(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】テザー管理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B66D 1/50 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
B66D1/50
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022537495
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 SG2019050623
(87)【国際公開番号】W WO2021126071
(87)【国際公開日】2021-06-24
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522241309
【氏名又は名称】アベティクス グローバル ピーティーイー.エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】AVETICS GLOBAL PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】47 Ayer Rajah Crescent #07-08,Singapore 139947(SG)
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,ジャング アン,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ハービアー シン,グービンド シン エス/オー
(72)【発明者】
【氏名】シー,ペン ウィー,マーカス
(57)【要約】
テザー管理システムを開示する。テザー管理システムは、スプールと、張力センサと、コントローラと、可動プーリとを含む。該スプールは、テザーを巻き取り及び巻き出すために回転可能である。該張力センサは、該テザーの張力を測定する。該コントローラは、該テザーの所望の張力を受信し、該張力センサからの測定張力と該テザーの所望の張力との間の差に基づいて、該テザーを巻き取り及び巻き出しする、該スプールの回転を制御する。該可動プーリーは、該スプールと該張力センサとの間でテザーと係合するように配置される。該可動プーリーは、該テザーの張力が該所望の張力から逸脱したときに、該テザーの張力を調整するために、直線経路に沿って付勢され、移動可能である。また、テザーを管理する方法も開示されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テザーを巻き取り及び巻き出しするために回転可能なスプールと、
該テザーの張力を測定するための張力センサと、
該テザーの所望の張力を受信し、該張力センサからの測定張力と該テザーの所望の張力との間の差に基づいて、該テザーを巻き取り及び巻き出しするためにスプールの回転を制御するためのコントローラと、
さらに該スプールと該張力センサーの間で該テザーに係合するように配置された可動プーリーであって、該テザーの張力が該所望の張力から逸脱したときに、該テザーの張力を調整するために、直線経路に沿って付勢され、移動可能である可動プーリーとを備えるテザー管理システム。
【請求項2】
該直線経路に沿って可動プーリーを付勢するための細長い圧縮ばねをさらに含む、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項3】
該細長い圧縮スプリングをスリーブする第1のロッドをさらに含む、請求項2に記載のテザー管理システム。
【請求項4】
該第1のロッドに少なくとも実質的に平行な第2のロッドと、
該可動プーリーを支持するためのプーリー支持体であって、プーリー支持体がその上で摺動可能であることを可能にするために、第1のロッドおよび第2のロッドが貫通する2つのブッシングをさらに含む、請求項3に記載のテザー管理システム。
【請求項5】
該第1のロッドと該第2のロッドの第1の端部にある第1の端部ブロックと、
該第1のロッドと該第2のロッドの第2の端部にある第2の端部ブロックとをさらに備え、
該細長い圧縮ばねは、該第1のロッドの長さに実質的に等しい自由長を有する、請求項4に記載のテザー管理システム。
【請求項6】
細長い圧縮ばねは、付勢されたとき、該テザーの動作張力の範囲にわたって、該テザーの張力の約2倍の力を有する、請求項5に記載のテザー管理システム。
【請求項7】
第1の端部ブロックと第2の端部ブロックとの間の中間位置に隣接して配置される限界停止部材であって、第2の端部ブロックと該限界停止部材との間で該第1のロッドと該第2のロッドに沿う該プーリー支持体の動きを制限する該限界停止部材をさらに備える、請求項5に記載のテザー管理システム。
【請求項8】
該スプールの厚さは、該テザーの厚さの1~10倍の範囲である、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項9】
ベースと、該ベースの反対側のルーフと、該ベースと該ルーフとの間の側壁とを有するハウジングをさらに備え、
該スプールは、そのラジアル平面が該ハウジングのベースに少なくとも実質的に平行であるように配置される、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項10】
該可動プーリーと該張力センサとの間で該テザーに係合するように配置された固定プーリーと、
該ハウジングの該屋根を通って延びる該テザーの経路の出口セクションに沿って該テザーを案内するための張力プーリーとをさらに含み、
該張力センサは、該テザーの張力を測定するために該張力プーリーに結合される、請求項9に記載のテザー管理システム。
【請求項11】
該出口セクションが、該可動プーリーの直線経路に対して横向きである、請求項10に記載のテザー管理システム。
【請求項12】
該張力プーリーと該張力センサとが取り付けられるブラケットと、
該テザーが該ハウジングから出る際に通過する該ブラケットに取り付けられるフェアリードとをさらに含み、
該フェアリードは、該テザーを張力プーリーに対して付勢することができる少なくとも1つのローラを含む、請求項10に記載のテザー管理システム。
【請求項13】
該コントローラは、該テザーの該測定張力と該所望の張力との間の差に基づいて、該スプールを回転させるための速度を決定するように適合されている、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項14】
該コントローラは、テザーの所定長さ未満が該スプールに残されているとき、該スプールを回転させるための速度を、該スプールに残されたテザーの長さに対応するキャップ値にさらに制限するように適合されている、請求項13に記載のテザー管理システム。
【請求項15】
スプールの端が近いかどうかを決定するためのセンサをさらに含み、
