IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-512049器具付属品のための装置、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】器具付属品のための装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20230315BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230315BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61B1/01 513
A61B1/018 515
A61B1/00 632
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546088
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021016217
(87)【国際公開番号】W WO2021158550
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/969,922
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クロフォード、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ホールデン、メイブ
(72)【発明者】
【氏名】コノートン、エンダ
(72)【発明者】
【氏名】フォードリー、マーティン エル.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161FF36
4C161FF43
4C161GG15
(57)【要約】
本発明は、その様々な態様において、器具付属装置、実装方法、および関連する送達システムに関する。本発明は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影法(ERCP)などの内視鏡的処置の有効性および効率を高める。一例では、一拡張可能な部材を備えた器具付属装置を含み、装置は、器具ルーメンを通って器具を受け入れるように構成され、外面は、拡張可能材料を含む。装置は、拡張可能部材の外面の周囲に配置された拘束要素を含み、拘束要素は、近位端、遠位端内面、および外面を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端、遠位端、長手軸線、内面および外面を有する拡張可能部材であって、前記外面は外径を画定し、前記内面は前記近位端と前記遠位端との間に延びる器具ルーメンを画定し、前記器具ルーメンは、内部に器具を受け入れるように構成され、前記拡張可能部材は、拡張可能材料を含有する、前記拡張可能部材と、
前記拡張可能部材の外周囲に配置されて、近位端、遠位端、内面および外面を含む拘束要素と
を備える器具付属装置。
【請求項2】
前記拡張可能材料はスポンジを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記拘束要素の内面は灌注ポートを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記拡張可能部材は基部を含み、前記拡張可能材料は、前記基部の周囲に配置されており、前記基部は近位端、遠位端、長手軸線、ならびに前記基部の近位端及び前記基部の遠位端との間に延びる器具ルーメンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記器具ルーメンは、十二指腸鏡、内視鏡または結腸鏡を受け入れるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記器具ルーメンは、十二指腸鏡、内視鏡または結腸鏡との摩擦接触を維持するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
器具と、
前記器具の外周囲に配置される使い捨て可能な、請求項1~6のいずれか一項に記載の器具付属装置と
を備える医療システムであって、
前記器具付属装置の前記器具ルーメンは、前記器具の少なくとも一部を摺動可能に受け入れる、医療システム。
【請求項8】
前記器具付属装置は、前記器具との摩擦接触を維持する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記拡張可能材料は拡張流体に接触すると膨張する、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記器具は、十二指腸鏡、内視鏡または結腸鏡である、請求項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の器具付属装置を器具の遠位端に装着する工程と、
