(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】イオン性モノマーをベースとするポリマー、これを含む組成物、これを製造する方法、および電気化学的用途におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 75/30 20060101AFI20230315BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230315BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20230315BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230315BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230315BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230315BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20230315BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230315BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20230315BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230315BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20230315BHJP
C08G 65/334 20060101ALI20230315BHJP
C08G 63/688 20060101ALI20230315BHJP
C08L 81/10 20060101ALI20230315BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20230315BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20230315BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20230315BHJP
H01G 11/56 20130101ALI20230315BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20230315BHJP
G02F 1/1516 20190101ALI20230315BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20230315BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20230315BHJP
H01B 1/12 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
C08G75/30
H01M4/62 Z
H01M4/485
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/48
H01M4/58
H01M4/36 C
H01M10/0565
H01M10/052
H01M10/054
C08G65/334
C08G63/688
C08L81/10
C08L71/02
C08L67/04
C08F299/02
H01G11/56
H01G11/38
G02F1/1516
H01M4/13
H01B1/06 A
H01B1/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544291
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 CA2021050071
(87)【国際公開番号】W WO2021146815
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダイグル, ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ラルーシェ, アニー-ピエ
(72)【発明者】
【氏名】チャレスト, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ジェルフィ, アブデルバスト
(72)【発明者】
【氏名】ドンティニー, マルタン
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ザジブ, カリム
(72)【発明者】
【氏名】ヒンテンナッハ, アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2K101
4J002
4J005
4J029
4J030
4J127
5E078
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB06
4J002CF201
4J002CH051
4J002CN051
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4J029AA01
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4J029AC01
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4J030BA22
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4J030BD01
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4J030BG06
4J127BB031
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4J127BD111
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4J127BF01X
4J127BF141
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4J127BG001
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4J127BG331
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4J127FA35
5E078AA15
5E078AB01
5E078BA41
5E078DA11
5G301CA16
5G301CA17
5G301CD01
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AL03
5H029AM16
5H050AA12
5H050BA15
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA07
5H050CB03
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA08
5H050EA23
5H050FA16
(57)【要約】
本技術は、電気化学的用途、特に電池、エレクトロクロミックデバイスおよびスーパーキャパシタなどの電気化学アキュムレータに使用するための、少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1種の化合物と金属ビス(ハロスルホニル)イミドとの間の反応生成物を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
本技術はまた、ポリマー組成物、固体ポリマー電解質組成物、固体ポリマー電解質、前記イオン性ポリマーを含む電極材料に関する。電気化学セルおよび電気化学アキュムレータにおけるそれらの使用、ならびにその製造プロセスも記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物と式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミド:
【化75】
[式中、
Aは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンオキシC
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから選択される、置換されているまたは非置換の有機基であり、
X
1およびX
2は、ヒドロキシル基、チオール基およびアミン基から独立しておよび出現ごとに選択される官能基であり、
X
3およびX
4は、F、Cl、BrおよびIからそれぞれ独立して選択されるハロゲン原子であり、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンである]
との間の反応生成物を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマー。
【請求項2】
X
3およびX
4が、どちらも塩素原子である、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項3】
M
n+が、Na
+、K
+およびLi
+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンである、請求項1または2に記載のイオン性ポリマー。
【請求項4】
M
n+がLi
+である、請求項3に記載のイオン性ポリマー。
【請求項5】
X
1およびX
2が、どちらもヒドロキシル基である、請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項6】
前記式1の化合物が、グリセロール、アルカンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、エトヘキサジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ポリカプロラクトンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール、およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項5に記載のイオン性ポリマー。
【請求項7】
前記式1の化合物がグリコールである、請求項6に記載のイオン性ポリマー。
【請求項8】
前記式1の化合物がグリセロールである、請求項6に記載のイオン性ポリマー。
【請求項9】
前記式1の化合物が、アルカンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,2-ブタンジアミン、2,3-ブタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,2-ペンタンジアミン、2,4-ジアミノ-2-メチルペンタン、エチレンジアミン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン、1,14-ジアミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、ポリ(エチレングリコール)ジアミン、JEFFAMINE(登録商標)という商標名で市販されているD、EDまたはEDRシリーズの製品、およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項10】
前記式1の化合物が、JEFFAMINE(登録商標)ED-600、ED-900およびED-2003から選択されるJEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品である、請求項9に記載のイオン性ポリマー。
【請求項11】
前記式1の化合物が、式H
2NCH
2CH
2(OCH
2CH
2)
nNH
2[式中、nは、1または2である]のポリ(エチレングリコール)ジアミンである、請求項9に記載のイオン性ポリマー。
【請求項12】
Aが、必要に応じて置換されている直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンであり、前記式1の化合物が、式3:
【化76】
[式中、
X
1およびX
2は、請求項1に定義されている通りであり、
R
1およびR
2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択され、
lは、1~10の範囲の数である]
の化合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項13】
X
1およびX
2が、どちらもヒドロキシル基である、請求項12に記載のイオン性ポリマー。
【請求項14】
R
1およびR
2が、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、フッ素原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択される、請求項12または13に記載のイオン性ポリマー。
【請求項15】
Aが、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレンであり、前記式1の化合物が、式4:
【化77】
[式中、
X
1およびX
2は、請求項1に定義されている通りであり、
mは、1~68の範囲の数である]
の化合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項16】
X
1およびX
2が、どちらもヒドロキシル基である、請求項15に記載のイオン性ポリマー。
【請求項17】
mが、1~10の範囲の数である、請求項15または16に記載のイオン性ポリマー。
【請求項18】
Aが、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリエーテルであり、前記式1の化合物が、式5:
【化78】
[式中、
X
1およびX
2は、請求項1に定義されている通りであり、
R
3、R
4およびR
5は、C
1~C
10アルキル基から独立しておよび出現ごとに選択され、
n、oおよびpは、ポリエーテルの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約220g/mol~約2,000g/molの間となるように選択され、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲内に含まれるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数である]
の化合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項19】
R
3、R
4およびR
5が、メチル基である、請求項18に記載のイオン性ポリマー。
【請求項20】
X
1およびX
2が、どちらもアミン基である、請求項18または19に記載のイオン性ポリマー。
【請求項21】
Aが、ポリカプロラクトンなどの、必要に応じて置換されている脂肪族ポリエステルであり、前記式1の化合物が、式7:
【化79】
[式中、
tおよびuは、1~10の範囲の数である]
の化合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項22】
前記イオン性ポリマーが、式8(a)の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、または式8(b)のポリマーである:
【化80】
[式中、
Aは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンオキシC
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから、独立しておよび出現ごとに選択される、置換されているまたは非置換の有機基であり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子およびNH基からそれぞれ独立して選択され、
R
6は、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基およびR
7-X
5-A-X
6-基から選択され、
R
7は、アクリレート、メタクリレート、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート カルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから独立して出現ごとに選択される、架橋性基であり、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
vは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項23】
M
n+が、Na
+、K
+およびLi
+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンである、請求項22に記載のイオン性ポリマー。
【請求項24】
M
n+がLi
+である、請求項22または23に記載のイオン性ポリマー。
【請求項25】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項22から24のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項26】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項22から24のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項27】
X
5およびX
6が、どちらもNH基である、請求項22から24のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項28】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項22から27のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項29】
前記イオン性ポリマーが、式9:
【化81】
[式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子およびNH基からそれぞれ独立して選択され、
R
1およびR
2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択され、
lは、1~10の範囲の数であり、
wは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項30】
M
n+が、Na
+、K
+およびLi
+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンである、請求項29に記載のイオン性ポリマー。
【請求項31】
M
n+がLi
+である、請求項29または30に記載のイオン性ポリマー。
【請求項32】
R
1およびR
2が、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、フッ素原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択される、請求項29から31のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項33】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項29から32のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項34】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項29から32のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項35】
X
5およびX
6が、どちらもNH基である、請求項29から32のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項36】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8 000g/mol~約60 000g/molの間である、請求項29から35のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項37】
前記イオン性ポリマーが、式10:
【化82】
[式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
mは、1~68の範囲の数であり、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項38】
M
n+が、Na
+、K
+およびLi
+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンである、請求項37に記載のイオン性ポリマー。
【請求項39】
M
n+がLi
+である、請求項37または38に記載のイオン性ポリマー。
【請求項40】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項37から39のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項41】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項37から39のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項42】
X
5およびX
6が、どちらもNH基である、請求項37から39のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項43】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項37から42のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項44】
前記イオン性ポリマーが、式11:
【化83】
[式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
R
3、R
4およびR
5は、C
1~C
10アルキル基から独立しておよび出現ごとに選択され、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数であり、
yは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項45】
M
n+が、Na
+、K
+およびLi
+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンである、請求項44に記載のイオン性ポリマー。
【請求項46】
M
n+がLi
+である、請求項44または45に記載のイオン性ポリマー。
【請求項47】
R
3、R
4およびR
5が、メチル基である、請求項44から46のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項48】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項44から47のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項49】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項44から47のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項50】
X
5およびX
6が、どちらも-NH基である、請求項44から47のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項51】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項44から50のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項52】
前記イオン性ポリマーが、式12:
【化84】
[式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
tおよびuは、1~10の範囲の数であり、
zは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項53】
