(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】コーティングされたポリウレタン発泡体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/34 20060101AFI20230315BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20230315BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230315BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20230315BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230315BHJP
C09D 5/02 20060101ALN20230315BHJP
【FI】
C08J9/34 CFF
C08G18/00 F
C09D7/61
C09D7/40
C09D201/00
C09D5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546043
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021015193
(87)【国際公開番号】W WO2021154792
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ、ヤスミン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、シンティー
(72)【発明者】
【氏名】カーン、イルファン
(72)【発明者】
【氏名】ガンボア、ロヘリオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア、サウル
【テーマコード(参考)】
4F074
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4F074AA78
4F074CE02
4F074CE15
4F074CE16
4F074CE26
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4J038PA06
4J038PB06
4J038PB07
4J038PC08
(57)【要約】
寝具及び他の快適性用途に有用な物品は、コーティングされたポリウレタン発泡体を含む。コーティングは、エラストマーポリマー、相変化材料、及びセラミック粒子を含む。コーティングは、触れたときに清涼感をもたらすひんやりした感触特徴を含む望ましい触覚特性を提供する。本発明はまた、そのようなコーティングを生成するためのコーティング組成物及びコーティング組成物を生成するための方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ポリウレタン発泡体と、前記可撓性ポリウレタン発泡体の少なくとも1つの表面に付着した固体の水不溶性エラストマーポリマーの硬化コーティングと、を含む物品であって、前記硬化コーティングが、その中に埋め込まれた(i)封入相変化材料の粒子であって、前記相変化材料が、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有する、粒子と、(ii)最大50μmの粒径を有するセラミック粒子と、を有し、前記封入相変化材料が、前記硬化コーティング、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の10~70重量パーセントを構成し、前記セラミック粒子が、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の2~25重量パーセントを構成する、物品。
【請求項2】
前記硬化コーティングが、100~2500μmの厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記相変化材料が、ポリエチレンワックス、蜜蝋、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちの任意の1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
コーティング前の前記可撓性ポリウレタン発泡体が、32~92kg/m
3の密度を有し、1~10秒の回復時間及び20%未満の弾力性を示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記セラミック粒子が、100~3000μmの粒径を有する窒化ホウ素又は窒化ケイ素粒子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記相変化材料が、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の全重量の40~60パーセントを構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記セラミック粒子が、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の全重量の8~20パーセントを構成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記硬化コーティングが、23℃で液体であり、350~8000g/molの重量平均分子量を有する親水性ポリマーを更に含有し、前記親水性ポリマーが、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、セラミック粒子、及び親水性ポリマーの全重量の0.1~15パーセントを構成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
