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特表2023-512099半導体装置および半導体デバイスとその生産方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体デバイスとその生産方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20230315BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20230315BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20230315BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20230315BHJP
   G02B 6/124 20060101ALI20230315BHJP
   G02F 1/025 20060101ALI20230315BHJP
   G02F 1/035 20060101ALI20230315BHJP
   G02F 1/065 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G02B6/12 301
H01L31/02 D
G02B6/13
G02B6/122 311
G02B6/124
G02F1/025
G02F1/035
G02F1/065
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547027
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2020087445
(87)【国際公開番号】W WO2021151594
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020102534.3
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522303733
【氏名又は名称】ゲゼルシャフト フュア アンゲヴァンテ ミクロ- ウント オプトエレクトロニク ミット ベシュレンクテル ハフツング - アーエムオー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】シャル ダニエル
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
5F849
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147AB05
2H147AC01
2H147AC04
2H147AC12
2H147AC17
2H147BA05
2H147BB02
2H147BD09
2H147BE01
2H147BE11
2H147BE15
2H147BE22
2H147BG04
2H147CA11
2H147CD07
2H147DA09
2H147EA02A
2H147EA12A
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147EA16A
2H147FA05
2H147FA06
2H147FA17
2H147FC05
2H147FC07
2H147GA00
2K102AA18
2K102AA20
2K102AA21
2K102AA40
2K102BA02
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA28
2K102DA05
2K102DB04
2K102DD01
2K102DD03
2K102DD05
2K102DD10
2K102EA02
2K102EA08
2K102EB04
2K102EB08
2K102EB22
5F849AB01
5F849AB02
5F849AB07
5F849AB09
5F849BB01
5F849EA11
5F849HA15
5F849LA01
5F849XB05
(57)【要約】
一体構造の半導体基板、特にシリコン基板(1)と、半導体基板内および/または半導体基板(2)上で延在する少なくとも1つの集積電子部品(3)とを有するウェハ(1)を含む半導体デバイスに関し、ウェハは、フロントエンド(5)と、その上方に位置するバックエンド(6)を有しており、フロントエンドは、集積電子部品または集積電子部品の少なくとも1つを含み、フロントエンドとは反対側を向いたウェハの面(9)上に製作されたフォトニックプラットフォーム(8)であって、少なくとも1つの導波路(12)と、少なくとも1つの電気光学素子(15)、特に、少なくとも1つの光検出器および/または少なくとも1つの電気光学変調器を含む、フォトニックプラットフォームを含み、フォトニックプラットフォームの電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つが、ウェハの集積電子部品または集積電子部品の少なくとも1つに接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは一体構造の半導体基板(2)、特にシリコン基板を有するウェハ(1)と、前記半導体基板(2)内および/または前記半導体基板(2)上で延在する少なくとも1つの集積電子部品(3)と、を含み、前記ウェハ(1)は、フロントエンド(5)と、その上方に位置するバックエンド(6)を有しており、前記フロントエンド(5)は、前記集積電子部品または前記集積電子部品(3)の少なくとも1つを含み、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の面(9)上に製作されたフォトニックプラットフォーム(8)であって、少なくとも1つの導波路(12)と、少なくとも1つの電気光学素子(15)、特に、少なくとも1つの光検出器および/または少なくとも1つの電気光学変調器を含む、フォトニックプラットフォーム(8)を含み、前記フォトニックプラットフォーム(8)の前記電気光学素子(15)または前記電気光学素子(15)の少なくとも1つが、前記ウェハ(1)の前記集積電子部品(3)または前記集積電子部品(3)の少なくとも1つに接続されている、半導体デバイス。
【請求項2】
前記ウェハ(1)の前記バックエンド(6)および前記フォトニックプラットフォーム(8)が、前記ウェハ(1)の前記集積電子部品(3)または前記集積電子部品(3)の少なくとも1つが前記フォトニックプラットフォーム(8)の前記電気光学素子(15)または前記電気光学素子(15)の少なくとも1つに接続される相互接続要素(7)を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記フォトニックプラットフォーム(8)は、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の前記面(9)に蒸着した材料を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記フォトニックプラットフォーム(8)が、特に、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の前記面(9)に製作された誘電体材料の平坦化コート(10)を含み、好ましくは、前記導波路または前記導波路の少なくとも1つが、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記平坦化コート(12)の面(11)に製作されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記平坦化コート(10)が、少なくとも1種のコーティング材料の、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の前記面(9)への蒸着、特に化学蒸着、好ましくは低圧化学蒸着、および/またはプラズマアシスト化学蒸着によって、および/または物理蒸着、および/または原子層蒸着、および、好ましくは、化学機械研磨による、および/またはレジスト平坦化による、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記面(11)上の蒸着材料のその後の処理によって形成されているコートであること、
および/または
前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記平坦化コート(10)の面(11)が、粗さがRMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満であることを特徴とすることと、
および/または
前記平坦化コート(10)は、スピンオングラスおよび/または少なくとも1種のポリマーおよび/または少なくとも1種の酸化物、特に二酸化ケイ素、および/または少なくとも1種の窒化物を含む、またはそれらで構成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記フォトニックプラットフォーム(8)は、少なくとも1層の追加の平坦化コート(13)を含み、前記平坦化コート(13)または前記追加の平坦化コート(13)の少なくとも1層は、好ましくは前記平坦化コート(10)と同じ材料から形成されることを特徴とする、請求項3から5のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記追加の平坦化コート(13)または前記追加の平坦化コート(13)の少なくとも1層が、少なくとも1種のコーティング材料の、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の前記面(9)への蒸着、特に化学蒸着、好ましくは低圧化学蒸着、および/またはプラズマアシスト化学蒸着によって、および/または物理蒸着、および/または原子層蒸着、および、好ましくは、化学機械研磨による、および/またはレジスト平坦化による、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記面(14)上の蒸着材料のその後の処理によって形成されていること、
および/または
前記平坦化コート(13)または前記平坦化コート(13)の少なくとも1層は、その、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた面(14)が、粗さがRMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満であることを特徴とすること、
および/または
前記平坦化コート(13)または前記平坦化コート(13)の少なくとも1層は、スピンオングラスおよび/または少なくとも1種のポリマーおよび/または少なくとも1種の酸化物、特に二酸化ケイ素、および/または少なくとも1種の窒化物を含む、またはそれらで構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの導波路(12)は、二酸化チタンおよび/または窒化アルミニウムおよび/または五酸化タンタルおよび/または窒化ケイ素および/または酸化アルミニウムおよび/または酸窒化ケイ素および/またはニオブ酸リチウムおよび/またはシリコン、特にポリシリコン、および/または亜リン酸インジウムおよび/またはヒ化ガリウムおよび/またはヒ化インジウムガリウムおよび/またはヒ化アルミニウムガリウムおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移金属ジカルコゲナイド、および/またはカルコゲナイドガラスおよび/または樹脂または樹脂含有材料、特にSU8、および/またはポリマーまたはポリマー含有材料、特にOrmoCompを含むまたはそれらで構成されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記フォトニックプラットフォーム(8)は、少なくとも部分的に一方が他方の上に延在する複数の導波路(12)、好ましくは少なくとも2つの導波路(12)を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記半導体デバイス、特に前記フォトニックプラットフォーム(8)が、前記導波路(12)の少なくとも1つに関連する少なくとも1つの結合デバイス(20)を含み、少なくとも1つの結合デバイス(32)は、好ましくは、電磁放射線を前記少なくとも1つの関連付けられた導波路(12)に結合する役割、および/または前記少なくとも1つの関連付けられた導波路(12)からの電磁放射線を結合する役割を果たすことを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記電気光学素子(15)または前記電気光学素子(15)の少なくとも1つは、少なくとも1つの波長の電磁放射線を吸収し、前記吸収の結果として電気光信号を生成し、および/またはその屈折率が電圧、および/または電荷の存在、および/または電界に応じて変化する少なくとも1種の材料を含む、またはそれらで構成されている少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記電気光学素子(15)または前記電気光学素子の少なくとも1つは、電圧および/または電荷の存在および/または電界に応じて屈折率が変化する、少なくとも1種の材料、特にグラフェンおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移ジカルコゲナイド、および/または二次元材料のヘテロ構造体および/またはゲルマニウムおよび/またはニオブ酸リチウムおよび/または少なくとも1種の電気光学ポリマーおよび/またはシリコン、および/または少なくとも1種の化合物半導体、特に少なくとも1種のIII-V族半導体および/または少なくとも1種のII-VI族半導体を有するかまたはそれらで構成される能動素子(16a)を備える変調器(15)、および
電圧および/または電荷の存在および/または電界に応じて屈折率が変化する、少なくとも1種の材料、特にグラフェンおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移ジカルコゲナイド、および/または二次元材料のヘテロ構造体および/またはゲルマニウムおよび/またはニオブ酸リチウムおよび/または少なくとも1種の電気光学ポリマーおよび/またはシリコン、および/または少なくとも1つの化合物半導体、特に少なくとも1つのIII-V族半導体および/または少なくとも1つのII-VI族半導体を含む、またはそれらで構成される能動素子(16b)、
または電極によって提供され、
前記2つの能動素子(16a、16b)、または前記能動素子と電極は、好ましくは、互いに間隔を空けて位置している、および/または一方が他方の上に部分的に位置しているように互いにオフセットして配置されることを特徴とする、請求項11に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記電気光学素子(15)または前記電気光学素子の少なくとも1つは、少なくとも1つの波長の電磁放射線を吸収し、前記吸収の結果として電気光信号を生成する少なくとも1種の材料、特にグラフェンおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移ジカルコゲナイド、および/または二次元材料のヘテロ構造体および/またはゲルマニウムおよび/またはシリコンおよび/または少なくとも1種の化合物半導体、特に少なくとも1種のIII-V族半導体および/または少なくとも1種のII-VI族半導体を含むまたはそれらの材料で構成される、1つの、好ましくは正確に1つの能動素子(16)を含む光検出器(15)によって実現されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記能動素子または前記能動素子の少なくとも1つ(16、16a、16b)の上または上方に、プラズモン活物質、好ましくは金および/または銀および/またはアルミニウムおよび/または銅を含む、またはそれらで構成される少なくとも1つのプラズモン構造体(29)を設け、前記プラズモン構造体(29)は、好ましくは、互いに隣接して配置され、好ましくは、それぞれの他方のプラズモン素子(30)の方向にテーパ状になっている部分を特徴とするプラズモン活物質を含む、またはプラズモン活物質で構成される少なくとも一対のプラズモン素子(30)を含むことを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記能動素子または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)の少なくとも1つの面に、導波路(12)は、前記能動素子の方向にテーパ状、好ましくは頂点で終わる端部(31)を設け、前記テーパ状の端部(31)は、好ましくは、前記能動素子または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)まで延在し、および/または、前記テーパ部(31)の2つの面の各々に接触要素(19)が設けられ、前記接触要素(19)は前記能動素子または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)に接続されるとともに前記接触素子(19)は反対方向にテーパ状になり前記導波路(12)の前記テーパ状の端部(31)と隣接して位置する部分(19a)を有することを特徴とする、請求項13に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記能動素子または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)の方向にテーパ状、好ましくは頂点で終わる端部(31)を有する導波路(12)が、いずれの場合も前記能動素子、または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)の2つの面に設けられており、前記それぞれのテーパ状の端部(31)は、好ましくは、前記能動素子または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)まで延在し、および/または、前記それぞれのテーパ部(31)の2つの面の各々に接触要素(19)が設けられ、前記接触要素(19)は前記能動素子または前記少なくとも1つの能動素子(16、16a、16b)に接続されるとともに前記接触素子(19)は反対方向にテーパ状になり前記それぞれの導波路(12)の前記テーパ状の端部(31)と隣接して位置する部分(19a)を有することを特徴とする、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
好ましくは一体構造の半導体基板(2)、特にシリコン基板と、前記半導体基板内(2)および/または前記半導体基板(2)上で延在する少なくとも1つの集積電子部品(3)とを有するウェハ(1)を設けるステップであって、前記ウェハ(1)は、フロントエンド(5)と、その上方に位置するバックエンド(6)を有しており、前記フロントエンド(5)は、前記集積電子部品(3)または前記集積電子部品(3)の少なくとも1つを含む、設けるステップと、