M
n+が、Na
+、K
+およびLi
+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンである、請求項52に記載のイオン性ポリマー。
【請求項54】
M
n+がLi
+である、請求項52または53に記載のイオン性ポリマー。
【請求項55】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項52から54のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項56】
前記イオン性ポリマーが、式13:
【化85】
[式中、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項57】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molである、請求項56に記載のイオン性ポリマー。
【請求項58】
前記イオン性ポリマーが、式14:
【化86】
[式中、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項59】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項58に記載のイオン性ポリマー。
【請求項60】
前記イオン性ポリマーが、式15:
【化87】
[式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子およびNH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項61】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項60に記載のイオン性ポリマー。
【請求項62】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項60に記載のイオン性ポリマー。
【請求項63】
X
5およびX
6が、どちらもNH基である、請求項60に記載のイオン性ポリマー。
【請求項64】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8 000g/mol~約60 000g/molの間である、請求項60から63のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項65】
前記イオン性ポリマーが、式16:
【化88】
[式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項66】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項65に記載のイオン性ポリマー。
【請求項67】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項65に記載のイオン性ポリマー。
【請求項68】
X
5およびX
6が、どちらも-NH基である、請求項65に記載のイオン性ポリマー。
【請求項69】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項65から68のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項70】
前記イオン性ポリマーが、式17:
【化89】
[式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項71】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項70に記載のイオン性ポリマー。
【請求項72】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項70に記載のイオン性ポリマー。
【請求項73】
X
5およびX
6が、どちらも-NH基である、請求項70に記載のイオン性ポリマー。
【請求項74】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項70から73のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項75】
前記イオン性ポリマーが、式18:
【化90】
[式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項76】
X
5およびX
6が、どちらも酸素原子である、請求項75に記載のイオン性ポリマー。
【請求項77】
X
5およびX
6が、どちらも硫黄原子である、請求項75に記載のイオン性ポリマー。
【請求項78】
X
5およびX
6が、どちらも-NH基である、請求項75に記載のイオン性ポリマー。
【請求項79】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて3約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項75から78のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー。
【請求項80】
前記イオン性ポリマーが、式19:
【化91】
[式中、
wは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項81】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項80に記載のイオン性ポリマー。
【請求項82】
前記イオン性ポリマーが、式20:
【化92】
[式中、
wは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項83】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項82に記載のイオン性ポリマー。
【請求項84】
前記イオン性ポリマーが、式21:
【化93】
[式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数であり、
yは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項85】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項84に記載のイオン性ポリマー。
【請求項86】
前記イオン性ポリマーが、式22:
【化94】
[式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数であり、
yは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項87】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項86に記載のイオン性ポリマー。
【請求項88】
前記イオン性ポリマーが、式23:
【化95】
[式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数であり、
yは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項89】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項88に記載のイオン性ポリマー。
【請求項90】
前記イオン性ポリマーが、式24:
【化96】
[式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数であり、
yは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項91】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項90に記載のイオン性ポリマー。
【請求項92】
前記イオン性ポリマーが、式25:
【化97】
[式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数であり、
yは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項93】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項92に記載のイオン性ポリマー。
【請求項94】
前記イオン性ポリマーが、式26:
【化98】
[式中、
wおよびxは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項95】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項94に記載のイオン性ポリマー。
【請求項96】
前記イオン性ポリマーが、式27:
【化99】
[式中、
wおよびxは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項97】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項96に記載のイオン性ポリマー。
【請求項98】
前記イオン性ポリマーが、式28:
【化100】
[式中、
wおよびxは、前記イオン性ポリマーの数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約150,000g/molの間となるように選択される数である]
の少なくとも1つのフラグメントを含む、請求項1に記載のイオン性ポリマー。
【請求項99】
前記イオン性ポリマーの前記数平均分子量が、上限値および下限値を含めて約8,000g/mol~約60,000g/molの間である、請求項98に記載のイオン性ポリマー。
【請求項100】
請求項1から99のいずれか一項に記載の少なくとも1種のイオン性ポリマーを含む、ポリマー組成物。
【請求項101】
前記ポリマー組成物が、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤をさらに含む、請求項100に記載のポリマー組成物。
【請求項102】
前記追加の構成成分または添加剤が、イオン伝導体、無機粒子、ガラス粒子、セラミック粒子およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項101に記載のポリマー組成物。
【請求項103】
前記追加の構成成分または添加剤が、充填剤添加剤である、請求項101または102に記載のポリマー組成物。
【請求項104】
前記充填剤添加剤が、二酸化チタン(TiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)および二酸化ケイ素(SiO
2)粒子またはナノ粒子から選択される、請求項103に記載のポリマー組成物。
【請求項105】
前記ポリマー組成物が、固体ポリマー電解質組成物である、請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項106】
前記ポリマー組成物が、電極材料用の結合剤である、請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項107】
前記ポリマー組成物が、電気化学セルに使用される、請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項108】
前記ポリマー組成物が、スーパーキャパシタに使用される、請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項109】
前記スーパーキャパシタが、炭素-炭素スーパーキャパシタである、請求項108に記載のポリマー組成物。
【請求項110】
前記ポリマー組成物が、エレクトロクロミック材料に使用される、請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項111】
請求項1から99のいずれかに記載のイオン性ポリマー、または請求項100から104のいずれかに記載のポリマー組成物を含む、固体ポリマー電解質組成物。
【請求項112】
前記固体ポリマー電解質組成物が、少なくとも1種の塩をさらに含む、請求項111に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項113】
前記塩がイオン性塩である、請求項112に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項114】
前記イオン性塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩から選択される、請求項113に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項115】
前記イオン性塩がリチウム塩である、請求項114に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項116】
前記リチウム塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)、リチウム4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(LiDCTA)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF
4)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、硝酸リチウム(LiNO
3)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO
4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF
6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSO
3CF
3)(LiTf)、フルオロアルキルリン酸リチウムLi[PF
3(CF
2CF
3)
3](LiFAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ホウ酸リチウムLi[B(OCOCF
3)
4](LiTFAB)、リチウムビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ボレートLi[B(C
6O
2)
2](LiBBB)、およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項115に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項117】
前記固体ポリマー電解質組成物が、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤をさらに含む、請求項111から116のいずれか一項に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項118】
前記追加の構成成分または添加剤が、イオン伝導性材料、無機粒子、ガラス粒子、セラミック粒子およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項117に記載の固体ポリマー電解質組成物。
【請求項119】
請求項1から99のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー、または請求項111から118のいずれか一項に記載の固体ポリマー電解質組成物を含む、固体ポリマー電解質であって、前記イオン性ポリマーが、必要に応じて架橋されている、固体ポリマー電解質。
【請求項120】
電気化学的活性材料、および請求項1から99のいずれか一項に記載のイオン性ポリマーまたは請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物を含む、電極材料。
【請求項121】
前記ポリマーまたは前記ポリマー組成物が、結合剤である、請求項120に記載の電極材料。
【請求項122】
前記電気化学的活性材料が、粒子の形態にある、請求項120または121に記載の電極材料。
【請求項123】
前記電気化学的活性材料が、金属酸化物、リチウム金属酸化物、金属リン酸塩、リチオ化金属リン酸塩、チタン酸塩、およびチタン酸リチウムから選択される、請求項120から122のいずれか一項に記載の電極材料。
【請求項124】
前記電気化学的活性材料の前記金属が、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項123に記載の電極材料。
【請求項125】
前記電極材料が、少なくとも1種の電子伝導性材料をさらに含む、請求項120から124のいずれか一項に記載の電極材料。
【請求項126】
前記電子伝導性材料が、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブおよびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項125に記載の電極材料。
【請求項127】
前記電子伝導性材料がアセチレンブラックである、請求項126に記載の電極材料。
【請求項128】
前記電極材料が、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤をさらに含む、請求項120から127のいずれか一項に記載の電極材料。
【請求項129】
前記追加の構成成分または添加剤が、イオン伝導体、無機粒子、ガラスまたはセラミック粒子、ナノセラミックスおよび塩から選択される、請求項128に記載の電極材料。
【請求項130】
前記追加の構成成分または添加剤が、Al
2O
3、TiO
2およびSiO
2から選択される、請求項128または129に記載の電極材料。
【請求項131】
前記電極材料が、正極材料である、請求項120から130のいずれか一項に記載の電極材料。
【請求項132】
前記電極材料が、負極材料である、請求項120から130のいずれか一項に記載の電極材料。
【請求項133】
前記電気化学的活性材料が、チタン酸リチウムである、請求項132に記載の電極材料。
【請求項134】
前記チタン酸リチウムが、炭素をコーティングしたチタン酸リチウムである、請求項133に記載の電極材料。
【請求項135】
集電器上に、請求項120から134のいずれか一項に記載の電極材料を含む電極。
【請求項136】
負極、正極および電解質を備える電気化学セルであって、前記負極、前記正極および前記電解質のうちの少なくとも1つが、請求項1から99のいずれかに記載のイオン性ポリマー、または請求項100から104のいずれかに記載のポリマー組成物を含む、電気化学セル。
【請求項137】
負極、正極および電解質を備える電気化学セルであって、前記負極および前記正極のうちの少なくとも1つが、請求項135に記載の通りである、電気化学セル。
【請求項138】
負極、正極および請求項119に記載の固体ポリマー電解質を備える電気化学セル。
【請求項139】
請求項136から138のいずれか一項に記載の電気化学セルを少なくとも1つ備える、電気化学アキュムレータ。
【請求項140】
前記電気化学アキュムレータが、リチウム電池、リチウム-イオン電池、ナトリウム電池、ナトリウム-イオン電池、マグネシウム電池およびマグネシウム-イオン電池から選択される電池である、請求項139に記載の電気化学アキュムレータ。
【請求項141】
前記電池が、リチウム電池またはリチウム-イオン電池である、請求項140に記載の電気化学アキュムレータ。
【請求項142】
請求項1から99のいずれか一項に記載のイオン性ポリマー、または請求項100から104のいずれか一項に記載のポリマー組成物を調製する方法であって、以下:
(i)式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップ、および
(ii)式1の少なくとも1種の化合物を式2の前記金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させるステップ
を含む、方法。
【請求項143】
前記方法が、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップをさらに含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、少なくとも1種のハロゲン化剤の存在下で、スルファミン酸とハロスルホン酸との間の反応によって行われる、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記ハロゲン化剤が、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、フッ化チオニル、オキシ塩化リンおよび塩化オキサリルから選択される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記ハロゲン化剤が塩化チオニルである、請求項144または145に記載の方法。
【請求項147】
前記ハロスルホン酸がクロロスルホン酸である、請求項144から146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、上限値および下限値を含めて、約60℃~約150℃、または約70℃~約145℃、または約80℃~約140℃、または約90℃~約100℃、または約110℃~約140℃、または約120℃~約140℃、または約125℃~約140℃、または約125℃~約135℃の範囲の温度で行われる、請求項143から147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、約130℃の温度で約24時間、行われる、請求項143から148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記ビス(ハロスルホニル)イミドが、ビス(クロロスルホニル)イミドである、請求項143から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、必要に応じて溶媒の存在下、ビス(ハロスルホニル)イミドと少なくとも1種のメタル化剤との間のメタル化反応によって行われる、請求項142から150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記メタル化剤が、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムから選択されるアルカリ金属を含む、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記メタル化剤が、リチウム、ナトリウムおよびカリウムから選択されるアルカリ金属を含む、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記メタル化剤が、リチオ化剤である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記リチオ化剤が、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水素化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、式RCO
2Li(式中、Rは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキル基または芳香族炭化水素である)のカルボン酸リチウム、シュウ酸リチウムおよび金属リチウムから選択される、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記リチオ化剤が塩化リチウム(LiCl)である、請求項154または155に記載の方法。
【請求項157】
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、四塩化炭素、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびそれらの少なくとも2種の混和性の組合せから選択される、請求項151から156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドである、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、上限値および下限値を含めて、約20℃~約150℃、または約30℃~約135℃、または約40℃~約130℃、または約50℃~約125℃、または約60℃~約120℃、または約70℃~約115℃、または約80℃~約110℃、または約90℃~約105℃の範囲の温度で行われる、請求項142から158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、約100℃の温度で行われる、請求項142から158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、上限値および下限値を含めて、約10時間~約48時間、または約10時間~約24時間、または約12時間~約24時間の範囲の期間、行われる、請求項142から159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製する前記ステップが、上限値および下限値を含めて約12時間~約24時間の範囲の期間、行われる、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