水及び/又は23℃で液体であり、標準圧力で40~100℃の沸点を有する1つ以上の他の化合物を含有する液相と、粒子又は液滴の形態で前記液相に分散された水不溶性エラストマーポリマーと、前記液相に分散された封入相変化材料の粒子と、前記液相に分散されたセラミック粒子と、を含むコーティング組成物であって、前記相変化材料が、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の全重量の40~60パーセントを構成し、前記ラミック粒子が、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の全重量の8~20パーセントを構成する、コーティング組成物。
【請求項10】
前記相変化材料が、ポリエチレンワックス、蜜蝋、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちの任意の1つ以上を含み、前記セラミック粒子が、100~3000μmの粒径を有する窒化ホウ素又は窒化ケイ素粒子である、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
23℃で液体であり、350~8000g/molの重量平均分子量を有する親水性ポリマーを更に含み、前記親水性ポリマーが、前記エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、セラミック粒子、及び親水性ポリマーの全重量の0.1~15パーセントを構成する、請求項9又は10に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載のコーティング組成物を調製するための方法であって、
A.前記液相の全部又は一部を、モータ、シャフト、分散器インペラ、及び少なくとも1つのポンピングインペラを含む撹拌システムを備えた混合容器の内部に充填することであって、前記分散器インペラ及びポンピングインペラが前記シャフト上に載置され、前記ポンピングインペラが前記分散器インペラの上に位置決めされている、充填することと、
B.前記混合容器内の前記液相の表面の上に前記ポンピングインペラを維持しながら、前記混合容器内の前記液相の前記表面に渦を作り出すために、分散器インペラを回転させて前記混合容器内の前記液相を撹拌することと、
C.前記ポンピングインペラの下に前記混合容器内の前記液相の前記表面を維持しながら、前記分散器インペラを回転し続けている間に、前記液相に前記セラミック粒子を添加することと、
D.次いで、前記混合容器内の前記液相の前記表面の下に前記ポンピングインペラを位置決めし、前記分散器インペラ及び前記ポンピングインペラの両方で前記液相を撹拌して、前記液相の前記表面に渦を維持しながら、前記混合容器内の前記液相に前記エラストマーポリマー及び任意選択で追加の液相を添加することと、
E.ステップDと同時に、又はステップDの後に、前記分散器インペラ及び前記ポンピングインペラの両方で撹拌を続けて前記液相の前記表面に渦を維持しながら、前記混合容器内の前記液相に前記封入相変化材料を添加することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材用途、特に寝具及び枕などのいわゆる「快適性用途」に有用な可撓性ポリウレタン発泡体に関する。
【0002】
ポリウレタン発泡体は、特に寝具やシート用のクッション材を作製するために非常に多量に使用される。成長分野のこれらのポリウレタン発泡体は、低弾力性の回復が遅いタイプの、ときおり「粘弾性」又は「メモリ」発泡体としても知られるものである。これらの発泡体の問題は、それらが熱をあまり効果的に伝導しないことである。使用者から放出される熱は、使用者の身体に密接する領域で発泡体によって閉じ込められ、使用者に不快であると知覚される局所的な温度上昇をもたらす。
【0003】
この問題に対処するために、いわゆる「ゲル技術」を使用して、感触に清涼感を与える。これは、販売時に重要である。「ゲル技術」は、相変化材料を使用して、発泡体に「ひんやりした感触」特徴を付与することを伴う。相変化材料(又は「ゲル」)は、約室温又はわずかに高い溶融温度又は相転移温度を有する。それらは、体熱が材料にその相変化を起こさせるため、触れたときに体熱を効果的に吸収する。これにより、最初に触れたときに清涼感が引き起こされる。
【0004】
相変化材料は、表面のトッパーとして使用することができるか、又は発泡体内に注入することができる。表面のトッパーとして使用される場合、相変化材料は、「ひんやりした感触」をもたらすが、ゲル材料の不透過性により最終的に体熱を閉じ込め始める。大量の相変化材料が必要である。相変化材料は硬質シェルに封入されているため、表面のトッパーが硬くなり、脆くなる可能性がある。
【0005】
国際公開第2017/210439号は、封入相変化材料を含有する表面コーティングを有するポリウレタン発泡体を記載している。コーティングは、発泡体に適用し、乾燥させる水性エマルジョンから調製される。このアプローチは、多くの利点を提供する。それは、薄い可撓性の柔らかいコーティング層に所望の「ひんやりした感触」特徴をもたらす。それにもかかわらず、更なる改善が望ましい。冷却における更なる改善が望ましい。コーティングはまた、相変化材料が温かい場合にもやや粘着性がある傾向がある。
【0006】
