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特表2023-512097排出された使用者の排泄物を測定するセンサを備えるトイレシステム、体液平衡監視システム、ならびに被験者の体液平衡を判定および監視する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】排出された使用者の排泄物を測定するセンサを備えるトイレシステム、体液平衡監視システム、ならびに被験者の体液平衡を判定および監視する方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20230315BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20230315BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
E03D11/13
G01N33/483 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546719
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 DK2021050029
(87)【国際公開番号】W WO2021151446
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】PA202070063
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522305195
【氏名又は名称】ミーアソレレト、アンパルトゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】Measurelet ApS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】マリーイ、ロマ、バガ
(72)【発明者】
【氏名】モーテン、ボー、ソデルガード、スベンスン
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
2G045
【Fターム(参考)】
2D038KA06
2D038KA21
2D038ZA03
2D039AA02
2D039AD04
2D039CB02
2D039CD00
2D039DB00
2G045AA25
2G045CB04
(57)【要約】
便鉢(2)および排水管(4)を含むトイレシステム(1)であって、トイレシステム(1)の使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、トイレシステム(1)の使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイス(9)と、トイレシステム(1)の使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第2センサデバイス(10)とを含む、トイレシステム(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢および排水管を含むトイレシステムであって、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、
前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイスと、
前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第2センサデバイスと、
をさらに含む、トイレシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1センサデバイスは音声を測定するよう構成される、および/または、
前記少なくとも1つの第1センサデバイスは音響センサ、もしくはマイク、または振動センサを含む、
請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1センサデバイスは、前記便座の中、もしくは前記便座上、前記便鉢の中、もしくは前記便鉢の水位線の上、または前記便鉢の前記水位線の下のいずれか一つに配置される、請求項1または2に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1センサデバイスは、圧力センサ、レーダー、撮像装置、容量式センサ、および流量センサのうちのいずれか1つまたは複数をさらに含む、および/または、
前記少なくとも1つの第1センサデバイスはさらに、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す前記少なくとも1つの信号をデータ分析装置へ送信するよう構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2センサデバイスは、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す液体の体積を測定するよう構成される、および/もしくは、
前記少なくとも1つの第2センサデバイスは、前記便器の前記便鉢と前記排水管の間に配置される封水の下流側の位置で前記トイレシステムの前記排水管に配置される、ならびに/または、
前記少なくとも1つの第2センサデバイスはさらに、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す前記少なくとも1つの信号を前記データ分析装置へ送信するよう構成される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項6】
データ処理ユニットとデータ記憶ユニットとを含む前記データ分析装置をさらに含み、前記データ処理ユニットは、
前記少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信することと、
前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の種類を少なくとも示すデータ出力を作り出すために、受信した前記1つまたは複数の信号を分析することと、
を行うよう構成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項7】
前記データ分析装置はさらに、
前記少なくとも1つの第2センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信することと、
前記データ処理ユニットを用いて、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の量および前記排泄物の量を示すデータ出力を作り出すために、受信した前記1つまたは複数の信号を分析することと、
を行うよう構成される、
および/または、
前記データ分析装置はデータ可視化ユニットをさらに含み、前記データ処理ユニットはさらに、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の種類と前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の量のうちの1つまたは複数を示す前記データ出力を前記データ可視化ユニット上で可視化するよう構成される、
請求項6に記載のトイレシステム。
【請求項8】
前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の種類を前記使用者が示せるように、かつ前記使用者の分析装置への指示を示す信号を送信するように構成されているアクチュエータと、
前記トイレシステムを使用する前に前記トイレシステム、および/または前記分析装置を前記使用者が作動させられるよう構成されているアクチュエータと、
排泄の前後での前記使用者の体重を示す信号をキャプチャするように配置されて構成されている重量センサと、
のうちのいずれか1つまたは複数をさらに含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項9】
前記第1センサデバイスは、前記便座の中、前記便座上、前記便鉢の中、または前記便鉢の水位線の上のいずれか一つに配置される撮像装置であり、
前記第2センサデバイスは、前記便器の前記便鉢と前記排水管の間に配置される前記封水の下流側の位置で前記トイレシステムの前記排水管に配置され、前記封水を通って押し出される液体を集めるよう構成されているチャンバと、前記チャンバおよび前記チャンバに含まれる液体の重量を測定するように配置されて構成されている重量センサとを含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項10】
前記第1センサデバイスは、水平線(H)に対して70度~80度の角度(α)、例えば75度の角度(α)などで、垂直線(V)に対して20度~10度の角度(β)、例えば15度の角度(β)などで下方を向くように配置され、この文脈では90度の角度は垂直線(V)または重力の方向に対応し、および/または、
前記第1センサデバイスは前記便座の中心軸(A)の外に設置され、前記便座の前記中心軸(A)に対して25度~25度の角度(γ)、例えば30度の角度(γ)などを向くように、重力または前記垂直線(V)の方向の周りに回転される、
請求項9に記載のトイレシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のトイレシステムの使用者により前記トイレシステムの便鉢へ排泄された排泄物の種類を判定する方法であって、
前記トイレシステムの前記少なくとも1つの第1センサデバイスを用いて、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す信号をキャプチャして、
前記トイレシステムの前記使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の種類を示す前記キャプチャされた信号を、データ処理ユニットとデータ記憶ユニットを含む分析装置へ送信して、
前記データ処理ユニットを用いて、前記少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信して、
前記データ処理ユニットを用いて、前記トイレシステムの前記使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の種類を示すデータ出力を作り出すために、前記少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信され受信した前記1つまたは複数の信号を分析する、
というステップを含む、方法。
【請求項12】
前記トイレシステムの前記少なくとも1つの第2センサデバイスを用いて、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す信号をキャプチャして、
前記トイレシステムの前記使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の量を示す前記キャプチャされた信号を前記分析装置へ送信して、
前記データ処理ユニットを用いて、前記少なくとも1つの第2センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信して、
前記データ処理ユニットを用いて、前記トイレシステムの前記使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の量を示すデータ出力を作り出すために、前記少なくとも1つの第2センサデバイスにより送信され受信した前記1つまたは複数の信号を分析する、
というステップをさらに含む、
および/または、
前記データ分析装置はデータ可視化ユニットをさらに含み、
前記データ処理ユニットを用いて、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の種類を示すデータ出力、および/または前記トイレシステムの前記使用者により前記便鉢へ排泄された前記排泄物の量を示すデータ出力を前記データ可視化ユニット上で可視化する、
というステップをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
便鉢(2)および排水管(4)を含むトイレシステム(1)であって、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の種類を少なくとも判別するよう構成され、前記トイレシステムは前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つのセンサデバイス(10)をさらに含み、前記センサデバイスは、
前記トイレシステムの前記便鉢と前記排水管の間に配置される封水(6)の下流側の位置で前記トイレシステムの前記排水管に設けられるチャンバ(11)であって、前記トイレシステムの前記排水管の下半分の少なくとも一部に隣接して配置されて、前記トイレシステムの前記封水を通って押し出される量の液体を受けるよう構成されているチャンバ(11)と、
前記封水を通って押し出される液体が前記チャンバ(11)へと流れ込めるように前記チャンバが設けられる前記封水の下流側の位置で前記トイレシステムの前記排水管に設けられる少なくとも1つの貫通開口(35、36、37、38、39)と、
を含み、
前記少なくとも1つの貫通開口は前記排水管の前後軸(L)に対して垂直に延びる主軸(X)に沿って配置され、
前記少なくとも1つの貫通開口は上流方向で先細になる形状を含む、
トイレシステム(1)。
【請求項14】
複数の貫通開口(35、36、37、38、39)が前記トイレシステムの前記排水管に設けられ、
前記複数の貫通開口(35、36、37、38、39)は、前記排水管の前記前後軸に対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、前記排水管の前記前後軸と平行な方向に測定される最大の大きさBを含み、
前記複数の貫通開口のうちの隣接する複数の貫通開口は前記排水管の前記前後軸に対して垂直な方向に測定される最短距離Cと前記排水管の前記前後軸と平行な方向に測定される最短距離Dだけ離間して配置され、
前記複数の貫通開口は、関係C<AおよびD<2Bを満たすパターンで配置される、
請求項13に記載のトイレシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの貫通開口(35、36、37、38、39)は先細で上流方向を向いている先端部分で終わる形状を含む、および/または、
前記少なくとも1つの貫通開口(35、36、37、38、39)は、規則的な端部、凹状の端部、凸状の端部、不規則な端部、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を有する、多角形、楕円形、または円形の断面形状を含む、
請求項13~14のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの貫通開口(35、36、37、38、39)は、前記排水管の前記前後軸に対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、前記排水管の前記前後軸と平行な方向に測定される最大の大きさBを含み、
前記大きさAは0.5mm~100mmである、および/または、
大きさBは0.5mm~100mmである、
請求項13~15のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項17】
前記複数の貫通開口(35、36、37、38、39)は少なくとも5個の開口を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項18】
前記センサデバイスは、
前記少なくとも1つの貫通開口の上流に配置される、または前記少なくとも1つの貫通開口の上に広がる、スクリーニング装置(52)と、
前記1つまたは複数の開口のうちの少なくとも1つに関連して取り付けられ、前記チャンバへの液体の流入を制御するよう構成されている弁(58)、
のいずれか1つまたは複数をさらに含む、
請求項13~17のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項19】
前記センサデバイスは、
前記チャンバの重量を監視して、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている質量センサまたは重量センサ(53)、および/または、
前記チャンバを通る液体の流れを監視して、前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている流量センサ(54)、
をさらに含む、
請求項13~18のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項20】
前記センサデバイスは、前記センサデバイスを前記トイレシステムの前記排水管に取り付けられるよう構成されている取付け要素(41)をさらに含む、請求項13~19のいずれか一項に記載のトイレシステム。
【請求項21】
少なくとも1つのセンサデバイス(10)を備える請求項13~20のいずれか一項に記載のトイレシステム(1)を提供する方法であって、前記少なくとも1つのセンサデバイスは前記トイレシステムの使用者により前記便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されており、前記方法は、
少なくとも1つの貫通開口(35、36、37、38、39)を、前記トイレシステムの前記便鉢と前記排水管(4)の間に配置される封水(6)の下流側の位置で前記トイレシステムの前記排水管の下半分の少なくとも一部に、前記封水を通って押し出される液体が前記少なくとも1つの貫通開口を通って前記チャンバへ流れ込めるように設けて、
前記少なくとも1つの貫通開口は前記排水管の前記前後軸Lに対して垂直に延びる主軸に沿って配置され、
前記少なくとも1つの貫通開口は上流方向を向いている先端部分を含む形状を含み、
前記トイレシステムの前記封水を通って押し出される量の液体を受けるよう構成されているチャンバ(11)を用意して、
前記トイレシステムの前記便鉢と前記排水管の間で前記トイレシステムの前記排水管の下半分の少なくとも一部に隣接して配置される前記封水(6)の下流側の位置で前記トイレシステムの前記排水管に前記チャンバ(11)を配置する、
というステップを含む、方法。
【請求項22】
前記排水管の前記前後軸Lに対して垂直な方向に測定される大きさAと、前記排水管の前記前後軸Lと平行な方向に測定される大きさBを含むように複数の貫通開口(35、36、37、38、39)を設けることであって、隣接する複数の貫通開口は前記排水管の前記前後軸Lに対して垂直な方向に測定される距離Cと前記排水管の前記前後軸Lと平行な方向に測定される距離Dだけ離間して配置され、前記複数の開口は関係C<AおよびD<2Bを満たすパターンで配置される、前記複数の貫通開口を設けて、
