(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】車両のルーフを開閉するための方法、対応する開閉システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
B60J 7/02 20060101AFI20230315BHJP
B60J 7/14 20060101ALI20230315BHJP
B60J 7/057 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B60J7/02 Z
B60J7/14
B60J7/057 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544664
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2020062475
(87)【国際公開番号】W WO2021152389
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020000001858
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399016318
【氏名又は名称】オートモビリ ランボルギーニ ソチエタ ペル アツイオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】マンドッソ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヒ,ルドルフ
(57)【要約】
コンバーチブル型の車両の格納式のルーフ(10)を開閉するための方法であって、ルーフ(10)は、互いに接続された少なくとも第1の部分(10a)および第2の部分(10b)で構成され、方法は、第1の位置と第2の位置との間でルーフ(10)の第1の部分(10a)をルーフ(10)の第2の部分(10b)に対して移動させるステップであって、第1の位置では、第1の部分(10a)は、第2の部分(10b)に少なくとも部分的に重ね合わされており、第2の位置では、第1の部分(10a)は、第2の部分(10b)と実質的に同じ平面にある、ステップと、第1の部分(10a)および第2の部分(10b)を回転させるステップと、重ね合わされた第1の部分(10a)および第2の部分(10b)を第1の位置と第2の位置との間で並進させるステップであって、第1の位置では、第1の部分(10a)および第2の部分(10b)は、車両の区画(2)の内側にあり、第2の位置では、第1の部分(10a)および第2の部分(10b)は、区画(2)の外側にある、ステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバーチブル型の車両の格納式のルーフ(10)を開閉するための方法であって、前記ルーフ(10)は、互いに接続された少なくとも第1の部分(10a)および第2の部分(10b)で構成され、前記方法は、
第1の位置と第2の位置との間で前記ルーフ(10)の前記第1の部分(10a)を前記ルーフ(10)の前記第2の部分(10b)に対して移動させるステップであって、前記第1の位置では、前記第1の部分(10a)は、前記第2の部分(10b)に少なくとも部分的に重ね合わされており、前記第2の位置では、前記第1の部分(10a)は、前記第2の部分(10b)と実質的に同じ平面にある、ステップと、
前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)を回転させるステップと、
重ね合わされ回転された前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)を第1の位置と第2の位置との間で並進させるステップであって、前記第1の位置では、前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)は、前記車両の区画(2)の内側にあり、前記第2の位置では、前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)は、前記区画(2)の外側にある、ステップと、を含み、回転させる前記ステップは、前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)を共通の回転軸(R10)周りに回転させることによって生じる、方法。
【請求項2】
前記ルーフ(10)の前記第1の部分(10a)を前記ルーフの前記第2の部分(10b)に対して移動させる前記ステップと、前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)を回転させる前記ステップとは、同時に生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重ねられた第1の部分(10a)および第2の部分(10b)を並進させる前記ステップは、回転させる前記ステップの後に、前記ルーフ(10)が開いている間に生じる、または回転させる前記ステップの前に、前記ルーフ(10)が閉じている間に生じる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両は、前記区画(2)を閉じるためのカバー(4)を含み、前記方法は、前記カバー(4)を動かすことによって前記区画(2)を開口および/または閉鎖することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カバー(4)は、側壁(42)および前記側壁(42)の間のカバー要素(40)を含み、前記方法は、