本発明は、可撓性ポリウレタン発泡体と、可撓性ポリウレタン発泡体の少なくとも1つの表面に付着した固体の水不溶性エラストマーポリマーの硬化コーティングと、を含む物品であり、硬化コーティングは、その中に埋め込まれた(i)封入相変化材料の粒子であって、相変化材料が、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有する、粒子と、(ii)最大50μmの粒径を有するセラミック粒子と、を有し、封入相変化材料は、エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の10~70重量パーセントを構成し、セラミック粒子は、エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の2~25重量パーセントを構成する。
【0007】
コーティングは、物品を、寝具及び他の快適性用途に特に有用なものにする有益な感触特性を示す。これらには、低マイクロテクスチャ粗さ及びマイクロテクスチャ粗雑さ、低粘着性タック、並びに望ましい「ひんやりした感触」属性をもたらす良好な熱冷却及び熱持続性特性が含まれる。快適性用途には、使用中に発泡体が、人間の使用者の体熱又はその身体から蒸発する水蒸気にさらされる用途が含まれる。そのような用途における発泡体又は発泡体を含む物品は、多くの場合、人間の使用者の体重の少なくとも一部を支え、使用中に圧縮される。そのような快適性用途の例としては、枕、マットレスのトッパー、マットレス、掛け布団、家具、及び/又は自動車の座席、キルティング、保温衣類などが挙げられる。
【0008】
別の態様における本発明は、前述の物品を生成するのに有用なコーティング組成物である。コーティング組成物は、水及び/又は23℃で液体であり、標準圧力で40~100℃の沸点を有する1つ以上の他の化合物を含有する液相と、粒子又は液滴の形態で液相に分散された水不溶性エラストマーポリマーと、液相に分散された封入相変化材料の粒子と、液相に分散されたセラミック粒子と、を含み、相変化材料は、エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の全重量の40~60パーセントを構成し、ラミック粒子は、エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の全重量の8~20パーセントを構成する。
【0009】
本発明はまた、そのようなコーティング組成物を調製するための方法でもあり、これには、
A.液相の全部又は一部を、モータ、シャフト、分散器インペラ、及び少なくとも1つのポンピングインペラを含む撹拌システムを備えた混合容器の内部に充填することであって、分散器インペラ及びポンピングインペラがシャフト上に載置され、ポンピングインペラが分散器インペラの上に位置決めされている、充填することと、
B.混合容器内の液相の表面の上にポンピングインペラを維持しながら、混合容器内の液相の表面に渦を作り出すために、分散器インペラを回転させて混合容器内の液相を撹拌することと、
C.ポンピングインペラの下に混合容器内の液相の表面を維持しながら、分散器インペラを回転し続けている間に、液相にセラミック粒子を添加することと、
D.次いで、混合容器内の液相の表面の下にポンピングインペラを位置決めし、分散器インペラ及びポンピングインペラの両方で液相を撹拌して、液相の表面に渦を維持しながら、混合容器内の液相にエラストマーポリマー及び任意選択で追加の液相を添加することと、
E.ステップDと同時に、又はステップDの後に、分散器インペラ及びポンピングインペラの両方で撹拌を続けて液相の表面に渦を維持しながら、混合容器内の液相に封入相変化材料を添加することと、が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明において有用なコーティング組成物を調製するための装置の概略図である。
【0011】
可撓性ポリウレタン発泡体(コーティングなし)は、ASTM D-3574に従って測定された場合、例えば、少なくとも24kg/m3、少なくとも32kg/m3、少なくとも36kg/m3、又は少なくとも40kg/m3の発泡体密度を有し得る。発泡体密度は、例えば、最大120kg/m3、最大104kg/m3、最大92kg/m3、又は最大80kg/m3であり得る。可撓性ポリウレタン発泡体は、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも100%の破断点伸びを示し得る。
【0012】
可撓性ポリウレタン発泡体(コーティングなし)は、ISO3386-1に従って測定された場合、40%圧縮で、0.4~15.0kPa、より好ましくは0.4~10kPa、0.4~5kPa、0.4~2.5kPa、又は0.4~1.5kPaの圧縮力たわみ(compression force deflection、CFD)値を示し得る。
【0013】
可撓性ポリウレタン発泡体(コーティングなし)は、ASTM D-3574の反発弾性試験(ball rebound test)で最大70%、最大60%、最大50%、最大25%、最大20%、最大15%、又は最大10%の弾力性を示し得る。
【0014】
可撓性ポリウレタン発泡体(コーティングなし)は、少なくとも1秒又は少なくとも2秒、かつ最大15秒、好ましくは最大10秒の回復時間を示し得る。本発明の目的のための回復時間は、室温で2.0インチ(5.08cm)厚の発泡体片(4.0×4.0×2.0インチ、10.16×10.16×5.08cm)をその元の厚さの24%に圧縮し、発泡体をその圧縮で1分間保持し、圧縮力を解放することによって測定される。圧縮力が解放された後に発泡体が元の発泡体の厚さの90%を取り戻すのに必要な時間が回復時間である。回復時間は、Format Messtechnik GmbHからのRESIMAT 150装置(工場ソフトウェアを備える)などの粘弾性発泡体試験装置を使用して便利に測定される。
【0015】
