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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ムコ多糖症IVAの治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20230315BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20230315BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230315BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/55 ZNA
C12N15/11 Z
C12N7/01
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/15
C12N1/19
A61P39/02
A61K35/76
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546078
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 US2021015436
(87)【国際公開番号】W WO2021154956
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/967,499
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518362720
【氏名又は名称】レジェンクスバイオ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビン マクドガルド
(72)【発明者】
【氏名】スブハ カルムチル‐メレチル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZC371
4C084ZC372
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZC37
(57)【要約】
本明細書では、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)を治療するための遺伝子治療の方法を提供しており、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を使用して、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の骨に、ヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)を送達することを含む。また、本明細書では、当該遺伝子治療の方法で使用することができるrAAVと、当該rAAVの作製方法も提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接するヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記組換えアデノ随伴ウイルス。
【請求項2】
rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーター及び肝臓特異的プロモーターを含み、及び前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
【請求項3】
前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項2に記載のrAAV。
【請求項4】
前記骨特異的プロモーターが、Sp7/Osxプロモーターである、請求項1~3のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項5】
前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項4に記載のrAAV。
【請求項6】
前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載のrAAV。
【請求項7】
前記骨特異的プロモーターが、最小のSp7/Osxプロモーターである、請求項1~3のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項8】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項7に記載のrAAV。
【請求項9】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項7に記載のrAAV。
【請求項10】
前記肝臓特異的プロモーターが、hAAT(ΔATG)プロモーターである、請求項1~9のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項11】
前記hAAT(ΔATG)プロモーターが:
(a)配列番号22と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号22と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号22と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号22と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号22と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項10に記載のrAAV。
【請求項12】
前記hAAT(ΔATG)プロモーターが、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項10に記載のrAAV。
【請求項13】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項14】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項15】
前記ApoEエンハンサーが:
(a)配列番号20と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号20と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号20と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号20と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号20と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項13または14に記載のrAAV。
【請求項16】
前記ApoEエンハンサーが、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項13または14に記載のrAAV。
【請求項17】
前記肝制御領域が:
(a)配列番号19と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号19と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号19と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号19と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号19と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項14に記載のrAAV。
【請求項18】
前記肝制御領域が、配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項14に記載のrAAV。
【請求項19】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP1プロモーターである、請求項1~3のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項20】
前記LBTP1プロモーターが:
(a)配列番号17と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号17と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号17と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号17と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号17と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項19に記載のrAAV。
【請求項21】
前記LBTP1プロモーターが、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載のrAAV。
【請求項22】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP2プロモーターである、請求項1~3のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項23】
前記LBTP2プロモーターが:
(a)配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項22に記載のrAAV。
【請求項24】
前記LBTP2プロモーターが、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載のrAAV。
【請求項25】
rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
【請求項26】
rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合するhGALNSである融合タンパク質をコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
【請求項27】
前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項26に記載のrAAV。
【請求項28】
前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項25~27のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項29】
前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項25~27のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項30】
rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
【請求項31】
rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
【請求項32】
前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項31に記載のrAAV。
【請求項33】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項30~32のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項34】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項30~32のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項35】
前記hGALNS発現カセットが、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項36】
前記イントロンが、キメライントロンである、請求項35に記載のrAAV。
【請求項37】
前記キメライントロンが、β-グロビン/Igイントロンである、請求項36に記載のrAAV。
【請求項38】
前記β-グロビン/Igイントロンが:
(a)配列番号10と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号10と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号10と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号10と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号10と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項37に記載のrAAV。
【請求項39】
前記β-グロビン/Igイントロンが、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載のrAAV。
【請求項40】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列をコドン最適化する、請求項1~39のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項41】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している、請求項1~40のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項42】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号12と、少なくとも80%が同一である;
(b)配列番号12と、少なくとも85%が同一である;
(c)配列番号12と、少なくとも90%が同一である;
(d)配列番号12と、少なくとも95%が同一である;
(e)配列番号12と、少なくとも98%が同一である;または
(f)は配列番号12と、100%同一である、
hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1~41のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項43】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1~41のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項44】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、ポリアデニル化シグナルを含む、請求項1~43のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項45】
前記ポリアデニル化シグナルが、β-グロビンポリアデニル化シグナルである、請求項44に記載のrAAV。
【請求項46】
前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが:
(a)配列番号25と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号25と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号25と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号25と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号25と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項45に記載のrAAV。
【請求項47】
前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項45に記載のrAAV。
【請求項48】
前記ポリアデニル化シグナルが、ウサギグロビンポリA部位である、請求項44に記載のrAAV。
【請求項49】
前記ウサギグロビンポリA部位が:
(a)配列番号9と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号9と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号9と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号9と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号9と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項48に記載のrAAV。
【請求項50】
前記ウサギグロビンポリA部位が、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項48に記載のrAAV。
【請求項51】
前記AAVが、AAV8である、請求項1~50のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項52】
前記AAVが、AAV9である、請求項1~50のいずれか1項に記載のrAAV。
【請求項53】
請求項1~52のいずれか1項に記載のrAAVと、医薬として許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項54】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、及び前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項55】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、及び前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項56】
前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項55に記載のポリヌクレオチド。
【請求項57】
前記骨特異的プロモーターが、Sp7/Osxプロモーターである、請求項54~56のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項58】
前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項59】
前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項60】
前記骨特異的プロモーターが、最小のSp7/Osxプロモーターである、請求項54~56のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項61】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項60に記載のポリヌクレオチド。
【請求項62】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項60に記載のポリヌクレオチド。
【請求項63】
前記肝臓特異的プロモーターが、hAAT(ΔATG)プロモーターである、請求項54~62のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項64】
前記hAAT(ΔATG)プロモーターが:
(a)配列番号22と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号22と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号22と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号22と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号22と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項63に記載のポリヌクレオチド。
【請求項65】
前記hAAT(ΔATG)プロモーターが、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項63に記載のポリヌクレオチド。
【請求項66】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項54~65のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項67】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項54~65のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項68】
前記ApoEエンハンサーが:
(a)配列番号20と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号20と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号20と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号20と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号20と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項66または67に記載のポリヌクレオチド。
【請求項69】
前記ApoEエンハンサーが、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項66または67に記載のポリヌクレオチド。
【請求項70】
前記肝制御領域が:
(a)配列番号19と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号19と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号19と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号19と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号19と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項67に記載のポリヌクレオチド。
【請求項71】
前記肝制御領域が、配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項67に記載のポリヌクレオチド。
【請求項72】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP1プロモーターである、請求項54~56のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項73】
前記LBTP1プロモーターが:
(a)配列番号17と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号17と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号17と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号17と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号17と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項72に記載のポリヌクレオチド。
【請求項74】
前記LBTP1プロモーターが、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項72に記載のポリヌクレオチド。
【請求項75】
前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP2プロモーターである、請求項54~56のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項76】
前記LBTP2プロモーターが:
(a)配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項75に記載のポリヌクレオチド。
【請求項77】
前記LBTP2プロモーターが、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項75に記載のポリヌクレオチド。
【請求項78】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項79】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSをコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項80】
前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項79に記載のポリヌクレオチド。
【請求項81】
前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項78~80のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項82】
前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項78~80のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項83】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項84】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項85】
前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項84に記載のポリヌクレオチド。
【請求項86】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項83~85のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項87】
前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項83~85のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項88】
前記hGALNS発現カセットが、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項54~87のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項89】
前記イントロンが、キメライントロンである、請求項88に記載のポリヌクレオチド。
【請求項90】
前記キメライントロンが、β-グロビン/Igイントロンである、請求項89に記載のポリヌクレオチド。
【請求項91】
前記β-グロビン/Igイントロンが:
(a)配列番号10と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号10と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号10と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号10と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号10と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項90に記載のポリヌクレオチド。
【請求項92】
前記β-グロビン/Igイントロンが、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項90に記載のポリヌクレオチド。
【請求項93】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列をコドン最適化する、請求項54~92のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項94】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している、請求項54~93のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項95】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号12と、少なくとも80%が同一である;
(b)配列番号12と、少なくとも85%が同一である;
(c)配列番号12と、少なくとも90%が同一である;
(d)配列番号12と、少なくとも95%が同一である;
(e)配列番号12と、少なくとも98%が同一である;または
(f)は配列番号12と、100%同一である、
hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項54~94のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項96】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項54~94のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項97】
前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、ポリアデニル化シグナルを含む、請求項54~96のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項98】
前記ポリアデニル化シグナルが、β-グロビンポリアデニル化シグナルである、請求項97に記載のポリヌクレオチド。
【請求項99】
前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが:
(a)配列番号25と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号25と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号25と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号25と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号25と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項98に記載のポリヌクレオチド。
【請求項100】
前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項98に記載のポリヌクレオチド。
【請求項101】
前記ポリアデニル化シグナルが、ウサギグロビンポリA部位である、請求項97に記載のポリヌクレオチド。
【請求項102】
前記ウサギグロビンポリA部位が:
(a)配列番号9と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号9と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号9と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号9と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号9と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
請求項101に記載のポリヌクレオチド。
【請求項103】
前記ウサギグロビンポリA部位が、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項101に記載のポリヌクレオチド。
【請求項104】
前記AAVが、AAV8である、請求項54~103のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項105】
前記AAVが、AAV9である、請求項54~103のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項106】
請求項54~105のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むrAAVプラスミド。
【請求項107】
請求項54~105のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または請求項106に記載のrAAVプラスミドを含むエクスビボ細胞。
【請求項108】
rAAVを作製する方法であって、エクスビボ細胞を、請求項106に記載のrAAVプラスミドと、AAV遺伝子Rep、Cap、VA、E2a、及びE4のヌクレオチド配列を集合的に含む1つ以上のヘルパープラスミドとでトランスフェクトすることを含む、前記方法。
【請求項109】
ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、請求項1~52のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項53の医薬組成物をヒト対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項110】
MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、前記ヒト対象に対して、請求項1~24のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項1~24のいずれか1項に記載のrAAVに直接的または間接的に従属している場合には請求項35~52のいずれか1項に記載のrAAVを投与することで、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、前記ヒト対象の骨及び肝臓に送達する、ことを含む前記方法。
【請求項111】
前記hGALNSまたは融合タンパク質を、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、前記ヒト対象に対して、請求項25~34のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項25~34のいずれか1項に記載のrAAVに直接的または間接的に従属している場合には請求項35~52のいずれか1項に記載のrAAVを投与することで、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、前記ヒト対象の骨に送達する、ことを含む前記方法。
【請求項113】
rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結し、及び前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列は:
(a)配列番号27と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号27と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号27と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号27と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号27と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号27と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、前記rAAV。
【請求項114】
前記AAVキャプシドが、AAV8キャプシド、またはそのバリアントである、請求項13に記載のrAAV。
【請求項115】
前記AAVキャプシドが、AAV9キャプシド、またはそのバリアントである、請求項13に記載のrAAV。
【請求項116】
AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、及び前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項117】
前記プロモーターが、TBGである、請求項113~115のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項118】
前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号6と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号6と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号6と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号6と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号6と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号6と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、請求項113~115または117のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116~117のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項119】
前記プロモーターが、CAGである、請求項113~115のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項120】
前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号28と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号28と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号28と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号28と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号28と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号28と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、請求項113~115または119のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116または119に記載のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項121】
前記プロモーターが、LSPX1である、請求項113~115のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項122】
前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号13と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号13と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号13と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号13と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号13と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号13と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、請求項113~115または121のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116または121のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項123】
前記プロモーターが、LMTP6である、請求項113~115のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項124】
前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号16と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号16と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号16と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号16と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号16と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号16と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、請求項113~115または123のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116または124のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項125】
前記プロモーターが、LBTP2である、請求項113~115のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項126】
前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、請求項113~115または125のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116または125のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項127】
前記AAV-ITRが、AAV2-ITRである、請求項113~115または117~126のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116~126のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項128】
請求項113~115または117~127のいずれか1項に記載のrAAVと、医薬として許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項129】
ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象に対して、請求項113~115または117~127のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項128に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年1月29日出願の米国仮出願第62/967,499号の利益を主張し、当該出願の全内容を、参照により、本明細書で援用する。
【0002】
電子的に提出した配列表の援用
本願は、本出願と一緒に提出した、2020年1月21日に作成した、47,601バイトのサイズを有する「Sequence_Listing_12656-130-228.txt」の名称を付したテキストファイルの配列表を、参照により、援用する。
【0003】
1.分野
本分野は、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の治療に関する。本明細書では、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)が関係するMPS IVAを治療するための方法及び組成物を提供する。
【背景技術】
【0004】
2.背景
ムコ多糖症IVA型(MPS IVA、モルキオA症候群)は、N-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(GALNS)の欠損を原因とする常染色体劣性リソソーム貯蔵障害である(Khan,et al.,Mol Genet Metab.,2017;120(1-2):78-95)。この酵素の欠損により、グリコサミノグリカン(GAG)、コンドロイチン6-硫酸(C6S)、及びケラタン硫酸(KS)が進行性に蓄積することで、不完全骨化、及び発育の継続的不均衡とともに、全身性かつ特有の骨格形成異常に至り、その結果、短頸及び短躯、頸髄圧迫、気管閉塞、鳩胸、関節弛緩、脊柱後側弯、外反股、ならびに外反膝が認められる。この疾患の他の臨床症状としては、難聴、心弁膜症及び角膜混濁を挙げることができる。患者において、200個を超える異なる変異が特定されており、米国内の有病率は、250,000人に1人ほどである。
【0005】
