(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】機能性成分の送達用発泡フォーム
(51)【国際特許分類】
A61K 47/46 20060101AFI20230315BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230315BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230315BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230315BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230315BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230315BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20230315BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20230315BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20230315BHJP
A01K 13/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61K47/46
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/04
A23L33/10
A23L29/256
A23L29/281
A23L29/231
A01K13/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544744
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 US2021013941
(87)【国際公開番号】W WO2021150501
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】505258715
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】522292437
【氏名又は名称】ウエストゲート バイオメディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】フォラン マイケル エイ
(72)【発明者】
【氏名】フォラン デヴィッド エイ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4C076
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD01
4B018MD09
4B018MD20
4B018MD32
4B018MD39
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4C076DD26
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4C076EE30P
4C076EE42P
4C076EE57
4C076FF61
(57)【要約】
本開示は、薬物、栄養サプリメント、ボタニカルズ、及びビタミンなどの機能性成分用の送達システムを提供する。前記送達システムは、摂取可能なマトリックスを含み、前記機能性成分は、前記摂取可能なマトリックスの中で実質的に均一かつ完全に分散されている。前記マトリックスは、卵白の物理的せん断によって得られるフォームを含み、健康管理の目的のための、皮膚及び粘膜の表面における機能性成分の増大された利用可能な投与量及び改善された放出特性を達成する。本開示はまた、前記送達システムを調製する方法及び前記送達システムを使用する方法を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスの中で実質的に均一に分散されている1種以上の機能性成分を含む、機能性成分用の送達システムであって、前記マトリックスが、
i)1~50%のタンパク質を含む卵白成分、
ii)1種以上の耐熱性及び/又は感熱性のゲル化剤、
iii)pH調節剤、
iv)1種以上の可塑剤及び/又は湿潤剤、並びに
v)1種以上の水のもと
を含む、前記送達システム。
【請求項2】
前記1種以上のゲル化剤が、寒天を含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記1種以上のゲル化剤が、ゼラチンを含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項4】
前記1種以上のゲル化剤が、ペクチンを含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
前記1種以上のゲル化剤が、寒天、ゼラチン、及びペクチンから選ばれる少なくとも2種のゲル化剤を含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
前記pH調節剤が、クエン酸である、請求項1に記載の送達システム。
【請求項7】
前記1種以上の機能性成分が、機能性エマルションを含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
2種以上の機能性成分を含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項9】
キレート剤を更に含む、請求項7に記載の送達システム。
【請求項10】
キレート剤が、ポリリン酸塩である、請求項9に記載の送達システム。
【請求項11】
ポリリン酸塩が、ヘキサメタリン酸ナトリウムである、請求項10に記載の送達システム。
【請求項12】
前記1種以上の機能性成分が、薬物、ボタニカルズ、栄養サプリメント、ビタミン、ミネラル、酵素、ホルモン、タンパク質、ポリペプチド及び抗原からなる群より選ばれる、請求項1に記載の送達システム。
【請求項13】
甘味料、バッファー、天然若しくは人工香味料、着色料、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の送達システム。
【請求項14】
犬用二重作用歯科用チューであって、歯科用チューが、2つの成分である可撓性基材及び充填物を含み、充填物が、請求項1に記載の送達システムを含む、前記犬用二重作用歯科用チュー。
【請求項15】
可撓性基材が、噛む過程中の機械的な作用(スクラブ、摩耗)による歯垢と歯石を減少するように形成及び設計されており、チュー基材が、充填物用の「貯蔵所」/空洞を特徴とする、請求項14に記載の犬用二重作用歯科用チュー。
【請求項16】
送達システムが、エマルションを含む機能性成分を含み、前記エマルションが、(a)1種以上の、4~22個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩と、(b)前記遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩の乳化剤として、1種以上の脱脂膜脂質とを含む、請求項14に記載の犬用二重作用歯科用チュー。
【請求項17】
1種以上の機能性成分を必要とする動物へ前記機能性成分の経口投与するために、請求項1に記載の送達システムを使用する方法であって、送達システムを、必要とする動物に投与する工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬及び栄養素を含む健康成分又は機能性成分、並びに該健康成分や機能性成分を送達するためのシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症を治療又は予防するために設計された、抗生物質、消毒薬(antiseptics)、局所消毒薬(topical disinfectants)などの医薬品を含む機能性成分、並びにヒトや動物の健康及びウェルビーイングを増進するために設計された、ビタミン、アミノ酸及び必須脂肪酸を含む栄養物(nutritionals)は、それらの製造、生産、及び流通に関与する産業が非常に大きく成長していることから明らかなように、人気が高まっている。
機能性成分の様々なクラスの中で、多くは水溶性であり、一部は油だけに可溶である一方で、いくつかは、界面活性剤のように、油と水の中で部分的な溶解性を示す両親媒性である。
あらゆる機能性成分の溶解性は、人体又は動物体への該機能性成分の適切な送達方法、特に、機能性成分が消化管上又は消化管内での反応に影響を与えるのを意図する経口適用の場合、及び機能性成分が皮膚若しくは粘膜上又は皮膚若しくは粘膜内、ひいてはかかる表面から発する構造物(例えば、毛髪、爪及び歯)上の反応にも影響を与えるのを意図する局所適用又は粘膜適用の場合に大きな影響を与える。
難溶性の機能性成分の製剤は、通常は目的の表面における溶解性、吸収及び/又は滞留時間を促進するように設計された賦形剤を含有する。このような製剤中のあらゆる機能性成分の利用可能な投与量はまた、目的の表面に適用できる製剤量、及び製剤から目的の表面上への、又は目的の表面の中への機能性成分(functional)の移動若しくは放出によっても制限される。
【0003】
いくつかの異なる送達システムが開発されており、様々なサプリメント又は機能性成分の送達方法を改善しようとしてきた。例えば、様々なガラス質、焼結体、又は噛み応えのある菓子タイプのマトリックス内に機能性成分をカプセル化又は保持している、いくつかのカプセル剤が開発されている。一般的には、菓子は、活性成分又は活性サプリメント用の固形連続マトリックスとして機能する。活性成分は、菓子マトリックスの溶解速度に応じて送達され、口の中にしっかりとした味を与える。菓子を粉砕するのは、消費者にとって活性成分の放出をスピードアップする解決策であるが、この解決策は、歯の問題が起こる場合があり、及び/又は菓子に混ぜられている活性成分の放出速度がもはや最適ではない場合もあるため、望ましくない場合がある。菓子マトリックスの製造方法によって、活性成分は、製造プロセス中の熱及び/又は機械的なストレスに起因する劣化や損傷を受けることがある。多くの場合、強い製造条件に起因する高い劣化率は、菓子マトリックス中の活性成分の過剰投与によって補われるが、これは、かなり多くの活性成分の浪費をもたらす高価な方法である。押圧された錠剤又はガラス状マトリックスが口の中に与え得る「しっかりとした」味はまた、特に味が口似合わない場合、活性成分の送達の観点からは、あまり魅力的ではないと考えられるかもしれない。
以上より、改善された溶解性及び放出特性を有する機能性成分を効率的に送達するためのシステム、特に両親媒性及び油溶性の機能性成分のためのシステムを提供するのが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様によれば、1種以上の機能性成分用の送達システムであって、該送達システムは、発泡フォームのマトリックスを表し、該1種以上の機能性成分は、実質的に均一に分散されており、前記マトリックスは、
i)1~50%のタンパク質濃度を含む卵白成分;
ii)1種以上の耐熱性及び/又は感熱性のゲル化剤;
iii)pH調節剤;
iv)1種以上の可塑剤及び/又は湿潤剤;並びに
v)1種以上の水のもと
を含み、
室温で固体である、前記送達システムを提供する。
本開示の別の態様において、1種以上の機能性成分を必要とする動物への前記機能性成分の経口投与するための送達システムの使用が提供される。
【0005】
実施形態において、本開示は、コンパニオンアニマルの口腔の健康を改善するための方法を提供する。
ある実施形態において、本開示は、口腔の健康を維持又は改善することを必要とする対象の口腔の健康を維持又は改善する方法を提供し、該方法は、利用可能な投与量の経口抗菌性組成物を該対象に投与する工程を含み、該経口抗菌性組成物は、(a)1種以上の飽和若しくは不飽和遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩と;(b)該遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩の乳化剤として、1種以上の脱脂された(delipidised)膜脂質とを含む。
