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▶ スウェップ インターナショナル アクティエボラーグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】熱交換器、冷却システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/02 20060101AFI20230316BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20230316BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230316BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230316BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20230316BHJP
   F25B 40/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/04 B
F28F3/08 311
F25B1/00 331Z
F25B39/00 G
F25B40/00 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542075
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 SE2021050068
(87)【国際公開番号】W WO2021154153
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2050096-3
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク トーマス
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA17
3L103AA35
3L103CC18
3L103CC30
3L103DD15
3L103DD57
3L103DD70
(57)【要約】
ブレージングプレート式熱交換器(100)は、複数の第1及び第2の熱交換プレート(110、120)を含み、第1の熱交換プレート(110)に隆起部(R1)及び溝部(G1)の第1のパターンが形成され、第2の熱交換プレート(120)に隆起部(R2a、R2b)及び溝部(G2a、G2b)の第2のパターンが形成され、隆起部(R2a、R2b)及び溝部(G2a、G2b)の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、上記プレート間流路は、ポート開口(O1、O2、O3、O4)と選択的に流体連通する。隆起部及び溝部の第1のパターンと隆起部及び溝部の第2のパターンとが異なるため、第1の熱交換プレート(110)の一方側のプレート間流路容積と第1の熱交換プレート(110)の反対側のプレート間流路容積とが異なる。熱交換器(100)に追加導入ポート熱交換器(400)が設けられる。システム及び方法も開示される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1及び第2の熱交換プレート(110、120)を含み、前記第1の熱交換プレート(110)に隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、前記第2の熱交換プレート(120)に隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、前記隆起部及び溝部の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、前記プレート間流路は、ポート開口(O1、O2、O3、O4)と選択的に流体連通するブレージングプレート式熱交換器(100)であって、
前記隆起部及び溝部の第1のパターンと前記隆起部及び溝部の第2のパターンとが異なるため、前記第1の熱交換プレート(110)の一方側のプレート間流路容積と前記第1の熱交換プレート(110)の反対側のプレート間流路容積とが異なり、
前記熱交換器(100)に追加導入ポート熱交換器(400)が設けられることを特徴とする、ブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項2】
前記追加導入ポート熱交換器(400)は、複数の熱交換プレート(110、120)のポート開口(O1)内に延びるパイプ(401)を含む、請求項1に記載のブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項3】
前記追加導入ポート熱交換器(400)の前記パイプ(401)は、半螺旋状に曲げられた部分を含み、前記部分は、前記ポート開口(O1)内に延びる、請求項2に記載のブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項4】
前記第1及び第2の熱交換プレート(110、120)は、交互に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項5】
前記第1のパターンは、第1のヘリンボーンパターン又は斜めに延びる直線の第1のパターンであり、前記第2のパターンは、第2のヘリンボーンパターン又は斜めに延びる直線の第2のパターンであり、前記第1及び第2のパターンの前記隆起部及び溝部の一部は、前記熱交換プレートの一方側から他方側まで延びる、請求項1~4のいずれか1項に記載のブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項6】
前記第1の熱交換プレートの隆起部及び溝部は、少なくとも前記第1の熱交換プレートの中央の主熱交換部において、第1の角度(β1)で延び、前記第2の熱交換プレートの隆起部及び溝部は、少なくとも前記第2の熱交換プレートの中央の主熱交換部において、前記第1の角度(β1)とは異なる第2の角度(β2)で延びる、請求項1~5のいずれか1項に記載のブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項7】
前記第1の角度(β1)と前記第2の角度(β2)との差が2°~35°である、請求項6に記載のブレージングプレート式熱交換器(100)。
【請求項8】
前記第1の熱交換プレート(110)の一方側の前記プレート間流路の断面積と反対側の前記プレート間流路の断面積とが異なる、請求項1~7のいずれか1項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項9】
少なくとも前記第2の熱交換プレート(110、120)は、非対称型である、請求項1~8のいずれか1項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項10】
前記第1の熱交換プレート(110)は、対称型である、請求項1~9のいずれか1項に記載のブレージングプレート式熱交換器。
【請求項11】
気体冷媒をその温度、圧力、及び沸点が上昇するように圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機からの前記気体冷媒が高温熱媒体と熱交換することで前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器からの液体冷媒を減圧させることで前記冷媒の沸点を低下させる膨張弁と、
沸点が低下した前記冷媒が低温熱媒体と熱交換することで前記冷媒を気化する蒸発器と、
前記凝縮器からの高温液体冷媒と前記蒸発器からの高温気体冷媒との間で熱交換する追加導入ポート熱交換器(400)と、を含む冷却システムであって、
前記蒸発器は、複数の第1及び第2の熱交換プレート(110、120)を含むブレージングプレート式熱交換器によって形成され、前記第1の熱交換プレート(110)に隆起部(R1)及び溝部(G1)の第1のパターンが形成され、前記第2の熱交換プレート(120)に隆起部(R2a、R2b)及び溝部(G2a、G2b)の第2のパターンが形成され、前記隆起部(R2a、R2b)及び溝部(G2a、G2b)の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、前記プレート間流路は、ポート開口(O1、O2、O3、O4)と選択的に流体連通し、前記隆起部及び溝部の第1のパターンと前記隆起部及び溝部の第2のパターンとが異なるため、前記第1の熱交換プレート(110)の一方側のプレート間流路容積と前記第1の熱交換プレート(110)の反対側のプレート間流路容積とが異なることを特徴とする、冷却システム。
【請求項12】
前記追加導入ポート熱交換器(400)における熱交換量を制御する手段を含む、請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記追加導入ポート熱交換器(400)における熱交換量を制御する手段は、前記追加導入ポート熱交換器(400)をバイパスする冷媒量を制御する制御可能なバランス弁である、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記バランス弁は、前記追加導入ポート熱交換器(400)を通過した前記凝縮器からの液体冷媒をバイパスする、請求項13に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記追加導入ポート熱交換器(400)における熱交換量を制御する手段は、二重膨張弁を含み、前記二重膨張弁の第1のものは、前記蒸発器の入口と前記追加導入ポート熱交換器(400)との間に接続され、前記二重膨張弁の第2のものは、前記蒸発器の前記入口と前記凝縮器との間に接続される、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項16】
