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特表2023-512118睡眠時無呼吸症候群といびきのための装置と方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸症候群といびきのための装置と方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
A61F5/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572262
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021015402
(87)【国際公開番号】W WO2021154930
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/966,797
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522299780
【氏名又は名称】ルブラン デンタル プロダクツ インク.
【氏名又は名称原語表記】LEBLANC DENTAL PRODUCTS,INC.
【住所又は居所原語表記】8678 Louetta Rd.,Suite A,Spring,Texas 77379 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ニーリー キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】ビューエル ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューシエール チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA10
4C098BB15
4C098BD20
(57)【要約】
いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療に有用な下顎骨前方移動装置(MAD)が開示されている。改良されたMADのデザインは、(いびき/OSA治療のために望まれるように)高度な突出位置に設定することができるが、ある程度の側方下顎運動も許容する上部および下部スプリントから構成される。下顎骨の突出量は調節可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の上歯の少なくとも一部を受けるように構成された上部スプリント、患者の下歯の少なくとも一部を受けるように構成された下部スプリント、前記上部スプリントに取り付けられた上部インターフェース、及び前記下部スプリントに取り付けられた下部インターフェース、を含み、前記上部及び下部インターフェースが相互接続し、前記上部スプリントに対して前方向に前記下部スプリントを突き出す、下顎位置を調節するための装置。
【請求項2】
前記上部及び下部インターフェースは、少なくとも1組のレール及び溝接続を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記前方方向を調整するように適合された少なくとも1つのスペーサをさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1組のレールおよび溝接続は、前記レールと溝との間に横方向の空間を構成する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1組のレールおよび溝接続部は、左および右のセットからなる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記上部および下部スプリントは、前記上部および下部インターフェースが相互接続するとき、それぞれに対して非平行な向きで静止するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記左右のセットは、前記上部及び下部スプリントの円弧状部分の左側及び右側で前記上部及び下部スプリントに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1組のレール及び溝接続は、アリ溝形状のレールと対応する形状の溝とからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、シリコーン、ナイロンからなる群より選択される材料から構築される、請求項1記載の装置。ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ化エチレン-プロピレン(FEP)およびこれらの組合せである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのスペーサは、前記レール上で前記スペーサをロックするための特徴を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