前記器具付属装置の器具ルーメンを通って前記器具を前進させる工程であって、前記器具付属装置は、拡張可能部材と、前記拡張可能部材の外周囲に配置された拘束要素とを備える、前記器具付属装置の器具ルーメンを通って前記器具を前進させる工程と、
前記器具および前記器具付属装置を患者の体内に挿入する工程と、
前記拡張可能部材の一部の周囲から拘束要素を除去する工程と、
前記拡張可能部材を拡張させる工程と
を含む、医療処置法。
【請求項12】
手術を実施するために前記器具を使用する工程と、
前記拡張可能部材を収縮させる工程と、
前記器具および前記器具付属装置を除去する工程と
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記拡張可能部材を拡張させる工程により、前記患者の身体内において前記拡張可能部材の移動を防止する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記外面が拡張して体腔に適合する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記器具は十二指腸鏡、内視鏡または結腸鏡を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関する。より詳細には、本発明は、十二指腸内視鏡検査、内視鏡検査および結腸内視鏡検査手術の有効性および効率を高め得る、器具付属装置および関連するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
十二指腸鏡、内視鏡、結腸鏡などの医療機器は、消化管内の状態を検査および治療するための医療処置で使用される。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、総胆管および膵管における疾患を検査および治療するために使用される。いくつかの手術では、十二指腸内での移動により医療機器の位置決めと安定化を実現することが難しく、胆管へのカニューレ挿入が困難である場合がある。十二指腸の蠕動運動を抑制するためには、患者への投薬が必要である。さらに、乳頭は緊密に収縮する筋肉組織であるため、乳頭開口部を通って医療機器を操作するためには高いレベルの精度が求められる。その結果、手術の有効性および効率が損なわれる可能性があり、総胆管にカニューレを挿入できない場合、ERCPが失敗に終わる可能性がある。
【0003】
上記および他の事項を考慮して、本発明の改善が有用であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、その様々な態様において、一般に、機器付属装置、実装方法、および関連するシステムに関する。本明細書に記載されるものを含む、本発明にかかる実施形態は、特に、体内の状態の検査および治療、例えば、ERCP中の胆管のカニューレ挿入に使用される、手技の有効性および効率を高め得る。
【0005】
一態様では、器具付属装置は、近位端、遠位端、長手軸線、内面および外面を有する拡張可能部材を含み、外面は外径を画定する。内面は、拡張可能部材の近位端と遠位端との間に延びる器具ルーメンを画定する。器具ルーメンは、内部を通って器具を受け入れるように構成される。拡張可能部材は、拡張可能材料を含有し得る。装置は、拡張可能部材の外面の周囲に配置された拘束要素を含み、拘束要素は、近位端、遠位端、内面および外面を含む。
【0006】
本明細書または他の方法で説明される様々な実施形態において、拡張可能材料は、スポンジを含み得る。装置は、拘束要素の外面の近位端に連通するワイヤを備え、拘束要素は、灌注ポートを備える。ワイヤは、流体ルーメンを備える(すなわち、ワイヤは、管状部材の形態をなす)。拘束要素の内面は、灌注ポートを備える。拡張可能部材は基部を含み、拡張可能材料は基部を中心として配置され、基部は、近位端、遠位端、長手軸線、および基部の近位端と遠位端との間に延びる器具ルーメンを含む。拡張可能材料は基部に接着される。基部は灌漑ポートを含む。器具ルーメンは、十二指腸鏡、内視鏡、または結腸鏡などの医療装置を受け入れるように構成され得る。器具ルーメンは、医療装置との摩擦接触を維持するように構成され得る。拡張可能部材が拡張状態にあるとき、外径は、拡張可能部材が拘束状態にあるときよりも大きくなり得る。
【0007】