式1の少なくとも1種の化合物を前記式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させる前記ステップが重合ステップである、請求項142から162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記重合が重縮合によって行われる、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記重合がポリエステル化によって行われる、請求項163に記載の方法。
【請求項166】
前記ポリエステル化がFischerエステル化反応によって行われる、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記ポリエステル化がSteglichエステル化反応によって行われる、請求項165に記載の方法。
【請求項168】
式1の少なくとも1種の化合物を前記式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させる前記ステップが、溶媒の存在下で行われる、請求項142から167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、四塩化炭素、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびそれらの少なくとも2種の混和性の組合せから選択される、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドである、請求項169に記載の方法。
【請求項171】
前記重合ステップが、少なくとも1種の塩基、ならびに必要に応じて少なくとも1種の重合触媒、および/または少なくとも1種の共触媒、および/または必要に応じて少なくとも1種のアシル化触媒の存在下で行われる、請求項163から170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記重合触媒が、酸性触媒、求核性触媒およびホウ素系触媒からなる群から選択される、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記酸性触媒がルイス酸触媒である、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記求核性触媒が、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジンおよび他のピリジン誘導体からなる群から選択される、請求項172に記載の方法。
【請求項175】
前記求核性触媒が4-ジメチルアミノピリジンである、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記ホウ素系触媒が、ホウ酸系触媒、ボロン酸系触媒またはボリン酸系触媒である、請求項172に記載の方法。
【請求項177】
前記重合触媒が、式Ar
2BOH(式中、Arはアリール基である)のジアリールボロン酸、ジフェニルボロン酸、トリフルオロフェニルボロン酸、9H-9-ボラ-10-チアアントラセン-9-オール、10H-フェノキサボリニン-10-オール、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、アシルフルオロボレート、トリエチルオキソニウムフルオロボレート、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび適合する場合にはそれらの少なくとも2種の組合せから選択される、請求項172に記載の方法。
【請求項178】
前記塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンおよびピリジン誘導体からなる群から選択される、請求項163から177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記塩基がトリエチルアミンである、請求項178に記載の方法。
【請求項180】
前記方法が、後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップをさらに含む、請求項142から179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記後官能基化ステップまたは前記後重合修飾ステップが、少なくとも1つの架橋性官能基を導入するために行われる、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記後官能基化ステップまたは前記後重合修飾ステップが、少なくとも1つの官能基と架橋性官能基の少なくとも1つの前駆体との間で反応させることによって行われる、請求項181に記載の方法。
【請求項183】
前記架橋性官能基が、アクリレート、メタクリレート、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される、請求項181または182に記載の方法。
【請求項184】
前記方法が、分離ステップまたは精製ステップをさらに含む、請求項142から183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記分離ステップまたは精製ステップが、液体クロマトグラフィー法またはろ過法によって行われる、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記液体クロマトグラフィー法が、立体排除クロマトグラフィーである、請求項185に記載の方法。
【請求項187】
前記ろ過法が膜ろ過法である、請求項185に記載の方法。
【請求項188】
前記膜ろ過法が膜ナノろ過法または膜限外ろ過法である、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記膜ろ過法が膜限外ろ過法である、請求項188に記載の方法。
【請求項190】
前記膜が、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記方法が、前記ポリマー組成物をコーティングするステップをさらに含む、請求項142から190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項192】
前記コーティングするステップが、ドクターブレードコーティング法、コンマコーティング法、リバース-コンマコーティング法、印刷法、グラビアコーティング法およびスロットダイコーティング法から選択される少なくとも1つの方法によって行われる、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
前記コーティングするステップが、ドクターブレードコーティング法およびスロットダイコーティング法から選択される少なくとも1つの方法によって行われる、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記方法が、前記ポリマー組成物を乾燥して、あらゆる残留溶媒および/または水を除去するステップをさらに含む、請求項142から193のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
前記ポリマー組成物を乾燥する前記ステップ、および前記ポリマー組成物をコーティングする前記ステップが同時に行われる、請求項194に記載の方法。
【請求項196】
前記方法が、架橋ステップをさらに含む、請求項142から195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記架橋ステップが、UV照射によって、加熱処理によって、マイクロ波照射によって、電子線下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行われる、請求項196に記載の方法。
【請求項198】
前記架橋ステップが、UV照射、加熱処理によって、または電子線下で行われる、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記架橋ステップが、架橋剤、熱開始剤、光開始剤、触媒、可塑剤のうちの少なくとも1種、またはそれらの少なくとも2種の組合せの存在下で行われる、請求項196から198のいずれか一項に記載の方法。
【請求項200】
前記架橋剤が、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure(商標)651)である、請求項199に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、適用法の下、すべての目的のため、それらの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2020年1月24日出願の米国仮特許出願第62/965,560号、2020年2月17日出願の米国仮特許出願第62/977,521号、および2020年11月5日出願の欧州特許出願第20 206 000.0号への優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本出願は、ポリマーの分野、および電気化学的用途におけるそれらの使用に関する。より詳細には、本出願は、固体ポリマー電解質、ポリマー組成物、固体ポリマー電解質組成物、それらの製造プロセスの分野、および電気化学セル、エレクトロクロミックデバイス、スーパーキャパシタまたは電気化学アキュムレータにおける、特に全固体電池におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
固体ポリマー電解質は、液体電解質の使用に基づいたそれらの対応物よりも実質的に安全な、軽量の、可撓性が高く、かつ効率的な全固体電気化学システムの開発を可能にするので、多数の工業的用途にとって有望な材料である。
【0004】
固体ポリマー電解質は大きな利点があるにもかかわらず、その使用は、その電気化学的安定性に限りがあること、輸率が低いこと、およびイオン伝導率が比較的低いことが主に原因で、依然として限られている。実際に、従来の固体状態のポリマー電解質は、一般に高電圧操作(Li/Li+に対して≧4V)を支持しないので、従来の固体状態のポリマー電解質の電気化学的安定域(fenetre de stabilite electrochimique)は依然として比較的限られている。
【0005】
さらに、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)をベースとするものなどの従来の固体ポリマー電解質は、周囲温度におけるイオン伝導率問題に直面している。例えば、ポリマーが溶融状態にある場合、PEOのイオン伝導率は、10-3S.cm-1の桁である(Hallinan et al., Annual review of materials research 43 (2013): 503-525)。しかし、イオン輸送は、アモルファス相で主に起こり、結晶相では低下し、PEO系ポリマーのイオン伝導率は著しく低下する。実際に、PEO系ポリマーのイオン伝導率は、その融点未満の操作温度では実質的に低下する(Armand, M. Solid State Ionics 9 (1983): 745-754)。POE系ポリマーの架橋度もまた、特に、セグメントの移動度が低下するため、電気化学的安定性および低いイオン伝導率の問題に関連する。
【0006】
イオン伝導率が低いという問題を解決するための一般的な手法は、例えば、結晶化温度、すなわちガラス転移温度を低下させるモノマー単位を含む分岐状もしくはブロックPEO系ポリマーを使用することによって、またはイオン輸率を増大させることによってポリマー構造の結晶化度を低下させる、ポリマー構造の修飾を含む。この問題に対処するために使用される別の戦略は、その機械的強度を改善するため、PEO系ポリマーに、二酸化チタン(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)およびアルミン酸リチウム(LiAlO2)ナノ粒子などの、ナノスケールセラミック充填剤を配合することを含む。しかし、これらの充填剤の存在は、ポリマーの電気化学特性および/または機械特性が低下する一因となるおそれがある。
【0007】
したがって、従来の固体ポリマー電解質の欠点のうちの1つまたは複数を排除する固体ポリマー電解質の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hallinan et al., Annual review of materials research 43 (2013): 503-525
【非特許文献2】Armand, M. Solid State Ionics 9 (1983): 745-754
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
要旨
一態様によれば、本技術は、少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物と式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミド:
【化1】
(式中、
Aは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンオキシC
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから選択される、置換されているまたは非置換の有機基であり、
X
1およびX
2は、ヒドロキシル基、チオール基およびアミン基から独立しておよび出現ごとに選択される官能基であり、
X
3およびX
4は、F、Cl、BrおよびIからそれぞれ独立して選択されるハロゲン原子であり、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンである)
との間の反応生成物を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
【0010】
一実施形態では、式1の化合物は、グリセロール、アルカンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、エトヘキサジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ポリカプロラクトンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール、他の類似のグリコールおよびジオール、ならびにそれらの少なくとも2種の組合せから選択される。
【0011】
別の実施形態では、式1の化合物は、アルカンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,2-ブタンジアミン、2,3-ブタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,2-ペンタンジアミン、2,4-ジアミノ-2-メチルペンタン、エチレンジアミン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン、1,14-ジアミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、ポリ(エチレングリコール)ジアミン、JEFFAMINE(登録商標)という商標名で市販されているD、EDまたはEDRシリーズの製品、他の類似のジアミン、およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される。
【0012】
別の実施形態では、Aは、必要に応じて置換されている直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンであり、式1の化合物は、式3:
【化2】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
R
1およびR
2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択され、
lは、1~10の範囲の数である)
の化合物である。
【0013】
別の実施形態では、Aは、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレンであり、式1の化合物は、式4:
【化3】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
mは、1~68の間の数である)
の化合物である。
【0014】
別の実施形態では、Aは、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリエーテルであり、式1の化合物は、式5:
【化4】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
R
3、R
4およびR
5は、C
1~C
10アルキル基から独立しておよび出現ごとに選択され、
n、oおよびpは、ポリエーテルの数平均分子量が、約220g/mol~約2,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択され、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数である)
の化合物である。
【0015】
別の実施形態では、R3、R4およびR5は、メチル基である。
【0016】
別の実施形態では、X1およびX2は、どちらもアミン基である。
【0017】
別の実施形態では、Aは、必要に応じて置換されている、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステルであり、式1の化合物は、式7:
【化5】
(式中、
tおよびuは、1~10の範囲の数である)
の化合物である。
【0018】
別の態様によれば、本技術は、式8(a)の少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関するか、または式8(b)のポリマーである:
【化6】
(式中、
Aは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンオキシC
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから、独立しておよび出現ごとに選択される、置換されているまたは非置換の有機基であり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
R
6は、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基およびR
7-X
5-A-X
6-基から選択され、
R
7は、アクリレート、メタクリレート、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート カルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから独立して出現ごとに選択される、架橋性基であり、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
vは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)。
【0019】
別の態様によれば、本技術は、式9:
【化7】
(式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
R
1およびR
2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択され、
lは、1~10の範囲の数であり、
wは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
【0020】
別の態様によれば、本技術は、式10:
【化8】
(式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
mは、1~68の範囲の数であり、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
【0021】
別の態様によれば、本技術は、式11:
【化9】
(式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
R
3、R
4およびR
5は、C
1~C
10アルキル基から独立しておよび出現ごとに選択され、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数であり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
【0022】
別の態様によれば、本技術は、式12:
【化10】
(式中、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
tおよびuは、1~10の間の数であり、
zは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
【0023】
別の態様によれば、本技術は、式13:
【化11】
(式中、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0024】
別の態様によれば、本技術は、式14:
【化12】
(式中、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0025】
別の態様によれば、本技術は、式15:
【化13】
(式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0026】
別の態様によれば、本技術は、式16:
【化14】
(式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0027】
別の態様によれば、本技術は、式17:
【化15】
(式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0028】
別の態様によれば、本技術は、式18:
【化16】
(式中、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子および-NH基からそれぞれ独立して選択され、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0029】
別の態様によれば、本技術は、式19:
【化17】
(式中、
wは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0030】
別の態様によれば、本技術は、式20:
【化18】
(式中、
wは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0031】
別の態様によれば、本技術は、式21:
【化19】
(式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数であり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0032】
別の態様によれば、本技術は、式22:
【化20】
(式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数であり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0033】
別の態様によれば、本技術は、式23:
【化21】
(式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数であり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0034】
別の態様によれば、本技術は、式24:
【化22】
(式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数であり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0035】
別の態様によれば、本技術は、式25:
【化23】
