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▶ ビー.ジー. ネゲヴ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド、アット ベン−グリオン ユニヴァーシティの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】血液脳関門システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20230316BHJP
   C12N 5/0793 20100101ALI20230316BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230316BHJP
   C12N 5/0797 20100101ALI20230316BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12N5/0793
C12N5/10
C12N5/0797
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541925
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 IL2021050101
(87)【国際公開番号】W WO2021152591
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/967,213
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517454022
【氏名又は名称】ビー.ジー. ネゲヴ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド、アット ベン-グリオン ユニヴァーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァティン,ガド デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】クーリン,ロマン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC02
4B029DA10
4B029FA15
4B029GB10
4B063QA05
4B063QR77
4B063QS36
4B063QX05
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065BC01
4B065BC42
4B065CA46
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、微小電極の表面上で培養された細胞を含む微小電極と、培養された細胞を含む上部表面を含む多孔質膜と、を含む、デバイスである。さらに、血液脳関門(BBB)のインビトロモデルおよびこの関門を横断する輸送をモデリングするためのデバイスおよび方法が開示される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.微小電極であって、前記微小電極の表面上で培養された細胞を含む、微小電極と、
ii.培養された細胞を含む上部表面および下部表面を含む、多孔質膜と、を含むデバイスであって、
前記多孔質膜が、前記微小電極の上に位置し、前記微小電極上で培養された前記細胞が、前記多孔質膜の前記下部表面に面している、デバイス。
【請求項2】
前記下部表面が、前記上部表面の前記培養された細胞を欠いている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記微小電極上で培養された前記細胞が、少なくとも90%の神経細胞を含む、請求項1および2のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記微小電極上で培養された前記細胞が、単一脳領域からの少なくとも90%の神経細胞を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記神経細胞が、皮質神経細胞、線条体神経細胞、海馬神経細胞、小脳神経細胞、および脊髄神経細胞からなる群から選択される、請求項3および4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記多孔質膜上の前記培養された細胞が、少なくとも90%の内皮細胞を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記多孔質膜上の前記培養された細胞が、少なくとも90%の脳微小血管内皮細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記多孔質膜上の前記培養された細胞が、少なくとも90%の人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記微小電極上で培養された前記細胞が、グリア細胞を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記微小電極が、微小電極アレイ(MEA)プレートを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記多孔質膜が、少なくとも5000Ωxcmの電気抵抗を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記多孔質膜および前記微小電極が、流体を含むチャンバー内部にある、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記多孔質膜および前記微小電極が、各々別個のチャンバー内部にあり、流体連通している、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記流体が、細胞培養培地を含む、請求項12および13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
血液脳関門(BBB)の抵抗を測定するための方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス内の前記多孔質膜の抵抗を測定し、それによって前記BBBの抵抗を測定することを含む、方法。
【請求項16】
単一脳領域における血液脳関門(BBB)の抵抗を測定するための方法であって、請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイス内の前記膜の抵抗を測定し、それによって単一脳領域における前記BBBの抵抗を測定することを含む、方法。
【請求項17】
BBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法であって、前記化合物を請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス内の前記多孔質膜の抵抗を測定し、それによって前記BBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定することと、を含む、方法。
【請求項18】
単一脳領域におけるBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法であって、前記化合物を請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイス内の前記膜の抵抗を測定し、それによって単一脳領域における前記BBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定することと、を含む、方法。
【請求項19】
BBBを横切る化合物の能力を決定するための方法であって、前記化合物を請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスの下部における前記化合物の量を測定し、それによって前記BBBを横切る化合物の能力を決定することと、を含む、方法。
【請求項20】
単一脳領域におけるBBBを横切る化合物の能力を決定するための方法であって、前記化合物を請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイスの下部における前記化合物の量を測定し、それによって単一脳領域における前記BBBを横切る化合物の能力を決定することと、を含む、方法。
【請求項21】
BBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定するための方法であって、前記化合物を請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項1~14のいずれか一項に記載の神経細胞の活動電位を測定し、それによって前記BBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定することと、を含む、方法。
【請求項22】
単一脳領域におけるBBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定するための方法であって、前記化合物を請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項4~14のいずれか一項に記載の神経細胞の活動電位を測定し、それによって単一脳領域における前記BBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定することと、を含む、方法。
【請求項23】
BBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定するための方法であって、前記化合物を請求項3~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項3~14のいずれか一項に記載の神経細胞の細胞死を評価し、それによって前記BBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定することと、を含む、方法。
【請求項24】
単一脳領域におけるBBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定するための方法であって、前記化合物を請求項4~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部中に投与することと、次いで請求項4~14のいずれか一項に記載の神経細胞の細胞死を評価し、それによって単一脳領域における前記BBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定することと、を含む、方法。
