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特表2023-512113KRAS G12D変異に対して阻害活性を有する化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】KRAS G12D変異に対して阻害活性を有する化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/08 20060101AFI20230315BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230315BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230315BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230315BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
C07D487/08 CSP
C07D519/00 311
C07D519/00 301
A61K31/519 ZNA
A61K31/5377
A61K31/506
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
A61P25/00
A61P17/00
A61P21/00
A61P15/00
A61P27/02
A61P15/02
A61P11/00
A61P1/02
A61P11/04
A61P13/08
A61P1/04
A61P1/18
C12N15/12
C12N9/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558819
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2020045146
(87)【国際公開番号】W WO2021107160
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/049074
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019216165
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506025512
【氏名又は名称】アステックス・セラピューティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASTEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】河合 祐一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和朗
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 大樹
(72)【発明者】
【氏名】宇野 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】相良 武
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】小早川 優
(72)【発明者】
【氏名】ホルベイ,ライアン・サラ
【テーマコード(参考)】
4B050
4C050
4C072
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B050CC10
4B050LL01
4C050AA03
4C050BB04
4C050CC08
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C072MM01
4C072MM02
4C072MM08
4C072UU01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA33
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、KRAS G12D変異に対して阻害活性を有する、以下に示す式(1)の化合物又はその塩に関し、これらの化合物を有効成分として含む医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)によって表される化合物又はその塩:
【化1】
(式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、前記環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは、酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である)。
【請求項2】
前記8~10員N含有架橋環がピペラジニル環系の8員N含有架橋環であり、R1又はR2で置換されていてもよく、
前記8員N含有架橋環がR1で置換されている場合、前記R1は、ピペラジニル環のニトロ原子上で置換されており、R2で置換されている場合、前記R2は、ピペラジニル環のいずれか1つの炭素原子上で置換されており、前記R1は水素原子又はヒドロキシルを表し、前記R2は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル、シアノ又はヒドロキシアルキルを表す、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
前記環Aが、R1及びR2で置換されていてもよい式(2a)~(2c)のいずれか1つによって表される、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩:
【化2】

(式中、R1は、水素原子、C1~C6アルキル又はヒドロキシルを表し;R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル、シアノ又はヒドロキシアルキルを表し;
kは0~6である)。
【請求項4】
前記環Aが、式(3a)又は(3b):
【化3】

によって表される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
前記環Bが、
(i)N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和又は不飽和環、
(ii)6~10員芳香族炭化水素環、
(iii)C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルケニル、又は
(iv)8~10員のスピロ環、を表し;
前記環Bがピリミジン環と縮合して、置換又は非置換の二環を形成し;
前記二環における前記環Bが、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S、及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよい、
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
5~6員飽和又は不飽和環における前記ヘテロ原子がN又はOである、請求項5に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
前記環Bが、ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、テトラヒドロ-2H-ピラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン又はスピロ[2.5]オクタンを表し;
前記環Bが、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル又はオキセタニルで置換されていてもよく;
前記環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、前記環Bがピロリジンでない場合、nは0である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
前記環Bが、非置換ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロ-2H-ピラン又は3,4-ジヒドロ-2H-ピランを表し;
前記環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、前記環Bがピロリジンでない場合、nは0である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
Yが、N及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員の不飽和二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員不飽和単環で置換されていてもよい、
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル又はチオフェニルで置換されていてもよい、ベンゼン、ナフタレン、ベンゾ[b]チオフェン、チエノ[3,2-b]ピリジン、イソキノリン、インドール又はインダゾールを表す、
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
Lが、酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zが、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、C3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
Zにおける前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3メトキシアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、C1~C3アルキル、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル又はシアノアルキルで置換されていてもよい置換又は非置換の5~6員飽和環で置換されていてもよく;
Lが酸素原子である場合、mは0又は1であり、
LがC2~C3アルキニルである場合、mは1であり、Zはジメチルアミノカルボニル又はジメチルアミノメチルである、
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
Lが酸素原子を表し;
mが0又は1であり;
Zが、C3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分飽和環を表し;
Zにおける前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、C2~C3アルキニル、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換され、ハロゲン原子によって更に置換されていてもよいC1~C6アルキルで置換されていてもよい、
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
Lが酸素原子を表し;
mが1であり;
Zが、C3~C6シクロアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環を表し;
Zにおける前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換され、ハロゲン原子で更に置換されていてもよいC1~C6アルキルで置換されていてもよい、
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
Zが、
シクロブタン、シクロプロパン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、イソインドリン又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(これらはハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル又はC1~C3アルコキシで置換されていてもよい);
アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換され、ハロゲン原子で更に置換されていてもよいC1~C6アルキル
を表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
Zが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C3アルコキシ、メチル、エチル、イソプロパニル、エチルカルボニルメチル、ヒドロキシエチル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、メトキシエチル、シアノメチル、モルホリルメチル又は3-フルオロピロリジニルメチルで置換されていてもよい、シクロブタン、シクロプロパン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、イソインドリン又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを表す、
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
前記環Aが式(3a)又は(3b)によって表され:
【化4】
前記環Bが、ハロゲン原子又はC1~C6アルキルで置換されていてもよい、ベンゼン、ピペリジン又はピロリジンを表し;
環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはOであり、前記環Bがピロリジンでない場合、nは0であり;
Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル又はC2~C3アルキニルで置換されていてもよいナフタレンを表し;
Lが酸素原子を表し;
mが1であり;
Zが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C3アルコキシ、メチル、エチル、イソプロパニル、エチルカルボニルメチル、ヒドロキシエチル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、アルコキシアルキル、シアノメチル、モルホリニルメチル、又は3-フルオロピロリジネメチルで置換された、シクロブタン、シクロプロパン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、イソインドリン、又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを表す、
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
前記化合物が、以下の化合物の群から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物又はその塩:
(1)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(2)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(3)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(4)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(5)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(6)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(7)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(8)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(9)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(10)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン、
(11)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン、
(12)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン、
(13)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン、
(14)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-6-クロロ-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(15)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(16)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)キナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(17)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(18)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,8-ジフルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(19)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-エチル-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(20)4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(21)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(22)1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-ブロモイソキノリン-3-アミン、
(23)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、
(24)1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン、
(25)4-((1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ヨードナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチル)モルホリン、
(26)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(27)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(28)4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(29)1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン、
(30)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジメチルシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(31)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(32)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(33)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、
(34)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン、
(35)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン、
(36)1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-エチニルイソキノリン-3-アミン、及び
(37)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む、医薬製剤。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含む、経口投与用の抗腫瘍剤。
【請求項22】
医薬組成物の製造のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項23】
抗腫瘍剤の製造のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項24】
経口投与用の抗腫瘍剤の製造のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項25】
医薬製剤として使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項26】
腫瘍を予防及び/又は治療する方法に使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項27】
経口投与によって腫瘍を予防及び/又は治療する方法に使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項28】
腫瘍を治療する方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤であって、前記抗腫剤が治療有効量の1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与される、抗腫瘍剤。
【請求項30】
腫瘍が癌である、請求項29に記載の抗腫瘍剤。
【請求項31】
前記癌が、癌腫、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、白血病、神経腫、黒色腫及びリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項30に記載の抗腫瘍剤。
【請求項32】
前記扁平上皮癌が、子宮頸部、足根、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭又は食道の癌である、請求項31に記載の抗腫瘍剤。
【請求項33】
前記腺癌が、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸部、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳房又は卵巣の癌である、請求項31に記載の抗腫瘍剤。
【請求項34】
前記癌が、肺癌、膵臓癌、直腸癌、結腸癌、結腸直腸癌又は子宮癌である、請求項30に記載の抗腫瘍剤。
【請求項35】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の他の抗腫瘍剤とを有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【請求項36】
1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【請求項37】
治療法に使用するための、請求項1~17のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は治療における、請求項1~17のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項38】
腫瘍の治療に使用するための、請求項1~17のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は腫瘍を治療するための、請求項1~17のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
【請求項39】
腫瘍の治療に使用するための、請求項1~17のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と、他の抗腫瘍剤とを含む医薬組成物、又は腫瘍を治療するための、請求項1~17のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と、前記他の抗腫瘍剤とを含む医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KRAS G12D変異に対して阻害活性を有する化合物又はその塩に関し、該化合物を有効成分として含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
RASは、約21kDaの分子量を有する小さな単量体GTP結合タンパク質であり、分子オン/オフスイッチとして作用する。RASは、結合したヌクレオチドの放出を強制するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)(例えば、SOS1)のタンパク質に結合し、GDPを放出することによってGTPに結合することができる。RASがGTPに結合すると、活性化型になり(オンになり)、c-Raf及びPI3-キナーゼ等の他の受容体のシグナルの伝播に必要なタンパク質を動員及び活性化する。RASはまた、ヌクレオチドの末端リン酸を切断し、それをGDPに変換する酵素活性を有する。変換速度は通常遅いが、RasGAP等のGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)クラスのタンパク質によって劇的に加速され得る。GTPがGDPに変換されると、RASは不活性化される(オフになる)。
【0003】
RASサブファミリーの主に知られているメンバーには、HRAS、KRAS、及びNRASが含まれる。これらのうち、KRASの変異が多くの悪性腫瘍において認められる:膵管腺癌(PDAC)の95%、結腸直腸癌(CRC)の45%及び非小細胞肺癌(NSCLC)の35%。変異は、多くの場合、PDACの82%、CRCの64%、NSCLCの92%の12位のKRASのグリシン残基に生じる。このような変異のうち、PDAC(39%)及びCRC(44%)における12位のKRASの主な変異は、アスパラギン酸への変異であることが報告されている(非特許文献(NPL)1)。
【0004】
RASは長年にわたって薬になり得ないと考えられていた。しかしながら、不活性なGDPに結合したKRAS(G12C)を標的とすることが、新規な抗RAS療法を生み出すための有望なアプローチであることが報告されている(非特許文献2)。KRAS(G12C)はGTPアーゼ活性を保持し、ヌクレオチドサイクルがKRAS(G12C)細胞に存在するため、不活性KRASに結合した阻害剤(G12C)は細胞内のKRAS(G12C)の活性化を阻害することができる。KRAS(G12C)変異体と同様に、KRAS(G12D)もGTPアーゼ活性を保持することが報告されている(非特許文献3)。したがって、GDPに結合したKRAS(G12D)を標的とし、GDPからGTPに結合した状態への変換を阻害するための戦略は、極めて魅力的であると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nature Reviews Drug Discovery 13(11)、828-51,2014
【非特許文献2】Cancer Discov.6(3),316-29,2016
【非特許文献3】Mol Cancer Res;13(9),1325-35,2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、KRAS G12D変異体の機能を阻害する新規な化合物又はその塩、及び該化合物を含む医薬組成物を提供することである。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(1)によって表される化合物群が、KRASの機能を強く阻害することを見出した。以上により、本発明を完成した。
【0008】
より具体的には、本発明は、以下の[1]~[36]を提供する。
【0009】
[1]式(1)によって表される化合物又はその塩:
【化1】
【0010】
(式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、前記環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である)。
【0011】
[2]前記8~10員N含有架橋環がピペラジニル環系の8員N含有架橋環であり、R1又はR2で置換されていてもよく、
前記8員N含有架橋環がR1で置換されている場合、前記R1は、ピペラジニル環のニトロ原子上で置換されており、R2で置換されている場合、前記R2は、ピペラジニル環のいずれか1つの炭素原子上で置換されており、前記R1は水素原子又はヒドロキシルを表し、前記R2は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル、シアノ又はヒドロキシアルキルを表す、[1]に記載の化合物又はその塩。
【0012】
[3]前記環Aが、R1及びR2で置換されていてもよい式(2a)~(2c)のいずれか1つによって表される、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩:
【化2】
【0013】
(式中、R1は水素原子、C1~C6アルキル又はヒドロキシルを表し;R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル、シアノ又はヒドロキシアルキルを表し;
kは0~6である)。
【0014】
[4]前記環Aが、式(3a)又は(3b):
【化3】
【0015】

によって表される、[1]~[3]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0016】
[5]前記環Bが、
(i)N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和又は不飽和環、
(ii)6~10員芳香族炭化水素環、
(iii)C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルケニル、又は
(iv)8~10員のスピロ環、を表し;
前記環Bがピリミジン環と縮合して、置換又は非置換の二環を形成し;
前記二環における環Bが、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S、及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよい、
[1]~[4]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0017】
[6]5~6員飽和又は不飽和環における前記ヘテロ原子がN又はOである、[5]に記載の化合物又はその塩。
【0018】
[7]前記環Bが、ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、テトラヒドロ-2H-ピラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン又はスピロ[2.5]オクタンを表し;
前記環Bが、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル又はオキセタニルで置換されていてもよく;
前記環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、前記環Bがピロリジンでない場合、nは0である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0019】
[8]前記環Bが、非置換ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロ-2H-ピラン又は3,4-ジヒドロ-2H-ピランを表し;
前記環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、前記環Bがピロリジンでない場合、nは0である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0020】
[9]Yが、N及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員の不飽和二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員不飽和単環で置換されていてもよい、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0021】
[10]Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル又はチオフェニルで置換されていてもよい、ベンゼン、ナフタレン、ベンゾ[b]チオフェン、チエノ[3,2-b]ピリジン、イソキノリン、インドール又はインダゾールを表す、[1]~[9]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0022】
[11]Lが、酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zが、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、C3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
Zにおける前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3メトキシアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、C1~C3アルキル、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル又はシアノアルキルで置換されていてもよい置換又は非置換の5~6員飽和環で置換されていてもよく;
Lが酸素原子である場合、mは0又は1であり、
LがC2~C3アルキニルである場合、mは1であり、Zはジメチルアミノカルボニル又はジメチルアミノメチルである、[1]~[10]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0023】
[12]Lが酸素原子を表し;
mが0又は1であり;
Zが、C3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分飽和環を表し;
Zにおける前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、C2~C3アルキニル、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換され、ハロゲン原子によって更に置換されていてもよいC1~C6アルキルで置換されていてもよい、[1]~[11]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0024】
[13]Lが酸素原子を表し;
mが1であり;
Zが、C3~C6シクロアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環を表し;
Zにおける前記環が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換され、ハロゲン原子で更に置換されていてもよいC1~C6アルキルで置換されていてもよい、[1]~[12]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0025】
[14]Zが、
シクロブタン、シクロプロパン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、イソインドリン又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(これらはハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル又はC1~C3アルコキシで置換されていてもよい);
アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換され、ハロゲン原子で更に置換されていてもよいC1~C6アルキルを表す、
[1]~[13]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0026】
[15]Zが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C3アルコキシ、メチル、エチル、イソプロパニル、エチルカルボニルメチル、ヒドロキシエチル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、メトキシエチル、シアノメチル、モルホリルメチル又は3-フルオロピロリジニルメチルで置換されていてもよい、シクロブタン、シクロプロパン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、イソインドリン又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを表す、[1]~[14]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0027】