開口部(20)が覆われていない第1の位置と、前記開口部(20)が覆われている第2の位置との間で前記カバー要素(40)を移動させるステップと、
前記側壁(42)を前記カバー要素(40)と共に移動させる、または前記開口部(20)を露出させるまたは覆うために、少なくとも部分的に前記側壁(42)を前記カバー要素(40)から離れるように、または前記カバー要素(40)に向かって回転させるステップと、を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の部分(10a)は前記ルーフのフロント部であり、前記第2の部分(10b)は前記ルーフのリア部であり、前記第1の部分(10a)は、前記ルーフ(10)の前記第1の部分(10a)を前記ルーフ(10)の前記第2の部分(10b)に対して移動させる前記ステップの後に、前記第2の部分(10b)の上に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コンバーチブル型の車両を開閉するための開閉システムであって、互いに接続された少なくとも第1の部分(10a)および第2の部分(10b)からなる格納式のルーフ(10)と、前記格納式のルーフ(10)を移動させるための少なくとも1つの移動ユニット(12)とを備え、前記少なくとも1つの移動ユニット(12)は、
前記ルーフ(10)の前記第1の部分(10a)を前記ルーフ(10)の前記第2の部分(10b)に対して第1の位置と第2の位置との間で移動させ且つ前記第1の部分(10a)および第2の部分(10b)を回転させるように構成された移動および回転機構であって、前記第1の位置では、前記第1の部分(10a)は、前記第2の部分(10b)に少なくとも部分的に重ね合わされており、前記第2の位置では、前記第1の部分(10a)は、前記第2の部分(10b)と実質的に同じ平面にある、移動および回転機構と、
第1の位置と第2の位置との間で前記重ね合わされた第1の部分(10a)および第2の部分(10b)を並進させるように構成された並進機構であって、前記第1の位置では、前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)は、前記車両の区画(2)の内側にあり、前記第2の位置では、前記第1の部分(10a)および前記第2の部分(10b)は、前記区画(2)の外側にある、並進機構と、
前記移動および回転機構および前記並進機構を駆動するように構成された駆動ユニットであって、前記移動および回転機構は、共通の回転軸(R10)を備え、前記共通の回転軸(R10)周りに前記重ねられた第1の部分(10a)および第2の部分(10b)が回転される、駆動ユニットと、を備える開閉システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの移動ユニット(12)は、複数の相互接続された機械的要素からなる少なくとも1つのリンク機構を備える、請求項7に記載の開閉システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの移動ユニット(12)の前記駆動ユニットは、第1のスライダ(120)と、前記第1のスライダ(120)を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された第1のアクチュエータ(122)とを備え、前記第1のスライダ(120)が前記第1の位置にあるとき、回転された前記第1の部分(10a)は、回転された前記第2の部分(10b)に重ね合わされており、前記第1のスライダ(120)が前記第2の位置にあるとき、前記第1の部分(10a)は前記第2の部分(10b)と実質的に同じ平面にある、請求項7または8に記載の開閉システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの移動ユニット(12)の前記駆動ユニットは、第2のスライダ(124)と、前記第2のスライダ(124)を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された第2のアクチュエータ(126)とを備え、前記第2のスライダ(124)が前記第1の位置にあるとき、前記ルーフ(10)は前記区画(2)の内側に収容されており、前記第2のスライダ(124)が前記第2の位置にあるとき、前記ルーフ(10)は前記区画(2)の外側にある、請求項7から9のいずれか一項に記載の開閉システム。
【請求項11】