-前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の面(9)上にフォトニックプラットフォーム(8)を製作するステップであって、前記フォトニックプラットフォーム(8)は、少なくとも1つの導波路(12)と、少なくとも1つの電気光学素子(15)、特に、少なくとも1つの光検出器および/または少なくとも1つの電気光学変調器を含む、製作するステップとを含む、半導体デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記提供されたウェハ(1)のバックエンド(6)が、前記フロントエンド(5)の前記集積電子部品(3)または前記集積電子部品(3)の少なくとも1つに接続された相互接続要素(7)を含み、前記フォトニックプラットフォーム(8)において、相互接続要素(7)が、一方では前記バックエンド(6)の前記相互接続要素(7)に、他方では前記電気光学素子(15)または前記電気光学素子(15)の少なくとも1つに接続されている製作されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フォトニックプラットフォーム(8)の前記製作は、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の前記面(9)に蒸着した材料を含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記フォトニックプラットフォーム(8)の製作が、特に、前記フロントエンド(5)とは反対側を向いた前記ウェハ(1)の前記面(9)に誘電体材料の平坦化コート(10)を製作することを含み、好ましくは、前記導波路(12)またはその少なくとも1つが、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記平坦化コート(10)の前記面(11)に製作されていることを特徴とする、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記平坦化コート(10)の製作は、コーティング材料が前記ウェハ(1)の前記面(9)に塗布されること、特に蒸着されることを含み、前記コーティング材料は、その、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた少なくとも前記面(11)で、好ましくは、RMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満の粗さが得られるように、後に平坦化処理、特に、化学機械的研磨、および/またはレジスト平坦化が実施されることを含む、ことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1層の平坦化コート(13)は、好ましくは、前記少なくとも1つの導波路(12)の前記製作に続いて製作され、前記平坦化コート(13)の前記製作は、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた好ましくは、平坦化コート(10)の、および/または前記少なくとも1つの導波路(12)の前記面(11)にコーティング材料が塗布、特に蒸着され、次に、少なくとも前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記コーティング材料の面(14)上において、好ましくは、RMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満の粗さが得られるように、平坦化処理、特に、化学機械的研磨および/またはレジスト平坦化が施されることを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記平坦化コート(10)および/または前記平坦化コート(13)の前記製作は、前記平坦化処理に続いて前記処理された面に追加のコーティング材料を塗布することを含む、ことを特徴とする、請求項20から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの導波路(12)の前記製作は、導波路材料が、特に、前記ウェハ(1)とは反対側を向いた前記平坦化コート(10)の前記面(11)に、塗布すること、好ましくはその上に蒸着またはスピンコートまたは転写すること、次に、好ましくは、前記塗布された導波路材料の構築が、特に、リソグラフィおよび/または反応イオンエッチングによって実施されることを含む、ことを特徴とする、請求項20から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記または少なくとも1つの導波路(12)のために、少なくとも1つの結合デバイス(32)が製造され、この結合デバイスは、前記少なくとも1つの導波路(12)への電磁放射線の結合および/または前記少なくとも1つの導波路(12)からの電磁放射線の結合に役立つことを特徴とする、請求項17から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
請求項1から16のいずれか1項に記載の半導体デバイスを設け、断片化する、少なくとも1台の半導体装置(38)の製造方法。
【請求項27】
請求項1から16のいずれかに記載の半導体デバイスを断片化して得られる半導体装置(38)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスおよびその製造方法に関するものである。さらに、本発明は、半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ内、特にチップ間のデータ交換は、ますます容量の限界に近づいている。可能な接続の数は、利用可能なチップ面積によって、また、製造性に影響する技術的な要因によって制限される。さらに、電気接続の帯域幅は、周波数と共に急激に増加する電気損失によって制限される。様々な適用分野において、広帯域のI/Oインターフェースのニーズは現在の能力を上回っている。適用例としては、CPUまたはGPUとメモリの構成可能なネットワーキング、CPU-メモリ接続性、自律移動のためのIoTネットワークなどに特に関係する、または、それらを含むいわゆる非集計コンピューティングの分野が挙げられる。このような場合、Gb/sからTb/sのデータ転送を行う極端な帯域幅が必要とされることが多い。
【0003】
現在、I/Oインターフェースは、本来、電子的に実装されている。メモリ接続、センサネットワーク(IoT)、およびデータ通信の必須分野にも適用される。現在技術的に可能なI/O帯域幅は、所望の転送速度を達成するには十分でないことが多い。損失や電気接点の最小寸法など、根本的に制限的な効果を持つ物理的関係が、性能の大幅な向上を阻んでいるのである。特に、高周波(例えば、同軸導体では50GHz付近の範囲で10dB/m)では電気的損失が大きく影響するが、0.1dB/kmの範囲の光ファイバの損失は、それに比べれば極めて小さい。光インターフェースに変更することで、帯域幅と範囲の問題を解決することができる。しかし、低コストで高性能な部品を非常に大量に利用可能に製造することが、ここでの大きな課題である。現在、これを実現できるのはシリコン技術だけであるが、フォトニック機能としては限られたものしかない。III-V族半導体は、より適しているが、Si技術とモノリシックに統合することはできない。
【0004】
また、I/Oインターフェースに加え、他の応用分野も考えられる。フィルタや分光計などの光学系、あるいは機械学習のためのニューラルネットワークも実現できるかもしれない。フォトニクスとエレクトロニクスを密接に統合することで、新規のチップアーキテクチャを実現できる可能性がある。
【0005】
データ通信のための光インターフェースは、電子チップと光チップのヘテロ集積化やボンディング技術によって、ある程度実現されている。つまり、光チップと電子チップは、それぞれ異なる技術で製作されて、その後、接合される。この目的のため、III-V族遷移形半導体に基づく光回路は、通常、電子制御回路を備えたSiウェハに接合される。利点は、それぞれの回路タイプに最適なプロセスで製作できるという点である。しかし、接合のための製造技術(チップを1個ずつウェハに接合する必要がある)が高価であり、順次的作業で時間がかかること、および製造ラインが途切れることが大きなデメリットである。個々のチップをウェハに接合した後、ウェハ全体としてそれ以上加工することはできない。次のステップでウェハを分離し、チップを別々に仕上げる(ただし、製造工程の主要部はすでに終了している)。
【0006】
代替的に、シリコンを出発材料として使用することができ、ワンチップ上で電子回路とフォトニック回路を得ることができる。しかし、この場合、光回路と電子回路を同じ層で製造するため、電子回路とフォトニック回路の技術の組み合わせは固定される。Siエレクトロニクスとフォトニクスを1枚のウェハに並べて配置している。このことは、例えば、非特許文献1からも知られている。このSi技術との複合技術では、III-V族半導体のダイ・アタッチや接合戦略と比較して、コストと時間を大幅に削減できることが利点である。しかし、Siフォトニックデバイスは、通常、III-V族遷移形半導体と比較して、性能が劣るという欠点がある。別の大きなデメリットは、エレクトロニクスやフォトニクスの技術は固定されているため、技術的・経済的な理由からに特定の種類のマイクロチップしか合理的に製造できないということである。
【0007】
特許文献1には、集積回路を有する半導体デバイスが開示されている。このデバイスは、集積回路を有し、キャリア基板の凹部内に互いに間隔をあけて固定された複数のチップを含む。導波路とフォトニックデバイスを含むプレーナコートをチップと基板表面に蒸着させ、1チップのフォトニックデバイス用のチップ内光接続、または異なるチップのフォトニックデバイス用のチップ間光接続を提供する。
【0008】
これまで知られていた半導体デバイスは、原理的には証明されている。しかし、未だに代替デバイスのニーズがある。特に、集積したフォトニクスを有する個々のチップを、合理的な製作工数で大量に、つまり合理的なコストで入手することが求められているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2014/0264400A1号
【非特許文献1】論文「次世代システムオンチップのためのフォトニクスとシリコンナノエレクトロニクスの融合(Integrating photonics with silicon nanoelectronics for the next generation of systems on a chip)」ネイチャー誌556号349~354ページ(2018年)、doi.10.1038/s41586-018-0028-z」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電子回路とフォトニクス部品の統合が実現され、集積したフォトニクスを有するチップを合理的な労力で大量に得ることが可能な代替半導体デバイスを提供することにある。さらに、本発明の目的は、このようなデバイスの製造方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
最初に述べた目的は、好ましくは一体構造の半導体基板、特にシリコン基板と、前記半導体基板内および/または前記半導体基板上で延在する少なくとも1つの集積電子部品とを有するウェハを含み、前記ウェハは、フロントエンドと、その上方に延在するバックエンドを有しており、前記フロントエンドは、前記集積電子部品または前記集積電子部品の少なくとも1つと、前記フロントエンドとは反対側を向いた前記ウェハの面上に製作されたフォトニックプラットフォームとを備え、当該フォトニックプラットフォームは、少なくとも1つの導波路と、少なくとも1つの電気光学素子、特に、少なくとも1つの光検出器および/または少なくとも1つの電気光学変調器を含み、前記フォトニックプラットフォームの電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つが、前記ウェハの前記集積電子部品または前記集積電子部品の少なくとも1つに接続されている、半導体デバイスによって達成される。
【0012】
2番目に述べた目的は、半導体デバイスを製造する方法によって達成されるものであり、以下の工程を含む。
-好ましくは一体構造の半導体基板、特にシリコン基板を有するウェハと、前記半導体基板内および/または前記半導体基板上で延在する少なくとも1つの集積電子部品と、を有するウェハを設ける。前記ウェハは、フロントエンドと、そこに延在するバックエンドを有しており、前記フロントエンドは、前記集積電子部品または前記集積電子部品の少なくとも1つを備える。
-フォトニックプラットフォームを前記フロントエンドとは反対側を向いた前記ウェハの面上に製作する。前記フォトニックプラットフォームは、少なくとも1つの導波路と、少なくとも1つの電気光学素子、特に、少なくとも1つの光検出器および/または少なくとも1つの電気光学変調器を備える。
【0013】
言い換えれば、本発明の基本的な考え方は、ウェハのバックエンド上に直接製作すること、特にその上に少なくとも1つの導波路と少なくとも1つの電気光学素子を有するフォトニックプラットフォームを直接構築することである。
【0014】
先行技術において、ウェハは、ウェハフラグメンテーション(ドイツ語ではWafer-Zerkleinern)としても知られている、ウェハダイシングによって複数のチップが得られる部品または要素またはデバイスであると一般的に知られている方法で理解されている。ダイシングまたはフラグメンテーションは、例えば、ウェハの(レーザによる)切断またはソーイングまたはスクライビングまたはブレイキングを含んでいてもよい。英語では、単一または単数のチップはダイとも呼ばれ、複数形のチップはダイまたはダイスとも呼ばれる。なお、ダイシング後のチップの中には、ベアチップやベアダイと呼ばれるものもある。「ベア」とは、まだパッケージに入れられていないチップのことである。パッケージのない「ベア」チップは、略してチップとも呼ばれる。
【0015】
ウェハを断面で見ると、垂直方向の構造は異なる小領域に分けられる。最下部はフロントエンド、略してFEOLと呼ばれ、1つ以上の集積電子部品を含む。集積電子部品(複数可)は、例えば、トランジスタおよび/またはコンデンサおよび/または抵抗器であってもよい。フロントエンドの上にはバックエンド、略してBEOLがあり、通常、FEOLの集積電子部品が相互接続される各種金属面が含まれている。
【0016】
ウェハは、ダイシング、フラグメンテーション、一体化を経て、それぞれチップまたはダイを形成する複数の領域を含む。これらの領域は、本明細書ではチップ領域またはダイ領域とも呼ぶ。ウェハの各チップ領域は、好ましくは、ウェハの、特に、一体構造の半導体基板の一部分またはその部分領域を含む。好ましくは、各チップ領域は、半導体基板の対応する領域内および/または対応する領域上、特に断面で見たときにFEOL内で延在する1つ以上の集積電子部品をさらに含む。チップ領域は孤立したチップを表すものではないこと、すなわちウェハが孤立したチップを含まないことを強調しておく。
【0017】
また、ウェハの複数のチップ領域、特に、すべてのチップ領域の集積電子部品(複数可)が同一である場合もある。その場合、本発明によるデバイスから、その上にフォトニックプラットフォームが製作された複数の同一のチップ(またはいずれの場合もその一部分)をダイシングによって得ることができる。
【0018】
ウェハには、ダイシングが可能な、またはダイシングを行うべきマークが1つ以上あるので便利である。
【0019】
本発明の文脈では、ウェハを個々のチップに分割(ダイシング)する前から、ウェハ上に直接フォトニックプラットフォームを積層している。本発明によるデバイスでは、フォトニックプラットフォームがウェハ上に製作、特に、積層されるので、その後、単にダイシングすることによって、それから集積フォトニクスを有する多数のチップを得ることができる。バックエンドにフォトニックプラットフォームがない場合でも、従来のウェハと同様にダイシングを行うことができる。特に、この目的のために既存の機器や設備を利用することが可能である。その結果、フォトニクスを搭載した個々のチップも、無理なく量産することができる。
【0020】
フォトニックプラットフォームが製造された、またはフォトニックプラットフォームが製作される予定の、フロントエンドとは反対側を向いたウェハの面をウェハの上面と呼ぶこともできる。
【0021】
有用な実施形態において、本発明によるデバイスは、その上に製作されたフォトニックプラットフォーム領域が、ウェハの複数の、特に、各々の、チップ領域の上に延在し、プラットフォーム領域の各々は、都合よく、それぞれの下層のチップ領域の少なくとも1つの集積電子部品または回路に接続された少なくとも1つ、好ましくは複数の導波路および少なくとも1つ、好ましくは複数の電気光学素子を含むことを特徴としている。
【0022】
フォトニックプラットフォームは、便宜上、複数の機能部を含んでおり、それぞれのチップ領域の上方に延在する機能部の少なくとも1つ、特に、正確に1つが、ウェハの各チップ領域に割り当てられることが特に好ましい。
【0023】
本発明によれば、フォトニックプラットフォームは、特に、(従来の)ウェハ製作プロセスが完全に終了した後に、ウェハのバックエンドに製作される。特にこの場合、(従来の)ウェハ製作工程に合わせることなく行うことが可能になる。また、フォトニックプラットフォームの製作は、(従来の)ウェハ製作と完全に分離して行うこともできる。このように、高い自由度が与えられている。
【0024】
集積電子部品が、特に本発明によるデバイスのウェハの半導体基板内および/または基板上に延在するということは、基板内および/または基板上に直接配置されることを意味する。もちろん、集積電子部品が基板内で部分的に延在している場合、および断面において基板上で直接延在している場合、例えば、基板の1つ以上の面上で直接延在している場合もある。
【0025】
本発明による半導体デバイスの半導体基板は、好ましくは、一体構造である。特に、それは、モノリシック基板である。基板は複数の層で製造されていてもよい。
【0026】
半導体基板は、さらに、円形の外周を有することを特徴としてもよい。代替的または追加的に、600mm~50mm、好ましくは500mm~100mmの範囲の直径を有していてもよい。例示的な直径としては、150mm、200mm、300mm、450mmなどが挙げられる。
【0027】
フォトニックプラットフォームがフロントエンドのエレクトロニクスと同じレベルではなく、バックエンドで製作された/製作されているため、フォトニクスのために追加のスペース(リアルエステートとも呼ばれる)を必要としないという大きな利点がある。そのため、フロントエンドにあるリアルエステートが限られているという、しばしば存在する問題を、これ以上悪化させることはない。
【0028】
フォトニックプラットフォームがウェハ上に製作される/されたとは、それがウェハ上に直接製作される/されたことを意味し、例えば、ウェハ(複数可)上に直接材料を積層/蒸着することも含む。フォトニックプラットフォームは、好ましくは、フロントエンドとは反対側を向いたウェハの面に蒸着された材料を含むことを特徴とする。したがって、本発明による方法において、フォトニックプラットフォームの製作が、フロントエンドとは反対側を向いたウェハの面に材料を蒸着させることを含むようにしてもよい。特に、フォトニックプラットフォームは、ウェハとは独立して、例えば別の基板上に製作され、その後、ウェハに転写され、例えばボンディングによってウェハに接合されるのではない、またはされていない。むしろ、ウェハ上で得られる、または得られたものである。
【0029】
本発明の半導体デバイスのフォトニックプラットフォームは、その少なくとも1つの部品のうちの1つ以上の電気光学素子または部品を除き、接合層を有していなくてもよい。
【0030】
特に有利な実施形態では、フォトニックプラットフォームは、誘電体材料の平坦化コートを含む。これは、好ましくは、フロントエンドとは反対側を向いたウェハの面上に製作される。さらに好ましくは、導波路または導波路の少なくとも1つが、ウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面上に製作されてもよい。
【0031】
したがって、本発明による方法は、さらに詳細には、フォトニックプラットフォームの製作が、誘電体材料の平坦化コートを、特にフロントエンドとは反対側を向いたウェハの面上に製作することを含むことを特徴としてもよい。
【0032】
これらの実施形態に従って提供されるフォトニックプラットフォームの平坦化コートは、1層以上のフォトニック層またはフォトニック面の基礎を形成してもよく、各々は、好ましくは、少なくとも1つの導波路および/または少なくとも1つの電気光学素子を含む。
【0033】
導波路または導波路の少なくとも1つは、その後、さらに好ましくは、ウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面上に製作することができる。
【0034】
少なくとも1つの導波路の製作は、導波路材料が、特に、ウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面に、塗布、好ましくは蒸着またはスピンコートまたは転写され、次に、好ましくは、蒸着された導波路材料の構築が、特に、リソグラフィおよび/または反応イオンエッチングによって実施されることをさらに含んでいてもよい。例えば、平坦化コートに関連して後述する蒸着プロセスと同じものを使用することができる。
【0035】
フォトニックプラットフォームがバックエンドに設けられた平坦化コートを含む場合、平坦化コートは、ウェハとは独立して、例えば別の基板上に製作され、その後ウェハに転写され、例えばボンディングによってウェハに接合されることはない。むしろ、その上で作る、あるいは作られているものである。また、平坦化コートはモノリシックな層、特にウェハとモノリシック、またはウェハに対してモノリシックな層であると言うこともできる。
【0036】
さらに詳しく説明すると、平坦化コートは、ウェハとは反対側を向いた面において、粗さがRMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満であることを特徴とする。例えば、下限値はRMS0.01nmとしてもよい。言い換えれば、粗さは、例えば、RMS2.0nmからRMS0.01nmの範囲、好ましくはRMS1.0nmからRMS0.01nmの範囲、特に好ましくはRMS0.3nmからRMS0.01nmの範囲とすることができる。nmという略号は、ここでも以下でも、それ自体既知の様に、ナノメートル(10-9m)を意味する。RMSとは、二乗平均平方根(root mean squared)の略である。RMS粗さは、ドイツ語で「quadratische Rauheit」とも呼ばれる。
【0037】
