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特表2023-511933シェード伸長制御が改善された電位駆動シェード及び/又は関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】シェード伸長制御が改善された電位駆動シェード及び/又は関連方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/66 20060101AFI20230315BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
E06B3/66 E
E06B9/24 C
E06B9/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544755
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2021050867
(87)【国際公開番号】W WO2021156761
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】16/779,990
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】グー ヤベイ
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA02
2E016EA05
(57)【要約】
特定の例示的実施形態は、絶縁ガラス(IG)ユニットと共に使用可能な電位駆動シェード、そのようなシェードを含むIGユニット、及び/又は関連する方法に関する。このようなユニットでは、動的シェードは、IGユニットを画定する基板間に配置され、後退位置と伸長位置との間で移動可能である。動的シェードは、透明導体、絶縁体膜又は誘電体膜、及びシャッタを含むガラス上の層を含む。シャッタは、弾性ポリマー、導体、及び任意選択のインクを含む。シャッタは、下部ストッパに近接する領域に導入される導電率差により、制御された方法で下部ストッパに向かって伸長する。この導電率差は、シャッタ伸長速度を変更するために使用できる方法で、その領域における静電力に影響を与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガラス(IG)ユニットであって、
それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基板及び第2の基板であって、前記第1の基板の前記内部主表面は、前記第2の基板の前記内部主表面に面している、第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板を互いに離隔した関係に維持し、またそれらの間に隙間を画定するのに役立つスペーサシステムと、
少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板の間に介在する動的に制御可能なシェードとを備え、前記動的に制御可能なシェードは、
前記第1の基板の前記内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと
前記第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜と、
第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタであって、前記ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含み、
前記第1の導電性コーティング及び/又は前記第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、前記電源は、電位差を形成し、静電力を生成して前記ポリマー基板を前記シャッタ閉位置に駆動するように制御可能であり、
前記シャッタ閉位置に近接する領域で生成される前記静電力は、前記シャッタ閉位置から離れた領域で生成される前記静電力よりも低い、絶縁ガラス(IG)ユニット。
【請求項2】
前記ポリマー基板が前記シャッタ閉位置に近づくにつれて、前記ポリマー基板の伸長を遅くするために、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域で生成される前記静電力は、前記シャッタ閉位置から離れた前記領域で生成される前記静電力よりも低い、請求項1に記載のIGユニット。
【請求項3】
前記シャッタ閉位置に近接するストッパを更に含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項4】
前記ポリマー基板は、前記ストッパに接触するように伸長可能であり、
前記ポリマー基板の伸長は、前記ポリマー基板が前記ストッパに接触したときに、人間が知覚できるカチカチの発生を回避するのに十分な速度まで減速される、請求項3に記載のIGユニット。
【請求項5】
前記第1の導電性コーティングは、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域には設けられていない、請求項1~4のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項6】
前記シャッタ閉位置に近接する前記領域において、前記第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた追加の誘電体膜を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項7】
複数の導電性領域が、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域に設けられており、前記導電性領域は、互いに離隔している、請求項1~6のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項8】
前記導電性領域は、前記IGユニットの上部から前記IGユニットの下部に向かって減少するそれぞれの表面積を有する、請求項7に記載のIGユニット。
【請求項9】
隣接する導電性領域間の間隔は、前記IGユニットの上部から前記IGユニットの下部に向かって増加する、請求項7~8のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項10】
前記導電性領域及び前記第1の導電性コーティングは、前記電源に直列に電気的に接続されている、請求項7~9のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項11】
動的に制御可能なシェードであって、
基板の主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、
前記第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜と、
第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタであって、前記ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含み、
前記第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、前記電源は、電位差を形成し、静電力を生成して前記ポリマー基板を前記シャッタ閉位置に駆動するように制御可能であり、
前記シャッタ閉位置に近接する領域で生成される前記静電力は、前記シャッタ閉位置から離れた領域で生成される前記静電力よりも低い、動的に制御可能なシェード。
【請求項12】
前記ポリマー基板が前記シャッタ閉位置に近づくにつれて、前記ポリマー基板の伸長を遅くするために、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域で生成される前記静電力は、前記シャッタ閉位置から離れた前記領域で生成される前記静電力よりも低い、請求項11に記載の基板。
【請求項13】
前記シャッタ閉位置に近接するストッパを更に含み、
前記ポリマー基板は、前記ストッパに接触するように伸長可能であり、
前記ポリマー基板の伸長は、前記ポリマー基板が前記ストッパに接触したときに、人間が知覚できるカチカチの発生を回避するのに十分な速度まで減速される、請求項11~12のいずれか一項に記載の基板。
【請求項14】
前記第1の導電性コーティングは、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域には設けられていない、請求項11~13のいずれか一項に記載の基板。
【請求項15】
前記シャッタ閉位置に近接する前記領域において、前記第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた追加の誘電体膜を更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の基板。
【請求項16】
複数の導電性領域が、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域に設けられており、前記導電性領域は、互いに離隔している、請求項11~15のいずれか一項に記載の基板。
【請求項17】
絶縁ガラス(IG)窓ユニットの製造方法であって、
それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基板及び第2の基板を有することであって、前記第1の基板の前記内部主表面は、前記第2の基板の前記内部主表面に面している、ことと、
前記第1の基板及び/又は前記第2の基板上に動的に制御可能なシェードを設けることであって、前記動的に制御可能なシェードは、
前記第1の基板の前記内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、
前記第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜と、
第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタであって、前記ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である、シャッタとを含む、ことと、
前記第1の基板及び前記第2の基板を実質的に平行に離隔した関係で互いに接続して、それらの間に隙間が画定され、前記動的に制御可能なシェードが少なくとも部分的に前記隙間内に位置するようにすることと、を含み、
前記第1の導電性コーティング及び/又は前記第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、前記電源は、電位差を形成し、静電力を生成して前記ポリマー基板を前記シャッタ閉位置に駆動するように制御可能であり、
前記シャッタ閉位置に近接する領域で生成される前記静電力は、前記シャッタ閉位置から離れた領域で生成される前記静電力よりも低い、方法。
【請求項18】
前記ポリマー基板が前記シャッタ閉位置に近づくにつれて、前記ポリマー基板の伸長を遅くするために、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域で生成される前記静電力は、前記シャッタ閉位置から離れた前記領域で生成される前記静電力よりも低い、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シャッタ閉位置に近接してストッパを設けることを更に含み、
前記ポリマー基板は、前記ストッパに接触するように伸長可能であり、
前記ポリマー基板の伸長は、前記ポリマー基板が前記ストッパに接触したときに、人間が知覚できるカチカチの発生を回避するのに十分な速度まで減速される、請求項17~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の導電性コーティングは、少なくとも最初に前記第1の基板の実質的に全体にわたって設けられ、前記方法は、
前記シャッタ閉位置に近接する前記領域から少なくとも前記第1の導電性コーティングを除去することを更に含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記シャッタ閉位置に近接する前記領域において、前記第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に追加の誘電体膜又は絶縁体膜を設けることを更に含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
複数の導電性領域が、前記シャッタ閉位置に近接する前記領域に設けられており、前記導電性領域は、互いに離隔している、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記導電性領域は、前記IGユニットの上部から前記IGユニットの下部に向かって減少するそれぞれの表面積を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
隣接する導電性領域間の間隔は、前記IGユニットの上部から前記IGユニットの下部に向かって増加する、請求項22~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
絶縁ガラス(IG)ユニット内の動的シェードを操作する方法であって、
請求項17~24のいずれか一項に記載の方法に従って製造されたIGユニットを有することと、
前記電源を選択的に起動して、前記ポリマー基板を前記シャッタ開位置とシャッタ閉位置との間で移動させることとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の例示的な実施形態は、絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)と共に使用され得るシェード、そのようなシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的な実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、そのようなシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築部門は、エネルギー消費が高いことで知られており、世界の一次エネルギー消費量の30~40%を占めることが示されている。暖房、冷房、換気、及び照明などの運用コストが、この消費の大部分を占めており、特に、エネルギー効率があまり厳しくない建設基準で建設された古い構造物ではその傾向が強い。
【0003】
窓は、例えば、自然光、新鮮な空気、アクセス、及び外部世界への接続を提供する。しかしながら、それらはしばしば、無駄なエネルギーの重要な源でもある。建築用窓の使用が増える傾向に伴い、エネルギー効率と人間の快適さという相反する利益のバランスを取ることがますます重要になっている。更に、地球温暖化及び二酸化炭素排出量への懸念が、新規なエネルギー効率の高いグレージングシステムの推進力になっている。
【0004】
この点に関して、窓は通常、建物の隔離における「弱いリンク」であるため、ガラスファサード全体を含むことが多い現代の建築設計を考慮すると、エネルギー浪費を制御及び低減するという点で、より優れた断熱窓を持つことが有利であることが明らかになる。したがって、断熱性の高い窓を開発することには、環境的にも経済的にも大きな利点がある。
【発明の概要】
【0005】
絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)が開発され、建物及び他の構造物の断熱性が向上しており、図1は、例示的なIGユニットの断面概略図である。図1の例示的なIGユニットでは、第1の基板及び第2の基板102、104は、実質的に平行であり、互いに離隔している。スペーサシステム106は、第1の基板102及び第2の基板104の周囲に設けられ、それらを互いに実質的に平行に離隔した関係に維持し、それらの間に間隙又はスペース108を画定するのに役立つ。間隙108は、例えば、IGユニット全体の絶縁特性を改善するために、場合によっては不活性ガス(例えば、Ar、Kr、Xeなど)で少なくとも部分的に充填されてもよい。場合によっては、スペーサシステム106に加えて、任意選択の外側シールを設けてもよい。
【0006】
窓は、冬の太陽光取得及び一年中の昼光の形で建物にエネルギーを「供給する」能力を有するという点で、ほとんどの建物においてユニークな要素である。しかしながら、現在の窓技術は、冬には過度の暖房コスト、夏には過度の冷房につながることが多く、また、全国の市販品の多くで照明を暗くしたりオフにしたりすることを可能にする日光の利点を利用できないことが多い。
【0007】
薄膜技術は、窓性能を改善する1つの有望な方法である。薄膜は、例えば、製造中にガラス上に直接適用することができ、また、対応するより低いコストで既に既存の窓に後付けすることができるポリマーウェブ上に適用することができる。また、過去20年間にわたって、主に静的又は「受動的」低放射率(低E)コーティングの使用を通じて窓のU値を下げ、スペクトル選択的低Eコーティングの使用を通じて日射熱取得率(solar heat gain coefficient、SHGC)を減少させることによって進歩が見られた。低Eコーティングは、例えば、図1に示され、図1に関連して記載されているものなどのIGユニットと関連して使用されてもよい。しかしながら、更なる強化がまだ可能である。
【0008】
例えば、建物などに改善された断熱性を提供するという要望を考慮に入れ、太陽の能力を利用してその内部にエネルギーを「供給」し、また、より「オンデマンド」の方法でプライバシーを提供する、より動的なIGユニットオプションを提供することが望ましいことが理解されるであろう。このような製品はまた、審美的に美しい外観を有することが望ましいことが理解されるであろう。
【0009】
特定の例示的な実施形態は、これら及び/又は他の懸念に対処する。例えば、本発明の特定の例示的な実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、そのようなシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。
【0010】