[16]前記環Aが式(3a)又は(3b)によって表され:
【化4】
【0028】
前記環Bが、ハロゲン原子又はC1~C6アルキルで置換されていてもよいベンゼン、ピペリジン又はピロリジンを表し;
前記環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはOであり、前記環Bがピロリジンでない場合、nは0であり;
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル又はC2~C3アルキニルで置換されていてもよいナフタレンを表し;
Lが酸素原子を表し;
mが1であり;
Zが、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C3アルコキシ、メチル、エチル、イソプロパニル、エチルカルボニルメチル、ヒドロキシエチル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、アルコキシアルキル、シアノメチル、モルホリニルメチル、又は3-フルオロピロリジネメチルで置換された、シクロブタン、シクロプロパン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、イソインドリン、又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを表す、[1]~[15]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0029】
[17]前記化合物が、以下の化合物群から選択される、[1]~[16]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩:
(1)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(2)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(3)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(4)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(5)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(6)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(7)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(8)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(9)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(10)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン、
(11)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン、
(12)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン、
(13)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン、
(14)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-6-クロロ-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(15)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(16)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)キナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(17)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(18)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,8-ジフルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(19)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-エチル-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(20)4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(21)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(22)1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-ブロモイソキノリン-3-アミン、
(23)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、
(24)1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン、
(25)4-((1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ヨードナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチル)モルホリン、
(26)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(27)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(28)4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(29)1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン、
(30)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジメチルシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(31)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(32)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(33)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、
(34)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン、
(35)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン、
(36)1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-エチニルイソキノリン-3-アミン、及び
(37)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール。
【0030】
[18][1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む、医薬製剤。
【0031】
[19][1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0032】
[20][1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【0033】
[21][1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含む、経口投与用の抗腫瘍剤。
【0034】
[22]医薬組成物の製造のための、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【0035】
[23]抗腫瘍剤の製造のための、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【0036】
[24]経口投与用の抗腫瘍剤の製造のための、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【0037】
[25]医薬製剤として使用するための、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0038】
[26]腫瘍を予防及び/又は治療する方法に使用するための、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0039】
[27]経口投与によって腫瘍を予防及び/又は治療する方法に使用するための、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【0040】
[28]腫瘍を治療する方法であって、有効量の[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0041】
[29][1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤であって、前記抗腫剤が治療有効量の1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与される、抗腫瘍剤。
【0042】
[30]腫瘍が癌である、[29]に記載の抗腫瘍剤。
【0043】
[31]前記癌が、癌腫、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、白血病、神経腫、黒色腫及びリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つである、[30]に記載の抗腫瘍剤。
【0044】
[32]前記扁平上皮癌が、子宮頸部、足根、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭又は食道の癌である、[31]に記載の抗腫瘍剤。
【0045】
[33]前記腺癌が、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸部、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳房又は卵巣の癌である、[31]に記載の抗腫瘍剤。
【0046】
[34]前記癌が、肺癌、膵臓癌、直腸癌、結腸癌、結腸直腸癌又は子宮癌である、[30]に記載の抗腫瘍剤。
【0047】
[35][1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の他の抗腫瘍剤とを有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【0048】
[36]1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、抗腫瘍剤。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、KRAS G12Dの阻害剤(「KRAS G12D阻害剤」と称する)に関する。特に、本発明は、KRAS G12Dの活性を阻害する化合物、治療有効量の化合物を含む医薬組成物、及びその使用方法に関する。
【0050】
式(1)で示される化合物又はその塩は、KRAS G12D変異陽性癌細胞におけるKRAS機能を障害し、抗腫瘍作用を示すため、式(1)によって表される化合物又はその塩を抗癌剤として用いることができる。
【0051】
本発明の上記式(1)によって表される化合物は、上記いずれの文献にも記載されていない新規な化合物である。
【0052】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照により組み込まれる。
【0053】
本明細書において、「置換基」の例としては、特に明示しない限り、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、C2~4直鎖又は分岐鎖炭化水素、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ベンジル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、カルボキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、飽和又は不飽和の環、飽和又は不飽和の単環又は二環、芳香族炭化水素等が挙げられる。特に明示しない限り、上に列挙した置換基が存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよく、それらの数は典型的には1、2又は3である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」の具体例としては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素等が挙げられ、塩素、臭素、フッ素、及びウ素が好ましい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素基を指す。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル及びヘキシル等のC1~C6ルキルが挙げられる。「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルが好ましい。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語は、少なくとも1つのヒドロキシ基(好ましくは1~10個、より好ましくは1~2個のヒドロキシ基を有する)を有する上記のアルキルを指す。ヒドロキシアルキルの例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシプロピル及び2-ヒドロキシブチル等のC1~C6ヒドロキシアルキルが挙げられる。「ヒドロキシアルキル」は、好ましくはヒドロキシメチル又はヒドロキシエチルである。
【0057】
本明細書で使用される場合、「シアノアルキル」という用語は、少なくとも1つのシアノ基(好ましくは1個~10個、より好ましくは1個~2個のシアノ基を有する)を有する上記のアルキルを指す。シアノアルキルの例としては、シアノメチル、シアノエチル、1-シアノプロピル及び2-シアノブチル等のC1~C6シアノアルキルが挙げられる。「シアノアルキル」は、シアノメチル又はシアノエチルが好ましい。
【0058】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、単環又は多環式飽和炭化水素を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロデシル等のC3~C10シクロアルキルが挙げられ、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが好ましく、シクロプロピル及びシクロブチルが特に好ましい。
【0059】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(例えば、1~2個の炭素-炭素二重結合、好ましくは1個の炭素-炭素二重結合)を含む単環又は多環式不飽和炭化水素を指す。シクロアルケニルの例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロデセニル等のC4~C10シクロアルケニルが挙げられ、シクロヘキセニルが好ましい。
【0060】
本明細書で使用される場合、「不飽和炭化水素」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合又は三重結合を含む直鎖又は分岐不飽和炭化水素を指す。不飽和炭化水素の例としては、ビニル、アリル、メチルビニル、1-プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、エチニル及び2-プロピニル等のC2~C6不飽和炭化水素が挙げられ、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合又は三重結合を含むC2~4直鎖又は分枝炭化水素が好ましく、ビニル、アリル及び1-プロペニルがより好ましい。
【0061】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合(例えば、1~2個の二重結合、好ましくは1つの二重結合)を含む直鎖又は分岐不飽和炭化水素基を指す。アルケニル例としては、ビニル、アリル、1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、イソプロペニル、1-、2-又は3-ブテニル、2-、3-又は4-ペンテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル及び5-ヘキセニル等のC2~C6アルケニルが挙げられ、ビニル、アリル、1-プロペニル及び2-メチル-2-プロペニルが好ましい。
【0062】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合(例えば、1つ又は2つの三重結合、好ましくは1つの三重結合)を含む直鎖又は分岐不飽和炭化水素を指す。アルキニルの例としては、C2~C6アルキニル基、例えば、エチニル、1-又は2-プロピニル、1-、2-又は3-ブチニル、及び1-メチル-2-プロピニルが挙げられ、エチニル及び2-プロピニルが好ましい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、上記のアルキルを有するオキシを指す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、及びイソプロポキシ等のC1~C3アルコキシが挙げられ、メトキシ及びエトキシが好ましく、メトキシがより好ましい。
【0064】
本明細書で使用される場合、「アルコキシアルキル」という用語は、上記の少なくとも1つのアルコキシ基を有する上記のアルキルを指す。アルコキシアルキルの例としては、メトキシメチル、エトキシエチル、メトキシエチル及びメトキシプロピル等のC1~C3アルコキシ-C1~C6アルキルが挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」という用語は、上記の1つ又は2つのアルキル基を有するアミノを指す。アルキルアミノの具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及びエチルメチルアミノ等のC1~C6アルキルアミノが挙げられ、メチルアミノ及びジメチルアミノが好ましい。
【0066】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノアルキル」という用語は、少なくとも1つの上記アルキルアミノ基を有する上記アルキルを指す。アルキルアミノアルキルの例としては、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、エチルアミノメチル及びエチルアミノプロピル等のC1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキルが挙げられる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノカルボニル」という用語は、上記の少なくとも1つのアルキルアミノ基を有する上記のカルボニルを指す。アルキルアミノカルボニルの例としては、メチルアミノカルボニル等のC1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、及びエチルアミノカルボニルが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ジアルキルアミノ」という用語は、上記の2つのアルキル基を有するアミノを指す。ジアルキルアミノの例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ(n-プロピル)アミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ(n-ブチル)アミノ、ジイソブチルアミノ、ジ(tert-ブチル)アミノ、ジ(n-ペンチル)アミノ、ジイソペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、メチルエチルアミノ及びメチルイソプロピルアミノ等のC2~C12ジアルキルアミノが挙げられ、ジメチルアミノが好ましい。
【0069】
本明細書において、「芳香族炭化水素」とは、炭素及び水素を含む不飽和結合含有環置換基である単環又は多環式の芳香族炭化水素であって、環状π電子系において4e+2個(eは1以上の整数)の電子を含む単環又は多環式の芳香族炭化水素指す。芳香族炭化水素としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル等が挙げられる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「アルキルカルボニル」という用語は、上記のアルキルを有するカルボニルを指す。アルキルカルボニルの例としては、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、及びヘキシルカルボニル等のC1~C6アルキルカルボニルが挙げられ、メチルカルボニルが好ましい。
【0071】
本明細書で使用される場合、「アルキルカルボニルアルキル」という用語は、上記のアルキルカルボニルを有するアルキルを指す。アルキルカルボニルアルキルの例としては、メチルカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、n-プロピルカルボニルメチル、イソプロピルカルボニルメチル、n-ブチルカルボニルメチル、イソブチルカルボニルメチル、tert-ブチルカルボニルメチル、n-ペンチルカルボニルメチル、イソペンチルカルボニルメチル、及びヘキシルカルボニルメチル等のC1~C6アルキルカルボニルが挙げられ、メチルカルボニルメチル及びエチルカルボニルメチルが好ましい。
【0072】
本明細書で使用される場合、「アルキルカルボニルアミノアルキル」という用語は、上記のアルキルカルボニルを有するアミノアルキルを指す。アルキルカルボニルアミノアルキルの例としては、メチルカルボニルアミノメチル及びエチルカルボニルアミノメチル等のC1~C6アルキルカルボニルアミノアルキルが挙げられ、メチルカルボニルメチルが好ましい。
【0073】
本明細書で使用される場合、「アルコキシカルボニル」という用語は、上記のアルコキシを有するカルボニルを指す。アルコキシカルボニルとしては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等のC1~C6アルコキシカルボニルが挙げられ、メトキシカルボニルが好ましい。
【0074】
本明細書で使用される場合、置換基としての「飽和環」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個のヘテロ原子を有する)を含む単環又は多環式飽和環を指す。飽和環としては、アジリジニル、アゼチジニル、イミダゾリジニル、モルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル等が挙げられ、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、及びオキセタニルが好ましい。
【0075】
本明細書で使用される場合、置換基としての「不飽和環」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個のヘテロ原子を含む)を含む単環又は多環式の完全又は部分的に不飽和の環基を指す。不飽和環の例としては、イミダゾリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、トリアゾロピリジル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニル、プリニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル等が挙げられ、イミダゾリル、チエニルピラゾリル、チアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、フラニル、イソインドリン及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリルが好ましく、チエニル、イソインドリル及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリルがより好ましい。
【0076】
本明細書で使用される場合、「CA-CB」という用語は、特定の基のA~B個の炭素原子の数を示す。例えば、「C1~C6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを指し、「C6~C14芳香族炭化水素オキシ」は、C6~C14芳香族炭化水素が結合しているオキシを指す。また、「A~B員」とは、環を構成する原子の数(環員の数)がA~B個であることを示し、より具体的には、「4~10員の飽和環複素環基」とは、4~10個の環員を含む飽和環を示す。
【0077】
本発明の一態様では、式(1):
【化5】
【0078】
によって表される化合物又はその薬学的に許容される塩が提供され、式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、前記環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である。
【0079】
環A
本発明の式(1)によって表される化合物において、環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1個の更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の8~10員の飽和又は不飽和のN含有架橋環を表す。
【0080】
「飽和8~10員N含有架橋環」は、好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を更に1~5個含有する飽和単環8~10員N含有架橋環、より好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を更に少なくとも1個含有する飽和単環8員N含有架橋環、より好ましくはピペラジニル環系の8員N含有架橋環、より好ましくはジアザビシクロ[3.2.1]オクタン及びジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、より好ましくはジアザビシクロ[3.2.1]オクタンである。
【0081】
「不飽和8~10員N含有架橋環」は、好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を更に1~5個含有する不飽和単環8~10員N含有架橋環、より好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を更に少なくとも1個含有する不飽和単環8員N含有架橋環、より好ましくはピペラジニル環系の8員N含有架橋環、より好ましくはジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-6-エンである。
【0082】
「置換された8~10員N含有架橋環」における置換基は、例えば、上記の置換基であってもよく、水素原子、C1~C6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ又はヒドロキシアルキルが好ましい。
【0083】
「置換された8~10員N含有架橋環」における置換基は、本発明の式(2a)~(2c)においてもR又はRによって表される。Rは、水素原子又はヒドロキシルであってもよく、好ましくは水素原子又はヒドロキシルであり、より好ましくは水素原子である。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ又はヒドロキシアルキルであってもよく、好ましくは水素原子、アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ又はヒドロキシアルキルであってもよく、より好ましくは水素原子であってもよい。
【化6】
【0084】
環Aの置換基に含まれる「アルコキシカルボニル」は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましく、メトキシカルボニルがより好ましい。
【0085】
環Aの置換基に含まれる「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチルが好ましく、ヒドロキシメチルがより好ましい。
【0086】
環Aの置換基に含まれる「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ化物が好ましい。
【0087】
本発明の式(2a)~(2c)によって表される環Aにおいて、kは0~6、好ましくは0~5、より好ましくは0~4、より好ましくは0~3、より好ましくは0~2、より好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
【0088】
環B
本発明の式(1)によって表される化合物において、環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6のシクロアルキル環、C3~C6のシクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成する。
【0089】
「N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5~6員飽和環」は、N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1~3個有する単環の5~6員飽和環が好ましく、N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1個有する単環の5~6員飽和環がより好ましく、N及びOから選択されるヘテロ原子を1個有する単環の5~6員飽和環がより好ましく、ピペリジン、ピロリジン又はテトラヒドロ-2H-ピランがより好ましく、ピペリジン又はピロリジンが特に好ましい。
【0090】
「N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5~6員不飽和環」は、好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を1~3個有する単環5~6員不飽和環であり、より好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を1個有する単環5~6員不飽和環であり、より好ましくはN及びOから選択されるヘテロ原子を1個有する単環5~6員不飽和環であり、より好ましくは2,3-ジヒドロフラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン又は4H-ピランであり、特に好ましくは3,4-ジヒドロ-2H-ピランである。
【0091】
「N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環」は、好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を1~3個有する単環4~6員飽和環であり、より好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を1個有する単環4~6員飽和環であり、より好ましくはN及びOから選択されるヘテロ原子を1個有する単環4~6員飽和環であり、より好ましくはオキセタニル、テトラヒドロフラニル又はテトラヒドロ-2H-ピラニルである。
【0092】
「N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換5~6員飽和又は不飽和環」における置換基は、例えば、上記の置換基であってもよく、好ましくは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環である。
【0093】
環Bの置換基に含まれる「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ化物が好ましい。
【0094】
環Bの置換基に含まれる「C1~C6アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピル(C1~C3アルキル)が好ましく、メチル、又はエチルがより好ましい。
【0095】
環Bの置換基に含まれる「アルキルカルボニル」は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましく、メトキシカルボニルがより好ましい。
【0096】
環Bの置換基における「4~6員飽和単環」は、好ましくはオキセタニル、テトラヒドロフラニル又はテトラヒドロ-2H-ピラニルである。
【0097】
「置換若しくは非置換の6員芳香族炭化水素環」における「6員芳香族炭化水素環」は、ベンゼンが好ましい。
【0098】
「置換された6員芳香族炭化水素環」における置換基は、例えば、上記の置換基であってもよく、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環が好ましく、フッ素、塩素、メチル、又はエチルがより好ましい。
【0099】
「置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル」における「C3~C6シクロアルキル」は、好ましくはシクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、より好ましくはシクロヘキシルである。
【0100】
「置換C3~C6シクロアルキル」における置換基は、例えば、上記の置換基であってもよく、好ましくは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環である。
【0101】
「置換又は非置換のC3~C6シクロアルケニル」における「C3~C6シクロアルケニル」は、好ましくはシクロペンテニル又はシクロヘキセニルであり、より好ましくはシクロヘキセニルである。
【0102】
「置換C3~C6シクロアルケニル」における置換基は、例えば、上記の置換基であってもよく、好ましくは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環、より好ましくはハロゲン原子又はC1~C6アルキルである。
【0103】
「置換又は非置換のC3~C6シクロアルケニル」は、好ましくはシクロペンテニル、シクロヘキセニル又はシクロヘプテニル、より好ましくはシクロヘキセニルである。
【0104】
「置換又は非置換の8~10員のスピロ環」における「8~10員のスピロ環」は、好ましくはスピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.5]ノナン又はスピロ[4.5]デカンであり、より好ましくはスピロ[2.5]オクタンである。
【0105】
「置換又は8~10員のスピロ環」における置換基としては、例えば、上記の置換基であってもよく、好ましくは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環であってもよい。
【0106】
本発明の式(1)によって表される化合物において、環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、環Bがピロリジンでない場合、nは0である。
【0107】
本発明の式(1)によって表される化合物は、環Bがピリミジン環と縮合して置換又は置換された二環を形成する。二環の例としては、限定されないが、キナゾリン、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン、7’,8’-ジヒドロ-5’H-スピロ[シクロプロパン-1,6’-キナゾリン]、7,8-ジヒドロキナゾリン、5,6-ジヒドロキナゾリン、7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン、5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピラノ[2,3-d]ピリミジン、及び5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン、より好ましくはキナゾリン、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン、7、8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-d]ピリミジン及び5H-ピラノ[3,4-d]ピリミジンが挙げられる。
【0108】
「ピリミジン環と縮合して置換又は置換された二環を形成する」における置換基は、例えば、上記の置換基であってもよく、好ましくはハロゲン原子、Ca~C6アルキル、C1~C3アルケニル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環であり、より好ましくはフッ素、塩素、メチル、エチル、メチルカルボニル、オキセタニルであってもよい。