(式中、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の間となるように選択され、
oは、約2~約39の間の数であり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0036】
別の態様によれば、本技術は、式26:
【化24】
(式中、
wおよびxは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0037】
別の態様によれば、本技術は、式27:
【化25】
(式中、
wおよびxは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0038】
別の態様によれば、本技術は、式28:
【化26】
(式中、
wおよびxは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーに関する。
【0039】
別の態様によれば、本技術は、本明細書において定義されている少なくとも1種のイオン性ポリマーを含む、ポリマー組成物に関する。
【0040】
一実施形態では、本ポリマー組成物は、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤をさらに含む。一例によれば、追加の構成成分または添加剤は、イオン伝導体、無機粒子、ガラス粒子、セラミック粒子、塩および他の類似の添加剤またはそれらの少なくとも2種の組合せから選択される。別の例によれば、追加の構成成分または添加剤は、二酸化チタン(TiO2)、アルミナ(Al2O3)および二酸化ケイ素(SiO2)粒子またはナノ粒子から選択される、充填剤添加剤である。
【0041】
別の実施形態では、本ポリマー組成物は、電気化学セルに使用される。別の実施形態では、本ポリマー組成物は、固体ポリマー電解質組成物である。別の実施形態では、本ポリマー組成物は、電極材料用の結合剤である。別の実施形態では、本ポリマー組成物は、スーパーキャパシタに使用される。一例によれば、スーパーキャパシタは、炭素-炭素スーパーキャパシタである。別の実施形態では、本ポリマー組成物は、エレクトロクロミック材料に使用される。
【0042】
別の態様によれば、本技術は、本明細書において定義されているポリマー組成物を含む、固体ポリマー電解質組成物に関する。
【0043】
別の実施形態では、本固体ポリマー電解質組成物は、少なくとも1種の塩をさらに含む。一例によれば、塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩から選択されるイオン性塩である。
【0044】
別の実施形態では、本固体ポリマー電解質組成物は、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤をさらに含む。一例によれば、追加の構成成分または添加剤は、イオン性伝導性材料、無機粒子、ガラス粒子、セラミック粒子、それらの少なくとも2種の組合せおよび他の類似の添加剤から選択される。
【0045】
別の態様によれば、本技術は、本明細書において定義されている固体ポリマー電解質組成物を含む、固体ポリマー電解質に関する。
【0046】
別の態様によれば、本技術は、電気化学的活性材料および本明細書において定義されているポリマー組成物を含む電極材料に関する。一実施形態では、本ポリマー組成物は、結合剤である。
【0047】
別の実施形態では、電気化学的活性材料は、粒子の形態にある。一例によれば、電気化学的活性材料は、金属酸化物、リチウム金属酸化物、金属リン酸塩、リチオ化金属リン酸塩、チタン酸塩およびチタン酸リチウムから選択される。別の例によれば、電気化学的活性材料の金属は、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、アンチモン(Sb)およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される。
【0048】
別の実施形態では、電極材料は、少なくとも1種の電子伝導性材料をさらに含む。一例によれば、電子伝導性材料は、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブおよびそれらの少なくとも2種の組合せから選択される。
【0049】
別の実施形態では、電極材料は、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤をさらに含む。一例によれば、追加の構成成分または添加剤は、イオン伝導体、無機粒子、ガラスまたはセラミック粒子、ナノセラミックス、塩および他の類似の添加剤から選択される。別の例によれば、追加の構成成分または添加剤は、Al2O3、TiO2およびSiO2から選択される。
【0050】
別の実施形態では、電極材料は、正極材料である。別の実施形態では、電極材料は、負極材料である。一例によれば、電気化学的活性材料は、チタン酸リチウムまたは炭素をコーティングしたチタン酸リチウムである。
【0051】
別の態様によれば、本技術は、集電器上の本明細書において定義されている電極材料を含む電極に関する。
【0052】
別の態様によれば、本技術は、負極、正極および電解質を備える電気化学セルであって、負極、正極および電解質のうちの少なくとも1つが、本明細書において定義されているポリマー組成物を含む、電気化学セルに関する。
【0053】
別の態様によれば、本技術は、負極、正極および電解質を備える電気化学セルであって、負極および正極のうちの少なくとも1つが、本明細書において定義されている通りである、電気化学セルに関する。
【0054】
別の態様によれば、本技術は、負極、正極、および本明細書において定義されている固体ポリマー電解質を備える、電気化学セルに関する。
【0055】
別の態様によれば、本技術は、本明細書において定義されている電気化学セルを少なくとも1つ備える、電気化学アキュムレータに関する。
【0056】
一実施形態では、電気化学アキュムレータは、リチウム電池、リチウム-イオン電池、ナトリウム電池、ナトリウム-イオン電池、マグネシウム電池およびマグネシウム-イオン電池から選択される電池である。一例によれば、前記電池は、リチウム電池またはリチウム-イオン電池である。
【0057】
別の態様によれば、本技術は、本明細書において定義されているポリマーまたはポリマー組成物を調製する方法であって、以下:
(i)式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップ、および
(ii)本明細書において定義されている少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物を、式2の前記金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させるステップ
を含む、方法に関する。
【0058】
別の実施形態では、本方法は、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップをさらに含む。一例によれば、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、少なくとも1種のハロゲン化剤の存在下で、スルファミン酸とハロスルホン酸との間の反応によって行われる。
【0059】
一例によれば、ハロゲン化剤は、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、フッ化チオニル、オキシ塩化リンおよび塩化オキサリルから選択される。一例によれば、ハロゲン化剤は、塩化チオニルである。別の例によれば、ハロスルホン酸は、クロロスルホン酸である。
【0060】
別の実施形態では、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、約60℃~約150℃、または約70℃~約145℃、または約80℃~約140℃、または約90℃~約100℃、または約110℃~約140℃、または約120℃~約140℃、または約125℃~約140℃、または約125℃~約135℃の範囲(上限値および下限値を含む)の温度で行われる。
【0061】
別の実施形態では、ビス(ハロスルホニル)イミドは、ビス(クロロスルホニル)イミドである。
【0062】
別の実施形態では、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、必要に応じて溶媒の存在下、ビス(ハロスルホニル)イミドと少なくとも1種のメタル化剤との間のメタル化反応によって行われる。
【0063】
一例によれば、メタル化剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムから選択される、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む。例によれば、メタル化剤は、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水素化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、式RCO2Li(式中、Rは、直鎖状または分岐状C1~C10アルキル基または芳香族炭化水素である)のカルボン酸リチウム、シュウ酸リチウムおよび金属リチウムから選択されるリチオ化剤である。別の例によれば、リチオ化剤は、塩化リチウムである。
【0064】
別の実施形態では、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびそれらの少なくとも2種の混和性の組合せから選択される。一例によれば、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドである。
【0065】
別の実施形態では、式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、約20℃~約150℃、または約30℃~約135℃、または約40℃~約130℃、または約50℃~約125℃、または約60℃~約120℃、または約70℃~約115℃、または約80℃~約110℃、または約90℃~約105℃の範囲(上限値および下限値を含む)の温度で行われる。
【0066】
別の実施形態では、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、約10時間~約48時間、または約10時間~約24時間、または約12時間~約24時間の範囲(上限値および下限値を含む)の期間、行われる。
【0067】
別の実施形態では、少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物を、式2の前記金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させるステップは、重合ステップである。一例によれば、重合は、重縮合によって行われる。例えば、重合は、ポリエステル化によって行われる。一例によれば、ポリエステル化は、Fischerエステル化反応によって、またはSteglichエステル化反応によって行われる。
【0068】
別の実施形態では、少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物を、式2の前記金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させるステップは、溶媒の存在下で行われる。一例によれば、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびそれらの少なくとも2種の混和性の組合せから選択される。例えば、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドである。
【0069】
別の実施形態では、重合ステップは、少なくとも1種の塩基、ならびに必要に応じて少なくとも1種の重合触媒、および/または少なくとも1種の共触媒、および/または必要に応じて少なくとも1種のアシル化触媒の存在下で行われる。
【0070】
別の実施形態では、重合触媒は、酸性触媒、求核性触媒およびホウ素系触媒からなる群から選択される。
【0071】
別の実施形態では、求核性触媒は、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジンおよび他のピリジン誘導体からなる群から選択される。
【0072】
別の実施形態では、ホウ素系触媒は、ホウ酸系触媒、ボロン酸系触媒またはボリン酸系触媒である。例えば、重合触媒は、式Ar2BOH(式中、Arはアリール基である)のジアリールボリン酸、ジフェニルボリン酸、フェニルボロン酸、トリフルオロフェニルボロン酸、9H-9-ボラ-10-チアアントラセン-9-オール、10H-フェノキサボリニン-10-オール、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、アシルフルオロボレート(fluoborates d’acyle)、トリエチルオキソニウムフルオロボレート、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび他の類似のホウ素に由来する触媒、またはそれらの少なくとも2種の組合せ(適合する場合)から選択される。
【0073】
別の実施形態では、塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンおよびピリジン誘導体から選択される。一例によれば、塩基はトリエチルアミンである。
【0074】
別の実施形態では、本方法は、後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップをさらに含む。一例によれば、後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップは、少なくとも1つの架橋性官能基を導入するために行われる。一例によれば、後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップは、少なくとも1つの官能基を架橋性官能基の少なくとも1つの前駆体と反応させることによって行われる。例えば、架橋性官能基は、アクリレート、メタクリレート、C1~C10アルキル-アクリレート、C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C1~C10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C1~C10アルキル-メタクリレート アミノカルボニル-C1~C10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレート、カルボニルオキシ-C1~C10アルキル-メタクリレート、カルボニルオキシ-C1~C10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレートから選択される。
【0075】
別の実施形態では、本方法は、分離ステップまたは精製ステップをさらに含む。一例によれば、分離ステップまたは精製ステップは、液体クロマトグラフィー法またはろ過法によって行われる。
【0076】
別の実施形態では、本方法は、ポリマー組成物をコーティングするステップをさらに含む。一例によれば、コーティングするステップは、ドクターブレードコーティング法、コンマコーティング法、リバース-コンマコーティング法、印刷法、グラビアコーティング法およびスロットダイコーティング法から選択される少なくとも1つの方法によって行われる。
【0077】
別の実施形態では、本方法は、ポリマー組成物を乾燥して、あらゆる残留溶媒および/または水を除去するステップをさらに含む。一例によれば、ポリマー組成物を乾燥するステップ、およびポリマー組成物をコーティングするステップは、同時に行われる。
【0078】
別の実施形態では、本方法は、架橋ステップをさらに含む。例えば、架橋ステップは、UV照射、加熱処理、マイクロ波照射によって、電子線下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行われる。架橋ステップは、架橋剤、熱開始剤、光開始剤(例えば、UV開始剤)、触媒、可塑剤のうちの少なくとも1種、またはそれらの少なくとも2種の組合せの存在下で行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】
図1は、実施例3(b)に記載されているポリマー2に関する立体排除クロマトグラフィー(SEC)によって得られたクロマトグラムである。
【0080】
【
図2】
図2は、実施例3(b)に記載されているポリマー2に関して得られたプロトン核磁気共鳴(
1H NMR)スペクトルである。
【0081】
【
図3】
図3は、実施例3(b)に記載されているポリマー2に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)分析の結果を示すグラフである。
【0082】
【
図4】
図4は、実施例3(d)に記載されているポリマー4に関する立体排除クロマトグラフィーによって得られたクロマトグラムである。
【0083】
【
図5】
図5は、実施例3(e)に記載されている、ジエチレングリコールとリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの重合によって得られたポリマーのプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0084】
【
図6】
図6は、実施例3(e)に記載されているポリマー5に関して得られたプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0085】
【
図7】
図7は、実施例3(e)に記載されているポリマー5に関して得られた炭素-13核磁気共鳴(
13C NMR)スペクトルである。
【0086】
【
図8】
図8は、実施例3(e)に記載されているポリマー5に関して得られたフッ素核磁気共鳴(
19F NMR)スペクトルである。
【0087】
【
図9】
図9は、実施例3(e)に記載されているポリマー5に関して得られた示差走査熱量測定分析の結果を示すグラフである。
【0088】
【
図10】
図10は、実施例4(h)に記載されている、セル1に関する温度(1000/T、K
-1)の関数としてのイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を示すグラフである。
【0089】
【
図11】
図11は、実施例4(h)に記載されている、セル2に関する温度(1000/T、K
-1)の関数としてのイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を示すグラフである。
【0090】
【
図12】
図12は、実施例4(h)に記載されている、セル3に関する温度(1000/T、K
-1)の関数としてのイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を示すグラフである。
【0091】
【
図13】
図13は、実施例4(h)に記載されている、セル4に関する温度(1000/T、K
-1)の関数としてのイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を示すグラフである。
【0092】
【
図14】
図14は、実施例4(h)に記載されている、セル5(比較セル)に関する温度(1000/T、K
-1)の関数としてのイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を示すグラフである。
【0093】
【
図15】
図15は、実施例4(h)に記載されている、セル6(比較セル)に関する温度(1000/T、K
-1)の関数としてのイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を示すグラフである。
【0094】
【
図16】
図16は、実施例5(c)に記載されている、Li/Li
+に対して2.7V~4.3Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル7(比較セル)(実線)、およびスキャン速度0.05mV/sにおいて記録したセル8(比較セル)(破線)に関して得られたサイクリックボルタモグラムを示す。
【0095】
【
図17】
図17は、実施例5(c)に記載されている、Li/Li
+に対して2.5V~5Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル7(比較セル)に関して得られたサイクリックボルタモグラムを示す。
【0096】
【
図18】
図18は、実施例5(c)に記載されている、Li/Li
+に対して2.5V~5Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル9(実線)およびセル10(破線)に関して得られたサイクリックボルタモグラムを示す。
【0097】
【
図19】
図19は、実施例5(c)に記載されている、Li/Li
+に対して2.5V~5Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル7(比較セル)(2点鎖線)、セル10(1点鎖線)、セル9(破線)およびセル11(比較セル)(実線)に関して得られたサイクリックボルタモグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
詳細な説明
以下の詳細説明および実施例は、例示目的のために過ぎず、本発明の範囲をさらに限定するものとして解釈されるべきではない。
【0099】
本明細書において使用される技術用語および科学用語、ならびに技術表現および科学表現はすべて、本技術の当業者によって一般に理解されているものと同じ定義を有する。しかし、本明細書において使用されるいくつかの用語および表現の定義を以下に提示する。
【0100】
用語「ほぼ」またはその等価な用語「約」が、本明細書において使用されている場合、それは、おおよその範囲にあること、またはおおよそであることを意味する。例えば、用語「ほぼ」または「約」が、数値に関して使用される場合、それらの語は、その数値を見かけの値から10%だけ高く、および10%だけ低く変動して修飾してもよい。この用語は、例えば、四捨五入、または測定デバイスの限界による実験誤差をやはり考慮にいれてもよい。
【0101】
値の範囲が、本明細書において明記されている場合、この範囲の下限値および上限値は、別段の指定がない限り、その定義に常に含まれる。値の範囲が、本出願において言及されている場合、これらの範囲に含まれる、中間範囲および部分範囲、ならびに個々の値のすべてが、この定義に含まれる。
【0102】
一層、明確にするため、表現「に由来するモノマー単位」および等価な表現は、本明細書で使用する場合、重合可能なモノマーの重合から得られるポリマー繰り返し単位を指す。
【0103】
表現「繰り返し単位」とは、本明細書で使用する場合、ポリマー鎖の部分を形成する、繰り返し単位の配列を指す。
【0104】
用語「フラグメント」とは、ポリマー配列と関係付けて本明細書において使用する場合、繰り返し単位および必要に応じて末端基を含むポリマーの部分を指す。
【0105】
本明細書に記載されている化学構造は、当該分野の慣例に準拠して図示されている。同様に、図示されている炭素原子などの原子が、不完全な価数を含むように見える場合、その価数は、1個または複数の水素原子が明示的に図示されていない場合でさえも、この水素原子によって満たされていると見なされる。
【0106】
一層、明確にするため、本文書では、式がポリマー繰り返し単位またはフラグメントを表す場合、例えば、OH、NH
2基などによって定義されていない限り、式の括弧(複数可)を超えて延びている連結部の末端:
【化27】
は、必ずしもメチル基ではなく、ポリマーの残基としてむしろ定義され、括弧の外側の基の定義は、オープン状態のままである。例えば、この基は、本明細書において定義されている基X
1、X
2、X
3、X
4、R
6またはR
7、開始剤の残基または別のポリマーフラグメントを表すことがある。
【0107】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、1~10個の間の炭素原子を有する、直鎖状または分岐状アルキル基を含めた、飽和炭化水素を指す。アルキル基の非限定例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなどを含むことができる。アルキル基が、2つの官能基の間に位置する場合、用語アルキルはまた、メチレン、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基をやはり包含する。用語「Cm~Cnアルキル」および「Cm~Cnアルキレン」は、それぞれ、表示数「m」~表示数「n」個の炭素原子を有する、アルキル基またはアルキレン基を指す。