特定の例示的な実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットが提供される。IGユニットは、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基板及び第2の基板を含み、第1の基板の内部主表面は、第2の基板の内部主表面に面している。スペーサシステムは、第1の基板及び第2の基板を互いに実質的に平行に離隔した関係に維持し、それらの間に間隙を画定するのに役立つ。動的に制御可能なシェードは、第1の基板と第2の基板との間に介在する。シェードは、第1の基板の内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタとを含み、ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、この電源は、電位差を形成し、静電力を生成してポリマー基板をシャッタ閉位置に駆動するように制御可能である。シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0011】
特定の例示的な実施形態では、上に動的に制御可能なシェードが設けられたガラス基板が提供される。シェードは、基板の内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタとを含み、ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、この電源は、電位差を形成し、静電力を生成してポリマー基板をシャッタ閉位置に駆動するように制御可能である。シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0012】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法が提供される。この方法は、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基板及び第2の基板を有することであって、第1の基板の内部主表面は、第2の基板の内部主表面に面している、ことと、第1の基板及び/又は第2の基板上に動的に制御可能なシェードを設けることとを含む。シェードは、第1の基板の内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタとを含み、ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である。この方法は、第1の基板及び第2の基板を実質的に平行に離隔した関係で互いに接続して、それらの間に隙間が画定され、動的に制御可能なシェードが隙間内に位置するようにすることを更に含む。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、この電源は、電位差を形成し、静電力を生成してポリマー基板をシャッタ閉位置に駆動するように制御可能である。シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0013】
特定の例示的な実施形態では、ポリマー基板がシャッタ閉位置に近づくにつれて、ポリマー基板の伸長を遅くするために、シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0014】
ストッパは、シャッタ閉位置に近接して配置されてもよい。ストッパが設けられている特定の例示的な実施形態では、ポリマー基板は、ストッパに接触するように伸長可能であり、ポリマー基板の伸長は、ポリマー基板がストッパに接触したときに、人間が知覚できる(例えば、可聴の)カチカチ(音)の発生を回避するのに十分な速度まで減速されてもよい。
【0015】
特定の例示的な実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニット内の動的シェードを操作する方法が提供される。この方法は、本明細書に開示された技術に従って製造されたIGユニットを有することと、電源を選択的に起動して、ポリマー基板をシャッタ開位置とシャッタ閉位置との間で移動させることとを含む。
【0016】
本明細書に記載の特徴、態様、利点、及び例示的な実施形態は、更なる実施形態を実現するために組み合わされてもよい。
【0017】
これら及び他の特徴及び利点は、図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良く、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】例示的な絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)の断面概略図である。
【0019】
図2】特定の例示的な実施形態に関連して使用され得る、電位駆動シェードを組み込んだ例示的なIGUの断面概略図である。
【0020】
図3】特定の例示的な実施形態による、シャッタ動作を可能にする、図2の例示的なIGUからの例示的なガラス上構成要素を示す断面図である。
【0021】
図4】特定の例示的な実施形態による、図2の例示的なIGUからの例示的なシャッタの断面図である。
【0022】
図5】特定の例示的な実施形態による、導電率差を促進する領域と共に、図2の例示的なIGUからのガラス上構成要素を組み込んだ基板を示す平面図である。
【0023】
図6A】特定の例示的な実施形態による、導電率差を促進する第1の例示的な領域を通して取られた図5の断面図である。
【0024】
図6B】特定の例示的な実施形態による、ガラス上構成要素とシャッタ上構成要素との間の導電率差を促進する第2の例示的な領域を通して取られた図5の断面図である。
【0025】
図7】特定の例示的な実施形態による、導電率差を促進する第3の例示的な領域の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の特定の例示的な実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、そのようなシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。ここでより詳細に図面を参照すると、図2は、特定の例示的な実施形態に関連して使用され得る電位駆動シェードを組み込んだ例示的な絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)の断面概略図である。より具体的には、図2は、第1及び第2の実質的に平行に離隔したガラス基板102及び104が、スペーサシステム106を使用して互いに分離され、それらの間に間隙108が画定されるという点で、図1と同様である。第1及び第2の電位駆動シェード202a及び202bは、それぞれ第1の基板及び第2の基板102、104の内部主表面に近接して間隙108内に設けられる。以下に提供される説明から明確になるように、シェード202a及び202bは、シェード202a及び202bと、基板102及び104の内面上に形成された導電性コーティングとの間に電位差を形成することによって制御される。また、以下に提供される説明から明確になるように、シェード202a及び202bのそれぞれは、導電性コーティング(例えば、Al、Cr、ITOなどを含む層を含むコーティング)でコーティングされたポリマー膜を使用して作製され得る。アルミニウムでコーティングされたシェードは、可視光の部分-完全反射、及び最大でかなりの量の総太陽エネルギーを提供することができる。
【0027】
シェード202a及び202bは通常、引き込まれている(例えば、巻き上げられている)が、例えば「従来の」ブラインドのように基板102及び104の少なくとも一部を覆うために、適切な電圧が印加されると急速に伸長する(例えば、展開する)。巻き上げられたシェードは、直径が非常に小さい場合があり、通常、第1の基板102と第2の基板104との間の間隙108の幅よりもはるかに小さく、したがって、それらの間で機能することができ、巻き上げられたときに本質的に視界から隠され得る。展開されたシェード202a及び202bは、隣接する基板102及び104に強く付着する。
【0028】
シェード202a及び202bは、基板102及び104の可視又は「フレーム」領域の垂直長さのすべて又は一部に沿って、後退構成から伸長構成まで延びる。後退構成では、シェード202a及び202bは、フレーム領域を通る放射線透過を実質的に可能にする第1の表面積を有する。伸長構成では、シェード202a及び202bは、フレーム領域を通る放射線透過を実質的に制御する第2の表面積を有する。シェード202a及び202bは、それらが取り付けられている基板102及び104のフレーム領域の水平幅のすべて又は一部にわたって延びる幅を有してもよい。
【0029】
シェード202a及び202bのそれぞれは、第1の基板102と第2の基板104との間に配置され、好ましくは、それぞれは、1つの端部で、その上部付近のその内面(又はその上に配置された誘電体若しくは他の層)に取り付けられる。この点に関して、接着剤層を使用してもよい。図2では、シェード202及び204は部分的に展開された(部分的に伸長された)状態で示されている。シェード202a及び202b並びに任意の接着層又は他の取り付け構造は、好ましくは、シェード202a及び202bが少なくとも部分的に展開されたときにのみ見えるように、視界から隠される。
【0030】
完全に巻き上げられたシェードの直径は、好ましくは約1~5mmであるが、特定の例示的な実施形態では5mmより大きくてもよい。好ましくは、巻き上げられたシェードの直径は、迅速且つ繰り返し行われる展開及び巻き上げ操作を容易にするために、典型的には約10~15mmである間隙108の幅以下である。図2の例には2つのシェード202a及び202bが示されているが、特定の例示的な実施形態では1つのシェードのみが提供されてもよく、また、1つのシェードが内側基板102又は外側基板104のいずれかの内面上に設けられてもよいことも理解されるであろう。2つのシェードがある例示的な実施形態では、その組み合わせ直径は、例えば、両方のシェードの展開及び巻き上げ操作を容易にするために、好ましくは、間隙108の幅以下である。