前記スペーサをロックするための前記機能は、スナップインインターフェースを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記レールは前記上部スプリントに取り付けられ、前記溝は前記下部スプリントに取り付けられる、請求項2記載の装置。
【請求項13】
前記レールは前記溝より長く、前記溝は前記レール上の停止部によって動きを拘束される、請求項2記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのスペーサが前記溝に挿入され、前記レールが前記溝より短く、前記レールが前記溝内の停止部によって動きを拘束される、請求項3に記載の装置。
【請求項15】
下顎位置を調節するための装置をカスタマイズする方法であって、患者の上顎歯及び下顎歯の少なくとも一部をそれぞれ受け入れるように構成された上顎スプリント及び下顎スプリントを提供することと、前記上顎スプリントに対して前記下腿スプリントが前記患者の口の中で前方に偏るように、少なくとも1セットのレール及び溝接続部を前記上顎スプリント及び下顎スプリントに取り付けることとを含む、方法。
【請求項16】
前記患者による使用のために前記上部及び下部スプリントの互いに対する適合及び位置決めを調節するために、前記上部及び下部スプリントに対する前記少なくとも1組のレール及び溝接続部の位置を保持及び調節するための取付装置を利用することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記取付装置が、前記上部及び下部スプリントの顎及び弧状部分の異なる幅を収容するために横方向に調節する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのレール及び溝接続部を前記上部及び下部スプリントに固着することと、前記固着後に前記取付装置を取り外すこととを更に含む、請求項16に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、特許協力条約国際出願であり、2020年1月28日に出願された「DEVICES AND METHODS FOR SLEEP APNEA AND SNORING」と題する米国仮特許出願第62/966,797号の利益および優先権を主張し、その内容は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、睡眠時無呼吸及びいびきの治療のための装置及び方法に関し、特に下顎調整のための装置及び方法に関し、より詳細には、下顎調整装置の上部及び下部スプリントを位置決め及び保持するための調整可能及び/又はカスタマイズ可能な機構に関する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
いびきは、睡眠中の呼吸閉塞によって引き起こされる患者の上気道の軟組織の振動によって生じる音である。遺伝、体重、年齢、性別、喫煙歴、組織の変形、アルコール使用、アレルギー、及び睡眠姿勢を含むが、これらに限定されない、いびきに関連する多くの要因が存在する。一般的に、いびきをかく人、そしておそらくいびきをかく人の睡眠パートナーは、いびきをかく人のいびきのために睡眠不足になる。睡眠不足は、日中の疲労、免疫系の低下、精神的及び感情的健康の低下、苛立ち及び生産性の欠如、並びに他の問題を引き起こす可能性がある。
【0004】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(「OSA」)は、一定の時間(10秒以上)及び一定の頻度で呼吸が停止することと定義される、潜在的に致死的な睡眠及び呼吸の障害である。呼吸が中断されると、体は再び呼吸を始めるために十分に目を覚ますことによって反応する。OSAの発作は毎晩何百回も起こり、本人は完全に目覚めないこともあるが、大きないびき、窒息、息苦しさといったOSAに特有の症状に気づかないままである。OSAの健康リスクには、高血圧、心臓発作、脳卒中、日中の眠気、うつ病、線維筋痛症、不整脈、代謝不良、短期記憶喪失、体重増加、胃液逆流、高血圧、糖尿病、重度の不安、記憶・集中力障害、朝の頭痛、知的劣化、気分変動・短気、不眠、インポテンツのリスクや発生が含まれます。さらに、多くのOSA患者は、深い段階の睡眠を妨げるように作用する無呼吸事象と覚醒を繰り返すため、十分な睡眠時間を確保できず、日中の慢性的な疲労につながる可能性がある。推定4000万人のアメリカ人が、ある程度のOSAに苦しんでいるが、これらのうち、現在何らかの治療を受けているのはごく一部である。
【0005】
いびき及びOSAは、一般に、舌、口蓋垂、及び軟口蓋を含む様々な組織が弛緩する際の上気道の閉塞によって引き起こされる。いびきは、睡眠中の呼吸の部分的な妨害によって引き起こされ、一方、OSAは、舌及び軟口蓋が喉の奥に倒れて上気道を完全に塞ぎ、それによって呼吸を止め、酸素の流れを制限することによって発生する。
【0006】
