(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】真空ポンプを必要としない真空乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 5/04 20060101AFI20230315BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
F26B5/04
F26B21/04 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546716
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 KR2021001234
(87)【国際公開番号】W WO2021154044
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0010163
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522305081
【氏名又は名称】キム、ビョンウ
【氏名又は名称原語表記】KIM, Byoung Woo
【住所又は居所原語表記】101ho, 119, Gomdallae-ro 49-gil Gangseo-gu Seoul 07743 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョンウ
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB10
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC67
3L113BA16
3L113BA24
3L113BA27
3L113DA06
3L113DA13
(57)【要約】
本発明の実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機は、乾燥台が設けられ、他側面の外部には内部と連通する排気弁が備えられる乾燥室と、乾燥室の外部に位置し、水タンクを備え、蒸気注入口に連結される蒸気発生器と、高温領域に備えられる凝縮器、乾燥室の外部で凝縮器に連結される第1熱交換器、低温領域に備えられる蒸発器、乾燥室の外部で蒸発器に連結される第2熱交換器、第1熱交換器と第2熱交換器の間を連結するコンプレッサー、及び凝縮器と蒸発器を連結する膨張弁を含んで構成され、乾燥室の内部と外部に連動して備えられるヒートポンプと、を含んで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された内部空間を形成し、内部に乾燥台が設けられ、一側面の内部には排気弁と連動する蒸気注入口が備えられ、他側面の外部には蒸気注入口と連動する排気弁が備えられる乾燥室と、
乾燥室の外部に位置し、水タンクを備え、蒸気注入口に連結される蒸気発生器と、
乾燥室の内部と外部に連動して備えられ、乾燥室の内部に高温領域と低温領域を形成するヒートポンプと、を含み、
蒸気発生器が乾燥室の内部に水蒸気を飽和させると、ヒートポンプが乾燥室の内部の温度を降下して水蒸気を液化または昇華させて容積を減少させることで乾燥室の内部に真空状態が形成されることを特徴とする真空ポンプを必要としない真空乾燥機。
【請求項2】
ヒートポンプは、高温領域に備えられる凝縮器と、乾燥室の外部で凝縮器に連結される第1熱交換器と、低温領域に備えられる蒸発器と、乾燥室の外部で蒸発器に連結される第2熱交換器と、第1熱交換器と第2熱交換器の間を連結するコンプレッサーと、凝縮器と蒸発器を連結する膨張弁と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプを必要としない真空乾燥機。
【請求項3】
蒸発器に取り囲まれた形状で構成される円錐状のサイクロンと、サイクロンの一端の円筒部に挿入されて装着される送風機と、送風機の上端に装着されるモーターと、をさらに含み、
サイクロンは一端の円筒部に備えられた管状の吸引口から他端の円錐部に内部空間が形成されて繋がり、送風機は側面に排出口が備えられ、下端はサイクロンの内部と連結され、モーターで発生する送風が排出口と円錐部に連通するように構成されることをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の真空ポンプを必要としない真空乾燥機。
【請求項4】
サイクロンの円錐部に連結される貯蔵タンクをさらに含み、
貯蔵タンクは乾燥室の外部の排出ポンプに連結され、排出ポンプは水タンクと管で連結され、乾燥室の高温領域で発生する水蒸気がサイクロンで凝縮されて水または氷の形態で排出され、貯蔵タンクに回収される循環構造を形成することをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の真空ポンプを必要としない真空乾燥機。
【請求項5】
乾燥室の外側で貯蔵タンクと排出ポンプが連結される部位にチェック弁が備えられて貯蔵タンクの凝縮水の貯蔵タンクへの逆流を防止することをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の真空ポンプを必要としない真空乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空ポンプを必要としない真空乾燥機に関するもので、乾燥室の内部を水蒸気で飽和させた後、温度を下げて水蒸気を液体に相転移させる過程で体積が急減し、乾燥室の内部に真空が形成されるようにするメカニズムを利用して真空ポンプとヒーター、熱媒体を使用せずに真空乾燥できる装置に関する。