重症型の患者は、治療しなければ、20代または30代で、気道障害、頸髄合併症または心弁膜症で死亡する(Khan,et al.,Mol Genet Metab.,2017;120(1-2):78-95、Tomatsu,S.,et al.Mol.Genet.Metab.2016;117,150-156、Montano,A.M.,et al.J.Inherit.Metab.Dis.2007;30,165-174、Tomatsu,S.,et al.Res.Rep.Endocr.Disord.2012;2012,65-77、Pizarro,C.,et al.Ann.Thorac.Surg.2016;102,e329-331)。現在、臨床診療において、MPS IVA患者に対する支持療法として、酵素補充療法(ERT)、造血幹細胞移植(HSCT)及び様々な外科的介入が利用可能である。2014年2月、FDAは、ERT(エロスルファーゼアルファ)の使用を認可した(Hendriksz,et al.,J Inherit Metab Dis.,2014;37(6):979-990)。現在の標準ケアであるERTでは、MPS IVA患者の軟組織病態と日常生活活動(ADL)が部分的に改善されるが、これらの療法は、それらの病変の無血管の特徴により、骨及び軟骨においては、及ぼす作用が非常に限られている。ERTの現時点での制約としては、i)週に1回、5~6時間注射する必要があること、ii)薬物が循環血液から速やかに除去されること、iii)治療費が非常に高額であること(患者1人当たり年間500,000ドル)、及びv)薬物の骨への浸透が限定的であることがある(Algahim and Almassi,Ther Clin Risk Manag.,2013;9:45-53、Tomatsu et al.,Curr Pharm Biotechnol.,2011;12:931-945)。MPS IVAに関しては、現時点では、組み換えヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(rhGALNS:Vimizim(商標)、エロスルファーゼアルファ)を週に1回投与しても、MPS IVA患者の骨及び軟骨の病変に対する作用は得られない。HSCTは、骨に対して、ERTよりも大きい作用を及ぼし得るが、この細胞ベースの療法は、すべての患者に適用可能であるとは限らない。適合ドナーが限られており、有効な治療を行うには年齢制限があり、精通している施設が不足しており、その施術には、移植片対宿主病(GVHD)、感染症及びその他の合併症などの死亡リスクがあるからである(Tomatsu et al.,Drug Des Devel Ther.,2015;9:1937-1953)。この意味では、MPS IVA用の新規薬物、特に、MPS IVA患者の骨格形成異常を治療するための新規薬物が至急必要である。
【0006】
遺伝子治療は、1回限りの永続的な療法となる可能性がある。ウイルスベクター及び非ウイルスベクターを用いた遺伝子移入の非臨床試験の多くでは、MPS疾患におけるこの療法の潜在的な治療能力が示された。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、治療用遺伝子を標的臓器に送達するための魅力的なビヒクルである。そのベクターは、導入遺伝子産物を長期的に発現させるとともに、免疫原性のリスクが低いからである。これらの利点により、MPS I、II、IIIA、IIIB及びVI用として、AAVを介した遺伝子治療の臨床試験が行われているか、または予定されている(ClinicalTrials.gov;Sawamoto et al.,Expert Opin.Orphan Drugs,2016;4,941-951)。充分な酵素を軟骨病変及び成長板領域に送達すると、MPS IVA患者の骨格形成異常が解消される可能性がある。我々の以前の研究では、AAV2ベクターを用いてGALNS遺伝子を移入すると、組織において治療的な酵素レベルが得られることが示された(Almeciga-Diaz,C.J.,et al.Pediatr.Res.2018;84,545-551)が、AAVを介した遺伝子治療が、MPS IVAマウスモデルの骨格病変を矯正することを示した試験は現時点では存在しない。
【0007】
フルオロフォアAlexa-488にコンジュゲートしたrhGALNSを10mg/kg、野生型マウスに、1日おきに5回静脈内注射したところ、その酵素が成長板及び関節軟骨で検出されたことをDvorak-Ewellらは示した(Dvorak-Ewell,M.,et al.PLoS One.2010;5,e12194)。この知見から、高レベルの循環酵素によって、酵素を軟骨病変の中まで浸透させることができることを示している。AAV8ベクターが、肝臓への形質導入効率のよいこと、及び組み換えAAV8ベクターを使用すると、初期世代のAAV2ベクターと比較して、肝臓への遺伝子移入の効率性が10~100倍高いことが示された(Gao,G.P.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2002;99,11854-11859)。肝臓特異的プロモーターの利用により、宿主の免疫応答が有意に軽減された。肝臓指向性AAV遺伝子治療は、ユビキタスプロモーターと比べて、導入遺伝子産物に対して免疫寛容を誘導することが報告されているからである(Mingozzi,F.,et al.J.Clin.Invest.2003;111,1347-1356、Ziegler,R.J.,et al.Mol.Ther.2004;9,231-240、Dobrzynski,E.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2006;103,4592-4597、Cao,O.,et al.Blood 2007;110,1132-1140、Mingozzi,F.,et al.Blood 2007;110,2334-2341)。この免疫応答の抑制により、導入遺伝子産物の長期的な発現をもたらすことができる(Wang,L.,et al.Mol.Ther.2000;1,154-158、Sondhi,D.,et al.Gene Ther.2005;12,1618-1632)。肝臓特異的プロモーターと組み合わせた組み換えAAV8ベクターによって、MPS VIのマウスモデル及びネコモデルの骨格病変に対する作用が大きくなったことが以前の研究によって示された(Tessitore,A.,et al.Mol.Ther.2008;16,30-37、Cotugno,G.,et al.Mol.Ther.2011;19,461-469)。
【0008】
MPS IVA患者では、MPSのすべての型の中で最も重篤な骨格異常が見られ(Melbouci,M.,et al.Mol.Genet.Metab.2018;124,1-10)、骨ターゲティング型の方策であれば、軟骨領域に浸透するのに充分な酵素を供給できる。短い酸性アミノ酸タグをいくつかの酵素のN末端またはC末端に結合することで、骨へのターゲティングが増強されることを我々は以前に示した(Montano,A.M.,et al Mol.Genet.Metab.2008;94,178-189、Tomatsu,S.,et al.Mol.Ther.2010;18,1094-1102)。ヒドロキシアパタイト(HA)は、骨における主な無機成分であり、カルシウムイオンを含む正帯電表面を有する。骨のシアロタンパク質及びオステオポンチンは、HAに結合し、これらのリン酸化酸性糖タンパク質は、負電荷を持つ酸性アミノ酸(Asp及びGlu)の反復配列を有し、骨ターゲティング型の方策の標的候補となり得る(Oldberg,A.,et al.J.Biol.Chem.1988;263,19430-19432、Kasugai,S.,et al.J.Bone Miner.Res.2000;15,936-943)。
【0009】
rAAVは、その安全性プロファイル、汎用性、及び特定の機能に合わせて操作できる点により、多くの疾患における広範な遺伝子治療用途で利用できる(例えば、Naso et al.,BioDrugs.2017;31(4):317-334を参照されたい)。神経筋疾患、眼疾患及び免疫疾患を含む広範な遺伝子疾患に関して、AAV遺伝子治療を用いた臨床試験が行われている(例えば、Kumar et al.,Molecular Therapy-Methods&Clinical Development,2016,3:16034を参照されたい)。
【0010】
本明細書における参照文献の引用は、それらが本開示の先行技術であると認めるものとしては解釈してならない。
【発明の概要】
【0011】
3.概要
本明細書では、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)を治療するための遺伝子治療の方法を提供しており、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を用いて、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の骨に、ヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)を送達することを含む。また、本明細書では、当該遺伝子治療の方法で使用できるrAAVと、当該rAAVの作製方法と、当該rAAVを作製する際に使用できるポリヌクレオチド、プラスミド及び細胞を提供する。
【0012】
ある態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド、またはAAV9キャプシド);及び、(b)AAV逆位末端反復(ITR)(例えば、AAV2-ITR、AAV8-ITR、またはAAV9-ITR)が隣接するヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)発現カセットを含む組み換えAAVゲノムを含む組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、当該hGALNS発現カセットは、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする導入遺伝子などの導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、また、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、上記した融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。さらに特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、サイロキシン結合性グロブリン(TBG)プロモーターである。
【0013】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド、またはAAV9キャプシド);及び、(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR、AAV8-ITR、またはAAV9-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含む組み換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、また、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列が、当該hGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、TBGプロモーターである。
【0014】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド);及び(b)AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接するヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0015】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド);及び(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0016】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、Sp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0017】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、最小のSp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0018】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAAT(ΔATG)プロモーターである。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0019】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサーは、配列番号20と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサープロモーターは、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0020】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP1プロモーターである。特定の実施形態では、LBTP1プロモーターは、配列番号17と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0021】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP2プロモーターである。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0022】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド);及び(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該Sp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0023】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド);及び(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、Sp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0024】
特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0025】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド);及び(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、最小のSp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0026】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド);及び(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、最小のSp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0027】
特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0028】
本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、hGALNS発現カセットは、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該イントロンは、キメライントロンである。特定の実施形態では、当該キメライントロンは、β-グロビン/Igイントロンである。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0029】
本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列をコドン最適化する。本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0030】
本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、ポリアデニル化シグナルを含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、β-グロビンポリアデニル化シグナルである。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、ウサギグロビンポリA部位である。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0031】
本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該AAVは、AAV8である。本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該AAVは、AAV9である。
【0032】
別の態様では、本明細書で提供するのは、本明細書で提供するrAAVと、医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物である。
【0033】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR、AAV8-ITR、またはAAV9-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、導入遺伝子、例えば、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。さらに特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、TBGプロモーターである。
【0034】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR、AAV8-ITR、またはAAV9-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットが、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列が、そのhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、TBGプロモーターである。
【0035】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0036】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターを含み、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0037】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、Sp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0038】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、最小のSp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0039】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAAT(ΔATG)プロモーターである。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0040】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサーは、配列番号20と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサープロモーターは、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0041】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP1プロモーターである。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0042】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP2プロモーターである。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0043】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0044】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、当該Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0045】
特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0046】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0047】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、当該最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0048】
特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0049】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、hGALNS発現カセットは、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該イントロンは、キメライントロンである。特定の実施形態では、当該キメライントロンは、β-グロビン/Igイントロンである。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0050】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列をコドン最適化する。本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0051】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、ポリアデニル化シグナルを含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、β-グロビンポリアデニル化シグナルである。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、ウサギグロビンポリA部位である。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0052】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該AAVは、AAV8である。本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該AAVは、AAV9である。
【0053】
別の態様では、本明細書では、本明細書で提供するポリヌクレオチドを含むrAAVプラスミドを提供する。
【0054】
別の態様では、本明細書では、本明細書で提供するポリヌクレオチドまたは本明細書で提供するrAAVプラスミドを含むエクスビボ細胞を提供する。
【0055】
別の態様では、本明細書では、rAAVの作製方法を提供し、当該方法は、エクスビボ細胞を、本明細書に記載したrAAVプラスミドと、AAV遺伝子Rep、Cap、VA、E2a、及びE4のヌクレオチド配列を集合的に含む1つ以上のヘルパープラスミドとでトランスフェクトすることを含む。
【0056】
別の態様では、本明細書では、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象の治療方法を提供し、当該方法は、当該ヒト対象に対して、本明細書で提供するrAAVまたは本明細書で提供する医薬組成物を投与することを含む。
【0057】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法を提供し、当該方法は、本明細書に記載したrAAVを当該対象に対して投与することで、当該ヒト対象の骨及び肝臓に、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質(事例に応じて)の治療有効量を送達することを含む。特定の実施形態では、hGALNSまたは融合タンパク質を、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化する。
【0058】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法を提供し、当該方法は、本明細書に記載したrAAVを当該対象に対して投与することで、当該ヒト対象の骨に、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質(事例に応じて)の治療有効量を送達することを含む。
【0059】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法を提供し、当該方法は、当該ヒト対象に対して、本明細書で提供するrAAVを投与することで、導入遺伝子、例えば、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする導入遺伝子の治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達することを含む。特定の実施形態では、当該hGALNSを、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化する。
【0060】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法を提供し、当該方法は、当該ヒト対象に対して、本明細書で提供するrAAVを投与することで、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化されるhGALNSの治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達することを含む。
【0061】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法を提供し、当該方法は、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を送達することを含み、当該融合タンパク質を、rAAVゲノム(例えば、組み換えAAV8ゲノム(すなわち、AAV8ゲノムの主鎖を含む組み換えゲノム))から産生する。
【0062】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法を提供し、当該方法は、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に、導入遺伝子、例えば、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする導入遺伝子をコードする導入遺伝子の治療有効量を送達することを含み、当該融合タンパク質は、rAAVゲノム(例えば、組み換えAAV8ゲノム(すなわち、AAV8ゲノムの主鎖を含む組み換えゲノム))から産生し、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化する。
【0063】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法を提供し、当該方法は、rAAVゲノム(例えば、組み換えAAV8ゲノム(すなわち、AAV8ゲノムの主鎖を含む組み換えゲノム))から産生され、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化するhGALNSの治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達することを含む。
【0064】
MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法の特定の態様及び実施形態では、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達することを含み、当該骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達する工程は、骨、及び/または軟骨に送達する工程である。
【0065】
MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法の特定の態様及び実施形態では、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達することを含み、当該骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達する工程は、(a)骨、及び/または軟骨、ならびに(b)靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、心筋、及び/または心臓弁に送達する工程である。
【0066】
ある態様では、本明細書では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、当該rAAVは:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド、またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接するヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、当該hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0067】
ある態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該プロモーターをコードする配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0068】
一部の態様では、当該プロモーターは、TBGである。一部の態様では、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列は:配列番号6と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号6と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号6と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号6と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号6と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号6と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0069】
一部の態様では、当該プロモーターは、CAGである。一部の態様では、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列は:配列番号28と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号28と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号28と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号28と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号28と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号28と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0070】
一部の態様では、当該プロモーターは、LSPX1である。一部の態様では、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列は:配列番号13と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号13と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号13と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号13と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号13と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号13と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0071】
一部の態様では、当該プロモーターは、LMTP6である。一部の態様では、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列は:配列番号16と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号16と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号16と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号16と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号16と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号16と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0072】
一部の態様では、当該プロモーターは、LBTP2である。一部の態様では、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列は:配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0073】
一部の態様では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は:配列番号27と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号27と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0074】
一部の態様では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は:配列番号3と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号3と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号3と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号3と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号3と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号3と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0075】
一部の態様では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は:配列番号12と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号12と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号12と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号12と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号12と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号12と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0076】
一部の態様では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は:配列番号2と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号2と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号2と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号2と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号2と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号2と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0077】
ある態様では、本明細書では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、当該rAAVは:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8キャプシド、またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV逆方向末端反復(ITR)(例えば、AAV2-ITR)に隣接するヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、当該hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結し、また、導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は:配列番号27と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;配列番号27と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または、配列番号27と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0078】
一部の態様では、本明細書では、本開示の1つ以上のrAAVと、医薬として許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。一部の態様では、本明細書では、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象を治療する方法を提供しており、本開示の1つ以上のrAAVを、ヒト対象に投与することを含む。
3.1 例示的実施形態
1.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接するヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記組換えアデノ随伴ウイルス。
2.rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーター及び肝臓特異的プロモーターを含み、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
3.前記酸性オリゴペプチドが、D8である、請求項2に記載のrAAV。
4.前記骨特異的プロモーターが、Sp7/Osxプロモーターである、パラグラフ1~3のいずれか1つに記載のrAAV。
5.前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ4に記載のrAAV。
6.前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ4に記載のrAAV。
7.前記骨特異的プロモーターが、最小のSp7/Osxプロモーターである、パラグラフ1~3のいずれか1つに記載のrAAV。
8.前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ7に記載のrAAV:
9.前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ7に記載のrAAV。
10.前記肝臓特異的プロモーターが、hAAT(ΔATG)プロモーターである、パラグラフ1~9のいずれか1つに記載のrAAV。
11.前記hAAT(ΔATG)プロモーターが:
(a)配列番号22と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号22と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号22と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号22と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号22と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ10に記載のrAAV:
12.前記hAAT(ΔATG)プロモーターが、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ10に記載のrAAV。
13.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、パラグラフ1~12のいずれか1つに記載のrAAV。
14.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、パラグラフ1~12のいずれか1つに記載のrAAV。
15.前記ApoEエンハンサーが:
(a)配列番号20と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号20と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号20と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号20と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号20と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ13または14に記載のrAAV。
16.前記ApoEエンハンサーが、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ13または14に記載のrAAV。
17.前記肝制御領域が:
(a)配列番号19と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号19と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号19と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号19と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号19と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ14に記載のrAAV。
18.前記肝制御領域が、配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ14に記載のrAAV。
19.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP1プロモーターである、パラグラフ1~3のいずれか1つに記載のrAAV。
20.前記LBTP1プロモーターが:
(a)配列番号17と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号17と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号17と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号17と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号17と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ19に記載のrAAV。
21.前記LBTP1プロモーターが、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ19に記載のrAAV。
22.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP2プロモーターである、パラグラフ1~3のいずれか1つに記載のrAAV。
23.前記LBTP2プロモーターが:
(a)配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ22に記載のrAAV。
24.前記LBTP2プロモーターが、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ22に記載のrAAV。
25.rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
26.rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合するhGALNSである融合タンパク質をコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
27.前記酸性オリゴペプチドが、D8である、パラグラフ26に記載のrAAV。
28.前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ25~27のいずれか1つに記載のrAAV。
29.前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ25~27のいずれか1つに記載のrAAV。
30.rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
31.rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記rAAV。
32.前記酸性オリゴペプチドが、D8である、パラグラフ31に記載のrAAV。
33.前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ30~32のいずれか1つに記載のrAAV。
34.前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ30~32のいずれか1つに記載のrAAV。