一態様では、医療システムは、器具を含む。システムは、器具の外周囲に配置される使い捨て可能な器具付属品を含み得る。器具付属品は、近位端、遠位端、長手軸線、内面および内面の周囲に配置された外面を有する拡張可能部材を含む。器具付属品の外面は外径を画定し、器具付属品の内面は器具ルーメンを画定する。器具ルーメンは、拡張可能部材の近位端と遠位端との間に延びる。拡張可能部材は、拡張可能材料を含む。拘束要素は、拡張可能部材の外周面に配置される。拘束要素は、近位端、遠位端、内面および外面を含む。器具ルーメンは、拡張可能部材が拡張された状態にあるとき、器具の少なくとも一部を摺動可能に受け入れるように構成される。
【0008】
本明細書または他の方法で説明される様々な実施形態において、器具付属装置は、器具との摩擦接触を維持するように構成される。拡張可能部材は、電気的または機械的に拡張可能であり得る。様々な実施形態において、拡張可能部材は、拡張可能材料を拡張流体と接触させると拡張し得る。器具は、十二指腸鏡、結腸内視鏡または内視鏡などの医療機器であり得る。
【0009】
一態様では、医療処置を実施する方法は、器具付属装置を器具の遠位端に装着することを含む。器具付属装置は、近位端、遠位端、長手軸線、内面および外面を有する拡張可能部材を含み、器具付属装置の外面は外径を画定し、器具付属装置の内面は拡張可能部材の近位端及び遠位端の間に延びる器具ルーメンを画定する。器具ルーメンは、内部を通って器具を受け入れるように構成される。拡張可能部材は、拡張可能材料を含み得る。拘束要素は、拡張可能部材の外周面に配置され、近位端、遠位端、内面および外面を備える。器具は、器具付属装置の器具ルーメンを通って進行させることが可能であり、器具付属装置は、拡張可能部材と、拡張可能部材の外周面に配置された拘束要素とを備える。器具および器具付属装置は、患者の身体内に挿入され得る。拘束要素は、拡張可能部材の一部の周囲から除去し得る。拡張可能部材は拡張され得る。
【0010】
本明細書または他の方法で説明される様々な実施形態において、この方法はまた、手術を実施するために器具を使用することを含む。拡張可能部材は収縮させることができ、器具および器具付属装置を取り外すことができる。例えば、拘束要素は、収縮可能なメッシュであり、それにより、拡張可能部材の周囲におけるメッシュの収縮により、拡張可能部材を収縮させる。別例として、拘束要素は、被覆カバーであり、被覆カバー内で拡張可能部材を再配置することにより、拡張可能部材を収縮させ得る。この方法は、器具および器具付属装置を取り外すことをさらに含み得る。患者の身体内で拡張可能部材を拡張させることは、外径を拡張することを含み得る。拡張可能部材を拡張させると、患者の体内での拡張可能部材の移動が妨げられ得る。拡張可能部材を拡張することは、拡張可能部材を拡張流体と接触させることを含み得る。外面は拡張して体管腔に適合し得る。器具は、十二指腸鏡、内視鏡または結腸鏡などの医療機器を含み得る。
【0011】
一態様では、医療処置を実施する方法は、器具付属装置を器具の遠位端に装着することを含み得る。器具付属装置は、近位端、遠位端、長手軸線、内面および外面を有する拡張可能部材を含み、器具付属装置の外面は外径を画定し、器具付属装置の内面は、拡張可能部材の近位端および遠位端の間に延びる器具ルーメンを画定する。器具ルーメンは、内部を通って器具を受け入れるように構成される。拡張可能部材は、拡張可能材料を含み得る。拘束要素は、拡張可能部材の外周面に配置することができ、拘束要素は、近位端、遠位端、内面、および外面を含む。器具付属装置は、器具付属装置の器具ルーメンを通って器具を前進させることにより、器具の遠位端に装着され得る。器具および器具付属装置は、患者の身体内に挿入することができる。拘束要素は、拡張可能部材の一部の周囲から取り外され、拡張可能部材は拡張され得る。
【0012】
本発明の非限定的な例は、添付の図面を参照して例示することにより説明されている。図面は概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図されていない。図面では、図に示されている各同一またはほぼ同一の構成要素は、一般に単一の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図面で標識されているわけではなく、また、当業者が本発明を理解できるようにするために図解が必要でない場合、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に記載されている種類の例示的な医療機器を示す図。
図2A】本発明の実施態様に係る、身体内において収縮形態をなす器具付属装置と、内部を通って延びる図1の医療装置などの例示的な医療装置とを備える医療装置システムを示す部分断面図。