実施形態において、本開示は、1種以上の健康成分を含む健康関連組成物の経口送達用の方法を提供し、該健康関連組成物は、口腔の健康、関節の健康及び可動性、心血管の健康、骨の健康、皮膚の健康、消化管の健康、抗ストレス/落着き若しくは他の行動の状態、抗ノミ(anti-flea)や抗ダニ(anti-tick)などの駆虫薬(anti-parasiticide)、又はコンパニオンアニマルへのワクチンに使用する。
本開示の追加の変形及び利点は、添付の実施例と併せて本開示の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示において、特に請求項において注意されたいのは、「comprises(含む)」、「comprised(含まれる)」、「comprising(含む)」等のような用語は、「includes(含む)」、「included(含まれる)」、「including(含む)」等を意味することができ、「consisting essentially of(実質的にからなる)」及び「consists essentially of(実質的にからなる)」のような用語は、明記されていない要素を許容するが、先行技術に見られる要素又は本開示の基本特性や新規特性に影響する要素を除く。
特に断りがない限り、技術用語は、従来の用法に従って用いられる。分子生物学の一般用語の定義は、Oxford University Pressにより、1994年に出版されたBenjamin Lewin, Genes V.1994 (ISBN 0-19-854287-9);Blackwell Science Ltd.により、1994年に出版されたKendrewら(編者)のThe Encyclopedia of Molecular Biology(ISBN 0-632-02182-9);及びVCH Publishers, Inc.により、1995年に出版されたRobert A. Meyers(編者)Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference(ISBN 1-56081-569-8)において見い出すことができる。
【0007】
上で用いたように、そして本開示の記載全体にわたって、以下の用語は、別途指示されていない限り、以下の意味を有するものと理解されるべきである。単数形の用語「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に別途示さない限り、複数形の指示対象をも含む。同様に、「又は、若しくは、或いは(or)」という単語は、文脈が明確に別途示さない限り、「及び、かつ(and)」を含むのを意図する。「又は、若しくは、或いは」という単語は、特定のリストにおけるいずれかのメンバーを意味し、そのリストにおけるメンバーのあらゆる組み合わせを含む。
また、第1、第2などの用語は、本明細書において使用して、様々な要素を説明することができるが、これらの要素は、かかる用語により制限されるべきではないのを理解されたい。かかる用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1ジェスチャーを、第2ジェスチャーと称してもよく、同様に、第2ジェスチャーを、第1ジェスチャーと称してもよい。本明細書に記載のすべての方法やプロセスは、本明細書において別途示されていない限り、又は文脈により明確に矛盾しない限り、あらゆる好適な順番で行うことができる。
【0008】
本明細書において使用されている用語「約」は、ほぼ(approximately)、その領域内(in the region of)、おおよそ(roughly)、又はおよそ(around)を意味する。用語「約」は、数値範囲と併せて使用する場合、記載されている数値の上下の境界を拡張することにより、その範囲を変更する。一般的には、用語「約」は、記載された値の上下の数値を10%ばらつきで変更するために、本明細書において使用されている。ある態様において、用語「約」は、使用されている数値のプラス10%又はマイナス10%を意味する。したがって、約50%は、45%~55%の範囲を意味する。
本明細書において端点により記載される数値範囲は、その範囲内に包含されるすべての数及び分数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4、及び5を含む)を含む。すべての数及びその分数はまた、用語「約」により変更されるものと推定することを理解されたい。
【0009】
用語「対象」、「患者」、「ユーザー」、及び「個体」は、ヒト又は動物を指すために、本明細書において交換可能に使用されている。
用語「動物」及び「コンパニオンアニマル」は、すべての哺乳動物、鳥及び魚を含むように、本明細書において使用される。本明細書において使用される動物は、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、イヌ科の動物(例えば、イヌ、オオカミ、キツネ、コヨーテ(coyote)、ジャッカル(jackal))、ネコ科の動物(例えば、ライオン、トラ、イエネコ、野生ネコ、他の大型のネコ、並びにチーター及びオオヤマネコ(lynx)を含む他のネコ科の動物)、ウシ亜科の動物(例えば、ウシ)、ブタ類(例えば、ブタ)、ヒツジ類(例えば、ヒツジ、ヤギ、ラマ、バイソン(bison))、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ(finch)、タカ、カラス、ダチョウ、エミュー(emu)及びヒクイドリ(cassowary))、霊長類(例えば、原猿(prosimian)、メガネザル(tarsier)、サル、テナガザル(gibbon)、類人猿)、ヒト及び魚類からなる群より選択できる。
【0010】
本明細書において提供されているあらゆる実施例やすべての実施例、又は例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本開示をより明らかにするのを意図するにすぎず、別途示されていない限り、本開示の範囲に制限を課さない。本明細書におけるいかなる言語も、明確に述べられていない限り、本開示の実施に不可欠な要素を示すものとして解釈されるべきではない。
用語「担体」は、活性/機能性成分とともに投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、水及び油などの滅菌液体であってもよく、動物由来、植物由来又は合成由来の滅菌液体が挙げられる(例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、パーム油、鉱油、ゴマ油等)。担体としては、特に注射剤用の担体としては、水又は水溶液、生理食塩水、水性デキストロース、及びグリセリン溶液が好ましい。或いは、担体は、固体剤形の担体であってもよく、1種以上の結合剤(圧縮丸剤(pill)用)、滑剤又は潤滑剤、カプセル化剤、香味料、及び着色料が挙げられるが、これらに限定されない。好適な医薬担体は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co., Easton, Pa.);Gennaro, A. R., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (Lippincott, Williams and Wilkins);Libermanら(編者)のPharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y.;及びKibbeら(編者)のHandbook of Pharmaceutical Excipient, American Pharmaceutical Association, Washingtonに記載されている。
【0011】
本明細書において使用されている用語「有効量」又は「有効用量」は、健康上の利益を与えることが、当該技術分野において知られている健康成分の量を指す。組成物中の有効量は、本開示のように使用した場合、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、所望の効果又は利益を対象に提供するのに十分に高い量であるが、毒性、刺激、又はアレルギー反応などの有害作用を避けるのに十分に低い用量でもあり、このような有効量は、当業者により容易に確認され、使用される特定の健康成分、治療される具体的な状態、対象の年齢及び全般的な健康状態、治療期間、併用療法(もしあれば)の性質、使用される特定の剤形、使われる担体、剤形の溶解性、及び具体的な投与計画などのファクターによって変化するであろう。
【0012】
用語「健康成分(health component、health ingredient)」、及び「機能性成分(functional component、functional ingredient)」は、本明細書において交換可能に使用されており、健康及びウェルビーイングを増進し、疾患を予防し、又はウェルビーイングを高める成分(components or ingredients)を指し、感染症を治療又は予防するように設計された、抗生物質、消毒薬、局所消毒薬などの医薬品、抗酸化剤、フィトケミカル、ホルモン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミンなどのビタミン、カルシウム塩、セレニウム塩、マグネシウム塩、利用可能な鉄分、及び鉄塩などのミネラル、細菌(例えば、生きた乳酸菌)、真菌、及び酵母などの微生物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、微量元素、ω-3脂肪酸、及び中鎖トリグリセリドなどの必須脂肪酸及び/又は高度不飽和脂肪酸、栄養サプリメント、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、及びフィターゼなどの酵素、色素、オリゴペプチド、ジペプチド、及びアミノ酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0013】
本明細書において使用されている用語「プレバイオティクス」は、「宿主の健康を改善できる大腸(colon)内の一種若しくは限定された数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することにより、宿主に有益な影響を与える難消化性(non-digestible)食品成分」を指し、例えば、Gibson, G. R. & Roberfroid, M. B., Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota-Introducing the Concept of Probiotics, J. Nutr. 125:1401-1412 (1995)におけるものが挙げられる。このようなプレバイオティクスは、天然物、合成物、又は生物及び/若しくは植物の遺伝子操作により開発されたものであってもよく、その新しいソースは、現在知られているものであるか又は後で開発されるものである。本開示において有用なプレバイオティクスとしては、オリゴ糖、多糖、及びフルクトース、キシロース、大豆(soya)、ガラクトース、グルコース及びマンノースを含む他のプレバイオティクスであってもよく、例えば、Ramirez-Farias et al., Br J Nutr (2008) 4:1-10; Pool-Zobel and Sauer, J Nutr (2007), 137:2580 S-2584Sにおけるものが挙げられる。より具体的には、本開示において有用なプレバイオティクスとしては、ラクツロース、ラクトスクロ-ス、ラフィノース、グルコオリゴ糖、イヌリン、ポリデキストロース、ポリデキストロース粉末、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラクトスクロース、キシロオリゴ糖、キトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖又はマンノオリゴ糖(MOS)、アラビノオリゴ糖、シアリルオリゴ糖、フコオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、及びゲンチオオリゴ糖であってもよい。さらに、本開示において有用なプレバイオティクスとしては、β-メチル-d-ガラクトシド及びN-アセチル-d-マンノサミンなどの分子が挙げられ、例えば、Slomka et al., J Clin Periodontol. (2017), 44(4):344-352におけるものが挙げられる。ある実施形態において、プレバイオティクスの1日量は、約0.00001g~約1g、より好ましくは約0.0001g~約0.5g、さらにより好ましくは約0.0005g~約0.lgである。
