソーラー屋根瓦2の表面、特に、取り付けられたバテン9、10に面するソーラー屋根瓦2の表面に取り付けられた本質的にL字型の板状金属に配置可能である。
【0049】
むしろ、本明細書で使用される用語は、限定するものではなく説明するための用語であり、本発明の精神および範囲から逸脱すること無しに様々な変更を行い得ると理解される。
【符号の説明】
【0050】
1 保持手段
2 ソーラー屋根瓦
3 長方形梁
4 第1支持体
5 第2支持体
6 載置部
7 排水路
8 長手方向の外縁(ソ-ラー屋根瓦)
9 第1上部バテン
10 第2下部バテン
11 傾斜屋根
12 第1受け部領域
13 第2受け部領域
14 上端(長方形梁)
15 下端(長方形梁)
16 オーバーハング部
17 リブ
18 固定部品
19 フック
20 接続手段
21 封止部品
22 水平外縁(ソーラー屋根瓦)
23 屋根瓦
24 水還流ストッパ
25 空隙
26 空気の流れ
【国際調査報告】