該コントローラは、該センサがそれを示すとき、該速度をゼロに設定するように適合される、請求項14に記載のテザー管理システム。
【請求項16】
該テザーの滑りを防止するために該スプールに隣接して配置されたガード部材をさらに含む、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項17】
スプール上のテザーを管理するための方法であって、
展開されたテザーのための所望の張力を受信し、
該展開されたテザーの張力を測定し、
測定された張力と所望の張力との間の差に基づいて、該テザーを巻き取り及び巻き出しするために該スプールを回転させ、
該テザーに可動プーリーを係合させ、
該テザーの張力が該所望の張力から逸脱したときに、該テザーの張力を調整するために、該可動プーリーを直線経路に沿って移動可能なように付勢する、方法。
【請求項18】
該測定された張力と該所望の張力との間の差に基づいて、該スプールを回転させる速度を決定することをさらに含み、該スプールを回転させることは、決定された速度で該スプールを回転させることである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該スプール上に所定長さ未満のテザーが残っているとき、該スプールを回転させるための速度を該スプール上に残っているテザーの長さに対応するキャップ値に制限することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
スプールの端が近いことが検出されたとき、該速度をゼロに設定することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該可動プーリーを付勢することは、該テザーの所望の動作張力の範囲にわたって、該テザーの張力の約2倍である力を有する細長い圧縮ばねで該可動プーリーを付勢することである、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テザー管理システムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、無人航空機で使用するためのテザー管理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景に関する以下の議論は、本発明の理解を促進することのみを意図している。この議論は、言及された資料のいずれかが、公開されていたこと、知られていたこと、又は本発明の優先日時点で、任意の法域における当業者の一般知識の一部であることを、確認又は承認しているわけではないことを理解されたい。
【0003】
無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle、UAV)は、空撮、ビデオ撮影、検査などの用途のために、空中のある位置でホバリングすることができる。これらのUAVが空中で動作可能な状態を維持する時間を延長するために、UAVは、そこに電力を供給することができるようにテザー(tether)でつながれている。テザーにつながれたUAVは、テザー管理システムにテザーを介して結合される。前述したように、テザーには電力線が通っている。テザーはまた、UAVとテザー管理システムとの間の通信を可能にするために通信回線が通っている。テザー管理システムは、必要に応じてテザーをリールインまたはリールアウトする。操作中に、UAVは、上昇、下降、移動、および様々な風の条件で動作できることが必要である。緩和(mitigation)されないと、UAVのそのような動きは、テザーのたるみの量が変化する原因となる。例えば、UAVがテザー管理システムから離れて操縦されるとき、テザーのたるみの量が減少し、UAVにホイップラッシュ効果(a whiplash effect)をもたらすかもしれない。逆に、UAVは、テザー管理システムに向かう方向に操縦されるとき、それはテザーの弛みの量の増加をもたらす可能性がある。さらなる例として、UAVが固定位置でホバリングしている場合、風速が増加し、テザーの空気抵抗が増加する可能性がある。空気抵抗の増加は、テザーの張力の増加をもたらすと思われる。逆に、風速が減少し、テザーの空気抵抗が減少する可能性がある。空気抵抗の減少は、テザーの張力の減少をもたらす可能性がある。このようなテザーの張力の変化は、UAVのギクシャクした動きを引き起こす傾向があり、写真やビデオ撮影などの品質に影響を与える。このようなギクシャクした動きを防ぐためには、テザーの荷重変化を最小限に抑えることが必要である。言い換えれば、様々な条件下でテザーの張力を適度に一定に保つことが必要である。
【0004】
この問題を軽減するために、様々な解決策が提案されている。そのような解決策の1つは、「光ファイバマイクロケーブル引出し及び解放ウインチ」と題する中国特許CN102135651Bに開示されている。CN102135651Bは、第1端に枢動可能に取り付けられ、捩じりバネで付勢された(a torsion spring biased)ロッカーアームを開示している。第2端に取り付けられているのはプーリーである。したがって、このウインチでは、プーリーはアーチ形の経路で移動する。水中ロボットが接続された光ファイバーはプーリーを通している。捩じりバネは、光ファイバーの張力を一定範囲内に保つようにロッカーアームを付勢し、ウインチが光ファイバーの余分な弛みを取ることができるようにする。ロッカーアームは大きなスペースを必要とする。ロッカーアームの回転角度が小さいため、ロッカーアームが巻き取ることができる光ファイバーの長さに制限がある。光ファイバーの張力のわずかな変化にのみ対応するように、光ファイバーの巻き取り、巻き出しができる設計となっている。
【0005】
別の解決策は、「Spooler for Unmanned Aerial Vehicle System」と題する米国特許第9,290,269号(Walker等)に開示されている。ウォーカーは、フィーダ/張力センサ(a feeder/tension sensor)を含むスプール装置を開示している。このフィーダ/テンションセンサは、中国特許CN102135651Bのロッカーアームと同様な方法で機能する枢軸で回動可能なダンサー(dancer)を含んでいる。したがって、このダンサーもスペースを消費することになる。繰り返しになるが、このダンサーは、単に線条(filament)の弛みを緩和するために機能するだけであり、それ自体で線条の張力を制御するわけではない。
【0006】