【0014】
本明細書において使用されている用語「プロバイオティクス」は、適正な用量を投与した場合、宿主の健康又はウェルビーイングに対して有益な効果を与える、生きた微生物、死んだ微生物、及び不活性化微生物を指す。このようなプロバイオティクスの例としては、実質的に純粋な細菌(すなわち、単独の単離菌)、又は所望の細菌の混合物を挙げることができる。健康上の利益としては、心血管の健康、骨の健康、消化管の健康、口腔の健康、皮膚又は真皮の健康、抗ストレス又は行動の健康、及び免疫の健康に関するものが挙げられてもよい。本開示の目的のために、「プロバイオティクス」は、別途示されていなければ、本開示の微生物によって産生された活性代謝物を含むことを更に意図する。このような細胞代謝物は、プロバイオティクス細菌の溶解物又は発酵上清を用いることにより得ることができる。代謝物としては、有機分子と無機分子、アルコール、アルデヒド、アミノ酸、炭水化物及びこれらの成分、ペプチド、タンパク質及びこれらの成分、細胞外酵素、細胞壁結合型酵素、膜結合型酵素若しくは細胞内酵素、電子伝達分子及びこれらの成分、又は他の細胞壁、膜若しくは細胞質の成分及び分子、ホルモン若しくはホルモン様物質、脂質、油、脂肪若しくは脂肪酸及びこれらの成分、有機酸、核酸若しくはリボ核酸及びこれらの成分、炭素化合物、窒素化合物、リン酸化合物、色素、及びビタミン、並びに上記成分及び分子のいずれかの混合物が挙げられてもよく、例えば、Fernandez-Gutierrez et al., (2017) Scientific Reports | 7: 11100 | DOI:10.1038/s41598-017-11446-zにおけるもの、及び例えば、MacKenzie et al., Microbiology (2010), 156, 3368-3378におけるものが挙げられる。本開示の目的のために、「プロバイオティクス」は、不活性化又は死んだプロバイオティクス細菌及び酵母、例えば、特定の微生物、又は他の原核細胞若しくは真核細胞、及びこれらの成分を共凝集するのに用いられるものを含むことを更に意図する。
【0015】
プロバイオティクスとして一般的に認識されている微生物の例としては、アセトバクテリウム属(Acetobacterium)、アセチトマクラム属(Acetitomaculum)、バシラス属(Bacillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、バージイエラ属(Bergeyella)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブラウティア属(Blautia)、キャプノサイトファーガ属(Capnocytophaga)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ホロファガ属(Holophaga)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ロートロピア属(Lautropia)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、モラクセラ属(Moraxella)、ムーレラ属(Moorella)、ナイセリア属(Neisseria)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、プレボテラ属(Prevotella)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、スポロミューサー属(Sporomusa)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ステノトロホノナス属(Stenotrophononas)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トレポネーマ属(Treponema)、ワイセラ属(Weissella)、ウォリネラ属(Wolinella)、及びゼノフィラス属(Xenophilus)、並びにこれらの混合物が挙げられる。より具体的には、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)又はラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はサッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)である。
【0016】
酵素及びタンパク質はまた、健康成分として使用されてもよく、例えば、アミログルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ又はグルコシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ムタナーゼ(mutanase)、デキストラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、ペプチダーゼ又はプロテイナーゼ、キシラナーゼ、他の多糖分解酵素、及び他の加水分解酵素;タンパク質、例えば、初乳(ラクトフェリン、分泌型IgA)、バクテリオシン、溶菌性ファージ又はこれらの成分、目的の細菌及び他の微生物におけるクオラムセンシングのタンパク質又は他の阻害剤が挙げられる。コンパニオンアニマルの口に投与できる脂質及びその誘導体は、例えば、多価不飽和脂肪酸又はω-3脂肪酸、1-テトラデカノール複合体などの一価不飽和脂肪酸(例えば、Hasturk et al., 2007, J Periodontology, Vol 78:924-932)、及びWO2011/061237などに記載の脂肪酸の誘導体が挙げられる。このような刊行物及び/又は特許出願のすべての内容は、参照として本明細書に含まれ、その全体が依存される。
本明細書において使用されている用語「医薬上許容される」又は「獣医学上許容される」は、動物に投与した場合、一般的には有害作用、アレルギー反応又は他の有害反応を生じない分子実体及び組成物を指す。また、動物投与について、製剤は、FDA、USDA、又は欧州医薬品庁が要求する無菌性、発熱性、一般的な安全性、及び純度の基準を満たすべきであることが理解されるであろう。
【0017】
用語「嗜好剤(palatant)」、「嗜好性増強剤(palatability enhancer)」、又は「香味料(flavoring agents, flavoring, flavorants)」は、動物に対する食品組成物の嗜好性を高めるあらゆる材料又は物質を意味する。嗜好剤又は嗜好性増強剤は、単独の材料又は材料の混合物であってもよく、天然(未加工又は加工)の、合成の、又は一部天然及び一部合成の材料であってもよい。、嗜好剤は、嗜好剤を含む添加剤として、又は嗜好剤とともに1種以上の他の機能性若しくは非機能性材料を含む添加剤として、組成物に添加することができる。嗜好性増強剤は、完全に又は部分的に、肉若しくは家禽のブロス濃縮物又は噴霧乾燥粉末、タンパク加水分解物、酵母及び/又は酵母エキス、肝、香辛料、ハーブ、甘味料、或いはこのような成分の任意の組み合わせから製造され得る。
本明細書において使用されている用語「治療している(treating)」、「治療(treatment)」、又は「治療する(to treat)」は、疾患、障害、若しくは状態の進行を逆転、軽減、若しくは抑制すること;又は治療されていない対照群と比較して、若しくは同一の対象の治療前と比較して、該対象における疾患若しくは状態の発生の可能性若しくは発生率を低下させること;又は疾患、障害若しくは状態と関連する症状を遅延若しくは防止することを指す。本明細書において使用されているように、「治療している」はまた、疾患、障害若しくは状態、又はこのような疾患、障害若しくは状態と関連する症状の再発を防止することを指す場合がある。
【0018】
送達システム
本開示の送達システムは、摂取可能なマトリックスを含み、該摂取可能なマトリックスの中では、1種以上の機能性成分が実質的に均一かつ完全に分散しており、該摂取可能なマトリックス中のあらゆる機能性成分の送達の溶解性及び放出特性は、泡立てた卵白フォームを送達ビヒクルとして使用することにより、大幅に促進される。
卵白は、鳥卵の卵黄を囲む水性媒体中の生物学的活性なタンパク質の透明な粘性分散物である。鶏卵の卵白のほぼ10%は、オボアルブミン、オボトランスフェリン、免疫グロブリン、リゾチーム、アビジンなどを含む混合タンパク質である。卵白は、機械的手段により卵黄から分離することができ、一般的には食品中にタンパク質源として用いられ、肉類加工品中の結合剤及び増粘剤として用いられる。卵白は、泡立て(whisking)及び叩き込み(beating)の方法で泡に変えることができ、該方法は、通常はコイル状のタンパク質分子を強制的に線状の立体構造に変形させ、閉じ込められた気泡との粘り強い界面を作り出す分子せん断を引き起こす。他の食品用途の中で、卵白フォームは、泡立てた卵白に煮沸した砂糖のシロップを混ぜて、これを焼いて固定し、冷却すると、軽い泡状の生地を作る気泡を閉じ込めた、様々な菓子(マシュマロとヌガーが挙げられる)の製造に用いられる。
【0019】
卵白を泡立てる(又は叩き込む)プロセスは、一般的に「柔らかい(soft)」ピーク、「固い、しっかりした(firm)」ピーク、及び「硬い(stiff)」ピークと呼ばれる硬さのいくつかの段階を経て進み、その後、泡立てを続けていくと、泡が崩壊する。泡立てた卵白の体積は通常、最初の液状卵白より約4倍大きく、閉じ込められた気泡は通常、時折見える大きい泡とともに微視的に分散されている。柔らかいピーク及び固いピークの泡は、他の溶液又は水性媒体中の固体分散物と容易に混ぜることができる。これにより、柔らかいピーク及び固いピークの泡は、一緒にした塊全体に、閉じ込められた空気を分散させるのに役立つ。硬いピークの泡は、分散しにくくて不均一な塊状物(clumps)になりやすいが、弱火で焼くことができ、その後、サクサクしたハニカム状の塊を形成し、菓子のメレンゲは良い例である。
【0020】
卵白フォームは、料理用として、評判がよく、一般的に使用されているが、栄養素及び医薬などの生物学的機能性成分の送達におけるその使用は新規である。また、本明細書において開示されているように、卵白フォームは、治療上及び栄養上の用途用に設計された特定のクラスの機能性成分により大きな有用性を提供する、独創的な構造物を容易にする。
本明細書に開示されているように、機能性成分がフォーム-空気界面に(すなわち、個々の泡の内面に)濃縮されるように、泡立てた卵白フォームを使用する方法で、機能性成分を調製することを可能にする。表面に濃縮された機能性成分を有する卵白フォームは、従来の局所製剤と比べて、はるかに多くの利用可能な投与量の負荷を提供し、より一層速やかに放出することができる。
【0021】
様々なクラスの機能性成分の中で、多くは水溶性であり、一部は油だけに可溶である一方で、いくつかは、界面活性剤のように、油と水の中で部分的な溶解性を示す両親媒性である。あらゆる機能性成分の溶解性は、人体又は動物の体への該機能性成分の適切な送達方法、特に、機能性成分が消化管上又は消化管内での反応に影響を与えるのを意図する経口適用の場合、及び機能性成分が皮膚若しくは粘膜上又は皮膚若しくは粘膜内、ひいてはかかる表面から発する構造物(例えば、毛髪、爪及び歯)上の反応にも影響を与えるのを意図する局所適用又は粘膜適用の場合に大きな影響を与える。
一般的には、水に良く溶ける、医薬及び栄養物を含む機能性成分は、あらゆる製剤に組み込む障害を殆ど示さない。しかしながら、水溶性成分は、投与量の全体に自由に分散し、機能性成分に接近するには担体全体の吸収及び同化が必要になるため、製剤からの十分な放出を達成することは、必ずしも容易ではない。自由に水に溶ける成分を単離及び濃縮して送達を高めること、泡立てた卵白フォームを使用して容易になることができる。該水溶性成分は、大幅に拡張された表面積を有するフォーム界面に分散及び固定されており、フォーム自体が他の担体に分散された場合に利用可能な投与量が増大する。