【0031】
シェード202a及び202bを駆動するのに役立つ電子コントローラが提供されてもよい。電子コントローラは、例えば、適切なリード線などを介して、シェード202a及び202b並びに基板102及び104に電気的に接続されてもよい。リード線は、組み立てられたIGユニットを通して見えなくなる可能性がある。電子コントローラは、シェード202a及び202bに出力電圧を供給するように構成される。特定の例示的な実施形態では、シェード202a及び202bを駆動するために約100~500V DCの範囲の出力電圧を使用することができる。この点に関して、外部AC又はDC電源、DC電池などを使用することができる。例えば、製造パラメータ、並びにシェード202a及び202b、基板102及び104上の層などを構成する材料に応じて、より高い又はより低い出力電圧が供給され得ることが理解されるであろう。
【0032】
コントローラは、例えば、シェード202a及び202bを後退又は伸長させるべきか否かを示すために、手動スイッチ、遠隔(例えば、無線)制御装置、又は他の入力装置に結合されてもよい。特定の例示的な実施形態では、電子コントローラは、制御信号を受信及び復号するための命令を記憶するメモリに動作可能に結合されたプロセッサを含んでもよく、次に、シェード202a及び202bの伸長及び/又は後退を制御するために、制御信号により、電圧が選択的に印加される。他の機能を実現できるように、更なる命令を提供してもよい。例えば、シェード202a及び202bがユーザ指定又は他の時間に伸長及び後退するようにプログラムされ得るように、タイマーを提供することができ、ユーザ指定の屋内及び/又は屋外温度に達した場合に、シェード202a及び202bが伸長及び後退するようにプログラムされ得るように、温度センサを提供することができ、シェード202a及び202bが構造物の外側の光の量などに基づいて伸長及び後退するようにプログラムされ得るように、光センサを提供することができる。
【0033】
上記のように、2つのシェード202a及び202bが図2に示されているが、特定の例示的な実施形態は、単一のシェードのみを組み込んでもよい。更に、上記のように、そのようなシェードは、実質的にIGユニット全体に沿って、又はそれにわたって垂直方向及び水平方向に伸長するように設計されてもよく、異なる例示的な実施形態は、それらが配置されているIGユニットの一部のみを覆うシェードを含んでもよい。そのような場合、より選択可能なカバレッジを提供し、組子バーのような内部構造又は外部構造を考慮し、プランテーションシャッタをシミュレートするなどのために、複数のシェードを提供することができる。
【0034】
特定の例示的な実施形態では、シェードがその全長にわたって展開するのを防ぐのを助けるために、IGUの底部に、例えばその幅に沿ってロック拘束装置を配置することができる。ロック拘束装置は、金属などの導電性材料から作製されてもよい。ロック拘束装置はまた、例えば、ポリプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低散逸率ポリマーでコーティングされてもよい。
【0035】
ここで、図3図4に関連してシェード202a及び202bの操作の例示的な詳細を提供する。より具体的には、図3は、特定の例示的な実施形態による、シャッタ動作を可能にする、図2の例示的なIGUからの例示的な「ガラス上」構成要素を示す断面図であり、図4は、特定の例示的な実施形態による、図2の例示的なIGUからの例示的なシャッタの断面図である。図3は、図2の基板102及び104のいずれか又は両方に使用され得るガラス基板302を示す。ガラス基板302は、ガラス上構成要素304及びシャッタ312を支持する。特定の例示的な実施形態では、巻かれていない場合に、導体404は、インク層406よりも基板302に近い可能性がある。他の例示的な実施形態では、例えば、巻かれていない場合に、導体404がインク層406よりも基板302から遠くなることができるように、この配置を逆にすることができる。
【0036】
ガラス上構成要素304は、透明な低ヘイズ接着剤310などを介して基板302に接着され得る誘電体材料308と共に、透明導体306を含む。これらの材料は、好ましくは実質的に透明である。特定の例示的な実施形態では、透明導体306は、端子を介してコントローラへのリード線に電気的に接続される。特定の例示的な実施形態では、透明導体306は、コンデンサの固定電極として機能し、誘電体材料308は、このコンデンサの誘電体として機能する。
【0037】
透明導体306は、例えば、ITO、酸化スズ(例えば、SnO2又は他の適切な化学量論組成)などの任意の適切な材料から形成されてもよい。特定の例示的な実施形態では、透明導体306の厚さは、10~500nmであってもよい。特定の例示的な実施形態では、誘電体材料308は、低散逸率ポリマーであってもよい。適切な材料としては、例えば、ポリプロピレン、FEP、PTFE、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。特定の例示的な実施形態では、誘電体材料308は、4~25ミクロンの厚さを有してもよい。誘電体材料308の厚さは、(例えば、より薄い誘電体層は通常、信頼性を低下させるが、より厚い誘電体層は通常、動作目的のために高い印加電圧を必要とするため)、シェードの信頼性と電圧の量とのバランスをとるように選択されてもよい。
【0038】
知られているように、多くの低放射率(低E)コーティングは導電性である。したがって、特定の例示的な実施形態では、透明導体306の代わりに低Eコーティングを使用することができる。低Eコーティングは、銀ベースの低Eコーティングであってもよく、例えば、Agを含む1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の層が誘電体層の間に挟まれてもよい。そのような場合、接着剤310の必要性が低減されるか、又は完全に排除され得る。
【0039】
シャッタ312は、弾性層402を含んでもよい。特定の例示的な実施形態では、導体404は、弾性層402の一方の面で使用されてもよく、装飾インク406は、任意選択で、他方の面に塗布されてもよい。特定の例示的な実施形態では、導体404は透明であってもよく、示されるように、装飾インク406は任意である。特定の例示的な実施形態では、導体404及び/又は装飾インク406は、半透明であってもよく、又は他の方法で、シャッタ312に色又は美的特徴を付与することができる。特定の例示的な実施形態では、弾性層402は、例えば、PEN、PET、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの収縮性ポリマーから形成されてもよい。特定の例示的な実施形態では、弾性層402の厚さは、1~25ミクロン厚であってもよい。導体404は、異なる例示的な実施形態において導体306に使用されるものと同じ又は異なる材料から形成されてもよい。例えば、金属又は金属酸化物材料を使用することができる。特定の例示的な実施形態では、例えばITO、Al、Ni、NiCr、酸化スズなどを含む層を含む厚さ10~50nmの材料を使用することができる。特定の例示的な実施形態では、導体404の抵抗は、40~200オーム/平方の範囲であってもよい。
【0040】
装飾インク406は、所望の可視色及び/又は赤外線を選択的に反射及び/又は吸収する顔料、粒子、及び/又は他の材料を含んでもよい。
【0041】
図2が示すように、シェード202a及び202bは、通常、螺旋状ロールとして巻かれ、螺旋の外端は、接着剤によって基板102及び104(例えば、又はその上の誘電体)に固定される。導体404は、端子を介してリード線などに電気的に接続されてもよく、また、導体306を固定電極として、誘電体308を誘電体として有するコンデンサの可変電極として機能してもよい。
【0042】
可変電極と固定電極との間に電気駆動が提供される場合、例えば、シャッタ312の導体404と基板302上の導体306との間に電圧又は電流の電気駆動が印加されると、シャッタ312は、2つの電極間の電位差によって生成される静電力によって基板302に向かって引っ張られる。可変電極を引っ張ると、コイル状シェードが展開する。可変電極上の静電力により、シャッタ312は基板302の固定電極に対して確実に保持される。結果として、シェードのインクコーティング層406は、特定の可視色及び/又は赤外線を選択的に反射又は吸収する。このようにして、展開されたシェードは、特定の光又は他の放射線がIGユニットを通過するのを選択的に遮断及び/又は反射することによって放射線透過を制御するのに役立ち、それによって、IGユニットの全体的な機能を透過性から部分的又は選択的に透過性、場合によっては不透明に変化させる。
【0043】
可変電極と固定電極との間の電気駆動が除去されると、可変電極上の静電力も同様に除去される。弾性層402及び導体404に存在するばね定数により、シェードは、その元のしっかりと巻かれた位置に巻き戻される。シェードの動きは主に容量性回路によって制御されるため、電流は本質的に、シェードが展開又は巻き上げられている間にのみ流れる。その結果、シェードの平均消費電力は非常に低い。このようにして、少なくとも一部の例では、いくつかの標準的な単3電池を使用して、シェードを何年も操作することができる。