【0002】
より詳細には、本発明の真空ポンプを必要としない真空乾燥機は、密閉された形状の乾燥室の内部に高温領域を形成する凝縮器と低温領域を形成する蒸発器とが相互連結された状態で備えられ、凝縮器と蒸発器はそれぞれ第1熱交換器と第2熱交換器に連結され、第1熱交換器及び第2熱交換器はコンプレッサーに連結されて熱交換容量を可変することができ、乾燥室の外部に蒸気発生器が備えられて乾燥室の内部に水蒸気が供給できるように構成され、
【0003】
乾燥室の内部に被乾燥物を積載して乾燥室に水蒸気を注入し、連動する排気弁で空気を排出する方式で乾燥室の内部を水蒸気で飽和させた後、第1熱交換器の熱交換容量を最大値に設定した状態でヒートポンプを駆動して乾燥室の外部に第1熱交換器の熱を放出すると共に、凝縮器の低くなる温度で乾燥室の内部が冷却され、蒸発器で水蒸気が水または氷に相転移が行われ、圧力が低くなって真空状態に達するようにした後、第1熱交換器の熱交換容量を減らして凝縮器に熱を供給し高温領域を形成して被乾燥物を乾燥させ、蒸発器では水蒸気が液化または昇華して低温領域を形成し、乾燥室内の真空状態を保持させることで、真空ポンプがなくても真空低温乾燥が行われて高品質の乾燥物を生成することができる真空ポンプを必要としない真空乾燥機に関する。
【背景技術】
【0004】
食品乾燥の歴史は人類の歴史と軌を一にするほど遠い昔に遡る。乾燥(Disiccation)は物質内に含まれている水分を除去する操作と定義される。乾燥は被乾燥物の貯蔵性を向上させ、取り扱い及び輸送を便利にし、価値を上昇させる目的を有する。乾燥はこのような目的を達成させる加工手段または加工工程の1つと見ることができる。
【0005】
乾燥方法には様々なものがあり、代表的なものとしては、被乾燥物に熱風を当てる気流乾燥、粉末などの飛び散りやすい被乾燥物の場合、赤外線などを照射する輻射乾燥、低温で乾燥すべき被乾燥物の場合、濃硫酸やシリカゲルなどの乾燥剤を入れた乾燥機の中に入れておく除湿乾燥、被乾燥物内の水分の蒸発をより容易にするために乾燥機の内部を真空にする真空乾燥、さらに、熱によって容易に分解したり、常温で変質しやすい被乾燥物の場合、凍結させて乾燥する凍結乾燥、ここに乾燥速度を上げるために凍結された乾燥機の内部を真空にして被乾燥物内の氷を直接昇華させて除去する真空凍結乾燥などがある。
【0006】
同じ食品であっても適用された乾燥方法によってその品質は変わる。これまでは風(送風)、湿度(除湿)、温度(加熱)の伝統的な体験的な乾燥方式にしたがって技術を向上させてきたが、最近になって伝導、対流、輻射、圧力などの基礎技術に基づく融合的な次世代乾燥機が活発に研究され発売されている。
【0007】
食品の場合、乾燥温度が低いほど乾燥時間が短いほど、乾燥食品の品質が良くなる。しかし、乾燥温度が低いほど、乾燥に要する時間は長くなり、これによる品質低下が伴われる。例えば、唐辛子の乾燥の場合、天日干しの唐辛子を除けば、通常、唐辛子乾燥機で55℃前後で40時間(約2日)前後の乾燥工程で乾燥が行われる。同じ条件で乾燥温度を35℃に下げると、乾燥時間は160時間(約7日)前後に長くなる。この場合、乾燥した唐辛子の外観は非常に良いが、唐辛子を切ってみると、内部はカビだらけで食品として使用できないほどであることが分かる。即ち、乾燥が進行されるとともに変質も進行されるのである。韓国でも、以前は天日干しの唐辛子(日干し)より品質に優れた風通しの良い日陰で干した陰干しの唐辛子があったが、乾燥方法が難しく、長い時間がかかり、歩留まりの低い関係で今は見られない状況である。
【0008】
農産物に比べて腐りやすい畜産物、海産物の場合、乾燥はさらに難しくなる。これまでに品質を保持するために内臓を取り除いたり、茹でるなどの一次加工後に乾燥をするか、冬に乾燥するなどの方法しかなかった理由でもある。これを克服するために、塩を利用した塩漬け法と熱い煙を利用した燻製法などが開発され発達するようになった。
【0009】
現在は当該問題点を解決した真空凍結乾燥機はあるものの、機器そのものの高い価格と操作の複雑さ、そして乾燥に要する高い運転費用のため、医薬品及び高価の食品に限って使用されており、一般食品の場合は乾燥品の価格上昇のため適用が難しい状況である。
【0010】
乾燥機は代表的なエネルギー多消費機器であり、使用されたエネルギーの大半は乾燥過程で水分蒸発のための気化熱、即ち、潜熱として消費され大気中に放出されて無駄になっている。最近の省エネルギー型乾燥機は、大気中に捨てられる水蒸気の潜熱をヒートポンプで回収して再利用する方法でエネルギーを節約している。
【0011】
乾燥機を改善すべく、省エネルギー技術、乾燥効率及び乾燥品質の向上を追求する様々な技術が提案され開発されている。食品乾燥では、食品を急速に冷凍させてから昇華現象を利用して乾燥させると、食品を最高の品質で乾燥させることができるため、これを応用して低圧乾燥、真空乾燥、真空凍結乾燥、真空加熱乾燥などの技術が継続的に開発及び改善されている。乾燥食品の品質を向上させるためには、低温で速い乾燥速度を具現する必要がある。従って、この分野の乾燥機は、被乾燥物を収納する乾燥室、真空ポンプ部、急速冷凍部、ヒーター及び熱媒体部などの必須要素をほぼ類似する構成で備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許公報10-1795770