規則的な端部、凹状の端部、凸状の端部、不規則な端部、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を有する、多角形、楕円形、または円形の断面形状を含むように前記少なくとも1つの貫通開口、または前記複数の貫通開口(35、36、37、38、39)を設けて、
前記排水管の前記前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、前記排水管の前記前後軸Lと平行な方向に測定される最大の大きさBとを含み、前記大きさAは0.5mm~100mmである、あるいは、またはさらに前記大きさBは0.5mm~100mmであるように前記少なくとも1つの貫通開口、または前記複数の貫通開口(35、36、37、38、39)を設けて、
少なくとも5個の開口を含むように前記複数の貫通開口(35、36、37、38、39)を設ける、
というステップの1つまたは複数をさらに含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)と、少なくとも1つの入力ユニット(202)と、少なくとも1つの表示ユニット(203)とを含む、哺乳類の被験者(100)の体液平衡を判定および監視する体液平衡監視システム(200)であって、
前記少なくとも1つの入力ユニット(202)は、
ユーザインタフェースと少なくとも1つのセンサデバイス(206、207、208)のうちのいずれか1つまたは複数から、前記哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する情報を含む測定データを受信することと、
受信した前記測定値を前記少なくとも1つのデータ処理ユニットへ送信することと、
を行うよう構成され、
前記少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)はデータ処理装置を備え、前記少なくとも1つのデータ処理ユニットは、
前記少なくとも1つの入力ユニットから前記測定データを受信することと、
受信した前記測定データを処理して前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを取得することと、
被験者の体液平衡を示す前記出力データを前記少なくとも1つの表示ユニットへ送信することと、
を行うよう構成され、
前記少なくとも1つのデータ表示ユニット(203)はデータ処理装置を備え、前記少なくとも1つのデータ表示ユニットは、
前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す前記出力データを受信することと、
前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す前記出力データを表示することと、
を行うよう構成され、
前記測定データは、前記哺乳類の被験者(100)の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象の量、種類、および発生時刻に関する情報をさらに含み、前記少なくとも1つの事象は、前記哺乳類の被験者からの体液の流出、または前記哺乳類の被験者への体液の流入をもたらす、任意の1つの関連事象であり、
前記少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)はさらに、受信した前記測定データを処理して前記少なくとも1つの事象の種類および発生時刻をさらに示す出力データを取得するよう構成される、
体液平衡監視システム(200)。
【請求項24】
前記少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)は、前記少なくとも1つの入力ユニット(202)と前記少なくとも1つの表示ユニット(203)の間のすべてのデータ通信が前記少なくとも1つのデータ処理ユニットを介して行われるように、前記少なくとも1つの入力ユニットおよび前記少なくとも1つの表示ユニットとデータ転送接続されている、請求項23に記載の体液平衡監視システム。
【請求項25】
前記測定データは前記哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象に関連するデータを含み、前記少なくとも1つの事象は、排泄、排便、排尿、食料または飲み物の摂取、静脈内治療、皮下治療、運動、排水管からの排出、潰瘍からの排出、発汗、呼吸、痰の分泌、粘膜分泌物、胃内容排出、のうちのいずれか1つまたは複数を含む、請求項23~24のいずれか一項に記載の体液平衡監視システム。
【請求項26】
前記測定データと前記出力データの少なくとも1つは、好ましくは個々の識別鍵と共に、または前記個々の識別鍵により暗号化されて、クラウドベースの記憶装置(205)または前記データ処理ユニット内に備えられる記憶装置に保存される、請求項23~25のいずれか一項に記載の体液平衡監視システム。
【請求項27】
前記出力データは、前記哺乳類の被験者への液体の流入と、前記哺乳類の被験者からの液体の流出と、前記哺乳類の被験者の体液平衡における変化を示すデータを少なくとも含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の体液平衡監視システム。
【請求項28】
前記表示ユニット(203)は、前記哺乳類の被験者への液体の流入と、前記哺乳類の被験者からの液体の流出と、前記哺乳類の被験者の体液平衡における変化を示すデータを互いに別々に示す方法で、前記出力データを表示するよう構成される、請求項26に記載の体液平衡監視システム。
【請求項29】
前記データ処理ユニット(201)は、出力データを生成して前記出力データをリアルタイムで、または所定の時間間隔で前記少なくとも1つの表示ユニットへ送信する、および/または、前記表示ユニット(203)は前記出力データをリアルタイムで、または所定の時間間隔で表示するよう構成される、請求項23~28のいずれか一項に記載の体液平衡監視システム。
【請求項30】
哺乳類の被験者(100)の体液平衡を判定および監視する方法であって、
a)請求項23~29のいずれか一項に係る体液平衡監視システム(200)であって、少なくとも1つのデータ処理装置を備える少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)と、少なくとも1つの入力ユニット(202)と、少なくとも1つのデータ処理装置を備える少なくとも1つの表示ユニット(203)とを含む体液平衡監視システム(200)を用意して、
b)前記少なくとも1つの入力ユニットを用いて、ユーザインタフェースと少なくとも1つのセンサデバイスのうちのいずれか1つまたは複数から、哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する情報を含む測定データを受信して(301)、
c)前記少なくとも1つの入力ユニットを用いて、受信した前記測定データを前記少なくとも1つのデータ処理ユニットへ送信して(302)、
d)前記少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、前記少なくとも1つの入力ユニットから前記測定データを受信して(303)、
e)前記少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、受信した前記測定データを処理して前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを取得して(304)、
f)前記少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す前記出力データを前記少なくとも1つの表示ユニットへ送信して(305)、
g)前記少なくとも1つの表示ユニットを用いて、前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す前記出力データを受信して(306)、
h)前記少なくとも1つの表示ユニットを用いて、前記哺乳類の被験者の体液平衡を示す前記出力データを表示する(307)、
というステップを含み、
前記測定データは、前記哺乳類の被験者(100)の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象の量、種類、および発生時刻に関する情報をさらに含み、前記少なくとも1つの事象は、前記哺乳類の被験者からの体液の流出、または前記哺乳類の被験者への体液の流入をもたらす、任意の1つの関連事象であり、
前記少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)を用いて、受信した前記測定データを処理して前記少なくとも1つの事象の種類および発生時刻をさらに示す出力データを取得するステップをさらに含む、方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのデータ処理ユニット(201)は、前記少なくとも1つの入力ユニット(202)と前記少なくとも1つの表示ユニット(203)の間のすべてのデータ通信が前記少なくとも1つのデータ処理ユニットを介して行われるように、前記少なくとも1つの入力ユニットおよび前記少なくとも1つの表示ユニットとデータ転送接続されている、または、
第1測定データおよび第2測定データは前記哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象に関連するデータを含み、前記少なくとも1つの事象は、排泄、排便、排尿、食料または飲み物の摂取、運動、発汗、呼吸、のうちのいずれか1つまたは複数を含む、または
前記出力データは、前記哺乳類の被験者への液体の流入と、前記哺乳類の被験者からの液体の流出と、前記哺乳類の被験者の体液平衡における変化を示すデータを少なくとも含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記測定データと前記出力データの少なくとも1つを、好ましくは個々の識別鍵と共に、または前記個々の識別鍵により暗号化して、クラウドベースの記憶装置(205)または前記データ処理ユニット内に備えられる記憶装置に保存して、
前記データ処理ユニットを(201)用いて出力データをリアルタイムで生成して、前記データ処理ユニットを用いて前記出力データをリアルタイムで、または所定の時間間隔で前記少なくとも1つの表示ユニットへ送信して、
前記表示ユニット(203)を用いて、前記出力データをリアルタイムで、または所定の時間間隔で表示する、
というステップのうちの1つまたは複数をさらに含む、
請求項30または31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便鉢および排水管を含むトイレシステムに関し、このトイレシステムはトイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成される。本発明はさらに、上記の請求項のいずれか一項に係るトイレシステムの便鉢へ排泄された排泄物の種類を判定する方法に関する。
【0002】
本発明はさらに便鉢および排水管を含むトイレシステムに関し、このトイレシステムはトイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、このトイレシステムはトイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つのセンサデバイスをさらに含み、センサデバイスは、トイレシステムの便鉢と排水管の間でトイレシステムの排水管の下半分の少なくとも一部に隣接して配置される封水(water seal)の下流側の位置でトイレシステムの排水管に設けられるチャンバを含み、トイレシステムの封水を通って押し出される量の液体を受けるよう構成される。
【0003】
本発明はさらに、哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視するよう構成されている体液平衡監視システムに関し、この体液平衡監視システムは、少なくとも1つのデータ処理ユニットと、少なくとも1つの入力ユニットと、少なくとも1つの表示ユニットとを含む。本発明はさらに、哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視する方法に関する。
【0004】
本明細書で使用される場合、「排泄物(excretion)」という用語は、名詞として使用される場合には原則として人体から除去されるあらゆる老廃物、特に尿および糞便を包含することが意図されている。同様に、本明細書で使用される場合、「排泄(excretion)」という用語およびその活用は、動詞として使用される場合には原則として人体から除去されるあらゆる老廃物を排出する活動を包含することが意図されている。
【0005】
本明細書で使用される場合、「主軸(main axis)」という用語は、物体の特定の幾何学的形状に応じて、基部、特に基線(base line)と、物体の主要な軸のうちのいずれか一つ、特に短軸に平行な軸を指す。
【0006】
本明細書で使用される場合、「トイレシステムの封水を通って押し出される液体」という表現、特に「通って押し出される」は、方法を問わず、つまり封水を通って押し出す排出だけでなく、液体を押しているのは重力の力であることを考慮してあふれさせることも含めて、トイレシステムの封水を通って押し出される液体を包含することが意図されている。
【0007】
本明細書で使用される場合、「被験者」および「哺乳類の被験者」という用語は、原則として体液平衡を監視することが望ましいあらゆる被験者、特に医療部門に関連する被験者、つまり哺乳類であり、特に人間を包含することが意図されている。
【背景技術】
【0008】
患者により排泄される排泄物の種類および量の知識は医療部門内では非常に重要であり、これは看護師や医者などの医療従事者はこの情報を診断目的、そして病気の進行および患者の回復期を観察するのに使用するためである。例えば、この情報は患者に対する正しい処置を判断する際、および選択された処置が効果的か、調整を必要とするのかを判断する際に非常に有用でありうる。
【0009】
排出された使用者の糞便および尿を測定するよう構成されている便器は一般に知られている。しかし、群を抜いて最も知られたソリューションは、使用者により便器へ排泄された尿の量を測定する件に対処することに限定されている。先行技術において、これは重量センサを用いると共に圧力センサを用いて行われてきた。
【0010】
それゆえ、医療部門内、特に病院では、医療従事者が患者により便器またはおまるへ排泄された糞便の量を物理的に糞便を集めて重量を量って測定することが一般的な慣行としてさらに知られている。しかし、このプロセスは極めて時間がかかって煩雑であり、さらに、衛生状態に関連する観点では使用者および医療従事者にとっても同様に実用的ではない。また、おまるを使用することは患者、または使用者にとって魅力的ではなく、屈辱的なことですらありうる。
【0011】
さらに、米国特許出願第2018/368818A1号明細書は、便器便鉢部を含む便器本体と、排出されて便器便鉢部へ落下している糞便を時系列で撮影して糞便の複数の静止画像を取得するカメラと、カメラにより取得された複数の静止画像から糞便の性状の変化を推定する糞便性状推定部とを含む便器装置を開示している。便器装置は、カメラにより時系列で撮影された糞便の静止画像から糞便の性状の変化を推定する。
【0012】
しかし、先行技術の便器は、実施される測定が充分に正確ではないという欠点を有する。さらに、先行技術の便器は、ひいき目に見ても、使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質と尿物質を正しく判別することができない。さらに、先行技術の便器は、使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質の量を見積もることができない。
【0013】
したがって、先行技術に関連する上記の欠点および他の欠点の少なくとも一部を軽減する便器を提供することが望まれている。
【0014】
先行技術のトイレシステムの別の欠点は、既存のトイレシステムを完全に交換するのが必要であることで、これは煩雑で時間がかかる、高価な処置である。
【0015】
さらに、前書きとして述べた種類のトイレシステムを、オーバーフロー部を備える容器へ入れられた物体の質量または体積を判定するために用いる場合、便鉢の質量が一定であるため、あるいは、質量の変化は便鉢があふれるまで満たすのに必要とされる体積に相当するに過ぎないため、便鉢の質量を測定することは不可能である。
【0016】
また、関心のある異なる事象、例えば排尿や排便によって、例えば便鉢を洗浄してすすぐよりも少ない流出が起こる。同様に、便鉢をすすぐ場合、粒子状物質は容器の外へ流れ出る可能性が高い。
【0017】
したがって、関心のある事象を測定したい場合は、選択的なキャプチャ方法が必要となる。これは、前書きとして述べた、センサデバイスがトイレシステムの排水管の封水の下流側に取り付けられることで、あふれさせる場合には排水管内に設けられる穴または開口を通ってすべての水が集められる種類のトイレシステムを用いて実現することができる。
【0018】
しかし、そのようなトイレシステムは、信頼性が高く正確な測定結果を取得できるように注意深く設計される必要がある。例えば、小さすぎる穴を備えていると、粒子状物質がその中につかまった場合に詰まってしまい、最終的には測定対象の流れを妨げてしまうという結果になりうる。別の課題は、関心のある非常に小さな事象によって測定対象の液体が穴の周りを流れてしまいかねないということである。
【0019】
したがって、前書きとして述べた、先行技術に関連する上記の欠点および他の欠点の少なくとも一部を軽減する種類のトイレシステムを提供することがさらに望まれている。
【0020】
被験者、例えば哺乳類や人間の被験者などの体液平衡は恒常作用、例えば、被験者の中の酸塩基平衡、イオン平衡、液体輸送や類似のものなどに影響する。被験者100の体液平衡は、図20に概略的に示される。被験者100の体液平衡は、被験者100の中の水の変化、つまり、被験者100へ流入する液体の体積である流入量101と被験者100から流出する液体の体積である流出量102の間の関係を表す。所与の時刻までの被験者100の体液平衡は、
体液平衡=流入量-流出量
と表すことができる。
【0021】
人間の被験者などの被験者の体液平衡は非常に重要なパラメータであり、医療部門内では病気を診断する際、および病気の進行を観察する際には数ある中でも一つのパラメータとして頻繁に使用される。
【0022】
液体は、被験者の内部および外部で水蒸気圧または浸透圧に差がある場合に食料もしくは飲み物を摂取することで、または骨、血管系、腸、およびさらに表面を介してアクセスすることで、被験者へ流入しうる。
【0023】
液体は、肺組織や皮膚組織などの表面領域からの蒸発(例えば発汗)により、または尿や糞便などの排泄物を排出することで、被験者から流出しうる。さらに、液体は、痰、潰瘍、排液管、粘膜、および胃内容排出により、経口的に被験者から流出しうる。