いびき及びOSAを低減又は除去するための多くの技術が存在する。気管切開、軟口蓋及び中咽頭の手術、並びに再建手術を含む様々な種類の手術が、いびき及びOSAの治療に利用されている。しかし、手術は費用がかかり、リスクを伴い、常に有効であるとは限らない。OSAの治療のための呼吸療法も利用されており、一般に、大気圧よりも高い圧力で空気/酸素を供給する換気装置タイプのマスクを患者に装着し、一般に連続陽圧システムまたはCPAPシステムとして知られている。この療法には、二段階陽圧(BiPAP)や多段階陽圧(MPAP)など、圧力を変化させるものも使用されている。しかし、これらのシステムは、患者がマスクとその圧力に慣れるのが難しいため、患者のコンプライアンスが著しく損なわれている。また、これらのシステムは騒音が大きく、患者の睡眠パートナーに影響を与える可能性があり、患者と睡眠パートナーがそれぞれ効果的な睡眠をとるために別々の部屋で眠ることになることさえある。すなわち、患者は、しばしば、これらのタイプの呼吸療法を嫌い、したがって、使用を中止する。
【0007】
いびき/OSA解決策の別のクラスには、気道が閉じるのを阻害するために患者の顎を再位置決めするために患者が装着する器具が含まれる。このような器具は、一般に、下顎骨前進装置(MAD)又は下顎骨前進スプリントと呼ばれる。MADは、下顎(下顎)を上顎(上顎)に対して突出した方向(概ね水平方向)にわずかに前進させることで、いびきやOSAを治療する。これにより、上気道の軟部組織が引き締まり、睡眠中の閉塞を防ぐことができる。また、上気道の軟部組織が振動して空気が通過するのを抑制し、いびきを軽減する。MADは一般的に、呼吸療法システム(CPAP、BiPAPなど)よりも扱いにくく、患者さんのコンプライアンスを高めることができる。MADは様々なタイプの医師によって処方されるが、歯に装着することから、MADは一般的に歯科医、矯正歯科医などの指示のもとで製造、装着される。
【0008】
発明の概要
本発明は、睡眠時無呼吸及びいびきの治療のための装置及び方法に関し、特に下顎調整のための装置及び方法に関し、より詳細には、下顎調整装置(MAD)の上部及び下部スプリントを位置付け及び保持するための調整可能及び/又はカスタマイズ可能な機構についての装置及び方法に関するものである。
【0009】
一般に、MAD装置は、人の上顎(上顎)及び下顎(下顎)の少なくとも一部をそれぞれ保持するための上部スプリント及び下部スプリントを含むことができる。スプリントは、一般に、歯科用印象の使用などを通じて、特定の人の顎に適合し、輪郭を描くように形成されてもよいが、標準化または汎用スプリントも利用され得る。上部及び下部スプリントは、一般に、上部スプリント及び顎の一般に水平方向のそれに対してより前方の位置に下部スプリント、従って人の下顎の位置決めを促進する配置で一緒に動作可能に結合され得る。
【0010】
本発明の一態様では、MADは、上部スプリント及び下部スプリントの相対的な位置決めを変化させ得る調節可能な機構を含んでもよい。調節可能な機構は、一般に、下顎の突出した位置決めを通して無呼吸及び/又はいびきを治療するために、下スプリントが上スプリントに対して所望の前方水平位置に設定され得るように、上スプリントと下スプリントとの間の相対的水平差異を設定し得る。いくつかの例示的な実施形態において、調節可能な機構は、一方のスプリントに取り付けられたレール部分と、他方のスプリントに取り付けられた対応する溝部分とを含み、レール部分と溝部分とは、レール部分が溝部分に沿って(またはその逆に)スライドして上部および下部スプリントの相対位置決めを変更し得るように嵌合または相互作用していてもよい。溝部及びレール部はまた、例えば対応する形状(例えば雄-雌接続)を使用するなど、使用中に上部及び下部スプリントが分離するのを防止するためにレール部が溝部内に保持されるような方法で成形されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、上部及び下部スプリントを接続するために、少なくとも2組のレール及び溝部分が含まれてもよい。例えば、顎の左側及び右側の各々に1セットが存在してもよい。レール及び溝部分は、一般に、レール及び溝部分の適切な位置合わせ及びインターフェースを可能にする位置で、上部及び下部スプリントに取り付けられてもよい。
【0012】
他の実施形態では、上部及び下部スプリントを接続する1組のレール及び溝部分のみが存在してもよい。
【0013】
レール又は溝部分はまた、一般に、上部及び下部スプリントの相対的な位置決めが所定の点を越えて進行するのを防止するためのストップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、レール部分は、溝部分に嵌らない部分などの停止部を含んでもよい。停止位置は、例えば、溝部分に嵌らない停止部分を一般的に延長し得るスペーサをレール部分に配置することによって、さらに調整されてもよい。スペーサは、例えば、所定の又は計量されたサイズであってよく、上部スプリントに対する下部スプリントの停止位置を変化させるために必要に応じて挿入されてもよい。スペーサ及び/又はレール部分はまた、スペーサがレール部分上に保持されるように、スペーサを所定の位置にロックすることを補助する特徴を含んでもよい。
