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特表2023-511871アフィニティークロマトグラフィー用の新規な洗浄緩衝液
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】アフィニティークロマトグラフィー用の新規な洗浄緩衝液
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/22 20060101AFI20230315BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20230315BHJP
   B01D 15/38 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
C07K1/22
C07K1/16
B01D15/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543664
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2021072701
(87)【国際公開番号】W WO2021147857
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/073298
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518330176
【氏名又は名称】ウーシー バイオロジクス アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイクアン
(72)【発明者】
【氏名】パン,チエン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジン
【テーマコード(参考)】
4D017
4H045
【Fターム(参考)】
4D017AA09
4D017BA07
4D017CA12
4D017CA13
4D017CA14
4D017DA03
4D017EB10
4H045AA30
4H045EA61
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、2)ヒスチジンまたはイミダゾール、およびpH調整剤を含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄すること、を含む、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法であって、以下のステップ:
1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、
2)式(I):
【化1】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物、およびpH調整剤を含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄することを含む、方法。
【請求項2】
化合物が、ヒスチジンまたはイミダゾールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法であって、以下のステップ:
1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、
2)セリンおよび/またはシステイン、およびpH調整剤を含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄すること、
を含む、方法。
【請求項4】
アフィニティークロマトグラフィーが、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
pH調整剤が、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス-HClの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
洗浄緩衝液の体積中の化合物のモル質量のパーセンテージが、約100mM以上、好ましくは、約100mM~約1Mであり、より好ましくは、約300mM~約700mMである、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
洗浄緩衝液のpHが、約pH5.5以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ステップ2)の後の溶出ステップをさらに含まない、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
タンパク質サンプルが、Fcドメインを含む抗体であるか、または融合タンパク質であり、好ましくは、融合タンパク質が、Fc融合タンパク質またはHAS融合タンパク質である、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
Fc融合タンパク質が、目的のペプチドまたはタンパク質に結合したIgGのFcドメインで構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
HAS融合タンパク質が、目的のペプチドまたはタンパク質に結合したHASで構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
不純物が、宿主細胞タンパク質(HCP)を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するための、少なくとも1つの式(I):
【化2】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物およびpH調整剤を含む、組成物またはキットであって;好ましくは化合物がヒスチジンまたはイミダゾールである、組成物またはキット。
【請求項14】
アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するための、セリンおよび/またはシステインおよびpH調整剤を含む、組成物またはキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、タンパク質サンプルを精製するときに不純物を除去する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインAクロマトグラフィーは、プロテインAリガンドとモノクローナル抗体の間の特異的な相互作用により、一般的に、非常に効果的な精製ステップと見なされている。この理由から、バイオ医薬品の純度要件を満たすために、その後の研磨カラムを使用した直接捕捉ステップのために日常的に使用されている。この最初のステップでは、プロテインA樹脂の高い選択性により、ほとんどの非標的タンパク質がフロースルーに残る。しかしながら、宿主細胞タンパク質(HCP)、高分子量(HMW)、低分子量(LMW)などの特定の不純物は、標的タンパク質とともにカラム内に残る可能性がある。下流プロセスでの不純物除去のための最も効果的な単位操作として、プロテインAクロマトグラフィーは清澄化された媒体中のHCPの>90%を除去することができる。したがって、アフィニティークロマトグラフィーのステップ中に不純物の除去を最適化することが特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不純物のうち、HCPは、有機体によって生成またはコード化されたものであり、意図された組換え製品とは無関係である。HCPは、プロセス関連不純物の主要なクラスを形成し、低レベルでも、バイオ医薬品の安全性と有効性を損なう可能性がある。安全上の懸念に加えて、HCPの存在は製品の品質にも影響を与えることが知られている。HCPは安全性と有効性の両方の問題を引き起こすため、下流のプロセスで可能な限り完全に除去することが望ましい。