【0109】
本発明の式(1)によって表される化合物において、XはO又はSを表し、好ましくはOである。
【0110】
「Y」で定義される単環又は二環
本発明の式(1)によって表される化合物において、Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表す。
【0111】
「置換又は非置換の6~10員不飽和二環」における「6~10員不飽和二環」は、好ましくはN、S及びOから選択されるヘテロ原子を1~5個含む二環式6~10員不飽和環であり、より好ましくはN及びSから選択されるヘテロ原子を1~3個含む二環式6~10員不飽和環であり、より好ましくはベンゾ[b]チオフェン、イソキノリン、チエノ[2,3-c]ピリジン、インドール又はインダゾールである。
【0112】
「置換された6~10員の不飽和二環」における置換基は、例えば、上記の置換基、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員の不飽和単環、より好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル又はチオフェニル、より好ましくは臭素、フッ素、塩素、ヨウ素、ヒドロキシル、アミノ、メチル、ビニル、エチニル又はチオフェニルであり得る。
【0113】
「6~10員芳香族炭化水素環」は、ベンゼン又はナフタレンが好ましく、ナフタレンがより好ましい。
【0114】
「置換された6員芳香族炭化水素環」における置換基は、例えば、上記の置換基、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員不飽和単環、より好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル又はチオフェニルであり得る。
【0115】
Yの置換基に含まれる「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ化物が好ましい。
【0116】
Yの置換基に含まれる「C1~C6アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピル(C1~C3アルキル)が好ましく、メチル、又はエチルがより好ましい。
【0117】
Yの置換基に含まれる「C2~C3アルケニル」は、ビニル、1-プロペニル、アリルが好ましく、ビニルがより好ましい。
【0118】
Yの置換基に含まれる「C2~C3アルキニル」は、エチニル又は1-プロピニルが好ましく、エチニルがより好ましい。
【0119】
「5~6員不飽和単環」は、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員不飽和単環が好ましく、チオフェニルがより好ましい。
【0120】
「L」
本発明の式(1)で示される化合物において、Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表す。
【0121】
「C2~C3アルキニル」は、エチニル又は1-プロピニルが好ましく、エチニルがより好ましい。
【0122】
本発明の式(1)によって表される化合物において、Lが酸素原子である場合、mは0又は1であり、mは1であることが好ましい。
【0123】
Lによって表される「置換C2~C3アルケニル」における置換基は、例えば上記の置換基であってもよく、好ましくはジメチルアミノメチル又はジメチルアミノカルボニルメチルであってもよい。
【0124】
「Z」
本発明の式(1)によって表される化合物において、Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表す。
【0125】
「シアノアルキル」は、シアノメチル又はシアノエチルが好ましく、シアノメチルがより好ましい。
【0126】
「アルキルカルボニルアミノアルキル」は、好ましくはメチルカルボニルアミノメチル、エチルカルボニルアミノメチル又はエチルカルボニルアミノエチルであり、より好ましくはメチルカルボニルアミノメチルである。
【0127】
「アルキルアミノカルボニル」は、ジメチルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニル又はジエチルアミノカルボニルが好ましく、ジメチルアミノカルボニルがより好ましい。
【0128】
「置換又は非置換のアルキルアミノアルキル」における「アルキルアミノアルキル」は、好ましくはジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、メチルアミノエチル又はジエチルアミノエチルであり、より好ましくはジメチルアミノメチル又はジメチルアミノエチルである。
【0129】
「置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル」における「C3~C6シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルが好ましく、シクロプロピル又はシクロブチルがより好ましく、シクロプロピルがより好ましい。
【0130】
「置換されたC3~C6シクロアルキル」における置換基は、例えば上記の置換基であってもよく、好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、C1~C3アルキル、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル又はシアノアルキルで置換されていてもよい置換又は非置換の5~6員飽和環であり、より好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メトキシ、メチル、エチル、イソプロパニル、エチルカルボニルメチル、ヒドロキシエチル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、シアノメチル、モルホリルメチル又は3-フルオロピロリジニルメチルである。
【0131】
「置換又は非置換の5~6員飽和環」における「5~6員飽和環」は、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環が好ましく、N及びOから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員飽和環がより好ましく、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリイル又はピペラジニルがより好ましい。
【0132】
「置換された5~6員飽和環」における置換基は、例えば上記の置換基であってもよく、好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシル、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル又はシアノアルキルであり、より好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシル、メトキシ、メチル、エチル、イソプロパニル、エチルカルボニルメチル、ヒドロキシエチル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル又はメトキシエチル、シアノメチルである。
【0133】
「N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ハロゲン原子で更に置換されていてもよい5~6員飽和環で置換されたC1~C6アルキル」における置換基は、モルホリルメチル、又は3-フルオロピロリジニルメチルが好ましい。
【0134】
「置換又は非置換の8~10員部分不飽和環」における「8~10員部分不飽和環」は、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環が好ましく、N、S及びOからなる群から選択される1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環がより好ましく、イソインドリン又は1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンがより好ましい。
【0135】
「置換された8~10員の部分不飽和環」における置換基は、好ましくはC1~C6アルキルであり、より好ましくはメチル又はエチルであり、より好ましくはメチルである。
【0136】
「置換された8~10員の部分不飽和環」は、好ましくは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換又は非置換の8~10員の部分不飽和環であり、より好ましくは、2-メチルイソインドリン又は2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンである。
【0137】
Zの置換基に含まれる「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ化物が好ましい。
【0138】
Zの置換基に含まれる「C1~C6アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロパニルが好ましく、メチル、エチル、又はイソプロパニルがより好ましい。
【0139】
Zの置換基に含まれる「C1~C3アルコキシ」は、メトキシ又はエトキシが好ましく、メトキシがより好ましい。
【0140】
Zの置換基に含まれる「アルキルカルボニルアルキル」は、メチルカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル又はエチルカルボニルエチルが好ましく、エチルカルボニルメチルがより好ましい。
【0141】
Zの置換基に含まれる「ヒドロキシアルキル」は、好ましくはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルであり、より好ましくはヒドロキシメチルである。
【0142】
Zの置換基に含まれる「アルコキシアルキル」は、好ましくはメトキシエチル、メトキシメチル又はエトキシエチルであり、より好ましくはメトキシエチルである。
【0143】
Zの置換基に含まれる「シアノアルキル」は、シアノメチル又はシアノチル(cyanothyl)が好ましく、シアノメチルがより好ましい。
【0144】
Zの置換基に含まれる「アルキルカルボニルアミノアルキル」は、好ましくはメチルカルボニルアミノメチル、エチルカルボニルアミノメチル又はエチルカルボニルアミノエチルであり、より好ましくはメチルカルボニルアミノメチルである。
【0145】
Zの置換基に含まれる「アルキルアミノカルボニル」は、ジメチルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニル又はジエチルアミノカルボニルが好ましく、ジメチルアミノカルボニルがより好ましい。
【0146】
Zの置換基に含まれる「アルキルアミノアルキル」は、ジメチルアミノエチル、メチルアミノエチル、又はジエチルアミノエチルが好ましく、ジメチルアミノエチルがより好ましい。
【0147】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
環Aは、R1及びR2で置換されていてもよい式(2a)~(2c)のいずれか1つによって表され、
【化7】
【0148】
式中、R1は水素原子、C1~C6アルキル又はヒドロキシルを表し;R2は、水素原子、アルコキシカルボニル、シアノ又はヒドロキシアルキルを表し;
kは0~1であり;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である。
【0149】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
環Aは、式(3a)又は(3b)によって表され:
【化8】
【0150】
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは1である。
【0151】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、
(i)N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和又は不飽和環、又は
(ii)6~10員芳香族炭化水素環を表し、
環Bがピリミジン環と縮合して、置換又は非置換の二環を形成し;
二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である。
【0152】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロ-2H-ピラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピランを表し、
環Bがピリミジン環と縮合して、置換又は非置換の二環を形成し;
二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく;
環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、環Bがピロリジンでない場合、nは0であり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは1である。
【0153】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、
(i)N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和又は不飽和環を表し、
環Bがピリミジン環と縮合して、置換又は非置換の二環を形成し;
二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である。
【0154】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、
ピペリジン、ピロリジンを表し、
環Bがピリミジン環と縮合して、置換又は非置換の二環を形成し;
二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく;
環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、環Bがピロリジンでない場合、nは0であり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは1である。
【0155】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル又はチオフェニルで置換されていてもよい6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは0又は1である。
【0156】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることがより好ましく、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3アルキニル又はチオフェニルで置換されていてもよいベンゼン又はナフタレンを表し;
Lは酸素原子、又は置換若しくは非置換のC2~C3アルキニルを表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
LがC2~C3アルキニルである場合、Zはアルキルアミノカルボニル又はアルキルアミノアルキルであり;
mは1である。
【0157】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
式中、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、前記環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子を表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
mは0又は1である。
【0158】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子を表し;
Zは置換又は非置換のC3~C6シクロアルキルを表し;
Zにおける環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換されたC1~C6アルキルで置換されていてもよく、更にハロゲン原子で置換されていてもよく;
mは1である。
【0159】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることが好ましく、
環Aは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む、置換又は非置換の飽和又は不飽和の8~10員N含有架橋環を表し;
環Bは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換又は非置換の5~6員飽和又は不飽和環、6員芳香族炭化水素環、C3~C6シクロアルキル環、C3~C6シクロアルケニル又は8~10員のスピロ環を表し、環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子を表し;
Zは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換若しくは非置換の5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
Zにおける環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換されたC1~C6アルキルで置換されていてもよく、更にハロゲン原子で置換されていてもよく;
mは0又は1である。
【0160】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であることがより好ましく、
環Aは、式(3a)又は(3b)によって表され:
【化9】
【0161】
環Bは、
(i)N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和又は不飽和環、
(ii)6~10員芳香族炭化水素環を表し、
環Bはピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し、
二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく;
nは0又は1であり;
XはO又はSであり;
Yは、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、置換若しくは非置換の6~10員の不飽和単環若しくは二環、又は6~10員芳香族炭化水素環を表し;
Lは酸素原子を表し;
Zは、シアノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む8~10員部分不飽和環を表し;
mは1である。
【0162】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であって、
式中、
環Aは式(3a);
【化10】
【0163】
によって表され;
環Bは、ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロ-2H-ピラン又は3,4-ジヒドロ-2H-ピランを表し、
環Bがピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し、
該二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく、
環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、環Bがピロリジンでない場合、nは0であり;
Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル又はC2~C3アルキニルで置換されていてもよいベンゼン又はナフタレンを表し;
Lは酸素原子を表し;
Zは置換又は非置換のC3~C6シクロアルキルを表し、
Zにおける環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、C1~C6アルキル、C1~C3アルコキシ、アルキルカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、又はN、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員飽和環で置換されたC1~C6アルキルで置換されていてもよく、更にハロゲン原子で置換されていてもよく;
mは1である、化合物又はその塩であることがより好ましい。
【0164】
本発明の化合物又はその塩は、式(1)によって表される化合物又はその塩であって、
式中、
環Aは式(3a)
【化11】
【0165】
によって表され;
環Bは、ベンゼン、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロ-2H-ピラン又は3,4-ジヒドロ-2H-ピランを表し、
環Bがピリミジン環と縮合して置換又は非置換の二環を形成し、
該二環における環Bは、ハロゲン原子、C1~C6アルキル、アルキルカルボニル、又はN、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む4~6員飽和単環で置換されていてもよく、
環Bがピロリジンである場合、nは1であり、XはO又はSであり、環Bがピロリジンでない場合、nは0であり;
Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、C1~C6アルキル、C2~C3アルケニル又はC2~C3アルキニルで置換されていてもよいベンゼン又はナフタレンを表し;
Lは酸素原子を表し;
Zは、置換又は非置換のシクロペンタン又はシクロブタンを表し、
Zにおける環は、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、モルホリニルメチル、メチルピロリジン又は3-フルオロピロリジネメチルで置換されていてもよく;
mは1である、化合物又はその塩であることが更により好ましい。
【0166】
本発明の具体的な化合物としては、以下の実施例で製造される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0167】
本発明の好ましい化合物の例としては、以下が挙げられる:
(1)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(2)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(3)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(4)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(5)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(6)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール、
(7)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(8)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(9)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール、
(10)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン、
(11)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン、
(12)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン、
(13)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン、
(14)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-6-クロロ-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(15)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(16)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)キナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(17)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(18)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,8-ジフルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(19)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-エチル-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール、
(20)4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(21)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(22)1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-ブロモイソキノリン-3-アミン、
(23)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、
(24)1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン、
(25)4-((1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ヨードナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチル)モルホリン、
(26)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(27)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(28)4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(29)1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン、
(30)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジメチルシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(31)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(32)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール、
(33)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール、
(34)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン、
(35)(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン、
(36)1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-エチニルイソキノリン-3-アミン、及び
(37)4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール。
【0168】
本発明化合物の製造方法の詳細は以下の通りである。
【0169】
本発明の式(1)によって表される化合物は、市販の試薬から、本明細書に記載の合成方法及び反応スキームを用いて、又は当技術分野で周知の他の試薬及び従来の方法を用いて、例えば実施例に記載の以下の製造方法又は反応工程によって調製することができる。
【0170】
但し、目的の生成物を得ることができれば、製造方法は、これらの方法及び反応スキームに限定されるものではない。各工程で得られた中間生成物又は最終生成物は、濃縮、真空濃縮、晶析、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等の公知の分離精製方法により、単離精製後又は単離精製せずに後続の工程に供することができる。
【0171】
各工程で得られた反応生成物及び開始材料に、各工程で有効であれば、又は工程の順序を入れ替えるように、容易に官能基に変換できる保護基を導入することができる。本明細書で用いられる保護基は、“Protective Groups in Organic Synthesis,”5th edition,Greene and Wuts,John Wiley&Sons Inc.,2014に開示される方法で用いられる保護基等であり得る。保護基は、各工程の反応条件に応じて適宜選択され得る。保護基を導入して反応を行った後、保護基を除去して所望の化合物を得てもよい。
【0172】
式(1)の化合物は、当該技術分野で周知の合成方法に従って調製することができる。
【0173】
本発明の更なる態様によれば、式(1)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を調製する方法であって、以下のスキーム:
【化12】
【0174】
(式中、P1はヘテロ原子の保護基であり;Q及びQは脱離基であり;A、B、L、m及びZは上に定義したとおりである)を含む方法が提供される。
【0175】
(工程a)
この工程では、式(4)の化合物を式(5)の化合物とのカップリング反応に供して式(6)の化合物を製造する。
【0176】
式(5)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0177】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(4)の化合物を式(5)の化合物、及び適切な塩基と反応させることを含む。好適な塩基の例は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。好適な溶媒の例は、N,N-ジメチルアセトアミドである。
【0178】
本発明における式(5)の化合物の使用量は、式(4)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~10モルである。塩基の使用量は、式(4)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~20モルである。
【0179】
反応温度は、一般に0~100℃、好ましくは0~60℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0180】
このようにして得られた式(6)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0181】
(工程b)
この工程では、式(6)の化合物を式(7)の化合物とのカップリング反応に供して式(8)の化合物を製造する。
【0182】
式(7)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0183】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(6)の化合物を式(7)の化合物及び適切な触媒、適切な塩基と反応させることを含む。
【0184】
好適な触媒の例は、Ruphos Pd G3又はRuphos Pd G4である。好適な塩基の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム及び炭酸セシウムである。適切な溶媒の例は、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン及び1,4-ジオキサンである。
【0185】
式(7)の化合物の使用量は、式(6)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~20モルである。触媒の使用量は、式(6)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~1モルであり、好ましくは0.001~0.5モルである。配位子の使用量は、式(6)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~4モルであり、好ましくは0.001~2モルである。塩基の使用量は、式(6)で示される化合物1モルに対して、通常0.1~10モルであり、好ましくは1~5モルである。
【0186】
反応温度は、一般に0~200℃、好ましくは室温~150℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0187】
このようにして得られた式(8)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0188】
(工程c)
この工程では、式(8)の化合物を脱保護して式(9)の化合物を製造する。
【0189】
式(8)の化合物におけるPによって表される保護基としては、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)が挙げられる。
【0190】
この方法は、典型的には、式(8)の化合物を、適切な溶媒中、適切な温度及び適切な圧力にて、水素雰囲気下で適切な触媒と反応させることを含む。
【0191】
適切な触媒の例は、パラジウム炭素及び水酸化パラジウム炭素である。適切な溶媒の例は、メタノール及びエタノールである。
【0192】
触媒の使用量は、式(8)によって表される化合物1モルに対して、通常1~300重量%、好ましくは1~100重量%である。
【0193】
反応温度は、一般に0~100℃、好ましくは室温~60℃の範囲である。反応圧力は、一般に1~20atm、好ましくは1~5atmの範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0194】
このようにして得られた式(9)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0195】
(工程d)Buchwaldアミノ化
【化13】
【0196】
(式中、Qはハロゲン原子又は脱離基であり;A、B、L、m、n、X、Y及びZは上に定義したとおりである)。
【0197】
この工程では、式(9)の化合物を式(10)の化合物とのカップリング反応に供して式(1)の化合物を製造する。
【0198】
式(10)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0199】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(9)の化合物を式(10)の化合物及び適切な触媒、適切な塩基と反応させることを含む。
【0200】
適切な触媒の例は、適切な配位子(BINAP、Xantphos又はDavephos等)を有すPdCldppf、RUPHOS Pd G4及びPddbaである。適切な塩基の例は、NaOtBu、LHMDS、KCO及びCsCOである。適切な溶媒の例は、トルエン、1,4-ジオキサン及びTHFである。
【0201】
式(10)の化合物の使用量は、式(9)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~20モルである。触媒の使用量は、式(9)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~1モルであり、好ましくは0.001~0.6モルである。配位子の使用量は、式(9)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~4モルであり、好ましくは0.001~2モルである。塩基の使用量は、式(9)で示される化合物1モルに対して、通常0.1~10モルであり、好ましくは1~5モルである。
【0202】
反応温度は、一般に0~200℃、好ましくは室温~150℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0203】
このようにして得られた式(1)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0204】
(工程e)縮合反応
【化14】
【0205】
(式中、A、B、L、m、n、X、Y、Zは上に定義される通りである)。
【0206】
(工程e)
この工程では、式(9)の化合物を式(11)の化合物との縮合に供して式(1)の化合物を製造する。
【0207】
式(11)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0208】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(9)の化合物を式(11)の化合物及び適切な縮合試薬、適切な塩基と、反応させることを含む。
【0209】