前記冷却システムは、可逆的になるために、四方弁(FMV)を含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記隆起部及び溝部の第1のパターンの少なくとも一部は、第1の角度(β1)で延び、前記隆起部及び溝部の第2のパターンの少なくとも一部は、前記第1の角度(β1)とは異なる第2の角度(β2)で延びる、請求項11~16のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項18】
圧縮機によって、気体冷媒をその温度、圧力、及び沸点が上昇するように圧縮する工程a)と、
前記圧縮機からの前記気体冷媒を凝縮器に導く工程b)と、
前記凝縮器において、前記圧縮機からの前記気体冷媒と高温熱媒体との間で熱交換することで前記冷媒を凝縮させる工程c)と、
膨張弁において、前記凝縮器からの液体冷媒を減圧させることで前記冷媒の沸点を低下させる工程d)と、
沸点が低下した前記冷媒を蒸発器に導く工程e)と、
前記蒸発器において、前記冷媒と低温熱媒体との間で熱交換することで前記冷媒を気化する工程f)と、
追加導入ポート熱交換器(400)によって、前記凝縮器からの高温液体冷媒と前記蒸発器からの高温気体冷媒との間で熱交換する工程g)と
を含む冷却方法であって、
工程f)において、隆起部(R1)及び溝部(G1)の第1のパターンが形成された第1の熱交換プレート(110)と、隆起部(R2a、R2b)及び溝部(G2a、G2b)の第2のパターンが形成された第2の熱交換プレート(120)とによって形成されたプレート間流路を介して前記冷媒を導き、前記隆起部(R2a、R2b)及び溝部(G2a、G2b)の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、前記隆起部及び溝部の第1のパターンと前記隆起部及び溝部の第2のパターンとが異なるため、前記第1の熱交換プレート(110)の一方側のプレート間流路容積と前記第1の熱交換プレート(110)の反対側のプレート間流路容積とが異なることを特徴とする、冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供する隆起部及び溝部のパターンを有する複数の熱交換プレートを含むブレージングプレート式熱交換器に関する。プレート間流路は、流体が熱交換するための4つのポート開口と選択的に流体連通する。このタイプの熱交換器は、追加導入ポート熱交換器の形態の、いわゆる吸気熱交換器も含む。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも1つのこのような熱交換器を含む冷却システムに関する。本発明は、更に、少なくとも1つのこのような熱交換器を使用する冷却方法に関する。熱交換器、冷却システム及び方法も開示されている。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、ヘリンボーンパターンの隆起部及び溝部を有するプレスされた波形パターンを有する複数のブレージングプレート式熱交換器が知られている。統合吸気熱交換器を備えた熱交換器を提供し、このような熱交換器を冷却システムに使用することも知られている。
【0004】
冷却の分野では、より効率的なシステムに向けて絶え間ない努力が払われている。実際、最高の冷却システムは、熱機械の理論上の上限であるカルノー効率に近づいている。一般的に言えば、機械的エネルギーを温度差に変換する全ての冷却システムは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、及び圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器との間の冷媒の輸送を可能にする配管を含み、熱は、蒸発器から凝縮器に伝達される。
【0005】
しかし、一部の温度差での効率はカルノー効率に近づく可能性があるが、これは全ての稼働条件に当てはまるとは言えない。
【0006】
一般的に、冷却システムに含まれる全ての熱交換器は、できるだけ大型で効率的である必要がある。また、ホールドアップ量をできるだけ少なくし、圧力損失を低くする必要がある。理解できるように、これらの基準を全て満たすことができるわけではない。
【0007】
蒸発器後の温度に関しては、全ての冷媒が蒸発する温度(つまり、冷媒の最高沸点)を超える全ての温度上昇は、効率の低下を意味するが、圧縮機に入る液体冷媒は、圧縮機に深刻な損傷を与える可能性があるため、圧縮機に入る前に全ての冷媒を実際に気化することも重要である。全ての冷媒が蒸発する状態は、温度が沸騰温度を超えないが、一般的に「ゼロ過熱」と呼ばれ、効率に関して非常に有利な状態である。
【0008】
蒸発器で「ゼロ過熱」を達成する1つの方法は、蒸発器を液体冷媒で「満液状態(フラッディング)」にし(flood)、満液状態の蒸発器から冷媒を沸騰させて取り除くことである。この構成は、大型のチラー用途、すなわち、500~1000kWの電力を有する熱機械において一般的である。通常、このような用途には、いわゆる「プレートアンドシェル」又は「シェルアンドチューブ」熱交換器が使用される。
【0009】
上記から理解できるように、このような蒸発器構成は、優れた性能を発揮するが、欠点がないわけではない。第1に、シェルを含む全ての熱交換器がかさばり重いことは、それらを製造するための材料費が高いことを意味する。第2に、そして更に重要なことに、熱交換器の満液に必要な冷媒量が多い。コストの問題以外にも、法律は、多くの場合、熱機械での冷媒量が多すぎることを禁止している。
【0010】
熱伝達/材料質量の観点から、圧倒的に最も効率的な熱交換器のタイプは、コンパクトなブレージングプレート式熱交換器(BPHE)である。当業者に知られているように、このような熱交換器は、板金で作られた多数のプレートを含み、プレートには、媒体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、プレートを互いに距離を置いて維持するように適合された隆起部及び溝部のプレスされたパターンが設けられる。プレートが互いにろう付けされていることは、各プレートペアが、熱交換器内に冷媒を加圧して収容するのに活性化されることを意味する。ブレージングプレート式熱交換器は、冷媒を収容することを唯一の目的とするシェルを含む熱交換器とは異なり、熱交換器内の実質的に全ての材料が実際に熱交換に有効であるという利点を有する。
【0011】
BPHEと満液式シェルアンドチューブ熱交換器の蒸発プロセスは、上述したように大きく異なり、満液式シェルアンドチューブ熱交換器の蒸発は、プール沸騰に似ているが、BPHEでは、冷媒は、プレート間流路を通ってほぼ直線的に移動する。出口に近いほど、存在する液体冷媒が少なくなる。蒸発による容積の増加により、熱交換器の長さに沿って速度、ひいては流れ抵抗が増加する。
【0012】
上述したように、液体冷媒が圧縮機に入らないことは重要である。このため、熱交換器の少なくとも一部が気体冷媒のみを収容することは珍しいことではない。気体冷媒は熱を奪って不必要に熱くなり、これによりシステム効率が低下する。
【0013】
冷媒が冷えているとフラッシュ沸騰現象を最小限に抑えることができるため、蒸発器に入ろうとしている液体冷媒が冷えている場合も有利である。
【0014】
膨張弁に入ろうとしている冷媒の低い冷媒温度を確保する(したがって、フラッシュ沸騰のリスクを低減する)とともに、圧縮機に入ろうとしている気体冷媒の十分に高い温度を確保する1つの方法は、いわゆる吸気熱交換器を使用することである。最も単純な形態では、吸気熱交換器は、熱が配管間で伝達されるように、蒸発器から圧縮機までの配管を凝縮器から膨張弁までの配管の近くに配置して近接させ、それらを互いにろう付け又ははんだ付けすることだけで配置することができる。しかし、大型システムでは、2本のパイプを単に並べて配置するよりも効率的な熱交換器を提供する方が一般的である。通常、より大きなタイプの吸気熱交換器を使用する場合、蒸発器の出口の圧力損失及び吸気熱交換器の入口/出口の圧力損失の問題は、全体の効率を破壊し、そのような熱交換器を備えるシステムの制御問題を引き起こす可能性がある。
【0015】
液体冷媒が圧縮機に入らないようにしながら、冷媒の過熱を最小限に抑えることができれば、BPHEは、コンパクト性と材料効率の点での利点を維持しながら、効率の点でも満液式シェルアンドチューブ熱交換器と競合する可能性がある。
【0016】
冷却技術において、いわゆる「吸気熱交換」は、冷却システムの安定性などを向上させるための方法である。要するに、吸気熱交換は、凝縮器の出口からの高温液体の高圧冷媒と、蒸発器の出口からの低温気体冷媒との間の熱交換を提供することによって達成される。吸気熱交換により、低温気体冷媒の温度は上昇し、高温液体の温度は低下する。これは、2つの好影響を与える。第1に、高温液体が後続の膨張弁を通過した後のフラッシュ沸騰の問題が減少する。第2に、気体冷媒中の液滴が蒸発器から出るリスクが減少する。
【0017】
吸気熱交換はよく知られている。多くの場合、吸気熱交換は、互いに熱交換が望まれる状態の冷媒を運ぶパイプをろう付け又ははんだ付けすることだけで達成される。しかし、熱交換を達成するこの方法は、必要な冷媒量の点で費用がかかり、冷却システムの異なるコンポーネント間の配管が可能な限り短い場合に常に有利である。異なる温度の流体を運ぶ配管をろう付け又ははんだ付けすることによる吸気熱交換は、そうでない場合よりも長い配管を必要とするため、配管の内部容積が増加することにより、冷却システムにおいてより多くの冷媒が必要になる。これは、経済的な観点からだけでなく、使用する冷媒量がいくつかの法域で制限されているため、不利である。
【0018】
別のオプションは、吸気熱交換用に別個の熱交換器を提供することである。別個の熱交換器は、単に異なる配管部分を互いにろう付けするものよりも効率的である。しかし、別個の熱交換器を提供することも、蒸発器及び凝縮器を吸気熱交換器に接続する配管を必要とし、この配管は、冷却システムの冷媒量を増加させるであろう。
【0019】