【0004】
疎水性電解質(たとえば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリドまたはテトラブチルアンモニウムクロリド、pH 5.0~7.0にて)、溶剤(たとえば、5~20%イソプロパノールまたはポリプロピレン/ヘキシレングリコール)、尿素(たとえば、1~4Mの濃度で)、洗剤(たとえば、0.1~1%PS20またはPS80)、ポリマー(たとえば、PEG400またはPEG8000などの5~15%ポリエチレングリコール)または0.8~2.0Mの濃度および5.0~7.0のpHでのトリス-HCl、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩またはクエン酸塩緩衝液などなどの高濃度の緩衝液を含む洗浄液などの、プロテインAカラムから不純物を除去するためのさまざまな洗浄液が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の概要
1つの態様では、本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法であって、以下のステップ:
1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、
2)式(I):
【化1】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物、およびpH調整剤を含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄することを含む、方法を提供する。
【0006】
1つの実施形態では、化合物は、ヒスチジンまたはイミダゾールである。
【0007】
本開示は、また、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法であって、以下のステップ:
1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、
2)セリンおよび/またはシステイン、およびpH調整剤を含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄すること、
を含む、方法を提供する。
【0008】
1つの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される。
【0009】
1つの実施形態では、pH調整剤は、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはトリス-HClを含む。
【0010】
1つの特定の実施形態では、洗浄緩衝液の体積中の化合物のモル質量のパーセンテージは、約100mM以上、好ましくは、約100mM~約1Mであり、より好ましくは、約300mM~約700mM、たとえば、約100mM、約200mM、約300mM、約400mM、約500mM、約600mM、約700mM、約800mM、約900mM、または約1Mである。
【0011】
1つの特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは、約pH5.5以下、たとえば、約pH5.0、約pH4.5、約pH4.0、約pH3.5である。
【0012】
もう1つの実施形態では、上記の方法は、ステップ2)の後の溶出ステップを含まない。
【0013】
1つの特定の実施形態では、タンパク質サンプルは、抗体、たとえば、モノクローナル抗体、または融合タンパク質である。融合タンパク質は、プロテインAによって認識可能なFcドメインを含むFc融合タンパク質である。Fc融合タンパク質は、目的のペプチドまたはタンパク質に結合したIgGのFcドメインで構成される。別の特定の実施形態では、融合タンパク質は、HAS(ヒト血清アルブミン)融合タンパク質である。HAS融合タンパク質は、目的のペプチドまたはタンパク質に結合したHASで構成される。
【0014】
1つの特定の実施形態では、不純物は、宿主細胞タンパク質(HCP)を含む。
【0015】
もう1つの態様では、本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するための組成物であって、少なくとも1つの式(I):
【化2】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物を含む、組成物を提供する。
【0016】
1つの実施形態では、R1はHであり、化合物はイミダゾールである。
【0017】
1つの実施形態では、R1は、カルボキシおよびアミノによって置換されるC3アルキルである。
【0018】
1つの実施形態では、化合物は、ヒスチジンまたはイミダゾールである。
【0019】
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するための組成物であって、セリンおよび/またはシステインを含む、組成物を提供する。
【0020】
1つの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される。
【0021】
1つの実施形態では、pH調整剤は、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはトリス-HClを含む。
【0022】
もう1つの態様では、本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するためのキットであって、式(I):
【化3】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物、セリンまたはシステインを含む組成物を含む、キットを提供する。
【0023】
1つの実施形態では、R1はHであり、化合物はイミダゾールである。
【0024】
1つの実施形態では、R1は、カルボキシおよびアミノによって置換されるC3アルキルである。
【0025】
1つの実施形態では、化合物は、ヒスチジンまたはイミダゾールである。
【0026】
1つの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される。
【0027】
1つの実施形態では、キットは、pH調整剤をさらに含む。
【0028】
1つの実施形態では、pH調整剤は、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはトリス-HClを含む。
【0029】
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための洗浄液の調製における前述の組成物の使用を提供する。
【発明の効果】
【0030】
特徴および利点
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーのための効率的でロバストな洗浄液を提供する。洗浄液は、ヒスチジンまたはイミダゾール(芳香族複素環、ヒスチジンの官能基)の存在を特徴とし、生成物の回収を損なうことなく、溶出ステップの前の洗浄ステップに適用される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な記載