【0024】
簡単でしばしば用いられる被験者の体液平衡を測定する方法は、被験者の質量を観察することによる。被験者の質量の測定は、被験者の体重を量ることで行うことができる。しかし、質量は被験者の現在の状態を示すに過ぎず、したがって被験者の体液平衡のスナップショットを提供するに過ぎない。質量の増加は、流出量が一定で流入量が増加、または同様に、流入量が一定で流出量が減少するために起こり得る。同様に、質量の減少は、流出量が一定で流入量が減少、または同様に、流入量が一定で流出量が増加するために起こり得る。
【0025】
さらに、流入物および流出物の種類は重要であり、異なる排泄物、例えば糞便と尿の含水量は異なる。それゆえ、流出物の種類の判定は、被験者から流出する水の量を正しく見積もるために重要である。同様に、流入物でも、消費される類似した質量の異なる物質、例えば水とパンの含水量、あるいはそうでなければ被験者へ流入する水分量は異なる。それゆえ、流入物の種類の判定も重要である。
【0026】
したがって、被験者の体液平衡の動力学を理解するために、流入量および流出量を別々に測定して流入物と流出物のそれぞれの種類および発生時刻が判定できるようにすることは重要であり、結果として望ましい。
【0027】
また、ある期間tにわたる被験者の体液平衡または内部の液体の質量の変化を要約することが望ましく、液体の質量の変化は、その期間内の液体の流入量の総和から液体の流出量の総和を差し引いたものに等しく、以下で表すことができる。
Σ(体液平衡,t)=Σ(流入,t)-Σ(流出,t)
ここで、Σ(x,t)という表記は期間tにわたるパラメータxの総和を意味する。体液平衡は、被験者の質量の絶対値または百分率として表すことができて、例えば、流出量が流入量より大きければ負の百分率、流入量と流出量が等しければ0%、流入量が流出量より大きければ正の百分率で表すことができる。
【0028】
被験者の体液平衡の動力学を完全に理解するには、流入と流出のすべてが判定される必要がある。理想的には、これは自律的に行われる。ただし、技術的環境により常にこれが可能なわけでない。そのため、流入と流出が発生するたびに時間と種類を登録する必要がある。典型的にはこれは紙とペンを用いて行われるが、これには時間がかかり、非衛生的であり、登録エラーが非常に発生しやすい。
【0029】
したがって、先行技術に関連する上記の欠点および他の欠点の少なくとも一部を軽減する、体液平衡監視システム、ならびに被験者の体液平衡を判定および監視する方法を提供することがさらに望ましい。
【0030】
特に、正確で包括的な体液平衡の監視と、被験者の体液平衡の動力学のより良い理解、またはさらに完全な理解を提供するために、被験者への体液の流入および被験者からの体液の流出のすべてを判定することを可能とし、被験者への体液の流入量および被験者からの体液の流出量を別々に測定することを可能とし、流入物と流出物のそれぞれの種類および発生時刻を判定することを可能とし、ある期間にわたる被験者の体液平衡または内部の液体の質量の変化を要約することを可能とする、体液平衡監視システム、ならびに被験者の体液平衡を判定および監視する方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
それゆえ、本発明の目的は、実施される測定の精度が高められ、使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質と尿物質を正しく判別することができて、使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質の量を正確に見積もることができる、前書きで述べた種類の便器を提供することである。
【0032】
本発明の更なる目的は、使用するのが簡単かつ迅速で、より魅力的で衛生的なソリューションを使用者、患者、医療従事者に同じように提供するような便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は独立請求項の主題により規定される。本発明の特定の実施形態は、従属請求項に記載される。
【0034】
上記の目的および他の目的は、本発明の第1態様において便鉢および排水管を含むトイレシステムを用いて実現され、このトイレシステムは、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、このトイレシステムは、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイスと、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第2センサデバイスとをさらに含む。
【0035】
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイスを用意することで、使用者または患者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質と尿物質を正しく判別することが可能なトイレシステムが提供される。
【0036】
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第2センサデバイスを用意することで、使用者または患者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質の量も見積もることができるトイレシステムが提供される。
【0037】
センサデバイスはそれぞれの信号を自動的に、かつ人が介入する必要なくキャプチャするので、特に使用者や患者にとって使用するのがさらに簡単かつ迅速で、より魅力的で衛生的なソリューションを使用者、患者、医療従事者に同じように提供するトイレシステムが提供される。また、時間と資源も節約される。
【0038】
さらに、そのようなトイレシステムは、診断目的、そして病気の進行および患者の回復期を簡単、衛生的で信頼性の高い方法で観察するために医療従事者が必要とするデータを提供する。
【0039】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは音声を測定するよう構成される。
【0040】
本発明者らは、排泄物を排泄する使用者に関連する音を測定することで、便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質と尿物質を非常に高い確実性と精度で判別することが可能となることを発見した。
【0041】
さらに、本発明者らは、音声測定値を用いることで、トイレシステムの便鉢への鼓腸や紙など他の種類の物質の排泄または廃棄を糞便や尿物質の排泄と識別すること、および結果として得られるデータで偽陽性などの不要なデータおよび/または無関係なデータを除去することさえも可能となることを発見した。
【0042】
これにより、実施される測定の精度が高められ、患者または使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質と尿物質を正しく、かつ高い精度で判別することが可能なトイレシステムが提供される。
【0043】
そのような種類のセンサは、必要とされる測定値および信号をキャプチャするために排泄物と物理的に接触する必要はない、ということに更なる利点がある。これにより、洗浄および清潔に保つことが容易なので、トイレシステムの衛生状態と耐久性はさらに高められる。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは音響センサやマイクなどの振動センサを含む。
【0045】
これにより、構造が非常に簡単で洗浄が非常に容易なトイレシステムが提供される。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは便器の便座の中、または便座上に配置される。
【0047】
これにより、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を非常に詳細に示すキャプチャされた信号が提供されるトイレシステムが提供される。これは、特に患者または使用者が発した音声信号などの音声信号の形の信号に特に適用できる。
【0048】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは便鉢の中、または便鉢の水位線の上に配置される。
【0049】
これにより、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を非常に詳細に示す信号のキャプチャが最適化されて提供されるトイレシステムが提供される。本発明者らは、このシステムは特に、便鉢内の水位線の上に広がっている音響特性のために、特に患者または使用者が発した音声信号などの音声信号の形の信号、および/または排泄物が便鉢または便鉢内の物質と接触した際に生じるそのような音声信号に適用できることを示した。
【0050】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは便鉢の中、または便鉢の水位線の下に配置される。
【0051】
これにより、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を非常に詳細に示す信号のキャプチャが最適化されて提供されるトイレシステムが提供される。本発明者らは、このシステムは特に、便鉢内の水位線の上に広がっている音響特性のために、特に排泄物が便鉢内の水と衝突した際に生じる音声信号などの音声信号の形の信号に適用できることを示した。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは、圧力センサ、レーダー、撮像装置、容量式センサ、および流量センサのうちのいずれか1つまたは複数をさらに含む。
【0053】
これにより、トイレシステムの便鉢へ排泄された排泄物の種類を判定するための更なるデータが、非常に簡単で分かりやすく、コスト効率の良い方法で提供される。これにより今度は非常に正確な排泄物の種類の判定が提供される。容量式センサは特に、トイレシステムの水路、排水トラップ、および同種のものの外側、例えばトイレシステムの便鉢の外側にさえ取り付けることができるという利点を有し、これにより、衛生状態の更なる改善が実現される。
【0054】
一実施形態では、少なくとも1つの第1センサデバイスは少なくとも1つの信号をデータ分析装置へ送信するよう構成される。
【0055】
一実施形態では、少なくとも1つの第2センサデバイスは少なくとも1つの信号をデータ分析装置へ送信するよう構成される。
【0056】
第1センサデバイスおよび/または第2センサデバイスはキャプチャされた信号をこのように自動的に、人が介入する必要なく分析装置へ送信するので、特に使用者や患者にとって使用するのが非常に簡単かつ迅速で、より魅力的で衛生的なソリューションを使用者、患者、医療従事者に同じように提供するトイレシステムが提供される。
【0057】
さらに、そのようなトイレシステムは、診断目的、そして病気の進行および患者の回復期を非常に簡単、衛生的で信頼性の高い方法で観察するために医療従事者が必要とするデータを提供し、関係者の時間と資源の両方を節約する。
【0058】
一実施形態では、少なくとも1つの第2センサデバイスは、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す液体の体積を測定するよう構成される。
【0059】
これにより、使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質または尿物質の量を正確に見積もることができるトイレシステムが提供され、このトイレシステムを用いることで、診断目的、そして病気の進行および患者の回復期を観察するために医療従事者が必要とするデータの精度および詳細度が高められる。
【0060】
一実施形態では、少なくとも1つの第2センサデバイスは、トイレシステムの便鉢と排水管の間に配置される封水の下流側の位置でトイレシステムの排水管に配置される。
【0061】
第2センサデバイスをそのように位置決めすることは、特に排水管内に封水、排水トラップまたは防臭弁を備える便器では、そのような便器の便鉢における通常水位は封水により規定される上限と同一平面となっているので有利である。それゆえ、便鉢にたまった少量の排泄物でも封水内の水を封水の下流側の排水管へとあふれ出させ、あふれた水の量は封水の下流側に設置された第2センサデバイスにより容易に測定が可能である。
【0062】
少なくとも1つの第2センサデバイスは、重量センサ、液面センサ、流量センサのうちのいずれか1つまたは複数とすることができる。
【0063】
これにより、患者または使用者により便器の便鉢へ排泄された糞便物質または尿物質の量を示す信号を正しく、かつかつ高精度でキャプチャするトイレシステムが提供され、このトイレシステムを用いることで、実施される測定の精度が高められる。
【0064】
一実施形態では、トイレシステムはさらにデータ分析装置を含み、このデータ分析装置はデータ処理ユニットとデータ記憶ユニットとを含み、データ処理ユニットは少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信される1つまたは複数の信号を受信して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を少なくとも示すデータ出力を作り出すために受信した1つまたは複数の信号を分析するよう構成される。
【0065】
これにより、実施される測定の精度が高められ、患者または使用者により便器の便鉢へ排泄された際に糞便物質と尿物質を自動的に、かつ高い精度で判別することが可能なトイレシステムが提供される。
【0066】
更なる利点は、データ分析をこのように自動的に、また種類を判定するために排泄物と物理的に接触する必要なく行うことが可能であるということにある。これにより、そうでなければ医療従事者が排泄物の分析だけでなく関連する殺菌および清掃に費やす時間とコストが削減されて、トイレシステムの衛生状態および耐久性がさらに高められる。
【0067】
分析は、既存のデータ、例えばデータベースからのデータとの比較、および/または統計的分析とすることができる。分析は、例えばニューラルネットワーク、主成分分析(PCA)、決定木、またはクラスタリングで行うことができる。
【0068】
一実施形態では、データ分析装置はさらに、少なくとも1つの第2センサデバイスにより送信される1つまたは複数の信号を受信して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示すデータ出力を作り出すために、データ処理ユニットを用いて受信した1つまたは複数の信号を分析するよう構成される。
【0069】
これにより、データ分析装置に関連する上記の利点が排泄物の量の判定にまで拡張されるトイレシステムが提供される。
【0070】
一実施形態では、データ分析装置はデータ可視化ユニットをさらに含み、データ処理ユニットはさらに、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類とトイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量のうちの1つまたは複数を示すデータ出力をデータ可視化ユニット上で可視化するよう構成される。
【0071】
これにより、使用者または医療従事者は、非常に簡単で理解しやすい方法で、センサデバイスにより得られたデータおよびデータ分析装置により得られた結果の解釈において支援されうる。
【0072】
更なる利点は、データの可視化をこのように自動的に、排泄物またはトイレシステムと物理的に接触する必要なく行うことが可能であるということにある。これにより、そうでなければ個人医療が分析および可視化だけでなく関連する殺菌および清掃に費やす時間とコストが削減されて、トイレシステムの衛生状態および耐久性がさらに高められる。
【0073】
一実施形態では、トイレシステムは、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を使用者が示せるように、かつ使用者の分析装置への指示を示す信号を送信するように構成されているアクチュエータをさらに含む。
【0074】
これにより、トイレシステムの便鉢へ排泄された排泄物の種類を判定するための更なるデータが、非常に簡単で分かりやすく、コスト効率の良い方法で提供される。
【0075】
一実施形態では、トイレシステムは、トイレシステムを使用する前にトイレシステムと分析装置のうちの1つまたは複数を使用者が作動させられるよう構成されているアクチュエータをさらに含む。
【0076】
そのようなアクチュエータは、例えばトイレシステムの近くにいる、またはトイレシステムに触っている使用者を自動的に登録して、トイレシステムに触った使用者の登録に反応してトイレシステムと分析装置のうちの1つまたは複数を作動させるよう構成されているモーションセンサや、部屋やトイレの1区画に施錠している使用者により発せられた音声を登録するよう構成されている音声センサなどの押しボタン、またはアクチュエータとすることができる。
【0077】
これにより、トイレシステムおよび/または分析装置が、トイレシステムが使用者により使用される場合のみにアクティブ状態へ入り、それ以外の場合はパッシブ状態または非アクティブ状態であるようにすることが可能となり、これにより電力とコストが削減される。
【0078】
一実施形態では、トイレシステムは、排泄の前後のそれぞれで使用者の体重を示す信号をキャプチャするように配置されて構成されている重量センサをさらに含む。
【0079】
これにより、トイレシステムの便鉢へ排泄された排泄物の量を判定するための更なるデータが、簡単でコスト効率の良い方法で提供される。
【0080】
一実施形態では、第1センサデバイスは便座の中、便座上、便鉢の中、または便鉢の水位線の上のいずれか一つに配置される撮像装置であり、第2センサデバイスは、便器の便鉢と排水管の間に配置される封水の下流側の位置でトイレシステムの排水管に配置され、封水を通って押し出される液体を集めるよう構成されているチャンバと、チャンバおよびチャンバに含まれる液体の重量を測定するように配置されて構成されている重量センサとを含む。
【0081】
一実施形態では、第1センサデバイスは、水平線Hに対して70度~80度の角度α、例えば75度の角度αなどで、垂直線Vに対して20度~10度の角度β、例えば15度の角度βなどで下方を向くように配置され、この文脈では90度の角度は垂直線Vまたは重力の方向に対応する。
【0082】
一実施形態では、第1センサデバイスは便座の中心軸Aの外に配置され、便座の中心軸Aに対して25度~25度の角度γ、例えば30度の角度γなどを向くように、重力または垂直線Vの方向の周りに回転される。
【0083】
第1センサデバイスの便鉢の水位線の上という配置、および上述した第1センサデバイスの角度は、それぞれ信頼性の高い種類の認識を保証するのに考えられる最良のデータを取得するために、第1センサデバイスの位置決めと調整を改善する。これらは、信頼性の高い種類の認識を保証するのに考えられる最良のデータを取得するために、一体となって第1センサデバイスの位置決めと調整の最適化に役立つ。