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の真空乾燥機は、乾燥機内の真空を保持するための真空ポンプと、被乾燥物に乾燥熱を供給するためのヒーター及び熱媒体部を有しており、乾燥機の構成が複雑になるため、価格が高く、乾燥機の稼働費用も高いという短所があった。
【0014】
本発明は上記従来技術上の諸問題に鑑みてそれを解決するために創出されたものであり、乾燥室の内部を水蒸気で飽和させた後、温度を下げて水蒸気を液体に相転移させる過程で体積が急減し、乾燥室の内部に真空が形成されるようにするメカニズムを利用して真空ポンプがなくても乾燥室を真空状態にして真空乾燥ができるようにした真空ポンプを必要としない真空乾燥機を提供することにその目的がある。
【0015】
本発明は、乾燥室の内部に高温領域を形成する凝縮器と低温領域を形成する蒸発器とが相互連結されて備えられ、凝縮器と蒸発器はそれぞれ第1熱交換器と第2熱交換器に連結され、第1熱交換器及び第2熱交換器はコンプレッサーに連結されて熱交換容量を可変することができ、乾燥室の外部に蒸気発生器が備えられて乾燥室の内部に水蒸気が供給できるように構成され、
【0016】
乾燥室の内部に被乾燥物を積載し乾燥室に水蒸気を注入して飽和させた後、第1熱交換器の熱交換容量を最大値に設定した状態でヒートポンプを駆動して乾燥室の外部に第1熱交換器の熱を放出すると共に、凝縮器の低くなる温度で乾燥室の内部が冷却され、蒸発器で水蒸気が水または氷に相転移が行われ、圧力が低くなって真空状態に達するようにした後、第1熱交換器の熱交換容量を減らして凝縮器に熱を供給し高温領域を形成して被乾燥物を乾燥させ、蒸発器では水蒸気が液化または昇華して低温領域を形成し、乾燥室内の真空状態を保持させて真空状態で被乾燥物の乾燥が行われるようにすることで、これまで真空乾燥機の必須要素とされてきた真空ポンプとヒーター及び熱媒体を使用せずに真空乾燥機を構築して駆動することができる装置を提供することにその目的がある。
【0017】
本発明の上記目的と様々な利点は、この技術分野の熟練者によって本発明の好ましい実施例からさらに明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するためのものであり、
【0019】
本発明の実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機は、密閉された内部空間を形成し、内部に乾燥台が設けられ、一側面の内部には排気弁と連動する蒸気注入口が備えられ、他側面の外部には蒸気注入口と連動する排気弁が備えられる乾燥室と、乾燥室の外部に位置し、水タンクを備え、蒸気注入口に連結される蒸気発生器と、乾燥室の内部と外部に連動して備えられ、乾燥室の内部に高温領域と低温領域を形成するヒートポンプと、を含み、蒸気発生器が乾燥室の内部に水蒸気を飽和させると、ヒートポンプが乾燥室の内部の温度を降下して水蒸気を液化または昇華させて容積を減少させることで真空状態が形成されることを含むことを特徴とする。
【0020】
一実施例によると、ヒートポンプは、高温領域に備えられる凝縮器と、乾燥室の外部で凝縮器に連結される第1熱交換器と、低温領域に備えられる蒸発器と、乾燥室の外部で蒸発器に連結される第2熱交換器と、第1熱交換器と第2熱交換器の間を連結するコンプレッサーと、凝縮器と蒸発器を連結する膨張弁と、をさらに含む。
【0021】
一実施例によると、蒸発器に取り囲まれた形状で構成される円錐状のサイクロンと、サイクロンの一端の円筒部に挿入されて装着される送風機と、送風機の上端に装着されるモーターと、をさらに含み、サイクロンは一端の円筒部に備えられた管状の吸引口から他端の円錐部に内部空間が形成されて繋がり、送風機は側面に排出口が備えられ、下端はサイクロンの内部と連結され、モーターで発生する送風が排出口と円錐部に連通するように構成されることをさらに含む。
【0022】
一実施例によると、サイクロンの円錐部に連結される貯蔵タンクをさらに含み、貯蔵タンクは乾燥室の外部の排出ポンプに連結され、排出ポンプは水タンクと管で連結され、乾燥室の高温領域で発生する水蒸気がサイクロンで凝縮されて水または氷の形態で排出され、貯蔵タンクに回収される循環構造を形成することをさらに含む。
【0023】
一実施例によると、乾燥室の外側で貯蔵タンクと排出ポンプが連結される部位にチェック弁が備えられて貯蔵タンクの凝縮水の貯蔵タンクへの逆流を防止することをさらに含む。
【0024】
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の真空ポンプを必要としない真空乾燥機によると、以下のような効果が得られる。
【0026】
第一に、乾燥室の内部を水蒸気で飽和させた後、温度を下げて水蒸気を液体に相転移させる過程で体積が急減しながら乾燥室の内部に真空が形成されるようにするメカニズムを利用して真空ポンプ、ヒーター、熱媒体を利用せずに乾燥室を真空状態にして真空乾燥をすることができる。
【0027】
第二に、真空乾燥機の必須要素である真空ポンプ、ヒーター、熱媒体を使用せずに乾燥室内で直接熱交換が行われるため、乾燥機の構成が非常に単純になり、乾燥機の耐久性と信頼性が向上する。
【0028】
第三に、ヒートポンプの駆動だけで稼動する本真空乾燥機の特性上、従来の複雑な真空凍結乾燥機と比較して故障の発生率が著しく低くなり、メンテナンスも容易になる。
【0029】
第四に、乾燥機の価格が低くなり、食品の乾燥費用も低くなるため、これまで乾燥機の価格や運転費用のために使いにくかった一般食品も本乾燥機で高品質の食品乾燥を行うことができ、韓国の乾燥食品文化が根本的に一段階アップグレードすることができる。