本発明によるデバイスのさらなる実施形態では、平坦化コートは、スピンオングラスおよび/または少なくとも1種のポリマーおよび/または少なくとも1種の酸化物、特に二酸化ケイ素、および/または少なくとも1種の窒化物を含む、またはそれらで構成されている。したがって、本発明による方法は、スピンオングラスおよび/または少なくとも1種のポリマーおよび/または少なくとも1種の酸化物、特に二酸化ケイ素、および/または少なくとも1種の窒化物で構成される、またはそれらを含む平坦化コートを製作することを含んでいてもよい。
【0038】
スピンオングラスは通常、液状の物質で、スピンオングラスコーティングによってウェハをコーティングすることができる。スピンオングラスコーティングの後、ウェハ上に表面トポロジーに依存した厚さの層が形成される。そのため、凹みが部分的に補われ、スピンオングラスコーティングによる平坦化効果も得られる。スピンオングラスは通常、蒸着後に加熱されるため、ガラス状の層となる。
【0039】
代替的または追加的に、平坦化コートが、蒸着、特に化学蒸着(CVD)、好ましくは低圧化学蒸着(LPCVD)および/またはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって、および/またはフロントエンドとは反対側を向いたウェハの面へのコーティング材料の物理的蒸着、および、好ましくは、化学機械研磨による、および/またはレジスト平坦化による、ウェハとは反対側を向いた蒸着材料の面のその後の処理によって形成されるようにすることもできる。
【0040】
本発明による方法では、状況に応じて、平坦化コートの製作の一部として、フロントエンドとは反対側を向いたウェハの面に少なくとも1層のコーティング材料を、特に化学蒸着、好ましくは低圧化学蒸着および/またはプラズマ支援化学蒸着、および/または物理蒸着によって、蒸着させるようにすることもできる。好ましくは、蒸着材料は、その後、ウェハとは反対側を向いた面で、特に好ましくは、RMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満の粗さが得られるように、化学機械的に研磨され、および/またはレジスト平坦化される。化学機械研磨および/またはレジスト平坦化は、特に、RMS2.0nm~RMS0.01nmの範囲、好ましくはRMS1.0nm~RMS0.01nmの範囲、特に好ましくはRMS0.3nm~RMS0.01nmの範囲の粗さが得られるように実施することができる。
【0041】
これらの領域の粗さが特に適していることが証明されている。これらは、特に、上層の応力や歪みを回避するのに有利である。この文脈では、L.バンツェルス等による学術雑誌、2D マテリアル・アンド・アプリケーション第4巻No.2、025030、2017年「高品質グラフェンヘテロ構造体に適した基板の同定(Identifying suitable substrates for high-quality graphene-based heterostructures)」も参照している。
【0042】
原子間力顕微鏡(略AFM)を特にEN ISO 25178に記載されているように、粗さを判定するための測定方法として使用することができる。原子間力顕微鏡については、主に、この規格の第6部(EN ISO 25178-6:2010-01)で取り上げられており、粗さ判定のための測定方法について論じている。
【0043】
様々な先行技術の化学蒸着プロセスがあり、これらはすべて本発明の文脈で使用することができる。これらすべてに共通しているのは、通常、導入したガスが化学反応を起こし、所望の物質が蒸着されることである。
【0044】
また、物理的蒸着に関しても、先行技術から知られているすべてのバリエーションが使用可能である。純粋に例として挙げると、電子ビームにより材料を溶かし蒸発させる電子ビーム蒸着、およびヒータにより材料を融点まで加熱し対象基板上に蒸発させる熱蒸発、ならびに、プラズマにより材料キャリアから原子を叩き出し対象基板に蒸着させるスパッタ蒸着などを挙げることができる。
【0045】
上記の蒸着プロセスの代替または追加として、原子層蒸着も可能である。このプロセスでは、絶縁性の材料または導電性の材料(誘電体、半導体または金属)を原子層ごとに順次蒸着させていく。
【0046】
化学機械研磨では、通常、ウェハなどの被研磨対象物を研磨パッド間で回転運動させながら研磨する。研磨は、研磨ペーストによって、一方では化学的に、他方では物理的に行われる。化学的作用と物理的作用を組み合わせることで、サブナノメートル単位で滑らかな表面を得ることができる。
【0047】
特に、レジスト平坦化には、単回または繰り返しのスピンオングラス蒸着とその後のエッチング、好ましくは反応イオンエッチング(RIE)が含まれる。SiO2表面のように高低差のある表面を平坦化する場合は、スピンオングラス蒸着とエッチングで行うことができる。スピンオングラスコートにより、高さの違いを部分的に補うことができる。すなわち、トポロジーの谷間は、隣接する高台よりもスピンオングラスコーティング後のコート厚が厚くなる。スピンオングラスと、例えばSiO2のエッチング速度は、適合するRIEプロセスでは類似しているか、あるいは同じである。ここでいう適合とは、特に、圧力、ガス流量、混合ガス組成、および電力を状況に応じて選択することである。スピンオングラスコート全体をスピンオングラスコーティング後、RIEでエッチングした場合は、スピンオングラスコートの平坦化効果により、高低差が小さくなっている。繰り返し行うことで、さらに高低差を小さくすることができる。SiO2コートを蒸着する際には、消費されるSiO2コートの厚さを考慮し、最終エッチング工程完了後に所望のSiO2コートの厚さを達成する必要がある。なお、レジスト平坦化はSiO2に限らず、他の材料でも検討可能であることを強調しておく。材料のエッチング速度は、スピンオングラスと類似しているか、少なくとも実質的に同じであれば好都合である。SiO2やスピンオングラスについては、この条件を満たしている。なお、例えば、エッチング速度がスピンオングラスと2倍程度異なる材料も可能であり、その場合は一般的にいくつかのパスが必要となる。例えば、水素シルセスキオキサンおよび/またはポリマーなどを液体材料として塗布することができ、特にスピンオンすることができる。その後の焼成でガラス化することが、スピンオングラスとも呼ばれる所以である。水素シルセスキオキサン(HSQ)は、式[HSiO3/2]nで表される無機化合物の一種である。
【0048】
さらなる有利な実施形態において、フォトニックプラットフォームは、少なくとも1層の追加の平坦化コートを含む。平坦化コート、または、何層かある場合は、追加の平坦化コートの少なくとも1層を、その後、好ましくは平坦化コートと同じ材料で作ることができる。また、平坦化コートと同じ方法で製造することも可能である。ただし、これはあくまで任意であり、制限するものではない。
【0049】
追加の平坦化コート、または、複数ある場合には、追加の平坦化コートのうちの1層を、少なくとも1つの導波路および/または平坦化コート上に配置または製作することができる。
【0050】
本発明による方法では、好ましくは、少なくとも1つの導波路の製作に続いて、少なくとも1層の追加の平坦化コートを状況に応じて製作するようにすることができる。少なくとも1層の追加の平坦化コートの製作は、特に好ましくは、少なくとも1つの導波路および/またはウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面にコーティング材料が塗布、特に蒸着されることを含む。
【0051】
追加の平坦化コートのコーティング材料は、平坦化コートと完全に類似しており、少なくともウェハとは反対側を向いたその面で平坦化処理、特に化学機械研磨および/またはレジスト平坦化処理を施される、または施されていてもよい。ここでも、これは、RMS2.0nm未満、好ましくはRMS1.0nm未満、特に好ましくはRMS0.3nm未満の、ウェハとは反対側を向いた面の粗さが得られるように実施される、または好ましくは実施されている。また、少なくとも1層の追加の平坦化コートに関しても、好ましくは、RMS2.0nm~RMS0.01nmの範囲、好ましくはRMS1.0nm~RMS0.01nmの範囲、特に好ましくはRMS0.3nm~RMS0.01nmの範囲の粗さが得られるように化学機械研磨および/またはレジスト平坦化が実施されるようにしている。
【0052】
平坦化コートおよび/または追加の平坦化コートの製作は、平坦化処理に続いて処理された側にコーティング材料を塗布することをさらに含んでいてもよい。処理される側を上側と呼ぶこともある。
【0053】
さらに、平坦化コートおよび/または追加の平坦化コートまたは追加の平坦化コートが、好ましくは平坦化処理が施される表面上に設けられ、例えばジカルコゲナイド層またはジカルコゲナイドヘテロ構造体、あるいはまた窒化ホウ素層であり得る、1層以上のカバー層を含むようにすることができる。これらの材料は、好ましくは、化学機械研磨や、レジスト平坦化を必要とせずに蒸着される、または転写されるが、これを再び実施することも排除されない。
【0054】
もちろん、フォトニックプラットフォームが、1層以上の平坦化コートおよび/または1層以上のトップコートに加えて、他の層を含むことは可能である。
【0055】
コートは正確に1層だけでもよく、また、数層を含んでいてもよい。1種の材料だけで構成されている場合もあれば、複数の材料を含む場合もある。例えば、コートは2種以上の異なる材料の2層以上の層を有していてもよい。もちろん、コートが多重層でも可能であるが、すべて同じ素材でできている場合もある。特に、数層の層、例えば数層の原子層が、その製作のために設けられている、例えば蒸着されているので、2層以上の層を有するコートを得ることができる、または存在させることができる。
【0056】
さらに、本発明によるデバイスの導波路(複数可)に対しても、これらは下層のコートに接合されておらず、むしろこれらは下層のコート、特に平坦化コート、あるいはウェハ上に製作される、あるいは製作された。例えば、適切な導波路材料が平坦化コート上に設けられる、または設けられてあって、例えばその上に積層または蒸着され、その後、必要であれば、例えばリソグラフィおよび/またはエッチングによって導波路(複数可)を得るために構築される、または構築されている。リソグラフィは、好ましくは、それ自体既知の方法で、感光性レジストを塗布し、特にそれをスピンさせて光、特に紫外線にそれを露光することを含む。露光させたくない部分はマスクで覆うのが便利である。現像後、マスク上の構造をレジストコートに転写する。
【0057】
導波路、または導波路の少なくとも1つ、あるいはすべての導波路がコートに埋め込まれていてもよく、および/または2層のコートの間に延在していてもよい。例えば、複数の導波路のうちの1つ以上は、追加の平坦化コートまたは追加の平坦化コートの少なくとも1層に埋め込まれていると考えることができる。2層のコートの間に延在し、1層のコートに埋め込まれた1つ以上の導波路は、例えば、ウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面で導波路(複数可)を製作し、次に導波路(複数可)上に平坦化コートを製作することによって得ることができ、その製作は、導波路(複数可)上と下層の平坦化コートの非被覆領域上にコーティング材料を塗布すること、特に蒸着することを含んでいる。
【0058】
好ましい実施形態では、フォトニックプラットフォームの導波路、または、いくつかの導波路がある場合には、複数の導波路の少なくとも1つは、850nmおよび/または1310nmおよび/または1550nmの波長の電磁放射線を透過させる少なくとも1種の材料を含むか、そのような材料で構成されている。特に好ましくは、それは、800nm~900nmおよび/または1260nm~1360nm(いわゆるOriginal Bandまたは略してOバンド)および/または1360nm~1460nm(いわゆるExtend Bandまたは略してEバンド)および/または1460nm~1530nm(いわゆるShort Bandまたは略してSバンド)および/または1530nm~1565nm(いわゆるConventional Bandまたは略してCバンド)および/または1565nm~1625nm(いわゆるLong Bandまたは略してLバンド)の波長帯の電磁放射線を透過させる。これらの波長帯は、通信工学の分野で知られている。
【0059】
本発明による半導体デバイスのフォトニックプラットフォームの導波路または、複数ある場合には、複数の導波路の少なくとも1つは、さらに有利な実施形態において、二酸化チタンおよび/または窒化アルミニウムおよび/または五酸化タンタルおよび/または窒化ケイ素および/または酸化アルミニウムおよび/または酸窒化ケイ素および/またはニオブ酸リチウムおよび/またはシリコン、特にポリシリコン、および/または亜リン酸インジウムおよび/またはヒ化ガリウムおよび/またはヒ化インジウムガリウムおよび/またはヒ化アルミニウムガリウムおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移金属ジカルコゲナイド、および/またはカルコゲナイドガラスおよび/または樹脂または樹脂含有材料、特にSU8および/またはポリマーまたはポリマー含有材料、特にOrmoCompを含んでいてもよく、またはこれらの材料の1種以上を含む。本発明による方法では、好ましくは、これらの材料のうちの1種を含む、またはこれらの材料で構成される、またはこれらの材料のうちの1種以上の組み合わせを含むまたは、これらの材料のうちの1種以上の組み合わせで構成される、少なくとも1つの導波路が製作される。
【0060】
少なくとも1つの導波路は、便宜上、その屈折率が、平坦化コートおよび/または追加の平坦化コート(あれば)の1種の材料または複数の材料の屈折率とは異なる材料で構成される、またはそれらの材料を含む。特に、少なくとも1つの導波路が平坦化コートおよび/または追加の平坦化コートと共通のインターフェースを有する場合がそうである。
【0061】
純粋に例示の屈折率の組としては、導波路(複数可)が3.4(Si)、平坦化コート(複数可)が1.5(SiO2)、誘電体の場合は導波路(複数可)が2.4(TiO2)、平坦化コート(複数可)が1.5(SiO2)、導波路(複数可)が2(SiN)、平坦化コート(複数可)が1.47、が挙げられる。
【0062】
少なくとも1層の追加の平坦化コートが設けられる場合、平坦化コートに関して、このことは、屈折率が少なくとも1つの導波路の材料の屈折率とは異なる材料で構成されるか、またはその材料を含むことも適用可能である。これは特に、少なくとも1つの導波路と接触している場合、つまり導波路と共通のインターフェースを有するか、形成している場合に当てはまる。
【0063】
導波路(複数可)の材料の屈折率は、平坦化コートおよび/または追加の平坦化コートの材料の屈折率より少なくとも20%大きい、好ましくは少なくとも30%大きいことが特に好ましい。
【0064】
これらの実施形態では、言い換えれば、少なくとも1つの導波路と平坦化コートおよび/または少なくとも1つの導波路と追加の平坦化コート(あれば)との間で屈折率コントラストが実現されているか、または実現される。
【0065】
導波路とは、電磁波(特に光)を導くための要素または部品のことである。導波するために、少なくともこの波長を光学的に透過させ、この波長を同じく透過させる隣接する材料と屈折率コントラストによって区別される材料の波長依存の断面が便宜上、提供されている。周囲の材料の屈折率が低ければ、光は屈折率の高い領域に導かれる。特にスリットモードの特定の場合では、2つの高屈折率領域が波長に対して狭い低屈折率領域から分離されており、低屈折率領域で光が導かれる。散乱による損失を少なくするためには、側壁の粗さを小さくすることが有利である。
【0066】
導波路(複数可)の寸法に対しては、特に以下を適用できる。厚さは、好ましくは、150ナノメートルから10マイクロメートルの範囲である。導波路(複数可)の幅と長さ、すなわちウェハ表面に平行な横方向の範囲は、特に、100ナノメートルと10マイクロメートルの範囲でよい。
【0067】
1つ以上の導波路は、例えば、矩形または正方形の断面を特徴とする、例えば、ストリップ導波路として設計することができる。1つ以上の導波路を、代替的または追加的に、断面がT字型のリッジ導波路として形成することもできる。さらに代替的または追加的に、1つ以上の導波路をスロット導波路によって加えることが可能である。
【0068】
本発明によるデバイスの1つ以上の導波路は、例えば断面で見た場合、いくつかの部分またはセグメントで構成されてもよく、例えば、第1の、例えば下部または左のセグメントおよび第2の、例えば上部または右のセグメント、言い換えれば箇所または部分を含む、またはそれらで構成されているいくつかの部分で形成されてもよい。1つ以上の導波路セグメントの断面が矩形または正方形であることを特徴とする場合もある。導波路が2つ以上のセグメントを含む、または2つ以上のセグメントで構成されている場合、これらは互いに隣接している、または融合している、あるいは例えば、ギャップやスロットを形成するなどして、互いに間隔を空けて配置されてもよい。
【0069】
本発明に従って提供されるフォトニックプラットフォームは、便宜上、複数の導波路を含む。そして、さらに、少なくとも2つの導波路が、少なくとも部分的に、一方が他方の上に延在するようにすることができる。言い換えれば、2面以上の導波路が存在する、あるいは互いに上に「重ねる」ことで、さらなる省スペース化、機能拡張したより複雑な回路を得ることができる。
【0070】
さらに、導波路から表面安定構造を作ることもできる。例えば、マルチモード干渉結合器(MMI)、すなわち干渉に基づく50:50の分配器や、2つの導波路をある長さで並走させ、一方からの光を他方に結合する方向性結合器などである。また、例えばマッハツェンダー干渉計(スプリッタとして2x50/50のMMI、その間にアームを2本)を入手することも可能である。
【0071】
さらなる実施形態は、少なくとも1つの電気光学素子に加えて、フォトニックプラットフォームが、少なくとも1つの光学素子、特にマッハツェンダー干渉計などの少なくとも1つの干渉計、および/またはマルチモード干渉結合器などの少なくとも1つの干渉結合器、および/または少なくとも1つの方向性結合器、および/または少なくとも1つの偏光変換器、および/または少なくとも1つのスプリッタ、および/または少なくとも1つのリング共振器も含むことを特徴としている。少なくとも1つの光学素子は、好ましくは、1つ以上の導波路および/または導波路部分を含む、またはそれらによって形成される。特に、少なくとも1つの光学素子は、導波路の長手方向に見て、言い換えれば長尺の部分を見て、導波路の一箇所または一部分のみを含んでいてもよい。リング共振器として形成された光学素子は、共振器を形成する好ましくは自己完結型のリング状導波路と、それに結合された好ましくは直線状導波路部分から便宜上構成されている。結合は方向性結合器を介して実現することができ、この方向性結合器は、好ましくは、リング状導波路と直線状導波路部分との間の距離が、両者の間で光が結合するような領域を含むか、またはそのような領域によって形成される。
【0072】
したがって、本発明による方法は、少なくとも1つの光学素子が、好ましくは、例えばマッハツェンダー干渉計などの少なくとも1つの干渉計、および/またはマルチモード干渉結合器などの少なくとも1つの干渉結合器、および/または少なくとも1つの方向性結合器、および/または少なくとも1つの偏光変換器、および/または少なくとも1つのスプリッタ、および/または少なくとも1つのリング共振器を製作することを特徴としていてもよい。
【0073】
また、フォトニックプラットフォームは、1つ以上の熱光学素子を含んでいてもよい。そのようなデバイスの1つとして、例えば、発熱体と導波路の長尺部分を含み、発熱体は、導波路部分を加熱できるように導波路部分に対して配置されている。発熱体は、例えば、電流を流すと温度が上昇するようなものでもよい。例えば、導波路の近傍に発熱体を配置してもよい。発熱体によって導波路を加熱することで、導波路の屈折率を変化させることができる。この効果は、例えば位相整合に利用することができる。熱光学素子は、フォトニックプラットフォームの干渉計に関連付けることも可能であるし、あるいは、干渉計の一部を形成することも可能である。
【0074】
さらなる実施形態では、フォトニックプラットフォームは、ウェハとは反対側を向いた面上に表面安定化コートおよび/または金属被覆材を有する。フォトニックプラットフォームは、好ましくは、最後に表面安定化コートおよび/または金属被覆材で仕上げる。言い換えれば、表面安定化コートおよび/または金属被覆材は、フォトニックプラットフォームの最後または最上層のコートを形成する。
【0075】
金属被覆材は、側壁の粗さがそれほど影響しないように、指数コントラストをいくらか低くする場合に特に適している、または、そのように設計されている。通常は、損失は、導波路(複数可)に戻る。
【0076】
表面安定化コートは、好ましくは、配置または回路を環境の影響、特に水から保護する目的で使用される。表面安定化コートは、例えば、誘電体材料で構成することができる。特に、酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ケイ素(SiO2)が適していることが証明されている。
