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特表2023-511925時間領域及び周波数領域の多重化を可能にするキュービットの相加的な制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】時間領域及び周波数領域の多重化を可能にするキュービットの相加的な制御
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/10 20230101AFI20230315BHJP
   G06N 10/40 20220101ALI20230315BHJP
【FI】
H01L39/22 K ZAA
G06N10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544443
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 FI2021050071
(87)【国際公開番号】W WO2021156542
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】20155370.8
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519394241
【氏名又は名称】アイキューエム フィンランド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヘインスー ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AA51
4M113AC45
4M113AC50
4M113AD51
4M113AD54
(57)【要約】
量子電子回路は、量子回路素子(101)と、制御信号線(102、103)と、制御信号線(102、103)と量子回路素子(101)との間に、少なくともいくつかの制御信号線(102、103)を少なくともいくつかの量子回路素子(101)と結合するための信号結合部とを含む。少なくとも第1のサブセット(102)の制御信号線及び第2のサブセット(103)の制御信号線が存在する。信号結合部は、少なくとも1つのサブグループの量子回路素子(101)の各々を、第1のサブセット(102)のそれぞれの制御信号線及び第2のサブセット(103)のそれぞれの制御信号線と結合する。これにより、サブグループの個々の量子回路素子(101)の状態を、第1のサブセット(102)及び第2のサブセット(103)のそれぞれの制御信号線を介して伝送される相加的な制御信号により相加的に制御することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の量子回路素子と、
複数の制御信号線と、
前記複数の制御信号線と前記複数の量子回路素子との間に、前記複数の制御信号線のうちの少なくともいくつかを前記複数の量子回路素子のうちの少なくともいくつかと結合するための信号結合部と、
を含み、
前記複数の制御信号線は、第1のサブセットの制御信号線及び第2のサブセットの制御信号線を少なくとも含む、量子電子回路であって、
前記信号結合部は、少なくとも1つのサブグループの前記複数の量子回路素子の各々を、前記第1のサブセットのそれぞれの制御信号線及び前記第2のサブセットのそれぞれの制御信号線と結合して、前記サブグループの個々の量子回路素子の状態を、前記第1のサブセットのそれぞれの制御信号線及び前記第2のサブセットのそれぞれの制御信号線を介して伝送される相加的な制御信号により相加的に制御することを可能にするように配置される、量子電子回路。
【請求項2】
前記複数の量子回路素子は、第1の量子回路素子、第2の量子回路素子、第3の量子回路素子及び第4の量子回路素子を含み、
前記信号結合部は、前記第1のサブセットの第1の制御信号線を前記第1の量子回路素子及び前記第2の量子回路素子と結合し、前記第1のサブセットの第2の制御信号線を前記第3の量子回路素子及び前記第4の量子回路素子と結合するように配置され、
前記信号結合部は、前記第2のサブセットの第1の制御信号線を前記第1の量子回路素子及び前記第3の量子回路素子と結合し、前記第2のサブセットの第2の制御信号線を前記第2の量子回路素子及び前記第4の量子回路素子と結合するように配置される、請求項1に記載の量子電子回路。
【請求項3】
前記信号結合部は、前記第1のサブセットの前記第1の制御信号線を、前記第1の量子回路素子及び前記第2の量子回路素子を含む第1のサブグループの量子回路素子と結合するように配置され、
前記信号結合部は、前記第1のサブセットの前記第2の制御信号線を、前記第3の量子回路素子及び前記第4の量子回路素子を含む第2のサブグループの量子回路素子と結合するように配置され、
