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特表2023-512180トルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具
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  • 特表-トルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具 図1
  • 特表-トルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具 図2
  • 特表-トルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】トルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20230316BHJP
   B25B 23/145 20060101ALI20230316BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B25B21/02 F
B25B21/02 J
B25B23/145 A
B25B23/14 630H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022544159
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2021050618
(87)【国際公開番号】W WO2021151674
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2030027-3
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フリベルイ ヨン ロベルト クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC04
3C038CC05
3C038EA02
(57)【要約】
本開示は、ねじ結合部材を締付けするためにトルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具に関する。電動工具は、出力軸に駆動的に連結された電気モータと、プロセッサと、ソフトウェア命令を記憶するメモリとを備え、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、電動工具に、トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す第1の出力レベルパラメータp1を取得し、トルク閾値より大きいトルクパルスに使用されることになる第2の出力レベルを示す第2の出力レベルパラメータp2を取得するようにさせる。次に、電動工具10が、トルク閾値に達するまで第1の出力レベルp1で出力軸16にトルクパルスを供給するように電気モータ12の速度を制御し、電動工具10が、第2の出力レベルp2で出力軸16にトルクパルスを供給するように、電気モータ12の速度を制御するようにさせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ付き結合部材を締付けするためにトルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具(10)であって、前記電動工具(10)は、出力軸(16)に駆動的に連結された電気モータ(12)と、プロセッサ(20)と、ソフトウェア命令を記憶するメモリ(26)とを備え、
前記ソフトウェア命令は前記プロセッサ(20)によって実行されると、前記電動工具に、
トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す第1の出力レベルパラメータp1を少なくとも取得し、
前記トルク閾値より大きいトルクパルスに使用されることになる第2の出力レベルを示す第2の出力レベルパラメータp2を少なくとも取得し、
前記第1の出力レベルに至るまでに使用する必要がある前記トルクを示す前記トルク閾値を取得し、
前記電動工具(10)が、前記トルク閾値に達するまで前記第1の出力レベルp1で前記出力軸(16)にトルクパルスを供給するように、前記電気モータ(12)の速度を制御し、
前記電動工具(10)が、前記第2のパワーレベルp2で前記出力軸(16)にトルクパルスを供給するように、前記電気モータ(12)の速度を制御する、ようにさせる、
ことを特徴とする電動工具(10)。
【請求項2】
前記第1の出力レベルパラメータp1及び前記第2の出力レベルパラメータp2は、最大出力レベルに対するパーセンテージで表される、
請求項1に記載の電動工具(10)。
【請求項3】