【請求項25】
修飾されたiBMECを生成するための方法であって、神経細胞の細胞外環境を含むか、または請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスの上部内で培養された組成物の存在下で、iBMECを少なくとも10時間培養することを含む、方法。
【請求項26】
人工多能性幹細胞(iPSC)を脳微小血管内皮細胞(BMEC)に分化させるための方法であって、前記iPSCが、無血清培地において培養され、それによって前記iPSCをBMECに分化させる、方法。
【請求項27】
前記BMECまたはiBMECが、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイスの上部内で培養され、前記膜の電気抵抗が、少なくとも5000Ωxcmである、請求項25および26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月29日に出願された「血液脳関門システム」と題された米国仮特許出願第62/967,213号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
いくつかの実施形態では、本発明は、血液脳関門モデリングを対象とし、脳領域特異的神経血管ユニット(NVU)プラットフォームを含む。
【背景技術】
【0003】
血液脳関門(BBB)は、中枢神経系(CNS)を、繊細な脳機能を混乱させ得る血液中の様々な因子から遮蔽する、非常に選択的な関門である。BBBは、ペリサイト、アストロサイトエンドフィート、およびニューロン軸索が脳微小血管内皮細胞(BMEC)と直接接触する、多細胞神経血管ユニット(NVU)として形成される。順に、BMECは、分子の傍細胞通過を限定する密着結合(TJ)によって、およびポンプで分子を血液中に戻すことによって輸送関門を形成する分極排出輸送体によって作り出される特殊な関門特性を形成する。結果として、BBBは、特定の栄養素および代謝に必要なものの脳への通過を促進するが、神経毒性剤およびほとんどの薬物の進入を制限する。よって、BBBは、脳へのバイオ医薬品の送達の主要な障害を構成し、FDAが承認した小分子さえ5%未満しか脳に到達することができない。本分野における大きな課題は、ヒト脳への候補薬物の浸透性を忠実に予測する堅牢なBBBモデルの欠如である。
【0004】
動物モデルは、BBB浸透およびBBB発達に関与する分子メカニズムを研究するために広く使用されてきた。これらのモデルは、容易に入手可能であり、インビボ環境における複合体を忠実に表し、生理学的関門特性を有し、重要なことに、トランスジェニックモデルを適用するための機会を提供する。しかしながら、種間の不一致およびヒトCNSへの薬物送達を予測する現在のモデルの能力の低さは、それらの関連性をひどく疑問視する。よって、ヒトベースのインビトロモデルは、ヒトBBBを研究するため、および薬物開発のために非常に必要とされている。
【0005】
インビボBBBを忠実に模倣するために、インビトロモデルは、低い透過性、生理学的に関連する経内皮電気抵抗(TEER)、および分極排出ポンプ活性を含む、生理学的に関連するBBB特性を示さなければならず、それらはまた、機能的輸送システムの代表的な発現を含まなければならない。典型的には、ヒトインビトロモデルは、BBB特性を増強するために、NVUの他の細胞の組み合わせと半透過性膜上で共培養される内皮細胞からなる。人工多能性幹細胞(iPSC)を脳微小血管内皮細胞(BMEC)に分化させるプロトコルにおける最近の発展は、インビトロヒトBBBモデルのための魅力的なソースとして導入された。iPSC由来BMEC(iBMEC)は、非常にスケーラブルであり、インビボで測定される値(5,000Ωcm)と同じくらい高い生理学的関門特性、分極、および機能的排出ポンプの発現を含む、ヒトBBBの重要な特徴を示す。これらの特徴は、iBMECベースのモデルを、ヒトBBBをモデリングするための堅牢なソースにする。
【0006】
しかしながら、BBBのインビトロモデルの主な限界は、それらがヒト中枢神経系(CNS)の異なる領域におけるBBBの不均質性を表すことができないことである。ここで、本発明者らは、CNS浸透性を脳領域特異的な方法で試験するように設計されたインビトロiBMECベースNVUプラットフォームの生成を報告する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異なる臓器にわたる毛細血管機能における変動と同様に、機能的特性は、CNSの異なる領域において変動する。脳室周囲器官(CVO)は、機能的BBBが存在するCNSの残部における毛細血管とは対照的に、それらの広範囲で非常に透過性の毛細血管を特徴とする脳における構造である。異なるCNS領域にわたる脳毛細血管の機能におけるこれらの変動は、十分に確立されているが、BBBが機能的である脳の異なる領域内の脳毛細血管の不均質な性質は、ほとんど見落とされてきた。BBB不均質性は、様々な態様:形態学的差異、アストロサイトにおける差異、ペリサイトにおける領域的差異、脳内皮細胞における差異、および透過性特性において観察されている。総じて、これらの変動は、脳領域特異的NVUにおける差次的相互作用が、領域特異的BBB性能における変動をもたらし得ることを強く意味する。これらの変動をモデリングする能力を有することは、基礎となるメカニズムの理解を促進し、重要なことに、神経学的疾患において多くの場合特に影響を受ける、脳の特定の領域へのCNS浸透性を予測することを促進するであろう。療法を特異的にこれらの領域に誘導することは、依然として大いに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、いくつかの実施形態では、部分的には、iBMECが脳領域特異的NVUプラットフォームの開発のために成功裏に使用され得るという知見に基づいている。
【0009】
本発明の一態様では、i.微小電極の表面上で培養された細胞を含む微小電極と、ii.培養された細胞を含む上部表面および下部表面を含む多孔質膜と、を含む、デバイスが提供され、多孔質膜は、微小電極の上に位置し、微小電極上で培養された細胞は、多孔質膜の下部表面に面している。
【0010】
いくつかの実施形態では、下部表面は、上部表面の培養された細胞を欠いている。
【0011】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、少なくとも90%の神経細胞を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、単一脳領域からの少なくとも90%の神経細胞を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、神経細胞は、皮質神経細胞、線条体神経細胞、海馬神経細胞、小脳神経細胞、および脊髄神経細胞からなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上の培養された細胞は、少なくとも90%の内皮細胞を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上の培養された細胞は、少なくとも90%の脳微小血管内皮細胞を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上の培養された細胞は、少なくとも90%の人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、グリア細胞を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極アレイ(MEA)プレートを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、多孔質膜は、少なくとも5000Ωxcmの電気抵抗を特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態では、多孔質膜および微小電極は、流体を含むチャンバー内部にある。
【0021】
いくつかの実施形態では、微小電極は、各々別個のチャンバー内部にあり、流体連通している。
【0022】
いくつかの実施形態では、流体は、細胞培養培地を含む。
【0023】
本発明の別の態様では、血液脳関門(BBB)の抵抗を測定するための方法であって、本発明のデバイス内の多孔質膜の抵抗を測定し、それによってBBBの抵抗を測定することを含む、方法が提供される。
【0024】
本発明の別の態様では、単一脳領域における血液脳関門(BBB)の抵抗を測定するための方法であって、本発明のデバイス内の膜の抵抗を測定し、それによって単一脳領域におけるBBBの抵抗を測定することを含む、方法が提供される。
【0025】
本発明の別の態様では、BBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明のデバイス内の多孔質膜の抵抗を測定し、それによってBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0026】
本発明の別の態様では、単一脳領域におけるBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明のデバイス内の膜の抵抗を測定し、それによって単一脳領域におけるBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0027】
本発明の別の態様では、BBBを横切る化合物の能力を決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明のデバイスの下部における化合物の量を測定し、それによってBBBを横切る化合物の能力を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0028】
本発明の別の態様では、単一脳領域においてBBBを横切る化合物の能力を決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明のデバイスの下部における化合物の量を測定し、それによって単一脳領域においてBBBを横切る化合物の能力を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0029】