本開示をより容易に理解できるようにするために、特定の用語を最初に定義する。追加の定義は、詳細な説明全体に記載される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【0032】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、「1つのポリペプチド」への言及は、2つまたはそれ以上のポリペプチド組み合わせなどを含む。
【0033】
量、時間的持続などの測定可能な値を意味する場合に本明細書で使用される「約」は、開示された方法を実行するために、そのような変動が適切であるように、指定された値から±5%、±1%、および±0.1%を含む、±20%または±10%の変動を包含することを意味する。
【0034】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の試験の実施に使用することができるが、好ましい材料および方法は、本明細書に記載される。本開示を説明および主張する際に、以下の用語が使用される。
【0035】
本開示で使用される「タンパク質サンプル」という用語は、プロテインAによって認識可能なFcドメインを含むタンパク質を意味する。このようなタンパク質は、抗体およびFc融合タンパク質を含む。抗体は、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体でありうる。抗体は、単一特異性、二重特異性または多重特異性でありうる。抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体でありうる。抗体は、天然抗体または組換え抗体でありうる。Fc融合タンパク質は、抗体のFcドメインと、遺伝的に関係がある活性タンパク質で構成される。
【0036】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを意味するために本明細書で交換可能で使用される。ポリペプチドは、天然(組織由来)起源、原核生物または真核生物の細胞調製物からの組換えまたは天然発現、あるいは合成法を介して化学的に作成されうる。この用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび非天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物を意味する。非天然残基は、科学文献および特許文献に詳しく説明されている;天然アミノ酸残基の模倣物として有用ないくつかの例示的な非天然組成物およびガイドラインを以下に記載する。芳香族アミノ酸の模倣物は、たとえば、D-またはL-ナフィルアラニン;D-またはL-フェニルグリシン;D-またはL-2 チエネイルアラニン(thieneylalanine);D-またはL- 1、2、3-または4-ピレネイルアラニン(pyreneylalanine);D-またはL-3 チエネイルアラニン;D-またはL-(2-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(3-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(2-ピラジニル)-アラニン;D-またはL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルアラニン;D-p-フルオロ-フェニルアラニン;D-またはL-p-ビフェニルフェニルアラニン;K-またはL-p-メトキシ-ビフェニルフェニルアラニン;D-またはL-2-インドール(アルキル)アラニン;およびD-またはL-アルキルアイニン(alkylainine)によって置き換えることによって生成することができ、ここで、アルキルは、置換または非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、セクイソチル、イソペンチル、または非酸性アミノ酸でありうる。非天然アミノ酸の芳香環には、たとえば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジル芳香環が含まれる。
【0037】
本明細書で使用される「ペプチド」は、本明細書で具体的に例示されるそれらのペプチドの保存的変異体であるペプチドを含む。本明細書で使用される「保存的変異」は、アミノ酸残基を、別の、生物学的に類似した残基で置き換えることを意味する。保存的変異の例として、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、システイン、グリシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、ノルロイシンまたはメチオニンなどの別の残基への置換、あるいはアルギニンのリシンへの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸への置換、またはグルタミンのアスパラギンへの置換などの1つの極性残基の別の残基への置換が挙げられるが、これらに限定されない。互いに置換することができる中性の親水性アミノ酸には、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびスレオニンが含まれる。「保存的変異」はまた、置換ポリペプチドに対して産生された抗体が、非置換ポリペプチドとも免疫反応するという条件で、非置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用することを含む。そのような保存的置換は、本開示のペプチドのクラスの定義の範囲内である。本明細書で使用される「カチオン性」は、pH7.4にて正味の正電荷を有する任意のペプチドを意味する。ペプチドの生物学的活性は、当業者に知られており、本明細書に記載されている標準的な方法によって決定することができる。
【0038】
本開示で使用される「Fcドメイン」という用語は、抗体のフラグメント結晶化可能領域を意味する。Fcドメインは抗体の重鎖の定常ドメインに由来する。「Fcドメイン」はプロテインAによって認識および結合することができる。
【0039】
1つの実施形態では、タンパク質は、抗原結合タンパク質である。1つの実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体である。1つの実施形態では、抗体は、IgGクラスである1つの実施形態では、原結合タンパク質は免疫グロブリン単一可変ドメインである。
【0040】