可撓性ポリウレタン発泡体は、ASTM D3574試験Gに従って測定された場合、少なくとも0.8L/秒の気流を示し得る。気流は、少なくとも1.2L/秒又は少なくとも1.4L/秒であり得、例えば、最大8L/秒、最大6L/秒、又は最大4L/秒であり得る。
【0016】
好ましい実施形態では、可撓性ポリウレタン発泡体は、32~92kg/m3の発泡体密度、最大20%又は最大10%の弾力性、及び少なくとも1秒又は少なくとも2秒かつ最大10秒の回復時間を有することを特徴とする。
【0017】
いくつかの実施形態における発泡体は、5秒以下、好ましくは4秒以下の吸湿時間を示す。吸湿時間は、恒量になるまで乾燥させた5.08×5.08×2.54cmのスキンレス試料で測定する。室温の水3mLを、はねるのを避けるためにピペットから発泡体試料の上面にゆっくりと滴下し、発泡体が水を吸収するのに必要な時間を吸湿時間として記録する。
【0018】
前述の特性を有するポリウレタン発泡体は、とりわけ、例えば、国際公開第2017/210439号、米国特許第4,365,025号、同第6,479,433号、同第8,809,410号、同第9,814,187号、及び同第9,840,575号、米国公開特許出願第2004-0049980号、同第2006-0142529号、及び同第2016-0115387号、並びに国際出願PCT/US2018/052323号に記載されているような概括的な方法を使用して調製することができる。
【0019】
ポリウレタン発泡体は、少なくとも200cm3の体積(非圧縮時)を有する物品の形態であり得る。そのような物品は、例えば、少なくとも1リットル、少なくとも3リットル、又は少なくとも5リットルの体積を有し得る。体積は、例えば、最大10,000リットル又は最大1000リットルであり得る。ポリウレタン発泡体物品は、例えば、枕、マットレス、又はマットレスのトッパーであり得る。物品は、成形されてもよい、すなわち、内部幾何学形状が物品の外部幾何学的形状と同じである金型内で調製されてもよい。物品は、物品の最終寸法及び幾何学的形状に対してより大きな発泡体を製造することによって作製された切断発泡体であり得る。
【0020】
硬化コーティングは、室温(23℃)固体であり、水に不溶性であるエラストマーポリマーを含む。エラストマーポリマー自体(すなわち、相変化材料及びセラミック粒子が存在しない)は、好ましくは、0℃以下のガラス転移温度を有する(示差走査熱量測定及び少なくとも50%の破断点伸びによって測定された場合)。これらの特性を有するエラストマーポリマーは、本発明の目的のために、エラストマーであると考えられる。エラストマーポリマー自体は、-15℃以下、-25℃以下、又は-40℃以下のガラス転移温度を有し得る。破断点伸びは、100%以上であり得る。
【0021】
好適なエラストマーポリマーの例としては、天然ゴム、並びにブタジエン及びイソプレンなどの共役ジエンのホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアクリレートモノマーのホモポリマー及びコポリマー、イソブチレンのホモポリマー及びコポリマー、ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ネオプレンのホモポリマー及びコポリマー、ポリウレタンゴムなどの合成ポリマーが挙げられる。
【0022】
硬化コーティングには、(i)封入相変化材料の粒子と、(ii)最大50μmの粒径を有するセラミック粒子とが埋め込まれている。
【0023】
封入相変化材料は、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有する相変化材料を含み、この相変化材料は、シェル内に含有される。本発明の目的のために、相変化材料の重量は、シェルの重量を含む。シェルは、例えば、封入相変化材料の全重量の5~25%を構成し得、相変化材料自体は、その残量、すなわち、その75~95重量%を構成する。
【0024】
相変化材料は、ポリエチレンワックス、蜜蝋、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちの任意の1つ以上であるか又はそれらを含有し得る。いくつかの実施形態では、相変化材料は、14~30個、特に14~24個、若しくは16~22個の炭素原子を有するアルカン、又はそのようなアルカンのうちの任意の2つ以上の混合物である。特定の実施形態では、相変化材料は、オクタデカン及び/又はエイコサンを含む。相変化材料は、好ましくは、25~37℃、特に25~32℃、又は28~32℃の溶融温度を有する。
【0025】
封入相変化材料は、示差走査熱量測定によって測定された場合、25~37℃の温度範囲内で少なくとも50ジュール/グラム(J/g)、少なくとも100J/g、又は少なくとも150J/gの融解熱を示し得る。融解熱は、300J/g以上であり得るが、より一般的には最大250J/g又は最大200J/gである。
【0026】
シェル材料は、例えば、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも100℃の溶融温度又は分解温度を有するポリマー材料であり得る。有用なシェル材料の例としては、架橋メラミン-ホルムアルデヒド、架橋メラミン、架橋レゾルシノール尿素ホルムアルデヒド、及びゼラチンなどの架橋熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0027】
封入相変化材料は、粒子の形態である。粒子は、顕微鏡法によって測定された場合、100nm~100μmの粒径を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、少なくとも250nm、少なくとも500nm、少なくとも1μm、又は少なくとも5μm、かつ最大75μm又は最大50μmの粒径を有する。
【0028】