本発明の別の態様では、BBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明の神経細胞の活動電位を測定し、それによってBBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0030】
本発明の別の態様では、単一脳領域においてBBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明の神経細胞の活動電位を測定し、それによって単一脳領域においてBBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0031】
本発明の別の態様では、BBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明の神経細胞の細胞死を評価し、それによってBBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定することと、を含む、方法が提供される。
【0032】
本発明の別の態様では、単一脳領域におけるBBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定するための方法であって、化合物を本発明のデバイスの上部中に投与することと、次いで本発明の神経細胞の細胞死を評価し、それによって単一脳領域におけるBBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定することと、を含む、方法が提供される。
【0033】
本発明の別の態様では、修飾されたiBMECを生成するための方法であって、神経細胞の細胞外環境を含むか、または本発明のデバイスの上部内で培養された組成物の存在下でiBMECを少なくとも10時間培養することを含む、方法が提供される。
【0034】
本発明の別の態様では、人工多能性幹細胞(iPSC)を脳微小血管内皮細胞(BMEC)に分化させるための方法であって、iPSCは、無血清培地において培養され、それによってiPSCをBMECに分化させる、方法が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態では、BMECは、本発明のデバイスの上部内で培養され、膜の電気抵抗は、少なくとも5000Ωxcmである。
【0036】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関連する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が支配する。さらに、材料、方法、および例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0037】
本発明のさらなる実施形態および適用可能性の全範囲は、以下に記載される詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者には明白になるため、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、詳細な説明および具体的な例は例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
例示的な実施形態は、参照される図に示される。図に示される成分および特徴の寸法は、概して、提示の利便性および明瞭性のために選択され、必ずしも縮尺通りに示されるとは限らない。図を以下に列挙する。
【0039】
図1A】開示されたデバイスの非限定的な例示的構成を示す概略図を提示する。
図1B】開示されたデバイスの非限定的な例示的構成を示す概略図を提示する。
図2A】ラット脳の異なる領域からの初代神経培養物の画像を提示する:初代神経培養物は、E18ラット胚の線条体、海馬、皮質、および小脳に由来した。初代培養物はニューロンマーカーβIII-チューブリンおよびグリアマーカーグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を発現した(図2A
図2B】ラット脳の異なる領域からの初代神経培養物の画像を提示する:初代神経培養物は、E18ラット胚の線条体、海馬、皮質、および小脳に由来した。初代神経細胞は微小電極アレイ(MEA、Axion BioSystems)プレート上で増殖し(図2B)、代表的な活動電位のグラフは皮質一次ニューロンから記録された(図2C)。
図2C】ラット脳の異なる領域からの初代神経培養物の画像を提示する:初代神経培養物は、E18ラット胚の線条体、海馬、皮質、および小脳に由来した。代表的な活動電位のグラフは皮質一次ニューロンから記録された(図2C)。
図3】ヒト人工多能性幹(iPSC)のBMECへの分化スキームを提示し、分化後9日目に、iBMECインサートを、皮質、線条体、海馬、小脳、および脊髄に由来する2週齢ラット初代神経培養物の上に配置した。
図4】初代ラット脳領域特異的神経細胞培養物で共培養されたiBMECの経内皮電気抵抗(TEER)測定のグラフを提示する:Transwellインサート上のiBMECは、単独で培養されたか(黒色バー)、または皮質、海馬、線条体、小脳、および脊髄を含むE18ラット脳の様々な領域に由来する初代神経培養物の上に共培養された。すべての共培養物は、単独で培養されたiBMECと比較して、TEERにおいて有意な増加を示した(ANOVA P<0.001)。異なる共培養物間でも有意差が観察された(*p<0.05、**p<0.01)。
図5A】単培養物における、または異なる脳領域のNVUにおけるiBMECにわたる分子の透過性の棒グラフを提示する:デキストラン-TRITC 70kDa(図5A)。結果は、3通りに実施された2つの独立した実験から誘導した。一元配置分散分析、続いて多重比較に調節するテューキー検定n=5 *P<0.05 **P<0.01。エラーバーはSEMを表す。
図5B】単培養物における、または異なる脳領域のNVUにおけるiBMECにわたる分子の透過性の棒グラフを提示する:デキストラン-FITC 20kDa(図5B)。結果は、3通りに実施された2つの独立した実験から誘導した。一元配置分散分析、続いて多重比較に調節するテューキー検定n=5 *P<0.05 **P<0.01。エラーバーはSEMを表す。
図5C】単培養物における、または異なる脳領域のNVUにおけるiBMECにわたる分子の透過性の棒グラフを提示する:デキストラン-FITC 4kDa(図5C)。結果は、3通りに実施された2つの独立した実験から誘導した。一元配置分散分析、続いて多重比較に調節するテューキー検定n=5 *P<0.05 **P<0.01。エラーバーはSEMを表す。
図5D】単培養物における、または異なる脳領域のNVUにおけるiBMECにわたる分子の透過性の棒グラフを提示する:グルコース類似体蛍光デオキシグルコース誘導体(2-NBDG)(図5D)。結果は、3通りに実施された2つの独立した実験から誘導した。一元配置分散分析、続いて多重比較に調節するテューキー検定n=5 *P<0.05 **P<0.01。エラーバーはSEMを表す。
図5E】単培養物における、または異なる脳領域のNVUにおけるiBMECにわたる分子の透過性の棒グラフを提示する:フルオレセインナトリウム332Da(図5E)。結果は、3通りに実施された2つの独立した実験から誘導した。一元配置分散分析、続いて多重比較に調節するテューキー検定n=5 *P<0.05 **P<0.01。エラーバーはSEMを表す。
図5F】単培養物における、または異なる脳領域のNVUにおけるiBMECにわたる分子の透過性の棒グラフを提示する:排出ポンプ基質ローダミン(図5F)。結果は、3通りに実施された2つの独立した実験から誘導した。一元配置分散分析、続いて多重比較に調節するテューキー検定n=5 *P<0.05 **P<0.01。エラーバーはSEMを表す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、血液脳関門(BBB)のインビトロモデルを使用し、BBB関門にわたる輸送をモデリングするためのデバイスを対象とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイスは、脳領域に特異的な方法でのBBB関門にわたる透過性および輸送の試験および研究を可能にする。
【0041】
本発明はまた、インビトロでBBBを模倣またはモデリングするための方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、特定の脳領域のBBBをインビトロで模倣またはモデリングするためのものである。
【0042】
本発明は、部分的には、iBMECが脳領域特異的NVUプラットフォームの開発のために成功裏に使用され得るという知見に基づいている。
【0043】
別の態様では、本発明は、部分的には、本発明のデバイスを使用し、本発明の方法を適用することにより、様々な神経血管ユニット間の異なる透過性を検出することが可能であるという知見に基づいている。いくつかの実施形態では、神経細胞は、iBMECにおいて関門機能を増加させる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明は、微小電極と、微小電極の上にある多孔質膜と、微小電極および膜上で培養された細胞と、を含む、デバイスを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、微小電極と、微小電極の上にある多孔質膜と、微小電極および膜上で別々に培養された細胞と、を含む、デバイスを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、微小電極の上に培養された細胞と膜上で培養された細胞とが異なることを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、微小電極の上で培養された細胞が内皮細胞を欠いていることを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、膜の上に培養された細胞が、ニューロンまたは神経系細胞を欠いていることを提供する。いくつかの実施形態では、デバイスは、Transwellのようなシステムである。
【0045】
デバイス
本発明の一態様によれば、微小電極の表面上で培養された細胞を含む微小電極と、培養された細胞を含む上部表面および下部表面を含む多孔質膜と、を含む、デバイスが提供され、多孔質膜は、微小電極の上に位置し、微小電極の表面上で培養された細胞は、多孔質膜の下部表面に面している。いくつかの実施形態では、上部表面は、外部表面である。
【0046】
いくつかの実施形態では、下部表面は、上部表面の培養された細胞を欠いている。