更に、冷却システムは、必要な/望ましい負荷に応じて、暖房モードとチラーモードの両方で動作できるようにする必要があることがよくある。通常、暖房モードとチラーモードの間の移行は、蒸発器が凝縮器になり、凝縮器が蒸発器になるように四方弁を切り替えることによって達成される。残念ながら、これは、凝縮器/蒸発器ユニットのいずれか又は両方での熱交換が、並流熱交換、つまり、熱交換のための媒体が暖房モード又は冷房モードのいずれかで全体として同じ方向に移動する熱交換であることを意味する。当業者によく知られているように、並流熱交換は、向流熱交換に比べて劣る。蒸発器では、熱交換性能の低下により、冷媒蒸気中の液滴が熱交換器から出るリスクが高まるおそれがある。このような液滴は、圧縮機に深刻な損傷を与えるおそれがあるため、非常に望ましくない。しかし、蒸発器内の冷媒と熱交換するための媒体の流れ方向を切り替えるための装置は、費用がかかり、冷却システムを複雑にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、上記及び他の問題を解決するか又は少なくとも軽減することである。
【0021】
本発明の1つの目的は、冷却システム内の流体分布及び流体間の熱伝達が良好なプレート式熱交換器を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、効率的な冷却システムを提供することである。
【0023】
本発明の更に他の目的は、圧縮機に入る冷媒の過熱がゼロ又はゼロに近いことを達成するためのBPHE、及びBPHEを用いた冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的のいくつかを達成するために、本発明の第1の態様に係る冷却システムは、気体冷媒をその温度、圧力、及び沸点が上昇するように圧縮する圧縮機と、圧縮機からの気体冷媒が高温熱媒体と熱交換することで冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮器からの液体冷媒を減圧させることで冷媒の沸点を低下させる膨張弁と、沸点が低下した冷媒が低温熱媒体と熱交換することで冷媒を気化する蒸発器と、凝縮器からの高温液体冷媒と蒸発器からの低温気体冷媒との間で熱交換する吸気熱交換器と、を含む冷却システムであって、吸気熱交換器において、蒸発器からの低温気体冷媒と熱交換しないために、高温液体冷媒をバイパスできるように配置されたバランス弁を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明は、更に、このようなシステムを制御する方法に関し、該方法は、
高温液体冷媒の温度を測定する工程a)と、
低温気体冷媒の温度を測定する工程b)と、
高温液体冷媒と低温気体冷媒との間の温度差を計算する工程c)と、
差が所定の閾値未満である場合、バランス弁を制御して吸気熱交換器をバイパスする工程d)と
を含む。
【0026】
例えば、上記閾値は、ゼロであってもよい。
【0027】
上記目的のいくつかを達成するために、本発明の第2の態様に係る冷却システムは、気体冷媒をその温度、圧力、及び沸点が上昇するように圧縮する圧縮機と、圧縮機からの気体冷媒が高温熱媒体と熱交換することで冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮器からの液体冷媒を減圧させることで冷媒の沸点を低下させる膨張弁と、沸点が低下した冷媒が低温熱媒体と熱交換することで冷媒を気化する蒸発器と、凝縮器からの高温液体冷媒と蒸発器からの低温気体冷媒との間で熱交換する吸気熱交換器と、を含む冷却システムであって、吸気熱交換器に入る低温気体冷媒が一定量の低温液体冷媒を含み、低温液体冷媒が凝縮器からの高温液体冷媒との熱交換の結果として気化されることを特徴とする。
【0028】
上記目的のいくつかを達成するために、本発明の第3の態様に係るプレート式熱交換器は、プレート間流路がプレート間に形成されるために、熱交換プレートを互いに距離を置いて維持する接点を提供するように適合されたプレスされたパターンが設けられた複数の熱交換プレートを含み、第1の媒体のためのプレート間流路が設けられ、第1の媒体は、プレート間流路内の第2の媒体及びプレート間流路内の第3の媒体と熱交換し、プレート間流路は、第1の媒体、第2の媒体、及び第3の媒体のためのポート開口と選択的に流体連通するプレート式熱交換器であって、第2の媒体及び第3の媒体のためのポート開口の近くに設けられる第1及び第2の統合吸気熱交換器部を含むことを特徴とする。
【0029】
上記目的のいくつかを達成するために、本発明の第4の態様に係るブレージングプレート式熱交換器は、複数の第1及び第2の熱交換プレートを含み、第1の熱交換プレートに隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、第2の熱交換プレートに隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、隆起部及び溝部の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、プレート間流路は、第1、第2、第3及び第4の大ポート開口並びに第1及び第2の小ポート開口と選択的に流体連通し、第1及び第2の熱交換プレートには、熱交換プレートを第1の熱交換部分及び第2の熱交換部分に分割する分割面が形成され、その結果、第1及び第2の大ポート開口の間を通過する流体は、各プレートの第1の熱交換部分上の(にわたる、over)第3及び第4のポート開口の間を通過する流体、並びに各プレートの第2の熱交換部分上の第1及び第2の小ポート開口の間を通過する流体と熱交換するブレージングプレート式熱交換器であって、隆起部及び溝部は、異なるプレートペア間のプレート間流路が異なる容積を有するように形成されることを特徴とする。任意選択で、第1のパターンは、第1のシェブロン角などの第1の角度を示し、第2のパターンは、第1の角度とは異なる、第2のシェブロン角などの第2の角度を示す。
【0030】
小ポート開口及び分割面により、統合吸気熱交換器が得られ、小ポート開口、分割面、及びプレート間流路容積が異なる少なくとも2つの異なるプレートパターンの組み合わせにより、冷却システムなどに用いられる、好ましい特性を備えたBPHEが得られる。異なるシェブロン角とプレート間流路容積の組み合わせにより、流体の流れの分布と圧力損失のバランスを取り、効率的な熱交換を達成することができ、これは、冷却に特に好ましいことが見出されている。このようなBPHEは、冷媒システムの圧縮機に入る冷媒の過熱が実質的にゼロ又はゼロに近いことをもたらすことが見出されている。蒸発は、ほとんどゼロ過熱であり、過熱は、蒸発以外に水側(二次側)に対して加えられる。吸気熱交換プロセスにおいて過熱とキャリーオーバが加えられ、キャリーオーバ液滴が蒸発し、その結果、標準的な熱交換器で過熱を加えるときに発生する、ガスから水/ブラインへの熱交換器での熱伝達を減少させることにより、蒸発プロセスに影響を与えない過熱をもたらす。これにより、並流を使用して温度に近づく可能性がある。
【0031】
本発明は、更に、このようなプレート式熱交換器を含む冷却システム及び冷却方法に関する。
【0032】
上記目的のいくつかを達成するために、本発明の第5の態様に係るブレージングプレート式熱交換器は、複数の第1及び第2の熱交換プレートを含み、第1の熱交換プレートに隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、第2の熱交換プレートに隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、隆起部及び溝部の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、プレート間流路は、ポート開口を介して選択的に流体連通するブレージングプレート式熱交換器であって、隆起部及び溝部の第1のパターンと隆起部及び溝部の第2のパターンとが異なるため、第1の熱交換プレートの一方側のプレート間流路容積と第1の熱交換プレートの反対側のプレート間流路容積とが異なり、隆起部及び溝部の第1のパターンの少なくとも一部が第1の角度で延び、隆起部及び溝部の第2のパターンの少なくとも一部が第1の角度とは異なる第2の角度で延びることを特徴とする。
【0033】
プレートの両側にある異なるプレート間流路の容積と、異なる角度を有する少なくとも2つの異なるプレートパターンとの組み合わせにより、流体分布に好ましい特性を備えたBPHEが得られ、流体の流れの分布と圧力損失のバランスを取り、効率的な熱交換を達成することができる。これにより、同じプレートの両側にあるプレート間流路で異なる特性を実現することができ、一方側の流れと圧力損失は、反対側とは異なることができる。また、プレートの両側にある異なる流路容積は、異なる種類の媒体に用いることができ、例えば、一方側にある流路容積が液体に用いられ、他方側にある流路容積が気体に用いられる。また、隣接するプレート間流路の異なるプレート間流路容積と、異なる角度を有する少なくとも2つの異なるプレートパターンとの組み合わせにより、媒体の流れと圧力損失を制御するために、媒体の流れ方向に対するろう付け接合部の幅などのろう付け接合部の形状が異なる。
【0034】
冷媒が蒸発し始めると、液体状態から蒸気状態に移行する。液体密度は蒸気密度よりはるかに高い。例えば、露点温度Tdew=5℃の冷媒R410Aでは、液体密度は、蒸気密度の32倍である。これは、更に、蒸気が液体の32倍の速度で流路内を移動することを意味する。これにより、蒸気の動圧損失は、自動的に液体の動圧損失の32倍になり、つまり、蒸気は、全ての種類の冷媒に対してはるかに高い圧力損失を生じる。
【0035】
熱交換器の性能(温度アプローチ、TA)は、水出口温度(熱交換器の流路の入口)から熱交換器の流路の出口の蒸発温度(Tdew)を引いた値で定義される。熱交換器の表面に沿った高い圧力損失により、局所的な飽和温度が異なり、流路の入口と出口との間で冷媒温度の合計差が比較的大きくなる。流路の入口では、温度が高くなる。(流路の圧力損失が高すぎるため)入口の冷媒温度が高くなると、出口の水を正しい温度まで冷却することが困難になるため、上記の温度の上昇は熱交換器の性能に直接的に悪影響を与える。システムが高すぎる入口冷媒温度を補う唯一の方法は、正しい出口水温度に到達できるまで蒸発温度を下げることである。熱伝達特性が高く、かつ圧力損失特性が低い熱交換器の流路のパターンを作成することにより、熱交換器の性能を向上させることができる。流路内の全体的な冷媒圧力損失が低くなると、熱交換器の性能が向上するだけでなく、システム全体の性能、ひいてはエネルギー消費に好影響を与える。