さらに別の解決策は、「Constant tension Tether Management System for a Tethered Aircraft」と題する米国特許公開番号2018/0251216A1、Whitakerに開示されている。Whitakerは、固定プーリーとUAVとの間のテザーの移動経路に沿って地上局内に回転可能に取り付けられる可動プーリーを開示している。可動プーリーは、線形トラック(a linear track)に沿った移動で動作する。テザーは、UAVに向かう方向に、地上局に配置された出口を通って地上局から出る。このように、可動プーリーは、第1の位置と第2の位置との間で地面に対して垂直方向に自由に移動するため、テザーの張力が変化すると、可動プーリーは、線形トラックに沿って移動することになる。可動プーリーに結合され、別の端部で地上局に固定された定力引張ばねは、第1の位置に向かって可動プーリーを付勢する。センサは、地上局内に配置され、可動プーリーの位置を監視し、線状トラックに沿ってその動きを検出する。定力引張ばねは、先に説明した設計と同様に、スペースを消費するものである。さらに、上方に延びる線形トラックは、実装するために多くのスペースを必要とする。
【0007】
したがって、前述の問題の1つ以上に、少なくとも部分的に対処するテザー管理システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様によれば、テザー管理システムが提供される。テザー管理システムは、スプールと、張力センサと、コントローラと、可動プーリーとを含む。スプールは、テザーを巻き取り及び巻き出しするために回転可能である。張力センサは、テザーの張力を測定する。コントローラは、テザーの所望の張力を受信し、張力センサからの測定張力とテザーの所望の張力との間の差に基づいて、テザーを巻き取り及び巻き出しするためにスプールの回転を制御する。可動プーリーは、スプールと張力センサとの間でテザーと係合するように配置される。可動プーリーは、テザーの張力が所望の張力から逸脱したときにテザーの張力を調整するために、直線経路に沿って付勢されて移動可能となっている。
【0009】
いくつかの実施形態において、テザー管理システムは、直線経路に沿って可動プーリーを付勢するために、細長い圧縮ばねをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、テザー管理システムは、細長い圧縮ばねをスリーブ(sleeved)する第1のロッドをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、第1のロッドに少なくとも実質的に平行な第2のロッドと、可動プーリーを支持するためのプーリー支持体とをさらに含む。プーリー支持体は、プーリー支持体がその上で摺動可能であることを可能にするために、第1のロッド及び第2のロッドが貫通する2つのブッシング(bushings)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、第1のロッド及び第2のロッドの第1の端部にある第1の端部ブロックと、第1のロッド及び第2のロッドの第2の端部にある第2の端部ブロックとを更に含んでいる。細長い圧縮ばねは、第1のロッドの長さに実質的に等しい自由長(a free length)を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、細長い圧縮ばねは、付勢されたとき、テザーの動作張力の範囲にわたって、テザーの張力の約2倍の力を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、テザー管理システムは、第1の端部ブロックと第2の端部ブロックとの間の中間位置に隣接して限界停止部材を配置し、第2の端部ブロックと該限界停止部材との間で第1のロッド及び第2のロッドに沿うプーリー支持体の移動を制限する、限界停止部材をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、スプールの厚さは、テザーの厚さの1~10倍の範囲にある。
【0016】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、ベースと、ベースと反対側のルーフと、ベースとルーフの間の側壁とを有するハウジングをさらに含む。スプールは、そのラジアル平面がハウジングのベースに少なくとも実質的に平行であるように配置される。
【0017】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、可動プーリーと張力センサの間でテザーを係合するように配置された固定プーリーと、ハウジングのルーフを通って延びるテザーの経路の出口セクションに沿ってテザーをガイドするための張力プーリーとをさらに含む。張力センサは、テザーの張力を測定するために張力プーリに結合される。
【0018】
いくつかの実施形態では、出口セクションは、可動プーリーの直線経路に対して横向きである。
【0019】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、張力プーリー及び張力センサが取り付けられるブラケットと、テザーがハウジングを出るブラケットに取り付けられるフェアリードとをさらに含む。フェアリードは、張力プーリーに対してテザーを付勢することができる少なくとも1つのローラを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラは、テザーの測定された張力と所望の張力との間の差に基づいて、スプールを回転させるための速度を決定するように適合されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、コントローラは、さらに、テザーの所定長さ未満がスプール上に残っているとき、スプール上に残っているテザーの長さに対応するキャップ値(a cap value)に、スプールを回転する速度を制限するように適合されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、スプールの端が近いかどうかを決定するためのセンサをさらに含む。コントローラは、センサがスプールの端が近いことを示すとき、速度をゼロに設定するように適合されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、テザー管理システムは、テザーの滑りを防止するためにスプールに隣接して配置されたガード部材をさらに含む。
【0024】