【0014】
本発明の別の態様では、MADは、上部スプリントと下部スプリントの間の少量の移動を可能にするための特徴を含んでもよい。上部スプリントと下部スプリントの間の接続が、上部歯(上顎)に対する下部歯(下顎)の横方向の左/右移動を伴う歯ぎしり(ブラキシズム)をする患者に対応するため、又は、例えば、特定の理論に拘束されないが、長期の痛みの原因となり得る顎関節(TMJ)のストレスを防止するために補助するなど、MAD装着者がある程度の顎運動性を有することがあるように完全に堅くないことが望ましいことがある。いくつかの例示的な実施形態では、調整可能機構のレール部分及び溝部分の対応する形状は、例えば、レール部分の形状が溝部分の対応する形状より小さいことによって、それらの間にある程度の空間を含み、一方の部分がインターフェースしながらある程度横方向及び/又は縦方向に移動できるようにしてもよい。
【0015】
本発明のさらなる態様では、調節可能な機構は、適切な水平方向の動きが可能になるように、上部及び下部スプリントに対する調節可能な機構の位置決め及び/又は向きを調節できる装置を利用してMADに取り付けることができる。いくつかの例示的な実施形態では、取付装置は、MADの溝部分を保持するために通過するための開口部と、レール部分が溝部分ともインターフェースし得るようにレール部分の挿入のための開口部とを含んでもよい。これは、例えば、上部および下部スプリントの非平行インターフェースに対応するように、それらが取り付けられたときにそれらの適切な位置合わせおよびポジショニングを確実にするために、上部および/または下部スプリントへの調節可能機構の取り付け時に利用されることがある。取付装置はまた、取付装置が、異なる人々の異なる顎の形状及びサイズに起因して異なり得るスプリントの異なる幅を収容するために横方向にサイズを調整され得るように、調整可能なセクションを含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態において、取付装置は、2つの同一の構成要素から構築されてもよく、その各々は、異なる方向で別の同一の構成要素とインターフェースすることを可能にするために雄および雌部分を含んでもよい。これは、例えば、調節可能な部分を形成するために利用されてもよい。
【0016】
本発明は、上記及び他の利点と共に、本発明の実施形態の以下の詳細な説明から、及び図面に示されるように、最もよく理解され得る。以下の説明は、本発明の様々な実施形態およびその多数の具体的な詳細を示しながら、例示のために与えられており、制限のためのものではない。本発明の範囲内で多くの置換、変更、追加または再配置を行うことができ、本発明は、そのようなすべての置換、変更、追加または再配置を含む。
【0017】
本明細書に添付され、その一部を構成する図面は、本発明の特定の側面を描写するために含まれるものである。本発明、ならびに本発明を備えるシステムの構成要素および動作のより明確な印象は、図面に図示された例示的な、したがって非限定的な実施形態を参照することによってより容易に明らかになるであろうが、同一の参照数字は同一の構成要素を指定するものである。図面に図示された特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、調整可能な機構を有するMADの一実施形態を示す図である。
図1a図1aは、調整可能な機構を有するMADの一実施形態を示す図である。
図2図2は、調節可能な機構のレール部分および溝部分の実施形態を示す図である。
図2a図2aは、調節可能な機構のレール部分および溝部分の実施形態を示す図である。
図2b図2bは、調節可能な機構のレール部分および溝部分の実施形態を示す図である。
図2c図2cは、調節可能な機構のレール部分および溝部分の実施形態を示す図である。
図3図3は、調節可能な機構のエンドストップ、スペーサのセット、およびレール部分を有する溝部分の分解図を示す。
図4図4は、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4a図4aは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4b図4bは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4c図4cは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4d図4dは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4e図4eは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4f図4fは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図4g図4gは、スペーサのための保持特徴部の実施形態を示す図である。