【0047】
いくつかの実施形態では、微小電極の表面上で培養された細胞を含む微小電極と、多孔質膜の表面上で培養された細胞を含む多孔質膜と、を含む、デバイスが提供される。いくつかの実施形態では、多孔質膜は、微小電極の上の平行面に位置する。いくつかの実施形態では、多孔質膜の表面上で培養された細胞は、微小電極の反対側に面している。
【0048】
いくつかの実施形態では、デバイスは、積み重ね可能なトランズウェルのようなデバイスである。いくつかの実施形態では、デバイスは、上部トランズウェルインサートおよび下部トランズウェルインサートを含む。いくつかの実施形態では、上部トランズウェルインサートは、下部トランズウェルインサートの上に積み重なる。いくつかの実施形態では、上部トランズウェルインサートは、本明細書に記載される多孔質膜を含む。いくつかの実施形態では、下部トランズウェルは、本明細書に記載される微小電極を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、微小電極および多孔質膜は、接触している。いくつかの実施形態では、微小電極および多孔質膜の下部表面は、接触している。いくつかの実施形態では、微小電極および多孔質膜は、互いに一定の距離で離れた2つの平行な平面にある。いくつかの実施形態では、微小電極と多孔質膜との間の距離は、予め決定され、変動することができる。いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、多孔質膜上で培養された細胞と物理的に接触していない。
【0050】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、多孔質膜上で培養された細胞とはデバイスの異なる部分にある。いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、多孔質膜上で培養された細胞と流体連通している。
【0051】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の神経細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0052】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の神経細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0053】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の単一脳領域からの神経細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0054】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の単一脳領域からの神経細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0055】
いくつかの実施形態では、神経細胞は、皮質神経細胞、線条体神経細胞、海馬神経細胞、小脳神経細胞、および脊髄神経細胞からなる群から選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0057】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0058】
いくつかの実施形態では、多孔質膜の上部表面上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0059】
いくつかの実施形態では、多孔質膜の上部表面上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0060】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の脳微小血管内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0061】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の脳微小血管内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0062】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0063】
いくつかの実施形態では、多孔質膜上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0064】
いくつかの実施形態では、多孔質膜の上部表面上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の脳微小血管内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0065】
いくつかの実施形態では、多孔質膜の上部表面上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の脳微小血管内皮細胞を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0066】
いくつかの実施形態では、多孔質膜の上部表面上で培養された細胞は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0067】
いくつかの実施形態では、多孔質膜の上部表面上で培養された細胞は、それらの間の任意の範囲を含む、90%~100%、91%~100%、95%~100%、97%~100%、90%~99%、91%~99%、95%~99%、97%~99%、90%~98%、91%~98%、95%~98%、97%~98%、90%~95%、または91%~95%の人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0068】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、グリア細胞を含む。
【0069】
一実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞の任意の組み合わせを含む。一実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞型の任意の組み合わせを含む。一実施形態では、細胞は、本明細書に提供される単一脳領域に由来する細胞型の任意の組み合わせを含む。一実施形態では、細胞は、本明細書に提供される単一脳領域に由来する。一実施形態では、細胞の組み合わせは、本明細書に提供される単一脳領域に由来する。
【0070】
いくつかの実施形態では、多孔質膜および微小電極は、チャンバー内部にある。いくつかの実施形態では、多孔質膜および微小電極は、各々別個のチャンバー内部にあり、流体連通している。
【0071】
いくつかの実施形態では、各チャンバーは、流体を受け入れるように構成された開口を含む。いくつかの実施形態では、チャンバーは、流体を含む。いくつかの実施形態では、流体は、細胞培養培地を含む。
【0072】
本明細書で使用される場合、「細胞培養培地」は、培養物における細胞の増殖を促進するために十分な栄養素を含有する溶液を指す。典型的には、これらの溶液は、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン、エネルギー源、脂質、および/または微量元素を含有する。培地は、ホルモン、増殖因子、および増殖阻害剤などの他のアジュバントも含有することができる。これらの成分についての要件は細胞株によって異なり、これらの差は部分的には膨大な数の培地製剤の原因となる。培地製剤は、当該技術分野において十分に報告されている。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、基本培地を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、多孔質膜は、脳領域の血液脳関門(BBB)上の電気的調節活性を特徴とする化合物を含むチャンバー内部にある。いくつかの実施形態では、化合物は、デキストラン、2-[N-(7-ニトロベンツ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-D-グルコース(2-NBDG)、フルオレセインナトリウム、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)-デキストラン、ローダミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0074】
その非限定的な実施形態における開示されたデバイスの概略図を示す図1Aを参照する。
【0075】
デバイスは、微小電極112を有し得る。いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極のアレイを含む。微小電極112のアレイは、水平に配置される。任意に、微小電極112のアレイは、互いに平行である。任意に、微小電極112のアレイは、一方向に沿って配置される。微小電極112は、微小電極の表面上で培養された細胞130を有し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、上述のような神経細胞を含む。
【0076】
微小電極112および多孔質膜155のアレイは、互いに平行な異なる平面に位置する。いくつかの実施形態では、多孔質膜155は、微小電極112のアレイの上に位置する。
【0077】
いくつかの実施形態では、細胞130は、多孔質膜115の下部表面に面している。任意に、多孔質膜の下部表面は、細胞を欠いている。
【0078】
いくつかの実施形態では、多孔質膜115および微小電極112は、チャンバー内部にあり得る。いくつかの実施形態では、多孔質膜115および微小電極112は、各々別個のチャンバー内部にあり(チャンバー110内部の多孔質膜115およびチャンバー120内部の微小電極112)、流体連通し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、チャンバー110およびチャンバー120は、流体を受け入れるように構成される。チャンバー110は、流体を受け入れるように構成された開口116を含む。チャンバー120は、流体を受け入れるように構成された開口122を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、多孔質膜115は、細胞140の層を含む上部表面を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、内皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞130に面している多孔質膜115の下部表面は、内皮細胞を欠いている。
