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特表2023-512091サンプルの特性を測定するための機器、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】サンプルの特性を測定するための機器、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20230315BHJP
   G01N 15/00 20060101ALI20230315BHJP
   G01N 15/06 20060101ALI20230315BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G01N21/49 A
G01N15/00 A
G01N15/00 B
G01N15/06 E
C12M1/34 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546649
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 GB2021050223
(87)【国際公開番号】W WO2021152335
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2001397.5
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522303685
【氏名又は名称】オーディエックス・イノヴェーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ODX INNOVATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】SOLASTA HOUSE, 8 INVERNESS CAMPUS, INVERNESS SCOTLAND IV2 5NA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ウッダー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】カー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ピアーズ
(72)【発明者】
【氏名】サンダース,ジャイルズ
(72)【発明者】
【氏名】チャーンサイド,ユアン
(72)【発明者】
【氏名】マレチャ,マイク
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA06
2G059BB04
2G059BB09
2G059BB14
2G059DD13
2G059EE02
2G059EE04
2G059FF04
2G059FF12
2G059GG01
2G059HH02
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059KK03
2G059MM14
4B029AA07
4B029BB02
4B029FA01
(57)【要約】
薬物が投与された液体生体サンプルの細菌成長をモニタリングするための光学機器(2)を備える装置(1)。使用時に、サンプル容器(6)を受け入れるためのサンプル容器ポートが、該装置(1)に設けられており、該サンプル容器(6)は、該薬物が投与されたサンプルを収容するための、少なくとも一つの検出チャンバ(20)を有する。該光学機器(2)は、使用時に、該サンプル容器(6)の少なくとも一つの検出チャンバ(20)と交差する入射ビーム軸に沿って光を放射するように、および該検出チャンバ(20)内に収容されている該薬物が投与されたサンプルを照らすように構成された光源(22)を備えている。該光学機器(20)は、該サンプル中の細菌によって散乱した光を受光するように構成された第一の光検出器(26)を備えている。該光学機器(2)は、該入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の散乱角度の範囲内で、該サンプル中の細菌によって前方方向に散乱している、該検出チャンバ(20)から出る光を集光するように、および該集光した散乱光を該第一の光検出器(26)へ向けるように、および該入射ビーム軸に平行に進んで該検出チャンバ(20)から出る非散乱光が、該第一の光検出器(26)に到達することを防ぐように構成された集光構成(24)を備えている。該光学機器(2)は、該第一の光検出器(26)によって受光された該散乱光の強度を測定するように、該散乱光の該強度に基づいて、該サンプル中に存在する細菌の対応する代表的な量または濃度を判断するように、該測定ステップおよび判断ステップを、一連の所定の間隔で繰り返して、該サンプル中に存在する細菌の該代表的な量または濃度の変化を時間に応じて判断するように、および該それぞれの薬物に対する、該サンプル中の細菌の対応する感受性を判断するように構成された、少なくとも一つのプロセッサを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物が投与された液体生体サンプルの細菌成長をモニタリングするための光学機器を備える装置であって、該装置は、
使用時に、サンプル容器を受け入れるためのサンプル容器ポートであって、該サンプル容器が、前記薬物が投与されたサンプルを収容するための少なくとも一つの検出チャンバを有する、サンプル容器ポートを備え、
前記光学機器は、
使用時に、前記サンプル容器の少なくとも一つの検出チャンバと交差する入射ビーム軸に沿って光を放射するように、および該検出チャンバ内に収容された前記薬物が投与されたサンプルを照らすように構成された光源と、
前記サンプル中の細菌によって散乱した光を受け入れるように構成された第一の光検出器と、
集光構成であって、
前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の散乱角度の範囲内で、前記サンプル中の細菌によって前方方向に散乱されている、前記検出チャンバから出て行く光を集光するように、および該集光された散乱光を、前記第一の光検出器に向けるように、および、
前記入射ビーム軸と平行に進み、および前記検出チャンバから出て行く非散乱光が、前記第一の光検出器に到達するのを阻止するように、構成された集光構成と、
少なくとも一つのプロセッサであって、
前記第一の光検出器によって受け入れられた前記散乱光の強度を測定するように、
前記散乱光の前記強度に基づいて、前記サンプル中に存在する細菌の対応する代表的な量または濃度を判断するように、
一連の所定の間隔で、前記測定ステップおよび判断ステップを繰り返して、前記サンプル中に存在する細菌の前記代表的な量または濃度の変化を時間の関数として判断するように、および、
それぞれの薬物に対する、前記サンプル中の前記細菌の対応する感受性を判断するように、構成された少なくとも一つのプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の角度範囲内で集光された光のみが前記第一の光検出器に向けられて該第一の光検出器によって受光される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
集光される散乱光の散乱角度の前記範囲は、前記入射ビーム軸に対して、+4度~+16度および-4度~-16度である、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記集光構成は、
(i)前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の角度範囲内の光のみを集光して、それが前記第一の光検出器によって受光されるように、該第一の光検出器に向けて反射させるように構成された凹状楕円形リフレクタ、または
(ii)前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の角度範囲内の前方散乱光を集光して、集光器に向けて反射させるように構成された凹状楕円形リフレクタであって、該集光器は、該凹状楕円形リフレクタによって反射された光を受光して、該受光した光を前記第一の光検出器に集束させるように構成される、凹状楕円形リフレクタ、
を備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記集光構成は、前記サンプルからの前記前方散乱光を前記第一の光検出器または集光器へ反射させるような形状に形成された凹状楕円形リフレクタを備え、該凹状楕円形リフレクタは、前記入射ビーム軸と位置合わせされ、および前記検出チャンバからの非散乱光が該凹状楕円形リフレクタを通過することを可能にするように構成された開口を備える、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記光学機器は、非散乱光を受光するように構成された第二の光検出器をさらに備え、必要に応じて、該第二の光検出器は、前記サンプルに対して前記集光構成の反対側に配置され、および該非散乱光を受光するように前記入射ビーム軸と位置合わせされる、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記集光構成は、第一および第二の集光レンズ、およびミラーを備え、
前記第一の集光レンズは、前記散乱光を前記第二の集光レンズに向けるように、および前記入射ビーム軸に沿って進む非散乱光を前記ミラーに集束させるように構成され、
前記第二の集光レンズは、前記第一の集光レンズからの前記散乱光を受光するように、および該散乱光を前記第一の光検出器に集束させるように構成され、
前記ミラーは、前記第一および第二の集光レンズ間において前記入射ビーム軸に沿って配置され、および前記非散乱光を前記第一の光検出器から離して反射させるように構成される、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記ミラーは、前記非散乱光を第二の光検出器に向けて反射させるように構成され、該第二の光検出器は、前記ミラーからの該非散乱光を受光するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
サンプル容器を係合するために前記サンプル容器ポートの内部に配置され、および該サンプル容器内の前記生体サンプルの少なくとも一部を収容する検出チャンバを、前記光学機器の前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせさせるように構成されたサンプル容器カルーセルを備える、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記サンプル容器カルーセルに操作可能に結合され、および該カルーセルを回転させて、前記生体サンプルの少なくとも一部を収容する検出チャンバを定期的に、前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせし、および該位置合わせから外すように構成されたモータを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記サンプル容器カルーセルは、複数の検出チャンバを備えているサンプル容器に係合するように構成され、該サンプル容器カルーセルは、前記サンプル容器の該複数の検出チャンバの各々を順に、前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせし、および該位置合わせから外すために回転するように構成される、請求項9または請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記サンプル容器カルーセルは、使用時に、前記サンプル容器が該サンプル容器カルーセルに正しく係合された場合に、該サンプル容器の前記一つまたは複数の検出チャンバと位置合わせするように構成された一つ以上の開口部を備える、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記サンプル容器カルーセルは、前記光源の前記入射ビーム軸に対する、該サンプル容器カルーセルの位置および/または向きを判断するための、一つ以上の検出可能な較正特徴部を含む、請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
使用時に、較正特徴部リーダーによる較正特徴部の検出と、関連する検出チャンバが前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせされることとの間の時間間隔を判断するために、前記装置のプロセッサとやり取りする該較正特徴部リーダーを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記光学機器のプロセッサは、
(i)前記サンプル容器の検出チャンバが前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせされる期間に相当する所定の時間ウィンドウの間に、前記第一の光検出器によって受光された前記散乱光の強度を測定するために、該第一の光検出器とやり取りし、または、
(ii)前記較正特徴部または各較正特徴部の検出に基づいて、前記所定の間隔の長さを調節する、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記光学機器の前記プロセッサは、前記第一の光検出器によって受光された前記散乱光の強度を測定するステップと、前記サンプル中に存在する細菌の対応する代表的な量または濃度を時間の関数として判断するステップとを、約二十分~約二時間、約二十分~約一時間半、約二十分~約一時間、または、約三十分~約一時間の期間にわたって定期的に繰り返すようにプログラムされる、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記装置の内部の空気の温度を制御するための温度制御システムをさらに備える、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
少なくとも一つの加熱素子と、必要に応じて、検出チャンバ内の生体サンプルを所望の温度に維持するために、使用時に、前記装置の前記サンプル容器ポートの内部に受け入れられたサンプル容器に温風を接触させるように構成された、少なくとも一つのエアフローレギュレータとを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
一対の加熱素子を備え、各加熱素子は、使用時に、暖められた空気を前記サンプル容器ポートに向かって押して、前記装置の該サンプル容器ポート内に受け入れられたサンプル容器の検出チャンバ内のサンプルを加熱するためのファンに操作可能に結合される、請求項17または請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記光学機器の前記光源は、例えば、620nm~780nmのレーザ光源である、請求項1乃至請求項19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記所定の間隔は、100rpmの回転速度において、約0.6秒に相当する、請求項1乃至請求項20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記光学機器の前記プロセッサは、前記測定された光強度における、複数の定期的に起きるピーク特徴を識別するように、および前記測定ステップおよび判断ステップを、隣接するピーク特徴間でのみ実行するように構成される、請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
薬物が投与された液体生体サンプルの細菌成長をモニタリングするシステムであって、該システムは、
請求項1乃至請求項22のいずれかに記載の前記装置と、
複数の検出チャンバを備えるサンプル容器であって、各検出チャンバは、薬物が投与された液体生体サンプルを収容するように構成される、サンプル容器と、
を備え、前記システムは、
前記光源が、照らされた検出チャンバ内に収容されている前記薬物が投与された液体生体サンプルを照らすように、前記複数の検出チャンバの各々を順に前記入射ビーム軸と位置合わせするように構成されたサンプル位置決め機構をさらに備える、システム。
【請求項24】
前記サンプル位置決め機構は、前記複数の検出チャンバの各々を、前記入射ビーム軸と順に位置合わせするように、前記サンプル容器を回転させるように構成された回転またはカルーセル機構を備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記光学機器を支持するように構成された支持構造をさらに備え、該支持構造は、前記複数の検出チャンバのうちの少なくとも一つを備える前記サンプル容器の一部を受け入れるように構成された開口部を備え、その結果、該サンプル容器の該一部が該開口部内に配置された場合に、該複数の検出チャンバのうちの少なくとも一つが、前記光源と前記集光部との間で、前記入射ビーム軸に沿って配置可能となる、請求項23または請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記液体生体サンプルの温度を、35°~37°の温度に維持するように構成された温度制御システムをさらに備える、請求項23乃至請求項25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記温度制御システムは、熱を生成するように構成された加熱素子を備える加熱構成と、前記サンプル容器の前記複数の検出チャンバにわたって、生成された熱を均一に配分するように構成された空気循環システムとを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記循環システムは、少なくとも一つの再循環ダクトと、前記加熱素子にわたってエアフローを引き起こすように構成された関連するファンとを備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