図5図5は、取付装置と、調整可能な機構をMADに取り付ける際のその使用とを示している。
図5a図5aは、取付装置と、調整可能な機構をMADに取り付ける際のその使用とを示している。
図5b図5bは、取付装置と、調整可能な機構をMADに取り付ける際のその使用とを示している。
図5c図5cは、取付装置と、調整可能な機構をMADに取り付ける際のその使用とを示している。
図6図6は、人の顎の位置に対するMADの効果を示す。
図6a図6aは、人の顎の位置に対するMADの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に記載する詳細な説明は、本発明の態様に従って提供される現在例示されている方法、装置、及び組成物の説明として意図されており、本発明が実施又は利用され得る唯一の形態を表すことを意図するものではない。しかしながら、同じ又は同等の機能及び構成要素が、本発明の精神及び範囲内に包含されることも意図される異なる実施形態によって達成され得ることは理解される。
【0020】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野における通常の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の方法、装置及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、例示された方法、装置及び材料が今説明される。
【0021】
本発明は、睡眠時無呼吸及びいびきの治療のための装置及び方法に関し、特に下顎調整のための装置及び方法に関し、より詳細には下顎調整装置(MAD)の上部及び下部スプリントを位置付け及び保持するための調整可能及び/又はカスタマイズ可能な機構に関する装置及び方法に関するものである。
【0022】
一般に、MAD装置は、人の上顎(maxilla)及び下顎(mandible)の少なくとも一部をそれぞれ保持するための上部スプリント及び下部スプリントを含むことができる。図1及び1aは、上顎を収容するための上部スプリント102及び下顎を収容するための下部スプリント104を有するMAD100の一実施形態を示す。図示されるように、上部及び下部スプリント102、104は、歯を保持するためのチャネルを含んでもよく、MADが装着されたときにぴったりとフィットするように、人の歯及び/又は他の解剖学的特徴に実質的に適合するように形成されてもよい。例えば、スプリント102、104は、例えば歯型を使用するなどして、患者の歯の形状に適合するように患者の上下の歯を採取した型を用いて形成されてもよい。材料の量及び各スプリント102、104の大きさは、患者の下顎位置を効果的に調整するために必要な歯列支持の量に依存してもよく、一般に、人の歯又は口に過度のストレスを与えないように十分な材料を利用することが望ましい場合がある。スプリント102、104は、一般に、特定の人の顎に適合して輪郭を描くように形成されてもよいが、標準化または汎用スプリントも利用されてもよく、スプリント102、104は、一般に、人間の顎および歯の通常の形状に適合するように弧状形状を有していてもよい。
【0023】
スプリント102、104は、一般に、例えば、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、シリコーン、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)などの任意の適切な材料から形成されてもよい。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、他の生体適合性ポリマーまたはそれらの任意の組み合わせである。
【0024】
スプリント102、104は、一般に、例えば、3D印刷、フライス加工、射出成形、及び/又は他の適切な方法によって製造することができる。
【0025】
上部及び下部スプリント102、104は、一般に、図1aに例示されるように、上部スプリント102及び顎の一般に水平方向Aにおける位置決めに対してより前方の位置に下部スプリント104、ひいては人の下顎の位置決めを促進する配置で一緒に動作的に結合されてもよい。
【0026】
本発明の一態様では、MAD100は、上部及び下部スプリント102、104の相対的な位置決めを変化させ得る調節可能な機構を含んでもよい。調節可能な機構は、一般に、下顎の突出した位置決めを通して無呼吸及び/又はいびきを治療するために、下スプリント104が上スプリント102に対して所望の前方水平位置に設定され得るように、上及び下スプリント102、104間の相対水平差分を設定し得る。いくつかの例示的な実施形態では、図1及び図1aに図示されているように、調整機構は、上部スプリント102に対して所望の前方水平位置に設定され得る。及び1aにおいて、調節可能な機構は、一方のスプリント(例えば図示されるような上部スプリント102)に取り付けられたレール部分108と、他方のスプリント(例えば図示されるような下部スプリント104)に取り付けられた対応する溝部分106とを含み得、上部及び下部スプリント102、104の相対位置を変更すべくレール部分108が溝部分106に沿って(又はその逆に)スライドし得るようにレール部分108及び溝部分106が嵌合又は相互作用している。