【0022】
難溶性の機能性成分の製剤は、通常、目的の表面における溶解性、吸収及び/又は滞留時間を促進するように設計された賦形剤を含有する。このような製剤中のあらゆる機能性成分の利用可能な投与量はまた、目的の表面に適用できる製剤量、及び製剤から目的の表面上への、又は目的の表面の中への機能性成分の移動若しくは放出によっても制限される。溶解性及び放出特性は、あらゆる機能性成分の送達における重要なパラメーターであり、本明細書に開示されているように、泡立てた卵白フォームを送達ビヒクルとして使用することにより、両者を大幅に促進することができる。
油及び油溶性成分並びに多くの両親媒性物質(amphipaths)は、製剤化においてより困難な問題を示す。料理の技術分野においてよく知られているのは、あらゆる微量の油又は脂肪が、泡立てた卵白の泡立ちを妨げ、同様に、卵白を一度泡立てた後、微量の脂肪、又は油若しくは油溶性成分を添加すると、泡立てたフォームが崩壊する。卵白フォームは、通常はあらゆる親油性(脂溶性)成分と相溶性がなく、これは、油溶性又は両親媒性機能性成分の送達を強化するために、このようなフォームを使用する際の技術的な課題を示す。
【0023】
油性成分の微細液滴を分散させるための乳化技術の使用により、特に、このような液滴が両親媒性賦形剤により安定化される場合、泡立てた卵白フォームからのより柔軟な取り込みと放出特性を促進する。
エマルションは、水性媒体中に油滴が分散したもの(水中油型)であり、油滴の合一を防ぐために乳化剤が使用される。WO2011061237に基づく米国特許出願番号第15/384,372号(その全体は、本明細書に含まれる)におけるFolanは、機能性エマルションの例を提供する。該出願において、不水溶性遊離脂肪酸(油)は天然由来の膜脂質に乳化され、遊離脂肪酸は好ましくはカプリル酸であり、乳化剤は好ましくは脱脂レシチンである。
表面積は、あらゆる機能性成分の放出特性と送達に影響を及ぼす重要なパラメーターである。皮膚の軟膏剤の例は、表面積の重要な性質を説明するのに役立つ。皮膚上での軟膏剤の接触面は、送達界面であり、機能性成分の利用可能な投与量は、該接触面での機能性成分の量である。利用可能な投与量は、軟膏剤の追加層を加えても直ちに増えない。なぜなら機能性成分は、皮膚界面において利用可能になる前に、まず軟膏剤の追加層を通って移動しなければならないためである。、卵白フォームを送達ビヒクルとして使用することにより、利用可能な表面が大幅に増え、結果として放出特性も改善される。
【0024】
機能性成分を送達することとの関係において、個々の泡の全表面積は、泡立ての程度と出発溶液の実際のタンパク質濃度によって変わることを認識されたい。本開示の目的のため、ほぼ4倍の体積になった泡立てた卵白フォームは、元のタンパク質溶液又は同等の体積の泡立てされていないあらゆる製剤よりも、ほぼ数百倍大きな表面積を示すことを知るだけで十分である。
本明細書に開示されているように、泡立てた卵白フォームを使用して、機能性成分がフォーム-空気界面に(すなわち、個々の泡の内側表面に)濃縮されるように、機能性成分を配合することが可能である。表面に濃縮された機能性成分を有する卵白フォームは、従来の局所製剤と比べて、はるかに多くの利用可能な投与量負荷を提供し、より一層速やかに放出することができる。
【0025】
本開示の送達システムは、ヒト及び非ヒト動物の両方への投与に適している。当業者は、各送達システムを、投与されるべき動物のタイプに応じて、異なるように配合することができることを理解するであろう。例えば、ネコ又はイヌなどの動物への投与について、肉又は魚ベースの調味料と香味料を添加し得る。ヒトへの投与について、例えば、果物ベース又は他の調味料を使用する菓子として、送達システムを調製し得る。送達システムは、その嗜好性のため、特に経口投与に適している。加えて、携帯性に優れた形式であるため、送達システムは、ヒト及び他の動物の両方にとって、簡単かつ便利に投与及び摂取される。
本開示の送達システムは、特定の目的に合わせることができる。したがって、特定の生理学的効果をもたらすために、送達システムを機能性成分の特定の組み合わせで調製することができる。他の送達システムは、例えば、薬物又は診断薬のある組み合わせを含ませるように、薬物送達システムを調製することができる。例えば、耐久性の促進、心血管の健康の促進、脂質及び/若しくはコレステロールの調節、関節の健康の促進、骨密度の維持若しくは改善、細胞内抗酸化能力の増進、又は食欲の制御のために、機能性成分の組み合わせで調製することができる。
【0026】
本開示の送達システムは、マトリックスの中で実質的に均一に分散されている1種以上の機能性成分を含み、該マトリックスは、一般的には、1)泡立てると、発泡マトリックスを形成するタンパク質濃度の卵白;2)1種以上の耐熱性及び/又は感熱性のゲル化剤;3)pH調節剤;4)1種以上の可塑剤及び/又は湿潤剤;5)1種以上の水のもとを含む。1種以上のゲル化剤を含むことにより、含水量及びマトリックス内の残留水分の物理的な特性の調節を容易にする。添加剤、例えば、天然又は人工の香味料、着色料、酸味料、バッファー、及び甘味料は、従来の量でマトリックスに含ませることができる。
マトリックスが約2.5~約8.5の範囲の最終pHを有するように、本開示の送達システムを調製することができる。ある実施形態において、マトリックスは、約3.0~約8.5の最終pHを有する。本技術分野において、酸性pHは、特定の機能性成分の分解を促進することが知られている。酸性pHに敏感である機能性成分、又は酸性pHで反応する機能性成分を送達するように調製された送達システムについて、したがって、マトリックスの最終pHは、中性~弱塩基性である。中性~弱塩基性pHとは、最終pHが約6.0~約8.5であることを意味する。トリメチルグリシンなどの酸性形態でより安定な機能性成分、又はグルコサミン塩酸塩などの中性pHで他の成分と反応し得る機能性成分については、送達システムのマトリックスのpHは、中性未満の最終pHを有し得る。
本開示のある実施形態において、送達システムは、マトリックスが約5の最終pHを有するように調製され、したがって酸性pHで安定である機能性成分及び/又は酸性pHで反応しない機能性成分の送達に適している。
【0027】
以下の実施例に記載されているように、泡立てた卵白を含む製剤は、典型的には、ゲル、ポリマー、及び有機酸などの他の水溶性構成物を含み、該水溶性構成物は、卵白タンパク質と一緒に加熱(cooking)すると、気泡が注入されているフォームの固体足場構造を構成する。油性成分又は水中油型エマルションを固体マトリックスに添加すると、水性媒体と油滴との間に相反発(phase repulsion)が生じ、かかる液滴を、閉じ込められた泡の内部の水-空気界面という最小抵抗の位置に移動させる。
表面積が大幅に拡大し、フォーム泡の表面に油滴が集中するために、乳化された油を取り込んだ製剤は、同様の質量の非発泡製剤と比較して、はるかに多くの利用可能な投与量負荷及びはるかに速やかな放出特性を有するであろう。
以下に記載のように、マトリックスのテクスチャー(texture)、物理的な属性、形態、及び形状は、本明細書に記載の方法を使用するか、又は当業者に周知の方法により、所定の範囲内で成分の比を変えることによって、変化させることができる。加えて、以下に提供されている可能な成分の特定の選択は、動物及び/又はヒトの摂取にとって安全であり、かつ、規制基準、例えば、コーデックス委員会(Codex Alimentarius)の規制基準を満たさなければならない。
【0028】
機能的に活性なエマルションを送達することを意図する卵白フォーム製剤は、例えば、口の粘膜上の通過時間が短いため、利用可能な投与量負荷の速やかな放出が望ましい場合、局所皮膚及び粘膜のヘルスケアに大きな有用性を有する。例示的なエマルションは、(a)1種以上の、4~22個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩と、(b)前記遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩の乳化剤として、1種以上の脱脂膜脂質とを含む。
胃での消化を遅らせ、乳化された油に含まれる機能性成分の、腸内での利用可能性及び吸収を高めるために、同じタイプの改変された製剤は、泡立てた卵白をタンパク質コートとして使用して、エマルション液滴を保護することに使用され得る。哺乳類の胃内でのタンパク質消化は、主に低pHでのペプシンの活性による。卵白中の個々のタンパク質のいくつか、特に、オボアルブミンとオボムコイドは、ペプシン分解に対して特に抵抗性を有し、卵白へのレシチンの添加によりペプシンに対する抵抗性を加え、加熱前の泡立てによりインタクトな胃への送達(gastric transfer)を容易にする。十二指腸に入ると、トリプシンのタンパク質分解は、カプセル化された油型エマルションの速やかな放出と、腸細胞での吸収に対するこれらの利用可能性に影響を与える。
【0029】
上述したタイプのエマルションは、遊離脂肪酸の使用に限られない。乳化技術は、単独で油溶性成分をそのまま送達するか、又は中性トリグリセリド(例として、IOI Oleo(ハンブルク、ドイツ)製のミグリオール812N)などの他の油に溶かして送達することに使用することができる。乳化された液滴中の油のタイプ及び該油中のあらゆる油溶性成分にかかわらず、同じ油-水の相反発力が適用され、油滴を泡内の水-空気界面に濃縮させる。泡立てた卵白フォームに分散しているエマルションにおける増強された送達からベネフィットを得る他の油溶性機能性成分の例としては、ムピロシンのような抗生物質、クロトリマゾールのような抗真菌薬、クロルヘキシジン(Chlorohexidine)のような消毒薬、ケトプロフェンのような抗炎症剤、並びに油溶性ビタミンA、D、E及びKのような栄養物が挙げられるが、これらに限定されない。
泡立てた卵白フォームは、両親媒性を示す機能性成分の取り込みと送達に特に有用であり、両親媒性を示す機能性成分としては、リドカインなどの局所麻酔薬、塩化ベンザルコニウムなどの殺生物剤、デルモピノールなどの抗菌剤、及びクルクミンなどの抗炎症剤が挙げられる。泡立ての前後に卵白に分散させると、両親媒性分子の親水性側面は、水性のタンパク質性マトリックスと会合する傾向がある一方で、親油性側面(疎水性も)は、水-空気界面において及び/又は隣接した分子の親油性側面と共に自然に配向し、ミセル構造とラメラ構造の確立を促進し、かかる構造のすべては、放出特性の改善を実現するのに使用することができる。
【0030】
実施形態において、レシチンは、泡立てた卵白フォームと一緒に使用する。レシチンは、ダイズのような植物源、及び卵白とは密接に関連するが、明確に分離されている卵黄から抽出できる両親媒性分子である。本明細書に示されているように、レシチンは、泡立て前に卵白と一緒にすることができ、その両親媒性にもかかわらず、卵白の発泡性に殆ど影響しないが、前に詳しく述べた他の両親媒性剤と親油性剤(デルモピノール、クルクミン、リドカイン及び塩化ベンザルコニウムが挙げられるが、これらに限定されない)の取り込み及び放出を大幅に促進する。
別の実施形態において、調製プロセスの一部として、in situでの遊離脂肪酸エマルションの構築を容易にするために、レシチンを泡立てた卵白と一緒に使用する。泡立てた卵白は、油と相溶性がなく、微量でも添加されると崩壊する。一方、卵白に適量の脱脂レシチンのような乳化剤を添加することにより、水溶性ナトリウム塩又はカリウム塩の形での遊離脂肪酸などの特定の油を、発泡性に著しい影響を及ぼすことなく、泡立て前に卵白と一緒にすることができる方法が開発された。。フォームが最終製剤に取り組まれた後、遊離脂肪酸の塩は、泡立て特性に影響を及ぼすことなく、酸性化により変換してそのプロトン化した油の形態に戻すことができる。
【0031】
脱脂レシチンは、両親媒性であって、一面が油溶性であり、同一分子の反対の一面が水溶性であることによって優れた乳化性を発揮する。脱脂レシチンを卵白タンパク質の溶液に添加することができ、十分な時間放置して水和させたときに、脱脂レシチンは、全体的に均一に分散する。