本開示において使用することができる例示的抗体として、アダリムマブ、ベズロトクスマブ、アベルマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、オクレリズマブ、ブロダルマブ、レスリズマブ、オララツマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、ネシツムマブ、インフリキシマブ、オビルトキサキシマブ、アテゾリズマブ、セクキヌマブ、メポリズマブ、ニボルマブ、アリロクマブ、エボロクマブ、ジヌツキシマブ、ベバシズマブ、ペンブロリズマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、シルツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、インフリキシマブ、オビヌツズマブ、ブレンツキシマブ、ラキシバクマブ、ベリムマブ、イピリムマブ、デノスマブ、オファツムマブ、ベシレソマブ、トシリズマブ、カナキヌマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、セルトリズマブ、カツマキソマブ、エクリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、ナタリズマブ、カツマキソマブ、ベバシズマブ、オマリズマブ、セツキシマブ、エファリズマブ、イブリツモマブ、ファノレソマブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、インフリキシマブ、パリビズマブ、ネシツムマブ、バシリキシマブ、リツキシマブ、カプロマブ、サツモマブ、ムロモナブなどが挙げられる。
【0041】
本開示において使用することができる例示的融合タンパク質として、エタネルセプト、アレファセプト、アバタセプト、リロナセプト、ロミプロスチム、ベラタセプト、アフリベルセプトなどが挙げられる。
【0042】
「クロマトグラフィー」という用語は、目的の分析物(たとえば、免疫グロブリンなどのFcドメインを含むタンパク質)を混合物中に存在する他の分子から分離する任意の種類の技術を意味する。通常、対象の分析物は、移動相の影響下で、または結合および溶出プロセスにおいて、混合物の個々の分子が静止媒体を通って移動する速度の違いの結果として、他の分子から分離される。
【0043】
本開示で使用される「プロテインA」という用語は、天然の供給源から回収されたプロテインA、合成的に(たとえば、ペプチド合成または組換え技術によって)産生されたプロテインA、およびその機能的変異体を包含する。プロテインAは、Fcドメインに対して高い親和性を示す。プロテインAは、Repligen、Pharmacia、およびFermatechから購入することができる。プロテインAは、一般に、固相支持材料上に固定化される。「プロテインA」という用語はまた、プロテインAが共有結合しているクロマトグラフィー固体支持体マトリックスを含むアフィニティークロマトグラフィー樹脂またはカラムを意味する。
【0044】
「緩衝液」は、その酸塩基共役成分の作用によってpHの変化に抵抗する溶液である。たとえば、緩衝液の所望のpHに応じて使用することができるさまざまな緩衝液は、"Buffers. A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems、Gueffroy、D.、ed. Calbiochem Corporation、1975"に記載されている。請求された開示の方法のいくつかのステップにおいて、緩衝液は、2.0~4.0の範囲、または2.8~3.8の範囲のpHを有する。請求された開示の他のステップにおいて、緩衝液は、5.0~9.0の範囲のpHを有する。請求された開示の他のステップにおいて、緩衝液は、4.0~6.5の範囲のpHを有する。請求された開示の方法のさらに他のステップにおいて、緩衝液は、4.0よりも低いpHを有する。この範囲のpHを制御する緩衝液の非限定的な例として、MES、MOPS、MOPSO、トリス、HEPES、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびアンモニウム緩衝液、ならびにこれらの組成物が挙げられる。「pH調整剤」という用語は、水溶液中で約1.0~約14.0の間の選択されたpHを生成することができる緩衝液である。pH調整剤は、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはトリス-HClでありうる。
【0045】
「洗浄緩衝液」という用語は、サンプルのロード後および溶出前にクロマトグラフィーカラムを洗浄するために使用される緩衝液を意味する。
【0046】
「溶出緩衝液」という用語は、固相から標的タンパク質を溶出するために使用される緩衝液を意味する。溶出緩衝液の導電率および/またはpHは、通常、標的タンパク質がクロマトグラフィー樹脂から溶出されるような値である。
【0047】
材料
酢酸ナトリウム三水和物、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムは、Merck (Darmstadt、ドイツ)から購入した。酢酸、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン一塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩、L-システイン、セリン、プロリンおよび塩酸(6.0N溶液)は、J. T. Baker、Millipore (Bedford、MA、アメリカ)から購入した。イミダゾールは、Sigma (Saint Louis、アメリカ)から購入した。
【0048】
装置
Unicornソフトウェアバージョン6.3(GE Healthcare、Uppsala、スウェーデン)がインストールされたAKTA pure 150システムを、すべてのクロマトグラフィー分析に使用した。pHおよび導電率は、SevenExcellence S470 pH/導電率計(Mettler-Toledo、Columbus、OH、アメリカ)を使用して測定した。NanoDrop One分光光度計(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、米国)を使用してタンパク質濃度を測定した。SEC-HPLC分析には、Agilent 1260液体クロマトグラフィー機器(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、米国)を使用した。
【0049】
方法
プロテインA/カプトブルークロマトグラフィー
エシュムノA(プロテインAアフィニティー培地)/カプトブルー(high-sub)を直径0.5cmのカラムに詰め、ベッドの高さを15cmにした。カラム容量(CV)は約3mlである。ロードは、明らかにされた培養収穫物である。すべての実行で、カラムがロードされ、結合-溶出モードで実行された。標的タンパク質を溶出緩衝液で溶出した。すべての分析で、サンプルをロードした後、溶出前に3CVのカラムを異なる緩衝液で洗浄した。すべてのクロマトグラフィー分析について、システムは、180cm/時間の流速で実行された(滞留時間:5分)。すべてのクロマトグラムは、280nmでのUV吸光度をモニターすることによって記録された。選択した実行からの溶出液をフラクションで集め、SEC-HPLCでモノマー純度、HCPおよび/またはPLBL2アッセイを分析した。
【0050】
サイズ排除クロマトグラフィー-高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)
すべてのサンプルは、Tosoh TSKgel G3000SWxlステンレス鋼カラム(7.8 x 300mm)を使用して分析した。1回の実行ごとに100μgのサンプルを注入した。移動相は、pH6.8の50mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウムから構成された。各サンプルを1.0mL/分の流速で20分間アイソクラティックに溶出した。タンパク質の溶出を、280nmでのUV吸光度によってモニターした。モノマーと凝集体に対応するピークを統合して、各種のパーセンテージを計算した。
