(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】水素を輸送または貯蔵するための多層構造
(51)【国際特許分類】
B32B 1/02 20060101AFI20230315BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20230315BHJP
B32B 27/22 20060101ALI20230315BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20230315BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20230315BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20230315BHJP
B29C 41/04 20060101ALI20230315BHJP
B29C 70/32 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B32B1/02
B32B5/28 Z
B32B27/22
B32B27/34
B32B27/38
B32B5/02 B
B29C41/04
B29C70/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545077
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 FR2021050138
(87)【国際公開番号】W WO2021152252
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュフォール, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ダン, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】グピル, アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
4F100
4F205
【Fターム(参考)】
4F100AC00B
4F100AD11B
4F100AG00B
4F100AG00C
4F100AK48A
4F100AK53B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
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4F100BA10B
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4F205GF01
4F205GN01
4F205GN29
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB01
4F205HB12
4F205HF05
4F205HL02
4F205HM03
4F205HT16
4F205HT22
(57)【要約】
本発明は、水素を輸送、配給および貯蔵するための多層構造であって、内側から外側に、シーリング層(1)および少なくとも1つの複合補強層(2)を含み、最内部の前記複合補強層が、前記シーリング層(1)の周囲に巻かれ、前記シーリング層が、主にポリアミド熱可塑性ポリマーPA11、組成物の合計重量に対して15重量%未満までの耐衝撃性改良剤、詳細には12重量%までの耐衝撃性改良剤、組成物の合計重量に対して1.5重量%までの可塑剤を含む組成物からなり、前記組成物が、核剤およびポリエーテルブロックアミド(PEBA)を欠き、前記複合補強層の少なくとも1つが、少なくとも1種のポリマーP2j、(j=1からmであり、mは補強層の数である)、詳細にはエポキシまたはエポキシド系樹脂を主に含む組成物を含浸させた連続繊維の形態の繊維性材料からなり、前記構造が、最外部層を欠き、ポリアミドポリマーでできている、複合補強層の最外部層に隣接している、多層構造に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素の輸送、配給または貯蔵のための多層構造であって、
内側から外側に、シーリング層(1)および少なくとも1つの複合補強層(2)を含み、
最内部の前記複合補強層が、前記シーリング層(1)の周囲に巻かれ、
前記シーリング層が、主に
熱可塑性ポリアミドポリマーPA11、
組成物の合計重量に対して15重量%未満までの耐衝撃性改良剤、とりわけ12重量%までの耐衝撃性改良剤、
組成物の合計重量に対して1.5重量%までの可塑剤を含む組成物からなり、
前記組成物が、核剤およびポリエーテルブロックアミド(PEBA)を欠き、
前記複合補強層の少なくとも1つが、組成物であって、少なくとも1種のポリマーP2jを主に含み、j=1からmであり、mは補強層の数であり、詳細にはエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂を含む組成物、を含浸させた連続繊維の形態の繊維性材料からなり、
前記構造が、最外部の複合補強層に隣接するポリアミドポリマー製の最外部層を欠く、多層構造。
【請求項2】
各補強層が、同一タイプのポリマー、詳細にはエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層構造。
【請求項3】
単一の補強層を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の多層構造。
【請求項4】
前記ポリマーP2jが、エポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多層構造。
【請求項5】
前記多層構造が、単一の補強層で構成され、前記ポリマーP2jが、エポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂であることを特徴とする、請求項3または4に記載の多層構造。
【請求項6】
複合補強層の繊維性材料が、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維もしくはバサルト系繊維、またはそれらの混合物、詳細には炭素繊維から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項7】
前記構造が、透過性非晶質ポリマーを含浸させた連続ガラス繊維でできている繊維性材料からなる少なくとも1つの外層をさらに含むことを特徴とし、前記層が、前記多層構造の最外部層である、請求項1から6のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項8】
押出ブロー成形、回転成形、射出成形および/または押出によりシーリング層を調製するステップを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の多層構造を生成するための方法。
【請求項9】
請求項1に記載のシーリング層周囲での、請求項1に記載の補強層をフィラメントワインディングするステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の多層構造を生成するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、水素を輸送、配給または貯蔵するための、詳細には水素を配給または貯蔵するための多層複合構造、および同構造を生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素タンクは、現在、とりわけ自動車部門の多数の製造者から多大な注目を集めている。求められている目標の1つは、さらなる低公害車両を提案することである。したがって、バッテリーを含む電気またはハイブリッド車両が、内燃機関車両、例えばガソリンまたはディーゼル車両に次第に置き換わることを狙いとする。バッテリーは、比較的複雑な車両部品であることがわかっている。車両におけるバッテリーの位置決めに応じて、バッテリーは、衝撃から、ならびに、きわめて高い温度および可変湿度であり得る外部環境からこれを保護する必要があり得る。炎上のあらゆる危険性を避けることも必要になり得る。さらに、それらの動作温度は、バッテリーのセルを壊さず、その寿命を長持ちさせるために、55℃を超えないことが重要である。反対に、例えば冬には、バッテリーの動作を最適化するために、バッテリーの温度を上昇させることが必要になり得る。