前記信号結合部は、前記第2のサブセットの各制御信号線を、前記第1のサブグループの1つの量子回路素子のみ、及び前記第2のサブグループの1つの量子回路素子のみと結合するように配置される、請求項2に記載の量子電子回路。
【請求項4】
前記信号結合部は、前記第1のサブセットの各制御信号線をそれぞれのサブグループの量子回路素子と結合し、前記第2のサブセットの各制御信号線を各サブグループの1つの量子回路素子のみと結合するように配置される、請求項3に記載の量子電子回路。
【請求項5】
前記複数の制御信号線は、前記第1のサブセットの制御信号線及び前記第2のサブセットの制御信号線に加えて、少なくとも1つの更なるサブセットの制御信号線を含み、
前記サブセットの各々において、前記信号結合部は、個々の制御信号線をそれぞれのサブグループの量子回路素子と結合するように配置され、
前記サブセット間で、前記信号結合部は、各サブグループの量子回路素子のうちの多くとも1つを、異なるサブセットに属する任意の制御信号線と結合するように配置される、請求項4に記載の量子電子回路。
【請求項6】
前記複数の量子回路素子のうちの少なくともいくつかは、キュービットである、請求項1~5のいずれか一項に記載の量子電子回路。
【請求項7】
前記複数の量子回路素子のうちの少なくともいくつかは、共振器であり、前記共振器から更なる共振器への更なる結合部が存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の量子電子回路。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の量子電子回路を少なくとも1つと、前記複数の制御信号線に制御信号を選択的に伝送するように構成されたマルチチャネル制御信号源と、を含む、量子電子デバイス。
【請求項9】
前記マルチチャネル制御信号源は、前記複数の量子回路素子のうちの個々の量子回路素子の状態を、前記複数の量子回路素子のうちの前記個々の量子回路素子が前記信号結合部を介して結合された前記複数の制御信号線を介して、相加的な制御信号を伝送することによって制御するように構成される、請求項8に記載の量子電子デバイス。
【請求項10】
前記マルチチャネル制御信号源は、前記複数の量子回路素子のうちの個々の量子回路素子の状態を、前記複数の量子回路素子のうちの前記個々の量子回路素子が前記信号結合部を介して結合された前記複数の制御信号線を介して、時分割多重化された相加的な制御信号を伝送することによって制御するように構成される、請求項8又は9に記載の量子電子デバイス。
【請求項11】
前記マルチチャネル制御信号源は、前記複数の量子回路素子のうちの個々の量子回路素子の状態を、前記複数の量子回路素子のうちの前記個々の量子回路素子が前記信号結合部を介して結合された前記複数の制御信号線を介して、周波数分割多重化された相加的な制御信号を伝送することによって制御するように構成される、請求項8~10のいずれか一項に記載の量子電子デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの量子回路素子を相加的に制御する方法であって、
少なくとも2本の制御信号線を介して同時に伝送される制御信号を形成するステップと、
形成された前記制御信号を伝送する少なくとも2つの制御信号線を選択するステップと、
選択された前記制御信号線を介して前記制御信号を同時に伝送するステップと、
量子計算で前記制御信号によって相加的に制御される量子回路素子の結果として生じる状態を利用するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、量子計算の技術に関する。特に、本発明は、量子ビットとも呼ばれるキュービットの状態を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
量子計算では、キュービットという用語を使用して、情報の基本単位だけでなく、1キュービットの情報を記憶するために使用される情報記憶素子を指定することが一般的になっている。一例として、1つ以上のキュービットを有する超電導メモリ回路(すなわち、キュービットサイズの情報記憶素子)は、考えられ得る。そのような例では、キュービットは、トランズモンなどの非調和振動子であり、非調和振動子は、そこに記憶されたキュービットの状態の読み出しを容易にするために、近くの読み出し共振器に結合され得る。
【0003】
量子コンピュータを実装するためには、キュービットの状態をそれに結合された制御信号により制御できることが不可欠である。制御は、通常、制御信号をキュービット、カプラー又は線形共振器に十分に近づく制御信号線に注入することで、制御信号がキュービットの状態と相互作用できるようにことを含む。制御信号は、キュービット又はいくつかの関連する回路素子の共振周波数に十分に近い周波数を有し得る。あるいは、制御信号は、キュービット又は関連する回路素子に含まれるSQUIDにバイアスをかけるのに十分である強い磁束を生成するDCパルスを含み得る。
