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特表2023-511972支援を受けて閉塞性の吸引物を取り除くための機械式共振パルス・リリーフ弁
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】支援を受けて閉塞性の吸引物を取り除くための機械式共振パルス・リリーフ弁
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230315BHJP
   A61B 17/3207 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61M1/00 130
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545070
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020066993
(87)【国際公開番号】W WO2021150348
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/965,115
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,スティーヴン
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077DD01
4C077DD11
4C077DD21
4C077EE01
4C077JJ24
4C160EE21
4C160EE30
(57)【要約】
吸引システムが、吸引カテーテルと、吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を作るために吸引カテーテルに流体的に結合された吸引源と、加圧流体源と、加圧流体源と吸引流路との間に流体的に結合された受動圧力振動組立体とを備える。受動圧力振動組立体が、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードと、の間で動作させられるように構成される。受動圧力振動組立体が、吸引カテーテル内の閉塞物に反応して通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引カテーテル、吸引源、および加圧流体源と共に使用されるためのマニホルドであって、前記マニホルドが:
前記吸引源に流体的に結合されるように構成された吸引出口と;
前記吸引カテーテルと前記吸引源との間に吸引流路を形成するように、前記吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と;
前記加圧流体源に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口と;
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間に流体的に結合された受動圧力振動組立体であって、前記受動圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードと、の間で動作させられるように構成され、前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテル内の閉塞物に反応して前記通常モードから前記振動モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、受動圧力振動組立体と
を備える、マニホルド。
【請求項2】
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が、圧力パルスを前記吸引流路内に伝播させる、請求項1に記載のマニホルド。
【請求項3】
前記加圧流体源が周囲空気を含む、請求項1または2に記載のマニホルド。
【請求項4】
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備える、請求項1または2に記載のマニホルド。
【請求項5】
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテルから前記閉塞物が除去されることに反応して前記振動モードから前記通常モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマニホルド。
【請求項6】
前記受動圧力振動組立体が:
前記吸引カテーテル内の前記閉塞物に反応して、前記加圧流体源に由来する流体の圧力作動弁を通る流れを可能にするために、開くように構成された圧力作動弁と;
前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通をパルス化するために、共振するように構成された流体共振装置と
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のマニホルド。
【請求項7】
前記圧力作動弁および前記流体共振装置が互いに機械的に結合される、請求項6に記載のマニホルド。
【請求項8】
前記圧力作動弁および前記流体共振装置が互いから機械的に分離されている、請求項6に記載のマニホルド。
【請求項9】
前記流体共振装置が、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通を第1の振動数でパルス化するために、前記第1の振動数で共振するように構成され、前記圧力作動弁が、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通を第2の振動数でパルス化するために、前記第1の振動数とは異なる前記第2の振動数で共振するように構成された別の流体共振装置をさらに備える、請求項6から8のいずれか一項に記載のマニホルド。
【請求項10】
吸引システムであって:
請求項1から9のいずれか一項に記載のマニホルドと;
吸引出口に結合された吸引源と;
吸引入口に結合された吸引カテーテルと;
リリーフ入口に結合された加圧流体源と
を備える、吸引システム。
【請求項11】
吸引カテーテル、吸引源、および加圧流体源と共に使用されるためのマニホルドであって、前記マニホルドが:
前記吸引源に流体的に結合されるように構成された吸引出口と;
前記吸引カテーテルと前記吸引源との間に吸引流路を形成するように、前記吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と;
前記加圧流体源に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口と;
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間に流体的に結合された受動圧力振動組立体であって、前記受動圧力振動組立体が、前記リリーフ入口に流体的に結合された入口ポートおよび前記吸引流路に流体的に結合された出口ポートを備え、前記受動圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードと、の間で動作させられるように構成され、前記受動圧力振動組立体が、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に-55kPa以下の作動用の負圧力差を作り出すような前記吸引流路内の絶対圧力の低下に反応して、前記通常モードから前記振動モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、受動圧力振動組立体と
を備える、マニホルド。
【請求項12】
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が、圧力パルスを前記吸引流路内に伝播させる、請求項11に記載のマニホルド。
【請求項13】
前記加圧流体源が周囲空気を含む、請求項11または12に記載のマニホルド。
【請求項14】
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備える、請求項11または12に記載のマニホルド。
【請求項15】
前記加圧流体源が液体を含むリザーバを備え、前記作動用の負圧力差が-55kPaから-95kPaの範囲内にある、請求項11から14のいずれか一項に記載のマニホルド。
【請求項16】
前記受動圧力振動組立体が、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に前記作動用の負圧力差より大きい停止用の負圧力差を作り出すような、前記吸引流路内の絶対圧力の停止のための圧力への増大に反応して、前記振動モードから前記通常モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、請求項11から15のいずれか一項に記載のマニホルド。
【請求項17】
前記停止用の負圧力差が、前記作動用の負圧力差より、10kPaから25kPaの間で、大きい、請求項16に記載のマニホルド。
【請求項18】
前記受動圧力振動組立体が:
前記入口ポートと前記出口ポートとの間の前記作動用の負圧力差に反応して、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る流れを可能にするために、開くように構成された圧力作動弁と;
前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通をパルス化するために、共振するように構成された流体共振装置と
を備える、請求項11から17のいずれか一項に記載のマニホルド。
【請求項19】
吸引システムであって:
請求項11から18のいずれか一項に記載のマニホルドと;
吸引出口に結合された吸引源と;
吸引入口に結合された吸引カテーテルと;
リリーフ入口に結合された加圧流体源と
を備える、吸引システム。
【請求項20】
吸引システムであって:
吸引カテーテルと;
前記吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を作るために前記吸引カテーテルに流体的に結合された吸引源と;
加圧流体源と;
前記加圧流体源と前記吸引流路との間に流体的に結合された受動圧力振動組立体であって、前記受動圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードと、の間で動作させられるように構成され、前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテル内の閉塞物に反応して前記通常モードから前記振動モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、受動圧力振動組立体と
を備える、吸引システム。
【請求項21】
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が、圧力パルスを前記吸引流路内に伝播させる、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項22】
前記加圧流体源が、周囲空気、または、液体を含むリザーバを含む、請求項20または21に記載の吸引システム。
【請求項23】
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテルから前記閉塞物が除去されることに反応して前記振動モードから前記通常モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、請求項20から22のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項24】
前記受動圧力振動組立体が:
前記吸引カテーテル内の前記閉塞物に反応して、前記加圧流体源に由来する流体の圧力作動弁を通る流れを可能にするために、開くように構成された圧力作動弁と;
前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通をパルス化するために、共振するように構成された流体共振装置と
を備える、請求項20から23のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項25】
前記圧力作動弁および前記流体共振装置が互いに機械的に結合される、請求項24に記載の吸引システム。
【請求項26】
前記圧力作動弁および前記流体共振装置が互いから機械的に分離されている、請求項24に記載の吸引システム。
【請求項27】
前記流体共振装置が、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通を第1の振動数でパルス化するために、前記第1の振動数で共振するように構成され、前記圧力作動弁が、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通を第2の振動数でパルス化するために、前記第1の振動数とは異なる前記第2の振動数で共振するように構成された別の流体共振装置をさらに備える、請求項24から26のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項28】
前記受動圧力振動組立体が:
前記加圧流体源に流体的に結合された弁シールと;
可動弁要素と;
前記吸引流路に流体的に結合された拡大フロー・キャビティであって、前記拡大フロー・キャビティが、前記可動弁要素のプロフィールより大きいプロフィールを有する、拡大フロー・キャビティと;
前記加圧流体源に由来する前記流体の前記拡大フロー・キャビティに入る流れを防止することを目的として、前記弁シールに対しての閉位置で前記可動弁要素を維持するために前記可動弁要素に付勢力を加えるように構成されたばねであって、前記可動弁要素が、前記加圧流体源に由来する前記流体により、前記ばねにより前記可動弁要素に対して加えられる前記付勢力に打ち勝つ対抗力を前記可動弁要素に対して加えるようにする、前記吸引カテーテル内の前記閉塞物に反応して、前記閉位置から、前記弁シールから離れて前記拡大フロー・キャビティ内にある開位置まで、変位させられるように、構成され、それにより、前記加圧流体源に由来する前記流体の、前記弁シールを通ってさらに前記拡大フロー・キャビティを通って前記吸引流路の中に入る流れを可能にする、ばねと
を備え、
前記ばねにより前記可動弁要素に対して加えられる前記付勢力、前記加圧流体源に由来する前記流体によって加えられる前記対抗力、および、前記可動弁要素の質量が、前記閉位置と前記開位置との間で前記可動弁要素を振動させるように、選択される、
請求項20から23のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項29】
前記可動弁要素がディスクを含み、前記弁シールが弁シリンダーを含む、請求項28に記載の吸引システム。
【請求項30】
吸引システムであって:
吸引カテーテルと;
前記吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を作るために前記吸引カテーテルに流体的に結合された吸引源と;
加圧流体源と;