前記パルスは、前記電気モータ(12)に連結された油圧パルスユニット(13)によって供給され、前記油圧パルスユニット(15)は、油圧カップリング機構を介して前記電気モータ(12)を前記出力軸(16)に間欠的に連結する、
請求項1又は2に記載の電動工具(10)。
【請求項4】
前記電気モータ(12)の速度は、前記電気モータがパルス様式で駆動されて前記出力軸(16)にパルスを供給するように、制御される、
請求項1又は2に記載の電動工具(10)。
【請求項5】
ねじ結合部材を締付けするためにパルスを供給することによって締付け作業が行われる電動工具(10)を制御する方法であって、前記電動工具(10)は、出力軸に(16)に駆動的に連結された電気モータ(12)を備え、前記方法は、
トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す第1の出力レベルパラメータp1を少なくとも取得するステップと、
前記トルク閾値より大きいトルクパルスに使用されることになる第2の出力レベルを示す第2の出力レベルパラメータp2を少なくとも取得するステップと、
第1の出力レベルに至るまで使用する必要がある前記トルクを示す前記トルク閾値を取得するステップと、
前記電動工具(10)が、前記トルク閾値に達するまで、前記第1の出力レベルp1で前記出力軸(16)にトルクパルスを供給するように、前記電気モータ(12)の速度を制御するステップと、
前記電動工具(10)が、前記第2の出力レベルp2で前記出力軸(16)にトルクパルスを供給するように、前記電気モータ(12)の速度を制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第1の出力レベルパラメータp1及び前記第2の出力レベルパラメータp2は、最大出力レベルに対するパーセンテージで表される、請求項8に記載の方法。
【請求項7】
前記パルスは、前記電気モータ(12)に連結された油圧パルスユニット(13)によって供給され、前記油圧パルスユニット(15)は、油圧カップリング機構を介して前記電気モータ(12)を前記出力軸(16)に間欠的に連結する、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記電気モータ(12)の速度は、前記電気モータがパルス様式で駆動されて前記出力軸(16)にパルスを供給するように制御される、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサ(20)によって実行されると、電動工具に請求項5から8のいずれか1項に記載の方法を実行させるソフトウェア命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具及び電動工具の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トルクがパルスで供給される締付け作業では、特定のトルクが結合部材(ジョイント)に導入されるように締付けを制御することが望まれる。また、高い精度を達成することも重要である。例えば、重要な結合部材を正しいトルクで高精度に締付けすることが重要である。従って、多くの場合、電動工具は、ねじ結合部材を特定の目標値で締付けするようになっている。また、生産にかかる時間も重要なので、結合部材を迅速に締付けすることも重要である。
【0003】
正確で迅速な締付けを実現するために、電動工具は、正確かつ迅速な締付けを実現するための適切な出力量を使用する必要がある。正確さ及び速さは相反する条件であることが多いので、最適な出力量を設定するのは難しい。例えば、迅速な締付けが望まれる場合、結合部材は過度に締付けされるリスクがある。正確な締付けが望まれる場合、締付けを完了するまでの速度が遅くなることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、結合部材を正確かつ迅速に締付けすることができる改善された電動工具のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的は、結合部材を迅速かつ適正な目標値で締付けすることができる電動工具を提供することである。
【0006】
先行技術による電動工具では、電動工具内のモータに一定時間の間に一定電流を印加することによってパルスが生成される。従って、パルスは、締付け全体にわたって同じ出力を有することになる。
【0007】
従って、先行技術のパルス工具の場合、結合部材の特性が締付け中に変化する可能性があるにもかかわらず、全てのパルスに対して1つの出力レベルだけが使用される。従って、あるときは使用される出力が高すぎ、あるときは使用される出力が低すぎるので、締付けの速度及び精度は最適化されない。
【0008】
本開示の1つの目的は、締付け中に最適化されたパルス出力でもって問題を解決するか又は少なくとも軽減することである。