【0030】
第五に、真空ポンプの駆動エネルギーの節約に加えて、ヒートポンプの高い性能係数、また、ヒートポンプの熱は乾燥室の内部でひたすら発熱(乾燥)と吸熱(凝縮)で循環するため、乾燥以外のエネルギー損失は発生せず、エネルギー効率が非常に高い。即ち、乾燥に関与する全ての熱移動が乾燥室内で外部に損失されないため、非常に高い効率のエネルギー節約が行われる。
【0031】
第六に、乾燥の全過程において、被乾燥物は外部と密閉されているため、PM2.5などの外部物質による汚染が発生しない清浄乾燥が行われる。
【0032】
第七に、これによりシステムの単純化と省エネルギーを実現して市場で競争力のある乾燥機が発売できるようにし、韓国の乾燥食品文化を根本的に一段階アップグレードさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機の概略的な構成図である。
【
図2】本発明の他の実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機の構成図である。
【
図3】本発明の実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機に適用される原理である圧力と温度による水の状態変化曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を十分に理解するために本発明の好ましい実施例を添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0035】
本発明の説明に当たり、以下の特定の構造ないし機能的説明は本発明の概念による実施例を説明するためだけに例示されており、本発明の概念による実施例は様々な形態に変形されて実施されてもよく、本発明の範囲が以下に詳細に説明する実施例に限定されると解釈されてはならない。
【0036】
また、本発明の概念による実施例は様々な変更を加えてもよく、様々な形態を有することができるため、特定の実施例は図面に例示し本明細書に詳細に説明する。
【0037】
しかし、これは、本発明の概念による実施例を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる変更物、均等物ないし代替物を含むと理解すべきである。
【0038】
本実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状などはより明確な説明を強調するために誇張して表現することがある。
【0039】
各図面において、同じ部材は同じ参照符号で示される場合があることに留意されたい。本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される公知の機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。
【0040】
図1は本発明の一実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機の概略的な構成図であり、
図2は本発明の他の実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機の構成図であり、
図3は本発明の実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機に適用される原理である圧力と温度による水の状態変化曲線である。
【0041】
本発明の好ましい実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機10は、乾燥室200、ヒートポンプ100、蒸気発生器300を含む。
【0042】
乾燥室200は密閉された内部空間を形成するケースの形態であり、被乾燥物の配置と乾燥が行われる空間として機能することができる。
【0043】
乾燥室200の内部は高温領域220と低温領域230に分けられて設定されてもよく、これは装置または部品による人為的な区画ではなく、ヒートポンプ100によって駆動する機能によって区分される空間として特定されることができる。
【0044】
乾燥室200を側面から目測にすると、乾燥室200の下端には蒸気注入口210が備えられ、上端には排気弁211が備えられてもよい。
【0045】
このとき、蒸気注入口210及び排気弁211の位置は本発明の機能の最適化に適する限り、如何なる位置に構成されてもよい。
【0046】
乾燥室200の外部に備えられた蒸気発生器300は、乾燥室200の下端の蒸気注入口210を介して乾燥室200の内部と連結されることができる。
【0047】
蒸気発生器300が水蒸気を生成して蒸気注入口210を介して乾燥室200の内部に水蒸気を供給すると、乾燥室200は水蒸気で満たされ、このとき、排気弁211を開閉する調節により乾燥室200の内部の空気及び水蒸気を排出または密閉する機能を果たすことができる。
【0048】
蒸気発生器300には水蒸気を生成するために水タンク310が連結されて構成されてもよく、水タンク310にはドレン311が取り付けられて水の注入及び排出が行われてもよい。
【0049】
排気弁211は、乾燥室200の上端外側に備えられて乾燥室200の内部の空気または水蒸気を排出するか、または排出を遮断する機能をし、排気弁211の下端には排気チェック弁212が備えられて外部の空気が乾燥室200の内部に逆流して流入するのを防止するように構成されてもよい。
【0050】