前記第1のスライダ(120)は、前記第1のスライダ(120)が前記第1の位置にある場合に前記第2のスライダ(124)と係合するように構成された係合機構を備える、請求項9および10に記載の開閉システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの移動ユニット(12)の前記駆動ユニットは、
前記第1のスライダ(120)を前記第1のアクチュエータ(122)に接続するための少なくとも1つの第1の引張要素(128)であって、前記第1のアクチュエータ(122)が当該少なくとも1つの第1の引張要素(128)を動かすことによって前記第1のスライダ(120)を動かすように構成された少なくとも1つの第1の引張要素(128)と、および/または
前記第2のスライダ(124)を前記第2のアクチュエータ(126)に接続するための少なくとも1つの第2の引張要素(129)であって、前記第2のアクチュエータ(126)が当該少なくとも1つの第2の引張要素(129)を動かすことによって前記第2のスライダ(124)を動かすように構成された少なくとも1つの第2の引張要素(129)と、を備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の開閉システム。
【請求項13】
前記ルーフ(10)の前記第1の部分(10a)が前記ルーフのフロント部であり、前記ルーフ(10)の前記第2の部分(10b)が前記ルーフのリア部である、請求項7から12のいずれか一項に記載の開閉システム。
【請求項14】
前記区画(2)を閉じるためのカバー(4)を備え、前記カバー(4)は、前記区画(2)にアクセスできない閉位置と、前記区画(2)にアクセスできる開位置との間で移動可能である、請求項7から13のいずれか一項に記載の開閉システム。
【請求項15】
前記カバーは、側壁(42)および前記側壁(42)の間のカバー要素(40)を含み、前記カバー要素は、前記区画に通じる入口開口部(20)が覆われていない第1の位置と、前記開口部(20)が覆われている第2の位置との間で移動可能であり、前記側壁(42)は、前記カバー要素(40)と共に移動可能である、または前記開口部(20)を覆うおよび露出させるために、それぞれ、前記カバー要素(40)に向かうようにおよび前記カバー要素(40)から離れるように回転可能である、請求項14に記載の開閉システム。
【請求項16】
請求項7から15のいずれか一項に記載の開閉システム(1)を備え、前記区画(2)を備えたコンバーチブル型の車両、好ましくはスーパースポーツカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバーチブル型の車両、例えば、2つの座席、2つのドアおよびリアエンジンを有するスーパースポーツカーのルーフを開閉するための方法に関する。この明細書はまた、コンバーチブル型の車両およびコンバーチブル型の車両のための開閉システムに係り、このシステムは、ルーフを完全に自動的に折り畳んで収納することができる。
【背景技術】
【0002】
今日まで、コンバーチブル型の車の分野では、US2004061354に開示されている解決策のように、少なくとも1つの剛性ルーフセグメント(格納式ハードトップ)を折り畳んで収納するように、またはフレームであって、それに取り付けられた、ある長さのしなやかな生地を有するフレーム(格納式ソフトトップ)を折り畳むように設計された格納システムが知られている。ルーフは通常、車両後方の内部の区画にしまい込まれて収納される。一般的に、当該区画はリアトランクの一部を占め且つ長手方向に広がる。
【0003】
しかしながら、これらの解決策は、車両のスタイルおよびパフォーマンスを大幅に損なうことなく、リアエンジン設計のスーパースポーツカーに適用することはできない。実際、スーパースポーツカーでは、車両後方の内部の空間は、エンジンおよびそれに関連するデバイスによって少なくとも部分的に占められている。したがって、格納式ルーフを収容するために利用できる空間は大幅に制限されている。したがって、例えば、エンジンが占める空間のために、車両の成功の重要な要素である車両の流線形のシルエットを大幅に変更することなく、この種の車両のための解決策を見つけることは特に困難である。
【0004】
文書DE102012203234は、車両ルーフを移動させるためのシステムを開示しており、ここでは、ルーフは2つのパーツに分割されており、それらは互いに重ね合わされ、回転され、座席の後ろに設けられた区画に収納される。このようにして、ルーフは実質的に垂直な位置に格納され、他の解決策よりも限られた範囲で長手方向に延びる。ルーフのパーツは、回転軌道を規定する関節式の四辺形によって回転されるが、これは比較的扱いにくい。
【0005】
これに関連して、本発明の主な目的は、上記の欠点を克服することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、例えば、車内後方の内部の空間が限られているので、または車両のレイアウトが、その格納式ルーフを通常の方法で折り畳んで収納することを許容しないので、大幅な空間制限を伴ってコンバーチブル型の車両の格納式ルーフを折り畳んで収納するための技術的解決策を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、車両自体に対して長手方向および垂直方向の両方において占めるスペースが低減された、車両ルーフを開閉するためのシステムを提案することである。
