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特表2023-512120高性能の階層的多機能ナノ複合材のための直交炭素ナノチューブベースナノフォレスト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】高性能の階層的多機能ナノ複合材のための直交炭素ナノチューブベースナノフォレスト
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20230315BHJP
   D01F 9/133 20060101ALI20230315BHJP
   D01F 9/127 20060101ALI20230315BHJP
   C01B 32/168 20170101ALI20230315BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20230315BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230315BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20230315BHJP
   B32B 5/12 20060101ALI20230315BHJP
   B32B 15/02 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B32B9/00 A ZNM
D01F9/133
D01F9/127
C01B32/168
B82Y30/00
B82Y40/00
B32B5/28 Z
B32B5/12
B32B15/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572264
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021015588
(87)【国際公開番号】W WO2021216160
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/966,958
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300123
【氏名又は名称】グッドマン テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】517325098
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ハワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グッドマン,ウィリアム,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ガハセミ-ネジャード,モハマド,ナギ
(72)【発明者】
【氏名】タエブ,ポーリア
(72)【発明者】
【氏名】ミネイ,ブレンデン,マサオ
【テーマコード(参考)】
4F100
4G146
4L037
【Fターム(参考)】
4F100AA12
4F100AA12D
4F100AA14
4F100AA14D
4F100AA15D
4F100AA16
4F100AA16D
4F100AA17
4F100AA18D
4F100AA19
4F100AA20D
4F100AA25
4F100AA37
4F100AA37C
4F100AB01D
4F100AB03D
4F100AB04D
4F100AB10D
4F100AB11
4F100AB11D
4F100AB17D
4F100AB18D
4F100AG00C
4F100AG00D
4F100AK18E
4F100AK47C
4F100AK49
4F100AK53
4F100AK79
4F100AT00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10D
4F100DG01A
4F100DG01B
4F100DG11C
4F100DH01C
4F100DH02C
4F100EJ19
4F100JA20A
4F100JA20B
4F100JB12
4F100JB13
4F100JB16
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00D
4G146AA11
4G146AB06
4G146AB07
4G146AD17
4G146BA12
4G146BA48
4G146BB23
4G146BC09
4G146BC23
4G146BC25
4G146BC26
4G146BC33B
4G146BC42
4G146BC44
4G146CB01
4G146CB03
4G146CB19
4G146CB35
4G146DA03
4G146DA26
4G146DA28
4L037CS03
4L037FA01
4L037FA03
4L037FA04
4L037FA20
4L037PA05
4L037PA11
(57)【要約】
複合材の横断方向及び面内方向の両方における強度、靱性及び他の特性を向上させるための強化材及びその製造方法。強化材は、垂直ナノチューブ又はナノワイヤのナノフォレストの層と、水平ナノチューブ又はナノワイヤの層とを有する。強化材は、垂直ナノフォレストを圧延して、水平ナノチューブ又はナノワイヤの圧潰された層を生成し、次いで、圧潰された層上に垂直ナノフォレストを成長させることによって作製できる。強化材は、複合材料を強化するために使用される繊維上に直接成長させることができ、あるいは複合部品を硬化させる前にそれらの繊維の層と交互配置することができる。強化材及び製造方法は、エポキシ、ポリマー、又はセラミックマトリックス複合材を含む任意の形状のほぼ全ての複合材料、あるいはプリプレグ、ウェットレイアップ、及びマトリックスフィルム積層を含む任意の製造方法に適合する。本発明は、複合材製造のためのスクラップ、再加工、及び修理時間を短縮する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノフォレストベースの強化材であって、
実質的に垂直に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含むナノフォレストを含む第1の層と、
実質的に水平に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含む第2の層と、を備える、ナノフォレストベースの強化材。
【請求項2】
前記第1の層は約10ミクロン~約20ミクロンの高さを有する、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項3】
前記第2の層は約5ミクロン~約10ミクロンの高さを有する、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項4】
約50ミクロン未満の全高を有する、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項5】
前記ナノチューブ又はナノワイヤは、炭素、BN、Si、CuO、又はZnOを含む、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項6】
複数の繊維強化材層と交互配置された請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材の複数の層を含む複合部品。
【請求項7】
前記ナノフォレストベースの強化材は前記繊維強化材層上に直接成長した、請求項6に記載の複合部品。
【請求項8】
硬化エポキシ、硬化熱硬化性ポリマー樹脂、硬化熱可塑性ポリマー樹脂、硬化ポリイミド樹脂、硬化ビスマレイミド樹脂、及びセラミック化プレセラミックポリマーからなる群から選択される材料を含むマトリックスを含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項9】
前記繊維強化材層は、炭素、ガラス、ケブラー、スペクトラ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項10】