【0081】
いくつかの実施形態では、図1A~1Bに提供される本明細書に記載されるデバイスは、上部および下部(lowerまたはbottom portion)を有する。いくつかの実施形態では、上部(または上部チャンバー110)は、膜および細胞を含む。いくつかの実施形態では、上部は、膜および内皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、上部は、膜および細胞を含み、微小電極および/または神経細胞を欠いている。いくつかの実施形態では、下部(または下部チャンバー120)は、微小電極および神経細胞を含む。いくつかの実施形態では、下部は、微小電極および細胞を含み、膜および/または内皮細胞を欠いている。
【0082】
「チャンバー」という用語は、本明細書で使用される場合、当業者に知られている天然または人工の少なくとも部分的に閉鎖された空間または空洞を意味する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、開口を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、上部チャンバーおよび下部チャンバーは、実質的に同一の寸法および/または実質的に同一の形状を有する。任意に、チャンバーは、流体体積を受け入れるように構成される。
【0084】
いくつかの実施形態では、チャンバーは、円筒形状を有する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、長方形状を有する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、円形状を有する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、半円形状を有する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、楕円形状を有する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、少なくとも1つの「U」形状および/または少なくとも1つの「T」形状を形成する。いくつかの実施形態では、チャンバーは、チャネルの形態である。
【0085】
いくつかの実施形態では、チャンバーは、表面を含む。いくつかの実施形態では、表面は、平面または非平面である。いくつかの実施形態では、表面は、流体体積に面している。いくつかの実施形態では、表面は、流体体積と液体連通するように構成される。いくつかの実施形態では、表面は、少なくとも1つの壁の内側部分を指し、内側部分は、流体体積に面するか、または流体体積と接触するように構成される。いくつかの実施形態では、チャンバーは、複数の表面を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、微小電極および多孔質膜は、接触している。いくつかの実施形態では、微小電極および多孔質膜は、接触していないか、または分離している。いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、膜上で培養された細胞と物理的に接触または連通していない。いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、膜上で培養された細胞と流体連通している。いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞の細胞外微小環境は、膜上で培養された細胞と流体連通している。いくつかの実施形態では、微小電極上の膜上で培養された細胞の細胞外微小環境は、微小電極上で培養された細胞と流体連通している。いくつかの実施形態では、細胞外微小環境は、上述の流体を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、微小電極は、組織培養プレートを含む。いくつかの実施形態では、組織培養プレートは、複数のウェルまたは1~200個のウェルを含む。いくつかの実施形態では、組織培養プレートは、1つのウェルを含む。いくつかの実施形態では、組織培養プレートは、複数のウェルを含む。いくつかの実施形態では、各ウェルまたはウェルの群は、微小電極と、微小電極の上にある多孔質膜と、微小電極および膜上で培養された細胞と、を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、神経細胞の、または神経細胞から分泌される、微小環境、または細胞外成分は、膜と接触しているか、または膜と流体連通している。いくつかの実施形態では、微小環境上で培養された神経細胞は、膜と接触しているが、膜上で培養された細胞とは接触していない。いくつかの実施形態では、微小環境上で培養された神経細胞は、膜上で培養された細胞を欠いている多孔質膜の表面と接触している。いくつかの実施形態では、膜は、少なくとも2つの表面:細胞培養表面と、神経細胞に面しているおよび/または神経細胞と接触している表面と、を含む。いくつかの実施形態では、膜は、2つの側面:細胞培養側面と、神経細胞に面しているおよび/または神経細胞と接触している側面と、を有する。いくつかの実施形態では、膜は、ニューロンと接触している。
【0089】
いくつかの実施形態では、微小電極は、金属線を含む。いくつかの実施形態では、微小電極は、線維を含む。いくつかの実施形態では、培養プレートは、電極の上側に取り付けられる。いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極/培養プレート上で培養された細胞の膜電位を測定する。いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極上で培養されたニューロンの活動電位を測定する。いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極上で培養された細胞を電気的に刺激する。いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極アレイ(MEA)を含む。いくつかの実施形態では、微小電極は、微小電極アレイ(MEA)プレートを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、膜は、複数の細孔を含み、細孔の形状およびサイズは、高度に制御される。いくつかの実施形態では、各細孔の直径は、それらの間の任意の範囲を含む、0.1ミクロン(μm)~10ミクロン(μm)、0.5μm~10μm、0.9μm~10μm、1μm~10μm、5μm~10μm、0.1μm~9μm、0.5μm~9μm、0.9μm~9μm、1μm~9μm、5μm~9μm、0.1μm~5μm、0.5μm~5μm、0.9μm~5μm、または1μm~5μmの範囲である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0091】
いくつかの実施形態では、膜は、半多孔質膜である。いくつかの実施形態では、膜は、多孔質膜である。
【0092】
本明細書で使用される場合、「細孔」、「半多孔質」、および「多孔質」という用語は、膜の表面における開口またはくぼみを指す。多孔質膜は、当該技術分野において周知であり、記載されている。任意の好適な膜は、本発明に従って使用することができる。好適な膜の例としては、ポリエステルまたはポリカーボネート膜が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、膜は、ポリカーボネートからなる。いくつかの実施形態では、膜は、ポリエステルからなる。いくつかの実施形態では、膜は、細胞を膜上で培養する前に、物質でコーティングされる。いくつかの実施形態では、物質は、タンパク質である。いくつかの実施形態では、物質は、コラーゲンである。いくつかの実施形態では、膜は、コラーゲンコーティングされたポリテトラフルオロエチレンからなる。いくつかの実施形態では、膜上で培養された細胞を有する膜の電気抵抗は、少なくとも2000Ωxcmである。いくつかの実施形態では、膜上で培養された細胞を有する膜の電気抵抗は、少なくとも4000Ωxcmである。いくつかの実施形態では、膜上で培養された細胞を有する膜の電気抵抗は、少なくとも5000Ωxcmである。いくつかの実施形態では、多孔質膜は、それらの間の任意の値を含む、少なくとも2000Ωxcm、少なくとも4000Ωxcm、少なくとも5000Ωxcm、少なくとも6000Ωxcm、少なくとも7000Ωxcm、少なくとも8000Ωxcm、または少なくとも10000Ωxcmの電気抵抗を特徴とする。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、電気抵抗は、チョップスティック電極およびボルト/オームメーターを使用して測定される。
【0093】
いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、少なくとも90%の神経細胞を含む。いくつかの実施形態では、微小電極上で培養された細胞は、少なくとも90%の神経細胞を含み、内皮細胞を欠いている。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ニューロンを含まなければならない。いくつかの実施形態では、ニューロンは、ニューロンマーカーを発現する。いくつかの実施形態では、ニューロンは、βIII-チューブリンを発現する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、グリア細胞を含む。いくつかの実施形態では、グリア細胞は、グリア細胞マーカーを発現する。いくつかの実施形態では、グリア細胞は、グリア線維性酸性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、グリア細胞は、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞、ミクログリア、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ペリサイトを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞、ミクログリア、ペリサイト、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞は、脳から単離される。いくつかの実施形態では、神経細胞は、脊髄から単離される。いくつかの実施形態では、神経細胞は、脳皮質、線条体、海馬、小脳、脊髄、またはそれらの任意の組み合わせから単離される。いくつかの実施形態では、単一脳領域は、脳皮質、線条体、海馬、小脳、脊髄のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ニューロンを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ニューロンからなる。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ニューロンおよび神経膠を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞は、内皮細胞を欠いている。