本開示の別の態様によれば、スプール上のテザーを管理するための方法が提供される。本方法は、展開されたテザーの所望の張力を受信することと、展開されたテザーの張力を測定することとを含む。本方法はまた、測定された張力と所望の張力との間の差に基づいて、テザーを巻き取り、巻き出しするためにスプールを回転させることを含む。本方法は、テザーを可動プーリーと係合させ、テザーの張力が所望の張力から逸脱したときにテザーの張力を調整するために、可動プーリーを直線経路に沿って移動可能なように付勢することをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、測定された張力と所望の張力との間の差に基づいてスプールを回転させるための速度を決定することをさらに含み、スプールを回転させることは、決定された速度でスプールを回転させることを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、テザーの所定長さ未満がスプールに残っているとき、スプールに残っているテザーの長さに対応するキャップ値に、スプールを回転する速度を制限することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、本方法は、スプールの端が近いことが検出されたときに、速度をゼロに設定することをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、可動プーリーを付勢することは、テザーの所望の動作張力の範囲にわたってテザーの張力の約2倍の力を有する細長い圧縮ばねで可動プーリーを付勢することを含む。
【0029】
本発明の他の態様および利点は、本発明の原理を例示的に示す添付の図面と共に、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、図面を参照することによってより良く理解されるであろう。その中で、
【
図1】本発明の一実施形態によるテザー管理システムの概略図である。
【
図2】
図1におけるテザー管理システムの等角図である。
【
図3】
図1及び
図2のテザー管理システムの張力アセンブリの拡大等角図である。
【
図4】
図1及び
図2のテザー管理システムにおける、テザーの張力を制御するためのステップのシーケンスを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の別の実施形態によるテザー管理システムの概略図である。
【
図6】本発明のさらに別の実施形態によるテザー管理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本書を通じて、特に反対の指示がない限り、「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、「有する(having)」などの用語は、非網羅的、言い換えれば、「含むが、それに限定されない」という意味として解釈されるものとする。
【0032】
さらに、本明細書を通じて、文脈上他に必要とされない限り、単語「含む(include)」または「含む(includes、including)」等の変形は、記載された完全体または完全体の群を含むが、他の完全体または完全体の群を排除しないことを意味するものと理解されるものとする。
【0033】
本明細書を通じて、用語「コントローラ」及びその複数形は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路チップ(ASIC)などのプログラマブル集積回路チップ、コンピュータサーバ、電子デバイス、及び/又は、1つ又は複数の入力電子信号を処理し、1つ又は複数の出力電子信号を生成することができるそれらの組合せを含むことが理解されよう。コントローラは、電子信号を処理するための1つ以上の入力モジュールと1つ以上の出力モジュールとを含む。
【0034】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本明細書の主題が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0035】
例示の目的で図面に示すように、本発明は、新規かつコンパクトなテザー管理システムで具体的に表現することができる。既存のテザー管理システムは、かさ張る傾向がある。
図1~
図3を参照すると、本発明を具体化したテザー管理システムは、一般に、スプール、張力センサ、コントローラ、および可動プーリーを含む。スプールは、テザーをリールインおよびリールアウトするために回転可能である。張力センサは、テザーの張力を測定するために、テザーの経路に沿って配置されている。コントローラは、ユーザからテザーの所望の張力を受信し、テザーの測定張力と所望の張力との差に基づいて、テザーをリールインおよびリールアウトするためにスプールの回転を制御する。可動プーリーは、スプールと張力センサーの間のテザーの経路に沿って配置される。可動プーリーは、テザーの張力が所望の張力から逸脱したときにテザーの張力を調整するために、付勢され、直線経路に沿って移動可能である。
【0036】
具体的には、
図1~3は、無人航空機(UAV)6(
図2)に接続されたテザー4を巻き取りおよび巻き出しするための上記テザー管理システム2である。テザー管理システム2は、円筒形ドラム10を有するスプール8を備え、該ドラム10に固定的に取り付けられたそれぞれのフランジ部材12、14によって両端を挟まれた円筒形ドラム10である。フランジ部材12、14は、スプール8上にテザー4を保持する。フランジ部材12、14は、スプール8が例えば70mの長さのテザー4を保持することができる直径であってよい。各フランジ部材12,14は、リム16と、その中心部分からリム16に向かって放射状に延びるスポーク18とを有する。リム16及びスポーク18は、フランジ部材12、14の開口部20を画定する。使用中、テザー4は、特に、UAV6に電力を供給する電力線を搬送する。テザー4は、したがって、特に長時間の使用の後に、かなりの量の熱を発生する可能性があり、フランジ部材12、14の開口部20は、発生したこの熱の放散を容易にする。1つまたは複数のファン(図示せず)を用いて、テザー4に直接空気を吹き付け、さらにそれを冷却するのを助けることができる。スプール8のこのような形状は、単純でありながら信頼性が高い。円筒形ドラム10の厚さは、ドラム10に巻かれるテザー4の厚さの1~10倍、好ましくは5倍の範囲であってよい。ドラム10のこの厚さにより、レベルワインディング機構(a level winding mechanism)を必要とせずに、テザー4をきれいに巻き取ることができる。ドラム10のこの厚さは、冷却能力、テザー4の所定の長さを保持するために必要なスプール8の直径、およびテザーの絡まりを防止する必要性などの要因を考慮して最適化されることが分かっている。
【0037】
貫通ビーム型光電センサ(図示せず)は、70mのテザーのうち約5mだけがスプール8に残っていること、すなわちスプール8の終端が近いことを検出するために使用される。この光電センサは、スプール8の一方の側に配置される発光素子と、スプール8の他方の側に配置される受光素子とを有する。スプールに巻かれたテザー4の長さが5m以上の場合、発光素子が発した光はテザー4によって遮られ、受光素子に到達することができない。しかし、テザー4が巻き取られ、スプールに5m程度しか残っていないときには、発光素子からの光が受光素子に到達して、その状態を表示することができる。当業者であれば、スプール8の終端を検出するために、他の種類のセンサも使用できることを認識するであろう。これらのセンサには、再帰反射型光電センサ、拡散型光電センサ、およびリミットスイッチが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