各繊維強化材層は布を含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項11】
平坦な、湾曲した、曲線状の、又は多曲率の幾何学的形状を含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項12】
ナノフォレストベースの強化材を製造する方法であって、
基板上にナノチューブ又はナノワイヤを含む第1のナノフォレストを成長させるステップであって、前記ナノチューブ又はナノワイヤは基板の表面に対して実質的に垂直に配向されている、成長させるステップと、
前記ナノフォレストを圧延して、前記基板の前記表面に対して実質的に平行に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含む圧潰された層を形成するステップと、
前記圧潰された層上にナノチューブ又はナノワイヤを含む第2のナノフォレストを成長させるステップであって、前記ナノチューブ又はナノワイヤは前記基板の前記表面に対して実質的に垂直に配向されている、成長させるステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記圧延ステップの前に前記基板から前記第1のナノフォレストを除去するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記圧延ステップの前に前記ナノフォレストを2枚のポリテトラフルオロエチレンシートの間に配置するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記圧延ステップの前に前記ナノフォレストを2枚の金属シートの間に配置するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
各金属シートは、アルミニウム、鋼、銅、又は亜鉛を含み、約1mmの厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記圧延ステップの前に前記ナノフォレストを2枚のポリテトラフルオロエチレンシートの間に配置し、次いで、前記ナノフォレスト及び前記2枚のポリテトラフルオロエチレンシートを2枚の金属シートの間に配置するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
各金属シートは、アルミニウム、鋼、銅、又は亜鉛を含み、約1mmの厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1のナノフォレストを成長させる前記ステップの前に前記基板上に触媒層を堆積させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
複合部品を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップと、
前記ナノフォレストベースの強化材を含む複数の層を複数の繊維強化材層と交互配置するステップと、
前記複合部品を硬化させるステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記基板の材料は、ケイ素、酸化ケイ素、鋼、ステンレス鋼、炭化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルミナ、石英、ガラス、石英ガラス、及び銅からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記交互配置ステップの前に前記ナノフォレストベースの強化材から前記基板を除去するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記繊維強化材層はプリプレグ層を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記硬化ステップの前に前記交互配置されたナノフォレストベースの強化材層及び繊維強化材層を液体マトリックス材料で湿潤させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記液体マトリックス材料は、エポキシ、熱硬化性ポリマー樹脂、熱可塑性ポリマー樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、及びプレセラミックポリマーからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化ステップの前に前記交互配置されたナノフォレストベースの強化材層及び繊維強化材層を複数のマトリックスフィルム層と積層するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
複合部品を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップであって、前記基板は繊維強化材布を含む、ステップと、
前記繊維強化材布の複数の層を積層するステップと、
前記複合部品を硬化させるステップと、を含む、方法。
【請求項28】
前記硬化ステップの前に前記積層された層を液体ポリマーマトリックス材料で湿潤させるステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記硬化ステップの前に前記層を複数のマトリックスフィルム層と積層するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
複合部品を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップと、
ウェットレイアップ、プリプレグレイアップ、自動又は手動のウェットレイアップ又はプリプレグロールラッピング、熱硬化性複合材又は熱可塑性複合材用のテープ積層、室温硬化、オートクレーブ硬化、内部オートクレーブ処理、オートクレーブ外処理、樹脂トランスファ成形(RTM)、開放型又は閉鎖型真空アシスト樹脂トランスファ成形(VARTM)、反応射出成形(RIM)、構造反応射出成形(SRIM)、弾性リザーバ成形(ERM)、シート成形コンパウンド(SMC)、圧縮成形、共硬化サンドイッチ構造製造、引抜成形、ダイアフラム成形/形成、ハイドロフォーミング、熱成形、及びマッチドダイ成形からなる群から選択される製造方法を使用して、前記ナノフォレストベースの強化材を前記複合部品に組み込むステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年1月28日に出願された「Orthogonal Carbon-Nanotube-Based Nanoforest For High-Performance Hierarchical Multifunctional Nanocomposites」と題する米国仮特許出願第62/966,958号の出願の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載]
本発明は、海軍研究局によって授与された契約番号N68335-20-C-0493の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、多機能の構造用ナノ複合材及び非構造用ナノ複合材のためのナノ強化材に関する。
【0004】
以下の説明は、いくつかの刊行物及び参考文献を参照することができることに留意されたい。本明細書におけるそのような刊行物の議論は、科学的原理のより完全な背景のために与えられており、そのような刊行物が特許性決定の目的のための先行技術であることの承認として解釈されるべきではない。
【0005】