【0094】
いくつかの実施形態では、神経細胞は、初代細胞培養物に由来する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、単一脳領域に由来する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、ラットまたは複数のラットから単離される。いくつかの実施形態では、神経細胞は、胚から、または複数の胚から単離される。いくつかの実施形態では、神経細胞は、妊娠18日目に胚から単離される。いくつかの実施形態では、神経細胞は、妊娠18日目に複数の胚から単離される。いくつかの実施形態では、神経細胞は、雄哺乳動物、雄ラット、雄胚、妊娠18日目の雄胚、雌哺乳動物、雌ラット、雌胚、妊娠18日目の雌胚、またはそれらの任意の組み合わせから単離される。
【0095】
いくつかの実施形態では、膜上で培養された細胞は、少なくとも90%の内皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、膜上で培養された細胞は、少なくとも90%の内皮細胞を含み、神経細胞を欠いている。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、ヒト由来である。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、脳微小血管内皮細胞(BMEC)を含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、傍細胞密着結合を形成する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、内皮細胞マーカーを発現する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、Pecam-1、クローディン-5、オクルディン、Zona Occludens、Glut-1、モノカルボン酸輸送体8、またはこれらの任意の組み合わせを発現する。
【0096】
いくつかの実施形態では、内皮細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)に由来する。いくつかの実施形態では、iPSCは、線維芽細胞に由来する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)である。いくつかの実施形態では、iBMECは、血清の不在下で増殖因子を有する培地においてiPSCを培養することによって誘導される。
【0097】
方法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、BBBを模倣またはモデリングするための方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、インビトロでBBBを模倣またはモデリングするための方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、特定の脳領域のBBBをインビトロで模倣またはモデリングするための方法である。
【0098】
本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、人工環境を指し、人工環境内で発生するプロセスまたは反応を指す。インビトロ環境は、試験管および細胞培養からなり得るが、これらに限定されない。「インビボ」という用語は、自然環境(例えば、動物または細胞)を指し、自然環境内で発生するプロセスまたは反応を指す。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、化合物を神経細胞と接触させることと、定常状態の膜電位と比較した膜の電位を測定することとを含む、化合物の活動電位調節活性を評価するための方法である。いくつかの実施形態では、化合物は、試験化合物である。
【0100】
本明細書で使用される場合、「試験化合物」という用語は、疾患、病気(illness)、病気(sickness)、または身体機能の障害を治療または予防するための使用の候補である任意の化学物質、医薬品、薬物などを指す。試験化合物は、既知および潜在的治療用化合物の両方を含む。試験化合物は、本発明のスクリーニング方法を用いたスクリーニングによって治療的であると決定することができる。本発明のいくつかの実施形態では、試験化合物は、CNSにおいて機能する薬剤(例えば、化学または生物学的薬剤)あるいは血液脳関門の調節の調査またはその完全性および/もしくは機能の調節に有用な薬剤である。いくつかの実施形態では、試験化合物は、「未知の血液脳関門の受動的能力を有する薬物」である。本明細書で使用される場合、「未知の血液脳関門の受動的能力を有する薬物」という用語は、血液脳関門を横断するその能力が未知である薬物を指す。いくつかの実施形態では、「未知の血液脳関門の受動的能力を有する薬物」は、治療活性を有することが知られる一方、他の実施形態では、薬物の治療活性は未知である。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、薬物スクリーニングなどの研究用途における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、脳において機能し、よって血液脳関門を最適に横断する薬物(例えば、中枢神経系に作用する薬物)のスクリーニングにおける使用のためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される脳内皮細胞は、本発明の実施形態のデバイスに配置される。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、試験化合物と接触させる。試験化合物は、内皮細胞単層を横断するそれらの能力についてアッセイされる。試験化合物(例えば、薬物)は、様々な方法を使用して内皮細胞単層を横断するそれらの能力についてアッセイすることができる。いくつかの実施形態では、膜特性および完全性は、TEER値によって測定される。いくつかの実施形態では、試験化合物は、細胞単層を横断するそれらの能力についてアッセイされる。いくつかの実施形態では、試験化合物は、デバイスに含有される細胞に対して生物学的効果を及ぼすそれらの能力についてさらにスクリーニングされ得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、化合物を内皮層上に適用することと、(a)膜電位を測定すること、および/または(b)神経細胞区画(デバイスの下部区画)内の化合物の量を測定することと、を含む、内皮層の透過性を調節する化合物の能力を評価するための方法である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、血液脳関門(BBB)の抵抗を測定するための方法であって、デバイス内の膜の抵抗を測定し、それによってBBBの抵抗を測定することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、脳領域のBBB上で電気的調節活性を有する化合物を特定するための方法であって、定常状態(対照、化合物なし)でデバイス内の膜の抵抗を測定することと、化合物を膜上および/または微小電極上の神経細胞上で培養された細胞上に適用することと、化合物が抵抗または電位を増加または減少させたか評価することと、を含む、方法である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、単一脳領域における血液脳関門(BBB)の抵抗を測定するための方法であって、単一脳領域の神経細胞を含むか、またはそれからなるデバイス内の膜の抵抗を測定し、それによって単一脳領域におけるBBBの抵抗を測定することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、単一脳領域における血液脳関門(BBB)の抵抗の変化を測定するための方法であって、単一脳領域の神経細胞を含むか、またはそれからなるデバイス内の膜の抵抗を第1に測定することと、化合物または物理的刺激(温度、照射など)を適用することと、単一脳領域の神経細胞を含むか、またはそれからなるデバイス内の膜の抵抗を第2に測定することと、第1の測定と第2の測定との間の電位/抵抗の差を計算し、それによって単一脳領域における血液脳関門(BBB)の抵抗の変化を特定することと、を含む、方法である。
【0105】