【0004】
量子計算デバイスは、非常に低い温度、つまり、1ケルビンをはるかに下回る温度でのみ動作できるため、デバイスは先進クライオスタット内にある必要がある。クライオスタットへの各信号線及びクライオスタットからの各信号線は、熱負荷を構成するため、必要な低温を達成し維持することがより困難になる。更に、信号線には、高価な先進技術を必要とし、かなりの空間を占め、配置の全体的な複雑さが増す制御電子機器、増幅器、フィルタなどの補助デバイスを必要とする。これらの問題は、量子計算デバイスのキュービット数が増加するにつれてますます悪化する。
【発明の概要】
【0005】
従来技術における制御回路より複雑でない制御回路を用いてキュービットの状態を制御する配置及び方法を提供することを目的とする。既知である解決手段と比較して、信号線及び制御機器の数を減少させる、キュービットの状態を制御する配置及び方法を提供することを別の目的とする。配置及び方法が異なるタイプのキュービット及び異なる種類の制御された自由度に適合することを別の目的とする。制御場の調整された自由度の数がキュービット又はキュービットカプラーの数に準線形的に依存することを保持できることを更なる目的とする。制御線の数がそれらの制御線によって制御されるキュービットの数よりも遅く増加する量子計算デバイスを構築できることを更に別の目的とする。
【0006】
本発明の目的は、複数の制御線による相加的な制御を利用することにより達成され、その結果、適切に選択された制御線の組み合わせを使用することにより、選択された1つ以上のキュービットに対処することができる。
【0007】
第1の態様に係る量子電子回路は、複数の量子回路素子と、複数の制御信号線と、前記制御複数の信号線と前記複数の量子回路素子との間の信号結合部とを含む。前記信号結合部は、前記複数の制御信号線のうちの少なくともいくつかを前記複数の量子回路素子のうちの少なくともいくつかと結合する。前記複数の制御信号線は、第1のサブセットの制御信号線及び第2のサブセットの制御信号線を少なくとも含む。前記信号結合部は、少なくとも1つのサブグループの前記複数の量子回路素子の各々を、前記第1のサブセットのそれぞれの制御信号線及び前記第2のサブセットのそれぞれの制御信号線と結合するように配置される。これにより、前記サブグループの個々の量子回路素子の状態を、前記第1のサブセットのそれぞれの制御信号線及び前記第2のサブセットのそれぞれの制御信号線を介して伝送される相加的な制御信号により相加的に制御することを可能にする。
【0008】
第1の態様の一実施形態において、前記複数の量子回路素子は、第1の量子回路素子、第2の量子回路素子、第3の量子回路素子及び第4の量子回路素子を含む。次に、前記信号結合部は、前記第1のサブセットの第1の制御信号線を前記第1の量子回路素子及び前記第2の量子回路素子と結合し、前記第1のサブセットの第2の制御信号線を前記第3の量子回路素子及び前記第4の量子回路素子と結合するように配置される。次に、前記信号結合部も、前記第2のサブセットの第1の制御信号線を前記第1の量子回路素子及び前記第3の量子回路素子と結合し、前記第2のサブセットの第2の制御信号線を前記第2の量子回路素子及び前記第4の量子回路素子と結合するように配置される。
【0009】
第1の態様の一実施形態において、前記信号結合部は、前記第1のサブセットの第1の制御信号線を、前記第1の量子回路素子及び前記第2の量子回路素子を含む第1のサブグループの量子回路素子と結合するように配置される。次に、前記信号結合部も、前記第1のサブセットの第2の制御信号線を、前記第3の量子回路素子及び前記第4の量子回路素子を含む第2のサブグループの量子回路素子と結合するように配置される。次に、前記信号結合部は更に、前記第2のサブセットの各制御信号線を前記第1のサブグループの1つの量子回路素子のみ、及び前記第2のサブグループの1つの量子回路素子のみと結合するように配置される。
【0010】
第1の態様の一実施形態において、前記信号結合部は、前記第1のサブセットの各制御信号線をそれぞれのサブグループの量子回路素子と結合し、前記第2のサブセットの各制御信号線を各サブグループの1つの量子回路素子のみと結合するように配置される。
【0011】
第1の態様の一実施形態において、前記複数の制御信号線は、前記第1のサブセット及び第2のサブセットの制御信号線に加えて、少なくとも1つの更なるサブセットの制御信号線を含む。次に、前記サブセットの各々において、前記信号結合部は、個々の制御信号線をそれぞれのサブグループの量子回路素子と結合するように配置される。次に、前記サブセット間で、前記信号結合部は、各サブグループの量子回路素子のうちの多くとも1つを、異なるサブセットに属する任意の制御信号線と結合するように配置される。
【0012】
第1の態様の一実施形態において、前記複数の量子回路素子のうちの少なくともいくつかは、キュービットである。
【0013】