ナノ複合材の分野は、構成相の少なくとも1つが100nm未満の次元を有する多相材料の研究を含む。これは、原子及び分子の相互作用に関連する現象が材料の巨視的特性に強く影響する範囲である。ナノ複合材の構成要素はナノスケールであり、ナノ材料は膨大な表面積を有するため、混合相間には多数の界面が存在する。ナノ複合材の特別な特性は、界面及び/又は相間領域におけるその相の相互作用から生じる。対照的に、炭素繊維などのマイクロメートルサイズの充填剤を利用する従来の複合材では、充填剤とマトリックス構成要素との間の界面の表面対体積比は、バルク材料よりもはるかに小さく、したがって、それらがホスト構造の特性に及ぼす影響の程度ははるかに小さい。ナノ複合材の有望性は、その多機能性、すなわち、従来の材料では達成できない様々な特性の独自の組み合わせを実現する可能性にある。近年のナノテクノロジーへの強い関心が動機となって、ナノ複合材の開発は、急速に発展しつつある複合材研究分野の1つとなっている。
【0006】
繊維強化複合材を扱う科学者及び技術者は、数十年にわたってミクロンレベルでの加工及び製造におけるこの「ボトムアップ」アプローチを実践してきた。複合材を設計する場合、材料特性は、様々な長さスケール(例えば、ミクロサイズからマクロサイズへ)にわたって所望の性能に合わせて調整される。マトリックス及び繊維材料及び構造の選択及び処理から、積層複合材における薄層のレイアップ、最終的には巨視的な複合部品のネット形状形成に至るまで、複合材処理に使用される総合的なアプローチは、ナノ複合材の開発以前から「ボトムアップ」アプローチ(ミクロンレベルではあるが)を上手く使用した顕著な例である。
【0007】
将来の複合材は、今日の複合材よりも多くの進歩をもたらすであろう。様々なナノ粒子の製造及び特性評価における最近の開発は、様々な用途向けのナノ複合材を開発する多くの新しい機会を生み出した。カーボンナノチューブ(CNT)強化ナノ複合材の開発は、高い機械的減衰、強度、破壊歪み、破壊靭性、並びに導電性及び熱伝導性を有するポリマーナノ複合材を含む広範囲の用途において有望であると同時に、それらの熱膨張係数を低下させると考えられる。しかしながら、構造強化材としてCNTの使用は、マトリックスからナノチューブへの荷重伝達能力に依存する。
【0008】
強化されていない対応物と比較して、CNT強化複合材の面内機械的特性の有意な改善が報告されている。一例では、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)/エポキシナノ複合材の圧縮弾性率は引張弾性率よりも高く、圧縮時の複合材中のナノチューブへの荷重伝達がはるかに高いことを示している。開発されたナノ複合材の強度、破壊歪み、及び破壊靭性を改善するために、エポキシ及びポリエステルにナノ材料が使用されてきた。宇宙、航空宇宙(商業及び軍事の両方)、自動車、通信、スポーツ用品、並びに再生可能エネルギー分野におけるそれらの重要性及び有用性を考慮して、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)及びガラス繊維強化ポリマー(GFRP)が現在広く研究及び使用されている。これは、この種の材料が、優れた特性、低重量、高い破壊靱性、及び比較的高い強度を有するためである。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に、強度、剛性、靭性、減衰特性、導電性及び熱伝導性を改善し、CTE(熱膨張係数)特性を低下させた高性能複合材を開発するために、カーボンナノチューブのナノフォレストを織布の表面上に成長させたことが開示されている。ナノテープ技術は、ウェットレイアップ又はプリプレグのいずれかによって複合材層の間に交互配置することができる。
【0010】
2つの異種材料を接合する目的でナノスケール材料を接着剤に組み込むことの影響は、十分に調査されていない。これは、機能の大きなばらつき、幾何学的形状の複雑さ、材料の不適合性、及び動作条件に起因し得る。構造的に結合された接合部は、様々な位置で、また様々な故障形態で故障する可能性がある。接着剤を使用して複合材を接合する場合、幾何学的構成、被着材の材料、接着剤、及び製造プロセスに応じて、接着剤又は被着材に故障が発生又は開始する可能性がある。
【0011】
機械的ファスナを使用して複合材を接合するために、通常、切り欠き(円形孔など)が構造に導入される。このような穴の存在は、金属、合金、セラミック、及びポリマーなどの等方性材料では3倍、複合材などの異方性材料では3倍未満に応力集中を増加させる。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一実施形態は、ナノフォレストベースの強化材であって、実質的に垂直に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含むナノフォレストを含む第1の層と、実質的に水平に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含む第2の層と、を備える、ナノフォレストベースの強化材である。第1の層は、好ましくは、約10ミクロン~約20ミクロンの高さを有する。第2の層は、好ましくは、約5ミクロン~約10ミクロンの高さを有する。ナノフォレストベースの強化材は、好ましくは、約50ミクロン未満の全高を有する。ナノチューブ又はナノワイヤは、任意選択的に、炭素、BN、Si、CuO、又はZnOを含む。前述の要素又は特徴はいずれも、他の前述の要素又は特徴の1つ以上と任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0013】
本発明の別の実施形態は、複数の繊維強化材層と交互配置された前述のナノフォレストベースの強化材の複数の層を含む複合部品である。ナノフォレストベースの強化材は、任意選択的に繊維強化材層上に直接成長する。複合部品は、好ましくは、エポキシ、熱硬化性ポリマー樹脂、熱可塑性ポリマー樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、及びプレセラミックポリマーからなる群から選択される硬化材料を含むマトリックスを含む。繊維強化材層は、任意選択的に、炭素、ガラス、ケブラー、スペクトラ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、又はそれらの組み合わせを含む。各繊維強化材層は、任意選択的に布を含む。複合部品は、任意選択的に、平坦な、湾曲した、曲線状の、又は多曲率の幾何学的形状を含む。前述の要素又は特徴はいずれも、他の前述の要素又は特徴の1つ以上と任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0014】
本発明の別の実施形態は、ナノフォレストベースの強化材を製造する方法であって、基板上にナノチューブ又はナノワイヤを含む第1のナノフォレストを成長させるステップであって、ナノチューブ又はナノワイヤは基板の表面に対して実質的に垂直に配向されている、成長させるステップと、ナノフォレストを圧延して、基板の表面に対して実質的に平行に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含む圧潰された層を形成するステップと、圧潰された層上にナノチューブ又はナノワイヤを含む第2のナノフォレストを成長させるステップであって、ナノチューブ又はナノワイヤは基板の表面に対して実質的に垂直に配向されている、成長させるステップと、を含む。この方法は、任意選択的に、圧延ステップの前に基板から第1のナノフォレストを除去するステップを含む。ナノフォレストは、任意選択的に、圧延ステップの前にナノフォレストを2枚のポリテトラフルオロエチレンシートの間に配置するステップを含む。ナノフォレストは、ポリテトラフルオロエチレンシートの有無にかかわらず、圧延ステップの前に2つの金属シートの間に配置されてもよい。各金属シートは、アルミニウム、鋼、銅、又は亜鉛を含み、約1mmの厚さを有する。この方法は、任意選択的に、第1のナノフォレストを成長させるステップの前に基板上に触媒層を堆積させるステップを含む。前述のステップ、要素又は特徴はいずれも、他の前述のステップ、要素又は特徴の1つ以上と任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0015】