【0077】
上層の最終表面安定化コートは、便宜上、下層の接点への電気的接続を可能にするために、開口部または中断部を有している。表面安定化コートの開口部や中断部は、例えばリソグラフィおよび/またはエッチング、特に反応イオンエッチングによって得ることができる、または得ている。
【0078】
反応イオンエッチングは、通常、プラズマを形成するために励起された特殊な気体化学物質によって、基板表面の選択的かつ指向性のあるエッチングを可能にするドライエッチングプロセスである。レジストマスクは、エッチングしない部分を保護するために使用することができる。化学エッチングとプロセスのパラメータは、通常、プロセスの選択性、すなわち異なる材料のエッチング速度を決定する。この特性は、エッチングプロセスの深さを制限し、コートと他のコートを互いに別々に画定するために重要である。
【0079】
さらなる有利な実施形態において、本発明による半導体デバイスは、ウェハのバックエンドおよびフォトニックプラットフォームが、ウェハの集積回路または集積回路の少なくとも1つがフォトニックプラットフォームの電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つに接続される相互接続要素を含んでいることを特徴とする。
【0080】
したがって、本発明による方法では、有利なさらなる展開として、提供されたウェハのバックエンドが、フロントエンドの集積回路またはフロントエンドの複数の集積回路の少なくとも1つに接続された相互接続要素を含み、相互接続要素が、一方ではバックエンドの相互接続要素に、他方では電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つに接続されているフォトニックプラットフォームに製作されるようにすることができる。
【0081】
相互接続要素は、特に、英語ではVertical Interconnect Access、またはViaまたはVIAとしても知られる垂直電気相互接続であってもよい。VIAは通常、リソグラフィによって画定され、RIEを用いてドライケミカルでエッチングされる。その後、メタライゼーションを行うことが好ましく、CMP(ダマシンプロセス)またはリソグラフィとRIEにより金属化した表面を構築する。
【0082】
相互接続要素は、便宜上、少なくとも1つの導電性材料、特に銅および/またはアルミニウムおよび/またはタングステンなどの金属を含む、またはそれらで構成される。
【0083】
さらなる実施形態において、電気光学素子(複数可)またはその少なくとも一部は、導波路、および/またはウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面、および/または、追加の平坦化コートがあれば、そのウェハとは反対側を向いた面のうちの1つ以上の上に存在しても、または製作されていてもよい。
【0084】
本発明による半導体デバイスの電気光学素子(複数可)は、原理的には、光信号を生成および/または送信および/または受信するように設計された任意のデバイスとすることができる。特に、光データ通信のためのデバイス、および/または分光計、および/または調整可能な電気光学フィルタおよび/またはスイッチおよび/または減衰器、特に機械学習のためのデバイスとすることができる、または、機械学習のためのデバイスでもよい。また、非線形光学要素が含まれる場合もある。
【0085】
フィルタとして設計された電気光学素子は、例えば、リング共振器、好ましくは変調器との組み合わせを含んでいてもよい。
【0086】
電気光学素子、または電気光学素子が複数ある場合、少なくとも1つの電気光学素子、あるいはまた、各々の電気光学素子は、実際の実施形態では、特に、能動素子に接触する、またはいずれの場合も相互接続要素を能動素子に接触させるために役立つ少なくとも2つの接点または接触要素を含む。
【0087】
好ましくは、電気光学素子、または、複数の場合は、少なくとも1つの電気光学素子あるいはまた、各々の電気光学素子は、少なくとも1つの能動素子をさらに含む。少なくとも1つの能動素子に加えて、電気光学素子は、導波路の部分、特に導波路の長尺部分を含んでいてもよい。電気光学素子の能動素子またはその一部分が導波路、または導波路の少なくとも一部分、特に導波路の長尺部分を形成することも可能である。また、いくつかの、例えば2つの能動素子またはその部分が一緒になって導波路または部分、特に導波路の長尺部分、例えばリッジ導波路を形成することも可能である。そして、便宜上、能動素子または素子は、少なくとも1つの波長、好ましくは少なくとも1つの波長帯の電磁放射線を透過させる材料を含む。好ましくは、次に、少なくとも1種の材料が、850nmおよび/または1310nmおよび/または1550nmの波長の電磁放射線を透過させるようにする。特に好ましくは、800nm~900nmおよび/または1260nm~1360nm(いわゆるOriginal Bandまたは略してOバンド)および/または1360nm~1460nm(いわゆるExtend Bandまたは略してEバンド)および/または1460nm~1530nm(いわゆるShort Bandまたは略してSバンド)および/または1530nm~1565nm(いわゆるConventional Bandまたは略してCバンド)および/または1565nm~1625nm(いわゆるLong Bandまたは略してLバンド)の波長帯の電磁放射線を透過させる。
【0088】
少なくとも1つの能動素子が設けられている場合、これは、少なくとも1つの波長、好ましくは少なくとも1つの波長帯の電磁放射線を吸収し、吸収の結果として電気光信号を生成し、および/またはその屈折率が電圧、電荷(複数可)の存在、および/または電界に応じて変化する少なくとも1種の材料を含む、またはそれらで構成されていることが好ましい。好ましくは、次に、少なくとも1種の材料が、850nmおよび/または1310nmおよび/または1550nmの波長の電磁放射線を吸収し、吸収の結果として、光信号を生成できるように適用する。その少なくとも1種の材料は、800nm~900nmおよび/または1260nm~1360nm(いわゆるOriginal Bandまたは略してOバンド)および/または1360nm~1460nm(いわゆるExtend Bandまたは略してEバンド)および/または1460nm~1530nm(いわゆるShort Bandまたは略してSバンド)および/または1530nm~1565nm(いわゆるConventional Bandまたは略してCバンド)および/または1565nm~1625nm(いわゆるLong Bandまたは略してLバンド)の波長帯の電磁放射線を吸収でき、その吸収の結果として光信号を生成できるのが特に好ましい。
【0089】
材料が屈折率を変化させるということは、特に、その分散(特に、屈折率)および/またはその吸収を変化させることであると理解される。分散または屈折率は、通常、複素屈折率の実部、そして吸収は複素屈折率の虚部で実現される。電圧および/または電荷(複数可)の存在および/または電界に応じて屈折率が変化する材料は、本明細書では、特に、ポッケルス効果および/またはフランツ・ケルディッシュ効果および/またはカー効果によって特徴づけられるものと理解される。さらに、プラズマ分散効果によって特徴付けられる材料もそのような材料と考えられる。
【0090】
能動素子(複数可)の例示的な材料は、グラフェン、場合によっては化学修飾グラフェン、および/またはゲルマニウムおよび/またはニオブ酸リチウムおよび/または電気光学ポリマーおよび/またはシリコンおよび/または化合物半導体、例えばIII-V族半導体および/またはII-VI族半導体、および/またはジカルコゲナイド、特に二次元遷移金属ジカルコゲナイド、ならびに二次元材料のヘテロ構造体などである。したがって、グラフェン以外の二次元材料も、代替的にも追加的にも可能である。特に、電気光学ポリマーは、強い線形電気光学係数(ポッケルス効果)を有することを特徴とするポリマーとして理解される。強い線形電気光学係数は、好ましくは、少なくとも150pm/V、好ましくは少なくとも250pm/Vに達するようなものと理解されたい。電気光学係数は、ニオブ酸リチウムの少なくとも約5倍以上である。
【0091】
異なるカルコゲナイドも存在する。本発明の文脈では、MoS2やWSe2などの二次元材料としての遷移金属ジカルコゲナイドが特に適していることが証明されている。
【0092】
なお、ニオブ酸リチウムと電気光学ポリマーは、電気光学、特に、ポッケルス効果、すなわちEフィールドが屈折率を変える(例えばポッケルス効果がポッケルスセルで使用されているように)ことに基づいている。ゲルマニウムの場合は、フランツ・ケルディッシュ効果であり、すなわち、電界によって電子価の端と伝導帯の端が互いにシフトし、光学的特性が変化する。これらの効果は、電界に基づく効果である。シリコンやグラフェンの場合は、電荷キャリアに基づくプラズマ分散効果、すなわち、電荷キャリア(電子または正孔)を光モード領域に持ち込むこと(デバイス内に充電するコンデンサがあるか、空乏・濃縮する接合を有するダイオードがあるかのいずれか)である。電荷キャリア濃度によって屈折率(指数の実部)と吸収(指数の虚部、自由キャリアの吸収につながる)が変化する。
【0093】
III-V族半導体は、主要なIII族とV族の元素を、それ自体公知の方法で結合した化合物半導体で構成されている。II-VI族半導体は、主要なII族元素または12族元素の要素と主要なVI族元素の要素で構成される化合物半導体である。
【0094】
グラフェンは、他の材料の中でも、本発明の半導体デバイスの電気光学素子(複数可)の能動素子(複数可)に特に適した材料であることが証明されている。
【0095】
多くの材料は、それらの屈折率が電圧および/または電荷の存在、および/または電界に応じて変化するという事実と、少なくとも1つの波長の電磁放射線を吸収し、その吸収の結果、電気光信号を発生するという事実との両方を特徴とする。例えばグラフェンがこれに当てはまる。したがって、グラフェンは光検出器と変調器の能動素子両方に適している。また、二次元遷移金属ジカルコゲナイドなどのジカルコゲナイド、二次元材料のヘテロ構造体、ゲルマニウム、シリコン、ならびに化合物半導体、特に、III-V族半導体および/またはII-VI族半導体にも適用される。例えば、ニオブ酸リチウムは一般に変調器にしか適さない。透過性であるため、吸収特性を満たさないので、光検出器には適さない。
【0096】
1つ以上の電気光学素子の少なくとも1つの能動素子が膜の形態であってもよい。膜は、好ましくは、厚さよりも著しく大きな横方向の範囲によって特徴付けられることは、それ自体が周知である。1つ以上の電気光学素子の少なくとも1つの能動素子は、正方形または矩形の断面をさらに特徴としてもよい。
【0097】
1つ以上の能動素子は、屈折率が変化する、および/または吸収する少なくとも1種の材料の1層以上の層またはコートで構成されてもよく、または少なくとも1種の当該材料の1層以上の層またはコートから形成されてもよい。特に、少なくとも1つの能動素子が、1種の、あるいはまた、異なる材料の複数のコートまたは層を含む膜として形成されるようにしてもよい。
【0098】
グラフェンの膜、場合によっては化学修飾されたグラフェン、あるいは、少なくとも1層のグラフェンと少なくとも1層のジカルコゲナイドとで構成されるジカルコゲナイド-グラフェンヘテロ構造体、または少なくとも1層の窒化ホウ素と少なくとも1層のグラフェンのアレイは、特に適していることが証明されている。
【0099】
能動素子は、例えば、1層以上のシリコンコートを含むこと、またはそれらによって提供されてもよい。この場合、特に、1つ以上の能動素子またはその部分が導波路(部分)を形成するようにすることができる。
【0100】
能動素子(複数可)は、さらにドープされる、またはドープされている部分または領域であってもよく、例えば、pドープおよび/またはnドープされていてもよく、対応する部分または領域で構成されていてもよい。また、pドープ領域とnドープ領域と、好ましくは中間のアンドープ領域が存在する、または設けられていてもよい。これはpin遷移とも呼ばれ、iは本質的、すなわちドープされていないことを意味する。
【0101】
さらなる有利な実施形態は、pドープ領域とnドープ領域とを有し、2つのドープ領域が互いに隣接しているか、またはそれらの間にアンドープ領域が位置し、2つのドープ領域が、任意で、場合によっては中間のアンドープ領域とともに、導波路またはその導波路の一部を共同で形成する能動素子を提供することを特徴としている。
【0102】
また、例えば、ドープされたシリコンなどの2つの能動素子の間に電気光学ポリマーの素子やコートを設けることができる。
【0103】
さらに、複数の電気光学素子用の能動素子を得るために、任意にウェハの横方向の範囲全体にわたって延在する少なくとも1層の膜またはコート(1層、あるいはまた数層を有する)が設けられ、または設けられており、例えば蒸着され、そしてこの大きな膜から、例えばリソグラフィおよび/またはエッチングを含み得る適切な構築プロセスによって、複数のデバイス用に1平面で互いに隣接して延在する複数の小さな膜またはコート状の能動素子が得られる、または得られているようにすることができる。このように、比較的少ない労力で、複数の電気光学素子用の能動素子を多数得ることができる。
【0104】
代替的または追加的に、能動素子または能動素子の少なくとも1つは、転写プロセスによって設けてもよいし、設けてあってもよい。これは特に、それぞれの素子(複数可)は、ウェハ上にモノリシックに製作されたまたはその上に製作されたコートではなく、別々に製作された後に転写された、言い換えれば転写されていたものであることを意味する。例えば、グラフェンの転写プロセスについては、リ等による論文「銅箔上への高品質で均一なグラフェン膜の大面積合成(Large-Area Synthesis of High-Quality and Uniform Graphene Films on Copper Foils」、サイエンス誌第324巻、1312(2009年)およびペ等による、「透過性電極用の30インチグラフェン膜のロールツーロール生産(Roll-to-roll production of 30-inch graphene films for transparent electrodes)」ネイチャーナノテク5,574~578(2010年)に、また、LiNbOについては、論文「CMOS互換電圧で動作する集積化ニオブ酸リチウム電気光学変調器(Integrated lithium niobate electro-optic modulators operating at CMOS-compatible voltages)」ネイチャー誌、第562巻、101104ページ(2018年)から、あるいは特に、GaAsについては、論文「フォトニック部品の異種混載のための転写プリント技術(Transfer print techniques for heterogeneous integration of photonic components)」量子エレクトロニクスの進展、第52巻、2017年3月、1~17ページに記載されている。これらの方法の1つを使用して、本発明の文脈において、1つ以上のグラフェンまたはLiNbOまたはGaAsのコート/膜を得ることも可能である。
【0105】
また、構築も、転写プロセスに従うことができる。
【0106】
さらなる実施形態においては、電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つは、電圧および/または電荷の存在および/または電界に応じて屈折率が変化する、少なくとも1種の材料を含む、または少なくとも1種の材料で構成される能動素子と、電圧および/または電荷の存在および/または電界、に応じて屈折率が変化する少なくとも1種の材料を含む、または少なくとも1種の材料で構成される、能動素子、または電極を含む変調器によって実現され、2つの能動素子または能動素子と電極は、好ましくは互いに間隔をあけて配置され、他方の上に一方が部分的に位置するように互いからオフセットして配置されるようになっている。1つまたは2つの能動素子の少なくとも1種に対応する材料は、グラフェンおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移金属ジカルコゲナイド、および/または二次元材料のヘテロ構造体および/またはゲルマニウムおよび/またはニオブ酸リチウムおよび/または少なくとも1種の電気光学ポリマーおよび/またはシリコン、および/または少なくとも1種の化合物半導体、特に少なくとも1種のIII-V族半導体および/または少なくとも1種のII-VI族半導体でもよい。
【0107】
言い換えれば、変調器には、2つの能動素子ではなく、1つの能動素子と1つの従来型電極で十分である。特に、電極は、屈折率が変化する、少なくとも1種の材料で構成されない、あるいは、そのような材料は含まないが、少なくとも1種の導電性材料を含む。能動素子のうちの1つの代わりに電極を設ける場合、場合によっては複数の層を有する膜、または能動素子との類似性により、単層の金属膜または多層の金属膜の形態にすることができる。
【0108】
変調器の場合にも、能動素子(複数可)は、好ましくは、グラフェン、任意で化学修飾グラフェン、および/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移金属ジカルコゲナイド、および/または二次元材料のヘテロ構造体および/またはゲルマニウムおよび/またはニオブ酸リチウムおよび/または少なくとも1種の電気光学ポリマーおよび/またはシリコン、および/または少なくとも1種の化合物半導体、特に少なくとも1種のIII-V族半導体および/または少なくとも1種のII-VI族半導体を含んでいてもよい。
【0109】
2つの能動素子、または1つの能動素子と電極は、好ましくは、一方が他方の上に部分的に位置するように、互いから距離をおいて、および/または互いからオフセットして配置される。言い換えれば、一方の能動素子の一部分が他方の能動素子や電極の一部分と、必要に応じて接触していなくても、整合している、または重なっている。好ましくは、少なくとも他方の上に延在する領域において、言い換えれば、重なり合う領域において、2つの能動素子または能動素子と電極またはそれら少なくとも一部分同士が、互いに少なくとも実質的に平行に延在している。
【0110】
また、2つの能動素子または1つの能動素子と従来の電極を有する変調器の場合、さらに、それぞれの能動素子または1つの能動素子と電極が膜として形成されていてもよい。
【0111】
電気光学変調器は、特に光信号のコーディングに使用することができる。電気光学変調器は、リング変調器として設計することもできる。
【0112】
代替的にまたは追加的に、電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つは、少なくとも1つの波長、好ましくは少なくとも1つの波長帯の電磁放射線を吸収し、その吸収の結果として電気光信号を生成する少なくとも1種の材料、特にグラフェンおよび/または少なくとも1種のジカルコゲナイド、特に二次元遷移金属ジカルコゲナイド、および/または二次元材料のヘテロ構造体および/またはゲルマニウムおよび/またはシリコンおよび/または少なくとも1つの化合物半導体、特に少なくとも1種のIII-V族半導体および/または少なくとも1種のII-VI族半導体を含むまたはそれらの材料で構成される、1つの、好ましくは正確に1つの能動素子を含む光検出器によって実現することができる。
【0113】
光検出器において、少なくとも1つの電気光学活物質は、光を吸収するのに有用である。
【0114】
特に光検出器は、光から電子の世界に戻る信号の変換に使用することができる。
【0115】
電気光学素子または少なくとも1つの電気光学素子は、変調器の場合および検出器の場合は、共に、さらに、プラズモン結合でそのように設計または、本発明による方法の場合、製作されてもよい。
【0116】
次に、便宜上、プラズモン活物質、好ましくは金および/または銀および/またはアルミニウムおよび/または銅を含む、またはそれらで構成された少なくとも1つのプラズモン構造体が、能動素子または能動素子の少なくとも1つの上に設けられる。プラズモン構造体は、好ましくは、互いに隣接して配置され、プラズモン活物質で構成される、またはプラズモン活物質を含む少なくとも一対のプラズモン素子を含む。プラズモン素子は、それぞれの他のプラズモン素子の方向に先細りになっている部分を有することを特徴としてもよい。例えば、プラズモン素子は、三角形状を特徴としてもよい。
【0117】
変調器の場合には、好ましくは細長いプラズモン素子を設けてもよい。細長いプラズモン素子は、導波路に対して少なくとも実質的に平行に配置されてもよいし、配置されていてもよい。そして、言い換えれば、デュ等による「低損失グラフェン・プラズモニック・スロット導波路における効率的な電気光学的変調(Efficient electro-optic modulation in low-loss graphene-plasmonic slot waveguides)」オプティクス・コミュニケーションズ誌(2019年)doi:https://doi.org/10.1016/j.optcom.2019.124559に記載されているように、光およびプラズモン導波路を並行して能動素子を越えて導波するのである。