封入相変化材料を調製するための好適な方法は、例えば、米国特許第10,221,323号及び同第10,005,059号に記載されている。
【0029】
好適な封入相変化材料は、Microtek Laboratories,Dayton,Ohio,USから入手可能である。
【0030】
相変化材料は、エラストマーポリマー、封入相変化材料、及びセラミック粒子の合計重量の10~70重量パーセントを構成する。いくつかの実施形態では、封入相変化材料は、前述の基準で、少なくとも25重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、かつ同じ基準で最大65重量パーセント又は最大60重量パーセントを構成する。
【0031】
セラミック粒子は、概して、23℃で非金属無機固体であり、少なくとも200℃の溶融温度又は分解温度(セラミック粒子が溶融することなく分解する場合)を有することを特徴とする。セラミック材料は、少なくとも2つの化学元素の化合物であり、そのうちの少なくとも1つは非金属である。セラミック粒子は、非晶質、半結晶性、又は結晶性であり得るが、0~50℃の温度範囲で相変化を受けない。セラミック材料は、ASTM C1470に従って測定された場合、好ましくは、少なくとも1つの方向に少なくとも50W/(m・K)の熱伝導率を有する。有用なセラミック粒子の例としては、窒化ホウ素が挙げられ、これは、非晶質、又は六方晶、立方晶、及び/若しくはウルツ鉱形態、並びに窒化ケイ素であり得る。
【0032】
セラミック粒子は、最大50μmの粒径を有する。本明細書における粒径は、顕微鏡法を使用して決定された場合、一次(非凝集)粒子の最長寸法を指す。好ましい最小粒径は、少なくとも100nm、少なくとも250nm、又は少なくとも500nmである。好ましい最大粒径は、最大20μm、最大10μm、又は最大5μmである。
【0033】
セラミック粒子は、エラストマーポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の2~25重量パーセントを構成する。いくつかの実施形態では、セラミック粒子は、同じ基準で少なくとも5重量パーセント又は少なくとも8重量パーセントを構成し、再び同じ基準で最大20重量パーセント又は最大15重量パーセントを構成する。
【0034】
いくつかの実施形態では、コーティングは、エラストマーポリマー、封入相変化材料、及びセラミック粒子のエマルジョン及び/又は分散液を形成し、エマルジョン又は分散液をポリウレタン発泡体の表面に適用し、エマルジョンを硬化させて硬化コーティングを生成することによって生成される。「硬化した」は、この文脈において、コーティング組成物が、存在する特定のエラストマーポリマーに適した任意の機構又は機構の組み合わせによって固体コーティングに形成されることを単に意味するために使用される。任意の化学反応(例えば、重合、架橋、又は鎖伸長など)が硬化ステップ中に起こることは必要ではないが、いくつかの場合では、そのような反応が起こり得る。硬化は、単に、適用されたエマルジョン又は分散液を乾燥させて、固体コーティングを生成することを伴い得る。
【0035】
エマルジョン又は分散液の形態のコーティング組成物は、連続液相を含む。連続液相は、水及び/又は室温(23℃)で液体であり、40~100℃の標準圧力で沸点を有する1つ以上の他の化合物を含有する。そのような材料は、例えば、コーティング組成物の全重量の10~50%を構成し得る。エラストマーポリマーは、粒子又は液滴の形態で連続液相中に分散される。封入相変化材料の粒子及びセラミック粒子もまた、その中に分散される。エマルジョンは、好ましくは、水性である、すなわち、連続液相は、水を含む。好ましくは、エマルジョン又は分散液は、そのような有機化合物及び水の合計重量に基づいて、40~100℃の標準圧力で沸点を有する、10重量%以下、特に5重量%以下、又は2重量%以下の室温液体有機化合物を含有する。
【0036】
エラストマーポリマーは、1つ以上のモノマーが液相に溶解又は分散され、ポリマー鎖が沈殿するまで重合条件に供され、液相に分散された固体ポリマー粒子に変換される乳化重合プロセスで生成されるエマルジョン中に存在し得る。そのような乳化重合プロセスにおける液相は、本発明によるポリウレタン発泡体をコーティングするために使用されるエマルジョン又は分散液の液相の一部又は全部を形成することができる。
【0037】
同様に、エラストマーポリマーのエマルジョン又は分散液は、溶融エラストマーポリマーが液相中に分散される機械的分散プロセスで生成され得る。そのような機械的分散プロセスにおける液相は、本発明によるポリウレタン発泡体をコーティングするために使用されるエマルジョン又は分散液の液相の一部又は全部を形成することができる。
【0038】
更に別の好適なプロセスでは、エラストマーポリマーは、粉砕され得るか、又は別様に、その後液相中に分散される小さな粒子に形成され得る。
【0039】
エマルジョン及び/又は分散液の好ましい形態のコーティング組成物は、エラストマーポリマーのエマルジョン又は分散液を、前述の割合で、相変化粒子及びセラミック粒子と組み合わせることによって便利に形成される。
【0040】
そのようなコーティング組成物は、すでに記載されたものに加えて、1つ以上の任意の材料を含み得る。
【0041】