【0044】
一例では、基板302は、譲受人から市販されている厚さ3mmの透明ガラスであってもよい。接着剤層310には、低ヘイズを有するアクリル系接着剤を使用することができる。導体306には、100~300オーム/平方の抵抗を有するスパッタITOを使用することができる。ポリマー膜は、12ミクロン厚の低ヘイズ(例えば、<1%ヘイズ)PET材料であってもよい。装飾インク406として、サンケミカル株式会社(Sun Chemical Inc.)から入手可能な、3~8ミクロンの厚さに塗布されたPVCベースのインクを使用することができる。弾性層402として、デュポン(DuPont)から市販されている厚さ6、12、又は25ミクロンのPEN材料を使用することができる。不透明導体406について、375nmの公称厚さを有する蒸着Alを使用することができる。透明オプションの場合、スパッタITOを使用することができる。いずれの場合も、抵抗は100~400オーム/平方であってもよい。特定の例示的な実施形態では、ITO又は他の導電性材料は、それらのそれぞれのポリマーキャリア層上にスパッタリングされるか、又は他の方法で形成されてもよい。もちろん、これらの例示的な材料、厚さ、電気特性、並びにそれらの様々な組み合わせ及び部分的組み合わせなどは、特に特許請求されない限り、限定するものと見なされるべきではない。
【0045】
上記の説明から理解されるように、動的シェード機構は、導電層を有するコイル状ポリマーを使用する。特定の例示的な実施形態では、導体402は、ポリマー402と一体になるように形成されてもよく、又はポリマー402上に塗布、堆積、又は他の方法で形成された外因性コーティングであってもよい。また上記のように、装飾インク406は、透明な導体材料(例えば、ITOに基づく)及び/又は部分的にのみ透明若しくは不透明な導電層と共に使用されてもよい。特定の例示的な実施形態では、不透明又は部分的にのみ透明な導電層は、インクの必要性をなくすことができる。この点に関して、特定の例示的実な施形態では、金属又は実質的に金属の材料を使用することができる。アルミニウムは、装飾インクと共に使用されてもされなくてもよい材料の一例である。
【0046】
1つ以上のオーバーコート層を導体上に設けて、可視光反射を低減し、及び/又はシェードの色を変化させるのを助けてより審美的に美しい製品を提供し、及び/又は導体を「分割」して、それらの間に位相シフタ層が現れるようにすることができる。したがって、シェード全体の美的外観を改善するために、オーバーコートを含めることができる。したがって、シャッタ312は、反射低減オーバーコート、誘電体ミラーオーバーコートなどを含むことができる。そのような反射低減オーバーコート及び誘電体ミラーオーバーコートは、導体404上及び装飾インク406の反対側の(例えば)PENを含むシェードポリマー402の主表面上に設けられてもよい。しかしながら、例えば、導体404が透明でない場合、インク406を提供する必要はないことが理解されるであろう。例えば、Alなどのミラーコーティングは、装飾インク406の必要性をなくすことができる。また、特定の例示的な実施形態では、反射低減オーバーコート及び誘電体ミラーオーバーコートは、導電体404の反対側の(例えば)PENを含むシェードポリマー402の主表面上に設けられてもよいことも理解されるであろう。
【0047】
反射を低減するために光学干渉技術を使用することに加えて、又はその代わりに、ベースポリマーにテクスチャ処理された表面を追加し、導電層を化学的又は物理的に修飾し、及び/又はインク層を追加して、例えば同じ又は同様の目的を達成し、望ましくない反射の更なる低減を達成することも可能である。
【0048】
シャッタを構成する薄膜及び/又は他の材料は、シェード全体の機能に従って多数の巻き上げ及び展開操作に耐えなければならないことを考慮すると、材料を選択することができ、形成された層スタック全体が、それを容易にする機械的及び/又は他の特性を有することが理解されるであろう。例えば、薄膜層スタックにおける過剰な応力は通常、不利であると見なされる。しかしながら、場合によっては、過剰な応力は、導体404及び/又はその上に形成された1つ又は複数のオーバーコート層に亀裂、「層間剥離」/除去、及び/又は他の損傷をもたらす可能性がある。したがって、特定の例示的な実施形態では、シャッタのポリマーベース上に形成された層に関連して、低応力(特に低引張応力)が特に望ましい場合がある。
【0049】
この点に関して、スパッタリングされた薄膜の接着は、とりわけ、堆積膜中の応力に依存する。応力を調整する1つの方法は、堆積圧力を使用することである。応力対スパッタ圧力は、単調な曲線に従わないが、代わりに転移圧力で屈折し、転移圧力は、本質的に各材料に固有であり、材料の溶融温度と基板温度との比率の関数である。これらのガイドポストを念頭に置いて、応力工学は、ガス圧の最適化を通じて達成することができる。
【0050】
考慮に入れることができるシェードの他の物理的及び機械的特性としては、ポリマー及びその上に形成された層の弾性率、層の密度比(応力/ひずみに影響を与える可能性がある)などが挙げられる。これらの特性は、内部反射、導電性などへの影響とバランスをとることができる。
【0051】
知られているように、IGユニットの内部の温度は、かなり高くなる可能性がある。例えば、図2の例による黒色顔料を含むIGユニットは、例えば、シェードの黒色部分が高温、高日射気候(例えば、アリゾナ州などの米国南西部の地域など)で太陽に面している場合に、87℃の温度に達する可能性があることが観察されている。PET(Tg=67~81℃)、ポリプロピレン又はPP(Tg=約32℃)などの他の一般的なポリマーと比較して、PENがより高いガラス転移温度(約120℃)を有するため、巻回可能/巻回不可能なポリマーにPEN材料を使用することが有利であり得る。しかし、PENがガラス転移温度に近い温度に曝露されると、材料の他の有利な機械的特性(弾性率、降伏強度、引張強度、応力緩和係数など)の性能は、特に高温曝露では時間の経過とともに低下する可能性がある。これらの機械的特性が著しく低下すると、シェードはもはや機能しなくなる可能性がある(例えば、シェードは後退しない)。
【0052】
シェードが高温環境によりよく耐えるのを助けるために、PENからより良好な高温耐性を有するポリマーへの置換が有利であり得る。2つの可能性のあるポリマーとしては、PEEK及びポリイミド(PI又はカプトン)が挙げられる。PEEKは約142℃のTgを有し、カプトンHNは約380℃のTgを有する。これらの材料は両方とも、PENと比較して、高温環境においてより良好な機械的特性を有する。これは、100℃を超える温度で特に当てはまる。次のチャートは、PEN(Teonex)、PEEK、及びPI(カプトンHN)の機械的特性を参照してこれを示す。チャートでは、UTSは、極限引張強度を表す。
【表1】
【0053】
シェードベース材料をその現在の材料(PEN)から、高温機械的特性が向上した代替ポリマー(例えば、PEEK又はPI/カプトン)に変更することは、特にシェードが高温の気候に設置されている場合に、シェードが内部IG温度によりよく耐えることを可能にするという意味で有利であり得ることが理解されるであろう。特定の例示的な実施形態では、シャッタ及び/又はガラス上の層に関連して代替ポリマーを使用できることが理解されるであろう。
【0054】
更に又は代替として、特定の例示的な実施形態では、染色されたポリマー材料を使用してもよい。例えば、染色されたPEN、PEEK、PI/カプトン、又は他のポリマーを使用して、色及び/又は審美性の組み合わせを有するシェードを作り出すことができる。例えば、染色されたポリマーは、透明/半透明用途、例えば、シェード導電層が透明な導電性コーティングなどである場合の実施形態に有利であり得る。
【0055】
コイル状シェードのばね力を有益に変更して、様々な長さで使用できるようにする代替の導電性材料を使用することができる。この点に関して、コイルの強度を増加させる導電層の特性には、弾性率の増加、ポリマー基板と導電層との間の熱膨張係数(CTE)の差の増加、及び弾性率対密度比の増加が含まれる。Al又はCrと比較してコイル強度を高めるために使用することができる純金属の一部としては、Ni、W、Mo、Ti、及びTaが挙げられる。研究した金属層の弾性率は、Alの70GPaからMoの330GPaまでの範囲であった。研究した金属層のCTEは、Alの23.5×10-6/kからMoの4.8×10-6/kまでの範囲であった。一般に、弾性率が高いほど、PEN又は他のポリマーと金属との間のCTEミスマッチが高くなり、密度が低くなるなど、コイル形成の観点から材料選択が良好になる。Mo及びTi系導電層をシェードに組み込むと、Alで達成可能なばね力よりも著しく高いコイルのばね力が得られることが見出された。例えば、PEN、PEEK、PIなどに基づくポリマー基板は、(基板から離れるように)Alを含む層とそれに続くMoを含む層を支持することができる。Alよりも高い弾性率及び低いCTEを有する導電性コーティングの薄膜層及び/又は導電性コーティング自体を提供することができる。
【0056】
シャッタとして使用されるPEN、PI、又は他のポリマー基板は、応力工学目的のためにAlを含む薄層を支持してもよく、その上に直接又は間接的にMo、Tiなどを含む導電層を有してもよい。導電層は、Al、Ti、ステンレス鋼などを含む耐食層を支持してもよい。これらの層の反対側の基板の側面は、任意選択で、装飾インクなどを支持してもよい。