【0051】
宿主細胞タンパク質(HCP)アッセイ
残留CHO宿主細胞タンパク質の測定は、Cygnus TechnologiesのCHO Host Cell Proteins F550キットを使用して行う。CHO HCPを含むサンプルは、HRP標識抗CHO抗体と同時に反応し、マイクロタイターストリップ中で、コーティングされた抗CHO抗体を捕捉する。免疫反応は、固相抗体-HCP-酵素標識抗体のサンドイッチ複合体の形成をもたらす。次に、基質、TMBは、HRPと反応する。反応を終了し、450nmおよび650nmのOD値を読み取る。決定されたOD値は、サンプルに存在するCHO HCPの濃度に正比例して、サンプルに存在する残留CHO宿主細胞タンパク質のレベルを決定する。
【0052】
ハムスターホスホリパーゼB様2(PLBL2)アッセイ
サンプルは、MyBioSourceのハムスターホスホリパーゼB様(PLBL2)ELISAキットを使用して分析される。このアッセイでは、サンプルに存在するPLBL2は、ポリスチレンマイクロタイターウェルの表面に吸着された抗PLBL2抗体と反応する。洗浄により未結合のタンパク質を除去した後、検出抗体、ビオチン結合抗PLBL2を添加し、複合体を形成させる。洗浄ステップに続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジンを添加し、複合体を形成させる。別の洗浄ステップに続いて、複合体を、TMBの添加によってアッセイする。試験サンプル中のPLBL2の量は、標準から作成された標準曲線から補間し、サンプル希釈に対して補正することができる。
【0053】
方法
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法であって、以下のステップ:
1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、
2)少なくとも1つの式(I):
【化4】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物およびpH調整剤を含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄すること、
を含む、方法を提供する。
【0054】
1つの実施形態では、化合物は、ヒスチジンおよび/またはイミダゾールである。
【0055】
本開示は、また、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための方法であって、以下のステップ:
1)アフィニティークロマトグラフィーカラムにタンパク質サンプルをロードすること、
2)セリンおよび/またはシステインを含む洗浄緩衝液でカラムを洗浄すること、
を含む、方法を提供する。
【0056】
1つの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される。
【0057】
1つの実施形態では、pH調整剤は、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはトリス-HClを含む。
【0058】
1つの特定の実施形態では、洗浄緩衝液の体積中の化合物のモル質量のパーセンテージは、約100mM以上であり、好ましくは、約100mM~約1Mであり、より好ましくは、約100mM~約900mM、100mM~約800mM、100mM~約700mM、100mM~約600mM、100mM~約500mM、100mM~約400mM、100mM~約300mM、100mM~約200mM、200mM~約1M、300mM~約1M、400mM~約1M、500mM~約1M、600mM~約1M、700mM~約1M、800mM~約1M、900mM~約1M、250mM~約750mM、または500mMである。
【0059】
1つの特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは、約pH5.5以下、pH5以下、pH4.5以下、pH4以下、pH3.5以下、pH3以下である。
【0060】
もう1つの実施形態では、上記の方法は、ステップ2)の後の溶出ステップを含まない。
【0061】
1つの特定の実施形態では、タンパク質サンプルは、抗体、たとえば、モノクローナル抗体、または融合タンパク質である。融合タンパク質は、プロテインAによって認識可能なFcドメインを含むFc融合タンパク質である。Fc融合タンパク質は、目的のペプチドまたはタンパク質に結合したIgGのFcドメインで構成される。別の特定の実施形態では、融合タンパク質は、HAS(ヒト血清アルブミン)融合タンパク質である。HAS融合タンパク質は、目的のペプチドまたはタンパク質に結合したHASで構成される。
【0062】
1つの特定の実施形態では、不純物は、宿主細胞タンパク質(HCP)を含む。
【0063】
組成物
もう1つの態様では、本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するための組成物であって、少なくとも1つの式(I):
【化5】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物を含む、組成物を提供する。1つの実施形態では、R1はHであり、化合物はイミダゾールである。1つの実施形態では、R1は、カルボキシおよびアミノによって置換されるC3アルキルである。1つの実施形態では、化合物は、ヒスチジンおよび/またはイミダゾールである。
【0064】
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するのに使用するための組成物であって、セリンおよび/またはシステインを含む、組成物を提供する。
【0065】
1つの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される。
【0066】
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するための洗浄液の調製における前述の組成物の使用を提供する。
【0067】
キット
もう1つの態様では、本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するためのキットであって、式(I):
【化6】
式(I)
[式中、R1は、HまたはC1-6アルキルであり;ここで、C1-6アルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、アミノ、ハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換される]
で示される化合物を含む組成物を含む、キットを提供する。1つの実施形態では、R1はHであり、化合物はイミダゾールである。1つの実施形態では、R1は、カルボキシおよびアミノによって置換されるC3アルキルである。1つの実施形態では、化合物は、ヒスチジンまたはイミダゾールである。1つの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィー、カプトブルー(High Sub)クロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、ラムダFabセレクトクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、lgセレクトクロマトグラフィー、ブルーセファロースクロマトグラフィー、カプトヘパリンクロマトグラフィー、VIIセレクトクロマトグラフィー、VIIIセレクトクロマトグラフィー、XセレクトクロマトグラフィーおよびカプトLクロマトグラフィーから選択される。1つの実施形態では、キットは、pH調整剤をさらに含む。1つの実施形態では、pH調整剤は、NaAcおよび/またはHAcなどの酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはトリス-HClを含む。