前記加圧流体源と前記吸引流路との間に流体的に結合された受動圧力振動組立体であって、前記受動圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードと、の間で動作させられるように構成され、前記受動圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間に-55kPa以下の作動用の負圧力差を作り出すような前記吸引流路内の絶対圧力の低下に反応して、前記通常モードから前記振動モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、受動圧力振動組立体と
を備える、吸引システム。
【請求項31】
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が、圧力パルスを前記吸引流路内に伝播させる、請求項40に記載の吸引システム。
【請求項32】
前記加圧流体源が、周囲空気、または、液体を含むリザーバを含む、請求項30または31に記載の吸引システム。
【請求項33】
前記作動用の負圧力差が-55kPaから-95kPaの範囲内にある、請求項30から32のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項34】
前記受動圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間に前記作動用の負圧力差より大きい停止用の負圧力差を作り出すような、前記吸引流路内の絶対圧力の停止のための圧力への増大に反応して、前記振動モードから前記通常モードへの切り換えを行うように起動されるように構成される、請求項30から33のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項35】
前記停止用の負圧力差が、前記作動用の負圧力差より、10kPaから25kPaの間で、大きい、請求項34に記載の吸引システム。
【請求項36】
前記受動圧力振動組立体が:
前記加圧流体源と前記吸引流路との間に-55kPa以下の作動用の負圧力差を作り出すような前記吸引流路内の絶対圧力の前記低下に反応して、前記加圧流体源に由来する流体の圧力作動弁を通る流れを可能にするために、開くように構成された圧力作動弁と;
前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通をパルス化するために、共振するように構成された流体共振装置と
を備える、請求項30から35のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項37】
前記圧力作動弁および前記流体共振装置が互いに機械的に結合される、請求項36に記載の吸引システム。
【請求項38】
前記流体共振装置が、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通を第1の振動数でパルス化するために、前記第1の振動数で共振するように構成され、前記圧力作動弁が、前記加圧流体源に由来する流体の前記圧力作動弁を通る前記流れに反応して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の前記流体連通を第2の振動数でパルス化するために、前記第1の振動数とは異なる前記第2の振動数で共振するように構成された別の流体共振装置をさらに備える、請求項36または37に記載の吸引システム。
【請求項39】
前記受動圧力振動組立体が:
前記加圧流体源に流体的に結合された弁シールと;
可動弁要素と;
前記吸引流路に流体的に結合された拡大フロー・キャビティであって、前記拡大フロー・キャビティが、前記可動弁要素のプロフィールより大きいプロフィールを有する、拡大フロー・キャビティと;
前記加圧流体源に由来する前記流体の前記拡大フロー・キャビティに入る流れを防止することを目的として、前記弁シールに対しての閉位置で前記可動弁要素を維持するために前記可動弁要素に付勢力を加えるように構成されたばねであって、前記可動弁要素が、前記加圧流体源に由来する前記流体により、前記ばねにより前記可動弁要素に対して加えられる前記付勢力に打ち勝つ対抗力を前記可動弁要素に対して加えるようにする、前記吸引流路内の絶対圧力の前記低下に反応して、前記閉位置から、前記弁シールから離れて前記拡大フロー・キャビティ内にある開位置まで、変位させられるように、構成され、それにより、前記加圧流体源に由来する前記流体の、前記弁シールを通ってさらに前記拡大フロー・キャビティを通って前記吸引流路の中に入る流れを可能にする、ばねと
を備え、
前記ばねにより前記可動弁要素に対して加えられる前記付勢力、前記加圧流体源に由来する前記流体によって加えられる前記対抗力、および、前記可動弁要素の質量が、前記閉位置と前記開位置との間で前記可動弁要素を振動させることになるように、選択される、
請求項30から35のいずれか一項に記載の吸引システム。
【請求項40】
前記受動圧力振動組立体が:
前記弁シールと前記加圧流体源との間に配設されたプランジャ・キャビティと;
前記プランジャ・キャビティ内に摺動可能に配設されたプランジャ・ヘッドであって、前記プランジャ・ヘッドが、前記プランジャ・ヘッドを通って延在するチャンネルを有し、その結果、前記弁シールが、前記加圧流体源と前記プランジャ・キャビティとの間の圧力を均等化するために前記加圧流体源に流体的に結合される、プランジャ・ヘッドと;
前記可動弁要素をストップから離して維持するために前記プランジャ・ヘッドに付勢力を加えるように構成された別のばねと
をさらに備え、
前記吸引流路内の絶対圧力の前記低下に反応して前記可動弁要素に対して前記対抗力を加える前記加圧流体源に由来する前記流体が、前記プランジャ・キャビティ内に存在し;
前記プランジャ・キャビティから前記弁シールを通ってさらに前記拡大フロー・キャビティを通って前記吸引流路の中に入る前記流体の流れが、前記加圧流体源からの流体により、前記別のばねにより前記プランジャに対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を前記プランジャに対して加え、その結果、前記プランジャが前記ストッパーに当接されるまで、前記プランジャ・ヘッドが前記プランジャ・キャビティ内で変位させられ、それにより、前記プランジャ・キャビティから前記弁シールを通ってさらに前記拡大フロー・キャビティを通って前記吸引流路の中に入る前記流体の流れを防止し、前記ばねにより前記可動弁要素に対して加えられる前記付勢力により、前記開位置から前記閉位置へ戻すように前記可動弁要素を変位させるのを可能にし;
前記受動圧力振動組立体が、前記弁シールと前記プランジャ・キャビティとの間に流体的に結合された縮小プロフィールの中央キャビティをさらに備え、前記プランジャ・ストップが、前記縮小プロフィールの中央キャビティに隣接する前記プランジャ・キャビティの壁によって形成される、
請求項39に記載の吸引システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療デバイスおよび血管内医療処置(intravascular medical procedure)に関し、より詳細には、例えば患者の脈管構造からの凝血塊などの、解剖学的構造からの物体を吸引するのに使用されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
他の組織にダメージを与えないようにするために、可能な限り最小侵襲的に身体から組織を除去することがしばしば所望される。例えば、脈管構造内から血餅などの組織を除去することは、患者の状態および生活の質を向上させることができる。
【0003】
多くの血管系の問題が血管を通る血流が不十分であることを原因とする。血流が不十分または不規則になることの1つの原因は、血餅または血栓と称される血管内の障害物である。血餅または血栓は、患者の脈管構造に塞栓症を引き起こして患者の脈管構造内に塞栓を形成し得る。血栓は多くの理由で発生し得るものであるが、これには、アテローム疾患による動脈壁へのダメージ、手術により生じる外傷などがあり、または他の原因もある。
【0004】
血栓が形成されると、血栓がその形成領域を通る血液の流れを効果的に停止させる可能性がある。場合によってはこのような血栓は血液ストリーム中に無害に溶解する。しかし、それ以外の場合では、このような血栓が血管内に留まる可能性があり、そこで、血栓が血液の流れを部分的にまたは完全に塞ぎ得る。部分的にまたは完全に塞がれた血管が、例えば、脳、肺、または心臓などの、影響を受けやすい組織に血液を供給する場合、重篤な組織損傷が起こり得る。例えば、頭蓋内の重要な神経中枢への酸素供給が不十分であることを理由として、頸動脈のうちの1つの頸動脈の血栓症が脳卒中を引き起こし得る。別の例として、冠動脈のうちの1つの冠動脈が100%の血栓症である場合、血液の流れがこの動脈内で停止され、それにより、例えば心臓壁の筋肉(心筋層)に供給されるための、酸素を運ぶ赤血球が不足する。酸素不足により筋活動が低減されるかまたは妨げられ、胸痛(狭心症)を発生させ得、さらには、心筋層の壊死に繋がり得、それにより、心臓に一定程度の永久的な障害が残る。心筋細胞の壊死が広範囲である場合、心臓が身体の生命維持に必要な量を供給するのに十分な血液を圧送することができなくなる。実際、米国の心臓発作を患う120万を超える人のうちのかなりのパーセンテージが、冠動脈内に形成された血餅(血栓)を原因とする。
【0005】
脳卒中に繋がるような血管閉塞物などの血管閉塞物の徴候が現れると、結果として起こる組織損傷を低減または排除するために迅速な処置をとるべきである。実際に、臨床データにより、転帰を改善するためには凝血塊の除去が有利である可能性があり、さらには必須である可能性もある、ことが示されている。例えば、末梢血管系では、凝血塊の除去が切断術の必要性を80%低減することができる。動脈系または静脈系のこれらの状態を治療するためのすべての物理療法の最終目標は、迅速に、完全に、かつ高コスト効率に、障害物を除去すること、つまり再開通することである。1つの手法は、血栓溶解薬を用いて患者を治療することである。しかし、これらの薬物は迅速に患者から凝血塊を溶解させるわけではなく、一般に、凝血塊による症状が現れた後の通常は2~3時間である所定の限定期間(window)の後では効果が出ない。他の手法には血栓摘出が伴われ、つまり、吸引、機械的な回収、またはその組み合わせによる、凝血塊の除去が伴われる。機械的な回収には、通常、ステント・リトリーバーなどの配置可能なメッシュ状の格子が伴われることから、機械的な回収は実施するのにしばしば複雑で危険なものとなる。
【0006】
吸引血栓摘出は一般に、特には虚血性脳卒中の事例において、血管から凝血塊を除去するための、効果的でありかつよく利用されている治療法である。一般的な血管内の吸引血栓摘出処置では、カテーテルの遠位端が凝血塊の直近の近位側にくるまでカテーテルが患者の脈管構造の中に導入され、カテーテルの近位端に真空が適用され、それにより、凝血塊の少なくとも一部がカテーテルの中に吸い込まれて、その後除去される。多くの吸引システムで、カテーテルの遠位端のところにある吸引導管に比して吸引される凝血塊が過度に大きい場合に、先端部が塞がれるという事象が起こりやすい。虚血性脳卒中での血管内の血栓摘出のための現況技術は静的充填(static loading)を利用するものである。先端部が塞がれるという事象が起こると、システム内の圧力が、システム内の吸引物の蒸発またはキャビテーションをしばしば引き起こすレベルまで、急激に低下する。その結果、水蒸気がシステムの中に入り、それにより吸引の効率が低下し、さらにそれにより、カテーテルの中へ凝血塊を吸い込むことが不可能ではないにしてもより困難となる。
【0007】
一部の事例では、吸引導管に動的にまたは周期的に充填を施すことにより閉塞物が分裂され得るかまたは吸引導管を通るように強制的に押し込まれ得る。これは、閉塞性の凝血塊を吸い込むために圧力のパルス化を利用することを伴う。吸引導管に周期的に充填を施す1つの方法が、主ストリーム・フローをブロックすることにより圧力のパルス化を達成するのに周期的に作動する弁または同様の構成を使用する。通常、これは手動で行われるか、または、指定の時間間隔でポンプへの吸引流れをブロックする電気機械式の弁または空気圧弁を介して行われる。一部の例では、弁を作動させるタイミングを決定するための手段として圧力感知フィードバックが提案されている。Simon S,Grey CP,Massenzo Tらの「Exploring the efficacy of cyclic vs static aspiration in a cerebral thrombectomy model:an initial proof of concept study」Journal of NeuroInterventional Surgery,2014;6:677-683、および、PCT公開WO2014151209A8で説明されている1つの周期的な充填方法が、吸引導管に対しての真空の適用に反応して自動で振動パルス・モードにされる通気機構を採用している。しかし、これらの方法は、吸引導管が塞がれていること(これにより、手動で吸引処置を実施する場合には使用者が邪魔されることなる)の判明に反応して吸引導管に周期的に充填を施すのに、または、吸引導管に対しての真空の適用の直後に吸引導管に周期的に充填を施すのに、使用者の介入を必要とし、したがって、自由流れ中(つまり、吸引導管が塞がれてない場合)の吸引処置の効率を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、開示される発明の好適な実施形態のデザインおよび有用性を示しており、ここでは、同様の要素が共通の参照符号で示される。図が正確な縮尺ではないこと、および、複数の図を通して同様の構造または機能の要素が類似の参照符号によって示されることに留意されたい。さらに、図が実施形態の説明を支援することのみを意図されることに留意されたい。これらの図は本発明を包括的に説明するものであることを意図されず、また、本発明の範囲を限定するものであることも意図されず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物のみによって定義される。加えて、開示される発明の示される実施形態は示されるすべての態様または利点を有する必要はない。さらに、開示される発明の特定の実施形態と併せて説明される態様または利点は必ずしもこの実施形態のみに限定されず、示されない場合でも任意の他の実施形態で実施され得る。
【0009】
開示される発明の上で言及した利点および対象ならびに他の利点および対象を達成する方法をより良好に理解できるようにするために、簡単に上で説明した開示される発明のより具体的な説明を、添付図面に示される本発明の具体的な実施形態を参照しながら、行う。これらの図面が本発明の典型的な実施形態のみを描いており、したがって本発明の範囲を限定するものとしてみなされないことの理解の上で、添付図面を使用して本発明をより具体的かつ詳細に描写および説明する。
【0010】
図1】本発明に従って構築された吸引システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図1の吸引システム内で使用される例示の吸引カテーテルを示す平面図である。