【0003】
さらに、電気自動車は、今日でも依然いくつかの問題、すなわちバッテリーレンジ、これらのバッテリーにおける希土類金属の使用、無限ではない資源、タンク充填にかかる時間の長さよりはるかに長い充電時間、ならびに様々な国における、バッテリーの充電を可能にするための電気生成の問題に悩まされている。
【0004】
したがって水素は、水素が燃料セルによって電気に変換され得、ひいては電気自動車に電力を供給するので、電気バッテリーの代用物である。
【0005】
水素タンクは、通常、水素を透過から守らなければならない金属ライナー(またはシーリング層)からなる。想定されるタンクのタイプの1つはタイプIVと呼ばれ、熱可塑性ライナーに基づき、その周囲に複合体が巻かれている。
【0006】
その基本原理は、シーリングおよび機械的強度の2つの不可欠な機能を分離し、それらを互いに独立して管理することである。このタイプのタンクでは、熱可塑性樹脂でできているライナー(またはシーリングシース)は、補強シースまたは層としても公知の繊維(ガラス、アラミド、炭素)からなる補強構造と組み合わせられ、これにより、はるかに高い圧力で作動させることが可能になる一方、重量は減少し、激しい外部攻撃の場合、爆裂の危険性は避けられる。
【0007】
ライナーは、ある原理特性:
押出ブロー成形、回転成形、射出成形または押出により変換される可能性
低い水素浸透性、実際に、ライナーの浸透性は、タンクからの水素の漏出を限定する重要な要因である
低温(-40から-70℃)での良好な機械的性質(疲労)、
120℃での耐熱性を有さなければならない。
【0008】
実際に、水素タンクの充填速度を上昇させることが必要であり、この速度は、内燃エンジン用の燃料タンクのものとほぼ同等(約3から5分)にすべきであるが、この速度の上昇は、タンクのより著しい加熱を引き起こし、次いで約100℃の温度に達する。
【0009】
水素タンクの性能および安全性の評価は、Galassiら(World hydrogen energy conference 2012、Onboard compressed hydrogen storage: fast filing experiments and simulations、Energy Procedia 29(2012年)、192~200頁)に記載されているように、欧州の参照研究所(GasTeF:水素タンク試験施設)において判定され得る。
【0010】
第一世代のタイプIVタンクは、高密度ポリエチレン(HDPE)ベースのライナーを使用した。
【0011】
しかし、HDPEは、低すぎる融点および高すぎる水素浸透性を有する欠点を有し、このことは、耐熱性の観点から新たな要件を有するという問題を表し、タンクの充填速度を上昇させることを可能にしない。
【0012】
ポリアミドPA6ベースのライナーは、何年にもわたって開発中である。
【0013】
それにもかかわらず、PA6は、寒気に対して低い耐性を有するという欠点を有する。
【0014】
国際出願WO2016/166326は、加圧流体を受け入れ、少なくとも金属塩基を含むように意図されている内部空洞の範囲を定める、複合体タイプIVリザーバーの内部シェルを製造するための方法、および内部シェルの外面に、タンクの外部ケーシングを形成するために繊維性材料を堆積させる後続のステップについて記載している。
【0015】
国際出願WO95/22030は、高圧リザーバーの、熱可塑性材料でできているライナーについて記載しており、前記熱可塑性材料は、変性ナイロン6およびナイロン11で構成される群から選択される材料である。
【0016】
フランス出願FR2923575は、その軸線に沿った端のそれぞれで金属端部片を含む、高圧下で流体を貯蔵するためのタンクについて記載しており、ライナーが、前記端部片を取り巻き、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維でできている構造的な層が、前記ライナーを取り巻く。
【0017】
国際出願WO18155491は、3層構造を有する水素輸送部品について記載しており、その内層は、PA11、15から50%の耐衝撃性改良剤および1から3%の可塑剤からなり、または可塑剤を欠く組成物であり、組成物は、水素バリア性質、低温で良好なフレキシビリティおよび耐久性を有する。しかし、この構造は、水素を輸送するためのパイプに好適であるが、水素を貯蔵するためのものではない。
【0018】
したがって、一方では、複合体のマトリックスの高温での機械的強度を最適化するように、複合体のマトリックスを最適化する必要があり、他方では、シーリングシースの動作温度を最適化するように、シーリングシースを含む材料を最適化する必要性が依然としてある。したがって、実行される、シーリングライナーを含む組成物の材料の任意選択の変更は、今日実践されているものと比較して、このライナーの製造温度(押出ブロー成形、射出成形、回転成形など)の著しい上昇を引き起こさないはずである。
【発明の概要】
【0019】
これらの問題は、水素を輸送、配給または貯蔵するように意図されている本発明の多層構造を提供することにより解決する。
【0020】
本明細書を通じて、「ライナー」および「シーリングシース」という用語は、同じ意味を有する。
【0021】
本発明は、したがって水素を輸送、配給および貯蔵するように意図されている多層構造であって、
内側から外側に、シーリング層(1)および少なくとも1つの複合補強層(2)を含み、
最内部の前記複合補強層が、前記シーリング層(1)の周囲に巻かれ、
前記シーリング層が、主に組成物からなり、該組成物が、
熱可塑性ポリアミドポリマーPA11、
組成物の合計重量に対して15重量%未満までの耐衝撃性改良剤、とりわけ12重量%までの耐衝撃性改良剤、
組成物の合計重量に対して1.5重量%までの可塑剤を含、
前記組成物が、核剤およびポリエーテルブロックアミド(PEBA)を欠き、
前記複合補強層の少なくとも1つが、組成物であって、少なくとも1種のポリマーP2j(j=1からmであり、mは補強層の数である)、詳細にはエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂を主に含む組成物、を含浸させた連続繊維の形態の繊維性材料からなり、
前記構造が、最外部層を欠き、ポリアミドポリマーでできている、最外部の複合補強層に隣接している、多層構造に関する。
【0022】
本発明者らは、したがって、シーリング層では、限定された比率の耐衝撃性改良剤および可塑剤を含むポリアミド熱可塑性ポリマーPA11と、シーリング層の周囲に巻かれる複合体のマトリックスでは、異なるポリマー、とりわけエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂を使用することにより、水素を輸送、配給または貯蔵するのに好適な構造、とりわけ120℃まで及び得る使用される最大温度の上昇を達成することが可能となり、したがってタンクの充填速度を上昇させることが可能となったことを予想外に見出した。
【0023】
熱可塑性ポリマーPA11(またはポリアミド11)は、Arkema社により市場に出されており、特に11-アミノウンデカン酸の重縮合の結果である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】4種のライナー:左からPA11、PA12、PA6およびPA66での、ISO 179-1:2010による、-40℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験を提示する図である。
【
図2】PA12およびHDPEライナーの、23℃での水素浸透性を提示する図である。 これは、cc.mm/m
2.24h.atmで表現される。これは、cc.25μ/m
2.24h.Paで表現してよい。 浸透性は、次いで101325倍しなければならない。
【
図3】PA11およびPA12ライナーに対する、ISO 179-1:2010による、-40℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験を提示する図であり、ヒストグラムの各群では、PA11が左であり、PA12が右である。第1群は、0%の可塑剤に相当し、第2群は、7%の可塑剤に相当し、最後の群は、12%の可塑剤に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
「多層構造」は、いくつかの層、すなわち1つのシーリング層およびいくつかの補強層、または1つのシーリング層および1つの補強層を含む、またはそれらからなるタンクを意味すると理解されるべきである。