【0036】
媒体の蒸発又は凝縮のための、吸気熱交換器を備えるか又は備えず、異なるプレート間流路容積及び異なる角度を備えたブレージングプレート式熱交換器の使用も開示されている。
【0037】
上記目的のいくつかを達成するために、本発明の第6の態様に係るブレージングプレート式熱交換器は、複数の第1及び第2の熱交換プレートを含み、第1の熱交換プレートに隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、第2の熱交換プレートに隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、隆起部及び溝部の第2のパターンは、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供し、プレート間流路は、ポート開口と選択的に流体連通するブレージングプレート式熱交換器であって、隆起部及び溝部の第1のパターンと隆起部及び溝部の第2のパターンとが異なるため、第1の熱交換プレートの一方側のプレート間流路容積と第1の熱交換プレートの反対側のプレート間流路容積とが異なることを特徴とする。任意選択で、第1のパターンの少なくとも一部は、第1の角度を示し、第2のパターンの少なくとも一部は、第1の角度とは異なる第2の角度を示す。熱交換器に追加導入ポート熱交換器が設けられる。
【0038】
本発明は、更に、異なるパターン及び角度を有する2つの異なるプレートを備え、追加導入ポート熱交換器が設けられるこのような熱交換器を有する冷却システム及び冷却方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下、本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【0040】
図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器の分解斜視図である。
図2図1の熱交換器の一部の分解斜視図であり、熱交換器の第1の熱交換プレート及び第2の熱交換プレートを示す。
図3】一実施形態に係る第1の熱交換プレートの他の部分の模式的断面図であり、第1の熱交換プレートの溝部の同じ深さを示す。
図4】一実施形態に係る第2の熱交換プレートの一部の模式的断面図であり、第2の熱交換プレートの溝部の交互深さを示す。
図5】一実施形態に係る交互に配置された第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の模式的断面図である。
図6a】一実施形態に係る第1の熱交換プレートの模式的正面図であり、第1のシェブロン角の形態の第1の角度を有する第1の熱交換プレートの波形のヘリンボーンパターンを示す。
図6b】代替の実施形態に係る第1の熱交換プレートの模式的正面図であり、第1の角度を有する第1の熱交換プレートの波形パターンを示す。
図7a】一実施形態に係る第2の熱交換プレートの模式的正面図であり、第2のシェブロン角の形態の第2の角度を有する第2の熱交換プレートの波形のヘリンボーンパターンを示す。
図7b】代替の実施形態に係る第2の熱交換プレートの模式的正面図であり、第2の角度を有する第2の熱交換プレートの波形パターンを示す。
図8】第2の熱交換プレートの上に配置された第1の熱交換プレートの模式図であり、図5の例に係る第1の熱交換プレートと第2の熱交換プレートとの間の接点を示す。
図9】第1の熱交換プレートの上に配置された第2の熱交換プレートの模式図であり、図5の例に係る第1の熱交換プレートと第2の熱交換プレートとの間の接点を示す。
図10a】暖房モードでの本発明の第1の実施形態に係る冷却システムを示す模式的平面図である。
図10b】暖房モードでの本発明の第2の実施形態に係る冷却システムを示す模式的平面図である。
図11a】冷房モードでの第1の実施形態に係る冷却システムを示す模式的平面図である。
図11b】冷房モードでの第2の実施形態に係る冷却システムを示す模式的平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る追加導入ポート熱交換器が装着される熱交換器の分解斜視図である。
図13】一実施形態に係る追加導入ポート熱交換器の模式的斜視図である。
図14】代替の一実施形態に係る追加導入ポート熱交換器の模式的斜視図である。
図15】他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の模式的断面図である。
図16】他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の模式的断面図である。
図17】更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の模式的断面図である。
図18】他の実施形態に係る異なる波形深さを有する第1及び第2の熱交換プレートの熱交換プレートスタックの一部の模式的断面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る二重の統合吸気熱交換器を含む真の二重熱交換器の模式的分解斜視図である。
図20】熱交換プレートの波形パターンの他の実施形態の模式的斜視図であり、中央の主熱交換部の波形パターンの角度が熱交換プレートのポート開口の部分の角度とは異なる波形パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1を参照すると、一実施形態に係るブレージングプレート式熱交換器100が示され、その一部が図2により詳細に示される。熱交換器100は、スタックに積み重ねられて熱交換器100を形成する、複数の第1の熱交換プレート110と複数の第2の熱交換プレート120とを含む。第1及び第2の熱交換プレート110、120は、交互に配置され、1枚おきに第1の熱交換プレート110であり、1枚おきに第2の熱交換プレート120である。或いは、第1及び第2の熱交換プレートは、追加の熱交換プレートとともに他の構成で配置される。熱交換器100は、非対称型プレート式熱交換器である。
【0042】
熱交換プレート110、120は、板金(金属シート)から作られ、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレート110、120の少なくとも一部の交差する隆起部及び溝部の間に接点を提供することにより、プレートがスタックに積み重ねられて熱交換器100を形成するときに、流体が熱交換するためのプレート間流路がプレート間に形成されるように、隆起部R1、R2a、R2b及び溝部G1、G2a、G2bのプレスされたパターン(図2を参照)が設けられる。図1及び図2のプレスされたパターンは、例えば、熱交換プレート110、120の長手方向に沿って延びるヘリンボーンパターンである。しかし、プレスされたパターンは、斜めに延びる直線の形態であってもよい。いずれの場合においても、隆起部及び溝部のプレスされたパターンは、波形パターンである。プレスされたパターンは、接点を除いて、プレート110、120を互いに距離を置いて維持するように適合されている。
【0043】
本明細書に開示された非対称型熱交換器のいくつかの部品は、他の部品よりも互いに近い接点を有するであろう。これは、特定のプレート間流路を狭めたり収縮したりする場合に適している。したがって、ヘリンボーンパターンの異なる角度又は斜めに延びる線を使用することにより、ろう付け点を流体の流れの方向に細長くすることができる。言い換えると、熱交換器のプレート間流路を流れる流体の流れ方向にろう付け点の寸法又は幅を変えることができる。これにより、熱交換器100の流路内の圧力損失と流体の流れの分布との間の関係を制御し、それによってバランスをとることもできる。その結果、熱交換器の性能を向上させることができる。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120のそれぞれはスカートSによって囲まれ、このスカートSは、熱交換プレートの長手方向に沿った平面などの熱交換プレートの平面にほぼ垂直に延び、熱交換器100の周囲に沿ってシールを提供するために、隣接するプレートのスカートに接触するように適合されている。
【0044】
熱交換プレート110、120には、プレート間流路に熱交換する流体を出入りさせるための大ポート開口O1~O4及び小ポート開口SO1、SO2が配置される。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120には、第1の大ポート開口O1、第2の大ポート開口O2、第3の大ポート開口O3及び第4の大ポート開口O4が配置される。また、熱交換プレート110、120には、第1の小ポート開口SO1及び第2の小ポート開口SO2が配置される。大ポート開口O1~O4を囲む領域は、大ポート開口とプレート間流路との間の選択的な連通が達成されるように、異なる高さで設けられる。熱交換器100において、大ポート開口O1~O4を囲む領域は、第1及び第2の大ポート開口O1、O2が一部のプレート間流路を介して互いに流体連通し、第3及び第4の大ポート開口O3、O4が隣接するプレート間流路を介して互いに流体連通するように配置される。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120は、角部が丸められた長方形であり、大ポート開口O1~O4は、角部の近傍に配置される。或いは、熱交換プレート110、120は、例えば、角部が丸められた正方形である。或いは、熱交換プレート110、120は、円形、楕円形であるか、又は他の適切な形状で配置され、大ポート開口O1~O4は、適切な方法で分布する。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120のそれぞれには、4つの大ポート開口O1~O4が形成される。本発明の他の実施形態では、後述するように、大ポート開口の数は、4より大きくてもよく、すなわち、6、8、又は10であってもよい。例えば、大ポート開口の数は、少なくとも6であり、熱交換器は、少なくとも3つの流体の間で熱交換するように構成される。したがって、一実施形態では、熱交換器は、少なくとも6つの大ポート開口を有し、かつ少なくとも1つの統合吸気熱交換器を備えて配置されるか又はそれを備えずに配置される3回路熱交換器である。