【0008】
本発明の目的は、車両ルーフを開閉するための、簡素であると同時に信頼性の高いシステムおよび方法を提案することである。
【0009】
本発明の目的は、ルーフを完全に自動的に開閉するための方法およびシステムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されているように、本発明の1つまたは複数の実施形態の以下の非限定的な説明においてより明白である。
【
図1-3】1つまたは複数の実施形態による、ルーフを開閉するためのシステムを備えたコンバーチブル型の車両を概略的に示す。
【
図4】1つまたは複数の実施形態による開閉システムの概略図である。
【
図5-9】1つまたは複数の実施形態による開閉システムの例の詳細を示す。
【
図10】1つまたは複数の実施形態による、ルーフを開閉するためのシステムを備えたコンバーチブル型の車両を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図3を参照すると、1つまたは複数の実施形態は、1つまたは複数の実施形態による開閉システム1を備えるコンバーチブル型の車両200、好ましくはスーパースポーツカーを参照し得る。開閉システム1は、ハードまたはソフトルーフであり得る格納式ルーフ10を備える。開閉システム1は、格納式ルーフ10を完全に自動的に開閉するためのステップを実行することを可能にする。
【0012】
車両は、有利には、道路車両または水上車両でさえあり得る。
【0013】
車両200は区画2を備え、区画2は、開口部20であって、当該開口部20を介してルーフ10を区画2に挿入できる、またはそこから引き出すことができるような開口部20を有し、開口部20は、例えば上部開口部であり得る。区画2は、例えば助手席の後ろなど、車両200の内部3内にあってもよい。
【0014】
車両200は、区画2を閉じるためのカバー要素40を有するカバー4を備え得る。カバー要素40は、開口部20が覆われている閉位置と、開口部20が覆われておらず、ルーフ10を区画2に挿入すること、またはルーフ10を区画2から引き出すことが可能である開位置との間を移動するように構成され得る。
【0015】
実際には、カバー、または少なくともカバー要素は、区画2にアクセスできない閉位置と、区画2にアクセスできる開位置との間で移動可能である。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、ルーフ10は、互いに直接的または間接的に接続された複数の部分に分割されている。簡単にするために、以下および図面では、言及は、第1の部分10aおよび第2の部分10bが存在するケースについてなされる。しかしながら、より多くの部分が存在することはまた可能である。図面に示されているように、第1の部分10aは、区画2からより離れているフロント部であり得、第2の部分10bは、区画2により近いリア部であり得る。第1の部分10aおよび第2の部分10bは、同じサイズであってもよいし、または第1の部分10aは、少なくともその片側において、第2の部分10bよりも小さくてもよい。例えば、第1の部分10aおよび第2の部分10bは、同じ幅を有してもよく、当該幅は車両内部3の幅に実質的に等しい。例えば、ルーフ10は、車両200を横切る方向に沿って第1の部分と第2の部分とに分割され得る。
【0017】
ルーフ10は、例えば
図1に示されるように、ルーフ10が車両200の内部3を覆う閉構成と、例えば
図2に示されるように、ルーフ10の部分10a、10bが折り畳まれ/展開され、回転されおよび/または並進された過渡構成と、例えば
図3に示されるように、車両200の内部3が覆われておらず、ルーフ10が区画2の内側に収納されている開構成と、を有する。開位置では、開閉システム1の機構のおかげで、ルーフ10の第1および第2の部分10a、10bが密接に接触している。有利なことに、これにより、縮小されたサイズの区画2を提供することが可能になる。
【0018】
有利なことに、また、区画2のためのカバー4の存在のおかげで、ルーフ10はまた、区画2をカバーする必要がなく、したがって、長さをより短くすることができる。
【0019】
長さがより短いおかげで、ルーフをあまり深くない区画2に収納できる。
【0020】
好ましくは、カバー4はまた、ルーフの開閉システムの一部を形成し、その動作は、少なくともルーフの動きと連携されなければならない。
【0021】
閉構成では、第1の部分10aおよび第2の部分10bは、実質的に同じ平面にあってもよく、第1の部分10aは、第2の部分10bに接続された端部の反対側の第1の部分10aの端部で、安全のための留め支持要素5に係止されてもよい。事実上、要素5は、第1の部分が要素5にあるときに、ルーフ10の第1の部分10bに係止するように構成され得る。
【0022】