適切な縮合試薬の例は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール又は1-[bis(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートである。適切な塩基の例は、トリエチルアミン及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。適切な溶媒の例は、N,N-ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランである。
【0210】
式(11)の化合物の使用量は、式(9)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~10モルである。縮合試薬の使用量は、式(9)によって表される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~10モルである。塩基の使用量は、式(9)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~10モルである。
【0211】
反応温度は、一般に0~200℃、好ましくは室温~150℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0212】
このようにして得られた式(1)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【化15】
【0213】
(式中、Q、Q及びQはハロゲン原子又は脱離基であり、A、B、L、m及びZは上に定義される通りである)。
【0214】
(工程f)
この工程では、式(12)の化合物を式(5)の化合物とのカップリング反応に供して式(13)の化合物を製造する。
【0215】
式(5)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0216】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(12)の化合物を式(5)の化合物、及び適切な塩基と反応させることを含む。好適な塩基の例は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。好適な溶媒の例は、N,N-ジメチルアセトアミドである。
【0217】
式(5)の化合物の使用量は、式(12)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~10モルである。塩基の使用量は、式(12)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~20モルである。
【0218】
反応温度は、一般に0~100℃、好ましくは0~60℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0219】
このようにして得られた式(13)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0220】
(工程g)
この工程では、式(13)の化合物を式(7)の化合物とのカップリング反応に供して式(14)の化合物を製造する。
【0221】
式(7)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0222】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(13)の化合物を式(7)の化合物及び適切な触媒、適切な塩基と反応させることを含む。
【0223】
好適な触媒の例は、Ruphos Pd G3及びRuphos Pd G4である。好適な塩基の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム及び炭酸セシウムである。適切な溶媒の例は、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン及び1,4-ジオキサンである。
【0224】
式(7)の化合物の使用量は、式(13)で示される化合物1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは1~20モルである。触媒の使用量は、式(13)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~1モルであり、好ましくは0.001~0.5モルである。配位子の使用量は、式(13)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~4モルであり、好ましくは0.001~2モルである。塩基の使用量は、式(13)で示される化合物1モルに対して、通常0.1~10モルであり、好ましくは1~5モルである。
【0225】
反応温度は、一般に0~200℃、好ましくは室温~150℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0226】
このようにして得られた式(14)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0227】
Suzuki-Miyauraカップリング
【化16】
【0228】
(式中、Tは金属又は半金属残基(ボロン酸又はボロン酸ピナコール等)を表し、A、B、L、m、n、X、Y及びZは上に定義される通りである)。
【0229】
(工程h)
この工程では、式(14)の化合物を式(15)の化合物とのカップリング反応に供して式(1)の化合物を製造する。
【0230】
式(15)の化合物は市販されているか、又は実施例に記載されているものと同一若しくは類似の方法を使用して調製することができる。
【0231】
この方法は、典型的には、適切な溶媒中、適切な温度で、式(14)の化合物を式(15)の化合物及び適切な触媒と反応させることを含む。適切な触媒の例は、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム及び適切な配位子(トリフェニルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’、4’、6’-トリイソプロピルビフェニル等)を有するトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)である。
【0232】
好適な塩基の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及びリン酸カリウムである。適切な溶媒の例は、水を含むテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン及び1,4-ジオキサンである。式(VII)のアミンの使用量は、式(14)によって表される化合物1モルに対して、通常1~10モルであり、好ましくは1~5モルである。
【0233】
触媒の使用量は、式(14)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~1モルであり、好ましくは0.001~0.5モルである。配位子の使用量は、式(14)によって表される化合物1モルに対して、通常0.0001~4モルであり、好ましくは0.001~2モルである。塩基の使用量は、式(14)で示される化合物1モルに対して、通常0.1~10モルであり、好ましくは1~5モルである。
【0234】
塩基の使用量は、式(14)で示される化合物1モルに対して、一般に1~100モルであり、好ましくは1~10モルである。反応温度は、一般に0~200℃、好ましくは室温~150℃の範囲である。反応時間は、一般に5分間~7日間、好ましくは30分間~4日間の範囲である。
【0235】
このようにして得られた式(1)の化合物を、濃縮、真空濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿及びクロマトグラフィー等の既知の分離及び精製手段によって、単離又は精製の後又はこれを行わずに次の工程に供することができる。
【0236】
本発明の化合物が光学異性体、立体異性体、回転異性体、及び互変異性体等の異性体を有する場合、特に断らない限り、いずれの異性体及びそれらの混合物も本発明化合物の範囲に含まれる。例えば、本発明化合物が光学異性体を有する場合、特に断らない限り、ラセミ混合物及びラセミ混合物から分離された光学異性体も本発明化合物の範囲に含まれる。
【0237】
本発明の化合物又はその塩は、非晶質又は結晶の形態であってもよい。単結晶及び多形混合物は、本発明の化合物又はその塩の範囲内に含まれる。このような結晶は、当該技術において公知の結晶化方法に従って結晶化することにより製造することができる。本発明化合物又はその塩は、溶媒和物(例えば、水和物)であってもよく、非溶媒和物であってもよい。これらはいずれも本発明の化合物又はその塩の範囲内に含まれる。同位体(例えば、H、H、13C、14C、35S、125I)で標識された化合物も、本発明の化合物又はその塩の範囲に含まれる。
【0238】
本発明の化合物の塩は、任意の薬学的に許容される塩を指し、例としては、塩基付加塩及び酸付加塩が挙げられる。
【0239】
更に別の実施形態では、本発明は、本発明の化合物又はその塩を有効成分として含有する医薬を提供する。更に、本発明は、医薬の製造のための本発明の化合物又はその塩の使用に関する。更に、本発明は、本発明の化合物又はその塩の医薬としての使用を提供する。更に、医薬として使用するための本発明の化合物又はその塩が提供される。
【0240】
更に別の実施形態では、本発明は、本発明の化合物又はその塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0241】
好ましい実施形態では、医薬又は医薬組成物はKRAS関連疾患の治療剤であり、より好ましい実施形態では、医薬又は医薬組成物は抗腫瘍剤である。
【0242】
本明細書で使用される場合、KRAS関連疾患は、「KRAS G12D関連疾患又は障害」を指す。本明細書で使用される場合、「KRAS G12D関連疾患又は障害」は、KRAS G12D変異に関連する、KRAS G12D変異によって媒介される、又はKRAS G12D変異を有する疾患又は障害を指す。KRAS G12D関連疾患又は障害の非限定的な例は、KRAS G12D関連癌である。
【0243】
「KRAS G12D」は、アミノ酸位置12のグリシンに対するアスパラギン酸のアミノ酸置換を含む哺乳動物KRASタンパク質の変異型を指す。ヒトKRASのアミノ酸コドン及び残基位置の割り当ては、例えばGenPept ID NP_004976によって同定されるアミノ酸配列に基づく。
【0244】
本明細書で使用される場合、「KRAS G12D阻害剤」は、本明細書に記載される式(1)によって表される本発明の化合物を指す。これらの化合物は、KRAS G12Dの酵素活性の全部又は一部を負に調節又は阻害することができる。本発明のKRAS G12D阻害剤は、不活性KRAS(GDP)の12位のアスパラギン酸とイオン相互作用を形成し、したがって不活性KRAS(GDP)の活性KRAS(GTP)への変換を防ぎ、下流のシグナル伝達を阻害することによって、KRAS G12Dに結合する。
【0245】
更に別の実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物又はその塩を対象に投与して、KRAS G12D変異活性抑制方法を提供することを含む。更に、本発明は、治療有効量の本発明の化合物又はその塩を対象に投与して、KRAS関連疾患を治療する方法を提供することを含む。好ましい実施形態では、KRAS関連疾患を治療する方法は、腫瘍を治療する方法である。治療方法において、対象は、この方法を必要とするヒト又は非ヒト動物を含む。
【0246】
本明細書で使用される場合、本発明の一実施形態による化合物の「有効量」は、酵素又はタンパク質の活性の低下又は防止を引き起こす;又は症状の改善、医学的状態の緩和、障害の進行の遅延若しくは阻止、若しくは疾患の予防(治療有効量)等、対象の生物学的応答又は治療応答を達成するのに十分な化合物の量を指す。
【0247】
本明細書で使用される場合、「対象」は、哺乳動物及び非哺乳動物を含む。哺乳動物の例としては、限定されないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、アカゲザル(Cavia porcellus)、ハリネズミ、カンガルー、モグラ、イノシシ、クマ、トラ及びライオンが挙げられる。非哺乳動物の例としては、限定されないが、鳥類、魚類及び爬虫類が挙げられる。一実施形態では、対象はヒトであり、本明細書に開示される症状、医学的状態又は疾患の治療を必要とすると診断されたヒトであり得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、対象は、治療及び/又は予防される疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験している及び/又は示している。いくつかの実施形態では、対象は、KRAS G12D変異を有する癌を有すると同定又は診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、KRAS G12D変異について陽性である腫瘍を有する。
【0249】
一実施形態では、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬、医薬組成物又は医薬製剤を提供され得る。別の実施形態では、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む抗腫瘍剤が提供され得る。
【0250】
本発明の化合物又はその塩は、そのプロドラッグも包含する。プロドラッグとは、in vivoでの生理的条件下で酵素や胃酸等との反応により本発明の化合物又はその塩に変換され得る化合物、すなわち酵素的な酸化、還元、加水分解等により本発明の化合物若しくはその塩に変換され得る化合物、又は胃酸等による加水分解等により本発明の化合物若しくはその塩となり得る化合物である。
【0251】
また、プロドラッグは、Iyakuhin no Kaihatsu,“Development of Pharmaceuticals,”Vol.7,Molecular Design,published in 1990 by Hirokawa Shoten Co.,pp.163-198に記載されているような、生理学的条件下で本発明の化合物又はその塩に変換できる化合物であってもよい。
【0252】
本発明の化合物又はその塩を医薬製剤として用いる場合、必要に応じて薬学的担体を添加することにより、予防及び治療の目的に応じた好適な剤形を形成することができる。剤形としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、吸入剤、貼付剤等が挙げられる。そのような剤形は、当業者に従来公知の方法によって形成することができる。
【0253】
薬学的に許容される担体として、調製材料として用いられる種々の従来の有機又は無機担体材料を、固形製剤に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤若しくは着色剤として、又は液体製剤中の溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤若しくは無痛化剤として配合することができる。更に、必要に応じて、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、甘味料、安定剤等の医薬製剤添加剤を使用してもよい。
【0254】
一実施形態では、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、経口投与用の医薬、医薬組成物若しくは医薬製剤、又は経口固形製剤が提供され得る。他の実施形態では、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む経口投与用の抗腫瘍剤が提供され得る。
【0255】
経口固形製剤、又は経口投与用の医薬、医薬組成物、抗腫瘍剤若しくは医薬製剤は、以下のようにして調製される。本発明の化合物又はその塩に賦形剤と共に結着剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、又は香味料等を加えてもよく、その後、得られた混合物を常法により錠剤、コーティング錠、顆粒剤、散剤、カプセル剤等に製剤化する。
【0256】
経口固体調製物を以下のように調製する。本発明の化合物又はその塩に賦形剤と共に結着剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、又は香味料等を加えてもよく、その後、得られた混合物を常法により錠剤、コーティング錠、顆粒剤、散剤、カプセル剤等に製剤化する。
【0257】
注射剤を調製する場合には、本発明化合物にpH調整剤、緩衝剤、安定剤、等張化剤、局所麻酔剤等を加えてもよく、該混合物は、常法に従って皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射に製剤化され得る。
【0258】
これらの各剤形に組み込まれる本発明の化合物の量は、化合物が投与される患者の状態、剤形等に依存する。一般的に経口剤では、化合物の量は、単位剤形あたり0.05~1000mg程度が好ましい。注射剤であれば、化合物の量は、単位剤形あたり約0.01~500mgが好ましく、坐剤であれば、化合物の量は、単位剤形あたり約1~1000mgが好ましい。
【0259】
また、このような剤形における薬剤の1日量は、患者の状態、体重、年齢、性別等によって異なり、一概には決定できない。例えば、本発明化合物の成人(体重:50kg)の1日量は、通常0.05~5000mg程度、好ましくは0.1~1000mgであり得る。
【0260】
上記対象に投与される本発明の式(1)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量又は投与レジメンは、例えば、対象の種、症状、体重、年齢又は性別に応じて当業者によって適切に決定され得る。例えば、対象が成人である場合、本発明の式(1)の化合物の量に換算して、通常1日当たり0.05~5000mg、好ましくは0.1~1000mgで投与される。
【0261】
本発明の化合物又はその塩は、KRAS G12D変異陽性癌細胞に対して優れたKRAS阻害活性を有すると共に、野生型KRAS正常細胞よりもKRAS G12D変異に対する選択性に優れている。したがって、本発明の化合物又はその塩は、KRAS G12D変異陽性癌細胞に対する抗腫瘍剤として有用であり、副作用が少ないという利点を有する。
【0262】
本発明の化合物又はその塩は、その優れたKRAS G12D阻害活性により、KRAS機能を阻害し、KRAS関連シグナル伝達関連疾患の予防及び治療のための医薬製剤として有用である。
【0263】
一実施形態では、医薬組成物を製造するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供され得る。一実施形態では、抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供され得る。一実施形態では、経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供され得る。一実施形態では、医薬として使用するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することができる。
【0264】
一実施形態では、腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することができる。一実施形態では、経口投与によって腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することができる。
【0265】
一実施形態では、治療有効量の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、腫瘍を予防及び/又は治療する方法が提供される。一実施形態では、薬学的有効量の1つ以上の他の抗腫瘍薬と組み合わせて、それを必要とする対象に投与される抗腫瘍剤が提供され得る。
【0266】
一実施形態では、治療有効量の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、腫瘍を予防及び/又は治療する方法が提供される。一実施形態では、薬学的有効量の1つ以上の他の抗腫瘍薬と組み合わせて、それを必要とする対象に投与される抗腫瘍剤が提供され得る。
【0267】
KRAS関連シグナル伝達関連疾患におけるRAS関連シグナル伝達に関して、KRASはRAS関連シグナル伝達として種々のシグナル伝達に関与し、KRASは、RAF、PI3K、RAL-GEF等を主に活性化するが、これらに限定されない。疾患の例としては、その発生率を減少させることができ、その機能を欠失させる、抑制する、及び/又は阻害することによってその症状を寛解、緩和、及び/又は完全に治癒することができる疾患が挙げられる。
【0268】
そのような疾患の例としては、限定されないが、腫瘍、癌、自己免疫疾患、マクログロブリン血症等が挙げられる。本開示による癌又は腫瘍としては、限定されないが、腺腫瘍、カルチノイド腫瘍、未分化癌、血管肉腫、腺癌、肉腫、神経腫、胃腸癌(例えば、結腸癌及び直腸癌を含む結腸直腸癌(「CRC」)、胆嚢癌及び胆管癌を含む胆道癌、肛門癌、食道癌、胃(胃)癌、(1又は複数の)消化管カルチノイド腫瘍、(1又は複数の)消化管間質腫瘍(「GIST」)、肝臓癌、十二指腸癌及び小腸癌)、消化器癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、扁平上皮肺癌、大細胞肺癌腫、小細胞肺癌腫、中皮腫、並びに気管支腫瘍及び胸膜肺芽腫等の他の肺癌)、泌尿器癌(例えば、腎臓(腎)癌、腎臓の移行細胞癌(「TCC」)、腎盂及び尿管のTCC(「PDQ」)、膀胱癌、尿道癌、並びに前立腺癌)、頭頸部癌(例えば、眼癌、網膜芽細胞腫、眼内黒色腫、下咽頭癌、咽頭癌、喉頭癌、喉頭乳頭腫症、潜在性原発性口腔(口)癌を伴う転移性扁平上皮頸部癌、口唇癌、喉の癌、中咽頭癌、感覚神経芽細胞腫、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、並びに唾液腺癌)、内分泌癌(例えば、甲状腺癌、副甲状腺癌、多発性内分泌新生物症候群、胸腺腫及び胸腺癌、膵管腺癌(「PDAC」)を含む膵臓癌、膵臓神経内分泌腫瘍及び膵島細胞腫瘍)、乳癌(肝外非浸潤性乳管癌「DCIS」)、小葉上皮内癌(「LCIS」)、トリプルネガティブ乳癌、及び炎症性乳癌)、男性及び女性の生殖器及び/又は生殖器癌(例えば、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、子宮癌、膣癌、外陰癌、妊娠性栄養膜腫瘍(「GTD」)、性腺外胚細胞腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、胚細胞腫瘍、精巣癌及び陰茎癌)、脳及び神経系の癌(例えば、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、頭蓋咽頭腫、中枢神経系(「CNS」)癌、脊索腫、上衣腫、胚性腫瘍、神経芽細胞腫、傍神経節腫及び非定型奇形腫)、皮膚癌(例えば、基底細胞癌腫(「BCC」)、扁平上皮皮膚癌腫(「SCC」)、メルケル細胞癌腫及び黒色腫)、組織及び骨癌(例えば、軟部組織肉腫、横紋筋肉腫、骨の線維性組織球腫、ユーイング肉腫、骨の悪性線維性組織球腫(「MFH」)、骨肉腫及び軟骨肉腫)、心血管癌(例えば、心臓癌及び心臓腫瘍)、虫垂癌、小児及び青年癌(例えば、小児副腎皮質癌腫(adrenocortical carcinoma childhood)、正中路癌腫(midline tract carcinoma)、肝細胞癌腫(「HCC」)、肝芽腫及びウィルムス腫瘍)並びにウイルス誘発癌(例えば、HHV-8関連癌(カポジ肉腫)及びHIV/AIDS関連癌)が挙げられる。いくつかの実施形態では、癌は、肺癌、膵臓癌、直腸癌、結腸癌、又は結腸直腸癌である。一実施形態では、扁平上皮癌は、子宮頸部、足根、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭又は食道の癌である。一実施形態では、腺癌は、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸部、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳房又は卵巣の癌である。一実施形態では、腫瘍は、直腸癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、白血病、又は子宮癌である。一実施形態では、上記から選択される疾患のいずれかに罹患している対象は、KRAS G12D変異体タンパク質を有していなくてもよい。好ましい実施形態では、上記から選択される疾患のいずれかに罹患している対象は、KRAS G12D変異体タンパク質を有する。
【0269】
本開示による癌としては、限定されないが、血液及び形質細胞悪性腫瘍、並びに造血性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節に影響を及ぼす癌)、例えば多発性骨髄腫、白血病及びリンパ腫、骨髄異形成症候群及び骨髄増殖性障害も挙げられる。白血病としては、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性骨髄性(骨髄)白血病(「AML」)、慢性リンパ性白血病(「CLL」)、慢性骨髄性白血病(「CML」)、急性単球性白血病(「AMoL」)、有毛細胞白血病、及び/又は他の白血病が挙げられる。リンパ腫としては、限定されないが、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫(「NHL」)が挙げられる。いくつかの実施形態では、NHLは、B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、NHLとしては、限定されないが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、小リンパ球性リンパ腫(「SLL」)、慢性リンパ性白血病(「CLL」)、マントル細胞リンパ腫(「MCL」)、バーキットリンパ腫、菌状息肉症及びセザリー症候群を含む皮膚T細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症(「WM」))、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫及び/又は他のリンパ腫が挙げられる。
【0270】
一実施形態では、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の他の抗腫瘍剤とを有効成分として含む抗腫瘍剤が提供され得る。一実施形態では、1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む抗腫瘍剤が提供され得る。
【0271】
一実施形態では、抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物又はその塩及び1つ以上の他の抗腫瘍剤の使用が提供され得る。一実施形態では、1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与される抗腫瘍剤の製造のための本発明の化合物又はその塩の使用が提供され得る。
【0272】
一実施形態では、本発明の化合物又はその塩と、腫瘍の治療に使用するための1つ以上の他の抗腫瘍剤との組み合わせが提供され得る。一実施形態では、1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、腫瘍の治療に使用するための本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供され得る。
【0273】
一実施形態では、治療有効量の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1つ以上の他の抗腫瘍剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、腫瘍を治療するための方法が提供され得る。
【0274】
一実施形態では、1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与される、治療有効量の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、腫瘍を治療するための方法が提供され得る。
【0275】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて癌を治療するために使用することができる。言い換えれば、本発明の単一の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本発明の1対以上の化合物若しくはその薬学的に許容される塩は、単一の他の抗腫瘍剤又は1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて使用され得る。
【0276】
本明細書で使用される場合、「他の抗腫瘍剤」は、体内で活性であり、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩とは異なる任意の薬学的に活性な作用物質(又はその薬学的に許容される塩)であり得る。他の抗腫瘍剤としては、プロドラッグ、遊離酸、遊離塩基及び追加の活性剤の薬学的に許容される塩が挙げられる。一般に、化学療法剤又は治療用抗体を含む任意の適切な他の抗腫瘍剤は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩と任意の組み合わせで、単一投与製剤(例えば、固定用量薬物の組み合わせ)、又は薬学的活性剤の対象への同時投与若しくは逐次投与(別個の活性剤の同時投与)を可能にする1つ以上の別個の投与製剤で使用され得る。特定の実施形態では、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩及び他の抗腫瘍剤は、数分離れて、又は数時間離れて、又は数日離れて投与される。更に、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、放射線療法、ホルモン療法、標的療法、手術又は免疫療法と組み合わせて投与することができる。一実施形態では、1つ以上の他の抗腫瘍剤は、上記のような医薬組成物に含まれる。
【0277】
一実施形態では、(1又は複数の)他の抗腫瘍剤は、追加の抗癌剤(抗新生物剤としても知られる)である。本明細書で使用される場合、「抗癌剤」は、体内で癌に対して活性である任意の薬学的に活性な作用物質(又はその薬学的に活性な塩)である。抗癌剤の例としては、化学療法剤(例えば、細胞傷害剤)、免疫療法剤、ホルモン剤及び抗ホルモン剤、標的療法剤、並びに抗血管形成剤が挙げられる。多くの抗癌剤は、これらの群の1つ以上に分類することができる。特定の抗癌剤は、本明細書において(1又は複数の)特定の群又は(1又は複数の)サブグループに分類されているが、これらの薬剤の多くは、当技術分野で現在理解されているように、1つ以上の(1又は複数の)他の群又は(1又は複数の)サブグループ内に列挙することもできる。本明細書における特定の薬剤の特定の群への分類は限定を意図するものではないことを理解されたい。現在、多くの抗癌剤が当技術分野で公知であり、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用することができる。
【0278】
更に、薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレーター、毒素であり得るか、又はより一般的には、その標的(例えば、受容体又は、酵素の活性化若しくは阻害)を阻害若しくは刺激するように作用し得る。例えば、使用に適しているのは、肝細胞増殖因子(分散因子としても知られるHGF)のアンタゴニスト等の増殖因子の活性に特異的に結合し阻害する1つ以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、及びその受容体「c-met」に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域である。
【0279】
一実施形態では、追加の抗癌剤は、化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン剤、抗ホルモン剤、標的療法剤、又は抗血管新生剤(又は血管新生阻害剤)である。一実施形態では、追加の抗癌剤は、化学療法剤、有糸分裂阻害剤、植物アルカロイド、アルキル化剤、代謝拮抗物質、白金類縁体、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、レチノイド、アジリジン、抗生物質、ホルモン剤、抗ホルモン剤、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤、抗副腎剤、アンドロゲン剤、標的療法剤、免疫療法剤、生物学的応答調節剤、サイトカイン阻害剤、腫瘍ワクチン、モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害剤、抗PD-1剤、抗PD-L1剤、コロニー刺激因子、免疫調節剤、免疫調節イミド(IMiD)、抗CTLA4剤、抗LAGl剤、抗OX40剤、GITRアゴニスト、CAR-T細胞、BiTE、シグナル伝達阻害剤、増殖因子阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、細胞周期阻害剤、抗血管新生剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、肝細胞増殖因子阻害剤、TOR阻害剤、KDR阻害剤、VEGF阻害剤、HIF-1α阻害剤、HIF-2α阻害剤、線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害剤、RAF阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、MCL-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、HER-2阻害剤、BRAF阻害剤、遺伝子発現調節剤、自食作用阻害剤、アポトーシス誘導剤、抗増殖剤、及び解糖阻害剤からなる群から選択される。
【0280】
一実施形態では、(1又は複数の)追加の抗癌剤は化学療法剤である。療法剤の非限定的な例としては、有糸分裂阻害剤、並びに植物アルカロイド、アルキル化剤、代謝拮抗物質、白金類縁体、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、レチノイド、アジリジン及び抗生物質が挙げられる。
【0281】
有糸分裂阻害剤及び植物アルカロイドの非限定的な例としては、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、及びテセタキセル等のタキサン;デメコルシン;エポチロン;エリブリン;エトポシド(VP-16);エトポシドリン酸;ナベルビン;ノスカピン;テニポシド;タリブラスチン;ビンブラスチン;ビンクリスチン;ビンデシン;ブフルニン;並びにビノレルビンが挙げられる。
【0282】
アルキル化剤の非限定的な例としては、窒素マスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、シトホスファン、エストラムスチン、イホスファミド、マンノムスチン、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロフォスファミド及びウラシルマスタード;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ストレプトゾトシン、TA-07;エチレンイミン及びメチルアメラミン、例えば、アルトレタミン、チオテパ、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスファミド、トリエチレンホスホラミド及びトリメチロメラミン;アンバムスチン;ベンダムスチン;ダカルバジン;エトグルシド;イロフルベン;マフォスファミド;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;プロカルバジン;テモゾロミド;トレオスルファン;並びにトリアジコンが挙げられる。
【0283】
抗代謝物の非限定的な例としては、葉酸類縁体、例えば、アミノプテリン、デノプテリン、エダトレキセート、メトトレキサート、プテロプテリン、ラルチトレキセド及びトリメトレキセート;プリン類縁体、例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビン、フォロデシン、チアミプリン及びチオグアニン;ピリミジン類縁体5-フルオロウラシル(5-FU)、6-アザウリジン、アンシタビン、アザシチジン、カペシタビン、カルモフル、シタラビン、デシタビン、ジデオキシウリジン、ドキシフィウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、ガロシタビン、ゲムシタビン及びサパシタビン;3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン;ブロクスウリジン;クラドリビン;シクロホスファミド;シタラビン;エミテフル;ヒドロキシ尿素;メルカプトプリン;ネララビン;ペメトレキセド;ペントスタチン;テガフール;及びトロキサシタビンが挙げられる。
【0284】
白金類縁体の非限定的な例としては、カルボプラチン、シスプラチン、ジシクロプラチン、ヘプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン及びトリプラチンテトラニトレートが挙げられる。