実施形態において、カプリル酸ナトリウム(オクタン酸ナトリウム)などのカプリル酸の水溶性塩も適切な比で脱脂レシチンと一緒に添加してもよい。卵白タンパク質/脱脂レシチン/カプリル酸ナトリウムの混合物(mix)を泡立てでもよく、添加された成分により、ブレンドしたフォームのテクスチャーがより粘稠となったが、空気の取り込むの程度は、おおよそ同じである。一般的には、ブレンドした卵白フォームをゲル製剤に添加して加熱した後、クエン酸又はアスコルビン酸などの有機酸の量をカプリル酸ナトリウムの量に対してモル当量でゲル製剤に添加する。。酸性化の効果は、pHをカプリル酸ナトリウムの解離定数(pKa)より下の、該塩がその不水溶性遊離脂肪酸の油に変換されるpHに下げることである。カプリル酸ナトリウムは、泡立てられる前の卵白中の脱脂レシチンと密接に分散しており、泡立て中に及び泡立て後に、並びにゲル製剤におけるフォームへの取り込み及び該フォームの加熱中に、密接に分散したままである。製剤を適切なpH値より下のpHに酸性化したときに、密接に分散したカプリル酸ナトリウムは、その遊離酸の油に変換され、相引力(phase attraction)により、一緒に分散しいるレシチンの親油性側面と会合する。該一緒に分散しているレシチンの形態は、泡立てた卵白の泡の空気界面に位置するか、又は少なくとも非常に近い、油滴の形態と類似している。
【0032】
泡立てプロセス中に、卵白の泡立て及び発泡を妨げないあらゆる機能性成分を直接含ませることができることが理解されるであろう。さらに、フォームの空気界面での取り込みは、フォームの拡大された表面積における増大された利用可能な投与量及び改善した放出特性により、あらゆる適合性成分の送達を増強するであろう。
泡立てた卵白マトリックスは、他の添加剤、例えば、甘味料、キレート剤、香味料、着色料、改質植物ゴム(vegetable gums)若しくはセルロース、又は卵白の泡立て及び発泡を妨げない該添加剤の組み合わせを含んでもよい。マトリックスに含まれる添加剤は、該マトリックスの性質に影響を与えず、該マトリックス中の機能性成分との実質的な反応性を示さず、該マトリックスの調製中に安定であるように選択されるべきであることはすぐに分かるであろう。
甘味料は、本技術分野において知られている多種多様な好適な材料から選択することができる。追加のゲル化剤と共に又は追加のゲル化剤となしに、可塑剤が泡立てた卵白製剤の構築に更なる有用性を添える場合、甘味料の代表的で非限定的な例としては、スクロース、フルクトース、ラクトース、ソルボース及びグルコースが挙げられるが、これらに限定されない糖、並びにグリセロール、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール及びエリスリトールが挙げられるが、これらに限定されない糖のアルコール誘導体が挙げられる。選択される糖及び/又は糖誘導体に対する卵白の比は、1.0:0.1~2.0:10.0の範囲内又は1.0:5.0~1:1の範囲内であり得る。
【0033】
マグネシウム、カルシウム、亜鉛、及び鉄などの金属塩及び遊離金属イオンは、しばしば問題となり、遊離脂肪酸などの活性な機能性成分を阻害し得る。塩と遊離イオンの影響を打ち消すために、キレート剤を、泡立て前に卵白に添加するか、又はゲル足場における他の構成物に添加し得る。好適なキレート剤としては、オルトリン酸二ナトリウム又はオルトリン酸二カリウム、ウリジン一リン酸二ナトリウム、フィチン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸ナトリウムなどのオルトリン酸塩及びポリリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。非リン酸塩系キレート剤としては、クエン酸三ナトリウム及びエチレンジアミン四酢酸が挙げられる。キレート剤の含有量は、0.1%W/V~5.0%W/Vであり得る。
いくつかのキレート剤は、特に、キレート剤が極めて低い濃度で利用可能な環境下で、必須ミネラル代謝物を封鎖すること(sequestration)により、微生物の増殖を抑制する。通常、ミネラル供給を補充すると、微生物の増殖は元に戻るが、本明細書に例示されているように、特定の実施形態において、遊離脂肪酸のエマルションなどの他の機能性成分を含むことにより、キレート剤と相乗的に作用し、過剰なミネラル補充物の存在下で、微生物の増殖を抑制することが予想外に見出された。
【0034】
当業者は、ある生理環境では、ミネラル濃度が特徴的により高く、かかる生理環境には、二価の金属イオンを必要とする血液、血清、粘液、及び唾液が含まれることを理解するであろう。例えば、傷の処置において、凝血を阻害するために、カルシウムなどの二価のイオンの濃度を下げるのが望ましい場合があり、殺菌効果も望ましい場合には、ヘキサメタリン酸塩などのキレート剤と遊離脂肪酸の機能性エマルションとの組み合わせが、大きな有用性であろう。
同様に、唾液はカルシウムイオンに関して過飽和であることがよく知られており、さらに歯垢中のカルシウムの非選択的沈着は、歯石の頑強な付着を引き起こし、歯肉疾患のリスクを大きく上昇させることもよく知られている。口腔健康の促進、及び又は口腔疾患の治療若しくは予防を意図する製剤において、歯石を減少するために、カルシウムキレート剤を使用することは有利であり得る。抗菌効果を含ませて歯垢の形成を制限するのが望ましい場合、ヘキサメタリン酸塩と遊離脂肪酸の機能性エマルションとの相乗的な組み合わせは、著しく増進された健康上の利益を達成する。
ポリリン酸塩などのキレート剤は、スキンケア製剤に一般的に使用されており、一般的に二価の金属イオンにより触媒される分解反応を安定化及び阻止する。例えば、更なる抗菌効果を得るのが望ましい薬用化粧品の用途において、ポリリン酸塩と機能性遊離脂肪酸のエマルションとの相乗的な組み合わせが、特に有益である。このような薬用化粧品の一例は、にきびのための肌用クリームであり、更なる例は、感染性ふけを改善するように設計されたシャンプーである。
【0035】
送達システムに添加できる好適な香味料としては、合成の香味油、及び様々な供給源、例えば、植物、葉、花、果実、ナッツ等由来の油の両方が挙げられる。代表的な香味油としては、スペアミント油、ペパーミント油、ケイヒ油、及びウィンターグリーンの油(サリチル酸メチル)が挙げられる。他の有用な油としては、例えば、レモン、オレンジ、ブドウ、ライム、及びグレープフルーツを含む柑橘類の油などの人工の、天然又は合成の果実香料、リンゴ、イチゴ、サクランボ、パイナップル、バナナ、ラズベリーを含む人工の、天然の、又は合成の果実エッセンス、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
使用される香味料の量は、通常、香料原料(stock)、香料タイプ、ベースタイプ、及び所望の強さの濃縮/希釈などのファクターの好みによって左右される。一般的には、最終製品の約0.01質量%~約5.0質量%の量が有用である。
本開示のある実施形態において、バニリンは、香味料として約1.5%の量でマトリックスに含まれる。別の実施形態において、香味料は、約0.03%~約1.5%の量で添加される。
【0036】
見た目の良さを加えるために、食料品の使用に適している着色料を、マトリックスに含ませてもよい。多種多様な好適な食品着色料は商業的に入手可能であり、例えば、Warner Jenkins, St. Louis, Mo製のものである。マトリックスに合成着色料を使用する場合、その量は、約0.01質量%~約2質量%の範囲である。
本開示のある実施形態において、合成着色料は、約0.03質量%~約1質量%の量でマトリックスに添加される。
マトリックス内の機能性成分の実質的に均一かつ完全な分散により、送達システムは、サブユニットに分割することに適している。例えば、本開示の送達システムの単一のユニットが3つのサブユニットに分けられる場合、各サブユニットは、元のユニットの三分の一の投与量を含むであろう。このような分割は、機能性成分が均一に分散していない他の送達システムでは不可能であろう。
【0037】
実施形態において、泡立てた卵白マトリックスを犬用二重作用歯科用チューの一部として使用する。この二重作用チューは、歯ブラシ及び歯磨き粉のように機能し、イヌの口の清潔を保ち、有害細菌からイヌの口を保護する。歯科用チューは、2つの成分、可撓性基材及び充填物を含む。可撓性基材は、噛む過程中の機械的な作用(スクラブ、摩耗)により、歯垢と歯石を減少するように形成及び設計されている。加えて、チュー基材は、機能性成分を含む充填物用の「貯蔵所」/空洞を特徴とする。充填物は、泡立てた卵白マトリックスと少なくとも1種の機能性成分とを含み、充填物及び機能性成分は、噛む過程中に口内に分配され、細菌が口腔内の表面(歯、舌、及び歯肉)に付着するのを防ぐ機械的なバリアを提供する。
実施形態において、歯科用チュー基材は、骨の形状であり、機械的なクリニックを増強するために、曝される表面積の少なくとも一部において隆起と結節を有する。
実施形態において、充填物中の機能性成分は、(a)1種以上の、4~22個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩と、(b)前記遊離脂肪酸又はその医薬上許容される塩の乳化剤として、1種以上の脱脂膜脂質とを含む、エマルションを含む。
【0038】
材料及び方法
遊離脂肪酸の塩などの機能性成分、及び/若しくはレシチンを含むか、又は含まない泡立てた卵白フォームの構築は、卵白タンパク質の水性分散物に基づく。
新鮮な卵白の使用は、工業規模のプロセスに特に適用せず、商業的に入手可能な粉状卵白は、はるかに大きな利便性のみならず、フォーム中のタンパク質の濃度を変える機会も与える。卵白粉末は、Canadian Inovatech(アボッツフォード、BC、カナダ)を含む多くの供給元から入手可能である。
卵白粉末を、逆浸透により精製された水中に再水和させる。10%W/Wの卵白タンパク質の分散物は、90グラムの水中に10グラムの粉状卵白を含ませたものである。必要なフォームのタイプ及び混ぜ合わせる他の成分の量によって、40%までのタンパク質の分散物を再水和させ得る。タンパク質濃度が高くなると、泡立て中に体積が増えないが、過酸化水素及びカタラーゼ酵素の使用を含む他の発泡方法に役立つ。
【0039】
泡立てた卵白は、著しい量の閉じ込められた空気を含むタンパク質の足場を形成し、足場を変性させて不溶性の状態にするために、約80℃に加熱することによって固定する必要がある。含水量により、タンパク質足場への熱伝達を容易にし、他のゲル化剤(親水コロイド)を含むことにより、残留水分の物理的な特性の制御を容易にする。親水コロイドは、植物、動物、微生物、又は合成の由来の親水性ポリマーであり、親水コロイドの独特のテクスチャー、構造、及び機能性による様々な理由で天然に存在するか、又は水性食料品に添加される。一般的には、親水コロイドは、増粘性、ゲル化性、及び/又は耐熱性のみならず、水との結合性及び感覚受容性のために使用される。親水コロイドはまた、結晶化を抑制すると同時に、食品のテクスチャーの改善及び/又は安定化に使用することができる。親水コロイドの例としては、デンプン、トラガント、グルテン、フュームドシリカ(fumed silica)、ポリエチレングリコール、セルロース及びセルロース誘導体、ゼラチン、コラーゲン、ムチン、ペクチン、アラビアガム、グアーガム、アカシアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン、寒天、ジェラン(gellan)、及び/又はアルギン酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
マトリックスに使用しようとする親水コロイドの選択は、マトリックスのpH、及び最終製品に必要なテクスチャーと硬さ(consistency)に依存する。使用される親水コロイドのタイプはまた、マトリックスの設定温度に影響を及ぼすであろう。例えば、ゼラチン/ジェラン混合物又はゼラチン/ペクチン混合物の使用は、およそ35℃の設定温度を提供するのに対し、カラギーナン又はローカストビーンガムの使用は、60℃に近い設定温度になる。寒天の使用は、45℃に近い設定温度になる。したがって、マトリックスに使用するための親水コロイドの選択はまた、送達システムに含まれる機能性成分の性質に依存する。より高い温度において不安定な機能性成分は、低い設定温度を有する親水コロイド又はその混合物の選択を必要とするのに対し、より安定な機能性成分は、より高い設定温度を有する親水コロイドと使用することができる。
【0041】
