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特表2023-512219混合金属酸化物組成物を製造するための噴霧熱分解システム及び方法
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  • 特表-混合金属酸化物組成物を製造するための噴霧熱分解システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】混合金属酸化物組成物を製造するための噴霧熱分解システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/34 20060101AFI20230316BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20230316BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20230316BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20230316BHJP
   B01J 23/63 20060101ALI20230316BHJP
   B01J 23/10 20060101ALI20230316BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20230316BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230316BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20230316BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20230316BHJP
   C01G 25/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C01B13/34
B01D53/38 ZAB
B01D53/78
B01D53/82
B01J23/63 A
B01J23/10 A
B01J32/00
B01J37/08
B01J37/00 F
B01J37/02 101C
C01G25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022545892
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021015935
(87)【国際公開番号】W WO2021155314
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/967,618
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522298923
【氏名又は名称】パイロケム カタリスト カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パクハレ,デヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,ジェフリー ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】グビッツ,ジョシュア アーロン
(72)【発明者】
【氏名】フォガティー,ティモシー グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】アップルベリー,ティモシー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4D002
4G042
4G048
4G169
【Fターム(参考)】
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA04
4D002BA14
4G042DA02
4G042DB10
4G042DB15
4G042DB22
4G042DB32
4G042DB35
4G042DC03
4G042DD04
4G042DE06
4G042DE15
4G048AA03
4G048AB01
4G048AB08
4G048AC08
4G048AD03
4G048AE07
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA05C
4G169BA21C
4G169BA29C
4G169BB06B
4G169BB08C
4G169BB12C
4G169BB20C
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC43C
4G169BC71A
4G169BC71C
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC72C
4G169BC75A
4G169BC75C
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4G169BD02C
4G169BD04C
4G169BD06C
4G169BD12C
4G169BE08C
4G169BE14C
4G169CA03
4G169DA05
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EB18X
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB18
4G169FB30
4G169FB63
4G169FB79
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC10
(57)【要約】