【0084】
上記の目的および他の目的は、本発明の第2態様において、トイレシステムの使用者により上記の請求項のいずれか一項に係るトイレシステムの便鉢へ排泄された排泄物の種類を判定する方法を用いて実現され、この方法は、
トイレシステムの少なくとも1つの第1センサデバイスを用いて、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す信号をキャプチャして、
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示すキャプチャされた信号を、データ処理ユニットとデータ記憶ユニットを含む分析装置へ送信して、
データ処理ユニットを用いて、少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信して、
データ処理ユニットを用いて、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示すデータ出力を作り出すために、少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信され受信した1つまたは複数の信号を分析する、
というステップを含む。
【0085】
一実施形態では、分析するステップは、既存のデータ、例えばデータベースからのデータとの比較、および/または統計的分析を行うことを含む。分析は、例えばニューラルネットワーク、主成分分析(PCA)、決定木、またはクラスタリングで行うことができる。
【0086】
一実施形態では、方法はさらに、
トイレシステムの少なくとも1つの第2センサデバイスを用いて、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す信号をキャプチャして、
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示すキャプチャされた信号を分析装置へ送信して、
データ処理ユニットを用いて、少なくとも1つの第2センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信して、
データ処理ユニットを用いて、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示すデータ出力を作り出すために、少なくとも1つの第2センサデバイスより送信され受信した1つまたは複数の信号を分析する、
というステップを含む。
【0087】
この方法の一実施形態では、データ分析装置はデータ可視化ユニットをさらに含み、この方法はさらに、データ処理ユニットを用いて、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示すデータ出力、および/またはトイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示すデータ出力をデータ可視化ユニット上で可視化するステップを含む。
【0088】
繰り返しを避けるため、本明細書では、図12が本発明の第2態様に係る方法のステップを概略的に示すことに留意されたい。さらに、第2センサデバイスに関連する、図12の右側上部に示される4つのステップは、前述した本発明の第2態様に係る方法の実施形態と合致する任意選択のステップであることに留意されたい。更なる詳細については、以下に続く詳細な説明に含まれる例に関して述べる。
【0089】
本発明の更なる態様は、以下を含む。
【0090】
便鉢および排水管を含むトイレシステムであって、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイス、
をさらに含むトイレシステム。
【0091】
便鉢および排水管を含むトイレシステムであって、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイスであって、音声を測定するよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイス、
をさらに含むトイレシステム。
【0092】
少なくとも1つの第1センサデバイスはさらに、少なくとも1つの信号をデータ分析装置へ送信するよう構成することができる。
【0093】
便鉢および排水管を含むトイレシステムであって、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を判別するよう構成され、
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す少なくとも1つの信号をキャプチャして、少なくとも1つの信号をデータ分析装置へ送信するよう構成されている少なくとも1つの第1センサデバイスと、
データ処理ユニットとデータ記憶ユニットとを含むデータ分析装置であって、データ処理ユニットは、
少なくとも1つの第1センサデバイスにより送信された1つまたは複数の信号を受信することと、
トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を少なくとも示すデータ出力を作り出すために、受信した1つまたは複数の信号を分析することと、
を行うよう構成されているデータ分析装置と、
をさらに含むトイレシステム。
【0094】
本発明の更なる目的は、前書きで述べた、使用者によりトイレシステムの便鉢へ排泄された際に糞便物質の量を簡単で信頼性が高く、正確な方法で、また経時的にも評価することが可能な種類のトイレシステムを提供することである。
【0095】
本発明の更なる目的は、すでに設置されている既存のトイレシステムにセンサデバイスを簡単で分かりやすい方法で組み込むこともできるトイレシステムを提供することである。
【0096】
上記の目的および他の目的は、本発明の第3態様において、便鉢および排水管を含むトイレシステムを用いて実現され、このトイレシステムは、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を少なくとも判別するよう構成され、このトイレシステムはトイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つのセンサデバイスをさらに含み、センサデバイスは、トイレシステムの便鉢と排水管の間に配置される封水の下流側の位置でトイレシステムの排水管に設けられるチャンバであって、トイレシステムの排水管の下半分の少なくとも一部に隣接して配置されて、トイレシステムの封水を通って押し出される量の液体を受けるよう構成されているチャンバと、封水を通って押し出される液体がチャンバへと流れ込めるように、チャンバが設けられる封水の下流側の位置でトイレシステムの排水管に設けられる少なくとも1つの貫通開口と、を含み、少なくとも1つの貫通開口は排水管の前後軸Lに対して垂直に延びる主軸に沿って配置され、少なくとも1つの貫通開口は上流方向で先細になる形状を含む。
【0097】
これにより、特に、排水管の前後軸に対して垂直に延びる主軸に沿って配置され、上流方向で先細になる形状を含むように少なくとも1つの貫通開口を排水管に設けることで、特に複数の貫通開口が詰まる危険性が最小化されているので、使用者によりトイレシステムの便鉢へ排泄された際に糞便物質の量を簡単で信頼性が高く、正確な方法で、また経時的にも評価することが可能なトイレシステムが提供される。
【0098】
そのようなトイレシステムを用いて、チャンバを既存の排水管上に、また少なくとも1つの貫通開口を既存の排水管内に設けるだけで、センサデバイスを既に使用されている既存のトイレシステムに簡単で分かりやすい方法で組み込むこともできる。
【0099】
排水管の前後軸Lに対して垂直に延びる主軸に沿って配置される少なくとも1つの貫通開口を設けることは、開口の大きさを排水管内の総流量または圧力と併用することで、どれだけの液体が測定のためにチャンバに取りこまれるのかを判断するのに使用できるようにするという更なる利点を有する。
【0100】
トイレシステムの封水を通って押し出される液体の量は、例えば5ml/min~1000ml/minの間でありうることに留意されたい。
【0101】
一実施形態では複数の貫通開口が設けられ、複数の貫通開口は、排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される最大の大きさBを含み、複数の貫通開口のうちの隣接する複数の貫通開口は排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最短距離Cと排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される最短距離Dだけ離間して配置され、複数の貫通開口は関係C<AおよびD<2Bを満たすパターンで配置される。
【0102】
小さい開口は、粒子状物質がその中につかまると詰まることがあり、最終的には測定対象の流れを妨げてしまいかねない。また、非常に小さな排泄物の場合は封水を通って非常に少量の液体を押し出すので、測定対象の液体は開口間の間隔が大きすぎる場合には開口の周りを流れてしまうことがある。
【0103】
本発明者らは、上記の関係を満たすパターンで複数の貫通開口を配置することで、これらの2つの不利益を克服しうることを示した。これにより、実施される測定の精度および信頼性がさらに高められる。
【0104】
一実施形態では、少なくとも1つの貫通開口は、先細で上流方向を向いている先端部分で終わる形状を含む。
【0105】
これにより、粒子状物質はより簡単で確実に開口を通って導かれ、粒子状物質が開口内につかまった場合に開口が詰まって最終的には測定対象の流れを妨げる危険性は、かなり低くなる、あるいはすっかり回避される。
【0106】
一実施形態では、少なくとも1つの貫通開口は、規則的な端部、凹状の端部、凸状の端部、不規則な端部、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を有する、多角形、楕円形、または円形の断面形状を含む。多角形の形状の例は、例えば三角形、矩形、またはダイヤモンド形状である。したがって、スリット状の開口も実現可能である。
【0107】
そのような形状を有する開口は、単純で製造が容易な開口の幾何学的形状を保ちながらも上記の利点を得るという利点を有する。
【0108】
一実施形態では、少なくとも1つの貫通開口は、排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される最大の大きさBとを含み、大きさAは0.5mm~100mmである。あるいは、またはさらに、大きさBは0.5mm~100mmである。
【0109】
前述したように、小さな開口はあまりに簡単に詰まることがある。その一方で、大きな開口は、あまりに多くの粒子状物質がチャンバ内に残ってしまうという結果になりうる。これはチャンバを詰まらせてしまいうるだけでなく、チャンバに閉じ込められた粒子状物質からの、または粒子状物質による測定値への寄与や影響のために測定値を不良に、あるいは使い物にならなくしてしまうことがあり、さらに重要なことに、測定が終了した後にチャンバを空にするのをより難しくしてしまうことがある。
【0110】
本発明者らは、上記の間隔以内の大きさを有する少なくとも1つの開口を設けることで、これらの2つの不利益、特に後者の不利益を克服しうることを示した。これにより、実施される測定の精度および信頼性がさらに高められる。
【0111】
一実施形態では、複数の貫通開口は少なくとも5個の開口を含む。
【0112】
これにより、充分な量の液体がチャンバに確実に取り込まれるように充分な数の開口が設けられ、これにより信頼性が高く正確な測定が保証される。
【0113】
一実施形態では、センサデバイスは、少なくとも1つの貫通開口の上流に配置される、または少なくとも1つの貫通開口の上に広がる、スクリーニング装置をさらに含む。
【0114】
そのようなスクリーニング装置は、あまりに多くの粒子状物質がチャンバ内に残ってしまうのを回避しつつ、なおも液体が開口を通ってチャンバへ流れ込めるようにするために、粒子状物質に開口を通過させるのに寄与するという利点を有する。これにより、チャンバが詰まるのを防ぎ、さらに重要なことに、チャンバに閉じ込められた粒子状物質からの測定値への寄与のために測定値が不良に、あるいは使い物にならなくなってしまうのを回避できる。
【0115】
一実施形態では、センサデバイスは、チャンバの重量を監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている質量センサまたは重量センサをさらに含む。
【0116】
あるいは、またはさらに、センサデバイスは、チャンバを通る液体の流れを監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている流量センサを含みうる。
【0117】
これにより、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の種類を示す信号をキャプチャして非常に簡単な方法で分析装置での分析へ送信しうるトイレシステムが提供される。
【0118】
一実施形態では、センサデバイスは、センサデバイスをトイレシステムの排水管に取り付けられるよう構成されている取付け要素をさらに含む。
【0119】
これにより、センサデバイスを、既存の排水管上にチャンバを取り付ける際に単純に取り付け要素を用いて、非常に簡単で分かりやすい方法で、既に使用されている既存のトイレシステムに組み込みうるトイレシステムが提供される。
【0120】
取り付け要素は、排水管の周りに取り付けられるよう構成されている要素とすることができる。また、取り付け要素は、溶接や接着などの締結具とすることもできる。
【0121】
一実施形態では、チャンバは、排水管と、チャンバの内容物をトイレシステムの排水管へと吸い出すよう構成されているポンプ装置のいずれか一つをさらに含む。
【0122】
これにより、チャンバは非常に簡単で効率よい方法で空にすることができる。チャンバの内容物は、例えば少なくとも1つの貫通開口通って単純に排水管へと押し戻すことができる。
【0123】
一実施形態では、トイレシステムは、少なくとも1つの貫通開口を好ましくは下方から、つまりチャンバを向いている側で覆うよう構成されている可動装置と、可動装置が少なくとも1つの貫通開口を覆うように移動されるまで洗浄を遅らせるようにトイレシステムの可動装置と洗浄システムを制御する装置とをさらに含みうる。
【0124】
一実施形態では、センサデバイスは、1つまたは複数の開口のうちの少なくとも1つに関連して取り付けられてチャンバへの液体の流入を制御するよう構成されている弁をさらに含む。弁はアクチュエータを含みうる。
【0125】
そのような弁は、あまりに多くの粒子状物質がチャンバ内に残ってしまうのを回避しつつ、なおも液体が開口を通ってチャンバへ流れ込めるようにするために、粒子状物質に開口を通過させるのに寄与するという利点を有する。そのような弁はさらに、この弁を通ってチャンバへと流れられる粒子状物質の大きさを正確に制御するのに使用することができる。これにより、チャンバが詰まるのを防ぎ、さらに重要なことに、チャンバに閉じ込められた粒子状物質からの測定値への寄与のために測定値が不良に、あるいは使い物にならなくなってしまうのを回避できる。
【0126】
一実施形態では、特にセンサデバイスが弁を含む実施形態では、センサデバイスはただ1つの開口を含む。
【0127】
一実施形態では、センサデバイスはさらに、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をデータ分析装置へ送信するよう構成される。
【0128】
一実施形態では、トイレシステムはイメージセンサをさらに含む。
【0129】
上記の目的および他の目的は、本発明の第4態様において、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするよう構成されている少なくとも1つのセンサデバイスを備えるトイレシステムを提供する方法を用いて実現され、この方法は、
トイレシステムの便鉢と排水管の間に配置される封水の下流側の位置でトイレシステムの排水管の下半分の少なくとも一部に、封水を通って押し出される液体が開口を通ってチャンバへと流れ込めるように少なくとも1つの貫通開口を設けて、
少なくとも1つの貫通開口は排水管の前後軸Lに対して垂直に延びる主軸に沿って配置され、
少なくとも1つの貫通開口は上流方向を向いている先端部分を含む形状を含み、
トイレシステムの封水を通って押し出される量の液体を受けるよう構成されているチャンバを用意して、
トイレシステムの便鉢と排水管の間でトイレシステムの排水管の下半分の少なくとも一部に隣接して配置される封水の下流側の位置でトイレシステムの排水管にチャンバを配置する、
というステップを含む。
【0130】
更なる実施形態では、方法はさらに、
a)排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される最大の大きさBを含むように複数の貫通開口を設けることであって、隣接する複数の貫通開口は排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最短距離Cと排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される最短距離Dだけ離間して配置され、複数の貫通開口は関係C<AおよびD<2Bを満たすパターンで配置される、複数の貫通開口を設けて、
b)規則的な端部、凹状の端部、凸状の端部、不規則な端部、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を有する、多角形、楕円形、または円形の断面形状を含むように少なくとも1つの貫通開口、または複数の貫通開口を設けて、
c)排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される最大の大きさAと、排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される最大の大きさBとを含み、大きさAは0.5mm~100mmである、あるいは、またはさらに大きさBは0.5mm~100mmであるように少なくとも1つの貫通開口、または複数の貫通開口を設けて、
d)少なくとも5個の開口を含むように複数の貫通開口を設けて、
e)
-少なくとも1つの貫通開口または複数の貫通開口の上流に配置されるスクリーニング装置と、
-チャンバの重量を監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている質量センサまたは重量センサと、
-チャンバを通る液体の流れを監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている流量センサと、
-センサデバイスをトイレシステムの排水管に取り付けられるよう構成されている取付け要素、