【0026】
多層構造は、したがって、パイプまたはチューブを除外すると理解される。
【0027】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、アミド単位(Ba1)およびポリエーテル単位(Ba2)を有するコポリマーであり、前記アミド単位(Ba1)は、少なくとも1つのアミノ酸から得られた単位、または少なくとも1つのラクタムから得られた単位、または:
- 少なくとも1つのジアミンの重縮合であり、前記ジアミンが、優先的には、直鎖もしくは分岐脂肪族ジアミン、またはそれらの混合物から選択される、重縮合
- 少なくとも1つのカルボン酸二酸の重縮合であり、前記二酸が、優先的には、直鎖もしくは分岐脂肪族二酸、またはそれらの混合物から選択される、重縮合から得られた単位X.Yから選択される脂肪族繰り返し単位に相当し、
前記ジアミンおよび前記二酸は、4から36個の炭素原子、有利には6から18個の炭素原子を含み、
前記ポリエーテル単位(Ba2)は、とりわけ少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオール、とりわけポリアルキレンエーテルジオールに由来する。
【0028】
核剤は、当業者に公知であり、この用語は、ポリマー中に組み込まれる場合、溶融したポリマー中で結晶を成長させるために核を形成する物質を指す。
【0029】
これらは、例えば、マイクロタルク、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタンおよびナノクレイから選択され得る。
【0030】
一実施形態では、PA6は、前記組成物から除外される。
【0031】
「前記構造は、最外部層を欠き、ポリアミドポリマーでできている、最外部の複合体層に隣接している」という表現は、構造が、最外部の複合補強層上に位置するポリアミドポリマー層を欠くことを意味する。
【0032】
一実施形態では、前記多層構造は、2つの層、シーリング層および補強層からなる。
【0033】
シーリング層は、最外部層である複合補強層に対して、最内部層である。
【0034】
タンクは、水素を移動貯蔵するための、すなわち水素を輸送するためのトラック上、水素を輸送するため、および水素を用いた燃料セルを供給するための自動車上、例えば、水素を供給するための列車上、または水素を供給するためのドローン上にあるタンクであり得るが、水素を車両に配給する拠点において水素を固定貯蔵するためのタンクであってもよい。
【0035】
有利には、シーリング層(1)は、23℃にて水素の漏れがない、すなわち、23℃での水素の浸透性は、0%相対湿度(RH)下で、23℃にて500cc.mm/m2.24h.atm未満である。
【0036】
複合補強層(複数可)は、ポリマーを含浸させた繊維のリボン(またはテープまたはロービング)によって、シーリング層の周囲に巻かれ、これは、例えばフィラメントワインディングにより堆積される。
【0037】
いくつかの層が存在する場合、ポリマーは異なる。
【0038】
補強層のポリマーが同一である場合、いくつかの層が存在し得るが、有利には、単一の補強層が存在し、この補強層は、シーリング層の周囲に少なくとも1回の全巻きを有する。
【0039】
当業者に周知であるこの完全自動プロセスにより、層ごとに、内部圧力負荷に耐える能力を最終構造にもたらす巻き角を選択することが可能となる。
【0040】
1つのみのシーリング層および1つの複合補強層が存在する場合、したがって2つの層の多層構造となり、次いでこれらの2つの層は、とりわけシーリング層上に複合補強層が巻かれるため、互いに直接接触して、互いに接着し得る。
【0041】
シーリング層および/またはいくつかの複合補強層が存在する場合、シーリング層は、前記複合補強層の最内部層に接着してよい、または接着しなくてよい。
【0042】
他の複合補強層も、互いに接着してよい、または接着しなくてよい。
【0043】
有利には、1つのみのシーリング層および1つの補強層が存在し、互いに接着しない。
【0044】
有利には、1つのみのPA11シーリング層および1つの補強層が存在し、互いに接着せず、補強層は、少なくとも1種のポリマーP2j、詳細にはエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂を主に含む組成物を含浸させた連続繊維の形態の繊維性材料からなる。
【0045】
一実施形態では、1つのみのシーリング層および1つの補強層が存在し、互いに接着せず、補強層は、主にエポキシ樹脂またはエポキシ系樹脂であるポリマーP2jを含む組成物を含浸させた連続繊維の形態の繊維性材料からなる。
【0046】
「エポキシベース」という表現は、本明細書を通じて、エポキシが、マトリックスの少なくとも50重量%と同等であることを意味する。
【0047】
シーリング層に関して
シーリング層は、少なくとも1種の熱可塑性ポリアミドPA11を主に含む組成物からなる。
【0048】
「主に」という用語は、前記少なくとも1種のポリマーが、組成物およびマトリックスの合計重量に対して50重量%超存在することを意味する。
【0049】
有利には、前記少なくとも1種の優勢なポリマーは、組成物およびマトリックスの合計重量に対して、60重量%超で、詳細には70重量%超で、具体的には80重量%超で、より具体的には90重量%以上で存在する。
【0050】
前記組成物は、組成物および/または可塑剤および/または添加剤の合計重量に対して、耐衝撃性改良剤も15重量%まで含み得る。
【0051】
添加剤は、核剤を除いて、別のポリマー、抗酸化剤、熱安定剤、UV吸収剤、光安定剤、滑沢剤、無機フィラー、難燃剤、色素、カーボンブラックおよび炭素質ナノフィラーから選択され得、詳細には、添加剤は、核剤を除いて、抗酸化剤、熱安定剤、UV吸収剤、光安定剤、滑沢剤、無機フィラー、難燃剤、色素、カーボンブラックおよび炭素質ナノフィラーから選択される。
【0052】
前記他のポリマーは、別の半結晶性熱可塑性ポリマーまたは異なるポリマー、とりわけEVOH(エチレンビニルアルコール)であり得る。
【0053】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0から12%の耐衝撃性改良剤、0から1.5%の可塑剤および0から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0054】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0から12%の耐衝撃性改良剤、0から1.5%の可塑剤および0から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0055】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0から12重量%の耐衝撃性改良剤、0から1.5重量%の可塑剤および0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100重量%に等しい。
【0056】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0から12重量%の耐衝撃性改良剤、0から1.5重量%の可塑剤および0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0057】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0から1.5%の可塑剤および0から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0058】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0から1.5%の可塑剤および0から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0059】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12重量%の耐衝撃性改良剤、0から1.5重量%の可塑剤および0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0060】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12重量%の耐衝撃性改良剤、0から1.5