35.前記hGALNS発現カセットが、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、パラグラフ1~34のいずれか1つに記載のrAAV。
36.前記イントロンが、キメライントロンである、パラグラフ35に記載のrAAV。
37.前記キメライントロンが、β-グロビン/Igイントロンである、パラグラフ36に記載のrAAV。
38.前記β-グロビン/Igイントロンが:
(a)配列番号10と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号10と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号10と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号10と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号10と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ37に記載のrAAV。
39.前記β-グロビン/Igイントロンが、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ37に記載のrAAV。
40.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列をコドン最適化する、パラグラフ1~39のいずれか1つに記載のrAAV。
41.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している、パラグラフ1~40のいずれか1つに記載のrAAV。
42.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号12と、少なくとも80%が同一である;
(b)配列番号12と、少なくとも85%が同一である;
(c)配列番号12と、少なくとも90%が同一である;
(d)配列番号12と、少なくとも95%が同一である;
(e)配列番号12と、少なくとも98%が同一である;または
(f)は配列番号12と、100%同一である、
hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、パラグラフ1~41のいずれか1つに記載のrAAV。
43.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、パラグラフ1~41のいずれか1つに記載のrAAV。
44.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、ポリアデニル化シグナルを含む、パラグラフ1~43のいずれか1つに記載のrAAV。
45.前記ポリアデニル化シグナルが、β-グロビンポリアデニル化シグナルである、パラグラフ44に記載のrAAV。
46.前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが:
(a)配列番号25と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号25と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号25と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号25と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号25と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ45に記載のrAAV。
47.前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ45に記載のrAAV。
48.前記ポリアデニル化シグナルが、ウサギグロビンポリA部位である、パラグラフ44に記載のrAAV。
49.ウサギグロビンポリA部位が:
(a)配列番号9と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号9と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号9と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号9と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号9と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ48に記載のrAAV。
50.前記ウサギグロビンポリA部位が、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ48に記載のrAAV。
51.前記AAVが、AAV8である、パラグラフ1~50のいずれか1つに記載のrAAV。
52.前記AAVが、AAV9である、パラグラフ1~50のいずれか1つに記載のrAAV。
53.パラグラフ1~52のいずれか1つに記載のrAAVと、医薬として許容可能な担体とを含む医薬組成物。
54.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、及び前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
55.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、前記骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、及び前記骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
56.前記酸性オリゴペプチドが、D8である、パラグラフ55に記載のポリヌクレオチド。
57.前記骨特異的プロモーターが、Sp7/Osxプロモーターである、パラグラフ54~56のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
58.前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ57に記載のポリヌクレオチド。
59.前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ57に記載のポリヌクレオチド。
60.前記骨特異的プロモーターが、最小のSp7/Osxプロモーターである、パラグラフ54~56のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
61.前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ60に記載のポリヌクレオチド。
62.前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ60に記載のポリヌクレオチド。
63.前記肝臓特異的プロモーターが、hAAT(ΔATG)プロモーターである、パラグラフ54~62のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
64.前記hAAT(ΔATG)プロモーターが:
(a)配列番号22と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号22と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号22と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号22と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号22と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ63に記載のポリヌクレオチド。
65.前記hAAT(ΔATG)プロモーターが、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ63に記載のポリヌクレオチド。
66.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、パラグラフ54~65のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
67.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、パラグラフ54~65のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
68.前記ApoEエンハンサーが:
(a)配列番号20と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号20と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号20と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号20と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号20と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ66または67に記載のポリヌクレオチド。
69.前記ApoEエンハンサーが、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ66または67に記載のポリヌクレオチド。
70.前記肝制御領域が:
(a)配列番号19と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号19と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号19と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号19と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号19と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ67に記載のポリヌクレオチド。
71.前記肝制御領域が、配列番号19と、少なくとも100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ67に記載のポリヌクレオチド。
72.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP1プロモーターである、パラグラフ54~56のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
73.前記LBTP1プロモーターが:
(a)配列番号17と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号17と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号17と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号17と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号17と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ72に記載のポリヌクレオチド。
74.前記LBTP1プロモーターが、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ72に記載のポリヌクレオチド。
75.前記骨-肝臓タンデムプロモーターが、LBTP2プロモーターである、パラグラフ54~56のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
76.前記LBTP2プロモーターが:
(a)配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ75に記載のポリヌクレオチド。
77.前記LBTP2プロモーターが、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ75に記載のポリヌクレオチド。
78.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
79.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSをコードし、及び前記Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
80.前記酸性オリゴペプチドが、D8である、パラグラフ79に記載のポリヌクレオチド。
81.前記Sp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号23と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号23と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号23と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号23と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号23と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ78~80のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
82.前記Sp7/Osxプロモーターが、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ78~80のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
83.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
84.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットが、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、及び前記最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
85.前記酸性オリゴペプチドが、D8である、パラグラフ84に記載のポリヌクレオチド。
86.前記最小のSp7/Osxプロモーターが:
(a)配列番号24と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号24と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号24と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号24と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号24と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ83~85のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
87.前記最小のSp7/Osxプロモーターが、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ83~85のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
88.前記hGALNS発現カセットが、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、パラグラフ54~87のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
89.前記イントロンが、キメライントロンである、パラグラフ88に記載のポリヌクレオチド。
90.前記キメライントロンが、β-グロビン/Igイントロンである、パラグラフ89に記載のポリヌクレオチド。
91.前記β-グロビン/Igイントロンが:
(a)配列番号10と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号10と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号10と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号10と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号10と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ90に記載のポリヌクレオチド。
92.前記β-グロビン/Igイントロンが、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ90に記載のポリヌクレオチド。
93.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列をコドン最適化する、パラグラフ54~92のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
94.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している、パラグラフ54~93のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
95.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号12と、少なくとも80%が同一である;
(b)配列番号12と、少なくとも85%が同一である;
(c)配列番号12と、少なくとも90%が同一である;
(d)配列番号12と、少なくとも95%が同一である;
(e)配列番号12と、少なくとも98%が同一である;または
(f)は配列番号12と、100%同一である、
hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、パラグラフ54~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
96.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む、パラグラフ54~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
97.前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、ポリアデニル化シグナルを含む、パラグラフ54~96のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
98.前記ポリアデニル化シグナルが、β-グロビンポリアデニル化シグナルである、パラグラフ97に記載のポリヌクレオチド。
99.前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが:
(a)配列番号25と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号25と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号25と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号25と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号25と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ98に記載のポリヌクレオチド。
100.前記β-グロビンポリアデニル化シグナルが、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ98に記載のポリヌクレオチド。
101.前記ポリアデニル化シグナルが、ウサギグロビンポリA部位である、パラグラフ97に記載のポリヌクレオチド。
102.前記ウサギグロビンポリA部位が:
(a)配列番号9と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(b)配列番号9と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(c)配列番号9と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(d)配列番号9と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む;
(e)配列番号9と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列を含む;または
(f)配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、
パラグラフ101に記載のポリヌクレオチド。
103.前記ウサギグロビンポリA部位が、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む、パラグラフ101に記載のポリヌクレオチド。
104.前記AAVが、AAV8である、パラグラフ54~103のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
105.前記AAVが、AAV9である、パラグラフ54~103のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
106.パラグラフ54~105のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含むrAAVプラスミド。
107.パラグラフ54~105のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、またはパラグラフ106に記載のrAAVプラスミドを含むエクスビボ細胞。
108.rAAVを作製する方法であって、エクスビボ細胞を、パラグラフ106に記載のrAAVプラスミドと、AAV遺伝子Rep、Cap、VA、E2a、及びE4のヌクレオチド配列を集合的に含む1つ以上のヘルパープラスミドとでトランスフェクトすることを含む、前記方法。
109.ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、パラグラフ1~52のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ53の医薬組成物をヒト対象に投与することを含む、前記方法。
110.MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、前記ヒト対象に対して、パラグラフ1~24のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ1~24のいずれか1つに記載のrAAVに直接的または間接的に従属している場合にはパラグラフ35~52のいずれか1つに記載のrAAVを投与することで、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、前記ヒト対象の骨及び肝臓に送達する、ことを含む前記方法。
111.前記hGALNSまたは融合タンパク質を、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化する、パラグラフ110に記載の方法。
112.MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、前記ヒト対象に対して、パラグラフ25~34のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ25~34のいずれか1つに記載のrAAVに直接的または間接的に従属している場合にはパラグラフ35~52のいずれか1つに記載のrAAVを投与することで、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、前記ヒト対象の骨に送達する、ことを含む前記方法。
113.rAAVであって:
(a)AAVキャプシド;及び
(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含み、前記hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、前記導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結し、及び前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列は:
(a)配列番号27と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号27と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号27と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号27と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号27と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号27と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、前記rAAV。
114.前記AAVキャプシドが、AAV8キャプシド、またはそのバリアントである、パラグラフ13に記載のrAAV。
115.前記AAVキャプシドが、AAV9キャプシド、またはそのバリアントである、パラグラフ13に記載のrAAV。
116.AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、前記hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含む、及び前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列を、前記導入遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列に機能的に連結する、前記ポリヌクレオチド。
117.前記プロモーターが、TBGである、パラグラフ113~115のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116に記載のポリヌクレオチド。
118.前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号6と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号6と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号6と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号6と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号6と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号6と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、パラグラフ113~115または117のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116~117のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
119.前記プロモーターが、CAGである、パラグラフ113~115のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116に記載のポリヌクレオチド。
120.プロモーターをコードするヌクレオチド配列が:
(a)配列番号28と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号28と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号28と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号28と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号28と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号28と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、パラグラフ113~115または119のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116または119に記載のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
121.前記プロモーターが、LSPX1である、パラグラフ113~115のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116に記載のポリヌクレオチド。
122.前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号13と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号13と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号13と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号13と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号13と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号13と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、パラグラフ113~115または121のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116または121のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
123.前記プロモーターが、LMTP6である、パラグラフ113~115のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116に記載のポリヌクレオチド。
124.前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号16と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号16と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号16と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号16と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号16と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号16と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、パラグラフ113~115または123のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116または124のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
125.前記プロモーターが、LBTP2である、パラグラフ113~115のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116に記載のポリヌクレオチド。
126.前記プロモーターをコードする前記ヌクレオチド配列が:
(a)配列番号18と、少なくとも80%が同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号18と、少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号18と、少なくとも90%が同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号18と、少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列;
(e)配列番号18と、少なくとも98%が同一であるヌクレオチド配列;または
(f)配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列、
を含む、パラグラフ113~115または125のいずれか1つに記載のrAAV、またはパラグラフ116または125のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
127.前記AAV-ITRが、AAV2-ITRである、請求項113~115または117~126のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項116~126のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
128.請求項113~115または117~127のいずれか1項に記載のrAAVと、医薬として許容可能な担体とを含む医薬組成物。
129.ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象に対して、請求項113~115または117~127のいずれか1項に記載のrAAV、または請求項128に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
4.略語
【表1】
【0079】
5.図面の簡単な説明
上記した、及びその他の目的、特徴、及び利点は、添付した図面に例示した通り、本発明の特定の実施形態の下記の説明から明らかである。それらの図面は、必ずしも、縮尺通りに描かれておらず、本発明の様々な実施形態の原理を説明することに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】rAAVゲノムの概略図である。
【0081】
図2A】TBG-hGALNSプラスミド、TBG-hGALNS-CoOptプラスミド、TBG-D8-hGALNSプラスミド、またはTBG-D8-hGALNS-CoOptプラスミドのいずれかをトランスフェクションした後のHuH-7細胞において、細胞内酵素活性を求めた(n=2)。
図2B】HuH-7細胞で求めた細胞内酵素活性の個々の実験結果を示している。
図2C】HuH-7細胞に、TBG-hGALNSプラスミド、TBG-hGALNS-CoOptプラスミド、TBG-D8-hGALNSプラスミド、またはTBG-D8-hGALNS-CoOptプラスミドをトランスフェクションした後、培地中の酵素活性を求めた(n=2)。
図2D】培地中の酵素活性をHuH-7細胞で求めたものの個々の実験結果を示している。
【0082】
図3】TBG-hGALNSプラスミド、TBG-hGALNS-CoOptプラスミド、TBG-D8-hGALNSプラスミド、またはTBG-D8-hGALNS-CoOptプラスミドのいずれかをトランスフェクションした後のHepG2細胞で、細胞内酵素活性を求めた。
【0083】
図4】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを4週齢のMPS IVA KOマウス(galns-/-)及び免疫寛容性マウス(GALNStm(hC79S.mC76S)slu、Mtol)に投与したインビボ試験のスケジュールである。血液における酵素アッセイ及びKSアッセイのスケジュールを示している。用量について記載している場合、1キログラム当たりのベクターコピー数(vc/kg)及び1キログラム当たりの遺伝子コピー数(GC/kg)は同義的に使用している。
【0084】
図5A】AAV8-TBG-hGALNSr、またはAAV-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の白血球(WBC)で測定した経時的なhGALNS酵素活性である。
図5B】AAV8-TBG-hGALNSr、またはAAV-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の血漿で測定した経時的なhGALNS酵素活性である。
【0085】
図6】AAV8-TBG-hGALNS(n=4)、またはAAV8-TBG-D8-hGALNS(n=4)を投与した後のMtolマウスの血漿で測定した経時的なhGALNS酵素活性である。
【0086】
図7A】MPS IVA KOマウス(galns-/-)の肝臓で測定したhGALNS酵素活性である。
図7B】Mtolマウスの肝臓で測定したhGALNS酵素活性である。
図7C】MPS IVA KOマウス(galns-/-)の心臓及びMtolマウスの心臓で測定したhGALNS酵素活性である。
図7D】MPS IVA KOマウス(galns-/-)の骨及びMtolマウスの骨で測定したhGALNS酵素活性である。
【0087】
図8】AAV8-TBG-hGALNS、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の血漿におけるモノ硫酸化KSレベルである。
【0088】
図9A】AAV8-TBG-hGALNS、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSでMtolマウスの血漿における経時的なモノ硫酸化KSレベルを未処置のMtolマウス及びWTマウスと比較したものである。
図9B】AAV8-TBG-hGALNS、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの血漿におけるモノ硫酸化KSレベルは、16週齢において、未処置のMtolマウスのレベルと比べて有意に低かった(n=4~5、平均±標準偏差、:WTに対するp<0.05、#:未処置群に対するp<0.05、一元ANOVA)。
【0089】
図10】AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のマウスまたはWTマウスにおいて経時的に測定した血中のdiHS-0Sレベルである。
【0090】
図11A】骨の病理スコアのグラフ図である。MPS IVA KOマウス(galns-/-)において、AAV8-hGALNSベクターまたはAAV8-D8-hGALNSベクターを投与してから12週間後に、骨の病態を組織病理学的解析によって評価した。
図11B】膝関節(Lig-靭帯、M-半月板、F-大腿骨、T-脛骨)の組織病態である。
図11C】大腿関節軟骨の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11D】大腿関節軟骨の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11E】大腿関節軟骨の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11F】大腿関節軟骨の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11G】大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11H】大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11I】大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11J】大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11K】半月板の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11L】靭帯の組織病態(脛骨側、40倍拡大画像)である。
図11M】心臓弁の基部の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11N】心臓弁の基部の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11O】心臓弁の組織病態(40倍拡大画像)である。
図11P】心臓弁の組織病態(40倍拡大画像)である。
【0091】
図12A】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)及びMtolマウスの肝臓でそれぞれ測定したhGALNS酵素活性レベルを未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較したものである(n=3~8、平均±標準偏差)。
図12B】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の脾臓及びMtolマウスの脾臓でそれぞれ測定したhGALNS酵素活性レベルを未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較したものである(n=3~8、平均±標準偏差)。
図12C】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の肺及びMtolマウスの肺でそれぞれ測定したhGALNS酵素活性レベルを、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス及び野生型マウスと比較したものである(n=3~8、平均±標準偏差)。
【0092】
図13A】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の骨及びMtolマウスの骨でそれぞれ測定したhGALNS酵素活性レベルを未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較したものである(n=3~8、平均±標準偏差)。
図13B】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の心臓及びMtolマウスの心臓でそれぞれ測定したhGALNS酵素活性レベルを未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較したものである(n=3~8、平均±標準偏差)。
【0093】
図14】AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の血漿におけるモノ硫酸化KSレベルを、未処置のMPS IVA KOマウス及び未処置の野生型マウスと比較したものである(n=4~8、平均±標準偏差)。
【0094】
図15A】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの血漿における経時的なモノ硫酸化KSレベルを、未処置のMtolマウス及びWTマウスと比較したものである。
図15B】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの血漿におけるモノ硫酸化KSレベルは、16週齢において、未処置のMtolマウスレベルと比べて有意に低かった(n=4~5、平均±標準偏差、:WTに対するp<0.05、#:未処置群に対するp<0.05、一元ANOVA)。
【0095】
図16A】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の肝臓におけるモノ硫酸化KSレベルを未処置のMPS IVA KOマウス、及び未処置の野生型マウスと比較したものである。n=3~8、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA)。
図16B】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の肺におけるモノ硫酸化KSレベルを未処置のMPS IVA KOマウス、及び未処置の野生型マウスと比較したものである。n=3~8、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA)。
図16C】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの肝臓におけるモノ硫酸化KSレベルを未処置のMtolマウス、及び未処置の野生型マウスと比較したものである。n=3~8、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA)。
【0096】
図17A】野生型マウスにおける大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である(軟骨細胞はいずれも空胞化しておらず、カラム構造は充分に組織化されていた)。
図17B】未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)における大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である(軟骨細胞はいずれも空胞化しており、カラム構造は大部分が崩壊し、歪んでいた)。
図17C】未処置のMtolマウスにおける大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である(軟骨細胞はいずれも空胞化しており、カラム構造は大部分が崩壊し、歪んでいた)。
図17D】AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウスにおける大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である(軟骨細胞の空胞化は中度であったが、カラム構造は良質であった)。
図17E】AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスにおける大腿骨成長板の組織病態(40倍拡大画像)である(軟骨細胞の空胞化は中度であったが、カラム構造は部分的に回復していた)。
【0097】