図3】患者の脈管構造から血管閉塞物を吸引するのに使用される図2の吸引カテーテルの遠位端を示す平面図である。
図4】加圧流体源と図1の吸引システム内に作られた吸引流路との間の負圧力差(negative pressure differential)を経時的に示すタイミング図である。
図5図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体(passive pressure oscillation assembly)の一実施形態を示すブロック図である。
図6図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示すブロック図である。
図7図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体のさらに別の実施形態を示すブロック図である。
図8A】閉位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の一実施形態を示す平面図である。
図8B】開位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、図8Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
図9A】閉位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示す平面図である。
図9B】開位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、図9Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
図10A】第1の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示す平面図である。
図10B】第2の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、図10Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
図10C】第3の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、図10Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
図10D】第4の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、図10Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
図11A】閉位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示す平面図である。
図11B】開位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、図11Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
図12】患者の脈管構造から血管閉塞物を吸引するための、図1の吸引システムを動作させる一方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図1を参照して、開示される発明に従って構築された血管閉塞物吸引システム10の一実施形態を説明する。血管閉塞物吸引システム10が、概して、吸引カテーテル12、吸引源14、加圧流体源16、組織収集容器18、およびマニホルド20を備える。
【0012】
さらに図2および3を参照すると、吸引カテーテル12が、細長いカテーテル・ボディ22、および、カテーテル・ボディ22の近位端28と遠位端30との間でカテーテル・ボディ22を通って延在する吸引導管24(図3で想像線で示される)を備える。吸引カテーテル12の近位端28が患者1の外部に留まり、血管閉塞物吸引システム10の使用時に手術者にとってアクセス可能であり、対して、カテーテル・ボディ22の遠位端30が、図3に最良に示されるように、患者の脈管構造1の遠隔のロケーションにある血管閉塞物2(例えば、凝血塊)に到達するようにサイズ決定および寸法決めされている。吸引カテーテル12が、吸引カテーテル12の吸引導管24に連通された遠位側入口ポート32を備え、吸引カテーテル12により血管閉塞物2が遠位側入口ポート32の中に吸い込まれる。
【0013】
吸引カテーテル12が、多様な構成および/または性質を有する複数の領域をその長さ方向に沿って有することができる。例えば、カテーテル・ボディ22の遠位側部分が、カテーテル・ボディ22の遠位側部分のプロフィールを縮小することを目的としておよび蛇行性の脈管構造内でのナビゲーションを支援することを目的として、カテーテル・ボディ22の近位側部分の外径より小さい外径を有することができる。さらに、カテーテル・ボディ22の遠位側部分が、カテーテル・ボディ22の近位側部分より高い可撓性を有することができる。概して、カテーテル・ボディ22の近位側部分が、カテーテル・ボディ22の遠位側部分より高い剛性を有する材料から形成され得、その結果、近位側部分が患者の脈管構造1を通って前進するのに十分な押し込み性(pushability)を有するようになり、対して、遠位側部分がより高い可撓性を有する材料で形成され得、その結果、遠位側部分が可撓性を維持することができ、脈管構造1の蛇行性領域内の遠隔のロケーションにアクセスするためにガイドワイヤをより容易に辿ることができるようになる。カテーテル・ボディ22が、ポリエチレン、ステンレス鋼、または他の適切な生体適合性材料、あるいはその組み合わせなどの、適切なポリマー材料、金属、および/または合金から構成され得る。いくつかの例では、カテーテル・ボディ22の近位側部分が、カテーテル・ボディ22の押し込み性を向上させるために編組層またはコイル層などの補強層を有することができる。カテーテル・ボディ22が、カテーテル・ボディ22の近位側部分と遠位側部分との間にある移行領域を有することができる。
【0014】
再び図1を参照すると、吸引源14が、例えば、吸引カテーテル12の吸引導管26内に低い圧力を発生させるように構成された従来のポンプ(例えば、回転羽根ポンプ、膜ポンプ、蠕動ポンプ、またはベンチュリ・ポンプ)またはシリンジであってよい。この低い圧力が周囲空気圧力より低く、したがって、吸引カテーテル12の吸引導管26内の血管閉塞物2を吸引することができる真空であるとみなされ得る。血管閉塞物2は吸引カテーテル12の中に一体に吸い込まれ得るか、または、複数の細片へと分割されて吸引カテーテル12の中へ細片ごとに吸い込まれ得る。動作中、吸引源14が吸引カテーテル12にベース・レベルの真空を提供する。この真空レベルは組織を吸引するために使用者により必要に応じて制御および調整され得る。組織除去処置中の任意の所与の時間にわたって、使用者が真空のレベルを一定に設定することができるかまたは真空レベルを変化させることができる。
【0015】
加圧流体源16が、例えば、塩水などの液体を含むリザーバ(例えば、塩水点滴バッグ)、または周囲空気であってよい。流体源16が、吸引源14の動作時に吸引カテーテル12の吸引導管24内で達成される最も低い真空レベルより高い圧力を流体に有させるような程度まで加圧される、ことを認識されたい。したがって、示される実施形態の流体源16が低い圧力下(つまり、周囲圧力または1つの絶対大気圧)にある可能性がある場合でも、流体源16が、吸引源14の動作中に吸引カテーテル12の吸引導管24の受ける圧力を基準として加圧される。組織収集容器18が、吸引した組織を無菌で収集および廃棄するのを可能にするために排出ラインを介して吸引源14に流体連通される任意適切な入れ物であってよい。別法として、組織収集容器18が、吸引源14と吸引カテーテル12との間に位置してよい。
【0016】
吸引カテーテル12、吸引源14、加圧流体源16、および組織収集容器18が、本質的に従来通りであってよい。
【0017】
対照的に、マニホルド20は非従来的なものであり、ゼロ流量状態または低流量状態中(例えば、血栓2が吸引カテーテル12の吸引導管24を塞いでいるかまたは他にはシステム10の吸引回路内に流れの異常(flow anomaly)が存在する場合)は吸引カテーテル12による血栓2の吸い込みを支援し、対して、自由流れ状態中(例えば、吸引導管24が塞がれておらずにシステム10の吸引回路が意図される通りに動作している場合)は吸引プロセスの効率を最大にする、ようなかたちで、吸引カテーテル12と、吸引源14と、加圧流体源16との間にインターフェースを提供する。
【0018】
マニホルド20が、吸引カテーテル12から吸引源14まで吸引流路46を形成するようにするための、吸引カテーテル12に結合された吸引入口36および吸引源14に結合された吸引出口38、ならびに、加圧流体源16に結合されたリリーフ入口40を備える。マニホルド20が、従来のカテーテル(図示せず)の使用を介して、吸引カテーテル12、吸引源14、および加圧流体源16に結合され得るか、または別法として、コネクタを使用することなく、吸引カテーテル12、吸引源14、および加圧流体源16に一体化され得る。マニホルド20が、リリーフ入口40と吸引流路46との間に結合された受動圧力振動組立体44をさらに備える。重要なこととして、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の吸引導管24に動的に充填を施すように(つまり、真空レベルを迅速に変化させるように)、および、特には、ゼロ流量状態または低流量状態中のみに吸引導管24に周期的に充填を施すように、構成される。受動圧力振動組立体44は、ユーザーの入力なしで、および電子センサを使用することなく、これを達成する。さらに、受動圧力振動組立体44は非常にコンパクトに作られ得、その結果、大きさをほとんど増すことなく受動圧力振動組立体44がマニホルド20内に嵌め込まれ得る。受動圧力振動組立体44が、単純にリリーフ入口40をブロックすることが不可能となり得る。
【0019】
この目的のために、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿う流体連通を防止する通常モード(結果として、吸引流路46内の絶対圧力が比較的一定に留まり、吸引源14のみの作用を受ける)と、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿う流体連通をパルス化する振動モード(結果として、吸引流路46内の絶対圧力が所定の振動数の範囲内で振動する)と、の間で動作させられるように構成される。受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物あるいは他にはシステム10の吸引導管内の流れの異常に反応して通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されるように、さらに逆に、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物が除去されるかまたは取り除かれることあるいは他にはシステム10の吸引回路内の流れの異常が解消されることに反応して振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動されるように、構成される。示される実施形態では、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通のパルス化が、所定の振動数で圧力パルスを吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させる。同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通のパルス化が流体逆流を吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させる。
【0020】
受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿う流体連通を所定の振動数でパルス化するように設計され得、その結果、吸引流路46内の絶対圧力がこの所定の振動数で振動する。一実施例として、受動圧力振動組立体44により吸引流路46内で誘発される圧力振動の所定の振動数が吸引カテーテル12の吸引導管24内の流体柱の自然共振に適合することができ、その結果、吸引流路46から吸引カテーテル12の吸引導管24までのエネルギー伝達およびひいては吸引カテーテル12の吸引導管24に沿う圧力パルスの伝播が最大化される。別の実施例として、受動圧力振動組立体44により吸引流路46内で誘発される圧力振動の所定の振動数が、吸引カテーテル12によって吸い込まれることが予期される血栓2の粘弾性特性に基づいて、選択され得る。つまり、より高い粘性(softer consistency)を有する閉塞性の血栓2は、相対的に低い振動数のかつ高振幅の振動に反応して、解離(maceration)しやすくなり得、次いで吸い込まれやすくなり得、対して、より低い粘性(harder consistency)を有する閉塞性の血栓2は、相対的に高い振動数のかつ低振幅の振動に反応して、解離しやすくなり得、次いで吸い込まれやすくなり得る。
【0021】
受動圧力振動組立体44の振動が、任意選択で、音を発散させることができ、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物が発生することの、使用者に対しての自動音声信号として機能することができる。任意選択の実施形態では、受動圧力振動組立体44が、2つ以上の異なる振動数で同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するように設計され得る。例えば、血栓2の物質特性の種類の決定が既知とはならないことを理由として、相対的に高い振動数および相対的に低い振動数において同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化することが所望される可能性があり、その結果、吸引カテーテル12の吸引導管24内の圧力プロフィールが低振動数および高振動数の振動の合成となる。
【0022】
示される実施形態では、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の異なる流れ状態の間の相関関係および吸引流路46内で得られる流体圧力レベルを利用する。具体的には、吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が存在するかまたは他にはシステム10の吸引回路内に流れの異常が存在する状態であるゼロ流量状態または低流量状態の事例では、吸引流路46内の真空が急激に増大し(つまり、吸引流路46内の絶対圧力が急激に低下する)、それにより外部の周囲圧力と吸引流路46との間の負圧力差を非常に高いレベルにまで増大させ(例えば、少なくとも-55kPa)、それにより、受動圧力振動組立体44による介入がない場合には、吸引流路46内で吸引物の蒸発またはキャビテーションをさらに引き起こす可能性がある(例えば、このような負圧力差が-95kPa未満である場合)、ことが見込まれる。対照的に、吸引カテーテル12が塞がれないかまたは他にはシステム10の吸引回路内の流れの異常が解消された状態である自由流れ状態の事例では、吸引流路46内の真空がより低いレベル(例えば、-50kPa未満)まで急激に低下し(つまり、吸引流路46内の絶対圧力が急激に増大し)、それにより外部の周囲圧力と吸引流路46との間の負圧力差がより低いレベルまで低下する、ことも見込まれる。受動圧力振動組立体44が、通常モードと振動モードとの間の切り換え時にこれらの負圧力差を変換(key off)する。