重量%の可塑剤および0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0061】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0.1から1.5%の可塑剤および0から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0062】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0から1.5%の可塑剤および0から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0063】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12重量%の耐衝撃性改良剤、0.1から1.5重量%の可塑剤および0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0064】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12重量%の耐衝撃性改良剤、0.1から1.5重量%の可塑剤および0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0065】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0.1から1.5%の可塑剤および0.1から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0066】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、とりわけ0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0から1.5%の可塑剤および0.1から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0067】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12重量%の耐衝撃性改良剤、0.1から1.5重量%の可塑剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0068】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12重量%の耐衝撃性改良剤、0.1から1.5重量%の可塑剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0069】
一実施形態では、前記組成物は、組成物の合計重量に対して、耐衝撃性改良剤を0.1から15重量%未満含み、とりわけ0.1から12重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には5から12重量%を含む。
【0070】
一実施形態では、前記組成物は、耐衝撃性改良剤を欠く。
【0071】
この実施形態では、前記組成物は、したがって主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0から1.5%の耐衝撃性改良剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0072】
有利には、前記組成物は、したがって前記熱可塑性ポリマーPA11、0から1.5%の可塑剤、0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0073】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0から1.5%の可塑剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0074】
このケースでは、優勢なPA11は、別のポリアミドとの混合物である。
【0075】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11、0から1.5%の可塑剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0076】
一実施形態では、前記組成物は、可塑剤を欠く。
【0077】
この実施形態では、前記組成物は、したがって主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12%の耐衝撃性改良剤および0.1から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0078】
有利には、前記組成物は、したがって前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12%の耐衝撃性改良剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0079】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12%の耐衝撃性改良剤、0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0080】
このケースでは、優勢なPA11は、別のポリアミドとの混合物である。
【0081】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11、0.1から15%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には0.1から12%の耐衝撃性改良剤および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0082】
さらに別の実施形態では、前記組成物は、耐衝撃性改良剤および可塑剤を欠く。
【0083】
この他の実施形態では、前記組成物は、したがって主に前記熱可塑性ポリマーPA11および0.1から5重量%の添加剤を含み、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0084】
有利には、前記組成物は、したがって前記熱可塑性ポリマーPA11および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0085】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーPA11および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0086】
このケースでは、優勢なPA11は、別のポリアミドとの混合物である。
【0087】
有利には、前記組成物は、前記熱可塑性ポリマーPA11および0.1から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100%に等しい。
【0088】
別の実施形態では、前記組成物は、組成物の合計重量に対して、耐衝撃性改良剤を0.1から15重量%未満含み、とりわけ0.1から12重量%、詳細には5から12重量%の耐衝撃性改良剤を含み、前記組成物は、可塑剤を欠く。
【0089】
別の実施形態では、前記組成物は、組成物の合計重量に対して、耐衝撃性改良剤を0.1から15重量%未満含み、とりわけ0.1から12重量%未満の耐衝撃性改良剤、詳細には5から12重量%を含み、0.1から1.5重量%の可塑剤を含む。
【0090】
熱可塑性ポリマーPA11
前記ポリアミド熱可塑性ポリマーPA11の数平均分子量Mnは、好ましくは、10,000から85,000、とりわけ10,000から60,000、優先的には10,000から50,000、より一層優先的には12,000から50,000に及ぶ範囲である。これらのMn値は、規格ISO307:2007に従って、しかし溶媒を変えることにより(硫酸の代わりにm-クレゾールを使用し、温度は20℃である)、m-クレゾール中で判定して、0.8以上の固有粘度に相当し得る。
【0091】
命名法は、ISO規格1874-1:2011「Plastiques - Materiaux polyamides(PA)pour moulage et extrusion - Partie 1:Designation」、とりわけ3頁(表1および2)に記載されているポリアミドを定義するのに使用され、当業者に周知である。