【0045】
図示の実施形態では、熱交換プレート110、120のそれぞれには、2つの小ポート開口SO1、SO2が形成される。小ポート開口SO1、SO2は、統合吸気熱交換器を提供するために配置される。したがって、第1及び第2の熱交換プレート110、120には、熱交換プレート110、120を第1の熱交換部分130及び第2の熱交換部分140に分割する分割面DWが形成され、その結果、第1及び第2の大ポート開口O1、O2の間を通過する流体は、各プレート110、120の第1の熱交換部分130上の第3及び第4のポート開口O3、O4の間を通過する流体、及び各プレート110、120の第2の熱交換部分140上の第1及び第2の小ポート開口SO1、SO2の間を通過する流体と熱交換する。
【0046】
分割面DWは、熱交換領域を第1の熱交換部分130と第2の熱交換部分140に分割するために設けられる。例えば、分割面DWは、熱交換プレート110、120の一方側の長辺とその隣接する短辺との間に配置される。例えば、分割面DWは、長辺から短辺まで延びる。或いは、分割面DWは、2つの長辺の間に配置され、例えば、一方側の長辺から他方側の長辺まで延びる。図示の実施形態では、分割面DWは、プレートの長辺と短辺との間で湾曲する。或いは、分割面DWは、真っ直ぐであるか又は角を有して形成される。
【0047】
分割面DWは、異なるプレート110、120の異なる高さで設けられた細長い平面を含む。隣接するプレート110、120の平面が互いに接触して分割面DWを形成する場合に、プレート間流路は密封され、そうでない場合に開放される。この場合、分割面DWが第1及び第2の大ポート開口O1、O2を囲む領域と同じ高さで設けられることは、第1及び第2の大ポート開口O1、O2を流体接続するプレート間流路に対して、分割面DWが開放されるが、第3及び第4の大ポート開口O3、O4を流体接続するプレート間流路に対して、分割面DWがこのプレート間流路内の流体を遮断することを意味する。
【0048】
分割面DWは、第3及び第4の大ポート開口O3、O4と連通するプレート間流路内の流体の流れを遮断するため、分割面DWの両側に別個のプレート間流路が存在する。第3及び第4の大ポート開口O3、O4と連通しない分割面DW側のプレート間流路は、2つの小ポート開口SO1、SO2と連通する。なお、分割面DWは、第1及び第2の大ポート開口O1、O2と連通するプレート間流路を遮断しない。したがって、小ポート開口SO1、SO2と連通するプレート間流路を流れる媒体は、第3及び第4の大ポート開口O3、O4と連通するプレート間流路を流れる媒体と同様に、第1及び第2の大ポート開口O1、O2と連通する流路を流れる媒体と熱交換する。
【0049】
図1及び図2に示す実施形態では、分割面DWは、第1の大ポート開口O1と第3の大ポート開口O3との間に延びる。小開口SO1、SO2は、第1の大ポート開口O1の両側に位置する。なお、第1の大ポート開口O1は、小ポート開口SO1、SO2と連通するプレート間流路を流れる媒体が第1の大ポート開口O1の両側を通過するように配置される。
【0050】
図示の実施形態では、熱交換器100は、第1及び第2の熱交換プレート110、120のみを含む。或いは、熱交換器100は、第3の熱交換プレートを含み、任意選択で第4の熱交換プレートも含み、第3及び任意選択の第4の熱交換プレートには、第1及び第2の熱交換プレート110、120とは異なるプレスされたパターンが配置され、これらの熱交換プレートは、適切な順序で配置される。
【0051】
図示の実施形態では、熱交換器100は、スタートプレート150及びエンドプレート160を更に含む。スタートプレート150には、第1及び第2の熱交換プレート110、120によって形成されたプレート間流路に流体を出入りさせるための大ポート開口O1~O4及び小ポート開口SO1、SO2に対応する開口が形成される。例えば、エンドプレート160は、従来のエンドプレートである。
【0052】
図3を参照すると、一実施形態に係る第1の熱交換プレート110の断面図が模式的に示される。第1の熱交換プレート110には、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが形成される。第1の熱交換プレートの溝部G1は、同じ深さD1で形成され、これは、図3に模式的に示される。したがって、全ての溝部G1は、同じ深さD1で形成される。例えば、深さD1は、0.5~5mmであり、例えば、0.6~3mm又は0.8~3mmである。例えば、全ての隆起部R1は、対応する様式で同じ高さで形成される。換言すれば、第1の熱交換プレート110の波形深さは、プレートにわたって、又は少なくとも実質的にプレートにわたって、対称で類似している。一実施形態では、第1の熱交換プレート110の少なくとも第1の熱交換部分130、例えば第1の熱交換部分130全体は、同じ波形深さで形成され、各溝部G1は、深さD1で形成される。例えば、第1の熱交換プレート110の第1の熱交換部分130及び第2の熱交換部分140、例えば、第1の熱交換部分130全体及び第2の熱交換部分全体は、同じ波形深さで形成され、各溝部G1は、深さD1で形成される。
【0053】
図4を参照すると、一実施形態に係る第2の熱交換プレート120の断面図が模式的に示される。例えば、全ての第2の熱交換プレート120は同じである。第2の熱交換プレート120には、第1及び第2の隆起部R2a、R2bと第1及び第2の溝部G2a、G2bの第2のパターンが形成される。第2の熱交換プレート120の第1及び第2の溝部G2a、G2bは、異なる深さで形成され、第1の溝部G2aは、第1の深さD2aで形成され、第2の溝部G2bは、第2の深さD2bで形成され、第2の深さD2bは、第1の深さD2aとは異なる。例えば、第1の深さD2aは、0.5~5mm、例えば、0.6~3mm又は0.8~3mmであり、第2の深さD2bは、第1の深さD2aの30~80%、例えば、40~60%である。隆起部R2a、R2bは、対応する様式で異なる高さを有する。図示の実施形態では、第1の深さD2aは、第2の深さD2bよりも大きい。第1及び第2の溝部G2a、G2bは、交互に配置される。或いは、第1及び第2の溝部G2a、G2b、並びに他の深さを有する任意選択のさらなる溝部は、任意の所望のパターンで配置される。
【0054】
例えば、第2の熱交換プレート120の隆起部及び溝部のパターンは非対称型であり、すなわち、第2の熱交換プレート120は、図5を参照して以下に示すように、第1の熱交換プレート110と組み合わされるとき、非対称型熱交換器を形成する。一実施形態では、第2の熱交換プレート120の少なくとも第1の熱交換部分130、例えば第1の熱交換部分130全体には、溝部の少なくとも2つの異なる波形深さD2a、D2bを有する隆起部及び溝部の第2のパターンが形成される。例えば、第1の熱交換プレート110の第1の熱交換部分130及び第2の熱交換部分140、例えば、第1の熱交換部分130全体及び第2の熱交換部分全体には、少なくとも2つの波形深さが形成され、第1の溝部G2aは、第1の深さD2aで形成され、第2の溝部G2bは、第2の深さD2bで形成される。
【0055】
図5を参照すると、一実施形態に係るプレート間流路の形成を模式的に示すために、複数の第1及び第2の熱交換プレート110、120が積み重ねられる。図示の実施形態では、1枚おきに第1の熱交換プレート110であり、残りが第2の熱交換プレート120であり、第1及び第2の熱交換プレートは、交互に配置されて非対称型熱交換器100を形成し、プレート間流路は、異なる容積で形成される。或いは、プレート間流路の異なる容積は、同じプレス深さ又は波形深さの拡張プロファイルによって形成される。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さを備える。例えば、第1及び/又は第2の熱交換プレートは、非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び/又は第2の熱交換プレートは、対称型熱交換プレートである。
【0056】
図6aを参照すると、第1の熱交換プレート110の隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが模式的に示される。上記パターンは、プレスされたヘリンボーンパターンであり、隆起部R1及び溝部G1には、中央に配置された頂点などの頂点で交わる2つの傾斜した脚部が配置されて、矢印の形状を形成する。例えば、頂点は、長方形の熱交換プレートの長手方向の中心線などの仮想の中心線に沿って分布する。例えば、ヘリンボーンパターンは、第1の熱交換プレート110の少なくとも中央部分において、隆起部R及び溝部Gが第1の熱交換プレート110の一方側の長辺から他方側の長辺まで延び、例えば、全ての頂点が短辺の1つを向いているように配置される。第1の熱交換プレート110のパターン、すなわち、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンは、第1のシェブロン角β1を示す。シェブロン角は、隆起部と、長方形のプレートの長辺に垂直な、プレートを横切る仮想線との間の角度であり、仮想線は、破線Cによって模式的に示される。したがって、シェブロン角は、隆起部と頂点が向いている熱交換プレートの短辺との間の角度である。熱交換プレートの長辺は、短辺に対して垂直に延びるため、隆起部及び溝部のパターンは、隆起部が長辺に対しても角度を有するように配置される。例えば、シェブロン角は、頂点の両側で同じである。例えば、隆起部及び溝部の第1のパターンの全体又は実質的に全体は、プレートにわたって、又は少なくとも第1の熱交換部分130及び例えば第2の熱交換部分140にわたって第1のシェブロン角β1で形成される。例えば、第1のシェブロン角β1は、5°~85°、25°~70°又は30°~45°である。
【0057】