このとき、排気弁211と排気チェック弁212は上下に連結されて構成されるが、排気弁211は乾燥室200の上端外側に備えられ、排気チェック弁212は乾燥室200の上端内側に備えられる形状を有する。
【0051】
乾燥室200は内部に乾燥台213が備えられて被乾燥物を展開することができる。
【0052】
乾燥台213は、熱気と空気が通る鉄網状または導電性に優れた鉄板の形態で備えられてもよく、乾燥効果の最大化のために乾燥室200の内部の高温領域220に位置することができるが、具体的には後述するヒートポンプ100の凝縮器110の上段に位置して凝縮器110から発散される熱と高温に直接晒されるように備えられることが好ましい。
【0053】
乾燥台213は単層または多層で構成されてもよく、その形状及び層数は乾燥室200全体の形状及び乾燥機の設置場所と使用用途に応じていくらでも可変的に設計されて適用されてもよい。
【0054】
乾燥室200は蓋が備えられてもよく、本発明の好ましい実施例として、蓋は乾燥室200の上端に位置することができる。
【0055】
乾燥室200は蓋を開けて被乾燥物を積載または取り出すことができ、乾燥室200の内部に位置する装置を点検または修理することができる。
【0056】
乾燥室200に蓋が装着された状態では密閉された状態を形成することができ、密閉された乾燥室200は蒸気注入口210と排気弁211を介して外部と連通する構造となることができる。
【0057】
ヒートポンプ100は乾燥室200の内部と外部に連動して備えられてもよい。
【0058】
ヒートポンプ100は乾燥室200の内部を真空状態にした後、被乾燥物を乾燥させ、熱循環及び熱平衡状態を保持することで、被乾燥物が真空状態で乾燥できる環境を保持する核心機能を果たすことができる。
【0059】
そのために、ヒートポンプ100は、凝縮器110、蒸発器120、膨張弁140、コンプレッサー130、第1熱交換器131、第2熱交換器132を含んで構成されてもよい。
【0060】
凝縮器110、蒸発器120、膨張弁140は乾燥室200の内部に位置し、コンプレッサー130、第1熱交換器131、第2熱交換器132は乾燥室200の外部に位置してもよい。
【0061】
凝縮器110は乾燥室200の内部の高温領域220に位置し、第1熱交換器131と連結されてもよい。
【0062】
凝縮器110は冷媒の凝縮及び被乾燥物の乾燥機能の役割をし、そのために如何なる形態及び位置に形成されてもよいが、本発明の好ましい実施例によって、パイプ状であって高温領域220ではコイルのように丸く巻かれた形態を形成し、乾燥台213の下部に位置することができる。
【0063】
凝縮器110の一端は第1熱交換器131とパイプ状に連結され、他端はパイプ状に蒸発器120と連結されてもよい。
【0064】
蒸発器120は乾燥室200の内部の低温領域230に位置する。
【0065】
蒸発器120は乾燥室200の内部の水蒸気を液化または昇華させる機能をすることができ、そのために如何なる形態及び位置に適用されてもよいが、本発明の好ましい実施例によって凝縮器110と同様に丸く巻かれたコイル状に構成されることができる。
【0066】
凝縮器110と蒸発器120の構成は、例えば、
図1に示すように、凝縮器110が乾燥室200の下部に位置し、蒸発器120は上部に位置する形態であって、乾燥室200が縦方向に形成されてもよく、
図2に示すように、乾燥室200は横方向に形成され、凝縮器110は乾燥室200の内部の一側に位置し、蒸発器120は他側に位置して並んで配置された形状に構成されてもよい。
【0067】
このとき、凝縮器110と蒸発器120の連結部位には膨張弁140が備えられてもよい。
【0068】
膨張弁140は凝縮器110で圧縮されて凝縮液化された高温、高圧の冷媒を蒸発を引き起こす圧力まで減圧する機能を果たし、また、膨張弁140は冷媒の流量を調節して蒸発器120に提供する機能も果たすことができる。
【0069】
膨張弁140を介して凝縮器110の高温高圧の冷媒が急激に低圧に減圧された後、蒸発器120に排出されて低温の冷却状態を形成するため、膨張弁140は、乾燥室200の内部において凝縮器110による高温領域220と蒸発器120による低温領域230とを区分する基準点となることができる。
【0070】
蒸発器120の一端は凝縮器110と連結され、他端は第2熱交換器132と連結されてもよい。
【0071】
貯蔵タンク124は乾燥室200の内部に位置し、貯蔵タンク124の上端は後述するサイクロン121に連結されて、蒸発器120によって液化または昇華され水または氷に相転移が行われた凝縮水が伝達されて貯蔵し、下端は乾燥室200の外部の排出ポンプ150と連結されて外部に排出する機能をすることができる。
【0072】
貯蔵タンク124の下端にはパイプが連結されて乾燥室200の下部を貫通して乾燥室200の外側に備えられた排出ポンプ150に連結され、排出ポンプ150は貯蔵タンク124から凝縮水を排出させる機能をすることができる。
【0073】
このとき、凝縮水が排出ポンプ150から貯蔵タンク124に逆流することを防止するために、排出ポンプ150と貯蔵タンク124との間の乾燥室200の外側区間に排出ポンプ150と隣接してチェック弁151が備えられてもよい。
【0074】
コンプレッサー130は、一端が第1熱交換器131と連結され、他端が第2熱交換器132と連結される構造で形成されてもよく、結局、コンプレッサー130で圧縮された冷媒が第1熱交換器131を介して凝縮器110に伝達され、凝縮器110から膨張弁140、蒸発器120、第2熱交換器132を経て再びコンプレッサー130に連結される循環構造を形成するようになる。