いくつかの実施形態では、血液脳関門の抵抗の変化は、血液脳関門の抵抗を調節することである。いくつかの実施形態では、抵抗は、電位または電気ポテンシャルと交換可能である。いくつかの実施形態では、抵抗、電位、または電気ポテンシャルは、膜上で測定される。いくつかの実施形態では、膜の抵抗、電位、または電気ポテンシャルは、神経細胞、内皮細胞、または両方によって調節される。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、化合物をデバイスの上部中に投与することと、次いでデバイス内の膜の抵抗を測定し、それによってBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定することと、を含む、BBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法である。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、化合物をデバイスの上部中に投与することと、次いでデバイス内の膜の抵抗を測定し、それによってBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定することと、を含む、BBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法である。いくつかの実施形態では、デバイスの下部へと浸透し、ニューロンの活動電位に影響を及ぼす化合物は、定常状態と化合物による処理後との間の抵抗の測定可能な差の結果として特定される。いくつかの実施形態では、デバイスの下部への化合物の浸透を可能にし、ニューロンの活動電位に影響を及ぼす組成物は、定常状態と化合物を含む組成物による処理後との間の抵抗の測定可能な差の結果として特定される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、単一脳領域にあるBBBの透過性に影響を及ぼす化合物の能力を決定するための方法である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明で提供されるのは、BBBを横切る化合物の能力を決定するための方法であって、化合物をデバイスの上部中または上に投与することと、次いでデバイスの下部における化合物の量を測定することと、を含む、方法である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、標識される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、有機部分を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、候補の神経刺激剤である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、候補のBBB透過性調節剤である。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、化合物をデバイスの上部中または上に投与することと、次いで神経細胞の活動電位(膜の抵抗)を測定し、それによってBBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定することと、を含む、BBBにわたるニューロン活性を調節する化合物の能力を決定するための方法である。いくつかの実施形態では、ニューロン活性は、ニューロン電気活性または活動電位である。いくつかの実施形態では、化合物は、ニューロン活性を誘発する。いくつかの実施形態では、化合物は、ニューロン活性を増強する。いくつかの実施形態では、化合物は、ニューロン活性を遮断または阻害する。
【0111】
いくつかの実施形態では、化合物または組成物をデバイスの上部中または上に投与することは、化合物または組成物を本明細書に記載される内皮細胞上に投与することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、化合物をデバイスの上部中に投与することと、次いで神経細胞の細胞死または神経細胞の活動電位の減少を評価し、それによってBBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定することと、を含む、BBBにわたる化合物の神経毒性ポテンシャルを決定するための方法である。
【0113】
いくつかの実施形態では、神経細胞の活動電位は、膜の抵抗を測定することによって測定される。いくつかの実施形態では、神経細胞のニューロンは、膜と接触している。いくつかの実施形態では、神経細胞の活動電位の調節は、膜の抵抗の調節と相関する。
【0114】
いくつかの実施形態では、内皮細胞は、iBMECを含む。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、修飾されたiBMECを含む。いくつかの実施形態では、iBMECは、修飾されたiBMECを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたiBMECは、神経細胞の細胞外環境を含むか、または本明細書に記載されるデバイスの上部内で培養された組成物の存在下でiBMECを少なくとも2、5、8、10、15、または24時間培養することによって得られる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、修飾されたiBMECは、神経細胞(神経細胞細胞外環境)から分泌された因子の存在下で成熟または培養されたiBMECである。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、人工多能性幹細胞(iPSC)を脳微小血管内皮細胞(BMEC)に分化させるための方法であり、iPSCは、無血清培地において培養され、それによってiPSCをBMECに分化させる。いくつかの実施形態では、BMECは、デバイスの上部内で培養され、膜の電気抵抗は、少なくとも1000、2000、3000、4000、または5000Ωxcmである。
【0116】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、値と組み合わされる場合、参照値のプラスおよびマイナス10%を指す。例えば、約1000ナノメートル(nm)の長さは、1000nm+-100nmの長さを指す。
【0117】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、複数の参照物を含むことが留意される。よって、例えば、「ポリヌクレオチド」への言及は、複数のそのようなポリヌクレオチドを含み、「ポリペプチド」への言及は、1つ以上のポリペプチドおよび当業者に既知のその同等物などへの言及を含む。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように記載され得ることにさらに留意されたい。そのため、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単に」、「のみ」などのような排他的な用語の使用、または「否定的」限定の使用の先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0118】
「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規則が使用されるそれらの事例では、一般的に、そのような構造は、当業者が規則を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒に有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接的な語および/または句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図することが理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むことが理解されるであろう。
【0119】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別々に、または任意の適した部分的組み合わせで提供され得る。本発明に関する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、各々およびすべての組み合わせが個別にかつ明示的に開示されたかのように本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態およびその要素のすべての部分的組み合わせも、本発明によって具体的に包含され、各々およびすべてのそのような部分的組み合わせが個別にかつ明示的に本明細書に開示されたかのように本明細書に開示される。
【0120】
本発明の追加の目的、利点、および新規特徴は、限定することが意図されない、以下の例の調査後、当業者に明白になるであろう。加えて、以上で描写され、以下の特許請求の範囲セクションにおいて特許請求される本発明の様々な実施形態および態様の各々は、以下の例において実験的支持を見出す。
【0121】
以上で描写され、以下の特許請求の範囲セクションにおいて特許請求される本発明の様々な実施形態および態様は、以下の例において実験的支持を見出す。
【実施例
【0122】
一般に、本明細書で使用される命名法および本発明で利用される実験手順には、分子、生化学、微生物学、および組換えDNA技法が含まれる。そのような技法は、文献中で徹底的に説明されている。例えば、そのすべてが参照によって組み込まれる、“Molecular Cloning:A laboratory Manual”Sambrook et al.,(1989)、“Current Protocols in Molecular Biology”Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994)、Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)、Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley&Sons,New York(1988)、Watson et al.,“Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York、Birren et al.(eds)“Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York (1998)、米国特許第4,666,828号、4,683,202号、4,801,531号、5,192,659号、および5,272,057号に記載される方法論、“Cell Biology:A Laboratory Handbook”,Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994)、“Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique” by Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),Third Edition、“Current Protocols in Immunology”Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994)、Stites et al.(eds),“Basic and Clinical Immunology”(8th Edition),Appleton&Lange,Norwalk,CT(1994)、Mishell and Shiigi(eds),“Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual”CSHL Press (1996)を参照されたい。他の一般的な参照文献は、本明細書全体を通して提供される。