図18】Aは、未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の大腿骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズである。n=4~6であり、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05である(一元ANOVA)。Bは、未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの大腿骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズである。n=4~6であり、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA)。Cは、未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の脛骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズである。n=4~6であり、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05である(一元ANOVA)。Dは、未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの脛骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズである。n=4~6であり、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA)。
【0098】
図19】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、及びMtolマウスにおける心臓弁の組織病態(40倍拡大画像)を未処置のマウスと比較したものである。
【0099】
図20】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスにおける心筋の組織病態(40倍拡大画像)を未処置のMtolマウスと比較したものである。
【0100】
図21A】未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの心臓弁組織の病理スコアである。(n=4~6、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA))。
図21B】未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの心臓弁組織の病理スコアである。(n=4~6、平均±標準偏差であり、は、WTに対するp<0.05であり、#は、未処置群に対するp<0.05である(一元ANOVA))。
図21C】未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの心筋組織の病理スコアである。(n=4~6、平均±標準偏差である)。
図21D】未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの心筋組織の病理スコアである。(n=4~6、平均±標準偏差である。)
【0101】
図22】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMPS IVA KOマウス(galns-/-)の血漿で測定した経時的なhGALNS酵素活性である(n=4~7、平均+標準偏差)。
【0102】
図23】AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後のMtolマウスの血漿で測定した経時的なhGALNS酵素活性である(n=4~5、平均+標準偏差)。
【0103】
図24A】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクター、または骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24B】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24C】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24D】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24E】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24F】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24G】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24H】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24I】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24J】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
図24K】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のヒトN-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ(hGALNS)酵素活性である。(A)AAV8-TBG-hGALNSウイルスベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSウイルスベクターのゲノムの概略的な構造である。血液試料をMPS IVAマウスから、1週間おきに、16週齢まで採取し、(B)ノックアウト(KO)マウス及び(C)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のhGALNS酵素活性を測定した(n=4~7)。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(D)肝臓、(E)脾臓、(F)肺、(G)腎臓、(H)心臓及び(I)骨(肢骨)を含む組織におけるhGALNS酵素活性を測定した(n=3~8。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析し、データは、平均±標準偏差として示している。:p<0.05)。AAVベクターを静脈内送達してから12週間後のMPS IVA KOマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(J)に示されている。AAVベクターを静脈内送達してからから12週間後のMTOLマウスの肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓及び骨におけるhGALNS活性のレベルが、(K)に示されている。
【0104】
図25A】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液及び組織中のグリコサミノグリカン(GAG)レベルである。血液試料をMPS IVAマウスから1週間おきに、16週齢まで採取し、(A)ノックアウト(KO)マウス及び(B)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のモノ硫酸化KSレベルを測定した(n=4~8)。骨標的シグナルを含むAAVベクター、または骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(C)肝臓及び(D)肺を含む組織におけるKSの量を測定した(n=4~8)。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析した。データは、平均±標準偏差として表している。は、p<0.05である。
図25B】ミノグリカン(GAG)レベルである。血液試料をMPS IVAマウスから1週間おきに、16週齢まで採取し、(A)ノックアウト(KO)マウス及び(B)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のモノ硫酸化KSレベルを測定した(n=4~8)。骨標的シグナルを含むAAVベクター、または骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(C)肝臓及び(D)肺を含む組織におけるKSの量を測定した(n=4~8)。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析した。データは、平均±標準偏差として表している。は、p<0.05である。
図25C】ミノグリカン(GAG)レベルである。血液試料をMPS IVAマウスから1週間おきに、16週齢まで採取し、(A)ノックアウト(KO)マウス及び(B)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のモノ硫酸化KSレベルを測定した(n=4~8)。骨標的シグナルを含むAAVベクター、または骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(C)肝臓及び(D)肺を含む組織におけるKSの量を測定した(n=4~8)。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析した。データは、平均±標準偏差として表している。は、p<0.05である。
図25D】ミノグリカン(GAG)レベルである。血液試料をMPS IVAマウスから1週間おきに、16週齢まで採取し、(A)ノックアウト(KO)マウス及び(B)寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のモノ硫酸化KSレベルを測定した(n=4~8)。骨標的シグナルを含むAAVベクター、または骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。KOマウス及びMTOLマウスにおいて、(C)肝臓及び(D)肺を含む組織におけるKSの量を測定した(n=4~8)。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析した。データは、平均±標準偏差として表している。は、p<0.05である。
【0105】
図26A】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける骨の病態の矯正である。トルイジンブルー染色解析によって、AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスの膝関節における成長板の光学顕微鏡観察を用いて、軟骨細胞の空胞化の矯正を評価した。ノックアウト(KO)マウス及び寛容性(Mtol)マウスにおける骨の病態を野生型、未処置のMPS IVA、及び骨標的シグナルを含むAAV8ベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAV8ベクターで処置したMPS IVAと比較した。スケールバーは25μmである。
図26B】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける骨の病態の矯正である。トルイジンブルー染色解析によって、AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスの膝関節における関節円板の光学顕微鏡観察を用いて、軟骨細胞の空胞化の矯正を評価した。ノックアウト(KO)マウス及び寛容性(Mtol)マウスにおける骨の病態を野生型、未処置のMPS IVA、及び骨標的シグナルを含むAAV8ベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAV8ベクターで処置したMPS IVAと比較した。スケールバーは25μmである。
図26C】大腿骨または脛骨の成長板病変における軟骨細胞の細胞サイズをImage Jというソフトウェアによって定量した。データは、野生型群からの変化倍率で表した。n=4~7である。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析した。データは、平均±標準偏差として表している。は、p<0.05である。
【0106】
図27】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける心臓の病態の矯正である。トルイジンブルー染色解析によって、AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスの(A)心臓弁及び(B)心筋の光学顕微鏡観察を用いて、空胞化の矯正を評価した。ノックアウト(KO)マウス及び寛容性(Mtol)マウスにおける心臓の病態を野生型、未処置のMPS IVA、及び骨標的シグナルを含むAAV8ベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAV8ベクターで処置したMPS IVAと比較した。矢印は、疾患と関連する小胞の位置を示している。スケールバーは、25μmである。
【0107】
図28】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける循環抗hGALNS抗体の力価である。骨標的シグナルを含むAAV8ベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAV8ベクターを注射してから12週間後に、血漿をMPS IVAマウスから採取した。循環抗hGALNS抗体の力価を間接ELISAアッセイによって検出した。OD405値をマイクロプレート分光光度計で測定した(n=4~8)。統計値は、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって解析した。データは、平均±標準偏差として表している。は、p<0.05である。
【0108】
図29】骨標的シグナルを有する最適化hGALNSまたは骨標的シグナルを有さない最適化hGALNSの評価である。Huh-7細胞に、骨標的シグナルを有するか、または骨標的シグナルを有さないhGALNSまたはコドン最適化hGALNSを発現するAAV8ベクタープラスミドをそれぞれトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、細胞ペレットと培地を回収し、hGALNS活性を測定した。(A)TBG-hGALNSプラスミド、TBG-hGALNS-CoOptプラスミド、TBG-D8-hGALNSプラスミドまたはTBG-D8-hGALNS-CoOptプラスミドのいずれかをトランスフェクションした後、HuH-7細胞において、細胞内酵素活性を求めた。(B)HuH-7細胞に、TBG-hGALNSプラスミド、TBG-hGALNS-CoOptプラスミド、TBG-D8-hGALNSプラスミドまたはTBG-D8-hGALNS-CoOptプラスミドをトランスフェクションした後、その培地中の酵素活性を求めた。データは、平均として表されている。n=2である。
【0109】
図30】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける血液中のヘパラン硫酸(HS)レベルである。血液試料をMPS IVAマウスから採取し、ノックアウト(KO)マウス及び寛容性(Mtol)マウスにおいて、血漿中のdiHS-0Sレベルを16週齢において測定した。データは、平均±標準偏差として表している。AAVは、アデノ随伴ウイルス、TBGは、サイロキシン結合性グロブリン、hGALNSは、N-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼである。
【0110】
図31】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける組織中のヘパラン硫酸(HS)レベルである。骨標的シグナルを含むAAVベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAVベクターを注射してから12週間後に、組織試料をMPS IVAマウスから採取した。肝臓、脾臓、肺及び腎臓を含む組織中のdiHS-0Sの量をKOマウス及びMTOLマウスにおいて測定した。データは、平均±標準偏差として表している。
【0111】
図32】AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスにおける骨の病態の矯正である。トルイジンブルー染色解析によって、AAV8ベクターで処置したMPS IVAマウスの膝関節における(A)靭帯及び(B)半月板の光学顕微鏡観察を用いて、軟骨細胞の空胞化の矯正を評価した。ノックアウト(KO)マウス及び寛容性マウス(Mtol)における骨の病態を野生型、未処置のMPS IVA、及び骨標的シグナルを含むAAV8ベクターまたは骨標的シグナルを含まないAAV8ベクターで処置したMPS IVAと比較した。矢印は、疾患と関連する小胞の位置を示している(スケールバーは25μmである)。
【0112】
図33】肝臓特異的ApoEエンハンサー/肝制御領域が5’に、そして、ATGトリヌクレオチド(hAAT(ΔATG))が枯渇したhAATプロモーターが3’に隣接しており、肝細胞特異的発現を駆動する最小のSp7/Osxプロモーターフラグメント(Lu, X., et al. JBC 281, 6297-6306, January 12, 2006)(配列番号24)を示すLBTP1プロモーターマップ。キメラβ-グロビン/Igイントロンを、プロモーター配列の下流(3’)、すなわち、hAAT(ΔATG)の下流に置いた。最小のSp7/Osxプロモーターフラグメントは、骨芽細胞特異的発現を駆動し、そして、全長Sp7/Osxプロモーターの転写活性フラグメントである、ことが決定されている(Lu, X., et al. JBC 281, 6297-6306, January 12, 2006)。
【0113】
図34】全長Sp7/Osxプロモーター(Lu, X., et al. JBC 281, 6297-6306, January 12, 2006)(配列番号23)が、肝臓特異的ApoEエンハンサー/肝制御領域を5’に、そして、ATGトリヌクレオチド(hAAT(ΔATG))が枯渇したhAATプロモーターを3’に隣接させることで、肝細胞特異的発現を駆動することを示すLBTP2プロモーターマップである。
【0114】
図35】全長Sp7/Osxプロモーター駆動hGALNSを発現するAAVコンストラクトの概略図である。
【0115】
図36】最小のSp7/Osxプロモーター駆動hGALANSを発現するAAVコンストラクトの概略図である。
【0116】
図37】肝細胞及び骨芽細胞特異的発現のためのLBTP1プロモーター駆動hGALNSを発現するAAVコンストラクトの概略図。当該コンストラクトは:骨芽細胞特異的発現を駆動する最小のSp7/Osxプロモーターフラグメントを含む。最小のSp7プロモーターフラグメントは、5’に肝臓特異的ApoEエンハンサーを、そして、3’にATGトリヌクレオチド(hAATΔ)が枯渇したhAATプロモーターが隣接しており、肝細胞特異的発現、キメライントロン、及びコドン最適化、そして、CpGネガティブGALNSタンパク質コード配列を駆動する。
【0117】
図38】肝細胞及び骨芽細胞特異的発現のためのLBTP2プロモーター駆動hGALNSを発現するAAVコンストラクトの概略図。当該コンストラクトは:骨芽細胞特異的発現を駆動する全長Sp7/Osxプロモーターフラグメントを含む。当該全長Sp7/Osxプロモーターフラグメントは、5’に肝臓特異的ApoEエンハンサーを、そして、3’にATGトリヌクレオチド(hAATΔ)が枯渇したhAATプロモーターが隣接しており、肝細胞特異的発現、キメライントロン、及びコドン最適化、そして、CpGネガティブGALNSタンパク質コード配列を駆動する。
【0118】
図39】骨梁の関心体積を、白色領域(左側が骨梁、右側が皮質骨)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0119】
6.詳細な説明
本発明は、特定のhGALNS発現カセットを含む組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の動物モデルにおいて投与したところ、モニタリング期間全体を通じて、高レベルのhGALNS酵素活性が維持され、骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び心臓弁を含む組織が改善され、酵素補充療法(ERT)で得られる改善を上回る改善が認められた、との驚くべき知見に少なくとも部分的に基づくものである。
【0120】
本明細書では、治療の必要なヒト対象のMPS IVAの治療に使用するrAAVを記載している。これらのrAAVは、hGALNSをコードする組み換えAAVゲノムを含む。当該rAAVは、MPS IVA患者に投与でき、その結果、hGALNSが合成され、hGALNSが、骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁のような罹患組織に送達され、それにより、病態が改善され、その疾患の進行が抑えられる。
【0121】
提供しているのは、AAVキャプシドと、AAV逆位末端反復(ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含む組み換えAAVゲノムとを含む組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドは、血清型AAV8のキャプシドと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号1と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号1と、80~85%、85~90%、90~95%、95~99%、または99~99.9%が同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号1と同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号1を含む。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドは、血清型AAV9キャプシドと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号26と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%が同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号26と、80~85%、85~90%、90~95%、95~99%、または99~99.9%が同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号26と同一である。特定の実施形態では、当該rAAVキャプシドのアミノ酸配列は、配列番号26を含む。rAAVキャプシドに関するさらなる詳細については、セクション6.1.1を参照されたい。一部の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーター(例えば、サイロキシン結合性グロブリン(TBG)プロモーター)をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーター(例えば、LBTP1またはLBTP2プロモーター)をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーター、及び肝臓特異的プロモーターを含む。特定の実施形態では、骨特異的プロモーターは、Sp7/Osxプロモーター、または最小のSp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAATプロモーター、または、好ましくは、hAAT(ΔATG)プロモーターである。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、ポリA部位をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。その他の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーター(例えば、TBGプロモーター)をコードするヌクレオチド配列と、hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、そのhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、ポリA部位をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0122】
また、本明細書では、本明細書に記載したようなhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供する。さらに、本明細書で提供する方法及び組成物と一緒に使用するためのrAAVを作製する目的で、本明細書で提供するポリヌクレオチドを含むプラスミド及び細胞(例えば、エクスビボ宿主細胞)を提供する。
【0123】
本発明では、本明細書に記載したrAAVの作製方法をさらに提供する。
【0124】
また、本明細書では、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)の診断を受けたヒト対象の治療方法を提供する。ある態様では、当該方法は、本明細書に記載したrAAVを、当該ヒト対象に投与することを含む。別の態様では、当該方法は、グリコシル化hGALNS(例えば、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化されるhGALNS)を、その罹患組織(複数可)に送達することを含む。別の態様では、当該方法は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をその罹患組織(複数可)に送達することを含む。当該融合タンパク質は、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化することができる。
【0125】
本発明では、本明細書に記載したrAAVを含む医薬組成物及びキットをさらに提供する。
【0126】
本明細書で提供するrAAVは、セクション6.1に記載されており、当該セクションでは、セクション6.1.1でのrAAVキャプシドの説明と、セクション6.1.2でのhGALNS発現カセットの説明を含む。セクション6.2には、本明細書で提供するrAAVの作製方法、ならびに当該方法で使用できるポリヌクレオチド、プラスミド及び細胞が説明されている。セクション6.3には、MPS IVAの診断を受けたヒト対象の治療方法が、標的患者集団、投与経路及び投与レジメンを含めて説明されている。セクション6.4には、併用療法が説明されている。セクション6.5には、疾患マーカー、及び臨床転帰の評価方法が説明されている。セクション7には、限定を意図していない実施例を示している。
【0127】
理論に拘束される訳ではないが、本発明のrAAVの作製、組成物及び使用方法は、MPS IVAに対する治療として、hGALNS酵素を、ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、及び/または心臓弁になおも送達するように修正することができる。
【0128】
6.1 組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)
本明細書では、治療の必要なヒト対象のMPS IVAの治療に有用なrAAVを提供しており、当該rAAVは、AAVキャプシドと、hGALNS発現カセットを含む組み換えAAVゲノムとを含む。
【0129】
ある態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び、(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする導入遺伝子などの導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む。当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み得、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結している。
【0130】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び、(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該肝臓特異的プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結している。
【0131】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV-ITRに隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターを含み、そして、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0132】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、そして、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0133】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、そして、当該Sp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0134】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、そして、当該Sp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0135】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、そして、最小のSp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0136】
別の態様では、本明細書では:(a)AAVキャプシド(例えば、AAV8またはAAV9キャプシド);及び(b)AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、そして、最小のSp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0137】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV9キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、CAGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV9-CAG-hGALNScoV2の別名がある。
【0138】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV9キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LMTP6プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該LMTP6プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV9-LMTP6-hGALNScoV2の別名がある。
【0139】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV9キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LBTP2プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該LBTP2プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV9-LBTP2-hGALNScoV2の別名がある。
【0140】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV8キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、CAGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV8-CAG-hGALNScoV2の別名がある。
【0141】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV8キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LMTP6プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該LMTP6プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV8-LMTP6-hGALNScoV2の別名がある。
【0142】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV8キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LBTP2プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該LBTP2プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV8-LBTP2-hGALNScoV2の別名がある。
【0143】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV8キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、TBGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV8-TBG-hGALNScoV2の別名がある。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV8キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LSPX1プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNScoV2)をコードし、そして、当該LSPX1プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV8-LSPX1-hGALNScoV2の別名がある。
【0145】
特定の実施形態では、本明細書では:(a)AAV8キャプシド;及び(b)AAV2-ITRに隣接するhGALNSco発現カセットを含む組換えAAVゲノムを含むrAAVを提供し、当該hGALNSco発現カセットは、TBGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNS(または、hGALNSco)をコードし、そして、当該TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。一部の実施形態では、このコンストラクトには、例えば、本開示の実施例12に開示した通り、AAV8-TBG-hGALNScoの別名がある。
【0146】
本明細書に記載した態様及び実施形態の様々な実施形態では、AAVは、AAV8である。本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、AAVは、AAV9である。
【0147】
特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、そのhGALNSタンパク質が、肝臓で発現されるようになっており、そのhGALNSタンパク質は、肝細胞から分泌されると、骨、軟骨、及び関連組織、ならびに心臓弁といった重篤な影響を受けた臓器など、これらに限定されないその他の組織に移動する。
【0148】
本明細書で提供するrAAVの様々な成分について、以下に詳細に説明する。
【0149】
6.1.1 キャプシド
キャプシドは、ウイルスゲノムを包み込んで保護すると同時に、宿主環境と相互作用する、ウイルスのタンパク質シェルである。本発明に従って、本明細書で提供するrAAVは、AAVキャプシドを含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、天然に見られるAAVのキャプシド(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、またはAAV11のキャプシド)である。別の特定の実施形態では、AAVキャプシドは、例えば、天然に見られるAAVのキャプシド(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10またはAAV11のキャプシド)のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、または100%が同一であるアミノ酸配列を有することで、天然に見られるAAVのキャプシドから誘導されたものである。
【0150】
特定の実施形態では、本明細書に記載した本発明に従って使用できるAAVバリアントキャプシドとしては、Zinn et al.,2015,Cell Rep.12(6):1056-1068に記載しているようなAnc80またはAnc80L65があり、その文献は、参照により、その全内容を援用する。特定の実施形態では、本明細書に記載した本発明に従って使用できるAAVバリアントキャプシドは、米国特許第9,193,956号、同第9,458,517号、及び同第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載しているようなLGETTRPまたはLALGETTRPというアミノ酸挿入の1つを含み、それらの特許はそれぞれ、参照により、その全内容を本明細書で援用する。特定の実施形態では、本明細書に記載した本発明に従って使用できるAAVバリアントキャプシドとしては、米国特許第9,193,956号、同第9,458,517号及び同第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載しているようなAAV.7m8があり、それらの特許はそれぞれ、参照により、その全内容を本明細書で援用する。特定の実施形態では、本明細書に記載した本発明に従って使用できるAAVバリアントキャプシドとしては、米国特許第9,585,971号に開示されているいずれかのAAV(AAV-PHP.Bなど)がある。特定の実施形態では、本発明に従って使用できるAAVバリアントキャプシドとしては、米国特許第7,282,199号、同第7,906,111号、同第8,524,446号、同第8,906,675号、同第8,999,678号、同第8,628,966号、同第8,927,514号、同第8,734,809号、同第9,284,357号、同第9,409,953号、同第9,169,299号、同第9,193,956号、同第9458517号、同第9,587,282号、同第9,737,618号、同第9,840,719号、米国特許出願公開第2015/0374803号、同第2015/0126588号、同第2017/0067908号、同第2013/0224836号、同第2016/0215024号、同第2017/0051257号、及び国際出願第PCT/US2002/033630号、同第PCT/US2004/028817号、同第PCT/2002/033629号、同第PCT/US2006/013375号、同第PCT/US2015/034799号、同第PCT/EP2015/053335号、同第PCT/US2016/042472号、同第PCT/US2017/027392号という特許及び特許出願のいずれかに開示されているものがあるが、これらに限らず、これらの特許及び特許出願はそれぞれ、参照により、その全内容を本明細書で援用する。
【0151】
特定の実施形態では、前掲の一本鎖AAV(ssAAV)を使用し得る。特定の実施形態では、自己相補型ベクター、例えばscAAVも使用し得る(例えば、Wu,2007,Human Gene Therapy,18(2):171-82、McCarty et al,2001,Gene Therapy,Vol 8,Number 16,Pages1248-1254、ならびに米国特許第6,596,535号、同第7,125,717号及び同第7,456,683号(これらの文献はそれぞれ、参照により、その全内容を本明細書で援用する)を参照されたい)。
【0152】
特定の実施形態では、本発明のrAAVに含まれるAAVキャプシドは、AAV8のキャプシドであるか、AAV8のキャプシドから誘導されたものである。AAV8は、その他の血清型よりも、肝臓への形質導入効率が高く、ヒトAAVに対する抗体への反応性が低い。重要なことに、AAV8キャプシドの所定の領域は、核移行及びキャプシド脱殻を媒介することで、肝臓への高度な形質導入に寄与する(Tenney et al.,Virology,2014,454-455:227-236、Nam et al.,J Virol.,2007 81(22):12260-12271)。その結果、AAV8は、肝細胞に対する向性を有する(Sands,M.,Methods Mol Biol.,2011;807:141-157)。特定の実施形態では、本発明のrAAVに含まれるAAVキャプシドのアミノ酸配列は、AAV8キャプシドのアミノ酸配列(配列番号1)と同一である。特定の実施形態では、本発明のrAAVに含まれるAAVキャプシドのアミノ酸配列は、AAV8キャプシドのアミノ酸配列(配列番号1)と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも99.9%が同一である一方で、AAV8キャプシドがウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、AAV8キャプシドが肝細胞に高効率で形質導入させる能力を保持している。特定の実施形態では、本発明のrAAVに含まれるAAVキャプシドのアミノ酸配列は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個のアミノ酸残基以外は、AAV8キャプシドのアミノ酸配列(配列番号1)と同一である一方で、AAV8キャプシドがウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、AAV8キャプシドが肝細胞に高効率で形質導入させる能力を保持している。本明細書に記載した治療方法の特定の実施形態では、hGALNSタンパク質を肝臓で標的発現させるのに、AAV8を使用する。
【0153】
特定の実施形態では、rAAVに含まれるAAVキャプシドは、AAV9のキャプシドである、またはAAV9のキャプシドに由来する。特定の実施形態では、rAAVに含まれるAAVキャプシドのアミノ酸配列は、AAV9キャプシドのアミノ酸配列(配列番号26)と同一である。特定の実施形態では、rAAVに含まれるAAVキャプシドのアミノ酸配列は、AAV9キャプシドのアミノ酸配列(配列番号26)と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.9%が同一である、その一方で、AAV9キャプシドがウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、AAV9キャプシドが肝細胞に高効率で形質導入させる能力を保持している。特定の実施形態では、rAAVに含まれるAAVキャプシドのアミノ酸配列は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個のアミノ酸残基を除くAAV9キャプシドのアミノ酸配列(配列番号26)と同一である、その一方で、AAV9キャプシドがウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、AAV9キャプシドが肝細胞に高効率で形質導入させる能力を保持している。本明細書に記載した治療方法の特定の実施形態では、AAV9は、hGALNSタンパク質の標的肝臓発現のために使用する。
【0154】
6.1.2 hGALNS発現カセット
AAVは、末端に2つの逆位末端反復(ITR)を含む直鎖状一本鎖DNA(ssDNA)ゲノムを有する。AAVは、エンドサイトーシスによって細胞に進入する(Meier and Greber,J Gene Med.,2004;6 Suppl 1:S152-63)。キャプシドが破壊されると、ssDNAゲノムが放出され、二本鎖DNA(dsNDA)に変換され、そのdsDNAから、そのウイルスゲノムによってコードされる遺伝子を発現させることができる(Ding et al.,2005,Gene Ther.,12:873-880)。
【0155】
本発明によれば、本明細書で提供するrAAVは、組み換えAAVゲノムを含む。その組み換えAAVゲノムは、AAVゲノムまたはそのバリアントの主鎖(例えば、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10またはAAV11のゲノム、またはそのバリアントの主鎖)を含むことができる。一部の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV8ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含むことができる。一部の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV9ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含むことができる。特定の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV8ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含む。特定の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV9ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含む。
【0156】