本発明の別の実施形態は、複合部品を製造する方法であって、前述の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップと、ナノフォレストベースの強化材を含む複数の層を複数の繊維強化材層と交互配置するステップと、複合部品を硬化させるステップと、を含む。基板の材料は、任意選択的に、ケイ素、酸化ケイ素、鋼、ステンレス鋼、炭化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルミナ、石英、ガラス、石英ガラス、及び銅からなる群から選択される。基板は、好ましくは、交互配置ステップの前にナノフォレストベースの強化材から除去される。繊維強化材層は、任意選択的にプリプレグ層を含む。あるいは、この方法は、任意選択的に、硬化ステップの前に交互配置されたナノフォレストベースの強化材層及び繊維強化材層を液体マトリックス材料で湿潤させるステップを含む。液体マトリックス材料は、好適には、エポキシ、熱硬化性ポリマー樹脂、熱可塑性ポリマー樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、及びプレセラミックポリマーからなる群から選択される。あるいは、この方法は、任意選択的に、硬化ステップの前に交互配置されたナノフォレストベースの強化材層及び繊維強化材層を複数のマトリックスフィルム層と積層するステップを含む。前述のステップ、要素又は特徴はいずれも、他の前述のステップ、要素又は特徴の1つ以上と任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0016】
本発明の別の実施形態は、複合部品を製造する方法であって、前述の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップであって、基板は繊維強化材布を含む、ステップと、繊維強化材布の複数の層を積層するステップと、複合部品を硬化させるステップと、を含む。この方法は、任意選択的に、硬化ステップの前に積層された層を液体ポリマーマトリックス材料で湿潤させることを任意選択的に含むか、又は硬化ステップの前にこれらの層を複数のマトリックスフィルム層と積層することを任意選択的に含む。前述のステップ、要素又は特徴はいずれも、他の前述のステップ、要素又は特徴の1つ以上と任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0017】
本発明の別の実施形態は、複合部品を製造する方法であって、請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップと、ウェットレイアップ、プリプレグレイアップ、自動又は手動のウェットレイアップ又はプリプレグロールラッピング、熱硬化性複合材又は熱可塑性複合材用のテープ積層、室温硬化、オートクレーブ硬化、内部オートクレーブ処理、オートクレーブ外処理、樹脂トランスファ成形(RTM)、開放型又は閉鎖型真空アシスト樹脂トランスファ成形(VARTM)、反応射出成形(RIM)、構造反応射出成形(SRIM)、弾性リザーバ成形(ERM)、シート成形コンパウンド(SMC)、圧縮成形、共硬化サンドイッチ構造製造、引抜成形、ダイアフラム成形/形成、ハイドロフォーミング、熱成形、及びマッチドダイ成形からなる群から選択される製造方法を使用して、ナノフォレストベースの強化材を複合部品に組み込むステップと、を含む。
【0018】
本発明の目的、利点及び新規な特徴、並びに更なる適用範囲は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的には以下を検討することによって当業者に明らかになり、又は本発明の実施によって習得され得る。本発明の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される手段及び組み合わせによって実現及び達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態の実施を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の特定の実施形態を例示するためのものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1】カーボンナノチューブを成長させるための単純な化学気相成長システムの概略図である。
図2】多層カーボンナノチューブを成長させるための化学気相成長システムの概略図である。
図3】多層カーボンナノチューブを成長させるための化学気相成長システムの写真である。
図4】化学気相成長(CVD)を使用してシリコン及び酸化ケイ素ウェハ上に成長させた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の垂直に整列した高密度アレイの典型的な写真である。
図5】CVDを使用してシリコン及び酸化ケイ素ウェハ上に成長させたMWCNTの垂直に整列した高密度アレイの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6図8図9の圧延プロセスに強靭な可撓性金属シートを使用する例を示す概略図である。
図7図8図9の圧延プロセスのための典型的な強靭な可撓性金属シートを示す。
図8】垂直に整列したカーボンナノチューブナノフォレスト(VA-CNT-NF)から水平に整列したカーボンナノチューブナノフォレスト(HA-CNT-NF)を製造するための単一プレス圧延技術を示す概略図である。
図9】VA-CNT-NFからHA-CNT-NFを製造するための二重プレス圧延技術を示す概略図である。
図10】VA-CNT-NFがHA-CNT-NF上に成長するか又は配置される、本発明の典型的な直交ナノフォレスト技術の概略図である。
図11】複合材に埋め込まれたHA-CNT-NFの概略図である。
図12】CNTを含まない複合材の2つのプライ間の層間距離を示し、挿入図は、層間距離がHA-CNT-NFで満たされているナノ複合材を示す。
図13】HA-CNT-NF内の水平に整列したカーボンナノチューブと比較した単一炭素繊維の寸法を示す。
図14】本発明の直交ナノフォレストの製造に使用されるCVD炉を示す。
図15】VA-CNT-NF層を示す、本発明の直交NFの上面図を示すSEM顕微鏡写真である。
図16】サンプル直交ナノフォレスト(NF)の縁部の上面図を示すSEM顕微鏡写真である。
図17】サンプル直交NFの縁部の側面図を示すSEM顕微鏡写真である。
図18】基板からプリプレグ布への直交NFの転写の成功を示す図である。
図19】基板からの転写後に直交NFがプリプレグの表面を完全に被覆していることを示すSEM顕微鏡写真である。
図20】オートクレーブ処理のために真空密封包装されているプリプレグパネルの概略図及び写真である。
図21】オートクレーブ中で硬化させた後の、初期状態の炭素/エポキシプリプレグパネル(右)及び直交NFを含む炭素/エポキシプリプレグパネル(左)を示す。
図22】ダブルカンチレバー(DCB)試験前に図21の右側の初期状態のパネルから切断された試験片を示す。
図23】DCB試験前に図21の左側の直交NFパネルから切断された試験片を示す。
図24】DCB試験後の図22の初期状態の試験片の破断面を示す。
図25】DCB試験後の図23の直交NF試験片の破断面を示す。
図26】DCB試験によって得られた初期状態のサンプルの荷重対伸張データを示すグラフである。サンプル1のヒンジは実験の途中で破断したため、このグラフからは省略した。
図27】DCB試験によって得られた直交NFサンプルの荷重対伸張データを示すグラフである。
図28】炭素/ポリイミドプリプレグ上への直交NFの転写の成功を示す。
図29】オートクレーブ硬化後の直交NF炭素/ポリイミドプリプレグパネルを示す。
図30】DCB試験前の典型的な初期状態(上)及び直交NF(下)の炭素/ポリイミド試験サンプルを示す。
図31】DCB試験後の初期状態(上)及び直交NF(下)の炭素/ポリイミド試験サンプルの典型的な破断面を示す。
図32】DCB試験によって得られた初期状態の炭素/ポリイミドサンプルの荷重対伸張データを示すグラフである。