過渡構成では、第1の部分10aは、第1の部分10aが第2の部分10bに重ね合わされる第1の位置と、第1の部分10aが第2の部分10bと実質的に同じ平面にある第2の位置との間を移動するように構成され得る。第1の位置から第2の位置への移動は、および逆もまた同様に、並進によって、例えば、第1の方向Xの第1の並進および第1の方向に垂直な第2の方向Yの第2の並進によって、生じ得る。例えば、第1の並進および第2の並進は同時に生じ得る。これは、ルーフ10の第1の部分10aが斜めに動くことができることを意味する。例えば、第1の部分10aおよび第2の部分10bは、全体的または部分的に重ね合わされ得る。
【0023】
一実施形態(例えば、図示されているもの)では、フロント部がリア部の上に移動し、次に両方が区画2に挿入される。
【0024】
一態様によれば、第1および第2の部分10a、10bは、回転軸R10周りに、所定の角度α(例えば、90°)だけ、一方向および反対方向に、回転させることができる。
【0025】
第1および第2の部分10a、10bは、共通の回転軸R10周りに、ルーフ10の閉構成から開構成へ、および開構成から閉構成へ移行するために、それぞれの円形軌道に従う。
【0026】
ルーフ10を開くステップは、回転軸R10周りにルーフの部分10aおよび10bの両方を回転させるステップを含む。
【0027】
一態様によれば、重ね合わせて回転させた第1および第2の部分10a、10bは、第3の方向Zに沿って並進することにより、区画2内に収納できる、または区画2から引き出すことができる。第3の方向Zは、垂直方向と実質的に一致し得る。一態様によれば、回転軸R10は、第1の方向Xおよび/または第2の方向Yに垂直であり得る。例えば、回転軸R10は、車両200の横方向に平行であり得る。第1の方向Xは、
図1から3では第3の方向Zに垂直であるように示されているが、回転運動が進むにつれて変化する。言い換えれば、第1の方向は、ルーフ10の回転軸R10に対して放射状の方向である。
【0028】
ルーフ10を開くステップの間に、回転軸R10周りにルーフの部分10aおよび10bを回転させると、部分10aおよび10bは、例えば、
図2に示される位置に移動し、そこから、それらを区画2内に並進させることができる。
【0029】
一態様によれば、例えば、第1の部分10aを第1および第2の方向X、Yに沿って並進させることによって、ルーフ10の第1の部分10aを第2の部分10bに対して移動させる動作、および第1および第2の部分10a、10bを回転させる動作は、同時に生じ得る。有利なことに、これにより、ルーフ10を開閉するのに必要な時間が短縮される。
【0030】
過渡構成では、第1の部分10aおよび第2の部分10bが重ね合わされて回転されて、区画2に挿入されているときまたは区画2から引き出されているとき、カバー4は開口部20から離れていてもよい。そうでない場合には、カバー4は、開口部20に近接していてもよい。
【0031】
開構成では、重ね合わされて回転された第1の部分10aおよび第2の部分10bは、区画2の内側に配置されており、カバー4は、開口部20を覆うように閉じられてもよい。
【0032】
一態様によれば、開閉システム1は、格納式ルーフ10と、以下でより詳細に説明する少なくとも1つの移動ユニット12とを備える。
【0033】
移動ユニット12は、第1の位置と第2の位置との間でルーフ10の第1の部分10aをルーフ10の第2の部分10bに対して移動させ且つ例えば、車両200の横方向に平行である回転軸R10周りに第1の部分10aおよび第2の部分10bを回転させるように構成された移動および回転機構を備え、第1の位置では、第1の部分10aが第2の部分10bに少なくとも部分的に重ね合わされており、第2の位置では、第1の部分10aが第2の部分10bと実質的に同じ平面にある。
【0034】
有利なことに、従来技術の解決策と比較して、回転軸周りに部分10aおよび10bを回転させることを可能にする移動機構は、簡素で信頼でき且つ小さいサイズである。
【0035】
移動ユニット12は、第1の位置と第2の位置との間で重ねられた第1の部分10aおよび第2の部分10bを並進させるように構成された並進機構を備え、第1の位置では、第1の部分10aおよび第2の部分10bが車両200の区画2の内側にあり、第2の位置では、第1の部分10aおよび第2の部分10bは、区画2の外側にある。
【0036】
移動ユニット12は、移動および回転機構および並進機構を駆動するように構成された駆動ユニットを備える。
【0037】
1つまたは複数の実施形態では、
図4に示されるように、移動ユニット12は、複数の相互接続された剛性の機械的要素から構成される1つまたは複数のリンク機構を含み得る。
【0038】
移動ユニット12の駆動ユニットは、第1のスライダ120と、第1の位置と第2の位置との間で、例えば第3の方向Zに沿って、第1のスライダ120を移動させるように構成された第1のアクチュエータ122とを備えてもよい。このように、第1のアクチュエータ122が第1のスライダ120を第1の位置にもたらすとき、回転された第1の部分10aは、回転された第2の部分10bに重ね合わされ、第1のアクチュエータ122が第1のスライダ120を第2の位置にもたらすとき、第1の部分10aは、第2の部分10bと実質的に同じ平面にある。
【0039】