本発明によれば、組換えAAVゲノムは、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む。一部の実施形態では、hGALNS発現カセットは、hGALNScoである。一部の実施形態では、hGALNS発現カセットは、hGALNScoV2である。一部の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV8ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含み、また、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む。一部の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV9ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含み、また、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含む。一部の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV8ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含み、また、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNSco発現カセットを含む。一部の実施形態では、組換えAAVゲノムは、AAV9ゲノムまたはそのバリアントの主鎖を含み、また、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNSco発現カセットを含む。一部の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み得、また、当該肝臓特異的プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結している。その他の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列と、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列を含み、また、当該肝臓特異的プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結している。
【0157】
(a)hGALNS
一部の実施形態では、hGALNSは、hGALNS、hGALNSco、D8-hGALNS、D8-GALNSco、またはhGALNScoV2の1つ以上である。一部の実施形態では、hGALNSは、hGALNScoV2である。一部の実施形態では、hGALNSは、hGALNScoである。一部の実施形態では、hGALNSは、hGALNSである。一部の実施形態では、hGALNSは、D8-GALNScoである。一部の実施形態では、hGALNSは、D8-GALNSである。
【0158】
特定の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、3または27の配列を含む。特定の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、3または27に記載の配列と、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同一である。
【0159】
特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNScoV2である。特定の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNScoV2である。一部の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27の配列を含む。一部の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27に記載の配列と、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同一である。
【0160】
特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNScoである。特定の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNScoである。一部の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号3の配列を含む。一部の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号3に記載の配列と、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同一である。
【0161】
特定の実施形態では、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号4または5の配列を含む。特定の実施形態では、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号4または5に示されている配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%が同一である。
【0162】
特定の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNS(例えば、hGALNS、hGALNSco、D8-hGALNS、D8-GALNSco、hGALNScoV2)のcDNA配列を含む。特定の実施形態では、hGALNS、または融合タンパク質のhGALNS部分をコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNSのcDNA配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%が同一である。
【0163】
特定の実施形態では、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質のcDNA配列を含む。特定の実施形態では、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質のcDNA配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%が同一である。
【0164】
特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列、または当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列は、例えば、当業者に公知のいずれかのコドン最適化技術によって、コドン最適化している(例えば、Quax et al.,2015,Mol Cell 59:149-161のレビューを参照されたい)。
【0165】
特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列、または当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。
【0166】
本明細書に記載した態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列を、コドン最適化する。本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列を含み、この配列は、配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一である。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、配列番号12と、100%同一である。
【0167】
(b)酸性オリゴペプチド
酸性オリゴペプチドは、骨及び軟骨の主成分であるヒドロキシアパタイトに対する結合親和性が高い。本明細書で使用する用語「酸性オリゴペプチド」は、グルタミン酸(E)残基、及び/またはアスパラギン酸(D)残基の反復アミノ酸配列を有するオリゴペプチドのことを指す。酸性オリゴペプチドのアミノ酸残基の数は、例えば、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、または15個とし得る。特定の実施形態では、酸性オリゴペプチドのアミノ酸残基の数は、4~8つである。特定の実施形態では、酸性オリゴペプチドのアミノ酸残基の数は、6~8つである。特定の実施形態では、酸性オリゴペプチドのアミノ酸残基の数は、6つである。別の特定の実施形態では、酸性オリゴペプチドのアミノ酸残基の数は、8つである。
【0168】
特定の実施形態では、本発明の酸性オリゴペプチドは、D8(すなわち、8個のアスパラギン酸残基からなるアミノ酸配列を有するオリゴペプチド)である。別の実施形態では、本発明の酸性オリゴペプチドは、E6(すなわち、6個のグルタミン酸残基からなるアミノ酸配列を有するオリゴペプチド)である。E6の配列は、Tomatsu et al.,2010,Molecular Therapy,18(6):11094-1102に説明されており、参照により、その全内容を本明細書で援用する。
【0169】
特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、hGALNSのN末端に融合している。別の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、hGALNSのC末端に融合している。
【0170】
特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、hGALNSに直接融合しており、介在するアミノ酸配列を持っていない。別の特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、リンカーアミノ酸配列(例えば、長さが1~10個、2~8個、または4~6個のアミノ酸残基であるアミノ酸配列)を介して、hGALNSに融合している。
【0171】
特定の実施形態では、hGALNS酵素を、骨及び軟骨の区域でのリソソームに送達して、骨及び軟骨の病態を改善することができる。
【0172】
(c)遺伝子発現のプロモーター及び修飾因子:
特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、遺伝子の送達または遺伝子の発現を調節する成分(例えば、「発現制御エレメント」)を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、遺伝子の発現を調節する成分を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、細胞に対する結合または標的化に影響を及ぼす成分を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、取り込みをした後に、細胞内のhGALNSの局在化に影響を及ぼす成分を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、例えば、当該hGALNS発現カセットを取り込んだ細胞について検出または選択を行う目的で、検出可能または選択可能なマーカーとして利用可能な成分を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、1つ以上のプロモーターをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含み、それらの少なくとも1つは、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、当該プロモーターは、構成的プロモーターとすることができる。代替的な実施形態では、当該プロモーターは、誘導性プロモーターとすることができる。
【0173】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、CAGプロモーターである。一部の実施形態では、当該CAGプロモーターは、配列番号28に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、当該CAGプロモーターは、配列番号28と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、当該CAGプロモーターは、配列番号28のヌクレオチド配列、または配列番号28の一部を含む。
【0174】
一部の実施形態では、部分とは、例えば、本開示のプロモーターと、約または少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が同一である。例えば、一部の実施形態では、配列番号28の一部のヌクレオチド配列を含むCAGプロモーターは、配列番号28の約または少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を含むCAGプロモーターである。
【0175】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、肝臓特異的プロモーターである。
【0176】
当該肝臓特異的プロモーターとして、サイロキシン結合性グロブリン(TBG)プロモーター(例えば、Yan et al.,2012,Gene,506(2):289-94(参照により、その全内容を本明細書で援用する)を参照されたい)があるが、これに限定されない。特定の実施形態では、TBGプロモーターは、配列番号6と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一である。特定の実施形態では、TBGプロモーターは、配列番号6と100%同一であるヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、TBGプロモーターは、配列番号6のヌクレオチド配列、または配列番号6の一部を含む。
【0177】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号13に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号14に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号15に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号13である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号14である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号15である。特定の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号13、または配列番号13の一部を含む。特定の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号14、または配列番号15の一部を含む。特定の実施形態では、肝臓特異的プロモーターは、配列番号15または配列番号15の一部を含む。
【0178】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、肝臓、及び筋肉に特異的なプロモーターである。
【0179】
特定の実施形態では、肝臓及び筋肉に特異的な当該プロモーターは、配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、肝臓及び筋肉に特異的な当該プロモーターは、配列番号16である。特定の実施形態では、肝臓及び筋肉に特異的な当該プロモーターは、配列番号16、または配列番号16の一部を含む。
【0180】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、骨特異的プロモーター、及び肝臓特異的プロモーターを含む、骨-肝臓タンデムプロモーターを含む、または当該タンデムプロモーターである。
【0181】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、Sp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23、または配列番号23の一部を含む。
【0182】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、最小のSp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24、または配列番号24の一部を含む。
【0183】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAAT(ΔATG)プロモーターである。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22、または配列番号22の一部を含む。
【0184】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAATプロモーターである。特定の実施形態では、当該hAATプロモーターは、配列番号21と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAATプロモーターは、配列番号21と100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAATプロモーターは、配列番号21、または配列番号21の一部を含む。
【0185】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、エンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該エンハンサーは、肝臓特異的エンハンサーである。特定の実施形態では、当該肝臓特異的実施形態は、ApoEエンハンサーである。特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、肝臓特異的エンハンサー(例えば、ApoEエンハンサー)を含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサーは、配列番号20と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサープロモーターは、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサープロモーターは、配列番号20、または配列番号20の一部を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、配列番号19と、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19、または配列番号19の一部を含む。特定の実施形態では、当該エンハンサー(例えば、ApoEエンハンサー)、及び当該肝制御領域は、当該骨特異的プロモーターの上流にある。
【0186】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP1プロモーターである(例えば、図33及び37を参照されたい)。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と100%が同一ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17、または配列番号17の一部を含む。
【0187】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP2プロモーターである(例えば、図34及び38を参照されたい)。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一あるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と100%が同一ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、LBTP1プロモーターは、配列番号18、または配列番号18の一部を含む。
【0188】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、骨特異的プロモーターを含む、または当該プロモーターである。
【0189】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、Sp7/Osxプロモーターである(例えば、Lee et al., 2019, Mol Therapy: Methods & Clinical Development 15:101-111;Lu et al., 2006, J. Biological Chemistry, 281(10) :6297-6306;及び、Nishio et al., 2006, Gene 372 :62-70を参照されたい;これらの全内容を、参照により、本明細書で援用する)。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む(例えば、図35を参照されたい)。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23、または配列番号23の一部を含む。
【0190】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、最小のSp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む(例えば、図36を参照されたい)。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24、または配列番号24の一部を含む。
【0191】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、肝臓特異的プロモーターを含む、または当該肝臓特異的プロモーターである。
【0192】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAATプロモーターである。特定の実施形態では、当該hAATプロモーターは、配列番号21と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAATプロモーターは、配列番号21と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAATプロモーターは、配列番号21、または配列番号21の一部を含む。
【0193】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAAT(ΔATG)プロモーターである。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるであるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22、または配列番号21の一部を含む。配列番号22は、セクション8(配列表)に下線で示しているATGからGTGへの修飾を含む。
【0194】
特定の実施形態では、当該プロモーターは、hGALNSまたは当該融合タンパク質の発現を高める1つ以上のエレメントを含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、TATAボックスを含む。
【0195】
特定の実施形態では、その1つ以上のプロモーターエレメントは、互いに反転または移動することができる。特定の実施形態では、当該プロモーターのエレメントは、協同的に機能するように配置することができる。特定の実施形態では、当該プロモーターのエレメントは、独立して機能するように配置することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、肝臓特異的なTBGプロモーター、ヒトCMV前初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RS)長鎖末端反復、及びラットインスリンプロモーターからなる群から選択する1つ以上のプロモーターを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供するhGALNS発現カセットは、1つ以上の組織特異的プロモーターを含む。特定の実施形態では、その組織特異的プロモーターは、肝臓特異的プロモーターである。特定の実施形態では、そのTBGプロモーターは、配列番号6のヌクレオチド配列を有する。
【0196】
特定の実施形態では、hGALNS発現カセットは、1つ以上のさらなる発現制御エレメントを含み、それらは、エンハンサー(例えば、アルファmic/bikエンハンサー)をコードするヌクレオチド配列、リプレッサー、イントロンまたはキメライントロン(例えば、ニワトリβ-アクチン遺伝子の第1のイントロン)をコードするヌクレオチド配列、及び/またはポリA部位(例えば、ウサギグロビンポリA部位)をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。特定の実施形態では、ウサギグロビンポリA部位をコードするヌクレオチド配列は、配列番号9の配列を有する。特定の実施形態では、当該イントロンをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号10の配列を有する。特定の実施形態では、当該アルファmic/bikエンハンサーをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号11の配列を有する。
【0197】
特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、アルファmic/bikエンハンサー、イントロンをコードするヌクレオチド配列、TBGプロモーターをコードするヌクレオチド配列、hGALNS、または酸性オリゴペプチド(好ましくは、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列、及びウサギグロビンポリA部位をコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号9の配列を有する。特定の実施形態では、当該イントロンをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号10の配列を有する。特定の実施形態では、当該アルファmic/bikエンハンサーをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号11の配列を有する。
【0198】
特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、1つ以上のさらなる発現制御エレメントを含み、それらは、エンハンサー(例えば、本明細書に記載したApoEエンハンサー)をコードするヌクレオチド配列、及び/またはポリA部位(例えば、本明細書に記載したβ-グロビンポリアデニル化シグナル、または本明細書に記載したウサギグロビンポリA部位)をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号9の配列を有する。
【0199】
本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該イントロンは、キメライントロンである。特定の実施形態では、当該キメライントロンは、β-グロビン/Igイントロンである。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0200】
本明細書に記載したrAAVの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、ポリアデニル化シグナルを含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、β-グロビンポリアデニル化シグナルである。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、ウサギグロビンポリA部位である。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0201】
(d)逆方向末端反復
本発明の一部の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセット(例えば、hGALNScoV2、hGALNSco、D8-GALNSco、hGALNS、またはD8-hGALNS)は、2つのAAV逆方向末端反復(ITR)に隣接している。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、hGALNScoである。特定の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、hGALNScoV2である。ITR配列は、組み換え遺伝子発現カセットをビリオンに包み込むために使用し得る(例えば、Yan et al.,2005,J.Virol.,79(1):364-379、米国特許第7,282,199B2号、米国特許第7,790,449B2号、米国特許第8,318,480B2号、米国特許第8,962,332B2号、及び国際出願第PCT/EP2014/076466号を参照されたい、それぞれの全内容を、参照により、本明細書で援用する)。一部の実施形態では、隣接するITRは、AAV2 ITRである。一部の実施形態では、隣接するITRは、AAV9 ITRである。特定の実施形態では、隣接するITRは、AAV8 ITRである。特定の実施形態では、当該ITR配列は、配列番号7の配列を有することができる。特定の実施形態では、当該ITR配列は、配列番号8の配列を有することができる。特定の実施形態では、当該5’ITRは、配列番号7の配列を有することができる。特定の実施形態では、当該3’ITRは、配列番号8の配列を有することができる。
【0202】
(e)非翻訳領域
特定の実施形態では、本明細書に記載したhGALNS発現カセットは、1つ以上の非翻訳領域(UTR)、例えば、3’及び/または5’UTRを含む。特定の実施形態では、当該UTRは、所望のタンパク質発現レベルに関して最適化する。特定の実施形態では、当該UTRは、当該hGALNSの当該mRNA半減期に関して最適化する。特定の実施形態では、当該UTRは、当該hGALNSの当該mRNAの安定性に関して最適化する。特定の実施形態では、当該UTRは、当該hGALNSの当該mRNAの二次構造に関して最適化する。
【0203】
6.1.3. 医薬組成物及びキット
特定の実施形態では、本発明では、本明細書で提供するrAAVと、医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。当該医薬組成物は、個別の単回用量単位形態として調製し得る。本明細書で提供する医薬組成物は、例えば、非経口投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、髄腔内投与、または経皮投与のために製剤することができる。特定の実施形態では、当該医薬組成物は、静脈内投与用に製剤する。当業者であれば、好適な医薬として許容可能な(例えば、静脈内投与、及び肝細胞での形質導入のための)担体を容易に選択する。
【0204】
本明細書では、本明細書に記載した医薬組成物を含むキットを提供しており、1つ以上の容器を具備している。医薬組成物を入れることができる容器として、ボトル、袋、アンプル、チューブ、吸入器、バッグ、バイアル、及び容器があるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、当該キットは、当該医薬組成物の投与に関する説明書を含む。特定の実施形態では、当該キットは、当該医薬組成物を投与する上で使用可能な器具を含んでおり、当該器具として、シリンジ、無針注射器、点滴バッグ、パッチ、及び吸入器があるが、これらに限定されない。
【0205】
本明細書に記載したrAAVを使用した遺伝子治療でMPS IVAを治療する場合に使用可能な器具及び血液循環システムも提供している。当業者であれば、このような器具及びシステムを容易に選択する。
【0206】
6.2 rAAVSの製造
また、本明細書では、本明細書で提供するrAAVを作製する上で使用可能な本明細書に記載したようなhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチド、プラスミド、及び細胞、それに、本明細書で提供するrAAVの作製方法を提供する。
【0207】
6.2.1 ポリヌクレオチド、プラスミド、及び細胞
本明細書では、hGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供する。
【0208】
ある態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする当該導入遺伝子などの導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーター(例えば、TBGプロモーター)をコードするヌクレオチド配列をさらに含み得るものであり、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。一部の実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、CAGプロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み得る。一部の実施形態では、CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該CAGプロモーターは、配列番号28に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、当該CAGプロモーターは、配列番号28である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号13に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号14に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号15に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号13である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号14である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号15である。
【0209】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、肝臓特異的プロモーター(例えば、TBGプロモーター)をコードするヌクレオチド配列と、hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列が、当該hGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。
【0210】
ある態様では、本明細書で提供するのは、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドであって、当該hGALNS発現カセットが、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする当該導入遺伝子などの導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。当該hGALNS発現カセットは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み得、当該プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、当該プロモーターは、CAGプロモーターである。
【0211】
ある態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、酸性オリゴペプチド(例えば、D8)に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする当該導入遺伝子などの導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。当該hGALNS発現カセットは、肝臓及び筋肉に特異的なプロモーターをコードするヌクレオチド配列をさらに含み得、当該肝臓及び筋肉に特異的なプロモーターをコードするヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、肝臓及び筋肉に特異的な当該プロモーターは、配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16である。
【0212】
別の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットが、プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、当該プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列が、当該hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結している。特定の実施形態では、当該プロモーターは、CAGプロモーターである。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号28に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号13に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号14に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号15に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号28である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号13である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号14である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号15である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号28を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号13を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号14を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号15を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16である。hGALNS発現カセットは、セクション6.1.2で説明したようなものにすることができる。
【0213】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、TBGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号6と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一である。特定の実施形態では、TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号6に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0214】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITRに隣接するhGALNSco発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNSco発現カセットは、TBGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNScoまたはhGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、hGALNScoまたはhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号6と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNScoをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号3と、100%同一である。特定の実施形態では、TBGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号6に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号3に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0215】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、CAGプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号28と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27と、100%同一である。特定の実施形態では、当該CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号28に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0216】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LSPX1プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該LSPX1プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該LSPX1プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号13と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27と、100%同一である。特定の実施形態では、当該LSPX1プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、配列番号13に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供、当該hGALNScoV2発現カセットは、LMTP6プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、LMTP6プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該LMTP6プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27と、100%同一である。特定の実施形態では、当該LMTP6プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0218】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNScoV2発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNScoV2発現カセットは、LBTP2プロモーターをコードするヌクレオチド配列と、hGALNScoV2またはhGALNSをコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該LBTP2プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、hGALNScoV2またはhGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号18と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27と、100%同一である。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、配列番号18に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号27に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一である。特定の実施形態では、hGALNSをコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0219】
特定の実施形態では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、そして、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0220】
別の特定の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、また、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、骨特異的プロモーターと、肝臓特異的プロモーターとを含み、そして、当該骨-肝臓タンデムプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0221】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、Sp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0222】
特定の実施形態では、当該骨特異的プロモーターは、最小のSp7/Osxプロモーターである。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0223】
特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、hAAT(ΔATG)プロモーターである。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該hAAT(ΔATG)プロモーターは、配列番号22と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0224】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、ApoEエンハンサーをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、ApoEエンハンサーを含む肝制御領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサーは、配列番号20と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ApoEエンハンサープロモーターは、配列番号20と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝制御領域は、配列番号19と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0225】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP1プロモーターである。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP1プロモーターは、配列番号17と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0226】