図33】DCB試験によって得られた直交NF炭素/ポリイミドサンプルの荷重対伸張データを示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本発明の実施形態は、多機能の構造用ナノ複合材及び非構造用ナノ複合材を開発するために使用可能な新規な種類のナノ強化材(「直交カーボンナノチューブベースナノフォレスト」)である。いくつかの実施形態では、本発明の「直交」ナノフォレスト(NF)は、面内方向及び面外方向の両方にカーボンナノチューブ(CNT)を含む。説明全体を通してカーボンナノチューブがしばしば特定されるが、本発明では、炭素、ZnO、BN、Si、CuO及びZnOを含むがこれらに限定されない任意の材料を含むナノチューブ又はナノワイヤを使用することができる。
【0021】
本発明は、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、又はプレセラミックポリマーなどの任意の種類のポリマーの樹脂と共に使用して、樹脂の性能よりも高い性能を有するナノ複合材を製造することができる。本発明はまた、複合材システムにおいて、炭素、ガラス、ケブラー、スペクトラ、炭化ケイ素、アルミナなど、又はそれらのハイブリッド/組み合わせなどの任意の種類の繊維材料、及び一方向、2D織り、3D三軸/編組など、又はそれらの任意の組み合わせなどの任意の種類の繊維構造の、ウェットレイアップ又はプリプレグベースのポリマーの規則的で連続的な繊維複合材内に交互配置することによって、高性能の階層型(本発明はナノフォレストからマイクロファイバへ、更にマクロ複合材へのボトムアップ手法であるため)かつ多機能(多くの異なる特性が改善されているため)のナノ複合材を製造するために使用され得る。本発明はまた、2つの被着体を接合するための接着剤において、接合領域及び応力集中領域を局所的に強化することで強度及び靭性を向上させるために使用され得る。本発明はまた、複合材のためのメカニカルファスナが必要とされる機械的接合領域及び切り欠き(穴など)及び/又はその周りで、接合領域及び応力集中領域を局所的に強化するために使用される。穴領域の周りの構造は、(複合材パネル製造後に)穴が切り抜かれる領域において、(好ましくは複合材製造中に)直交ナノフォレストを層の間に局所的に挿入することによって局所的に強化され、これにより応力集中係数が効果的に減少し、その結果、穴及びメカニカルファスナ(必要な場合)の周りの材料の強度、破壊歪み、及び靱性が局所的に増加し、したがって構造の全体的な性能が実質的に向上する。
【0022】
本発明は、室温硬化、オートクレーブ(オートクレーブ内及びオートクレーブ外)硬化、圧縮成形、樹脂トランスファ成形(RTM)、開放型又は閉鎖型真空アシスト樹脂トランスファ成形(VARTM)、反応射出成形(RIM)、構造反応射出成形(SRIM)、弾性リザーバ成形(ERM)、シート成形コンパウンド(SMC)、手動又は自動のウェットレイアップ又はプリプレグロールラッピング、共硬化サンドイッチ構造、引抜成形、手動又は自動のウェットレイアップ又はプリプレグテープ積層、in-situ(オンライン圧密)熱可塑性複合材テープ積層、in-situ(オンライン圧密)熱可塑性複合材テープ積層によるフィラメントワインディング、ダイアフラム形成、マッチドダイ形成、ハイドロフォーミング、熱成形などの大部分のポリマー複合材製造技術に適用可能である。
【0023】
本発明は、平坦な、湾曲した、曲線状の、及び多曲率などのいかなる形状でも有用であり、局所的に(すなわち、特性を局所的に改善する必要がある特定の領域の周囲で)又は全体的に(すなわち、特性を全体的にかつ構造内のあらゆる場所で改善する必要がある構造全体に対して)適用することができる。本発明の直交ナノフォレストを含む構造体は、物理的特性、化学的特性、機械的特性(強度、剛性/弾性率、歪み、靱性などの静的特性及び、疲労、衝撃、振動、減衰などの動的特性の両方)、導電性、熱伝導性、熱弾性特性、熱機械的特性、電磁干渉、電磁パルス、難燃性、及び熱膨張係数(CTE)の減少、吸湿係数の減少などの改善された特性を有する。これらの改善は、好ましくは直交ナノフォレストを使用した直交異方向性の改善である。また、層状構造内での直交ナノフォレストの交互配置は、全ての層の間で連続的であってもよく、又は所定数の層との交互配置であってもよく、又は一部の層内にのみ配置されてもよい。更に、用途に応じて、特定の材料特性が必要な場合、直交ナノフォレストの一部を、金属(例えば、アルミニウム箔)又はポリマー(熱可塑性フィルム)の何らかの薄層と置き換えることができる。
【0024】
本発明の1つ以上の実施形態において、100nm未満の直径を有する直交多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、樹脂、接着剤及び複合材の総体的な性能を全体的に(繊維上に直接成長させる場合、又は部品の表面全体を覆うように複合材内に交互配置される場合)あるいは局所的に(応力集中が存在する接合部、切り欠き、穴などの位置を局所的に強化するために使用される場合)向上させる強化材として使用するための直交ナノフォレストを形成する。直交ナノフォレストの製造方法の一実施形態は、以下の通りである。適切な基板(CNTの直接成長のための繊維又はCNTナノフォレストを作製するための基板のいずれか)は、好ましくはカーボンナノチューブの成長に適した、好ましくは厚さ約10~20ミクロンの任意の薄い触媒層(鉄、ニッケル、コバルト等)を用いて作製される。シリコン、酸化ケイ素、鋼、ステンレス鋼、セラミック(炭化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルミナ等)、石英、ガラス、又は銅を含むがこれらに限定されない、ナノチューブ又はナノワイヤ成長に適した任意の基板を使用することができる。ナノチューブ又はナノワイヤは、炭素、ガラス、ケブラー、スペクトラ、又はセラミック繊維を含むがこれらに限定されない繊維又は布上に直接成長させることができる。本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される場合、「基板」という用語は、基板、繊維、及び布を含む。
【0025】
繊維又は基板をCVD炉内に配置し、炭素源流体(キシレンなど)とフェロセン(基板がまだ触媒層を有していない場合)などの適切な触媒材料との適切な混合物を、好ましくは100gのキシレン中に2gのフェロセンの比で、好ましくは適切な流動条件下で約750°CでCVD炉に供給して、基板上に、好ましくは約10~20ミクロンの高さを有する垂直に整列したカーボンナノチューブナノフォレスト(VA-CNT-NF)を成長させる。次いで、材料を、好ましくは室温程度まで、好ましくは例えばアルゴンなどの不活性ガス下で冷却し、CVD炉から除去する。以下でより詳細に説明するように、好ましくは約25ミクロンの厚さを有する1つ以上のテフロンフィルム(又は等価物)をナノフォレスト上に配置し、次いで、加圧下で圧延してCNTを圧潰して水平に配向し、好ましくは圧潰後の高さ約5~10ミクロンの水平に整列したカーボンナノチューブナノフォレスト(HA-CNT-NF)を形成する。1つ以上のテフロンフィルムを除去し、(繊維又は基板上の)HA-CNT-NFをCVD炉内に配置し、VA-CNT-NFのCNT成長プロセスを繰り返して、HA-CNT-NF上に高さ約10~20ミクロンのVA-CNT-NFを成長させることにより、水平方向(すなわち、面内方向)及び垂直方向(すなわち、面外方向)の両方にCNTを含み、好ましくは約20~30ミクロンの全高を有する、複合材層間への交互配置に適した直交ナノフォレストを得る。HA-CNT-CNT、VA-CNT-NF、及び直交NFの高さは、本明細書に記載の高さに限定されず、より短い又はより高い任意の所望の高さとすることができる。
【0026】