第1の態様の一実施形態において、前記複数の量子回路素子のうちの少なくともいくつかは、共振器であり、該共振器から更なる共振器への更なる結合部が存在する。
【0014】
第2の態様に係る量子電子デバイスは、上述の種類の少なくとも1つの量子電子回路と、前記複数の制御信号線に制御信号を選択的に伝送するように構成されたマルチチャネル制御信号源とを含む。
【0015】
第2の態様の一実施形態において、前記マルチチャネル制御信号源は、前記複数の量子回路素子のうちの個々の量子回路素子の状態を、前記複数の量子回路素子のうちの前記個々の量子回路素子が前記信号結合部を介して結合された前記複数の制御信号線を介して、相加的な制御信号を伝送することによって制御するように構成される。
【0016】
第2の態様の一実施形態において、前記マルチチャネル制御信号源は、前記複数の量子回路素子のうちの個々の量子回路素子の状態を、前記複数の量子回路素子のうちの前記個々の量子回路素子が前記信号結合部を介して結合された前記複数の制御信号線を介して、時分割多重化された相加的な制御信号を伝送することによって制御するように構成される。
【0017】
第2の態様の一実施形態において、前記マルチチャネル制御信号源は、前記複数の量子回路素子のうちの個々の量子回路素子の状態を、前記複数の量子回路素子のうちの前記個々の量子回路素子が前記信号結合部を介して結合された前記複数の制御信号線を介して、周波数分割多重化された相加的な制御信号を伝送することにより、制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の更なる理解を提供し、本明細書の一部を構成するために含まれる添付の図面は、本発明の実施形態を示し、説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0019】
図1】2本の制御線に制御信号が印加されたキュービット及び制御線の長方形配列を示す。
図2】3本の制御線に制御信号が印加されたキュービット及び制御線の長方形配列を示す。
図3】3本の制御線に制御信号が印加されたキュービット及び制御線の六角形配列を示す。
図4】グラジオメトリックキュービットを、近くにある2本の制御線と共に示す。
図5】X形状のキュービットを、近くにある2本の制御線と共に示す。
図6】結合された線形共振器の2トーン駆動用ミキサーとして使用されるX形状の非線形共振器を、近くにある2本の制御線と共に示す。
図7】結合されたキュービットの2トーン駆動用ミキサーとして使用されるX形状の非線形共振器を、近くにある2本の制御線と共に示す。
図8】方法を示す。
図9】少なくとも1つの量子回路素子を相加的に制御する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
このテキスト全体を通して、量子回路素子という用語は、量子計算に参加する目的で、検出可能な量子機械的状態を想定し維持できる任意の回路素子又は回路素子の任意の組み合わせを意味する。更に、この用語は、同じ回路内で使用して、検出可能な量子機械的状態を想定し維持できる回路素子への、及び/又は、回路素子からの更なる結合を行うことができる任意の回路素子又は回路素子の任意の組み合わせを意味する。量子回路素子の例は、キュービットと、カプラーと、キュービットでないが、キュービットと同じ回路で使用できる共振器と、キュービットと同じ回路で使用できるミキサーと、SQUID(超電導量子干渉デバイス)とを含むが、これらに限定されない。
【0021】
量子電子回路という用語は、当業者に知られているように、電子量子回路だけに限定されるものではなく、トラップイオン、原子なども含む。
【0022】
図1は、複数の量子回路素子及び複数の制御信号線を含む量子電子回路を示す。量子回路素子は、丸として概略的に示され、量子回路素子101は、一例として選び出される。制御信号線は、垂直線として示される制御信号線が交差点で水平線として示される制御信号線と接続しないことを強調表示するために、交差点に小さな半円部分を有する直線として概略的に示される。その意図は、1本の制御信号線を介して伝送される制御信号が他の制御信号線に結合しないことである(この目的のために専用の結合部が提供されない限り)。
【0023】
図1の回路では、制御信号線と量子回路素子との間に信号結合部が存在する。信号結合部とは、信号が制御信号線と量子回路素子との間でエネルギー交換を引き起こすことができ、またこれを意図する量子電子回路の一部を意味する。したがって、上述の信号結合部は、制御信号線のうちの少なくともいくつかを量子回路素子のうちの少なくともいくつかと結合するという目的で存在すると説明され得る。
【0024】
信号結合部は、例えば、制御信号線及び量子回路素子が構築されている共通の基板の表面に、制御信号線を、制御信号線が信号結合する必要がある量子回路素子の十分な近くを通過させるのと同様に簡単に作られ得る。追加的又は代替的に、量子電子機器の技術分野でよく知られているように、信号結合部は、専用の結合素子を含んでもよい。