図2B】本発明の実施形態に係る、図2Aに示す装置のように、身体内において拡張形態をなす器具付属装置と、内部を通って延びる図1の医療装置などの例示的な医療装置を備える医療装置システムを示す部分断面図。
図3】本発明の一実施形態に係る、器具付属装置を示す部分断面図。
図4A】本発明の一実施形態に係る、収縮形態をなす器具付属装置を示す斜視図。
図4B図4Aの器具付属装置を拡張姿勢で示す斜視図。
図4C】本発明の一実施形態にかかる、器具付属装置を収縮形態で示す斜視図。
図5A】本発明の一実施形態にかかる、結腸内視鏡システムを収縮形態で示す斜視図。
図5B図5Aの結腸内視鏡システムを収縮形態で示す部分断面図。
図6A】本発明の一実施形態にかかる、拡張形態における結腸内視鏡システムを示す斜視図。
図6B】拡張形態における図6Aの大腸内視鏡システムを示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は、本発明の一般的または例示的な実施形態のみを描写することを意図していることに留意されたい。したがって、図面は、本発明の範囲を制限するものと見なしてはならない。次に、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0015】
本発明にかかる様々な実施形態を以下に説明する。本明細書で使用する場合、「近位端」は、装置を患者の身体内に導入するとき、装置に沿って医師に最も近い装置の端を指し、「遠位端」は、移植中、位置決め中、または送達中に、装置に沿って医師から最も遠い装置または物体の端を指す。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。
【0017】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が1つ以上の特定の要素、構造、および/または特徴を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのよう記載は、必ずしもすべての実施形態が特定の要素、構造、および/または特徴を含むことを意味していない。さらに、特定の要素、構造、および/または特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような要素、構造、および/または特徴は、明確に説明されているか否かに拘わらず、明示的に否定されていない限り、他の実施形態に関連して使用され得ることを理解されたい。
【0018】
詳細な説明は、図面を参照して読まれなければならず、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図していない。
本発明の実施形態は、器具とともに使用される装置として、器具付属品を含む。器具は、内視鏡、十二指腸鏡、結腸鏡などの医療機器であり得る。装置には、さまざまな要素及び構成が含まれ得る。本発明の実施形態は、医療機器システムを含み得る。医療機器システムは、器具、ハンドル、器具付属品、および/または拡張流体などを含み得る。装置およびシステムの実施形態を使用して、医療処置中に、器具はその周囲において患者の体管腔を満たして器具の移動を抑制する場合がある。代替的には、装置およびシステムの実施形態は、例えば結腸鏡検査中に、器具はその周囲において患者の体管腔を満たして、検査を困難にし得る腸のひだを開くことに使用され得る。本明細書に記載の様々な実施形態は、器具ルーメンの周囲に拡張可能部材を有する装置であって、内部を通って延びる器具を摺動可能に受け入れることができる装置を備える。体管腔内で一度拡張された拡張可能部材は、いくつかの実施形態では、体管腔内での器具の移動を阻止し得る。いくつかの実施形態では、体管腔は、例えば消化器系などの内部にルーメン、器官、血管、通路などを含み得る。
【0019】
内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、総胆管および膵管における疾患を検査および治療するために使用される。十二指腸鏡は、口から患者に導入され、胃と小腸を通って前進させられる。十二指腸鏡は、膵管と胆管に到達するためにファーター膨大部にアクセスすることに使用され、ファーター膨大部は、膵管と総胆管の接続によって形成されており、特に主要な十二指腸乳頭に位置する。乳頭に対する十二指腸鏡の位置決めは、手術の成功に影響を及ぼす可能性があるとともに、十二指腸の移動によって困難になる可能性がある。本発明の付属装置の拡張可能部材は、十二指腸内で拡張されると、十二指腸の内部での器具の移動を阻止し得る。
【0020】