薬物に対するサンプル中の細菌の感受性を判断する方法であって、
薬物が投与された液体生体サンプルを、サンプル容器の検出チャンバに収容することと、
光源により、前記検出チャンバ内の前記サンプルを、該検出チャンバを通過する入射ビーム軸に沿って放射される光で照らすことと、
集光部により、前記サンプル中の細菌との相互作用によって散乱した光を集光することであって、該光が、前記入射ビーム軸に対して、±5度~±20度の散乱角度の範囲内で、前方方向に散乱することと、
前記集光部により、前記集光された散乱光を第一の光検出器に集束させることと、
プロセッサにより、前記第一の光検出器によって受光された散乱光の強度と、前記サンプル中に存在する細菌粒子の対応する代表的な量または濃度とを測定することと、
前記プロセッサにより、前記測定ステップを一連の所定の間隔で繰り返すことと、
前記プロセッサにより、前記サンプル中に存在する細菌の前記代表的な量または濃度の時間の関数としての変化を判断することと、
前記プロセッサにより、判断された前記サンプル中の細菌の前記代表的な量または濃度の時間の関数としての変化に基づいて、前記サンプルに投与するのに使用される前記薬物に対する、該サンプル中の該細菌の感受性を判断することと、
を含む方法。
【請求項30】
前記サンプル容器は、複数の検出チャンバを備え、該複数の検出チャンバのうちの少なくとも二つは、異なる薬物が投与されたサンプルを収容しており、および前記方法は、
前記薬物が投与されたサンプルを収容している前記複数の検出チャンバの各々を、入射ビーム軸に沿って放射された光の中に順に配置することと、
前記複数の検出チャンバの各々に関して、前記方法の各後続のステップを実行することと、
前記サンプルに投与するのに使用されるそれぞれの薬物に対する、前記サンプル中の該細菌の相対的な感受性を判断して、治療処置計画に用いられる最も有効な薬物を識別することと、
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプル容器は複数の検出チャンバを備え、該複数の検出チャンバのうちの少なくとも二つは、薬物の異なる濃度で同じ薬物が投与されたサンプルを収容しており、および前記方法は、
前記薬物が投与されたサンプルを収容している前記複数の検出チャンバの各々を、入射ビーム軸に沿って放射された前記光の中に順に配置することと、
前記複数の検出チャンバの各々に関して、前記方法の各後続のステップを実行することと、
前記サンプルに投与するのに使用されるそれぞれの濃度の薬物に対する、前記サンプル中の該細菌の相対的な感受性を判断して、治療処置計画に用いられる最も有効な薬物濃度を識別することと、
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
第二の光検出器により、前記入射ビーム軸と平行に前記検出チャンバまたは各検出チャンバを通過する非散乱光を集光することと、
同じ検出チャンバに関して、前記第二の光検出器によって集光された前記非散乱光の強度を、前記第一の光検出器によって集光された該散乱光の強度と比較することと、
を含む、請求項29乃至請求項31のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンプルの特性を測定するための、および特に、細菌等の微生物粒子を含有する生体サンプルの光学的特性を測定するための装置、機器(apparatus)、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプルの特性を測定するための、および特に、該サンプル内の粒子の濃度等の、生体サンプルの光学的特性を測定するための多くの手法が公知である。例えば、吸収分光光度計は、サンプルの相対吸光度を測定し、散乱分光光度計、フローサイトメータおよび比濁計は、該サンプル中の該粒子によって散乱した光を測定する。
【0003】
このような測定の実際的な用途は、所与のサンプル中に存在する細菌の量および/または種類を、患者/被験者に対する、最も適切な治療の様態(例えば、投与しなければならない抗生物質の種類および投与量)を確認するために判断しなければならない状況における、(尿、血液等の)臨床サンプルの処理および分析にある。例えば、特定の薬物または抗生物質が既に投与されている臨床サンプルの時間依存性の細菌濃度を測定することは、当該薬物に関する細菌感受性(ひいては、該サンプル中に存在する特定の細菌の菌株に関連する当該薬物の効き目)を判断できるようにする。
【0004】
これらの実際的な用途に用いられるこのような手法を用いるさまざまなシステムが公知である。例えば、国際公開第2016/128747号パンフレットは、分析すべき(薬物が投与された)臨床サンプルが中に配置される積分球集光器の利用を組み込んでいる。該サンプルが照らされると、該サンプル中に存在する細菌は、いくらかの光を散乱させ、すなわち、この散乱した光は、該積分球の反射内側面によって反射されて拡散される。国際公開第2019/166799号パンフレットは、該サンプルによって散乱した該光を検出するための積分集光機構を用いる一対の光学的に結合されたチャンバを備える同様のシステムについて記載している。国際公開第2018/091922号パンフレットは、臨床サンプルを、該サンプル中に存在する該細菌の濃度を上げるように最初に培養することのできる、組合されたカートリッジについて記載し、該サンプルの別々の部分が後に、さまざまな異なる薬物/抗生物質と組合され、そして、各個別のサンプル部分の該光学的特性が測定されて、各薬物に対する細菌感受性が判断される。
【0005】
本発明の該装置/機器、システムおよび方法は、この背景に対して考案されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様によれば、薬物が投与された液体生体サンプル中の細菌成長をモニタリングするための、および該細菌の量または濃度を測定するための光学機器/装置が提供され、該光学機器/装置は、使用時に、前記薬物が投与されたサンプルを収容するサンプル容器の検出チャンバと交差する入射ビーム軸に沿って光を放射するように、および該検出チャンバ内に収容された前記薬物が投与されたサンプルを照らすように構成された光源と、前記サンプル中の粒子によって散乱した光を受け入れるように構成された第一の光検出器と、前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の散乱角度の範囲内で、前記サンプル中の粒子によって前方方向に散乱されている、前記検出チャンバから出て行く光を集光するように、および該集光された散乱光を、前記第一の光検出器に向けるように、および前記入射ビーム軸と平行に進み、および前記検出チャンバから出て行く非散乱光が、前記第一の光検出器に到達するのを阻止するように構成された集光構成と、前記第一の光検出器によって受け入れられた前記散乱光の強度を測定するように、前記散乱光の前記強度に基づいて、前記サンプル中に存在する粒子の対応する代表的な量または濃度を判断するように、一連の所定の間隔で、前記測定ステップおよび判断ステップを繰り返して、前記サンプル中に存在する粒子の前記代表的な量または濃度の変化を時間の関数として判断するように、および該サンプル中の粒子の該量または濃度の対応する変化を判断するように構成された、少なくとも一つのプロセッサとを備えている。好ましくは、該サンプル中の該粒子は細菌であり、また、該粒子の代表的な量または濃度の時間の関数としての該変化は、薬物/抗生物質に対する該サンプル中の該細菌の該感受性を示す。いくつかの実施形態において、前方散乱光は、該入射ビーム軸に対して、約±5度~±20度の散乱角度の範囲内で測定することができる。
【0007】
有益には、この光は、主に、上記で記載した角度等の比較的小さな散乱角度にわたって散乱されるため、本開示の該装置は、該入射光ビームと、該サンプル中の該粒子との相互作用によって生成された前方散乱光の大部分(例えば、約95%)を捉えることができる。そのため、本開示の該装置は、単一のサンプルから集光することができる散乱光強度の該量を最大化し、このことは、特に、経時的な該散乱光強度の変化に関連する、統計学的に有意な結果をそれにもかかわらず得るために、比較的小さなサンプル容積を用いることができることも意味する。
【0008】
本開示のこの態様の実施形態において、粒子/細菌の該量または濃度は、定量的に測定される。他の実施形態では、粒子/細菌の該量または濃度は、定性的に、すなわち、相対的な量または濃度が時間の関数として測定されるように測定されることが適切であり、粒子/細菌の量または濃度の変化は、一般的に、他の時点およびアッセイに対して、高い信頼度で評価することができるため、このような定性的測定は、データ処理の単純化に対して適切であり、および該単純化にとって好適である可能性がある。本開示のこの態様の該実施形態のいずれかにおいて、該光学機器は、生体サンプルを収容するための少なくとも一つの検出チャンバを収容するサンプル容器を受け入れるように構成されている。該生体サンプルは、潜在的に、病原性細菌を収容することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、該第一の光検出器は、特定の周波数を有する受信信号を分離するためのロックイン増幅器とともに用いることもできる。分離すべき該周波数は、該光源から放射された該光の変調周波数に相当する。有益には、このことは、他の周波数からのノイズ信号を除去できるようにし、それによって、得られた信号の該信号対ノイズ比が改善される。
【0010】
適切には、該集光構成は、該入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の角度の範囲内の前方散乱光のみが集光されて、該第一の光検出器に向けられるように構成される。より具体的には、集光される散乱光の散乱角度の該範囲は、該入射ビーム軸に対して、+4度~+16度および-4度~-16度、さらに具体的には、該入射ビーム軸に対して、+5度~+16度および-5度~-16度である。有益には、該サンプル中の粒子との相互作用によって散乱した該光の該大部分(約95%)が、該入射光ビーム軸に対して、小さな範囲の角度のみにわたって散乱すると仮定すると、上述した構成は、集光される非散乱光の量を最小限にしながら、該第一の光検出器によって集光することができる散乱光の割合を最大化する。
【0011】
いくつかの実施形態において、該集光構成は、(i)前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の角度範囲内の光のみを集光して、それが前記第一の光検出器によって受光されるように、該第一の光検出器に向けて反射させるように構成された凹状楕円形リフレクタ、または、(ii)前記入射ビーム軸に対して、約±4度~±20度の該角度範囲内の前方散乱光を集光して、集光器に向けて反射させるように構成された凹状楕円形リフレクタであって、該集光器は、該凹状楕円形リフレクタによって反射された光を受光して、該受光した光を前記第一の光検出器に集束させるように構成される、凹状楕円形リフレクタ、を備えている。このような構成は、有利には、散乱角度の所望の範囲内の光を、一つの主要構成要素(あるいは二つの協働する構成要素)のみを用いて集光できるようにして、該集光構成内に含める必要のある、したがって、互いに正確に配置されて位置合わせされる必要がある構成要素の数を最小限にする。さらに、(適切な形状およびサイズで形成された)単一のリフレクタの使用は、該集光構成を収容するのに必要なスペースを低減するため有益であり、またこのことは、該装置自体の全体のサイズの低減も同様に可能にする。また、集光素子または集光器の使用は、該光検出器によって集光することができる散乱光の該量および割合をさらに増加させて、散乱信号強度のより小さな変化を検出するための該装置全体の感度を潜在的に向上させることに留意されたい。
【0012】
いくつかの実施形態において、該集光構成は、該サンプルからの該前方散乱光を該第一の光検出器または集光器へ反射させるように形成された凹状楕円形リフレクタを備え、および該凹状楕円形リフレクタは、該入射ビーム軸と位置合わせされ、および該検出チャンバからの非散乱光が、該凹状楕円形リフレクタを通過することを可能にするように構成された開口を備えている。有益には、この構成は、非散乱光が、気付かぬうちに該散乱光とともに集光されることを防ぎ、および実際の散乱の代表的な測定(ひいては、該サンプル中に存在する該粒子の量のより正確で代表的な測定)を確実に得るのに役に立つ。この構成は、特に上述した散乱角度の該範囲とともに、該サンプルを十分に照らして、かなりの量の散乱を生成するように、光源ビームの適切な幅を維持しながら、可能な限り多くの散乱光を捉えることと、捉えられる非散乱光の該量を最小限にすることとのバランスを取れるようにする。さらに、該光源ビームと該開口の一貫したアラインメントを維持する能力は、最適な集光にとって有利である。該非散乱光は、ビームダンプまたは出口ポートの方へ向けることができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、該光学機器は、非散乱光を受光するように構成された第二の光検出器をさらに備え、必要に応じて、該第二の光検出器は、前記サンプルに対して前記集光構成の反対側に配置され、および該非散乱光を受光するように前記入射ビーム軸と位置合わせされている。有益には、該第二の光検出器は、(「ベースラインレベルの」)該非散乱光を集光して処理できるようにし、このことも同様に、この光の特性を測定できるようにする。それらの特性は、該散乱光および非散乱光で得られた該ノイズ(例えば、該装置内のモータの動作からの振動の結果として生じたノイズ)が共通でありまたは相関がある場合に、ノイズ低減手法を実施するために、該第一の光検出器によって集光された該散乱光の処理中に用いることができる。追加的にまたは別法として、光源安定性を評価するために、および該散乱光信号に影響を与える可能性のある該入射光の強度の変動を識別するために、分析することができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、該集光構成は、第一および第二の集光レンズ、およびミラーを備え、前記第一の集光レンズは、前記散乱光を前記第二の集光レンズに向けるように、および前記入射ビーム軸に沿って進む非散乱光を前記ミラーに集束させるように構成され、および前記第二の集光レンズは、前記第一の集光レンズからの前記散乱光を受光するように、および該散乱光を前記第一の光検出器に集束させるように構成されている。前記ミラーは、前記第一および第二の集光レンズ間において前記入射ビーム軸に沿って配置することができ、および前記非散乱光を前記第一の光検出器から離して反射させるように構成することができる。この構成は、散乱光と非散乱光のそれぞれの処理および分析のための分離を可能にし、および楕円形リフレクタを備えている前述した集光構成に対して恩恵をもたらす可能性がある代替的な構成を提供する。例えば、二集光レンズ構成には、より多くの構成要素が用いられているが、そのような構成要素は、製造または調達に関して、よりシンプルである可能性がある(例えば、COTSまたは商用オフザシェルフ(Commercial Off-the-Shelf)部品として得ることがより容易である可能性がある)。
【0015】
いくつかの実施形態において、該ミラーは、前記非散乱光を第二の光検出器に向けて反射させるように構成され、該第二の光検出器は、前記ミラーからの該非散乱光を受光するように構成されている。楕円形リフレクタを備えている該構成に関連して説明したように、該非散乱光を集光して処理することができることにより、特にノイズの特徴付けおよび低減に関する、対応する散乱光信号の処理に関連して利点がもたらされる。
【0016】
適切には、該装置は、サンプル容器を係合するために前記サンプル容器ポートの内部に配置され、および該サンプル容器内の前記生体サンプルの少なくとも一部を収容する検出チャンバを、前記光学機器の前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせさせるように構成されたサンプル容器カルーセルをさらに備えていてもよい。有益には、該装置は、該装置と、該サンプル容器との間のインタフェースおよび係合機能を提供する該サンプル容器カルーセルの利用によって、照らされるべき該サンプルを収容している独立したサンプル容器に係合するように構成してもよい。このことは、一つ以上のサンプルを、測定目的のために該光学機器と位置合わせすることができる容易さを増す。
【0017】
いくつかの実施形態において、該装置は、前記サンプル容器カルーセルに操作可能に結合され、および該カルーセルを回転させて、前記生体サンプルの少なくとも一部を収容する検出チャンバを定期的に、前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせし、および該位置合わせから外すように構成されたモータをさらに備えている。特定のサンプル部分と、該入射光ビームの位置合わせを自動化することは、測定プロセスを簡素化し、および散乱光強度の多数の異なる測定値を得ることができる効率性、およびこのような測定の再現性を向上させる。
【0018】