【0118】
特にグラフェンを含む光検出器の応答性は、プラズモン増強吸収によって向上させることができる。例えば、マー等による「100Gbit/sのデータ受信、高応答性、小型化を実現したプラズモン強化型グラフェン光検出器(Plasmonically Enhanced Graphene Photodetector Featuring 100 Gbit/s Data Reception, High Responsivity, and Compact Size)」、ACSフォトニクス、2019年6、154~161ページ(2018年)に示すように、導波路上に設けられた能動素子としてグラフェンチャネル上にプラズモン構造体を製作する。プラズモン構造体における共鳴密度の揺らぎは、光モードによって励起される。この電子分布の集団運動はプラズモンと呼ばれ、プラズモン構造体中を伝播する。特徴は、光モードに比べ電界強度が高いことを含む。その結果、グラフェンや一般的な吸収材料への吸収が強くなる。
【0119】
さらなる実施形態は、能動素子または能動素子の少なくとも1つの少なくとも片側において、能動素子または少なくとも1つの能動素子の方向に、好ましくは頂点で終わる、先細りした端部分を有する導波路が設けられていることを特徴とする。テーパ状の端部は、能動素子または少なくとも1つの能動素子まで延在していてもよい。代替的または追加的に、接触要素は、テーパ部の2つの側面の各々に設けられてもよく、この接触要素は能動素子に接続され、反対方向にテーパ状の、導波路のテーパ状の端部の隣に横たわる部分を有している。
【0120】
また、いずれの場合も、それぞれの場合における能動素子または少なくとも1つの能動素子の2つの側面に、能動素子の方向にテーパ状の端部分、好ましくは頂点で終わる導波路を設けるようにしてもよい。そして、両端部分が能動素子または少なくとも1つの能動素子まで延在するように適用することができる。また、それぞれのテーパ部の2つの側面には、いずれの場合も、能動素子または少なくとも1つの能動素子に接続され、導波路のそれぞれのテーパ状の端部の隣に位置すると共に反対方向に先細りになるテーパ部を有する接触要素を設けてもよい。接触要素が2つ設けられ、各接触要素が2つの拡幅部、好ましくは反対側に、各端部に1つずつを有していてもよい。接触要素のそれぞれの拡幅部は、好ましくはそれぞれの導波路端部のテーパ形状に沿う。テーパ状の導波路端とそれに隣接していずれかの側に広がる接触要素部分との間の距離は、能動素子の方向において等しく維持されるようにしてもよい。ただし、少なくとも一定程度は増減する可能性もある。
【0121】
特に、この実施形態では、さらに能動素子が少なくとも1つの電気光学ポリマーを含むか、またはそれらで構成されることが提供されるようにしてもよい(コース等による刊行物「シリコン有機ハイブリッド(SOH)とプラズモン有機ハイブリッド(POH)の集積化(Silicon-Organic Hybrid (SOH) and Plasmonic-Organic Hybrid (POH) Integration)」ジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー第34巻、2号、2016年も参照されたい)。
【0122】
言い換えれば、プラズモン結合は、吸収体の下に導波路がなくても起こり得る、即ち、光モードからプラズモンモードへの遷移が起こり、プラズモンモードが吸収材料と相互作用する。これは、光検出器の文脈で、ディンY、チェンZ、デュX等による刊行物「110GHzを超える帯域幅を持つ超小型集積グラフェンプラズモン光検出器(Ultra-compact integrated graphene plasmonic photodetector with bandwidth above 110 GHz)」(2019年)、ナノフォトニクス、doi:10.1515/nanoph-2019-0167でも説明されている。変調器の文脈では、さらに、ディン等による刊行物「低損失グラフェン・プラズモニック・スロット導波路における効率的な電気光学的変調(Efficient electro-optic modulation in low-loss graphene-plasmonic slot waveguides)」ナノスケール、2017年第9号、15576に言及されている。
【0123】
特に、電気光学素子としての変調器は、代替的または追加的に、それぞれがシリコン膜またはコートによって実現される2つの能動素子をさらに含んでいてもよい。例えば、ポリシリコンを含むまたはポリシリコンで構成される1層のコートまたは膜と、結晶シリコンを含むまたは結晶シリコンで構成される1層のコートまたは膜でもよい。また、両能動素子がポリシリコンを含む、あるいは、ポリシリコンで構成されていてもよい。そして、2つの能動素子のうち、好ましくは、1つはpドープ、もう1つはnドープである。ドーピングの違いにより、静電容量が変化する。そして、2つの能動素子は、好ましくは部分的に重なるように、互いにオフセットして配置される。そして、この重なり合う領域は、好ましくは、導波路または導波路部分を形成する。電圧をかけることで、導波路または導波路部分の領域、すなわち光モードの動作において、電荷キャリア濃度を変化させ、その結果、光信号を符号化することができる。また、対応するシリコンベースの変調器は、M.ウェブスター等による論文「効率的な光送信器用MOSコンデンサ型シリコン変調器およびCMOSドライバ(An efficient MOS-capacitor based silicon modulator and CMOS drivers for optical transmitters)」第11回グループIVフォトニクス(GFP)国際会議、パリ、2014年1~2ページ、doi:10.1109/Group4.2014.6961998にも記載されている。
【0124】
電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つが変調器である場合、または変調器になる場合、さらにダイオードまたはコンデンサを含むようにしてもよい。特に、ヒアキ氏による論文「集積されたIII-V/Si MOSコンデンサの異種混載マッハツェンダー変調器(Heterogeneously integrated III-V/Si MOS capacitor Mach-Zehnder modulator)」ネイチャー・フォトニクス第11巻、482~485ページ(2017年)に記載されているような集積されたIII-V族半導体変調器であってもよい。
【0125】
電気光学素子または少なくとも1つの電気光学素子のためにダイオードを設けていた、または設ける場合、それは、例えば、特にpn接合および2つの接触領域を形成するために、例えばInGaAsPの異なる組成の複数のコートを含んでいてもよい。
【0126】
能動素子(複数可)と、場合によっては1つ以上の電気光学素子の電極は、例えば、ウェハとは反対側を向いた平坦化コートの面、または特に導波路(複数可)上に製作された追加の平坦化コート上に設けることができる。それぞれの要素(複数可)は、片側または反対側の接点または接触要素にそれぞれ接続されてもよい。接点または接触要素は、相互接続要素、特にVIAによって、フロントエンドから1つ以上の電子部品に接続することができる。相互接続要素、特にVIAは、平坦化コート、追加の平坦化コート(あれば)、および半導体基板を通過して電子部品(複数可)まで延在することができる。接続されていることで、電気的に導通接続されていると理解するのが好都合である。
【0127】
なお、特に1つの能動素子のみを有する検出器の場合、特にフロントエンドからの1つ以上の電子部品との接続のために、能動素子は、好ましくは反対側の2つの接点または接触要素と接触するようにできるとともに、2つの能動素子または1つの能動素子および1つの電極を有する変調器の場合、これら、特にフロントエンドからの1つまたは複数の電子部品との接続の場合は、1つの接点または接触要素とそれぞれ接触するように適用する。これは、好ましくは、それらの端部領域または端部が断面において部分的に重なる領域とは反対側を向いた面に面している場合が相当する。
【0128】
また、少なくとも1つの能動素子は、ウェハとは反対側を向いた1つ以上の導波路の面に設けることが可能である。このため、能動素子は、導波路(複数可)に近いという利点がある。そうすれば、能動素子(複数可)と導波路内の光モードとの間でより多くの相互作用を達成することができる。さらに、この場合、別の平坦化コートが不要になるため、より短い部品が得られ、工程数も少なくなる。
【0129】
別の実施形態では、能動素子(複数可)は、ウェハとは反対側を向いた1つ以上の制御電極の面に設けられる。好ましくは、ウェハとは反対側を向いた1つ以上の制御電極の面に設けられ、制御電極または複数の制御電極はウェハとは反対側を向いた1つ以上の導波路の面上に製作される。
【0130】
なお、ウェハとは反対側を向いた要素の面を、その上側と呼ぶこともある。例えば、平坦化コート、追加の平坦化コート、導波路、導波路ベース、蒸着材料、グラフェン膜、制御電極、および/またはウェハとは反対側を向いたフォトニックプラットフォームを、上面と呼ぶこともある。
【0131】
2つの能動素子または1つの能動素子と1つの電極を有する変調器の場合、2つの能動素子間または能動素子と電極の間に表面安定化コートを設けることも可能である。表面安定化コートは、便宜上、誘電体材料で構成されるのが好適である。したがって、誘電体コートとも言うことができる。同時にエッチング保護も形成することができる。このようなコートの材料としては、酸化物や窒化物が特に好適である。特に、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ハフニウムが適していることが証明されている。2つの能動素子の間、または能動素子と電極の間に表面安定化コートが設けられている場合、好ましくは、能動素子、表面安定化コートおよび能動素子または電極を有するサンドイッチ状の構造となり、2つの能動素子または能動素子と電極は、好ましくは、互いに横方向にオフセットしている。
【0132】
また、少なくとも1つの電気光学素子の能動素子(複数可)および電極(あれば)は、1つ以上の導波路で部分的に、および平坦化コート(複数可)または追加の平坦化コート(複数可)または1つ以上の制御電極上で部分的に延在させることも可能である。
【0133】
さらに、1つ以上の能動素子が、導波路内、導波路の少なくとも1つ、または導波路の2つの部分の間に、少なくとも部分的に、場合によっては完全に設けられることも可能である。
【0134】
能動素子または能動素子の少なくとも1つは、導波路によって導かれる電磁放射線のエバネセント場に少なくとも部分的に露出するように、少なくとも1つの導波路に対して便宜上配置される。好ましくは、少なくとも1つの能動素子は、少なくとも1つの導波路から50nm以下の距離、より好ましくは30nm以下の距離、例えば10nmの距離で配置される。
【0135】
導波路では、電磁放射線の一部、特に光が導波路の外側にエバネッセント的に導かれる。導波路のインターフェースは誘電体であり、状況に応じて、強度分布は指数関数的に減衰するマクスウェルに従った境界条件で記述される。電気光学活材料、例えばグラフェンをエバネセント場中の導波路上またはその近傍に持ってくると、光子が材料、特にグラフェンと相互作用することができる。
【0136】
光検出器は、好都合に、少なくとも1種のそのような材料と2つの接点を含む、またはそれらで構成される能動素子を有する。
【0137】
グラフェンには、光電流につながる4つの効果がある。1つはボロメトリック効果で、吸収したエネルギーがグラフェンの抵抗を増加させ、印加される直流電流を減少させるというものである。そして、その直流電流の変化が光信号となる。もうひとつの効果は、光伝導性である。ここで、吸収された光子は電荷キャリア濃度を増加させ、追加された電荷キャリアは、抵抗と電荷キャリア濃度が比例することから、グラフェンの抵抗を減少させる。直流電流を印加すると電流が増え、その変化が光信号となる。また、pn接合と、p領域とn領域の異なるゼーベック係数によるこの接合の温度勾配から熱電電圧が発生する熱電効果もある。温度勾配は、吸収された光信号のエネルギーに起因する。この熱電電圧がそのときの信号となる。4つ目の効果は、pn接合において、励起された電子と正孔のペアが分離されることに起因する。その結果得られる光電流が信号となる。
【0138】
変調器の場合、上記で説明したように、電気制御電極と、この目的のために好適に絶縁された能動素子とを設けることができ、電圧または電荷または電界に応じて屈折率が変化する少なくとも1種の材料、特にグラフェンを含むか、またはそれで構成され、あるいは、電極も当該材料、特にグラフェンで作ることができ、よって、動作時に2つの能動素子はその後エバネセント場で一緒になり電気光学機能を実行する。例えばグラフェンは、制御電圧によって光学的特性を変化させることができる。特に有利なのは、グラフェン-誘電体-グラフェンの配置で、静電容量が生じ、2枚のグラフェン膜が互いに影響を及ぼし合うことである。電圧が2つの能動素子を形成するグラフェン電極で構成される静電容量を充電し、電子はグラフェン内の状態を占有する。その結果、フェルミエネルギー(結晶中の最後の占有状態のエネルギー)がより高いエネルギーにシフトする(あるいは対称性のためにより低いエネルギーにシフトする)のである。フェルミエネルギーが光子のエネルギーの半分になると、吸収プロセスに必要な自由状態がすでに適切なエネルギーで占有されているため、光子はもはや吸収されない。その結果、この状態では、グラフェンの吸収が禁止されるため、透過性となる。電圧を変化させることで、グラフェンは、吸収と透過の間で切り替えられる。連続的に照射されるレーザ光は、その強度が変調されるため、情報伝達に利用することができる。同様に、屈折率の実部も制御電圧と共に変化する。電圧を変化させることで、レーザの位相位置を屈折率の変化を介して変調することができ、よって、位相変調を実現することができるのである。好ましくは、位相変調は、光子エネルギーの半分より上まですべての状態が占有される範囲で操作され、それによってグラフェンが透過性で、屈折率の実部が大きくシフトし、吸収の変化がマイナーな役割を果たすようになる。
【0139】
電気光学素子または電気光学素子の少なくとも1つは、少なくとも1つ、好ましくは2つのゲート電極をさらに含んでいてもよい。特に、光検出器として具現化された電気光学素子の場合、好ましくは、2つのゲート電極を能動素子に割り当てることができる。そして、好ましくは、これらを介して能動素子、例えばグラフェン膜の電荷キャリア濃度を調整し、よって、例えばpn遷移を得ることができるように具現化および配置する。そして、ゲート電極は、能動素子から適当な距離を置いて配置し、好ましくは、例えば誘電体コートなどを介して電気的に絶縁する。また、能動素子上に誘電体コートを設け、この上にゲート電極を配置してもよい。
【0140】
さらに特に有利な実施形態は、本発明による半導体デバイス、特にそのフォトニックプラットフォームが、導波路の少なくとも1つ、好ましくは正確に1つと関連付けられている少なくとも1つの結合デバイスを備えることを特徴とする。そして、(それぞれの)結合デバイスは、便宜上、(それぞれの)結合デバイスが関連付けられたフォトニックプラットフォームの導波路の少なくとも1つに、特に赤外線および/または可視波長帯における電磁放射線を結合するため、および/または(それぞれの)結合デバイスが関連付けられたフォトニックプラットフォームの導波路の少なくとも1つから、特に赤外線および/または可視波長帯における電磁放射線を結合するために役立つ。この目的のため、適切に具現化し、配置することができる。なお、Siフォトニクスでは、1100nmより短い波長はすべてSiに吸収されるため、バンドギャップのために一般に赤外波長帯にしか適さないのは事実である。誘電体の場合は、通常このようなことはなく、可視波長域でも透過性であるため、分光測定に適している。
【0141】
特に好ましくは、結合デバイスまたは結合デバイスの少なくとも1つは、特に赤外線および/または可視波長帯の電磁放射線が、それを用いて光ファイバからフォトニックプラットフォームの導波路の少なくとも1つに結合できるように、および/または特に赤外線および/または可視波長帯の電磁放射線が、それを用いてフォトニックプラットフォームの導波路の少なくとも1つから光ファイバに結合できるように具現化および配置されている。光ファイバは、通常、導波路(複数可)よりも大きい直径を有し、結合デバイス(複数可)は、さらに好ましくは、そのような場合、結合および/または結合解除を可能にするように構成されるであろう。
【0142】
結合デバイスは、それが関連付けられた導波路の一部分、特に端部、例えば端部に向かってテーパ状または幅広になる端部を含むことがある。
【0143】
さらに詳しく説明すると、少なくとも1つの結合デバイスは、少なくとも1つの格子構造を有することができ、この格子構造は、その最初の回折次数が関連付けられた導波路に位置するように特に設計および配置されている。このような結合デバイスは、略して格子結合デバイスまたは格子結合器とも呼ぶことができる。格子結合器の設計・動作に関連して、論文「CMOS対応 高効率ダブルエッチ型アポダイズド導波路格子結合器(CMOSーcompatible high efficiency double-etched apodized waveguide grating coupler)」、オプティクスエクスプレス第21号7868~7874、2013年も参照されたい。
【0144】
少なくとも1つの結合デバイスが格子結合器によって提供される場合、それが反射体を含むこと、または反射体がそれに割り当てられることがさらに好ましい。反射体は、最大限の結合が得られるように配置することができるため、特に好適である。反射体が存在しない場合、バックエンドと平面のインターフェースには屈折率ジャンプが存在するため、通常は自動的に反射体となる。格子結合器を設ける場合、インターフェースとは対照的に状況が正確に定まるため、反射体も特に有利になる。例えば、金属箔や薄い金属コートまたは誘電体コートの積層を反射体として使用することで、ブラッグ反射体を作成することができる。
【0145】
平坦化コートには、好ましくは反射体を配置する。反射体は、金属、例えばアルミニウムで構成されているまたはそれを含むことができ、および/または矩形の形状によって特徴付けられ、および/または格子結合器よりわずかに大きく、および/または格子結合器から適切な距離、好ましくはその下に配置される。
【0146】
代替的または追加的に、結合デバイスの少なくとも1つは、側方結合デバイス(略して側方結合器)として設計することができる。結合デバイスは、便宜上、電磁放射線がその中に横方向に結合され得る、および/または電磁放射線がその中から横方向に結合され得るように具現化され配置されている少なくとも1つの結合素子を有する。横方向とは、特にウェハの横方向範囲に対して、特にフロントエンドとは反対側を向いたウェハの面に対して横方向であることを意味する。
【0147】
また、格子結合器の設計および動作に関連して、論文「シリコン・オン・インシュレータ・リッジ導波路用超低損失逆テーパ結合器(Ultra-low-loss inverted taper coupler for Silicon-on-insulator ridge waveguide)」オプティクス・コミュニケーションズ誌第283号、19版、2010年10月、3678~3682ページを参照している。
【0148】
格子結合デバイスは、結合されるべき電磁放射線線が、特にその格子の上方から(斜めに)入射され得るように、または結合されるべき電磁放射線が、特にその格子から上方に(斜めに)結合されるように設計および配置することも可能である。さらに好ましくは、ウェハのフロントエンド、または、フロントエンドとは反対側を向いた本発明によるデバイスの面への垂直方向に対して0°~30°の範囲の角度、特に10°の角度で結合が行われ得るように具現化および配置することができる。
【0149】
側方結合器に比べ、放射線を上方から、あるいは上方へ(斜めに)入射、出射する格子結合器は、通常、ダイシング前にその機能を確認できる利点がある。一方、側方結合器の場合、素子の、電磁放射線が入射する側または縁部や電磁放射線が出射する側または縁部は、ダイシングするまで露出しないので、その時にしかテストができないこともある。
【0150】
さらなる発展として、少なくとも1つは側方結合デバイス(略して側方結合器)であり、少なくとも1つは格子結合デバイス(略して格子結合器)である、少なくとも2つの結合デバイスを設けてもよい。両タイプの結合器を設ければ、製造時には格子結合器で部品を測定し、すべてが揃った時点で側方結合器を使用することも可能である。好ましくは、少なくとも1つの導波路には、1つのタイプのうちの1つと他のタイプのうちの1つの、2つの結合器が関連付けられている。