【0068】
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製における不純物除去を改善するためのキットであって、セリンおよび/またはシステインを含む、キットを提供する。
【実施例
【0069】
実施例1:ヒスチジン洗浄液と他の洗浄液の比較
米国特許第6,090,382号に開示されている抗hTNFαを発現するcDNA配列を、それぞれブラストサイジンおよびゼオシン耐性マーカーを含む2つのベクターにクローン化した。リポソームを用いて安定したトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、プール選択のために細胞を選択培地(9μg/mLのブラストサイジンと400μg/mLのゼオシンを含むCDCHO培地)で継代した。プール選択の約2週間後、プールをFACSソーティングによってクローン化した。クローンを、スピンチューブでの流加培養によってスクリーニングした。選択した細胞クローンを培養し、抗hTNFαIgG4を含む細胞培養物から収穫物を清澄化する。
【0070】
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4(抗hTNFα)を含む細胞培養物から清澄化された収穫物からの不純物の除去に対するヒスチジン含有洗浄液の効果が評価される。具体的には、3つの洗浄液を比較する:1つはpH5.5で1M NaClを含み、2つ目はpH5.5で0.5Mヒスチジンを含み、3つ目はpH5.5で0.5Mアルギニンを含む。
【0071】
IgG4を含む細胞培養上清からの清澄化した収穫物を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、以下の表1に記載の条件に従って精製する。最大容量は、30g/Lである。
【表1】
【0072】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、表2に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を表2に示す。
【表2】
【0073】
3つの異なる洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
表3に示されるように、結果は、異なる洗浄2の溶液が、生成物のより高い回収率を維持しながら、工程収率および総計レベルに影響を及ぼさないことを示す。また、NaCl洗浄液は対照と比較してHCPの有意な減少を示さなかったことに留意すべきである。しかしながら、ヒスチジンおよびアルギニン洗浄液は、NaCl洗浄および対照と比較して、有意なHCPおよびPLBL2除去を示した。さらに、ヒスチジンは、アルギニン溶液によるHCP除去において同様の能力を示したが、ヒスチジン洗浄はまだ報告されていまない。具体的には、ヒスチジン洗浄により、>95%の許容可能な回収率が得られ、対照と比較して、HCPが2.5分の1に減少する。
【0076】
実施例2:洗浄液のさまざまなヒスチジン濃度の比較
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4含有細胞培養物からの不純物の除去に対するヒスチジン含有洗浄液の濃度効果を調査する。洗浄2の溶液中の4つの異なる濃度のヒスチジンを比較する。
【0077】
IgG4を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、以下の表2に記載の条件に従って精製する。
【0078】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、下記表5に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表4に示す。
【表4】
【0079】
4つの異なる濃度のヒスチジン含有洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表5に示す。
【表5】
【0080】
表5に示されるように、結果は、ヒスチジン含有洗浄液が、非ヒスチジン含有洗浄液と比較して、収率に影響を及ぼさないことを示す。また、ヒスチジン溶液が、HCPとPLBL2の除去に効果的であることは明らかである。洗浄液のヒスチジン濃度が高いほど、溶出液プール内のHCPとPLBL2が低くなる。具体的には、ヒスチジン含有洗浄液を700mMの高濃度で使用すると、pH5.5の非ヒスチジン含有緩衝液と比較して、HCPが3分の1に減少し、PLBL2が少なくとも4分の1に減少する。
【0081】
実施例3:洗浄液中のさまざまなイミダゾール濃度の比較
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4含有細胞培養物からの不純物の除去に対するイミダゾール含有洗浄緩衝液の濃度効果を調査する。具体的には、4つの異なる濃度の洗浄液を比較する。
【0082】
IgG4を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、表6に記載の条件に従って精製する。
【表6】
【0083】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、下記表7に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を表8に示す。
【表7】
【0084】
4つの異なる濃度のヒスチジン含有洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表8に示す。
【表8】
【0085】
表8に示されるように、結果は、イミダゾール含有洗浄液が、非イミダゾール含有洗浄液と比較して、工程収率に影響を及ぼさないことを示す。また、イミダゾール溶液が、HCPとPLBL2の除去に効果的であることは明らかである。洗浄液のイミダゾール濃度が高いほど、溶出液プール内のHCPが低くなる。具体的には、イミダゾール含有洗浄液を700mMの高濃度で使用すると、pH5.5の非イミダゾール含有緩衝液と比較して、HCPが3分の1に減少し、PLBL2が少なくとも4分の1に減少する。最後の表に示したデータと比較すると、イミダゾール(芳香族複素環、ヒスチジンの官能基)がヒスチジンよりもHCPの除去に効率的であることが明らかである。
【0086】
実施例4:ヒスチジン含有洗浄液の酸性から塩基性および生理学的pHの比較
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4含有細胞培養物からの不純物の除去に対するイミダゾール含有洗浄緩衝液のpH効果を調査する。具体的には、4つの異なるpHの洗浄液を比較する。
【0087】
IgG4を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、下記表9に記載の条件に従って精製する。
【表9】