【0075】
要約すると、コンプレッサー130から第1熱交換器131→凝縮器110→蒸発器120→第2熱交換器132→コンプレッサー130の順に循環するようになる。
【0076】
以上の構造から、真空ポンプが構成されず、またヒーターまたは熱媒体を使用しないことが分かる。この状態で乾燥室の内部を水蒸気で飽和させてから温度を下げると、水蒸気が液体または固体に相転移しながら体積か急激に減少し、これにより、乾燥室の内部は真空状態となるため、真空ポンプ、ヒーター、熱媒体が備えられていない上記構成要素で低温の真空状態を形成するとともに高温の急速乾燥を行うことで被乾燥物の乾燥品質を向上させることができる。
【0077】
以上の簡単な説明に基づいて本発明の真空ポンプを必要としない真空乾燥機10の詳細な動作を見ると、以下の通りである。
【0078】
まず、蒸気発生器300で水タンク310に貯蔵された水を利用して水蒸気を生成し、蒸気注入口210を介して乾燥室200の内部に水蒸気を注入する。
【0079】
このとき、乾燥室200の上端の排気弁211を開けて室内の空気を排出させて、乾燥室200の内部にある空気が水蒸気に置き換えられるようにする。
【0080】
乾燥室200の内部が水蒸気で飽和すると、排気弁211と蒸気注入口210を閉めて乾燥室200を密閉状態にする。
【0081】
次に、第1熱交換器131の熱交換能力を最大値に設定した後、ヒートポンプ100を駆動する。
【0082】
ヒートポンプ100は、第1熱交換器131を介して乾燥室200の外部に熱を放出し、これと同時に熱の外部発散によって凝縮器110には圧縮された冷媒が供給されることにより、水蒸気で飽和された乾燥室200は冷却し始める。
【0083】
乾燥室200が冷却するに伴って、低温領域230では蒸発器120によって水蒸気が水または氷に相転移されて凝縮されるため、乾燥室200の内部の圧力は低くなる。
【0084】
結局、乾燥室200の内部では真空ポンプがなくても初期真空状態が形成されることができる。
【0085】
乾燥室200の内部が低温の真空状態になると、第1熱交換器131の熱交換容量を減らし、外部に発散していた熱を凝縮器110に供給し始める。
【0086】
この過程で第1熱交換器131の容量を調節して凝縮器110の発熱量を調節し、第2熱交換器132の容量を調節して蒸発器120の吸熱量を調節することで、乾燥室200内において凝縮器110による高温領域と蒸発器120による低温領域とが熱的均衡を取るように調整する。
【0087】
凝縮器110に供給される熱は乾燥室200内に高温領域220を形成し、凝縮器110の上部に位置する乾燥台213に展開された被乾燥物を乾燥させる。
【0088】
この状態は、乾燥室200の内部が低温の真空状態の状況で被乾燥物が位置する領域だけを高温で乾燥させる構造となる。
【0089】
そこで、真空状態では被乾燥物の水分蒸発がより容易に発生し、低温での速い乾燥は乾燥食品の品質を向上させるため、上記低温の真空状態で乾燥が行われると、最高の乾燥品質を有することができるようになり、この過程が真空ポンプ及びヒーターなどの熱媒体なしに簡単な構成で可能であることが分かる。
【0090】
一方、上記乾燥中の乾燥室200の内部を見ると、高温領域220では凝縮器110から被乾燥物に持続的に熱が供給されて乾燥が連続的に行われており、低温領域230では蒸発器120において水蒸気が凝縮(液化)または蒸着(昇華)され水または氷に変わって空間の内部の真空状態は持続的に保持されている。
【0091】
また、低温領域230は冷却され続け、高温領域220は加熱され続ける熱的不均衡な状態が持続されているが、閉鎖系である乾燥室200の内部全体のエントロピー総量はほぼ一定に保たれる熱平衡状態を保持し、継続的に乾燥が進行される状態を保持する。
【0092】
図3に示すように、水の状態曲線を見ると、水は1気圧では100℃で沸騰するが、0.3気圧では約70℃、0.2気圧では約60℃、0.1気圧では約46℃で沸騰することが分かるが、これは水の蒸気圧が温度に比例して変わるためである。
【0093】
水が沸騰するとは非常に急激な乾燥が行われるのと同じ意味である。
【0094】
市場にこの原理を利用した低温低圧乾燥機はあるが、乾燥室200内の低圧を保持するために送風機123の装着が必要であり、大気圧下で稼動する送風であるため、駆動時の送風機123の両端の圧力差は乾燥室200の内部の圧力が低くなるほど大きくなる。
【0095】
従って、一般の送風機123は使用できず、実際に使用される低温低圧乾燥機は負圧が非常に大きい高性能のリングブロワやターボブロワなどを装着していることが見られる。
【0096】
本発明の一実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機10は、第1熱交換器131を介して乾燥室200内に熱供給を増加させると、乾燥機の内部の圧力と温度を上昇させることができ、熱供給を減らすと、乾燥機の内部の圧力と温度を下げることができる。
【0097】
これは低温領域230でも同様に適用される。
【0098】
そのため、高性能の送風機123や真空ポンプの必要なしに低温低圧乾燥領域(
図3のB領域)から真空凍結乾燥領域(
図3のA領域)まで自由に運転モードを設定して稼動することができ、乾燥機の稼動中でも必要に応じて柔軟に運転モードを変更することができる。
【0099】
乾燥と密接な関係にある要素として温度、湿度、送風が挙げられる。
【0100】
図3に示すように、真空凍結乾燥領域では送風の効果が僅かであるともいえるが、低圧で圧力が高くなると、送風は無視できない要素となり乾燥に影響を及ぼすことになる。