適切には、例えば、前記サンプル容器カルーセルは、複数の検出チャンバを備えているサンプル容器に係合するように構成することができ、および該サンプル容器カルーセルは、前記サンプル容器の該複数の検出チャンバの各々を順に、前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせし、および該位置合わせから外すために回転するように構成することができる。有益には、該上述した構成は、サンプルの処理と分析手順の並行化に関連する改善をもたらし、すなわち、多数の検出チャンバを備えている該サンプル容器とともに該回転可能なサンプル容器カルーセルを用いることは、いくつかの個別のサンプル部分を照らして、一つの測定サイクル/行程の経過中に散乱光強度を得ることができることを意味する。このことは、所定期間にわたって分析できるサンプルの数を増加させ、これは、一つ以上の異なる薬物(および/または薬物濃度)に対する該サンプル中の細菌の感受性を判断するという観点で用いられる場合に特に有利である。このことは、特定の患者/被験者の治療のための適切な薬物の判断を迅速かつ効率的に実施できることを意味し、これは、ポイントオブケア装置用に実装した場合に特に有用である。
【0019】
いくつかの実施形態において、該サンプル容器カルーセルは、使用時に、前記サンプル容器が該サンプル容器カルーセルに正しく係合された場合に、該サンプル容器の前記一つまたは複数の検出チャンバと位置合わせするように構成された一つ以上の開口部を備えている。該サンプル容器カルーセルは、全体として、該サンプル容器に対する支持および動作の機能を与え、および該カルーセルの中に設けられた該開口部は、該サンプル容器の適切な/選択された部分(例えば、該検出チャンバに相当する部分)のみが、該入射光ビームと位置合わせされて配設/配置されて、必要に応じて照らされることを有益に確実にすることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、該サンプル容器カルーセルは、該光源の該入射ビーム軸に対する該サンプル容器カルーセルの位置および/または向きを決めるための一つ以上の検出可能な較正特徴部を含む。該上述した構成は、所与の検出チャンバが該入射光ビームに位置合わせされるか、または、位置合わせされるであろうときに関して、有益に判断を実行できるようにし、それにより、当該の特定の検出チャンバから得られた該信号に相当する該測定した信号強度の適切な部分または「ウィンドウ」を確実に抽出して処理しおよび分析することができる。このことは、(該測定サイクルの過程で起きる可能性がある)モータ回転速度の何らかのドリフトまたは不一致によって引き起こされる衝撃を有利に低減する。
【0021】
適切には、該装置は、使用時に、較正特徴部リーダーによる較正特徴部の検出と、関連する検出チャンバが該光源の該入射ビーム軸と位置合わせされることとの間の時間間隔を判断するための、該装置のプロセッサとやり取りする該較正特徴部リーダーをさらに備えていてもよい。該較正リーダーは、(例えば、該較正リーダー自体を通過する)較正特徴部の存在を検出して、該較正特徴部の該検出と、該サンプル容器の関連する検出チャンバの該位置とを関連付けるように構成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、該光学機器のプロセッサは、(i)前記サンプル容器の検出チャンバが、前記光源の前記入射ビーム軸と位置合わせされる期間に相当する所定の時間ウィンドウの間に、前記第一の光検出器によって受光された前記散乱光の強度を測定するために、該第一の光検出器とやり取りし、(ii)前記較正特徴部または各較正特徴部の検出に基づいて、前記所定の間隔の長さを調節する。有益には、このことは、該入射ビームの経路内での検出チャンバの存在と、分析のための得られた信号の適切な部分の該抽出または処理との良好な相関関係を確保するための代替的なまたは追加的な機構をもたらす。
【0023】
いくつかの実施形態において、該光学機器の該プロセッサは、該第一の光検出器によって受光された該散乱光の強度を測定するステップと、該サンプル中に存在する細菌の対応する代表的な量または濃度を時間の関数として判断するステップとを、約二十分~約二時間、約二十分~一時間半、約二十分~約一時間、または、約三十分~約一時間の期間にわたって定期的に繰り返すようにプログラムされている。該装置は、該散乱光の強度を、長期間にわたってモニタおよび分析できるようにし、その結果、当該期間にわたる該測定した強度の変化を検出して分析することができる。例えば、このような変化は、該サンプル中の粒子の数の変化を測定するのに用いることができ、これは、該サンプル内での細菌成長の関連する変化を示し、および試験される特定の薬物に対する、該細菌の増加した感受性(または、感受性の不足)を示すことが可能である。
【0024】
いくつかの実施形態において、該装置は、該装置の内部の空気の温度を制御するための温度制御システムを備えていてもよい。適切には、該装置は、少なくとも一つの加熱素子と、必要に応じて、検出チャンバ内の生体サンプルを所望の温度に維持するために、使用時に、前記光学機器の前記サンプル容器ポートの内部に受け入れられたサンプル容器に温風を接触させるように構成された、少なくとも一つのエアフローレギュレータとをさらに備えていてもよい。例えば、分析中の該サンプル内の該細菌の成長に関して維持するのに有利な温度である、約36℃~37℃の該温度を維持するために、該測定サイクルの過程にわたる、このような温度の維持は、該測定サイクル中の細菌成長の状況を最適化する。
【0025】
一対の加熱素子を備えているいくつかの実施形態において、各加熱素子は、使用時に、暖められた空気を前記サンプル容器ポートに向かって押して、前記装置の該ポート内に受け入れられたサンプル容器の検出チャンバ内のサンプルを加熱するためのファンに操作可能に結合されている。このような構成は、該サンプル容器にわたって所望の温度プロファイルを維持するように、加熱された空気の均一なフローが、該装置内のその場で、該サンプル容器にわたって通過することを確実にするのに特に有益であり、または有用である可能性がある。
【0026】
いくつかの実施形態において、該光学機器の前記光源は、患者または被験者の尿を含むサンプルに関して用いる場合、例えば、620nm~780nmの、または、可視赤色光に相当する波長の範囲内のレーザ光源である。しかし、特に、該サンプルが、血液等の他の体液に相当する場合は、他の波長の光を用いてもよい。また、(レーザダイオード等の)レーザ光源の利用は、該放射される該光の該周波数および振幅を、必要に応じて、比較的容易に制御および変調できるようにし、すなわち、変調信号の位相も制御できることに留意されたい。
【0027】
いくつかの実施形態において、該所定の間隔は、100rpmの回転速度における、約0.6秒に相当する。これは、適切なモータ速度における、適切な測定頻度に相当するが、該測定頻度および/またはモータ速度は、必要に応じて変更することができる(例えば、当該の該流体サンプルに、より大きな力を印加するであろう、約200rpmのより速い回転速度も利用することができるであろう)ことは正しく認識されるであろうし、さらに、得られた信号の処理は、多数の個別の測定値の平均化を伴う可能性があり、このことは、ノイズ低減に関して有益である。
【0028】
いくつかの実施形態において、該光学機器の該プロセッサは、該測定した光強度における、複数の周期的に生じるピーク特徴を識別するように、および隣接するピーク特徴間でのみ該測定ステップおよび判断ステップを実行するように構成されている。この構成は、検出チャンバ内のサンプルとの相互作用によって生成された該散乱光に相当する、該信号の所望の部分が、該得られた信号から抽出されることを有利に確実にする。また、それは、例えば、該装置の他の部分によって(例えば、サンプルを何も含んでいない該サンプル容器またはサンプル容器カルーセルの部分によって)散乱された光が、抽出した信号内に包含されることを避けることにより、該抽出した信号内のノイズレベルも最小限にする。このことは、処理される該信号の該信号対ノイズ比を改善する。
【0029】
本開示の別の態様によれば、薬物が投与された液体生体サンプルの細菌成長をモニタリングするシステムが提供され、該システムは、本願明細書において上記で定義されている前記装置/機器(apparatus)と、複数の検出チャンバを備えるサンプル容器とを備え、各検出チャンバは、薬物が投与された液体生体サンプルを収容するように構成され、この場合、該システムは、前記光源が、照らされた検出チャンバ内に収容されている前記薬物が投与された液体生体サンプルを照らすように、前記複数の検出チャンバの各々を順に前記入射ビーム軸と位置合わせするように構成されたサンプル位置決め機構をさらに備える。該装置/機器に関連して上述したように、一つの測定サイクルの過程において、多数の異なるサンプルを同時に処理する能力には、それによって有用な結果が得られる可能性がある、速度および効率の対応する増加と、関連するコストの低下とともに、サンプル処理の平行化に関して恩恵がある。
【0030】
適切には、該サンプル位置決め機構は、前記複数の検出チャンバの各々を、前記入射ビーム軸と順に位置合わせするように、前記サンプル容器を回転させるように構成された回転またはカルーセル機構を備えている。
【0031】
いくつかの実施形態において、該システムは、該光学機器を支持するように構成された支持構造をさらに備えていてもよい。このような支持構造の備えは、有益には、光学的構成要素を、該システムの構成要素の残りから切り離せるように、または分離できるようにし、このことは、例えば、該光学的構成要素および測定中のそれらの互いの位置合わせに対する、該サンプル位置決め機構/モータの動作によって生じる可能性のある振動の影響を低減する。該支持構造は、前記複数の検出チャンバのうちの少なくとも一つを備えている前記サンプル容器の一部を受け入れるように構成された開口部を備えていてもよく、その結果、該サンプル容器の該一部が該開口部内に配置された場合に、該複数の検出チャンバのうちの少なくとも一つが、前記光源と前記集光部との間で、前記入射ビーム軸に沿って配置可能となる。この構成は、該サンプル容器(および、その中に設けられた各検出チャンバ)と、該入射光ビームとの良好な/適切なアラインメントを有利に確実にする。さらに、該支持構造における、適切に構成された開口部の備えには、該サンプル容器を該装置に挿入する際に、該サンプル容器と該サンプルポートとのインタフェースを正しく取るようにユーザを案内することに関して恩恵がある。
【0032】
適切には、該システムは、前記液体生体サンプルの温度を、35°~37.5°の温度に維持するように構成された温度制御システムをさらに備えていてもよい。いくつかの実施形態において、該温度制御システムは、熱を生成するように構成された加熱素子を備える加熱構成と、前記サンプル容器の前記複数の検出チャンバにわたって、該生成された熱を均一に配分するように構成された空気循環システムとを備えている。いくつかの実施形態において、該循環システムは、少なくとも一つの再循環ダクトと、前記加熱素子にわたってエアフローを引き起こすように構成された関連するファンとを備えている。該装置に関連して上述したように、この構成は、該サンプル内の細菌の成長を促進するのに適している、該装置内および該サンプル容器の周りの所望の適切な温度を維持する。このことは、該サンプル内の細菌の濃度を上げ、それにより、所与のサンプル容積から得ることができる対応する散乱光強度を増加させる。
【0033】
本開示の別の態様によれば、薬物に対するサンプル中の細菌の感受性を判断する方法が提供され、該方法は、薬物が投与された液体生体サンプルを、サンプル容器の検出チャンバに収容することと、光源により、前記検出チャンバ内の前記サンプルを、該検出チャンバを通過する入射ビーム軸に沿って放射される光で照らすことと、集光部により、前記サンプル中の細菌との相互作用によって散乱した光を集光することであって、該光が、前記入射ビーム軸に対して、±4度~±20度の散乱角度の範囲内で、前方方向に散乱することと、前記集光部により、前記集光された散乱光を第一の光検出器に集束させることと、プロセッサにより、前記第一の光検出器によって集光された散乱光の強度と、前記サンプル中での細菌成長の対応する度合とを測定することと、前記プロセッサにより、前記測定ステップを一連の所定の間隔で繰り返すことと、前記プロセッサにより、前記サンプル中での細菌成長の程度の、時間の関数としての変化を判断することと、前記プロセッサにより、判断された前記サンプル中での細菌成長の程度の、時間の関数としての変化に基づいて、前記サンプルに投与するのに使用される前記薬物に対する、該サンプル中の該細菌の感受性を判断することとを含む。本開示のこの態様および他の任意の態様のいくつかの実施形態において、散乱光は、該入射ビーム軸に対して、±5度~±20度の散乱角度の範囲内で検出される。
【0034】
該装置および/またはシステムに関連して上述したさまざまな特徴および付随する恩恵/利点は、上記に記載されている該方法に関して同様に適用可能であることは正しく認識されるであろう。
【0035】
例えば、いくつかの実施形態において、該サンプル容器は、複数の検出チャンバを備え、該複数の検出チャンバのうちの少なくとも二つは、異なる薬物が投与されたサンプルを収容しており、および前記方法は、前記薬物が投与されたサンプルを収容している前記複数の検出チャンバの各々を、入射ビーム軸に沿って放射された該光の中に順に配置することと、前記複数の検出チャンバの各々に関して、前記方法の各後続のステップを実行することと、前記サンプルに投与するのに使用されるそれぞれの薬物に対する、前記サンプル中の該細菌の相対的な感受性を判断して、治療処置計画に用いられる最も有効な薬物を識別することとを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記サンプル容器は複数の検出チャンバを備え、該複数の検出チャンバのうちの少なくとも二つは、薬物の異なる濃度で同じ薬物が投与されたサンプルを収容しており、および前記方法は、前記薬物が投与されたサンプルを収容している前記複数の検出チャンバの各々を、入射ビーム軸に沿って放射された前記光の中に順に配置することと、前記複数の検出チャンバの各々に関して、前記方法の各後続のステップを実行することと、前記サンプルに投与するのに使用されるそれぞれの濃度の薬物に対する、前記サンプル中の該細菌の前記相対的な感受性を判断して、治療処置計画に用いられる最も有効な薬物濃度を識別することとを含む。
【0037】
適切には、該方法は、第二の光検出器により、前記入射ビーム軸と平行に前記検出チャンバまたは各検出チャンバを通過する非散乱光を集光することと、同じ検出チャンバに関して、前記第二の光検出器によって集光された前記非散乱光の強度を、前記第一の光検出器によって集光された該散乱光の強度と比較することとをさらに含んでいてもよい。
【0038】
この出願の範囲内においては、先行の段落に、特許請求の範囲におよび/または以下の説明および図面に、およびそれらの特定の個別の特徴に記載されているさまざまな態様、実施形態、実施例および代替例を単独でまたは任意の組合せで採用できることが明確に意図されている。すなわち、すべての実施形態および/または任意の実施形態の特徴は、それらの特徴に互換性がある限り、方法はどうであれ、および/または組合せて統合することができる。本出願人は、当該問題で最初にクレームされてはいないが、任意の他のクレームの任意の特徴に従属するようにおよび/または該特徴を組み込むように、任意の最初に出願されたクレームを補正する権利を含めて、任意の最初に出願されたクレームを変更するか、または、それに応じて任意の新たなクレームを出願する権利を有している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
次に、本開示の上記のおよびその他の態様について、添付図面を参照して、単に例示として説明する。
図1A】本開示の実施形態による、さまざまな薬物に対する、臨床サンプル中の細菌の感受性を判断するための装置の前方斜視図を示す。
図1B】本開示の実施形態による、さまざまな薬物に対する、臨床サンプル中の細菌の感受性を判断するための装置の後方斜視図を示す。
図2図1の該装置の垂直断面図を示す。
図3A図1の該装置の一部の斜視図である。
図3B図1の該装置の一部の斜視図である。
図3C図3Aおよび図3Bに示す該装置の該一部の内部エアフローおよび温度勾配を示す。
図4】本開示の実施形態による、図1の該装置に用いられる光学機器構成の概略図である。
図5】本開示の別の実施形態による、図1の該装置に用いることのできる代替的な光学機器構成の概略図である。
図6】本開示の別の実施形態による、図1の該装置に用いることのできる代替的な光学機器構成の概略図である。
図7図1の該装置を用いて、臨床サンプル中の細菌の薬物感受性を判断するための方法のさまざまなステップを説明するフロー図である。
図8】臨床サンプル中の細菌に対する、異なる薬物の効果を示す、図1の該装置における、時間の関数としての検出器強度出力の異なるプロットを示す。
図9A】臨床サンプルを分析するために、図1の該装置に用いることのできるサンプル容器の垂直断面図である。
図9B】臨床サンプルを分析するために、図1の該装置に用いることのできるサンプル容器の垂直断面図であり、および図9Cは、図1の該装置に用いることのできる別のサンプル容器の分解立体図を示す。
図9C図1の該装置に用いることのできる別のサンプル容器の分解立体図を示す。
図10図9の該サンプル容器の平面図である。
図10A図11の該容器の流体構造の異なる部分を示す。
図10B図11の該容器の流体構造の異なる部分を示す。
図10C図11の該容器の流体構造の異なる部分を示す。
図10D図11の該容器の流体構造の異なる部分を示す。
図10E図11の該容器の流体構造の異なる部分を示す。
図11図10の該サンプル容器が、図1の該装置に用いられたときの、時間の関数として測定された、検出強度のプロットを示す。
図12A図9の該サンプル容器に界接する、図1の該装置に用いることのできるサンプルカルーセルの底部斜視図である。
図12B図12Aの該サンプルカルーセルに用いられる該制御部の斜視図である。