【0088】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、下記表10に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表10に示す。
【表10】
【0089】
3つの異なるpHのヒスチジン含有洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表11に示す。
【表11】
【0090】
表11に示されるように、pHを酸性(pH 5.0)から塩基性(pH 9.0)に変えることは、非ヒスチジン含有洗浄液と比較して、収率および総計レベルに影響を及ぼさない。また、ヒスチジン系溶液が、低pHでHCPの除去に有意に効果的であることは明らかであり、このことは、アフィニティークロマトグラフィーのための酸性pHでのヒスチジン含有洗浄液の有効性を強調する。さらに、この場合、ヒスチジン単独で目的のHCP除去が得られ、低pHの組成物でのみ有効であることは明らかである。
【0091】
実施例5:イミダゾール含有洗浄緩衝液の酸性から塩基性および生理学的pHの比較
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4含有細胞培養物からの不純物の除去に対するイミダゾール含有洗浄緩衝液のpH効果を調査する。具体的には、4つの異なるpHの洗浄液を比較する。
【0092】
IgG4を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、表12に記載の条件に従って精製する。
【表12】
【0093】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、下記表14に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表13に示す。
【表13】
【0094】
3つの異なるpHのヒスチジン含有洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表14に示す。
【表14】
【0095】
表14に示されるように、pHを酸性(pH 5.0)から塩基性(pH 9.0)に変えることは、非イミダゾール含有洗浄液と比較して、収率および総計レベルに影響を及ぼさない。また、イミダゾール系溶液が、低pHでHCPの除去に有意に効果的であることは明らかであり、このことは、アフィニティークロマトグラフィーのための酸性pHでのイミダゾール含有洗浄液の有効性を強調する。さらに、この場合、イミダゾール単独で目的のHCP除去が得られ、低pHの組成物でのみ有効であることは明らかである。
【0096】
実施例6:ヒスチジン洗浄液と他のアミノ酸洗浄液の比較
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4含有細胞培養物からの不純物の除去に対するヒスチジン含有洗浄緩衝液の効果を評価する。具体的には、7つの洗浄液を比較する。
【0097】
IgG4を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、表15に記載の条件に従って精製する。
【表15】
【0098】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、表16に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表17に示す。
【表16】
【0099】
7つの異なる洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表17に示す。
【表17】
【0100】
表17に示されるように、結果は、ヒスチジンとアルギニンが対照と比較して有意なHCP除去を示したことを実証する。さらに、システインとセリンも対照と比較してHCP除去を示した。
【0101】
実施例7:二重特異性抗体のための異なる洗浄液の比較
WO 2019/057124A1に開示されている二重特異性抗CD3×CD19抗体を発現するcDNA配列を、それぞれブラストサイジンおよびゼオシン耐性マーカーを含む2つのベクターにクローン化した。リポソームを使用して安定したトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、ミニプール選択のために、細胞を96ウェルプレートの選択培地(9 μg/mLブラストサイジンと400μg/mLゼオシンを含むCD CHO培地)にプレーティングした。ミニプール選択の約2週間後、高生産性ミニプールを個別に拡張した。ミニプールは、1ラウンドのFACSによってクローン化され、クローンは、スピンチューブ内の流加培養によってスクリーニングされた。選択された細胞クローンを培養し、二重特異性抗CD3×CD19抗体を含む細胞培養物から収穫物を清澄化した。
【0102】
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中の二重特異性抗体含有細胞培養物からの不純物の除去に対するヒスチジン/イミダゾール含有洗浄緩衝液の効果を評価する。
【0103】
二重特異性抗体を含む清澄化した細胞培養上清をろ過によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、下記表18に記載の条件に従って精製する。
【表18】
【0104】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、表19に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表19に示す。
【表19】
【0105】
異なる洗浄液を使用した二重特異性抗体のプロテインA精製の工程性能を下記表20に示す。
【表20】
【0106】
表20に示されるように、結果は、異なる洗浄2の溶液が、生成物の高い回収率を維持しながら、工程収率および総計レベルに影響を及ぼさないことを示す。さらに、500mMの濃度のヒスチジン含有洗浄液を使用すると、対照と比較して、HCPが2.5分の1に減少し、PLBL2が2分の1に減少する。
【0107】
実施例8:ヒスチジン/イミダゾール洗浄液と他の洗浄液の比較
PD1を標的とするモノクローナル抗体(キイトルーダ)を発現するcDNA配列は、特許出願番号WO2008/156712Aに開示されている。VEGFを標的とする融合タンパク質アイリーアを発現するためのcDNA配列は、米国特許第7,070,959B1号に開示されている。cDNA配列を、それぞれブラストサイジンおよびゼオシン耐性マーカーを含む2つのベクターにクローン化した。リポソームを使用して安定したトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、プール選択のために、細胞を選択培地(9 μg/mLブラストサイジンと400μg/mLゼオシンを含むCD CHO培地)に継代した。プール選択の約2週間後、プールをFACSソーティングによってクローン化した。クローンは、スピンチューブ内の流加培養によってスクリーニングされた。選択された細胞クローンを培養し、抗PD1 IgG4または抗VEGF融合タンパク質を含む細胞培養物から収穫物を清澄化した。
【0108】