【0151】
結合デバイス(複数可)は、好ましくは、それらが関連付けられた少なくとも1つの導波路と一緒に製作される。この製作には、導波路と同様にリソグラフィで定義し、エッチング、特にドライケミカルエッチングで構築することを含んでいてもよい。
【0152】
また、本発明は、少なくとも1つの半導体装置の製造方法であって、本発明による半導体デバイスを提供し、断片化、言い換えればダイシングする方法に関する。断片化/ダイシングにより、フォトニクスを内蔵した少なくとも1つのチップ、通常は複数のチップが得られ、それぞれが本発明に係る半導体装置を表す。この「ベア」チップやフォトニクスを搭載した「ベア」チップを、それぞれ、例えばパッケージに挿入することができる。集積回路を有する従来のチップとその上に構築されたフォトニックプラットフォームの部分を含む本発明による半導体装置は、代わりにチップと呼ぶこともできることに留意されたい。
【0153】
本発明のさらなる目的は、本発明による半導体装置を分割、言い換えればダイシングすることによって得られる半導体デバイスを提供することである。
【0154】
ダイシングすることによって得られる本発明による半導体装置は、横方向の範囲が少なくとも実質的に下層のチップまたは半導体基板の横方向の範囲と一致するフォトニックプラットフォームまたはその一部分を特徴としている。フォトニックプラットフォームやその一部分は、下層の基板と同様に、ダイシングによってその形状や広がりが決まる。
【0155】
半導体装置を囲む筐体が設けられていてもよい。この場合、デバイスの、フロントエンドが位置する側が、筐体の内側に接することが好ましい。
【0156】
本発明の実施形態に対して、従属項および添付の図面を参照したいくつかの実施形態の以下の説明も参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0157】
図1】本発明による半導体デバイスの一実施形態を純粋に模式的に示す上面図である。
図2図1の半導体デバイスを純粋に模式的に示す部分断面図である。
図3図2図4、および図5の光検出器を純粋に模式的に示す上面図である。
図4】本発明による半導体デバイスの第2の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図5】本発明による半導体デバイスの第3の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図6】本発明による半導体デバイスの第4の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図7】本発明による半導体デバイスの第5の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図8】本発明による半導体デバイスの第6の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図9図8の変調器を純粋に模式的に示す上面図である。
図10】本発明による半導体デバイスの第7の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図11】本発明による半導体デバイスの第8の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図12】半導体デバイスの電気光学素子の能動素子の接触可能性を純粋に模式的に表した例を示す。
図13】半導体デバイスの電気光学素子の能動素子の接触可能性を純粋に模式的に表した例を示す。
図14】半導体デバイスの電気光学素子の能動素子の接触可能性を純粋に模式的に表した例を示す。
図15】半導体デバイスの電気光学素子の能動素子の接触可能性を純粋に模式的に表した例を示す。
図16】半導体デバイスの電気光学素子の能動素子の接触可能性を純粋に模式的に表した例を示す。
図17】本発明による半導体デバイスの第9の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図18】本発明による半導体デバイスの第10の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図19】本発明による半導体デバイスの第11の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図20】本発明による半導体デバイスの第12の実施形態を純粋に模式的に示す部分断面図である。
図21】プラズモン結合を用いた光検出器の第1の実施形態を純粋に模式的に示す上面図である。
図22】プラズモン結合を用いた光検出器の第2の実施形態を純粋に模式的に示す上面図である。
図23】プラズモン結合を用いた変調器の一実施形態を純粋に模式的に示す上面図である。
図24】側方結合デバイスの一例を純粋に模式的に示す上面図である。
図25図24の側方結合デバイスを模式的に示す断面図である。
図26】格子結合デバイスの一例を純粋に模式的に示す上面図である。
図27図26に示す格子結合デバイスを模式的に示す断面図である。
図28図1によるデバイスを製造するための方法のステップを示す。
図29】本発明による3つの半導体デバイスを純粋に模式的に示す上面図である。
図30図29の本発明による半導体デバイスを純粋に模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0158】
図中、同じ構成要素には同じ参照符号を付している。
【0159】
図1は、本発明による半導体デバイスの上面図を純粋に模式的に、高度に簡略化して示している。これは、図2による部分断面図で部分的に見ることができるウェハ1を含み、一体構造のシリコン基板2と、図示の例では半導体基板2内で延在するように示す、複数の集積電子部品3を含む。特にトランジスタおよび/または抵抗器および/またはコンデンサであり得る集積電子部品3は、模式図2において、参照符号3が付されたハッチング付きの線によってのみ簡略化して示されている。基板2における当該位置には、十分に知られている方法で、多数の集積電子部品3を見出すことができる。また、これらは、CPUおよび/またはGPUなどのプロセッサの構成要素とすることもでき、同様に公知の方法でそのような構成要素を形成することもできる。
【0160】
ウェハ1は、先行技術から十分に知られている方法で、(ウェハ)ダイシングによって複数のチップを得ることができる部品またはデバイスであり、ドイツ語では「ウェハ・ツェルクライナ」とも呼ばれる。ダイシングまたは断片化は、例えば、ウェハ1の(レーザ)切断またはソーイングまたはスクライビングまたは破壊によって行うことができる。したがって、ウェハは複数の領域で構成され、各領域はダイシング後にチップを形成することになる。これらの領域をチップ領域4と呼ぶ。
【0161】
図1では、これらを純粋に細線で模式的に示している。ウェハ1の各チップ領域4は、一体構造の半導体基板2の一部または部分領域を含み、通常は少なくとも1つ、好ましくは幾つかの集積電子部品3が構成されている。具体的な適用例に依存するウェハ1の設計に応じて、例えば、各チップ領域4に最大10個、あるいは数十個、数百個、数千個の集積電子部品3が設けられる。これらは、隣り合わせに、および/または重ねて配置することができる。
【0162】
ウェハ1は、複数の集積電子部品3が配置されるフロントエンド(略してFEOL)5と、上層のバックエンド(略してBEOL)6を有し、バックエンドの中に、またはバックエンドを介してフロントエンド5の集積電子部品3が異なる金属面によって相互接続される。FEOL5内の集積電子部品3およびBEOL6内の関連する相互接続は、十分に事前にわかっている方法でウェハ1の集積回路を形成している。また、FEOL5をトランジスタフロントエンド、BEOLをメタルバックエンドと呼ぶこともある。金属面は、複数の相互接続要素7を含み、この場合は、垂直相互接続アクセス(Vertical Interconnect Access)の略称であるいわゆるVIAによって実現される。VIA7は、例えば銅、アルミニウム、タングステンなどの金属でできている。
【0163】
描かれた半導体デバイス1は、図2による断面図で明確に分かるように、ウェハ1の上方に位置し、本発明によれば、そのバックエンド6上に製作され、具体的にはその上に直接構築されたフォトニックプラットフォーム8をさらに含む。なお、図1におけるチップ領域4は、上面図においてフォトニックプラットフォーム8の下方に位置するため、細線で示した。
【0164】
ウェハ1は、図示の実施形態では、直径が200mmであることを特徴としている。これは、ウェハ1と、ウェハ1の上方に、その上に製作されたフォトニックプラットフォーム8とを含む半導体デバイス全体(図1参照)の直径でもある。図2による部分断面は、垂直方向では、図1によるデバイス全体をその重畳した構成要素またはコートまたは要素とともに示しているが、水平方向では、デバイスの非常に小さな部分のみ、具体的にはチップ領域4の1つの小さな箇所または部分のみを示しているので、水平方向におけるデバイスの全体範囲と比較して小さい。これは、他の一部の部分についても同じく適用される。この場合、チップ領域4は、平面視において、いずれも一方向の辺長が2mm、他方向の辺長が3mmの矩形状であることを特徴とする。なお、図1では単に簡略化のため、これらは、正方形で示している。
【0165】
図2から分かるように、本発明にしたがって提供されるフォトニックプラットフォーム8は、フロントエンド5とは反対側を向いたウェハ1の面9に製作され、誘電体材料を含む平坦化コート10を含む。この場合、平坦化コート10は二酸化ケイ素(SiO2)を含むが、これは例示的なものであり、他の材料も使用することができると理解されたい。
【0166】
図示の実施形態では、平坦化コート10は、対応するコーティング材料、ここではSiO2を、フロントエンド5とは反対側を向いたウェハ1の面9に蒸着し、その後、ウェハ1とは反対側を向いた面11に蒸着材料を平坦化処理することによって得られるコートである。平坦化コート10は、その、ウェハ1とは反対側を向いた面11の処理による粗さがRMS0.2nmであることを特徴とし、よって、これは一例として理解されるものである。
【0167】
図示の実施例では、平坦化コート10は、フロントエンド5とは反対側を向いたウェハ1の面9の全体にわたって延在している。平坦化コート10の材料は、フロントエンド5とは反対側を向いたウェハ1の面9の全面に蒸着している。これは、少なくとも実質的にウェハ1の直径に相当することを特徴とする。
【0168】
フォトニックプラットフォーム8は、ウェハ1とは反対側を向いた平坦化コート10の面11に製作された複数の導波路12をさらに含む。誘電体、好ましくは図示の実施形態でも使用された二酸化チタンは、導波路材料として特に好適である。代替的にまたは追加的に、窒化アルミニウムおよび/または五酸化タンタルおよび/または窒化シリコンおよび/または酸化アルミニウムおよび/または酸窒化シリコンおよび/またはニオブ酸リチウム、あるいはシリコン、リン化インジウム、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウムガリウム、アルミニウムヒ化ガリウムなどの半導体、ジカルコゲナイドまたはカルコゲナイドガラス、SU8またはOrmoCompなどのポリマーで形成される導波路12を提供することができる。
【0169】
導波路12の典型的な寸法は、150nmと10μmの範囲の厚さであり、ウェハ表面に平行な横方向の広がりは、100nmと10μmの間の幅である。純粋に一例として、厚さ300nm、幅1.1μmを挙げることができる。導波路12の具体的な寸法は、様々であってよい。特に、それらが実行する機能によって幅が異なる。
【0170】
この場合、フォトニックプラットフォーム8は、平坦化コート10と同じ材料、すなわちこの場合はSiO2からも構成される追加の平坦化コート13を含む。追加の平坦化コート13は、その、ウェハ1とは反対側を向いた面14において、平坦化コート10の粗さに相当する粗さによって特徴付けられる。平坦化コート10および追加の平坦化コート13は、この場合でそうであるように、ウェハ1とは反対側を向いた面11および面14においてそれぞれ同じ材料、同じ範囲および同じ粗さによって特徴付けることができるが、これは必要ではなく、したがって制限的であると理解されないことを強調しておきたい。
【0171】
フォトニックプラットフォーム8はまた、特に光検出器および/または変調器であり得る複数の電気光学素子15を含む。図示の実施形態では、フォトニックプラットフォーム8は、複数の光検出器15と複数の変調器15の両方を含む。
【0172】
図2は、電気光学素子の一例、具体的には光検出器15を模式的に示す図である。図3は、図1のデバイスの一部、具体的には図2の光検出器15の上面図を、ここでも単に概略的に示している。
【0173】
図4および図5は、本発明による半導体デバイスのさらなる実施形態の例示的な部分断面を示し、これらは平面視において図1のものに対応していてよく、いずれの場合も、光検出器15および下層の導波路12が示され、それによっていずれの場合も光検出器15および/または導波路12が図2のものに代えて具現化されている。なお、図3の概略図も、T字型断面を有する導波路の上部の狭い部分(図4および図5参照)のみが示されているという条件で、図4および図5からの検出器15に相当する。
【0174】
図6および図7は、本発明による半導体デバイスのさらなる実施形態の部分断面図である。ここで、光検出器15も、図2図4および図5とは構造が異なる電気光学素子として設けられている。
【0175】
図8図10および図11は、本発明による半導体デバイスのさらなる実施形態の部分断面を示し、その各々において、変調器15として具現化された電気光学素子が示されている。図9は、図8の変調器15を示す上面図である。
【0176】
図2および図4図7による光検出器15はそれぞれ、少なくとも1つの波長、好ましくは少なくとも1つの波長帯の電磁放射線を吸収し、吸収の結果として電気光信号を発生する材料でできた能動素子16を含む。図2および図4図7の例では、光検出器15の能動素子16は、それぞれグラフェン膜16で実現されている。また、グラフェンは、電圧および/または電荷および/または電界に応じて屈折率(屈折および/または吸収)を変化させることができる。また、能動素子16が、少なくとも1種の他の材料を含むまたはそれで構成される膜、例えば、少なくとも1層のグラフェンと少なくとも1層のジカルコゲナイドで構成されるジカルコゲナイド-グラフェンヘテロ構造体を含む、またはそれらで構成される膜、または少なくとも1層の窒化ホウ素と少なくとも1層のグラフェンで構成された膜によって実現することも可能である。カルコゲナイドには様々なものがあるが、ここではMoS2やWSe2などの二次元材料としての遷移金属ジカルコゲナイドが特に適している。
【0177】
比較の結果、図2図4に示す配置は、導波路12の形状のみが異なることがわかる。図2が矩形断面を有するストリップ導波路12を示すのに対し、図4は、図5と同様に、狭い矩形断面を有する第1の上部導波路セグメント12aと、著しく広い矩形断面を有する第2の下部導波路セグメント12bを有するT字形断面のリッジ導波路12を示す。図5の例は、ここでは追加の平坦化コート13が設けられていない点でのみ、図4の例と異なる。なお、図2による実施形態における導波路12は、代替的に、例えば、スロットまたはギャップを形成するために互いに間隔を空けて配置された2つの導波路セグメントを有するいわゆるスロット導波路として具現化することができる。
【0178】
導波路12が複数のセグメント12a、12bを含む場合、ここでのように、すべてのセグメントが同じ材料で形成されていてもよい。ただし、必ずしもそうである必要はなく、異なる材料で構成されても、異なる材料を含むセグメントであってもよい。
【0179】
図2図4および図5に示す例では、それぞれの電気光学素子15のグラフェン膜16は、それぞれの場合に図中に示されている導波路12の長尺部分の上方に延在している。このことは、図3に示す上面図からも容易に読み取れる。図2および図4による実施例では、グラフェン膜または1層のグラフェン膜16、16aは、いずれの場合も、ウェハ1とは反対側を向いた追加の平坦化コート13の面14上に製作される、または設けられている。図から分かるように、グラフェン膜16は、ここでは、いずれの場合も、特にレジスト平坦化により、後者上の追加の平坦化コート13の台形部分の領域に延在している。図5に示す実施例では、グラフェン膜16は導波路12上に直接配置されている。
【0180】
図6および図7は、図2図4および図5とは異なり、グラフェン膜16がそれぞれの導波路12の上ではなく内側(図6)または下(図7)に延在している実施例を示している。導波路12の形状については、これも断面がT字型のリッジ導波路12として形成されている。これにより、図6の例の導波路12は、第1の、上側導波路セグメント12a、中間部12bおよび下側導波路セグメント12cで構成されている。導波路セグメント12a、12b、12cはすべて矩形の断面を持ち、中間および下側セグメント12b、12cは顕著に広くなっている。中間の導波路セグメント12bは、グラフェン膜16上に設けられ、その表面安定化コートとしての役割と導波路セグメント12b(導波路スラブとも言うことがある)としての役割とを兼ねている。この場合、表面安定化コートを兼ねるセグメント12bは、酸化アルミニウムで形成されている。また、代替的または追加的に、ジカルコゲナイドおよび/またはジカルコゲナイドヘテロ構造体および/またはSiO2および/または窒化ホウ素を含んでいてもよい、またはこれらで構成されてもよい。2つのさらなるセグメント12a、12cは、例えば、酸化アルミニウム、または二酸化チタンからも構成することもでき、またはそれらを含むこともできる。
【0181】
図7の実施例は、下部導波路セグメント12cがない点で図6の例と異なる。グラフェン膜16は、ここでは、ウェハ5とは反対側を向いた平坦化コート10の面11に直接配置されている。
【0182】
特に光検出器15として具現化された電気光学素子の場合、2つのゲート電極を能動素子16に割り当てることも可能である。そして、これらは、好ましくは、能動素子、この場合は、グラフェン膜16における電荷キャリア濃度を、これらを介して調整することができ、したがって、例えば、pn接合を得ることができるように、具現化および配置する。ゲート電極は、例えば、グラフェン膜16の上方に配置し、誘電体コートを介して電気的に絶縁することができる。
【0183】
図8図10および図11による変調器15は、それぞれ、グラフェンの膜16によって提供される2つの能動素子、具体的には下部16aおよび上部16bで構成されている。変調器15についても、能動素子は、例えば、少なくとも1種の他の材料を含む、またはそれらで構成された膜として、異なる形で具現化することも可能であることも事実である。2層のグラフェン膜16a、16bは、互いに距離を置いて延在し、互いに電気的に接触していない。むしろ、誘電体材料、好ましくは酸化物または窒化物、現在は酸化アルミニウムの中間コート17によって互いに電気的に絶縁されている。誘電体コート17は、表面安定化処理としての役割と、エッチングの保護または停止としての役割も果たす。図2図6を比較するとわかるように、図8の変調器15が第2の能動素子16bを含むことと、誘電体コート17が追加で設けられていること以外は、配置が同じである。
【0184】
2層のグラフェン膜16a、16bは、部分的に互いに重なり合うように、または(触れずに)重なり合うように、互いからオフセットして配置されている。重なり合う領域において、さらに、2層のグラフェン膜16a、16bまたはその対応する部分が、少なくとも実質的に互いに平行に延在するように適用する。なお、2つの能動素子16a、16bを含む変調器15の代わりに、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料を含む電極を能動素子の1つに代えて設けてもよい。
【0185】
図8に示す実施例では、図2および図4の検出器の単一グラフェン膜16と同様の、下側のグラフェン膜16aが、追加の平坦化コート13の面14において、ここでも導波路12の上の台形部の領域に設けられている。第2の上側のグラフェン膜は、ウェハ5とは反対側を向いた誘電体コート17の面18に延在している。
【0186】
図2図4および図5からの種々の実施例に類似して、図8図10および図11の実施例はまた、導波路12が異なる形状によって特徴付けられること、およびここでは図10でも図11でも第2の追加の平坦化コート13が存在しないことが、本質的に異なっている。図8の実施例がストリップ導波路12を含むのに対し、図10および図11による実施例は、それぞれT字型の断面または外形を有するリッジ導波路12を含む。図10の導波路は、断面で見ると4つの導波路セグメント12a、12b、12c、12dを含み、図11の導波路は、3つのセグメント12a、12b、12cを含む。すべてのセグメント12aから12dは、矩形の断面を有するが、図から分かるように、図4および図5に類似した上側セグメント12aは、下層のセグメント12b、12c、そして、図11の場合は、12dよりも著しく幅が小さい。2つまたは3つの下側セグメント12a、12b、12cは、図示の実施例では、それぞれ同じ幅であることを特徴とする。図10の導波路12のセグメント12dは、導波路ベースとみなされ、そう呼ばれることもある。