【0092】
ポリアミドPA11は、ホモポリアミドであるが、シーリング層の構成成分の組成が、PA11ベースのコポリアミドを含み、コポリアミドにおいてPA11単位が優勢、すなわち前記コポリアミドまたはそれらの混合物における合計単位に対して50重量%超、具体的には60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超である場合、本発明の範囲から逸脱しない。
【0093】
有利には、ポリアミドPA11は、ホモポリアミドである。
【0094】
耐衝撃性改良剤に関して
耐衝撃性改良剤は、樹脂のものを下回る係数を有し、亀裂エネルギーを消散させるように、マトリックスに対して良好な接着を有するポリマーである限り、任意の耐衝撃性改良剤であってよい。
【0095】
耐衝撃性改良剤は、有利には、規格ISO178に従って測定して、100MPaを下回る曲げ弾性率、および0℃を下回るTg(DSCサーモグラムの変曲点で、規格11357-2に従って測定して)を有するポリマー、詳細にはポリオレフィンからなる。
【0096】
一実施形態では、PEBAは、耐衝撃性改良剤の定義から除外される。
【0097】
耐衝撃性改良剤のポリオレフィンは、官能化もしくは非官能化され得る、または少なくとも1種の官能化ポリオレフィンおよび/もしくは少なくとも1種の非官能化ポリオレフィンの混合物であり得る。簡略化するために、ポリオレフィンは(B)と表示され、官能化ポリオレフィンは(B1)、非官能化ポリオレフィンは(B2)と以下に記載される。
【0098】
非官能化ポリオレフィン(B2)は、古典的にアルファ-オレフィンまたはジオレフィンのホモポリマーまたはコポリマー、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、ブタジエンである。例として、以下が言及され得る:
- ポリエチレン、具体的にはLDPE、HDPE、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)およびメタロセンポリエチレンのホモポリマーおよびコポリマー、
- プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、
- エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、EPR(エチレン-プロピレン-ゴムの省略)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)、
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー、
- エチレンと、不飽和カルボン酸の塩またはエステル、例えばアルキル(メタ)アクリレート(例えばメチルアクリレート)、または飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル(EVA)から選択される少なくとも1つの生成物の、コモノマーの比率が40重量%に達し得る、コポリマー。
【0099】
官能化ポリオレフィン(B1)は、反応単位(官能基)を有するアルファ-オレフィンのポリマーであり得、そのような反応単位は、酸、無水物またはエポキシ官能基である。例として、不飽和エポキシド、例えばグリシジル(メタ)アクリレートにより、またはカルボン酸もしくは対応する塩もしくはエステル、例えば(メタ)アクリル酸(金属、例えばZnにより完全にまたは部分的に中和され得る)により、またはカルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸によってさえグラフトまたは共重合または三元重合される、先述のポリオレフィン(B2)が言及され得る。官能化ポリオレフィンは、例えばPE/EPR混合物であり、その重量に対する比は、幅広く、例えば40/60から90/10で変動し得、前記混合物は、例えば0.01から5重量%のグラフト率に従って、無水物、とりわけ無水マレイン酸と共グラフトされる。
【0100】
官能化ポリオレフィン(B1)は、以下の無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートをグラフトした(コ)ポリマーから選択され得、グラフト率は例えば0.01から5重量%である:
- PE、PP、エチレンとプロピレン、ブテン、ヘキセンまたはオクテンの、例えば35から80重量%のエチレンを含有するコポリマー、
- エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、EPR(エチレン-プロピレン-ゴムの省略)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)、
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー、
- 40重量%までの酢酸ビニルを含有する、エチレンおよび酢酸ビニルコポリマー(EVA)、
- 40重量%までのアルキル(メタ)アクリレートを含有する、エチレンおよびアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、
- 40重量%までのコモノマーを含有する、エチレンおよび酢酸ビニル(EVA)およびアルキル(メタ)アクリレートコポリマー。
【0101】
官能化ポリオレフィン(B1)は、モノアミンポリアミド(またはポリアミドオリゴマー)と縮合した、主に無水マレイン酸をグラフトしたプロピレンとのエチレン/プロピレンコポリマー(EP-A-0,342,066に記載されている生成物)からも選択され得る。
【0102】
官能化ポリオレフィン(B1)は、少なくとも以下の単位:(1)エチレン、(2)アルキル(メタ)アクリレートまたは飽和カルボン酸のビニルエステル、および(3)無水物、例えば無水マレイン酸もしくは(メタ)アクリル酸、またはエポキシ、例えばグリシジル(メタ)アクリレートのコ-またはターポリマーでもあり得る。
【0103】
後者のタイプの官能化ポリオレフィンの例として、以下のコポリマーが言及され得、エチレンは、好ましくは少なくとも60重量%と同等であり、ターモノマー(官能基)は、例えばコポリマーの0.1から10重量%と同等である
- エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートコポリマー、
- エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートコポリマー、
- エチレン/酢酸ビニルまたはアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートコポリマー。
【0104】
先述のコポリマーでは、(メタ)アクリル酸は、ZnまたはLiで塩化され得る。
【0105】
(B1)または(B2)における「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、C1からC8アルキルメタクリレートおよびアクリレートを表示し、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートから選択され得る。
【0106】
さらに、以前に引用されているポリオレフィン(B1)は、任意の適切な方法または作用剤(ジエポキシ、二酸、過酸化物)によっても架橋され得、官能化ポリオレフィンという用語は、以前に引用されているポリオレフィンと、これらと反応し得る二官能性試薬、例えば二酸、二無水物、ジエポキシの混合物、または一緒に反応し得る少なくとも2種の官能化ポリオレフィンの混合物も含む。
【0107】
上で言及されているコポリマー(B1)および(B2)は、統計的手法または連続した手法で共重合化され得、直鎖または分岐構造を有する。
【0108】
これらのポリオレフィンの分子量、指数MFI、密度も、幅広く変動させてよく、当業者はこれを承知している。メルトフローインデックスの省略であるMFIは、溶融した状態での流動性の測定値である。これは、規格ASTM1238に従って測定される。
【0109】
有利には、非官能化ポリオレフィン(B2)は、ポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、および任意のエチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマー、および高級アルファ-オレフィンコモノマー、例えばブテン、ヘキセン、オクテンまたは4-メチル-1-ペンテンから選択される。例えば、PP、高密度PE、中密度PE、直鎖状低密度PE、低密度PE、きわめて低密度PEを挙げることができる。これらのポリエチレンは、「フリーラジカル」方法に従って、「Ziegler」触媒方法に従って、またはより最近では「メタロセン」触媒により生成されると、当業者により公知である。