混合金属酸化物組成物、例えば、水素化、脱水素化、還元、及び酸化などのガス処理用途に有用な混合金属酸化物触媒組成物を製造するための噴霧熱分解システム及び方法が説明される。そのようなシステム及び方法によって生成される混合金属酸化物自動車排気触媒組成物は、従来のバッチ析出技法によって生成される触媒と比較して、自動車排気汚染物質種の除去に必要な温度の実質的な低下を達成する。噴霧熱分解システム及び方法は、触媒金属を混合金属酸化物組成物に一体的に組み込むことを可能にし、それによって別個の触媒金属含浸操作を不要にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ボリュームを含む噴霧熱分解反応器であって、前記内部ボリュームは、液体組成物の液滴の霧化された噴霧及び酸素含有ガスを受容し、前記内部ボリューム内で前記液体組成物の液滴を前記酸素含有ガスに接触させ、かつ前記接触の後に前記内部ボリュームから混合金属酸化物及び流出ガスを排出するように配置されている、噴霧熱分解反応器と、
前記液体組成物を含有する液体組成物ソースから前記液体組成物を受容し、かつ前記接触のために前記液体組成物の液滴の前記霧化された噴霧を前記内部ボリュームの中に排出するように配置されているアトマイザと、
前記液体組成物を含有する前記液体組成物ソースであって、前記液体組成物は、少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体及び少なくとも1つの溶媒又は燃料を含む、前記液体組成物ソースと、
前記酸素含有ガスを含有する酸素含有ガスソースであって、前記噴霧熱分解反応器とガス供給関係で結合されて、前記噴霧熱分解反応器の前記内部ボリュームに前記酸素含有ガスを送達する、酸素含有ガスソースと、
前記噴霧熱分解反応器の前記内部ボリューム内の温度を、前記噴霧熱分解反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、結晶化、及び混合金属酸化物形成をサポートする温度又は温度範囲に維持するように配置されている熱管理システムと、を備える、
混合金属酸化物を生成するための噴霧熱分解システム。
【請求項2】
混合金属酸化物の連続生成のために操作される、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項3】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物中の前記少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体は、金属塩を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項4】
前記アトマイザは、回転アトマイザ、遠心アトマイザ、ネブライザ、超音波分散器、ノズル、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項5】
前記アトマイザはノズルを含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項6】
前記ノズルは、超音波、空圧、油圧、又はベンチュリノズルである、
請求項5に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項7】
前記アトマイザは、円錐形、平扇形、双扇形、若しくは中空コーン形、又は前述の形のうちの2つ以上の組み合わせの噴霧パターンを生成する、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項8】
前記アトマイザは、0.1μm~500μmの範囲のサイズを有する前記霧化された噴霧内の液滴を排出する、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項9】
前記液体組成物は、前記液体組成物ソースから前記アトマイザに、液体ポンプによって、1.1atm~20atmの範囲の送達圧力で送達される、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項10】
前記酸素含有ガスソース内の前記酸素含有ガスは、酸素、オゾン、空気、酸素富化空気、窒素酸化物、又は前述のもののうちの任意の2つ以上の混合物を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項11】
前記噴霧熱分解反応器は、上部反応器入口セクション及び下部反応器出口セクションを有する垂直に細長い円筒形である、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項12】
前記熱管理システムは、反応器温度をモニタリングするように配置されているセンサから反応器温度感知信号を受信し、かつ噴霧熱分解システム構成要素を応答的に制御して、前記噴霧熱分解反応器の前記内部ボリューム内の前記温度を、前記噴霧熱分解反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、結晶化、及び混合金属酸化物形成をサポートする温度又は温度範囲に維持するように動作可能に配置されている中央プロセッサユニットを備える、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項13】
前記噴霧熱分解システム構成要素は、前記噴霧熱分解反応器を加熱するように配置されている1つ以上のヒータを含む、
請求項12に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項14】
前記噴霧熱分解システム構成要素は、各々が前記噴霧熱分解反応器の異なるゾーンを加熱するように配置されている複数のヒータを含む、
請求項12に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項15】
前記噴霧熱分解反応器は、2つの異なる加熱されたゾーンを有する、