結腸鏡検査は、消化器系、特に大腸の疾患を調べて治療するために使用され得る。結腸鏡は、直腸、結腸を介して患者の身体内に導入され、大腸を通って前進させられる。腸のひだは、ポリープや汚物を隠す可能性があるため、検査を困難にし得る。本発明の付属装置の拡張可能部材は、腸内で拡張されると、ひだを緩めて検査の質を改善し得る。
【0021】
様々な体管腔内で十二指腸鏡、内視鏡、結腸鏡、または他の器具の様々な使用を行うために、更には上記のような様々な目的のために、本発明の付属装置、システムおよび方法の実施形態を利用することにより、付属装置がない場合よりも高い精度、正確さ、および容易さで医師が手術を実施することが可能になり得る。
【0022】
本発明による器具付属装置は、拡張可能部材を含む。拡張可能部材は、医療グレードのコラーゲン、セルロース、シリコーンまたはポリウレタンなどの拡張可能材料、スポンジ、フォーム、ブラシ、編組などの形態をなす形状記憶材料を含み得る。拡張可能部材は、拡張可能材料に対応する内面、またはシリコーンなどの摩擦材料の層に対応し得る内面を含み得る。拡張可能部材は、拡張可能材料に対応する外面、または足場、スポンジ、メッシュ、編組などのような弾性材料に対応する外面、または被覆カバーなどの非拡張材料である外面を含み得る。拡張可能部材は、機械的に駆動され、電気的に駆動され、空気圧的に/油圧的に駆動され、または膨張などされ得る。様々な実施形態において、拡張可能部材は、拡張可能材料を拡張流体に接触させることによって拡張される。拡張可能部材は、収縮形態から拡張形態に移行して、体管腔を閉塞したり、体管腔を伸展させたり、体管腔の開存性を確立したり、または体管腔の開存性の維持をし得る。
【0023】
器具付属装置は、拘束要素を含み得る。拘束要素は、非弾性材料、例えば、ナイロンなどのポリアミン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフルオロポリマー、ポリエーテルブロックアミド(例えば、Pebax(登録商標))、修飾ポリ(エチレンテレフタレート)(MPET)、またはシリコーンなどの半弾性材料、ChronoFlex(登録商標)ポリカーボネートベースの熱可塑性ウレタンなどのポリウレタン、ラテックス、または同様の材料で形成された編組などであり得る。様々な実施形態では、拘束要素は、拡張可能部材上を前進されたり、拡張可能部材を引き込んだりし得る被覆カバーの形態を有する。
【0024】
器具付属装置は、拡張可能部材の基部を通って延びる流体入口を有する。流体入口は、拡張可能部材を湿潤させたり、潤滑させたりするための灌注流体を受け入れ得る。
内視鏡検査を実施する方法では、十二指腸鏡などの医療装置の遠位端を、患者の口を介して小腸を通って前進させ得る。患者の身体内に入ると、消化器系を視覚的に検査することができ、体外に留置された医療機器の近位端にあるハンドルから作業チャンネルを通って延びる器具を使用して、膵臓および胆管にアクセスすることができる。
【0025】
図1には本発明で説明されている種類の医療装置の実施形態が示されている。医療装置101は、本明細書でさらに説明される器具付属装置と共に使用することができる器具の一例である。医療装置101は、遠位端103および近位端104と、内部を通って延びるルーメン、すなわち作業チャンネルとを備える。近位端104のハンドル105は、医療装置101を操作するために、医師によって操作される。医療装置101は、例えば、ハンドル105のステアリングノブの操作によって、患者の体内における移動を容易にし、かつ柔軟性を高めるために、医療機器101の挿入部分の壁106に沿った切り込み、すなわちチャンネル106を含み得る。
【0026】
図1図2Aおよび図2Bには本発明の実施形態に従って、体内における医療装置システムが示されている。同医療装置システムは、医療装置101(例えば、図1の医療装置101)の周囲に摺動可能に配置された器具付属装置102を含む。医療装置101および器具付属装置102の遠位端103は、医療装置101の近位端が体外に維持された状態で、胃100の中を通過して前進される。医療装置を前進させるとき、器具付属装置102は、医療装置101の周囲に配置されて維持される。医療装置および器具付属装置102が所定の位置に配置されると、器具付属装置102の拡張可能部材201は拡張される(図2B)。器具付属装置102の拡張可能部材201は、拡張形態にある間、体菅腔109(図2A)をほぼ拡張し得る。拡張可能部材201は、拘束要素を除去することにより、収縮形態から拡張形態に移行され得る。体管腔109、例えば、小腸、十二指腸などは、拡張可能部材201が体管腔109を満たすことができるため、拡張可能部材201が拡張状態にあるとき、拡張可能部材201によってほぼ閉塞され得る。拡張可能部材201の拡張時に拡張可能部材201と体管腔109との間に形成される接触により、体管腔109内における長手方向移動、回転移動、および/または移動を防止し得る。医療装置101は、拡張可能部材201内の器具ルーメン内でほぼ不動であるため、例えば、医療装置の作業チャンネルを通過する器具110を使用して膵臓および胆管にアクセスし得る。