【0110】
有利には、官能化ポリオレフィン(B1)は、アルファ-オレフィン単位、および、エポキシ、カルボン酸またはカルボン酸無水物官能基のような極性反応性官能基を保有する単位を含む任意のポリマーから選択される。そのようなポリマーの例として、本出願者からのLotader(登録商標)のような、エチレン、アルキルアクリレートおよび無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートのターポリマー、または、本出願者からのOrevac(登録商標)のような、無水マレイン酸によりグラフトされているポリオレフィン、ならびに、エチレン、アルキルアクリレートおよび(メタ)アクリル酸のターポリマーが言及され得る。カルボン酸無水物によってグラフトし、次いでポリアミドまたはモノアミンポリアミドオリゴマーと縮合したポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーも言及され得る。
【0111】
有利には、前記シーリング層(複数可)を構成する前記組成物は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を欠く。この実施形態では、PEBAは、したがって耐衝撃性改良剤から除外される。
【0112】
有利には、前記透過性組成物は、コアシェル粒子またはコアシェルポリマーを欠く。
【0113】
コアシェル粒子は、第1の層が核を形成し、および第2以降すべての層がそれぞれのシェルを形成する粒子と理解されるべきである。
【0114】
コアシェル粒子は、少なくとも2つのステップを含む、いくつかのステップを有する方法により得られる。そのような方法は、例えば文書US2009/0149600またはEP0,722,961に記載されている。
【0115】
可塑剤に関して
可塑剤は、ポリアミド(複数可)ベースの組成物に通例使用される可塑剤であり得る。
【0116】
有利には、異なるポリマーを混合するステップ、および得られた組成物を変換するステップ中に煙霧を形成しないように良好な熱安定性を有する可塑剤が使用される。
【0117】
詳細には、この可塑剤は、
ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えばn-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)、エチルトルエンスルホンアミド(ETSA)、N-シクロヘキシルトルエンスルホンアミドならびにN-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP-BSA)のオルトおよびパラ異性体、
ヒドロキシ安息香酸エステル、例えば2-エチルヘキシルパラヒドロキシベンゾエート(EHPB)および2-デシルヘキシルパラヒドロキシベンゾエート(HDPB)、
テトラヒドロフルフリルアルコールのエステルまたはエーテル、例えばオリゴエチレンオキシテトラヒドロフルフリルアルコールと、
クエン酸またはヒドロキシマロン酸のエステル、例えばオリゴエチレンオキシマロネート
から選択され得る。
【0118】
好ましい可塑剤は、n-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)である。
【0119】
別の、より具体的には好ましい可塑剤は、N-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP-BSA)である。実際に、後者は、押出による変換ステップ中に、押出スクリューおよび/またはダイにおける堆積物(「メヤニ」)の形成を防止する利点を有する。
【0120】
もちろん、可塑剤の混合物を使用することは可能である。
【0121】
複合補強層およびポリマーP2jに関して
ポリマーP2jは、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーであり得る。
【0122】
1つまたは複数の複合補強層が存在し得る。
【0123】
前記層のそれぞれは、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーP2jを主に含む組成物を含浸させた連続繊維の形態の繊維性材料からなり、jは、存在する層の数に相当する。
【0124】
jは、1から10、詳細には1から5、とりわけ1から3からなり立ち、優先的にはj=1である。
【0125】
「主に」という用語は、前記少なくとも1種のポリマーが、組成物および複合体のマトリックスの合計重量に対して、50重量%超で存在することを意味する。
【0126】
有利には、前記少なくとも1種の優勢なポリマーは、組成物の合計重量に対して、60重量%超で、とりわけ70重量%超で、具体的には80重量%超で、より具体的には90重量%以上で存在する。
【0127】
前記組成物は、耐衝撃性改良剤および/または添加剤をさらに含み得る。
【0128】
添加剤は、核剤を除いて、抗酸化剤、熱安定剤、UV吸収剤、光安定剤、滑沢剤、無機フィラー、難燃剤、可塑剤および色素から選択され得る。
【0129】
有利には、前記組成物は、主に前記熱可塑性ポリマーP2j、0から15重量%の耐衝撃性改良剤、詳細には0から12重量%の耐衝撃性改良剤、0から5重量%の添加剤からなり、組成物の構成成分の総計は、100重量%に等しい。
【0130】
各層における前記少なくとも1種の優勢なポリマーは、同一であってよい、または異なっていてよい。
【0131】
一実施形態では、単一の優勢なポリマーは、少なくとも複合補強層に存在し、シーリング層に接着しない。
【0132】
一実施形態では、各補強層は、同一タイプのポリマー、詳細にはエポキシ樹脂またはエポキシ系樹脂を含む。
【0133】
ポリマーP2j
熱可塑性ポリマーP2j
熱可塑性物質または熱可塑性ポリマーは、一般的に周囲温度にて固体である材料を指し、これは、半結晶性または非晶質、詳細には半結晶性であり得、温度の上昇中、詳細にはガラス転移温度(Tg)の通過後に軟化し、非晶質である場合、より高温にて流れ、または半結晶性である場合、いわゆる融点(Tm)を通過する際に鋭い転移を呈し得、温度が結晶化温度Tc未満(半結晶性では)、およびガラス転移温度未満(非晶質では)に低下すると再度固体になる。
【0134】
Tg、TcおよびTmは、それぞれ規格11357-2:2013および11357-3:2013に従って示差走査熱量測定(DSC)により判定される。
【0135】
前記熱可塑性ポリマーの数平均分子量Mnは、好ましくは10,000から40,000、好ましくは10,000から30,000に及ぶ範囲である。これらのMn値は、規格ISO307:2007に従って、しかし溶媒を変えることにより(硫酸の代わりにm-クレゾールを使用し、温度は20℃である)、m-クレゾール中で判定して、0.8以上の固有粘度に相当し得る。
【0136】
本発明における好適な半結晶性熱可塑性ポリマーの例は:
コポリマー、例えばポリアミド-ポリエーテルコポリマーを含み、詳細には芳香族および/または脂環式構造を含む、ポリアミド、
ポリエステル、
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、
ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、
ポリイミド、詳細にはポリエーテルイミド(PEI)またはポリアミド-イミド、
ポリルスルホン(PSU)、詳細にはポリアリルスルホン、例えばポリフェニルスルホン(PPSU)、
ポリエーテルスルホン(PES)を含む。
【0137】
半結晶性ポリマー、具体的にはポリアミドおよびその半結晶性コポリマーがより詳細には好ましい。
【0138】
命名法は、ISO規格1874-1:2011「Plastiques - Materiaux polyamides(PA)pour moulage et extrusion - Partie 1:Designation」、とりわけ3頁(表1および2)に記載されているポリアミドを定義するのに使用され、当業者に周知である。
【0139】
ポリアミドは、ホモポリアミド、またはコポリアミド、またはそれらの混合物であり得る。
【0140】