【0057】
特定の例示的な実施形態は、光がシェードを通過するのを可能にし、太陽の角度に基づいて漸進的な量の太陽透過率を提供する微小穿孔又は貫通孔を含んでもよい。
【0058】
更なる製造、操作、及び/又は他の詳細及び代替案が実装され得る。例えば、米国特許第8,982,441号、同第8,736,938号、同第8,134,112号、同第8,035,075号、同第7,705,826、及び同第7,645,977号、並びに2018年7月6日に出願された米国出願第16/028,546号を参照されたい。それらのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。それらの中に、とりわけ、穿孔構成、ポリマー材料、導電性コーティング設計、応力工学概念、建物一体型太陽光発電(building-integrated photovoltaic、BIPV)、及びその他の詳細が開示されており、少なくともこれらの教示は、特定の例示的な実施形態に組み込まれてもよい。
【0059】
動的シェードの設計に関連する1つの問題は、シャッタがすばやく伸びたり広がったりして、カチカチという音を出すのに十分な力で下部ストッパ又はホルダに接触する可能性があることである。即ち、特定の例示的な実施形態では、ガラス上構成要素(TCC306及びポリマー308を含む)は、基板302の表面のすべて又は実質的にすべてにわたって設けられる。上部及び下部ストッパは、これらのガラス上構成要素上に位置し、TCC306に電気的に接続することができる。シャッタの展開中、シャッタは、エンドストッパに当たるまで伸び、カチカチという音がする。一部の人は、このカチカチという音を迷惑だと感じ、したがって、このカチカチという音により、少なくとも一部の人にとって、シェードを使用するのが不快になる可能性がある。
【0060】
カチカチという音の問題に対処するのを助けるために、特定の例示的な実施形態は、シャッタが伸長するときに、より具体的にはシャッタが下部ストッパ又はホルダに近接する長さまで伸長するときにシャッタを減速するための手段を実装する。シャッタがほぼ完全に伸長するときに減速が発生するため、シャッタは、依然としてかなり良好に伸長する。言い換えれば、運動を開始し、伸長の初期段階を通してその運動を維持する静電力は変化せず、そして、それらは完全に伸長した位置に向かって選択的に変化する。
【0061】
この減速は、特定の例示的な実施形態では、下部ストッパに近接する領域の静電力に影響を与えることによって達成することができる。より弱い静電力により、シャッタは、より遅い速度で伸長したり、広がったりすることができる。
【0062】
したがって、シャッタは、静電力が変化した領域により、制御された方法で下部ストッパに向かって伸長することができ、静電力が変化した領域は、下部ストッパに近接する対応する領域に導電率差を導入することによって形成することができる。
【0063】
図5は、特定の例示的な実施形態による、この導電率差を促進する領域506と共に、図2の例示的なIGUからのガラス上構成要素304を組み込んだ基板102を示す平面図である。図5の例は、上部ストッパ502及び下部ストッパ504を示す。シャッタは、上部ストッパ502から下部ストッパ504まで矢印の方向に伸長する。
【0064】
静電力が変化したこの領域506は、多くの異なる方法で形成されてもよい。例えば、図6Aは、特定の例示的な実施形態による、導電率差を促進する第1の例示的な領域を通して取られた図5の断面図である。図6Aに示されるように、ガラス上構成要素304’は、領域506において部分的に除去される。即ち、ポリマー膜絶縁体308’、TCC 306’、及び場合によっては接着剤310’は、この領域で不連続である。それらは、基板302の側面に向かって延びるが、下部ストッパ504に近接する中央領域からは欠落している。この構成では、ガラス上構成要素304は、図5に示される領域506には存在しないと考えることができる。
【0065】
この図6Aの構成は、多くの異なる方法で製造することができる。一例として、TCC308を有するポリマー膜絶縁体306が単に基板302上に塗布(例えば、圧延)される場合、それは、領域506から離れた領域で基板302に塗布されてもよい。例えば、基板の上部から領域506の上部までの大きな領域が塗布されてもよく、また領域506の側面に沿って小さなストリップが適用されてもよい。別の例では、マスキングを使用して、領域506に設けられた任意のTCC及びポリマー膜絶縁体を容易に除去できることを保証することができる。スパッタリングがTCCを形成するために使用され、ポリマーが湿式技術などによって提供される場合、これらの材料がシートとして提供される場合、マスキングが役立つ場合がある。更に別の例では、基板302をブランケットコーティングすることができ(例えば、基板にわたって展開される予め形成されたシートを使用し、スパッタリング及び液体コーティングを使用するなど)、次に、ブランケットコーティングされた材料を領域506で除去することができる。ガラス上構成要素304を形成するために使用されるアプローチに応じて、領域506においてさえ、ガラス上構成要素304’に接着剤が残っている場合と残っていない場合がある。
【0066】
図6Aの配置の代替として、図6Bは、特定の例示的な実施形態による、ガラス上構成要素とシャッタ上構成要素との間の導電率差を促進する第2の例示的な領域を通して取られた図5の断面図である。図6Bの例におけるガラス上構成要素304’’は、静電力が変更される領域506に設けられた追加の絶縁体材料600を含む。この追加の絶縁体は、例えば、上記の材料(例えば、PET、PEN、PEEK、PIなど)のいずれかなどの追加の透明ポリマー系材料であってもよい。ポリマーは、領域506上に圧延したり、塗布したり、又は他の方法で形成したりすることができる。代替的又は追加的に、特定の例示的な実施形態では、薄膜誘電体又は他の材料も追加の絶縁体600に使用されてもよい。これらの薄膜材料は、任意の適切な方法で、領域506内の下にある基板302上に形成することができる。それは、領域506におけるガラス上構成要素304’’内のTCC306をシャッタ312上のTCC404から効果的に電気的に絶縁することができ、あるいは、それらの間の電気抵抗を少なくとも増加させることができる。
【0067】
図7は、特定の例示的な実施形態による、導電率差を促進する第3の例示的な領域506’の平面図である。矢印は、上記のようにシャッタの進行方向を示す。この領域506’は、ガラス上構成要素が除去される(例えば、図6Aに関連して上述したように)、及び/又は追加の絶縁材料が追加される(例えば、図6Bに関連して上述したように)領域704a~704cによって分離された複数のガラス上セグメント702a~702dを含むと考えることができる。
【0068】
特定の例示的な実施形態では、ガラス上セグメント702a~702dは、同じ構成(例えば、基板を横切る高さ及び/又は幅)を有することができるが、異なる例示的な実施形態では、これらのガラス上セグメント702a~702dに対して異なる構成を使用してもよい。図7の例は、セグメント702a~702dが下部ストッパ504に近づくにつれてますます小さくなるため、前者の構成を使用する。これらのより小さな領域により、より小さな力が提供され、下部ストッパ504上にシャッタの「ソフトランディング」を形成することができると同時に、シャッタが減速している場合であっても伸長し続けるように促されるように、たまの「インパルス」も提供するため、前者の構成は、有利であり得る。言い換えれば、この配置は、シャッタが下部ストッパ504の手前で停止しないことを保証するのに役立つ可能性があり、また、シャッタがより制御された方法でそれに到達することを保証するのに役立つ可能性がある。
【0069】
特定の例示的な実施形態では、ガラス上セグメント702a~702dは、均一に離隔しており、又は何らかの他の方法で離隔してもよい。図7の例は、セグメント702aとセグメント702bとの間の距離D1がセグメント702bとセグメント702cとの間の距離D2よりも小さく、セグメント702bとセグメント702cとの間の距離D2がセグメント702cとセグメント702dとの間の距離D3よりも小さいため、後者の構成を使用する。これについての別の考え方は、領域704a~704cが、それらが下部ストッパ504に向かって移動するにつれて、サイズ(例えば、基板を横切る高さ及び/又は幅)が増加する可能性があるということである。
【0070】
図7の例示的な実施形態では、4つのガラス上セグメント702a~702d及び3つの領域704a~704cが示されているが、特定の例示的な実施形態では、1つ又は両方のより多く又はより少ないものが提供されてもよい。更に、図7は、下部ストッパ504の上側に直接隣接する(及び暗黙的に下側にもある)ガラス上セグメント702dを示すが、異なる例示的な実施形態は、下部ストッパ504にその下側又は何らかの他の方法から電気接触を提供することができる。したがって、ガラス上セグメント702dは、下部ストッパ504の下側に再配置可能であると考えることができる。
【0071】
図7の例示的な実施形態は、図6A及び/又は図6Bに関連して上述した技術を使用して製造することができ、これらの技術は一般に、異なるセグメントに対して単に繰り返されることが理解されるであろう。