特定の実施形態では、当該骨-肝臓タンデムプロモーターは、LBTP2プロモーターである。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該LBTP2プロモーターは、配列番号18と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0227】
別の特定の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、そして、当該Sp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0228】
別の特定の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、Sp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、そして、当該Sp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0229】
特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該Sp7/Osxプロモーターは、配列番号23と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0230】
別の特定の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、hGALNSをコードし、そして、当該最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。
【0231】
別の特定の態様では、本明細書では、AAV-ITR(例えば、AAV2-ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含むポリヌクレオチドを提供し、当該hGALNS発現カセットは、最小のSp7/Osxプロモーターをコードするヌクレオチド配列と、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含み、また、当該導入遺伝子は、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードし、そして、当該最小のSp7/Osxプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該酸性オリゴペプチドは、D8である。
【0232】
特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該最小のSp7/Osxプロモーターは、配列番号24と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0233】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該hGALNS発現カセットは、イントロンをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、当該イントロンは、キメライントロンである。特定の実施形態では、当該キメライントロンは、β-グロビン/Igイントロンである。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一である。特定の実施形態では、当該β-グロビン/Igイントロンは、配列番号10と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0234】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列を、コドン最適化する。本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%が同一hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、配列番号12と、100%同一であるhGALNSをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0235】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該導入遺伝子をコードする当該ヌクレオチド配列は、ポリアデニル化シグナルを含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、β-グロビンポリアデニル化シグナルである。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該β-グロビンポリアデニル化シグナルは、配列番号25と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ポリアデニル化シグナルは、ウサギグロビンポリA部位である。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該ウサギグロビンポリA部位は、配列番号9と、100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0236】
本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該AAVは、AAV8である。本明細書に記載したポリヌクレオチドの態様及び実施形態の様々な実施形態では、当該AAVは、AAV9である。
【0237】
特定の実施形態では、当該ポリヌクレオチドは、ssDNAの形態である。別の特定の実施形態では、当該ポリヌクレオチドは、dsDNAの形態である。
【0238】
また、本明細書では、本明細書で提供するポリヌクレオチドを含むプラスミド(以下、「rAAVプラスミド」と称する)を提供する。特定の実施形態では、当該rAAVプラスミドは、ssDNAプラスミドである。別の特定の実施形態では、当該rAAVプラスミドは、dsDNAプラスミドである。一部の実施形態では、当該rAAVプラスミドは、環状の形態である。その他の実施形態では、当該rAAVプラスミドは、直鎖状の形態である。
【0239】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LSPX1):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)2つのタンデムMik/BikEエンハンサー、b)ApoEエンハンサー、c)ヒトAAT(hAAT)プロモーター、d)ポリAシグナル、及びe)任意に、イントロンを含む制御エレメント;(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復;(2)a)2つのタンデムMik/BikEエンハンサー、b)ApoEエンハンサー、c)hAATプロモーター、d)ウサギβ-グロビンポリAシグナル、及びe)任意に、ヒトβ-グロビンとIg重鎖とに由来するキメライントロンを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。
【0240】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LSPX2):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)2つのタンデムApoEエンハンサー、b)hAATプロモーター、c)ポリAシグナル、及びd)任意に、イントロンを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復;(2)a)2つのタンデムApoEエンハンサー、b)hAATプロモーター、c)ポリAシグナル、及びe)任意に、ヒトβ-グロビンとIg重鎖とに由来するキメライントロンを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。
【0241】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LTP1):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)2つのタンデムMik/BikEエンハンサー、b)TBGプロモーター、c)hAAT(ΔATG)プロモーター、d)ポリAシグナル、及びe)任意に、イントロンを含む制御エレメント;及び、(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復、(2)a)2つのタンデムMik/BikEエンハンサー、b)TBGプロモーター、c)hAAT(ΔATG)プロモーター、d)ポリAシグナル、及びe)任意に、ヒトβ-グロビンとIg重鎖とに由来するキメライントロンを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。
【0242】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LTP2):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)ApoEエンハンサー、b)2つのタンデムMik/BikEエンハンサー、c)TBGプロモーター、d)hAAT(ΔATG)プロモーター、e)ポリAシグナル;及びf)任意に、イントロンを含む制御エレメント;及び、(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復;(2)a)ApoEエンハンサー、b)2つのタンデムMckEエンハンサー、c)TBGプロモーター、d)hAAT(ΔATG)プロモーター、e)ポリAシグナル;及びf)任意に、ヒトβ-グロビンとIg重鎖とに由来するキメライントロンを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。
【0243】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LMTP6):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)ApoEエンハンサー、b)3つのタンデムMckEエンハンサー、c)CKプロモーター、d)hAAT(ΔATG)プロモーター、e)ポリAシグナル;及びf)任意に、イントロンを含む制御エレメント;及び、(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復;(2)a)ApoEエンハンサー、b)3つのタンデムMckEエンハンサー、c)CKプロモーター、d)hAAT(ΔATG)プロモーター、e)ポリAシグナル;及びf)任意に、ヒトβ-グロビンとIg重鎖とに由来するキメライントロンを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。
【0244】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(肝臓-骨タンデムプロモーター1(LBTP1)):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)ApoEエンハンサー、b)hAAT(ΔATG)プロモーター、c)ポリAシグナル、d)任意に、イントロン、及びe)Sp7/Osxプロモーター、または最小のSp7/Osxプロモーターを含む制御エレメント;及び、(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復;(2)a)ApoEエンハンサー、b)hAAT(ΔATG)プロモーター、c)ウサギβ-グロビンポリAシグナル、またはβ-グロビンポリアデニル化シグナル、d)任意に、ヒトβ-グロビンと、Ig重鎖とに由来するキメライントロン;及びe)最小のSp7/Osxプロモーターを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載した酸性オリゴペプチドなど、例えば、D8)に融合する。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。
【0245】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(肝臓-骨タンデムプロモーター2(LBTP2)):(1)当該発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復(ITR);(2)a)ApoEエンハンサー、b)hAAT(ΔATG)プロモーター、c)ポリAシグナル、d)任意に、イントロン、及びe)Sp7/Osxプロモーターを含む制御エレメント;及び、(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分:(1)当該発現カセットに隣接するAAV2逆方向末端反復;(2)a)ApoEエンハンサー、b)hAAT(ΔATG)プロモーター、c)ウサギβ-グロビンポリAシグナル、またはβ-グロビンポリアデニル化シグナル、d)任意に、ヒトβ-グロビンと、Ig重鎖とに由来するキメライントロン;及びe)Sp7/Osxプロモーターを含む制御エレメント;及び(3)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載した酸性オリゴペプチドなど、例えば、D8)に融合する。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。
【0246】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LBTP1):(1)AAV逆方向末端反復(ITR)、(2)ApoEエンハンサー、3)最小のSp7/Osxプロモーター4)hAAT(ΔATG)プロモーター、5)任意に、イントロン、(6)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列、(7)ポリAシグナル、及び(8)AAV逆方向末端反復(ITR)を、この順序で含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LBTP1):(1)AAV2逆方向末端反復(ITR)、(2)ApoEエンハンサー、3)最小のSp7/Osxプロモーター4)hAAT(ΔATG)プロモーター、5)任意に、ヒトβ-グロビンと、Ig重鎖とに由来するキメライントロン、(6)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列、(7)ウサギβ-グロビンポリAシグナル、またはβ-グロビンポリアデニル化シグナル、及び(8)AAV2逆方向末端反復(ITR)を、この順序で含む。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載した酸性オリゴペプチドなど、例えば、D8)に融合する。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。
【0247】
特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LBTP2):(1)AAV逆方向末端反復(ITR)、(2)ApoEエンハンサー、3)Sp7/Osxプロモーター、4)hAAT(ΔATG)プロモーター、5)任意に、イントロン、(6)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列、(7)ポリAシグナル、及び(8)AAV逆方向末端反復(ITR)を、この順序で含む。特定の実施形態では、本明細書に記載したコンストラクトは、次の成分(LBTP2):(1)AAV2逆方向末端反復(ITR)、(2)ApoEエンハンサー、3)Sp7/Osxプロモーター、4)hAAT(ΔATG)プロモーター、5)任意に、ヒトβ-グロビンと、Ig重鎖とに由来するキメライントロン、(6)hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列、(7)ウサギβ-グロビンポリAシグナル、またはβ-グロビンポリアデニル化シグナル、及び(8)AAV2逆方向末端反復(ITR)を、この順序で含む。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載した酸性オリゴペプチドなど、例えば、D8)に融合する。特定の実施形態では、hGALNS、hGALNSco、またはhGALNScoV2をコードする当該ヌクレオチド配列では、CpG部位が枯渇している。
【0248】
さらに、本明細書では、本明細書で提供するrAAVを発現する(例えば、組み換え発現する)細胞(好ましくは、エクスビボ細胞)を提供する。特定の実施形態では、当該細胞(好ましくは、エクスビボ細胞)は、本明細書で提供するポリヌクレオチド、または本明細書で提供するrAAVプラスミドを含む。特定の実施形態では、当該細胞(好ましくは、エクスビボ細胞)は、AAVのRep、Cap及びAd5の機能をもたらすヘルパーポリヌクレオチド(複数可)、またはヘルパープラスミドをさらに含む。当該細胞(好ましくは、エクスビボ細胞)は、哺乳動物宿主細胞、例えば、HEK293細胞、HEK293-T細胞、A549細胞、WEHI細胞、10T1/2細胞、BHK細胞、MDCK細胞、COS1細胞、COS7細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、BMT10細胞、VERO細胞、W138細胞、HeLa細胞、293細胞、Saos細胞、C2C12細胞、L細胞、HT1080細胞、HepG2細胞、初代線維芽細胞、肝細胞、及び筋芽細胞とすることができる。当該哺乳動物宿主細胞は、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、またはハムスターに由来することができる。特定の実施形態では、当該哺乳動物宿主細胞は、ヒト胎児腎細胞293(HEK293細胞)、またはHEK293-T細胞である。
【0249】
6.2.2 rAAVの作製方法
本明細書で提供するrAAVの作製方法を提供する。特定の実施形態では、当該方法は、セクション6.2.1に示しているrAAVプラスミドと、AAVのRep、Cap及びAd5の機能を併せ持つ1つ以上のヘルパープラスミドとを、細胞(好ましくは、エクスビボ細胞)にトランスフェクションすることを含む。特定の実施形態では、1つ以上の当該ヘルパープラスミドは、AAVのRep遺伝子、Cap遺伝子、VA遺伝子、E2a遺伝子、及びE4遺伝子のヌクレオチド配列を併せ持つ。
【0250】
遺伝子治療の用途に供する本明細書で提供するrAAVの作製には、当該技術分野で公知の方法、例えば、Clement et al.,2016,Molecular Therapy-Methods & Clinical Development,27:16002(参照により、その全内容を本明細書で援用する)に記載しているような方法を使用することができる。特定の実施形態では、プラスミドDNAのトランスフェクションは、当該技術分野で公知のように、リン酸カルシウムプラスミド沈殿を使用して、ヒト胎児腎293細胞(HEK293細胞)、またはHEK293-T細胞で、rAAVプラスミドと、AAVのRep及びCapの機能、ならびにAd5遺伝子(VA RNA、E2a、及びE4)をもたらすヘルパープラスミド(複数可)で行う。特定の実施形態では、Rep遺伝子、Cap遺伝子、及びAd5遺伝子は、同じヘルパープラスミドに存在することができる。特定の実施形態では、AAVのRep、Cap、及びAd5の機能を、別々のプラスミドから得る2ヘルパー法(すなわち、トリプルトランスフェクション)を使用する。特定の実施形態では、当該HEK293細胞は、動物成分、及び抗生物質不含培地で、浮遊状態での増殖に適合させることができる。
【0251】
特定の実施形態では、rAAVは、パッケージング細胞株、及びプロデューサー細胞株を使用して作製できる。本明細書で提供するrAAVは、哺乳動物宿主細胞、例えば、A549細胞、WEHI細胞、10T1/2細胞、BHK細胞、MDCK細胞、COS1細胞、COS7細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、BMT10細胞、VERO細胞、W138細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293-T細胞、Saos細胞、C2C12細胞、L細胞、HT1080細胞、HepG2細胞、初代線維芽細胞、肝細胞、及び筋芽細胞を使用して生産し得る。本明細書で提供するrAAVは、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、またはハムスターに由来する宿主細胞を使用して生産し得る。特定の実施形態では、宿主細胞内でウイルスを産生させる手段、例えば、複製遺伝子、及びキャプシド遺伝子(例えば、AAVのRep遺伝子及びCap遺伝子)と、本明細書で提供するrAAVプラスミドを導入することで、安定細胞株を遺伝子操作できる。特定の実施形態では、本発明のrAAVは、HEK293細胞を使用して生産できる。特定の実施形態では、rAAVは、Sf9昆虫細胞において、rep遺伝子、cap遺伝子、及び当該rAAVのゲノムをコードする遺伝子を有する3つの組み換えバキュロウイルスプラスミドに共感染させて産生させることができる。
【0252】
細胞は、当業者が容易に選択する適切なプロトコルに従って、培養、トランスフェクション、及び回収を行うことができる。特定の実施形態では、当該細胞は、ウシ胎仔血清、グルコース、ペニシリン、ストレプトマイシン、及び1-グルタミンなど、これらに限定されない成分を含むダルベッコ改変イーグル基礎培地(DMEM)で培養することができる(McClure et al.,J Vis Exp.2011,(57):3348、Shin et al.,Methods Mol Biol.2012,798:267-284)。細胞は、当業者であれば選択が容易である成分においてトランスフェクションできる。特定の実施形態では、トランスフェクションは、培地溶液で行うことができ、その培地溶液として、DMEM、及びイスコブ改変ダルベッコ培地(IMDM)があるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、トランスフェクションは、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、51時間、52時間、53時間、54時間、55時間、56時間、57時間、58時間、59時間、60時間、61時間、62時間、63時間、64時間、65時間、66時間、67時間、68時間、69時間、70時間、50~55時間、55~60時間、60~65時間、または65~70時間の時間をかけて行うことができる。トランスフェクションした後に、細胞を掻き取って、培養ウェルから細胞を剥がす、そして、それらのウェルを洗浄して、トランスフェクションした細胞をすべて回収することで、細胞を集めることができる。
【0253】
AAV8キャプシドを含むrAAVの作製方法については、参照により、その全内容を本明細書で援用する米国特許第7,282,199B2号のDetailed DescriptionのSection IVを参照されたい。例えば、TAQMAN(登録商標)解析によって、当該ベクターのゲノムコピー力価を求め得る。ビリオンは、例えば、CsCl沈降法によって回収し得る。特定の実施形態では、本明細書で記載したrAAVは、単離したrAAVまたは精製したrAAVである。
【0254】
複数のAAV血清型が同定されている。特定の実施形態では、本明細書で提供するrAAVまたはポリヌクレオチドは、AAVの1つ以上の血清型に由来する1つ以上の成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供するrAAVまたはポリヌクレオチドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、またはAAV11の1つ以上に由来する1つ以上の成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供するrAAVまたはポリヌクレオチドは、AAV8、AAV9、AAV10、またはAAV11の血清型の1つ以上に由来する1つ以上の成分を含むことができる。特定の実施形態では、本明細書で提供するrAAVまたはポリヌクレオチドは、AAV8血清型の1つ以上の成分を含むことができる。特定の実施形態では、本明細書で提供するrAAVまたはポリヌクレオチドは、AAV9血清型に由来する1つ以上の成分を含むことができる。AAV成分の核酸配列、ならびに組み換えAAV、及び組み換えAAVキャプシドの作製方法は、例えば、米国特許第7,282,199B2号、米国特許第7,790,449B2号、米国特許第8,318,480B2号、米国特許第8,962,332B2号及び国際出願第PCT/EP2014/076466号に記載されており、これらの各々を、参照により、その全内容を本明細書で援用する。特定の実施形態では、本明細書では、hGALNSをコードするrAAV8を提供する。
【0255】
特定の実施形態では、rAAV8を説明しており、このものは、(i)調節エレメントの制御下で、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質を含み、かつ、ITRが隣接する発現カセットを含む組み換えゲノムと、(ii)AAV8キャプシドタンパク質のアミノ酸配列を有する、またはAAV8キャプシドタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%が同一であり、その一方で、AAV8キャプシドが奏するウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、肝細胞に高効率で形質導入させるというAAV8キャプシドが奏する能力も保持しているウイルスキャプシドを含む。特定の実施形態では、AAV8キャプシドは、配列番号1の配列において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、または30個のアミノ酸が置換された配列を有しており、かつ、AAV8キャプシドが奏するウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、AAV8キャプシドが奏する肝細胞に高効率で形質導入させる能力も保持している。
【0256】
特定の実施形態では、rAAV9を説明しており、このものは、(i)調節エレメントの制御下で、hGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質を含み、かつ、ITRが隣接する発現カセットを含む組み換えゲノムと、(ii)AAV9キャプシドタンパク質のアミノ酸配列を有する、またはAAV8キャプシドタンパク質のアミノ酸配列(配列番号26)と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であり、その一方で、AAV9キャプシドが奏するウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、肝細胞に高効率で形質導入させるというAAV9キャプシドが奏する能力も保持しているウイルスキャプシドを含む。特定の実施形態では、AAV9キャプシドは、配列番号26の配列において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、または30個のアミノ酸が置換された配列を有しており、かつ、AAV9キャプシドが奏するウイルスゲノムを包み込む能力、かつ好ましくは、AAV9キャプシドが奏する肝細胞に高効率で形質導入させる能力も保持している。
【0257】
6.2.3 有効性の評価
インビトロアッセイ、例えば、細胞培養アッセイを使用して、本明細書に記載したrAAVからのhGALNSの発現を測定することができる、すなわち、例えば、当該rAAVの効能を示すことができる。当該アッセイで使用する細胞として、A549細胞、WEHI細胞、10T1/2細胞、BHK細胞、MDCK細胞、COS1細胞、COS7細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、BMT10細胞、VERO細胞、W138細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293-T細胞、HuH7細胞、Saos細胞、C2C12細胞、L細胞、HT1080細胞、HepG2細胞、初代線維芽細胞、肝細胞及び筋芽細胞があるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、細胞培養アッセイで使用する細胞は、HuH7細胞を含む。特定の実施形態では、本発明のrAAVをトランスフェクションした細胞は、hGALNS酵素活性について解析できる。
【0258】
動物モデルを使用して、本明細書に記載したrAAVからのhGALNSの発現と、その有効性を評価し得る。MPS IVAのマウスモデルについては、説明がされている(例えば、Tomatsu et al.,2003,Hum Mol Genet 12(24):3349-3358を参照されたい)。MPS IVAのマウスモデルは、マウスGALNSのエキソン2が標的破壊されている。これらのマウスは、検出可能なGALNS酵素活性が認められず、尿においてGAGレベルの上昇が検出される。2月齢において、細網内皮系細胞であるクッパー細胞、及び脾臓の内側を覆う類洞内皮細胞で、GAGの貯蔵の増加が認められる。12月齢では、糸球体の内臓上皮細胞及び心臓弁基部の細胞で空胞変性が認められるが、肝細胞及び尿細管上皮細胞などの実質細胞には存在しない。海馬及び新皮質のニューロン、髄膜細胞で、GAGのリソソーム貯蔵が認められる。このマウスモデルの角膜上皮細胞では、野生型と比べて、ケラタン硫酸(KS)及びコンドロイチン-6-硫酸(C6S)が増加するが、このマウスモデルでは、骨格の適応症状は認められない。加えて、ヒトGALNSに対する寛容性を持つMPS IVAのマウスモデルも説明がされている(例えば、Tomatsu et al.,2005,Hum Mol Genet 14(22):3321-3335を参照されたい)。本明細書に記載したrAAVからのhGALNSの発現と、その有効性を評価するための例示的なアッセイについては、セクション7での実施例を参照されたい。
【0259】
一部の実施形態では、当該方法は、遺伝子治療ベクター、例えば、調節エレメントと、機能性hGALNSタンパク質の発現を増加させる導入遺伝子を組み合わせたベクターを含む。機能性hGALNSタンパク質の発現は、1)サンドイッチELISA、ウエスタンブロット、組織学的染色、及び液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)など、これらに限定されない、当業者に公知の幾つかのタンパク質(hGALNS)決定アッセイ;2)酵素アッセイまたは機能アッセイなどの幾つかのタンパク質活性アッセイ、及び/または;3)ケラタン硫酸(KS)、グリコサミノグリカン(CAG)、及び/またはコンドロイチン-6-硫酸(C6S)検出など、これらに限定されない、幾つかの基質検出アッセイで測定し得、そして、ヒトの治療に有効または好適であると判断され得る(Hintze,J.P.et al,Biomarker Insights 2011:6 69-78)。このようなインビトロ及びインビボでの細胞試験、血液試験、及び組織試験を使用して、hGALNSの量及び機能の特性を評価した結果は、特定の療法の有効性と相関することが示されており(Hintze、J.P.et al,2011、前掲)、その結果を使用して、本明細書に記載したベクターを用いた遺伝子治療によるMPS IVA治療の効果を評価した。
【0260】
したがって、本発明は、対象の組織細胞、例えば、対象の肝臓、筋肉、白血球、腎臓、肺、脾臓、心臓、骨、または軟骨細胞での細胞内hGALNS酵素活性を野生型レベルよりも向上させる、またはhGALNS酵素活性アッセイによって、例えば、本発明の実施例2、3及び8に記載しているようなアッセイ形式、または実質的に同様のアッセイを使用して測定した場合に、細胞内hGALNSの酵素活性を、野生型hGALNSの活性レベルの約2倍、野生型hGALNSの活性レベルの約5倍、野生型hGALNSの活性レベルの約10倍、野生型hGALNSの活性レベルの約25倍、野生型hGALNSの活性レベルの約40倍、野生型hGALNSの活性レベルの約50倍、野生型hGALNSの活性レベルの約60倍、野生型hGALNSの活性レベルの約70倍、野生型hGALNSの活性レベルの約75倍、野生型hGALNSの活性レベルの約80倍、野生型hGALNSの活性レベルの約85倍、野生型hGALNSの活性レベルの約90倍、野生型hGALNSの活性レベルの約95倍、または野生型hGALNSの活性レベルの約100倍にまで向上させる方法、及び遺伝子治療用ベクターを提供する。一部の実施形態では、本発明の遺伝子治療は、当該対象に対して遺伝子治療を実施してから2週間後に、hGALNSの活性レベルを、実施前のレベルまたは未治療の対象での平均レベルよりも上昇させる方法を提供する。一部の実施形態では、当該遺伝子治療は、当該対象に対して当該遺伝子治療を実施してから2週間後に、hGALNSの活性レベルを上昇させる方法を提供する。一部の実施形態では、当該遺伝子治療は、当該遺伝子治療を実施してから2週間後に、当該対象の血液または組織、例えば、肝臓、筋肉、腎臓、肺、脾臓、心臓、骨または軟骨でのhGALNSの活性レベルを上昇させる方法を提供する。一部の実施形態では、当該対象でのhGALNSの活性レベルの上昇は、その遺伝子治療を実施してから10週間後に測定する。
【0261】
本発明は、当該対象でのKSの血中(例えば血漿または血清)レベルまたは組織レベルを、未治療の野生型対象でのKSのレベルよりも低下させる、またはKSアッセイによって、例えば、本発明の実施例2、3及び8に記載しているようなアッセイ形式または実質的に同様のアッセイを使用して測定した場合に、KSレベルを、野生型KSレベルの約1.1分の1、野生型KSレベルの約1.2分の1、野生型KSレベルの約1.3分の1、野生型KSレベルの約1.4分の1、野生型KSレベルの約1.5分の1、野生型KSレベルの約1.6分の1、野生型KSレベルの約1.7分の1、野生型KSレベルの約1.8分の1、野生型KSレベルの約1.9分の1、野生型KSレベルの約2分の1、野生型KSレベルの約2.5分の1、野生型KSレベルの約3分の1、野生型KSレベルの約3.5分の1、または野生型KSレベルの約4分の1にまで低下させる方法、及び遺伝子治療ベクターも提供する。一部の実施形態では、当該遺伝子治療は、当該対象に当該遺伝子治療を実施してから2週間後に、KSレベルを低下させる方法を提供する。一部の実施形態では、当該遺伝子治療は、当該対象に当該遺伝子治療を実施してから2週間後に、KSの組織中レベルを低下させる方法を提供する。一部の実施形態では、KSアッセイは、血中または組織中のモノ硫酸化KSを測定することを含み、当該遺伝子治療は、当該対象に対して当該遺伝子治療を実施してから2週間後に、モノ硫酸化KSレベルを低下させる方法を提供する。
【0262】
6.3 治療方法
本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法を提供する。
【0263】
ある態様では、当該方法は、本明細書に記載したrAAV、または本明細書に記載した医薬組成物をヒト対象に対して投与することを含む。
【0264】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法を提供しており、本明細書で提供するrAAVをヒト対象に投与することで、ヒト対象の骨及び肝臓に、治療有効量のhGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質(事例に応じて)を送達する、ことを含む。特定の実施形態では、hGALNSまたは融合タンパク質を、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化する。
【0265】
別の態様では、本明細書では、MPS IVAの診断を受けたヒト対象を治療する方法を提供しており、本明細書で提供するrAAVをヒト対象に投与することで、ヒト対象の骨に、治療有効量のhGALNS、または酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質(事例に応じて)を送達することを含む。
【0266】
別の態様では、当該方法は、当該ヒト対象に、本明細書で提供するrAAVを投与することで、酸性オリゴペプチドに融合したhGALNSである融合タンパク質をコードする導入遺伝子などの導入遺伝子の治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含む。特定の実施形態では、当該hGALNSは、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化される。
【0267】
別の態様では、当該方法は、当該ヒト対象に、本明細書で提供するrAAVを投与することで、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化されるhGALNSの治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含む。
【0268】
別の態様では、当該方法は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載の酸性オリゴペプチド、例えば、D8など)に融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含み、当該融合タンパク質は、rAAVゲノムから産生される。当該rAAVゲノムは、セクション6.1.2で記載のhGALNS発現カセットを含み得る。
【0269】
別の態様では、当該方法は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載の酸性オリゴペプチド、例えば、D8など)に融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含み、当該融合タンパク質は、rAAVゲノムから産生され、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化される。当該rAAVゲノムは、セクション6.1.2に記載しているようなhGALNS発現カセットを含み得る。一部の実施形態では、rAAVゲノムは、CAGプロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、また、当該CAGプロモーターをコードする当該ヌクレオチド配列を、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該CAGプロモーターは、配列番号28に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。特定の実施形態では、当該rAAVゲノムは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、また、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、TBGプロモーターである。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号13に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号14に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号15に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号28である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号13である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号14である。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、配列番号15である。
【0270】
別の態様では、当該方法は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載の酸性オリゴペプチド、例えば、D8など)に融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含み、当該融合タンパク質は、rAAVゲノムから産生され、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化される。当該rAAVゲノムは、セクション6.1.2に記載のhGALNS発現カセットを含み得る。特定の実施形態では、当該rAAVゲノムは、肝臓及び筋肉に特異的なプロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、当該肝臓及び筋肉に特異的なプロモーターをコードするヌクレオチド配列を、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該肝臓及び筋肉に特異的なプロモーターは、配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を示すヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16である。
【0271】
別の態様では、当該方法は、酸性オリゴペプチド(セクション6.1.2(b)に記載の酸性オリゴペプチド、例えば、D8など)に融合したhGALNSである融合タンパク質の治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含み、当該融合タンパク質は、rAAVゲノムから産生され、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化される。当該rAAVゲノムは、セクション6.1.2に記載のhGALNS発現カセットを含み得る。特定の実施形態では、当該rAAVゲノムは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該プロモーターは、CAGプロモーターである。
【0272】
別の態様では、当該方法は、rAAVゲノムから産生され、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化されるhGALNSの治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含む。当該rAAVゲノムは、セクション6.1.2に記載のhGALNS発現カセットを含み得る。特定の実施形態では、当該rAAVゲノムは、肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、当該肝臓特異的プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、hGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該肝臓特異的プロモーターは、TBGプロモーターである。
【0273】
別の態様では、当該方法は、rAAVゲノムから産生され、そして、肝細胞で産生して、同細胞から分泌することで、マンノース-6-リン酸でグリコシル化されるhGALNSの治療有効量を、当該ヒト対象の骨、軟骨、靭帯、成長板、半月板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋及び/または心臓弁に送達すること(例えば、骨及び/または軟骨に送達すること)を含む。当該rAAVゲノムは、セクション6.1.2に記載しているようなhGALNS発現カセットを含み得る。特定の実施形態では、当該rAAVゲノムは、プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含み、当該プロモーターをコードするヌクレオチド配列を、hGALNSをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号28に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号13に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号14に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号15に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号28である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号13である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号14である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号15である。特定の実施形態では、当該プロモーターは、配列番号16である。
【0274】
本明細書に記載した治療方法の様々な実施形態では、当該rAAVまたはrAAVゲノムは、AAVの1つ以上の血清型に由来する1つ以上の成分を含む。特定の実施形態では、当該rAAVまたはrAAVゲノムは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10またはAAV11の1つ以上に由来する1つ以上の成分を含む。特定の実施形態では、当該rAAVまたはrAAVゲノムは、AAV8、AAV9、AAV10またはAAV11血清型の1つ以上に由来する1つ以上の成分を含む。特定の実施形態では、当該rAAVまたはrAAVゲノムは、AAV8血清型の1つ以上の成分を含む。特定の実施形態では、当該rAAVまたはrAAVゲノムは、AAV9血清型の1つ以上の成分を含む。AAV成分の核酸配列、ならびに組み換えAAV及び組み換えAAVキャプシドの作製方法は、例えば、米国特許第7,282,199B2号、米国特許第7,790,449B2号、米国特許第8,318,480B2号、米国特許第8,962,332B2号及び国際出願第PCT/EP2014/076466号に記載されており、これらの各々を、参照により、その全内容を本明細書で援用する。
【0275】
本明細書に記載した治療方法の様々な実施形態では、骨、軟骨、靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達する工程は、(a)骨、及び/または軟骨、ならびに(b)靭帯、半月板、成長板、肝臓、脾臓、肺、腎臓、気管、心筋、及び/または心臓弁に送達する工程である。
【0276】
6.3.1 標的患者集団