有用な任意の材料の中には、室温(23℃)で液体であり、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した場合、350~8,000、特に350~1200、又は350~800g/molの重量平均分子量を有する1つ以上の親水性ポリマーがある。親水性ポリマーは、好ましくは水溶性である。そのような親水性ポリマーは、少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%のオキシエチレン単位を含有し得、例えば、エチレンオキシドのホモポリマー、又はエチレンオキシドと、1,2-プロピレンオキシドなどの1つ若しくは他のアルキレンオキシドとのコポリマー(ランダム及び/又はブロック)であり得る。そのような親水性ポリマーは、存在する場合、親水性ポリマー、エラストマーポリマー、封入相変化材料、及びセラミック粒子の合計重量の0.1~15パーセントを構成し得る。好ましい量は、同じ基準で、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも4、又は少なくとも5重量パーセント、かつ最大12、最大10、又は最大8重量パーセントである。
【0042】
別の有用な任意の材料は、1つ以上の有用な機能を行うことができる1つ以上の界面活性剤である。そのような界面活性剤は、湿潤剤として機能し、相変化材料の粒子及び/又はセラミック粒子の、コーティング組成物の残りの成分への分散を促進し得る。界面活性剤は、コーティング組成物によるガスの同伴を低減し、気泡を低減するために、消泡剤又は脱気剤として機能し得る。様々なシリコーン界面活性剤は、これらの目的、並びに硫酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、エトキシレート、脂肪酸エステル、アミンオキシド、スルホキシド、及びホスフィンオキシドなどの様々な非シリコーン界面活性剤に有用である。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性であり得る。1つ以上の界面活性剤は、例えば、コーティング組成物の全重量に基づいて0.1~5重量パーセントを構成し得る。
【0043】
他の有用な成分には、様々な増粘剤及びチキソトロープ剤などの様々なレオロジー調整剤が含まれる。これらの中でも、ヒュームドシリカ、及び遊離酸基又はカルボン酸塩基(例えば、アルカリ金属、アンモニウム(NH4)、四級アンモニウム、又は四級ホスホニウムカルボン酸塩など)を含有するアクリル酸の様々な水溶性若しくは水膨潤性ポリマーがある。特に有用なレオロジー調整剤としては、Acrysol(登録商標)の商品名でDuPontによって販売されているような、架橋アクリル酸ポリマーの水性エマルジョンが挙げられる。具体的な例は、Acrysol(登録商標)ASE-60及びAcrysol ASE-95である。そのようなレオロジー調整剤は、存在する場合、例えば、コーティング組成物の0.01~5重量パーセント、好ましくは0.05~1重量パーセントを構成し得る。
【0044】
更に他の有用な成分としては、1つ以上の着色剤、防腐剤、酸化防止剤、及び殺生物剤が挙げられる。
【0045】
コーティング組成物は、前述の成分を混合することによって便利に調製される。エラストマーポリマーがエマルジョン又は分散液の形態で提供される場合、混合しながら任意の便利な順序で残りの成分をエラストマーポリマーのエマルジョン又は分散液に混合して均質な分散液を生成することが便利である。
【0046】
本発明のコーティング組成物を生成する有用な方法は、液相の一部を容器に充填することである。親水性ポリマーは、使用される場合、エラストマーポリマーの不在下で、液相のこの部分と混合される。次いで、セラミック粒子を容器内の液相(及び使用される場合、親水性ポリマー)の部分と組み合わせ、その後、好ましくはエマルジョン又は分散液の形態で、エラストマーポリマー、封入相変化材料、及び他の成分を、任意の便利な順序で添加する。
【0047】
特定の実施形態では、コーティング組成物は、
図1に概略的に示されるような装置を使用して調製される。装置1は、湾曲した底部及びまっすぐ(垂直)な側面を有する混合容器2を含む。湾曲した底部及びまっすぐな側面は、接線17で交わる。まっすぐな側面は内径Yを画定する。いくつかの実施形態では混合容器2は、内部バッフルを欠いている。示されるような装置1は、モータ7、シャフト5、分散器インペラ4、及びインペラ6を含む撹拌システムを含む。シャフト4は、好ましくは、中心垂直軸に沿って混合容器2内で垂直に配向される。分散器インペラ4及びインペラ6は、好ましくは、水平に配向される。
【0048】
分散器インペラ4は、例えば、Cowlesブレードインペラ又はConnブレードインペラであり得る。分散器インペラ4は、好ましくは、0.35~0.7Y、特に0.45~0.55Yの範囲内の全長Dを有する。分散器インペラ4は、好ましくは、接線17と同じ高さであるか、又は接線17の上又は下10cm以下若しくは5cm以下である。
【0049】
インペラ6は、ChemineerからのA320タイプのインペラ又はピッチブレードタービン(Pitch Blade Turbine、PBT)インペラなどのポンピングインペラである。インペラ6は、好ましくは、動作中、0.5D~0.75Dの距離だけ分散器インペラ4の上でシャフト5上に位置する。インペラ6は、シャフト5の垂直長さに沿って可変的に位置決めすることができるため、分散インペラ4に対してその垂直位置を調整することができる。インペラ6は、好ましくは、0.35~0.7Y、特に0.45~0.55Yの範囲の全長を有する。
【0050】
代替の設計では、インペラ6は、好ましくは0.5D~1D、特に0.65~0.85Dの距離だけ分散器インペラ4の下に位置決めされ、第2のインペラ6は、これもまた、好ましくは0.5D~1D、特に0.65~0.85Dの距離だけ分散器インペラ4の上でシャフト5に位置決めされる。
【0051】
装置1は、セラミック粒子を保持するための粉末容器8、及びセラミック粒子を粉末容器8から容器2に分注するための粉末ディスペンサ9を更に含む。粉末ディスペンサ2は、好ましくは、粉末を分注する可変かつ制御可能な速度を可能にする。
【0052】