この目的は、本開示の第1の態様によれば、ねじ結合部材を締付けするためにトルクがパルスで供給される締付け作業を行うように構成された電動工具によって達成される。電動工具は、出力軸に駆動的に連結された電気モータと、プロセッサと、ソフトウェア命令を記憶するメモリとを備え、ソフトウェア命令はプロセッサによって実行されると、電動工具に、トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す第1の出力レベルパラメータp1を少なくとも取得し、トルク閾値より大きいトルクパルスに使用されることになる第2の出力レベルを示す第2の出力レベルパラメータp2を少なくとも取得し、第1の出力レベルに至るまでに使用する必要があるトルクを示すトルク閾値を取得するようにさせる。
【0009】
次に、ソフトウェア命令はプロセッサによって実行されると、電動工具に、電動工具が、トルク閾値に達するまで第1の出力レベルp1で出力軸にトルクパルスを供給するように、電気モータの速度を制御し、電動工具が、第2のパワーレベルp2で出力軸にトルクパルスを供給するように、電気モータの速度を制御するようにさせる。
【0010】
第1の態様によれば、電動工具は、電動工具のユーザが締付けの異なる段階中に使用する異なる出力レベルを設定することを可能にすることによって、上述の問題に対する発明性のある解決策を提供する。従って、ユーザは、例えば、締付けの初期に、出力レベルを所定のトルク閾値に至るまで高く調整することができる。また、所定のトルク閾値より大きい領域では出力レベルを低く設定し、目標トルクに近い低い出力で締付けを行うようになっている。
【0011】
従って、所定のトルク閾値までのパルス出力を設定する場合に、結合部材の特性を考慮することで、所定のトルク閾値まで可能な限り速く締付けするように出力を適合させることができる。また、出力は目標トルクに近い低い値に設定することができるため、より正確な締付けを達成することができる。この方法の利点は、締付けの異なる段階に合わせてパルスの出力を設定できることである。従って、パルスの出力は、結合部材の状態に応じてユーザが設定することができるので、より高い精度及び速度の締付けを実現することができる。
【0012】
1つの実施形態によれば、第1の出力レベルパラメータp1及び第2の出力レベルパラメータp2は、最大出力レベルに対するパーセンテージで表される。これによって、出力は、トルクが目標トルクに近い場合に出力が減少するように、例えば目標トルク又は他の何らかに目標値に容易に調整することができる。また、出力は、トルクが目標トルク又は他のトルク値から離れている場合は、簡単に増加させることができる。従って、目標値が目標トルクより大きくならないことが保証される。また、パルスは、どのようなタイプの締付けが望ましいかのユーザの希望に合わせて設定することができる。すなわち、高速であるが低精度の締付け又は低速であるが高精度の締付けである。
【0013】
1つの実施形態によれば、パルスは、電気モータに連結された油圧パルスユニットによって供給され、油圧パルスユニットは、油圧カップリング機構を介して電気モータを出力軸に間欠的に連結する。従って、本開示の考え方は、油圧パルスユニットを備える電動工具に利用することができる。これは、電動油圧パルス工具を用いた締付けの間に、パルスの出力を設定する可能性を提供する。利点は、締付け全体の間の最適化された出力レベルである。
【0014】
1つの実施形態によれば、電気モータの速度は、電気モータがパルス様式で駆動されて出力軸にパルスを供給するように制御される。この実施形態では、パルスは、モータと出力軸との間のギアボックスに存在する固有の遊びの範囲内でモータを加速することによって供給される。別の実施形態では、モータは、モータと出力軸との間に設けられた特定の遊びの範囲内で加速される。これにより、回転エネルギが工具に蓄積される。次に、この回転エネルギは、モータと出力軸との間の遊びが終わるとトルクパルスとしてねじに伝達される。
【0015】
第2の態様によれば、本開示は、ねじ結合部材を締付けするためにパルスを供給することによって締付け作業が行われる電動工具を制御するための方法に関する。電動工具は、出力軸に駆動的に連結された電気モータを備える。本方法は、トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す少なくとも第1の出力レベルパラメータp1を取得するステップと、トルク閾値より大きなトルクパルスに使用されることになる第2の出力レベルを示す少なくとも第2の出力レベルパラメータp2を取得するステップと、第1の出力レベルに至るまで使用する必要があるトルクを示す前記トルク閾値を取得するステップと、電動工具が、トルク閾値に達するまで、第1の出力レベルp1で出力軸にトルクパルスを供給するように、電気モータの速度を制御するステップと、を含む。
【0016】
第2の態様による実施形態の利点は、第1の態様と同様であり、第1の態様の実施形態との関連で上述した通りである。