図13図1の該装置において得ることが可能な該信号対ノイズ比を示す、図1の該装置における、時間の関数としての検出器強度出力の異なるプロットを示す。
図14】臨床サンプルを分析するために、図1の該装置に用いることもできるサンプル容器の代替的構造の平面図である。
【0040】
図面においては、同様の特徴は、同様の参照符号によって示されている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本開示の具体的な実施例および実施形態について説明し、特許請求の範囲で定義されている概念の十分な理解をもたらすように、多くの特徴について詳細に考察する。しかし、当業者には、本開示を、該具体的な詳細のすべてを要することなく具体化できること、および場合によっては、本開示を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、手法および構造については詳細に記載されていないことは明白であろう。
【0042】
図1は、医療現場での臨床検査に用いることのできるポータブルで自己完結型の一体型モジュールを提供するための、本開示の実施形態に従って用いることのできる装置1のそれぞれ、前方斜視図(図1A)および後方斜視図(図1B)を示す。このような場合、患者または被験者からの臨床サンプル(例えば、尿、血液等)は、該装置を用いて検査して、異なる種類および濃度の薬物に対する、該サンプル中の細菌の感受性を判断することができる。後述されているように、該装置1は、具体的に有効な薬物および治療計画を、迅速に、すなわち一時間以内程度で、突き止めて実施できるようにし、その結果、従来の検出装置および診断装置によって可能な治療計画よりもはるかに迅速に、感染症に対する有効な治療計画を該患者に提供することができる。
【0043】
少なくとも図1および図2を参照すると、該装置は、臨床サンプル中の粒子、具体的には細菌によって散乱する光の量または強度を時間の関数として検出して測定し、それにより、このことは、該サンプル中の細菌の代表的な量または濃度の対応する経時的な判断を可能にする。該装置1は、光学機器または構成2と、サンプル位置決め機構4とを備えている。これら二つの構成要素は、細菌の該代表的な量または濃度に関する上述した判断を実行できるようにするために、分析時に該臨床サンプルを収容している、取外し可能なサンプル容器6と相互に作用するように構成されている。
【0044】
具体的には、該サンプル位置決め機構4は、該サンプル容器6の少なくとも一部が、該光学機器2の構成要素と光学的に結合または接続されるように、該サンプル容器6に係合して該容器を支持するように構成されている。より詳細には、該サンプル位置決め機構4は、サンプルカルーセルまたはサンプルキャリア8と、該サンプルカルーセル8の(およびそれにより、該係合されたサンプル容器6の)動きを制御する、操作可能に結合されたモータ10、例えば、BLDC(ブラシレスDC)モータまたは他の同様の駆動機構とを備えている。該光学機器2は、使用時に、該サンプル容器6と該光学機器2が光学的に結合されると、該サンプル容器6内の該臨床サンプルの一部を照らすように構成されている。また、該光学機器2は、該照らされた臨床サンプル部分中の細菌粒子によって散乱した光を検出して測定するようにも構成されている。この場合、該検出された散乱光強度は、該サンプル中の細菌の特性、具体的には、時間の関数としての該サンプル中の相対的な細菌の量または濃度を確認するために分析することができる。
【0045】
該装置1は、該システム2の他の構成要素をそれの中に収容する外側ケーシングまたはハウジング12を備えている。図示されている実施形態において、該ハウジング12は、該他の装置構成要素、すなわち、該ハウジング12の壁部を形成する前部本体部12bおよび後部本体部12cと、移動可能な/取外し可能な蓋12dとが、それの上に取付けられるベース12aを備えている。該図示されている実施形態において、該蓋12dは、該後部本体部12cに枢動可能に取付けられているが、当然のことながら、他の取付機構を用いてもよい。該蓋12dは、本体部12b、12cおよび該ベース12aとともに、該装置1が使用されるときに、さまざまな該装置構成要素をそれの中に収容するエンクロージャを構成している。しかし、該ハウジング12のさまざまな部分には、代わりに、本願明細書において説明されているものよりもより多くのまたはより少ない部材を設けてもよいことは正しく認識されるであろう。該装置1は、例えば、該サンプル容器6が既に該装置1内の所望の位置に挿入されて、該サンプルカルーセル8に係合された後に、該蓋12dを、閉じてロックされた位置に維持するのに用いられるクロージャ/固定機構13をさらに備えている。該クロージャ機構13は、該蓋12dを開けるべき場合に、プログラム可能に作動させることができる(図2により詳細に示す)該装置ハウジング12内に配置されたアクチュエータ13aを備えている。
【0046】
該装置1は、該ハウジング12内、および具体的には、該サンプル容器6を取り囲む領域内の温度を、所定の温度範囲内(例えば、約36°~38°、およびより具体的には、約36°~37°)に維持するように構成されている(図3Aに強調されている)温度制御モジュールまたは構成14をさらに備えている。この温度範囲は、特に、該臨床サンプル中の該細菌の成長を促進して、最適な成長状態に維持するのに好ましい。さらに、該図示されている装置は、該装置1のユーザが、それを介して該装置1と対話して、該装置1のさまざまな局面、すなわち、特定の結果を見る、および/または分析プロセスの経過をモニタすることをプログラムすることができる、インタラクティブタッチスクリーンディスプレイ等のユーザインタフェース15も備えている。例えば、該患者または被験者の詳細は、該ユーザが入力することができ、測定パラメータは、該インタフェースを用いて表示および変更することができ、該装置1のためのソフトウェアのアップデートも、該ユーザと該ユーザインタフェース15の対話を介してダウンロードすることができ、測定経過およびさまざまな中間結果および最終結果も、該ユーザインタフェース15を介して該ユーザに見せることができる。加えて、該ユーザインタフェース15は、サンプルを該サンプル容器6に装填し、その後該サンプル容器6を該サンプルカルーセル8に正しく係合させるプロセスにおけるさまざまなステップを介してユーザを案内するための命令を該ユーザに与えるのに用いることができる。
【0047】
そして、該装置1は、該さまざまな装置構成要素(例えば、該光学機器2、該サンプル位置決め機構4、該蓋クロージャ機構13および/または該ユーザインタフェース15)のプログラム可能な制御を提供できる一つ以上のプロセッサまたは処理ユニット16を備えている。いくつかの実施形態においては、該装置の具体的な機能および構成要素の該制御を、それらの処理ユニット16のうちの特定の一つに分け/割り当ててもよいことは正しく認識されるであろう。このような実施形態において、リアルタイムのモニタリングを要し、および(例えば、該光学機器2および温度制御構成14に関連する)付随する安全性の関連事項を有する特定の機能の該制御は、一つの処理ユニット16によって制御することができ、一方、ユーザのインタフェースおよび接続性(例えば、該ユーザインタフェース15等)に関連する特定の機能の制御は、別々の処理ユニット16によって制御することができる。さらに、場合によっては、該装置1に、該装置1内の温度の好ましくない上昇を防ぐために、エアフローを増加することができ、および該処理ユニット16の冷却を容易にすることができる側部通気口/開口部(図示せず)を設けてもよい。
【0048】
上述したように、該サンプル容器6は、所要の測定および検査を実行できるようにするために、該装置1に挿入可能な独立した構成要素に相当する。典型的には、該サンプル容器6は、(一つの臨床サンプルを検査するのに使用できる)使い捨ての構成要素であることおよび/または該使い捨て構成要素を効率的に提供することを意図することができる。そのため、このような構成要素は、当技術分野において、「消耗品」とも呼ばれている。この消耗品のサンプル容器6の適切で有利な構成に関するさらなる詳細は、図9図11を参照して後述することとし、また、追加的な詳細は、“Centrifugally motivated fluidic systems,device and methods”というタイトルの本出願人の同時係属出願にも記載されており、その内容は、それら全体の参照により、国内法の適用範囲内で本願明細書に組み込まれるものとする。
【0049】
次に、該装置1の該さまざまな構成要素の該構成のさらなる詳細と、それらの構成要素間の相互作用の詳細について、図2および図3に関連して記載する。
【0050】
具体的には、それらの図面を見て分かるように、該モータ10は、該ハウジング12の該ベース12aに取付けられて、該ベースによって支持され、また、該モータ10は、該装置1の残りの構成要素の多くが、それの上にまたはそれに取付けられる支持ベースを効果的に構成している。該サンプルカルーセル8は、形状が実質的に円形であり、および該サンプルカルーセル8の中心を通る、垂直方向に延びている軸Xに沿って延びている回転可能な軸17を介して、該モータ10の上に取付けられて該モータに接続される。それにより、中心軸X周りの該サンプルカルーセル8の回転運動は、該モータ10によって駆動することができる。
【0051】
該サンプルカルーセル8は、該サンプルカルーセル8の周りに放射状(radial)の間隔を置いて設けられた複数の開口部18を備えている。図示されている実施形態によれば、該開口部18は、該サンプルカルーセル8の外側部の周りに放射状に配設されている(これらの開口部は、図12Aにより詳細に示されている)。該サンプル容器6は、好ましくは、該サンプル容器6の周りに同一の放射状の間隔を置いて設けられた、対応する複数の検出チャンバ20(図9および図10により明確に示す)を備え、検出チャンバ20のそれぞれが、分析すべき該臨床サンプルの一部を収容するように構成されている。該サンプルカルーセル8の該開口部18は、該サンプル容器6が、該サンプルカルーセル8と正しく界接しおよび/または該サンプルカルーセル8に正しく係合した場合に、該複数の開口部18の各々の一つの位置が、該サンプル容器6内に設けられた複数の検出チャンバ20のうちの一つの位置と位置合わせされて対応するように構成されている。したがって、該検出チャンバ20は、該サンプル容器6の任意の適切な位置に、例えば、該カルーセルの外側領域に位置することができる。当業者は正しく認識するように、各開口部18と、対応する検出チャンバ20との位置合わせは、(以下で説明するように)光源からの光が、一つの開口部18を通って、それぞれの検出チャンバ20に入ることを可能にするように適切でなければならない。サンプル容器6とサンプルカルーセル8との該界接については、図12Aを参照して、より詳細に説明する。
【0052】
該光学機器2は、光源22およびコリメータ光学系(図示せず)と、集光部または集光構成24と、少なくとも一つの光検出器26とを備えている。該光源22は、入射ビーム軸「Y」に沿って光を放射して、該サンプル容器6の該検出チャンバ20内に存在する該サンプル部分を照らす。該集光部24は、該サンプル内の細菌粒子によって前方方向に散乱した光を集光する。有益には、該集光部24は、該入射ビーム軸Yから約±24度、約±20度または約±16度の角度で散乱した光を、より具体的には、該入射ビーム軸Yの両側(例えば、該光ビームの周りの特定の半径から成るリング内)で、+3度~+24度と-3度~-24度、+4度~+20度と-4度~-20度、および+5度~+16度と-5度と-16度の間で散乱した光を集光する。さらに具体的には、集光される該光は、該入射ビーム軸Yの両側で、+4度~+16度と、-4度~-16度の間で散乱する可能性がある。該集光部24の曲率によるわずかな違いは、散乱が、該入射ビーム軸Yの両側で、わずかに異なる角度範囲(例えば、一方の側においては、約3度~16度、および他方の側では、4度~16度)にわたって集光されることを意味することは正しく認識されるであろう。当然のことながら、より小さい角度(すなわち、該入射ビーム軸の両側で、±3度または4度未満)にわたって散乱した光も集光できることは当業者には正しく認識されるであろうが、このことは、該集光部24によって集光される非散乱入射光の割合を増加させるであろう。該入射光ビームの幅は、より小さな角度で散乱した光を、該非散乱光の割合を多く含み過ぎることなく集光できるように低減することができるであろうが、このこともまた、より少量の該サンプルの照射をもたらし、このことが、生成される散乱光の該量を低減するであろう。そのため、より詳細に後述するように、この点で維持すべきバランスがある。該集光された散乱光は、該集光部24によって該光検出器26に向けられ、そこで、例えば、所定の時点での、検出された散乱光の該量の関数としての、該検出チャンバ内の該サンプルの細菌の相対的な量または濃度を確かめるために、該集光された散乱光の該強度が分析される。該光学機器2の該さまざまな構成要素は、該図示されている実施形態において、該モータ10または該モータのハウジング10aから上方の実質的に垂直方向に延在し、および該モータまたはハウジングによって支持されている光学的「タワー」を構成するために、支持プレートまたは構造28に取付けられている。しかし、該光学的「タワー」28の取付は、該光学機器2を、該モータ10によって生じる可能性のある何らかの振動から遮断するために、該モータ10およびそのハウジング10aから分離していてもよく、または切り離してもよいことは正しく認識されるであろう。そのため、いずれの場合でも、この光学的タワー28の構造は、使用時に、該サンプルカルーセル8とサンプル容器6が載る平面に対して実質的に垂直でもある。したがって、該光源22から放射された該光の該入射ビーム軸「Y」は、該サンプルカルーセル8の該回転軸「X」に平行であるが、該回転軸から距離「d」だけ横方向にずれている。
【0053】
該回転軸Xと該入射ビーム軸Yとの間の該横方向のずれ「d」は、該サンプル容器6の該中心からの該検出チャンバ20の(中心の)径方向距離に実質的に相当し、および該サンプルカルーセル8の該中心と、プラットフォーム内に設けられた該開口部18の領域との間の該径方向距離にも相当する。該光学機器2のための該支持構造28は、それの中に設けられ、該光源22と該集光構成24との間(該垂直面内のどこか)に、および該サンプルカルーセル8の該平面内に配設されているギャップまたは切欠き30を有し、この切欠き30は、それの中に該サンプルカルーセル8の径方向外側部分を収容するようなサイズに形成されて配設されている。したがって、該サンプルカルーセル8のこの収容した部分(ひいては、該サンプル容器が該サンプルカルーセル8に係合したときの、該サンプル容器6の対応する部分)は、該支持構造28および光学タワーに入って通過し、それにより、該光源22から放射された該光の該入射ビーム軸Yと交差することが可能である。実際には、該サンプルカルーセル8と、支持構造28と、光学機器2と、サンプル容器6とは、使用時に、該光源22によって放射された該光が、該サンプルカルーセル8の該開口部18の一つを通過し、その後、該対応する検出チャンバ20に入り、それによって、当該検出チャンバ20内に収容された該サンプル部分を照らして分析できるように設計されおよび適合されている。
【0054】
その結果、該サンプル容器6が該サンプルカルーセル8に係合されると、該サンプル容器6の該検出チャンバ20の各々は、該光源22からの該光のビーム経路を通る、該サンプル容器6の該モータ10による回転によって、該入射ビーム軸「Y」内に順に配置可能となる。したがって、各検出チャンバ20に収容されている該サンプルの該部分内の該細菌粒子からの散乱光を、該光学機器2によって順に集光して測定することができる。いくつかの実施形態において、「測定する」に関しては、該サンプル中の細菌によって散乱した該光の量/光の強度を定量的に評価することを意味し、それに対して、他の実施形態では、異なるサンプルチャンバ内のサンプルによって生じた該散乱の相対的な量の定性的評価を実行することができる。
【0055】
該図示されている実施形態において、該光学機器支持構造28は、該光学機器2の該構成要素のうちのいくつか、例えば、該集光構成24および該光検出器26をカバーする(おおび、該構成要素のいくつかに対して、いくつかの支持機能を設けてもよい)上方(突出)カバー部32を備えている。また、該上方カバー32は、該実質的に垂直な入射ビーム軸「Y」に沿って進む非散乱光が、該装置1から出ることを防ぐ、または、(例えば、該光源22が光を放射している間に、該ハウジング12の該蓋12dが取り外される場合に)該装置1の該ユーザに誤って到達するのを防ぐという追加的な有用な機能も実行できる。該光学機器2のさまざまな構成に関する追加的な詳細を、図4図7に関連して以下に記載する。
【0056】
次に、該温度制御モジュール14について検討すると、図2図3A図3Bおよび図3Cを見て分かるように、該装置1のこの部分は、該モータ10およびそのハウジング10aの上に取付けられて、該モータおよび該ハウジングによっても支持されており、および少なくとも一つの加熱素子34と、循環構成36とを備えている。各加熱素子34、例えば、加熱コイル、または、構成/複数の加熱コイルは、該サンプルカルーセル8の下に配置されている対応するコンパートメントまたはチャンバ38内に配設することができる。該図示されている実施形態においては、一対の加熱素子34が、該サンプルカルーセル8の下で該モータ10の上の平面内に配設されて設けられており(図3Aを参照)、該一対の加熱素子34の各々は、該光学機器支持構造28のそれぞれの側部に配置されている。該当業者は正しく認識するように、各加熱素子34は、使用時に、その近傍の空気を暖め、この暖められた空気は、該サンプルカルーセル8の下面およびその関連するサンプル容器6に向かって上昇する。そして、該循環構成36は、該装置のハウジング12の至る所により広範に該空気を循環させ、その結果、該サンプル容器6の上や周りを通る、暖められた空気の実質的に一定のフローが維持され、そのため、該サンプル容器6の内容物の該温度は、迅速な細菌の成長および増殖を促進するように、所望の(最適な)温度範囲内に保たれる。該図示されている実施形態において、該循環構成36は、該サンプル容器6より上のレベルに配設されている吸気口40aと、該サンプルカルーセル8より下のレベルに配設されている排気口40bとを有している一対の再循環ダクト40を備えている。このようにして、該装置の内部の空気の温度を、必要に応じて、迅速に調節することができる。また、該循環構成36は、エアフローを該循環構成36の周りに引き起こすための一つ以上の関連するファン42または他の機構も備えている。具体的には、該図示されている実施形態において、各加熱素子34は、当該加熱素子によって加熱された該空気の循環を、該循環構成36を介して引き起こすための、該加熱要素に結合されたファン42を有している。