移動ユニット12の駆動ユニットは、第2のスライダ124と、第1の位置と第2の位置との間で、例えば第3の方向Zに沿って、第2のスライダ124を移動させるように構成された第2のアクチュエータ126とを備えてもよい。このように、第2のスライダ124が第1の位置にあるとき、ルーフ10は区画2の内側に収容され、第2のスライダ124が第2の位置にあるとき、ルーフ10は区画2の外側にある。第2のスライダ124は、ルーフ10の第2の部分10bに(例えば、直接)接続されてもよい。
【0040】
システム1はレール6を備えてもよく、当該レール6に沿って第1のスライダ120および/または第2のスライダ124は動作できる。レール6は、例えば座席の後方で、車両200に固定されている。
【0041】
1つまたは複数の実施形態では、第1のスライダ120の第2の位置は、第2のスライダ124から離れている第1のスライダ120からなってもよい。反対に、第1のスライダ120は、第2のスライダ124に近接するときに第1の位置にある。
【0042】
一態様によれば、第1のスライダ120は、第1のスライダ120が第1の位置にある場合に第2のスライダ124と係合するように構成された係合機構121を備えてもよい。例えば、第2のスライダ124は、第1のスライダ120が第2のスライダ124に結合されている場合にのみ並進するように構成されてもよい。したがって、第2のアクチュエータ126が第2のスライダ124を動かすとき、第1のスライダ120も動かされる。第1のスライダ120は、当該第1のスライダ120が第1の位置にあるときに第2のスライダ124と係合し、当該第1のスライダ120が第2の位置に向かって動き始める前に第2のスライダ124から解放されるように構成されてもよい。
【0043】
一態様によれば、移動ユニットの駆動ユニットは、第1のスライダ120を第1のアクチュエータ122に接続するための少なくとも1つの第1の引張要素128(例えば、ベルト、ラック、またはケーブル)を備えてもよく、第1のアクチュエータ122は、第1の引張要素128を動かすことによって、例えばケーブルを引っ張ることによって、第1のスライダ120を動かすように構成されてもよい。例えば、第1のスライダ120および第1のアクチュエータ122は、2本のケーブルによって接続されてもよい。すなわち、1本のケーブルは、第1のスライダ120を第1の位置から第2の位置に移動させるためのケーブルであり、1本のケーブルは、第1のスライダ120を第2の位置から第1の位置に移動させるためのケーブルでる。移動ユニットの駆動ユニットは、第2のスライダ124を第2のアクチュエータ126に接続するための少なくとも1つの第2の引張要素129(例えば、ベルト、ラックまたはケーブル)を備えてもよく、第2のアクチュエータ126は、第2の引張要素129を動かすことによって、例えば、第2のケーブルを引っ張ることによって、第2のスライダ124を動かすように構成されてもよい。例えば、第2のスライダ124および第2のアクチュエータ126は、2本のケーブルによって接続されてもよい。すなわち、1本のケーブルは、第2のスライダ124を第1の位置から第2の位置に移動させるためのケーブルであり、1本のケーブルは、第2のスライダ124を第2の位置から第1の位置に移動させるためのケーブルである。
【0044】
一態様によれば、第1のアクチュエータ122および第2のアクチュエータ126は、第1の引張要素128および第2の引張要素129を駆動するように構成された電気モータであってもよい。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、駆動ユニットは、第1および第2のスライダ120、124を第1の位置と第2の位置との間で駆動するように構成されたリニアモータを備えてもよい。あるいは、駆動ユニットは、油圧アクチュエータ、例えば油圧シリンダを備えてもよい。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、移動および回転機構は、ルーフ10の第1の部分10aおよび第2の部分10bを互いに連結するように構成された接続機構130(例えば、関節式の四辺形)を備える。接続機構130は、ルーフ10の第2の部分10bに対して、並進によって、第1の部分10aを動かすように構成されてもよい。
【0047】
図5から6は、ルーフ10が閉じられている1つまたは複数の実施形態による開閉システム1の例の正面および背面からの図を示す。ルーフ10の一方または両方の側端において、システム1は、
図4を参照して説明されるように、移動ユニット12を備えてもよい。
図5および6に示されるように、システム1は、2つの移動ユニット12を備えてもよい。車両200は、参照番号7によって全体として示されるフレームまたは構造、好ましくは耐荷重性のフレームまたは構造を備える。
【0048】
ルーフ10は、フレーム7によって支持されており、より具体的には、ルーフ10の一端は、フレーム7に接続されている。より正確には、ルーフ10は、第1の部分10aに接続されている端部とは反対側の、第2の部分10bの一端でフレーム7に接続され得る。
【0049】