【0023】
この目的のために、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16に流体連通された入口ポート50(図5に示される)と、吸引流路46に流体連通された出口ポート52(図5に示される)とを備え、その結果、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46内の流体との間の負圧力差に晒される。受動圧力振動組立体44が、この負圧力差に基づいて、通常モードから振動モードへのおよびその逆の振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動される。
【0024】
具体的には、受動圧力振動組立体44は、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれているかまたは他にはシステム10の吸引回路が流れの異常(ゼロ流量状態または低流量状態)を受けている場合に吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差と相関性がある、作動用の負圧力差(negative activation pressure differential)を受動圧力振動組立体44の入口ポート50と出口ポート52との間に作り出すような吸引流路46内の絶対圧力の低下に反応して、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されるように設計され、さらに逆に、受動圧力振動組立体44は、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれていないかまたはシステム10の吸引回路が意図される通りに動作している(自由流れ状態)場合に吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差と相関性がある、停止用の負圧力差(negative cessation pressure differential)を受動圧力振動組立体44の入口ポート50と出口ポート52との間に作り出すような吸引流路46内の絶対圧力の増大に反応して、振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動されるように設計される。
【0025】
加圧流体源16が外部の周囲圧力である事例では、ゼロ流量状態または低流量状態中、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差が、実質的に、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差とは既知のオフセット量で異なるようになり、同様に、自由流れ状態中、受動圧力振動組立体44の停止用の負圧力差が、実質的に、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差とは既知のオフセット量で異なるようになる。こうすることで、受動圧力振動組立体44が、時間的に変化する周囲の外部環境に対して自己較正するように構成され得る。
【0026】
この事例では、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差の設計の範囲が、受動圧力振動組立体44が通常モードから振動モードへの切り換えを行うように迅速に起動されることになるが作動中におよび吸引カテーテル12の遠位端30の中への血栓2の積極的かつ生産的な吸い込み中に通常モードから振動モードへの切り換えを行うように受動圧力振動組立体44を起動する程度には低くないような-55kPaの上限値を有することができ、さらには、吸引流路46内の流体(つまり、37℃の血液)の沸点に到達しないのを保証するための-95kPaの下限値を有することができる。しかし、受動圧力振動組立体44が、-55kPaから-95kPaの範囲内の任意のところにある作動用の負圧力差を有するように設計されてもよい。受動圧力振動組立体44の停止用の負圧力差は、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差を基準として設計されるべきであり、好適には、作動用の負圧力差より有意に低く(例えば、作動用の負圧力差より10kPa~25kPaの範囲で大きい)、その結果、受動圧力振動組立体44にヒステリシスが組み込まれる。こうすることで、吸引カテーテル12が自由流れ状態になるまで、受動圧力振動組立体44により吸引流路46内で誘発される圧力振動が受動圧力振動組立体44を不注意に起動して通常モードに戻すことがなくなる。低共振振動数のシナリオでは、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差が等しい可能性があり、このような事例では、吸引源18によって引き起こされる吸引流路46内の絶対圧力の低下に反応して通常モードから振動モードへの切り換えを行うために、吸引流路46内の負圧力差が増大するごとにその後で受動圧力振動組立体44が再起動されることになる。
【0027】
任意選択の実施形態では、受動圧力振動組立体44が、複数の作動用の負圧力差およびひいては複数の停止用の負圧力差を有するように設計され得る。例えば、受動圧力振動組立体44が、例えば-50kPaである第1の作動用の負圧力差を有するように設計され得、その結果、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれる前に吸引カテーテル12の遠位端30の中へ血栓2を吸い込むのを支援するために通常モードから相対的に高速である振動モードへの切り換えを行うように起動される。相対的に高速である振動モードでの受動圧力振動組立体44の動作が、高振動数であるが低ボリュームであるパルスを吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させることができ、それにより、体積流量を過度に妨げることなく血栓2の吸い込みを支援することができる。受動圧力振動組立体44が、例えば-55kPaである第2の作動用の負圧力差を有するようにさらに設計され得、その結果、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の遠位端30内の閉塞性の血栓2を取り除くのを支援するために相対的に低速である振動モードで動作するように起動される。相対的に高速である振動モードでの受動圧力振動組立体44の動作が、吸引カテーテル12の遠位端30から閉塞性の血栓2を取り去る試みにおいて、低振動数であるが高ボリュームであるパルスを吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させることができる。したがって、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30を塞ぐことなく吸い込まれる場合、受動圧力振動組立体44の相対的に高速である振動モードのみが起動され、対して、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30を塞いでいる場合には受動圧力振動組立体44の相対的に低速である振動モードのみが起動される。
【0028】
加圧流体源16が吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力とは有意に異なる圧力を有することができ、この事例では、ゼロ流量状態または低流量状態中では、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差が、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける周囲の外部環境との間の負圧力差とは有意に異なるようになり、同様に、自由流れ状態中では、受動圧力振動組立体44の停止用の負圧力差が、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける周囲の外部環境との間の負圧力差とは有意に異なるようになることを認識されたい。この後者の事例では、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差および停止用の負圧力差を設計するとき、この違いが考慮され得る。例えば、加圧流体源16が外部の周囲圧力より有意に高い圧力を有する場合、受動圧力振動組立体44が、受動圧力振動組立体44の入口ポート50が受けることになるより高い流体圧力を考慮に入れるためにより大きい作動用の負圧力差および停止用の負圧力差を有するように設計されなければならない。
【0029】
一実施例として、図4を参照すると、吸引源14が最初に作動され、その結果、吸引カテーテル12が任意の時間tおよびtの間で自由流れ状態となり、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差(この事例では、受動圧力振動組立体44の入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差)が自由流れ時の負圧力差となり、ここでは、吸引カテーテル12が血液のみを吸い込む。この時間では、受動圧力振動組立体44が通常モードに留まる。こうすることで、自由流れ状態中、システム10の吸引効率が最大化される。
【0030】
任意の時間tおよびtの間では、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30の中に積極的に吸い込まれ、その結果、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が自由流れ時の負圧力差未満まで低下するが、これは受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差(塞がれた吸引カテーテル12またはシステム10の吸引導管内の流れの異常を示すゼロ流量状態または低流量状態のために設計される)未満ではない。任意の時間tおよびtでは、受動圧力振動組立体44が通常モードに留まる。
【0031】
しかし、任意の時間tでは、吸引カテーテル12が血栓2で塞がれ、それにより、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、示される事例では-75kPaである作動用の負圧力差未満のレベルにまで、急激に低下する。したがって、任意の時間tではまたは任意の時間tの直後では、塞がれた吸引カテーテル12(ゼロ流量状態または低流量状態)が、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように受動圧力振動組立体44を起動し、それにより、吸引流路46内で圧力振動が起こり、それにより、圧力パルスが吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播し、それにより、任意の時間tにおいて吸引カテーテル12の遠位端24において閉塞性の血栓2を取り除くのを支援する。吸引カテーテル12の遠位端24の閉塞性の血栓2を取り除くことにより、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、示される事例では-50kPaである停止用の負圧力差を超えるレベルにまで急激に増大する。したがって、任意の時間tではまたは任意の時間tの直後では、障害物のない吸引カテーテル12(自由流れ状態)が、振動モードから通常モードへの切り換えを行うように受動圧力振動組立体44を起動し、それにより、吸引流路46内の圧力振動を停止させ、それにより、吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播する圧力パルスを停止させる。
【0032】
受動圧力振動組立体44が複数の振動モード(例えば、高振動数の振動モードおよび低振動数の振動モード)で動作するような任意選択の実施形態では、受動圧力振動組立体44が任意の時間tと任意の時間tとの間で高振動数の振動モードで動作させられ得、その結果、吸引カテーテル12の遠位端30の中への血栓2の積極的な吸い込みが、吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播する高振動数であるが低ボリュームである圧力パルスによって支援され、さらに、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30を塞いでいる場合では、受動圧力振動組立体44が任意の時間tと任意の時間tとの間で低振動数の振動モードで動作させられ得、その結果、吸引カテーテル12の遠位端30から閉塞性の血栓2を取り除くことが、吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播する低振動数であるが高ボリュームである圧力パルスによって支援される。
【0033】
図5を参照すると、受動圧力振動組立体44が、圧力作動弁54および流体共振装置56(例えば、液圧共振装置または空気圧共振装置)を備える。圧力作動弁54が、入口ポート50と出口ポート52との間に作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下(例えば、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物を示す)に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大(例えば、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物が除去されたかまたは取り除かれたことを示す)に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。流体共振装置56が、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れに反応して、所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れの阻止に反応して共振を停止するように構成される。
【0034】
一実施形態では、圧力作動弁54および流体共振装置56が互いに機械的に結合される。この実施形態では、機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56が開放および共振の両方の振動数基準を満たすように従属的に設計されなければならないが、圧力作動弁54および流体共振装置56が互いに機械的に結合されることにより、受動圧力振動組立体44の中により容易に実装され得るより単純な機械的デザインが得られる。別の実施形態では、圧力作動弁54および流体共振装置56が互いに機械的に分離されている。この実施形態では、機械的に分離されている圧力作動弁54および流体共振装置56が、開放/閉鎖基準および共振の振動基準を独立して最適化するのを可能にするが、それでも、機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56を有する実施形態の機械的デザインより複雑となり得る機械的デザインが得られる。