【0108】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」とは、6~14個の環原子、好ましくは6個の環原子を有する、芳香族特性を有する環を含む官能基を指す。用語「アリール」とは、単環式共役系および多環式共役系の両方を指す。用語「アリール」はまた、置換されている基または非置換の基を含む。アリール基の例には、非限定的に、フェニル、ベンジル、フェネチル、1-フェニルエチル、トリル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、インデニル、ベンゾシクロオクテニル、ベンゾシクロヘプテニル、アズレニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、ペリレニルなどが含まれる。
【0109】
本技術は、少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物と式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミド:
【化28】
(式中、
Aは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンオキシC
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから選択される、置換されているまたは非置換の有機基であり、
X
1およびX
2は、ヒドロキシル基、チオール基およびアミン基から独立しておよび出現ごとに選択される官能基であり、
X
3およびX
4は、F、Cl、BrおよびIからそれぞれ独立して選択されるハロゲン原子であり、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンである)
との間の反応生成物を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むイオン性ポリマーに関する。
【0110】
一例によれば、X1およびX2は、ヒドロキシル基(OH)、チオール基(SH)および一級アミン基(NH2)から独立しておよび出現ごとに選択される官能基とすることができる。対象とする一変形形態によれば、X1およびX2は、ヒドロキシル基および一級アミン基から独立しておよび出現ごとに選択される官能基とすることができる。
【0111】
別の例によれば、X1およびX2は、同じであってもよく、例えば、X1およびX2は、どちらもヒドロキシル基、またはどちらもチオール基、またはどちらも一級アミン基である。対象とする一変形形態によれば、X1およびX2は、どちらもヒドロキシル基である。対象とする別の変形形態によれば、X1およびX2は、どちらも一級アミン基である。
【0112】
別の例によれば、X3およびX4は、同じであってもよく、例えば、X3およびX4は、どちらも塩素原子である。
【0113】
別の例によれば、Mn+は、Na+、K+およびLi+イオンからなる群から選択されるアルカリ金属イオンとすることができ、例えばMn+は、Li+イオンである。
【0114】
例えば、X3およびX4は、どちらも塩素原子であり、Mn+は、Li+イオンであり、すなわち、式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドは、リチウムビス(クロロスルホニル)イミドである。
【0115】
別の例によれば、Aは、直鎖状または分岐状C2~C10アルキレン、直鎖状または分岐状C2~C10アルキレンオキシC2~C10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C2~C10アルキレンオキシ)C2~C10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから選択される、置換されているまたは非置換の有機基である。
【0116】
別の例によれば、Aは、必要に応じて置換されている直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンであり、式1の化合物は、式3:
【化29】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
R
1およびR
2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子、ならびにC
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、アミノカルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択され、
lは、1~10の範囲の数である)
の化合物である。
【0117】
別の例によれば、R1およびR2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、フッ素原子、ならびにC1~C10アルキル-アクリレート、C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択される。
【0118】
別の例によれば、R1およびR2は、水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、一級アミン基、フッ素原子、ならびにC1~C10アルキル-アクリレート、C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレートおよびオキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレートから選択される直鎖状または分岐状置換基から独立しておよび出現ごとに選択される。
【0119】
別の例によれば、lは、2~10の範囲の数である。
【0120】
別の例によれば、Aは、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレンであり、例えば、式1の化合物は、式4:
【化30】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
mは、1~68の範囲の数である)
の化合物とすることができる。
【0121】
対象とする一変形形態によれば、X
1およびX
2はどちらもヒドロキシル基であるか、またはどちらもアミン基であり、式1の化合物は、式4(a)または4(b):
【化31】
(式中、
mは、1~6の範囲の数である)
の化合物である。
【0122】
対象とする別の変形形態によれば、式1の化合物は、JEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品とすることができ、本化合物は、式4(c):
【化32】
(式中、
mは、1~68の範囲の数である)
の化合物である。
【0123】
一例によれば、JEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)D-230とすることができ、mは約2.5であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約230g/molである。
【0124】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)D-400とすることができ、mは約6.1であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約430g/molである。
【0125】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)D-2000とすることができ、mは約33であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約2,000g/molである。
【0126】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)D-4000とすることができ、mは約68であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約4,000g/molである。
【0127】
別の例によれば、Aは、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリエーテルである。一例によれば、必要に応じて置換されているポリエーテルは、プロピレンオキシド(PO)、酸化エチレン(EO)、またはPO/EOの混合物をベースとすることができる。例えば、Aは、主にポリエチレングリコール(PEG)をベースとする、必要に応じて置換されているポリエーテルであり、式1の化合物は、式5:
【化33】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
R
3、R
4およびR
5は、C
1~C
10アルキル基から独立しておよび出現ごとに選択され、
n、oおよびpは、ポリエーテルの数平均分子量が、約220g/mol~約2,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択され、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲にある)
の化合物である。
【0128】
対象とする一変形形態によれば、式1の化合物は、式5の化合物であり、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品とすることができ、本化合物は、式5(a):
【化34】
(式中、
n、oおよびpは、ポリエーテルの数平均分子量が、約220g/mol~約2,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択され、
nおよびpは、その和(n+p)が約1~約6の範囲にあるように選択され、
oは、約2~約39の範囲の数である)
の化合物である。
【0129】
一例によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)HK-511とすることができ、oは約2であり、その和(n+p)は、約1.2であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約220g/molである。
【0130】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)ED-2003とすることができ、oは約39であり、その和(n+p)は、約6であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約2,000g/molである。
【0131】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)ED-900とすることができ、oは約12.5であり、その和(n+p)は、約6であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約900g/molである。
【0132】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)ED-600とすることができ、oは約9であり、その和(n+p)は、約3.6であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約600g/molである。
【0133】
対象とする一変形形態によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)ED-600、ED-900およびED-2003からなる群から選択することができる。
【0134】
別の例によれば、Aは、直鎖状または分岐状の必要に応じて置換されているポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)-C
1~C
10アルキレンであり、式1の化合物は、式6:
【化35】
(式中、
X
1およびX
2は、本明細書において定義されている通りであり、
qおよびrは、1~10の範囲の数である)
の化合物とすることができる。
【0135】
対象とする一変形形態によれば、式1の化合物は、式6の化合物であり、式6(a):
【化36】
(式中、
X
1、X
2、qおよびrは、本明細書において定義されている通りである)
のJEFFAMINE(登録商標)EDRシリーズの製品とすることができる。
【0136】
一例によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDRシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)EDR-148とすることができ、qおよびrは約2であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約148g/molである。
【0137】
別の例によれば、JEFFAMINE(登録商標)EDRシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)EDR-176とすることができ、qおよびrは約3であり、ポリエーテルジアミンの数平均分子量は、約176g/molである。
【0138】
別の例によれば、Aは、ポリカプロラクトンなどの、必要に応じて置換されている脂肪族ポリエステルであり、例えば、式1の化合物は、式7:
【化37】
(式中、
tおよびuは、1~10の間の数である)
の化合物である。
【0139】
別の例によれば、少なくとも2つの官能基を含む式1の化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むアルコール(またはポリアルコール)、グリコールエーテル、またはジオール(またはグリコール)、トリオール、テトラオール、ペントール、ヘキソール、ヘプトールなどのポリオールとすることができる。例えば、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物は、直鎖状または分岐状ジオール(またはグリコール)とすることができ、脂肪族または芳香族とすることができ、例えばすべてのジオール(またはグリコール)が企図される。
【0140】
少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物の非限定例には、グリセロール(グリセリン)、アルカンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-プロパンジオール(またはプロピレングリコール(PG))、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール(またはジメチレングリコール)、1,3-ブタンジオール(またはブチレングリコール)、1,2-ペンタンジオール、エトヘキサジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ポリカプロラクトンジオール、エチレングリコール(1,2-エタンジオール)、ジエチレングリコール(またはエチレンジグリコール)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ならびに他の類似のグリコールおよびジオール、またはそれらの組合せが含まれる。例えば、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物は、グリセロール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオールおよびポリカプロラクトンジオールから選択されてもよい。
【0141】
対象とする一変形形態によれば、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物は、グリセロールであってもよい。対象とする別の変形形態によれば、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物は、ジエチレングリコールであってもよい。対象とする別の変形形態によれば、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物は、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオールであってもよい。
【0142】
別の例によれば、少なくとも2つの官能基を含む化合物は、ジアミン、トリアミンなどの少なくとも2つのアミン基を含むポリアミンとすることができる。例えば、少なくとも2つのアミン基を含む化合物は、直鎖状または分岐状ジアミンとすることができ、脂肪族または芳香族とするすることができ、例えば、ジアミンのすべてが企図される。少なくとも2つのアミン基を含む化合物の非限定例には、プロパン-1,2,3-トリアミン、アルカンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,2-ブタンジアミン、2,3-ブタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,2-ペンタンジアミン、2,4-ジアミノ-2-メチルペンタン、エチレンジアミン(1,2-ジアミノエタン)、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン、1,14-ジアミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、ポリ(エチレングリコール)ジアミン(またはPEG-ジアミン)、JEFFAMINE(登録商標)Dシリーズの製品(アミン末端ポリプロピレングリコール)、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品(主にポリエチレングリコールをベースとするジアミン)、JEFFAMINE(登録商標)EDRシリーズの製品および他の類似のポリアミン、またはそれらの組合せが含まれる。
【0143】
対象とする一変形形態によれば、少なくとも2つのアミン基を含む化合物は、式H2NCH2CH2(OCH2CH2)nNH2(式中、nは1または2である)であるPEG-ジアミンであってもよい。対象とする別の変形形態によれば、少なくとも2つのアミン基を含む化合物は、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品(またはO,O’-ビス(2-アミノプロピル)ポリプロピレングリコール-ブロック-ポリエチレングリコール-ブロック-ポリプロピレングリコール)であってもよい。例えば、JEFFAMINE(登録商標)EDシリーズの製品は、JEFFAMINE(登録商標)ED-600、ED-900およびED-2003から選択することができる。
【0144】
したがって、本技術は、式8(a)の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、および/または式8(b)のポリマーである:
【化38】
(式中、
Aは、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状C
1~C
10アルキレンオキシC
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリ(C
1~C
10アルキレンオキシ)C
1~C
10アルキレン、直鎖状または分岐状ポリエーテルおよび直鎖状または分岐状ポリエステルから、独立しておよび出現ごとに選択される、置換されているまたは非置換の有機基であり、
X
5およびX
6は、酸素原子、硫黄原子およびNH基からそれぞれ独立して選択され、
R
6は、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基およびR
7-X
5-A-X
6-基から選択され、
R
7は、アクリレート、メタクリレート、C
1~C
10アルキル-アクリレート、C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニル-C
1~C
10アルキル-メタクリレート カルボニル-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-メタクリレート、カルボニルオキシ-C
1~C
10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C
1~C
10アルキル-アクリレートから独立して出現ごとに選択される、架橋性基であり、
M
n+は、Na
+、K
+、Li
+、Ca
2+およびMg
2+イオンからなる群から選択される、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、
vは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)、
イオン性ポリマーに関する。
【0145】
一例によれば、X5およびX6は、同じであってもよい。例えば、X5およびX6は、どちらも酸素原子、またはどちらも硫黄原子、またはどちらもNH基である。対象とする一変形形態によれば、X5およびX6は、どちらも酸素原子である。対象とする別の変形形態によれば、X5およびX6は、どちらもNH基である。
【0146】
別の例によれば、イオン性ポリマーの数平均分子量は、約8,000g/mol~約60,000g/molの間(上限値および下限値を含む)である。
【0147】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式9:
【化39】
(式中、
M
n+、R
1、R
2、l、X
5およびX
6は、本明細書において定義されている通りであり、
wは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む。
【0148】
一例によれば、イオン性ポリマーの数平均分子量は、約8,000g/mol~約60,000g/molの間(上限値および下限値を含む)である。
【0149】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式10:
【化40】
(式中、
M
n+、m、X
5およびX
6は、本明細書において定義されている通りであり、
xは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む。
【0150】
一例によれば、イオン性ポリマーの数平均分子量は、約8,000g/mol~約60,000g/molの間(上限値および下限値を含む)である。
【0151】
対象とする一変形形態によれば、X
5およびX
6はどちらも酸素原子であるか、またはどちらもNH基であり、イオン性ポリマーは、式10(a)または10(b):
【化41】
(式中、
M
n+、mおよびxは、本明細書において定義されている通りである)
のイオン性ポリマーである。
【0152】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式11:
【化42】
(式中、
M
n+、R
3、R
4、R
5、n、o、p、X
5およびX
6は、本明細書において定義されている通りであり、
yは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む。
【0153】
一例によれば、イオン性ポリマーの数平均分子量は、約8,000g/mol~約60,000g/molの間(上限値および下限値を含む)である。
【0154】
対象とする一変形形態によれば、X
5およびX
6は、どちらもNH基であり、R
3、R
4およびR
5は、メチル基であり、イオン性ポリマーは、式11(a):
【化43】
(式中、
M
n+、n、o、pおよびyは、本明細書において定義されている通りである)
のイオン性ポリマーである。
【0155】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式12:
【化44】
(式中、
M
n+、tおよびuは、本明細書において定義されている通りであり、
zは、イオン性ポリマーの数平均分子量が、約8,000g/mol~約150,000g/molの間(上限値および下限値を含む)となるように選択される数である)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む。
【0156】
一例によれば、イオン性ポリマーの数平均分子量は、約8,000g/mol~約60,000g/molの間(上限値および下限値を含む)である。
【0157】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、イオン性プレポリマーであってもよい。別の例によれば、イオン性ポリマーは、イオン性コポリマーであってもよい。
【0158】