図6bを参照すると、代替の実施形態に係る第1の熱交換プレート110の隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが模式的に示され、プレスされたパターンは、斜めに延びる直線の形態である。したがって、隆起部及び溝部のプレスされたパターンは、斜めに延びる直線の波形パターンである。第1の熱交換プレート110の斜めに延びる直線は、プレートを横切る破線Cに対して角度β1で配置される。例えば、パターンは、隆起部R1及び溝部G1が、第1の熱交換プレート110の一方側の長辺から他方側の長辺まで、例えば並列して延びるように配置される。
【0058】
図7aを参照すると、第2の熱交換プレート120の隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンが模式的に示される。上記第2のパターンは、第1の熱交換プレート110を参照して上述したように、プレスされたヘリンボーンパターンであるが、第1のシェブロン角β1とは異なる第2のシェブロン角β2を有する。したがって、第2の熱交換プレート120には、第1の熱交換プレート110の角度とは異なる角度を有するヘリンボーンパターンが配置される。例えば、第2のシェブロン角β2は、5°~85°、25°~70°又は30°~45°である。例えば、第2の熱交換プレート120の隆起部及び溝部のパターンの全体又は実質的に全体は、プレートにわたって、又は少なくとも第1の熱交換部分130及び例えば第2の熱交換部分140にわたって第2のシェブロン角β2で形成される。例えば、第1及び第2のシェブロン角β1、β2の差は、2°~35°である。
【0059】
図7bを参照すると、代替の実施形態に係る第2の熱交換プレート120の隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンが模式的に示され、プレスされたパターンは、斜めに延びる直線の形態である。したがって、隆起部及び溝部のプレスされたパターンは、斜めに延びる直線の波形パターンである。第2の熱交換プレート120の斜めに延びる直線は、プレートを横切る破線Cに対して角度β2で配置される。例えば、パターンは、隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bが、第2の熱交換プレート120の一方側の長辺から他方側の長辺まで、例えば並列して延びるように配置される。
【0060】
したがって、第1及び第2の熱交換プレート110、120には、異なるシェブロン角β1、β2と異なるプレスされたパターンとが形成され、その結果、異なるプレート間容積をもたらす。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さを備える。或いは、又は更に、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形周波数(頻度)を備える。波形周波数は、規定の距離に沿った隆起部及び溝部の数であり、例えば、隣接する隆起部及び溝部の間の距離に相関する。したがって、高い波形周波数を有するプレートは、比較的低い波形周波数を有する同じ形状及びサイズのプレートに対して、より多くの隆起部及び溝部を示す。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、同じ波形深さを備えるが、異なる波形周波数を備える。したがって、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さ及び/又は異なる波形周波数を備える。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120の一方は対称型熱交換プレートであり、他方は非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び第2の熱交換プレート110、120の両方は非対称型である。或いは、第1及び第2の熱交換プレート110、120の両方は対称型である。
【0061】
図8及び図9では、第1及び第2の熱交換プレート110、120の間の接点が図5の例を用いて模式的に示される。交差する隆起部及び溝部の間の接点170内及び/又はその周囲に、ろう付け接合部170が形成される。図8及び図9の実施形態では、ろう付け接合部170が全ての接点内に形成される。或いは、ろう付け接合部170が一部の接点のみ内に形成される。図8では、第1の熱交換プレート110は、第2の熱交換プレート120の上に配置され、接点は、第1のパターンで形成される。図8では、第1の熱交換プレート110の隆起部R1と第2の熱交換プレート120の隆起部R2a、R2b又は溝部G2a、G2bの交差はすべて、接点を形成する。
【0062】
図9は、第1の熱交換プレート110の上に配置された第2の熱交換プレート120の模式図であり、接点は、第2のパターンで形成される。図9では、第2の熱交換プレート120の第1の隆起部R2aの間の交差のみが、ろう付け接合部170を形成し得る接点を形成し、第2の隆起部R2bは、第1の熱交換プレート110の交差する隆起部又は溝部と隙間をあけて配置される。したがって、第2の熱交換プレート120の第2の隆起部R2bと第1の熱交換プレート110との間には、接点が形成されず、ろう付け接合部が形成されない。図9では、全ての接点は、ろう付け接合部170で示される。
【0063】
一実施形態では、第1及び第2の熱交換プレート110、120の間のろう付け接合部170は、楕円形のように細長い形状であり、ろう付け接合部170は、所望のプレート間流路内に好ましい圧力損失を与えるために、容積の大きいプレート間流路内に第1の向きに配置され、容積の小さいプレート間流路内に第2の向きに配置される。例えば、ろう付け接合部170は、容積の大きいプレート間流路内にプレート110、120の長手方向に対して第1の角度で配置され、残りのプレート間流路内に第2の角度で配置される。一実施形態では、第1の角度は、第2の角度よりも大きい。
【0064】
図10a、図10b及び図11a、図11bでは、上記熱交換器の実施形態のいずれか1つに係る熱交換器100を使用することができるチラーシステムの実施形態が、それぞれ、暖房(加熱)モード及び冷房(冷却)モードで示される。チラーシステムは、冷却システムとも呼ぶことができる。チラーシステムは、このチラーシステムに示されるような統合吸気熱交換器の代わりに、図12図14を参照して後述するような追加導入吸気熱交換器を備える熱交換器に適用することができる。
【0065】
図10a、図10b、図11a、図11bの実施形態に係るチラーシステムは、圧縮機Cと、四方弁FWVと、暖房又は冷房が必要なブラインシステムに接続されたペイロード熱交換器PLHEと、第1の制御可能な膨張弁EXPV1と、第1の一方弁OWV1と、不所望な熱又は冷気が放出される可能性がある熱源に接続されたダンプ熱交換器DHEと、第2の膨張弁EXPV2と、第2の一方弁OWV2とを含む。熱交換器PLHE、DHEのそれぞれには、上述したような4つの大開口O1~O4と2つの小開口SO1、SO2が設けられ、各熱交換器の大開口O1、O2は互いに連通し、各熱交換器の大開口O3、O4は互いに連通し、各熱交換器の小開口SO1、SO2は互いに連通する。O1からO2に流れる流体と、O3、O4の間、SO1、SO2の間に流れる流体との間で熱交換が発生する。しかし、O3からO4に流れる流体と、SO1からSO2に流れる流体との間で熱交換は行われない。ペイロード熱交換器PLHE及び/又はダンプ熱交換器DHEは、本明細書で説明されるプレート式熱交換器100である。
【0066】
暖房モードでは、図10a及び図10bに示すように、圧縮機Cは、高圧気体冷媒を四方弁FWVに送出する。この暖房モードでは、四方弁は、高圧気体冷媒をペイロード熱交換器PLHEの大開口O1に搬送するように制御される。そして、高圧気体冷媒は、ペイロード熱交換器PLHEを通過して、大開口O2から出る。高圧気体冷媒は、ペイロード熱交換器PLHEを通過する際に、大開口O4から大開口O3へ流れる、すなわち第1の大開口O1から第2の大開口O2へ流れる冷媒と比較して向流方向にある、暖房が必要なペイロードに接続されたブライン溶液と熱交換する。高圧気体冷媒は、ブライン溶液と熱交換している間に凝縮し、大開口O2を通ってペイロード熱交換器PLHEから出るとき、完全に凝縮し、すなわち液体状態になる。
【0067】
暖房モードでは、第1の膨張弁EXPV1が完全に閉じ、ペイロード熱交換器を出た液体冷媒の流れが第1の一方弁OWV1を通過し、この第1の一方弁OWV1により、この方向への冷媒の流れが可能になり、他の方向への流れが遮断される(これについては、冷房モードの説明に関連して後述する)。
【0068】
第1の一方弁OWV1を通過した後、液体冷媒(まだ比較的高温)は、ダンプ熱交換器DHEの小開口SO2に入り、小開口SO1を通ってダンプ熱交換器DHEから出る。小開口SO2、SO1の間の通過中に、冷媒の温度は、ダンプ熱交換器DHEから出ようとしている低温の主に気体の冷媒との熱交換のために大幅に低下する。
【0069】
例えば、低温起動時に、すなわちシステムが好ましい稼働状態に達する前に、吸気熱交換器の熱交換量のバランスをとる必要がある場合がある。これは、バランス弁BVを制御することによって達成することができ、バランス弁BVは、例えば、凝縮器から小開口SO2と膨張弁EXPV2のいずれか一方又は両方への液体冷媒の制御を可能にすることにより、吸気熱交換器の熱交換量を制御するように配置された三方弁である。
【0070】
小開口SO1を通ってダンプ熱交換器DHEを出た後、液体冷媒は、第2の膨張弁EXPV2を通過し、そこで冷媒の圧力が低下し、一部の冷媒がフラッシュ沸騰して温度が低下する。第2の膨張弁EXPV2から、冷媒は、第2の一方弁OWV2の両方に接続された分岐を通過し、第2の一方弁OWV2は、冷媒回路の高圧側と低圧側との間に接続され、高圧側と低圧側の圧力差のために、冷媒の流れについて閉じられる。分岐を通過した後、低温低圧半液体冷媒は、大開口O2に入り、低温熱を収集することができるソース、例えば、外気集熱器、太陽熱集熱器、又は地上に開けられた穴に接続されたブライン溶液との熱交換の下でダンプ熱交換器DHEを通過する。大開口O4から大開口O3に流れるブライン溶液との熱交換により、主に液体の冷媒が気化される。ブライン溶液と冷媒との熱交換は、並流条件下で行われ、並流条件は向流熱交換に比べて熱交換性能が劣ることがよく知られている。