スプール8は、スプール8を時計回り及び反時計回りの両方向に回転させるように作動するモータのシャフトに接続されている。モータは円筒形ハウジング22内に取り付けられ、その近位端がスプール8に隣接している。円筒形ハウジング22の遠位端に接続されているのは、ハウジング28の第1の側壁26および第2の側壁(図示せず)に対して互いに反対方向に延びる第1の片持ちビーム24および第2の片持ちビーム25である。このようにして、スプール8は、ハウジング28のベース30に対して水平に吊り下げられている。言い換えれば、スプール8は、そのラジアル平面が、多かれ少なかれ、ハウジング28のベース30と平行になるように配置される。任意で、テザーの滑りを防止するために、スプール8の周方向部分を覆うようにガード部材32が設けられてもよい。例えば、ガード部材32は、テザー4をスプール8からリールインおよびリールアウトするために覆われていない小さい部分を残し、スプール8の周方向部分の約75%をカバーすることができる。ガード部材32は、円筒形ハウジング22によって所定の位置に支持されてもよいし、ベース30またはハウジング28の側壁に取り付けられてもよい。
【0039】
テザー管理システム2は、ハウジング28の内壁(図示せず)に取り付けられた張力アセンブリ40をさらに含む。
図3に示されるこの張力アセンブリ40は、内壁に取り付けられるブラケット42を含む。ブラケット42は、第1ガイドプーリー44と、張力プーリー46と、フェアリード48とを支持している。フェアリード48は、互いに横方向に配置された2対のローラ50を含む。これらのローラ50のうちの1つは、張力プーリー46に対してテザー4を付勢する。張力プーリー46に接続されているのは、テザー4の張力を測定するための張力センサ52である。テザー4が張力プーリー46に及ぼす力は、張力センサ52によって検出され、測定されることになる。ハウジング28のルーフ(図示せず)は、フェアリード48が露出される開口部を含む。
【0040】
テザー管理システム2はまた、スプール8と張力アセンブリ40との間でテザー4と係合する補償システム(a compensator system)60を含む。補償システム60は、スプール8から巻き出されるテザー4が通される可動プーリー62を含む。可動プーリー62は、使用中にテザー4の張力を調整するために、両頭矢印Xで示される方向に、直線経路に沿って付勢されて移動可能とすることができる。可動プーリー62は、プーリブロック64に支持されている。このプーリーブロック64は、その中にボールベアリング(図示せず)を有する2つのブッシング66を含む。少なくとも実質的に互いに平行な2つの細長いガイドロッド(elongated guide rods)68、70が、プーリーブロック64の2つのブッシング66を通して挿入され、プーリーブロック64がそれらに沿ってスライドすることができるようになっている。2つのガイドロッド68、70の端部には、2つの端部ブロック72、74が接続されている。一方の端部ブロック72は、スプール8に近接したハウジング28の側壁26に配置されている。他方の端部ブロック74は、スプール8から遠位のハウジング28の支柱(pillar)75上に配置されている。両方のガイドロッド68、70は、ハウジング28のベース30からほぼ同じ高さに配置され、プーリーブロック64、それに従って可動プーリー62が沿ってスライドできる直線経路を画定している。2つのロッド68、70の内側ロッド68上にスリーブされているのは、内側ロッド68の長さに近いか同じ自由長を有する細長い螺旋状圧縮ばね80である。ばね80の長さがその自由長である、この圧縮ばね80の非圧縮状態において、プーリーブロック64、およびそれとともに可動プーリー62は、スプール8から遠位にある第2の端部ブロック74に向かって押されている。可動プーリー62のこの位置は、
図1において位置(position)1として示されている。圧縮ばね80は、一体型設計であってもよいし、任意のコネクタまたはアダプタを介して接合された2つ以上のセクションを含んでもよいし、単に互いに隣接するロッドの上にスリーブされていてもよい。
【0041】
補償システム60は、外側ロッド70の上にスリーブされ、側壁26に取り付けられた限界停止部材82をさらに含む。限界停止部材82は、第1端部ブロック72と第2端部ブロック74との間の中間位置に隣接して配置され、第2端部ブロック74と限界停止部材82との間で第1ロッド68及び第2ロッド70に沿ったプーリー支持体64の移動を制限するようになっている。典型的には、螺旋状圧縮ばね80は、その自由長の約25%~75%の作動長さを有する。テザー4の動作張力の選択範囲については、ばね力が非圧縮状態で0gであり、限界停止部材82まで圧縮されたときに約400g(最大動作荷重)であるように、ばねの長さが選択される。従って、作動長さは、圧縮ばね80の最大長さの約40%である。
【0042】
テザー管理システム2は、可動プーリー62と同じ水平面上にあるように側壁26に取り付けられた第2のガイドプーリー84をさらに含む。テザー管理システム2は、第2のガイドプーリー84及び可動プーリー62と同じ水平面上にあるように、柱状構造体88に取り付けられた固定プーリ86をさらに含む。柱状構造体88は、ハウジング28のベース30から延びている。上述した内壁(図示せず)は、この柱状構造体88によって支持されている。
【0043】
使用中、テザー4は、スプール8から、水平面上の経路に沿った、第2ガイドプーリー84、可動プーリー62及び固定プーリー86を通って、通される。テザー4は、さらに、張力アセンブリ40の第1ガイドプーリー44および張力プーリー46を通って、垂直面内に変換する経路を有する。テザー4は、さらに、UAV6に接続するために、ハウジング28の外に延びるようにフェアリード48に通される。言い換えれば、テザー4の経路の出口部は、可動プーリー62の直線経路に対して横方向である。
【0044】
テザー管理システムは、ブルートゥース接続を介して、タッチスクリーン入力及び/又は携帯電話(両方とも図示せず)に接続されるコントローラ100をさらに含む。これらの装置のいずれかの適切なインターフェースを介して、コントローラ100は、ユーザから、テザー4を操作するための所望の張力を受信し、張力センサ52によって与えられる測定張力と所望の張力との間の差に基づいて、テザー4を巻き取り、巻き出すために、スプール8の回転を制御することが可能である。コントローラ100は、さらに、光電センサからスプール終了信号を受信することができる。
【0045】
次に、テザー4の張力が所望の張力から逸脱した場合に、スプールの回転を制御してテザー4の張力を調整する方法について説明する。