【0285】
酵素の非限定的な例としては、アスパラギナーゼ及びペグアスパルガーゼが挙げられる。
【0286】
トポイソメラーゼ阻害剤の非限定的な例としては、アクリジンカルボキサミド、アモナフィド、アムサクリン、ベロテカン、酢酸エリプチニウム、エキサテカン、インドロカルバゾール、イリノテカン、ルトテカン、ミトキサントロン、ラゾキサン、ルビテカン、SN-38、ソブゾキサン及びトポテカンが挙げられる。
【0287】
レチノイドの非限定的な例としては、アリトレチノイン、ベキサロテン、フェンレチニド、イソトレチノイン、リアロゾール、RIIレチナミド及びトレチノインが挙げられる。
【0288】
アジリジンの非限定的な例としては、ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ及びウレドパが挙げられる。
【0289】
抗生物質の非限定的な例としては、挿入抗生物質(intercalating antibiotics);アントラセンジオン;アントラサイクリン;アントラサイクリン系抗生物質、例えば、アクラルビシン、アムルビシン、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、ノガラマイシン、ピラルビシン、バルルビシン;6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン;アクラシノマイシン;アクチノマイシン;オースラマイシン;アザセリン;ブレオマイシン;カクチノマイシン;カリケアマイシン;カラビシン;カルミノマイシン;カルジノフィリン;クロモマイシン;ダクチノマイシン;デトビシン;ドキソルビシン;エソルビシン(esorubicin):エスペラマイシン;ゲルダナマイシン;マルセロマイシン;マイトマイシン;マイトマイシンC;ミコフェノール酸;オリボマイシン;ノバントロン;ペプロマイシン;ポルフィロマイシン;ポフィロマイシン;ピューロマイシン;クエラマイシン;レベッカマイシン;ロドルビシン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;タネスピマイシン;ツベルシジン;ウベニメクス;ジノスタチン;ジノスタチンスチマラマー;及びゾルビシンが挙げられる。
【0290】
一実施形態では、(1又は複数の)追加の抗癌剤は、ホルモン剤及び/又は抗ホルモン剤(すなわち、ホルモン療法)である。ホルモン剤及び抗ホルモン剤の非限定的な例としては、抗アンドロゲン、例えば、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、ダロールタミド、エンザルタミド、フルタミド、ゴセレリン、ロイプロリド及びニルタミドが;抗エストロゲン薬、例えば4-ヒドロキシタモキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、EM-800、フォスフェストロール、フルベストラント、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン及びトリオキシフェン;抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、デキサメタゾン、ミトタン及びトリロスタン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン及びテストラクトン;アバレリクス;アナストロゾール;セトロレリクス;デスロレリン;エキセメスタン;ファドロゾール;フィナステリド;フォルメスタン;ヒストレリン(RL 0903);ヒト絨毛性ゴナドトロピン;ランレオチド;LDI 200(Milkhaus);レトロゾール;リュープロレリン;ミフェプリストン;ナファレリン;ナフォキシジン;オサテロン;プレドニゾン;チロトロピンアルファ;及びトリプトレリンが挙げられる。
【0291】
一実施形態では、(1又は複数の)追加の抗癌剤は免疫療法剤(すなわち、免疫療法)である。免疫療法剤の非限定的な例としては、生物学的応答調節剤、サイトカイン阻害剤、腫瘍ワクチン、モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害剤、コロニー刺激因子及び免疫調節剤が挙げられる。
【0292】
インターフェロン及びインターロイキン等のサイトカイン阻害剤(サイトカイン)を含む生物学的応答調節剤の非限定的な例としては、インターフェロンアルファ/インターフェロンアルファ、例えば、インターフェロンアルファ-2、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-nl、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンアルファ-1、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、及び白血球アルファインターフェロン;インターフェロンベータ、例えば、インターフェロンベータ-1a及びインターフェロンベータ-1b;インターフェロンガンマ、例えば、天然インターフェロンガンマ-1a、インターフェロンガンマ-1b;アルデスロイキン;インターロイキン-1ベータ;インターロイキン-2;オプレルベキン;ソネルミン;タソネルミン;並びにビルリジンが挙げられる。
【0293】
腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、APC 8015、AVICINE、膀胱癌ワクチン、癌ワクチン(Biomira)、ガストリン17免疫原、丸山ワクチン、黒色腫溶解物ワクチン、黒色腫腫瘍崩壊産物ワクチン(New York Medical College)、黒色腫ワクチン(ニューヨーク大学)、黒色腫ワクチン(Sloan Kettering Institute)、TICE(登録商標)BCG(Bacillus Calmette-Guerin)、及びウイルス性黒色腫細胞溶解物ワクチン(Royal Newcastle Hospital)が挙げられる。
【0294】
モノクローナル抗体の非限定的な例としては、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフリベルセプト、アレムツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、CA 125 MAb(Biomira)、癌MAb(Japan Pharmaceutical Development)、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブゾガマイシン、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イブリツモマブチウキセタン、イディオタイプ105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオタイプCEA MAb(Trilex)、イピリムマブ、リンツズマブ、LYM-1-ヨウ素131 MAb(Techni clone)、ミツモマブ、モキセツモマブ、オファツムマブ、多形性上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma)、ラニビズマブ、リツキシマブ及びトラスツズマブが挙げられる。
【0295】
免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例としては、抗PD-1剤又は抗体、例えば、セミプリマブ、ニボルマブ及びペンブロリズマブ;抗PD-L1剤又は抗体、例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブ;抗CTLA-4剤又は抗体、例えば、イピリムマブ;抗LAG1剤;並びに抗OX40剤が挙げられる。
【0296】
コロニー刺激因子の非限定的な例としては、ダルベポエチンアルファ、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、フィルグラスチム、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、レノグラスチム、レリジスチム、ミリモスチム、モルグラモスチム、ナルトグラスチム、ペグフィルグラスチム、及びサルグラモスチムが挙げられる。
【0297】
更なる免疫療法剤の非限定的な例としては、BiTE、CAR-T細胞、GITRアゴニスト、イミキモド、免疫調節イミド(IMiD)、ミスマッチ二本鎖RNA(Ampligen)、レシキモド、SRL 172及びチマルファシンが挙げられる。
【0298】
一実施形態では、追加の(1又は複数の)抗癌剤は、標的療法剤(すなわち、標的療法)である。標的化治療剤としては、例えば、モノクローナル抗体及び小分子薬物が挙げられる。標的療法剤の非限定的な例としては、シグナル伝達阻害剤、成長因子阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、細胞周期阻害剤、血管新生阻害剤、マトリックス-メタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、肝細胞成長因子阻害剤、TOR阻害剤、KDR阻害剤、VEGF阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、MCL-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、HER-2阻害剤、BRAF阻害剤、遺伝子発現調節剤、自食阻害剤、アポトーシス誘導剤、抗増殖剤及び解糖阻害剤が挙げられる。
【0299】
シグナル伝達阻害剤の非限定的な例としては、チロシンキナーゼ阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤、アンロチニブ、アバプリチニブ、アキシチニブ、ダサチニブ、ドビチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、ロニダミン、ニロチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、ペグビソマント、ポナチニブ、バンデタニブ及びEGFR阻害剤が挙げられる。
【0300】
EGFR阻害剤の非限定的な例としては、EGFRの小分子アンタゴニスト、例えば、アファチニブ、ブリガチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ及びオシメルチニブ;並びにその天然リガンドによるEGFR活性化を部分的又は完全に遮断することができる任意の抗EGFR抗体又は抗体断片を含む抗体ベースのEGFR阻害剤が挙げられる。抗体ベースのEGFR阻害剤としては、例えば、Modjtahedi,H.,et al.,1993,Br.J.Cancer 67:247-253;Teramoto,T.,et al.,1996,Cancer 77:639-645;Goldstein et al,1995,Clin.Cancer Res.1:1311-1318;Huang,S.M.,et al.,1999,Cancer Res.15:59(8):1935-40;及びYang,X.,et al.,1999,Cancer Res.59:1236-1243に記載されるもの;モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang,1999前出);Mab C225(ATCCアクセッション番号HB-8508)、又はその結合特異性を有する抗体若しくは抗体断片;特異的アンチセンスヌクレオチド又はsiRNA;アファチニブ、セツキシマブ;マツズマブ;ネシツムマブ;ニモツズマブ;パニツムマブ;及びザルツムマブを挙げることができる。
【0301】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の非限定的な例としては、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン及びボリノスタットが挙げられる。
【0302】
プロテアソーム阻害剤の非限定的な例としては、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、マリゾミブ(サリノスポラミドa)及びオプロゾミブが挙げられる。
【0303】
CDK阻害剤を含む細胞周期阻害剤の非限定的な例としては、アベマシクリブ、アルボシジブ、パルボシクリブ及びリボシクリブが挙げられる。
【0304】
一実施形態では、(1又は複数の)追加の抗癌剤は、限定されないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤;VEGF阻害剤;EGFR阻害剤;TOR阻害剤、例えば、エベロリムス及びテムシロリムス;PDGFRキナーゼ阻害剤、例えば、クレノラニブ;HIF-lα阻害剤、例えば、PX478;ベルズチファン等のHIF-2α阻害剤及び国際公開第2015/035223号に記載されるHIF-2α阻害剤;線維芽細胞増殖因子(FGF)又はFGFR阻害剤、例えばB-FGF及びRG13577;肝細胞増殖因子阻害剤;KDR阻害剤;抗Ang1及び抗Ang2剤;抗Tie2キナーゼ阻害剤;Tekアンタゴニスト(米国特許出願公開第2003/0162712号;米国特許第6,413,932号);抗TWEAK剤(米国特許第6,727,225号);インテグリンのそのリガンドへの結合をアンタゴナイズするADAMジストインテグリンドメイン(米国特許出願公開第2002/0042368号);抗eph受容体及び/又は抗エフリン抗体又は抗原結合領域(米国特許第5,981,245号;同第5,728,813号;同第5,969,110号;同第6,596,852号;同第6,232,447号;及び同第6,057,124号);並びに抗PDGF-BBアンタゴニスト、また同様にPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域を含む抗血管新生剤(又は血管新生阻害剤)である。
【0305】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤の非限定的な例としては、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤、プリノマスタット、RO32-3555及びRS13-0830が挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、例えば、国際公開第96/33172号、国際公開第96/27583号、欧州特許第1004578号、国際公開第98/07697号、国際公開第98/03516号、国際公開第98/34918号、国際公開第98/34915号、国際公開第98/33768号、国際公開第98/30566号、欧州特許第0606046号、欧州特許第0931788号、国際公開第90/05719号、国際公開第99/52910号、国際公開第99/52889号、国際公開第99/29667号、国際公開第1999/007675号、欧州特許第1786785号、欧州特許第1181017号、米国特許出願公開第2009/0012085号、米国特許出願公開第5,863,949号、米国特許第5,861,510号及び欧州特許第0780386号に記載されている。好ましいMMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性がほとんど又は全くないものである。より好ましくは、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、及びMMP-13)と比較してMMP-2及び/又はMMP-9を選択的に阻害するものである。
【0306】
VEGF及びVEGFR阻害剤の非限定的な例としては、ベバシズマブ、セジラニブ、CEP 7055、CP 547632、KRN 633、オランチニブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ペガプタニブオクタナトリウム、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、VEGFアンタゴニスト(Borean、デンマーク国)、及びVEGF-TRAP(商標)が挙げられる。
【0307】
(1又は複数の)他の抗腫瘍剤はまた、限定されないが、2-メトキシエストラジオール、AE 941、アレムツズマブ、アルファ-D148 Mab(Amgen、米国)、アルファスタチン、酢酸アカンコルターブ、アンジオシジン、血管形成阻害剤(SUGEN、米国)、アンジオスタチン、抗Vn Mab(Crucell、オランダ国)、アチプリモド、アキシチニブ、AZD 9935、BAY RES2690(Bayer、ドイツ国、BC1(Genoa Institute of Cancer Research、イタリア国)、ベロラニブ、ベネフィン(Lane Labs、米国)、カボザンチニブ、CDP791(Celltech Group、英国)、コンドロイチナーゼAC、シレンギチド、コンブレタスタチンA4プロドラッグ、CP 564959(OSI、米国)、CV247、CYC381(ハーバード大学、米国)、E7820、EHT0101、エンドスタチン、塩酸エンザスタウリン、ER-68203-00(IVAX、米国)、フィブリノーゲン-E断片、Flk-1(ImClone Systems、米国)、FLT1の形態(VEGFR1)、FR-111142、GCS-100、GW2286(GlaxoSmithKline、英国)、IL-8、イロマスタット、IM-862、イルソグラジン、KM-2550(Kyowa Hakko、日本国)、レナリドミド、レンバチニブ、MAbアルファ5ベータ3インテグリン、第2世代(Applied Molecular Evolution、米国及びMedlmmune、米国)、MAb VEGF(Xenova、英国)、マリマスタット、マスピン(Sosei、日本国)、メタスタチン、モツポラミンC、M-PGA、オンブラブリン、OXI4503、PI 88、血小板因子4、PPI 2458、ラムシルマブ、rBPI 21及びBPI由来の抗血管新生剤(XOMA、米国)、レゴラフェニブ、SC-236、SD-7784(Pfizer、米国)、SDX103(カリフォルニア大学サンディエゴ、米国)、SG292(Telios、米国)、SU-0879(Pfizer、米国)、TAN-1120、TBC-1635、テセバチニブ、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン1阻害剤、Tie-2リガンド(Regeneron、米国)、組織因子経路阻害剤(EntreMed、米国)、腫瘍壊死因子アルファ阻害剤、タンスタチン、TZ93、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子阻害剤、バジメザン、バンデタニブ、バソスタチン、バタラニブ、VE-カドヘリン-2アンタゴニスト、キサントリゾール、XL784(Exelixis、米国)、ziv-アフリベルセプト、及びZD6126を含む、他の抗血管新生剤であってもよい。
【0308】
実施形態では、(1又は複数の)他の抗腫瘍剤は、RAS-RAF-ERK若しくはPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を破壊若しくは阻害する追加の活性剤であるか、又はPD-1及び/又はPD-L1アンタゴニストである。複数の実施形態では、(1又は複数の)他の抗腫瘍剤は、RAF阻害剤、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、MCL-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤、又はモノクローナル抗体、免疫調節イミド(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAGl及び抗OX40剤を含む免疫療法、GITRアゴニスト、CAR-T細胞、及びBiTEである。
【0309】
RAF阻害剤の非限定的な例としては、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、及びベムラフェニブが挙げられる。
【0310】
MEK阻害剤の非限定的な例としては、ビニメチニブ、CI-1040、コビメチニブ、PD318088、PD325901、PD334581、PD98059、レファメチニブ、セルメチニブ及びトラメチニブが挙げられる。
【0311】
ERK阻害剤の非限定的な例としては、LY3214996、LTT462、MK-8353、SCH772984、ラボセルチニブ、ウリキセルチニブ、及び国際公開第2017/068412号に記載されているERKiが挙げられる。
【0312】
PI3K阻害剤の非限定的な例としては、17ヒドロキシウォルトマンニン類縁体(例えば、国際公開第06/044453号);AEZS-136;アルペリシブ;AS-252424;ブパルリシブ;CAL263;コパンリシブ;CUDC-907;ダクトリシブ(国際公開第06/122806号);デメトキシビリジン;デュベリシブ;GNE-477;GSK1059615;IC87114;イデラリシブ;INK1117;LY294002;パロミド529;パキサリシブ;ペリフォシン;PI-103;PI-103塩酸塩;ピクチリシブ(例えば、国際公開第09/036,082号;国際公開第09/055,730号);PIK 90;PWT33597;SF1126;ソノリシブ;TGI 00-115;TGX-221;XL147;XL-765;ウォルトマンニン;及びZSTK474が挙げられる。
【0313】
AKT阻害剤の非限定的な例としては、Akt-1-1(Aktlを阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2),399-408);Akt-1-1,2(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2),399-408);API-59 CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer 91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12 Suppl),3493S-3498S);ペリフォシン、Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15),5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類縁体(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);トリシリジン(Yang et al.(2004)Cancer Res.64,4394-9);トランス-3-アミノ-1-メチル-3-[4-(3-フェニル-5H-イミダゾ[1,2-c]ピリド[3,4-e][1,3]オキサジン-2-イル)フェニル]-シクロブタノール塩酸塩を含むイミダゾオキサゾン化合物(国際公開第2012/137870号);アフアレスチブ;;カピバセルチブ;MK2206;及びパタセルチブ(patasertib)が挙げられる。
【0314】
TOR阻害剤の非限定的な例としては、デフォロリムス;PI-103、PP242、PP30及びTorin1を含むATP競合TORC1/TORC2阻害剤;テムシロリムス、エベロリムス、国際公開第9409010号を含む、FKBP12エンハンサー、ラパマイシン及びそれらの誘導体におけるTOR阻害剤;例えば、国際公開第98/02441号及び国際公開第01/14387号に開示されるようなラパログ、例えば、AP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]ラパマイシン;40エピ-(テトラゾリル)-ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる);32デオキソラパマイシン;16ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパニシン、及び国際公開第05/005434号に開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号、国際公開第94/090101号、国際公開第92/05179号、米国特許第5,118,677号、米国特許第5,118,678号、米国特許第5,100,883号、米国特許第5,151,413号、米国特許第5,120,842号、国際公開第93/111130号、国際公開第94/02136号、国際公開第94/02485号、国際公開第95/14023号、国際公開第94/02136号、国際公開第95/16691号、国際公開第96/41807号、国際公開第96/41807号及び米国特許第5,256,790号に開示される誘導体;並びにリン含有ラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05/016252号)が挙げられる。
【0315】
MCL-1阻害剤の非限定的な例としては、AMG-176、MIK665、及びS63845が挙げられる。
【0316】
SHP2阻害剤の非限定的な例としては、国際公開第2019/167000及び国際公開第2020/022323に記載されるSHP2阻害剤が挙げられる。
【0317】
併用に適した追加の抗癌剤の更なる非限定的な例としては、2-エチルヒドラジド、2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン、ABVD、アセグラトン、アセマンナン、アルドホスアミドグリコシド、アルファラジン、アミフォスチン、アミノレブリン酸、アナグレリド、ANCER、アンセスチム、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍ハーブ、アパジコン、アルグラビン、三酸化ヒ素、アザチオプリン、BAM002(Novelos)、bcl-2(Genta)、ベストラブシル、ビリコダル、ビサントレン、ブロモクリプチン、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、カリクリン、細胞周期非特異的抗腫瘍剤、セロモロイキン、クロドロネート、クロトリマゾール、シタラビンオクホスフェート、DA3030(Dong-A)、デホファミン、デニロイキンジフチトックス、デクスラゾキサン、ジアジコン、ジクロロ酢酸、ジラゼプ、ディスコデルモリド、ドコサノール、ドセルカルセロール、エデルホシン、エフロルニチン、EL 532(Elan)、エルホミチン、エルサミトルシン、エニルウラシル、エタニダゾール、エクシスリンド、フェルギノール、葉酸等の葉酸補充剤、ガシトシン(gacytosine)、硝酸ガリウム、ギメラシル/オテラシル/テガフール合剤(S-1)、グリコピン(glycopine)、ヒスタミン二塩酸塩、HITジクロフェナク、HLA-B7遺伝子療法(Vical)、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、ICE化学療法レジメン、イメキソン、イオベングアン、IT-101(CRLX101)、ラニキダル、LC9018(Yakult)、レフルノミド、レンチナン、レバミソール+フルオロウラシル、ロバスタチン、ルカントン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミルテホシン、ミプロキシフェン、ミトグアゾン、ミトゾロミド、モピダモール、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ナロキソン+ペンタゾシン、ニトラクリン、ノラトレキセド、NSC 631570オクトレオチド(Ukrain)、オラパリブ、P-30タンパク質、PAC-1、パリフェルミン、パミドロネート、パミドロン酸、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、フェナメット、ピシバニル、ピキサントロン、白金、ポドフィリン酸、ポルフィマーナトリウム、PSK(ポリサッカライド-K)、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ラスブリフィジメン、レチノイン酸、レニウムRe186エチドロネート、ロムルチド、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、シゾフィラン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホシン酸、スピロゲルマニウム、ストロンチウム-89クロリド、スラミン、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、タザロテン、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テヌアゾン酸、テトラクロロデカオキシド、トロンボポエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、TLC ELL-12、トシツモマブ-ヨウ素131、トリフルリジンとチピラシルの合剤、トロポニンI(ハーバード大学、米国)、ウレタン、バルスポダル、ベルテポルフィン、ゾレドロン酸、及びゾスキダーが挙げられる。
【0318】
本発明は、癌を治療するための放射線療法と組み合わせて、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本明細書に提供される医薬組成物を使用するための方法を更に提供する。放射線療法を施す技術は当技術分野で公知であり、これらの技術は本明細書に記載の併用療法に使用することができる。この併用療法における本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与は、本明細書に記載されるように決定することができる。
【0319】
放射線療法は、限定するものではないが、外部ビーム療法、内部放射線療法、インプラント放射線、定位的放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永続的又は一時的な組織内近接照射療法を含むいくつかの方法の1つ又は方法の組み合わせによって投与することができる。本明細書で使用される「近接照射療法」という用語は、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位又はその近くで体内に挿入された空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、及びLuの放射性同位体)への曝露を含むことが意図される。本開示の細胞調節剤(cell conditioner)として使用するのに適した放射線源は、固体と液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、放射性核種、例えば固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125、又は光子、ベータ粒子、ガンマ線若しくは他の治療用放射線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質はまた、(1又は複数の)放射性核種の任意の溶液、例えばI-125又はI-131の溶液から作製された流体であってもよく、又はAu-198、Y-90等の固体放射性核種の小粒子を含有する適切な流体のスラリーを使用して放射性流体を生成することができる。更に、(1又は複数の)放射性核種は、ゲル又は放射性マイクロスフェアに具体化することができる。
【0320】
本発明はまた、他の抗腫瘍剤が、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される他の経路、又は同じ経路の他の成分、又は標的酵素の重複するセットさえも調節することが知られている併用療法のための方法を提供する。一実施形態では、そのような療法としては、限定されないが、相乗的又は相加的な治療効果を提供するための、本発明の1つ以上の化合物又はその薬学的に許容される塩と、化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン療法剤、治療用抗体、標的療法剤及び放射線治療との組み合わせが挙げられる。
【0321】
一実施形態では、ヒトKRAS G12D変異体タンパク質を含むRasタンパク質の活性を調節するための方法であって、Rasタンパク質を有効量の本発明の化合物と接触させることを含む方法が提供される。
【0322】
調節される活性の例としては、GTPアーゼ活性、ヌクレオチド交換、エフェクタータンパク質結合、エフェクタータンパク質活性化、グアニン交換因子(GEF)結合、GEFによって促進されるヌクレオチド交換、リン酸放出、ヌクレオチド放出、ヌクレオチド結合、Ras、例えばKRASの細胞内での局在化、Ras、例えばKRASの翻訳後プロセシング、及びRas、例えばKRASの翻訳後修飾が挙げられ、好ましくは、細胞内でのKRAS局在化、KRASの翻訳後プロセシング及びKRASの翻訳後修飾が挙げられる。「調節する、調節すること」は、Ras、例えばKRASタンパク質の活性を増加又は減少させることであり得る。
【0323】
いくつかの実施形態では、Ras、例えば、KRASタンパク質は、生物体の一部を形成する生細胞等の生細胞に存在する。
【0324】
本明細書において、「治療」とは、疾患の治癒若しくは改善を目的として、又は疾患の進行若しくは再発の抑制若しくは症状の緩和を目的として行われる治療を含む。
【0325】
本発明はまた、治療法に使用される本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は治療法における本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明はまた、腫瘍の治療に使用するための、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は腫瘍を治療するための、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用を提供する。本発明はまた、癌の治療に使用するための、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び他の抗腫瘍剤を含む医薬組成物、又は腫瘍を治療するための、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容される塩及び他の抗腫瘍剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0326】
[実施例]
ここで、以下の実施例で説明する特定の実施形態を参照して、本発明を例示するが、これに限定されない。化合物は、例えば、AutoNom(MDL)等の自動命名パッケージを使用して、IUPAC規則を使用して命名されるか、又は化学供給業者によって命名される。実施例で用いた試薬は、特記しない限り、市販品である。
【0327】
シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、Shoko Scientific Co.,Ltd.製のプレパックカラム又はBiotageを用いた。NMRスペクトルには、AL400分光計(400MHz;JEOL Ltd.(JEOL))、Mercury 400(400MHz;Varian)、400MHzのBruker Avance NEO分光計、又は500MHzのBruker Avance III分光計を使用した。
【0328】
テトラメチルシランを含む重水素化溶媒には、テトラメチルシランを内部標準として使用した。その他の場合は、NMR溶媒を内部標準として用いて測定を行った。全てのδ値をppmで示す。マイクロ波反応はBiotage製Initiator(商標)を用いて行った。逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーは以下の条件で行った。
【0329】
カラム:SHISEIDO製CAPCELL PAK C18 AQ、30×50mm、5μm
UV検出:254nm
カラム流量:40mL/分
移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
注入量:1.0mL
基本勾配法:水/アセトニトリル0%~50%(8分)
カラム:Waters製XSelect CSH C18 OBD。130A。5μm。19×100mm
UV検出:254nm
カラム流量:18mL/分
移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
注入量:1.0mL
基本勾配法:水/アセトニトリル15%~40%(8分)
実施例では、以下の略語を使用する。
【表1】
【0330】
調製例1:スキーム1のtert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
【化17】
【0331】
工程1:ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-クロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート
CHCl3(200mL)中のtert-ブチル2,4-ジクロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(20.0g、65.7mmol)の溶液に、TFA(200mL)を室温で添加し、1時間撹拌した。混合物を濃縮して対応するアミンを得、これを更に精製することなく使用した。アミンのCH2Cl2(400mL)中の溶液に、iPr2NEt(40mL)、クロロギ酸ベンジル(15.9mL)及びDMAP(803mg)を0℃で添加した。
【0332】
室温で1時間撹拌した後、CH2Cl2を蒸発させ、混合物をEtOAcで希釈した。有機層をH2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて対応する生成物を得、これを更に精製することなく使用した。