【0071】
大開口O1を通ってダンプ熱交換器DHEから出る直前に、冷媒(ここでは、ほぼ完全に気化)は、小開口SO2を通ってダンプ熱交換器に入り、小ポート開口SO1を通ってダンプ熱交換器を出た比較的高温の液体冷媒と熱交換する。本発明の一実施形態では、冷媒の約85~98%、好ましくは90~95%、より好ましくは91~94%、例えば、93%は、高温液体冷媒と熱交換し始めるときには気化されている。
【0072】
その結果、大開口O1を通ってダンプ熱交換器DHEから出ようとしている冷媒の温度が上昇し、したがって、この冷媒の全てが完全に気化されることを確実にする。
【0073】
したがって、吸気熱交換器に入る低温気体冷媒は、一定量の低温液体冷媒を含み、上記低温液体冷媒は、凝縮器からの高温液体冷媒との熱交換の結果として気化される。例えば、上記一定量の低温液体冷媒は、2~15質量%、好ましくは5~10質量%、より好ましくは6~9質量%、例えば、7質量%である。
【0074】
熱交換性能に関しては、並流熱交換が向流熱交換より劣ることは当業者によく知られている。しかし、小開口SO2に入る比較的高温の液体冷媒と、ダンプ熱交換器DHEから出ようとしている主に気体の冷媒との間に熱交換(すなわち、いわゆる「吸気熱交換」)が行われるために、ブラインと冷媒の熱交換中に冷媒を完全に気化する必要がない。代わりに、冷媒は、高温液体冷媒とともに吸気熱交換器に入るときに半気化されることだけでよく、これは、残りの液相冷媒がこの熱交換中に蒸発するためである。液体-液体間の熱交換が気体-液体間の熱交換よりもはるかに効率的であることはよく知られている。また、並流熱交換は、凍結のリスクが低減されるという追加の利点があり、これは、冷媒は、冷媒と熱交換する媒体が高温である位置で熱交換器に入るため、凍結について最も重要な位置であるこの位置で凍結のリスクが低減されるためである。
【0075】
試験により、低温環境下でのチラーシステムの低温起動に問題がある可能性があることが示された。
【0076】
ダンプ熱交換器の大開口O1から、気体冷媒は、気体冷媒の流れを圧縮機に向けるように制御される四方弁FWVに入り、圧縮機内で、冷媒は再び圧縮される。
【0077】
図11a、図11bでは、このチラーシステムは、冷房モードで示される。モードを暖房モードから冷房モードに切り替えるために、四方弁FWVは、圧縮機が圧縮された気体冷媒をダンプ熱交換器DHEの開口O1に供給するように制御される。第2の膨張弁EXPV2が完全に閉じ、第2の一方弁OWV2が開き、第1の一方弁OWV1が閉じ、第1の膨張弁EXPV1が開くことにより、冷媒が第1の膨張弁EXPV1を通過する前後の圧力を制御する。
【0078】
したがって、冷房モードでは、ダンプ熱交換器は、向流凝縮器として機能し、その「吸気熱交換器」は熱交換を行わないが、ペイロード熱交換器PLHEは、並流蒸発器として機能する。しかし、ペイロード熱交換器PLHEから出ようとしている高温液体冷媒と半気化冷媒との間に吸気熱交換が行われるために、並流熱交換の効率を許容可能なレベルに維持することができる。
【0079】
なお、吸気熱交換部は、図10及び図11のダンプ熱交換器DHE及びペイロード用熱交換器PLHEと統合されている。しかし、他の実施形態では、吸気熱交換器は、ダンプ熱交換器及び/又はペイロード熱交換器から分離されてもよい。
【0080】
異なる気候帯では、冷房と暖房の必要性が異なる。温暖な気候では、冷房の必要性が高くなり、完全な冷房効果に近い状態で冷却システムが使用され、蒸発器から出ることになりかねない液滴を蒸発させるために、吸気熱交換器の対応する容量が必要になる。例えば、蒸発器は、上述したように、冷却システムの冷房モード時には、ペイロード熱交換器PLHEであり、その統合吸気熱交換器は、図11bに模式的に示されるバランス弁と同じ又は別のものであり得るバランス弁BVによって、それに応じて使用される。冷却システムを全効果の25%又は50%などの効果を下げて使用する場合、吸気熱交換器はバランス弁BVを介して制御される。当該冷却システムは、可逆的であり、上述したように、四方弁FWVによって冷房モードと暖房モードとの間で切り替わることができる。図面に示されるように、ペイロード熱交換器とダンプ熱交換器の両方は、システムが稼働している効果に応じて、冷房モードと暖房モードのいずれにおいてもゼロ過熱で蒸発器から出る前に冷媒の蒸発を確実にするためにバランス弁BVによってアクティブ化及び制御できる統合吸気熱交換器を含む。したがって、吸気熱交換器へ導かれる冷媒の量を暖房モードと冷房モードの両方のシステム条件に適合させて、さまざまなタイプの気候に効率的な可逆冷却システムを提供することができる。
【0081】
本発明の他の実施形態では、例えば図12に示され、「標準」熱交換器であり得る熱交換器100には、熱交換器のポート開口O1~O4内又はそのすぐ外側に適合(嵌合)する何らかの構造を含む追加導入(後付け)ポート熱交換器400(図13及び図14を参照)が設けられてもよい。図12の熱交換器100は、上述した隆起部及び溝部R1、G1、R2a、R2b、G2a、G2bの第1及び第2のプレスされたパターンを有する第1及び第2の熱交換プレート110、120を含むが、統合吸気熱交換器を形成する第1及び第2の小開口SO1、SO2を有さない。追加導入ポート熱交換器400は、例えば、第1のポート開口O1に挿入されて、既存の熱交換器上に、及び/又は既存の熱交換器内に追加導入(後付け)されるように構成される吸気熱交換器を形成する。したがって、追加導入ポート熱交換器400は、図10及び図11を参照して説明したように、既存の熱交換器100に取り付けられて、概して吸気熱交換を提供するように構成される。
【0082】
示される実施形態では、追加導入ポート熱交換器400は、ポート開口O1内に適合するパイプ410を含み、上記パイプは、前述の実施形態の小ポート開口SO1、SO2間を流れる冷媒がダンプ熱交換器DHE又はペイロード用熱交換器PLHEを出ようとしている低温気体(又は半気体)冷媒と熱交換するのと同様に、高温液体冷媒がそのパイプを流れることを可能にするために半螺旋状に曲げられる。例えば、パイプ410は、螺旋の一部に似た構造に配置される。
【0083】
図13では、追加導入ポート熱交換器400の一実施形態が示される。熱交換器100のポート開口O1内に存在するように構成されたパイプ410は、冷媒が流れるための、互いに離間した複数の熱交換区画を介して接続された入口パイプ部分及び出口パイプ部分を含む。例えば、入口パイプ部分と出口パイプ部分を並列して配置することで、冷媒がパイプ部分410に逆方向に出入りすることができる。熱交換区画は、例えば、入口パイプ部分と出口パイプ部分との間で実質的に垂直に延びる。図14では、追加導入ポート熱交換器400の他の実施形態が示され、追加導入ポート熱交換器400のパイプ410は、複数のU字形を呈するように曲げられる。図14の実施形態では、パイプ410は、冷媒がパイプ部分410に逆方向に出入りすることができるために並列して配置された入口パイプ部分及び出口パイプ部分を含む。入口パイプ部分は、第1のU字形曲部に接続され、第2のU字形曲部に続き、更に第3のU字形曲部に続き、順繰りに出口パイプ部分に接続される。
【0084】
図15を参照すると、他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120を含む熱交換器の一部の断面が模式的に示される。図15の実施形態では、第1の熱交換プレート110は、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120は、上述したような非対称型熱交換プレートである。したがって、第1の熱交換プレート110の波形深さは一定であり、第2の熱交換プレート120の波形深さは変化する。第2の熱交換プレート120には、少なくとも2つの異なる波形深さが形成される。また、第1及び第2の熱交換プレート110、120には、上述したように、シェブロン角などの異なる角度を有する波形パターンが形成される。図15の実施形態では、第1の熱交換プレート110のシェブロン角は54度であり、第2の熱交換プレート120のシェブロン角は61度である。例えば、隣接するプレート間容積が異なるため、第1の熱交換プレート110の一方側のプレート間容積と第1の熱交換プレート110の反対側のプレート間容積とが異なる。もちろん、第2の熱交換プレート120についても同様である。したがって、第1及び第2の熱交換プレート110、120の間のプレート間容積と、隣接する第2及び第1の熱交換プレートの間のプレート間容積とが異なる。同様に、第1の熱交換プレート110の一方側の断面積と第1の熱交換プレート110の反対側の断面積とが異なる。
【0085】
図16を参照すると、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120を含む熱交換器の一部の断面が模式的に示される。図16の実施形態では、第1の熱交換プレート110は、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120は、上述したような非対称型熱交換プレートである。図16の実施形態では、第1の熱交換プレート110のシェブロン角は45度であり、第2の熱交換プレート120のシェブロン角は61度である。
【0086】
図17を参照すると、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120を含む熱交換器の一部の断面が模式的に示される。図17の実施形態では、第1の熱交換プレート110は、非対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120も、非対称型熱交換プレートである。図17の実施形態では、上述したように、第1の熱交換プレート110のシェブロン角と第2の熱交換プレート120のシェブロン角とが異なる。また、プレート間流路は、上述したように、異なる容積を有する。例えば、ろう付け接合部170は、楕円形のように細長い形状であり、容積の大きいプレート間流路内に第1の向きに、容積の小さいプレート間流路内に異なる第2の向きに配置される。前述のように、これは、熱交換器全体の圧力損失及び流体の流れの分布に影響を与え、それによって、このような熱交換器を含むシステムの熱交換特性にも影響を与える。