【0025】
複数の制御信号線は、図1に垂直線として示される第1のサブセット102の制御信号線と、図1に水平線として示される第2サブセット103の制御信号線とを含む。上述の信号結合部は、少なくとも1つのサブグループの量子回路素子の各々を、第1のサブセット102のそれぞれの制御信号線及び第2のサブセット103のそれぞれの制御信号線と結合するように配置される。図1では、各垂直制御信号線は、垂直制御信号線のすぐ右側の垂直列における量子回路素子の各々との信号結合部を有すると想定される。同様に、各水平制御信号線は、水平制御信号線のすぐ上の水平行における量子回路素子の各々との信号結合部を有すると想定される。制御信号線から他の全ての量子回路素子までの距離が大きいということは、それらの間に顕著な信号結合がないことを意味する。
【0026】
サブセット内の制御信号線の数は、キュービットの数、及びキュービットと制御信号線との相対配置に応じて、任意であってもよい。いくつかの実施形態では、単一の制御信号線だけでも、それ自体のサブセットを形成すると考えられてもよい。
【0027】
この量子回路素子と制御信号線との相互配置により、個々の量子回路素子の状態を、それぞれの制御信号線を介して伝送される相加的な制御信号により相加的に制御することができる。相加的な制御信号は、必ずしも線形加法による制御信号だけを意味するわけではなく、一般的に、特定のキュービットに対するその効果がこのテキストに説明される方法で相加され得る制御信号を意味する。
【0028】
一例として、第1のサブセット102のより太い垂直線及び第2のサブセット103のより太い水平線として示される1対の制御信号線は、図1において考察される。単独では、選択された垂直制御信号線を介して伝送される制御信号は、弱すぎ、正しく調整されず、及び/又は該制御信号により信号結合された量子回路素子のいずれかの状態を効果的に制御することができない。同様に、単独では、選択された水平制御信号線を介して伝送される制御信号は、弱すぎ、正しく調整されず、及び/又は該制御信号により信号結合された量子回路素子のいずれかの状態を効果的に制御することができない。しかしながら、選択された垂直制御信号線と選択された水平制御信号線の両方と信号結合された量子回路素子は、上記選択された制御信号線を介して伝送される制御信号の両方の影響を同時に受ける。2つの制御信号の効果がこの量子回路素子で相加されるため、その状態の「相加的」な制御と指定される。
【0029】
図1では、内部にXが付された丸で図示された量子回路素子は、選択された制御信号線の1本だけと信号結合される。これらの量子回路素子は、摂動を受けるが、選択された制御信号線の1本により伝送される制御信号によりかなり影響を受けないと説明され得る。黒丸で図示された量子回路素子は、上記選択された制御信号線の両方と信号結合され、それぞれの2本の制御線により伝送される制御信号の相加的な効果により適切に影響を受ける。白丸で図示された量子回路素子は、アイドリングとして説明され得る。
【0030】
図2は、同じ量子電子回路を示し、ここで2本の垂直制御信号線と1本の水平制御信号線が同時に選択される。選択された2本の垂直制御信号線と選択された水平制御信号線による制御信号の伝送により、図2において黒丸で図示された2つの個々の量子回路素子の状態を相加的に制御する。図2においてそれぞれ内部にXが付された丸で図示され、選択された制御信号線の1本だけと信号結合される量子回路素子は、合計で8つある。図1に示すように、1本の制御信号線のみにより伝送される制御信号の効果は、弱すぎ、正しく調整されず、及び/又は摂動を受けたこれらの量子回路素子の状態を実質的に制御することができない。残りの部分又は回路及び多重化戦略に影響を与えることなく、この摂動を局所的に処理する方法がある。
【0031】
制御信号線と量子回路素子との間の関係及び結合は、例えば、図2の参照指示子を使用して、以下のように説明され得る。複数の量子回路素子は、第1の量子回路素子201、第2の量子回路素子202、第3の量子回路素子203及び第4の量子回路素子204を含む。第1のサブセットの第1の制御信号線211及び第1のサブセットの第2の制御信号線212がある。同様に、第2のサブセットの第1の制御信号線221及び第2のサブセットの第2の制御信号線222がある。信号結合部は、第1のサブセットの第1の制御信号線211を第1の量子回路素子201及び第2の量子回路素子202と結合し、上記第1のサブセットの第2の制御信号線212を第3の量子回路素子203及び第4の量子回路素子204と結合するように配置される。更に、上記信号結合部は、第2のサブセットの第1の制御信号線221を第1の量子回路素子201及び第3の量子回路素子203と結合し、第2のサブセットの第2の制御信号線222を第2の量子回路素子202及び第4の量子回路素子204と結合するように配置される。