【0057】
図3Cは、該温度制御モジュール14によって実現される空気の動きを詳細に示す。各加熱素子-ファンの対が、その対応する再循環ダクト40の該ベースに配設されている。該ファン42は、該関連する加熱素子34を通る/横切る空気の一定の流れを引き起こし、そして、この加熱された空気は、該再循環ダクト40の該対応する排気口40bから、該サンプルカルーセル8の下の副室または中間コンパートメント43内へ追いやられる。次いで、該加熱された空気は、該装置の中の上方へ上昇して、該サンプル容器6を横切っておよび該容器の周りを流れて、該プロセスにおいて冷却する。次に、この比較的冷たい空気は、該再循環ダクト40の該吸気口40aに入って、該ファン42によって追い出された該空気と取って替わって、該加熱素子-ファンの対に向かって下降して還流する。該再循環ダクト40が該光学機器2の両側に配設されるため、これらのダクト40を形成するのに用いられる材料は、該加熱された空気が、該光学機器の構成要素の過熱を引き起こすことを防ぐように、適切に成型および構成される。このことは、それらの構成要素の何らかの好ましくない歪みまたは故障を防ぐのに、または、余計な熱により、誤りのある測定が行われるのを阻止するのに役に立つ。
【0058】
該装置は、各々が複数の加熱コイルを備えている一対の加熱素子を有するように図3A図3Bおよび図3Cに図示されているが、選好およびデザインに従って、一つ又はより多くの加熱素子が適切である可能性があることは理解されるであろう。さらに、本発明のこの実施形態における該チャンバ内の該空気の急速な加熱を実行する際には、複数の加熱コイルが有利である可能性があるが、一つの加熱コイルを用いてもよく、また別法として、他の多くの形態および構成の一つ以上のヒータが該当業者には利用可能であり、および該一つ以上のヒータを、選好に従って選択してもよい。同様に、本発明の装置は、該装置の内部チャンバの周りに暖かい空気を押し込むために、一対のファン(各加熱素子に一つが割り当てられている)を有して図示されているが、実施形態において、ファンは必ずしも必要ではなく、例えば、該サンプル容器6およびサンプルカルーセル8の回転によって生じる空気の流れは、該サンプル容器6に向かうおよび該サンプル容器の周りでの加熱空気の動きを生成することが可能である。
【0059】
各々が、それらの対応する再循環ダクト40を有している、加熱素子34とファン42から成る有効なミラー構成の対を該サンプルカルーセル8の両側に設けることは、該装置1内での加熱の良好なバランスを維持する際に特に有用であることが明確に示されている。また、該設備は、特定方向での該サンプル容器6の連続回転によって生じる可能性のある、加熱の何らかの非対称性も補正する。さらに、この「ボトムアップ」方式で(すなわち、該空気は、加熱されて、該サンプル容器6を通って迅速に上昇する)該サンプル容器6を加熱することは、該サンプル容器6自体の該材料を加熱上昇させる際の余計な量の熱(および加熱時間)を浪費することなく、それらの個別の検出チャンバ内に収容された該サンプル部分のより迅速でより容易な加熱を可能にする。したがって、該サンプル容器6が、該サンプル容器6の周囲の各異なる検出チャンバ20内に複数のサンプルを含む場合、各検出チャンバ20内のサンプルの加熱は、有益に一貫している。場合によっては、該サンプル容器6内の該サンプルの所望の一貫した温度の維持は、該装置1内に、例えば、該サンプル容器6の上または近傍に配設された(赤外線またはIR温度計等の)温度測定装置の助けを借りて実行することができる。
【0060】
図4は、該光学機器2の光学構成要素の構成例の詳細を示す。この構成において、該光源22は、該検出チャンバ20内に収容された該サンプル部分を照らすために、特定の波長(例えば、620nm~780nmの範囲の、およびより具体的には、約635nmの波長の可視赤色光)で光を生成するのに用いられるレーザダイオードを有するレーザモジュールに相当する。上記の波長は、尿サンプルの分析に関連して用いられることが想定されているが、分析すべき該サンプルの性質により、使用する光の該波長が異なっていてもよいことに留意されたい。例えば、(約650nm~約1350nmの)近赤外線波長は、血液サンプルに関連して用いることができるであろう。該レーザダイオードは、レーザ出力の変調周波数および振幅を制御するように適合されている信号発生器(図示せず)に接続されている。該光検出器26は、ロックイン増幅器(これも図示せず)に接続されているフォトダイオードに相当し、該ロックイン増幅器もまた同様に、該レーザダイオードのための該信号発生器に接続されている。このことは、該フォトダイオードが、該レーザダイオードのための該信号発生器によって生成された該変調周波数に相当する周波数を有する特定の受信信号を分離して除去することを可能にする。このことは、他の周波数でのノイズ信号(例えば、バックグラウンドノイズ、電気的ノイズ)を除去できるようにし、それによって、該光学機器2を用いて得ることが可能な該信号対ノイズ比が改善される。これらの構成要素は、一つ以上のプリント回路基板(PCB)または他の種類のマイクロコントローラの形態を取ることができる該システムのプロセッサ16のうちの一つ以上を介して制御することができる。
【0061】
この実施例における該集光部24は、該図示されている実施形態において、該入射ビーム経路を横切って延在するように該支持構造28に取付けられているリフレクタまたは反射面を備えている。具体的には、図4の該集光部24は、偏心穴、開口または開口部46が中に設けられた湾曲凹状楕円形ミラー44に相当する。該ミラー44は、該穴46が該入射ビーム軸「Y」と位置合わせされるように、該支持構造28に取付けられ、それによって、該検出チャンバ20から出て行って、該ビーム軸Yに沿って進む非散乱光が、実質的に偏向されずに直接該ミラー44を通ることを可能にし、したがって、この非散乱光は、該光検出器26に到達することが阻止されている。さらに、該ミラー44は、該サンプル中の該粒子によって前方方向に散乱した該光が、および具体的には、該入射ビーム軸Yの約+4度~+16度と、約-4度~-16度の間の角度の範囲内で散乱した該光が、該ミラー44によって反射されて該光検出器26に向かうような角度およびサイズで構成されている。いくつかの他の実施形態においては、該光検出器26に向かう、該ミラー44によって反射される該光は、該入射ビーム軸Yの約+5度~+16度の間、および約-5度~-16度の間の角度の範囲内とすることができる。
【0062】
該散乱光の検出の感度を考慮した場合、該集光部(ミラー)の開口46のサイズと、該光源22からの該光ビームの幅と、該光ビームがそこを通る該サンプル容器6の各検出チャンバ20の幅(直径)との間には相互作用があることは該当業者には正しく認識されるであろう。該散乱光の検出感度を最適化するためには、それらの値をうまく両立させる必要がある。該光源22からの該光ビームの該幅を増加させると、該光ビームによって照らされる該サンプル中の(細菌)粒子の該量が増加し、このことは、結果的に、検出することができる任意の所与の散乱事象で生成される散乱光の該量を増加させる。しかし、検出チャンバ20から出てくる散乱光の測定を実行する場合、該光ビームの全幅が、該検出チャンバ20内の該サンプルを照らす時間を延ばすことは、(該サンプルからの散乱光の検出が実行される精度を低下させるであろう内部散乱を引き起こす可能性がある該検出チャンバ20の壁から離れて)該サンプルを通る該光ビームのより長い「クリーンな」測定経路/ゾーンをもたらす。したがって、該光ビーム幅を増加させることは該検出感度を上げるが、それら二つの要因のバランスを取るためには、光ビーム幅は、それにもかかわらず、該検出チャンバ20の該幅/直径よりも小さいままでなければならない。さらに、該集光部(ミラー)の該開口46の該直径を、該光ビームの該幅にできる限り近くなるように該システムを構成することが、集光される非散乱光の量を最小限にしながら、可能な限り多くの散乱光を集光して、該光検出器26の方に向けることをできるようにすることになることも正しく認識されるであろう。しかし、該光ビームの該幅が、該開口46の該直径にほぼ一致する場合、(当該の該構成要素の振動または機械加工公差による)測定中に該光ビームが進む該経路内のわずかなずれが、該光ビームと該開口46との該アラインメントに悪影響を及ぼす可能性があり、したがって、このことは、それに応じた悪影響を該検出感度に及ぼすことになる。
【0063】
特定の実施形態においては、該検出チャンバ20の該直径が約4mmであり、この場合に、約1mm~3mm(より具体的には、1.5mm~2.4mm)の光ビーム幅が、照らされる細菌粒子の数と、該検出チャンバ20内の該「クリーンな」測定経路の長さとの間の良好なバランスをもたらすであろうことが想定される。このような実施形態において、該開口46の該幅が、約3mmになるように選択された場合、機械加工公差および/またはシステム振動を考慮に入れるように、該開口幅と該光ビーム幅との間に十分な余地が残されるため、例えば、約1.5mmの光ビーム幅が、使用に適していることになるであろう。しかし、該開口46が大きい場合(例えば、該検出チャンバ20の該直径に一致するような4mmの直径)、用いられる該光ビーム幅も、それに応じて(例えば、約2mm~2.4mmまで)増加する可能性がある。
【0064】
該図示されている実施形態の該構成において、凹状の楕円形ミラー44は、該前方散乱光を、該光検出器26に焦点が絞られるように/集束するように、所定の角度で、該入射ビーム軸Yから離れて(および、該入射ビーム軸Yに対して、実質的に90度だけ離れて)反射させる。該システムプロセッサ16のうちの一つ以上が、該光検出器26に結合されており、および検出された該散乱光の強度を計算するために、該光検出器26によって生成された該検出信号を処理する。(時間の関数としての、該測定された散乱光強度に相当する)検出器出力のグラフまたはプロットを生成することができ、このようなグラフの実施例を図8に示す。このグラフおよび/または該グラフを生成するのに用いられるデータは、該ユーザインタフェース15を介して、例えば、経過に関する実質的にリアルタイムの指標として、一定間隔で、または、一旦、所与のサンプルに対する該分析プロセスが完了すると、最終的な(概要)出力として、該ユーザに対して表示することができる。
【0065】
図4に示すように、この実施形態の該システムは、該入射ビーム軸「Y」と位置合わせされているが、該集光部24の、該サンプルとは反対側に配設され、および該ミラー44の該穴46を通る該非散乱光を検出して測定するように構成されている第二の光検出器48も備えている。この第二の光検出器48は、該第一の(主)光検出器28と実質的に同じ方法で構成することができるフォトダイオードにも相当し、すなわち、該第二の光検出器48は、該第二の光検出器48(および/または該光検出器48に関連する該プロセッサ16のうちの一つ)もまた、該レーザと周波数が異なる任意のノイズ信号から、所望のレーザ信号周波数(および位相)を除去することができることを確実にするために、ロックイン増幅器を介して該光源22の該信号発生器に接続されている。この追加的な第二の光検出器48の設備は、該非散乱レーザ光のベースライン測定値(baseline measurement)を得られるようにしている。このベースライン測定値は、該第一の(主)光検出器26を用いて測定した該散乱光の強度測定値と比較することができ、それにより、例えば、照射における異常を検出できるようになり、該レーザの安定性も、分析中に評価および考慮されることができる。本開示の該実施形態のいずれかにおいては、第二の光検出器48を省いてもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかのこのような実施形態においては、該レーザからの非散乱光を集光するのに、ビームダンプまたは他の装置を用いてもよい。
【0066】
場合によっては、該ミラー44は、適切なサイズ、形状および反射特性が確実に得られるように、カスタマイズされた成型プロセスによって製造される。このようなプロセスの間、該ミラー44の該反射面は、アルミニウムまたは強化アルミニウムを用いたミラー面の例えば、(蒸着)コーティングによって形成してもよい。いくつかの任意の場合において、(約650nmにおける)該ミラーの反射率は、90%超え(例えば、少なくとも95%または98%)でなければならず、また、該ミラーの表面粗さは、100Å未満(例えば、80Å未満、60Å未満さらには、40Å以下)でなければならない。図4に示す該光学構成は、本開示を実行するのに必要な部材の数を減らす際に特に有益であるが、他の光学構成も可能である。例えば、図4のカスタマイズされた凹状楕円形ミラー44は、一対の反射素子、例えば、前方散乱光を焦点レンズ上に偏向させる第一のミラー、または、該第一のミラーからの反射光の焦点を光検出器26に絞る第二の凹状ミラーと置き換えてもよい。追加的にまたは別法として、一つ以上の追加的な集光構成要素を、該光検出器26に関連して、または、該光検出器に関連付けて、該光学機器構成2に組み込んでもよい。例えば、一つ以上の集光構成要素(例えば、集光器)は、該光検出器26によって集光される散乱光の該量を最大化するために、該光検出器26の周りに「集光コーン」を形成するように構成することができる。
【0067】
代替的な光学機器構成2’が図5に図示されており、この場合、該カスタマイズされ、特定的に形状が形成されたミラー44’ではなく、(該反射率および表面粗さ特性は同等でなければならないが)既製の凹状ミラー44’を用いることができる。この場合、該ミラー44’の曲率は、必ずしも該サンプルとの相互作用からの該前方散乱光のすべて(または、少なくとも実質的にほとんど)を該光検出器26に集束させるように構成する必要はない。このような場合、該ミラー44’によって反射された可能な限り多くの該前方散乱光が捉えられて該光検出器26に集束されることを確実にするために、追加的な集光構成要素50(例えば、フレネルレンズ等の集光器)を、該ミラー44’と該光検出器26との間の該光路内の該光学構成に導入してもよい。このことは、該光学機器2’を用いて得ることができる該散乱光の総量を最大化し、このこともまた同様に、経時的な、該サンプル中の細菌の該相対的な量または濃度のより小さな変化を検出するための該装置全体の該感度を上げる。他の実施形態では、上述したように、該レンズ50は、光を該光検出器26上に反射させるように構成された第二のミラーと置換することができるであろう。また、図4の該光学機器構成2に関連して上述した該追加的な集光構成要素も、上述した該集光構成要素50に加えて、または、該集光構成要素に対する代替として該光学機器2’に組み込んでもよい。
【0068】
図6は、散乱光と非散乱光を別々に集光することが想定されている、別の代替的な光学機器構成2”を示し、それら二種類の光の該ビーム経路が図面に図示されている。この代替的な構成において、該集光部24は、該第一のレンズ52aの焦点長さよりも長い距離「a」だけ離され、および該レンズの凸状面が、該入射ビーム軸Yに沿って互いに対向するような方向に向けられている一対の集光レンズ52a、52bを備えている。この構成において、該第一の集光レンズ52aに入射した光の任意の発散ビームは平行にされて、該入射ビーム軸Yにも平行である平行光ビームになる。そして、このような光の平行ビームは、該第二の集光レンズ52bに入射したときに、該入射ビーム軸Yに沿ってさらなる距離だけ離れた箇所に向かって収束される。しかし、該第一の集光レンズ52aの中心を通る(または、0°から例えば、5°までの最大所定角度で散乱した光に相当する領域内の)光の任意の平行ビームは、代わりに、当該レンズ52aの焦点長さにおける箇所に収束される。該図示されている構成2”において、該集光部24は、該第一の集光レンズ52aの該焦点長さに相当する位置に配設され、および該上記の最大所定角度以下の入射の角度で該第一のレンズに入った光のみを反射するようなサイズに形成されおよびそのような方向に向けられたミラー54をさらに備えている。そのため、実質的に散乱することなく該サンプルを通過した光は、該第二の集光レンズ52bに到達する前に、該ミラーの表面に当たることになり、および該第二のレンズ52bから離れて偏向される。該図示されている実施形態において、該ミラー54は、該入射ビーム軸Yに対して(他の角度を少なくとも選択することができるが)(実質的に45度の)角度が付けられ、そのため、該ミラー54に入射した任意の光ビームは、該入射ビーム軸Yに関して約90度だけ反射されて、該主入射ビーム経路から外れて向けられ、したがって、この光は、該第二の集光レンズ52bに到達することはない。
【0069】