【0333】
生成物のDMA(660mL)溶液に、tert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(34.9g)及びiPr2Net(28.6mL)を室温で添加した。室温で30分間撹拌した後、反応混合物をEtOAc及びH2Oで希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。
【0334】
合わせた有機層をH2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル4-(-8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-クロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(76.0g)を得た。
【0335】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=7.46-7.30(m,5H),5.20(s,2H),4.61(s,2H),4.46-4.19(m,2H),3.89(d,J=12.0 Hz,2H),3.79-3.43(m,2H),3.28(d,J=11.0 Hz,2H),2.80-2.54(m,2H),2.03-1.89(m,2H),1.86-1.72(m,2H),1.51(s,9H)
ESI-MS m/z 514,516(MH+)
工程2:ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート
1,4-ジオキサン(600mL)中のベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-クロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(30.1g、58.5mmol)、シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノール(12.0g)及びCs2CO3(47.7g)の溶液に、Ruphos Pd G3(4.89g)を室温で添加した。100℃で3時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc及びH2Oで希釈した。
【0336】
混合物をセライトで濾過し、分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(20.4g)を得た。
【0337】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=7.51-7.31(m,5H),5.20(s,2H),4.65-4.48(m,2H),4.42-4.18(m,4H),3.91-3.42(m,6H),3.37-2.98(m,3H),2.77-2.54(m,J=4.6 Hz,2H),2.02-1.76(m,4H),1.50(s,9H),0.69-0.62(m,2H),0.62-0.56(m,2H)
ESI-MS m/z 580(MH+)
工程3:tert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
EtOAc(25mL)中のベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(2.5 g)の溶液に、Et3N(1.8mL)及びMsCl(0.50m)を0℃で添加した。室温で30分間撹拌した後、反応混合物をセライトを通して濾過し、EtOAcで洗浄した。
【0338】
濾液を飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させてMs付加物を得、これを更に精製することなく使用した。DMA(25mL)中のMs付加物及びK2CO3(2.98g)の溶液に、THF(21.6mL)中の2M Me2NHを加えた。45℃で3時間撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈した。合わせた有機層をH2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。
【0339】
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製してジメチル生成物を得、これを更に精製することなく使用した。ジメチル生成物のEtOH(50mL)溶液に、炭素担持Pd(OH)2(1.25g)を添加した。H2雰囲気下に置換し、室温で4時間撹拌した後、反応混合物をセライトで濾過し、EtOHで洗浄し、濾液を蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、tert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(1.33g)を得た。
【0340】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=4.42-4.20(m,2H),4.15(s,2H),3.94(s,2H),3.79(d,J=12.3 Hz,2H),3.31-3.08(m,2H),3.05-2.95(m,2H),2.61-2.52(m,2H),2.34(s,2H),2.26(s,6H),2.01-1.80(m,4H),1.51(s,9H),0.69-0.57(m,2H),0.49-0.37(m,2H)
ESI-MS m/z 473(MH+)
以下の合成中間体を、スキーム1の同様の化学作用及びtert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートを調製するために使用した手順を用いて調製した。
【0341】
調製例2:tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
THF中2M Me2NHの代わりに(R)-3-フルオロピロリジンを使用したこと以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=5.31-5.01(m,1H),4.42-4.08(m,4H),3.94(s,2H),3.80(d,J=12.3 Hz,2H),3.20(s,2H),3.07-2.96(m,2H),2.94-2.69(m,3H),2.67-2.40(m,5H),2.23-1.79(m,6H),1.51(s,9H),0.67-0.58(m,2H),0.49-0.41(m,2H)
ESI-MS m/z 517(MH+)
調製例3:tert-ブチル3-(2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
THF中の2M Me2NHの代わりにモルホリンを使用したこと以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。
【0342】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=4.43-4.13(m,4H),3.87-3.73(m,2H),3.73-3.62(m,4H),3.32-3.10(m,2H),3.07-2.94(m,2H),2.80-2.36(m,8H),2.02-1.72(m,6H),1.50(s,9H),0.68-0.60(m,2H),0.44-0.39(m,2H)MASS
ESI-MS m/z 515(MH+)
調製例4:スキーム2の1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン
【化18】
【0343】
工程1:2,4,5-トリブロモナフタレン-1-アミン
DMA(1260mL)中の5-ブロモナフタレン-1-アミン(63g、280mmol)の溶液に、NBS(106g)を0℃で添加した。混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。反応混合物を、H2O(380mL)中のNa2SO3(75g)及びH2O(1100mL)中のNaHCO3(24g)で希釈し、1時間撹拌した。沈殿物を濾過によって回収し、水で洗浄して、2,4,5-トリブロモナフタレン-1-アミン(97g)を紫色固体として得た。
【0344】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ 7.99(s,1H),7.97-7.95(1H,m),7.86-7.84(1H,m),7.31-7.29(1H,m),4.65(2H,brs).
LCMS(ESI):379(M+H)
工程2:1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン
AcOH(780mL)及びプロピオン酸(300mL)中の2,4,5-トリブロモナフタレン-1-アミン(60g、160mmol)の懸濁液に、NaNO2(11g)を0℃にて少しずつ添加し、反応混合物を20分間撹拌した。反応混合物を0℃でH2O(1800mL)で希釈し、1時間撹拌した。スラリーを濾過し、固体をH2Oで洗浄すると、4,5-ジブロモ-2-ヒドロキシナフタレン-1-ジアゾニウムが得られ、これを更に精製することなく使用した。4,5-ジブロモ-2-ヒドロキシナフタレン-1-ジアゾニウムのEtOH(1600mL)懸濁液に、NaBH4(15g)を0℃で少しずつ添加し、反応混合物を30分間撹拌した。
【0345】
混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水(1500mL)及び5M HCl水溶液で希釈した(79mL)。混合物を蒸発させてEtOHを除去し、CHCl3で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で蒸発させて4,5-ジブロモナフタレン-2-オールを得、これを更に精製することなく使用した。
【0346】
CH2Cl2(900mL)中の4,5-ジブロモナフタレン-2-オールの溶液に、iPr2NEt(170mL)及びMOMCl(36m)を0℃で添加した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物をEtOAc及び飽和NaHCO3で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。
【0347】
合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(17.4g)を得た。
【0348】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=7.82(dd,J=1.3,7.4 Hz,1H),7.75-7.71(m,2H),7.41(d,J=2.6 Hz,1H),7.26-7.20(m,J=8.0,8.0 Hz,1H),5.29(s,2H),3.53(s,3H).
以下の合成中間体を、スキーム2の同様の化学反応及び1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレンを調製するために使用した手順を使用して調製した。
【0349】
調製例5:1-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)-8-メチルナフタレン
5-ブロモナフタレン-1-アミンの代わりに5-メチルナフタレン-1-アミンを使用したこと以外は、調製例4に従って標題化合物を得た。
【0350】
1H NMR(500 MHz,クロロホルム-d)δ=7.61-7.59(m,2H),7.34(d,J=2.6 Hz,1H),7.28(t,J=7.4 Hz,1H),7.21(td,J=1.2,6.9 Hz,1H),5.26(s,2H),3.51(s,3H),3.08(s,3H)
調製例6:ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-クロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート
CHCl(100mL)中のtert-ブチル2,4-ジクロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(20.0g、68.9mmol)の溶液に、TFA(100mL)を室温で添加し、窒素雰囲気下で1時間撹拌した。混合物を濃縮して対応するアミンを得、これを更に精製することなく使用した。CHCl(200mL)中のアミンの溶液に、窒素雰囲気下、0℃でiPrNEt(42mL)、クロロギ酸ベンジル(16.7mL)及びDMAP(842mg)を添加した。
【0351】
室温で1時間撹拌した後、CHClを蒸発させ、混合物をEtOAcで希釈した。有機層をHO及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させて対応する生成物を得、これを更に精製することなく使用した。生成物のDMA(400mL)溶液に、tert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(14.6g)及びiPrNEt(12.0mL)を窒素雰囲気下、室温で添加した。
【0352】
室温で1時間撹拌した後、反応混合物をEtOAc及びHOで希釈した。相分離後、有機層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-クロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(22.2g)を得た。
【0353】
ESI-MS m/z 500,502(MH+)
調製例7:ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート
1,4-ジオキサン(445mL)中のベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-クロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(22.2g、44.5mmol)、シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノール(13.6g)及びCsCO(43.5g)の溶液に、Ruphos Pd G3(3.72g)を室温で添加した。
【0354】
100℃で3時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、EtOAc及びHOで希釈した。相分離後、有機層をMgSO上で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(14.4g)を得た。
【0355】
ESI-MS m/z 566(MH+)
調製例8:tert-ブチル3-(2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
工程1:ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート
DMF(10mL)中のベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(1.00g、1.77mmol)、DIPEA(0.92mL、5.30mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(0.275mL、3.54mmol)を0℃で添加し、混合物を同じ温度で30分間撹拌した。
【0356】
混合物にモルホリン(3.1mL、35.4mmol)及び炭酸カリウム(2.00g、14.1mmol)を室温で添加し、50度で更に2日間撹拌した。混合物を室温に冷却し、EtOAc及び水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(1.15g、1.81mmol、定量的)を得た。ESI-MS:[M+H]=635.
工程2:tert-ブチル3-(2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
エタノール(10mL)中のベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(1.15g、1.81mmol)の溶液に、水酸化パラジウム炭素(690mg)を添加し、室温で一晩撹拌した。
【0357】
混合物をセライトのパッドで濾過し、エタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をNH-シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(705mg、1.41mmol、78%)を得た。ESI-MS:[M+H]=501.
調製例9:tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
工程1:ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート
調製例8の工程1と同じ手順を使用して、ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(1.00g、1.77mmol)及び(R)-3-フルオロピロリジンヒドロクロリド(4.44g、35.4mmol)から調製し、標題化合物(1.09g、1.71mmol、97%)を得た。ESI-MS:[M+H]=637.
工程2:tert-ブチル-3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
調製例8の工程2と同じ方法を使用して、ベンジル4-(8-(tert-ブトキシカルボニル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(1.09g、1.71mmol)から調製して、標題化合物(562mg、1.12mmol、63%)を得た。ESI-MS:[M+H]=503.
調製例10:3-ヒドロキシ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸
工程1:3-アミノ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸
酢酸エチル(40mL)-エタノール(15mL)中の8-ヨード-3-ニトロ-ナフタレン-1-カルボン酸1)(1g、2.9mmol)の混合物に、5%Rh/C(0.5g)を添加し、フラスコにHを装入した。混合物を室温で撹拌した。24時間後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、濾液を濃縮乾固すると、粗3-アミノ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸(0.94g)が褐色固体として得られ、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0358】
H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ=5.71(brs,2H),6.87(d,J=2.4 Hz,1H),7.00(dd,J=8.1,7.3 Hz,1H),7.12(d,J=2.4 Hz,1H),7.60(d,J=8.2 Hz,1H),7.8(d,J=7.3 Hz,1H),13.14(brs,1H).
LCMS(ESI):314(M+H)
1)Yakugaku Zasshi,98(3),358-65;1978.
工程2:3-ヒドロキシ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸
1M硫酸水溶液(38mL)中の粗3-アミノ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸(0.94g)の氷冷混合物に、亜硝酸ナトリウム(0.228g、3.3mmol)の水溶液(1mL)をゆっくり滴加した。混合物を1時間撹拌し、室温に加温した。反応混合物を40%硫酸水溶液(108mL)の還流溶液に滴加した。
【0359】
反応混合物を還流下で1時間加熱し、次いで、グラスウールのプラグを通して迅速に熱濾過して不溶性の炭化した物質を除去した。濾液を室温まで冷却し、沈殿物を形成した。沈殿物を濾過によって回収し、水で洗浄して、3-ヒドロキシ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸(0.54g)を得た。
【0360】
H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ=7.13(dd,J=8.1,7.3 Hz,1H),7.22(d,J=2.8 Hz,1H),7.24(d,J=2.8 Hz,1H),7.82(dd,J=8.3,0.8 Hz,1H),8.01(dd,J=7.3,1.2 Hz,1H),10.22(brs,1H).
LCMS(ESI):315(M+H)
調製例11:4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ナフタレン-2-オール
1,2-ジメトキシエタン(56mL)中の4-ブロモナフタレン-2-オール(4.0g、17.9mmol)の溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(5.60g、22mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタン(0.392g、0.480mmol)と酢酸カリウム(5.68g、57.9mmol)との錯体を室温で添加した。
【0361】
混合物を120℃で45分間加熱した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、00~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(3.29g)を得た。ESI-MS:[M+H]=271.
調製例12:2-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
(工程-1)1-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレンの合成
ジクロロメタン(135mL)中の4-ブロモナフタレン-2-オール(6.00g、26.9mmol)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(9.37mL、53.8mmol)を室温で添加した。混合物に、クロロ(メトキシ)メタン(2.43mL、32.3mmol)を0℃で滴下により添加した。混合物を室温で15時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液を添加し、混合物をCHClで抽出した。
【0362】
有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、00~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(7.00g、26.2mmol、97%)を得た。
【0363】
(工程-2)2-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの合成
調製例11と同じ手順を使用して1-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(7.00g、26.2mmol)から調製し、標題化合物(7.63g、24.3mmol、93%)を得た。
【0364】
調製例13:tert-ブチル(1S,4S)-5-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート
tert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル(1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレートを使用したこと以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。
【0365】
ESI-MS m/z 473(MH+)
調製例14:tert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノールの代わりに(2,2-ジフルオロシクロプロパン-1,1-ジイル)ジメタノールを使用したこと以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。
【0366】
ESI-MS m/z 509(MH+)
調製例15:tert-ブチル(1S,4S)-5-(2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート
THF中のtert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート及び2M Me2NHの代わりにtert-ブチル(1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート及びモルホリンを使用した以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。
【0367】
ESI-MS m/z 515(MH+)
調製例16:tert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジメチルシクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノールの代わりに(2,2-ジメチルシクロプロパン-1,1-ジイル)ジメタノールを使用したこと以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。
【0368】
ESI-MS m/z 501(MH+)
調製例17:スキーム3のtert-ブチル(1,8-ジブロモイソキノリン-3-イル)カルバメート
スキーム3
【化19】
【0369】
工程1:2-ブロモ-6-(シアノメチル)ベンゾニトリル
DMSO(15mL)中の水素化ナトリウム(50重量%、2.0g)の混合物に、メチル2-シアノアセテート(4.4mL)を0度で添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物に、DMSO(25mL)中の2-ブロモ-6-フルオロ-ベンゾニトリル(5.0g)の溶液を30分間にわたって滴加し、90℃で2時間撹拌した。混合物に水(90mL)を添加した。100℃で一晩撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、0.1N HCl水溶液(50mL)でクエンチした。同じ温度で2時間撹拌した後、沈殿物を濾過によって回収し、水で洗浄して、2-ブロモ-6-(シアノメチル)ベンゾニトリル(5.41g)を白緑色の粉末として得た。
【0370】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=7.76-7.70(m,1H),7.68-7.64(m,1H),7.59-7.53(m,1H),4.07-4.04(m,2H),1.28(s,2H),0.93-0.83(m,1H).LCMS(ESI):220,222(M+H)
工程2:1,8-ジブロモイソキノリン-3-アミン
ジクロロ酢酸(5mL)中の2-ブロモ-6-(シアノメチル)ベンゾニトリル(1.0g)の混合物に、臭化水素酸(AcOH中30%、4.5mL)を室温で加えた。15分間撹拌した後、反応混合物を飽和KCO水溶液でクエンチした。沈殿物を濾過によって回収し、水で洗浄して、1,8-ジブロモイソキノリン-3-アミン(0.94g)を黄色固体として得た。
【0371】
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ=7.65-7.57(m,2H),7.30-7.24(m,1H),6.70-6.67(m,1H),6.50-6.44(m,2H).LCMS(ESI):303(M+H)
工程3:tert-ブチル(1,8-ジブロモイソキノリン-3-イル)カルバメート
1,8-ジブロモイソキノリン-3-アミン(0.94g)及びジ-tertブチルジカーボネート(7.2mL)の混合物を110℃で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、ジメチルアミン(THF中2.0M、1.5mL)でクエンチした。混合物をCHCl及び水で希釈し、CHClで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル(1,8-ジブロモイソキノリン-3-イル)カルバメート(0.77g)を得た。
【0372】
1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ=8.19-8.15(m,1H),7.88-7.85(m,1H),7.77-7.73(m,1H),7.64-7.53(m,1H),7.40-7.31(m,1H),1.56(s,9H).
調製例18:tert-ブチル3-(2-(((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノールの代わりに(R)-(1-メチルピロリジン-2-イル)メタノールを使用したこと以外は、調製例1に従って標題化合物を得た。
【0373】
ESI-MS m/z 459(MH+)
調製例19:tert-ブチル3-(2-(((2S,4R)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノールの代わりに((2S,4R)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)メタノールを使用した以外は調製例1に従って標題化合物を得た。
【0374】
ESI-MS m/z 477(MH+)
調製例20:tert-ブチル3-(2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノールの代わりに(S)-(1-メチルピロリジン-2-イル)メタノールを使用した以外は調製例1に従って標題化合物を得た。
【0375】
ESI-MS m/z 459(MH+)
調製例21:tert-ブチル(1R,5S)-3-(2-(((2S,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノールの代わりに((2S,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)メタノールを使用した以外は調製例1に従って標題化合物を得た。
【0376】
ESI-MS m/z 489(MH+)
調製例22:tert-ブチル(1-ブロモ-8-ヨードイソキノリン-3-イル)カルバメート
2-ブロモ-6-フルオロベンゾニトリルの代わりに2-フルオロ-6-ヨードベンゾニトリルを使用したこと以外は、調製例17に従って標題化合物を得た。
【0377】
実施例
実施例1:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
tert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(15mg、0.032mmol)、1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(30mg、0.087mmol)及びCs2CO3(0.095mmol)の混合物に、Xantphos(4mg、0.007mmol)及びPd2dba3(3mg、0.003mmol)を室温で添加した。
【0378】
次いで、混合物を脱気し、窒素を再充填した。混合物を110℃で撹拌した。21時間後、反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~30%EtOAc/MeOH)によって精製して、所望の生成物及びジアステレオマーを含有する混合物を得た。
【0379】
混合物をMeOH(0.3mL、7mmol)に溶解し、4M HClジオキサン溶液(1mL、4mmol)を室温で添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を分取HPLCによって精製すると、標題化合物(2.1mg)が得られた。
【0380】
実施例2:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例2を使用したこと以外は、実施例1に従って標題化合物を得た。
【0381】
実施例3:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例3を使用したこと以外は、実施例1に従って標題化合物を得た。
【0382】
実施例4:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール
調製例4の代わりに調製例5を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0383】
実施例5:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例2を使用し、調製例4の代わりに調製例5を使用したこと以外は、実施例1に従って標題化合物を得た。
【0384】
実施例6:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-メチルナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例3を使用し、調製例4の代わりに調製例5を使用したこと以外は、実施例1に従って標題化合物を得た。
【0385】
実施例7:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール
トルエン(1.00mL)中のtert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(100mg、0.212mmol)、1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(183mg、0.529mmol)、及びCs2CO3(345mg,1.06mmol)の混合物に、Xantphos(147mg、0.254mmol)及びPd2dba3(116mg、0.127mmol)を室温で加えた。次いで、混合物を脱気し、窒素を再充填した。混合物を110℃で撹拌した。
【0386】
21時間後、反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を含有する混合物を得た。混合物をジオキサン(4.67mL)に溶解した。混合物に、NaI(87.4mg、0.583mmol)、CuI(11.1mg、0.0583mmol)及びN,N’-ジメチルエチレンジアミン(0.0126mL、0.117mmol)を室温で添加した。混合物を110℃で撹拌した。
【0387】
16時間後、NaI(175mg、1.17mmol)、CuI(22.2mg、0.117mmol)及びN,N’-ジメチルエチレンジアミン(0.0251、0.233mmol)を反応混合物に室温で添加した。3時間後、反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を含有する混合物を得た。混合物をメタノール(0.300mL)に溶解し、4M HClジオキサン溶液(0.600mL、2.4mmol)を室温で添加した。
【0388】
混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を分取HPLCによって精製すると、標題化合物(11.0mg)が得られた。
【0389】
実施例8:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例2を使用したこと以外は、実施例7に従って標題化合物を得た。
【0390】
実施例9:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ヨードナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例3を使用したこと以外は、実施例7に従って標題化合物を得た。
【0391】
実施例10:(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン
工程1:
tert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
DMF(1.2mL)中のtert-ブチル3-(2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(120mg、0.240mmol),3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(82.8mg,0.264mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(50.6mg、0.264mmol),3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オール(35.9mg、0.264mmol)、及びDIPEA(167μL、0.959mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をEtOAc及び水で希釈し、EtOAcで抽出した。
【0392】
有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(120mg、0.150mmol、63%)を得た。ESI-MS:[M+H]=797.