図4は、その方法110を示すフローチャートである。方法110は、コントローラ100への電力を投入する、「電源オン(POWER ON)」ステップ112で開始される。次に、方法110は、「展開されたテザーの長さを読む(READ DEPLOYED TETHER LENGTH)」ステップ114に進み、コントローラ100は、不揮発性メモリ(図示せず)、例えば、SDカードから展開されたテザー4の長さに関連するデータを読み出す。方法110は、次に、「所望の張力を受信(RECEIVE DESIRED TENSION)」ステップ116に進み、コントローラ100は、タッチスクリーンまたは携帯電話のいずれかを介してユーザから、展開されたテザー4が維持されるべき所望の張力値を受け取ることができるようにされる。方法110は、次に、「測定張力>所望の張力?(MEASURED TENSION > DESIRED TENSION?)」決定ステップ118に進み、コントローラ100は、張力センサ52によって捕捉された測定張力が、ユーザによって設定された所望の張力よりも大きいか否かを決定する。UAVが高さを増しているとき、または風速の増加があるときなど、この決定ステップ118で決定されるように、測定張力が所望の張力よりも大きいとなり、方法110は、「モータ方向をリールアウト方向にセット(SET MOTOR DIRECTION TO REEL-OUT DIRECTION)」ステップ120に進み、モータを操作する方向が巻き出し方向へセットされる。しかしながら、決定ステップ118において、測定張力が所望の張力より大きくなく、所望の張力より低いかまたは等しいと決定された場合、方法110は、「測定張力<所望の張力?(MEASURED TENSION < DESIRED TENSION?)」決定ステップ119に進み、コントローラ100は、測定張力が所望の張力より低いか否かを決定する。UAVが高さを下げているとき、または風速の減少があるときなど、この決定ステップ119で決定されるように、測定張力が所望の張力より低いとなり、方法110は、「モータ方向をリールイン方向にセット(SET MOTOR DIRECTION TO REEL-IN DIRECTION)」ステップ122に進み、モータを操作する方向が巻き出し方向と反対である巻き取り方向へと設定される。しかしながら、判断ステップ119において、測定張力が所望の張力より低くなく、所望の張力に等しいと判断された場合、方法110は、「モータ方向をゼロにセット(SET MOTOR DIRECTION TO NIL)」ステップ123に進み、モータを動作させる方向を、モータを回転させる必要がないことを示すために、ゼロにセットされる。「モータ方向のセット(SET MOTOR DIRECTION)」ステップ120、122、123の後、方法110は、「モータ速度値をセット(SET MOTOR SPEED VALUE)」ステップ124に進み、コントローラ110は、測定張力と所望の張力との差に基づいてPID制御を用いてモータを駆動するための速度値を決定する。決定された速度値は、例えば、0~255の範囲であってよい。
【0046】
方法110はさらに、「モータ速度値を調整(ADJUST MOTOR SPEED VALUE)」ステップ126に進み、コントローラ100は、「モータ速度値をセット」ステップ124で得られた速度値を、展開されたテザー4の長さに基づいて調整する。例えば、上述したように、スプール8は、70mのテザーを保持することができる。展開されたテザー4の長さが60m以下、すなわち約10m以上のテザーがスプール8に残されている場合、モータ速度値の調整は不要である。しかし、展開されたテザーの長さが60mを超えると、長さの増加に伴って減少するキャップ値でキャップ(上限を課す)されるように、モータ速度値を下方に調整する。例えば、展開テザー4の長さが62.5mの場合はキャップ値を127に対応させて下げ、展開テザー4の長さが65mの場合は0に対応させて下げてもよい。一例として、「モータ速度値をセット」ステップ124において、モータ速度値が199であると決定してもよい。しかし、展開されたテザーの長さが62.5mであると「モータ速度値を調整」ステップ126で決定されると、モーター速度値は199から下げられ、62.5mのマークに対応するキャップ値127でキャップされる。さらなる例として、「モータ速度値をセット」ステップ124において、モータ速度値が76である決定されることがある。しかし、展開されたテザーの長さが65mであると「モータ速度値を調整」ステップ126で決定されると、モーター速度値は76から下げられ、65mのマークに対応する0というキャップ値でキャップされる。テザー4の残りの5mは、バッファとして使用される。
【0047】
次に、方法110は、「スプールの終わりに達したか?(END OF SPOOL REACHED?)」判断ステップ128に進み、コントローラ100は、光電センサを読み取ることによって、スプール終了条件、例えばテザー4の65mがスプール8上に残っているテザー4の約5mだけを残して展開されたか否かを判断する。この判断ステップ128でスプールの終わりに達したと判断された場合、方法110は、「モータ速度をゼロにセット(SET MOTOR SPEED VALUE TO ZERO)」ステップ130に進み、コントローラ100は、ステップ124、126で判断されたその値にかかわらず、モータ速度値をゼロに設定する。このステップ130でスプール終端に到達していないと判断された場合、先に決定されたモータ速度値には何の変更も行われない。これは、コントローラ100が、65mに達したときに、展開されたテザー長がまだ65m未満であると判断した場合に備えてのフェールセーフ設計である。方法110は、「モータを駆動(OPERATE MOTOR)」ステップ132に進み、コントローラ100は、設定された方向及びモータ速度に従ってモータを動作させて、テザー4の張力をユーザが設定した所望の張力に近づけるために、テザー4を巻き取るか又は巻き出す。方法110はさらに、「展開されたテザーの長さを更新(UPDATE DEPLOYED TETHER LENGTH)」ステップ134に進み、コントローラ100は、モータ・エンコーダ(図示せず)を介してモータが行った回転数を読み取り、テザー4の巻き取り量または巻き出し量を計算し、不揮発メモリに展開されたテザー4の長さを更新する。モータの各回転は、どのくらいのテザーがスプール8に残っているかに応じて、異なるテザーの長さに対応する。スプール8に残されたテザー4の任意の長さのために、展開されたテザーの長さを得るためには、0mと60mの2つの既知の展開された長さの間に3次の最良適合曲線に対応する式が使用される。このような式は非常に正確ではありませんが、ユーザがテザーの正確な長さを知る必要がないため、式を使用して得られたテザーの長さは許容される。また、展開されたテザーの長さは、液晶画面(LCD)(図示せず)やユーザーの携帯電話に表示されるので、ユーザーはスプール8で利用できるテザー4の量を認識し、ユーザーがそれに応じてUAV6を操作することができる。例えば、スプール8に残っているテザー4の量の情報があれば、ユーザは、UAV6をより高く、より遠く、またはその両方で飛行させることを選択することができる。この情報がなければ、ユーザはテザー4が尽きる可能性に気付かず、テザー4が尽きたときの突然のジャム(誤動作)によって、UAV6を用いた撮影や写真撮影が影響を受ける可能性がある。