【0187】
図11の実施例では、下側のグラフェン膜16aは、ここでの単一平坦化コート10とその上に延在するリッジ導波路12のセグメント12cとの間に延在し、上側のグラフェン膜16bはセグメント12bおよび12cの間で延在している。このため、上側のグラフェン膜16bは、導波路12内で延在している。下側のグラフェン膜16aは、ウェハ5とは反対側を向いた平坦化コートの面11上に製作し、または設けられ、上側のグラフェン膜16bは、セグメント12c上に製作した。
【0188】
フォトニックプラットフォーム8の全ての検出器15および変調器15の能動素子16、16a、16bの各々は、それぞれの導波路12によって導かれる電磁放射線のエバネセント場に少なくとも部分的に露出するように、図において識別可能なそれぞれの導波路12に相対配置されてそれらに関連付けされる。好ましくは、それぞれの能動素子16、16a、16bの少なくとも一部は、それぞれの導波路12から50nm以下、好ましくは30nm以下の距離で延在している。例えば図2から分かるように、導波路12とグラフェン膜16との間の追加の平坦化コート13は、残りの領域におけるその厚みに対して、相応に薄い、または「薄くされて」いる。
【0189】
各々の電気光学素子、具体的には図示の実施形態における各光検出器15および各変調器15は、両方とも、それぞれのウェハ1のフロントエンド5の集積電子部品3の少なくとも1つにさらに電気的に導通接続されている。図2図4ならびに図8図10および図11による概略断面図に見られるように、接続は、ウェハ1のバックエンド6のVIA7ならびに平坦化コート10および場合によってはコートまたは要素を介して延在するさらなるVIA7を介して実現される。
【0190】
具体的には、検出器15において、それぞれのグラフェン膜16は、反対側の端部領域において、平坦化コート10、場合によってはコートまたは要素を介してウェハ1のバックエンド6まで延在するVIA7の上端部に、接点または接触要素19を介して電気的に導通接続されている。図3からの上面図では、前者の下にある接触要素19に接続されたVIA7を細線で示す。
【0191】
変調器15において、2層のグラフェン膜16a、16bの各々は、一端部領域で接触要素19に接続され、その上方でVIA7に接続されている。
【0192】
電気光学素子15の、能動素子、現在では、グラフェン膜16、16a、16bと接触要素19との接触は、原理的に様々な方法で設計することが可能である。図12図16は、一例として5種類の可能性を示している。
【0193】
図12に示す選択肢によれば、グラフェン膜16、16a、16bの端部領域は、接触要素19の下側の一部分と接触している。ここで、接触要素19は、便宜上、グラフェンに最適化された金属、例えば、ニッケルおよび/またはチタンおよび/またはアルミニウムおよび/または銅および/またはクロムおよび/またはパラジウムおよび/またはプラチナおよび/または金および/または銀から形成される。
【0194】
図13に示す実施例は、接触要素19が1層のみならず2層の金属層19a、19bを含む点のみが図10による配置と異なり、それによって、上層19bがさらなる接続のために最適化された金属を含むことができるので、さらなる接続に対するより良い性能を達成することができる。グラフェン膜16、16a、16bに接する下層19aは、便宜上、再びグラフェンに最適化された金属で構成される。好ましくは、層19aがニッケルで形成され、層19bがアルミニウムで形成され、または層19aがチタンで形成され、層19bがアルミニウムで形成される。ニッケルおよび/またはチタンおよび/またはアルミニウムおよび/または銅および/またはクロムおよび/またはパラジウムおよび/またはプラチナおよび/または金および/または銀の他の組み合わせも可能であり、グラフェンを含むまたはそれらで構成された能動素子および他の電気光学活材料を含むまたはそれらで構成された能動素子の両方が可能である。
【0195】
図14に示す例では、接触要素19は、接合剤となる第3の下側金属層19cも含む。この層19cは、例えば、チタンまたはクロムまたは酸化アルミニウムを含むものであってもよい。層19aは、例えば、ニッケルおよび/またはチタンおよび/またはアルミニウムおよび/または銅および/またはクロムおよび/またはパラジウムおよび/またはプラチナおよび/または金および/または銀で構成されている。また、層19bは、これらの金属のうちの1つ、またはそれらの組み合わせで構成されていてもよい。
【0196】
図15および図16による実施形態では、能動素子、この場合はグラフェン膜16、16a、16bの端部領域は、グラフェンに対して最適化された第1の下側金属層19aと接触要素19の、これもグラフェンに対して最適化された第2の上側金属層19dとの間に延在する。この目的のため、能動素子16の端部領域は、S字状の断面を有することを特徴とする。2層の層19aおよび19dは、好ましくは、パラジウムまたはニッケルまたは金またはプラチナ、あるいはニッケルおよび/またはチタンおよび/またはアルミニウムおよび/または銅および/またはクロムおよび/またはパラジウムおよび/またはプラチナおよび/または金および/または銀の組み合わせで構成されている。
【0197】
図16の実施例は、図14と同様に、接触要素19が、さらなる接続に対して最適化された第3の金属層19bを含み、例えば、図13の層19bのように、アルミニウムを含む場合がある点でのみ、図15の例と異なる。
【0198】
全ての接触例について、グラフェン膜16は、電流が接触要素19またはその層19a~19dからグラフェンに垂直に移行して通過するように、接触要素19またはその層に覆われてもよく(トップ接点)、あるいは、グラフェン膜16は、電流がグラフェン膜16に横方向に通過するように接触要素19またはその層19a~19dの端部で終わることもできる(側方接点)。例えば、図13による配置は、トップ接点として具現化することも可能である。
【0199】
表面安定化コート25は、各能動素子の上、すなわち好ましくはグラフェン膜16の各々の上に設けられることが好ましい。このことは、それぞれグラフェン膜16、16a、16bの断面を拡大して示した図12図16でのみわかる。この場合、表面安定化コート25は、酸化アルミニウムで形成されている。また、代替的または追加的に、当該表面安定化コート25は、ジカルコゲナイドおよび/またはジカルコゲナイドヘテロ構造体および/またはSiO2および/または窒化ホウ素を含んでいてもよい、またはこれらで構成されてもよい。表面安定化コート25は、能動素子、この場合はグラフェン膜に対して表面安定化すると同時に、エッチングストップ層として機能するので、VIA7に接続するための接触要素19の選択的なエッチングが可能である。
【0200】
なお、変調器15の場合、2つの能動素子16a、16bの間に設けられた誘電体コート17(図8参照)は、既に下側の素子16bを表面安定化する役割を果たすことができる。この場合、表面安定化コート25は、同様にそれに割り当てなくてもよい。
【0201】
さらに、図12から図16による実施例において、能動素子16、16a、16bがグラフェン膜によって実現されているとしても、示された実施形態は決してこの材料に限定されないことに留意されたい。また、1種以上の他の材料を含む、または1種以上の他の材料で構成される能動素子16についても、接触は適宜設計することができる。
【0202】
グラフェンを用いない能動素子を有する光検出器15または変調器15の実施形態を図17図20に示す。
【0203】
この点、図17の実施形態は、導波路12も形成する多結晶シリコンのコートによって形成された能動素子16を含む。図から分かるように、シリコンコート16は、断面がT字型のリッジ導波路の形状を有している。この場合、能動素子16および導波路12を形成するシリコンコートは、2つのドープ領域、すなわちpドープ領域16pおよびnドープ領域16nを有している。なお、代替的に、pin遷移も存在する可能性がある、すなわちpドープ領域とnドープ領域の間に非ドープ領域が存在する可能性もある。シリコンコート6は、図2および図4図7の実施例の能動素子16と同様に、2つの接触要素19に接続されている。印加電圧の極性によって、バリアコート中の電荷キャリア濃度が変化し、その結果、導波路12の吸収率や屈折率も変化する。また、ここでは変調器を得るために導波路12をダイオードとして設計しているといえる。
【0204】
図18は、SISCAP(M.ウェブスター等による刊行物「効率的な光送信器用MOSコンデンサ型シリコン変調器およびCMOSドライバ(An efficient MOS-capacitor based silicon modulator and CMOS drivers for optical transmitters)」第11回グループIVフォトニクス(GFP)国際会議、パリ、2014年1~2ページ、doi:10.1109/Group4.2014.6961998も参照のこと)としても知られるシリコン変調器の別の実施例を示す。ここでは、2つの能動素子16a、16bが設けられており、それぞれ、好ましくは結晶シリコンまたはポリシリコンまたはアモルファスシリコンのシリコンコートによって形成されている。ここで、能動素子16aはpドープであり、能動素子16bはnドープである。能動素子16a、16bはさらに、重なり合う領域で互いの上に位置するように、互いにオフセットして配置されており、これは、図8図10図11からの実施例の能動素子16と類似している。ここで重なり合う領域が導波路12を形成する。この領域で電荷キャリア濃度、ひいては、導波路12の光学的特性を調整することができる。
【0205】
図19は、シリコン変調器15の別の実施例を示し、この変調器も、それぞれp-およびn-ドープされたシリコンコートによって形成された2つの能動素子16a、16bを含む。これらは互いに平面的に隣接しており、それらの間に電気光学ポリマー26の素子が設けられている。2つの能動素子16a、16bと電気光学ポリマーの素子29は、素子26によって形成されたギャップを有するリッジ導波路12を形成している。言い換えれば、ここではギャップの側壁が静電容量の電極として機能する。ギャップ内の電界がポリマーの光学的特性に影響を与え、光信号の変調を可能にする。
【0206】
図20は、化合物半導体で構成されたダイオード27を用いた変調器の一実施例である。ダイオード27は、pn接合と2つの接触領域を形成するために、例えばInGaAsPのような異なる組成のコート27a~27dで構成されている。接触領域は、電極28によって接触要素19、ひいては集積電子部品4に接続されている。
【0207】
電気光学素子または少なくとも1つの電気光学素子は、変調器15の場合および検出器15の場合は、共に、さらに、プラズモン結合を用いてそのように設計または、製作されてもよい。
【0208】
図21図23に対応する実施例を(いずれの場合も純粋に概略図で)示すことができる。
【0209】
この点、図21は、プラズモン活物質で構成された、またはプラズモン活物質を含むプラズモン構造29を、具体的には能動素子16上に設けた光検出器15の例である。実施例では、プラズモン構造体29は、互いに隣接して配置され、プラズモン活物質で構成される、またはプラズモン活物質を含む三対のプラズモン素子30を含む。現在、プラズモン素子は金で構成されている。他の好適な材料の例としては、銀および/またはアルミニウムおよび/または銅が挙げられる。プラズモン素子30は、導波路12上に準アンテナを形成して吸収率を高める(マー等による「100Gbit/sのデータ受信、高応答性、小型化を実現したプラズモン強化型グラフェン光検出器(Plasmonically Enhanced Graphene Photodetector Featuring 100 Gbit/s Data Reception, High Responsivity, and Compact Size)」、ACSフォトニクス、2019年、第6号 154~161ページ(2018年)も参照されたい)。このようなプラズモン構造体は、例えば、図2図4、または図5による配置の能動素子16上にあるか、または設けられるようになってもよい。
【0210】
図22は、能動素子16の下または上に導波路12またはそのような導波路の部分が設けられていないが、好ましくは能動素子16と面内およびその横方向に導波路12が設けられ、その導波路12は能動素子16の方向にV字形にテーパ状になる部分31を有する光検出器15の実施例である。この部分31は、図22において、能動素子16、例えばグラフェン膜の左側に延在する点までテーパ状になっている。図から分かるように、ここでの接触要素19は、反対方向、すなわち能動素子16とは反対側の方向にテーパ状になっている部分19eを含む。いわば、接触要素19が導波路12のテーパ状の端部31に部分的に追従することで、プラズモン結合が可能になる。
【0211】
図23は、プラズモン結合を用いたアナログ変調器15を示す図である。図から分かるように、能動素子16の方向にV字状にテーパ状になった導波路部分31が、能動素子16、例えばグラフェン膜の対向する2面に設けられ、反対方向にテーパ状になった接触要素19の部分19eが、関連する導波路部分31および19eの両方に対して設けられている。このため、光モードからプラズモニックモード、そして光モードへ戻るような結合が可能である。特に、この実施形態では、さらに能動素子が少なくとも1つの電気光学ポリマーを含むか、またはそれで構成されるようにしてもよい(コースらによる出版物「シリコン有機ハイブリッド(SOH)とプラズモン有機ハイブリッド(POH)の集積化(Silicon-Organic Hybrid (SOH) and Plasmonic-Organic Hybrid (POH) Integration)」、ジャーナルオブ・ライトウェイブ・テクノロジー、34巻、2号、2016年も参照されたい)。
【0212】
本発明による半導体デバイスのウェハ1上に製作されたフォトニックプラットフォーム8は、一般に、特に光検出器および/または変調器によって実現される非常に多数の電気光学素子15を含む。これは、図示の実施形態においても同様である。特に、ウェハ1のチップ領域4の上方に延在するフォトニックプラットフォーム8の各部分は、既に複数の電気光学素子15と複数の導波路12とを含んでいる。例えば、チップ領域4の上方に延在するフォトニックプラットフォーム8の各部分に、数十、数百、あるいは数千の電気光学素子15および/または導波路12を設けてもよい。いずれの場合も、具体的な用途に応じた数を選択することができる。
【0213】
本発明による半導体デバイスの図示の実施形態において、フォトニックプラットフォーム8のすべての電気光学素子15および導波路12は、構造的に同一である。この点において、この一致により、特に簡単で迅速な製作が可能になる。しかしながら、本発明による半導体デバイスが、図2図4図8図10図11、および/または図17図23に示した実施例の異なるもの、例えば図2による下層の導波路12を有する検出器15と図8による変調器15および導波路12との両方を含むことももちろん可能であることを強調しておく。また、図2図4図8図10図11、および/または図17図23による実施例の異なるものが3つ以上あってもよく、例えば、それらのすべてがそれぞれ1回以上あってもよい。
【0214】
フォトニックプラットフォーム8において、追加の平坦化コート13を有する配置(例えば図2図4および図8参照)だけでなく、このようなコートのない配置(例えば図5図10および図11参照)も実現できるようにするために、追加の平坦化コート13の好ましくは二次元の製作の後、追加の平坦化コートなしの配置が望まれる場合にはいつでも、例えばリソグラフィおよびその後のエッチングによってこのコートが再び部分的に除去されるようにしてもよい。また、いくつかの場所のみで所望され、どこでもよいというわけではない他のコートについては、完全に類似した手順を使用することができる、または使用してきた。
【0215】
各電気光学素子の能動素子16、16a、16bは、図12から図16に示す方法のいずれかで、1つまたは検出器の場合には2つの接触要素19に電気的に導通接続されてもよい。本発明による半導体デバイスのすべての能動素子16、16a、16bが、同じように接触要素19に接触されるようにすることが可能である。代替的に、デバイスの異なる能動素子16を異なる方法で接触させることも、もちろん可能である。
【0216】
図3および図9において、能動素子16、16a、16b、導波路12および接触要素19に加えて、フォトニックプラットフォーム8の結合デバイス32が概略的に示されており、導波路12への光の結合または導波路12からの光の結合を行っている。結合デバイス32の1つは、ここでは、それぞれの導波路12の対向する両端部の各々配置されている。この場合、結合デバイス32は、それぞれ側方結合デバイスまたは格子結合デバイスとして設計されている。図24から図27は、その実施例を純粋に模式的に示したものである。図24および図25は、側方結合デバイス32を平面図および断面図で示し、図26および図27は、格子結合デバイス32を平面図および断面図で示している。
【0217】
結合デバイス32が、または2つの結合デバイス32が、いくつかの、場合によってはフォトニックプラットフォーム8の導波路12の各々にも関連付けられてもよい。特に、光が結合される場合、2つの結合デバイス32が導波路12に関連付けられている、または関連付けられる。しかし、場合によっては初期結合のみを所望することも可能である。その場合、結合デバイス32は1つで十分である。
【0218】
図24および図25に示す側方結合デバイス32の実施例は、好ましくは樹脂または樹脂含有材料、特にSU8、または/および窒化ケイ素、または/および酸窒化ケイ素または誘電体を含む側方結合素子33で構成され、その屈折率は導波路12の屈折率(特にn=2.4)と例えば酸化アルミニウム(n=1.68)などのようなモードフィールド変換器として機能する素子33の屈折率(SU8 n=1.56)の間にある。図から分かるように後者は幅bだけでなく、対応する方向で導波路12の延長を超える高さhによって特徴付けられ、この場合、いずれの場合もその倍数に相当する。側方結合デバイス32は、側方結合要素内に延在する導波路12の端部34をさらに含み、これは、図24から容易に分かるように、その端部に向かって円錐形にテーパ状になっている。なお、図24では、テーパ部34の外郭は、平面視で素子33の一部分によって見えなくなっているため、細線で示している。この素子33により、モードフィールドは、光ファイバの直径(例えば、直径5μm~15μm)から導波路12のサイズ(例えば、高さ300nm、幅1.1μm)まで一致させる。導波路12のテーパ先端部34は、モードフィールドの領域における実効屈折率の断熱的調整を引き起こすので、光モードが結合構造から導波路12にますます転送されるようになる。
【0219】
図26の上面図から分かるように、格子結合デバイス32は、端部に向かって円錐状に広がる導波路12の端部35によって形成され、図27の断面図にも分かり易く示されているように、ウェハ5とは反対側を向いた面に格子構造36を有している。この拡幅により、導波路12の寸法(例えば高さ300nm、幅1.1μm)が光ファイバ内のモードフィールドの直径(例えば5μm~15μm)に適合するので、結合効率を高めることができる。図26による上面図では、格子構造36は、数本の平行線によって簡略化されているに過ぎない。入射光は、屈折率段差の格子状の配置により回折される。格子の寸法は、所与の入射角において、第1の回折次数が導波路12に位置し、したがって光が導波路12に結合されるように都合よく計算される。
【0220】
結合デバイス32は、それぞれの導波路12と一平面上にあり、すなわち、それらは、ウェハ5とは反対側を向いた平坦化コート10の面11に配置されている。
【0221】
部分図を含む図21図23において部分的にのみ示されている導波路12は、その端部に、結合デバイス32を設けることもできるが、図では見えない。
【0222】
電気光学素子15に加えて、フォトニックプラットフォーム8は、1つ以上の光学素子を含んでいてもよい。これらは、例えば、マッハツェンダー干渉計などの1つ以上の干渉計および/またはMMIおよび/または方向性結合器および/またはリング共振器および/または偏光変換器および/またはスプリッタであってもよい。光学素子は、通常、導波路12を複数の部分に分割し、それらを適宜配置することで形成される。特に、それらは、導波路12や長手の導波路部分の表面安定構造を構成する。一部、特に導波路12の長手方向の一部、すなわち、例えば図2図4図11に示す導波路12の長尺部分は、いずれの場合も、このような光学素子の構成要素、具体的には電気光学素子15の前または後ろに、図面平面に対して垂直に方向付けられた方向にある部分でもよい。
【0223】