本開示のある実施形態において、マトリックスは、ゼラチンを含む。用語「ゼラチン」は、加水分解作用、通常は酸加水分解又はアルカリ加水分解による、皮膚、骨及びオセインなどの動物のコラーゲン含有部分に由来する平均分子量の高い水溶性タンパク質の不均一な混合物を指す。加工のパラメーターを変更することにより、異なるタイプのゼラチンを調製することができる。ゼラチンは、一般的には、ゼラチンを使用するある状態下で形成されるゲルの強度を示す「ブルーム値」を使用して定義する。菓子の製造において、硬いゲルが望ましい場合、より高いブルーム値を有するゼラチンを使用する。逆に、最終製品がより流動的であることを必要とする場合、より低いブルーム値を有するゼラチンを使用する。ゼラチン単独の保水力は、ゼラチンとジェラン又はペクチンなどの他の親水コロイドとの組み合わせの保水力より低く、マトリックスの所望のゲル化/テクスチャーを達成するために、より多量のゼラチンの使用を必要とする場合がある。本開示のマトリックス中の親水コロイドがゼラチンを含む場合、一般的には、ブルーム値(BL)は、約100~300BLである。
【0042】
ある実施形態において、ブルーム値は、約260BLである。別の実施形態において、異なるブルーム値を有するゼラチンの混合物を使用する。
上記に示されているように、わずかに異なる特性をマトリックスに付与するために、ゼラチンを1種以上の他の親水コロイドと組み合わせことができる。例えば、ゼラチンと寒天との組み合わせ、ゼラチンとペクチンとの組み合わせ、又はゼラチンと寒天とペクチンとの組み合わせは、マトリックスに良いテクスチャーを提供する。親水コロイドの他の組み合わせも考えられ、例えば、寒天とペクチンとの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。ゼラチンと寒天との組み合わせをマトリックスの調製に使用する場合、典型的には、ゼラチン:寒天比は、約1:1~約10:1の範囲である。かかる相対量は、送達システムに粘着性構造を提供する。
本開示のある実施形態において、ゼラチンと寒天との組み合わせを、約1:1~約3:1のゼラチン:寒天比でマトリックスの調製に使用する。
【0043】
実施形態において、マトリックスに含まれる親水コロイドの総量は、一般的には、約0.1質量%~約7.0質量%である。ある実施形態において、マトリックス中の親水コロイドの総量は、約0.5質量%~約6.8質量%である。別の実施形態において、総量は、約1.0%~約6.0%である。別の実施形態において、総量は、約2.0%~約6.0%、約4.0%~約6.0%、約5.0%~約6.0%、及び約6.0%~約7.0%である。
実施形態において、選択されたゲル化剤に対する泡立てた卵白の比は、2:1~0.2:10、又は0.1:1~1:1の範囲であり得る。
他の実施形態において、ゲル化剤に対する卵白の比は、0.01:10~1.0:10、又は1.0:10~10:1の範囲であり得る。
好適なグレードのゼラチンは、260ブルーム、40メッシュであり、PB Leiner(ベルギー)から入手可能であり、食品グレードの寒天と他のゲル化剤は、Special Ingredients株式会社(チェスターフィールド、イギリス)を含む多くの供給元から入手可能である。
ゲル化剤が、実際の用途における最終製剤の物理的な安定性及び放出特性に与える影響を考慮しなければならない。
【0044】
実施形態において、泡立てた卵白マトリックスを含む製剤に使用される他の成分としては、メルクケミカルズから入手可能なカプリル酸又はカプリル酸ナトリウムを含む。
実施形態において、卵白に対するカプリル酸の比は、0.01:10.0~1.0:10、又は0.1:1.0~1.0:1.0の範囲であり得る。
実施形態において、泡立てた卵白マトリックスを含む製剤に使用される他の成分は、レシチンを含む。
好適なグレードの精製レシチンは、リポイドAG(チューリッヒ、スイス)から入手可能である。
実施形態において、卵白に対するレシチンの比は、0.01:10.0~1.0:10又は0.1:1.0~1.0:1.0の範囲であり得る。
【0045】
機能性効能のアッセイ
本明細書における本開示は、治療、予防、及び栄養物を含むが、これらに限定されない、ヒトと動物のヘルスケアにおける増強された有用性を提供する、多種多様な機能性成分の送達に関することは、を理解されたい。
泡立てた卵白をベースとする製剤の有用性を説明するために、以下の実施例には、Folan(米国特許出願第15/384,372号)に開示されている抗菌エマルションを使用する。この機能性成分は、微生物種の付着を制限し、かつ第2の殺菌/静菌(microbistatic)効果を介して該微生物種の生存能力を低下させることにより、二重抗菌効果を発揮する。比較の目的のために、本明細書では、殺菌/静菌効果のアッセイを使用しており、その方法を、以下に説明する。
該アッセイは、標準的な微生物的懸濁試験であり、一定体積又は質量の被験物質、ブランク、又は対照に、既知の濃度の後期対数期の細菌、酵母、又は真菌を接種する。設定期間後、中和液を添加して抗菌効果を停止し、段階希釈及びプレート計数により生存微生物の残存個体数を数える。計数手順は、生存微生物を数えるための標準的かつ基本的な微生物学的手順であり、当業者にはよく知られているであろう。
【0046】
該アッセイの一般的な形態において、その方法には、0.1mLの18時間(後期対数期)の細菌培養物を1グラム又は1mLの被験試料に接種し、続いて激しく撹拌して混合する必要がある。事前に決めた曝露時間の経過後、9.0mLの中和バッファーを添加して混合する。これは、殺菌効果を停止する効果があり、接種と中和との間の期間中に被験試料により得られた死滅%の信頼できる推定を行うことを可能にする。典型的には、曝露時間は、30秒から30分までの範囲であり、効果を測定するのに時間が必要な場合、数時間に及ぶ可能性もある。残存する生存細胞を数え、それにより死滅%を計算するために、段階希釈及びプレート計数により、接種物中の生存細胞数を決定する。中和手順の妥当性を確保し、被験試料中の他の構成物からのあらゆる妨害を許容するように、適切なブランク及び対照を使用する。
【0047】
本明細書に記載のアッセイにおいて、被験生物は、標準的な指標細菌である、頑強なバイオフィルム形成能力で知られているスタフィロコッカス・アウレウスNCTC8325-4(国家基準培養株コレクション(National Collection of Type Cultures)、イングランド公衆衛生庁、ポートンダウン、ソールズベリー、イギリス)である。細菌の原液(stock)は、通常、-80℃で50%グリセロール中のビーズに保存する。生存能力/殺菌性のアッセイを必要とする場合、該原液から少量の一定分量を適切な栄養寒天培地(nutrient agar)上に塗布し、増殖させ、純度を確保するために継代培養する。ブロス培養を必要とする場合、純粋な寒天培養物からの接種ループ(transfer loop)で100mLのブロスを含む250mL三角フラスコに接種し、ロータリーインキュベーターにおいて、一定の撹拌下で、該三角フラスコを37℃において培養する。
【0048】
指標細菌の培養には、ブレインハートインフュージョン(BHI)ブロス及び寒天、又はトリプトンソイ寒天培地(tryptone soya agar)若しくはブロス(TSB)を使用するのが一般的であり、両方ともオクソイド(イギリス)から商業的に入手し得る。本方法に使用される希釈バッファーと中和バッファーは、137mM塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム、及び10mMリン酸塩を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり、中和剤として、0.5%ヒスチジン、3%ポリソルベートTween80(陰イオン界面活性剤)、0.3%レシチンをPBSに添加する。かかる「中和」剤は、殺菌効能のISO認証に関するEUガイドラインに規定されており、本明細書に使用されている濃度で遊離脂肪酸を中和するのに適していることを検証したものである。
以下の実施例において調製される被験試料は、まず、測定量の滅菌水中に測定量の試料を溶解又は分散させることにより、アッセイする。典型的には、1グラムの試料を1グラムの水に浸軟させる。これは、、試料の50%希釈度及び該試料の有効量の負荷を表す。浸軟させた試料に、1mLの指標細菌の18時間(後期対数期)培養物を接種する。攪拌し、37℃において一定期間培養した後、9mLの中和バッファーを添加して、反転させて混合する。段階希釈及びプレート計数により、培養及び中和後の被験試料中の生存細胞数を測定し、該生菌数を、全く同じ方法により、被験試料で又は機能性成分を含まないブランクの被験試料で処置された1.0mLの対照の接種物中の生存細胞数と比較する。
典型的には、指標微生物を一晩培養することにより、1mL当たり8logs超の生存細胞数(1mL当たり、1.0×108又は100,000,000)を含む。典型的には、以下の実施例において使用された2%W/W用量負荷の遊離脂肪酸エマルションにより、30秒間の曝露で90%超又は1の対数の生存率の減少を達成し、5分間で6logs(99.9999%)超の減少を見るのは珍しくない。
【実施例】
【0049】
送達システム及びかかる送達システムを作製する方法は、単なる例示であり、当業者にとって、他の製剤及び方法は明らかであり、かかる他の製剤及び方法は、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
実施例1-水中油型エマルションを機能性成分として使用する、卵白/ゼラチン/ソルビトール製剤
表1:実施例1の泡立てた卵白マトリックス製剤
【表1】
【0050】
以下のプロセスに従い、機能性エマルションを含む泡立てた卵白マトリックスを作製した。
(a)表1からの成分1(精製水)、成分2(クエン酸)、成分3(卵白)、及び成分4(ゼラチン)を、室温において適切な容器中で記載量で一緒にし、約30分間放置してゼラチンを完全に水和させた。
(b)泡立て器付きの適切な秤量装置を使用し、塊をほぼ5分間慎重に叩き込み/泡立て、上方に引き上げたときに、形状を維持するフォームの塊を得た(固い、しっかりしたピーク)。
(c)塊を撹拌し続けながら(水浴又は湯煎を使用)、フォームの中に適切な熱電対を使用して、塊を約80℃まで加熱した。
(d)成分5(ソルビトール)を表1における記載量で添加し、撹拌した。ソルビトールの吸熱性可溶化によって、フォームの塊をほぼ60℃まで冷かした。
(e)温度を60℃に設定/維持し(例えば、水浴/湯煎を使用)、フォームの塊をこの温度に保った。
(f)成分6(香味料)を表1における記載量で添加し、撹拌した。
(g)成分7(機能性エマルション)を表1における記載量で添加し、撹拌した。
フォームの塊は、著しい悪化がなしに、60℃において5時間まで維持できた。フォームの塊を金型に分配して、固くて弾力的な材料を形成するところで、冷却することもできる。
【0051】
抗菌効果のアッセイ:
実施例1における製剤の総質量は、279.5グラムであり、4グラムの機能性エマルション(1.4%)を含んだ。機能性エマルションは、油相中に10%遊離カプリル酸を含み、したがって実施例1の製剤中の遊離カプリル酸の濃度は、0.14%であった。
上記の材料及び方法の節に記載の抗菌アッセイは、以下の結果を与えた。
【0052】
実施例2-水中油型エマルションを機能性成分として使用する、卵白/ゼラチン/寒天製剤
この実施例において、ゼラチンと寒天との組み合わせを使用し、泡立てた卵白製剤の溶解性及び耐熱性を調節した。ゼラチンは、35℃の領域内の温度において融け始め、ゲル化剤としてゼラチンのみを有する最終製剤の安定性は、保存温度がゼラチンの融解温度(35℃)を超える場合、流動及び変形しやすい。寒天は、80℃で融け、45℃までの温度で液体のままである多糖ゲルである。寒天の独特のヒステリシスは、ゼラチンとの組み合わせにより、ゼラチンの低温可溶化性を失うことなく、製剤の熱安定性の改善に使用することができる。この実施例において、過乾燥を防ぐために、グリセロールを添加し、その湿潤効果により残留水を保持する。
【0053】
表2:実施例2の泡立てた卵白マトリックス製剤
【表2】
【0054】
以下のプロセスに従い、機能性エマルションを含む泡立てた卵白マトリックスを作製した。
(a)表2からの成分1(精製水)、成分2(クエン酸)、成分3(寒天)及び、成分4(ゼラチン)を、適切な容器中で記載量で一緒にし、約30分間放置して完全に水和させ、続いて混合物を約90℃に加熱した。温度は、塊中の熱電対を使用して確認した。