図4および図5に示す該光学機器構成2、2’の場合のように、図6の現時点の構成2”における該レーザダイオード光源22は、該入射ビーム軸Yに沿って光を放出し、これは、該サンプル容器6の該検出チャンバ20内の該サンプルを照らし、該サンプル中の細菌は、該入射光ビームを前方方向におよび対応する比較的小さな角度範囲に散乱させる。さらに、図4および図5の該光学機器構成と同様に、二つの光検出器が、図6の該光学構成2”内に設けられており、すなわち、第一の「軸外」光検出器26’が、該入射ビーム軸Yに対して(約90度だけ)角度的にずれるように配置され、また、第二の「軸上」光検出器48’が、該入射ビーム軸Yと位置合わせされて配置されている。しかし、図6の該光学構成においては、平行ビーム内で該検出チャンバ20を通過して該検出チャンバから出て行く該非散乱光は、該第一の集光レンズ52aによって該ミラー54に焦点を合わせられた後、該オフセット軸外光検出器26’に焦点を合わせられる。該入射光と、該サンプル中の細菌との該相互作用によって生成される該前方散乱光ビームは、該一対のコリメータレンズ52a、52bによって、該軸上光検出器48’に焦点を合わせられる。これは、該散乱光を検出するのが該軸外(主)光検出器26であって該非散乱ベースラインレーザ光を検出するのが該軸上光検出器48である図4および図5の該構成とは全く対照的である。
【0070】
上述した光学機器構成2、2’、2”のうちの一つを用いることにより、該装置1は、該サンプル中の該細菌の特性および/または数量を評価する際に有用な光散乱の集光を最適化/最大化することができる。これは、本出願人が、このような細菌の相互作用の結果として散乱した該光の大部分(約95%)が、該入射ビーム軸Yの両側で、比較的小さな範囲の角度にわたってのみ、例えば、該入射ビーム軸Yから±20度(およびより具体的には、該入射ビーム軸Yの両側で、約4度または5度~16度)の角度で散乱されることを正しく認識したからである。したがって、散乱光の多重反射および/または拡散を利用して(場合により、後方散乱光を含む)集光強度を高める積分球集光器または他の形態の集光器を要する代わりに、サンプル中の粒子の評価/測定に最も関連のある、それらの特定された角度範囲にわたって散乱した該光を集光するように、および該集光した光を光検出器に向けるように/該集光した光の焦点を該光検出器に合わせるように構成されている、単純化した集光構成を用いることができる。
【0071】
次に、該上述した装置1を用いる方法について図7を参照して説明する。
【0072】
初めに、ステップ105において、該ユーザにより、該臨床サンプルが該サンプル容器6内に固定配置され、その後、ステップ110において、該サンプル容器6は、該装置1内の適切な位置に挿入される。このことは、該サンプル容器6を該光学タワー支持構造28と正しく位置合わせすること(例えば、該サンプル容器6のインデント部または切欠きセグメントまたは他の表面特徴部(feature)58を、該支持構造28、または、該装置1の対応する/相補的な構造と位置合わせすること)と、該サンプル容器6を、例えば、クリックイン/クリップインおよび引き抜き機構を介して該サンプルカルーセル8に係合することとを包含する。いくつかの実施形態において、このプロセスは、(例えば、一連の略図および対応する書込まれた/話された指示を介して)該ユーザインタフェース15によって案内することができる。いくつかの実施形態においては、該サンプルカルーセル8自体も、必要に応じて、容易なクリーニングを手助けするために、取外し可能であってもよい。次いで、ステップ120において、該所望のサンプル分析を実行するために該装置1の該さまざまな構成要素によって行われるべき、予めプログラムされた動作のシーケンスを開始するために、該装置1の該蓋12dが閉じられて定位置にロックされ、そして、該ユーザは該ユーザインタフェース15とやり取りする。
【0073】
該装置1は、これらの予めプログラムされた動作が実行される前に、または、実際には、それらの動作の一部として、ステップ115において、該サンプル容器6を識別するように、および該サンプル容器6自体または該サンプル容器のパッケージングに提供されているデータに基づいて、特定のサンプル容器6に関連する情報を判断するように構成することができる。場合により、この情報は、該サンプル容器6に与えられた固有識別コード内に含んでもよく、または、該コードを介して取得可能であってもよく、該コードは、該サンプル容器6自体に関連する固有識別子を、該サンプル容器6がその一部を構成する特定のバッチに関連する固有識別子を、および該サンプル容器6の内容物に対する使用期限を含んでいてもよい。この識別コードは、(例えば、該装置1に連動する独立したスキャナを介して)該サンプル容器6の該挿入前に、または、(例えば、該装置1に一体化されたスキャナを介して)該サンプル容器6の挿入後に、該装置1によってスキャンすることができる、RFIDタグまたはバーコード(例えば、2Dバーコード)の形で与えることができる。例えば、該装置のハウジング12の内壁に取付けられている、内部バーコードスキャナ/リーダー59が(図2の該図示されている装置内に)示されている。この実施形態において、該スキャナ59は、該サンプル容器に配設された識別RFIDタグまたはバーコードの方に向けられるような特定の角度で取付けられている。例えば、該バーコードまたは識別の他の手段は、該サンプル容器6の角度の付いた部分58aに配設することができる(例えば、図9Aおよび図9Bに示すように、該サンプル容器6が、一旦、該装置1に挿入されると、該バーコードを該スキャナ59によって読取ることができるように、該サンプル容器6の該切欠きセグメント58に隣接して配置することができる)。
【0074】
また、追加的な情報、例えば、所与のサンプル容器6の該検出チャンバ20の各々の中に供給された該特定の薬物の詳細を、該識別コードの一部として、または、該識別コードに加えて与えてもよく、その結果、該分析は、検査される該薬物の情報とともに実行される。さらに、実装されるのが必要である可能性のあるソフトウェアの更新に関する詳細も、与えられる情報の一部として含むことができ、このことは、該装置1が、必要である可能性のある適切なソフトウェアの更新および変更に関する情報を該サンプル容器6自体から容易かつ有効に取得することを可能にする。
【0075】
追加的にまたは別法として、該固有識別コードは、該サンプル容器6の該パッケージングに(例えば、特定のバッチの一つまたは複数のサンプル容器6を格納している箱に)設けることができ、または、例えば、該パッケージングに関連する、および関連のある識別情報が既に組み込まれているUSBメモリの形で、該パッケージングとともに与えてもよい。有利には、該パッケージングまたは独立したUSBメモリを利用して、この情報を与えることは、該データを収容するのに利用可能な格納スペースを増加させ、それにより、より多くのデータを該識別コード内に設けられるようにしている。このような場合、該装置のハウジング12は、該USBメモリを収容して、該USBメモリとインタフェースをとるためのポートを備えていてもよい。
【0076】
また、該装置1は、該サンプル容器6が、該装置1とともに使用できる承認されたバッチの容器のうちの一つであることを確認するように(例えば、任意の偽造のまたは無許可のサンプル容器を識別して、それらが該装置1に使用されるのを防ぐように)プログラムすることもできる。この点について、該サンプル容器6には、該装置1によって検出可能な識別(偽造防止の)特徴部を設けてもよく、これは、上述した該固有識別コードの一部として、または該固有識別コードに加えて設けることができる。該装置1は、このような特徴部を含んでいない任意のサンプル容器6を処理するのを拒絶または拒否するようにプログラムしてもよい。
【0077】
図10および図11を参照して、より詳細に後述するように、該サンプル容器6は、該臨床サンプルが、当初、その中に保持される中央サンプルチャンバ60と、該さまざまな個別のサンプル部分の最終目的地に相当し、そこで該サンプル部分が照らされて分析される複数の検出チャンバ20とを備えている。したがって、ステップ125において、該装置1によって実行される第一の一連の予めプログラムされた動作は、該臨床サンプルの部分を、該中央サンプルチャンバ60から、該複数の検出チャンバ20の各々へ再配分するために、特定の回転数で、特定の所定方向に、および特定の期間にわたって回転するように、該モータ10を作動させることである。この一連の動作は、次の連続的なステップ、すなわち、(a)該臨床サンプルと、該サンプル容器6内に設けられた成長培地62とを混合して、細菌成長に対して良い結果をもたらす環境を形成することと、(b)より小さなサンプル部分を、複数の径方向に延在する流体構造64の各々に配分して、該サンプルから、望ましくない粒子(例えば、沈殿物等)を取り除くことと、(c)該より小さなサンプル部分を、各流体構造64内に設けられた、対応する薬物(例えば、抗生物質)と混合することと、(d)照射および経時的な分析のために、その対応する検出チャンバ20内に最終的な薬物投与されたサンプルを保持することとを伴う。当然のことながら、いくつかの用途では、コントロールサンプルは、抗生物質または他の薬物に晒されない。
【0078】
一旦、このプロセスが実行され、およびさまざまな薬物が投与されたサンプル部分が、それらの各検出チャンバ20に再配分されると、該装置1によって行われる次の一連の予めプログラムされた動作は、各検出チャンバ20内の該サンプルの該分析を包含する。該モータ10は、該サンプルカルーセル8および関連するサンプル容器6の回転を、一定の回転速度(例えば、100または200rpm)で、長期間にわたって(例えば、約60~90分の経過にわたって)駆動するようにプログラムされ、その結果、該サンプル容器6上の所定の箇所、例えば、特定の検出チャンバ20は、約0.6秒毎にフル回転を実行する。それに応じて、使用時に、各検出チャンバ20は、約100または200rpmの回転速度で、(例えば、回転速度が100rpmの場合、約0.6秒毎の)所定の間隔で、該入射ビーム軸Yを通過することになる。それにより、そのそれぞれの検出チャンバ20内の各サンプル部分が(所定の時間間隔毎に)順に照らされ、該散乱した光は、該光検出器26によって集光されて、およびアッセイ(細菌成長/抗生物質の感受性分析)の該経過にわたって、一定間隔毎に処理し/分析することができる。場合によっては、測定の頻度を仮定すると、サンプル測定値の(加重)移動平均を、各検出チャンバ20から得られた該散乱光測定値を処理して組合せるのに利用できることが想定される。このことは、(該加重平均を得るために組合された個別の測定値の数の平方根により)各平均化されたサンプル測定点に関連する該ノイズを有益に低減するであろう。例えば、場合により、該移動平均は、百の測定値にわたって(例えば、予想される該100rpmの回転速度で60秒)適用することができることが想定される。いくつかの実施形態において、該サンプルカルーセル8(およびサンプル容器6)の該回転速度は、予めプログラムされた/工場出荷時の設定に従って選択され、および該装置1の処理速度および/または所望される測定の該頻度に従って決めることができる。そのため、アッセイ中の該サンプル容器6の該回転速度は、100rpmよりも速くても遅くてもよい(例えば、50~300rpm)。同様に、アッセイの長さも、予めプログラムされた/工場出荷時の設定に基づいていてもよく、または、いくつかの実施形態においては、ユーザの選好に従って設定してもよい。例えば、該アッセイの該長さは、細菌および/または該細菌に対して検査すべき該抗生物質の種類によって決めることができ、および約二十分~四時間、例えば、約二十分~二時間、または、約二十分~一時間半とすることができる。いくつかの好適な実施形態において、該アッセイの該長さは、約二十分~一時間、または、約三十分~一時間である。
【0079】
この文書において簡潔に前述してきたように、測定された該散乱光強度の結果として、(光学構成2および2’内の)該主「信号」フォトダイオード26および(光学構成2”内の)該フォトダイオード48によって生成された該信号の強度は、分析される/アッセイされる該サンプル中の(細菌の)粒子の該量および/または濃度と相関関係がある。換言すると、より大きな/より強い信号は、より多くの量の光散乱に、ひいては、同様に、該サンプル中の(細菌の)粒子のより高い濃度を示す、より大きな散乱光強度に相当する。したがって、(該散乱光強度に基づく)経時的な該検出信号に関するグラフ表示は、サンプル中の細菌の量および/または濃度の時変の変化を可視化し、それによって、当該の特定のサンプルに既に投与されている薬物の該種類および濃度に対する、当該サンプル中の該細菌の該感受性を示しおよび最終的に判断するのに用いることができる。
【0080】
そのようなグラフ表示の実施例を図8に示し、この場合、五種類の異なる抗生剤に対する、臨床サンプル中の細菌の該感受性をテストした。この実施例においては、該サンプル容器6は、二十八の別々の検出チャンバ20と、臨床サンプルを該二十八の検出チャンバ20内に分離するための関連する流路とに分割され、その結果、最大で二十八の別々のアッセイを同時に実行することができるであろう。該二十八のアッセイは、領域1~領域4と標記された四つの領域(図8を参照)に分けられ、および各領域において、五つの抗生物質感受性検査を(入射光が通過するのを防ぐために、該検出チャンバが変更されている(例えば、不透明にされている))一つのネガティブコントロールと、(抗生物質が何もない場合の抑制されない細菌成長に追従するための)一つのポジティブコントロールとともに実行した。この場合、各領域の五つのアッセイチャンバの各々にそれぞれ、五つの異なる抗生物質が供給され、その結果、各抗生物質に対する細菌感受性を、該四つの領域の各々で一つの検査を、サンプル容器6毎に4回繰り返して検査することができるであろう。このようにして、該サンプル容器6を中心として該アッセイの再現性を評価することもできるであろう。該サンプル容器6は約100rpmで回転され、および各検出チャンバ20から集められた散乱光強度の測定値は、約八十分の該経過にわたって取得した。
【0081】
図8の該グラフから明らかなように、該ポジティブコントロールとして作用するそれらの検出分析チャンバは、該測定期間の該経過にわたる、検出された散乱光強度の概して指数関数的な増加(ひいては、対応する指数関数的な細菌の量および/または濃度の増加)を示した。このことは、薬物または他の反応抑制剤が存在していない場合、および該細菌を、十分な成長培地を含有する溶液中で普通に成長させて複製することができる場合に、(該アッセイ条件下で)典型的に予想されるであろう細菌の量および/または濃度の増加の程度を反映している。その間、該ネガティブコントロールとして作用するそれらの検出チャンバは、予想されるように、全測定期間にわたって、最小限の検出強度を示した。さまざまな抗生物質を含有する該五つの検出チャンバのうちの四つは、検出した強度の変化を示し、これは、該抗生物質の作用の結果としての(該ポジティブコントロールと比較して)細菌の量および/または濃度の低下を示し、すなわち、ポジティブコントロール曲線と比較して低いかまたは負の勾配を有するが、依然として(少なくとも最初は)ネガティブコントロールラインより上の値を有する曲線を示す。したがって、該ポジティブコントロールのサンプルと比較した、該さまざまな薬物が投与されたサンプルのうちの、経時的に、該測定した光散乱の強度の最大の減少を示す一つは、該サンプル中に存在する該細菌の菌株が最も感受性がある、特定の種類および/または濃度の抗生物質が既に投与されている該サンプルに(理論的に)相当する。そのため、該臨床サンプルを取得する該患者を治療する際に、比較的短期間の該経過にわたって、どの抗生物質が、およびどのような濃度が、最も有効になりそうかを容易に判断することができる。しかし、例えば、細菌培養の反応が少し長い時間をかけて変化する場合や、ある抗生物質が効果を発揮するまでに時間がかかる場合など、必ずしも投与する抗生物質が最適とは限りません。
【0082】
当然のことながら、多くの異なる抗生物質を、該サンプル中の該細菌がそれに対して感受性がある可能性があるものになることを判断することができることが可能である(および実際には可能性がかなり高い)。そのため、治療に用いられる最も適切な抗生物質を判断するためのさまざまな異なるアプローチを考えることができる。例えば、少なくとも一つの抗生物質が有効であることが確かめられた後は、どの時点でも、該分析を終了する能力によって、該感受性の結果をリアルタイムで該ユーザに提示することができる。しかし、例えば、細菌の培養の反応が少し長い期間をかけて変化する場合、または、ある抗生物質が効果を発揮するまでにより長い時間を要する場合、これは、必ずしも投与するのに最も適切な抗生物質ではない可能性がある。別法として、別のアプローチを、該検査が実行される時間を(例えば、三十分、四十五分または一時間に)制限するようにする、および当該時間の後に、該結果を該ユーザに提示するようにしてもよく、このことは、多数の(または、全くない)抗生物質および/または投与レベルを、被験者への投与のために考慮してもよいことを意味する。別の選択肢は、一定数の抗生物質が有効と思われた後に、単に結果を提示することである。このことは、当然のことながら、該検査に必要な所要時間が変わることを意味する。当然のことながら、これらのアプローチの組合せを採用してもよい。
【0083】
各アッセイで用いられる該薬物または抗生物質および各々の濃度は、多くの決定因子、例えば、該装置が使用される地域および/またはスクリーニングされる疑わしい医学的指標(medical indication)および可能性のある細菌感染に基づいて選択できることは正しく認識されるであろう。例えば、生体サンプルが、尿路感染症(UTI)の抗生物質感度をアッセイするための尿を含む場合、使用される該抗生物質は、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸(2:1合剤)、セファレキシン、シプロフロキサシン、エルタペネム、ホスホマイシン、レボフロキサシン、メシリナム、ニトロフラントイン、トリメトプリム、トリメトプリム/スルファメトキサゾール(1:19合剤)を含む群のうちの一つ以上から選択することができる。しかし、選択される該抗生物質、およびそれらの濃度または濃度の範囲は、該スクリーニング中に期待される結果をもたらすように設計された任意の抗生物質(濃度)の形をとることができる。