本技術はまた、上で定義したイオン性ポリマーであって、架橋化イオン性ポリマーである、イオン性ポリマーに関する。一例によれば、イオン性ポリマーは、少なくとも1つの架橋性官能基をさらに含んでもよい。別の例によれば、架橋性官能基は、末端基であってもよく、イオン性ポリマーの炭素鎖の少なくとも1つの末端に存在することができる。別の例によれば、架橋性官能基は、イオン性ポリマーの炭素鎖の側鎖に存在してもよい。別の例によれば、架橋性官能基は、イオン性ポリマーの炭素鎖の少なくとも1つの末端、およびその側鎖に存在してもよい。例えば、架橋性官能基は、シアネート、アクリレートおよびメタクリレート基から選択されてもよい。対象とする一変形形態によれば、架橋性官能基は、C1~C10アルキル-アクリレート、C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレート基から選択することができる。
【0159】
対象とする例によれば、イオン性ポリマーは、式13:
【化45】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0160】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式14:
【化46】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0161】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式15:
【化47】
(式中、
X
5、X
6およびxは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0162】
一例によれば、イオン性ポリマーは、式15(a):
【化48】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0163】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式15(b):
【化49】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0164】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式16:
【化50】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0165】
一例によれば、イオン性ポリマーは、式16(a):
【化51】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0166】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式16(b):
【化52】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0167】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式17:
【化53】
(式中、
X
5、X
6およびxは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0168】
一例によれば、イオン性ポリマーは、式17(a):
【化54】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0169】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式17(b):
【化55】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0170】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式18:
【化56】
(式中、
X
5、X
6およびxは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0171】
一例によれば、イオン性ポリマーは、式18(a):
【化57】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0172】
別の例によれば、イオン性ポリマーは、式18(b):
【化58】
(式中、
xは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0173】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式19:
【化59】
(式中、
wは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0174】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式20:
【化60】
(式中、
wは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0175】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式21:
【化61】
(式中、
n、o、pおよびyは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0176】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式22:
【化62】
(式中、
n、o、pおよびyは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0177】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式23:
【化63】
(式中、
n、o、pおよびyは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0178】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式24:
【化64】
(式中、
n、o、pおよびyは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0179】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式25:
【化65】
(式中、
n、o、pおよびyは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0180】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式26:
【化66】
(式中、
wおよびxは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0181】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式27:
【化67】
(式中、
wおよびxは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0182】
対象とする別の例によれば、イオン性ポリマーは、式28:
【化68】
(式中、
wおよびxは、本明細書において定義されている通りである)
の少なくとも1つのフラグメントを含むイオン性ポリマーであってもよい。
【0183】
本技術はまた、上で定義したイオン性ポリマーを含むポリマー組成物に関する。
【0184】
一例によれば、ポリマー組成物またはイオン性ポリマーは、イオン伝導体、無機粒子、ガラス粒子、セラミック粒子(例えば、ナノセラミックス)、塩および他の類似の添加剤またはそれらの組合せなどの、少なくとも1つの追加の構成成分または添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。例えば、追加の構成成分または添加剤は、充填剤添加剤であってもよく、金属酸化物粒子またはナノ粒子を含むことができる。例えば、充填剤添加剤は、二酸化チタン(TiO2)、アルミナ(Al2O3)および/または二酸化ケイ素(SiO2)の粒子またはナノ粒子を含んでもよい。
【0185】
本技術は、本明細書において定義されているイオン性ポリマーまたはポリマー組成物を調製する方法であって、以下:
(i)式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップ、および
(ii)上記の少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物を、式2の前記金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させるステップ
を含む、方法に関する。
【0186】
一例によれば、本方法は、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップをさらに含む。例えば、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、少なくとも1種のハロゲン化剤の存在下で、スルファミン酸(H
3NSO
3)を式HSO
3X
3のハロスルホン酸(X
3は、上で定義されている通りである)と反応させることによって行うことができる。例えば、ビス(ハロスルホニル)イミドの調製は、Beranらによって記載されている方法によって行うことができ、以下のスキーム1:
【化69】
(式中、X
3およびX
4は、上で定義されている通りである)
に例示されている通りとすることができる(Beran et al., Zeitschrift fur anorganische und allgemeine Chemie 631.1 (2005): 55-59)。
【0187】
対象とする一変形形態によれば、ビス(ハロスルホニル)イミドは、ビス(クロロスルホニル)イミド(HN(SO2Cl)2)である。
【0188】
一例によれば、ビス(クロロスルホニル)イミドは、少なくとも1種のハロゲン化剤の存在下で、スルファミン酸をクロロスルホン酸(HSO3Cl)と反応させることによって調製することができる。
【0189】
別の例によれば、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、精製ステップをさらに含むことができる。例えば、精製ステップは、任意の公知の適合可能な精製方法によって行うことができる。例えば、精製ステップは、蒸留によって行うことができる。
【0190】
別の例によれば、ハロゲン化剤は、任意の公知の適合可能なハロゲン化剤から選択することができる。例えば、ハロゲン化剤はまた、反応媒体および/または溶媒として働くことがあり、必要に応じた後続の精製ステップの間の単離を容易にするために選択されてもよい。例えば、ハロゲン化剤は、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、塩化チオニル(SOCl2)、フッ化チオニル(SOF2)、オキシ塩化リン(POCl3)および塩化オキサリル((COCl)2)から選択することができる。例えば、ハロゲン化剤は塩素化剤である。対象とする一変形形態によれば、ハロゲン化剤は塩化チオニルである。
【0191】
理論によって拘泥されることを望むものではないが、例えば、塩化チオニルはアミン基と反応して、(-N=S=O)基を形成することができる。したがって、例えば、塩化チオニルの存在下での、スルファミン酸とクロロスルホン酸との間の反応機構は、スキーム2:
【化70】
に例示されている通りとすることができる。
【0192】
例えば、1当量のスルファミン酸は、2当量の塩化チオニルの存在下で、1当量のクロロスルホン酸と反応して、ビス(クロロスルホニル)イミドを形成する。
【0193】
別の例によれば、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル)は、過剰に添加されてもよい。例えば、ハロゲン化剤の量は、スルファミン酸に対して約2当量~約5当量の範囲(上限値および下限値を含む)とすることができる。例えば、ハロゲン化剤の量は、スルファミン酸1当量あたり、約2当量~約4当量、または約2当量~約3当量、または約2当量~約2.75当量または約2当量~約2.5当量の範囲(上限値および下限値を含む)とすることができる。対象とする一変形形態によれば、ハロゲン化剤の量は、スルファミン酸に対して、約2.75当量である。
【0194】
別の例によれば、少なくとも1種のハロゲン化剤の存在下、スルファミン酸とハロスルホン酸との間の反応は、反応が実質的に完了するのを可能にするほど十分な高温および十分な時間で行われる。例えば、少なくとも1種のハロゲン化剤の存在下、スルファミン酸とハロスルホン酸との間の反応は、約60℃~約150℃の範囲(上限値および下限値を含む)の温度で行われる。例えば、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、約70℃~約145℃、または約80℃~約140℃、または約90℃~約100℃、または約110℃~約140℃、または約120℃~約140℃、または約125℃~約140℃、または約125℃~約135℃の範囲(上限値および下限値を含む)の温度で行うことができる。対象とする一変形形態によれば、ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップは、約130℃の温度で、例えば、約24時間、行うことができる。
【0195】
別の例によれば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドは、ビス(ハロスルホニル)イミドのメタル化反応によって調製される。例えば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップは、溶媒の存在下、ビス(ハロスルホニル)イミドと少なくとも1種のメタル化剤との間の反応によって行うことができる。例えば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップは、スキーム3:
【化71】
(式中、X
3、X
4およびM
n+は、上で定義されている通りである)
に例示される方法によって行うことができる。
【0196】
別の例によれば、メタル化剤は、公知の適合可能なメタル化剤のすべてから選択することができる。対象とする一変形形態によれば、メタル化剤の金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムから選択される、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である。例えば、メタル化剤の金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムから選択されるアルカリ金属である。対象とする別の変形形態によれば、アルカリ金属は、リチウムであり、メタル化剤は、リチオ化剤であり、メタル化ステップは、リチオ化ステップである。例えば、リチオ化剤は、ビス(ハロスルホニル)イミド、例えばビス(クロロスルホニル)イミドを容易に脱プロトン化してリチオ化するその能力のために選択され得る。対象とする一変形形態によれば、リチウムビス(ハロスルホニル)イミドは、Paulら(Paul et al., Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry 39.3 (1977): 441-442)によって記載されている方法によって調製することができる。
【0197】
リチオ化剤の非限定例には、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸水素リチウム(LiHCO3)、水素化リチウム(LiH)、金属リチウム、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、ヨウ化リチウム、式RCO2Li(式中、Rは、直鎖状または分岐状C1~C10アルキル基または芳香族炭化水素である)のカルボン酸リチウムおよびシュウ酸リチウム(C2Li2O4)が含まれる。対象とする一変形形態によれば、リチオ化剤は、塩化リチウムである。
【0198】
別の例によれば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップにおいて使用される溶媒は、有機溶媒、例えば、極性非プロトン性溶媒とすることができる。例えば、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、およびそれらの少なくとも2種の混和性の組合せからなる群から選択することができる。対象とする一変形形態によれば、メタル化反応の溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドである。例えば、溶媒は、後続の重合反応のための活性化剤としても働くことがある。一例によれば、N,N-ジメチルホルムアミドは、金属ビス(ハロスルホニル)イミドと錯体を形成し、これによって、上記の式1の少なくとも1種の化合物を本明細書において定義されている式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させる後続のステップの収率がかなり改善することがある。例えば、錯体は、Higashiら(Higashi et al., Journal of Polymer Science: Polymer Chemistry Edition 22, No. 7 (1984): 1653-1660)によって記載されている錯体とすることができる。
【0199】
別の例によれば、メタル化剤は、ビス(ハロスルホニル)イミド:メタル化剤のモル比が1:1で添加され得る。代替的に、メタル化剤は、ビス(ハロスルホニル)イミドに対して過剰に添加されてもよい。例えば、メタル化剤の量は、ビス(ハロスルホニル)イミド1当量あたり、約1当量~約5当量(上限値および下限値を含む)の範囲にあってもよい。例えば、メタル化剤の量は、ビス(ハロスルホニル)イミド1当量あたり、約1当量~約4当量、または約1当量~約3当量、または約1当量~約1.5当量、または約1当量~約1.3当量、または約1当量~約1.2当量の範囲(上限値および下限値を含む)にあることができる。対象とする一変形形態によれば、メタル化剤の量は、ビス(ハロスルホニル)イミド1当量あたり、約1当量~約1.5当量の範囲(上限値および下限値を含む)にあってもよい。
【0200】
別の例によれば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップは、上限度および下限度を含め、約20℃~約150℃の範囲の温度で行うことができる。例えば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップは、約30℃~約135℃、または約40℃~約130℃、または約50℃~約125℃、または約60℃~約120℃、または約70℃~約115℃、または約80℃~約110℃、または約90℃~約105℃の範囲(上限値および下限値を含む)の温度で行うことができる。対象とする一変形形態によれば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップは、約100℃の温度で行うことができる。
【0201】
別の例によれば、金属ビス(ハロスルホニル)イミドを調製するステップまたはメタル化ステップは、メタル化反応が実質的に完了するのを可能にするほど十分な高温および十分な期間で行われ得る。
【0202】
例えば、メタル化反応は、約10時間~約48時間、または約10時間~約24時間、または約12時間~約24時間の範囲(上限値および下限値を含む)の期間、行うことができる。対象とする一変形形態によれば、メタル化反応は、約12時間~約24時間の範囲の期間、行うことができる。
【0203】
別の例によれば、上記の官能基の少なくとも2つの官能基を含む式1の少なくとも1種の化合物を、本明細書において定義されている式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドと反応させるステップは、重合ステップである。例えば、適合性のあるいずれの重合方法も企図される。対象とする一変形形態によれば、式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドと式1の少なくとも1種の化合物との重合は、重縮合によって、またはポリエステル化、例えばFischerエステル化反応(または、Fischer-Speierエステル化)によって、または改変Steglichエステル化によって行われてもよい。例えば、重縮合は、熱重縮合であってもよい。対象とする一変形形態によれば、重縮合は、Slavkoら(Slavko et al., Chemical Science 8.10 (2017): 7106-7111)によって記載されている方法によって行ってもよい。
【0204】
別の例によれば、上記の式1の少なくとも1種の化合物と式2の金属ビス(ハロスルホニル)イミドとの反応は、溶媒、例えば有機溶媒の存在下で行ってもよい。例えば、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびそれらの少なくとも2種の混和性の組合せからなる群から選択することができる。対象とする一変形形態によれば、重合反応の溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドである。例えば、溶媒はまた、重合反応における活性化剤として働くことがある。
【0205】
別の例によれば、重合は、少なくとも1種の重合触媒、および必要に応じて少なくとも1種の共触媒、および/または必要に応じて少なくとも1種のアシル化触媒の存在下で必要に応じて行ってもよい。別の例によれば、重合はまた、塩基の存在下、および重合触媒なしに行うこともできる。例えば、適合性のあるいずれの重合触媒、共触媒、アシル化触媒および塩基も企図される。一例によれば、重合触媒は、酸触媒(例えば、ルイス酸触媒)であってもよい。例えば、重合触媒は、ホウ素系触媒、ホウ酸系触媒、ボロン酸系触媒、またはSlavkoら(Slavko et al., Chemical Science 8.10 (2017): 7106-7111)によって記載されているボリン酸系触媒であってもよい。ホウ素系重合触媒の非限定例には、式Ar2BOH(式中、Arはアリール基である)のジアリールボリン酸、ジフェニルボリン酸、フェニルボロン酸、トリフルオロフェニルボロン酸、9H-9-ボラ-10-チアアントラセン-9-オール、10H-フェノキサボリニン-10-オール、三臭化ホウ素(BBr3)、三塩化ホウ素(BCl3)、アシルフルオロボレート、トリエチルオキソニウムフルオロボレート(fluoborate de triethyloxonium)、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素(BF3)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよび他の類似のホウ素に由来する触媒、またはそれらの少なくとも2種の組合せ(適合する場合)が含まれる。
【0206】
別の例によれば、重合触媒は、求核性触媒であってもよい。例えば、重合は、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびピリジン誘導体などの塩基によって触媒され得る。
【0207】
別の例によれば、重合は、トリエチルアミン(Et3N)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(iPr2NEt)、ピリジンおよびピリジン誘導体などの塩基の存在下で行われてもよい。対象とする一変形形態によれば、塩基はトリエチルアミンである。例えば、塩基を使用して、触媒を脱プロトン化することができるか、または触媒を再生することができる。塩基を使用して、反応中に放出された酸(例えば、塩酸(HCl))を中和することもできる。
【0208】
対象とする一変形形態によれば、重合は、トリエチルアミン、ジフェニルボリン酸またはトリフルオロフェニルボロン酸、N,N-ジメチルホルムアミドおよび4-ジメチルアミノピリジンの存在下で行われてもよい。対象とする別の変形形態によれば、重合は、トリエチルアミン、ジフェニルボリン酸またはトリフルオロフェニルボロン酸およびN,N-ジメチルホルムアミドの存在下で行われてもよい。代替的に、重合は、触媒、共触媒および/またはアシル化触媒の添加なしに、N,N-ジメチルホルムアミドおよび必要に応じて塩基の存在下で行うことができる。
【0209】
別の例によれば、重合は、スキーム4:
【化72】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、M
n+、Aおよびvは、上で定義されている通りである)
に例示されている方法によって実施することができる。
【0210】