工程2:
tert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
THF(2.1mL)中のtert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(82.2mg、0.103mmol)、CuI(2.0mg,0.0103mmol)、及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物(8.4mg,0.0103mmol)の溶液に、トリエチルアミン(108μL、0.774mmol)及びエチニルトリイソプロピルシラン(116μL、0.516mmol)を添加した。
【0393】
混合物を70℃で9時間撹拌し、室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(84.9mg、0.0997mmol、97%)を得た。ESI-MS:[M+H]=852.
工程3:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)メタノン
HFIP(800μL)中のtert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(84.9mg、0.0997mmol)の溶液に、マイクロ波を150℃で25分間照射し、真空中で濃縮した。
【0394】
残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。ESI-MS:[M+H]=752.
工程4:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン
THF(4.1mL)中の(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)メタノンの溶液にTBAF(THF中1.0M、0.15mL、0.155mmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌し、溶媒を除去した。
【0395】
残渣をRP-HPLCにより精製して、標題化合物(19.5mg、0.0328mmol、2工程で33%)を得た。
【0396】
実施例11;(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン
工程1:
tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
実施例10の工程1と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(120mg、0.239mmol)から調製して、標題化合物(99.8mg、0.125mmol、52%)を得た。ESI-MS:[M+H]=799.
工程2:
tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
実施例10の工程2と同じ手順を使用して3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(60.1mg、0.0752mmol)から調製して、標題化合物(57.2mg、0.0670mmol、89%)を得た。ESI-MS:[M+H]=854.
工程3:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)メタノン
実施例10の工程3と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-1-ナフトイル)-6,7H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(57.2mg、0.0670mmol)から調製し、標題化合物を得た。ESI-MS:[M+H]=754.
工程4:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン
実施例10の工程4と同じ手順を使用して(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)メタノンから調製し、標題化合物(4.83mg、0.00809mmol、2工程で11%)を得た。
【0397】
実施例12;(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン
工程1:
tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
実施例10の工程1と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(20mg、0.0400mmol)から調製して、標題化合物を精製することなく粗生成物として得た。ESI-MS:[M+H]=799.
工程2:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン
TFA(100μL)中のtert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの溶液を室温で15分間撹拌した。TFAを除去した後、残渣をRP-HPLCによって精製して、標題化合物(7.33mg、0.0105mmol、2工程で26%)を得た。
【0398】
実施例13;(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン
工程1:
tert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
実施例10の工程1と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(20mg、0.0400mmol)から調製し、標題化合物を精製することなく粗生成物として得た。ESI-MS:[M+H]=797.
工程2:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン
実施例12の工程2と同じ手順を使用して、tert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートから調製し、標題化合物(9.40mg、0.0135mmol、2工程で34%)を得た。
【0399】
実施例14:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-6-クロロ-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(工程-1)tert-ブチル3-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
1,4-ジオキサン(40mL)中の7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロ-キナゾリン(2.0g、6.05mmol)の溶液に、tert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(1.02g、4.84mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.27mL、30.3mmol)を室温で添加した。混合物を同じ温度で30分間撹拌した。水(200mL)を添加し、沈殿した固体を濾過によって回収し、水及びEtOAcで洗浄し、次いで乾燥させると、標題化合物が黄色固体として得られた。(3.30g)。ESI-MS:[M+H]=507。
【0400】
(工程-2)tert-ブチル3-[7-ブロモ-6-クロロ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
1,4-ジオキサン(2.0mL)中のtert-ブチル3-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(100mg、0.198mmol)の溶液に、[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メタノール(51mg、0.395mmol)及び炭酸セシウム(193mg、0.593mmol)を室温で添加した。混合物を140℃で3時間撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。
【0401】
有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、00~20% MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(60mg)を得た。ESI-MS:[M+H]=600.
(工程-3)tert-ブチル3-[6-クロロ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
1,4-ジオキサン(1.0mL)中のtert-ブチル3-[7-ブロモ-6-クロロ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(60mg、0.0995mmol)の溶液に、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ナフタレン-2-オール(40mg、0.149mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(0.5mL、0.995mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.7mg、0.00498mmol)を室温で添加した。
【0402】
混合物を100℃で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、MeOH/CHCl3で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、標題化合物を得た。ESI-MS:[M+H]=662.
(工程-4)実施例14の合成
クロロホルム(1.0mL)中のtert-ブチル3-[6-クロロ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの溶液に、トリフルオロ酢酸(1mL)を室温で添加した。
【0403】
混合物を同じ温度で30分間撹拌した。濃縮後、残渣をr-HPLCによって精製した。得られた分画をVari-Pureに通し、真空中で濃縮して、標題化合物(20.9mg)を得た。
【0404】
実施例15:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(工程-1)tert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程1と同じ手順を使用して7-ブロモ-2,4-ジクロロ-8-フルオロ-キナゾリン(850mg、2.87mmol)から調製して、標題化合物(550mg、1.16mmol、41%)を得た。ESI-MS:[M+H]=473.
(工程-2)tert-ブチル3-[7-ブロモ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程2と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(75mg、0.159mmol)から調製し、標題化合物を粗試料として得た。ESI-MS:[M+H]=566.
(工程-3)tert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程3と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[7-ブロモ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートから調製し、標題化合物(38mg、0.061mmol、2段階38%)を得た。ESI-MS:[M+H]=628.
(工程-4)実施例15の合成
実施例14の工程4と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(38mg、0.061mmol)から調製し、標題化合物(22mg、0.041mmol、68%)を得た。
【0405】
実施例16:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-8-フルオロ-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)キナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(工程-1)tert-ブチル3-[7-ブロモ-8-フルオロ-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程2と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(75mg、0.159mmol)及び[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メタノール(37mg、0.32mmol)から調製して、標題化合物を粗試料として得た。ESI-MS:[M+H]=550.
(工程-2)tert-ブチル3-[8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程3と同じ手順を使用して3-[7-ブロモ-8-フルオロ-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートから調製し、標題化合物(31mg、0.050mmol、2工程で32%)を得た。ESI-MS:[M+H]=614.
(工程-3)実施例16の合成
実施例14の工程4と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(31mg、0.050mmol)から調製し、標題化合物(22mg、0.044mmol、86%)を得た。
【0406】
実施例17:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル)メトキシ)-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(工程-1)tert-ブチル3-[7-ブロモ-2-[[シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル]メトキシ]-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程2と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(200mg、0.424mmol)及び[シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル]メタノール(164mg、1.27mmol)から調製し、標題化合物(80mg、0.142mmol、33%)を得た。ESI-MS:[M+H]=566.
(工程-2)tert-ブチル3-[2-[[シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル]メトキシ]-8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程3と同じ手順を用いてtert-ブチル3-[7-ブロモ-2-[[シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル]メトキシ]-8-フルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(80mg、0.142mmol)から調製して、標題化合物(32mg、0.0509mmol、36%)を得た。ESI-MS:[M+H]=628.
(工程-3)実施例17の合成
実施例14の工程4と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[2-[[シス-2-(ジメチルアミノ)シクロブチル]メトキシ]-8-フルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(15mg、0.0239mmol)から調製し、標題化合物(5.29mg、0.0100mmol、42%)を得た。
【0407】
実施例18:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,8-ジフルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(工程-1)tert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-6,8-ジフルオロ-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程1と同じ手順を使用して7-ブロモ-2,4-ジクロロ-6,8-ジフルオロ-キナゾリン(500mg、1.59mmol)から調製し、標題化合物(710mg、1.45mmol、91%)を得た。ESI-MS:[M+H]=491.
(工程-2)tert-ブチル3-[7-ブロモ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-6,8-ジフルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程2と同じ手順を使用してtert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-6,8-ジフルオロ-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(100mg、0.205mmol)から調製し、標題化合物(20mg、0.0343mmol、18%)を得た。ESI-MS:[M+H]=584.
(工程-3)tert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-6,8-ジフルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程3と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[7-ブロモ-2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-6,8-ジフルオロ-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(20mg、0.0343mmol)から調製し、標題化合物を粗試料として得た。ESI-MS:[M+H]=646.
(工程-4)実施例18の合成
実施例14の工程4と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-6,8-ジフルオロ-7-(3-ヒドロキシ-1-ナフチル)キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートから調製し、標題化合物(17.5mg、0.0321mmol、93%)を得た。
【0408】
実施例19:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-エチル-8-フルオロキナゾリン-7-イル)ナフタレン-2-オール
(工程-1)7-ブロモ-2,4-ジクロロ-8-フルオロ-6-ヨード-キナゾリンの合成
国際公開第2018/143315号パンフレットに記載の方法で、7-ブロモ-2,4-ジクロロ-8-フルオロ-6-ヨード-キナゾリンを合成した。
【0409】
(工程-2)tert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-6-ヨード-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程1と同じ手順を使用して7-ブロモ-2,4-ジクロロ-8-フルオロ-6-ヨード-キナゾリン(5.30g、12.6mmol)から調製し、標題化合物(3.67g、6.14mmol、49%)を得た。ESI-MS:[M+H]=599.
(工程-3)tert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-6-ビニル-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
THF(62mL)中のtert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-6-ヨード-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(3.67g、6.14mmol)の溶液に、カリウム;トリフルオロ(ビニル)ボラヌイド(905mg、6.76mmol)、1M炭酸ナトリウム水溶液(31mL、30.7mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンとの錯体)(225mg、0.307mmol)を室温で添加した。
【0410】
混合物を60℃で5時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、00~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(2.54g、5.10mmol、83%)を得た。ESI-MS:[M+H]=499.
(工程-4)tert-ブチル3-[2-クロロ-8-フルオロ-7-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-6-ビニル-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
THF(5mL)中のtert-ブチル3-(7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-6-ビニル-キナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(250mg、0.502mmol)の溶液に、2-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(142mg、0.450mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(2.5mL、0.502mmol)、及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンとの錯体)(8.1mg、0.0116mmol)を室温で添加した。
【0411】
混合物を100℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、10~80%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(185mg、0.305mmol、61%)を得た。ESI-MS:[M+H]=605.
(工程-5)tert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-7-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-6-ビニル-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
実施例14の工程2と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[2-クロロ-8-フルオロ-7-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-6-ビニル-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(135mg、0.223mmol)から調製し、標題化合物(40mg、0.0573mmol、26%)を得た。ESI-MS:[M+H]=698.
(工程-6)tert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-6-エチル-8-フルオロ-7-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの合成
メタノール(2mL)中のtert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-8-フルオロ-7-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]-6-ビニル-キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(40mg、0.0573mmol)の溶液に、パラジウム炭素(5mg、0.450mmol)を室温で添加した。
【0412】
混合物を水素雰囲気下にて同じ温度で3時間撹拌した。パラジウムを濾過によって除去した。濾液を真空中で濃縮して、標題化合物を粗試料(40mg、0.0572mmol、99%)として得た。ESI-MS:[M+H]=700.
(工程-7)実施例19の合成
実施例14の工程4と同じ手順を使用してtert-ブチル3-[2-[[1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル]メトキシ]-6-エチル-8-フルオロ-7-[3-(メトキシメトキシ)-1-ナフチル]キナゾリン-4-イル]-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(19mg、0.0271mmol)から調製し、標題化合物(4.11mg、0.00740mmol、27%)を得た。
【0413】
実施例20:4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例13を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0414】
実施例21:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例14を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0415】
実施例22:1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-ブロモイソキノリン-3-アミン
調製例1(60mg)及び調製例17(77mg)のDMF(0.6mL)中の混合物に、DIEPA(0.088mL)を添加し、50℃で3時間撹拌した。混合物をEtOAc及び水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を更に精製することなく使用した。
【0416】
CHCl(0.3mL)中の残渣の溶液に、TFA(0.3mL)を添加し、室温で30分間撹拌した。混合物をCHCl及び飽和NaHCO水溶液で希釈し、CHClで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をRP-HPLCによって精製して、標題化合物(7.9mg)を固体として得た。
【0417】
実施例23:スキーム4の4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール
スキーム4
【化20】
【0418】
工程1:メチル 5-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-5-ヒドロキシ-3-オキソペンタノエート
THF(40mL)中のメチルアセトアセテート(1.5mL、14mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(0.56g、14mmol、パラフィン液体中60%分散液)を0℃で添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。-15℃でn-ブチルリチウム(ヘキサン中8.9mL、14mmol、1.6M)を滴加し、同じ温度で1時間撹拌した。混合物に、-15℃で8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)-1-ナフトアルデヒド(2.6g、8.8mmol)を添加し、混合物を同じ温度で30分間撹拌した。混合物に飽和NH4Cl水溶液を添加し、EtOAcで希釈した。有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、20~60%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(3.4g)を得た。
【0419】
ESI-MS m/z 430(MH3O+)
工程2:メチル6-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボキシレート
ジクロロメタン(36mL)中のメチル5-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-5-ヒドロキシ-3-オキソペンタノエート(3.0g、7.2mmol)の溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.1mL、8.0mmol)を室温で添加し、混合物を2時間撹拌した。0℃で三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体(0.91mL、7.2mmol)を加えた後、EtOAcで希釈した。真空下でジクロロメタンを除去した後、飽和NaHCO3水溶液を混合物に添加し、有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣を精製せずに次の反応に使用した。
【0420】
上記生成物のTHF(36mL)中の溶液に、-78℃でL-セレクトリド溶液(THF中7.2mL、7.2mmol、1M)を加え、同じ温度で撹拌した。追加のL-セレクトリド溶液(0.5mL)を添加し、次いで、飽和NH4Cl水溶液を添加した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(2.3g)を得た。
【0421】
ESI-MS m/z 423(MH+)
工程3:7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-8a-ヒドロキシ-2-(メチルチオ)-3,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オン
MeOH(60mL)及びTHF(20mL)中のメチル6-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボキシレート(2.7g、5.3mmol)及びS-メチルイソチオ尿素硫酸塩(3.0g、11mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(1.4g、27mmol)を室温で添加し、混合物を同じ温度で2時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーター(rotavap)を用いて除去し、ジクロロメタンを残渣に添加した。混合物をH2Oで洗浄し、濃縮して、標題化合物(2.7g)を得た。
【0422】
ESI-MS m/z 481(MH+)
工程4:7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルチオ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート
2,6-ルチジン(20mL)中の7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-8a-ヒドロキシ-2-(メチルチオ)-3,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オン(1.0g、2.1mmol)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.1mL、12mmol)を-10℃で添加し、混合物を室温で10分間撹拌した。-10℃に冷却した後、更なるトリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.1mL、12mmol)を添加し、混合物を室温に加温した。反応が完了した後、混合物にEtOAc及びHCl水溶液(1M)を添加し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、HCl水溶液(1M)及びH2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(0.80g)を得た。
【0423】
ESI-MS m/z 595(MH+)
工程5:tert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルチオ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
DMA(12mL)中の7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルチオ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(1.2g、2.0mmol)の溶液に、tert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.56g、0.51mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.71mL、4.1mmol)を室温で添加した。100℃で10分間撹拌した後、反応混合物をEtOAc及び飽和NH4Cl水溶液で希釈した。有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(1.2g)を得た。
【0424】
ESI-MS m/z 657(MH+)
工程6:tert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルスルフィニル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート及びtert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルスルホニル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
EtOAc(20mL)中のtert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルチオ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.58g、0.88mmol)の溶液に、0℃でm-クロロ過安息香酸(0.20g、0.88mmol、abt.25%水)を添加し、混合物を同じ温度で1時間撹拌した。混合物にNaHCO3水溶液を添加し、有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、60~100%EtOAc/ヘキサン、0~20%MeOH/EtOAc)によって精製して、標題のスルホキシド(0.53g)及びスルホン(38mg)を得た。
【0425】
ESI-MS m/z 673(MH+):スルホキシド
ESI-MS m/z 689(MH+):スルホキシド
工程7:tert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
THF(3mL)中のtert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルスルフィニル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.26g、0.38mmol)及び(1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル)メタノール(0.15mL、1.2mmol)の溶液に、ナトリウムtert-ブトキシド(0.25mL、0.50mmol、THF中2M溶液)を0℃で添加し、混合物を同じ温度で1時間撹拌した。混合物にEtOAc及び水を添加し、有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、10~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(0.24g)を得た。
【0426】
ESI-MS m/z 738(MH+)
工程8:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール(実施例37を参照)
MeOH(0.4mL)中のtert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.24g、0.33mmol)の溶液に、HCl溶液(4mL、16mmol、1,4-ジオキサン中4M)を室温で添加した。30分間撹拌した後、混合物を真空中で濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~40%、MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(0.18g)を得た。
【0427】
工程9:4-(4-((3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-2-オール
DMA(4mL)中の4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール(0.12g、0.20mmol)、ヨウ化銅(I)(7.6mg、0.040mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(28mg、0.040mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(280uL、2.0mmol)の溶液に、(トリイソプロピルシリル)アセチレン(220uL、0.41mmol)を室温で添加した。容器を排気し、窒素を充填し、混合物を110℃で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物をEtOAc及び水で希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~40%、MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(130mg)を得た。
【0428】
ESI-MS m/z 696(MH+)
工程10:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール
THF(2mL)中の4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-2-オール(130mg、0.19mmol)の溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(390uL、0.39mmol、THF中1M溶液)を0℃で添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAc及び水で希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~40%、MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(100mg)を得た。
【0429】
ESI-MS m/z 540(MH+)
工程11:光学分割ラセミ4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オールをキラルカラム(CHIRALPAK IC(4.6mmφ×150mm 5um)、勾配溶出:ヘキサン/EtOH=70/30、添加剤:0.1%ジエチルアミン、流量:1.0mL/分)でのキラルHPLCによって光学的に分離して、4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オールをキラル異性体として得た。
【0430】
実施例24:スキーム5の1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン
スキーム5
【化21】
【0431】
工程1:1:3-(8-ブロモナフタレン-1-イル)シクロヘキサn-1-オン
1,4-ジオキサン(40mL)及びH2O(60mL)中の(8-ブロモナフタレン-1-イル)ボロン酸(10.0g、29.9mmol)及びK3PO4(16.9g、79.7mmol)の溶液に、2-シクロヘキセン-1-オン(3.81g、39.9mmol)を室温で添加した。混合物を脱気し、窒素を充填した。混合物にヒドロキシ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー(550mg、1.20mmol)を加え、65℃で撹拌した。1時間後、K3PO4(16.9g、79.7mmol)を加え、65℃で更に1時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、有機層を分離した。有機層を水で洗浄し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、5~30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(4.04g)を得た。
【0432】
ESI-MS m/z 303(MH+)
工程2:メチル4-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-オキソシクロヘキサン-1-カルボキシレート
THF(20mL)中の3-(8-ブロモナフタレン-1-イル)シクロヘキサン-1-オン(2.0g、6.6mmol)の溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(13mL、13mmol、THF中1.0M)を-78℃で滴加した。混合物を同じ温度で30分間撹拌し、次いで、シアノギ酸メチル(0.79mL、9.9mmol)を添加した。混合物を0℃に加温し、飽和NH4Cl水溶液を混合物に添加した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~25%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(1.4g)を得た。
【0433】
ESI-MS m/z 361(MH+)
工程3:7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2,4(1H,3H)-ジオン
EtOH(16mL)の中の尿素(1.8g、30mmol)、ナトリウムエトキシド(2.1g、30mmol)及びメチル4-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-オキソシクロヘキサン-1-カルボキシレート(1.1g、3.0mmol)の混合物に、マイクロ波を110℃で1時間照射した。混合物に、水(100mL)及びHCl水溶液(5.2mL、31mmol、6M)をゆっくり添加した。沈殿物を濾過し、H2Oですすぎ、乾燥させると、標題化合物(0.68g)が白色固体として得られた。この固体を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0434】
ESI-MS m/z 371(MH+)
工程4:7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2,4-ジクロロ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン
塩化ホスホリル(51mL)中の7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2,4(1H,3H)-ジオン(0.85g、2.3mmol)の溶液を100℃で90分間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~30%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、標題化合物(0.83g)が得られた。
【0435】
ESI-MS m/z 407(MH+)
工程5:tert-ブチル3-(7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
DMA(10mL)中の7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2,4-ジクロロ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン(0.78g、1.9mmol)の溶液に、tert-ブチル3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.43g、2.0mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.77mL、3.8mmol)を室温で添加した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物をEtOAc及び飽和NH4Cl水溶液で希釈した。有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(0.95g)を得た。
【0436】
ESI-MS m/z 583(MH+)
工程6:tert-ブチル3-(7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
1,4-ジオキサン(20mL)中のtert-ブチル3-(7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.56g、0.96mmol)の溶液に、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン(1.5g、1.4mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.96mL、1.9mmol、THF中2M溶液)を室温で添加した。混合物を120℃で3時間撹拌し、次いで、EtOAc及びH2Oで希釈した。有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、30~70%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(0.62g)を得た。
【0437】
ESI-MS m/z 649(MH+)
工程7:tert-ブチル3-(7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
DMA(3mL)中のtert-ブチル-3-(7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(85mg,0.13mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(140uL,0.79mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(41uL、0.52mmol)を0℃で添加した。0℃で30分間撹拌した後、K2CO3(140mg、1.0mmol)及びジメチルアミン(1.3mL、2.6mmol、THF中2.0M溶液)を混合物に添加した。混合物を50℃で3時間撹拌し、次いで、EtOAc及び水で希釈した。有機層を分離し、H2Oで洗浄し、濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、5~40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(73mg)を得た。
【0438】
ESI-MS m/z 676(MH+)
工程8:tert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7-(8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
DMA(3mL)中のtert-ブチル-3-(7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(55mg,0.081mmol)、ヨウ化銅(I)(3.0mg,0.016mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(11mg,0.016mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(110uL,0.81mmol)の溶液に(トリイソプロピルシリル)アセチレン(91uL、0.41mmol)を室温で添加した。容器を排気し、窒素を再充填し、混合物を100℃で撹拌した。反応が完了した後、混合物をEtOAc及び水で希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(54mg)を得た。
【0439】
ESI-MS m/z 779(MH+)
工程9:1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン
ヘキサフルオロ-2-プロパノール(3mL)中のtert-ブチル3-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7-(8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(25mg、0.032mmol)の溶液に、150℃でマイクロ波を1時間照射した。濃縮後、残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~20%MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(13mg)を得た。
【0440】
ESI-MS m/z 679(MH+)
工程10:1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン
THF(2mL)中の1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(13mg、0.019mmol)の溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(38uL、0.038mmol、THF中1M溶液)を0℃で添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物をEtOAc及び水で希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~20%、MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(5.0mg)を得た。
【0441】
工程11:光学分割ラセミ1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミンをキラルカラム(CHIRAL ART SB(4.6mmφ×150mm 5um)、勾配溶出:ヘキサン/EtOH=80/20、添加剤:0.1%ジエチルアミン、流量:1.0mL/分)でのキラルHPLCによって光学的に分離して、1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-エチニルナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミンをキラル異性体として得た。
【0442】
実施例25:4-((1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ヨードナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチル)モルホリン
1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレンの代わりに1,8-ジブロモナフタレンを使用したこと以外は、実施例9に従って標題化合物を得た。
【0443】
実施例26:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例18を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0444】
実施例27:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例19を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0445】
実施例28:4-(4-((1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例15を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0446】
実施例29:1-(1-(((4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-7-(8-ブロモナフタレン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン
調製例1及び1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレンの代わりに調製例14及び1,8-ジブロモナフタレンを使用したこと以外は、実施例1に従って標題化合物を得た。
【0447】
実施例30:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジメチルシクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例16を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0448】
実施例31:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例20を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0449】
実施例32:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-(((2S,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
調製例1の代わりに調製例21を使用した以外は実施例1に従って標題化合物を得た。
【0450】
実施例33:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オール
4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-エチニルナフタレン-2-オールを、tert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルスルフィニル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート及び(1-[(ジメチルアミノ)メチル]シクロプロピル)メタノールの代わりにtert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-(メチルスルホニル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(38mg、0.055mmol)及び[1-(モルホリノメチル)シクロプロピル]メタノール(40mg、0.072mmol)を使用して(上記の工程7~10において)同様の方法で調製した。
【0451】
実施例34:(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン
工程1:
tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ビニル-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート
1,4-ジオキサン(0.5mL)及び水(0.5mL)中のtert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(40mg)、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム(100mg)、K3PO4(21mg)の溶液に、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(4mg)を添加した。混合物を100℃で1時間撹拌し、室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。ESI-MS:[M+H]=699.