【0027】
図6及び6aは、上顎90及び下顎92の位置決めに対するMAD100の効果を図示している。図6では、MAD100を用いない場合の顎位置の一例を示し、図6aでは、水平方向Aにおいて下顎92を上顎90の前方に移動させた場合の効果を示している。
【0028】
また、溝部及びレール部106、108は、例えば、対応する形状(例えば、雄雌の接続部)を用いるなど、使用中に上下のスプリント102、104が分離しないようにレール部108が溝部106に保持されるような形状であってもよい。図2、2a、2b、2cは、レール部分108と溝部分106との間の対応する接続の実施形態を図示している。図2および2aは、レール部分108の拡大部分108aが、拡大部分108aが保持されるように対応する溝部分106に嵌る蟻溝形状の接続を図示したものである。図2b及び2cは、拡大部108bが対応する溝部分106に嵌合する片側蟻溝形状の接続を用いる別の実施形態を図示している。溝およびレール部分106、108は、一般に、例えば、レール部分108がより長く、溝部分106がレール部分108の長さに沿った移動に限定される、またはその逆の、適切な機能のために互いに対して適切なサイズにすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、図1及び1aに示すように、上部及び下部スプリント102、104を接続するために、少なくとも2組のレール及び溝部分108、106が含まれてもよい。例えば、顎の左側と右側のそれぞれに1セットずつ存在してもよい。レール及び溝部分108、106は、一般に、スプリント102、104の円弧形状の左側及び右側など、レール及び溝部分108、106の適切な位置合わせ及びインターフェースを可能にする位置で上及び下スプリント102、104に取り付けられてもよい。
【0030】
他の実施形態では、上下のスプリント102,104を連結する1組のレール及び溝部分108,106のみが存在してもよい。
【0031】
レール部分108又は溝部分106はまた、一般に、上部及び下部スプリント102、104の相対的位置決めが所定の点を越えて進行するのを防止するためのストップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、図に例示されているように、1、1a、2、2bでは、レール部分108は、レールストップ108cで図示されているように、溝部分106に嵌らない部分などのストップを含んでもよい。停止位置は、例えば、図中のスペーサ109で図示されているように、溝部106に嵌らない停止部分を概して延長し得るスペーサをレール部分108に配置することによって、さらに調整されてもよい。1、1aおよび2においてスペーサ109で図示されているように、スペーサ109は、例えば、所定の又は計量されたサイズであってよく、上部スプリント102に対する下部スプリント104の停止位置を変化させるために必要に応じて挿入されてもよい。
【0032】
他の実施形態では、溝部106は、溝の終端を有するなど、停止部を含んでもよい。図3は、レール部分108を挿入する前に挿入され得る様々な異なるサイズのスペーサ109を有する終端ストップ106aを有する溝部分106の分解図である。一般に、溝部106は、スペーサ109が溝部106に挿入するために利用される場合、対応するレール部分108より長くてもよい。
【0033】
スペーサ109及び/又はレール部分はまた、適用可能なように、レール部分108上又は溝部分106内に保持されるようにスペーサ109を所定の位置にロックすることを支援する特徴を含んでもよい。例えば、摩擦嵌合、図4に示すような保持リッジ108d、図4aに示すようなバンプ108e、図4bに示すようなサイドフック108f、図4cに示すようなアンダーフック108g、及び/又は他の任意の適切な保持特徴などの特徴が利用されてもよい。
【0034】
別の実施形態では、スペーサ109は、一連の窪みのうちの少なくとも1つにスナップする、または他の方法で保持される特徴を含んでもよい。図4d、4e、4fおよび4gは、レール部分108上の窪み108hに保持されるスナップイン特徴部109aを含むスペーサ109の配置を示し、図4e、4f及び4gに示すように異なる窪み108hへの配置によって異なる位置が示される。
【0035】