有利には、半結晶性ポリアミドは、半芳香族ポリアミド、とりわけEP1505099に記載されている式X/YArの半芳香族ポリアミド、具体的には式A/XT(式中、Aは、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位、ならびに、式(Caジアミン).(Cb二酸)に相当し、aはジアミンの炭素原子の数を表し、bは二酸の炭素原子の数を表し、aおよびbはそれぞれ、4から36の間、有利には9から18の間である単位から選択される)の半芳香族ポリアミドであり、単位(Caジアミン)は、直鎖または分岐脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択され、単位(Cb二酸)は、直鎖または分岐脂肪族二酸、脂環式二酸および芳香族二酸から選択される単位である。
【0141】
X.Tは、Cxジアミンおよびテレフタル酸の重縮合から得られる単位を表示し、xは、Cxジアミンの炭素原子の数を表し、xは、5から36の間、有利には9から18の間であり、とりわけ式A/5T、A/6T、A/9T、A/10TまたはA/11Tを有し、Aは、上で定義されている通りであるポリアミドであり、詳細にはポリアミドは、PA MPMDT/6T、PA11/10T、PA 5T/10T、PA 11/BACT、PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA 11/BACT/6T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/BACT/10T、PA 11/MXDT/10T、11/5T/10Tのうちから選択される。
【0142】
Tは、テレフタル酸に相当し、MXDは、m-キシリレンジアミンに相当し、MPMDは、メチルペンタメチレンジアミンに相当し、BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに相当する。上で定義されている前記半芳香族ポリアミドは、とりわけ80℃以上のTgを有する。
【0143】
熱硬化性ポリマーP2j
熱硬化性ポリマーは、エポキシ樹脂またはエポキシ系樹脂、ポリエステル、ビニルエステルおよびポリウレタン、またはそれらの混合物、詳細にはエポキシ樹脂またはエポキシ系樹脂から選択される。
【0144】
有利には、各複合補強層は、同一タイプのポリマー、詳細にはエポキシ樹脂またはエポキシ系樹脂を含む組成物からなる。
【0145】
前記ポリマーP2jを含む前記組成物は、溶着に好適な放射線に透過性である。
【0146】
別の実施形態では、複合補強層は、一切の後続の溶着なしで、シーリング層の周囲に巻かれる。
【0147】
構造に関して
前記多層構造は、したがって、シーリング層、およびシーリング層の周囲に巻かれている少なくとも1つの複合補強層を含み、これらは、互いに接着していても、またはしていなくてもよい。
【0148】
有利には、前記シーリングおよび補強層は、互いに接着せず、異なるポリマーをそれぞれ含む組成物からなる。
【0149】
とはいえ、前記異なるポリマーは、同一タイプのものであってよい。
【0150】
したがって、シーリング層は、脂肪族ポリアミドPA11を含む組成物からなるので、補強層(複数可)は、複合補強のマトリックスとして高Tgポリマーを有するように、脂肪族ではないポリアミド、すなわち、例えば半芳香族ポリアミドを含む組成物からなる。
【0151】
前記多層構造は、異なる性質の10までの複合補強層を含んでよい。
【0152】
有利には、前記多層構造は、1つのシーリング層および1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の複合補強層を含む。
【0153】
有利には、前記多層構造は、1つのシーリング層および1、2、3、4または5つの複合補強層を含む。
【0154】
有利には、前記多層構造は、1つのシーリング層および1、2または3つの複合補強化層(composite reinforcing layers)を含む。
【0155】
有利には、これらは、異なるポリマーをそれぞれ含む組成物からなる。
【0156】
有利には、これらは、ポリアミドPA11に相当するポリアミドおよびエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂P2jをそれぞれ含む組成物からなる。
【0157】
一実施形態では、前記多層構造は、単一のシーリング層およびいくつかの補強層を含み、隣接した前記補強層は、前記シーリング層の周囲に巻かれ、他の補強層は、直接的に隣接した補強層の周囲に巻かれる。
【0158】
有利な一実施形態では、前記多層構造は、単一のシーリング層および単一の複合補強層を含み、前記補強層は、前記シーリング層の周囲に巻かれる。
【0159】
これらの2種の層のすべての組合せは、したがって、本発明の範囲内にあるが、但し、少なくとも最内部の前記複合補強層は、前記シーリング層の周囲に巻かれることを条件とし、他の層は互いに接着する、または接着しない。
【0160】
有利には、前記ポリマーP2jは、エポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂である。
【0161】
有利には、前記多層構造において、各補強層は、同一タイプのポリマーP2j、詳細にはエポキシ樹脂またはエポキシ系樹脂を含む組成物からなる。
【0162】
有利には、ポリアミドP2jは、すべての補強層で同一である。
【0163】
一実施形態では、前記多層構造において、シーリング層は、ポリアミドPA11を含む組成物からなり、各補強層は、同一タイプのポリマーP2j、具体的にはエポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂を含む組成物からなる。
【0164】
一実施形態では、前記多層構造において、シーリング層は、ポリアミドPA11を含む組成物からなり、各補強層は、同一タイプのポリマーP2jを含む組成物からなり、前記ポリマーP2jは、具体的にはPA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA 11/BACT、PA 5T/10T、PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA 11/BACT/6T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/BACT/10TおよびPA 11/MXDT/10Tから選択される半芳香族ポリアミドである。
【0165】
一実施形態では、前記多層構造は、単一のシーリング層および単一の補強層で構成され、前記ポリマーP2jは、具体的にはPA MPMDT/6T、PA 11/10T、PA 11/BACT、PA 5T/10T PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA 11/BACT/6T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/BACT/10TおよびPA 11/MXDT/10Tから選択される半芳香族ポリアミドである。
【0166】
別の実施形態では、多層構造は、単一のシーリング層、および、前記ポリマーP2jが、エポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂である単一の補強層からなる。
【0167】
有利には、前記多層構造は、透過性非晶質ポリマーを含浸させた連続ガラス繊維でできている繊維性材料からなる少なくとも1つの外層をさらに含み、前記層は、前記多層構造の最外部層である。
【0168】
前記外層は、第2の補強層であるが透過性であり、これにより、構造上に文章を配置できるようになる。
【0169】
前記外層は、ある状況下で、ポリアミドポリマーでできている最外部の複合補強層上に位置する層に相当せず、その構造を上のように欠いている。
【0170】
繊維性材料に関して
前記繊維性材料を成り立たせる繊維に関して、これらは、詳細には無機、有機または植物繊維である。
【0171】
有利には、前記繊維性材料は、サイジングしていても、またはしていなくてもよい。
【0172】
前記繊維性材料は、したがって、サイジングと呼ばれる3.5重量%までの(熱硬化性物質または熱可塑性樹脂タイプの)有機材料を含み得る。
【0173】