示される装置1は、示されるように、導管14、弁11、ポンプ12、及びロータステータ13を含む任意の再循環ループ10を更に含む。再循環ループ10は、混合容器10の底部から材料を除去し、除去された材料を混合容器10の上部に輸送し、そこで混合容器10に再導入される。ロータステータ13は、必要に応じて追加の混合を提供する。
【0053】
好ましい混合プロセスでは、液相の全部又は一部が混合容器2の内部に充填される。これは、好ましくは、使用される場合、少なくともいくらかの水及び親水性ポリマーを含む。インペラ6は、混合の第1のステップ中に流体レベルの上に位置決めされる。分散器インペラ4は、混合容器2内の流体の表面の下に位置決めされる。分散器インペラ4を回転させて流体を撹拌し、反応容器2内の流体の表面15上に渦16を作り出す。このステップにおける分散器インペラ4のフルード数は、所望の渦を作り出すために、例えば0.12~0.5であり得る。次いで、流体レベルをインペラ6の下に維持して、インペラ6が混合に関与しないようにして撹拌を続けながら、セラミック粒子を、粉末ディスペンサ9を介して粉末容器8から連続的又は断続的に電力容器2に添加する。粉末ディスペンサ9は、好ましくは、セラミック粒子がシャフトに落下しないように、渦の目の近くにセラミック粒子を分注する。得られた流体及びセラミック粒子の混合物は、すべてのセラミック粒子が添加された後、一定期間撹拌され得る。
【0054】
次いで、インペラ6は、混合容器2の内容物の表面15の下に位置決めされる。次いで、エラストマーポリマーを、好ましくは、より多くの流体相中にエマルジョン又は分散液の形態で添加し、次いで相変化材料を添加する。任意の成分は、エラストマーポリマー及び相変化材料の添加前、添加中、又は添加後に添加される。撹拌をこのステップ中維持して、渦16を維持する。すべての成分が添加された後、撹拌を一定期間継続することができる。必要に応じて、再循環ループ10を介してこのステップ中に材料の再循環を確立することができる。ロータステータ13内のせん断速度は、好ましくは、PCMミクロスフェアの封入の破壊を避けるために、1000秒-1未満に維持される。次いで、完成したコーティング組成物を、包装、貯蔵、輸送、及び/又は使用のために排出する。
【0055】
コーティング組成物は、ポリウレタン発泡体の少なくとも1つの外表面に適用することができる。コーティング方法は特に重要ではない。ローリング、ブラッシング、噴霧、浸漬、又は他のコーティング方法が好適である。
【0056】
好ましくは、硬化後100μm~10mmの厚さを有する硬化コーティングが生成される、十分なコーティング組成物が適用される。コーティング厚さは、好ましくは、少なくとも250μm又は少なくとも350μm、かつ最大2,500μm、最大1500μm、又は最大1000μmである。
【0057】
コーティング組成物は、ポリウレタン発泡体の表面上で硬化される。硬化方法は、特定のエラストマーポリマー及び/又はコーティング組成物の物理的形態に多少依存し得る。エマルジョンの形態のコーティング組成物の硬化は、コーティング組成物中に存在する可能性があるため、少なくとも、水及び/又は室温(23℃)で液体であり、標準圧力で40~100℃の沸点を有する1つ以上の他の化合物を除去する乾燥ステップを含む。そのような乾燥ステップは、15~30℃などの約室温、又は30℃超~100℃以上などの高温で行うことができる。
【0058】
硬化が化学反応(例えば、重合、架橋、又は鎖伸長など)を含む場合、温度などの硬化反応の条件、さもなければコーティング組成物中に存在しない共反応物、触媒、開始剤などの存在などは、硬化を完了するための化学反応を促進するために選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、コーティングされた発泡体は、以下の実施例に記載のBioTac(登録商標)Toccare装置を使用して測定された場合、最大50、好ましくは20~45のマイクロテクスチャ粗さ値、最大20、好ましくは8~18のマイクロテクスチャ粗雑さ値、最大15、好ましくは5~10の粘着性タック値、少なくとも8、好ましくは9~15の熱冷却値、及び少なくとも8、好ましくは10~15の熱持続性値を示す。いくつかの実施形態では、コーティングされた発泡体は、ASTM D2240に従って測定された場合、00スケールで最大15のデュロメータハーネスを示す。
【0060】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示されるが、その範囲を限定することを意図するものではない。すべての部及びパーセンテージは、別途指示がない限り重量による。
【0061】
脱気剤は、EvonikによってTego Airex 904Wとして販売されているヒュームドシリカを有するポリエーテルシロキサンコポリマーである。
【0062】
エマルジョンは、55重量%固形分を有するアクリルラテックスポリマーエマルジョンである。ラテックス粒子は、-50℃のTgを有するエラストマーポリマーである。エマルジョンは、The Dow Chemical CompanyからRhoplex 3166として入手可能である。
【0063】
PEGは、2の平均名目ヒドロキシル官能価及び約600g/モルの数平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0064】
シリコーン界面活性剤は、DC-52の商品名でThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0065】
RM(レオロジー調整剤)1は、酸基を有する架橋アクリレートポリマー粒子を含有する水性エマルジョンである。固形分は28%である。水で希釈し、塩基(NH4OH)で中和した場合、この生成物は増粘剤として機能する。
【0066】