【0027】
図3には本発明の実施形態に係る、器具付属装置102の部分断面図が示されている。器具付属装置102は、近位端202および遠位端203を有する拡張可能部材201を含む。内面302は、近位端202と遠位端203との間に延びる拡張可能部材201の内径を画定する。内面302は、長手軸線204、近位端202に近位開口221、および遠位端203に遠位開口222を有する器具ルーメン205を画定し、器具ルーメン205は、器具付属装置102を貫通して延びる。器具ルーメン205は、器具ルーメン205を通って拡張可能な器具、例えば、図1の医療装置などの器具、を受け入れるように構成される。近位端202および遠位端203を有する拡張可能部材201は、図3に収縮形態で示されている。拡張可能部材201の外径を画定する外面310は、器具ルーメン205の長手軸線204方向の長さに沿って、拡張可能部材201の近位端202と遠位端203との間に延びる。器具ルーメン205の長手軸線204および拡張可能部材201の長手軸線は、図に示すように、互いに一致しているか、または径方向に互いに偏倚している。図に示す実施形態では、拡張可能部材201は、基部304を備え、基部304は、近位端および遠位端を備え、内面302を形成する。拡張可能部材201は、基部304によって支持されて、基部304の遠位端203と近位端202との間に延びる。拡張可能部材201はまた、基部304の周囲に配置された拡張可能材料400と、拡張可能材料400の周囲に配置された外側構造406(すなわち、拘束要素)とを備える。基部304は、流体源に接続された灌注ポート404を備える。内面302の材料は、器具ルーメン204内で器具との摩擦接触を維持するシリコーンなどの材料であり得る。これに関して、内面302の材料は、基部304の材料に対応し、または基部304上の材料のコーティングに対応し得る。外側構造406の材料は、拡張可能材料、例えばメッシュ材料であり得る。
【0028】
図3図4A図4B、および図4Cには本発明の実施形態にしたがって、器具付属装置102が示されている。器具付属装置102は、近位端202、遠位端203、および内部を貫通する器具ルーメン205を有する拡張可能部材201を含む。図4Aの器具付属装置102は、収縮形態にある。多数のループ307が、拡張可能部材201の近位端202に配置されている。収縮形態では、これらのループ307は、付属品によって保持される。この付属品を取り外すと、図4Bに示す拡張形態にすることができる。拡張可能部材201をさらに拡張させるために、流体が拡張可能部材102の拡張可能材料400に接触して拡張可能部材102の拡張可能材料400を拡張するように、流体が図3の基部304の灌注ポート404を通って拡張可能部材102の中に注入される。図4Cの器具付属装置102は、収縮形態にある。この実施形態では、ループ308は、拡張可能部材201の拡張のために解放されるまでともに保持される。拡張可能部材201は、外部構造406が拘束されると圧縮される。基部304は、拡張可能部材201の長さに沿って外側構造406に接着されている。接着された表面は、接着剤、流動材料、溶接(例えば、レーザー、超音波、ホットジョーサーマルなど)、溶融/再溶融流動処理などによって達成することができる。接着された表面は、基部304と外部構造406との間に実質的な液密を形成して、拡張流体が流体ルーメンを通って供給されて、図4Aの収縮形態と図4Bの拡張形態との間で膨張可能部材201を移動させることができるようにし得る。拡張形態の拡張可能部材201は、丸みを帯びた円筒形で示されているが、拡張可能部材201は、例えば、回転楕円体(spheroid)、トーラス、それらの組み合わせなどの他の形状であってもよい。拡張可能部材201が圧縮されたときに内面302が医療装置と摩擦接触した状態に維持される。このため、拡張可能部材201の器具ルーメン205を通って延びる医療装置を使用して、体管腔を検査することができる。体管腔内の拡張形態をなす拡張可能部材201が体管腔の直径まで拡張するとき、医療装置は体管腔内の所定の位置に保持される。
【0029】
図3および4A~Cでは、器具付属装置102は、近位端202を通って遠位端203に向かって医療装置101を受け入れるように示されている。