のうちのいずれか1つまたは複数を用意する、
というステップのうちの1つまたは複数を含む。
【0131】
本発明の更なる目的は、正確で包括的な体液平衡の監視と、被験者の体液平衡の動力学のより良い理解、またはさらに完全な理解を提供するように、被験者への体液の流入および被験者からの体液の流出のすべてを判定することと、被験者への体液の流入量および被験者からの体液の流出量を別々に測定することと、流入物と流出物のそれぞれの種類および発生時刻を判定することと、ある期間にわたる被験者の体液平衡または内部の液体の質量の変化を要約することを可能とする、前書きで述べた種類の体液平衡監視システム、ならびに哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視する方法を提供することである。
【0132】
本発明の更なる目的は、体液平衡監視システム、ならびに哺乳類の被験者を観察する際に医療従事者の実際のデータ登録工程および作業工程の両方をさらに簡略化する、哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視する方法を提供することである。
【0133】
本発明の更なる目的は、特に病院や介護施設、在宅治療などの専門的な健康管理システム内で、時間とコストを削減するような体液平衡監視システムを提供することである。
【0134】
上記の目的および他の目的は、本発明の第5態様において、哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視する体液平衡監視システムを用いて実現され、この体液平衡監視システムは、少なくとも1つのデータ処理ユニットと、少なくとも1つの入力ユニットと、少なくとも1つの表示ユニットとを含む。少なくとも1つの入力ユニットは、ユーザインタフェースと少なくとも1つのセンサデバイスのうちのいずれか1つまたは複数から、哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する情報を含む測定データを受信して、受信した測定値を少なくとも1つのデータ処理ユニットへ送信するよう構成される。少なくとも1つのデータ処理ユニットはデータ処理装置を含み、少なくとも1つのデータ処理ユニットは少なくとも1つの入力ユニットから測定データを受信し、受信した測定データを処理して哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを取得し、哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを少なくとも1つの表示ユニットへ送信するよう構成される。少なくとも1つの表示ユニットはデータ処理装置を含み、少なくとも1つの表示ユニットは哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを受信して、被験者の体液平衡を示す出力データを表示するよう構成される。測定データは、哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象の量、種類、および発生時刻に関する情報をさらに含み、少なくとも1つの事象は、哺乳類の被験者からの体液の流出、または哺乳類の被験者への体液の流入をもたらす、任意の1つの関連事象であり、少なくとも1つのデータ処理ユニットはさらに、受信した測定データを処理して少なくとも1つの事象の種類および発生時刻をさらに示す出力データを取得するよう構成される。
【0135】
これにより、特に測定データが被験者の体液平衡の判定および監視に関連する、被験者からの体液の流出、または被験者への体液の流入をもたらす任意の1つの関連事象である少なくとも1つの事象の量、種類、および発生時刻に関する情報をさらに含み、また少なくとも1つのデータ処理ユニットはさらに受信した測定データを処理して少なくとも1つの事象の種類および発生時刻をさらに示す出力データを取得するよう構成されると規定することで、被験者への体液の流入および被験者からの体液の流出のすべてを判定することと、被験者への体液の流入量および被験者からの体液の流出量を別々に測定することと、流入物と流出物のそれぞれの種類および発生時刻を判定することと、ある期間にわたる被験者の体液平衡または内部の液体の質量の変化を要約することを可能とする体液平衡監視システムが提供される。
【0136】
したがって、そのようなシステムは、正確で包括的な体液平衡の監視、および被験者の体液平衡の動力学のより良い理解、またはさらに完全な理解の提供を可能とする。これにより、専門家が被験者の体液平衡の動力学をさらに理解し、より迅速でより正確な診断を行って、より早く良好に回復するためにより注意深く正確に被験者を観察すると共に、入院を回避してバランスの崩れた液体平衡に続いて起こりうる他の困難な問題を防ぐのを助けるという利点が提供される。
【0137】
さらに、特に病院などの専門的な健康管理システム内で、時間とコストを削減する体液平衡監視システムが本明細書により提供される。また、そのようなコスト、および特に時間を削減することは、専門家がより迅速でより正確な診断を行って、より早く良好に回復するためにより注意深く正確に被験者を観察するのを助けるという利点の提供を支援することもできる。
【0138】
また、データ収集は1つのユニットで行われ、データ処理は別のユニットで行われ、データの表示はさらに別のユニットで行われると規定することで、体液平衡監視システムをデータ処理ユニットにより一元的に管理することができる。さらに重要なことに、そのような体液平衡監視システムを用いることで、データ登録工程および表示・監視工程はそれぞれ別々のユニットで行うことができる。これにより、被験者または介護者はデータの収集と登録を1つのユニットで管理することができて、被験者の体液平衡は異なるユニットで監視することができる。したがって、被験者を観察する際の医療従事者の実際のデータ登録工程と作業工程は、いずれもかなり簡略化される。
【0139】
一実施形態では、少なくとも1つのデータ処理ユニットは、少なくとも1つの入力ユニットと少なくとも1つの表示ユニットの間のすべてのデータ通信が少なくとも1つのデータ処理ユニットを介して行われるように、少なくとも1つの入力ユニットおよび少なくとも1つの表示ユニットとデータ転送接続されている。
【0140】
これにより、体液平衡監視システムをデータ処理ユニットにより一元的に管理することが可能となる。これにより、データ登録工程および表示・監視工程をそれぞれ別々のユニットで行うことができる、簡略化された体液平衡監視システムが提供される。これにより、被験者または介護者はデータの収集と登録を1つのユニットで管理することができて、被験者の体液平衡は異なる別のユニットで監視することができる。これにより、システムの異なる使用者に本人に関連する情報のみを提示することが可能となる。したがって、被験者を観察する際の医療従事者の実際のデータ登録工程と作業工程は、いずれも一段と簡略化される。
【0141】
一実施形態では、測定データは哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象に関連するデータを含み、少なくとも1つの事象は、排泄、排便、排尿、食料または飲み物の摂取、運動、発汗、呼吸、痰の分泌、粘膜分泌物、排水管からの排出、胃内容排出、のうちのいずれか1つまたは複数を含む。
【0142】
被験者の体液平衡の監視におけるすべてのそのような事象、または最も関連するそのような事象を考慮することで、精度と包括性の観点で体液平衡の監視がさらに改善される。これにより、より早く良好に回復するための被験者の診断と被験者の観察のいずれにおいても精度がさらに向上する。
【0143】
一実施形態では、測定データと出力データの少なくとも1つはクラウドベースの記憶装置またはデータ処理ユニット内に備えられる記憶装置に保存される。
【0144】
これにより、任意の認可された表示ユニットによりいつでもデータへアクセスできるように、出力データおよび測定データを一元的に記憶された状態のままとしうる体液平衡監視システムが提供される。これにより、システムの柔軟性が向上する。
【0145】
更なる実施形態では、測定データと出力データの少なくとも1つは個々の識別鍵と関連する、または個々の識別鍵により暗号化される。あるいは、またはさらに、測定データと出力データの少なくとも1つは、個々の識別鍵と共に、または個々の識別鍵により暗号化されて、クラウドベースの記憶装置またはデータ処理ユニット内に備えられる記憶装置に保存することができる。
【0146】
これにより、測定データおよび出力データを非常に簡単な方法で特定の被験者と関連付けすることが可能となる。さらに、測定データおよび出力データが常に正しい被験者と関連付けられることも保証される。これにより、データを誤って間違った被験者と関連付けた場合に発生しうるエラーを最小化する、またはすっかり回避することができる。
【0147】
一実施形態では、個々の識別鍵は匿名化された個別の識別鍵である。
【0148】
これにより、被験者の身元は、欧州連合内で施行されているGDPR規則などの関連する規則に準拠するため、少なくとも表示ユニットに表示するまでは匿名のままとすることができる。
【0149】
さらに、中央データ記憶装置に関連する上記の3つの実施形態のいずれも、および特に個々の識別鍵の提供は、認可されていない職員は例えばデータ処理ユニットへのアクセスを許可する別々の鍵に基づいて、または識別鍵もしくは例えば復号化に関連する鍵などの鍵に関連する適切な特性に基づいてデータへのアクセスが拒否されうるシステムを提供する。そのようなシステムには改善されたデータセキュリティが備えられる。
【0150】
一実施形態では、出力データは、哺乳類の被験者への液体の流入と、哺乳類の被験者からの液体の流出と、哺乳類の被験者の体液平衡における変化を示すデータを少なくとも含む。
【0151】
これにより、被験者の液体平衡に関連する最も重要な3つのパラメータを表示ユニットに表示することが可能である。これにより、正確で理解しやすい体液平衡の監視が実現され、これにより今度は被験者の体液平衡の動力学を理解することが可能となる。
【0152】
一実施形態では、表示ユニットは、哺乳類の被験者への液体の流入と、哺乳類の被験者からの液体の流出と、哺乳類の被験者の体液平衡における変化を示すデータを互いに別々に示す方法で、出力データを表示するよう構成される。
【0153】
これにより、被験者への体液の流入および被験者からの体液の流出のすべてを判定および測定することと、被験者への体液の流入量および被験者からの体液の流出量を別々に測定することだけではなく、医療従事者などの観察者にとって解釈が容易な、正確で包括的な体液平衡の監視を提供するために前記流入量および流出量を別々に、被験者の体液平衡と共に可視化して表示することを可能とする体液平衡監視システムが提供される。
【0154】
一実施形態では、データ処理ユニットは、出力データを生成して、出力データをリアルタイムで、または所定の時間間隔で少なくとも1つの表示ユニットへ送信するよう構成される。あるいは、またはさらに、表示ユニットは出力データをリアルタイムで、または所定の時間間隔で表示するよう構成される。
【0155】
これにより、被験者の体液平衡のリアルタイムでの監視が、非常に簡単、迅速で使いやすい方法で可能となる。
【0156】
上記の目的および他の目的は、本発明の第6態様において、哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視する方法を用いて実現され、この方法は、
a)上記の請求項のいずれか一項に係る体液平衡監視システムであって、少なくとも1つのデータ処理装置を備える少なくとも1つのデータ処理ユニットと、少なくとも1つの入力ユニットと、少なくとも1つのデータ処理装置を備える少なくとも1つの表示ユニットとを含む体液平衡監視システムを用意して、
b)少なくとも1つの入力ユニットを用いて、ユーザインタフェースと少なくとも1つのセンサデバイスのうちのいずれか1つまたは複数から、哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する情報を含む測定データを受信して、
c)少なくとも1つの入力ユニットを用いて、受信した測定データを少なくとも1つのデータ処理ユニットへ送信して、
d)少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、少なくとも1つの入力ユニットから測定データを受信して、
e)少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、受信した測定データを処理して哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを取得して、
f)少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを少なくとも1つの表示ユニットへ送信して、
g)少なくとも1つの表示ユニットを用いて、哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを受信して、
h)少なくとも1つの表示ユニットを用いて、哺乳類の被験者の体液平衡を示す出力データを表示する、
というステップを含み、
測定データは、哺乳類の被験者の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象の量、種類、および発生時刻に関する情報をさらに含み、少なくとも1つの事象は、哺乳類の被験者からの体液の流出、または哺乳類の被験者への体液の流入をもたらす、任意の1つの関連事象であり、方法はさらに、少なくとも1つのデータ処理ユニットを用いて、受信した測定データを処理して少なくとも1つの事象の種類および発生時刻をさらに示す出力データを取得するステップを含む。
【0157】
更なる実施形態では、方法はさらに、
測定データと出力データの少なくとも1つはクラウドベースの記憶装置またはデータ処理ユニット内に備えられる記憶装置に保存して、
測定データと出力データの少なくとも1つを個々の識別鍵と関連付けて、個々の識別鍵と共に提供する、または個々の識別鍵を用いて暗号化して、
データ処理ユニットを用いて出力データをリアルタイムで生成して、データ処理ユニットを用いて出力データをリアルタイムで少なくとも1つの表示ユニットへ送信して、
表示ユニットを用いて、出力データをリアルタイムで表示する、
というステップのうちの1つまたは複数を含む。
【0158】
本発明は、請求の範囲に記載される特徴のすべての取り得る組み合わせに関連することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0159】
以下の記述で、本発明の実施形態について略図を参照して説明する。
図1】排泄物の種類を測定するよう構成されている第1センサデバイスと排泄物の量を測定するよう構成されている第2センサデバイスを含む、本発明のトイレシステムの概略側面断面図である。
図2】本発明のトイレシステム用の分析装置の略図であり、図1に示されるトイレシステムの残りの構成要素とは物理的に分けて示されている。
図3】本発明の第1センサデバイスの概略断面図である。
図4】本発明のトイレシステムの便鉢の概略側面断面図であり、トイレシステムの便鉢内で排泄物が衝突する場所によって排泄物により生じる音の違いを示している。
図5】排泄物が尿の場合の、図4に類似した概略側面断面図である。
図6図5の状況で第1センサデバイスによりキャプチャされた信号であって、振幅Aが時間tの関数として描かれている信号を示す例示の図である。
図7】排泄物が糞便の場合の、図4に類似した概略側面断面図である。
図8図6の状況で第1センサデバイスによりキャプチャされた信号であって、振幅Aが時間tの関数として描かれている信号を示す例示の図である。
図9】所与の時刻に本発明のトイレシステムの便鉢へ入る様々な種類の排泄物に関する確率を提供するために図6の信号に対して行われる統計的分析の結果を示す例示の図である。
図10】所与の時刻に本発明のトイレシステムの便鉢へ入る様々な種類の排泄物に関する確率を提供するために図8の信号に対して行われる、統計的分析の結果を示す例示の図である。
図11】本発明のトイレシステムの第2センサデバイスによりキャプチャされた測定値を含む図8~10を結合し、本発明のトイレシステムの便鉢へ入る排泄物の種類および量を見積もるためにデータに対して分析を行った結果であり、量が時間の関数として描かれている分析結果を示す例示のグラフである。
図12】本発明の方法の実施形態を概略的に示す。
図13】排泄物の量を測定するよう構成されている第2センサデバイスの本発明のトイレシステムの便座上の位置を概略的に示し、トイレシステムの残りの部分は簡単にするため省略されている。
図14】複数の貫通開口(そのうち一つだけが見えている)およびチャンバを含むセンサデバイスを備える本発明のトイレシステムの排水管の一部分の概略側面断面図である。
図15図14の概略側面断面図と類似する、チャンバの別の実施例を備える本発明のトイレシステムを示す概略側面断面図である。
図16A】本発明のトイレシステムのセンサデバイスの複数の貫通開口の様々な形状およびパターンを概略的に示す。
図16B】本発明のトイレシステムのセンサデバイスの複数の貫通開口の様々な形状およびパターンを概略的に示す。
図16C】本発明のトイレシステムのセンサデバイスの複数の貫通開口の様々な形状およびパターンを概略的に示す。
図17A】本発明のトイレシステムのセンサデバイスの複数の貫通開口の大きさおよび距離の要件を概略的に示す。
図17B】本発明のトイレシステムのセンサデバイスの複数の貫通開口の大きさおよび距離の要件を概略的に示す。
図18】複数の貫通開口(そのうち一つだけが見えている)を含むセンサデバイスと、チャンバと、取り付け要素とを備える本発明のトイレシステムの排水管の概略側面断面図である。
図19図14および図15の概略側面断面図と類似する、センサデバイスの別の実施例を備える本発明のトイレシステムを示す概略側面断面図である。
図20】被験者、特に人体などの哺乳類の被験者の液体の流入および流出の略図である。
図21】本発明の、哺乳類の被験者の体液平衡を判定および監視する体液平衡監視システムの実施形態を示す模式図である。
図22】本発明の方法の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0160】
最初に図1および図2を参照すると、本発明のトイレシステム1の第1実施形態が示されている。トイレシステム1は、便鉢2と、排水管4と、便座3とを含む。排水管4は、封水を有する排水管5と、排水トラップまたは防臭弁6とをさらに含む。トイレシステム1は、操作された場合に便器を洗浄させるよう構成されている装置8を備える、便器タンク、または洗浄用貯水槽7を含みうる。装置8は、押しボタンや引き出し式ボタン、レバーなどのアクチュエータとすることができる。トイレシステム1は、トイレシステム1を床30へ接続するための基部15をさらに含みうる。
【0161】