システム1は、フレーム7の側端に配置された2本のレール6を備えてもよい。2つの移動ユニット12の第1および第2のスライダ120、124は、それぞれのレール6に沿って並進によって移動するように構成されてもよい。2つの移動ユニット12の第1および第2のアクチュエータ122、126は、フレーム7に配置されてもよい。2つの移動ユニット12は、駆動されて、ルーフ10の部分10a、10bを同時に移動させるように構成される。
【0050】
図7から9は、閉構成(
図7)および過渡構成(
図8および9)のルーフ10がどのように開かれるかの例を示す。既に説明したように、システム1は、複数のレバーおよびリンクを備え得る。第1のスライダ120および第2のスライダ124を駆動することによって、複数のレバーを駆動することができる。
【0051】
図8に示されるように、第1のスライダ120は、コンロッド132の一端に接続され得、コンロッド132は、反対側の端部でクランク134に接続されている。クランク134は、コンロッド132に接続されている端部の反対側の端部で、リンク136に接続されている。リンク136を介して、クランク134は、関節式の四辺形130に接続されており、関節式の四辺形130は、ルーフ10の第2の部分10bに固定され且つ一端でリンク136に接続された剛性要素1300と、ルーフ10の第1の部分10aに固定されたアーム1302と、剛性要素1300と第2の剛性要素1302との間に配置され且つそれらに接続されたアーム1304と、を備える。アーム1304は、第1の部分10aが既知の方法でルーフ10の第2の部分10bに対して並進によって移動することを可能にするように構成される。関節式の四辺形130のアーム1304は、レバー138によってリンク136に接続されており、レバー138によってアーム1304を駆動することができる。剛性要素1300はまた、レバー140、142、144によってリンク136に接続されている。第2のスライダ124は、部材146によってリンク136に接続されている。
【0052】
第2のスライダ124は、レバー148によって、リンク136およびルーフ10の第2の部分10bに接続されている。
【0053】
ルーフの部分10bは、レバー148によってスライダ124に連結されている。
【0054】
図面に示されるように、例えば、第1のスライダ120が駆動されると、ケーブル128が引っ張られ、第1のスライダ120は、第1の位置に向かって、例えば垂直に上方に、並進的に移動する。第1のスライダ120の動きは、コンロッド132およびクランク134の動きを引き起こし、クランク134は、リンク136およびレバー138を介して、ルーフ10の第1の部分10aを第1の方向Xに沿って並進的に駆動する。リンク136を介して、コンロッド132およびクランク134は、剛性要素1300、部材146およびレバー148を動かし、剛性要素1300、部材146およびレバー148は、ルーフ10の第1および第2の部分10a、10bを回転させるように連動して作用する。例えば、所定の角度αは90°の角度であってもよく、回転後、第1の部分10aおよび第2の部分10bは、第3の方向Zに平行である。ルーフ10の部分10a、10bは、回転されて重ね合わされた後、システム1の上記機構によって所定の位置に保持される。例えば、レバー140、142、144は、第1の部分10aが第2の部分10bに重ね合わされるときに、関節式の四辺形130の可動部分を所定の位置に保持する。
【0055】
図9は、並進運動の終わりの第1の位置にある第1のスライダ120を示す。第1のスライダ120が第1の位置にあるとき、第1のスライダ120は、第2のスライダ124と接触し、それに結合されている。
【0056】
このようにして、第2のスライダ124が駆動されて並進的に動かされるとき、第1のスライダ120もまた、第2のスライダ124と共に並進的に動く。
【0057】
第2のスライダ124、したがって第1のスライダ120が、第3の垂直方向Zに沿って、例えば下向きに並進的に移動するとき、第1および第2のスライダ120、124に結合された機構もまた、第3の方向Zに沿ってそれらと共に移動される(entrained)。したがって、ルーフ10は、例えば、当該ルーフ10を受け入れる区画2に向かって、第3の方向Zに沿って並進的に移動する。
【0058】
図7から
図9を参照してここまで説明されてきたのは、ルーフ10がどのように開かれるかの非限定的な例である。閉鎖は同じように生じるが、上記とは反対方向の並進および回転運動によって生じる。
【0059】
1つまたは複数の実施形態では、
図10に示されるように、開閉可能なカバー4は、側壁42および側壁42の間に配置され且つ区画2の開口部20を閉じるように構成されたカバー要素40を有し得る。
【0060】
一態様によれば、カバー要素40の幅は、ルーフ10の第1および第2の部分10aおよび10bよりも小さくてもよい。すなわち、開口部20の幅は、例えば、車両内部3よりも狭くてもよい。なぜなら、カバー4の側壁42は、美的および/または車両性能上の理由から、車両の内側に向かって傾斜しているからである。
【0061】
カバー要素40は、カバー要素40が開口部20から離れている第1の位置と、カバー要素40が開口部20にある第2の位置との間で並進的に移動するように構成され得る。