CVD、アーク放電、及びレーザアブレーションなどのVA-CNT-NFの成長のためのいくつかの技術がある。CVD法では、基板を用いることが好ましい。基板は、任意選択的に1つ以上の繊維を含んでもよい。CVDによってVA-CNT-NFを成長させるためには、炭素原子がカーボンナノチューブを形成することができるように、基板上に触媒層が必要である。触媒層を基板上に堆積させることの可能な2つの方法がある。第1の方法では、図1に示すように、好ましくは数ミクロンの薄いコーティングを含む、鉄、ニッケル、又はコバルトの基板上への直接スパッタリングを行う。次いで、触媒コーティングされた基板をCVD炉内に配置し、炭素源をCVDに供給してカーボンナノチューブを成長させる。第2の方法では、図2図3に示すように、基板をCVD炉内に配置し、次いで炭素源(例えばキシレン100g)と触媒材料(例えばフェロセン2g)との混合物の供給源をCVD炉内に供給して、適切な温度及び流れ条件を使用してカーボンナノチューブを成長させる。この方法では、キシレンとフェロセンとの混合物内の炭素原子よりも重い触媒粒子が最初に基板上に析出し、次いで炭素原子が触媒粒子の上に堆積してカーボンナノチューブを形成する。いずれの場合も、VA-CNT-NFが所望の長さに成長した後、炉をオフにし、不活性ガス(例えば、アルゴン)を炉に流して炉をほぼ室温まで冷却し、その後、繊維又は基板上のVA-CNT-NFを炉から除去することができる。CVDは、図4図5に示すように、CNTが繊維又は基板の表面に対して垂直に成長することを可能にする。繊維表面上でのカーボンナノチューブの成長は、表面の化学組成、カーボンナノチューブがCVDで成長できる面積、及びCVDでの高温処理に対する繊維抵抗性によって制限される。必要に応じて、その後変換温度まで加熱されるガラス又はセラミック骨格を有するポリマーなどの材料の薄いコーティングを繊維に塗布することができ、その上でCNTが容易に成長することができる。上述の技術は、複合材のCNT強化が主に厚さ方向に必要とされる用途において、及び複合材の層間特性を改善する用途においてうまく使用されてきた。
【0027】
VA-CNT-NF(又はその中のCNT)を完全に又は部分的に破砕することなくVA-CNT-NFをHA-CNT-NFに圧潰するプロセスは、ローラ又は圧延機を使用して実施することができる。VA-CNT-NF10は、任意選択的に、基板、繊維、又は布60から除去され、上部テフロンフィルム15と下部テフロンフィルム20との間に配置される。このサンドイッチ体は次いで、任意選択的に、縮尺通りではない図6の概略図に示すように、上部金属シート30と下部金属シート40との間に配置される。厚さ約1mmのアルミニウムを含む、好ましくは強靭で可撓性で柔軟な可撓性金属シートの例を図7に示す。図8及び図9は、それぞれ片面圧延及び両面圧延でVA-CNT-NF10をHA-CNT-NF50に圧潰する機構を示す概略図である。上部金属シートは図8では使用されていないが、他の実施形態では使用することができる。同様に、基板は図8及び図9には示されていない。他の実施形態では、VA-CNT-NFは、まだ基材又は繊維上にある間に圧延することができる。最後に、ナノフォレストは、テフロン(登録商標)を使用せずに金属シートの間に直接配置することができる。
【0028】
NF層の色の変化を観察することによって、垂直NFがローラによって水平配向に平坦化されたかどうかを視覚的に判断することができる。垂直に配向されたCNTは、それらに向けられた入射光のほとんど全てを吸収するので、灰色として見える水平CNTと比較してより暗い色調の黒色として見える。
【0029】
別の方法では、最初にHA-CNT-NFを(上記で説明したように)作成し、次いで、その上に直接(繊維/布上又は基板上に)VA-CNT-NFを成長させる代わりに、VA-CNT-NFを別個の基板上で成長させ、次いで除去し、HA-CNT-NF上(繊維又は布上又は基板上)に配置する。
【0030】
図10は、HA-CNT-NF上に成長させたVA-CNT-NFを含む、本発明の直交ナノフォレストの概略図を示す。あるいは、下部にHA-CNT-NF、上部にVA-CNT-NFを有する代わりに、「直交性」の反対の構成、すなわち下部にVA-CNT-NF、上部にHA-CNT-NFを有する構成を作成することができる。直交ナノフォレスト内のHA-CNT-NF及びVA-CNT-NFカーボンナノチューブの配向は、完全に水平な整列及び/又は完全に垂直な整列から逸脱してもよく、すなわち、何らかの特定の用途では望ましい場合がある垂直以外の何らかの角度を互いに対してなしてもよい。図10に[HA-CNT-NF、VA-CNT-NF]nとして示されているナノフォレストは、n=1を有するが、このnは、1、2、3などとすることができる。又は、[VA-CNT-NF、HA-CNT-NF]nとすることができ、n=1であるが、このnは、上記で説明したように、1、2、3などとすることができる。
【0031】
良好なNF成長の重要な特性は、繊維又は基板上のNFの高さ、配向、及び密度である。直交ナノフォレストの全高は、硬化後の複合材積層体の各プライ間のギャップを充填するために、好ましくは20~40マイクロメートルの高さを有する。約50マイクロメートルよりも高いNFシステムは、予想される積層体よりも厚くなり得る。プリプレグ上の樹脂の量は限られており、好ましくはレイアップ中にナノフォレストに追加の樹脂を添加しないので、NFが50マイクロメートルよりはるかに厚いと、プリプレグシステム由来の積層体の樹脂不足を引き起こす可能性があり、結果として得られるナノ複合材の材料特性が低下する。
【0032】
図11図13は、複合材中の炭素繊維の層間の約50ミクロンのギャップを充填する典型的なHA-CNT-NFを示す。基板から除去した本発明の直交NFも同様に用いることができる。本発明のナノ複合材を作製するために、直交NFを、その後のウェットレイアップのために複合材繊維又は布の層に転写して交互配置し、転写してフィルムの別の層の上に配置し(フィルム積層)、及び/又はプリプレグと組み合わせることができる。
【0033】
あるいは、複合材を形成するために、直交ナノフォレストを繊維又は布上に直接製造し、次いで、これを液体ポリマーマトリックス又はマトリックスフィルムで湿潤させ、積層又は重畳し、オートクレーブ又はホットプレス/圧縮成形された真空バッグ内で硬化させてもよい。
【0034】
実施例1:炭素/エポキシプリプレグシステム
CVD(化学気相成長)炉の石英管内にステンレス基板を設置した。炉内に配置する前に基板をアルコールでサンディング及び洗浄することにより、より均一なNF成長が可能になった。CVDエンドキャップをボルトで締め付け、シリンジを100g対2gの比でキシレン及びフェロセンの前駆体で充填し、シリンジポンプ上に置いた。次いで、石英管をアルゴンでパージした。NFのより均一な成長を可能にするために、アルゴンガスを、炉及び予熱器に入る前に水で満たしたフラスコに通した。管がパージされたら、予熱器及び炉をオンにし、それぞれ約200°C及び約750°Cまで加熱するように設定した。炉及び予熱器が所望の温度に達した後、シリンジポンプ及び水素ガスをオンにして成長サイクルを開始した。前駆体はラインを通って予熱器に圧送され、そこで炉に入ると蒸発した。シリンジが空になると、成長プロセスが停止したため、シリンジポンプ、炉、予熱器、及び水素ガス流を停止した。アルゴンバルブを回し、アルゴンがもはや水を通過しないようにした。炉を200°C未満に冷却した後、アルゴンをオフにし、基板を除去し、室温まで冷却した。
【0035】
垂直に配向したCNTのNF層を、CNTが平坦な(すなわち、水平)配向になるまで圧延機を用いて圧延した。次いで、第2ラウンドのNF成長のために基板を炉内に戻して、第1サイクルから水平CNTの上に垂直配向CNTを成長させて、直交NFを生成した。CNT成長の第2のサイクルが完了した後(及びキシレン/フェロセン混合物流のポンピング/注入を停止した後)、基板からの直交NFの化学分離を以下のように行った。炉、予熱器、及び水素ガスはそのままであり、アルゴンは水を通って炉に流れ続けた。約30分後、炉、予熱器、及び水素をオフにし、アルゴンバルブを切り替えて、ガスがもはや水のフラスコを通過しないようにした。この時点で、炉はアルゴン流下で冷却を開始した。炉が約200°Cに達すると、アルゴンをオフにし、(直交NFを載せた)基板を除去し、室温まで冷却した。
【0036】
図14は、この例で使用されたCVD炉を示す。図15及び図16は、最上層としてのVA-CNT-NFを示す直交NFのSEM上面図である。図17は、直交NFのSEM側面図である。図16及び図17は、垂直に整列したCNTと重ねられた縁部における下層の水平に整列したCNTを示すサンプルの縁部で撮影されている。