【0032】
量子回路素子、制御信号線及び結合部のマトリクスを説明する更に別の方法は以下のとおりである。信号結合部は、第1のサブセットの第1の制御信号線211を、第1の量子回路素子201及び第2の量子回路素子202を含む第1のサブグループの量子回路素子と結合するように配置される。信号結合部は、また、第1のサブセットの第2の信号線212を、第3の量子回路素子203及び第4の量子回路素子204を含む第2のサブグループの量子回路素子と結合するように配置される。信号結合部は、第2のサブセットの各制御信号線を、201、202からなる第1のサブグループの1つの量子回路素子のみ、及び203、204からなる第2のサブグループの1つの量子回路素子のみに結合するように配置される。
【0033】
この最後に述べた定義は、信号結合部が、第1のサブセットの各制御信号線をそれぞれのサブグループの量子回路素子と結合し、第2のサブセットの各制御信号線を各サブグループの1つの量子回路素子のみと結合するように配置されると一般化され得る。
【0034】
量子回路素子を相加的に制御する原理は、2つ以上のサブセットの制御信号線で実装され得る。図3は、量子回路素子が、例えば、共通の基板の表面に六角形のパターンを構成する1つの代替例を示す。複数の制御信号線は、第1のサブセット及び第2のサブセットの制御信号線に加えて、少なくとも1つの更なるサブセットの制御信号線を含む。ここで、3つのサブセットの制御信号線の各々は、相互に平行な制御信号線を含み、サブセットは、互いに60度間隔で配向される。図3での太い線は、第1のサブセットの制御信号線301、第2のサブセットの制御信号線302及び第3のサブセットの制御信号線303による制御信号の同時伝送を示す。
【0035】
図1及び図2と同様に、図3の実施形態では、各サブセットの制御信号線において、信号結合部は、個々の制御信号線をそれぞれのサブグループの量子回路素子と結合するように配置される。サブセット間で、信号結合部は、各サブグループの多くとも1つの量子回路素子を、異なるサブセットに属する任意の制御信号線に結合するように配置される。
【0036】
図3の量子回路素子に使用されるグラフィカル表記は、図1及び図2と同じである。制御信号が部分的にさえ結合されない量子回路素子は、黒丸で図示されている。制御信号が伝送されるが、量子回路素子の状態に影響を与えるのに十分ではない制御信号線と部分的に結合される量子回路素子は、内部にXが付された丸で図示されている。制御信号が同時に伝送されることにより、量子回路素子を相加的に制御する複数の制御信号線と十分に結合される量子回路素子は、黒丸で図示されている。3つの以上の別個のサブセットの制御信号線を使用すると、1本(又はごくわずか)の制御信号線により引き起こされる制御信号結合と、これらの全ての制御信号線により引き起こされる制御信号結合との間で、より高い解像度を確保するのに役立つ場合があり、その意図された効果は、それらが全て結合された量子回路素子を相加的に制御することである。また、3つ以上の別個のサブセットの制御信号線を使用する利点は、摂動を受けたキュービットの摂動が小さいこと、及び/又は独立した制御線の数が減少することを含む。
【0037】
2つ以上のサブセットの制御信号線を実装するために代替的又は追加的に使用できる別のアプローチは、全ての量子回路素子を1つのサブセットでアドレス指定できる必要がないことである。すなわち、全ての図1図2及び図3に共通する特徴は、各個々のサブセットの制御信号線において、任意に選択された量子回路素子のいずれかと結合された1つの制御信号線が見出されることである。前述のとおり、これは、必要条件ではなく、例えば、図1及び図2では、上の2本の水平制御信号線が1つのサブセットに属し、下の2本の水平制御信号線が別のサブセットに属すると定義されてもい。相加的な制御を実装するために、相加的な制御が適用される量子回路素子の各々が、2つ以上のサブセットから選択された制御信号線で同時にアドレス指定できることを保証するだけでよい。
【0038】
図1及び図2に示されるアプローチは、任意の望ましい量子回路素子を相加的に制御するために、2本の制御信号線だけを介して同時に伝送される制御信号が必要であるが、これは、量子回路素子の数がNである場合、制御信号線の数は、2Nであることを意味する。より大きな量子計算デバイスを構築しようとすると、Nは、ますます大きくなるが、制御信号線の数(2N)は、Nの関数として量子回路素子の数(N)よりも、Nに関して増加するのが遅い。したがって、前述の目的の1つは、明確に達成される。図3に示されるアプローチでは、量子回路素子が、各辺にN個(図3ではN=3)の量子回路素子がある正六角形のパターンを構成する場合、量子回路素子の総数が2[N+Σ(N+i)]-1(ここで、合計「Σ(N+i)」の加算インデックスiは、0からN-2までである)であるという同じ目的が達成されることを示すことができる。この式は、Nの関数として制御信号線の総数3(2N-1)よりも増加が大幅に速い。ただし、図3の六角形グリッドでも、図3に示される3つのサブセットより数が更に多い制御信号線のサブセットのうちの2つだけで全てのキュービットを制御することができることに注意すべきである。