【0062】
側壁42は、カバー要素40と共に並進することによって移動するように構成されてもよい。例えば、カバー4は、例えば、
図3に示されるように、単一の部品として形成されてもよい。あるいは、側壁42は、
図10に示されるように、開口部20を露出させるために区画2の内部から離れるように、または開口部20を覆うために区画2の内部に向かうように、少なくとも部分的に回転するように構成されてもよい。側壁42は、カバー4の開口および/または閉鎖中に反対方向に回転するように構成されてもよい。
【0063】
カバー要素40および側壁42は、ルーフ10が挿入されているまたは引き出されているとき、開口部20から離れていてもよく、そうでない場合には開口部20にあってもよい。
【0064】
開口部20の開閉、したがってカバー4の動きは完全に自動化され得る。車両200は、カバー要素40の一方または両方の側端に電気モータを備える持ち上げ機構を備えてもよい。
【0065】
一態様によれば、側壁42は、例えば、カバー要素40を持ち上げるための持ち上げ機構に接続されたばねおよびボーデンシステム(a spring and a Bowden system)によって作動してもよい。あるいは、側壁42は、少なくとも1つの独立した電気モータによって作動してもよい。
【0066】
1つまたは複数の実施形態は、コンバーチブル型の車両の格納式ルーフ10を開閉するための方法を参照し得、当該ルーフは、少なくとも第1の部分10aおよび第2の部分10bから構成される。
【0067】
この方法は、
第1の位置と第2の位置との間でルーフ10の第1の部分10aをルーフ10の第2の部分10bに対して移動させるステップであって、第1の位置では、第1の部分10aが第2の部分10bに少なくとも部分的に重ね合わされており、第2の位置では、第1の部分10aが第2の部分10bと実質的に同じ平面にある、ステップと、
第1の部分10aおよび第2の部分10bを回転軸R10周りに回転させるステップと、
重ね合わされた第1の部分10aおよび第2の部分10bを第1の位置と第2の位置との間で並進させるステップであって、第1の位置では、第1の部分10aおよび第2の部分10bが車両の区画2の内側にあり、第2の位置では、第1の部分10aおよび第2の部分10bが区画2の外側にある、ステップと、を含む。
【0068】
例えば、ルーフ10を開くために、この方法は、第1の位置に向かって第1および第2の方向X、Yに沿って第2の部分10bに対して並進によってルーフ10の第1の部分10aを移動させ、ルーフ10の第1の部分10aおよび第2の部分10bを所定の角度α、例えば90°、第1の方向に回転させ、重ね合わされ回転された第1の部分10aおよび第2の部分10bを、第3の方向Zに沿って第1の位置に向かって並進的に移動させることを含んでもよい。
【0069】
例えば、ルーフ10を閉じるために、この方法は、第2の位置に向かって第3の方向Zに沿って、重ね合わされ回転された第1の部分10aおよび第2の部分10bを並進的に移動させ、ルーフ10の第1の部分10aおよび第2の部分10bを所定の角度α、例えば、-90°、反対方向に回転させ、第2の位置に向かって第1および第2の方向X、Yに沿って第2の部分10bに対して並進によってルーフ10の第1の部分10aを移動させることを含んでもよい。
【0070】
一態様によれば、ルーフ10の第1の部分10aをルーフの第2の部分10bに対して移動させるステップと、第1の部分10aおよび第2の部分10bを回転させるステップは、同時に生じる。
【0071】
一態様によれば、例えば第3の方向Zに沿って、重ね合わされ回転された第1の部分10aおよび第2の部分10bを並進させるステップは、他のステップとは異なる時間に、例えば、回転させるステップの後、ルーフ10が開いている間に、または回転させるステップの前に、ルーフ10が閉じている間に生じる。
【0072】
1つまたは複数の実施形態では、車両は、区画2を閉じるための少なくとも1つのカバー4を含んでもよく、この方法は、カバー4を動かすことによって区画2を開閉することを含んでもよい。
【0073】
1つまたは複数の実施形態では、カバー4は、側壁42および側壁42の間にカバー要素40を有し、ここで、例えば、カバー要素40の幅は、ルーフ10の第1の部分10aおよび第2の部分10bよりも小さくてもよい。この方法は、重ねられ回転された、ルーフ10の第1の部分10aおよび第2の部分10bの挿入および引出中に実行される以下のステップを含んでもよい、すなわち、
開口部20が覆われていない第1の位置と、開口部20が覆われている第2の位置との間でカバー要素40を移動させるステップと、
側壁42をカバー要素40と共に移動させる、または側壁42をカバー要素40から離れるようにまたはカバー要素40に向かうように少なくとも部分的に回転させて、開口部20を露出されるまたは覆うステップと、を含んでもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】US2004061354
【特許文献2】DE102012203234
【国際調査報告】