【0037】
次いで、直交NFを基板から除去し、カーボン/エポキシプリプレグプライ上に転写した。この除去及び転写は、配向及び被覆への最小限の損傷で達成されるべきである。プリプレグを直交NFの上に配置し、次いでいくらかの穏やかな熱及び圧力をアセンブリに加えた。このとき、プリプレグ上にエポキシが付着することにより、基板と直交NFとプリプレグとが接着する。カミソリを使用して、好ましくは第1の層を平坦化するために直交NFが圧延された方向に対して、直交NFを基板から機械的に掻き取った。(他の例では、直交NFは、最初に機械的カミソリ刃を使用して基板から除去され、次いで、ある程度の穏やかな熱及び圧力でプリプレグ上に配置された。)プリプレグへの直交NF転写の成功の写真を図18に示す。
【0038】
プリプレグ上の直交NFの完全な被覆は、最終積層体が空隙又は厚さ変動を有する可能性を低減又は排除する。図19のSEM顕微鏡写真は、基板からの転写後のプリプレグ上の直交NF被覆の上面図を示し、プリプレグの表面全体に接触しているVA-CNT-NFの上に示されたHA-CNT-NFを示す。したがって、直交NF層順序は、転写プロセスに起因して基板上の順序から反転される。
【0039】
複合材の材料特性に対する直交NFの効果を判定するために、2つのパネルを製造した。第1のパネル(すなわち、初期状態のパネル)はベースライン材料として使用され、直交NF層を追加せずに16プライのプリプレグ平織炭素布/エポキシを備えた。第2のパネルは、16層のプリプレグ平織炭素布/エポキシを含み、各プリプレグ層の間に直交NF層が追加されていた。両方のパネルを図20に示すように真空バッグに入れ、製造業者の推奨硬化サイクルを使用してオートクレーブで硬化させた。図21は、初期状態(右側)及びオートクレーブで硬化させた後の直交NFを含むパネル(左側)を示す。
【0040】
各パネルを、ASTM D5528-01規格(2019)に従って約160mm×25mm×4mmの寸法にウォータージェットを使用して5つの試験片に切断した。試験片を、ASTM試験方法規格D5528-01(2019)、ダブルカンチレバービーム(DCB)試験を使用して判定されたモードI層間破壊靭性GIcに対する直交NFの効果を判定するために、インストロン試験機を使用して試験した。ASTM Manualによれば、試験片は、少なくとも125mmの長さ、20~25mmの幅、及び3~5mmの厚さを有するべきである。各織りプライは0.010インチの厚さであるため、16層を使用すると、約0.16インチ(約4mm)の厚さを有する積層体が製造される。図22及び図23は、試験前の初期状態(「P」によって示される)試験片及び直交NF(「NF」によって示される)試験片をそれぞれ示し、図24及び図25は、DCB試験後の初期状態試験片及び直交NF試験片をそれぞれ示す。
【0041】
図26及び図27は、それぞれ初期試験片及び直交NF試験片の荷重対伸張(すなわち、インストロンジョー変位)データを示す。342.62J/mの測定された平均破壊靱性を有する直交NFサンプルは、層間破壊靱性GIcの62.3%の改善を示し、211.08J/mの測定された平均破壊靱性を有する初期状態のサンプルよりも高い最大荷重並びに高い荷重を維持しながら高い伸張値に耐えることができた。
【0042】
実施例2:炭素/ポリイミドプリプレグシステム
実施例1に記載したのと同様の方法で、基板上に直交NFを作製した。この実験のカーボン/RM-1100高温ポリイミドプリプレグシステムでは、ポリイミドプリプレグ中の樹脂が室温で粘着性であるため、転写プロセスを追加の熱を使用せずに最小限の圧力で行うことができた。実施例1と同様に、カミソリを使用して、基板から直交NFを機械的に掻き取った。プリプレグへの直交NF転写の成功を図28に示す。この実施例における複合材の材料特性に対する直交NFの効果を判定するために、2組のパネルを製造した。第1の「初期状態の」パネルは、ベースライン材料として使用され、直交NFを添加しない8プライの8ハーネス織り(すなわち、炭素繊維強化ポリイミド)炭素/ポリイミドプリプレグ布を含んでいた。第2のパネルは、層の各々の間に直交NFを有する8層の8ハーネス織り炭素/ポリイミドプリプレグ布を含んでいた。未処理の8ハーネス織り炭素/ポリイミドプリプレグ層は、実施例1の平織炭素/エポキシプリプレグ層よりも厚かった。次いで、両方のパネルを真空バッグに入れ、製造業者の推奨硬化サイクルを使用してオートクレーブで硬化させた。図29は、オートクレーブ中で硬化させた後の直交NFを有する炭素/ポリイミドパネルを示す。
【0043】
試験片を、ASTM試験方法規格D5528-01、ダブルカンチレバービーム(DCB)試験(2019)に基づいて、モードI層間破壊靭性GIcに対する直交NFの効果を判定するために、インストロン試験機を使用して試験した。ASTM Manualによれば、試験片は、DCB試験のために少なくとも125mmの長さ、20~25mmの幅、及び3~5mmの厚さを有するべきである。ここで使用される8ハーネス織りカーボン/ポリイミドプリプレグシステムでは、8層のプリプレグが厚さ約3mmの積層体を生成する。したがって、パネルを約160mm×25mm×3mmの寸法にウォータージェット切断した。図30は、この例で使用される炭素/ポリイミドプリプレグシステムの典型的な初期状態(上、「P」と表示)サンプル及び直交NF(下、「NF」と表示)サンプルを示す。図31は、DCB試験後の初期状態(上)及び直交NF(下)の炭素/ポリイミド試験サンプルの典型的な破断面を示す。
【0044】
図32及び図33は、それぞれ初期状態のNF試験片及び直交NF試験片の荷重対伸張(インストロンジョー変位)値を示す。900.07J/mの測定された平均破壊靱性を有する直交NFサンプルは、層間破壊靱性GIcの27.1%の改善を示し、707.96J/mの測定された平均破壊靱性を有する初期状態のサンプルよりも高い最大荷重並びに高い荷重を維持しながら高い伸張値に耐えることができた。
【0045】
なお、明細書及び特許請求の範囲において、「約」又は「およそ」とは、引用された数値の20パーセント(20%)以内を意味する。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「前記」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「官能基」への言及は、1つ以上の官能基を指し、「方法」への言及は、当業者によって理解及び認識されるであろう同等のステップ及び方法への言及などを含む。
【0046】
本発明は、開示された実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、他の実施形態も同じ結果を達成することができる。本発明の変形及び修正は当業者には明らかであり、全てのそのような修正及び均等物を網羅することが意図されている。上記で引用した全ての特許及び刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0216811号明細書
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【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノフォレストベースの強化材であって、
実質的に垂直に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含むナノフォレストを含む第1の層と、
実質的に水平に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含む第2の層と、を備える、ナノフォレストベースの強化材。
【請求項2】
前記第1の層は約10ミクロン~約20ミクロンの高さを有する、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項3】
前記第2の層は約5ミクロン~約10ミクロンの高さを有する、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項4】