【0035】
上で考察したように、受動圧力振動組立体44が、2つの作動用の負圧力差および/または2つの停止用の負圧力差を有するように、ならびに/あるいは、2つの異なる振動数において同時に加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するように、任意選択で設計され得る。
【0036】
代替的実施形態では、流体共振装置56が、吸引流路46を遮断することにより、吸引カテーテル12内の閉塞物に自動で反応して、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化し、その結果、加圧流体源16と吸引流路46と間のパルス化された流体連通が吸引カテーテル12の方に誘導される。
【0037】
図6を参照すると、受動圧力振動組立体44’の代替的実施形態が、並列する2組の圧力作動弁組立体および流体共振装置を備える。具体的には、受動圧力振動組立体44’が、第1の圧力作動弁54a、第1の流体共振装置56a、第2の圧力作動弁54b、および第2の流体共振装置56bを備える。
【0038】
第1の圧力作動弁54aが、入口ポート50と出口ポート52との間に第1の作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下に反応して、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54aを通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に第1の停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。第1の流体共振装置56aが、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54aを通る流体の流れに反応して、第1の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第1の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54aを通る流体の流れの阻止に反応して共振を停止するように構成される。
【0039】
第2の圧力作動弁54bが、入口ポート50と出口ポート52との間に第2の作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下に反応して、加圧流体源16から第2の圧力作動弁54bを通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に第2の停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。第2の流体共振装置56bが、加圧流体源16から第2の圧力作動弁54bを通る流体の流れに反応して、第2の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第2の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から第2の圧力作動弁54bを通る流体の流れの阻止に反応して共振を停止するように構成される。
【0040】
第1および第2の作動用の負圧力差が等しくてよいか(例えば、共に、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物を示す)、または、異なってよい(例えば、一方が、吸引カテーテル12の中への血栓の積極的な吸い込みを示し、もう一方が、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれているのを示す)。第1および第2の停止用の負圧力差が等しくてよい(例えば、共に、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の吸い込みまたは除去を示す)。しかし、代替的実施形態では、第1および第2の停止用の負圧力差が異なってもよい。第1および第2の所定の振動数が等しくてよいか、または異なってよい(例えば、一方が、より低い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に高い振動数であり、もう一方が、より高い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に低い振動数である)。第1の圧力作動弁54aおよび第1の流体共振装置56は互いに機械的に結合されていてもまたは互いから機械的に分離されていてもよく、同様に、第2の圧力作動弁54bおよび第2の流体共振装置56bは互いに機械的に結合されていてもまたは互いから機械的に分離されていてもよい。さらに、第1の圧力作動弁54aおよび第2の圧力作動弁54bが、感知される単一の圧力差の種々のレベルに反応して流体共振装置56a、56bの一方またはもう一方あるいは両方まで流れを分配する複数の出口を有する弁組立体を本質的に形成するために、互いに結合され得る。
【0041】
受動圧力振動組立体44’は図6では並列する2組のみの圧力作動弁組立体および流体共振装置を備えるものとして示されるが、受動圧力振動組立体44’が、別法として、並列する2組より多い組の圧力作動弁組立体および流体共振装置を備えることもできる。
【0042】
図7を参照すると、受動圧力振動組立体44”の別の代替的実施形態が、単一の圧力作動弁54、第1の流体共振装置56a、および第2の流体共振装置56bを備える。
【0043】
圧力作動弁54が、入口ポート50と出口ポート52との間に作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下に反応して、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54を通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大(例えば、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物が除去されたかまたは取り除かれたことを示す)に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。
【0044】
第1の流体共振装置56aが、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れるのに反応して、第1の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第1の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れることが阻止されることに反応して共振を停止するように構成される。第2の流体共振装置56bが、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れるのに反応して、第2の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第2の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れることが阻止されることに反応して共振を停止するように構成される。
【0045】
第1および第2の所定の振動数が等しくてよいか、または異なってよい(例えば、一方が、より低い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に高い振動数であり、もう一方が、より高い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に低い振動数である)。第1の流体共振装置56aおよび第2の流体共振装置56bが、圧力作動弁54から機械的に分離されていてよい。
【0046】
次に図8Aおよび8Bを参照して、受動圧力振動組立体44aの一実施形態を説明する。受動圧力振動組立体44aが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル60と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル62とを備える。受動圧力振動組立体44aが、入口チャンネル60を介して入口ポート50に流体的に結合されるシート64の形態の弁シールと、弁シート64に動作可能に連結された弁ディスク66の形態の可動弁要素と、出口チャンネル62および出口ポート52を介して弁シート64と吸引流路46と間に流体的に結合された拡大フロー・キャビティ68と、をさらに備える。弁ディスク66が、この事例では弁シート64内において、弁シート64に対して密閉状態を形成するための閉位置(図8Aを参照)と、この事例では弁シート64の外部において、弁シート64から離れる開位置(図8Bを参照)と、の間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44aが、後でさらに詳細に説明されるように、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44aが起動されるまで、弁ディスク66を弁シート64内の閉位置で維持するようなかたちで弁ディスク66に付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ68内に添着されて弁ディスク66に機械的に結合される復元ばね70をさらに備える。
【0047】
弁ディスク66および弁シート64が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、低い台形形状断面)を有し、その結果、弁ディスク66が、弁シート64内の閉位置にあるとき(図8Aを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル60の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ68の中に入る流れを防止するために弁シート64に対して密閉状態を形成する。拡大フロー・キャビティ68が弁ディスク66の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ディスク66が、弁シート64の外部であり拡大フロー・キャビティ68内にある開位置にあるとき(図8Bを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル60の中に導入された流体)が拡大フロー・キャビティ68の中に入ってさらには出口チャンネル62を通って出口ポート52を介して吸引流路46の中に入るのを可能にする。
【0048】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル60)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ68)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、入口チャンネル60内の流体が、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ディスク66に加えることになる。その結果、弁ディスク66が閉位置(図8Aを参照)から開位置(図8Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44aの作動用の負圧力差は、入口チャンネル60内の流体に晒される弁ディスク66の面積と(弁ディスク66の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、復元ばね70のばね定数(復元ばね70のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とによって決定されることになる。したがって、弁ディスク66の露出面積および復元ばね70のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44aの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0049】
受動圧力振動組立体44aは、弁ディスク66が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44aを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ディスク66が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44aが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0050】
具体的には、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力、入口チャンネル60内の流体により弁ディスク66に対して加えられる対抗力、および、弁ディスク66の質量は、所定の振動数(例えば、100Hz~400Hzの範囲)で閉位置と開位置との間で弁ディスク66を振動させるように、選択される。
【0051】
つまり、弁ディスク66が最初に完全な開位置に到達するとき、入口チャンネル60から弁シート64を通って拡大フロー・キャビティ68の中まで流れる流体により弁ディスク66に対して加えられる対抗力が、復元ばね70によって加えられる付勢力が弁ディスク66に加えられる対抗する流体力および弁ディスク66の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ディスク66が開位置から弁シート64内の閉位置(図8Aを参照)に戻るように変位させられる。この時点で、加圧流体源16から吸引流路46の中への流体の一時的な流れにより(入口ポート50と、入口チャンネル60と、弁シート64と、拡大フロー・キャビティ68と、出口チャンネル62と、出口ポート52とを介する)、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が増大する。しかし、この時点で弁ディスク66が閉位置にありそれにより加圧流体源16から吸引流路46までの流体の流れを防止していることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差に到達するまで低下し、それにより、入口チャンネル60内の流体により弁ディスク66に加えられる対抗力が、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力に打ち勝つレベルまで増大する。その結果、弁ディスク66が閉位置から開位置(図8Bを参照)に戻るように変位させられる。このように、弁ディスク66が、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物を除去するかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常を解消するまで、閉位置(図8Aを参照)と開位置(図8Bを参照)との間で継続的に交互に変位させられる。