【0072】
図7と同様の実施形態におけるこれらのセグメント(例えば、複数のガラス上構成要素セグメントが存在する場合)は、異なる例示的な実施形態において集合的及び/又は個別に制御されてもよい。例えば、電圧は、すべてのセグメントに一度に供給されてもよく、又は電圧は、より制御された方法で個々のセグメントに供給されてもよい。前者は、実装の容易さの観点から有利である場合がある。一方、後者は、速度をより積極的に制御(例えば、減速)し、電力要件を下げるなどのために有利であり得る。特定の例示的な実施形態では、異なるセグメントを順番にアクティブ化できるように、タイマーを実装してもよい。特定の例示的な実施形態では、撮像装置(例えば、カメラ、赤外線(IR)センサなど)を使用して、シャッタが伸長するときにその進行を追跡することができる。コントローラは、撮像装置から信号を受信し、そこから決定されたシャッタの位置に基づいて、セグメントの1つ以上の個々のセグメントを選択的にアクティブ化して、例えば、それが移動している及び/又は適切な速度で移動していることを保証することができる。
【0073】
したがって、シャッタの移動に対して、特にシャッタが下部ストップに近づくときに、能動的及び/又は受動的な制御を行うことができることが理解されるであろう。受動制御は、図6A及び図6Bの例示的な技術に従って、並びに図7の例示的な技術が各セグメントに提供される共通電圧「トリガ」に関連して使用される場合に、領域506の特性を定義することによって提供することができる。能動制御は、例えば、図7の例におけるセグメントを個々にアクティブ化することによって提供することができる。いずれにしても、シャッタを駆動するのに十分な力があるが、カチッという音を回避するために(又は、少なくともそれを感知できない及び/又は迷惑でないレベルまで大幅に減少させるために)、その力は下部ストッパの近くで減衰される。
【0074】
特定の例示的な実施形態は、ガラス上構成要素に関連して異なる静電力及び/又は導電率差を有する領域を形成するものとして説明されてきたが、本明細書に記載のアプローチは、シャッタ312(そのTCC404を含む)に関連して使用され得ることが理解されるであろう。上記の領域の効果を生み出すために、シャッタ312が形成されているとき(例えば、圧延前)、伸長するときなどに、代替的に又は追加的に変更を行うことができる。
【0075】
特定の例示的な実施形態では、導電性コーティング(例えば、ITO)が除去される領域に関して、寸法(バーに対して絶対的又は相対的)は、ほぼゼロとシェード直径の特徴的な幅との間のいずれかであり得る。場合によっては、その領域の印加電圧を下げて減速目標を達成することができるため、基本的にそのような寸法の下限はない。場合によっては、そのような寸法の上限については、場合によっては、実際に制限を課すことができる静電力場によってシェードが依然として影響を受けることを保証することが望ましい場合がある。
【0076】
上記の例は、シャッタがエンドストッパに近づくにつれて減速するのに役立つ。シャッタは、下部ストッパに接触する前に完全に停止する場合があり、又はシャッタが下部ストッパに対して「ソフトランディング」するのに十分な速度まで減速する場合がある。したがって、特定の例示的な実施形態は、人間が知覚できる(例えば、可聴の)カチカチという音を低減するか、場合によっては排除することさえできる。
【0077】
特定の例示的な実施形態では、シェードは、展開中に最終速度まで減速する初期速度で展開することができる。減速は、一定速度又は非一定速度で行うことができる。最終速度は、完全に又はほぼ完全に停止する速度であり得る(例えば、ゼロ又はほぼゼロの速度)。このようにして、シェードは、下部ストップに「ソフトランディング」することができる。特定の例示的な実施形態では、シェードは、ソフトランディング中に必ずしも下部ストップに接触する必要はない。即ち、特定の例示的な実施形態では、下部ストップが設けられない場合がある。ストップが設けられている特定の例示的な実施形態では、ストップは、シェードを伸長位置に保持するための静電力を提供するための手段であってもよく、そのような場合、シェードは、ストッパに接触する場合もしない場合もある。
【0078】
本明細書に記載のIGユニットは、表面1、2、3、及び4のうちのいずれか1つ以上に低Eコーティングを組み込んでもよい。上記のように、例えば、このような低Eコーティングは、シェードの導電層として機能し得る。他の例示的な実施形態では、シェードの導電層として機能すること加えて、又はそれとは別に、低Eコーティングを別の内面に設けることができる。例えば、低Eコーティングを表面2に設けることができ、シェードを表面3に対して設けることができる。別の例では、シェード及び低Eコーティングの位置を逆にすることができる。いずれの場合も、表面3に対して設けられたシェードの操作を支援するために別個の低Eコーティングを使用しても使用しなくてもよい。特定の例示的実施形態では、表面2及び3上に設けられる低Eコーティングは、銀ベースの低Eコーティングであってもよい。低Eコーティングの例は、米国特許第9,802,860号、同第8,557,391号、同第7,998,320号、同第7,771,830号、同第7,198,851号、同第7,189,458号、同第7,056,588号及び同第6,887,575号に記載されており、それらのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。ITOなどに基づく低Eコーティングは、内面及び/又は外面に使用することができる。例えば、米国特許第9,695,085号、及び米国特許第9,670,092号を参照されたい。それらのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの低Eコーティングは、特定の例示的な実施形態に関連して使用されてもよい。
【0079】
反射防止コーティングは同様に、IGユニットの主表面上に設けられてもよい。特定の例示的な実施形態では、ARコーティングは、低Eコーティング及びシェードが設けられていない各主表面上に設けられてもよい。例示的なARコーティングは、例えば、米国特許第9,796,619号及び同第8,668,990号、並びに米国特許公開第2014/0272314号に記載されており、それらのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,556,066号も参照されたい。これらのARコーティングは、特定の例示的な実施形態に関連して使用されてもよい。
【0080】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、例えば、商業用途及び/又は住宅用途の内部窓及び外部窓、天窓、ドア、冷蔵庫/冷凍庫などの商品装置(例えば、ドア及び/又はその「壁」用)、車両用途などを含む、多種多様な用途に組み込むことができる。
【0081】
特定の例示的な実施形態は、2つの基板を含むIGユニットに関連して記載されているが、本明細書に記載の技術は、いわゆる三重IGユニットに対して適用され得ることが理解されるであろう。このようなユニットでは、第1、第2、及び第3の実質的に平行に離隔した基板は、第1及び第2のスペーサシステムによって分離され、シェードは、最も内側の基板及び最も外側の基板の内面のうちの任意の1つ以上、及び/又は中間基板の表面の一方若しくは両方に隣接して設けられてもよい。
【0082】
特定の例示的な実施形態は、ガラス基板を組み込むものとして記載されているが(例えば、本明細書に記載のIGユニットの内側及び外側ペインの使用のために)、他の例示的な実施形態は、そのようなペインの一方又は両方のために非ガラス基板を組み込んでもよいことが理解されるであろう。例えば、プラスチック、複合材料などを使用することができる。ガラス基板を使用する場合、このような基板は、熱処理(例えば、熱強化及び/又は熱焼戻し)したり、化学的焼戻ししたり、焼きなまし状態のままにしたりするなどのことができる。特定の例示的な実施形態では、内側基板又は外側基板は、同じ又は異なる材料の別の基板に積層されてもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合、「上」及び「によって支持される」などの用語は、明示的に記載されない限り、2つの要素が互いに直接隣接していることを意味すると解釈されるべきではない。言い換えれば、第1の層は、第2の層との間に1つ以上の層が存在する場合であっても、第2の層「上」にあり、又は第2の層「によって支持されている」と言える。
【0084】
特定の例示的な実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットが提供される。IGユニットは、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基板及び第2の基板を含み、第1の基板の内部主表面は、第2の基板の内部主表面に面している。スペーサシステムは、第1の基板及び第2の基板を互いに実質的に平行に離隔した関係に維持し、それらの間に間隙を画定するのに役立つ。動的に制御可能なシェードは、第1の基板と第2の基板との間に介在する。シェードは、第1の基板の内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタとを含み、ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、この電源は、電位差を形成し、静電力を生成してポリマー基板をシャッタ閉位置に駆動するように制御可能である。シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0085】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基板がシャッタ閉位置に近づくにつれて、ポリマー基板の伸長を遅くするために、シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0086】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ストッパは、シャッタ閉位置に近接して配置されてもよい。