トイレシステム1は、第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を含む。また、トイレシステム1は、任意選択で更なるセンサデバイス11を含みうる。
【0162】
トイレシステム1は、新しい単独のトイレシステム1とすることができる。あるいは、改修されたトイレシステム1を提供するために第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を既存の便器に取り付けることもできる。本発明のトイレシステム1は、このように第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を用意して第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を既存の便器に取り付けて既存の便器を改修することで、提供することができる。
【0163】
概して、第1センサデバイス9は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す信号をキャプチャするよう構成される。第1センサデバイスはさらに、キャプチャされた信号を分析装置24へ送信するよう構成され、これについては以下で図2を参照してさらに説明される。
【0164】
第1センサデバイス9は、音声を測定するよう構成される。第1センサデバイス9は、音響センサやマイクなどの振動センサとすることができる。マイクの適切な種類として、ダイナミック型マイク、圧電マイク、クリスタルマイク、光ファイバーマイク、MEMSマイクが挙げられる。第1センサデバイス9は、有線または無線とすることができる。
【0165】
第1センサデバイス9は便座3の中、または便座3上に配置される。あるいは、第1センサデバイス9は、便鉢2の中、または便鉢2の内側表面に配置することができる。いずれにしても、第1センサデバイス9は、使用者が排泄物を便鉢2へ排泄する、例えば自身の腸および/または膀胱を空にすることで生じる、またはこの排泄に関連する音を第1センサデバイス9がキャプチャできる位置に配置される。第1センサデバイス9は、便鉢内の上側水位16の上に配置される、あるいは、便鉢内の上側水位16の下に配置することもできる。
【0166】
音声を測定することでトイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す音声信号をキャプチャするよう構成されている第1センサデバイス9を用いることで、キャプチャされたデータにかなりの詳細さが提供される。異なる種類の排泄物、特に尿と糞便は、それぞれ異なる音声プロファイルの音声信号を生成する。注意深く分析することで、異なる堅さの糞便中排泄、例えば固形の糞便と下痢を判別することさえ可能であり、これは診断目的では重要となりうる。音声プロファイルは、排泄物が衝突した便鉢の部分に応じてさらに変化する。図4に示されるように、ある音声プロファイルを有する音声信号が排泄物17が便鉢2に直接衝突する(矢印18)ことで生じ、別の音声プロファイルを有する音声信号が排泄物17が便鉢2内の水の表面16と衝突することで生じる。さらに、音声を測定することで音声信号をキャプチャするよう構成されている第1センサデバイス9を用いることで、例えば便鉢2へ排泄された糞便や尿の排泄物とは異なる、ペーパーや嘔吐物、もしくは何か別のもの、または使用者が単におならをする、もしくはまったく何も起こらないことにより生じる偽陽性などの不要なデータを分析中に識別して除去することが可能となる。
【0167】
また、少なくとも1つの第1センサデバイス9は、圧力センサ、レーダー、撮像装置、距離センサ、LIDAR、音響距離センサ、および流量センサのうちのいずれか1つまたは複数を含むことがあり、そのようなセンサは、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す信号を提供することもできる。
【0168】
概して、第2センサデバイス10は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の量を示す液体の体積を測定するよう構成される。第2センサデバイス10はさらに、キャプチャされた信号を分析装置24(図2)へ送信するよう構成することもできる。第2センサデバイス10は、使用者が自身の腸および/または膀胱を空にする際に封水または防臭弁6を通って便鉢2へ押し出される液体の量を測定するよう配置および構成することができる。アルキメデスの法則により、使用者が自身の腸および/または膀胱を空にする際に封水または防臭弁6を通って便鉢2へ押し出される液体の量は、排泄される物質の浮力に応じて、便鉢2へ排泄された使用者の排泄物の量と同等、または少なくともほぼ同等である。
【0169】
第2センサデバイス10は、図1に示される実施形態において、封水6の下流側の位置で便器の排水管4に配置される。第2センサデバイス10は、使用者がトイレシステム1の便鉢2内に排泄物を置いた結果として封水6を通って押し出される水13を集めるためのチャンバ11を含む。第2センサデバイス10は、チャンバ11内で集められる液体13の量を測定するよう構成されている測定ユニット14をさらに含む。第2センサデバイス10は、チャンバ11の底部領域に配置されて下水設備または同種のものに接続される排水管12をさらに含む。第2センサデバイス10は、測定ユニット14がチャンバ11内に集められる液体13の量を測定する間は閉鎖され、その後にトイレシステム1が洗浄される際にはチャンバ11を空にしてトイレシステム1を洗浄できるように開放されるよう構成されている、弁やフラップ、シャッターなどの閉鎖機構32をさらに含みうる。
【0170】
また図3を参照すると、チャンバ11内に集められる液体の量は、例えば、排泄物がトイレシステム1の便鉢2へ排泄される前の深さ13と排泄された後の深さ13’の間の深さ、または水位の差分ΔHとして測定することができる。また、チャンバ11内に集められる液体の量は、排泄物がトイレシステム1の便鉢2へ排泄された前後それぞれで含まれる、チャンバに含まれる水の質量の差分ΔMとして、または排泄物がトイレシステム1の便鉢2へ排泄された後に閉鎖機構32が開放された際にチャンバ11から流出する水の体積の差分ΔVとして測定することができる。
【0171】
あるいは、第2センサデバイス10は、便鉢2の中、または排水管4の中に配置することができる。そのような実施形態は、既存の便器を第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を用いて改修する場合は特に有利であり、これは第2センサデバイス10の設置が非常に容易でコスト効率が良くなるためである。いずれにしても、第2センサデバイス10は使用者が便鉢2へ排泄物を排泄する際に封水または防臭弁6を通って押し出される液体の量を第2センサデバイス10が測定できる位置に配置される。
【0172】
第2センサデバイス10は、重量センサ、液面センサ、流量センサのうちのいずれか1つまたは複数とすることができる、あるいはいずれか1つまたは複数を含みうる。液面センサについては、チャンバ11内に集められる液体の表面に対して、前記表面の上下のいずれかに関わらず、固定された位置に取り付けられる任意の種類の距離測定装置であると理解することができる。
【0173】
第2センサデバイス10の測定ユニット14は、流量センサ、重量センサ、深さゲージ、体積センサ、または同種のものを含みうる。
【0174】
トイレシステム1は、一部の実施形態では、1つまたは複数の更なるセンサデバイス、例えば、図1に示されるセンサデバイス23、および/またはセンサデバイス22、22’なども含みうる。
【0175】
1つまたは複数の更なるセンサデバイス23は、圧力センサ、レーダー、撮像装置、流量センサのうちのいずれか1つまたは複数を含むことがあり、そのようなセンサは、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す更なるデータを提供する、または更なる信号をキャプチャすることができる。
【0176】
1つまたは複数の更なるセンサデバイス22、22’は、それぞれトイレシステム1の便鉢2へ排泄物を置く前後の使用者の体重を示す信号をキャプチャするよう構成されている重量センサである。更なるセンサデバイス22は、トイレシステム1の下、特にトイレシステム1の便鉢2、および/または基部15の下に配置される重量センサを表している。更なるセンサデバイス22’は、トイレシステム1の便座3に座っている使用者の足の下に配置される重量センサを表している。更なるセンサデバイス22、22’は、両方が提供されて互いを補完することができる。あるいは、更なるセンサデバイス22、22’のうちの一つだけが提供されてもよい。また、便座3の中、または便座3の下に重量センサなどを配置することも実現可能である。
【0177】
トイレシステム1は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された、または排泄される排泄物の種類を使用者が示せるよう構成されているアクチュエータ33をさらに含みうる。アクチュエータ33はさらに、使用者の指示を示す信号をデータ分析装置24(図2)へ送信するよう構成することができる。アクチュエータ33は、例えばボタン、レバー、またはタッチパネルとすることができる。
【0178】
トイレシステム1は、トイレシステム1を使用する前に使用者がトイレシステム1、および/またはデータ分析装置24(図2)を作動させられるよう構成されているアクチュエータ21をさらに含みうる。アクチュエータ21は、使用者が便座3に座った場合に自動的に作動されるように、例えば便座3の中に配置される圧力スイッチまたはタッチセンサとすることができる。あるいは、アクチュエータ21はボタン、レバー、タッチパネル、モーションセンサ、または別の適切な種類のセンサとすることができる。後者の場合、アクチュエータ21および33を、例えば同じタッチパネルを用いて、互いに統合する、または互いの隣に配置することも実現可能である。別の代替手段は、排出された排泄物を測定することが望ましい人または患者を、例えば顔認識を用いて電子的に認識するよう構成されているアクチュエータ21である。
【0179】
トイレシステム1は、データ分析装置24への接続部29をさらに含みうる。図2を参照すると、データ分析装置24は同様にトイレシステム1への接続部28を含む。接続部28、29は、有線または無線とすることができる。また、データ分析装置24は外部装置とすることができる、あるいは、データ分析装置24は、例えば、限定しないが、図1で貯水槽7の上で点線を用いて示される箱31で示されるように、トイレシステムと一体化することができる。
【0180】
データ分析装置24は、データ処理ユニット25、データ記憶ユニット26、およびデータ可視化ユニット27を含む。データ可視化ユニット27は、例えばディスプレイとすることができる。データ可視化ユニット27は、任意選択のユニットである。
【0181】
データ分析装置24は、トイレシステム1の貯水槽7や便鉢2、提供される場合は第2センサデバイス10などの別の構成要素の中に、または、別の構成要素と統合することができる。あるいは、データ分析装置24はトイレシステムの残りの部分から物理的に分離することができて、一例は、テーブル上に設置される、または壁に取り付けられて、第1センサデバイス9、ならびに提供される場合は第2センサデバイス10、および/または更なるセンサデバイス22、22’、23とデータ転送が可能となるように前記センサに接続される、適切な種類のコンピュータである。
【0182】
データ分析装置24は、第1センサデバイス9、ならびに提供される場合は第2センサデバイス10、および/または更なるセンサデバイス22、22’、23を用いてキャプチャされ、第1センサデバイス9、ならびに提供される場合は第2センサデバイス10、および/または更なるセンサデバイス22、22’、23により送信される1つまたは複数の信号を受信するよう構成される。データ分析装置24はさらに、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類、および/または排泄物の量を示すデータ出力を作り出すために、受信した信号をデータ処理ユニット25を用いて分析するよう構成される。
【0183】
データ分析装置24はさらに、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類、および/または量を示すデータ出力をデータ処理ユニット25およびデータ可視化ユニット27を用いて表示するよう構成される。データ分析装置24はさらに、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類、および/または排泄物の量を示す、受信した信号、および/または作成されたデータ出力を、データ記憶装置26に記憶するよう構成することができる。データ記憶装置26は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類の判定の確実性をさらに高めるために、受信した信号から読み出されたデータとの比較を行うのに使用することのできるデータをさらに含みうる。そのようなデータは、例えば、以前の分析からのデータ、および/または他の類似のトイレシステムなどの他のソースから読み出されたデータでありうる。データは、データ記憶装置26で提供されるデータベースに格納することができる。
【0184】
図1および図2を再び参照すると、特定の実施形態におけるトイレシステム1は、第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を含む。
【0185】
第1センサデバイス9は撮像装置である。第1センサデバイス9はトイレシステム1の便座3の中、または便座3上に配置される。いずれにしても、第1センサデバイス9は、例えば、使用者が自身の腸および/または膀胱を空にしたことによる排泄物、および/または便鉢2へ廃棄されたトイレットペーパーなどの他の物を示す画像を第1センサデバイス9が撮影できる位置に配置される。第1センサデバイス9は便鉢内の上側水位16の上に配置される。図13も参照すると、第1センサデバイス9は、水平線Hに対して70度~80度の角度α、例えば75度の角度αなどで、あるいは換言すると、垂直線Vに対して20度~10度の角度β、例えば15度の角度βなどで下方を向くように配置される。したがって、この文脈では90度の角度は垂直線Vまたは重力の方向に対応する。さらに、第1センサデバイス9は便座3の中心軸Aの外に設置され、便座3の中心軸Aに対して25度~25度の角度γ、例えば30度の角度γなどを向くように、重力または垂直線Vの方向の周りに回転される。
【0186】
第2センサデバイス10は、封水6の下流側の位置でトイレシステム1の排水管4に配置される。第2センサデバイス10は、使用者がトイレシステム1の便鉢2内に排泄物を置いた結果として封水6を通って押し出される水13を集めるためのチャンバ11を含む。第2センサデバイス10は、チャンバ11の底部領域に配置されて下水設備または同種のものに接続される排水管12をさらに含む。あるいは、第2センサデバイス10は、チャンバ11の最上部領域に配置されて下水設備または同種のものに接続される、いわゆる排水ポンプ、すなわち排水管(図1には示されていない)、および、チャンバ11の内容物を排水管へ、その結果下水設備へと吸い出すことでチャンバ11を空にするよう配置されて構成されているポンプ装置を含みうる。第2センサデバイス10は、チャンバ11の重量を測定するように配置されて構成されている重量センサの形の測定ユニット14をさらに含む。このように、第2センサデバイス10は、封水6の構造のため、およびアルキメデスの法則のために、トイレシステム1の封水6を通って押し出される液体の量がトイレシステム1の便鉢2へ廃棄される排泄物の量に相当するという事実を活用する。
【0187】
第2センサデバイス10は、測定ユニット14がチャンバ11およびチャンバ11内に集められる液体13の重量を測定する間は閉鎖され、その後にトイレシステム1が洗浄される際にはチャンバ11を空にしてトイレシステム1を洗浄できるように開放されるよう構成されている、弁やフラップ、シャッターなどの閉鎖機構32をさらに含みうる。
【0188】
データ分析装置24(図2を参照)は、この特定の実施形態では、第1センサデバイス9および第2センサデバイス10を用いてキャプチャされ、第1センサデバイス9および第2センサデバイス10により送信される1つまたは複数の信号を受信するよう構成される。データ分析装置24はさらに、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類、および/または排泄物の量を示すデータ出力を作り出すために、受信した信号をデータ処理ユニット25を用いて分析するよう構成される。この目的のため、データ分析ユニット25およびデータ処理ユニット25は、適切な画像分析ソフトウェアおよび/または画像認識ソフトウェアを使用する。
【0189】
トイレシステム1の便鉢2への排泄物または堆積物の種類を判定するための分析は、データ分析装置24で提供される、またはデータ分析装置24へ提供される、ニューラルネットワークなどの統計的方法を用いて完了させることができる。ニューラルネットワークの訓練または校正を行うための第1ステップは、関連する訓練データを取得することである。この目的のため、数千回のトイレへの訪問が上述したセンサを用いて抽出された。第2ステップは、種類の判定のための例示のデータを抽出することである。この場合、例示のデータは第1センサデバイス9からのデータであり、このデータは例えば空の便鉢、尿、糞便、およびペーパーのうちの1つまたは複数を表現しうる。抽出は、訓練された人によって手動で行われる。訓練によって、各種類、例えば水だけを含んだ空の便鉢2や、尿、糞便、および/または紙を有する便鉢2の明確な定義が確実に提供される。定義、その解釈、および最終的な種類の認識は密接に関連付けられる。抽出プロセスは、コンピュータディレクトリを命名することと、関連する種類を命名することと、後で関連する画像データを対応するディレクトリへ移動することとを含む。その後に、第1センサデバイス9からのデータを分類して、例えば上述したコンピュータディレクトリを用いて異なる種類のうちの一つに属するように、統計モデルを校正することができる。統計モデルは、一旦校正されたら、画像データが第1センサデバイス9から届いた際に画像データを整理することができる。それゆえ、タイムスタンプを付けた種類の判定も実現できる。
【0190】
第1センサデバイス9およびデータ分析装置24は、今では便鉢2に尿または糞便があるかを識別するのに使用することができる。第2センサデバイス10により測定された、排泄された総量を、種類、特に尿、糞便、または組み合わせのいずれかに対応させることができる。また、総量の変化を各種類へ対応付けることもできて、こうして尿と糞便の量を別々に与えることができる。しかし、より大量の糞便が尿より先に到達した場合は、尿を正確に認識するのが難しいことがある。この誤りを正すために、進行中の排泄作用、例えば排尿や排便を示すデータに対して同じプロセスを繰り返すことができる。基本的に、画像と音声の両方を排泄作用の判定のために入力することができる。