本発明によれば、当該ヒト対象または患者は、MPS IVA(モルキオA症候群)の診断を受けた個体である。特定の実施形態では、その患者では、心臓弁の形態異常、齲歯、頸髄脊髄症、頸椎亜脱臼、コンドロイチン硫酸の尿中排泄、特徴的な粗い顔、腸骨翼狭窄、外反股、不均衡型短躯、低身長、長管骨骨端変形、肋骨胸郭フレア、外反膝、灰色のエナメル質、聴覚障害、肝腫大、脊柱前弯過度、歯突起形成不全、鼠径ヘルニア、関節弛緩、若年発症、ケラタン硫酸の尿中排泄、脊柱後弯、拡大した肘、下顎前突、骨幹端の拡大、角膜実質の混濁、骨粗鬆症、腰椎卵円化、扁平脊椎、尖った近位第2~第5中手骨、胸骨の突出、頻回の上気道感染、拘束性換気障害、脊柱側弯症、手の尺側偏位、広幅な口、及び広幅な歯間などのMPS IVA症状の1つ以上が認められる。
【0277】
特定の実施形態では、当該患者は、hGALNSによる治療に応答する者として確認されている。
【0278】
特定の実施形態では、当該患者は、重篤かつ急速進行性の早発型MPS IVAである。別の特定の実施形態では、当該患者は、緩徐進行性の遅発型MPS IVAである。
【0279】
特定の実施形態では、当該患者は、成人(少なくとも16歳)である。別の特定の実施形態では、当該患者は、青年期(12~15歳)である。別の特定の実施形態では、当該患者は、小児(12歳未満)である。
【0280】
特定の実施形態では、当該患者は、6歳未満である。
【0281】
6.3.2 投与と用量
本明細書に記載したrAAVの投与経路、及びヒト患者に投与するrAAVの量は、当該疾患の重症度、当該ヒト患者の病態、及び治療にあたる医師の知見に基づいて定めることができる。
【0282】
(a)治療用量
特定の実施形態では、ヒト対象に投与するrAAVの量は、hGALNSの治療有効量を、罹患組織(骨、軟骨、靭帯、半月板、及び/または心臓弁)に供給する上で充分な量である。
【0283】
特定の実施形態では、用量は、本明細書で提供するrAAVを介して、当該ヒト対象に投与するゲノムコピー数で測定する。特定の実施形態では、1×1010~1×1016ゲノムコピーを投与する。別の特定の実施形態では、1×1010~1×1011ゲノムコピーを投与する。別の特定の実施形態では、1×1011~1×1012ゲノムコピーを投与する。別の特定の実施形態では、1×1012~1×1013ゲノムコピーを投与する。別の特定の実施形態では、1×1013~1×1014ゲノムコピーを投与する。別の特定の実施形態では、1×1014~1×1015ゲノムコピーを投与する。別の特定の実施形態では、1×1015~1×1016ゲノムコピーを投与する。
【0284】
理論に拘束される訳ではないが、投与したrAAVの少なくとも10%が、投与を受けたヒト対象の肝臓に感染する。特定の実施形態では、投与したrAAVの10~15%、15~20%、20~25%、25~35%、30~40%、35~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75~85%、80~90%、85~95%または90~100%が、当該ヒト対象の肝臓に感染する。
【0285】
理論に拘束される訳ではないが、当該rAAVウイルスゲノムから発現するhGALNS酵素の少なくとも10%が、肝細胞で発現する。特定の実施形態では、当該rAAVウイルスゲノムから発現するhGALNS酵素の10~15%、15~20%、20~25%、25~35%、30~40%、35~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75~85%、80~90%、85~95%または90~100%が、肝細胞で発現する。
【0286】
理論に拘束される訳ではないが、当該rAAVウイルスゲノムから発現するhGALNS酵素の少なくとも10%が、当該ヒト対象の罹患組織(例えば、骨)に到達する。特定の実施形態では、当該rAAVウイルスゲノムから発現するhGALNS酵素の10~15%、15~20%、20~25%、25~35%、30~40%、35~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75~85%、80~90%、85~95%または90~100%が、当該ヒト対象の罹患組織(例えば、骨)に到達する。
【0287】
理論に拘束される訳ではないが、当該rAAVウイルスゲノムから発現するhGALNS酵素の少なくとも10%が、肝細胞で発現して、当該細胞から分泌されることによってグリコシル化される。特定の実施形態では、当該rAAVウイルスゲノムから発現するhGALNS酵素の10~15%、15~20%、20~25%、25~35%、30~40%、35~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75~85%、80~90%、85~95%または90~100%が、肝細胞で発現して、当該細胞から分泌されることによってグリコシル化される。
【0288】
理論に拘束される訳ではないが、肝細胞によりグリコシル化されたhGALNS酵素の少なくとも10%が、当該ヒト対象の罹患組織(例えば、骨)に到達する。特定の実施形態では、肝細胞によりグリコシル化されたhGALNS酵素の10~15%、15~20%、20~25%、25~35%、30~40%、35~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75~85%、80~90%、85~95%または90~100%が、当該ヒト対象の罹患組織(例えば、骨)に到達する。
【0289】
(b)投与経路
特定の実施形態では、当該rAAVは、ヒト対象に投与するために医薬組成物に存在させることができる(セクション6.1.3を参照されたい)。
【0290】
当該rAAVは、例えば、非経口投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、髄腔内投与、または経皮投与することができる。特定の実施形態では、本発明のrAAVは、静脈内投与する。
【0291】
6.4 併用療法
6.4.1 免疫抑制との併用療法
rAAVの送達の際には、免疫反応を最小限に抑える必要があるが、hGALNS遺伝子を欠損しているので、当該酵素または本発明のrAAVに対する寛容性を潜在的に欠いているヒト対象では、遺伝子治療に関連する最も明白な潜在的な毒性源が、発現したhGALNSタンパク質に対して免疫を発動させる。したがって、特定の実施形態では、当該患者においては、特に、hGALNSのレベルがゼロに近い重篤な疾患である患者を治療する場合には、免疫抑制療法との併用治療を行うのが得策である。ミコフェノール酸と組み合わせたタクロリムスまたはラパマイシン(シロリムス)のレジメンを使用する免疫抑制療法、または組織移植術で使用するその他の免疫抑制レジメンを利用することができる。このような免疫抑制治療剤は、遺伝子治療を行っている最中に投与し得、特定の実施形態では、免疫抑制療法による前治療が好ましい場合もある。免疫抑制療法は、治療にあたる医師の判断に基づいて、遺伝子治療で治療した後にも継続することができ、その後、免疫寛容が誘導されたら、例えば、180日後に中止し得る。
【0292】
特定の実施形態では、本明細書で提供する治療方法は、ヒト患者に、プレドニゾロン、ミコフェノール酸、及びタクロリムスを含む免疫抑制レジメンを実施することをさらに含む。特定の実施形態では、本明細書で提供する治療方法は、ヒト患者に、プレドニゾロン、ミコフェノール酸、及びラパマイシン(シロリムス)を含む免疫抑制レジメンを実施することをさらに含む。特定の実施形態では、本明細書で提供する治療方法は、ヒト患者に、タクロリムスを使用しない免疫抑制レジメンを実施することをさらに含む。特定の実施形態では、本明細書で提供する治療方法は、ヒト患者に、メチルプレドニゾロン、及び/またはプレドニゾロンなどの1つ以上の副腎皮質ステロイド、ならびにタクロリムス、及び/またはシロリムスを含む免疫抑制レジメンを実施することをさらに含む。特定の実施形態では、当該免疫抑制療法は、(a)タクロリムス、及びミコフェノール酸、または(b)ラパマイシン、及びミコフェノール酸を組み合わせたものを当該対象に対して、hGALNSによる治療前に、またはその治療と同時に投与し、そして、その後に継続することを含む。特定の実施形態では、当該免疫抑制療法は、180日後に中止する。特定の実施形態では、その免疫抑制療法は、30日後、60日後、90日後、120日後、150日後、または180日後に中止する。
【0293】
6.4.2 その他の治療法との併用療法
本明細書に記載したrAAVをヒト対象に投与することに関連して、本明細書に記載した実施形態の方法は、その他の利用可能な治療を実施する併用療法を含む。さらなる当該治療は、遺伝子治療による治療前に、その治療と同時に、またはその治療後に実施し得る。MPS IVAに利用可能な治療であって、本発明の遺伝子治療と組み合わせることができる治療として、酵素補充療法(ERT)、及び/またはHSCT療法があるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、ERTは、組み換えDNA技術によって、ヒト細胞株が産生したD8-hGALNS酵素を使用して行うことができる。このような酵素を産生させる上で使用可能なヒト細胞株として、HT-22、SK-N-MC、HCN-1A、HCN-2、NT2、SH-SY5y、hNSC11、ReNcell VM、ヒト胎児腎細胞293(HEK293細胞)、HEK293-T、線維肉腫HT-1080、HKB-11、CAP、HuH-7、及び網膜細胞株のPER.C6またはRPEがあるが、これらに限定されない(例えば、参照により、その全内容を援用する、Dumont et al.,2016,Critical Rev in Biotech 36(6):1110-1122“Human cell lines for biopharmaceutical manufacturing:history,status,and future perspectivesを参照されたい)。
【0294】
6.5 疾患マーカー、及び治療評価
特定の実施形態では、本明細書に記載した治療方法の有効性は、骨、軟骨、靭帯、半月板、心臓弁、尿、及び/または血清において、疾患のバイオマーカー(GAG、KS、及びC6Sの貯蔵)の減少、及び/またはhGALNS酵素活性の高まりを測定してモニタリングし得る。炎症、及びその他の安全性事象の徴候もモニタリングし得る。
【0295】
特定の実施形態では、本明細書に記載した治療方法の有効性を、患者の疾患バイオマーカーのレベルを測定することでモニタリングする。特定の実施形態では、その疾患バイオマーカーのレベルは、患者の血清で測定する。特定の実施形態では、当該疾患バイオマーカーのレベルは、患者の尿で測定する。特定の実施形態では、当該疾患バイオマーカーは、GAGである。特定の実施形態では、当該疾患バイオマーカーは、KSである。特定の実施形態では、当該疾患バイオマーカーは、C6Sである。特定の実施形態では、当該疾患バイオマーカーは、hGALNS酵素活性である。
【0296】
特定の実施形態では、本明細書に記載した治療方法の有効性は、患者のリソソーム貯蔵障害に関連する身体的特徴を測定してモニタリングできる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、貯蔵病変とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、短頸及び短躯とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、鳩胸とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、関節弛緩とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、脊柱後側弯とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、気管閉塞とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、脊髄圧迫とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、聴覚障害とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、角膜混濁とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、骨及び関節の変形とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、心臓弁疾患とすることができる。特定の実施形態では、当該身体的特徴を、気道の拘束/閉塞とすることができる。このような身体的特徴は、当業者に公知のいずれかの方法で測定し得る。
【0297】
7.実施例
本明細書で提供する特定の実施形態を、以下の実施例で示すが、これらに限定されない。
【0298】
7.1 実施例1.rAAVゲノムをコードするプラスミド、及びインビトロトランスフェクションアッセイのデザイン
hGALNS発現カセットを含む組み換えAAVゲノムであって、AAV8キャプシドに包み込まれる組み換えAAVゲノムを作製するために、当該組み換えAAVゲノムをコードするプラスミドをデザインした。TBG-hGALNS(当該hGALNS発現カセットは、hGALNSをコードするヌクレオチド配列を含み、その発現は、肝臓特異的なTBGプロモーターの調節下で行われる)、TBG-hGALNS CoOpt(当該hGALNS発現カセットは、hGALNSをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を含み、その発現は、肝臓特異的なTBGプロモーターの調節下で行われる)、TBG-D8-hGALNS(当該hGALNS発現カセットは、D8に融合したhGALNSである融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、その調節は、肝臓特異的なTBGプロモーターの調節下で行われる)、またはTBG-D8-hGALNS CoOpt(当該hGALNS発現カセットは、D8に融合されたhGALNSである融合タンパク質をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を含み、その発現は、肝臓特異的なTBGプロモーターの調節下で行われる)の4つのプラスミドをデザイン及び作製した。得られたrAAVは:(a)AAV逆方向末端反復(ITR)が隣接するhGALNS発現カセットを含む組み換えAAVゲノムを含むrAAVであって、当該hGALNS発現カセットが、肝臓特異的なTBGプロモーター配列に機能的に連結したhGALNS cDNA配列と、ポリA部位をコードするヌクレオチド配列を含むrAAV;及び、(b)AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接するhGALNS発現カセットを含む組み換えAAVゲノムを含むrAAVであって、当該hGALNS発現カセットが、肝臓特異的なTBGプロモーター配列に機能的に連結されたD8-hGALNS cDNA配列と、ポリA部位をコードするヌクレオチド配列を含むrAAV、という2つのカテゴリーに属する(図1)。D8は、骨を標的とするアスパラギン酸オクタペプチドである。
【0299】
次に、hGALNSの発現をインビトロで試験するために、Lipofectamine-3000のプロトコルを使用して、ヒト肝細胞癌(HuH7)細胞に、それら4つのプラスミドの1つをトランスフェクションした。48時間のインキュベーションを行った後に、トランスフェクションした当該HuH7細胞と上清を回収し、そして、細胞ペレット及び培地でのGALNS酵素活性について解析した。GFPプラスミドをトランスフェクションしたHuH7細胞を、コントロールとして使用した。TBG-hGALNSプラスミドまたはTBG-hGALNS CoOptプラスミドをトランスフェクションしたところ、細胞内のhGALNS酵素活性は、同程度の向上を示した(図2A及び2B)。TBG-D8-hGALNSプラスミドまたはTBG-D8-hGALNS CoOptプラスミドをトランスフェクションした後にも、細胞内酵素活性は高まったが、TBG-hGALNSプラスミドまたはTBG-hGALNS CoOptプラスミドをトランスフェクションした場合よりも、その程度は低かった(図2A及び2B)。細胞培地で検出された酵素活性は、いずれのプラスミドをトランスフェクションした場合でも高まった(図2C及び2D)。
【0300】
同様に、hGALNSの発現をインビトロで試験するために、Lipofectamine-3000のプロトコルを使用して、ヒト肝癌細胞(HepG2)に、上記した4つのプラスミドの1つをトランスフェクションした(図3)。72時間のインキュベーションを行った後に、トランスフェクションしたHepG2細胞を回収し、そして、細胞ペレットでのhGALNS酵素活性について解析した。TBG-hGALNSプラスミドまたはTBG-hGALNS CoOptプラスミドをトランスフェクションしたところ、細胞内のhGALNS酵素活性は、コントロールのプラスミドをトランスフェクションした場合と比べて高まっていた。TBG-D8-hGALNSプラスミドまたはTBG-D8-hGALNS CoOptプラスミドをトランスフェクションしたところ、コントロールのプラスミドと比較して、hGALNS活性を押し上げるまでには至らなかった。
【0301】
7.2 実施例2.MPS IVAノックアウト(galns-/-)マウスへのrAAVのインビボ投与
肝臓特異的プロモーターTBGの制御下で天然型のヒトGALNS(hGALNS)を発現できるウイルスゲノムを含むrAAV8(AAV8-TBG-hGALNS、一部の図では、AAV8-hGALNSとして示している)、または肝臓特異的プロモーターの制御下で、アスパラギン酸オクタペプチド(D8)を有するhGALNSを発現できるウイルスゲノムを含むrAAV8(AAV8-TBG-D8-hGALNS、一部の図では、AAV8-D8-hGALNSとして示している)を作製した。TBG-hGALNS CoOptプラスミド、及びTBG-D8-hGALNS CoOptプラスミドのそれぞれを使用して、ウイルスゲノムを作製した。これら2種類のウイルスをそれぞれ、4週齢のMPS IVAノックアウト(KO)マウス、及びMtol免疫寛容マウスに、体重1kg当たり5×1013GCの用量で静脈内投与した。KOマウスは、mGALNSのエキソン2が標的破壊されており、検出可能なGALNS酵素活性を持たない。Mtolマウスは、ヒトGALNSタンパク質に対して免疫寛容状態になっている。未処置のKOマウス、及び野生型(WT)マウスを、コントロールとした。これらのマウスは、注射した後に、14週間モニタリングした。血液を週に2回採取し、hGALNS活性、及びケラタン硫酸(KS)についてアッセイした。rAAVの投与、血液採取、GALNS酵素アッセイ、及びKSアッセイのスケジュールを、図4に示している。検視時に、骨の病態を組織病理学的解析で評価した。
【0302】
図5Aに見られるように、rAAV処置マウスの白血球(WBC)において、hGALNS酵素活性が向上し、治療から10週間後に、WTマウスのレベル近くにまで達した。rAAVの投与から2週間後に、すべてのrAAV処置マウスの血漿におけるhGALNS酵素活性は、WTマウスでのレベルと比べて、平均で20倍(WTマウスでのレベルと比べて5~100倍の範囲)上昇した(図5B)。この上昇は、14週間のモニタリング期間にわたって維持された(図5B)。同様のデータを、図22に示す。AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスでの血漿中の酵素活性レベルは、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウスでのレベルよりも有意に高かった(図6)が、いずれの処置群の酵素活性レベルも、WTのレベルよりも上昇した。同様のデータを、図23に示す。
【0303】
AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したKO(galns-/-)マウスの肝臓で測定したhGALNS活性を、WTマウスの肝臓でのhGALNS活性と比較した(図7A)。AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスは、肝臓でのhGALNS活性のレベルが、WTのレベルと比べて40倍高かったのに対して、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスは、肝臓でのhGALNS活性が、WTのレベルよりも8倍高かった。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの肝臓でのhGALNS活性は、未処置のMtolマウス(PBS処置マウス)よりも高かった(図7B)。AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスは、肝臓でのhGALNS活性のレベルが、未処置のマウスと比べて50倍高かったのに対して、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスは、肝臓におけるhGALNS活性が、未処置のMtolマウスよりも8倍高かった。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後に、MPS IVA KOマウス(galns-/-)、及びMtolマウスの肝臓でそれぞれ測定したhGALNSの活性レベルを、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較したものに関するさらなるデータについては、図12Aを参照されたい(n=3~8、平均±標準偏差)。
【0304】
hGALNS活性は、(a)WTマウス、(b)未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウス、(c)AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、(d)AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、(e)未処置のMtolマウス、(f)AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、及び(g)AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの心臓でも測定した(図7C)。MPS IVA KO(galns-/-)マウス及びMtolマウスのいずれでも、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス及びAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの両方とも、心臓でのhGALNS活性レベルが、未処置のマウスと比べて高かった。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後に、MPS IVA KOマウス(galns-/-)及びMtolマウスのそれぞれの心臓で測定したhGALNS活性レベルを、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスの場合と比較したものに関するさらなるデータについては、図13Bを参照されたい(n=3~8、平均±標準偏差)。
【0305】
同様に、hGALNS活性を、(a)WTマウス、(b)未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウス、(c)AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、(d)AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、(e)未処置のMtolマウス、(f)AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、及び(g)AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの骨で測定した(図7D)。MPS IVA KO(galns-/-)マウス及びMtolマウスのいずれでも、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス及びAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの両方とも、骨でのhGALNS活性のレベルが、未処置のマウスと比べて高かった。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後に、MPS IVA KOマウス(galns-/-)及びMtolマウスのそれぞれの骨で測定したhGALNS活性レベルを、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較したものに関するさらなるデータについては、図13Aを参照されたい(n=3~8、平均±標準偏差)。
【0306】
MPS IVA KO(galns-/-)マウス及びMtolマウスのいずれでも、処置したマウスの肝臓、心臓、及び骨でのhGALNS活性レベルは、AAV8-TBG-hGALNSベクターまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSベクターの送達後に上昇した。加えて、血液でのhGALNS酵素活性と、骨でのhGALNS酵素活性との間に、直接的な相関関係が認められた。
【0307】
hGALNS酵素活性レベルは、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後に、MPS IVA KOマウス(galns-/-)の脾臓、及びMtolマウスの脾臓でも、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較する形で、それぞれ測定した(n=3~8、平均±標準偏差)(図12B)。MPS IVA KO(galns-/-)マウス、及びMtolマウスのいずれでも、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス、及びAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの両方とも、脾臓におけるhGALNS活性のレベルが、未処置のマウスと比べて高かった。
【0308】
加えて、hGALNS酵素活性レベルは、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを投与した後に、MPS IVA KOマウス(galns-/-)の肺、及びMtolマウスの肺でも、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、未処置のMtolマウス、及び野生型マウスと比較する形で、それぞれ測定した(n=3~8、平均±標準偏差)(図12C)。MPS IVA KO(galns-/-)マウス、及びMtolマウスのいずれでも、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス、及びAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの両方とも、肺でのhGALNS活性のレベルが、未処置のマウスと比べて高かった。
【0309】
血中ケラタン硫酸(KS)レベルを測定した。KO(galns-/-)マウスでは、いずれの群でも、rAAVで治療することで、投与から2週間後に、血漿中のモノ硫酸化ケラタン硫酸(KS)レベルが、WTのレベルまで低下した(図8及び図14)。両方のrAAV処置群でのこれらの血漿中レベルの低下は、注射から12週間後の検視時まで維持された。対照的に、未処置のKOマウスの血漿中のKSレベルは低下せず、モニタリングした期間にわたって上昇したままであった。MtolマウスにrAAVのいずれを投与した場合も、血漿中のモノ硫酸化ケラタン硫酸(KS)レベルは、治療から2週間後に、WTのレベルと比べて低下し、その血漿中KSレベルは、未処置のMtolマウスと比べて有意に低下した(図9A~9B、及び図15A~15B)。しかしながら、血中diHS-0Sレベルは、未処置のマウス群、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス群、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウス群、及びWTマウス群で、差異は認められなかった(図10)。
【0310】
モノ硫酸化KSレベルを、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の肝臓、Mtolマウスの肝臓、及びMPS IVA KOマウス(galns-/-)の肺で、未処置のMPS IVA KOマウス、及び未処置の野生型マウスと比較する形で、それぞれ測定した(図16A~16C)。rAAVのいずれを投与した場合でも、未処置のマウスと比べて、肝臓でのモノ硫酸化KSが有意に低下した、そして、肺でのモノ硫酸化KSも有意に低下した。MPS IVA KOマウス(galns-/-)、及びMtolマウスの肝臓、及び肺でのKSレベルは、AAVベクターを投与した後は、ほぼ正常化した。
【0311】
これらの処置KOマウスの肝臓の組織病理学的評価は、洞内皮細胞、及びクッパー細胞でのGAG貯蔵が完全に解消されたことを示した。
【0312】
AAV8-TBG-hGALNS及びAAV8-TBG-D8-hGALNSの投与したところ、モニタリング期間にわたって、KOマウスモデル及びMtolマウスモデルの血漿において、高レベルの酵素活性が維持された。このように循環酵素が継続的に存在することにより、血漿中のKSがWTのレベルまで低下し、そのレベルは、ERTによって得られる改善よりも有意な改善である(Tomatsu et al.,Human Molecular Genetics,2008,17(6):815-824)。血漿中KSレベルは、両方のマウスモデルでも、そして、AAV8-TBG-hGALNS及びAAV8-TBG-D8-hGALNSの両方についても、rAAVを投与してから2週間後に正常化したが、KOマウスをERTで処置した従前の研究では、血漿中KSレベルは、週に1回注入してから12週間後でも正常化しなかった(Tomatsu et al.,Human Molecular Genetics,2008,17(6):815-824)。加えて、高い酵素レベルが、循環時間の長期化と相まって、骨及び軟骨への浸透を高めたことで、これらの領域での貯蔵性が改善した。
【0313】
rAAVで処置して12週間後にマウスを安楽死させ、組織を摘出し、グリコサミノグリカン(GAG)の貯蔵について評価した。組織をトルイジンブルーで染色した。骨の病態を組織病理学的解析によって評価したが、病理スコアを、MPS IVA KO(galns-/-)マウスに関してグラフ図で表している(図11A)。図11Bは、膝関節(MPS IVA KO(galns-/-)マウス)の染色画像を示している。
【0314】
図11Cは、MPS IVA KO(galns-/-)マウスの大腿関節軟骨を40倍に拡大した染色画像を示している。未処置のマウス(左パネル)では、表層細胞が破壊されており、軟骨細胞が風船様になり、空胞化していた。さらに、当該カラム構造は歪み、崩壊していた。対照的に、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSのいずれかで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの組織では、表層細胞は組織化されており、軟骨細胞の空胞化の程度は小さく、カラム構造は維持されていた(右の2つのパネル)。これらの様相は、図11D~11Fに、さらに詳細に示している。
【0315】
図11Gは、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウスまたはrAAVで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの大腿骨成長板を40倍に拡大した染色画像を示している。その未処置のマウス(左パネル)では、軟骨細胞は空胞化しており、当該カラム構造は大部分が崩壊し、歪んでいた。AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスの軟骨細胞(中央パネル)も空胞化していたが、カラム構造の歪みは中度に過ぎなかった。対照的に、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの組織(右パネル)では、軟骨細胞の空胞化は中度であり、カラム構造は、より組織化されていた。これらの様相は、図11H~11Jにさらに詳細に示している。図17A~17Eにも、(A)野生型マウス(いずれの軟骨細胞も空胞化しておらず、カラム構造は充分に組織化されていた)、(B)未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)(軟骨細胞はいずれも空胞化しており、カラム構造は大部分が崩壊し、歪んでいた)、(C)未処置のMtolマウス(軟骨細胞はいずれも空胞化しており、カラム構造は大部分が崩壊し、乱れていた)、(D)AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス(軟骨細胞の空胞化は中度であったが、カラム構造は良質であった)、及び(E)AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウス(軟骨細胞の空胞化は中度であったが、カラム構造は部分的に回復していた)の大腿骨成長板を40倍に拡大した染色画像を示している。
【0316】
図18Aは、未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の大腿骨及び脛骨の成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズを示している。図18Bは、未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの大腿骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズを示している。図18Cは、未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KOマウス(galns-/-)、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウス(galns-/-)の脛骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズを示している。図18Dは、未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの脛骨成長板で測定した軟骨細胞の細胞サイズを示している。
【0317】
MPS IVA KOマウス及びMtolマウスの成長板での軟骨細胞のサイズ及びカラム構造はいずれも、AAV遺伝子移入後に実質的に改善した。
【0318】
図11Kは、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウスまたはrAAVで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの半月板を40倍に拡大した染色画像を示している。未処置のマウス(左パネル)では、当該細胞の大半が風船様になり、空胞化していた。AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスの半月板の細胞の一部(中央パネル)は空胞化していた。AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの組織の細胞の大半(右パネル)は、空胞化していなかった。
【0319】
図11Lは、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウスまたはrAAVで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの脛骨側の靭帯を40倍に拡大した染色画像を示している。未処置のマウス(左パネル)では、当該細胞の大半が空胞化していた。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの靭帯の細胞の一部(右の2つのパネル)は、空胞化したままであった。
【0320】
図11Mは、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウスまたはrAAVで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの心臓弁の基部を40倍に拡大した染色画像を示している。未処置のマウス(左パネル)の僧帽弁基部の細胞の多くは空胞化していたが、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス(中央パネル)またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウス(右パネル)の僧帽弁組織の基部には、空胞化した細胞は認められなかった。未処置のマウスの組織のこれらの様相は、図11Nにさらに詳細に示している。心臓弁の組織で、同様の結果が認められた(図11O)。Mtolマウスでの同様の結果は、図19(下パネル)に示している。未処置のマウス(左パネル)の心臓弁細胞の多くは、空胞化していたが、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウス(中央パネル)、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウス(右パネル)の心臓弁組織では、空胞化した細胞は認められなかった。未処置のマウスの組織のこれらの様相を、図11Pにさらに詳細に示している。
【0321】
図20は、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの心筋(40倍拡大画像)の組織病態を、未処置のMtolマウスと比較したものを示している。
【0322】
心臓弁及び心筋では、AAVによる遺伝子移入後、MPS IVA KO(galns-/-)マウス及びMtolマウスのいずれでも、明らかに空胞化した細胞は認められなかった。
【0323】
図21Aは、未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの心臓弁組織の病理スコアを示している。図21Bは、未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの心臓弁組織の病理スコアを示している。図21Cは、未処置の野生型マウス、未処置のMPS IVA KO(galns-/-)マウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KO(galns-/-)マウスの心筋組織の病理スコアを示している。図21Dは、未処置の野生型マウス、未処置のMtolマウス、AAV8-TBG-hGALNSで処置したMtolマウス、またはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMtolマウスの心筋組織の病理スコアを示している。
【0324】
Mtolマウスでも、骨の病態を組織病理学的解析で評価した。独立t検定を使用して、未処置群とそれぞれの処置群との病理スコアの差について調べた(スコア:0(正常)~3(重度))。表1を参照されたい。
【0325】
【表2】
【0326】
いずれのウイルスも、関節軟骨、関節軟骨周辺の靭帯及び半月板、ならびに脛骨及び大腿骨の成長板領域でのGAG貯蔵を低下させた。骨及び軟骨で認められたGAG貯蔵の低下は、AAV-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスでは比較的大きかった。
【0327】
rAAVで処置したマウスでは、骨、成長板、関節軟骨、半月板、靭帯、及び心臓組織は、実質的に改善した。加えて、処置マウスでは、心臓弁及び心臓弁基部の異常に関して、ほぼ完全寛解が得られ、心臓弁基部及び心臓弁のいずれにおいても、明らかに空胞化した細胞は認められなかった。これらの結果から、ERT処置マウスでは、成長板において、空胞化した細胞の消失が認められず、成長板において、カラム構造が崩壊しており、心臓弁において、実質的に空胞化した細胞が認められているので、ERTよりも有意な改善が示されている(Tomatsu et al.,Human Molecular Genetics,2008,17(6):815-824)。
【0328】
肝臓以外の組織で治療効果が認められた(hGALNSタンパク質、及びD8-hGALNSタンパク質が産生された)ことから、マンノース-6-リン酸受容体が、クロスコレクションを媒介したことを示唆している。
【0329】
7.3 実施例3.肝臓を標的としたAAV8による遺伝子治療は、ムコ多糖症IVAマウスモデルにおいて、骨格及び心血管の病態を改善する
この実施例は、本明細書に記載した実施例1~2を含むその他の実施例で説明及び実施した実験に関連するものであり、実施例1~2の追加データを提供する。この実施例では、肝臓特異的なサイロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーターの制御下で、hGALNSを、骨標的シグナルと一緒に、または骨標的シグナルが無いままに発現するAAV8ベクターを評価し、MPS IVAの疾患の両方のマウスモデルの骨及び心臓の病変において、これらの組み換えAAV8ベクターの治療有効性を試験する。骨及び心臓のいずれも、この障害で影響を受ける主要臓器である。
【0330】
7.3.1 結果
(a)血液及び組織でのGALNS酵素活性:AAV-hGALNSを送達すると、MPS IVAのマウスモデルの血漿及び各種組織において、GALNS活性が顕著に向上する。
MPS IVAである2つのマウスモデル(MPS IVA KO、及びMtol)では、hGALNS活性の欠損、血液及び組織でのKSレベルの上昇、ならびに軟骨細胞、半月板、靭帯、心筋及び心臓弁などの各種組織内での貯蔵物質(小胞)に関して、ヒト疾患を再現する。これらのバイオマーカーは、これらのマウスモデルにおいて、表現型の重症度、及び幾つかのアプローチの治療有効性を評価する目的で広く利用されている(Tomatsu,S.,et al.,Hum.Mol.Genet.,2008,17,815-824、Tomatsu,S.,et al.,Hum.Mol.Genet.,2003,12,3349-3358、Tomatsu,S.,et al.,Hum.Mol.Genet.,2005,14,3321-3335、Tomatsu,S.,et al.,Mol.Ther.,2010,18,1094-1102)。この試験では、我々は、AAV8-TBG-hGALNSco、及びAAV8-TBG-D8-hGALNSco(図24A)を、4週齢のMPS IVA KO、及びMTOLマウスに、体重1kg当たり5×1013GCという均一な用量で静脈内送達した。それらのマウスを、注射後12週間かけてモニタリングし、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析した。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から採取し、また、組織病理解析のための膝関節及び心臓弁も摘出した。
【0331】
MPS IVA KOマウス及びMTOLマウスの血漿中酵素活性を、図24B~24Cに示している。未処置のMPS IVAマウスでは、血漿でのhGALNS活性は検出されなかった。注射から2週間後に、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウスでの血漿中のhGALNS活性は、野生型マウスにおける活性と比べて、有意に向上した。注射から2週間後に、AAV8-TBG-D8-hGALNSに由来する酵素活性は、AAV8-TBG-hGALNSに由来する活性よりも高かったが、注射から12週間後には、これらの2つのAAVベクターにおいて、血漿中のhGALNS活性に差異は認められなかった。両方のAAVベクターで処置したMTOLマウスでも、血漿中のhGALNS活性は、注射から2週間後に、野生型マウスでの活性と比べて、有意に向上した。AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したマウスの酵素活性のレベルは、試験期間全体を通じて、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスの活性よりも高かったことから、骨標的シグナルを有するhGALNSは、おそらく、組織への取り込みが低下して、天然型のhGALNSと比べて、血液循環が長くなったものと示唆された。これらの結果から、いずれのMPS IVAマウスモデルにおいても、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを1回注射した後に、超生理学的レベルの循環hGALNS活性が得られるとともに、試験の間は、高レベルの酵素活性が維持されたことが示された。
【0332】
AAVベクターのIV送達から12週間後の肝臓でのhGALNS活性のレベルを、図24J及び図24Kに示す。すべての処置MPS IVAマウスでのhGALNSの活性レベルは、未処置のMPS IVAマウスでの活性よりも有意に高かった。AAV8-TBG-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウスでの平均酵素活性レベルは、野生型マウスで認められたレベルよりも49倍高く、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMPS IVA KOマウスでの平均酵素活性レベルは、9倍高かった。AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスでは、hGALNS活性は、野生型マウスで認められたレベルよりも60倍高く、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したMTOLマウスでは、9倍高かった。AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したKOマウス及びMTOLマウスの肝臓でのGALNS活性は、AAV8-TBG-hGALNSで処置したマウスでの活性よりも有意に低かった。
【0333】
MPS IVAマウスの組織において、組織中のhGALNS活性のレベルを調べて、hGALNS欠損の潜在的クロスコレクションを評価した。KOマウス及びMTOLマウスの両方において、AAV8-TBG-hGALNまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置した後は、いずれも、脾臓、肺、腎臓、骨(肢骨)及び心臓を含めて、調べたすべての組織で、hGALNS活性が認められた(図24J~24K)。その酵素活性は、脾臓及び心臓において、野生型レベルと同程度以上であったとともに、肺及び腎臓では、多少低レベルの活性が認められた。とりわけ、AAV8-TBG-hGALNSで処置したKOマウスの骨では、野生型酵素活性の37%の活性が認められ、AAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したKOマウスの骨では、野生型酵素活性の20%の活性が認められた。また、これらの2つのAAVベクターで処置したMTOLマウスでは、野生型酵素活性の57%の活性と、43%の活性が認められた。これらの結果から、AAVによる遺伝子移入後、安定した超生理学的レベルのhGALNS酵素が、MPS IVAマウスの骨を含む各種組織内へのその酵素の浸透に寄与することが示唆されている。骨におけるhGALNS活性レベルは、AAV8-TBG-hGALNSとAAV8-TBG-D8-hGALNSにおいて、統計的な差異は認められなかった。