【0039】
量子電子回路を製造するために容易に利用できる製造方法は、多くの場合、量子回路素子と制御信号線が本質的に二次元構造を構成し、すなわち、それらを単一の平面、通常、基板の平面に本質的に配置することである。これは、必要条件ではなく、構造は、本質的に、量子回路素子の配列のトポロジーと、信号結合を提供するために制御信号線をそれらの量子回路素子に十分に近づける方法との選択により大きな自由を与える三次元であってもよい制御線の数をそれらの制御線により制御されたキュービットの数よりも、増加するのを遅くするという目的は、三次元構造でも達成され得る。例えば、量子回路素子が、その各辺にN個の量子回路素子を有する規則的な三次元立方体配列を構成する場合、量子回路素子の数は、Nであり、Nの関数として制御信号線の数3Nよりも、増加するのが速い。この例では、量子回路素子の立方体配列を貫通する制御信号線が直線であり、かつ3つのサブセットに配置され、それぞれ3つの相互に直交する座標軸のうちの1つに沿って配向されると想定してもよい。また、この例では、望ましい量子回路素子を相加的に制御するために、同時制御信号が、3つのサブセットの各々から選択された1つの制御信号線を介して伝送されると想定してもよい。望ましい量子回路素子は、これらの3本の制御信号線が交わる箇所に最も近い。
【0040】
また、一定の相互間隔及び一定の相互方向を有する量子回路素子の厳密に規則的な配置は、必要条件ではない。状態が相加的に制御される量子回路素子は、それらの製造方法及び/又はそれらの望ましい相互作用、又は動作中の必要な不在に関連するなどの何らかの理由にとって有利である任意の幾何形状に配置され得る。また、量子電子デバイスにおける全ての量子回路素子が相加的な制御スキームに含まれることは、必要条件ではなく、自体の専用の個々の制御信号線を有してもよい。
【0041】
選択された1セットの制御信号線による制御信号の伝送は、1つ又はいくつかの量子回路素子のみに相加的な制御効果を引き起こすため、量子電子デバイスの量子処理能力を最大限に利用するために、時分割多重化を実行する必要がある場合がある。これは、量子回路素子の異なる制御信号線(及び/又は異なるサブグループ)が、異なる瞬間に順次相加的な制御のために選択されることを意味する。時分割多重化の態様については、このテキストの後で詳しく説明される。時分割多重化の適用は、量子回路素子を制御する場合の他の形態の多重化、例えば、異なる周波数の制御信号が使用される周波数多重化を排除しない。
【0042】
量子回路素子に対する制御信号の効果は、制御場と呼ばれてもよい。制御信号が量子回路素子の状態に影響を与える方式の例は、キュービットにバイアスをかける信号電荷による電場、SQUIDにバイアスをかける信号磁場磁束による磁場を含むが、これらに限定されない。制御動作の調整は、制御場の調整された自由度の数が多くとも量子回路素子の数の多項式でなければならないという意味で、スケーラブルであることが好ましい。そうでなければ、調整は、大量の量子回路素子に対して非常に複雑になるか又は実行不可能になる可能性がある。
【0043】
図4図7は、量子回路素子及びそれらの制御信号線への結合の非限定的な例を示す。これらの図では、量子電子デバイスの構成要素が絶縁基板の表面に形成され、絶縁基板の大部分の領域が、デバイスが量子回路素子の適切な動作に必要な温度に冷却され場合に超電導になる導電性材料の層で覆われると想定される。これらの図面の斜線部分は、導電性材料の層が除去された領域を表す。
【0044】
図4に示される量子回路素子は、導電性材料のない領域が正方形リング401であるグラジオメトリックキュービットである。2つのジョセフソン接合部402及び403は、正方形リング401の対角線上の反対側の角をブリッジングする。2つの共平面導波路は、正方形リング401のそれぞれの辺の近くに配置され、それぞれ、導電性材料がないストリップ形成領域406、407、408又は409により周囲の導電面から分離された中心導体404又は405を含む。この種類の構造は、適切な制御信号を利用することにより、磁場磁束バイアスでグラジオメトリックキュービットにバイアスをかけることを可能にする。一部が図4に示される共平面導波路である制御線が量子回路素子から更に続く方式は重要ではなく、それらの制御線の構造と位置により、両方の制御線を介して制御信号を同時に伝送して量子回路素子を相加的に制御できると想定することで十分である。
【0045】