【0048】
方法110は、ステップ116~134をループして、スプール8の閉ループ制御を提供する。このような制御ループにより、コントローラ100は、テザー4の張力が所望の張力に近いか又は所望の張力になるように、テザー4を巻き取り、巻き出すことができる。しかしながら、このような制御には待ち時間がある。テザー4の張力のいかなる変化も、直ちに修正されない場合、UAV6のぎくしゃくした動きをもたらす可能性がある。補償装置システム60は、この問題を少なくともある程度まで軽減することができる。テザー4の張力が所望の張力レベルにあるとき、コントローラ100は、モータを静止させる。この張力レベルでは、圧縮ばね80は、ばね80の力がテザー4によって経験される張力の2倍となるように圧縮される。可動プーリー62の位置は、
図1の位置(position)2である。
【0049】
テザー4の張力が所望の張力レベルより大きく、コントローラ100が上記のようにテザー4を巻き出すことができる前では、可動プーリー62には、ロッド68、70に沿って第1の端部ブロック72の方向にスライドして、
図1に示すように位置(position)3に移動するよう力が加わる。可動プーリー62のこの位置では、圧縮ばね80は、ばね80における力が、テザー4における新たな増加した張力の約2倍となるように、圧縮される。スプール8に近い可動プーリー62のこの動きは、スプール8と張力プーリー46の間のテザー4の長さを減少させる。余分なテザー4は、張力プーリー46を越えて引かれ、張力プーリー46とUAV6との間のテザー長を増加させる。このようにして、テザー4の張力は、コントローラ100が応答できる前に迅速に減少される。コントローラ100が最終的にモータを操作してテザー4をさらに巻き出すと、テザー4の張力が減少し、圧縮ばね80が可動プーリ62を
図1に示すように定常状態の位置2に向かって押し戻すことになる。
【0050】
UAV6の高さの減少または風速の減少のいずれかにより、テザー4の張力の急激な減少があると、張力センサ52はテザー4の張力の減少を感知することになる。上述したように、コントローラ100は、モータを動作させてテザー4を巻き取ることになる。しかし、方法110の待ち時間のために、テザー4の巻き取りには遅れが生じる。モータがテザー4を巻き取ることができるようになる前に、補償システム60の可動プーリー62は、圧縮ばね80の力がテザー4の新しい減少した張力の約2倍となるように、
図1に示すように位置1に向かう方向に移動して、圧縮ばね80を減圧させる。可動プーリー62のこの動きは、スプール8と張力プーリー46との間のテザー4の長さを増加させるために、より多くのテザー4を引き込む。張力プーリー46とUAV6との間のテザー4の長さは減少し、したがって、弛みが減少し、テザー4の張力が増加する。コントローラ100が最終的にモータを操作してテザー4を巻き取るとき、テザーの張力は増加し、可動プーリ62は再びテザー4によって押されて定常状態の位置2へ戻るように移動する。
【0051】
有利には、上記のような直線経路に沿って移動可能な可動プーリ62を有するテザー管理システム2は、コンパクトに構築することができる。テザー管理システム2の補償システム60は、張力センサ52及びモータ・フィードバック・ループにおける待ち時間を補償して、許容範囲内にテザー4の張力を維持することができる。より多くのテザー4が必要とされるとき、補償システム60は、このようにテザー4が突然大きな張力を経験することを防止するために、テザー4を瞬時に巻き出すことができる。補償システム60はまた、UAV6の下方にあまりにも多くのテザーの弛みがあるとき、テザー4を瞬時に巻き取ることができ、それによってUAVの近くの物体にテザーが絡まる危険性を低下させ、テザー4が張力の急激な喪失を経験するのを防ぐことができる。テザー4の張力の変化の振幅を小さくする一方で、テザー4の張力の変化を完全に除去することはできない。また、変化の極性(polarity)も保持する。言い換えれば、補償システム2は、テザー4の張力の変化をスケールダウンさせるが、それを除去することはない。これは、コントローラ100が上述のようにモータの方向および速度を変更できるように、張力センサ52が張力の変化を感知し続けられるようにするために重要である。これにより、テザー管理システム2は、テザー4を許容張力範囲内に維持するその機能を応答性よく実行することができる。
【0052】
本発明は、上述した実施形態において実施されるものとして説明されているが、そのように限定して解釈されるものではない。例えば、テザー管理システム2は、UAV6と共に使用するために記載されているが、当業者は、このようなシステム2が、例えば水中ロボットなどの他のロボットのテザー(これに限定されない)を含む他の用途で使用できること、また、2つの移動体間のケーブルを管理するための用途で使用できることを理解されたい。
【0053】
別の例として、補償システム2は、上記のように1つのみの圧縮ばね80の代わりに、2つの圧縮ばねを含んでもよい。第2の圧縮ばね(図示せず)は、例えば、第2のロッド70の上にスリーブされてもよい。このような実施形態では、それに応じて、限界停止部材82を別の場所に移動させなければならない。さらに別の例として、圧縮ばね80の代わりに、
図5に示されるような、ねじりばね150を用いてもよい。ねじりばね150の一端は側壁151に取り付けられ、他端はプーリーブロック64に取り付けられる。
【0054】
さらに別の例として、補償システム60は、
図6に示すように、可動プーリー62及びその対応するロッド68、70と並んで配置された、第2の対の可動ロッド154に沿って移動可能な第2の可動プーリー152を含んでもよい。直列の2つ以上の可動プーリーを有するこのような設計は、より大きなバッファを提供することができ、リールイン及びリールアウト速度も2倍にすることができる。
【0055】
別の例として、上述した実施形態における二重ロッド68、70は、プーリーブロック64が摺動可能な線形トラックに置き換えてもよい。あるいは、単一のロッドを用いてもよい。そのような場合、プーリーブロック64は、プーリーブロック64が単一ロッドを中心に回転するのを防止するために、側壁に寄り掛かるローラを備えてもよい。
【0056】
さらに別の例として、上述のロッド設計にスリーブされた圧縮ばね80は、管状構造の中に配置された圧縮ばねに置き換えてもよい。この管状構造は、長手方向に沿った溝を有し、プーリーブロック64が圧縮ばねの端部に結合され、その溝上で摺動可能であることを可能にする。
【0057】