約50ミクロン未満の全高を有する、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項5】
前記ナノチューブ又はナノワイヤは、炭素、BN、Si、CuO、又はZnOを含む、請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材。
【請求項6】
複数の繊維強化材層と交互配置された請求項1に記載のナノフォレストベースの強化材の複数の層を含む複合部品。
【請求項7】
前記ナノフォレストベースの強化材は前記繊維強化材層上に直接成長した、請求項6に記載の複合部品。
【請求項8】
硬化エポキシ、硬化熱硬化性ポリマー樹脂、硬化熱可塑性ポリマー樹脂、硬化ポリイミド樹脂、硬化ビスマレイミド樹脂、及びセラミック化プレセラミックポリマーからなる群から選択される材料を含むマトリックスを含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項9】
前記繊維強化材層は、炭素、ガラス、ケブラー、スペクトラ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項10】
各繊維強化材層は布を含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項11】
平坦な、湾曲した、曲線状の、又は多曲率の幾何学的形状を含む、請求項6に記載の複合部品。
【請求項12】
ナノフォレストベースの強化材を製造する方法であって、
基板上にナノチューブ又はナノワイヤを含む第1のナノフォレストを成長させるステップであって、前記ナノチューブ又はナノワイヤは基板の表面に対して実質的に垂直に配向されている、成長させるステップと、
前記ナノフォレストを圧延して、前記基板の前記表面に対して実質的に平行に配向されたナノチューブ又はナノワイヤを含む圧潰された層を形成するステップと、
前記圧潰された層上にナノチューブ又はナノワイヤを含む第2のナノフォレストを成長させるステップであって、前記ナノチューブ又はナノワイヤは前記基板の前記表面に対して実質的に垂直に配向されている、成長させるステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記圧延ステップの前に前記基板から前記第1のナノフォレストを除去するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記圧延ステップの前に前記ナノフォレストを2枚のポリテトラフルオロエチレンシートの間に配置するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記圧延ステップの前に前記ナノフォレストを2枚の金属シートの間に配置するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
各金属シートは、アルミニウム、鋼、銅、又は亜鉛を含み、約1mmの厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記圧延ステップの前に前記ナノフォレストを2枚のポリテトラフルオロエチレンシートの間に配置し、次いで、前記ナノフォレスト及び前記2枚のポリテトラフルオロエチレンシートを2枚の金属シートの間に配置するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
各金属シートは、アルミニウム、鋼、銅、又は亜鉛を含み、約1mmの厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1のナノフォレストを成長させる前記ステップの前に前記基板上に触媒層を堆積させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
複合部品を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップと、
前記ナノフォレストベースの強化材を含む複数の層を複数の繊維強化材層と交互配置するステップと、
前記複合部品を硬化させるステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記基板の材料は、ケイ素、酸化ケイ素、鋼、ステンレス鋼、炭化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルミナ、石英、ガラス、石英ガラス、及び銅からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記交互配置ステップの前に前記ナノフォレストベースの強化材から前記基板を除去するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記繊維強化材層はプリプレグ層を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記硬化ステップの前に前記交互配置されたナノフォレストベースの強化材層及び繊維強化材層を液体マトリックス材料で湿潤させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記液体マトリックス材料は、エポキシ、熱硬化性ポリマー樹脂、熱可塑性ポリマー樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、及びプレセラミックポリマーからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化ステップの前に前記交互配置されたナノフォレストベースの強化材層及び繊維強化材層を複数のマトリックスフィルム層と積層するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
複合部品を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップであって、前記基板は繊維強化材布を含む、ステップと、
前記繊維強化材布の複数の層を積層するステップと、
前記複合部品を硬化させるステップと、を含む、方法。
【請求項28】
前記硬化ステップの前に前記積層された層を液体ポリマーマトリックス材料で湿潤させるステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記硬化ステップの前に前記層を複数のマトリックスフィルム層と積層するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
複合部品を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法に従って製造されたナノフォレストベースの強化材を製造するステップと、
ウェットレイアップ、プリプレグレイアップ、自動又は手動のウェットレイアップ又はプリプレグロールラッピング、熱硬化性複合材又は熱可塑性複合材用のテープ積層、室温硬化、オートクレーブ硬化、内部オートクレーブ処理、オートクレーブ外処理、樹脂トランスファ成形(RTM)、開放型又は閉鎖型真空アシスト樹脂トランスファ成形(VARTM)、反応射出成形(RIM)、構造反応射出成形(SRIM)、弾性リザーバ成形(ERM)、シート成形コンパウンド(SMC)、圧縮成形、共硬化サンドイッチ構造製造、引抜成形、ダイアフラム成形/形成、ハイドロフォーミング、熱成形、及びマッチドダイ成形からなる群から選択される製造方法を使用して、前記ナノフォレストベースの強化材を前記複合部品に組み込むステップと、を含む、方法。
【請求項31】
前記ナノフォレストベースの強化材の前記複数の層の各々は、連続する繊維強化材層の間の距離の約40%と約80%との間を満たすことを特徴とする請求項6に記載の複合部品。
【請求項32】
交互配置するステップの後、前記ナノフォレストベースの強化材の前記複数の層の各々は、連続する繊維強化材層の間の距離の約40%と約80%との間を満たすことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【国際調査報告】