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中の抗PD1 IgG4または抗VEGF融合タンパク質含有細胞培養物からの不純物の除去に対するイミダゾール含有洗浄緩衝液の効果を評価する。具体的には、4つの洗浄液を比較する:1つはpH5.5の1MNaClを含み、2つ目はpH 5.5の0.5Mヒスチジンを含み、3つ目はpH 5.5の0.5Mアルギニンを含み、4つ目はpH5.5の0.5Mイミダゾールを含む。
【0109】
抗PD1 IgG4または抗VEGF融合タンパク質を含む細胞培養上清からの清澄化した収穫物を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、以下の表21に記載の条件に従って精製する。最大容量は、抗PD1 IgG4について30g/L、および抗VEGF融合タンパク質について19 g/Lである。
【表21】
【0110】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、表22または23に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表22または23に示す。
【表22】
【表23】
【0111】
4つの異なる洗浄液を使用した抗PD1 IgG4および抗VEGF融合タンパク質のプロテインA精製の工程性能をそれぞれ下記表24および25に示す。
【表24】
【表25】
【0112】
表24および25に示されるように、結果は、異なる洗浄2の溶液が、生成物の高い回収率を維持しながら、工程収率および総計レベルに影響を及ぼさないことを示す。また、NaCl洗浄は、対照と比較して、HCPの有意な減少を示さなかったことに留意すべきである。しかしながら、ヒスチジンおよびイミダゾール洗浄液は、NaCl洗浄および対照と比較して、有意なHCP除去を示した。さらに、ヒスチジンとイミダゾールは、アルギニン溶液によるHCP除去において同様の能力を示した。
【0113】
実施例9:HSA(ヒト血清アルブミン)融合タンパク質のための異なる洗浄液の比較
米国特許出願第15/557358号(配列番号:145を参照)に開示される抗CD40 HSA融合タンパク質を発現するためのcDNA配列をクローン化し、当技術分野で訓練されたものに精通している技術を使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現させた。
【0114】
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のHSA融合タンパク質含有細胞培養物からの不純物の除去に対するヒスチジンまたはイミダゾール含有洗浄緩衝液の濃度およびpH効果を調査する。具体的には、4つのさまざまな濃度の洗浄液(0.1M、0.3M、0.5M、および0.7M)を比較する。
【0115】
HSA融合タンパク質を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離および深層ろ過によって収穫し、ACカラム、特にカプトブルー(High Sub)カラム(1 CV:3mL)を使用して、表26に記載の条件に従って精製する。
【表26】
【0116】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、表27に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、3回目の洗浄、次に、溶出緩衝液で溶出する。溶出液を、UV280によるその濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表27に示す。
【表27】
【0117】
4つの異なる濃度のヒスチジンまたはイミダゾール含有洗浄液を使用したHAS融合タンパク質のカプトブルー精製の工程性能を表28に示す。
【表28】
【0118】
表28に示されるように、結果は、ヒスチジンおよびイミダゾール溶液がHCPの除去に有意に効率的であることを示す。洗浄液のヒスチジンおよびイミダゾール濃度が高いほど、溶出液プールのHCPが低くなる。ヒスチジンまたはイミダゾールを含む洗浄溶液のpHが高いほど、溶出液プールのHCPは低くなるが、工程収率は低くなる。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
化合物のモル濃度が、約100mM以上、好ましくは、約100mM~約1Mであり、より好ましくは、約300mM~約700mMである、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
1つの特定の実施形態では、化合物のモル濃度は、約100mM以上、好ましくは、約100mM~約1Mであり、より好ましくは、約300mM~約700mM、たとえば、約100mM、約200mM、約300mM、約400mM、約500mM、約600mM、約700mM、約800mM、約900mM、または約1Mである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
1つの特定の実施形態では、化合物のモル濃度は、約100mM以上であり、好ましくは、約100mM~約1Mであり、より好ましくは、約100mM~約900mM、100mM~約800mM、100mM~約700mM、100mM~約600mM、100mM~約500mM、100mM~約400mM、100mM~約300mM、100mM~約200mM、200mM~約1M、300mM~約1M、400mM~約1M、500mM~約1M、600mM~約1M、700mM~約1M、800mM~約1M、900mM~約1M、250mM~約750mM、または500mMである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、下記表4に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表4に示す。

【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
実施例4:ヒスチジン含有洗浄液の酸性から塩基性および生理学的pHの比較
この実施例では、アフィニティークロマトグラフィー中のIgG4含有細胞培養物からの不純物の除去に対するヒスチジン含有洗浄緩衝液のpH効果を調査する。具体的には、4つの異なるpHの洗浄液を比較する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
平衡化したカラムに清澄化した収穫物をロードし、最初に洗浄1の溶液で洗浄し、続いて、下記表13に記載されている洗浄2の溶液で2回目の洗浄を行い、次に、低pHで溶出する。溶出液を、UV280による抗体濃度、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるHMW/LMW、および酵素結合免疫吸着測定法によるHCP含有量について分析する。2回目の洗浄のために比較したさまざまな洗浄液を下記表13に示す。
【表13】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
3つの異なるpHのイミダゾール含有洗浄液を使用したモノクローナル抗体のプロテインA精製の工程性能を表14に示す。
【表14】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
IgG4を含む清澄化した細胞培養上清を遠心分離によって収穫し、ACカラム、特にプロテインAカラム(ミリポア、エシュムノA、1 CV:3mL)を使用して、表15に記載の条件に従って精製する。
【表15】

【国際調査報告】