(b)別の容器中で、表2からの成分5(精製水)及び成分6(グリセロール)を適切な容器中で記載量で一緒にした。
(c)泡立て器付きの適切な秤量装置を使用し、表2からの成分7(20%卵白)の記載量を適切な容器中でほぼ5分間慎重に泡立て/叩き込み、上方に引き上げたときに、形状を維持するフォームの塊を得た(固い、しっかりしたピーク)。
(d)工程(a)からの混合物が90℃に到達し、寒天が融解したときに、工程(b)のグリセロール-水の混合物を添加し、混合するためによく撹拌した。温度がほぼ70℃に落ちると、工程(e)を直ちに行った。
(e)工程(c)からの混合物50グラムを工程(d)からの混合物に添加し、激しく撹拌した。そして、80℃を超える温度まで加熱しながら撹拌し続け、80℃を超えたときに、加熱を止め、及び/又は混合物を加熱から外した。
(f)表2からの成分8(香味料)を記載量で添加し、撹拌した。
(g)表2からの成分9(機能性エマルション)を記載量で添加し、撹拌した。
フォームの塊は、著しい悪化がなしに、60℃において5時間まで維持できた。フォームの塊を金型に分配して、固くて弾力的な材料を形成するところで、冷却することもできる。
【0055】
抗菌効果のアッセイ:
実施例2における製剤の総質量は、471.6グラムであり、10グラムの機能性エマルション(2.12%)を含んだ。機能性エマルション中のカプリル酸の濃度は10%であり、したがって製剤中の遊離カプリル酸の濃度は、0.17%であった。
上記の材料及び方法の節に記載の抗菌アッセイは、以下の結果を与えた。
【0056】
実施例3-卵白フォーム中に機能性エマルションの前駆物質を含む製剤の構築
この実施例において、Folan(米国特許出願第15/384,372号)に開示の機能性エマルションの前駆物質としてレシチン及びカプリル酸ナトリウムを含む泡立てた卵白フォームの組み合わせを構築した。有機酸を使用し、不活性な水溶性カプリル酸ナトリウムを活性な油溶性カプリル酸に変換する加熱段階の後、前駆物質をエマルションの活性型に変換した。機能性エマルションを別途構築する必要がないことは別として、卵白フォームを加熱する前に、前駆物質を卵白フォームに組み込むことにより、冷却後に機能性成分がフォーム-空気界面に濃縮されることをはるかに確実にする。完全に形成されたエマルションを別々に添加することは、油滴をフォーム泡の表面に濃縮させる相反発によって駆動される移動に依存する。
【0057】
表3:実施例3の泡立てた卵白マトリックス製剤
【表3】
【0058】
以下のプロセスに従い、機能性エマルションへの前駆物質を含む泡立てた卵白マトリックスを作製した。
(a)表3からの成分1(水)及び成分2(レシチン)を室温に適切な容器中で記載量で一緒にし、約10分間放置して水和させた。
(b)表3からの成分3(カプリル酸ナトリウム)を記載量で添加し、完全に可溶化するために十分な時間をかけてから、次の手順に進んだ。
(c)表3からの成分4(卵白粉末)を記載量で添加し、スパチュラを使用して完全に湿らせ、約30分間放置して完全に水和させた。
(d)別の容器中で、表3からの成分5(精製水)、成分6(寒天)、及び成分7(ゼラチン)を記載量で一緒にし、約30分間放置して完全に水和させ、続いて混合物を約90℃に加熱した。温度は、塊中の熱電対を使用して確認した。
(e)泡立て器付きの適切な秤量装置を使用して工程(d)の混合物を温度上げている間に、工程(c)からの完全に水和した組成物をほぼ5分間泡立て/叩き込み、上方に引き上げたときに、形状を保つフォームの塊を得た(成分10を形成する固い、しっかりしたピーク)。
(f)工程(d)からの混合物が90℃に到達し、寒天が融解したときに、別の容器中で、表3からの成分8(精製水)及び成分9(グリセロール)を記載量で一緒にし、工程(d)からの混合物に添加し、よく撹拌した。温度がほぼ70℃に落ちると、工程(g)を直ちに行った。
(g)加熱しながら、50グラムの工程(e)からの混合物(成分10)を工程(d)からの混合物に添加し、激しく撹拌した。そして、80℃を超える温度まで撹拌し続け、80℃を超えたときに、加熱を止め、及び/又は混合物を加熱から外した。
(h)表3からの成分11(香味料)を記載量で添加し、溶解させるために撹拌した。
(i)表3からの成分12(クエン酸粉末)を記載量で添加してよく撹拌し、溶解するために十分な時間放置して、pHを調べて、pHが5.0未満であることを確認した。
フォームの塊は、著しい悪化がなしに、60℃において5時間まで維持できた。フォームの塊を金型に分配して、固くて弾力的な材料を形成するところで、冷却することもできる。
【0059】
抗菌効果のアッセイ:
実施例3における製剤の総質量は、454.2グラムであり、50グラムの泡立てた卵白中に0.736グラムのカプリル酸ナトリウム(0.16%)を含んだ。カプリル酸ナトリウムの分子量は、166.19であり、カプリル酸の分子量は、144.21であり、換算(conversion factor)係数1.15、したがって酸性化について、カプリル酸ナトリウムの用量負荷のすべてを遊離カプリル酸に変換すると、製剤中の遊離カプリル酸の濃度は、0.14%となった。
上記の材料及び方法の節に記載の抗菌アッセイは、以下の結果を与えた。
【0060】
実施例4-卵白フォームを作り出す代替方法
適切な泡立て器が容易に利用できない状況では、過酸化水素及びカタラーゼ酵素を使用して、十分なタンパク質フォームを作ることができる。室温において完全に水和したゼラチンと、より一層濃縮された卵白タンパク質が必要である。過酸化水素は、8%、16%及び32%溶液として利用可能であるが、濃度が高くなると、ヒトの皮膚上に誤って飛散した場合、著しい化学熱傷の危険を引き起こす。最適量の過酸化水素は、溶液中の濃度と周囲温度によって異なる。カタラーゼ酵素は、商業的に利用可能であり、食品用途にも許可されている。卵白ゼラチンの塊全体に分散している、比較的に大量の酸素を産生する過酸化物の分解を活性化するために、極少量の該酵素が必要である。フォームを保つために、攪拌し続けることが必要であり、加熱調理は、過酸化反応が停止したら、すぐに開始すべきである。
【0061】
表4:実施例4の泡立てた卵白マトリックス製剤
【表4】
【0062】
以下のプロセスに従い、機能性エマルションを含む泡立てた卵白マトリックスを作製した。
(a)表4からの成分1(精製水)及び成分2(ゼラチン)を室温に適切な容器中で記載量で一緒にし、約30分間放置してゼラチンを完全に水和させた。
(b)40グラムの卵白を60グラムの水に添加し、スパチュラを使用して粉末を慎重に濡らせ、約30分間放置して粉末を完全に水和させることにより、成分3を調製した。
(c)工程(a)と(b)からの混合物を一緒にして共にブレンドした。
(d)表4からの成分4(過酸化水素)の記載量を工程(c)からの混合物に添加してよくブレンドし、続いて表4からの成分5(カタラーゼ)の記載量を添加してよくブレンドした。発泡反応は、1分以内に始まり、ほぼ5分間継続し、この間、フォームの塊を攪拌し続けた。
(e)撹拌し続けながら加熱を開始し、フォームにおいて適切な熱電対を使用し、フォームの塊を80℃に上げた。
(f)表4からの成分6(ソルビトール)の記載量を添加し、撹拌した。ソルビトールの吸熱性可溶化によって、フォームの塊をほぼ60℃に冷却した。
(g)フォームの塊の温度を60℃に設定/維持した(水浴/湯煎を使用)。
(h)表4からの成分7(香味料)の記載量を添加し、撹拌した。
フォームの塊は、著しい悪化がなしに、60℃において5時間まで維持できた。フォームの塊を金型に分配して、固くて弾力的な材料を形成するところで、冷却することもできる。
【0063】
抗菌効果のアッセイ:
実施例4における製剤の総質量は、263.7グラムであり、4グラムの機能性エマルション(1.5%)を含んだ。機能性エマルションは、油相中に10%遊離カプリル酸を含み、したがって実施例4の製剤中の遊離カプリル酸の濃度は、0.15%であった。
上記の材料及び方法の節に記載の抗菌アッセイは、以下の結果を与えた。
【0064】
実施例5 水中油型エマルションを機能性成分として使用する、卵白/ゼラチン/寒天/キレート剤製剤
ヘキサメタリン酸ナトリウムをキレート剤として、増加したクエン酸とともに組み込み、製剤の固有のアルカリ性を相殺することを例示で説明する。
表5:実施例5の泡立てた卵白マトリックス製剤
【表5】
【0065】
以下のプロセスに従い、機能性エマルションへの前駆物質を含む泡立てた卵白マトリックスを作製した。
(a)表5からの成分1(精製水)、成分2(クエン酸一水和物)、及び成分3(寒天)を室温に適切な容器中で記載量で一緒にし、約10分間放置して水和させ、続いて80℃に加熱した。温度は、塊中の熱電対を使用して確認した。
(b)別の容器中で、表5からの成分4(ゼラチン)及び成分5(ソルビトール)、成分3(カプリル酸ナトリウム)を記載量で一緒にし、乾燥粉末としてブレンドした。
(c)泡立て器付きの適切な秤量装置を使用し、表5からの成分6(20%卵白)の記載量を適切な容器中でほぼ5分間泡立て/叩き込み、上方に引き上げたときに、形状を保つフォームの塊を得た(固い、しっかりしたピーク)。
(d)工程(a)からの混合物が温度約80℃の温度に到達し、寒天が融解したときに、撹拌し続けながら、工程(b)からの粉末混合物を添加した。温度がほぼ60℃に落ちると、工程(e)を直ちに行った。
(e)工程(c)からの混合物45グラムを工程(d)からの混合物に添加し、激しく攪拌した。そして、80℃を超える温度まで加熱しながら撹拌し続け、80℃を超えたときに、加熱を止め、及び/又は混合物を加熱から外した。
(f)表5からの成分7(香味料)の記載量を添加して撹拌し、続いて表5からの成分8(ヘキサメタリン酸ナトリウム)の記載量を添加して撹拌し、表5からの成分9(機能性エマルション)の記載量を添加して撹拌した。pHが5.0未満であることを確認した。
フォームの塊は、著しい悪化がなしに、60℃において5時間まで維持できた。フォームの塊を金型に分配して、固くて弾力的な材料を形成するところで、冷却することもできる。
【0066】
他の実施形態において、必要である場合、ソルビトールの代わりに、等量のエリスリトール又は別のポリオールを使うことができる。
抗菌効果のアッセイ:
実施例5における製剤の総質量は、520.6グラムであり、10グラムの機能性エマルション(1.9%)を含んだ。
上記の材料及び方法の節に記載の抗菌アッセイを使用し、抗菌効果は、実施例2と同様、1分間の曝露後に、生存率において1.6対数減少した。
表6:抗菌効能のまとめ
【表6】
【0067】
実施例3を除き、実験誤差を許容した一方で、実施例1、2、及び4における対数減少のパーセンテージの差は、カプリル酸の含有量と多かれ少なかれ一致した。注目すべきは、実施例3は、実施例1と同様のカプリル酸の濃度を有し、34%超の効果を示した。説明に拘束されるのは望まないが、実施例1と比較して実施例3において効能が増加したのは、エマルションとして取り込まれたときのカプリル酸の液滴形態と比較して、カプリル酸のin situ形成のより微細な分散性により、泡立てた卵白の増幅された表面での利用可能な投与量及び放出が改善されたためであることを示唆している。
【0068】
実施例6:遊離脂肪酸の機能性エマルションと一緒にしたときのポリリン酸塩の相乗的な抗菌効果
キレート剤として使用されるポリリン酸塩の例としてヘキサメタリン酸塩を含むことは、ヘキサメタリン酸ナトリウム(「SHMP」又は「ナトリウムHMP」)を含む実施例5に示されている。実施例5における製剤の抗菌効果を評価したところ、機能性遊離脂肪酸のエマルションの組み合わせが、ヘキサメタリン酸塩と相乗的に作用していたことが予想外に見出された。
ミネラルキレート剤はすべて、特に、培地中のカルシウム、マグネシウム、亜鉛及び鉄などの必須ミネラルが限られている場合、細菌に増殖抑制効果を与え、必須ミネラルを封鎖することにより該効果を達成する。キレート剤によるこの増殖抑制効果は、必須ミネラルを増殖培地に補充することにより容易に解消する。
【0069】
米国特許出願第15/384,372号に開示されている遊離脂肪酸の機能性エマルションは、本願実施例1~5に示されている強力な抗菌効果を発揮するであろう。機能性エマルションは、ポリリン酸塩の増殖抑制効果を増大し、ヘキサメタリン酸塩の効果を抑制するカルシウムを補充した場合でも、増殖抑制効果を増大することが予想外に見出された。