請求項14に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項16】
前記噴霧熱分解反応器は、3つの異なる加熱されたゾーンを有する、
請求項14に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項17】
前記1つ以上のヒータは、熱加熱ジャケット、熱交換チャンバ、内部に配置された加熱導管、又は加熱流体が流れる反応器容器壁通路を含む、
請求項13に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項18】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、内部の操作条件下で前記噴霧熱分解反応器内で発熱的に分解する及び/又は発熱的に反応する促進剤を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項19】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、金属硝酸塩、金属硝酸塩水和物、硝酸アンモニウム、硝酸、又は金属塩化物のうちの1つ以上を含む酸化剤を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項20】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、尿素、グリシン、ヒドラジン系化合物、有機アミン、スクロース、グルコース、又はクエン酸のうちの1つ以上を含む燃料を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項21】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、水、メタノール、エタノール、置換アルコール、グリセロール、ケトン、又はエーテルのうちの1つ以上を含む溶媒を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項22】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、カルボン酸、エステル、イソプロピルアルコール、及び無機酸のうちの1つ以上、アミン基溶媒、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせ、混合物、懸濁液、若しくは溶液を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項23】
前記噴霧熱分解反応器から排出される前記混合金属酸化物及び流出ガスから粉末形態の前記混合金属酸化物を分離するように配置されている粉末回収ユニットを更に備える、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項24】
前記粉末回収ユニットは、サイクロン分離器、バグハウス、フィルタ、静電集塵器、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含む、
請求項23に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項25】
前記粉末回収ユニットは、前記混合金属酸化物から分離された前記流出ガスを、前記流出ガスから汚染物質を除去するためのガススクラバシステムに排出するように配置されている、
請求項23に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項26】
前記ガススクラバシステムは、物理吸着剤、化学吸着剤、又は湿式スクラバを含む、
請求項25に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項27】
前記ガススクラバシステムは、汚染物質が枯渇した流出ガスを排出するように配置され、前記汚染物質が枯渇した流出ガスは、前記アトマイザ及び/又は前記噴霧熱分解反応器のガス入口へと再利用される、
請求項25に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項28】
前記噴霧熱分解反応器は、200℃~300℃の範囲の温度で操作される第1の加熱された反応器領域と、300℃~1200℃の範囲の温度で操作される第2の加熱された反応器領域と、を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項29】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、触媒金属ソース試薬及び/又は触媒金属プロモータ試薬を含有する、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項30】
前記液体組成物中の前記触媒金属ソース試薬は、パラジウムソース試薬、ロジウムソース試薬、白金ソース試薬、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項29に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項31】
少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体及び少なくとも1つの溶媒又は燃料を含む液滴の霧化された噴霧を生成することと、
液滴の前記霧化された噴霧を、一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物形成をサポートする高温で酸素含有ガスと接触させることと、
前記接触させることによって生成された流出ガスから混合金属酸化物を回収することと、を含む、
混合金属酸化物を生成するためのプロセス。
【請求項32】