また、フォトニックプラットフォーム8が、1つ以上の熱光学素子を含むことも可能である。例えば、そのような装置の1つとして、発熱体と導波路12の長尺部分を含み、発熱体は、導波路断面を加熱できるように導波路断面に相対配置されている。発熱体により導波路12を加熱することで、導波路12の長尺部分における屈折率を変化させることができる。この効果は、例えば位相整合に利用することができる。また、熱光学素子は、フォトニックプラットフォームの干渉計に関連付けられる、または干渉計の一部を構成することができる。例えば、図2図4図11に示される導波路12の長尺部分は、それぞれ熱光学素子の一部とすることができ、やはり図面平面に対して垂直に方向付けられた方向で電気光学素子15の前または後ろにある部分とすることができる。
【0224】
フォトニックプラットフォーム8は、電気光学素子15の上方に延在し、好ましくはフォトニックプラットフォーム8および半導体デバイスの上部仕上げを形成する表面安定化コート37をさらに含む(図1参照)。表面安定化コート37は同時に金属被覆材も構成している。なお、表面安定化コート37は、図3および図9による図には示されておらず、下層のデバイス15のみが示されている。
【0225】
図1に示す半導体デバイスを得るために、第1のステップS1(図28参照)において、ウェハ1には、集積電子部品3を含む集積回路と、VIA7を含むメタライゼーションとが設けられる。ウェハ1は、従来公知の製造プロセスにより得られた従来型のウェハ1であれば、どのようなものでもよい。
【0226】
そして、ウェハ1のBEOL6上にフォトニックプラットフォーム8を製作する。
【0227】
具体的には、第2ステップS2において、ウェハ1のバックエンド6上に平坦化コート10を製作する。この目的のため、コーティング材料、この場合は二酸化ケイ素(SiO)が塗布されるが、これは、例えば、低圧化学蒸着法(LPCVD)やプラズマ強化化学蒸着法(PECVD)などの化学蒸着法、物理蒸着法、あるいはスピンオングラスを用いたスピンコーティングによって行うことが可能である。この場合、PECVDを使用している。コーティング材料が蒸着された後、ウェハ5とは反対側を向いたコーティングの面には、平坦化処理(ステップS3)、この場合レジスト平坦化処理が施され、これによりウェハ5とは反対側を向いた面11は、粗さがRMS0.2nmとなる。
【0228】
レジスト平坦化には、単回または繰り返しのスピンオングラス蒸着とその後のエッチング、この場合は反応性イオンエッチング(RIE)が含まれる。スピンオングラスコートにより、高さの違いを部分的に補うことができる。すなわち、トポロジーの谷間は、隣接する高台よりもスピンオングラスコーティング後のコートの厚さが厚くなる。スピンオングラスコート全体を、例えば、RIEでスピンオングラスコーティング後にエッチングすると、スピンオングラスコートの平坦化効果により、高低差が小さくなっている。これを繰り返すことで、所望の粗さが得られるまで、高低差をさらに小さくすることができる。
【0229】
なお、対応する低い粗さのウェハ5とは反対側を向いた平坦化コート10の面11は、代替的に、例えば化学機械研磨(CMP)を介して得ることができる。
【0230】
次のステップS4では、導波路の製作を行う。この目的のため、導波路材料、この場合、二酸化チタン(TiO2)を、特に、得られた平坦化コート10の面11全体にわたって蒸着させる。平坦化コートと同様に、PVDやCVD、特にPECVDやLPCVD、またはスピンコーティングによって材料を蒸着させることができる。また、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層蒸着法)や転写印刷プロセスを行うことも可能である。平坦化コート10と同様に、LPCVDが使用される。個々の導波路12を得るために、特に反応イオンエッチング(RIE)によるリソグラフィと構築が行われる。
【0231】
ストリップ導波路12(例えば、図3および図8参照)を得るためには、ストリップ導波路12を残す必要のない箇所では導波路材料を完全に除去する、言い換えれば、下層のコート10までエッチングしてしまう。
【0232】
それらの導波路端部34、35が属する(図3図9および図24から図27を参照)結合デバイス32は、本実施例では、リッジ導波路またはストリップ導波路12と共に製作され、リッジ導波路12の場合、結合点の領域における導波路12の横方向の広がりは、別のエッチング工程において乾式化学的に除去することが可能である。重畳したコートで構成される導波路12は、コート構造の完成後、最上部のコート12aで構築することができ、リッジ導波路12の場合、結合点の領域における導波路の横方向の広がりを、別のエッチング工程で乾式化学的に除去することが可能である。いずれの場合も、リッジ導波路12とストリップ導波路12の間にモードコンバータを定義することができ、リッジ導波路12の部分は、リソグラフィとRIEを用いてストリップ導波路12として形成することができる。
【0233】
格子構造36を有する格子結合器32は、リソグラフィ的に画定し、乾式化学的に構築できる。
【0234】
側方結合要素(モード変換器)33の場合は、誘電体および/または半導体および/または樹脂および/またはポリマーを1層以上の層に蒸着させ、リソグラフィまたは/およびRIEによって構築される。
【0235】
次のステップS5では、導波路12および平坦化コート10の面11上に、追加の平坦化コート13を製作する。この場合、これは、PECVDを用いた蒸着とレジスト平坦化により、平坦化コート10と完全に類似した方法で得る。レジスト平坦化の結果、導波路12の上方にある追加の平坦化コート13の断面は台形となる(図2参照)。
【0236】
また、追加の平坦化コート13に関して、LPCVDおよびCMPの代わりに、上述のプロセスの他のプロセスを使用することができ、平坦化コート10に関して上述したように、CMPなどの別の平坦化処理、および/または追加の平坦化を可能とするように適用する。CMPを使用すると、一般に平坦な表面が得られ、すなわち、その後、図2(および例えば図4および図9も)に示されるような導波路12の上の台形部分が存在しない。
【0237】
平坦化コート10および追加の平坦化コート13は、好ましくは平坦化処理が施される表面上に設けられ、例えばジカルコゲナイド層またはジカルコゲナイドヘテロ構造体、あるいはまた窒化ホウ素層であり得る、1層以上のカバー層を含むことができる。これらの材料は、好ましくは、さらなる化学機械研磨や、さらなるレジスト平坦化を必要とせずに蒸着される、または転写されるが、これを再び繰り返すことは排除されない。
【0238】
なお、完全性の目的で、本発明による半導体デバイスが、追加の平坦化コート13のない領域、例えば、図5図10または図11に示す構造に相当する構造の領域も有している場合、追加の平坦化コート13(およびその上に位置するあらゆるコート)は、その後、特にリソグラフィおよびエッチングによって、再び部分的に除去される。
【0239】
ステップS6では、平坦化コート10および追加の平坦化コート13を介して、VIA7を製作する。原理的には、先行技術から知られているどのような方法も可能である。特に、これらが延在する領域は、まず好ましくはリソグラフィで領域を画定し、RIEで乾式化学的エッチングを行う。その後、メタライゼーションを行い、例えばCMP(ダマシンプロセス)やリソグラフィ、RIEなどの手段で金属化した表面を構築する。VIA7は、追加の平坦化コート13の完了後に、両方の平坦化コート10、13を介して製作すること、また、第1のコート10の完了後に、VIA7の部分が第1の平坦化コート10を介して製作し、第2の追加の平坦化コート13の完了後に、VIA7の部分を第2のコート13を介して製作することの両方が可能である。
【0240】
その後、電気光学素子15を製作する。
【0241】
このため、ステップS7において、グラフェン膜16によって実現される検出器のそれぞれの能動素子を、ウェハ5とは反対側を向いた追加の平坦化コート13の面14に、例えば面14に蒸着させて設け、次にステップS8において接触要素19(単層または多層)を得る。
【0242】
グラフェン膜16の蒸着は、例えば、上記でより詳細に説明したように、転写プロセスを経て行うことができる。そして、特に、別の基板または別の金属箔または別のゲルマニウムウェハ上に製作されたグラフェン膜を、いずれの場合も、追加の平坦化コート13に転写する。また、追加の平坦化コート13の上に直接グラフェン膜を製作することも可能である。これには、例えば、材料の蒸着を含んでいてもよい。
【0243】
転写プロセスを用いる場合、表面安定化コート25を、ウェハ5とは反対側を向いたそれぞれのグラフェン膜16の面に既に設けておくことが可能であり、例えばこの層をその上に蒸着させておいて、その後それとともに転写されることが可能である。代替的に、表面安定化コート25は、グラフェン膜(複数可)16を転写または製作した後に蒸着させることも可能である。
【0244】
また、最初に、全面グラフェン膜および/または全面表面安定化コートを追加の平坦化コート13上に、追加の平坦化コート13の表面全体にわたって延在するように製作することも可能である。この場合、次に、複数の電気光学素子16の能動素子としての個々のグラフェン膜16を得るために、特にリソグラフィおよびRIEによって、さらなる構築が実施される。
【0245】
その後、接触要素19またはその層19a~19dは、好ましくは、表面全体に金属の1層(図12)または複数層(図13図16)を蒸着させ、リソグラフィおよびRIEによって構築することによって製作される。
【0246】
最初にグラフェン膜16、次に接触要素19の製造順序で説明した方法で、図12図14に模式的に示すように接触を実現することができる。
【0247】
図15および図16に示す接触変形例では、接触要素19の下側金属層19cまたは19aのみが最初に製作され、次いでグラフェン膜16が製作され、さらに追加の層19b、19d、または2層の追加の層19a、19bまたは19d、19bが製作される。また、適切な金属を全面的に蒸着させ、リソグラフィやRIEによって構築することも可能である。
【0248】
最後から2番目のステップS9では、好ましくはAl2O3およびSiO2の上側表面安定化コート37が蒸着される。この表面安定化では、特に接触要素への開口部が、リソグラフィおよびRIEによって好適に製作される(ステップS10)。好ましくは、フォトニクスおよび/またはエレクトロニクスを外部と接続する役割を果たす接触要素への開口部が製作される。
【0249】
以上の手順により、図2に示すようなストリップ導波路12と電気光学素子15とを含む半導体デバイスを得ることができる。
【0250】
図4に示すように構成された領域、すなわちリッジ導波路12を含む領域を排他的に、または追加的に有する半導体デバイスを得ようとする場合は、ステップS4のみを、セグメント12aの横方向に導波路材料を残すようにして、セグメント12aを横方向により浅くエッチングし、ストリップ導波路が有していないセグメント12b、12cが得られるように変更する必要がある。
【0251】
図5による構造を得るためには、リッジ導波路12を製作する前に、追加の平坦化コート13のみを再び部分的に除去する必要がある。どの時点でも追加の平坦化コート13を有さない半導体デバイスを得ようとする場合、もちろんその製作を完全に省いてもよい。
【0252】
図6に示す実施例を得るために、まず、上述した方法、例えばPECVDを用いて、ウェハとは反対側を向いた平坦化コート10の面に下部導波路セグメント12cを製作する。次に、能動素子、この場合はグラフェン膜16と接触要素19を製作するが、その順序は、この場合も、図12から図16に示した接触方式のいずれを選択するかによって決まる。次に、グラフェン膜16上に表面安定化コート25を製作し(図12図16にのみ示す)、さらに2つのセグメント12b、12aおよびコート37を製作する。
【0253】
図7に示す配置とするために、導波路セグメント12cを製作するステップのみを省略し、ウェハ5とは反対側を向いた平坦化コート10の面11にグラフェン膜16を設ける、実質的に類似の手順に従うことができる。
【0254】
また、電気光学素子としての1つ以上の変調器15を含む本発明による半導体デバイスを製作する場合も、手順は、図2に関連して上で説明した手順とは一部異なるものである。
【0255】
図8による実施例では、例えば、平坦化コート10と追加の平坦化コート13による、この13とVIA7の製作までは、原則的に同じ手順、すなわちステップS1~S6が同じでよい。
【0256】
しかしながら、それぞれの変調器(複数可)15の製作では、次に、まず、追加の平坦化コート13上に2つの能動素子の1つとして1層の下側のグラフェン膜16aを設け、図8において左側に向けたその一端領域において1つの接触要素19のみを製作することを含む。製作は、1層のグラフェン膜16と2つの接触要素19について、図2に関連して上で説明したものと同様の方法で実施することができる。
【0257】
その後、誘電体コート17が、例えば、好ましくは酸化アルミニウムの蒸着によって設けられる。また、誘電体コート17は、転写プロセスによって設けることも可能である。
【0258】
続いて、第2の上側のグラフェン膜16bを製作し、その端部領域を図6中の右側に向けた状態で第2の接触要素19を製作する。この製作は、ここでも、1層のグラフェン膜16と2つの接触要素19について、図2に関連して上で説明したものと同様の方法で実施することができる。
【0259】
そして、上述したステップS8およびS9を経て、上側表面安定化コート37およびその開口部を得ることができる。
【0260】
図10による構造については、ステップS1~S6も同一に実施することができ、その後、追加の平坦化コート13を再び部分的に除去することができる。代替的に、それらの製作、すなわちステップS5を省略し、ステップS6で平坦化コート10を介してVIAのみを製作することも可能である。
【0261】
次に、ウェハ5とは反対側を向いた平坦化コート10の面11に、光学的に透過性である、好ましくは誘電体コートまたは半導体を蒸着させ、リソグラフィおよびRIEによって構築することによって、セグメント12d、すなわち導波路基部を製作する。この場合、TiO2が蒸着されている。
【0262】
ウェハ5とは反対側を向いた導波路基部12dの面には、下側のグラフェン膜16a、次にこれに属する接触要素19を製作し、この上に導波路セグメント12c、この上に関連付けられた接触要素19を有する上部グラフェン膜16b、この上に導波路セグメント12b、この上に他のセグメント12b、12c、12dより著しく小さい幅によって特徴付けられる導波路セグメント12aを製作する。導波路セグメント12bの材料は、例えば、ALDによって、またはCVDもしくは転写およびALDによって得られたカルコゲナイドコートによって、および/またはPVDによって製作され、リソグラフィおよびRIEによって構築された誘電体または半導体材料のコートによって製作できる。続いて、セグメント12aが設けられ、ALDおよび/またはPVDおよび/またはPECVDおよび/またはLPCVDによって、CVDまたは転写によって得られた誘電体または半導体材料および/またはジカルコゲナイドコートを設け、リソグラフィおよびRIEを用いて構築する。
【0263】
グラフェン膜16a、16bおよび接触要素19は、図2に関連して上で説明したのと同様の方法で製作することができる。
【0264】
この実施例では、上側のグラフェン膜16は導波路12内で延在している。
【0265】
最後に、ステップS9およびS10を、再び実行して、表面安定化コート37およびその中の開口部を得ることができる。
【0266】
図11による配置を得るためには、図10に関連して上で説明したのとほぼ同様に進めることが可能であり、唯一の違いは、図10における最下層の導波路セグメント12dの製作が省略され、平坦化コート10の面11に下側のグラフェン膜16aが直接製作される点である。
【0267】
図17による配置を得るには、平坦化コート10が完成するまで、再度同様の手順を踏めばよい(ステップS1~S3)。そして、その、ウェハ5とは反対側を向いた面11に、能動素子としてのシリコンコート16を製作する。この場合も、前述のプロセス、例えばCVDやPVDプロセス、スピンコーティングなどの1層を介した材料蒸着と、T字型にするためのその後の構築(例えばリソグラフィやRIE)を含むことができる。得られたリッジ導波路の片面にpドープ、もう片面にnドープを施し、16pおよび16nの領域を得る。このようにして、pn接合が得られる。そして、接触要素19を製作することができる。
【0268】
いわゆるSISCAPとして設計された図18に示す変調器15については、ステップS1~S3は再び同じでよく、その後、それぞれが能動素子を形成する2層のシリコンコート16aおよび16bを製作し、これは、例えば前述のプロセスの1つ、例えばCVDまたはPVDプロセスまたはスピンコーティングによる材料蒸着、その後の構築(例えばリソグラフィおよびRIE)を含むことができ、関連接触要素19が製作される。
【0269】
図19については、2つの要素16aおよび16bの間に電気光学ポリマーからなる要素26を追加することで、原理的には図17と同様に進めることが可能である。
【0270】
図20による変調器15を得るために、ステップS1~S5は、図2に関連して上で説明したものと同じでよい。ウェハ5とは反対側を向いた追加の平坦化コート13の面14では、次に、関連する接触要素19を有する第1の電極28を製作し、次にコート27a~27dを有するダイオード27を製作し、次に関連する接触要素19を有する第2の電極28を製作することができ、よって、いずれの場合も材料蒸着とその後の構築を含むことができる。
【0271】
最後に、図17図20の全ての実施例において、コート37は、残りの実施例と類似の方法で調製することができる。
【0272】
以上から分かるように、フォトニックプラットフォーム8は、ウェハ1のBEOL6上に直接製作される。また、ウェハ1上にモノリシックに製作されたもの、あるいはモノリシックプラットフォーム8であるとも言える。特に、コート10、13、37および導波路12は、ウェハ1のBEOL6上、またはその上に既に製作されたコート上にそれぞれ適切な材料を蒸着させることにより、ウェハ1上に直接製作される。コート10、13、37や導波路12を別途製作し、その後接着による接続を行うことはない。
【0273】
なお、上述した本発明による半導体デバイスの製造方法は、本発明による方法の実施形態である。
【0274】
本発明による半導体デバイスの完成後、そこから、集積したフォトニクスを有する複数のチップを簡単かつ高速に、具体的には単純なダイシング、言い換えれば断片化することによって得ることができる。
【0275】
図1に示す半導体デバイスでは、ダイシングを行うことができ、ダイシングは、例えば、チップ領域4を画定する図示の線に沿って(レーザ)切断および/またはソーイングおよび/またはブレイキングを含む。原則として、ダイシングは、先行技術から知られる任意の方法で、特に、従来のウェハ1に対する先行技術のように行うことができる。
【0276】
図29は、このようなダイシングによって得られた集積したフォトニクスを有する3つのチップを例として、純粋に模式的に示した平面図である。これらは、本発明による半導体装置38の実施形態を表すものである。これらの半導体装置38の各々は、ウェハ1のチップ領域4に対応する範囲のチップ39と、フォトニックプラットフォーム8の、その上に延在する部分40とを含み、ダイシングによるその横方向の広がりは、下に位置するチップ39の横方向の範囲と少なくとも実質的に一致する。フォトニックプラットフォーム8のチップ39および上記の延在部分40は、図30に示す純粋に模式的な断面図から捉えることができる。
【0277】
なお、この高度に簡略化された図では、チップ39とフォトニクス40によって画定される2つの重畳領域のみが示され、そのコートや部品は示されていない。
【0278】
チップ39は、特に、トランジスタおよび/またはコンデンサおよび/または抵抗器などの複数の集積電子部品3を含み、これらは、例えば、チップ39のプロセッサの部品であってもよく、フォトニックプラットフォーム8の部分40は、特に、図2図11、および図17図23から特に取り得るような複数の電気光学素子15を含む。
【0279】
それぞれがモノリシックに集積したフォトニクスを有するベアチップを表す、本発明による半導体デバイスをダイシングして得られた半導体装置38は、その後、従来のベアチップで知られているように、パッケージに挿入して、さらなる用途に使用することができる。
【0280】
フォトニックプラットフォーム部40は、例えば、チップ39の集積電気部品からの電気信号を光信号に変換するために使用することにより、装置38の他のチップおよび/または他の集積電子部品4との通信が光学的手段によって実現できるようにしてもよい。この目的のため、例えば、トランジスタ4などの集積電子部品に結合された変調器15によって光を変調し、変調された光信号を、例えば、同一または異なるチップのトランジスタ4などの別の集積電子部品に結合された光検出器15によって受信してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】