無機繊維は、例えば炭素繊維、ガラス繊維、バサルトまたはバサルト系繊維、シリカ繊維または炭化ケイ素繊維を含む。有機繊維は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー系繊維、例えば半芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維またはポリオレフィン繊維を含む。好ましくは、これらは、非晶質熱可塑性ポリマーベースであり、熱可塑性ポリマー混合物が非晶質である場合、予備含浸マトリックスを構成するポリマーもしくは熱可塑性ポリマー混合物のガラス転移温度Tgより高いTgを有し、または、熱可塑性ポリマー混合物が半結晶性である場合、予備含浸マトリックスを構成するポリマーもしくは熱可塑性ポリマー混合物のTmより高いTgを有する。有利には、これらは、半結晶性熱可塑性ポリマーベースであり、熱可塑性ポリマー混合物が非晶質である場合、予備含浸マトリックスを構成するポリマーもしくは熱可塑性ポリマー混合物のTgより高い溶融温度Tmを有し、または、熱可塑性ポリマー混合物が半結晶性である場合、予備含浸マトリックスを構成するポリマーもしくは熱可塑性ポリマー混合物のTmより高い溶融温度Tmを有する。したがって、繊維性材料を構成する有機繊維では、最終複合体の熱可塑性マトリックスによる含浸中に溶融する危険性はない。植物繊維は、天然リネン、ヘンプ、リグニン、タケ、絹、詳細にはスパイダーシルク、サイザルアサおよび他のセルロース繊維、詳細にはビスコースを含む。これらの植物繊維は、熱可塑性ポリマーマトリックスの接着および含浸を促進するために、単独で使用され得、コーティング層で処理またはコーティングされ得る。
【0174】
繊維性材料は、布、紐または繊維を用いた織布でもあり得る。
【0175】
これは、支持糸を用いた繊維にも相当し得る。
【0176】
これらの成分繊維は、単体または混合物で使用され得る。したがって、有機繊維は、無機繊維と混合して、熱可塑性ポリマー粉末を予備含浸させ、予備含浸させた繊維性材料を形成できる。
【0177】
有機繊維のより糸は、いくつかの坪量を有し得る。これらは、いくつかの形状をさらに有し得る。繊維性材料の成分繊維はさらに、異なる形状を有するこれらの補強繊維の混合物の形態をとり得る。繊維は、連続繊維である。
【0178】
好ましくは、繊維性材料は、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維もしくはバサルト系繊維、またはそれらの混合物、詳細には炭素繊維から選択される。
【0179】
これは、1つのロービングまたはいくつかのロービングの形態で使用される。
【0180】
別の態様によれば、本発明は、押出ブロー成形、回転成形、射出成形および/または押出により、シーリング層を調製するステップを含むことを特徴とする、上で定義されている多層構造を生成するための方法に関する。
【0181】
一実施形態では、多層構造を生成するための前記方法は、上で定義されているシーリング層周囲で、上で定義されている補強層をフィラメントワインディングするステップを含む。
【0182】
上で詳述されているすべての特性は、方法にも当てはまる。
【実施例】
【0183】
すべての例で、リザーバーは、使用される熱可塑性樹脂の性質に適合した温度にて、シーリング層(ライナー)を回転成形により得られる。
【0184】
エポキシド樹脂またはエポキシド系樹脂でできている複合補強のケースでは、ウェットフィラメントワインディング方法が使用され、この方法は、ライナー周囲で繊維を巻くことにあり、この繊維は、液体エポキシド浴またはエポキシド系液体浴中で以前に予備含浸させてある。リザーバーは、次いでオーブンで2時間重合する。
【0185】
他のケースではすべて、以前に熱可塑性樹脂(テープ)を含浸させた繊維性材料が使用される。このテープは、1500Wレーザーヒーターのロボットを12m/minの速度で使用するフィラメントワインディングにより堆積しており、重合ステップはない。
【0186】
実施例1
ISO 179-1:2010による、-40℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験
PA11およびPA12でできている2種の長鎖ライナー、ならびに2種の短鎖ライナーを、上のように回転成形により調製した。
【0187】
これらの4種のライナーを、-40℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験によりテストし、結果は、
図1で提示されている。
【0188】
PA11ライナーの耐寒性は、長鎖PA12ライナー、ならびに短鎖PA6およびPA66ライナーのものよりかなり高い。
【0189】
実施例2
PA11およびPA12ライナー(Arkema)およびHDPEライナー(Marlex(登録商標)、HMN TR-942(Chevron Phillips))の浸透性
2種の長鎖ライナー:PA11(Arkema)の1つめ、およびPA12(Arkema)の2つめ、ならびにHDPEライナーのものを、回転成形により調製し、水素浸透性を23℃にてテストした。
【0190】
これは、テストガス(水素)を用いてフィルムの上面をフラッシュすること、および、下部のフィルムを通して拡散する流れをガスクロマトグラフィーにより測定することにあり、ベクトルガス:窒素によりフラッシュする。
【0191】
【0192】
結果は、
図2で提示されており、PA11ライナーは、PA12でできている長鎖ライナーおよびHDPEライナーのものよりはるかに低い浸透性を有することを示す。
【0193】
実施例3
ISO 179-1:2010による、-40℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験に対する、可塑剤(N-ブチルベンゼンスルホンアミド:BBSA)の比率の影響
可塑剤を伴わない、または組成物の合計重量に対して7もしくは12%可塑剤(BBSA)を含むPA11およびPA12ライナーの2種を、回転成形により調製した。
【0194】
これらの4種のライナーを、ISO 179-1:2010による、-40℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験によりテストし、結果は、
図3で提示されている。
【0195】
実際に、可塑剤は、PA12でPA11より冷たい場合、顕著な有害効果を有し、これにより、PA12の構造が弱くなり、浸透性は具体的には7% BBSAで50%から上昇する。
【0196】
実施例4
耐衝撃性改良剤(以下の組成:lotader(登録商標)4700(50%)+lotader(登録商標)AX8900(25%)+Lucalen(登録商標)3110(25%)を有する「LT cocktail」)の比率の、PA11ライナーの水素浸透性に対する影響。
【0197】
可塑剤なし、および耐衝撃性改良剤が存在するか否かのPA11ライナーの水素浸透性をテストし、これは、表2で報告されている。
[表2]
【0198】
浸透性は、(cc.25μ/m2.24h.Pa)で表現してもよい。
【0199】
浸透性は、次いで101325倍しなければならない。
【0200】
結果は、耐衝撃性改良剤の比率は、水素の浸透性に影響を与えることを示す。
【0201】
耐衝撃性改良剤の比率が高いほど、浸透性が高い。
【0202】
実施例5
T700SC31E(Toray製)炭素繊維エポキシド複合補強層(Tg120℃)およびPA11シーリング層で構成される、タイプIVの水素貯蔵タンク。
【0203】
動作温度は、タンクの急速な、具体的には3から5分の充填に十分である。
【0204】
実施例6
(反例)
T700SC31E(Toray製)炭素繊維エポキシド複合補強層(Tg120℃)およびHDPEシーリング層で構成される、タイプIVの水素貯蔵タンク。
【0205】
動作温度は、タンクの急速な、具体的には3から5分の充填には低すぎる。
【0206】
実施例7
T700SC31E(Toray製)炭素繊維BACT/10T複合補強層およびPA11シーリング層で構成される、タイプIVの水素貯蔵タンク。
【0207】
選択されたBACT/10T組成物は、283℃の溶融温度Tm、250℃の結晶化温度Tcおよび164℃のガラス転移温度を有する。
【0208】
Tg、TcおよびTmは、それぞれ規格11357-2:2013および11357-3:2013に従って、示差走査熱量測定(DSC)により判定される。
【0209】
PA BACT/10T-ベース複合体は、長い架橋を有さないが、140℃にて8hタイプの高Tgマトリックスを有する。
【0210】
結果として、繊維の堆積後、タンクは完成し、これにより8時間のプロセス時間節約になる。
【国際調査報告】