前記接触させることは、粉末形態の前記混合金属酸化物を生成するために実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記接触させることは、結晶性粉末形態の前記混合金属酸化物を生成するために実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項34】
前記混合金属酸化物を連続生成するために実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項35】
液滴の前記霧化された噴霧は、0.1μm~500μmの範囲のサイズを有する液滴を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項36】
液滴の前記霧化された噴霧は、円錐形、平扇形、双扇形、若しくは中空コーン形、又は前述の形のうちの2つ以上の組み合わせの噴霧パターンで生成される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項37】
酸素含有ガスソース内の前記酸素含有ガスは、酸素、オゾン、空気、酸素富化空気、窒素酸化物、又は前述のもののうちの任意の2つ以上の混合物を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項38】
前記接触させることは、下部反応器出口セクションを有した上部反応器入口セクションを有する垂直に細長い円筒形の噴霧熱分解反応器内で行われる、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項39】
前記接触させることにおける温度は、前記接触させることの感知された温度に応答して、前記接触させることが行われる領域の加熱を変調する熱管理システムによって制御可能に維持される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項40】
前記接触させることの前記高温は、前記接触させることが行われる反応ゾーンを通る前記液滴の移動距離に沿って変調される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項41】
前記液滴は、前記接触させることにおいて発熱的に分解する及び/又は発熱的に反応する促進剤を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項42】
前記液滴は、金属硝酸塩、金属硝酸塩水和物、硝酸アンモニウム、硝酸、又は金属塩化物のうちの1つ以上を含む酸化剤を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項43】
前記液滴は、尿素、グリシン、ヒドラジン系化合物、有機アミン、スクロース、グルコース、又はクエン酸のうちの1つ以上を含む燃料を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項44】
前記液滴は、水、メタノール、エタノール、置換アルコール、グリセロール、ケトン、又はエーテルのうちの1つ以上を含む溶媒を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項45】
前記液滴は、カルボン酸、エステル、イソプロピルアルコール、及び無機酸のうちの1つ以上、アミン基溶媒、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせ、混合物、懸濁液、若しくは溶液を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項46】
前記回収することは、前記接触させることによって生成された前記流出ガスから粉末形態の前記混合金属酸化物を分離することを含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項47】
前記分離することは、サイクロン分離器、バグハウス、フィルタ、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを使用して行われる、
請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記流出ガスをスクラビングして、汚染物質を除去することを更に含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項49】
前記スクラビングすることは、物理吸着剤、化学吸着剤、又は湿式スクラバの使用を含む、
請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
汚染物質が除去された前記流出ガスを前記接触させることに再循環させることを更に含む、
請求項48に記載のプロセス。
【請求項51】
前記接触させることは、200℃~1200℃の範囲の温度で実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項52】
前記液滴は、触媒金属ソース試薬及び/又は触媒金属プロモータ試薬を含有する、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項53】
前記触媒金属ソース試薬は、パラジウムソース試薬、ロジウムソース試薬、白金ソース試薬、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
前記パラジウムソース試薬は、硝酸パラジウム水和物である、
請求項53に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