【0084】
異なる領域に対する該グラフの比較からも明らかなように、該信号ノイズレベルの増加が、該回転の該経過中に検出されており、すなわち、(各一回転の終わり近くの検出チャンバ20に相当する)領域4の場合に得られた信号測定値は、領域1の場合に得られたものよりもかなり多くのノイズ散乱を呈している。このノイズの増加の原因については、この増加したノイズを処理する方法とともに、図11および図12を参照して、より詳細に後述する。この方法の結果が図13に示されており、そこからは、該サンプル容器6の該異なる領域内のさまざまな検出チャンバ20にわたる該信号対ノイズ比がかなり小さい変動を示し、および互いにかなりはっきりと一致していることが分かる。このことについては、図13を参照して、より詳細に後述する。
【0085】
それでもなお、本願明細書に記載されている本開示の実施形態は、サンプル分析の並行処理に関して恩恵をもたらすことは当業者によって正しく認識されるであろう。具体的には、該サンプル容器6の構造は、(さまざまな異なる濃度の)多数の異なる薬物を、一回の測定サイクルの経過中に、同じ対象のサンプルに対して検査することができ、それらの結果が直接的に互いに比較することができ、評価を実行するのに必要な装置や時間を最小限にすることを意味している。該多数の異なる薬物および濃度に関するこのような並行分析は、単一の対象のサンプルからの検査結果に対する環境的影響をなくすのにも役に立つ。
【0086】
該装置の機能に関する理解を助けるために、該消耗品のサンプル容器6の概要について、図9および図10に関連して記載する。
【0087】
前述したように、該サンプル容器6は、垂直方向断面が実質的に円形であり、および該容器6の径方向外側部周辺に間隔を置いて配置されている複数の検出チャンバ20と連通している、共通の(中央)サンプルウェルまたはリザーバ60を備えている。各検出チャンバ20は、(複数の流路66、68を備えている)それぞれの流体構造または流体系64を介して、該共通のサンプルリザーバ60に流体接続されている。しかし、該検出チャンバ20は、それ以外では、流体的に互いに分離されている。該流体構造64、サンプルリザーバ60および検出チャンバ20は、該サンプル容器6の該ベースに設けられている。該流体構造64は、該モータ10による該サンプル容器6の回転によって生成される該遠心力/向心力を利用して、該サンプルリザーバ60から、該それぞれの流路66、68を通って最終的に該それぞれの関連する検出チャンバ20に向かう該サンプルのフローを引き起こす。該サンプル容器6の該中心回転軸Xからの各検出チャンバ20の径方向距離は、使用時に、該サンプル容器6が該装置1内で回転する際に、散乱強度の個別の測定値を、該サンプル容器6内の各サンプル部分から得られるようにするために、該光源22からの該光ビームが該検出チャンバ20を順に通過することを確実にするための「d」、すなわち、該サンプル容器6の該回転軸Xと該入射ビーム軸Yとの間の距離に相当する。
【0088】
正しく認識されるように、該検出チャンバ20が、該図示されているサンプル容器6内に一体形成されているため、該サンプル容器6(または、少なくとも、該検出チャンバ20を備えている該サンプル容器6の部分)は、該光源22からの該光が、該検出チャンバ20に入りおよび該チャンバから出て行くことを可能にするために、光を透過する(または、該光源の波長の光を少なくとも実質的に透過する)材料で形成されている。具体的には、図示されている構成において、光源22からの該入射光は、照らされる該検出チャンバ20と位置合わせされた位置において、該サンプル容器6の該ベースまたは下面を通過した後、該サンプル容器6の該上面から出て該集光部24に向かう。しかし、該光源22と、検出チャンバ20と、集光部24との間の他の構成/関係も可能であり、および本開示の範囲内にあることは正しく認識されるであろう。
【0089】
図10に示されている該図示されているサンプル容器は、十九の検出チャンバ20と、それらの関連する流体構造64とを備え、および四つまたは五つの検出チャンバ20およびそれらの関連する流体構造64とサイズがほぼ等しい「切欠き」セグメント58を有している。しかし、本開示の該範囲から逸脱することなく、異なる数の検出チャンバを、および/または異なるサイズまたは形状で形成された切欠きセグメント58を(または、図8のデータを生成するのに用いられる該サンプル容器の場合のように、切欠きセグメントが無くても)用いることができるであろうことは正しく認識されるであろう。流体構造64の該数を最大化する際の実用性および効率のため、該切欠き58は、例えば、約20°~60°、適切には、約30°~50°の角度の範囲を画定することができる。
【0090】
製造に関する便宜上の様態において、該流体系64は、該サンプル容器6の該下面の流路、リザーバおよび凹部として形成されている。そのため、閉鎖系を構成するために、該サンプル容器6の該ベースに対応する表面領域占有面積を有するベースカバー6cが、該アセンブリを閉じ、および該サンプル容器6の該下面に形成されている該流体系64およびサンプルリザーバ60を覆うために、該サンプル容器6の該底部に取付けられる(図9Cを参照)。適切には、該ベースカバー6cはフィルムである。該ベースカバー6cが無い場合、該流体系6は、該環境に対して開くであろうし、および該流体装置1が使用中である場合に、液体を収容することができないであろう。このベースカバー6cは、該それぞれの検出チャンバ20内の該細菌(または光散乱能力について評価される他の粒子状物質)の後の分析を可能にするために、少なくとも該検出チャンバ20(の内のいくつか)の軸方向下の領域内においては光透過性である。いくつかの実施形態において、該ベースカバー6cは、使用時の光学的なネガティブコントロールを提供するための検出チャンバ20の下等の特定の所定領域において光に対して不透過性であってもよい。
【0091】
該ベースカバー6cは、いくつかの周知の適切なシーリング方法、例えば、ヒートシーリング、超音波溶接、液体接着シーリング等のうちの任意の一つ以上によって、該サンプル容器6の該下面に取付けることができ、または、該ベースカバー6cは、片面/両面接着フィルムを備えていてもよい。どのシーリング方法を用いるにしても、後の分析プロセスに悪影響を及ぼすのを避けるために、高いレベルの光学的透明度が維持されること、および(特に、該検出チャンバ20を覆っている該領域内において)該ベースカバー6cまたは使用されている何らかの接着剤からの入射光の反射が最小限にされることを確保することが重要である。さらに、該シーリングプロセスは、該サンプル容器6の任意の構成要素(例えば、該容器内に配置された任意の薬物)に適合しなければならない(および該任意の構成要素との干渉を避けなければならない)。具体的には、使用時の該液体サンプルの潜在的な汚染を避けるために、接着剤または他の化学物質が、該流体系64内の該ベースカバー6cの該上面に晒されないか、または、最小限の該接着剤または化学物質が該上面に晒されることが所望される。追加的な層6dを、該サンプル容器6の該下面に取付けてもよく(図9Cを参照)、および該層は、該サンプル容器6の該角度が付けられた部分58aに配設されるように構成されている前述したバーコードまたは識別の他の手段を備えていてもよい。
【0092】
便宜上、該サンプル容器6は、適切な堆積のサンプルがその中に装入されるサンプル収容ウェル69を備え、および、収容ウェル69の軸方向下に成長培地または培地62(図9A図9B)を含み、該成長培地または培地62は、該サンプル流体中の細菌の該成長を促進し、且つ、該サンプルが、該サンプル容器6の収容ウェル69内に装入された後に、および該サンプルが、該成長培地62の軸方向下方の該共通の、(成長培地または培地62自体が配設されている)サンプルリザーバ60に入る前に、該サンプルと混合されるように構成されている。便宜上、該図示されている実施形態の場合、該成長培地は乾燥されている(例えば、凍結乾燥されまたはフリーズドライされている)。しかし、液体の濃縮した成長培地を代替的に用いてもよい。代替的な実施形態においては、粉末状の乾燥成長培地を用いてもよく、該成長培地は、流体サンプル中での該培地の迅速な溶解に役に立つ可能性がある。いくつかの実施形態においては、該成長培地を、溶解可能なカプセル/ピルに収容してもよい。
【0093】
一つの実施形態において、該サンプル容器6には、使用のために該容器6に取付けることができるカバーまたはキャップ6aが設けられている。該図示されている実施形態において、該キャップ6aは、一体プランジャまたはプラグ6bと、該容器プラグ6bの該下面にある一つ以上の突出部65とを含む。該キャップ6aが、例えば、ねじ込み係合によって該サンプル容器6に係合される際に、該突出部65または各突出部65は、該成長培地62を覆っている箔/フィルム67を貫通し、それにより、該サンプルを該成長培地62に接触させる。該キャップ6aがさらに定位置までねじ込まれて、該サンプル容器6内の該サンプルをシールすると、該プラグ69が、該収容ウェル69の少なくとも一部に埋まって、該サンプルおよび成長培地62を該共通のサンプルリザーバ60に押し込む。該収容ウェル69の該容積、および、該プラグ6bが該収容ウェル69内に突出できる範囲は、該共通のサンプルリザーバ60に押し入れられるサンプルおよび成長培地の該容積を調節するのに用いることができることは正しく認識されるであろう。さらに、(サンプルと混合される前の)該サンプル容器6内に収容された成長培地の該量/濃度は、該共通のサンプルリザーバ60に押し入れられるサンプル/成長培地の該容積中に所望の濃度の成長培地を供給するように決めることができる。該成長培地が、溶解可能なカプセルまたはピル内に収容されている場合、該成長培地を覆うための箔/フィルム67の使用の必要はなく、したがって、この箔/フィルム67を貫通するのに用いられる該突出部65は、要望が有れば、このような場合には省いてもよいことに留意されたい。
【0094】
一旦、該サンプルと該成長培地62とが互いに接触させられて、該キャップ6aが取付けられると、該サンプル容器6を、装置1内の適切な位置に挿入することができる。好ましくは、前述したように、該サンプル容器6は、特定の向きで該装置1に挿入されるように設計されている。有益には、該サンプル容器6の非対称性を、すなわち、該図示されている実施形態においては、特に該サンプル容器6の該切欠きセグメント58を、該サンプル容器6を最初に該主光学的支持構造28と位置合わせするのに用いることができる。そのため、この向きにおいては、該サンプル容器6は、最初に該装置1に挿入されるときに、該光学的支持構造28の該切欠き部30を実質的に通って延在しない。換言すると、該切欠きセグメント58と該光学的支持構造28との相対的位置合わせは、該装置1内への該サンプル容器6の該挿入を案内し、および挿入中の間違った位置合わせの結果としての該装置1および/または該サンプル容器6への損傷の可能性を回避する。
【0095】
一旦、該サンプル容器6が該装置1内に挿入されると、プログラムされたセットの動作が開始される。次に、該サンプル容器6内の該流体サンプルに対するそれらの動作の影響について、図10を参照して説明する。
【0096】
図10Aに示されているように、各流体構造64と、その関連する検出チャンバ20は、(図10の円「A」で示す)該サンプル容器6内に、実質的に自己完結型のシステムを構成している。共通のサンプルリザーバ60が存在しているにもかかわらず、使用時の向心力/遠心力の作用により、隣接する流体構造64間の流体フローは可能ではなく、それにより、それぞれの検出チャンバ20内で個別に分析すべき該さまざまな薬物が投与されたサンプル部分間の潜在的な交叉汚染が回避される。各流体構造64は、その径方向の最も外側の範囲において、図10Cにハイライト表示されている清澄化(沈殿)チャンバまたはウェル70と流体的に連通している、(図10Aにハイライト表示されている)第一の、径方向に延在する「入口」微小流路66を備えている。該清澄化チャンバ70は、その径方向の最も内側の範囲において、堰部70a(図10B)を介して、図10Dにハイライト表示されている第二の概してU字状の微小流路68と流体的に連通している。この第二の微小流路68は、ほぼ逆平行方向に沿った流体フローを可能にするように構成されている、一対の径方向に延在する第一および第二の流路アーム68a、68bを有している。該第一の流路アーム68aは、該清澄化チャンバ70と、(当技術分野においては、「空気圧ばね」または「空気バラストチャンバ」としても知られている)図10Bにハイライト表示されている「空気ばね」または空気圧式(バイパス)弁72との間に延在し、一方、該第二の流路アーム68bは、該空気ばね72と、該検出チャンバ20との間に延在している。該検出チャンバ20は、図10Eにハイライト表示されている。適切には、本開示のいずれかの実施形態において、該流体流路66、68aおよび68bの各々は、略径方向に配置されている。
【0097】
この場合、「空気ばね」という用語は、流体(液体)が、該流体構造64の該流体流路を通って移動する際に、圧縮されて、上昇した圧力下に置かれ、その結果、十分な流体力が該ガスに印加されない限り、該二つの流路アーム68a、68b間の流体フローを阻止するように構成することができる、ガスのポケットを指すのに用いられている。換言すると、空気ばねは、流体構造64の異なる領域間、例えば、二つの流路アーム68a、68b間の流体シーリングおよび進入制御機能を実現できる。別の方法で考察すると、該空気ばね72に対する該サンプル流体の動きは、圧力間のバランス/差によって制御することができ、すなわち、該サンプル容器6の回転ディスクによって引き起こされる遠心性の圧力差は、液体が該空気ばねバルブ機構72を通り過ぎる前に、低減されたガス容積によって引き起こされる上昇圧力(過剰圧力)に打ち勝たなければならない。しかし、本開示の範囲から逸脱することなく、対応する機能性を与えるために、代替的なバルブ機構またはシーリング機構を利用できるであろうことは正しく認識されるであろう。
【0098】
初めに、該サンプルリザーバ60内での該サンプルと該成長培地62との完全な混合を確実にするために、該モータ10は、初期の比較的低速度(例えば、約500rpmまたはそれ以下)で、および(約30秒~約数分間の)所定期間にわたって、該サンプル容器6を交互に時計回りおよび反時計回りで回転させる(すなわち、往復/振動運動を実行する)。
【0099】
続いて、該サンプル容器6は、増加した回転速度で、一方向に回転され、用いられる該速度は、該サンプル容器6の形状寸法等のさまざまな要因に依存して変化し、そのため、場合により、最高で約1,600~1,900rpmの速度を用いることができ、一方、他の事例では、より大きな遠心力が所望される場合、最高で約2,600rpmの速度を用いることができる。このことは、該混合されたサンプルを該中央サンプルリザーバ60から流出させて、該径方向に延在する第一の流体流路66の各々に沿って、該それぞれの清澄化チャンバ70に流入させるのに十分な遠心力を生成する。この回転速度は、該サンプルが、該それぞれの清澄化チャンバ70の各々を実質的に満たすことを可能にするために、および十分な遠心力を印加して、(例えば、約10μm以上の)重い粒子を該清澄化チャンバ70の外縁の周囲に沈殿させるように、所定期間(例えば、約三十秒)維持される。この高速回転サイクルの完了に向かって、十分なサンプル流体が該清澄化チャンバ70内に入って、それらのチャンバ内での流体レベルを、該堰部70aのレベルよりも上に上昇させ、溢れ出る流体は、該第二の流体流路68の該第一の流路アーム68a内に移動される。該サンプル流体中に存在する何らかの沈殿物は、該清澄化チャンバ70内に配置されて該チャンバ内に留まり、その結果、該流路68に入る該流体サンプルは、約数ミクロン以下の粒子、例えば、細菌細胞のみを本質的に含有する。実際には、使用時に該液体サンプルに作用する遠心力は、より重い粒子/不必要な不純物を、該清澄化チャンバ70の該最も径方向外側の壁に向かって押し、その結果、それらの不純物は、該堰部70aから最も遠い位置に保持される。
【0100】
一旦、該流体サンプルのほとんどが、該中央サンプルリザーバ60から該個別の流体構造64内に再配分されると、該サンプル容器6の該回転速度が上げられる(用いられる該速度は、該サンプル容器6の該形状寸法を、場合により、例えば、1,900rpm超えまたは2,600rpm超え、および最高で約3,000rpm、3,600rpmまたは4,000rpmの速度を含むさまざまな要因に依存して変化する)。このことは、該サンプル流体フローが、該空気ばね72によって及ぼされる該圧力に打ち勝つための、および該第二の流体流路68の該第二の流路アーム68bに入るための、十分な遠心力をもたらす。一旦、該空気ばね72の「シール」(圧力ブロック)が、このようにして克服されると、該サンプル流体は、該第二の微小流路アーム68bを通って流れて、該検出チャンバ20に入ることができる。該サンプル流体を該清澄化チャンバ70から該検出チャンバ20へ向けるこのプロセスは、(以下で、より詳細に説明する)該主流体リザーバ60の抗生物質の汚染の可能性を回避しながら、十分なサンプル流体が各検出チャンバ20に入ることを確保するために、例えば、最大で約二十秒程度、行うことができる。
【0101】