さらに別の例として、特にスペースが許す場合には、固定プーリー84、86を省略することができる。スプール8、可動プーリ62及び張力アセンブリ40は、お互い又はハウジング28の壁との干渉を避けるために、互いに適切に間隔を空けて配置されてもよい。
【0058】
相互に排他的でない上記の修正または改良の1つまたは複数をさらに組み合わせて、本発明のさらに別の実施形態を形成してもよいことは、当業者によってさらに理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テザーを巻き取り及び巻き出しするために回転可能なスプールと、
該テザーに係合する張力プーリーと、
該テザーの張力を測定するため
、該張力プーリーに結合する張力センサと、
該テザーの所望の張力を受信し、該張力センサからの測定張力と該テザーの所望の張力との間の差に基づいて、該テザーを巻き取り及び巻き出しするためにスプールの回転を制御するためのコントローラと、
さらに
該張力センサとは結合しておらず、該スプールと該張力
プーリーの間で該テザーに係合するように配置された可動プーリーであって、該テザーの張力が該所望の張力から逸脱したときに、該テザーの張力を調整するために、直線経路に沿って付勢され、移動可能である可動プーリーとを備えるテザー管理システム。
【請求項2】
該直線経路に沿って可動プーリーを付勢するための細長い圧縮ばねをさらに含む、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項3】
該細長い圧縮スプリングをスリーブする第1のロッドをさらに含む、請求項2に記載のテザー管理システム。
【請求項4】
該第1のロッドに少なくとも実質的に平行な第2のロッドと、
該可動プーリーを支持するためのプーリー支持体であって、プーリー支持体がその上で摺動可能であることを可能にするために、第1のロッドおよび第2のロッドが貫通する2つのブッシングをさらに含む、請求項3に記載のテザー管理システム。
【請求項5】
該第1のロッドと該第2のロッドの第1の端部にある第1の端部ブロックと、
該第1のロッドと該第2のロッドの第2の端部にある第2の端部ブロックとをさらに備え、
該細長い圧縮ばねは、該第1のロッドの長さに実質的に等しい自由長を有する、請求項4に記載のテザー管理システム。
【請求項6】
細長い圧縮ばねは、付勢されたとき、該テザーの動作張力の範囲にわたって、該テザーの張力の約2倍の力を有する、請求項5に記載のテザー管理システム。
【請求項7】
第1の端部ブロックと第2の端部ブロックとの間の中間位置に隣接して配置される限界停止部材であって、第2の端部ブロックと該限界停止部材との間で該第1のロッドと該第2のロッドに沿う該プーリー支持体の動きを制限する該限界停止部材をさらに備える、請求項5に記載のテザー管理システム。
【請求項8】
該スプールの厚さは、該テザーの厚さの1~10倍の範囲である、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項9】
ベースと、該ベースの反対側のルーフと、該ベースと該ルーフとの間の側壁とを有するハウジングをさらに備え、
該スプールは、そのラジアル平面が該ハウジングのベースに少なくとも実質的に平行であるように配置される、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項10】
該可動プーリーと該張力
プーリーとの間で該テザーに係合するように配置された固定プーリー
を備え、
該張力プーリーは、該ハウジングの該屋根を通って延びる該テザーの経路の出口セクションに沿って該テザーを案内す
る、請求項9に記載のテザー管理システム。
【請求項11】
該出口セクションが、該可動プーリーの直線経路に対して横向きである、請求項10に記載のテザー管理システム。
【請求項12】
該張力プーリーと該張力センサとが取り付けられるブラケットと、
該テザーが該ハウジングから出る際に通過する該ブラケットに取り付けられるフェアリードとをさらに含み、
該フェアリードは、該テザーを張力プーリーに対して付勢することができる少なくとも1つのローラを含む、請求項10に記載のテザー管理システム。
【請求項13】
該コントローラは、該テザーの該測定張力と該所望の張力との間の差に基づいて、該スプールを回転させるための速度を決定するように適合されている、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項14】
該コントローラは、テザーの所定長さ未満が該スプールに残されているとき、該スプールを回転させるための速度を、該スプールに残されたテザーの長さに対応するキャップ値にさらに制限するように適合されている、請求項13に記載のテザー管理システム。
【請求項15】
スプールの端が近いかどうかを決定するためのセンサをさらに含み、
該コントローラは、該センサがそれを示すとき、該速度をゼロに設定するように適合される、請求項14に記載のテザー管理システム。
【請求項16】
該テザーの滑りを防止するために該スプールに隣接して配置されたガード部材をさらに含む、請求項1に記載のテザー管理システム。
【請求項17】
スプール上のテザーを管理するための方法であって、
展開されたテザーのための所望の張力を受信し、
該テザーと張力プーリーとを係合させ、
該張力プーリーに結合した張力センサを用いて、該展開されたテザーの張力を測定し、
測定された張力と所望の張力との間の差に基づいて、該テザーを巻き取り及び巻き出しするために該スプールを回転させ、
該張力センサとは結合しておらず、該スプールと該張力プーリーとの間に配置された可動プーリー
と該テザーとを係合させ、
該テザーの張力が該所望の張力から逸脱したときに、該テザーの張力を調整するために、該可動プーリーを直線経路に沿って移動可能なように付勢する、方法。
【請求項18】
該測定された張力と該所望の張力との間の差に基づいて、該スプールを回転させる速度を決定することをさらに含み、該スプールを回転させることは、決定された速度で該スプールを回転させることである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該スプール上に所定長さ未満のテザーが残っているとき、該スプールを回転させるための速度を該スプール上に残っているテザーの長さに対応するキャップ値に制限することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
スプールの端が近いことが検出されたとき、該速度をゼロに設定することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該可動プーリーを付勢することは、該テザーの所望の動作張力の範囲にわたって、該テザーの張力の約2倍である力を有する細長い圧縮ばねで該可動プーリーを付勢することである、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】