「Spray Pyrolysis System and Method for Manufacture of Mixed Metal Oxide Compositions」について、Devendra Pakhare、Jeffrey Baker Harrison、Joshua Aaron Gubitz、Timothy Griffith Fogarty、及びTimothy David Appleberryの名前で2020年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/967,618号の米国特許法第119条に基づく利益をここに請求し、その開示は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、混合金属酸化物組成物、例えば、水素化、脱水素化、還元、及び酸化などのガス処理用途に有用な混合金属酸化物触媒組成物を製造するための噴霧熱分解システム及び方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
ガス処理触媒として使用するための多成分混合金属酸化物組成物の従来の生成では、バッチ処理操作で実施される液相析出プロセスが製造に広く使用されている。このような従来のバッチ法は、複雑で時間がかかり、また、コストがかかるという特徴がある。複雑さ、長い時間枠、及びコストのこれらの特徴、並びにバッチ処理に関する生成物量の限界は、従来の液相析出プロセスの実質的な欠点を表している。
【0004】
したがって、このような欠点のない連続的で高速の生成プロセス及び装置を提供することは、当技術分野における実質的な進歩であろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、混合金属酸化物組成物を製造するための噴霧熱分解システム及び方法に関する。
【0006】
一態様では、本開示は、混合金属酸化物を生成するための噴霧熱分解システムに関し、そのようなシステムは、
内部ボリュームを含む噴霧熱分解反応器であって、内部ボリュームは、液体組成物の液滴の霧化噴霧及び酸素含有ガスを受容し、内部ボリューム内で液体組成物液滴を酸素含有ガスに接触させ、かつ接触の後に内部ボリュームから混合金属酸化物及び流出ガスを排出するように配置されている、噴霧熱分解反応器と、
液体組成物を含有する液体組成物ソースから液体組成物を受容し、かつ上記接触のために液体組成物の液滴の霧化された噴霧を内部ボリュームの中に排出するように配置されているアトマイザと、
液体組成物を含有する液体組成物ソースであって、液体組成物は、少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体及び少なくとも1つの溶媒又は燃料を含む、液体組成物ソースと、
酸素含有ガスを含有する酸素含有ガスソースであって、噴霧熱分解反応器とガス供給関係で結合されて、噴霧熱分解反応器の内部ボリュームに酸素含有ガスを送達する、酸素含有ガスソースと、
噴霧熱分解反応器の内部ボリューム内の温度を、反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、結晶化、及び混合金属酸化物形成をサポートする温度又は温度範囲に維持するように配置されている熱管理システムと、を備える。
【0007】
別の態様では、本開示は、混合金属酸化物を生成するためのプロセスに関する。そのようなプロセスは、
少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体及び少なくとも1つの溶媒又は燃料を含む液滴の霧化された噴霧を生成することと、
液滴の霧化された噴霧を、一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物形成をサポートする高温で酸素含有ガスと接触させることと、
接触させることによって生成された流出ガスから混合金属酸化物を回収することと、を含む。
【0008】
本開示の他の態様、特徴、及び実施形態は、続く説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による、混合金属酸化物組成物を生成するための噴霧熱分解システムの概略図である。
図2】本開示の例示的な態様における、混合金属酸化物組成物を生成するための噴霧熱分解プロセスにおける一連のプロセスステップの簡略化されたグラフィカル表現である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、混合金属酸化物組成物を生成するための噴霧熱分解システム及びプロセスに関する。本開示のシステム及びプロセスは、混合金属酸化物材料の単純で、効率的で、費用対効果が高く、かつ連続的な生成を可能にする。本開示のシステム及びプロセスを使用して生成される混合金属酸化物組成物は、結晶性及び/又は非結晶性であり得、また、水素化、脱水素化、還元、及び酸化などのガス処理用途のための不均一系触媒を形成するのに特に有用である。
【0011】
本開示のシステム及びプロセスは、混合金属酸化物組成物を作るためにこれまで使用され、数時間から数日ほどの処理時間を伴う従来のバッチ操作プロセスとは対照的に、数秒又は数分の処理時間で実施される連続プロセスでの混合金属酸化物組成物の大量生成において、当技術分野で顕著な進歩を達成する。
【0012】
本開示のシステム及びプロセスは、乾燥及び熱分解操作において酸素含有ガスとの気液接触のために噴霧熱分解反応器に導入されたソース液体組成物の霧化された液滴を伴う急速な熱伝達を採用して、乾燥ガスから回収される粉末形態の混合金属酸化物生成物を生成する。
【0013】
噴霧熱分解反応器は、混合金属酸化物生成物のための反応成分を含むソース液体組成物を受容するように配置される。ソース液体組成物は、反応剤(例えば、酸化剤)成分としての金属塩又は他の前駆体(ソース試薬)材料、並びに混合金属酸化物生成物を生成するための乾燥及び熱分解操作に適している溶媒及び/又は燃料成分を含有し得る。
【0014】