【0101】
即ち、低温低圧乾燥領域では送風が有意未な要素として浮上し始める。
【0102】
これを補うために、本発明の一実施例による真空ポンプを必要としない真空乾燥機10は、水蒸気の凝縮または凝結が行われる低温領域230の蒸発器120に送風機123とサイクロン121を装着して乾燥速度を速くすることができるように改善した。
【0103】
サイクロン121は円錐状であって、コイル状の蒸発器120により包まれるように取り囲まれた形態で構成されてもよく、本発明の一実施例では、一端の広い円筒部は上部に向かい、他端の狭い円錐部は下部に向かう形態で構成されてもよい。
【0104】
サイクロン121の一端には、円筒部の側面から高温領域220に向かって水平方向の煙突状に管が突出して吸引口121aが構成されてもよい。
【0105】
吸引口121aを介して高温領域220を通ってきた水蒸気がサイクロン121に流入し、サイクロン121を取り囲んでいる蒸発器120で冷却作用が継続的に行われることにより、サイクロン121に流入した水蒸気は凝縮または凝結して水または氷に相転移が行われて貯蔵タンク124に集められる。
【0106】
サイクロン121の一端の円筒部には円筒部の形状に対応するように送風機123が備えられてサイクロン121の上端をカバーすることができ、送風機123の側面には排出口123aが備えられてもよい。
【0107】
また、送風機123の上端にはモーター122が装着されてもよく、モーター122の動作により送風機123内の水蒸気を排出口123aを介して外部に排出することができる。
【0108】
まとめると、本発明の一実施例では、低温領域230の蒸発器120はコイル状に形成された内側空間にサイクロン121が備えられ、サイクロン121の上部には送風機123とモーター122が連続して接して構成され、サイクロン121の下部には貯蔵タンク124が連結される形状を構成することができる。
【0109】
乾燥室200内の水蒸気はサイクロン121の吸引口121aに流入されてサイクロン121を取り囲んでいる蒸発器120によって冷却されて凝縮または凝結され、水または氷で貯蔵タンク124に集められるが、このとき、凝縮されない少量の水蒸気はモーター122が発生させる送風によって送風機123の排出口123aを介して排出される。
【0110】
即ち、サイクロン121に流入する水蒸気は、水または氷に相転移が行われると、貯蔵タンク124に下降し、相転移が行われずに水蒸気の状態で残っているのは再び乾燥室200の内部に排出される過程を経ることになる。
【0111】
送風機123の稼動環境は大気圧以下の非常に低い圧力領域であるため、適切に設計された形状の羽根を有する一般的な送風機123を使用することができる。
【0112】
サイクロン121の吸引口121aは、
図2に示すように高温領域220で発生する水蒸気を効果的に捕集することができるように幾何学的に形成され、適切に配置されてもよい。
【0113】
気体分子運動論によれば、気体の圧力は分子が容器の壁面に衝突する力と定義されるが、0.006気圧の圧力で昇華が行われる真空凍結乾燥領域であっても、1リットル当たりの水蒸気分子の個数は天文学的な数であるため、送風の効果は有意味であることが分かる。
【0114】
サイクロン121に凝結された氷は、除霜ヒーターを使用するか、ヒートポンプ100の除霜運転により貯蔵タンク124に集めておくことができる。
【0115】
サイクロン121を通じて貯蔵タンク124に集められた水または氷の形態の凝縮水は、サイクロン121と連結されて乾燥室200の外部に備えられた排出ポンプ150の稼動により排出され、パイプを介して水タンク310に回収されることができる。
【0116】
排出ポンプ150は、吸引力を利用して貯蔵タンク124から凝縮水を取り出して水タンク310に送出する機能をすることができる。
【0117】
このとき、排出ポンプ150と貯蔵タンク124との連結部位にはチェック弁151が備えられて凝縮水が貯蔵タンク124に逆流することを防止することができる。
【0118】
水タンク310に回収された凝縮水は蒸気発生器300によって水蒸気に再生成されて、乾燥室200の内部を飽和させた後、冷却させる過程を経て凝縮されて排出される過程を循環するようになる。
【0119】
これにより、水資源が無駄にならずに再利用される過程を通して資源のリサイクル効率性の最大化を確保することができる。
【0120】
一方、凝縮器110から膨張弁140を経て減圧された後、蒸発器120に伝達された冷媒は、乾燥室200の内部の低温低圧状態を保持しながら、蒸発器120を通って乾燥室200の外部のパイプラインに沿って第2熱交換器132に伝達される。
【0121】
第2熱交換器132は、流入された高圧の冷媒を熱交換作用により低圧の冷媒に変換した後、コンプレッサー130で再び第1熱交換器131により高圧の冷媒に圧縮させられるように準備する機能をすることができる。
【0122】
これにより、コンプレッサー130が第1熱交換器131で高温高圧に圧縮して生成するヒートポンプ100の熱は、乾燥室200の内部においてひたすら高温領域220の発熱(乾燥)と低温領域230の吸熱(凝縮)の過程を経て第2熱交換器132に循環されるため、乾燥以外のエネルギー損失は発生せずエネルギー効率が非常に高くなる。
【0123】
即ち、乾燥に関与する全ての熱移動が外部に損失されずに乾燥室200内で行われるため、非常に高い効率の省エネルギーが可能となる。
【0124】