【0087】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基板は、ストッパに接触するように伸長可能であり、ポリマー基板の伸長は、ポリマー基板がストッパに接触したときに、人間が知覚できる(例えば、可聴の)カチカチ(音)の発生を回避するのに十分な速度まで減速されてもよい。
【0088】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、第1の導電性コーティングは、シャッタ閉位置に近接する領域に設けられなくてもよい。
【0089】
前の5つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、追加の誘電体膜又は絶縁体膜は、シャッタ閉位置に近接する領域において、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられてもよい。
【0090】
前の6つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、複数の導電性領域は、例えば、導電性領域が互いに離隔している状態で、シャッタ閉位置に近接する領域に設けられてもよい。
【0091】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、導電性領域は、IGユニットの上部からIGユニットの下部に向かって減少するそれぞれの表面積を有し得る。
【0092】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、隣接する導電性領域間の間隔は、IGユニットの上部からIGユニットの下部に向かって増加する可能性がある。
【0093】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、導電性領域及び第1の導電性コーティングは、電源に直列に電気的に接続されてもよい。
【0094】
特定の例示的な実施形態では、上に動的に制御可能なシェードが設けられたガラス基板が提供される。シェードは、基板の内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタとを含み、ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、この電源は、電位差を形成し、静電力を生成してポリマー基板をシャッタ閉位置に駆動するように制御可能である。シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0095】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基板がシャッタ閉位置に近づくにつれて、ポリマー基板の伸長を遅くするために、シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0096】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ストッパは、シャッタ閉位置に近接して配置されてもよい。ポリマー基板は、ストッパに接触するように伸長可能であり得る。ポリマー基板の伸長は、ポリマー基板がストッパに接触したときに、人間が知覚できる(例えば、可聴の)カチカチ(音)の発生を回避するのに十分な速度まで減速されてもよい。
【0097】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、第1の導電性コーティングは、シャッタ閉位置に近接する領域に設けられなくてもよい。
【0098】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、追加の誘電体膜又は絶縁体膜は、シャッタ閉位置に近接する領域において、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられてもよい。
【0099】
前の5つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、複数の導電性領域は、例えば、導電性領域が互いに離隔している状態で、シャッタ閉位置に近接する領域に設けられてもよい。
【0100】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法が提供される。この方法は、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基板及び第2の基板を有することであって、第1の基板の内部主表面は、第2の基板の内部主表面に面している、ことと、第1の基板及び/又は第2の基板上に動的に制御可能なシェードを設けることとを含む。シェードは、第1の基板の内部主表面上に直接又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基板を含むシャッタとを含み、ポリマー基板は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、シャッタ開位置まで後退可能である。この方法は、第1の基板及び第2の基板を実質的に平行に離隔した関係で互いに接続して、それらの間に隙間が画定され、動的に制御可能なシェードが隙間内に位置するようにすることを更に含む。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電源に電気的に接続可能であり、この電源は、電位差を形成し、静電力を生成してポリマー基板をシャッタ閉位置に駆動するように制御可能である。シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0101】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基板がシャッタ閉位置に近づくにつれて、ポリマー基板の伸長を遅くするために、シャッタ閉位置に近接する領域で生成される静電力は、シャッタ閉位置から離れた領域で生成される静電力よりも低い。
【0102】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ストッパは、シャッタ閉位置に近接して配置されてもよい。ポリマー基板は、ストッパに接触するように伸長可能であり得る。ポリマー基板の伸長は、ポリマー基板がストッパに接触したときに、人間が知覚できる(例えば、可聴の)カチカチ(音)の発生を回避するのに十分な速度まで減速されてもよい。
【0103】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、第1の導電性コーティングは、少なくとも最初に第1の基板の実質的に全体にわたって設けられてもよい。少なくとも第1の導電性コーティングは、シャッタ閉位置に近接する領域から除去されてもよい。
【0104】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、追加の誘電体膜又は絶縁体膜は、シャッタ閉位置に近接する領域において、第1の導電性コーティング上に直接又は間接的に設けられてもよい。
【0105】
前の5つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、複数の導電性領域は、例えば、導電性領域が互いに離隔している状態で、シャッタ閉位置に近接する領域に設けられてもよい。
【0106】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、導電性領域は、IGユニットの上部からIGユニットの下部に向かって減少するそれぞれの表面積を有してもよく、及び/又は隣接する導電性領域間の間隔は、IGユニットの上部からIGユニットの下部に向かって増加する可能性がある。
【0107】
特定の例示的な実施形態では、IGユニット内の動的シェードを操作する方法が提供される。この方法は、前の7つの段落のいずれかの方法に従って製造されたIGユニットを有することと、電源を選択的に起動して、ポリマー基板をシャッタ開位置とシャッタ閉位置との間で移動させることとを含む。
【0108】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられているものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態及び/又は堆積技術に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の配置をカバーすることを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】