【0052】
弁ディスク66が振動するときの振動数は、弁ディスク66の質量(弁ディスク66の質量が増大するにつれて振動の振動数が低下する)、復元ばね70のばね定数(復元ばね70のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、および、弁シート64の長さ(弁シート64の長さが縮小するにつれて振動の振動数が増大する)、さらには、弁シート64と弁ディスク66との間の摩擦の減衰効果、および、入口チャンネル60から弁シート64を通って拡大フロー・キャビティ68の中まで流れる流体の弁ディスク66に対して加えられる動的な力(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、弁シート64と弁ディスク66との間の摩擦および入口チャンネル60から弁シート64を通って拡大フロー・キャビティ68の中に入る流体流れに付随の圧力低下が弁ディスク66に対して有する減衰効果を考慮に入れて、弁ディスク66の質量、復元ばね70のばね定数、弁シート64の長さ、および、ばね70の圧縮前の長さを適切に選択することにより、弁ディスク66が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44aの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル60、および出口チャンネル62の設計サイズおよび幾何形状を変化させることにより、調整され得る。
【0053】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル60)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ68)との間の停止用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が入口チャンネル60内の流体により弁ディスク66に対して加えられるのを防止する。つまり、弁ディスク66が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、復元ばね70によって加えられる付勢力が弁ディスク66を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44aが、振動モードから通常モードへ戻る切り換えを行うように起動されている。
【0054】
図8Aおよび8Bに示される受動圧力振動組立体44aが、接続形態に関して、互いに機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56(図5に示される)を備えることに留意されたい。つまり、弁シート64および可動弁ディスク66が圧力作動弁54を形成し、対して、弁ディスク66、拡大フロー・キャビティ68および復元ばね70が流体共振装置56を形成し、ここでは、圧力作動弁54および流体共振装置56が弁ディスク66を介して互いに機械的に結合されている。この実施形態では、弁ディスク66が圧力作動弁54および流体共振装置56の両方の一部分を形成することを理由として、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差ならびに共振振動数は互いを考慮に入れて設計されなければならず、したがって、独立して最適化され得ない。しかし、受動圧力振動組立体44aの得られるデザインが機械的に単純なものとなり得る。
【0055】
次に図9Aおよび9Bを参照して、受動圧力振動組立体44bの別の実施形態を説明する。受動圧力振動組立体44bが、その中で弁シールを相互作用させるところである可動弁要素を基準として長めの弁シールを備え、その結果、その共振振動数が受動圧力振動組立体44aの場合より大幅に減少する、ということを除いて、受動圧力振動組立体44bは図8Aおよび8Bに示される受動圧力振動組立体44aに類似する。
【0056】
具体的には、受動圧力振動組立体44bが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル80と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル82とを備える。受動圧力振動組立体44bが、入口チャンネル80を介して入口ポート50に流体的に結合される弁シリンダー84の形態の弁シールと、弁シリンダー84に動作可能に連結された弁ディスク86の形態の可動弁要素と、出口チャンネル62および出口ポート52を介して弁シリンダー84と吸引流路46と間に流体的に結合された拡大フロー・キャビティ88と、をさらに備える。弁ディスク86が、弁シリンダー84内を密閉するための閉位置(図9Aを参照)と拡大フロー・キャビティ88内にある開位置(図9Bを参照)との間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44bが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44bが起動されるまで弁ディスク86を弁シリンダー84内の閉位置で維持するようなかたちで弁ディスク86に対して付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ88と出口チャンネル82との間にあるばねキャビティ92内に配設され、弁ディスク86に添着されたボス94を介して弁ディスク86に機械的に結合された、復元ばね90をさらに備える。
【0057】
弁ディスク86および弁シリンダー84が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、本質的に円筒形である)を有し、その結果、弁ディスク86が、弁シリンダー84内の閉位置にあるとき(図9Aを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル80の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ88の中に入る流れを防止するための弁シリンダー84に対して密閉状態を形成する。拡大フロー・キャビティ88が弁ディスク86の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ディスク86が、弁シリンダー84の外部であり拡大フロー・キャビティ88内にある開位置にあるとき(図9Bを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル80の中に導入された流体)が拡大フロー・キャビティ88の中に入ってさらには出口チャンネル82を通って出口ポート52を介して吸引流路46の中に入るのを可能にする。
【0058】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、弁シリンダー84)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ88)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、入口チャンネル80内の流体が、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ディスク86に加えることになる。その結果、弁ディスク86が閉位置(図9Aを参照)から開位置(図9Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44bの作動用の負圧力差は、弁シリンダー84内の流体に晒される弁ディスク86の面積と(弁ディスク86の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、復元ばね90のばね定数(復元ばね90のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とに基づくことになる。したがって、弁ディスク86の露出面積および復元ばね90のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44bの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0059】
受動圧力振動組立体44bは、弁ディスク86が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44bを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ディスク86が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44bが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0060】
具体的には、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力、弁シリンダー84内の流体によって加えられる対抗力、および、弁ディスク86の質量は、所定の振動数(例えば、100Hz~200Hzの範囲)で閉位置と開位置との間で弁ディスク86を振動させるように、選択される。
【0061】
つまり、弁ディスク86が開位置に完全に到達するとき、入口チャンネル80から弁シリンダー84を通って拡大フロー・キャビティ88の中まで流れる流体により弁ディスク86に対して加えられる対抗力が、復元ばね90によって加えられる付勢力が弁ディスク86に加えられる対抗する流体力および弁ディスク86の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ディスク86が開位置から弁シリンダー84内の閉位置(図9Aを参照)に戻るように変位させられる。この時点で、加圧流体源16から吸引流路46の中への流体の一時的な流れにより(入口ポート50と、入口チャンネル80と、弁シリンダー84と、拡大フロー・キャビティ88と、ばねキャビティ92と、出口チャンネル82と、出口ポート52とを介する)、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が増大する。しかし、この時点で弁ディスク86が閉位置にありそれにより加圧流体源16から吸引流路46までの流体の流れを防止していることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差に到達するまで低下し、それにより、弁シリンダー84内の流体により弁ディスク86に加えられる対抗力が、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力に打ち勝つレベルまで増大する。その結果、弁ディスク86が閉位置から開位置(図9Bを参照)まで再び変位させられる。このように、弁ディスク86が、吸引カテーテル12から閉塞物を除去するかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常を解消するまで、閉位置(図9Aを参照)と開位置(図9Bを参照)との間で継続的に交互に変位させられる。
【0062】
弁ディスク86が振動するときの振動数は、弁ディスク86の質量(弁ディスク86の質量が増大するにつれて振動の振動数が低下する)、復元ばね90のばね定数(復元ばね90のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、および、弁シリンダー84の長さ(弁シート64の長さが縮小するにつれて振動の振動数が増大する)、さらには、弁シリンダー84と弁ディスク86との間の摩擦の減衰効果、および、入口チャンネル60から弁シリンダー84を通って拡大フロー・キャビティ88の中まで流れる流体の弁ディスク86に加えられる動的な力(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、弁シリンダー84と弁ディスク86との間の摩擦および入口チャンネル80から弁シリンダー84を通って拡大フロー・キャビティ88の中に入る流体流れが弁ディスク86に対して有する減衰効果を考慮に入れて、弁ディスク86の質量、復元ばね90のばね定数、弁シリンダー84の長さ、および、ばね90の圧縮前の長さを適切に選択することにより、弁ディスク86が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44bの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル80、および出口チャンネル82の設計サイズおよび幾何形状を変化させることにより、調整され得る。
【0063】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、弁シリンダー84)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ88)との間の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が入口チャンネル80内の流体により弁ディスク86に対して加えられるのを防止する。つまり、可動弁シリンダー86が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、復元ばね90によって加えられる付勢力が弁ディスク86を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44bが、振動モードから通常モードへ戻る切り換えを行うように起動されている。
【0064】
図9Aおよび9Bに示される受動圧力振動組立体44bが、接続形態に関して、互いに機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56(図5に示される)を備えることに留意されたい。つまり、弁シリンダー84および弁ディスク86が圧力作動弁54を形成し、対して、弁ディスク86、拡大フロー・キャビティ88、および復元ばね90が流体共振装置56を形成し、ここでは、圧力作動弁54および流体共振装置56が弁ディスク86を介して互いに機械的に結合されている。この実施形態では、弁ディスク86が圧力作動弁54および流体共振装置56の両方の一部分を形成することを理由として、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差ならびに共振振動数は互いを考慮に入れて設計されなければならず、したがって、独立して最適化され得ない。しかし、受動圧力振動組立体44bの得られるデザインが機械的に単純なものとなり得る。
【0065】