本発明の別の態様では、MAD100は、上部及び下部スプリント102、104の間の少量の移動を可能にするための特徴を含んでもよい。上部スプリントと下部スプリントの間の接続が、MADを装着する人が、上部歯(上顎)に対する下部歯(下顎)の横方向の左/右移動を伴う歯ぎしり(ブラキシズム)をする患者に対応するため、又は、例えば、特定の理論に縛られることなく、長期にわたる痛みを引き起こすことがある顎関節(TMJ)のストレスを防止するための補助など、ある程度の顎運動性を有することがあるように完全に堅くないことが望ましいことがある。いくつかの例示的な実施形態では、調節機構のレール及び溝部分108、106の対応する形状は、例えば、レール部分108の形状が溝部分106の対応する形状より小さいことによって、それらの間にある程度の空間を含み、一方の部分が相互作用しながらある程度横方向及び/又は縦方向に移動できるようにしてもよい。図2a及び2cは、レール部分108が、依然として保持されながら溝部分106内である程度動くことができるような空間111を提供するように形成されたレール部分108及び溝部分106の例を示している。
【0036】
本発明のさらなる態様において、レール及び溝部分108、106のような調節可能な機構は、適切な水平移動が可能になるように、上部及び下部スプリント102、104に対する調節可能な機構の位置及び/又は向きを調節できる装置を利用してMAD100に取り付けられることができる。これは、人の口の中で定位置にあるとき、上部及び下部スプリント102、104が対応する平行な表面を有しないことがあるので、望ましい場合がある。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態では、図5に示されるように、取付装置200は、MAD100の溝部分106を保持するために通過するための開口202と、レール部分108が溝部分106ともインターフェースし得るようにレール部分108の挿入のための開口204とを含むことができる。これは、例えば、上部及び下部スプリント102、104の非平行なインターフェースに対応するように、それらが取り付けられるときにそれらの適切なアラインメント及び位置決めを確実にするために、上部及び/又は下部スプリント(複数可)102、104への調節可能機構の取り付け中に利用され得る。
【0038】
取付装置200はまた、異なる人々の異なる顎の形状及びサイズに起因して変化し得るスプリント102、104の異なる幅を収容するために、図5aの方向Bに示されるように、取付装置200が横方向にサイズを調整され得るように、調整可能セクション206を含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態において、取付装置200は、2つの同一の構成要素から構築されてもよく、その各々は、異なる方向で別の同一の構成要素とインターフェースすることを可能にするために雄部分および雌部分を含んでもよい。これは、例えば、調整可能部を形成するために利用されてもよい。図5bは、雄及び雌接続部212、214の間の界面に沿って横方向の調節性を有する取付装置200を形成するために別の構成要素210と接続し得るように雄接続部212及び雌接続部214を有する単一の構成要素210を例示している。
【0039】
いくつかの実施形態では、下部スプリント104などのスプリントの1つは、図5cに図示されているように、保持フレーム又は装置に配置されてもよく、取付装置200に挿入されたレール及び溝部分108、106は、下部スプリント104に配置されて付着されてもよい。上部スプリント102は、さらに、下部スプリント104に対して適切な位置に配置され、レールおよび溝部分108、106の上部に固着されてもよい。その後、レール部分108をスライドさせて溝部分106及び取付装置200を解放することにより、接着が完了したら取付装置200を取り外すことができる。接着剤、熱溶着、架橋または重合などの適切な接着方法、および/または他の任意の適切な接着方法を利用することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、レール及び溝部分108、106はまた、3D印刷、フライス加工、射出成形、及び/又は他の適切な方法によって、スプリント102、104と一体的に又は共同製造して形成することができる。
【0041】
本発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、これらの実施形態は単に例示的なものであり、本発明を制限するものではない。要旨及び要約における説明を含む、本発明の例示的な実施形態に関する本明細書の説明は、網羅的であること、又は本明細書に開示された正確な形態に本発明を限定することを意図していない(特に、要旨又は要約内に任意の特定の実施形態、特徴又は機能を含むことは、本発明の範囲を当該実施形態、特徴又は機能に限定することを意図していない)。むしろ、本明細書は、要約または概要に記載された任意のそのような実施形態特徴または機能を含む、特に記載された実施形態、特徴または機能に本発明を限定することなく、当業者が本発明を理解するための文脈を提供するために、例示的実施形態、特徴および機能を記載することが意図されている。本発明の特定の実施形態およびそのための例は、例示の目的のみのために本明細書に記載されているが、関連する技術の当業者が認識し、理解するように、本発明の精神および範囲内で、様々な等価な変更が可能である。示されるように、これらの修正は、本発明の例示された実施形態の前述の説明に照らして本発明になされることができ、本発明の精神および範囲内に含まれることになる。したがって、本発明は、その特定の実施形態を参照して本明細書に記載されてきたが、修正、様々な変更および置換の自由度は、前述の開示において意図されており、いくつかの事例において、本発明の実施形態のいくつかの特徴は、定められた本発明の範囲および精神から逸脱せずに他の特徴の対応する使用なしに採用されることが理解されよう。したがって、特定の状況または材料を本発明の本質的な範囲および精神に適合させるために、多くの修正がなされ得る。