【0087】
図18を参照すると、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120のスタックの一部の断面が模式的に示される。図18の実施形態では、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さを備える。第1の熱交換プレート110は、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120は、非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び第2の熱交換プレート110、120の両方は対称型又は非対称型である。第1の熱交換プレート110のシェブロン角と第2の熱交換プレート120のシェブロン角とが異なり、第1及び第2の熱交換プレート110、120がろう付け接合部170(図示せず)で一緒にろう付けされたときに形成されるプレート間流路容積が異なる。
【0088】
本発明の様々な実施形態に係る熱交換器は、例えば、凝縮又は蒸発に用いられ、ある時点で少なくとも1つの媒体が気相になる。例えば、熱交換器は、熱交換に用いられ、凝縮又は蒸発は、容積の大きいプレート間流路で行われる。例えば、水又はブラインなどの液体媒体は、容積の小さいプレート間流路を通って導かれる。
【0089】
図19では、2つの別個の統合吸気熱交換器ISGHX1及びISGHX2を含む例示的なろう付けされた真の二重熱交換器500が分解図で示される。真の二重熱交換器は、大きな電力比が必要なヒートポンプ又はチラーに用いられる。真の二重熱交換器のためのシステムは当業者によく知られ、これらのシステムは、通常、2つの別個の熱交換器ではなく、真の二重熱交換器を使用する2つの別個のヒートポンプシステムで構成される。
【0090】
真の二重熱交換器500は、6枚の熱交換プレート510、520、530、540を含む。各熱交換プレートには、媒体が熱交換するためのプレート間流路510-520、520-530、530-540、540-510、510-520が熱交換プレート間に形成されるために、プレートを互いに距離を置いて維持するように適合された隆起部及び溝部のプレスされたパターンが設けられる。また、各熱交換プレートには、冷媒のためのポート開口550、560、570、580、590、600、610と、水又はブライン溶液のための2つのポート開口620、630とが設けられる。ポート開口は、以下のようにプレート間流路と選択的に流体連通する。
【0091】
ポート開口630、640は、プレート間流路510-520、530-540と流体連通し、ポート開口550、560は、プレート間流路520-530と流体連通し、ポート開口570、580は、プレート間流路540-510と流体連通し、ポート開口590、600、610、620は、プレート間流路510-520と流体連通する。
【0092】
熱交換プレート510、520、530、540は、小部分に分割され、この実施形態では、プレート間流路が特定の方法で接続及び制限され、主部分650では、全てのプレート間フローセクションは、媒体が熱交換するために用いられ、第1の統合吸気熱交換器部ISGHX1では、プレート間流路520-530は、主部分のプレート間流路520-530に流体接続され、プレート間流路510-520及び/530-540のいずれか又は両方は、ポート開口610、620に接続され、第2の統合吸気熱交換器部ISGHX2では、プレート間流路540-510は、主部分のプレート間流路540-510に流体接続され、プレート間流路510-520及び/又は530-540のいずれか又は両方は、ポート開口590、600に流体接続される。
【0093】
主部分は、各熱交換プレートの一方側の長辺から他方側の長辺まで延びる分割壁660によって、統合吸気熱交換器部ISGHX1、ISGHX2から区切られる。分割壁は、隣接するプレートのプレート面が協働して、プレート間流路510-520、530-540と統合吸気熱交換器部ISGHX1、ISGHX2の対応するプレート間流路との連通を遮断するように、異なる高さで配置されたプレート面を含む。更に、分割壁660のプレート面は、隣接するプレートのプレート面が協働して、主部分のプレート間流路520-530と第2の統合吸気熱交換器部ISGHX2の対応するプレート間流路との連通が遮断され、主部分のプレート間流路540-510と第1の統合吸気熱交換器部ISGHX1の対応するプレート間流路との連通が遮断されるように構成される。
【0094】
第2の分割壁670は、統合吸気熱交換器部ISGHX1、ISGHX2の間に提供され、熱交換プレートの短辺と分割壁660とから延びる。この分割壁のプレート面は、隣接するプレートのプレート面が互いに接触して、統合吸気熱交換器部ISGHX1、ISGHX2の全てのプレート間流路の互いの連通を遮断するように配置される。
【0095】
最後に、各熱交換プレートには、熱交換プレート510、520、530、540の全周に亘って延びるスカート680が設けられ、隣接するプレートのスカート680は、媒体がプレート間流路から逃げるのを阻止する周方向のシールを作成するために、互いに接触するように適合されている。更に、本発明に係る熱交換器500には、好ましくは、熱交換プレートのスタックの両側に配置されたスタートプレート及び/又はエンドプレート(図示せず)が設けられる。スタートプレート及びエンドプレートのいずれか一方にポート開口が設けられるが、熱交換する流体を熱交換器に出入りさせるための接続部が設けられていないポート開口側にシールを作成するために、他方にポート開口は設けられていない。
【0096】
以上の配置により、真の二重熱交換器は、主部分650のプレート間流路510-520、530-540上の(にわたる、over)ポート開口620、630の間に、主部分及び第1の統合吸気熱交換器部ISGHX1のプレート間流路520-530上のポート開口550、560の間に、主部分650及び第2の統合吸気熱交換器部ISGHX2のプレート間流路540-510上のポート開口570、580の間に、第1の統合吸気熱交換器部ISGHX1のプレート間流路520-530上のポート開口610、620の間に、並びに第2の統合吸気熱交換器部ISGHX2のプレート間流路540-510上のポート開口590、600の間に、それぞれ別個のプレート間流路を有する。
【0097】
ポート開口とプレート間流路との間の選択的な流体連通は、隣接するプレートの表面が互いに接触するか又は互いに接触しないように、種々の方法、例えば、異なる高さでポート開口の周囲に表面を提供することにより、達成することができる。或いは、選択的な流体連通は、ポート開口に別個のシールリングを提供することによって達成することができ、上記シールリングには、必要に応じて連通を可能にするための開口が設けられる。
【0098】
なお、ブレージング熱交換器として説明されているが、本発明に係る真の二重熱交換器をガスケット付き熱交換器として設計することが可能である。
【0099】
本発明に係る真の二重熱交換器500は、低電力と高電力との間の大きな比率を達成するために二重圧縮機が使用されるヒートポンプ又はチラーの用途に特に有用である。
【0100】
図20を参照すると、第1の熱交換プレート110の隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが模式的に示される。図20では、第1の熱交換プレート110は、上述したように、統合吸気熱交換器を形成する第1の熱交換部分130と第2の熱交換部分140を提供するために、小ポート開口SO1、SO2と分割面DWを含む。或いは、第1の熱交換プレート110は、図19を参照して説明したように、2つの統合吸気熱交換器ISGHX1、ISGHX2を提供するために、分割壁660、670と小ポート開口590~620を含む。或いは、熱交換プレートは、統合吸気熱交換器なしで配置され、このような熱交換プレートの熱交換器には、代わりに図12図14を参照して上述したように、追加導入吸気熱交換器が設けられてもよい。
【0101】
図20の実施形態に係るプレスされたパターンは、ヘリンボーンパターンであるが、代替的には斜線のパターンであってもよいため、熱交換プレート110の中央の主熱交換部に、図6a及び図6bを参照して一般的に上述したように、第1の角度β1を示す。したがって、第1のプレスされたパターンは、部分的に第1の角度β1を有する。例えば、中央の主熱交換部は、第1の熱交換プレート110の一方側から反対側まで延びる。中央の主熱交換部は、熱交換プレートのポート開口(本明細書において端部と呼ばれる)の第1及び第2の熱交換部の間に配置される。第1及び第2の端部は、例えば、第1の熱交換プレート110の反対端に配置される。例えば、第1及び第2の端部は、第1の熱交換プレート110の一方側から反対側まで延びる。第1の端部は、第1のポート開口O1及び第3のポート開口O3などのポート開口を含む。第2の端部は、第2及び第4のポート開口O2、O4などのポート開口を含む。隆起部R1及び溝部G1のプレスされたパターンは、第1及び第2の端部などの少なくとも1つの端部で、角度β1’で配置され、角度β1’は、中央の主熱交換部におけるプレスされたパターンの角度β1とは異なる。例えば、プレスされたパターンの方向は、中央の主部分で端部と同じである。例えば、角度β1’は、2つの端部で同じである。或いは、第1の端部における角度と第2の端部における角度とが異なる。図20では、第1の熱交換プレート110が一例として示されるが、第2の熱交換プレート120の第2のプレスされたパターンは、対応する様式で設計され、隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンは、中央の主熱交換部で、角度β2で配置され、端部は、異なる角度β2’(図示せず)で配置されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】