別の例によれば、本方法は、後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップをさらに含む。例えば、イオン性ポリマーの後官能基化は、その架橋を見越して行われる。したがって、イオン性ポリマーの後官能基化ステップが必要に応じて行われ、上で定義されている少なくとも1つの官能基、例えば架橋性官能基を導入することによって、イオン性ポリマーを官能基化することができる。架橋性官能基は、イオン性ポリマーの炭素鎖の少なくとも1つの末端、および/またはその側鎖に存在してもよい。例えば、イオン性ポリマーの炭素鎖中の少なくとも1つの末端基または置換基(例えば、R1および/またはR2)は、前記イオン性ポリマーの架橋を可能にする官能性を含む。一部の場合、そのような官能基の存在は、イオン性ポリマーの特性の調節に寄与することがある。
【0211】
必要に応じた後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップは、イオン性ポリマーの少なくとも1つの官能基と、架橋性官能基の少なくとも1つの前駆体との間の反応によって行うことができる。例えば、架橋性官能基は、アクリレート、メタクリレート、C1~C10アルキル-アクリレート、C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニル-C1~C10アルキル-アクリレート、アミノカルボニル-C1~C10アルキル-メタクリレート、アミノカルボニル-C1~C10アルキル-アクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレート、オキシカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレート、カルボニルオキシ-C1~C10アルキル-メタクリレート、カルボニルオキシ-C1~C10アルキル-アクリレート、カルボニルアミノ-C1~C10アルキル-メタクリレートおよびカルボニルアミノ-C1~C10アルキル-アクリレートから選択される。
【0212】
別の例によれば、後官能基化反応は、エステル化反応およびアミド化反応から選択することができる。例えば、後官能基化反応は、Fisherエステル化、Steglichエステル化または米国特許第7,897,674(B2)号(Zaghibら)に記載されている反応であってもよい。別の例によれば、カルバメート官能基を有するイオン性ポリマーは、メタクリル酸2-イソシアナトエチルとイオン性ポリマーの官能基との間の反応によって得ることができる。別の例によれば、アクリレート官能基を有するイオン性ポリマーは、イオン性ポリマーの官能基と、アクリル酸(CH2=CHCOOH)、メタクリル酸(CH2C(CH3)COOH)、塩化アクリロイル(CH2=CHCO(Cl))、塩化メタクリロイル(CH2=C(CH3)CO(Cl))または別の適合可能なカルボン酸誘導体との間の反応によって得ることができる。
【0213】
別の例によれば、本方法は、少なくとも1個のハロゲン原子、例えば塩素原子を置換するステップをさらに含む。例えば、置換ステップは、ハロゲン原子の求核性試薬による求核置換反応によって行われてもよい。一例によれば、求核性試薬は、塩、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などのリチウム塩、またはテトラフルオロホウ酸銀(AgBF4)などの銀塩とすることができる。対象とする一変形形態によれば、置換ステップは、少なくとも1個の塩素原子の陰イオン(例えば、TFSIまたはBF4)による求核置換によって行うことができる。一例によれば、イオン性ポリマーを、少なくとも1種の求核性試薬と接触させて反応させる。例えば、イオン性ポリマーは、求核置換反応を実質的に完了するのを確実にするよう、十分な高温で、および十分な時間、十分な量の求核性試薬と接触させることができる。例えば、イオン性ポリマーは、約40℃の温度で、約2時間、約10重量%のLiTFSIと接触させて、確実に求核置換反応を実質的に完了することができる。例えば、次に、求核性試薬をろ過により、および好適な溶媒、例えば、酢酸エチルまたはメタノール中で沈殿させることによって除去することができる。
【0214】
別の例によれば、本方法は、分離ステップまたは精製ステップをさらに含む。分離ステップまたは精製ステップは、任意の公知の適合可能な分離方法または精製方法によって行うことができる。例えば、分離ステップまたは精製ステップは、分子量に基づく分離方法によって行うことができる。分離ステップまたは精製ステップは、液体クロマトグラフィー法(例えば、立体排除クロマトグラフィー)またはろ過法(例えば、膜ろ過方法または膜分離方法)によって行うことができる。例えば、分離ステップまたは精製ステップは、膜ろ過法(例えば、ナノろ過または限外ろ過)によって実施される。一部の実施形態では、分離ステップまたは精製ステップは、限外ろ過によって行うことができる。例えば、限外ろ過は、イオン性ポリマーから低分子量不純物(例えば、1000DA未満)を分離するため、1,000DA(ダルトン)(すなわち、1.66×10-15μg)の分子量カットオフ(MWCO)限界を有する膜を用いて行うことができる。別の例によれば、分離ステップまたは精製ステップは、後官能基化ステップまたは後重合修飾ステップの前および/または後に行うことができる。
【0215】
別の例によれば、本方法は、上記のポリマー組成物またはイオン性ポリマーを含む懸濁液をコーティングする(塗り広げるとも呼ばれる)ステップをさらに含む。例えば、前記コーティングするステップは、ドクターブレードコーティング法、コンマコーティング法、リバースコンマコーティング法、グラビアコーティングなどの印刷法、またはスロットダイコーティング法のうちの少なくとも1つによって行われてもよい。対象とする一変形形態によれば、前記コーティングするステップは、ドクターブレードコーティング法またはスロットダイコーティング法によって行われる。一例によれば、ポリマー組成物、またはイオン性ポリマーを含む懸濁液は、基材または支持膜(例えば、シリコーン、ポリプロピレンまたはケイ素化ポリプロピレンから作製された基材)にコーティングされてもよい。例えば、前記基材または支持膜は、続いて除去されてもよい。別の例によれば、ポリマー組成物、またはイオン性ポリマーを含む懸濁液は、電極に直接、コーティングされてもよい。
【0216】
別の例によれば、本方法は、上で定義したポリマー組成物またはイオン性ポリマーを乾燥するステップをさらに含む。一例によれば、乾燥するステップは、あらゆる残留溶媒を除去するために行ってもよい。別の例によれば、乾燥ステップおよびコーティングするステップは、同時におよび/または個別に行ってもよい。
【0217】
別の例によれば、本方法は、上で定義したポリマー組成物またはイオン性ポリマーを架橋するステップをさらに含む。例えば、イオン性ポリマーの炭素鎖における少なくとも1つの末端基または置換基(例えば、R1および/またはR2)は、イオン性ポリマーの架橋を可能にする少なくとも1つの官能基を含む。別の例によれば、架橋ステップは、UV照射によって、加熱処理によって、マイクロ波照射によって、電子線下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行うことができる。対象とする一変形形態によれば、架橋ステップは、UV照射によって実施される。対象とする別の変形形態によれば、架橋ステップは、加熱処理によって実施される。対象とする別の変形形態によれば、架橋ステップは、電子線下で実施される。別の例によれば、架橋ステップは、架橋剤、熱開始剤、光開始剤、触媒、可塑剤、またはそれらの少なくとも2種の組合せの存在下で実施されてもよい。例えば、光開始剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure(商標)651)である。例えば、ポリマー組成物およびイオン性ポリマーは、架橋後に固化することができる。
【0218】
本技術はまた、電気化学的用途において、上で定義したポリマー組成物またはイオン性ポリマーの使用に関する。
【0219】
一例によれば、ポリマー組成物またはイオン性ポリマーは、電気化学セル、電池、スーパーキャパシタ(例えば、炭素-炭素スーパーキャパシタ、ハイブリッド式スーパーキャパシタなど)に使用することができる。別の例によれば、ポリマー組成物またはイオン性ポリマーは、エレクトロクロミック材料、エレクトロクロミックセル、エレクトロクロミックデバイス(ECD)、および米国特許第5,356,553号に記載されているものなどのエレクトロクロミックセンサーに使用することができる。
【0220】
別の例によれば、本明細書において定義されるポリマー組成物は、固体ポリマー電解質組成物であってもよい。別の例によれば、本明細書において定義されるポリマー組成物は、電極材料の構成成分として、例えば、電極材料中の結合剤として使用され得る。
【0221】
したがって、本技術はまた、上で定義されているイオン性ポリマーまたは上で定義されているポリマー組成物(すなわち、上で定義されているイオン性ポリマーを含む)を含む固体ポリマー電解質であって、架橋性官能基がイオン性ポリマーに存在する場合、このイオン性ポリマーが必要に応じて架橋され得る、固体ポリマー電解質に関する。
【0222】
一例によれば、上記で定義されている固体ポリマー電解質組成物または固体ポリマー電解質は、少なくとも1種の塩をさらに含んでもよい。例えば、塩は、固体ポリマー電解質組成物または固体ポリマー電解質に溶解することができる。
【0223】
塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムの塩などのイオン性塩とすることができる。対象とする一変形形態によれば、イオン性塩はリチウム塩である。リチウム塩の非限定例には、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)、リチウム4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(LiDCTA)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、硝酸リチウム(LiNO3)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSO3CF3)(LiTf)、フルオロアルキルリン酸リチウムLi[PF3(CF2CF3)3](LiFAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ホウ酸リチウムLi[B(OCOCF3)4](LiTFAB)、リチウムビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ボレートLi[B(C6O2)2](LiBBB)、およびそれらの少なくとも2種の組合せが含まれる。対象とする一変形形態によれば、リチウム塩は、LiPF6とすることができる。対象とする別の変形形態によれば、リチウム塩は、LiFSIとすることができる。対象とする別の変形形態によれば、リチウム塩は、LiTFSIすることができる。ナトリウム塩の非限定例は、リチウムイオンがナトリウムイオンにより置き換わった、上記の塩を含む。カリウム塩の非限定例は、リチウムイオンがカリウムイオンにより置き換わった、上記の塩を含む。カルシウム塩の非限定例には、リチウムイオンがカルシウムイオンにより置き換わった、上記の塩であって、この塩中に存在する陰イオンの数は、カルシウムイオンの電荷に調節されている、塩が含まれる。マグネシウム塩の非限定例には、リチウムイオンがマグネシウムイオンにより置き換わった、上記の塩であって、この塩中に存在する陰イオンの数は、マグネシウムイオンの電荷に調節されている、塩が含まれる。
【0224】
別の例によれば、上記で定義した固体ポリマー電解質組成物または固体ポリマー電解質は、イオン伝導性材料、無機粒子、ガラス粒子、セラミック粒子(例えば、ナノセラミックス)、他の類似の添加剤またはそれらの少なくとも2種の組合せなどの、追加の構成成分または添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。例えば、イオン伝導率が高いため、追加の構成成分または添加剤が選択され得、リチウムイオンの伝導を改善するために特に添加されてもよい。対象とする一変形形態によれば、追加の構成成分または添加剤は、結晶形態および/またはアモルファス形態のNASICON、LISICON、チオ-LiSICON、ザクロ石、ならびにそれらの少なくとも2種の組合せから選択され得る。
【0225】
別の例によれば、固体ポリマー電解質は、薄層フィルムの形態にあってもよい。例えば、フィルムは、固体ポリマー電解質を含む少なくとも1つの電解質層を含む。一部の場合、上で定義されている追加の構成成分または添加剤は、電解質層中に、または例えば電解質層に堆積されたイオン伝導層中に個別に、含まれていてもよくおよび/または実質的に分散されていてもよい。
【0226】
本技術はまた、上で定義されている少なくとも1種の電気化学的活性材料およびイオン性ポリマー、または本明細書において定義されているポリマー組成物(すなわち、本明細書において定義されているイオン性ポリマーを含む)を含む電極材料に関する。一例によれば、イオン性ポリマーは、電極材料中の結合剤として作用する。一例によれば、電極材料は、正極材料である。別の例によれば、電極材料は、負極材料である。
【0227】
例によれば、電気化学的活性材料は、粒子の形態にあってもよい。電気化学的活性材料の非限定例には、金属酸化物、リチウム金属酸化物、金属リン酸塩、リチウム金属リン酸塩、チタン酸塩およびチタン酸リチウムが含まれる。
【0228】
例えば、電気化学的活性材料の金属は、元素:チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、アンチモン(Sb)およびそれらの少なくとも2種の組合せ(適合可能な場合)から選択することができる。対象とする一変形形態によれば、電気化学的活性材料の金属は、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)およびそれらの少なくとも2種の組合せ(適合可能な場合)から選択することができる。
【0229】
電気化学的活性材料の非限定例はまた、チタン酸塩およびチタン酸リチウム(例えば、TiO2、Li2TiO3、Li4Ti5O12、H2Ti5O11、H2Ti4O9およびそれらの組合せ)、金属リン酸塩およびリチオ化金属リン酸塩(例えば、LiM’PO4およびM’PO4(M’は、Fe、Ni、Mn、Mg、Coおよびそれらの組合せであり得る))、酸化バナジウムおよび酸化リチウムバナジウム(例えば、LiV3O8、V2O5、LiV2O5など)、および式LiMn2O4、LiM’’O2(M’’は、Mn、Co、Niおよびそれらの組合せから選択される)、Li(NiM’’’)O2(M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、Zr、別の類似金属およびそれらの組合せから選択される)の他のリチウム金属酸化物、およびそれらの少なくとも2種の組合せ(適合可能な場合)を含む。
【0230】
別の例によれば、電気化学的活性材料は、他の元素または不純物が必要に応じてドープされていてもよく、それらには、例えば、その電気化学的特性を調節または最適化するため、より少ない量で含まれてもよい。例えば、電気化学的活性材料は、他のイオンによる金属の部分置換によってドープされてもよい。例えば、電気化学的活性材料には、遷移金属(例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnまたはY)および/または遷移金属以外の金属(例えば、Mg、AlまたはSb)がドープされていてもよい。
【0231】
別の例によれば、電気化学的活性材料は、粒子(例えば、マイクロ粒子および/またはナノ粒子)の形態にあってもよく、この粒子は、新しく形成されてもよく、または商業的に調達されてもよく、かつコーティング材料をさらに含んでもよい。コーティング材料は、電子伝導性材料であってもよく、例えば、コーティングは、炭素コーティングであってもよい。
【0232】
別の例によれば、電極材料は、例えば、電気化学的活性材料として、炭素をコーティングしたチタン酸リチウム(c-LTO)を含む負極材料である。
【0233】
別の例によれば、電極材料はまた、イオン伝導体、無機粒子、ガラスまたはセラミック粒子、ナノセラミックス(例えば、Al2O3、TiO2、SiO2および他の類似の化合物)、塩(例えば、リチウム塩)および他の類似の添加剤などの、追加の構成成分または添加剤を必要に応じて含んでもよい。例えば、追加の構成成分または添加剤は、結晶形態および/またはアモルファス形態のNASICON、LISICON、チオ-LiSICON、ザクロ石、スルフィド、ハロゲン化硫黄、リン酸塩およびチオ-ホスフェート化合物、およびそれらの少なくとも2種の組合せから選択さるイオン伝導体とすることができる。
【0234】
別の例によれば、本明細書において定義されている電極材料は、電子伝導性材料をさらに含んでもよい。電子伝導性材料の非限定例には、カーボンブラック(例えば、Ketjen(商標)カーボンおよびSuper P(商標)カーボン)、アセチレンブラック(例えば、ShawiniganカーボンおよびDenka(商標)カーボンブラック)、グラファイト、グラフェン、炭素繊維(例えば、蒸気成長炭素繊維(VGCF))、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ(CNT)およびそれらの少なくとも2種の組合せが含まれる。
【0235】
本技術はまた、集電器(例えば、アルミニウムまたは銅)に本明細書において定義されている電極材料を含む電極に関する。代替的に、電極は、自己支持電極であってもよい。対象とする一変形形態によれば、本明細書において定義されている電極は、正極である。対象とする別の変形形態によれば、本明細書において定義されている電極は、負極である。
【0236】
本技術はまた、負極、正極および電解質を備える電気化学セルであって、負極、正極および電解質のうちの少なくとも1つが、本明細書において定義されているイオン性ポリマー、または本明細書において定義されているポリマー組成物を含む、電気化学セルに関する。
【0237】
本技術はまた、負極、正極および電解質を備える電気化学セルであって、負極、正極および電解質のうちの少なくとも1つが、本明細書において定義されている通りである、電気化学セルに関する。対象とする一実施形態によれば、電解質は、本明細書において定義されている固体ポリマー電解質である。対象とする別の実施形態によれば、負極は、本明細書において定義されている通りである。対象とする別の変形形態によれば、正極は、本明細書において定義されている通りである。対象とする変形形態によれば、電解質は、本明細書において定義されている固体ポリマー電解質であり、正極は、本明細書において定義されている通りである。
【0238】
本技術はまた、本明細書において定義されている電気化学セルを少なくとも1つ備える電池に関する。例えば、前記電池は、リチウム電池、リチウム-イオン電池、リチウム-硫黄電池、ナトリウム電池、ナトリウム-イオン電池、マグネシウム電池およびマグネシウム-イオン電池から選択することができる。対象とする一変形形態によれば、電池は、リチウム電池またはリチウム-イオン電池である。例えば、電池は、全固体電池(例えば、全固体リチウム電池)とすることができる。
【実施例】
【0239】
以下の実施例は、例示目的のためであり、企図される本発明の範囲をさらに限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、添付の図面を参照することによって一層、理解されよう。
(実施例1)
ビス(クロロスルホニル)イミド(Cl-SO2-NH-SO2-Cl)の合成
【0240】
ビス(クロロスルホニル)イミドの合成は、スルファミン酸と塩化チオニルとの間の反応、次に、こうして得られた生成物とクロロスルホン酸との反応によって行った。したがって、ビス(クロロスルホニル)イミドは、スキーム5に例示される方法によって調製した:
【化73】
【0241】
磁気撹拌子を備える清浄で乾燥したフラスコに1.0当量のスルファミン酸を入れ、過剰体積の塩化チオニル(2.75当量)に懸濁させた。操作はすべて、一定流量の窒素下で行った。1.0当量のクロロスルホン酸を滴下して加え、フラスコに塩酸蒸気を中和するための飽和水酸化ナトリウム水溶液または水酸化リチウム水溶液を含めた蒸気トラップを装備した。次に、こうして得られた混合物を一定撹拌下、約130℃の温度の砂浴で、約24時間、加熱した。
【0242】
次に、この混合物を約180℃の温度で真空蒸留することによって精製し、ヒートガンを使用してこの混合物を加熱した。蒸留は、冷媒中での水循環を使用せず、液体窒素を充填したコールドトラップを用いて実施した。温度を蒸留の終了時に昇温させ、蒸留の完了を確実にした。生成物の汚染を回避するため、煙が形成する前に蒸留を停止した。
【0243】
次に、こうして得られた生成物を冷却し、ビス(クロロスルホニル)イミド結晶を形成させて、冷凍庫に保管した。
(実施例2)
リチウムビス(クロロスルホニル)イミドの合成
リチウムビス(クロロスルホニル)イミドは、スキーム6に例示される方法によって調製した:
【化74】
【0244】
リチウムビス(クロロスルホニル)イミドの合成は、不活性窒素雰囲気下、グローブボックス中で行った。実施例1において調製したビス(クロロスルホニル)イミドを1.0当量、秤量し、予め清浄し、あらゆる残留水を除去するよう120℃の温度で2時間、乾燥したフラスコに入れた。次に、フラスコをセプタムで閉じた。無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解した約1.0当量~約1.5当量の間の塩化リチウムを、ニードルを使用してセプタムを介して上記のフラスコに加えた。
【0245】
次に、このフラスコをグローブボックスから取り出し、リチオ化、およびN,N-ジメチルホルムアミドによるリチウムビス(クロロスルホニル)イミドの混合物の活性化の完了を確実にするため、約100℃の温度において約24時間、一定流量の窒素下に置いた。
(実施例3)
重合
(a)ジエチレングリコールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの重合(ポリマー1)
【0246】
重合は、ジエチレングリコールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの、触媒により制御した重縮合によって行った。こうして重縮合触媒を用いて、重合を制御した。
【0247】
実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドを含む混合物を氷浴中、20分間、冷却した。次に、セプタムを除去し、次に、フラスコの口を可能な限り多くの生成物を回収するよう溶媒で洗浄した。次に、フラスコを新しいセプタムで閉じた。
【0248】
次に、3当量のトリエチルアミンを混合物に加えた。続いて、この混合物に25mgのトリフルオロフェニルボロン酸および400mgの4-ジメチルアミノピリジンを加えた。次に、1当量のジエチレングリコールを加え、この反応混合物を約100℃の温度で約72時間、加熱した。
【0249】
次に、この反応混合物を冷却して、ろ過し、酢酸エチルに沈殿させた。この反応混合物を氷浴中に約30分間、置き、次に、デカンテーションした。
【0250】
次に、イソプロパノールおよびアセトン(2:8体積比)を含む溶媒混合物に得られたポリマーを溶解し、冷凍庫に約1時間、置いた。次に、この混合物をろ過して、残留トリエチルアミンクロリドを除去した。次に、溶媒を約60℃の温度で回転式蒸発器を使用して蒸発させた。最後に、ポリマーを真空オーブン中、約60℃の温度で乾燥した。
【0251】
次に、こうして得られたポリマー1を400mLの水に溶解して、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する膜を用いる限外ろ過によって、約7時間、ろ過した。
【0252】
塩素原子の置換は、求核性試薬としてテトラフルオロホウ酸銀を使用する求核置換反応によって行った。ポリマー1に存在する塩化物イオンの決定は、テトラフルオロホウ酸銀の必要量を計算するためにMohr法によって行った。次に、必要量のテトラフルオロホウ酸銀を最少量の水に溶解し、20mLの水に溶解した1gのポリマー1を含む溶液に加えた。次に、この溶液を室温で約15分間、撹拌し、次に、ろ過してメタノールで洗浄した。こうして得られたろ液を次に、蒸発乾固した。この置換はフッ素核磁気共鳴(フッ素-19NMR)によって確認した。
(b)実施例3(a)において調製したポリマーの後官能基化(ポリマー2)
【0253】
ポリマー2は、架橋性基を導入するため、実施例3(a)に提示されているポリマー1の後官能基化によって調製した。
【0254】
実施例3(a)において調製した4gのポリマーを25mlの無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。次に、この溶液に1mlのアクリル酸2-イソシアナトエチルを加え、得られた混合物を窒素雰囲気下、約50℃の温度で約5~12時間、加熱した。次に、この溶液に5mlのメタノールを加え、この溶液を室温まで冷却した。