そして、上記熱移動過程と乾燥過程において、いかなる真空ポンプも構成されず、ヒーターのような発熱媒体も備えられないため、構成が簡単であるだけでなく、高品質の乾燥物を作ることができるという利点を有することができる。
【0125】
以上の説明に基づいて、本発明の真空ポンプを必要としない真空乾燥機10の好ましい実施例による使用例を見ると、以下の通りである。
【0126】
まず、使用者は、乾燥室200の蓋を開けて被乾燥物を乾燥室200内の乾燥台213に載せる。
【0127】
次に、乾燥室200の蓋を閉めて第1熱交換器131の熱交換容量を最大値に設定する。
【0128】
そして、蒸気注入口210と排気弁211を開放し、蒸気注入口210には蒸気発生器300を連結した後、蒸気発生器300を稼動させて乾燥室200内に水蒸気を注入する。
【0129】
乾燥室200の内部に水蒸気が注入されると同時に、乾燥室200の内部にあった空気は排気弁211を介して乾燥室200の外部に排出される。
【0130】
この過程に通して乾燥室200の内部を空気の代わりに水蒸気に置き換え、水蒸気が乾燥室200に飽和されると、排気弁211と蒸気注入口210を閉める。
【0131】
それから、ヒートポンプ100を駆動する。
【0132】
ヒートポンプ100は、第1熱交換器131を介して乾燥室200の外部に熱を放出しながら稼働されるため、乾燥室200の内部の凝縮器110では凝縮過程が行われ、膨張弁140を通って減圧が行われ、発熱器の位置する低温領域230では水蒸気が水または氷に相転移されて凝縮されるため、乾燥室200内の圧力が低くなり、真空ポンプなしでも乾燥室200の内部は真空状態になる。
【0133】
使用者が所望する圧力と温度の運転モードに達すると、第1熱交換器131の熱交換容量を減らしてヒートポンプ100の凝縮器110に熱を供給し始める。
【0134】
このとき、第1熱交換器131の容量を調節することで凝縮器110の発熱量と蒸発器120の吸熱量を調節して乾燥室200内で熱的均衡が取れるようにする。
【0135】
これにより、凝縮器110が発熱する高温領域220に位置する乾燥台213では被乾燥物の乾燥が行われるが、この状態は、乾燥室200の内部が全体的に真空状態であるうえに、低温領域230で蒸発器120が液化または昇華過程を通じて低温を保持しているため、被乾燥物の乾燥が低温真空状態で急速に行えるようになる。
【0136】
従って、最高の状態で乾燥された被乾燥物が得られるようになる。
【0137】
乾燥が完了すると、ヒートポンプ100の稼動を中止し、排気弁211を開放してから蓋を開けて被乾燥物を取り出すことができる。
【0138】
以上の手順で、本発明の真空ポンプを必要としない真空乾燥機10を使用して被乾燥物の乾燥過程を進めることができる。
【0139】
上記過程を要約して本発明の特徴をまとめると、以下の通りである。
【0140】
1モルの水は18グラムであり、標準状態で蒸発して水蒸気に変わると、1気圧で22.4リットルになるため、水の場合、液体や固体状態では、気体状態と比較して約1,200倍の体積変化が発生する。
【0141】
即ち、22.4リットルの密閉された空間に1気圧で水蒸気を満たし、内部から熱を奪って水蒸気を凝縮させると、水蒸気は18ccの水に状態変化が行われるため、密閉された空間の圧力は約1,200分の1(0.001気圧以下)に低くなる。
【0142】
乾燥は物質中に含まれている水分を除去する操作であるため、このような水の物理的性質を利用して新しい真空乾燥機を構築することができる。
【0143】
即ち、密閉された乾燥室200の内部を水蒸気で満たした後、乾燥室200の内部でヒートポンプ100を駆動させると、蒸発器120区域で水蒸気が凝縮されて乾燥室200の内部の圧力が低くなり、蒸発器120で回収された熱は凝縮器110区域で被乾燥物に乾燥熱として供給される。
【0144】
この過程を見ると、乾燥室200の内部でヒートポンプ100を駆動するだけで、真空ポンプを構成する必要なく、水分の蒸発と凝縮が持続的に行われるとともに真空が保持できることが分かる。
【0145】
また、蒸発器120と凝縮器110の適切な調整により低圧乾燥から真空乾燥まで圧力を設定して保持することができ、低温乾燥から凍結乾燥までの温度を設定して保持することができるため、多様な機能の革新的な乾燥機が構築できることが分かる。
【0146】
以上で説明した本発明の実施例は例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施例が可能であることがよく分かるであろう。
【0147】
従って、本発明が上記の詳細な説明で言及された形態に限定されないことが理解できるであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0148】
また、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内にあるすべての変形物と均等物及び代替物を含むと理解すべきである。
【符号の説明】
【0149】
10 真空ポンプを必要としない真空乾燥機
100 ヒートポンプ
110 凝縮器
120 蒸発器
121 サイクロン
121a 吸引口
122 モーター
123 送風機
123a 排出口
124 貯蔵タンク
130 コンプレッサー
131 第1熱交換器
132 第2熱交換器
140 膨張弁
150 排出ポンプ
151 チェック弁
200 乾燥室
210 蒸気注入口
211 排気弁
212 排気チェック弁
213 乾燥台
220 高温領域
230 低温領域
300 蒸気発生器
310 水タンク
311 ドレン
【国際調査報告】