RM2は、酸基を有する架橋アクリレートポリマー粒子を含有する水性エマルジョンである。固形分は18%である。水で希釈し、塩基(NH4OH)で中和した場合、この生成物は増粘剤として機能する。
【0067】
NH4OHは、RM1及び/又はRM2を中和するための、28~30%の水酸化アンモニウム溶液である。
【0068】
BNは、Wego Chemicalから入手可能な、約1~3μmの最長寸法を有するプレートレットの形態の窒化ホウ素(少なくとも98%純度)である。
【0069】
PCM1は、15~30μmの粒径を有するマイクロカプセル化パラフィンワックスである。ワックスは、材料の重量の85~90%を構成し、ポリマーシェルは、生成物の重量の残量を構成する。相変化材料は、約28℃の溶融を有する。生成物は、180~190J/gの融解エンタルピーを有する。それは、Microtek LaboratoriesからMPCM 28Dとして市販されている。
【0070】
PCM2は、15~30μmの粒径を有するマイクロカプセル化パラフィンワックスである。ワックスは、材料の重量の85~90%を構成し、ポリマーシェルは、生成物の重量の残量を構成する。相変化材料は、約32℃の溶融を有する。生成物は、160~170J/gの融解エンタルピーを有する。それは、Microtek LaboratoriesからMPCM 32Dとして市販されている。
【0071】
PCM3は、14~24μmの粒径を有するマイクロカプセル化パラフィンワックスである。ワックスは、材料の重量の85~90%を構成し、ポリマーシェルは、生成物の重量の残量を構成する。相変化材料は、約28℃の溶融を有する。生成物は、180~190J/gの融解エンタルピーを有する。それは、Microtek LaboratoriesからNextek 28Dとして市販されている。
【0072】
PCM4は、15~30μmの粒径を有するマイクロカプセル化パラフィンワックスである。ワックスは、材料の重量の85~90%を構成し、ポリマーシェルは、生成物の重量の残量を構成する。相変化材料は、約32℃の溶融を有する。生成物は、約170J/gの融解エンタルピーを有する。それは、Microtek LaboratoriesからNextek 32Dとして市販されている。
【0073】
コーティング組成物は、表1に列記される成分を組み合わせ、それらを高速実験室ミキサーで混合して均質な混合物を生成することによって、それらから作製される。
【0074】
【表1】
*本発明の実施例ではない。
1エラストマーポリマーの合計重量に基づく、PCM及び充填剤材料。充填剤は、示されるように、BN、Al、Cu、又はグラファイトである。
【0075】
コーティング組成物は、粘弾性ポリウレタン発泡体上にコーティングを生成するために使用される。秤量された量のコーティング組成物を発泡体試料の上面に注ぎ、ローラーブラシを使用して広げて、約316cm2の表面積を有する均一な厚さの平滑層を生成する。適用されたコーティングは、コーティングされた発泡体を80℃で20分間加熱することによって硬化され、約500μmの厚さを有するコーティングを生成する。
【0076】
コーティング組成物は、硬化コーティングが、相変化材料及び充填剤の不在下で、それぞれの場合において、-15℃未満のTgを有するように製剤化される。
【0077】
コーティングされた表面のマイクロテクスチャ粗さ、マイクロテクスチャ粗雑さ、粘着性タック、熱冷却、及び熱持続性は、BioTac(登録商標)Toccare装置(Suntouch,Montrose,CA)を使用して評価され、これは、相対スケールでの各属性の値を報告する。意図された寝具用途では、マイクロテクスチャ粗さ、マイクロテクスチャ粗雑さ、及び粘着性タックのより低い値が好ましく、熱冷却及び熱持続性にはより高い値が好ましい。加えて、コーティングの硬度(デュロメータ00スケール)は、ASTM D2240に従ってデュロメータを使用して測定される。結果は、以下の表2に示すとおりである。
【0078】
【表2】
*本発明の実施例ではない。
1試験装置によって生成された相対スケールに対する評価。ND=判定せず。
【0079】
窒化ホウ素又は他のセラミックを含有しない比較試料Aは、良好なマイクロテクスチャ特性を示すが、比較的粘着性である。それは、許容可能な熱特性を有する。実施例1は、窒化ホウ素粒子を比較試料Aのコーティング組成物に組み込むことの効果を示す。マイクロテクスチャ特性を改善し、粘着性タックを劇的に低減する。熱冷却及び持続性はそれぞれ5~8%改善される。
【0080】
実施例2及び3は、実施例1のコーティング組成物から、それぞれPEG及び界面活性剤を除去する効果を示す。粘着性タックは低いままであり、熱特性は更に改善される。しかしながら、マイクロテクスチャ性能のある程度の喪失が見られ、PEG及び界面活性剤を含むことが好ましいことを示唆する。
【0081】
実施例4は、異なる相変化材料が使用されることを除いて、実施例1の繰り返しである。この試料は、すべての点で優れた特性を有する。マイクロテクスチャの粗さ及び粗雑さは、粘着性タックと同様に非常に低く、熱特性は実施例1及び比較試料Aと比較して実質的に改善される。
【0082】
比較試料B、C、及びDは、窒化ホウ素の代わりに代替熱伝導性材料を使った効果を示す。アルミニウム(比較B)は、非常に低い熱特性をもたらす。銅(比較C)及びグラファイト(比較D)はそれぞれ、良好なタック及び熱特性をもたらすが、それらのマイクロテクスチャ特性は、実施例1及び2よりもはるかに悪い(比較C及び比較Dのように、PEG及びシリコーン界面活性剤を含む)。加えて、比較試料B、C、及びDはすべて、金属又はグラファイト充填剤粒子の組み込みにより非常に着色される。比較試料Dは特に黒色であり、他の染料又は顔料の使用を通じて着色することができない。
【国際調査報告】