機能性エマルションとヘキサメタリン酸塩との組み合わせの相乗効果を示すために、それらの最小発育阻止濃度での製剤及びそれらの最小発育阻止濃度未満の製剤の両方を構築し、続いて両製剤を一緒にし、相加効果(additive)と予想され得るものよりも大きな効果の増大を測定することが必要である。
この実施例において、油相中の2%W/Wの混合カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(capric/Caprylic tri-glyceride)(IOI Oleo製のミグリオール812N、ドイツ)及び8%W/Wのカプリル酸を使用し、1.56%W/Wのレシチン及び0.15%Tween80を補助界面活性剤として使用し、米国特許出願第15/384,372に開示されている手順を使用して、機能性エマルションの製剤を構築した。
【0070】
方法に記載のように、被験生物は、スタフィロコッカス・アウレウスNCTC8325-4であり、フラスコ培養は、250mL三角フラスコ中の100mLのルリア-ベルターニ培地(LBブロス)であった。LBブロス中のミネラル含有量がより明確で制限されているため、ブレインハートインフュージョン培地(brain Heart Infusion)の代わりにLBブロスを使用した。
標準的な接種菌液(inoculum)を、方法の節に記載のように増殖させ、滅菌生理食塩水で希釈することにより1×106の生菌数に調整した。0.1mLのこの希釈液を使用し、100mL体積の被験培地を無菌的に接種した(試験フラスコ中に、1×103の接種菌液)。
機能性エマルションの希釈を徐々に増加していくLB寒天プレートに被験生物で画線し、37℃において24時間培養後の、増殖を視覚的に評価する寒天希釈法を使用して、機能性エマルションの最小発育阻止濃度を決定した。
結果を表7に示す。
0.5%でも若干の増殖を検出したため、最小発育阻止濃度濃度は、0.5%を超えると考えることができる。0.375の濃度は、増殖に対する抑制効果がなく、ヘキサメタリン酸塩と組み合わせて更に研究するためにこの濃度を選択した。
【0071】
表7:スタフィロコッカス・アウレウスNCTC8325-4への、機能性エマルションの最小発育阻止濃度
【表7】
【0072】
ヘキサメタリン酸塩の最小発育阻止効果(Minimum Inhibitory effect)を決定するために、100mLのLBブロスを入れた一連のフラスコのそれぞれに0%W/W~1%W/Wの濃度範囲のヘキサメタリン酸塩を補充し、1×103の生菌数を得るように各フラスコに標準的な接種菌液を接種し、ロータリーインキュベーターにおいて、フラスコを37℃において24時間培養し、24時間培養した時点での増殖を視覚的に評価した。以下の表8の第1行に示されているように、増殖は、ヘキサメタリン酸塩の濃度がゼロであったフラスコのみにおいて明らかであり、0.05%以上のすべての濃度において、増殖は明らかに抑制された。
視覚的な評価の後、0.5%滅菌塩化カルシウムを全フラスコに添加し、更なる24時間の培養を続けた。塩化カルシウム添加の24時間後、視覚的な試験により、0.27%以下のヘキサメタリン酸塩の全フラスコ中で、十分な増殖が確認された。0.5%以上のへキサメタリン酸塩濃度のヘキサメタリン酸塩では、抑制されたままであった。このデータより、少なくとも0.5%の塩化カルシウムを培地に補充(この場合、増殖に対する抑制効果がない)しない限り、0.27%のヘキサメタリン酸塩は、増殖を抑制することが理解できる。
【0073】
表8:液体培養物におけるスタフィロコッカス・アウレウスの増殖に対するヘキサメタリン酸ナトリウムの効果
【表8】
【0074】
しかしながら、培地に0.375%機能性エマルション(機能性エマルション自体では、増殖抑制効果を有しない濃度)を更に補充すると、十分な増殖抑制が回復する。
機能性エマルション(水中に微細に分散しているカプリル酸の油滴からなり、精製された両親媒性レシチン及び任意の他の成分、例えば、補助界面活性剤で安定させた水中油型エマルション(本明細書において、以下、「ML:8」と表される))を補充したときの相乗効果を以下の表9に表されているデータで例示する。
【0075】
表9:ML:8ヘキサメタリン酸塩の相乗作用
【表9】
【0076】
表9における第1行は、ルリア-ベルターニ(LB)ブロスと標準的な接種菌液とを含む対照フラスコであり、最終的なプレート計数は、1mL当たり109超の生菌数を有する十分な増殖を示す。
表9における第2行は、0.375%機能性エマルションを補充した、同じ接種菌液を含む同じLBブロスであり、12時間及び24時間で健康的な増殖があり、最終的なプレート計数は、対照と比較して、わずか1対数少ないの生菌数を示す(1の対数減少)。
表9における第3行は、塩化カルシウムに関する対照であり、この補充が、増殖に影響を与えず、最終的なプレート計数が対照と同様であることを示す。
表9における第4行は、0.27%のヘキサメタリン酸塩が増殖を完全に抑制し、残存生存率が2×102であったことを示す。これは、本質的には、抑制されても生存可能なままである接種菌液の菌(inoculum)である(静菌効果であり、殺菌効果ではない。)。
表9における第5行は、第4行と同様、0.5%塩化カルシウムを補充したものであり、ヘキサメタリン酸塩の抑制効果が完全に逆転し、行の対照と同様の最終生存率を有する。
表9における第6行は、第2行と同様、0.5%塩化カルシウムを補充したものであり、最終生存率は、第2行と同様に1の対数減少した。塩化カルシウムの添加は、この実施例において使用された濃度の機能性エマルションによる効果を増大又は抑制する。
表9における第7行は、第2行(抑制なし)と第5行(抑制なし)との組み合わせであり、わずか2×102の残存生存率を有する十分な抑制を示す。これは、試験手順を通じて、生存可能なままである抑制された接種菌液の菌である。
【0077】
ヘキサメタリン酸ナトリウムは、過剰なカルシウムの条件下で、微生物増殖に対する抑制効果を有しないと結論付けることができる。同様に、0.375%機能性エマルションは、同様の条件下で、微生物増殖に対する抑制効果を有しない。両成分(機能性エマルション及びヘキサメタリン酸塩)は、過剰なカルシウムの条件下で、組み合わせることにより、相乗的に作用して微生物の増殖を完全に抑制する。
同様の相乗効果は、他のポリリン酸塩を使用して示すことができ、該他のポリリン酸塩としては、オルトリン酸二ナトリウム、ウリジン一リン酸及びフィチン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。表8におけるデータを生成するために記載されている手順を使用し、0.5%塩化カルシウムと併用した場合のオルトリン酸二ナトリウムの臨界値(0.75%)、及び0.5%塩化カルシウムと併用した場合のフィチン酸ナトリウムの臨界値(0.2%)を特定した。ウリジン一リン酸が1%では決定的ではないことは、そのキレート性が強固ではないことを示唆している。
同様の手順を使用して、0.5%塩化カルシウムと併用した場合の、クエン酸三ナトリウム及びエチレンジアミン四酢酸を含む非リン酸塩キレート剤の臨界値については、それぞれ0.5%及び0.25%であった。
【0078】
多くのキレート剤のイオン結合性はpHに依存し、特にpH6.0未満で解離する有機酸塩であるクエン酸三ナトリウムに留意されたい。
当業者は、この実施例において提供されているキレート剤/塩化カルシウム/機能性エマルションの比が、比較測定によって相乗効果を説明するための最も適切なものとして選択されていることを理解するであろう。過剰ないずれかの成分により相乗効果の測定が妨げられる可能性があるものの、同じ相乗効果は、同じ成分のすべての組み合わせにおいて明白である。
【0079】
実施例7 卵白フォーム中に機能性エマルションの前駆物質を含む別の製剤
泡立てた卵白マトリックスの例示的な製剤は、表10に開示されている組成を有する。
表10:実施例7の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表10】
実施形態において、糖は、サッカリンである。
実施形態において、香味料は、バニリンである。
実施形態において、機能性成分は、ナトリウムHMPである。
【0080】
ある実施形態において、送達システムは、表11に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表11:泡立てた卵白マトリックス製剤
【表11】
【0081】
ある実施形態において、送達システムは、表12に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表12:泡立てた卵白マトリックス製剤
【表12】
【0082】
実施例8 卵白フォーム中に機能性エマルションの前駆物質を含む別の代替製剤
泡立てた卵白マトリックスの例示的な製剤は、表13に開示されている組成を有する。
表13:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表13】
【0083】
実施形態において、糖は、サッカリンである。
実施形態において、香味料は、バニリンである。
実施形態において、機能性成分は、ナトリウムHMPである。他の実施形態において、機能性エマルション以外の機能性成分は添加されない。
実施形態において、機能性エマルションは、水中に微細に分散しているカプリル酸の油滴からなり、精製された両親媒性レシチン及び任意の他の成分、例えば、補助界面活性剤で安定させた水中油型エマルション(本明細書において、以下、「ML:8」と表される)である。別の実施形態において、カプリル酸ナトリウム、レシチン、リポイドS75、及び水を含む前駆物質の混合物(本明細書において、以下、「ML:8前駆物質」と表される)として機能性エマルションを添加し、有機酸を使用して、不活性な水溶性カプリル酸ナトリウムを活性な油溶性カプリル酸に変換する加熱段階の後、該機能性エマルションをエマルションの活性型に変換する。
【0084】
ある実施形態において、送達システムは、表14に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表14:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表14】
【0085】
ある実施形態において、送達システムは、表15に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表15:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表15】
【0086】
ある実施形態において、送達システムは、表16に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表16:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表16】
【0087】
ある実施形態において、送達システムは、表17に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表17:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表17】
【0088】
ある実施形態において、送達システムは、表18に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表18:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表18】
【0089】
ある実施形態において、送達システムは、表19に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表19:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表19】
【0090】
ある実施形態において、送達システムは、表20に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表20:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表20】
【0091】
ある実施形態において、送達システムは、表21に開示されている卵白マトリックス製剤を含む。
表21:実施例8の例示的な泡立てた卵白マトリックス製剤
【表21】
【国際調査報告】