図5A図5B図6Aおよび図6Bにおいて、器具付属装置102は、本発明の実施形態による結腸鏡600を含む結腸鏡システムの一部として収縮形態で示されている。拘束要素500は、拡張可能部材の拡張可能材料400を囲む。拘束要素500を後退させることにより、拡張可能部材の拡張可能材料400は拡張可能になる。いくつかの実施形態では、外側構造500は、後退可能な被覆カバーに対応する。拘束要素500は、非弾性材料、例えば、ナイロン、PTFE、ペバックス(登録商標)、MPETであり得る。図5A図5B図6Aおよび図6Bに示す器具付属装置102は、拡張可能部材201を含む結腸鏡600の遠位端601に示されている。拡張可能部材201は、結腸鏡600の周囲に摩擦係合するように配置されている。結腸鏡600の遠位端601は、器具付属装置102の遠位端203よりもさらに延びる。流体ルーメンを有するワイヤ502は、内面に灌注ポートを備えた拘束要素500の近接端部501に配置されている。
【0030】
様々な実施形態において、拡張可能部材は、拡張形態および収縮形態を有し得る。拡張可能部材は、外面材料で形成された外面と、内面材料で形成された内面とを含む。外面材料は、様々な柔軟性、半柔軟性、または非柔軟性材料を含み得る。これらの材料は、シリコーン、ラテックス、ポリウレタン、ゴム、イソブチレンなどを含み得る。外面材料の壁の厚さは、材料によって異なり、収縮形態および拡張形態における外面の外径に関係し得る。内面材料は、さまざまな柔軟性、半柔軟性、または非柔軟性材料を含有し得る。これらの材料は、シリコーン、ラテックス、ポリウレタン、ゴム、イソブチレンなどを含み得る。内面の壁の厚さは、材料によって異なってもよく、収縮形態および拡張形態における内面の内径に関係し得る。拡張可能部材は、患者の身体内で使用する前にその弾性を増加させるために、1回以上拡張させたり、収縮させたり、または他の方法で伸長させることができ、これにより、拡張可能部材の対称的な拡張を改善するとともに、拡張可能部材の中央揃え(centering)機構を改善することができる。拡張可能部材は、1つ以上の灌注ポートを介した拡張流体の供給を介して拡張されることができる。同一の灌注ポートを使用して、拡張可能部材を拡張することができる。
【0031】
上記したように、拡張可能部材の内面および外面は、ポリマー材料を含有し得る。拡張可能部材が拡張されると、内面が器具を所定の位置に圧着して、器具を器具ルーメン内で移動不能にし得る。
【0032】
様々な実施形態において、器具付属装置は使い捨てであってよい。代替の実施形態では、器具付属装置は再利用可能であってよい。
様々な実施形態において、長尺状送達部材を介して供給される拡張流体は、生理食塩水、水、希薄な造影剤などを含み得る。
【0033】
様々な実施形態において、医療処置を実施する方法は、器具の付属品を器具の遠位端に配置することを含み得る。拡張可能部材が収縮形態にある間、器具は器具のルーメンを通って前進される。拡張可能部材は、器具の周囲に配置され、器具との摩擦接触を維持するように構成される。器具および器具付属装置はともに患者の体内に挿入される。拡張可能部材は、患者の体内で拡張され、患者の体管腔、例えば結腸、腸などを拡張することができる。拡張可能部材が拡張されると、拡張可能部材の直径が増大するため、器具を体管腔内の安定した位置に留まらせることができる。拡張可能部材が拡張されている間に、ERCPなどの手術を実施し得る。手術後、拡張可能部材は、収縮され(例えば、拡張可能部材を拘束要素内に再配置することによって)、器具および器具付属装置が患者の体内から除去される。拡張可能部材を拡張し、器具を安定化させることにより、器具内からのカテーテルの正確な移動が可能になる。これは、外径が体管腔を拡張させて、装置の移動を防止することによる。器具は、手術を実施するために使用される任意の装置、例えば、十二指腸鏡、内視鏡、結腸鏡などの医療装置であり得る。
【0034】
様々な実施形態において、結腸鏡検査を実施する方法は、器具の付属品を器具の遠位端に配置することを含み得る。拡張可能部材が収縮状態にある間、器具は器具のルーメンの中を通って前進される。拡張可能部材は、器具の周囲に配置され、器具との摩擦接触を維持するように構成される。器具と器具付属装置はともに患者の身体内に挿入される。拡張可能部材は、患者の体内で拡張され、患者の体管腔、例えば、結腸、腸などを拡張することができる。器具および器具付属装置が患者から除去される間、拡張可能部材は拡張されたままであり得る。これにより、拡張可能部材に結腸鏡による調査のためにひだや隙間を乱すことを可能にする。
【0035】
本明細書に記載の様々な実施形態に加えて、当業者であれば、本発明の変更、修正、および他の実施を行うであろう。したがって、本発明は、上記した例示的な説明ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】