【0042】
本明細書を通じて「一実施形態」、「実施形態」、または「特定の実施形態」または同様の用語への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一実施形態に含まれ、すべての実施形態に必ずしも存在するとは限らないことを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」、「一実施形態において」、または「特定の実施形態において」というフレーズのそれぞれの出現、または同様の用語は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、任意の特定の実施形態の特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の他の実施形態と任意の好適な方法で組み合わせることができる。本明細書で説明及び図示された実施形態の他の変形及び修正は、本明細書の教示に照らして可能であり、本発明の精神及び範囲の一部として考慮されることが理解されるであろう。
【0043】
本明細書では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、構成要素及び/又は方法の例など、多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、関連する技術の当業者は、実施形態が、特定の詳細の1つ以上なしに、または他の装置、システム、アセンブリ、方法、構成要素、材料、部品、および/または同類のものを用いて実施することができる場合があることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、構成要素、システム、材料、または動作は、本発明の実施形態の態様を不明瞭にしないように、具体的に示されず、詳細に説明されない。本発明は、特定の実施形態を用いることによって例示されることがあるが、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、当業者であれば、追加の実施形態が容易に理解でき、本発明の一部であることを認識することができる。
【0044】
本明細書で使用されるように、用語「含む」、「構成する」、「含む」、「有する」、又はそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、要素のリストからなるプロセス、製品、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的にリストされていない他の要素、またはそのようなプロセス、プロセス、物品、または装置に固有の要素を含むことができる。
【0045】
さらに、本明細書で使用される「又は」という用語は、特に指示されない限り、一般に「及び/又は」を意味することが意図される。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aが真(又は存在)であり、Bが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)であり、Bが真(又は存在)、及びA及びBの両方が真(又は存在)であることである。以下の請求項を含む本明細書で使用される場合、「a」または「an」(および先行基が「a」または「an」の場合は「the」)が先行する用語は、請求項内で他に明確に示されない限り(すなわち、参照「a」または「an」が明らかに単数のみまたは複数のみを示すこと)、当該用語の単数と複数の双方を含む。また、本明細書で使用される場合、「中」の意味は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、「中」及び「上」を含む。

図1
図1a
図2
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図5
図5a
図5b
図5c
図6
図6a
【手続補正書】
【提出日】2022-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図1a
図2
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図5
図5a
図5b
図5c
図6
図6a
【国際調査報告】