【0191】
実験と実例
ここで図5図11を参照して、本発明の前述したトイレシステム1を用いたデータのキャプチャおよび分析の一般的な例を示す。以下で説明するように排泄物の種類を識別できるようにするため、千回を超える異なる排泄の音声キャプチャ測定が比較目的および統計的分析用の参考データを提供するために行われた。参考データはデータベースに格納することができて、データベースは分析装置24(図2)の記憶装置26に提供することができる。新しい測定が行われた際には更なるデータをデータベースに加えることができる。実験により、排泄物の種類を排泄物の音声測定に基づいて、実際に使用するのに充分に高い確実性を持って判定することが実際に可能であることが示された。比較目的および統計的分析用の参考量情報を提供するために、類似した、または同様の取り組みを行うことができる。
【0192】
図5は、本発明のトイレシステム1の便鉢2を示し、使用者が尿20,20’を排泄し、その結果、薄い液状の排泄物20を便鉢2の表面に直接、尿20’を便鉢内の水16へ排泄している。
【0193】
図6はキャプチャされた音声信号の変換を示し、より正確には、トイレシステム1の第1センサデバイス9を用いてキャプチャされた、図5に示される排泄に対応する音声信号の信号振幅Aを経過時間tの関数としてプロットしたものである。見て分かるように、音声プロファイルは比較的長い期間Δt=t3-t1にわたって広がっている。t=t1において、音声信号の振幅は大きく、おそらく最大値に達し、時間がt=t3へ向かって経過するにつれて、振幅は徐々にゼロへ向かって減少する。そのような音響画像は尿の排泄に特徴的である。
【0194】
図7は、本発明のトイレシステム1の便鉢2を示し、使用者が糞便17、17’を排泄し、その結果、比較的硬い排泄物である糞便17を便鉢2の表面に直接、糞便17’を便鉢内の水16へ排泄している。
【0195】
図8はキャプチャされた音声信号の変換を示し、より正確には、トイレシステム1の第1センサデバイス9を用いてキャプチャされた、図7に示される排泄に対応する音声信号の信号振幅Aを経過時間tの関数としてプロットしたものである。見て分かるように、音声プロファイルは、場合によっては、糞便が便鉢2の表面の水16に衝突した時間であるt=t2の付近の短い期間にわたって広がっている。見て分かるように、音声信号の振幅は、t=t2の近辺の両側で急激に増加および減少している。そのような音響画像は糞便の排泄に特徴的である。
【0196】
したがって、異なる特徴を備える物体、ならびに/または異なる特徴を備える面への衝突、および/もしくは便鉢2などの容器へ異なる方法で落とされることは異なる振動を作り出し、その結果、異なる音および音響画像が作り出される。
【0197】
図6および図8に示される変換またはグラフはいまではそれぞれ分析することができて、例えばニューラルネットワークや主成分分析(PCA)、決定木、クラスタリングなどで統計的に分析することができる。これにより、所与の時刻にトイレシステム1の便鉢2へ排泄された、固形または液状の異なる物体に関する確率を提供することができる。図6および図8に示される変換またはグラフをそのように分析した結果が、それぞれ図9および図10に示されている。
【0198】
最後に、図11に示されるように、図9および図10で示される確率は、第2センサデバイス10を用いて得られた容器または任意の接続された容器の質量または液面の測定値と併用して、どれだけの固形または液状の物体がトイレシステム1の便鉢2へ入ったか、および物体がいつトイレシステム1の便鉢2へ入ったかを見積もるのに使用することができる。図11は、そのような分析の結果を可視化した例を示す。曲線100は、第2センサデバイス10によりキャプチャされた信号により示される水位の変化(ΔH)、質量の変化(ΔM)、体積の変化(ΔV)、または流量の変化を、用いられた測定原理に従って、経過時間の関数としてプロットしたものである。曲線200は、蓄積された排泄物の質量または量を示す。挿入された記号、20、17、20’は、第1センサデバイス9によりされるデータに対して行われた、図6および図8に関連して前述した確率を提供する統計的分析の結果を示し、排泄物それぞれの識別された種類を示す。
【0199】
図11に示されるように、例示の分析により、t=t1からt=t2の期間に高い確率で第1の量の尿20が便鉢2へ排泄され、t=t2の付近の期間である量の糞便17が便鉢2へ排泄され、t=t2からt=t3の期間に、第1の量の尿20より少ない第2の量の尿20’が便鉢2へ排泄された。
【0200】
第1センサデバイス9により提供される音声信号と第2センサデバイス10により提供される更なる信号の組み合わせにより、分析の真陰性率が増加する。例えば、鼓脹の音などの音声は、容器の質量または体積の変化と必ずしも関連するわけではなく、したがって識別の際に除外しうる。
【0201】
質量または体積のみを用いるのと比較して、実験ではどのような液体または固形物質が容器へ入っているかについてより大きな確実性を得られることが示された。例えば、同じ速度で注がれた液体でも、液体が様々な部分に衝突するかどうかは異なることがあり、また液体流の幅が異なっても流量は同じでありうる。同じことが固形物質についても当てはまる。
【0202】
さらに、実験では、異なる種類の排泄物、特に尿と糞便をそれぞれ識別するのが可能であることだけが示されたわけではなかった。異なる堅さの糞便中排泄、例えば固形の糞便と下痢を判別することさえ可能であり、これは診断目的では重要となりうる。便鉢2へ排泄された糞便や尿の排泄物とは異なる、例えばペーパーや嘔吐物、もしくは何か別のもの、または使用者が単におならをする、もしくはまったく何も起こらないことにより生じる偽陽性を分析中に識別して除去することが可能であることがさらに示された。
【0203】
再び図1を参照すると、トイレシステム1は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の量を示す信号をキャプチャするよう構成されているセンサデバイス10と、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す信号をキャプチャするよう構成されている任意選択のセンサデバイス9とを含む。また、トイレシステム1は、任意選択で更なるセンサデバイス11を含みうる。
【0204】
トイレシステム1は、新しい単独のトイレシステム1とすることができる。あるいは、改修されたトイレシステム1を提供するためにセンサデバイス9および10を既存のトイレシステムに取り付けることができる。本発明のトイレシステム1は、このようにセンサデバイス9およびセンサデバイス10を用意してセンサデバイス9およびセンサデバイス10を既存のトイレシステムに取り付けて既存のトイレシステムを改修することで、提供することができる。以下でさらに説明される、少なくとも1つの貫通開口または複数の貫通開口を既存の排水管に設けることができる。本発明の文脈では、センサデバイス9は任意選択であることに留意されたい。さらに、トイレシステム1の位置および種類が改修の可能性に影響を与えうることに留意されたい。例えば、P型トラップを備えるトイレシステムと壁掛け式のトイレシステムは、容易に改修しうる。
【0205】
概して、任意選択のセンサデバイス9は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す信号をキャプチャするよう構成される。このセンサデバイスはさらに、キャプチャされた信号を分析装置へ送信するよう構成される。
【0206】
センサデバイス9は音声を測定するよう構成することができる。センサデバイス9は、音響センサやマイクなどの振動センサとすることができる。マイクの適切な種類として、ダイナミック型マイク、圧電マイク、クリスタルマイク、光ファイバーマイク、MEMSマイクが挙げられる。センサデバイス9は、有線または無線とすることができる。
【0207】
センサデバイス9は便座3の中、または便座3上に配置される。あるいは、センサデバイス9は、便鉢2の中、または便鉢2の内側表面に配置することができる。いずれにしても、センサデバイス9は、使用者が排泄物を便鉢2へ排泄する、例えば自身の腸および/または膀胱を空にすることで生じる、またはこの排泄に関連する音をセンサデバイス9がキャプチャできる位置に配置される。センサデバイス9は、便鉢内の上側水位16の上に配置される、あるいは、便鉢内の上側水位16の下に配置することもできる。
【0208】
また、少なくとも1つのセンサデバイス9は、圧力センサ、レーダー、撮像装置、距離センサ、LIDAR、音響距離センサ、および流量センサのうちのいずれか1つまたは複数を含むことがあり、そのようなセンサは、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の種類を示す信号を提供することもできる。
【0209】
概して、センサデバイス10は、トイレシステム1の使用者により便鉢2へ排泄された排泄物の量を示す液体の体積を測定するよう構成される。センサデバイス10はさらに、キャプチャされた信号を分析装置24(図14)へ送信するよう構成することもできる。センサデバイス10は、使用者が自身の腸および/または膀胱を空にする際に封水または防臭弁6を通って便鉢2へ押し出される液体の量を測定するよう配置および構成することができる。アルキメデスの法則により、使用者が自身の腸および/または膀胱を空にする際に封水または防臭弁6を通って便鉢2へ押し出される液体の量は、排泄される物質の浮力に応じて、便鉢2へ排泄された使用者の排泄物の量と同等、または少なくともほぼ同等である。
【0210】
図14図15図16A図16Bも参照すると、概して、センサデバイス10は少なくともチャンバ11と複数の貫通開口35、36、37、38、39を含む。あるいは、図16Cを参照すると、センサデバイスは少なくともチャンバ11と1つの貫通開口35も含みうる。概して、センサデバイス10は、封水6の下流側の位置でトイレシステム1の排水管4に配置される。
【0211】
少なくとも1つの貫通開口35、または複数の貫通開口35、36、37、38、39は、封水6を通って押し出される液体がチャンバ11へと流れ込めるように、トイレシステム1の便鉢2と排水管4の間に配置される封水6の下流側の位置でトイレシステム1の排水管4に、特にトイレシステム1の排水管4の下半分に設けられる。これは排水管4の中の流れの方向34が示されている図14および図15からわかり、封水6の一部が図14の左手側に見えることが示されている。開口35、36、37、38、39を通ってチャンバ11へとそらされる液体の流れの方向51も図14および図15に示されている。
【0212】
チャンバ11は、使用者がトイレシステム1の便鉢2内に排泄物を置いた結果として封水6を通って押し出される水13(図1)または液体を集めるために提供される。チャンバ11は、トイレシステム1の排水管4の封水6の下流側の複数の貫通開口35、36、37、38、39と基本的に同じ位置に配置される。チャンバ11はさらに、複数の貫通開口35、36、37、38、39とまったく同じように、トイレシステム1の排水管4の下半分に隣接して配置される。これにより、使用者がトイレシステム1の便鉢2へ排泄物を置いた結果として封水6を通って押し出される水13は、重力の作用によりチャンバ11へ入ることができる。重力の方向は、図14および図15に矢印Gで示されている。
【0213】
図14に示されるように、チャンバ11は容器とすることができる。センサデバイス10は、そのような実施形態では、チャンバの重量を監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている質量センサまたは重量センサ53をさらに含みうる。あるいは、またはさらに、センサデバイス10は、チャンバの重量を監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている、例えば音響流量センサなどの流量センサをさらに含みうる。
【0214】
あるいは、図15に示されるように、チャンバ11は、複数の貫通開口35、36、37、38、39において排水管4へ接続される一端と、チャンバ11の内容物を排水管4へと戻すのに適切なさらに下流側の位置で排水管4へ接続される別の端部とを有する、パイプ形状のチャンバ11とすることができる。センサデバイス10は、そのような実施形態では、チャンバの重量を監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている流量センサ54をさらに含みうる。流量センサ54は、例えば、ある程度流れを妨げる可能性のあるチャンバ11内に流量センサを設置する必要なしに、チャンバ11を通る流れの監視を可能とする利点を提供する音響流量センサとすることができる。あるいは、またはさらに、センサデバイス10は、チャンバの重量を監視して、トイレシステムの使用者により便鉢へ排泄された排泄物の量を示す少なくとも1つの信号をキャプチャするように配置されて構成されている質量センサまたは重量センサをさらに含みうる。
【0215】
チャンバ11はさらに、チャンバ11の内容物を排出して排水管4へと戻すためのポンプ55(図19を参照)を任意選択で備えることができる。
【0216】
ここで図16A図16Cおよび図17A図17Bを参照すると、概して、複数の貫通開口35、36、37、38、39は、排水管4の前後軸Lに対して直交して配置され、特に排水管4の前後軸Lに対して垂直に延びる主軸Xに沿って配置される。複数の貫通開口35、36、37、38、39はそれぞれ、上流方向U、つまりトイレシステム1の封水6に向かう方向、または流れの方向34と反対の方向を向く先端40(図16A図16Cを参照)を含む形状を含む。
【0217】
複数の貫通開口35、36、37、38、39はそれぞれ、排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される大きさA(図17Aを参照)と、排水管の前後軸と平行な方向に測定される大きさB(図17Aを参照)を含む。隣接する複数の貫通開口は、排水管の前後軸Lに対して垂直な方向に測定される距離C(図17Aを参照)と、排水管の前後軸Lと平行な方向に測定される距離D(図17Bを参照)だけ離間して配置される。複数の貫通開口35、36、37、38、39は、関係C<AおよびD<2Bを満たすパターンで配置される。
【0218】
複数の貫通開口35、36、37、38、39は、三角形(図16Bを参照)、卵形(図16Aを参照)、ダイヤモンド形状、またはこれらの任意の組み合わせである断面形状を含みうる。三角形の開口の場合、主軸Xは三角形の底辺に相当する。卵形または楕円の開口の場合、主軸Xは卵形または楕円の短軸に相当する。図16Cは、直線の底辺および窪んだ辺を有する三角形である開口35の別の例を示す。複数の貫通開口35、36、37、38、39はさらに、大きさAが0.5mm~100mmとなるような、および/または大きさBが0.5mm~100mmとなるような大きさとすることができる。
【0219】
概して、任意の数の貫通開口35、36、37、38、39を設けることができる。具体的には、貫通開口35、36、37、38、39の数は5個以上であり、例えば6個や8個である。
【0220】
センサデバイス10は、スクリーニング装置52をさらに含みうる。スクリーニング装置52は、図14に示されるように、例えば液体は通過できるが所定の大きさを超える固形物質の粒子は通過できない大きさの穴を有する格子として、貫通開口35、36、37、38、39の上に広がるように配置することができる。あるいは、スクリーニング装置52は、図15に示されるように、貫通開口35、36、37、38、39の上流の位置に配置することができる。スクリーニング装置52は、糞便などの固形物質をそらして貫通開口35、36、37、38、39の周りを流れさせることで、糞便などの固形物質が貫通開口35、36、37、38、39へ落下して貫通開口を塞いでしまう可能性を阻む役割をする。スクリーニング装置52はさらに、水などの液体がスクリーニング装置52の周りを流れて貫通開口35、36、37、38、39を通ってチャンバ11へと落下することができるように、その一方で糞便などの固形物質はそれでも貫通開口35、36、37、38、39を通過するように構成される。
【0221】
センサデバイス10、または少なくともセンサデバイス10のチャンバ11は、トイレシステム1の排水管4に、例えば排水管4と一つの部品となるように、取り付けられるよう構成することができる。また、センサデバイス10、または少なくともセンサデバイス10のチャンバ11は、パイプ接合部としてトイレシステム1の排水管4に取り付けられて一体化された部分を形成するよう構成することができる。複数の開口35、36、37、38、39は、トイレシステム1の既存の排水管4の中に設けることができる。また、複数の開口35、36、37、38、39は、トイレシステム1の既存の排水管4に取り付けられるパイプ接合部の中に設けることもできる。
【0222】
ここで図18も参照すると、センサデバイス10は、センサデバイス10のチャンバ11をトイレシステム1の排水管4に取り付けられるよう構成されている取付け要素41をさらに含みうる。
【0223】
取付け要素41は、図14で示されるように、溶接、接着、または同種のものとすることができる。また、取付け要素41は概して、図18で示されるように、排水管4の周りに延びて排水管4に取り付けられる、および/または排水管4へ固定されるよう構成されている半環形状の要素も含みうる。
【0224】
また、取付け要素41は、少なくとも第1端部でチャンバ11と一体的に接続されて排水管4の周りに巻き付けられ、第2端部でチャンバ11に例えば端子片のように取り付けられるように構成されている可撓要素とすることもできる。そのような実施形態では、取付け要素41の第2端部とチャンバ11の接続は、例えばスナップロック式またはフリクションロック式の接続とすることができる。
【0225】
再び図1を参照すると、センサデバイス10は、チャンバ11内で集められる液体13の量を測定するよう構成されている測定ユニット14をさらに含みうる。センサデバイス10は、チャンバ11の底部領域に配置されて下水設備または同種のものに接続される排水管12をさらに含みうる。センサデバイス10は、測定ユニット14がチャンバ11内に集められる液体13の量を測定する間は閉鎖され、その後にトイレシステム1が洗浄される際にはチャンバ11を空にしてトイレシステム1を洗浄できるように開放されるよう構成されている、弁やフラップ、シャッターなどの閉鎖機構32をさらに含みうる。
【0226】
ここで図19を参照すると、図14および図15の概略側面断面図と類似する、センサデバイス10の別の実施例を備える本発明のトイレシステムを示す概略側面断面図が示されている。図19に示される実施例は、図14および図15の実施例とは以下の特徴により異なる。
【0227】