次に、図10A~10Dを参照して、受動圧力振動組立体44cの別の実施形態を説明する。受動圧力振動組立体44cが、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物が維持されているかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常が解消されていない限りにおいて受動圧力振動組立体44cを振動モードに留めるのを保証する追加の振動強化機構を備える、ということを除いて、受動圧力振動組立体44cは図6Aおよび6Bに示される受動圧力振動組立体44aに類似する。
【0066】
受動圧力振動組立体44cが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル100と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル102とを備える。受動圧力振動組立体44cが、シート104の形態の弁シールと、弁シート104に動作可能に連結された弁ディスク106の形態の可動弁要素と、出口チャンネル102および出口ポート52を介して弁シート104を吸引流路46に流体的に結合する拡大フロー・キャビティ108と、をさらに備える。弁ディスク106が、この事例では弁シート104内にある、弁シート104に対して密閉状態を形成する閉位置(図10Aおよび10Dを参照)と、この事例では弁シート104の外部にある、弁シート104から離れる開位置(図10Bおよび10Cを参照)と、の間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44cが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44cが起動されるまで弁ディスク106を弁シート104内の閉位置で維持するようなかたちで弁ディスク106に対して付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ108内に配設されて弁ディスク106に機械的に結合された復元ばね110をさらに備える。
【0067】
受動圧力振動組立体44cが、プランジャ・キャビティ114、プランジャ・キャビティ114内に摺動可能に配設されたプランジャ・ヘッド116、縮小プロフィールの中央キャビティ118、プランジャ・キャビティ114と縮小プロフィールの中央キャビティ118との間に配設されたプランジャ・ストップ120、および、プランジャ・ストップ120から離してプランジャ・ヘッド116を維持することを目的としてプランジャ・ヘッド116に付勢力を加えるための、プランジャ・ヘッド116に添着されたボス124を介してプランジャ・ヘッド116に機械的に結合された別の復元ばね122、をさらに備える。示される実施形態では、縮小プロフィールの中央キャビティ118のプロフィールがプランジャ・キャビティ114のプロフィールより小さく、その結果、プランジャ・ストップ120が、縮小プロフィールの中央キャビティ118に隣接するプランジャ・キャビティ114の壁によって形成される。プランジャ・ヘッド116が、プランジャ・ヘッド116を通って延在する流体圧力均等化チャンネル126を有する。プランジャ・キャビティ114が弁シート104とプランジャ・キャビティ114との間に流体的に結合され、その結果、弁シート104が、プランジャ・ヘッド116を通って延在する流体圧力均等化チャンネル126を介して入口ポート50に常に流体連通され、加圧流体源16に由来する流体が縮小プロフィールの中央キャビティ118の中まで流れることができる。したがって、プランジャ・ヘッド116を通って延在する流体圧力均等化チャンネル126が、加圧流体源16と縮小プロフィールの中央キャビティ118との間の圧力を均等化するように機能する。
【0068】
弁ディスク106および弁シート104が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、低い台形形状断面)を有し、その結果、弁ディスク106が、弁シート104内の閉位置にあるとき(図10Aおよび10Dを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介する入口チャンネル100からの、プランジャ・ヘッド116の流体圧力均等化チャンネル126を通って、縮小プロフィールの中央キャビティ118の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ108の中への流れを防止する。拡大フロー・キャビティ108が弁ディスク106の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ディスク106が、弁シート104の外部であり拡大フロー・キャビティ108の内部にある開位置(図10Bおよび10Cを参照)にあるとき、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50および入口チャンネル100からの、流体圧力均等化チャンネル126を介して、プランジャ・キャビティ140の中に導入された流体)の、拡大フロー・キャビティ108に入って出口チャンネル102を通ってさらには出口ポート52を介して吸引流路46に入る流れを可能にする。プランジャ・ヘッド116およびプランジャ・キャビティ114が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、本質的に円筒形である)を有し、加圧流体源16からの流体が、プランジャ・ヘッド116の流体圧力均等化チャンネル126のみを介して縮小プロフィールの中央キャビティ118に入ることができる。
【0069】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、縮小プロフィールの中央キャビティ118)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ108)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、プランジャ・キャビティ114内の流体およびひいては縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体が、復元ばね110により弁ディスク106に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ディスク106に加えることになる。その結果、弁ディスク106が閉位置(図10Aを参照)から開位置(図10Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44cの作動用の負圧力差は、入口チャンネル100内の流体に晒される弁ディスク106の面積と(弁ディスク106の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、復元ばね110のばね定数(復元ばね110のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とに基づくことになる。したがって、弁ディスク106の露出面積および復元ばね110のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44cの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0070】
受動圧力振動組立体44cは、弁ディスク106が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44cを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ディスク106が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44cが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0071】
具体的には、復元ばね110により弁ディスク106に対して加えられる付勢力、縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体によって弁ディスク106に対して加えられる対抗力、および、弁ディスク106の質量は、所定の振動数で閉位置と開位置の間で弁ディスク106を振動させるように、選択される。さらに、プランジャ・キャビティ114内のプランジャ・ヘッド116の動的な変位により、縮小プロフィールの中央キャビティ118から拡大フロー・キャビティ108の中まで流れる流体が弁ディスク106に力を加えるときに弁ディスク106が開位置で固まらないことが保証される。
【0072】
具体的には、弁ディスク106が閉位置から開位置(図10Cを参照)まで変位させられるとき、流体が、プランジャ・ヘッド116の前方のプランジャ・キャビティ114から縮小プロフィールの中央キャビティ118を通ってさらに弁シート104を通って拡大フロー・キャビティ108の中まで流れ、それにより、プランジャ・ヘッド116をプランジャ・キャビティ114内で縮小プロフィールの中央キャビティ118の方に変位させて最終的にプランジャ・ヘッド116をプランジャ・ストップ120に当接させ、追加の流体を、加圧流体源16から、入口ポート50および入口チャンネル100を介してプランジャ・ヘッド116の後方のプランジャ・キャビティ114の中まで、流す。プランジャ・ヘッド116がプランジャ・ストップ120に当接されると、縮小プロフィールの中央キャビティ118から弁シート104を通って拡大フロー・キャビティ108の中まで流れる流体が大幅に減少し、プランジャ・ヘッド116を通る流体圧力均等化チャンネル126を通る流体の流れのみに限定される。したがって、縮小プロフィールの中央キャビティ118から弁シート104を通って拡大フロー・キャビティ108の中まで流れる流体により弁ディスク106に対して加えられる対抗力が、復元ばね110によって加えられる付勢力が弁ディスク106に加えられる対向する流体力および弁ディスク106の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ディスク106が開位置から弁シート104内の閉位置(図10Dを参照)に戻るように変位させられる。縮小プロフィールの中央キャビティ118とプランジャ・キャビティ114との間の流体圧力がプランジャ・ヘッド116を通る流体圧力均等化チャンネル126を介して均等化され、それにより、プランジャ・キャビティ114内の流体によりプランジャ・ヘッド116に加えられる対抗力が、復元ばね122によって加えられる付勢力がプランジャ・ヘッド116に加えられる対抗する流体力およびプランジャ・ヘッド116の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、プランジャ・ヘッド116がプランジャ・キャビティ114内でプランジャ・ストップ120から離れるように変位させられ、そのニュートラル位置(図10Aを参照)に戻る。こうすることで、流体が妨害を受けずに弁シートを通って流れ、このことが特定の状況下で弁ディスクを開けた状態で維持し、それによって閉位置と開位置との間での弁シートの振動を防止することができるような、図8A~8Bに示される受動圧力振動組立体44aさらには図9A~9Bに示される受動圧力振動組立体44aとは異なり、プランジャ・キャビティ114内のプランジャ・ヘッド116の作用が、それ以外の場合では弁ディスク106を弁シート104内のその閉位置に戻すのを防止し得るような弁シート104を通る流体の流れを大幅に減少させることにより、弁ディスク106を開位置内で「動かなくする」のを防止する。
【0073】
弁ディスク106が振動するときの振動数は、プランジャ・キャビティ114内でのプランジャ・ヘッド116が振動するときの振動数に依存し、プランジャ・キャビティ114内でのプランジャ・ヘッド116が振動するときの振動数がさらに、プランジャ・ヘッド116の質量(プランジャ・ヘッド116の質量が増大するにつれて振動の振動数が減少する)、復元ばね122のばね定数(復元ばね122のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、均等化チャンネル126の直径、および、プランジャ・キャビティ114とプランジャ・ヘッド116との間の摩擦の減衰効果、さらには、プランジャ・キャビティ114内の流体圧力の均等化中にプランジャ・ヘッド116のチャンネル流体圧力均等化チャンネル126を通って流れる流体を含めたプランジャ・キャビティ114内の流体の動的な力(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、プランジャ・キャビティ114とプランジャ・ヘッド116との間の摩擦および縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体の動力学がプランジャ・ヘッド116に対して有する減衰効果を考慮に入れて、プランジャ・ヘッド116の質量および復元ばね122のばね定数、ならびに、均等化チャンネル126の直径を適切に選択することにより、弁ディスク106が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44cの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル100、および出口チャンネル102の設計サイズを変化させることにより、調整され得る。
【0074】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル100)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ108)との間に停止用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、ばね100により弁ディスク106に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体により弁ディスク106に対して加えられるのを防止する。つまり、弁ディスク106が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、復元ばね110によって加えられる付勢力が弁ディスク106を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44cが、振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0075】
図8~10に示される受動圧力振動組立体44a~44c内の可動弁要素を弁ディスクとして説明してきたが、可動弁要素が、加圧流体源16に由来する流体がそこを通って流れるのを交互に可能にしたり防止したりするために、対応する弁シールに動作可能に連結され得る任意適切な形態を有することができることを認識されたい。例えば、図11Aおよび11Bを参照すると、可動弁要素がボールの形態をとることを除いて、受動圧力振動組立体44dの代替的実施形態が図8A~8Bの受動圧力振動組立体44aに類似する。
【0076】