【0334】
(b)AAV-GALNSを送達した結果、血液及び組織におけるモノ硫酸化KSのレベルは低下した
我々は、KSの主成分であるモノ硫酸化KSを、MPS IVAマウスの血漿及び組織において測定した。KOマウス及びMTOLマウスでの血漿中のモノ硫酸化KSのレベルを、図25A~25Bに示す。AAVベクターを投与する前に、未処置のKOマウスでの血漿中KSレベルは、野生型マウスでのレベルよりも有意に高かった(平均:16.3ng/mlに対して41.8ng/ml)。注射から2週間後に、両方のAAVベクターに関して、血漿中のモノ硫酸化KSレベルは完全に正常化しており、このレベルは、少なくともさらに10週間(検視時)維持していた。モノ硫酸化KSレベルは、4週齢の野生型マウス及び未処置のMTOLマウスにおいて同程度であった。野生型マウスにおけるモノ硫酸化KSレベルは、試験全体を通じて一定レベルに維持した;しかしながら、未処置のMTOLマウスでのモノ硫酸化KSのレベルは、加齢に伴って徐々に上昇した。上記したAAVベクターのいずれかで処置したMTOLマウスは、試験期間全体を通じて、正常レベルを維持した。16週齢では、AAVベクターで処置したMTOLマウスでのモノ硫酸化KSレベルは、未処置のMTOLマウスでのレベルと比べて、有意に低下した。
【0335】
MPS IVAマウスの組織でのモノKSレベルを測定する。検視時に、KOマウス及びMTOLマウスの両方の組織に、GAGの過剰貯蔵が認められた。KOマウス及びMTOLマウスの肝臓及び肺でのモノ硫酸化KSの量は、いずれのAAVベクターを注射しても、12週間後には有意に減少した(図25C~25D)。hGALNSを発現するこれらのAAVベクターがその他のGAGレベルに及ぼす作用を評価するために、MPS IVSマウスの血液及び組織でのヘパラン硫酸(HS)のレベルを解析した。KOマウス及びMtolマウスのいずれも、血漿中のdiHS-0Sは正常レベルであり、また、そのレベルは、AAVベクターの注射後に影響を受けなかった(図30)。肝臓及び肺の組織でのdiHS-0Sレベルも、AAVベクターの注射から12週間後は、すべての群の間で、変化は認められなかった(図31)。
【0336】
(c)AAV GALNSベクターの送達によって、MPS IVAマウスでの骨及び軟骨の病態が改善した
MPS IVAマウスにおいて、AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSを注射してから12週間後に、骨(大腿骨及び脛骨)ならびに心臓(心筋及び心臓弁)などの組織を評価した。
【0337】
16週齢の未処置のMPS IVA KOマウス及びMTOLマウスで、GAG貯蔵小胞が、大腿骨及び脛骨の成長板(硝子軟骨)(図27A)、関節円板(図27B)、膝関節周辺の靭帯(図32A)、及び半月板(図32B)に認められた。成長板では、崩壊したカラム構造とともに、風船様になり、空胞化した軟骨細胞も認められた(図27A~27B)。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したKOマウスでは、膝関節における成長板、関節軟骨、靭帯及び半月板は、貯蔵物質が部分的に減少し、軟骨細胞のカラム構造は改善したが、依然として崩壊しており、乱れた状態のままであった。これらのAAVベクターで処置したMTOLマウスでは、膝関節における成長板、関節軟骨、靭帯、及び半月板は、貯蔵が観察可能な程度を上回る程度にまで減少しており、成長板及び関節軟骨のカラム構造では、未処置のMTOLマウスよりも大きな回復が認められた。
【0338】
成長板の軟骨細胞での空胞化の改善を客観的に評価するために、KOマウス及びMTOLマウスの成長板病変において、軟骨細胞の細胞サイズを定量した(4C)。我々は、これらの成長板病変において、軟骨細胞サイズの中度の減少を認め、その減少は、MTOLマウスにおいて、統計学的に有意な状態にまで達した。未処置のMPS IVAマウスでは、心臓弁と心筋でGAG貯蔵小胞が認められた。AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSは、処置したKOマウス及びMTOLマウスの上記した心臓病変を、ほぼ完全に消失させた(図27A~27B)。
【0339】
(d)抗hGALNS抗体の循環
全体として、AAV8ベクターの注射から12週間後に、KOマウスでの骨の病態の改善は、MTOLマウスにおける改善と比べて顕著ではなかった。hGALNSに対する液性応答の可能性を調べるために、hGALNSに対する抗体力価を酵素結合免疫吸着法(ELISA)で測定した。プレートにコーティングした完全長rhGALNSを使用することで、間接ELISA法によって、血漿中の抗hGALNS抗体を検出した。AAVベクターで処置したKOマウスに由来する血漿では、循環抗hGALNS抗体のレベルが、その他の群に由来するレベルと比べて有意に高かった(AAV8-TBG-hGALNSまたはAAV8-TBG-D8-hGALNSで処置したKOにおいて、光学密度(OD)単位は、0.50±0.38または0.62±0.43であった)(図28)。循環抗hGALNS抗体は、野生型マウス、未処置のKOマウス、及びMTOLマウスでは検出されなかった。
【0340】
7.3.2 材料及び方法
(a)AAV hGALNS発現カセットの開発
hGALNSを含むAAV8ベクターを開発するために、我々は、hGALNSの最適化コドン配列を決定した。肝臓特異的なTBGプロモーターの制御下で、526個のアミノ酸に翻訳される1569bpの最適化配列を、AAV8キャプシドに包み込んだ。骨標的シグナルを含むベクタープラスミドでは、アスパラギン酸オクタペプチド(D8)配列を、hGALNSのN末端シグナルペプチドの後に挿入し、主要骨基質であるヒドロキシアパタイトに対する親和性に富んだ骨標的hGALNSを作製した(図24A)。Huh-7細胞へのトランスフェクション実験を行った後に、これらのAAVベクタープラスミドが、GALNSを産生することを確認した。そのコドン最適化オープンリーディングフレームに由来する細胞内及び細胞外のhGALNSの活性レベルは、天然型のhGALNSコード配列によって産生されるレベルと同程度であった(図29A~29B)。
【0341】
(b)発現カセットのデザイン及びAAVベクターの作製
AAV8ベクターに包み込む目的で、天然型GALNS導入遺伝子と、D8を含むGALNS導入遺伝子とを保有する発現カセットをデザインした(図28)。骨標的シグナルであるアスパラギン酸オクタペプチド(D8)配列は、hGALNSのN末端シグナルペプチドの後に挿入した。このデザインでは、肝臓特異的なサイロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーターを、ウサギベータグロブリンポリアデニル化テール(ポリA)と共に含めた。我々は、当該マウス試験のための両方のベクターに、コドン最適化したhGALNS配列を使用した。我々は、Huh-7細胞を使用するトランスフェクション実験で、これらの発現カセットプラスミドのGALNS酵素活性を確認した。我々は、トランスフェクションから48時間後に、細胞溶解物及び上清の両方で、活性レベルを求めた(図29A~29B)。そのコドン最適化コンストラクトから得たGALNS活性レベルは、天然型hGALNSコード配列がもたらすレベルと同程度であった。
【0342】
当社、REGENXBIO(Rockville,MD)のGMPベクター作製プロトコルをスケールダウンして得たプロトコルに従って、AAV8-TBG-hGALNSベクター及びAAV8-TBG-D8-hGALNSベクターを作製した。簡潔に説明すると、HEK293細胞(RGX293)に、ヘルパープラスミド、AAV8キャプシドプラスミド、及びhGALNS/D8-hGALNSプラスミドを含む導入遺伝子プラスミドを、トリプルトランスフェクションした。アフィニティークロマトグラフィーを使用して、パッケージを終えたベクターを、細胞培養上清から精製し、そして、Digital Droplet PCR(BioRad)法を使用して、力価の測定を行った。
【0343】
(c)マウスモデル、及びインビボ試験デザイン
我々は、2つのMPS IVAマウスモデルを使用して、AAV8-TBG-hGALNS及びAAV8-TBG-D8-hGALNSの潜在的な治療能力を試験した(Tomatsu et al.,Hum Mol Genet 2003;12(24):3349-3358、Tomatsu et al.,Hum.Mol.Genet.2005;14,3321-3335)。第1のタイプは、galns遺伝子が破壊されたGalnsノックアウトマウスモデル(KO:Galns-/-)である(Tomatsu et al.,Hum Mol Genet 2003;12(24):3349-3358)。第2のタイプは、β-グロビン/IgイントロンにおいてhGALNSを発現する導入遺伝子と、エキソン2に隣接する活性部位での変異(C76S)とを含むヒトGALNSに対して寛容性を有しており、それにより、標的変異誘発によって、マウスGalns遺伝子に、不活性なhGALNSコード配列にC79Sという活性部位の変異と、C76Sの変異の両方を導入するマウスモデル(Mtol:Galnstm(hC79S.mC76S)slu)である(Tomatsu et al.,Hum.Mol.Genet.2005;14,3321-3335)。いずれのモデルでも、血液及び組織において、検出可能な酵素活性は認められず、主に、細網内皮系クッパー細胞、心臓弁、心筋、ならびに成長板及び関節軟骨などの軟骨細胞内で、貯蔵物質の蓄積が認められた。
【0344】
我々は、以前に、2つのMPS IVAマウスモデル、すなわち、C57BL/6をバックグラウンドとするMPS IVAノックアウトマウス(Galns-/-)(Tomatsu et al.,Hum Mol Genet 2003;12(24):3349-3358)、及びヒトGALNSタンパク質に対する寛容性を有するMPS IVAマウス(Galnstm(hC79S.mC76S)slu)(Tomatsu et al.,Hum. Mol.Genet.2005;14,3321-3335)の開発について説明をした。GALNSノックアウトマウスモデル(KO:Galns-/-)は、GALNS遺伝子を標的破壊して開発した(Tomatsu et al.,Hum Mol Genet 2003;12(24):3349-3358)。ヒトGALNSに対する寛容性を有するマウスモデル(Mtol:galnstm(hC79S.mC76S)slu)は、β-グロブリン/IgイントロンでhGALNSを発現する導入遺伝子と、エキソン2に隣接する活性部位に変異(C76S)を含み、それにより、C79S活性部位変異と、不活性なhGALNSコード配列との両方が導入される(Tomatsu et al.,Hum.Mol.Genet.2005;14,3321-3335)。両方のマウスモデルでは、血液及び組織において、検出可能な酵素活性は認められず、主に、細網内皮系クッパー細胞、心臓弁、及び心筋、ならびに成長板及び関節軟骨などの軟骨細胞内で、貯蔵物質の蓄積が認められた。
【0345】
14日目に、実験コホートのジェノタイピングをPCRで行った。4週齢のホモ接合型MPS IVAマウスを、いずれかのAAV8ベクターで、5×1013GC/kgの均一な用量で静脈内処置した。別のコホートのMPS IVAマウスと、罹患していないC57BL/6同腹子に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与した。総投与体積は、マウス1匹当たり約100μlであった。マウスの取り扱い、及び実験については、すべて、Institutional Animal Care and Use Committee of Nemours/Alfred I.duPont Hospital for Childrenから許可を得た。
【0346】
(d)血液及び組織の回収
約100μlの血液を、EDTAが入ったチューブ(BD,Franklin Lakes,NJ,USA)に、1週間おきに、試験対象のすべてのマウスから得た。その血液を、8,000rpmで、10分遠心分離し、GALNS酵素アッセイ及びGAGアッセイを行うまで、分離した血漿を、-20℃に保持した。16週齢時に、マウスをCOチャンバーで安楽死させ、20mlの0.9%生理食塩水でかん流した。肝臓、腎臓、肺、脾臓、心臓、及び膝関節を摘出し、GALNS酵素アッセイ及びGAGアッセイで処理するまで、-80℃で保存した。加えて、各種組織の試料を採取し、組織病理解析に向けて、10%中性緩衝ホルマリンで保存した。
【0347】
(e)GALNS活性アッセイ
以前に説明したようにして(Toietta,G.,et al.Hum.Gene Ther.2001;12,2007-2016)、血液及び組織でのGALNS活性を求めた。ホモジナイザーを使用して、25mmol/lのTris-HCl(pH7.2)、及び1mmol/lのフェニルメチルスルホニルフルオリドからなるホモジナイズ緩衝剤で、凍結した組織をホモジナイズした。組織溶解物または血漿と、22mM 4-メチルウンベリフェリル-β-ガラクトピラノシド-6-硫酸(Research Products International,Mount Prospect,IL,USA)とを含む、0.1M NaCl、0.1M 酢酸ナトリウム、pH4.3を、37℃で、16時間インキュベーションした。続いて、Aspergillus oryzaeに由来する10mg/mlのβ-ガラクトシダーゼ(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を含む0.1M NaCl、0.1M 酢酸ナトリウム、pH4.3を反応試料に加え、そして、さらなるインキュベーションを、37℃で、2時間行った。その試料を、反応停止液(1M グリシン、NaOH、pH 10.5)に移し、そして、Perkin Elmer Victor X4 プレートリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA,USA)で、当該プレートを、366nmの励起光と、450nmの発光とで読み取りをした。活性は、放出した4-メチルウンベリフェロンのナノモル/1時間/血漿のマイクロリットルまたはタンパク質のミリグラムとして表した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で決定した。
【0348】
(f)組織からのGAGの抽出
各種マウス組織からのGAGの抽出法は、Mochizuki et al.,が開発した方法(Mochizuki,H.,et al.J.Biol.Chem.2008;283,31237-31245)の変法であった。簡潔に説明すると、摘出した組織を、液体窒素で凍結し、そして、ホモジナイザーを使用して、アセトンでホモジナイズした。得られた粉末を、遠心真空下で乾燥した。脱脂組織粉末を、0.5M NaOHに懸濁し、50℃で、2時間インキュベーションして、そのコアタンパク質からGAG鎖を除去した。1M HClで中和した後に、NaClを、終濃度が3Mになるまで加えた。不溶物質を遠心分離で除去し、そして、上清のpHを、1MのHClで、1.0未満に調整した。沈殿したヌクレオチドを遠心分離で除去し、そして、上清を1M NaOHで中和した。1.3%酢酸カリウムを含む2倍量のエタノールを加えて、粗GAGを沈殿させた。遠心分離した後に、沈殿物を蒸留水に溶解させた。
【0349】
(g)GAGアッセイ
以前に説明したようにして(Oguma,T.,et al.Biomed.Chromatogr.2007;21,356-362、Oguma,T.,et al.Anal.Biochem.2007;368,79-86、Shimada,T.,et al.JIMD.Rep.2014;16,15-24、Shimada,T.,et al.JIMD.Rep.2015;21,1-13、Kubaski,F.,et al.J.Inherit.Metab.Dis.2017;40,151-158)、血液及び組織でのGAGレベルを、LC-MS/MSで測定した。簡潔に説明すると、50mM Tris-HCl(pH7.0)と試料とを、96ウェルレシーバープレートの96ウェルオメガ10Kフィルタープレート(Pall Corporation,Port Washington,NY,USA)に入れた。試料を、15分間、2,500gで遠心分離した。そのフィルタープレートを新規のレシーバープレートに移し、50mM Tris-HCl(pH7.0)、内部標準(IS)としての5μg/mL コンドロシン、1mU ヘパリチナーゼ、及び1mU ケラタナーゼIIのカクテル混合物を、当該フィルタープレートに加えた。試料を、37℃の水槽で、一晩インキュベーションした。続いて、それらの試料を、15分間、2,500gで遠心分離した。機器は、6460トリプルクアッド質量分析計を装備した1290 Infinity LCシステム(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)から構成されていた。60℃に恒温したHypercarbカラム(内径2.0mm、長さ50mm、粒子5μm、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で、二糖類を分離した。移動相は、5mM 酢酸アンモニウム(pH11.0)(溶出液A)から100% アセトニトリル(溶出液B)の勾配溶出相であった。その流速は0.7ml/分であり、そして、勾配は、100%溶出液Aで0分、70%溶出液Aで1分、70%溶出液Aで2分、0%溶出液Aで2.20分、0%溶出液Aで2.60分、100%溶出液Aで2.61分、100%溶出液Aで5分であった。質量分析計は、エレクトロスプレーイオン化法を使用して、ネガティブイオンモードで作動させた(Agilent Jet Stream technology)。特定の前駆体イオン及び産物イオンのm/zを使用して、それぞれの二糖類を、それぞれ定量した(IS:354.3→193.1、モノ硫酸化KS:462→97、HS-0S 378.3→175.1)。注入体積は、10μlであり、また、実行時間は1試料当たり5分であった。
【0350】
(h)トルイジンブルー染色、及び病理学的評価
以前に発表されたようにして(Tomatsu,S.,et al.Mol.Genet.2005,14,3321-3335)、トルイジンブルー染色を行った。簡潔に説明すると、16週齢のMPS IVAマウス及びWTマウスから膝関節及び僧帽弁を摘出して、貯蔵顆粒のレベルを、光学顕微鏡観察で評価した。2%パラホルムアルデヒド及び4%グルタルアルデヒドを含むPBSで組織を固定し、そして、四酸化オスミウムで後固定を行ってから、Spurr樹脂に包埋した。続いて、トルイジンブルー染色した厚さ0.5μmの切片を検査した。大腿骨または脛骨の成長板での軟骨細胞の細胞サイズ(空胞化)を評価するために、それぞれのマウスについて、増殖区域内の約300個の軟骨細胞を、Image Jソフトウェアで測定し、そして、結果を野生型群からの変化倍率として表した。
【0351】
(i)酵素結合免疫吸着法(ELISA)によるGALNSに対する抗体の検出
以前に発表されたようにして(Tomatsu,S.,et al.Hum.Mol.Genet.2003;12,961-973)、間接ELISA法を使用して、処置マウス及び未処置マウスの血漿でのGALNSに対する抗体を検出した。簡潔に説明すると、2μg/mlの精製rhGALNS(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を含む15mM NaCO、35mM NaHCO、0.02% NaN(pH9.6)で、96ウェルマイクロタイタープレートを、一晩、コーティングした。これらのウェルを、TBS-T(10mM Tris(pH7.5)、150mM NaCl、0.05%TWEEN20)で3回洗浄してから、3%ウシ血清アルブミンを含むPBS(pH7.2)で、1時間、室温で、ブロックした。TBS-Tで3回洗浄した後に、マウス血漿をTBS-Tで100倍希釈した液を、それらのウェルに加え、そして、37℃で、2.5時間インキュベーションした。それらのウェルを、TBS-Tで4回洗浄してから、ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)の1:1,000希釈液を含むTBS-Tを、それらのウェルに加え、そして、室温で、1時間インキュベーションした。それらのウェルを、TBS-Tで3回洗浄し、そして、TBS(10mM Tris、pH7.5、150mM NaCl)で2回洗浄した。ペルオキシダーゼ基質(ABTS溶液、Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を加え(100μl/ウェル)、そして、プレートを、室温で、30分インキュベーションした。1%SDSを加えて、その反応を停止させ、そして、Perkin Elmer Victor X4プレートリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA,USA)で、それらのプレートを、410nmの光学密度で読み取った。
【0352】
(j)統計解析
すべてのデータは、平均及び標準偏差(SD)として表した。GraphPad Prism 5.0(GraphPad Software,San Diego,CA,USA)を使用して、ボンフェローニのポストホックテストを伴う一元ANOVAによって、多重比較検定を行った。その統計学的に有意な差は、p<0.05とした。
【0353】
7.4 実施例4.酵素への長期間の暴露が骨の病態に及ぼす作用を評価する
以下の試験は、酵素への長期間の暴露が骨の病態に及ぼす作用を評価する目的で行う。この試験では、AAV8-TBG-hGALNScoを、4週齢のMPSIVA KOマウスに、体重1kg当たり5×1013GCの用量で投与する。コントロール群は、同じ週齢の未処置のMPS IVA KOマウス、及び未処置の野生型マウスである。この試験では、3群のマウス(6~10匹/群)を使用する。注射から24週間後または48週間後のいずれかの期間にわたって、それらのマウスをモニタリングし、そして、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
【0354】
同様に、AAV8-TBG-hGALNScoを、4週齢のMTOLマウスに、体重1kg当たり5×1013GCの用量で送達する。コントロール群は、同じ週齢の未処置のMTOLマウス及び未処置の野生型マウスを含む。この試験では、3群のマウス(6~10匹/群)を使用する。注射から24週間後または48週間後のいずれかの期間にわたって、それらのマウスをモニタリングし、そして、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
【0355】
7.5 実施例5.新生仔試験:早期介入が骨の病態に及ぼす作用を評価する
下記の試験を新生仔マウスで行って、早期介入が骨の病態に及ぼす作用を評価する。この試験では、AAV8-TBG-hGALNScoを、MPSIVA KO新生仔マウスに、体重1kg当たり5×1013GCの用量で投与する。コントロール群は、同じ週齢の未処置のMPS IVA KOマウス、及び未処置の野生型マウスを含む。それらのマウスを16週齢に殺処分し、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
【0356】
同様に、我々は、AAV8-TBG-hGALNScoを、新生仔MTOLマウスに対して、体重1kg当たり5×1013GCの用量で送達した。コントロール群は、同じ週齢の未処置のMTOLマウス及び未処置の野生型マウスを含む。この試験では、3群のマウス(6匹/群)を使用する。それらのマウスを16週齢時に殺処分し、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
【0357】
7.6 実施例6.新規の発現カセットの評価
下記の試験を行って、最適化プロモーターコンストラクトを、有効性の改善について評価する。この試験では、AAV8-TBG-hGALNSco、AAV8-CAG-hGALNSco、AAV8-プロモーター1-hGALNSco、AAV8-プロモーター2-hGALNSco、AVV9-プロモーター2-hGALNScoを、4週齢のMPSIVA KOマウスに対して、体重1kg当たり1×1013GCの用量で投与する(10匹のマウス/群)。コントロール群は、同じ週齢の未処置のMPS IVA KOマウス、及び未処置の野生型マウスを含む。12週間または48週間のいずれかの期間にわたって、それらのマウスをモニタリングし、そして、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
【0358】
7.7 実施例7.後期AAV遺伝子治療試験
下記の試験を行って、後期AAV遺伝子治療の有効性を評価する。この試験では、AAV-TBG-hGALNSco、AAV-CAG-hGALNSco、AAV-プロモーター1-hGALNSco、AAV-プロモーター2-hGALNSco、AVV-プロモーター2-hGALNScoを、8~10週齢のMPSIVA KOマウス(5匹のマウス/群)に対して投与する。未処置のMPS IVA KOマウスをコントロールとして使用する。一定の期間にわたって、それらのマウスをモニタリングする、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
【0359】
同様に、AAV-TBG-hGALNSco、AAV-CAG-hGALNSco、AAV-プロモーター1-hGALNSco、AAV-プロモーター2-hGALNSco、AVV-プロモーター2-hGALNScoを、8~10週齢のMTOLマウス(5匹のマウス/群)に対して投与する。未処置のMTOLマウスをコントロールとして使用する。一定の期間にわたって、それらのマウスをモニタリングし、そして、血液試料を1週間おきに採取して、酵素活性及びKSレベルを解析する。加えて、検視時に、酵素活性及びKSレベルのための組織試料を異なる臓器から摘出し、そして、組織病理解析のために膝関節及び心臓弁を摘出する。
7.8 実施例8.骨-肝臓タンデムプロモーター駆動コンストラクト
LBTP1(骨-肝臓タンデムプロモーター)駆動コンストラクトは、図33及び37に例示した構成要素を含むように構築した。LBTP1プロモーターは、骨芽細胞特異的発現を促す最小限のSp7/Osxプロモーターフラグメントを含む。当該最小のSp7/Osxプロモーターは、Sp7/Osxプロモーターの転写活性フラグメントであると決定されている(Lu, X., et al. JBC 281, 6297-6306, January 12, 2006)。当該LBTP1配列は、肝臓特異的ApoEエンハンサー/肝制御領域が5’に隣接しており、かつ、ATGトリヌクレオチド(hAATΔATG)が枯渇したhAATプロモーターが3’に隣接しており、肝細胞特異的発現を駆動する最小Sp7プロモーターフラグメント(配列番号24)のコピーを1つ含む。キメラβ-グロビン/Igイントロンを、プロモーター配列の下流(3’)、すなわち、hAATΔATGの下流に配置した。
LBTP2(骨-肝臓タンデムプロモーター)駆動コンストラクトは、図34及び38に例示した構成要素を含むように構築する。LBTP2プロモーターは、次のようにデザイン及び遺伝子操作した。完全長Sp7/Osxプロモーター(Lu, X., et al. JBC 281, 6297-6306, January 12, 2006)(配列番号23)は、肝臓特異的ApoEエンハンサー/肝制御領域が5’に隣接しており、かつ、ATGトリヌクレオチド(hAATΔATG)が枯渇したhAATプロモーターが3’に隣接しており、肝細胞特異的発現を駆動する。キメラβ-グロビン/Igイントロンを、プロモーター配列の下流(3’)、すなわち、hAATΔATGの下流に配置した。
理論にも拘束されることを望む訳ではないが、下流のプロモーターから除去したATG部位を有するタンデムプロモーターは、2つのmRNA転写物-1つは、宿主細胞転写機構に依存するそれぞれのプロモーターが駆動する-の発現を可能にする-しかしながら、タンパク質の翻訳開始は、カセット内のタンパク質コード配列の単一の意図した開始コドンで起こる。この戦略は、タンパク質開始コドンの上流に余分なATG部位を含むタンデムプロモーターと比較して、より効率的で、かつ堅実な発現を提供する。
【0360】
7.9 実施例9.骨-肝臓タンデムプロモーターをベースとしたコンストラクトを利用するMPS IVAの治療
MPS IVAを有する対象は、セクション7.8、実施例8に記載したコンストラクトを含むAAV8またはAAV9の投与を受け、当該コンストラクトは、骨と肝臓で治療有効濃度の導入遺伝子産物を生成する上で十分な用量で、GALNS導入遺伝子(例えば、GALNS、GALNSco、またはGALNSco/CpG-)をコードする。投与は、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、髄腔内、または経皮投与で行う。治療の後に、対象は、疾患のバイオマーカー(GAG、KS、及びC6S貯蔵ストレージなど)の減少、及び/または骨、軟骨、靭帯、半月板、心臓弁、尿、及び/または血清でのhGALNS酵素活性の増加について評価する。炎症や、その他の安全事象の兆候もモニタリングする。
【0361】
7.10. 実施例10.完全長で、かつ最小のSp7/Osxプロモーター駆動コンストラクト
完全長Sp7/Osxプロモーター(骨特異的プロモーター)駆動コンストラクトを、図35に例示した構成要素を含むように構築した。
【0362】
最小のSp7/Osxプロモーター(骨特異的プロモーター)駆動コンストラクトを、図36に示す構成要素を含むように構築した。
【0363】
7.11 実施例11.完全長または最小のSp7/Osxプロモーターをベースとしたコンストラクトを使用するMPS IVAの治療
MPS IVAを有する対象は、セクション7.10 実施例10に記載したコンストラクトを含むAAV8またはAAV9の投与を受け、当該コンストラクトは、骨と肝臓で治療有効濃度の導入遺伝子産物を生成する上で十分な用量で、GALNS導入遺伝子(例えば、GALNS、GALNSco、またはGALNSco/CpG-)をコードする。投与は、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、髄腔内、または経皮投与で行う。治療の後に、対象は、疾患のバイオマーカー(GAG、KS、及びC6S貯蔵ストレージなど)の減少、及び/または骨、軟骨、靭帯、半月板、心臓弁、尿、及び/または血清でのhGALNS酵素活性の増加について評価する。炎症や、その他の安全事象の兆候もモニタリングする。
【0364】
7.12 実施例12.MPS IVA KOマウスの異なる発現系でのhGALNSを包み込んだAAVベクター
目的:この試験の目的は、モルキオA症候群に対するAAV遺伝子治療の有効性を改善する最適化したプロモーターコンストラクトを実証することである。
【0365】
動物:オスとメスの両方のマウスを含むMPS IVA KOマウスを、すべての群で、同数を使用する。マウスは、治療開始時に約4週齢であり、また、投与時の体重は約20gである。GALNSノックアウトマウスモデル(KO:Galns-/-)は、GALNS遺伝子を標的破壊して開発した。これらのマウスは、血液や組織で検出可能な酵素活性を持っておらず、主に、細網内皮クッパー細胞、心臓弁と筋肉、及び成長板と関節軟骨などの軟骨細胞内に貯蔵物質の蓄積を示した。実験コホートの遺伝子型判定を、14日目にPCRで行った。それぞれの試験動物には、研究を構成する集団内で独自の番号を割り当てる。この番号は、それぞれのケージの見やすいところに置かれたケージカードに記載している。ケージカードには、試験番号、群、用量、性別が記載してある。用量及び/または検視を容易にするために、動物を、コホートに分ける。生データの記録と検査試料については、独自の試験動物番号を使用する。
【0366】
供給源、同定、及び保管条件:試験物質は、様々なプロモーターエレメントの制御下でhGALNSを発現する精製AAVベクターである。試験物質を、冷凍アリコートとして提供する。試験物質は:1)ビヒクル;2)vimizim(登録商標)(エロスルファーゼアルファ);3)AAV8-TBG-hGALNScoV2;4)AAV8-CAG-hGALNScoV2;5)AAV8-LSPX1-hGALNScoV2;6)AAV8-LMTP6-hGALNScoV2;7)AAV8-LBTP2-hGALNScoV2;8)AAV9-CAG-hGALNScoV2;9)AAV9-LMTP6-hGALNScoV2;10)AAV9-LBTP2-hGALNScoV2;及び、11)AAV8-TBG-hGALNScoである。
【0367】
投与製剤の調製:試験物質製剤は、それぞれの投与日に、それぞれの群での投与のための使用を容易にする凍結原体して提供する。試験物質を始めて解凍する時に、試験物質を少量に分注して、適切なラベルを付けて複数回の注射に使用し、かつ、-80℃で凍結保存する。投与溶液の調製のための計算は、以下の通りである:総GC/動物=用量(GC/kg体重)×動物の体重;必要な原液の総量=総GC/動物/原液の濃度(GC/mL)=xmL(xは、所望の注入量である)。投与の準備をしている間、材料は、室温で、最長で4時間維持することができる。
【0368】


【表3】
【0369】
体重と臨床観察を記録し、そして、血液試料を生物分析のために回収する。動物を、12週間後に安楽死させて、分子的、生物分析的、及び組織病理学的評価のために、選択した組織を採取する。
【0370】
試験手順:この研究で使用する動物は、研究群に無作為に分ける。ベクターの選択に偏りが無く利用できる場合に、KO動物に対してベクターを投与する。
【0371】
投与用量:全動物に対して、割り当てた群に指定した試験物質を単回で静脈内投与する。投与するウイルス粒子の数を決定するために、投与日に、全動物の体重を測定する。すべての群の動物の体重を隔週で測定し、そして、最初の投与日から罹患率と死亡率を定期的に観察する。臨床徴候は、研究期間を通して定期的に記録する。臨床効果、病気、及び/または死亡の兆候について動物の観察を行う。
【0372】
試料回収:血液試料(約100μL)を、顎下腺静脈から隔週で回収し、そして、血漿試料を調製する。血漿試料は、AAV遺伝子治療の有効性を決定するための酵素活性ならびにGAGレベルの試験に使用する。試料は、用時まで、-80℃で維持する。
【0373】
検視:すべての群の動物を、試験物質/ビヒクルを投与して12週間後に安楽死させる。研究期間中に瀕死と判断したあらゆる動物(複数可)はすべて安楽死させ、そして、可能であれば、いつでも試料を回収する。検視では、すべての動物から血液試料を回収して、血漿試料(個々の試料の半量から)と、血清試料(個々の試料の残余の半量から)を調製し、それらを、-80℃で保存する。これらの試料を使用して、酵素活性ならびにケラタン硫酸のレベルを検出する。選択した組織試料を複製して回収し、組織酵素活性、KSレベル、ベクターコピー数、及び遺伝子発現をアッセイする。試料を回収し、瞬間冷凍し、用時まで-80℃で保存する。組織酵素活性分析には、心臓、肝臓、骨格筋(上腕二頭筋、腓腹筋)、肺、腎臓、脾臓、気管、膝蓋骨などの臓器を使用する。心臓、肝臓、肺、脾臓、気管、膝蓋骨などの臓器は、組織のKSレベルの分析のために使用する。心臓、肝臓、骨格筋(上腕二頭筋、腓腹筋)、肺、腎臓、脾臓、気管、利用可能な骨/軟骨組織、生殖腺、及び脳は、ベクター生体内分布分析(gDNA-qPCR)に使用する。心臓、肝臓、骨格筋(上腕二頭筋、腓腹筋)、肺、腎臓、脾臓、気管、及び利用可能な骨/軟骨組織は、遺伝子発現分析(RNA-qRT-PCR)に使用する。膝関節-1、脛骨、前肢関節-2、心臓弁と基部、肝臓、脳、及び脾臓は、組織学的分析のためにホルマリン固定する。大腿骨はエタノールで保存して、マイクロCT分析に使用する。
【0374】
分析:酵素活性アッセイ:ホモジナイザーを使用して、凍結組織を、25mmol/l Tris-HCl、pH7.2と、1mmol/l フェニルメチルスルホニルフルオリドからなるホモジナイザー緩衝剤でホモジナイズする。組織溶解物または血漿、及び22mM 4-メチルウンベリフェリル-β-ガラクトピラノシド-6-硫酸塩(Research Products International,Mount Prospect,IL,USA)を含む0.1M NaCl、0.1M酢酸ナトリウム、pH4.3で、37℃で、16時間、インキュベーションする。次に、Aspergillus oryzae(SigmA-Aldrich,St.Louis、MO,USA)由来の10mg/ml β-ガラクトシダーゼを含む0.1M NaCl、0.1M 酢酸ナトリウム、pH4.3を、反応試料に加え、そして、37℃で、2時間、インキュベーションする。試料を停止溶液(1Mグリシン、NaOH、pH10.5)に移し、そして、Perkin Elmer Victor X4プレートリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA,USA)で、366nmで励起させ、そして、450nmで発光させて、プレートを読み取る。活性は、放出した4-メチルウンベリフェロンのナノモル/時間/血漿のマイクロリットルまたはタンパク質のミリグラムで表す。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で決定する。
【0375】
GAG(KS)の抽出とKSレベルの分析:簡潔に説明すると、切除した組織を液体窒素で凍結し、ホモジナイザーを使用してアセトンでホモジナイズする。得られた粉末を、遠心真空下で乾燥させる。脱脂した組織粉末を、0.5M NaOHに懸濁し、そして、50℃で、2時間インキュベーションして、コアタンパク質からGAG鎖を除去する。1M HClで中和した後に、NaClを最終濃度が3Mになるように添加する。次に、不溶性物質を遠心分離によって除去し、上清のpHを、1M HClで1.0未満に調整する。沈殿したヌクレオチドを、遠心分離により除去し、そして、上清を1M NaOHで中和する。粗GAGは、1.3%酢酸カリウムを含む2倍量のエタノールを加えて沈殿させる。遠心分離した後に、沈殿物を、蒸留水に溶解させる。
【0376】
GAGアッセイ:血液及び組織のGAGレベルを、LC-MS/MSで測定する。簡潔に説明すると、50mM Tris-HCl(pH7.0)と試料を、96ウェルレシーバープレートの96ウェルオメガ10Kフィルタープレート(Pall Corporation,Port Washington,NY,USA)にロードする。試料を、2,500gで、15分間遠心分離する。次に、フィルタープレートを新規のレシーバープレートに移し、そして、50mM Tris-HCl(pH7.0)、内部標準(IS)として5μg/mLのコンドロシン、1mUヘパリチナーゼ、及び1mUケラタナーゼIIのカクテル混合物を、フィルタープレートに加える。試料を、37℃の水浴で一晩インキュベーションした後に、2,500gで、15分間、遠心分離する。この装置は、6460トリプルクワッド質量分析計(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を備えた1290 Infinity LCシステムからなる。二糖類は、60℃に恒温したHypercarbカラム(内径2.0mm、長さ50mm;5μm粒子;Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で分離する。移動相は、5mM酢酸アンモニウム、pH11.0(溶液A)~100%アセトニトリル(溶液B)に至る勾配溶出である。流速は、0.7ml/分であり、そして、勾配は、次の通りである:0分で100%溶液A、1分で70%溶液A、2分で70%溶液A、2.20分で0%溶液A、2.60分で0%溶液A、2.61分で100%溶液A、5分で100%溶液Aである。質量分析計は、ネガティブイオンモード(Agilent Jet Streamテクノロジー)のエレクトロスプレーイオン化で作動する。特定の前駆体イオン、及び産物イオン、m/zを使用して、それぞれの二糖類を、それぞれ定量する(IS、354.3→193.1;モノ硫酸化KS、462→97;HS-0S 378.3→175.1)。注入量は10μLで、分析時間は、5分/試料である。
【0377】
ベクター分布分析:総ゲノムDNAを、Qiagen Puregeneキットを使用して、取扱説明書(Germantown,MD)に従って選択した組織から精製する。マウスの凍結試料から抽出したゲノムDNAのデジタルPCR(dPCR)分析は、ウサギb-グロブリン(rBG)ポリAに関する特定のプライマーとプローブ配列、すなわち:フォーワードプライマー、5’- GCCAAAAATTATGGGGACAT-3’;リバースプライマー,5’-ATTCCAACACACTATTGCAATG-3’;及び、プローブ, 6FAM-ATGAAGCCCCTTGAGCATCTGACTTCT-QSYを使用して実行する。ゲノムDNAは、酵素消化またはM220 Focused-ultrasonicator(Covaris,Woburn,MA)のいずれかを使用して、フラグメント化の有無について試験する。rBG TaqManアッセイ(FAM標識)(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)は、AAVベクターの定量的dPCR分析に使用する。Tfrcd PCRには、Thermo Fisher ScientificのTfrc TaqMan(登録商標)Copy Number Reference Assay(VIC(登録商標)ラベル)を使用する。この分析に使用した機器は、QuantStudio(商標)3DデジタルPCR 20K Chip Kit v2:A26316(ThermoFisher Scientific)である。PCR増幅プロファイルは、ABI Geneamp 9700 PCR-Thermal Cycler w/ Dual Flat Blocks(Applied Biosystems,Waltham,MA)を使用して、次のように実施する:96℃で10分間;60℃で2分間と98℃で30秒間を39サイクル;60℃で2分間;最終的に10℃に保つ。PCR増幅した後に、QuantStudio 3D機器でチップを読み取って、VIC及びFAMチャネルに陽性ウェルの数、DNAが無いウェルの数、及び空のウェルを得る。データ分析とチップの品質評価は、QuantStudio 3D Analysis Suiteを使用して行う。Tfrcの結果を2コピーのリファレンスとして使用して、マウスゲノムあたりのAAVのコピー数を計算する。
【0378】
組織病理学的分析:16週齢のMPS IVA及びWTマウスから得た膝関節及び僧帽弁を、光学顕微鏡で貯蔵顆粒のレベルを評価するために使用する。2%パラホルムアルデヒド、4%グルタルアルデヒドを含むPBSで組織を固定し、そして、四酸化オスミウムで後固定して、Spurr樹脂に包埋した。続いて、トルイジンブルー染色した厚さ0.5μmの切片を検査する。大腿骨または脛骨の成長板での軟骨細胞の細胞サイズ(空胞化)を評価するために、それぞれのマウスについて、増殖区域内の約300個の軟骨細胞を、Image Jソフトウェアで測定し、そして、結果を野生型群からの変化倍率として表す。
【0379】
マイクロCT分析:マイクロCT試料を調製する前に、大腿骨を事前に検視する。次に、大腿骨を、生理食塩水(0.9%生理食塩水)を染み込ませたガーゼで包み、そして、スキャンバイアルに軸方向に積み重ねる。スキャンセッションごとに3つまでを、1つのバイアルに積み重ねることができる。SkyScan 1275システムで生じる速度が故に、骨全体のスキャンを行い、続いて、完全なスキャンデータから関心体積のデータを得る。
【0380】
スキャン:スキャン条件は、表3の設定に従って、4つの大腿骨試料すべてについて設定する。スキャンの間に、2D投影画像を得る。
【表4】
【0381】
再構成:画質に関連する要素を調整して、3D量レンダリング用に、それぞれの試料の断面画像を準備する。表4に、再構成補正係数を示す。
【表5】
【0382】
定量分析:形態学的分析を、Bruker CTAnソフトウェア(v1.18.8.0)で実行した。関心体積(VOI)は、皮質骨と骨梁の両方で同一に保たれており、骨の間での物理的な差異は無かった。報告されている標準出力変数は、Journal of Bone & Mineral Research(Bouxsein et al.2010)のガイドラインと一致している。
【0383】
骨梁VOI:遠位骨端板を使用して最初に特定した骨梁のVOI。この共通するマークから、開始点は250μm近位になり、そして、2.5mm伸びる。スライスごとの関心領域は、自動プロトコルを使用して定義しており、骨内皮質壁から一定の距離(通常は、約1mm)離間しているものを含む。ROIに成長板が含まれないように、あらゆる努力が払われている。
【0384】
皮質骨VOI:皮質骨の関心体積を、遠位骨端板の開始点と、近位大転子の最高点とに基づいて決定する。これらの2つの解剖学的目印の間で骨の全長を得る。骨の全長に55%を乗じて、近位転子から半分強において開始位置を定める。この開始点から合計で0.5mm下を、VOIとして捕捉する。関心領域は、皮質骨全体を含み、そして、存在し得る骨梁を除去するために後処理を行う(図39)。
【表6】
8.配列表
【表7】
【0385】
9.均等物及び参照による援用
本発明の特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明しているが、機能的に均等である変形形態が、本発明の範囲内であることを理解されたい。実際のところ、上記した説明、及び添付の図面から、当業者であれば、本明細書に示されており、かつ説明がされている形態に加えて、本発明の様々な修正形態は自明である。このような修正形態は、添付の請求項の範囲内に含まれるように意図している。当業者であれば、常法に過ぎない実験を使用して、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対する数多くの均等物を認識する、または、それらを突き止めることができる。このような均等物は、以下の請求項に含まれるように意図している。
【0386】
本明細書に記載した刊行物、特許、及び特許出願は、いずれも個々の刊行物、特許、及び特許出願が、参照により、その全内容を援用することが、あたかも具体的かつ個々に記載されているのと同程度に、参照により、本明細書で援用する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図11I
図11J
図11K
図11L
図11M
図11N
図11O
図11P
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図24H
図24I
図24J
図24K
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31
図32A
図32B
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023512043000001.app
【国際調査報告】