該図示されている実施形態においては、特定の種類および濃度の薬物(抗生物質)が、各検出チャンバ20内に存在している。便宜上、該薬物/抗生物質は、例えば、該サンプル容器6の製造中に該検出チャンバ20の該ベース上に最初に置かれて、その後、その上で乾燥されるという結果として、乾燥形態になっている。しかし、該当業者は正しく認識するように、選好または適合性に従って、他の形態の薬物/抗生物質を用いてもよく、例えば、該薬物は、該液体サンプル中に溶解されるように、該流体構造64のある領域内に配置される紙(例えば、ろ紙)上に配置してもよく、または、該薬物は、液状で存在していてもよい。適切には、該サンプル流体が該検出チャンバ20内に流入して該チャンバを充填する際、それによって、該サンプル流体は、該配置されている薬物と所望の濃度まで混合する。一旦、十分なサンプル流体が該検出チャンバ20内に入ると、該サンプル容器6の該回転速度は、該流体サンプルを該検出チャンバ20内に保持するために、好ましくは(例えば、約4,000rpm、3,600rpmまたは3,000rpmから約1,500rpmに)低減される。説明として、該回転速度を低減することにより、該空気ばね72内の該空気は、それにかかる圧力がそれ程でもない場合には、再び自由に膨張することができる。このことが起きると、清澄化チャンバ70内の該流体は、該第一の流体流路66へ押し戻されて該中央サンプルリザーバ60に入る。このことが、該検出チャンバ20内の該流体間にエアバリアを形成するため、交叉汚染が起きる可能性はない。さらに、一旦、該検出チャンバ20が排気されると、その後、該液体サンプルを該空気ばね72に向かって径方向内側に押し込む力は存在しないため、該検出チャンバ20からの流体の何らかの逆流は阻止される。その場合、そのそれぞれの薬物を溶媒和させるための該サンプル流体の慣性混合が、該サンプル容器6の正逆回転(すなわち、時計回りの回転と、反時計回りの回転を交互にすること)によって、所定期間(約数分、例えば、三分)、比較的低速度(例えば、約1,300rpm~1,800rpm)で行われる。
【0102】
初期のサンプル配分段階がここで完了し、そして、それらの個別の検出チャンバ20内の該サンプルの照射、測定および分析を始めることができる。このプロセスの間、該モータ10は、該サンプル容器6を比較的低速度で、例えば、たったの約100rpmまたは200rpmの低速度で回転させるように構成されている。このプロセスは、詳細に前述されているため、ここでは繰り返さないこととする。
【0103】
所望の信号、すなわち、該サンプル中の該細菌粒子によって散乱された該光に相当する該測定信号の部分、を抽出するのに用いられる処理の態様に関するいくつかの追加的な詳細について、図11を参照して記載する。この図は、分析のために該信号の適切な部分を抽出するのに用いられるウェルウィンドウイング(well-windowing)手法を説明する、検出された信号強度の経時的な三つのプロットを示す。
【0104】
本発明者等は、該光源からの該光が、該検出チャンバ20の該壁/縁部に入射する箇所で起きることが分かっている、および該サンプル中の該粒子によってではなく、該検出チャンバ20の該内壁による該入射光の散乱の増加によるものであると判断されている、該光検出器によって測定された、該検出された信号強度内で起きる周期的なピーク特徴(peak features)があることに気付いた。すなわち、図11は、該検出チャンバ20内の該サンプルを通過して該サンプルによって散乱される該光に相当する、該測定した強度信号のそれらのセグメントをより正確に特定するために、信号/データ処理中に、これらのピーク特徴をどのように利用できるかを示す。図11A(上方のグラフパネル)は、該サンプル容器6が該光源に対して回転したときの該光検出器26における、測定した散乱光強度を示す。図示されている該散乱光の軌跡は、三つの検出チャンバ20に、すなわち、該サンプルカルーセル8内の三つの開口部18と、それらの両側のソリッド領域とに及んでいる。回収チャンバ20/開口部18間の該検出した光強度の除去は、中間のグラフパネル(図11B)に示すように、該三つの検出チャンバ20が及ぶ該領域についての、該検出した散乱光強度の軌跡のみを残す。該プロセッサは、該サンプル中の該粒子によるものではない、(図11Aおよび図11Bに示すような)該測定した光強度におけるこのような周期的に生じるピーク特徴を識別して、(下方のグラフパネルの図11Cに示すように)該信号の残りの部分から、隣接するピーク特徴間の測定した強度の該セグメントを抽出するように構成することができ、その結果、(該検出チャンバ20の該縁部によるものではなく、該サンプルによる光散乱に相当する)該抽出したセグメントのみに関連する散乱光強度の測定および判断を、細菌成長をアッセイするために実行することができる。このことは、大きなノイズスパイクを含む該信号の部分に対する処理の実行を有利に回避することができ、および該信号を必要に応じて増幅できるようにすることが可能である。
【0105】
この手法は、単純に所定の「時間ウィンドウ」を用いて、「所望の」信号が得られる測定値を抽出する、すなわち、該所定の期間または「ウィンドウ」内で、該サンプル容器6の各新たな回転の開始からずらした所定のタイミングで、各サンプルに対するデータを抽出するという(比較的より簡単な)方法に対してノイズ低減の改善をもたらす。これは、モータ速度の小さな変動が、該所定の「時間ウィンドウ」と、該サンプル中の該細菌から散乱した光に相当する実際の信号の不整合を生じるためであり、すなわち、該所定の「時間ウィンドウ」は、実際の所望の信号に対して経時的に「ドリフト」することになる。このことは、データ抽出のための該「時間ウィンドウ」が、(該検出チャンバ20の該縁部による散乱から生じる、上述した)該ピーク特徴と重なることになり、および該抽出した信号が、該検出チャンバ20の該縁部からの、より大量の増加した散乱を含むことになって、より大きなノイズレベルを呈することになることも意味する。該抽出「時間ウィンドウ」と、該所望の信号がその期間内にある実際の期間とのこのような「ドリフト」または不整合は、(図8に示す)領域4の該グラフにおける増加したノイズによって明らかなように、回転の該終わりに向かって測定されるそれらのサンプルにおいて、より顕著になるであろう。しかし、上述した該ウェルウィンドウイング手法は、処理のために特定の信号セグメントをリアルタイムで抽出する機構としてというよりも、該サンプル測定値の後処理という観点で、潜在的には、より容易に実施することができることに留意されたい。該抽出した信号における該ノイズを低減するための追加的なまたは代替的な機構も既に開発されており、該機構は、各検出チャンバ20からの該所望の信号がその中にある該「ウィンドウ」のより正確な識別を可能にし、この機構については、図12Aおよび図12Bに関連してより詳細に以下で説明する。
【0106】
図12Aは、該サンプルカルーセル8の底部斜視図を記載し、それに関連して、該強度測定プロセスの較正態様のさらなる詳細について説明している。図12Bは、該サンプルカルーセル8とともにこの較正中に用いられる制御部の拡大図を記載している。
【0107】
図12Aの該図示されている実施形態において、該サンプルカルーセル8は、その下面に配設され、および複数の較正特徴部または歯82を備えている、追加的な較正リングまたは歯車80を備えている。該図示されている実施形態において、該較正特徴部82は、間隔を置いて該較正リング80から突出している複数の径方向に延びているスポークに相当し、および各較正特徴部82が、該複数の開口部18のうちの対応する一つと連動されるように配置されている。
【0108】
使用時において、該サンプル容器6が該サンプルカルーセル8に係合されると、各較正特徴部82は、それによって、該サンプル容器6の該複数の検出チャンバ20のうちの対応する一つとも結合される(associated)ことになる。該装置1は、該サンプルカルーセル8の該下面に隣接して配設されるように該装置1内に配置され、および使用時に、該サンプルカルーセル8が該駆動軸17によって回転される際に、該較正特徴部82の各々と順にインタフェースを取るように構成された較正リーダーまたは光学エンコーダ84をさらに備えている。具体的には、該較正リーダー84は、例えば、(図12Bにより詳細に示されているように)該較正リーダー84内の光学ビーム経路を通過しおよび一時的に遮断する該較正特徴部82によって生じる光学信号の減少または損失の検出によって、それを通過する各較正特徴部82を検出するように構成されている光学構成を備えている。
【0109】
該較正リーダー84は、該較正特徴部82がそれぞれ、該検出チャンバ20のうちの一つと結合される際に、該サンプルカルーセル8の各開口部18と結合された各較正特徴部82を検出して、信号を該装置1の制御部/プロセッサに送り、該較正特徴部82の検出後の所定期間、および該検出チャンバ20が、該検出チャンバ20の該壁に当たることなく、該光源22からの該光を遮る期間を包含するのに十分な所定期間(すなわち、図11Cに例示されている読取値を得るのに十分な間隔)、散乱光強度の測定を開始するのに用いることができる。有益には、このようにして、該光散乱測定ウィンドウは、該光検出器の読取りが該検出チャンバ20と適切に同調されることを確実にするために、該サンプル容器6の回転毎に複数回、リセットされる。該較正特徴部の数は、選好に従って選択できることは正しく認識されるであろうし、例えば、該サンプルカルーセル8の各開口部18毎に結合される較正特徴部があってもよく、または、該開口部18の所定の群と結合する一つの較正特徴部(例えば、二つ、三つ、四つ、五つまたは六つ等の開口部18毎に一つの較正特徴部82)があってもよい。
【0110】
別法として、該較正特徴部82’は、異なる形態を取っていてもよい。例えば、図2図3Aおよび図3Bの該図示されている実施形態の場合のように、該較正特徴部82’は、該サンプルカルーセル8の周囲に間隔を置いて設けられ、および(それらの図に示されているように)該サンプルカルーセル8の該ベースから実質的に下方に延びている隆条部、フィンまたはフラッグの該形態を取っている。そのため、これらの隆条部82’は、成型して、該サンプルカルーセル8の一体部を構成してもよい。この場合、代わりに、該較正リーダー84は、該垂直方向に延在する隆条部82’が、該較正リーダー84の該光学構成を通過するように取付けおよび方向付けてもよい。図3Aおよび図3Bの該図示されている実施形態において、一つの較正特徴部82’は、該較正リーダー84の該光学構成を通る各較正特徴部82’の通過が、対応する各検出チャンバ20から得られる散乱光の読取りまたは測定のためのトリガーを構成するように、該サンプルカルーセル8の各開口部18に結合されている。有益には、このことは、特定のインジケータが、各開口部18ひいては各検出チャンバ20と関連付けられているため、モータ速度の変動により該「ウィンドウ」内で起きる該ドリフトを防ぐのに役に立つ。
【0111】
図13は、該較正特徴部82、82’および較正リーダー84を用いた場合に得ることが可能な該信号対ノイズ比を示す、図1の該装置における時間の関数としての検出器の強度出力のプロットを示す。図8の場合と同じように、該装置1は四つの領域または象限に分けられ、そして、該四つのプロットは、該対応する領域内に配設された該検出チャンバ20から得られた該検出器の強度測定値を表す。図13の該検出器の強度出力プロットを生成するときには、抗生物質または他の薬物が該装置内に設けられておらず、そのため(予想されるように)、それらのプロットは、該サンプル中に存在する該細菌が、(図8の該プロットの場合のように)該抗生物質に対する感受性を明確に示している場合に予想されるであろう、検出器の強度出力の何らかの著しい減少を示してはいないことに留意されたい。しかし、図13の該プロットから明らかなことは、すべてのケースにおいて観察されている信号対ノイズの変動の著しい低減であり、すなわち、プロットされた検出器の強度は、(図8の領域4の場合のように、)他の領域のいずれかにわたってノイズの増加を示す信号領域がない状態で、四つすべての領域にわたって、比較的一定である。
【0112】
場合により、該較正リーダー84(または、該光検出器26に関連するプロセッサ)は、該リーダー84を通過する隣接する較正特徴部82間の時間間隔を計算するように、およびそれらの計算された間隔と、集光された散乱光の該強度が測定される該所定の間隔とを比較するように構成できることが想定される。該測定された「較正」時間間隔と、該所定の測定時間間隔との間に不一致が存在する場合、および不一致が、所定の時間間隔を超えている場合には、該プロセッサは、該「較正」時間間隔に合うように該測定時間間隔を変更するように構成することができる。このことは、該検出チャンバ20が該入射ビーム軸と正確に位置合わせされている場合に、すなわち、該光源からの該光が、該検出チャンバ20の該中心を実質的に通って入射する場合に、該強度測定が行われることを確実にする。
【0113】
添付クレームで定義されている本開示の範囲から逸脱することなく、上記の実施例に対して、多くの変更を行うことができる。
【0114】
例えば、該薬物は、該検出チャンバ20内に設ける必要はなく、代わりに、該流体構造64の異なる部分に、例えば、該第二の微小流路68の該第二の流路アーム68b内に配設することができるであろう。追加的にまたは別法として、(空気ばねのペア間を往復する「スロッシング」を介した)該サンプルと該薬物の効果的な混合のための異なる機構を可能にするために、第二の空気圧バルブまたは空気ばねを、該検出チャンバの後ろの該フロー経路内のある位置に設けてもよい。
【0115】
さらに、該サンプル容器6の構造は、該検出チャンバウェルの該深さを変えることによって、該検出チャンバ20を通過する光の光路長を変えるように変更してもよいことに留意されたい。該光路長を増加させると、該信号を増加させるであろうし、すなわち、該プロセスにおいて、該光は、より多くのサンプル中を通過して、より多くの細菌粒子と相互に作用するであろう。考えられる可能性のある実施例の経路長は、4~10mm(例えば、4、6、8または10mmのウェル深さ)であり、すなわち、該光路長を変更は、該清澄化チャンバ70および該空気ばね72等の、該流体系64内の他の特徴部のサイズの変更も伴うであろう。
【0116】
該信号対ノイズ比を改善するための他の機構は、例えば、光が、該サンプル容器6の他の部分に入ること、または、該他の部分と相互に作用することを防ぐために、プラスチック他の薄い材料製の薄いフィルムまたはシートを該サンプル容器6の該ベースに取付けることによる、該検出チャンバ20の該縁部の「マスキング」を包含し、すなわち、例えば、該サンプルカルーセル8の該開口部18の直径は、該検出チャンバ20の直径よりも小さくてもよい。
【0117】
さらに、該検出された散乱光の該信号対ノイズ比を上げるために、該光学構成2に対して、(任意の)多少の変更を行うことによって、検出感度を上げることができる。例えば、該光学系に戻るこの非散乱光の不必要な反射(この場合、該光は、他の光ビームと相互に作用する可能性がある)を低減するために、非散乱光を集光する第二の光検出器48を、該非散乱光ビームの該経路に対して傾斜させるか、または、角度を付けてもよい。場合により、該第一の光検出器26は、該光学系内の迷光の不必要な検出を低減するように遮蔽してもよい。
【0118】
正しく認識されるように、該光学アセンブリの(独立した)機械加工された部材の数を最小限にすることは、該光源22から出力される該光ビームの精度と、該光学アセンブリが組み立てられるときの、この光ビームと、該検出チャンバ20および該集光部24の該開口46との位置合わせを向上させることができる。さらに、場合により、および特に、該光源がレーザ(ダイオード)の形を取っている場合、該レーザは、測定を実行する場合の、該レーザビームの位置に関する整合性を高め(ひいては、該光学系内での良好なアラインメントを維持できる容易さを向上させ)るために、機械加工された/容易に複製可能なレーザブロックに収容することができる。
【0119】
該光学系を通る光ビームの一貫したアラインメントを維持することに関連して、(例えば、該モータ10が、該サンプル容器6および/または該温度制御モジュール14内の該ファン42を回転させる結果として)該装置1内で起きる振動を測定するために、(加速度計等の)追加的なセンサを該装置1内に組み込むことができる。このことは、該光学構成2内の該構成要素の該アラインメントに悪影響を及ぼすのを避けるために、許容可能な範囲内/以下で、任意の振動が維持されることを確実にするのに役に立つ可能性がある。
【0120】
最後に、図14に示されている、該サンプル容器6’の代替的な構造も想定されている。この図からは、この代替的なサンプル容器6’における該清澄化チャンバ70’と検出チャンバ20’の相対的位置が、図10に示されていた該サンプル容器6における該清澄化チャンバ70と検出チャンバ20の該相対的な位置とは異なっていることが図を見て分かる。具体的には、図10の該サンプル容器6においては、該清澄化チャンバ70の該径方向の最も外側の範囲は、該検出チャンバ20の該径方向の最も外側の範囲と比較して、該サンプル容器6の該中心回転軸から、より大きな距離に位置している。しかし、該代替的なサンプル容器6’においては、逆の構成が用いられ、すなわち、該検出チャンバ20の該径方向の最も外側の範囲は、該サンプル容器6’の該中心回転軸から、該清澄化チャンバ70’の該径方向の最も外側の範囲よりもより大きな距離に位置している。該流体に作用する該遠心力は、該流体を、該流体系64の該径方向の最も外側の範囲に向かって移動させる傾向があるため、図14に示すこの後者の構成は、照射および測定のために、該流体サンプルを該検出チャンバ20’内に保持できる該容易さを有利に増加させる。該検出チャンバ20の該相対位置に関するこのような調整は、該光源22と、検出チャンバ20と、集光部の開口46と、光検出器26、48の該アラインメントを維持するために、該光学構成2の該構成要素の該相対的位置に対して、いくつかの結果として生じる変更を要する可能性があることは正しく認識されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12A
図12B
図13
図14
【国際調査報告】