【0255】
次に、こうして得られたポリマー(ポリマー2)を400mLの水に溶解して、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する膜を用いる限外ろ過によって、約7時間、ろ過した。
【0256】
ポリマー2を立体排除クロマトグラフィー(SEC)によって、プロトン核磁気共鳴(プロトンNMR)によって、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって、および示差走査熱量測定(DSC)によって分析した。
【0257】
図1は、ポリマー2に関して得られた立体排除クロマトグラフィー分析の結果を示す。この結果は、ポリマー2の平均分子量(g/mol)を決定するために得た。立体排除クロマトグラフィーは、0.90ml分
-1の流速で、屈折率(RI)検出器を用いて行った。ポリマー2を用いて得られた立体排除クロマトグラフィーの結果が、表1および2に提示されている。
【表1】
【表2】
【0258】
図2は、ポリマー2に関して得られたプロトンNMRスペクトルを示す。
図3は、ポリマー2に関して得られた示差走査熱量測定分析の結果を示す。
図3に示される通り、ポリマー2は、ガラス転移温度(T
g)=-53℃を有する。
【0259】
次に、ポリマー2のリチウム濃度を決定した。次に、溶液にDOWEX(登録商標)という商標名で市販されている、30重量%の修飾イオン交換樹脂を加えた。次に、こうして得られた懸濁液を室温で約12時間、撹拌し、次に、ろ過した。こうして得られたろ液を蒸発乾固し、真空オーブン中、約65℃の温度で約24時間、乾燥した。ポリマー中のリチウム濃度は、塩化リチウムの標準溶液に対して、リチウム核磁気共鳴(7Li NMR)によって決定した。
【0260】
前記修飾イオン交換樹脂を、以下の方法によって得た:ガラス製カラムに30gのDowex(登録商標)50WX8(H+)樹脂を充填し、2M水酸化リチウム水溶液で湿潤させた。カラムの終点部において塩基性pHに到達するまで、この樹脂を洗浄した。続いて、こうして修飾した樹脂を、中性pHが得られるまで超純水を用いて洗浄し、次に、300mlのメタノールで洗浄した。次に、樹脂を約60℃の温度で約12時間、オーブン乾燥した。代替的に、300mlの2M水酸化リチウム水溶液中で30gのDowex(登録商標)50WX8(H+)樹脂を約12時間、撹拌し、次に、こうして得られた懸濁液をろ過することによって修飾イオン交換樹脂を調製することができる。次に、こうして修飾した樹脂を上記の通りに洗浄し、乾燥した。
(c)2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの重合(ポリマー3)
【0261】
この重合は、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの触媒により制御した重縮合によって行った。
【0262】
実施例2のリチウムビス(クロロスルホニル)イミドを含む混合物を氷浴中、20分間、冷却した。次に、セプタムを除去し、次に、フラスコの口を可能な限り多くの生成物を回収するため溶媒で洗浄した。次に、このフラスコを新しいセプタムで閉じた。
【0263】
次に、3当量のトリエチルアミンを混合物に加えた。続いて、この混合物に25mgのトリフルオロフェニルボロン酸および400mgの4-ジメチルアミノピリジンを加えた。次に、1当量の2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオールを加え、この反応混合物を約100℃の温度で約72時間、加熱した。
【0264】
次に、この反応混合物を冷却して、ろ過し、酢酸エチルに沈殿させた。この反応混合物を氷浴中に約30分間、置き、次に、デカンテーションした。
【0265】
次に、イソプロパノールおよびアセトン(2:8体積比)を含む溶媒混合物にポリマーを溶解し、冷凍庫に約1時間、置いた。次に、残留トリエチルアミンクロリドを除去するため、この混合物をろ過した。次に、溶媒を約60℃の温度で回転式蒸発器を使用して蒸発させた。最後に、ポリマーを真空オーブン中、約60℃の温度で乾燥した。
【0266】
次に、このようにして得られたポリマー(ポリマー3)を400mlの水に溶解して、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する膜を用いる限外ろ過によって、約7時間、ろ過した。
【0267】
次に、塩素原子の置換を、実施例3(a)に記載されている方法によって行った。
(d)実施例3(c)において調製したポリマーの後官能基化(ポリマー4)
【0268】
ポリマー4は、架橋性基を導入するため、実施例3(c)に提示されているポリマー3の後官能基化によって調製した。
【0269】
実施例3(c)において調製した4gのポリマーを25mlの無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。次に、この溶液に1mlのメタクリル酸2-イソシアナトエチルを加え、次に、こうして得られた混合物を窒素雰囲気下、約50℃の温度で約5~12時間、加熱した。
【0270】
次に、このようにして得られたポリマー(ポリマー4)を400mlの水に溶解して、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する膜を用いる限外ろ過によって、約7時間、ろ過した。
【0271】
ポリマー4を立体排除クロマトグラフィーによって分析し、その結果を
図4に示す。立体排除クロマトグラフィーは、0.80ml分
-1の流速で、屈折率検出器を用いて行った。ポリマー4を用いて得られた立体排除クロマトグラフィーの結果は、表3および4にも提示されている。
【表3】
【表4】
【0272】
ポリマー4のリチウム濃度もまた、実施例3(b)に記載した方法によって決定した。
(e)グリセロールおよびジエチレングリコールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの重合(ポリマー5)
【0273】
重合は、グリセロールおよびジエチレングリコールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの触媒により制御した重縮合によって行った。
【0274】
実施例2のリチウムビス(クロロスルホニル)イミドを含む混合物を氷浴中、20分間、冷却した。次に、セプタムを除去し、次に、フラスコの口を可能な限り多くの生成物を回収するよう溶媒で洗浄した。次に、このフラスコを新しいセプタムで閉じた。
【0275】
次に、3当量のトリエチルアミンを混合物に加えた。続いて、この混合物に25mgのトリフルオロフェニルボロン酸および400mgの4-ジメチルアミノピリジンを加えた。次に、0.90当量のジエチレングリコールおよび0.10当量のグリセロールを加え、この反応混合物を約100℃の温度まで約72時間、加熱した。
【0276】
次に、この反応混合物を冷却して、ろ過し、酢酸エチルに沈殿させた。この反応混合物を氷浴中に約30分間、置き、次に、デカンテーションした。
【0277】
次に、イソプロパノールおよびアセトン(2:8体積比)を含む溶媒混合物にポリマーを溶解し、冷凍庫に約1時間、置いた。次に、残留トリエチルアミンクロリドを除去するため、この混合物をろ過した。次に、溶媒を約60℃の温度で回転式蒸発器を使用して蒸発させた。最後に、ポリマーをオーブン中、約60℃の温度において真空下で乾燥した。
【0278】
次に、このようにして得られたポリマー(ポリマー5)を400mlの水に溶解して、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する膜を用いる限外ろ過によって、約7時間、ろ過した。
【0279】
次に、塩素原子の置換を、実施例3(a)に記載されている方法によって行った。
【0280】
ポリマー5をプロトン核磁気共鳴(1H NMR)によって、炭素-13核磁気共鳴(13C NMR)によって、フッ素核磁気共鳴(19F NMR)によって、および示差走査熱量測定(DSC)によって分析した。
【0281】
図5は、例えば実施例3(a)に記載されている方法による、ジエチレングリコールと実施例2において調製したリチウムビス(クロロスルホニル)イミドとの重合によって得られたポリマーに関するプロトンNMRスペクトルを示す。
【0282】
図6~8は、それぞれ、ポリマー5に関して得られた、プロトンNMRスペクトル、炭素-13 NMRスペクトルおよびフッ素NMRスペクトルを示す。
【0283】
図9は、ポリマー5に関して得られた示差走査熱量測定分析の結果を示し、ポリマー5が、ガラス転移温度(T
g)=-73℃を有することを実証している。
(f)実施例3(e)において調製したポリマーの後官能基化(ポリマー6)
【0284】
ポリマー6は、架橋性基を導入するため、実施例3(e)に提示されているポリマー5の後官能基化によって調製した。
【0285】
実施例3(e)において調製した4gのポリマーを25mlの無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。次に、この溶液に1mLのメタクリル酸2-イソシアナトエチルを加え、こうして得られた混合物を窒素雰囲気下、約50℃の温度で約5~12時間、加熱した。
【0286】
次に、このようにして得られたポリマー(ポリマー6)を400mlの水に溶解して、1,000DAの分子量カットオフ限界を有する膜を用いる限外ろ過によって、約7時間、ろ過した。
【0287】
ポリマー6のリチウム濃度もまた、実施例3(b)に記載した方法によって決定した。ポリマー6に関して、25mol%のリチウム濃度が得られた。
(実施例4)
イオン伝導率
【0288】
実施例4(a)~4(d)は、本出願において記載されている方法によって、本明細書において定義されているポリマーのイオン伝導率を測定するためのポリマーフィルムの調製に関する一方、実施例4(e)および4(f)は、比較目的のためのものである。
a) ポリマー1を含むポリマーフィルムの調製
【0289】
実施例3(a)において調製したポリマー1に関して、イオン伝導率の結果を得た。実施例3(a)において調製した1.7gのポリマーを、追加のリチウム塩を添加しないで、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物1.4gに溶解した。こうして得られた懸濁液に10重量%のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を加えた。
【0290】
次に、3ミルのスリット開口部を有するホットプレートコーティングシステム(エリクセン試験装置)を使用し、15mm.s-1の速度でこの懸濁液を基材または支持膜に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0291】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0292】
次に、このポリマーフィルムを基材または支持膜の表面から除去した。
b) ポリマー2を含むポリマーフィルムの調製
【0293】
実施例3(b)において調製したポリマー2に関して、イオン伝導率の結果を得た。実施例3(b)において調製した1.7gのポリマーを、追加のリチウム塩をなんら添加しないで、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物1.4gに溶解した。
【0294】
次に、3ミルのスリット開口部を有するホットプレートコーティングシステム(エリクセン試験装置)を使用し、15mm.s-1の速度でこうして得られた懸濁液を基材または支持膜に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0295】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0296】
乾燥後、不活性ヘリウム雰囲気下、ポリマーフィルムをポリカーボネート(lexan)製ボックスに入れて、酸素および水分の存在を低下させた。次に、このポリマーフィルムに、このポリマーフィルムから約5cmの距離に置いたUV光(254nmの波長)を用いて5分間、照射した。
【0297】
次に、このポリマーフィルムを基材または支持膜の表面から除去した。
c) ポリマー4を含むポリマーフィルムの調製
【0298】
実施例3(d)において調製したポリマー4に関して、イオン伝導率の結果を得た。実施例3(d)において調製した1.7gのポリマーを、追加のリチウム塩をなんら添加しないで、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物1.4gに溶解した。
【0299】
次に、3ミルのスリット開口部を有するホットプレートコーティングシステム(エリクセン試験装置)を使用し、15mm.s-1の速度でこうして得られた懸濁液を基材または支持膜に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0300】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0301】
乾燥後、不活性ヘリウム雰囲気下、ポリマーフィルムをポリカーボネート(lexan)製ボックスに入れて、酸素および水分の存在を低下させた。次に、このポリマーフィルムに、このポリマーフィルムから約5cmの距離に置いたUV光(254nmの波長)を用いて5分間、照射した。
【0302】
次に、このポリマーフィルムを基材または支持膜の表面から除去した。
d) ポリマー6を含むポリマーフィルムの調製
【0303】
実施例3(f)において調製したポリマー6に関して、イオン伝導率の結果を得た。実施例3(f)において調製した1.7gのポリマーを、追加のリチウム塩をなんら添加しないで、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物1.4gに溶解した。
【0304】
次に、3ミルのスリット開口部を有するホットプレートコーティングシステム(エリクセン試験装置)を使用し、15mm.s-1の速度でこうして得られた懸濁液を基材または支持膜に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0305】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0306】
乾燥後、不活性ヘリウム雰囲気下、ポリマーフィルムをポリカーボネート(lexan)製ボックスに入れて、酸素および水分の存在を低下させた。次に、このポリマーフィルムに、このポリマーフィルムから約5cmの距離に置いたUV光(254nmの波長)を用いて5分間、照射した。
【0307】
次に、このポリマーフィルムを基材または支持膜の表面から除去した。
e) ポリマー7を含むポリマーフィルムの調製(比較)
【0308】
米国特許第7,897,674(B2)号(Zaghibら)(US’674)に記載されているポリマーに関して、イオン伝導率の結果を得た。1.7gのポリマーを、追加のリチウム塩をなんら添加しないで、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物1.4gに溶解した。
【0309】
次に、3ミルのスリット開口部を有するホットプレートコーティングシステム(エリクセン試験装置)を使用し、15mm.s-1の速度でこうして得られた懸濁液を基材または支持膜に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0310】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0311】
乾燥後、不活性ヘリウム雰囲気下、ポリマーフィルムをポリカーボネート(lexan)製ボックスに入れて、酸素および水分の存在を低下させた。次に、このポリマーフィルムに、このポリマーフィルムから約5cmの距離に置いたUV光(254nmの波長)を用いて5分間、照射した。
【0312】
次に、このポリマーフィルムを基材または支持膜の表面から除去した。
f) ポリマー8を含むポリマーフィルムの調製(比較)
【0313】
米国特許第6,903,174(B2)号(Harveyら)(US’174)に記載されているポリマーに関するイオン伝導率の結果を得た。1.7gのポリマーを、追加のリチウム塩をなんら添加しないで、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物1.4gに溶解した。こうして得られた懸濁液に、0.5重量%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure(商標)651)を加えた。
【0314】
次に、3ミルのスリット開口部を有するホットプレートコーティングシステム(エリクセン試験装置)を使用し、15mm.s-1の速度でこうして得られた懸濁液を基材または支持膜に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0315】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0316】
乾燥後、不活性ヘリウム雰囲気下、ポリマーフィルムをポリカーボネート(lexan)製ボックスに入れて、酸素および水分の存在を低下させた。次に、このポリマーフィルムに、このポリマーフィルムから約5cmの距離に置いたUV光(254nmの波長)を用いて5分間、照射した。
【0317】
次に、このポリマーフィルムを基材または支持膜の表面から除去した。
g) イオン伝導率測定用の対称セルの調製
【0318】
実施例4(a)~4(f)において調製したポリマーフィルムを含む対称セルの調製全体を約-55℃の露点の無水チャンバ中で実施した。対称セルの組み立ては、ボタン型セルの構成で行った。ポリマーフィルムを2.01cm
2の活性領域を有する2枚のステンレス鋼製ブロッキング電極間に置いた。対称セルを表5に示されている構成で組み立てた。
【表5】
h) 実施例4(a)~4(f)に与えられているポリマーフィルムのイオン伝導率の測定
【0319】
実施例4(g)の対称セルのイオン伝導率測定は、VPM3マルチチャンネルポテンシオスタットを用いて記録した、交流電気化学インピーダンス分光法によって行った。電気化学インピーダンス分光法は、20℃~80℃の温度範囲(5℃ずつ昇温および降温)において、200mHz~1MHzの間で行った。
【0320】
オーブン温度が温度(T)において安定化した後に、各電気化学インピーダンス測定値を得た。
【0321】
リチウムイオンのイオン伝導率は、式1:
【数1】
(式中、
σは、イオン伝導率(S.cm
-1)であり、lは、2枚のステンレス鋼製ブロッキング電極の間に置いたポリマーフィルムの厚さであり、Aは、ポリマーと2枚のステンレス鋼製電極との間の接触面積であり、R
tは、電気化学インピーダンス分光法によって測定した全抵抗率である)
を使用した電気化学インピーダンス分光法測定値から計算した。
【0322】
図10~15におけるグラフは、それぞれ、実施例4(g)において組み立てた対称セル(セル1~6)に関する測定したイオン伝導率(S.cm
-1)の結果を、温度の関数(K
-1)として表す。
【0323】
図10は、実施例4(g)に記載されているセル1に関して、50℃の温度において、1.97×10
-5S.cm
-1のイオン伝導率の値が得られたことを示している。
【0324】
図11は、実施例4(g)に記載されているセル2に関して、50℃の温度において、2.65×10
-5S.cm
-1のイオン伝導率の値が得られたことを示している。
【0325】
図12は、実施例4(g)に記載されているセル3に関して、50℃の温度において、5.37×10
-5S.cm
-1のイオン伝導率の値が得られたことを示している。
【0326】
図13は、実施例4(g)に記載されているセル4に関して、50℃の温度において、3.25×10
-4S.cm
-1のイオン伝導率の値が得られたことを示している。
【0327】
図14は、実施例4(g)(比較)に記載されているセル5に関して、50℃の温度において、1.65×10
-4S.cm
-1のイオン伝導率の値が得られたことを示している。
【0328】
図15は、実施例4(g)(比較)に記載されているセル6に関して、50℃の温度において、1.90×10
-4S.cm
-1のイオン伝導率の値が得られたことを示している。
(実施例5)
サイクリックボルタンメトリー
a) サイクリックボルタンメトリー測定のためのポリマーフィルムの調製
【0329】
実施例3(b)および3(f)において調製したポリマー、ならびに比較目的のためのUS’674およびUS’174特許に記載されているポリマー、ならびにポリアクリロニトリル(PAN)に関して、サイクリックボルタンメトリーの結果を得た。
【0330】
実施例3(b)および3(f)において調製したポリマーならびに比較ポリマーを、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物中に溶解した。
【0331】
ポリマーが一旦、溶解すると、Ketjen(商標)ブラックをポリマー:Ketjen(商標)ブラック比(重量基準で5:1)で混合物に加えた。
【0332】
次に、ボールミルを使用して得られたブレンドを混合し、適度に分散させて、Ketjen(商標)ブラック凝集体を細砕した。
【0333】
こうして得られた混合物の粘度を、水およびメタノール(体積基準で80:20)を含む溶媒混合物を用いて調節した。
【0334】
次に、このようにして得られた混合物を、ホットプレートを備えるドクターブレードコーティングシステムを使用して、炭素をコーティングしたアルミニウム集電器に塗布した。こうして得られたポリマーフィルムを、コーティングしている間に、70℃の温度で直接乾燥した。
【0335】
次に、このポリマーフィルムを85℃の温度でオーブン中、48時間、真空下で乾燥し、残留溶媒を除去した。
b) サイクリックボルタンメトリー測定のための対称セルの調製
【0336】
実施例5(a)において調製したポリマーフィルムを含む対称セルの調製の全体を約-55℃の露点の無水チャンバ中で実施した。対称セルは、2.01cm
2の活性表面積を有するボタン型セル構成で組み立てた。対称セルを表6に示されている構成に従い組み立てた。
【表6】
c) サイクリックボルタンメトリー
【0337】
実施例5(b)に記載されている対称セルの酸化の電気化学的安定性を、VMP-3型ポテンシオスタットを使用して測定した。
【0338】
図16は、Li/Li
+に対して2.7V~4.3Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル7(比較セル)(実線)に関して得られたサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。
【0339】
図16はまた、Li/Li
+に対して2.7V~4.3Vの間で、スキャン速度0.05mV/sにおいて記録したセル8(比較セル)(破線)に関して得られたサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。
【0340】
図17は、Li/Li
+に対して2.5V~5Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル7(比較セル)に関して得られたサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。
図17は、Li/Li
+に対して約4.37Vの電位でポリマーの酸化が始まることを示している。
【0341】
図18は、Li/Li
+に対して2.5V~5Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル9(実線)およびセル10(破線)に関して得られたサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。
【0342】
図19は、Li/Li
+に対して2.5V~5Vの間で、スキャン速度0.067mV/sにおいて記録したセル7(比較セル)(2点鎖線)、セル10(1点鎖線)、セル9(破線)およびセル11(比較セル)(実線)に関して得られたサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。
図19は、第1のサイクルの間に得られた結果を示す。
【0343】
いくつかの修正を、企図される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態のいずれかに行うことができる。本文書において言及されている参照文献、特許または科学文献は、すべての目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【国際調査報告】