図5に示される量子回路素子は、導電性材料のない領域がX形リング501であるX形キュービットである。ジョセフソン接合部502は、Xの1つの分岐の外端でリングをブリッジングする。制御信号線の外観は、図4の制御信号線の外観と同様であり、2つの共平面導波路がX形リング501の分岐のそれぞれの外端の近くに配置される。これらの分岐は、ジョセフソン接合部502が配置される分岐を含まない。この構造は、それぞれの部分が2つの共平面導波路で構成される制御信号線を介して伝送される適切な制御信号を利用することにより、電荷がX形キュービットにバイアスをかけることを可能にする。
【0046】
図6に示される量子回路素子は、図5の構造と同様の構造を含み、導電性材料のないX形リング601と、1つの分岐の外端でリングをブリッジングするジョセフソン接合部602とを有する。制御信号線は、他の3本の分岐のうちの2本の分岐の外端に近い共平面導波路のセクションとして現れる。残りの分岐の外端の近くには、導電性材料のない更なる長手方向のリング603がある。この構造において、ジョセフソン接合部602を有するX形リング601は、導電性材料のない長手方向のリング603で構成される線形共振器の2トーン駆動用ミキサーとして使用できる非線形共振器を構成する。この構造は、それぞれの部分が2つの共平面導波路で構成される制御信号線を介して伝送される適切な制御信号を利用することにより、電荷がX形の非線形共振器にバイアスをかけることを可能にする。
【0047】
図7に示される量子回路素子は、図5及び図6の構造と同様の構造を含み、導電性材料のないX形リング701と1つの分岐の外端でリングをブリッジングするジョセフソン接合部702とを有する。制御信号線は、他の3つの分岐のうちの2つの分岐の外側端に近い共平面導波路のセクションとして現れる。残りの分岐の外端の近くには、導電性材料のない更なるX形リング703があり、X形リング703は、X形リング703の1つの分岐の外端でX形リング703をブリッジングする更なるジョセフソン接合部704を有する。この構造では、ジョセフソン接合部702を有する左側のX形リング701は、ジョセフソン接合部704を有する導電性材料のない右側のX形リング703で構成されるキュービットの2トーン駆動用ミキサーとして使用できる非線形共振器を構成する。この構造は、それぞれの部分が2つの共平面導波路で構成される制御信号線を介して伝送される適切な制御信号を利用することにより、電荷が左側のX形の非線形共振器にバイアスをかけることを可能にする。
【0048】
図8は、1つ以上の量子電子回路801を含む量子電子デバイスを示し、量子電子回路801は、上記種類の任意の数の量子回路素子を含んでもよく、量子電子回路801のうちの少なくともいくつかは、2つ以上の制御信号線による相加的な制御のために構成される。量子電子デバイスは、複数の制御信号線803に制御信号を選択的に伝送するように構成されたマルチチャネル制御信号源802を含み、該複数の制御信号線803は、マルチチャネル制御信号源802を量子電子回路801に接続する。特に、制御信号を伝送する場合にマルチチャネル制御信号源802により適用される選択性は、いくつかの制御信号を同時に伝送することを含んでもよく、それにより、マルチチャネル制御信号源802により利用されて同時制御信号を伝送する制御信号線により信号結合された1つ以上の量子回路素子を相加的に制御する。制御信号を伝送する場合にマルチチャネル制御信号源802により適用される選択性は、また、時間、周波数又は他の量の多重化を含んでもよく、そのような多重化は、互いに独立して量子回路素子の状態に影響を与える制御信号及び/又は同時制御信号の組み合わせを互いに分離する。
【0049】
更なるセットの信号線804は、量子電子回路801を、少なくとも量子電子回路801からの出力信号の収集を実行する更なる機能ブロック805に接続する。収集された出力信号の少なくともいくつかの更なる分析も、機能ブロック805で行われ得る。制御ステーション806は、マルチチャネル信号源802の動作を制御し、量子電子回路801からの出力信号により搬送された情報コンテンツを表す最終処理出力を提供するために提供される。
【0050】
図9は、少なくとも1つの量子回路素子を相加的に制御する方法を示す。ステップ901では、少なくとも2本の制御信号線により同時に伝送される制御信号を形成し、これらの制御信号を伝送する制御信号線を選択する。制御信号線の選択は、制御信号によってその状態が影響を受ける量子回路素子がどれであるかを決定することに基づいて行われる。ステップ902、903及び904では、選択された制御信号線により制御信号を同時に伝送する。ステップ905では、一般的に、問題の量子回路素子の結果の状態を量子計算の任意の目的に利用する全ての可能な方法を表す。
【0051】
当業者には、技術の進歩に伴い、本発明の基本概念を様々な方法で実施することができることが明らかである。したがって、本発明及びその実施形態は、上述の例に限定されず、代わりに、特許請求の範囲内で変更してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】