本発明は、添付図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の例示的な実施形態による電動工具の縦断面を示す。
図2】本開示の例示的な実施形態によるトルクパルスの例示的な図を示す。
図3】本開示の例示的な実施形態によるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の態様は、添付の図面を参照して以下により完全に説明される。しかしながら、本明細書に開示される装置、方法、及びコンピュータプログラムは、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載の態様に限定されると考えるべきではない。全体を通して図面中の類似の符号は、類似の要素を指す。
【0019】
本明細書で使用される用語は、本開示の特定の態様を説明する目的のみのものであり、本開示を限定することを意図するものでない。本明細書で使用される場合、複数形でない名詞は、文脈が明らかに他のものを示さない限り、複数形も含むように意図されている。
【0020】
図1は、本開示の一実施形態による電動工具10の例示的な実施形態を示す。電動工具10は、前端部10a及び後端部10bをさらに備える。電動工具10は、モータ12をさらに備える。モータ12は、ステータ13に対して回転するように配置されたロータ14を備える。出力軸16は、ハウジング10の前端部10aに配置される。図示の実施形態による電動工具10は、電気モータ12に連結される油圧パルスユニット15をさらに備える。油圧パルスユニット15は、油圧カップリング機構を介して慣性駆動部材18を出力軸16に間欠的に連結する。油圧パルスユニット15の機能は、当業者にはよく知られており、本出願では詳細に説明しない。油圧パルスユニットの機能のより詳細な説明は、国際公開番号第91/14541号に記載されている。
【0021】
電動工具10は、電気モータ12を制御するように構成されたプロセッサ20をさらに備える。また、電動工具10は、プロセッサ20によって実行可能な命令を含むメモリ26を備える。
【0022】
本発明者は、ユーザが締付けの異なる段階に対してパルス出力を設定できるようにすることによって、より高い精度及びより速い締付けが達成されることを認識している。
【0023】
この解決策による利点は、高い精度及び速度を達成するために、出力が締付けの異なる段階の間に最適化されるように設定できることである。従って、本開示の1つの態様は、電動工具に関し、メモリ26が、電気パルス工具上で実行されると、電動工具に電気モータ12の速度を制御するようにさせる命令を含み、電動工具10は、トルク閾値に達するまで第1の出力レベルp1で出力軸16にトルクパルスを提供するようになっている。
【0024】
1つの例示的な実施形態によれば、電動工具は、モータ12の位置を決定するように配置された角度センサ(図示せず)を備える。1つの例示的な実施形態によれば、角度センサは、モータ12と慣性駆動部材18との間に配置される。しかしながら、角度センサは、電動工具内の他の場所に配置することができる。
【0025】
1つの例示的な実施形態によれば、パルス出力は、所定の時間間隔の間に電気モータ12に電流を供給することによって決定される。別の例示的な実施形態によれば、パルス出力は、所定の時間間隔の間に電気モータ12に電流を供給すると同時にモータ12の速度を監視することによって提供される。所定の電流オン時間間隔の間に電気モータ12に電流を供給すると同時にモータ12の速度を監視することによって、特定の決定された出力を達成することができる。モータ12の所定の角度で所望の出力に達しない場合、新しい電流パルスをモータ12に供給することができる。これは、モータ12が出力軸16に連結する瞬間に、確実にモータの所望の出力が得られることを目的としている。
【0026】
別の例示的な実施形態によれば、出力は常に測定され、電流供給量は、慣性駆動部材18が出力軸16に連結してパルスが締付けされる結合部材に供給される瞬間に出力が到達するように制御される。さらに別の例示的な実施形態によれば、モータ12の出力は、モータ12の実際の位置を連続的に監視し、出力を決定する際にその位置を考慮することによって制御される。
【0027】
図1を再度参照すると、プロセッサ20は、中央処理装置、CPU、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、DSP、又はコンピュータプログラムコードを実行することができる何らかの他の適切なタイプのプロセッサである。メモリ26は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、又は永続的ストレージ、例えば、磁気メモリ、光学メモリ、又は固体メモリの1つ又は複数の組み合わせ、又は遠隔取り付けメモリである。
【0028】