【0123】
実施例1
現在、ヒト中枢神経系浸透性を領域特異的な方法でモデリングすることができるインビトロプラットフォームは存在しない。本発明者らは、皮質、線条体、海馬、小脳、および脊髄に特異的である神経血管ユニット(NVU)プラットフォームの生成を可能にするであろう新規アプローチを開発した。
【0124】
脳領域特異的NVUプラットフォームを生成するために、本発明者らは、iBMECが前述のようにトランズウェルインサート上で培養されるであろう二重区画システムを作り出すことを提案する。脳領域特異的BBB特性は、領域特異的アストロサイトおよびニューロンを含有する、初代ラット神経培養物の上に人工多能性幹細胞由来脳微小血管内皮細胞(iBMEC)を共培養することによって達成されるであろう(図1A~B)。これらの細胞型を共培養することによって、本発明者らは、インビボでこれらの差をもたらす細胞間相互作用を再現することを目的とする。初代神経細胞は、ニューロン活性のリアルタイムモニタリングを可能にするように、微小電極アレイ(MEA)プレート上で増殖されるであろう。組み合わされた、これらのプラットフォームは、分子血液脳関門(BBB)浸透性および分子のニューロン活性に対する効果の両方を同時に監視することができるであろう。
【0125】
方法
領域特異的な初代神経培養物を得るために、E18ラット胚を妊娠した雌から抽出した。胚を解剖し、皮質、線条体、海馬、小脳、および脊髄を含むCNSのいくつかの領域を分離した。領域を酵素的に単一細胞に解離させた後、予めコーティングされたMEAプレートおよびペトリ皿に播種し、その中でそれらをNeurobasal培地(Sigma)において2週間培養させた。様々な初代細胞培養物を検証するために、細胞をニューロンマーカーβIII-チューブリンおよびグリアマーカーGFAPについて染色した(図2A~C)。線維芽細胞を、非組み込みエピソームプラスミドを使用して人工多能性幹細胞(iPSC)に再プログラムした。各iPSC株由来の3つのクローンを、多能性マーカーNANOG/TRA160、OCT4/SSEA4、およびTRA181/SOX2の免疫細胞化学によって、ならびにアルカリホスファターゼ(AP)活性および核型分析によって特徴付けた。iPSCを次いでiBMECに分化させた。分化の8日目に、細胞を酵素的に単一細胞懸濁液に解離させ、予めコーティングされたトランズウェルインサート上に播種した。播種の24時間後、iBMECインサートを、異なるCNS領域に由来する初代神経培養物の上に配置し、それらをさらに3日間培養した。iBMECは、傍細胞密着結合のマーカーを発現し、最適化された分化プロトコルに従って、それらは生理学的に関連する経内皮電気抵抗(TEER)レベルを実証した。
【0126】
結果
様々な領域特異的初代神経培養物の上に共培養されたiBMECを、関門特性の電気生理学的特徴である経内皮電気抵抗(TEER)によって評価した。これらの結果は、神経細胞の上に共培養されるiBMECが、増加した関門特性を示すことを示し、これは神経培養物とiBMEC単層との間の細胞間クロストークを再現して可能となった。示差TEER測定は、異なる神経培養物にわたるBBB間の予想される変動を示す。これらの結果は、本発明者らが開発したアプローチの実現可能性を示す。
【0127】
実施例2
ヒトBBBにわたる薬物浸透性の予測のための脳領域特異的神経血管ユニットの生成
アプローチ
脳領域特異的NVUプラットフォームを生成するために、本発明者らは、iBMECが前述のようにトランズウェルインサート上で培養されるであろう二重区画システムを作り出すことを提案する。脳領域特異的BBB特性は、領域特異的アストロサイトおよびニューロンを含有する、初代ラット神経培養物の上にiBMECを共培養することによって達成されるであろう(図1A~B)。これらの細胞型を共培養することによって、本発明者らは、インビボでこれらの差をもたらす細胞間相互作用を再現することを目的とする。初代神経細胞は、ニューロン活性のリアルタイムモニタリングを可能にするように、微小電極アレイ(MEA)プレート上で増殖されるであろう。組み合わされた、これらのプラットフォームは、分子BBB浸透性および分子のニューロン活性に対する効果の両方を同時に監視することができるであろう。
【0128】
方法
領域特異的な初代神経培養物を得るために、E18ラット胚を妊娠した雌から抽出した。胚を解剖し、皮質、線条体、海馬、小脳、および脊髄を含むCNSのいくつかの領域を分離した。領域を酵素的に単一細胞に解離させた後、予めコーティングされたMEAプレートおよびペトリ皿に播種し、その中でそれらをNeurobasal培地(Sigma)において2週間培養させた。様々な初代細胞培養物を検証するために、細胞をニューロンマーカーβIII-チューブリンおよびグリアマーカーGFAPについて染色した(図2)。
【0129】
iPSCは、前述のようにiBMECに分化させた。分化の8日目に、細胞を酵素的に単一細胞懸濁液に解離させ、予めコーティングされたトランズウェルインサート上に播種した。播種の24時間後、iBMECインサートを、異なるCNS領域に由来する初代神経培養物の上に配置し(図3)、それらをさらに3日間培養させた。
【0130】
結果
様々な領域特異的初代神経培養物の上に共培養されたiBMECを、関門特性の電気生理学的特徴である経内皮電気抵抗(TEER)によって評価した(図4)。これらの結果は、神経細胞の上に共培養されるiBMECが、増加した関門特性を示すことを示し、これは神経培養物とiBMEC単層との間の細胞間クロストークを再現して可能となった。示差TEER測定は、異なる神経培養物にわたるBBB間の予想される変動を示す。これらの結果は、本発明者らが開発したアプローチの実現可能性を示す。
【0131】
iBMEC単層にわたる5分子の機能的評価。透過性は、既知のインビボ差に従って異なる脳領域にわたって差次的であるべきである。
【0132】
異なるNVUの性能を機能的に試験するために、本発明者らは、異なる分子量の蛍光トレーサー(70kDaのデキストラン-TRITC、20kDaのデキストラン-FITC、4kDaのデキストラン-FITC、フルオレセインナトリウム(332Da)、排出ポンプ基質ローダミン1、2、3(480Da)、およびグルコース類似体蛍光デオキシグルコース誘導体(2-NBDG))を含む6つの分子の血液から脳への透過性を試験した。各分子をトランズウェルの上部チャンバーに添加することにより、前述のように実験を行い、15、30、45、および60分後に下部チャンバーから試料を収集した。蛍光を、プレートリーダーを用いて測定し、既知の濃度を有する較正曲線を用いて濃度に計算した。次に、本発明者らは、チャートをプロットし、各トランズウェルの勾配を抽出した。空のトランズウェルからの勾配を得られた値から差し引き、結果を使用して、10-5cm/分として表される透過性を計算した。本発明者の結果は、大分子トレーサー(70kDaおよび20kDaのデキストラン)がすべてのiBMECを不十分に横断し、様々なNVU間に有意差がなかったことを示す(図5A~B)。これらのトレーサーは大分子と同等のサイズであり、よって、それらが、単培養物を含む、すべてのiBMECを効率的に横断することができなかったことは驚くにはあたらない。より小さなトレーサー、デキストラン4kDaは、予想されるより高い透過性を示し、単培養と脊髄、小脳、および皮質のNVUとの間に有意な差があった。グルコースの類似体である2-NDBGの透過性は、NVU間で変わらなかった。これは、BBBおよびiBMEC全体を通したグルコース輸送体1(GLUT1)の発現と一致しており、CNSへのグルコース輸送を担っている。より小さなトレーサー、フルオレセインナトリウムは、皮質、小脳、線条体、および海馬のNVUと比較して単培養において有意により透過性であった。重要なことに、脊髄と他のNVUとの間でも透過性の有意差が観察され、予想されるインビボ差が確認された。これらの結果は、小さなトレーサーローダミンの透過性と同様であった。全体的に、透過性結果は、単培養物を含むすべてのiBMECにおいて達成された高いTEERによって予想される、より小さなトレーサーでのみ脳領域効果を示した。
【0133】
考察
BBBは、血液循環からCNSへの分子の通過を厳しく制限する多細胞NVUとして形成される。したがって、BBBは、ほとんどのFDAが承認した分子の通過を制限するため、CNSへの神経薬物の送達における大きな障害を提示する。インビボモデルは、BBBの生理学的特性を表し、異なる領域にわたるBBBの不均質性をモデリングするために使用することができるが、動物モデルは、ヒトBBB浸透性の弱い予測因子である。結果として、ヒトベースのモデルは、BBB特性を研究するために広く使用されてきた。過去10年で、iBMECは、スケーラブルで堅牢な内皮細胞源として導入され、これはTJタンパク質、内皮マーカー、および機能的輸送システムの発現を含む生理学的に関連するBBB特性を実証した。重要なことに、iBMECは、インビボBBBと同様のレベルに達する関門特性を示す。これらの重要な特徴にもかかわらず、今日のBBBのインビトロシステムは、CNSの異なる領域にわたる不均質性を表すことができない。
【0134】
ここで、本発明者らは、iBMECが、皮質、線条体、海馬、小脳、および脊髄を含むCNSの様々な領域に由来する初代神経細胞と共培養されるアプローチを開発した。本発明者らの結果は、再現されたNVUプラットフォームが予想される変動透過性を示すことを実証する。これらの結果は、本特許出願の基礎を提供する。
【0135】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の請求項の趣旨および広い範囲に入るすべてのこのような代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0136】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各々個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本出願における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されるべきではない。セクション見出しが使用される限りでは、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
【国際調査報告】