具体的には、受動圧力振動組立体44dが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル130と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル132とを備える。受動圧力振動組立体44dが、入口チャンネル130を介して入口ポート50に流体的に結合されたシート134の形態の弁シールと、弁シート134に動作可能に連結された弁ボール136の形態の可動弁要素と、出口チャンネル132および出口ポート52を介して弁シート134と吸引流路46との間に流体的に結合された拡大フロー・キャビティ138と、をさらに備える。弁ボール136が、弁シート134に対して密閉状態を形成するための閉位置(図11Aを参照)と、この事例では弁シート64の外部にある、弁シート64から離れる開位置(図11Bを参照)と、の間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44dが、後でさらに詳細に説明されるように、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44dが起動されるまで、弁ボール136を弁シート134に対しての閉位置で維持するようなかたちで弁ボール136に付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ138内に添着されて弁ボール136に機械的に結合されるばね140をさらに備える。
【0077】
弁ボール136に接触する弁シート134の表面が、好適には、球状プロフィールを有し、その結果、弁ボール136が、弁シート134に対しての閉位置にあるとき(図11Aを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル130の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ138の中への流れを防止するために、弁シート134に対して密閉状態を形成する。拡大フロー・キャビティ138が弁ボール136の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ボール136が、弁シート134から離れて拡大フロー・キャビティ138内にある開位置(図11Bを参照)にあるとき、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル130の中に導入された流体)の、拡大フロー・キャビティ138に入って出口チャンネル132を通ってさらには出口ポート52を介して吸引流路46に入る流れを可能にする。
【0078】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル130)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ138)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、入口チャンネル130内の流体が、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ボール136に対して加えることになる。その結果、弁ボール136が閉位置(図11Aを参照)から開位置(図11Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44dの作動用の負圧力差は、入口チャンネル130内の流体に晒される弁ボール136の面積と(弁ボール136の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、ばね140のばね定数(ばね140のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とに基づくことになる。したがって、弁ボール136の露出面積およびばね140のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44dの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0079】
受動圧力振動組立体44dは、弁ボール136が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44dを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ボール136が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44dが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0080】
具体的には、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力、入口チャンネル130内の流体により弁ボール136に対して加えられる対抗力、および、弁ボール136の質量は、所定の振動数(例えば、320Hz~400Hz)で閉位置と開位置との間で弁ボール136を振動させるように、選択される。
【0081】
つまり、弁ボール136が最初に完全な開位置に到達するとき、入口チャンネル60から弁シート134を通って拡大フロー・キャビティ138の中まで流れる流体により弁ボール136に対して加えられる対抗力が、ばね140によって加えられる付勢力が弁ボール136に加えられる対抗する流体力および弁ボール136の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ボール136が開位置から弁シート134内の閉位置(図11Aを参照)に戻るように変位させられる。この時点で、加圧流体源16から吸引流路46の中への流体の一時的な流れにより(入口ポート50と、入口チャンネル130と、弁シート134と、拡大フロー・キャビティ138と、出口チャンネル132と、出口ポート52とを介する)、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が増大する。しかし、この時点で弁ボール136が閉位置にありそれにより加圧流体源16から吸引流路46までの流体の流れを防止していることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差に到達するまで低下し、それにより、入口チャンネル60内の流体により弁ボール136に加えられる対抗力が、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力に打ち勝つレベルまで増大する。その結果、弁ボール136が閉位置から開位置(図11Bを参照)に戻るように変位させられる。このように、弁ボール136が、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物を除去するかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常を解消するまで、閉位置(図11Aを参照)と開位置(図11Bを参照)との間で継続的に交互に変位させられる。
【0082】
弁ボール136が振動するときの振動数は、弁ボール136の質量(弁ボール136の質量が増大するにつれて振動の振動数が低下する)、および、ばね140のばね定数(ばね140のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、さらには、入口チャンネル130から弁シート134を通って拡大フロー・キャビティ138の中まで流れる流体の弁ボール136に対して加えられる動的な力の減衰効果(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、入口チャンネル130から弁シート134を通って拡大フロー・キャビティ138の中に入る流体流れが弁ボール136に対して有する減衰効果を考慮に入れて、弁ボール136の質量、ばね140のばね定数、弁シート134の長さ、および、ばね140の圧縮前の長さを適切に選択することにより、弁ボール136が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44aの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル130、および出口チャンネル132の設計サイズおよび幾何形状を変化させることにより、調整され得る。
【0083】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル130)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ138)との間に停止用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が入口チャンネル130内の流体により弁ボール136に対して加えられるのを防止する。つまり、弁ボール136が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、ばね140によって加えられる付勢力が弁ボール136を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44dが、振動モードから通常モードへ戻る切り換えを行うように起動されている。
【0084】
図11Aおよび11Bに示される受動圧力振動組立体44dが、接続形態に関して、互いに機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56(図5に示される)を備えることに留意されたい。つまり、弁シート134および可動弁ボール136が圧力作動弁54を形成し、対して、弁ボール136、拡大フロー・キャビティ138およびばね140が流体共振装置56を形成し、ここでは、圧力作動弁54および流体共振装置56が弁ボール136を介して互いに機械的に結合されている。この実施形態では、弁ボール136が圧力作動弁54および流体共振装置56の両方の一部分を形成することを理由として、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差ならびに共振振動数は互いを考慮に入れて設計されなければならず、したがって、独立して最適化され得ない。しかし、受動圧力振動組立体44dの得られるデザインが機械的に単純なものとなり得る。
【0085】
次に図12を参照して、患者の脈管構造1から血管閉塞物2を吸引するために吸引システム10を動作させる一方法150を説明する。方法150が、カテーテル・ボディ22の遠位端30が血管閉塞物2に隣接するまで、吸引カテーテル12を患者の脈管構造1の中に導入すること(ステップ152)を含む。次いで、吸引源14が、血管閉塞物2を積極的に吸い込むことを目的として、吸引カテーテル12と吸引源14との間に吸引流路46を作るように動作させられ、この間、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通を防止するために通常モードで動作させられる(ステップ154)。したがって、この時点で、血管閉塞物2の吸引が可能な限り効率的に実施される。
【0086】
任意選択で、受動圧力振動組立体44が、血管閉塞物2の積極的な吸い込みに反応して(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に-50kPa未満の第1の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下する場合)、通常モードから第1の振動モードへの切り換えを行うように起動され、その結果、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が、血管閉塞物2の積極的な吸い込みを強化するような適切な振幅および振動数(例えば、高振動数、低振幅)でパルス化される(ステップ156)。加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通を高振動数および低振幅でパルス化することにより、吸引流路46に対しての妨害が最小となり得、その結果、血管閉塞物2の積極的な吸い込みが可能な限り効率的となり得る。
【0087】
次に、吸引カテーテル12の吸引流路24内に閉塞物が発生する場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に-55kPa未満の第2の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで、低下する場合)(ステップ158)、受動圧力振動組立体44が、通常モード(または、任意選択で、第1の振動モード)から(第2の)振動モードへの切り換えを行うように起動され、その結果、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が、閉塞物を取り除くのを強化するような適切な振幅および振動数(例えば、低振動数、高振幅)でパルス化される(ステップ160)。任意選択で、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が、異なる周波数で同時にパルス化され得る。吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が発生しない場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に-55kPa未満の第2の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで、低下しない場合)(ステップ158)、血管閉塞物2が完全に吸い込まれるまで、受動圧力振動組立体44が通常モード(または、任意選択で、第1の振動モード)に留まる。
【0088】
吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が発生してこの閉塞物が除去された場合、または他には、吸引システム10の吸引回路内の異常が解消された場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に、好適には10kPa~25kPaで、作動用の負圧力差より大きい、停止用の負圧力差を作り出すレベルまで増大する場合)(ステップ162)、受動圧力振動組立体44が振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動され、その結果、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が再び防止され、吸引処置が継続する(ステップ164)。吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が発生してこの閉塞物が除去されていない場合、または他には、吸引システム10の吸引回路内の異常が解消されていない場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に、好適には10kPa~25kPaで、作動用の負圧力差より大きい、停止用の負圧力差を作り出すレベルまで増大しない場合)、血管閉塞物2が除去されるかまたは他には吸引システム10の吸引回路内の異常が解消されるまで、受動圧力振動組立体44が(第2の)振動モードに留まる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】