1つの態様によれば、本開示はさらに、電動工具上で実行されると、電動工具に本明細書に記載の本開示の態様のいずれかを実行させるコンピュータ可読コードを含む、上述したコンピュータプログラムに関する。
【0029】
本開示の1つの態様によれば、プロセッサ20は、
トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す少なくとも第1の出力レベルパラメータp1を取得し、トルク閾値より大きなトルクパルスに使用されることになる第2の出力レベルを示す少なくとも第2の出力レベルパラメータp2を取得し、第1の出力レベルに至るまで使用する必要があるトルクを示すトルク閾値を取得するように構成された取得モジュール161、
電動工具10がトルク閾値に達するまで第1の出力レベルp1で出力軸16にトルクパルスを供給するように電気モータ12の速度を制御し、電動工具10が第2の出力レベルp2で出力軸16にトルクパルスを供給するように電気モータ12の速度を制御するように構成された制御モジュール162、
のうちの1又は複数を備える。
【0030】
制御モジュール161及び162は、ハードウェア又はソフトウェア又はそれらの組み合わせで実装される。モジュール161及び162は、1つの態様によれば、プロセッサ20上で実行されるメモリ26に格納されたコンピュータプログラムとして実装される。さらに、電動工具は、本明細書に記載される本開示のすべての態様を実施するように構成される。
【0031】
図2を参照すると、図2は、本開示による電動工具1によって実行される締付け作業での複数のパルスの一例を示す。図2は、3つのグラフからなる。上部のグラフは、パルス出力を示す。中間部のグラフは、締付けに関する目標トルクを示す。下部のグラフは、パルスnのトルクt(パルストルク)を示す。図2の上部のグラフから分かるように、パルス出力は、締付け中に変化する。
【0032】
図示の締付けでは、最初のパルス出力は低い。電動工具は、トルク閾値に達していないため、第1の出力レベルp1で出力軸16にトルクパルスを供給する。その後、トルク閾値に到達し、ユーザがトルク閾値以降の出力レベルを高い値に設定しているために、パルスの出力レベルは増加する。トルクが目標トルクに近づくと、目標トルクに精度よく到達するために、ユーザがパルス出力を一定の低い値に設定しているため、パルス出力は減少する。
【0033】
図2から分かるように、電動工具は、ねじ結合部材の締付けに関連するパラメータ値に到達するまでパルスを繰り返すように動作可能である。電動工具の例示的な実施形態では、ねじ結合部材の締付けに関連するパラメータ値は、トルクである。電動工具のさらに別の例示的な実施形態では、ねじ結合部材の締付けに関連するパラメータ値は、角度である。
【0034】
また、本開示は、電気パルス工具で実行されると、電気パルス工具が上述のように動作されるようにするコンピュータプログラムをその上に格納した、コンピュータ可読記憶媒体に関する。
1つの例示的な実施形態によれば、上述のコンピュータプログラムコードが電動工具のプロセッサ20で実行されると、電動工具が上述のように動作されるようにする。
【0035】
図3は、電動工具を制御するための方法のフローチャートを示し、締付け作業は、ねじ結合部材を締付けするためのパルスを供給することによって行われる。電動工具10は、出力軸16に駆動的に連結された電気モータ12を備える。本方法は、トルク閾値に至るまでのトルクパルスに使用されることになる第1の出力レベルを示す少なくとも第1の出力レベルパラメータp1を取得するステップ110を含む。ステップ120において、トルク閾値より大きいトルクパルスに使用されることになる第2の出力力レベルを示す少なくとも第2の出力レベルパラメータp2を取得する。次に、ステップ130において、第1の出力レベルに至るまで使用する必要があるトルクを示すトルク閾値を取得する。その後、ステップ140において、電動工具10がトルク閾値に達するまで第1の出力レベルで出力軸16にトルクパルスを供給するように、電気モータ12の速度を制御する。次に、ステップ150において、電動工具10が第2の出力レベルp2で出力軸14にトルクパルスを供給するように、電気モータ12の速度を制御する。
【0036】
別の例示的な実施形態によれば、第1の出力レベルパラメータp1及び第2の出力レベルパラメータp2は、最大出力レベルのパーセントとして表される。本方法の別の例示的な実施形態では、パルスは、電気モータ12に連結された油圧パルスユニット13によって供給され、油圧パルスユニット15は、油圧カップリング機構を介して電気モータ12を出力軸16に間欠的に連結する。別の例示的な実施形態では、電気モータ12の速度は、出力軸16にパルスを供給するために電気モータがパルス様式で駆動されるように制御される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】