工程2:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン
TFA(100μL)中のtert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ビニル-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの溶液を室温で15分間撹拌した。TFAを除去した後、残渣をRP-HPLCによって精製して、標題化合物(3.51mg)を得た。
【0452】
実施例35:(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン
tert-ブチル3-(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル3-(6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレートを使用したこと以外はは、実施例34に従って標題化合物を得た。
【0453】
実施例36:1-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-エチニルイソキノリン-3-アミン
工程1:
1-(4-((3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-ヨードイソキノリン-3-アミン
調製例17の代わりに調製例22を使用した以外は実施例22に従って標題化合物を得た。
【0454】
工程2:
(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ビニルナフタレン-1-イル)メタノン
DMA(4mL)中の1-(4-((3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-8-ヨードイソキノリン-3-アミン(35mg)、CuI(2.0mg)、及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物物(7.8mg)の溶液に、トリエチルアミン(67μL)及びエチニルトリイソプロピルシラン(53μL)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。混合物をCHCl及び水で希釈し、CHClで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。THF(2ml)中の残渣の溶液に、TBAF(0.14mL、1.0M THF溶液)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。THFを除去した後、残渣をRP-HPLCによって精製し、標題化合物を得た。
【0455】
実施例37:4-(4-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-ブロモナフタレン-2-オール
MeOH(0.4mL)中のtert-ブチル3-(7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシレート(0.24g、0.33mmol)の溶液に、HCl溶液(4mL、16mmol、1,4-ジオキサン中4M)を室温で添加した。30分間撹拌した後、混合物を真空中で濃縮した。残渣をNHシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0~40%、MeOH/EtOAc)によって精製して、標題化合物(0.18g)を得た。
【0456】
調製した化合物の情報を以下の表1に列挙する。
【0457】
表中のAbsは、絶対配置を示す。
【表2】











【0458】
試験例1:in vitroでのKRAS G12Dヌクレオチド(GDP-GTP)交換反応に対する化合物の阻害活性の評価
組換えKRAS G12D(以下に記載される方法によって調製される、コンジュゲート化されたN末端Hisタグ、TEVプロテアーゼ切断部位及びKRAS G12D残基1~169(配列番号1))タンパク質、及び切断された組換えSOS1(以下に記載される方法によって調製される、残基564~1049(配列番号2))タンパク質を大腸菌で発現させ、アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
【0459】
組換えKRAS G12Dを調製するため、組換えKRAS G12Dのコドン最適化DNA配列(コンジュゲート化されたN末端Hisタグ、TEVプロテアーゼ切断部位及びKRAS G12D残基1~169(配列番号3))をGeneArt Technology(Life Technologies、米国カリフォルニア州カールスバッド)によって合成した。この構築物を発現ベクターpET28aにサブクローニングし、大腸菌BL21(DE3)株に形質転換した(Novagen、米国ウィスコンシン州マディソン)。
【0460】
形質転換株を、25μg/mLのカナマイシンを含む2LのLuria Broth培地中で37℃の温度で0.6(OD600)の密度まで培養し、次いで、発現のため500mM IPTGで誘導し、更に4時間培養した。細胞ペレットを、50mM Tris-HCl(pH7.5)、200mM NaCl及び100μM TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を含有する氷冷溶解緩衝液に再懸濁した。
【0461】
超音波処理後、破壊された破片を遠心分離によって除去した。上清をNi-NTAアフィニティーゲルに適用し、組換えヒトKRAS(G12D)溶出画分を回収した。回収した画分の緩衝液を、PD-10カラム(GE-Healthcare、米国イリノイ州シカゴ)により、50mM Tris-HCl(pH7.5)、200mM NaCl、10%グリセロール及び5mM DTTを含むバッファーに交換した。
【0462】
切断された組換えSOS1を調製するため、組換えSOS1のコドン最適化DNA配列(コンジュゲートかされたN末端Hisタグ及びTEVプロテアーゼ切断部位を有する残基564~1049(配列番号4))をGeneArt Technology(Life Technologies)によって合成した。この構築物を発現ベクターpET28aにサブクローニングし、大腸菌BL21(DE3)株に形質転換した(Novagen、米国ウィスコンシン州マディソン)。
【0463】
形質転換株を、25μg/mLのカナマイシンを含む2LのTerrific Broth培地中で37℃の温度で0.8(OD600)の密度まで培養し、次いで16℃の温度に移し、400mMのIPTGによる発現のため誘導し、更に16時間培養した。細胞ペレットを、50mM Tris-HCl(pH7.5)、200mM NaCl及び100μM TCEPを含有する氷冷溶解緩衝液に再懸濁した。
【0464】
超音波処理後、破壊された破片を遠心分離によって除去した。上清をNi-NTAアフィニティーゲルに適用し、組換えヒトSOS1溶出画分を回収した。次いで、回収した画分にHisタグ付きTEVプロテアーゼを添加し、氷冷溶解緩衝液で4℃の温度で16時間透析し、Ni-NTA親和性ゲルに適用した。タグ切断組換えヒトSOS1を含むフロースルー画分を回収した。回収した画分の緩衝液を、PD-10カラム(GE-Healthcare)により、50mM Tris-HCl(pH7.5)、200mM NaCl、10%グリセロール及び5mM DTTを含むバッファーに交換した。
【0465】
BODIPY FL(蛍光色素)GDP結合型KRAS G12Dタンパク質を調製するため、50μM KRAS G12Dタンパク質を、0.5mM BODIPY FL GDPと共に、ローディングバッファー(20mM Tris-HCl(pH7.5)、50mM NaCl、1mM DTT及び2.5mM EDTA)中、氷上で1時間インキュベートした。インキュベーション後、MgClを最終濃度10mMまで加え、続いて室温で30分間インキュベートした。
【0466】
混合物をNAP-5カラムに通して遊離ヌクレオチドを除去し、精製BODIPY FL GDP結合KRAS G12Dタンパク質を化合物評価に使用した。
【0467】
組換えKRAS G12DのGDP-GTP交換速度に対する化合物の阻害活性の測定のため、BODIPY FL GDP結合KRAS G12Dタンパク質を、反応緩衝液(20mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM MgCl2、2mM DTT、0.1%Tween 20)中で様々な濃度の化合物と共に25℃で1時間インキュベートした。
【0468】
インキュベーション後、組換えSOS1及びGMPPNP(グアノシン-5’-[(β,γ)-イミド]三リン酸、テトラリチウム塩)(Jena Bioscience GmbH、ドイツ国イェーナ)を添加し、室温で30分間インキュベートして、KRAS G12Dに対するSOS1依存性GDP-GTP交換反応を進行させた。交換反応前後のBODIPY FLの蛍光強度比を算出することにより、BODIPY FL GDPのGMPPNPへの置換を測定した。
【0469】
試験化合物を含まない反応(DMSO対照)からの蛍光比、並びにSOS1及びGMPPNPを含まない反応からの蛍光比をそれぞれ0%及び100%阻害として設定して、阻害%を計算した。IC50値を、XLfitソフトウェア(IDBS、米国マサチューセッツ州ボストン)によるカーブフィッティングを使用して用量滴定曲線から計算した。以下の表(表2)は、試験化合物の阻害活性IC50(nM)を示す。
【表3】
【0470】
試験例2:KRAS-G12D変異株(A-427)に対する増殖阻害活性の測定試験(in vitro)
KRAS-G12D変異ヒト肺癌細胞株であるA-427細胞(ATCC、カタログ番号:HTB-53)を、10%ウシ胎児血清含有E-MEM培地(Fujifilm Wako Pure Chemical Corporation.製)に懸濁した。細胞懸濁液を384ウェルU底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%COガスを含むインキュベータ内で37℃で1日間培養した。
【0471】
本発明化合物をDMSOに溶解し、試験化合物をDMSOで希釈して最終濃度の500倍の濃度とした。DMSO中の試験化合物の溶液を、細胞を懸濁するために使用した培地で希釈し、細胞培養プレートの各ウェルに加えて、0.2%のDMSO最終濃度を得た後、5%COガスを含有するインキュベータ内で37℃で更に3日間培養した。化合物の存在下で3日間培養した後の細胞数をCellTiter-Glo 3D試薬(Promega Corporation製)を用いて測定した。
【0472】
全てのウェルにCellTiter-Glo 3D試薬を加え、10分間混合した。混合30分後、プレートリーダーで発光を測定した。以下の式から増殖阻害率を算出し、50%阻害を達成した試験化合物の濃度(IC50(μM))を決定した。結果を下記表(表3)に示す。
【表4】
【0473】
増殖阻害率(%)=(C-T)/(C)×100
T:試験化合物を加えたウェルにおける発光強度。
【0474】
C:試験化合物を加えなかったウェルにおける発光強度
試験結果は、本発明の化合物がKRAS-G12D変異体細胞株A-427に対して優れた細胞増殖阻害活性を有することを明らかにする。
【0475】
タンパク質配列
組換えKRAS G12D(共役N末端Hisタグ、TEVプロテアーゼ切断部位及びKRAS G12D残基1~169)
MASSHHHHHHSSENLYFQGMTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNTKSFEDIHHYREQIKRVKDSEDVPMVLVGNKCDLPSRTVDTKQAQDLARSYGIPFIETSAKTRQGVDDAFYTLVREIRKHKEK(配列番号1)
切断された組換えSOS1(残基564~1049)
GEEQMRLPSADVYRFAEPDSEENIIFEENMQPKAGIPIIKAGTVIKLIERLTYHMYADPNFVRTFLTTYRSFCKPQELLSLIIERFEIPEPEPTEADRIAIENGDQPLSAELKRFRKEYIQPVQLRVLNVCRHWVEHHFYDFERDAYLLQRMEEFIGTVRGKAMKKWVESITKIIQRKKIARDNGPGHNITFQSSPPTVEWHISRPGHIETFDLLTLHPIEIARQLTLLESDLYRAVQPSELVGSVWTKEDKEINSPNLLKMIRHTTNLTLWFEKCIVETENLEERVAVVSRIIEILQVFQELNNFNGVLEVVSAMNSSPVYRLDHTFEQIPSRQKKILEEAHELSEDHYKKYLAKLRSINPPCVPFFGIYLTNILKTEEGNPEVLKRHGKELINFSKRRKVAEITGEIQQYQNQPYCLRVESDIKRFFENLNPMGNSMEKEFTDYLFNKSLEIEPRNPKPLPRFPKKYSYPLKSPGVRPSNPRPGT(配列番号2)
DNA配列
組換えKRAS G12Dを発現させるために(共役N末端Hisタグ、TEVプロテアーゼ切断部位及びKRAS G12D残基1~169)
ATGGCAAGCAGCCATCATCATCATCATCATAGCAGCGAAAACCTGTATTTTCAGGGCATGACCGAATATAAACTGGTTGTTGTTGGTGCAGATGGTGTTGGTAAAAGCGCACTGACCATTCAGCTGATTCAGAATCATTTTGTGGATGAGTATGATCCGACCATCGAAGATAGCTATCGTAAACAGGTTGTGATTGATGGTGAAACCTGTCTGCTGGATATTCTGGATACCGCAGGTCAAGAGGAATATAGCGCAATGCGTGATCAGTATATGCGTACCGGTGAAGGTTTTCTGTGTGTTTTTGCAATCAACAATACCAAAAGCTTCGAGGATATCCATCATTATCGCGAGCAGATTAAACGTGTGAAAGATAGCGAAGATGTTCCGATGGTTCTGGTTGGTAATAAATGTGATCTGCCGAGCCGTACCGTTGATACCAAACAGGCACAGGATCTGGCACGTAGCTATGGTATTCCGTTTATTGAAACCAGCGCAAAAACCCGTCAGGGTGTTGATGATGCATTTTATACCCTGGTTCGTGAAATCCGCAAACATAAAGAAAAATGA(配列番号3)
組換えSOS1(コンジュゲートされたN末端Hisタグ及びTEVプロテアーゼ切断部位を有する残基564~1049)を発現させるため
ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATGGGTCGCGGATCCGAAAACCTGTATTTTCAGGGCGAGGAGCAGATGAGGCTGCCTAGTGCTGATGTTTATAGATTTGCAGAGCCTGACTCTGAAGAGAATATTATATTTGAAGAGAACATGCAGCCCAAGGCTGGAATTCCAATTATCAAAGCAGGAACTGTTATTAAACTTATAGAGAGGCTTACGTACCATATGTACGCAGATCCCAATTTTGTTCGGACATTTCTTACAACATACAGATCCTTTTGCAAACCTCAAGAACTACTGAGTCTTATAATAGAAAGGTTTGAAATTCCAGAGCCTGAGCCAACAGAAGCTGATCGCATAGCTATAGAGAATGGAGATCAACCCTTGAGTGCAGAACTGAAAAGATTTAGAAAAGAATATATACAGCCTGTGCAACTGCGAGTATTAAATGTATGTCGGCACTGGGTAGAGCACCACTTCTATGATTTTGAAAGAGATGCATATCTTTTGCAACGAATGGAAGAATTTATTGGAACAGTAAGAGGTAAAGCAATGAAAAAATGGGTTGAATCCATCACTAAAATAATCCAAAGGAAAAAAATTGCAAGAGACAATGGACCAGGTCATAATATTACATTTCAGAGTTCACCTCCCACAGTTGAGTGGCATATAAGCAGACCTGGGCACATAGAGACTTTTGACCTGCTCACCTTACACCCAATAGAAATTGCTCGACAACTCACTTTACTTGAATCAGATCTATACCGAGCTGTACAGCCATCAGAATTAGTTGGAAGTGTGTGGACAAAAGAAGACAAAGAAATTAACTCTCCTAATCTTCTGAAAATGATTCGACATACCACCAACCTCACTCTGTGGTTTGAGAAATGTATTGTAGAAACTGAAAATTTAGAAGAAAGAGTAGCTGTGGTGAGTCGAATTATTGAGATTCTACAAGTCTTTCAAGAGTTGAACAACTTTAATGGTGTCCTTGAGGTTGTCAGTGCTATGAATTCATCACCTGTTTACAGACTAGACCACACATTTGAGCAAATACCAAGTCGCCAGAAGAAAATTTTAGAAGAAGCTCATGAATTGAGTGAAGATCACTATAAGAAATATTTGGCAAAACTCAGGTCTATTAATCCACCATGTGTGCCTTTCTTTGGAATTTATCTCACTAATATCTTGAAAACAGAAGAAGGCAACCCTGAGGTCCTAAAAAGACATGGAAAAGAGCTTATAAACTTTAGCAAAAGGAGGAAAGTAGCAGAAATAACAGGAGAGATCCAGCAGTACCAAAATCAGCCTTACTGTTTACGAGTAGAATCAGATATCAAAAGGTTCTTTGAAAACTTGAATCCGATGGGAAATAGCATGGAGAAGGAATTTACAGATTATCTTTTCAACAAATCCCTAGAAATAGAACCACGAAACCCTAAGCCTCTCCCAAGATTTCCAAAAAAATATAGCTATCCCCTAAAATCTCCTGGTGTTCGTCCATCAAACCCAAGACCAGGTACCTAA(配列番号4)
【配列表】
2023512113000001.app
【国際調査報告】