センサデバイス10は、チャンバ11の内容物を排出して排水管4へと戻すためのポンプ55を含む。ポンプ55は、チャンバ11の内部、またはチャンバの外部に取り付けて、チャンバ11へ接続することができる。ポンプ55はパイプまたはホース56へ接続することができて、このパイプまたはホース56は少なくとも1つの開口35の下流側の位置でトイレシステム1の排水管4へとつながる注水口57へ接続することができる。
【0228】
センサデバイス10は、この実施例では、トイレシステムの排水管4に設けられるただ一つの開口35を含む。開口35において、または開口35に関連して、弁58が提供される。弁58は、開口35のチャンバ11に面する側に設けられ、したがって排水管4の外側にある。弁58は標準的なタイプとすることができる、あるいは、特注品とすることができる。弁58は、アクチュエータ59と排水口61を含む。排水口61はチャンバ11へと開く、または広がり、開口35を通過した液体は弁58およびその排水口61を通ってチャンバ11へと流れる(流れ51)。アクチュエータ59は、例えば液体流の動きまたは接触が記録された場合に弁を作動させる、例えばモーションセンサや接触センサとすることができる。弁58は、ちょうど良い小ささの粒子のみを通過させるように、例えば10mm未満、5mm未満、または0.5mm未満のフィルタリング許容度を有するように構成することができる。弁58はさらに、例えば排泄物の予想される最大体積または統計的に実現可能な最大体積に相当する、液体の所定の最大流量または最大体積に弁58が対処できるようにする最大容量を有するよう構成することができる。
【0229】
センサデバイス10が2つ以上の開口35~39を含む実施形態では、そのような開口35~39のそれぞれは前述したように関連する弁58を含みうることに留意されたい。ただし、弁58を含むセンサデバイス10の実施例は、概してただ一つの開口35を含む。
【0230】
図19のセンサデバイス10は、データ処理装置61をさらに含む。データ処理装置61は、1つまたは複数の異なる機能を持つことができる。データ処理装置61は、センサデバイス53、54により検出された測定データをデータ分析装置へ送信することができる。データ処理装置61は、弁58のアクチュエータ59を制御することができる。データ処理装置61は、ポンプ55を制御することができる。また、そのようなデータ処理装置61は、例えば図14図15に対して更なる説明が上でなされたセンサデバイス10のいずれかに任意選択で提供しうることに留意されたい。
【0231】
図21を参照すると、本発明の、哺乳類の被験者100(図20)の体液平衡を判定および監視する体液平衡監視システム200の第1実施形態が示されている。
【0232】
本発明の体液平衡監視システム200は概して、測定データを管理および処理するよう構成されているデータ処理ユニット201と、測定データを受信して受信した測定データをデータ処理ユニット201へ送信するよう構成されている1つまたは複数の入力ユニット202と、被験者100の監視されている体液平衡を示す出力データを受信して被験者100の監視されている体液平衡を示す出力データを表示するよう構成されている1つまたは複数の表示ユニット203とを含む。
【0233】
1つまたは複数の入力ユニット202は、測定データを受信して受信した測定データをデータ処理ユニット201へ送信するよう構成される。1つまたは複数の入力ユニット202は、データ処理ユニット201とデータ転送接続されている。1つまたは複数の入力ユニット202はデータ処理ユニットを含みうる。1つまたは複数の入力ユニット202はディスプレイを含みうる。概して、データ処理ユニット201、1つまたは複数の入力ユニット202、および1つまたは複数の表示ユニット203は、特に物理的に、互いに別のユニットである。
【0234】
概して、被験者100,特に人間は動き回る傾向があり、その結果異なる場所での液体の流入101と流出102を経験することがある。例えば、被験者100は概して食事をした場所とは物理的に異なる場所で排便を行う。したがって、液体の流入101および流出102の登録を容易にするため、異なる場所での測定データの記録を可能とすることが必要となる。1つまたは複数の入力ユニット202は、それゆえいくつかの異なる場所でのデータの収集を可能とするよう構成される。したがって、適切な入力ユニット202として、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、および他の類似の携帯機器が挙げられる。1つまたは複数の入力ユニット202は、ユーザインタフェースを用いて測定データを受信することができる。あるいは、またはさらに、1つまたは複数の入力ユニット202は、センサ、または図21の装置206、207、208などの他の関連する装置から測定データを受信するよう構成することができる。
【0235】
例えば、センサまたは電子はかり207を備えるトイレシステム206は、体液の流出102を示すデータを提供するのに適切でありうる。また、電子はかり207は、被験者100の体重および体重の変化を示すデータを提供することもできる。例えば、体液の流入101を示すデータは、体積センサや重量センサなどの適切な種類の内蔵センサを備える、例えば皿、グラス、またはカップ208を用いて測定することができる。前述したトイレシステム206、はかり207、カップ208などの装置は、例えばインターネットオブシングス(IoT)に対応している、またはデータ処理装置もしくはデータ送信機を含む場合にはそれ自体で入力ユニット202として動作することもできる。さらに、新しい変数は時間のみとなるように入力ユニット202の画面、例えばタッチパネル上に予め設定された種類および体積を表示できるように1つまたは複数の入力ユニット202のソフトウェアを予めプログラムしておくのは実現可能である。
【0236】
この文脈では、センサを備える適切なトイレシステム206は当技術分野で既知であり、このようなトイレシステムには、出願者のデンマーク国特許出願第PA202070063号明細書に記載された、および/もしくは図1~19に関連して上述されたトイレシステム、ならびに/または米国特許出願第2018/368818A1号明細書に記載されるトイレシステムが含まれることに留意されたい。
【0237】
概して、測定データは、被験者100の体液平衡の監視に関連する任意のデータまたは情報を含みうる。測定データは、各事象および個々の被験者100に対する量、種類、および時間に関する情報を含みうる。各事象に対する量、種類、および時間に関する情報は、個々の識別鍵と共に、または個々の識別鍵により暗号化されて保存されて、特定の個人に対する更なるの加算を可能とすることができる。
【0238】
この文脈では、事象は、被験者100からの体液の流入101または流出102をもたらす、任意の関連する事象とすることができる。非限定的な例として、排便、排尿、排水管からの排出、食料または飲み物の摂取、運動、発汗、呼吸、痰の分泌、粘膜分泌物、胃内容排出などの排泄が挙げられる。また、測定データは、被験者100に関する体重データなどのデータも含みうる。
【0239】
入力ユニット202はさらに、測定データをクラウドベースの記憶装置205へ、またはデータ処理ユニット201の記憶装置へ直接、アップロードするよう構成することができる。入力ユニット202はさらに、測定値に関係する関連する被験者100を識別するために測定データを識別鍵と共に提供するよう構成することができる。入力ユニット202はさらに、クラウドベースの記憶装置205を介してデータ処理ユニット201から、または直接データ処理ユニット201からデータ、例えば要求を受信するよう構成することができる。要求は、新しい、または更なる測定データの提供に対する要求でありうる。要求は、必要とされる測定データをさらに指定することがある。
【0240】
データ処理ユニット201は、1つまたは複数の入力ユニット202と1つまたは複数の表示ユニット203の間のほぼすべて、またはすべてのデータ通信がデータ処理ユニット201を介して行われるように体液平衡監視システム200が構成されているという意味で、中央データ処理ユニットである。したがって、データ処理ユニット201、1つまたは複数の入力ユニット202、および1つまたは複数の表示ユニット203は、互いに別のユニットである。本発明の体液平衡監視システム200は、このように一元的に管理される。
【0241】
データ処理ユニット201は、1つまたは複数の入力ユニット202および1つまたは複数の表示ユニット203と通信を行うよう構成される。データ処理ユニット201は、1つまたは複数の入力ユニット202から測定データを受信し、受信した測定データを処理して被験者100の監視されている体液平衡を示す出力データを得るよう構成される。被験者100の監視されている体液平衡を示す、得られた出力データは、例えば1つまたは複数の表、または1つまたは複数のグラフの中のデータの要約でありうる。また、得られた出力データは、1つまたは複数の表示装置203により表示するのに適切な任意の他の書式とすることができる。データ処理ユニット201はさらに、被験者100の監視されている体液平衡を示す、得られた出力データを1つまたは複数の表示ユニット203へ送信するよう構成される。したがって、データ処理ユニット201は、1つまたは複数の入力ユニット202および1つまたは複数の表示ユニット203とデータ転送関係で接続され、接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)や広域ネットワーク(WAN)、インターネットなどを介して無線または有線とすることができる。
【0242】
データ処理ユニット201はさらに、データ、例えば要求をクラウドベースの記憶装置205を介して入力ユニット202へ、または直接入力ユニット202へ送信するよう構成することができる。要求は、新しい、または更なる測定データの提供に対する要求でありうる。要求は、必要とされる測定データをさらに指定することがある。要求は、1つまたは複数の表示ユニット203から受信した、要求などのデータに基づいて作られることがある。あるいは、またはさらに、データ処理ユニット201において所定の時間にわたって測定データが受信されていない場合には、要求が送信されることがある。
【0243】
データ処理ユニット201と1つまたは複数の入力ユニット202および1つまたは複数の表示ユニット203の間のデータの転送または送信は、それぞれ直接行うことができる、または、例えばクラウドベースの記憶装置205の中にある中間記憶装置を介して行うことができる。また、データ処理ユニット201は内部記憶装置を含みうる。クラウドベースの記憶装置205、またはデータ処理ユニット201の内部記憶装置に記憶されたデータは、個々の識別鍵と関連付けされることがあり、例えば、個々の識別鍵と共に、または個々の識別鍵により暗号化されて記憶されることがある。識別鍵は、被験者100の適切な身元を提供しうる、または含みうる。被験者100の身元は、関連する規則、特に欧州連合内で施行されているGDPR規則などのデータ保護規則に準拠するように匿名となっていることがある。
【0244】
1つまたは複数の表示ユニット203は、被験者100の監視されている体液平衡を示す、得られた出力データをデータ処理ユニット201から受信するよう構成される。1つまたは複数の表示ユニット203は、データ処理ユニット201とデータ転送接続されている。1つまたは複数の表示ユニット203は、被験者100の監視されている体液平衡を示す、得られた出力データを表示するよう構成される。したがって、1つまたは複数の表示ユニット203はディスプレイを含む。より詳細には、1つまたは複数の表示ユニット203は、被験者100の監視されている体液平衡を示す、得られた出力データを観察者210が容易に明快に解釈するのに適切な書式で表示するよう構成される。そのような書式は、例えば、グラフや表を含みうる。典型的には、観察者210は看護師や医者などの医療従事者である。医療従事者は自分の日常業務の間にしばしば動き回っているので、適切な表示ユニット203として、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、および他の類似の携帯機器が挙げられる。1つまたは複数の表示ユニット203は、例えば出力データの最終処理を行って出力データを表示できるようにするデータ処理ユニットを含みうる。それゆえ、1つまたは複数の表示ユニット203は、原則として、データ処理ユニット201へ接続される処理ユニットを含む任意の表示ユニットとすることができる。
【0245】
1つまたは複数の表示ユニット203はさらに、クラウドベースの記憶装置205を介してデータ処理ユニット201へ、または直接データ処理ユニット201へデータ、例えば要求を送信するよう構成することができる。要求は、新しい、または更なる測定データの提供に対する要求でありうる。要求は、必要とされる測定データをさらに指定することがある。
【0246】
測定データは中央データ処理ユニット201へ配送され、処理されてその内部でデータを出力するので、任意の入力ユニット202に由来する、処理された測定データは、任意の表示ユニット203上で表示することができる。したがって、データ処理ユニット201により得られた、被験者100の監視されている体液平衡を示す出力データは、表示ユニット203上で見ることができる。得られた出力データは、任意の所望される情報を含みうる。その例は、被験者100の体液平衡、総流入量101および総流出量102、および各測定ユニットまたは全体液平衡の測定値の寄与の概要のような要約データである。同様に、所与の期間での被験者100の体液平衡を表示ユニット203上に表示することができる。表示ユニット203はさらに、継続的に、または決まった時間間隔で表示されるデータを更新するよう構成することができる。
【0247】
上の説明では、表示ユニット203、入力ユニット202、およびデータ処理ユニット201は、物理的に異なるユニットであると想定されている。しかし、表示ユニット203および入力ユニット202は、物理的に同じユニットとすることもできることに留意されたい。表示ユニット203、入力ユニット202、およびデータ処理ユニット201は、物理的にまったく同一のユニットとすることさえ可能である。いずれの場合でも、これらのユニットはなおも、すべてのデータ通信がデータ処理ユニット201を介して確実に行われるように作ることができる。実施形態を問わず、表示ユニット203および入力ユニット201は同期される。
【0248】
ここで図22を参照して、哺乳類の被験者100の体液平衡を判定および監視する、本発明の方法について説明する。方法は以下のステップを含む。
【0249】
まず、本発明の体液平衡監視システム200が用意される。体液平衡監視システム200は、少なくとも1つのデータ処理装置を備える少なくとも1つのデータ処理ユニット201と、少なくとも1つの入力ユニット202と、少なくとも1つのデータ処理装置を備える少なくとも1つの表示ユニット203とを含む。
【0250】
ステップ301において、少なくとも1つの入力ユニット202が、ユーザインタフェースと少なくとも1つのセンサデバイス206、207、208のうちのいずれか1つまたは複数から、被験者100の体液平衡の判定および監視に関連する情報を含む測定データを受信するのに用いられる。測定データは、被験者100の体液平衡の判定および監視に関連する少なくとも1つの事象の量、種類、および発生時刻に関する情報を含み、少なくとも1つの事象は、被験者100からの体液の流出、または被験者100への体液の流入をもたらす、任意の1つの関連事象である。
【0251】
ステップ302において、少なくとも1つの入力ユニット202が、受信した測定データを少なくとも1つのデータ処理ユニット201へ送信するのに用いられる。
【0252】
ステップ303において、少なくとも1つのデータ処理ユニット201が、少なくとも1つの入力ユニット202から測定データを受信する。
【0253】
ステップ304において、少なくとも1つのデータ処理ユニット201が、受信した測定データを処理して被験者100の体液平衡を示す出力データを取得するのに用いられる。
【0254】
ステップ305において、少なくとも1つのデータ処理ユニット201が、被験者100の体液平衡を示す出力データを少なくとも1つの表示ユニット203へ送信する。
【0255】
ステップ306において、少なくとも1つの表示ユニット203が被験者100の体液平衡を示す出力データを受信する。
【0256】
最終的に、ステップ307において、少なくとも1つの表示ユニット203が、被験者100の体液平衡を示し、さらに少なくとも1つの事象の種類および発生時刻を示す出力データを表示する。
【0257】
更なる任意選択のステップにおいて、測定データや被験者100の体液平衡を示す出力データなどのデータをアップロードする、または被験者の事例シートに保存することができる。
【0258】
当業者は、本発明は前述の好ましい実施形態に決して限定されないことを認識する。それどころか、多くの修正および変形が添付の請求項の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0259】
1 便器
2 便鉢
3 便座
4 排水管
5 排水管
6 封水
7 貯水槽
8 アクチュエータ(洗浄装置)
9 第1センサデバイス(種類)
10 第2センサデバイス(量)
11 コンパートメント
12 コンパートメントの排水管
13 コンパートメントに留められた水
14 アクチュエータ
15 基部
16 便鉢内の水
17 物体(糞便)
18 矢印
19 矢印
20 物体(尿)
21 (システムを作動させるための)センサ
22 重量センサ
23 更なるセンサ
24 データ分析装置
25 データ処理装置
26 データ記憶装置
27 データ可視化ユニット
28 便器への接続部
29 データ分析装置への接続部
30 床
31 箱
32 閉鎖機構
33 アクチュエータ
34 排水管内の流れの方向
35~39 開口
40 開口の先端
41 取付け要素
51 チャンバへの流れ
52 スクリーニング装置
53 重量センサ
54 流量センサ
55 ポンプ
56 パイプ
57 注水口
58 弁
59 アクチュエータ
60 データ処理装置/送信機
61 弁の排水口
A 開口の軸Lに対して垂直な最大寸法
B 開口の軸Lと平行な最大寸法
C 軸Lに対して垂直な最短距離
D 軸Lと平行な最短距離
L 排水管の前後軸
G 重力の方向
U 上流方向
X 開口の主軸
100 被験者
101 入力される液体
102 出力される液体
200 体液平衡監視システム
201 データ処理ユニット
202 入力ユニット
203 表示ユニット
204 表示ユニット
205 クラウドベースの記憶装置
206 センサを備えるトイレシステム
207 電子はかり
208 センサを備えるカップ
210 医療従事者/観察者
301~307 方法のステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A-16C】
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】