噴霧熱分解反応器に導入されるソース液体組成物の液滴を生成するために使用されるアトマイザデバイスは、例えば、回転アトマイザ、遠心アトマイザ、ネブライザ、超音波分散器、ノズル、又は、所与の噴霧熱分解プロセスのためのソース液体組成物の液滴の噴霧を生成するのに効果的である前述のもののうちの2つ以上の組み合わせの任意の好適なタイプのものであり得る。ノズルは、採用される場合、超音波、空圧、油圧、ベンチュリ、又は微細な若しくは霧化噴霧を作る1つ以上の他のタイプなど、任意の好適なタイプのものであり得る。アトマイザデバイスは、円錐形、平扇形、双扇形、中空コーン、若しくは他の形若しくは構造、又はそれらの組み合わせであり得る噴霧パターンを生成するように構築及び配置され得る。回転する幾何学的パターンも利用され得る。アトマイザデバイスによって生成される液滴の噴霧における液滴は、本開示のシステム及びプロセスの所与の用途において有効な任意の好適な液滴サイズ及び/又は液滴サイズ分布のものであり得る。様々な実施形態において、採用されるアトマイザデバイスは、0.1μm~500μmの範囲のサイズを有する液滴の噴霧を生成するが、他の実施形態において、例えば、ナノスケールからミクロンスケールの範囲の、より小さなサイズ又はより大きなサイズの液滴サイズが、混合金属酸化物生成物を達成するために、必要に応じて、かつ効果的に採用され得る。噴霧熱分解システムの操作において液滴の好適な噴霧を提供する際に、液体の流量及び液滴生成速度は、本開示の範囲内で広く変化し得る。
【0015】
アトマイザデバイスによって生成される液滴の噴霧の液滴サイズに影響を与える様々な要因が理解されるであろう。要因には、例えば、(i)ノズル/噴霧システム設計及び噴霧パターン、(ii)超音波ノズル/噴霧システムの場合のアトマイザの動作周波数、(iii)組成、粘度、流量、送達圧力、及び温度を含むソース液体の特性、及び(iv)組成、圧力、流量、及び温度を含む酸素含有ガスの特性が含まれる。特定の混合金属酸化物組成物を生成するための噴霧熱分解システムの選択及び操作条件は、そのような要因及び本明細書の説明に基づいて、当技術分野内で容易に特定及び/又は経験的に決定することができることが理解されるであろう。
【0016】
ソース液体組成物は、噴霧熱分解反応器内で液滴の所望の噴霧を生成するのに効果的な任意の好適な条件でアトマイザデバイスの中へ送達され得る。様々な実施形態において、ソース液体組成物は、リザーバ、タンク、容器、パイプライン、又は他のソース装置などのソースから供給され得、ポンプ、コンプレッサ、又は他の原動ドライバデバイスによって、そのようなソース装置からアトマイザデバイスに送達され得る。例えば、シリンジポンプ、ギアポンプ、パルスポンプ、又は蠕動ポンプなどの様々な液体ポンプのいずれかが採用され得る。特定の実施態様では、ソース液体組成物は、1.1atm~20atmの範囲の圧力でアトマイザデバイスに送達され得るが、そのような範囲内の圧力よりも高い又は低い任意の他の圧力が、特定の混合金属酸化物生成物の達成に適切なように採用され得る。
【0017】
噴霧熱分解プロセスで使用される酸素含有ガスは、噴霧熱分解反応器での乾燥及び熱分解操作に有効な任意の好適なタイプのものであり得る。例えば、酸素含有ガスには、酸素、オゾン、空気、酸素富化空気、窒素酸化物、若しくは前述のもののうちの任意の2つ以上の混合物、又は混合金属酸化物生成物を生成する乾燥及び熱分解操作において有利に採用される任意の他の酸素含有ガスが含まれ得る。
【0018】
酸素含有ガスは、好適なガスソースから噴霧熱分解反応器に供給される。このガスソースには、例えば、従来のガス貯蔵及び分配シリンダ、タンク、トレーラ、パイプラインなどが含まれ得る。このような酸素含有ガスは、噴霧熱分解反応器での乾燥及び熱分解操作に適した任意の圧力、温度、及び流量で送達され得る。酸素含有ガスは、噴霧熱分解反応器の入口セクションの1つ以上の専用ガス入口を介して噴霧熱分解反応器の中に導入され得、及び/又はアトマイザデバイスがそのようなガス供給に適合している場合にはアトマイザデバイスの中に導入され得る。例えば、アトマイザデバイスは、ソース液体組成物及び酸素含有ガスが送達されるノズルを備え得、これにより、ノズルは、噴霧熱分解反応器の内部ボリュームの中への液滴の排出された噴霧の通過のために、酸素含有ガス中のソース液体組成物の噴霧をノズル出口に送達する。液体及び酸素含有ガスの流量は、本開示の広範な実施において広く変化し得ること、また、特定の流量は、本明細書の開示に基づいて、例えば、実験又は噴霧熱分解モデリングによって、当技術分野内で容易に決定され得ることが対応して理解されるであろう。
【0019】
噴霧熱分解反応器に中に導入された酸素含有ガスは、ソース液体組成物の液滴からの液体の蒸発、反応剤としてのソース液体組成物中の金属塩及び/又は他の反応前駆体(ソース試薬)材料の分解及び/又は反応のための流体媒体を提供する。促進剤成分が、任意選択的に採用され得る。したがって、酸素含有ガスは、液滴の形成、並びにそれらの蒸発及び/又は反応(分解)を促進するために利用され得る。ノズル型アトマイザデバイスが採用されるいくつかの実施形態では、噴霧熱分解反応器に流される酸素含有ガスのすべてがアトマイザデバイスに供給され得る。他の実施形態では、酸素含有ガスは、アトマイザデバイスだけでなく、専用のガス入口を介して噴霧熱分解反応器の内部ボリュームにも別々に流され得る。更に他の実施形態では、液体ソース組成物をそのソースから受容する回転アトマイザによってソース液体組成物が噴霧熱分解反応器の内部ボリュームの中に送達される噴霧熱分解システムなどにおいて、酸素含有ガスは、アトマイザデバイスではなく、専用のガス入口を通してのみ噴霧熱分解反応器に流され得る。酸素含有ガスがアトマイザデバイスと別個のガス入口との両方に送達される場合、アトマイザデバイスに送達される酸素含有ガスは、ガス入口に送達される酸素含有ガスとは異なり得る(例えば、異なる組成、流量、温度、湿度、及び/又は圧力)。そのような場合、噴霧熱分解システムのガスソースは、反応器へのそれぞれのガス流のための別個のガス供給源及び/又は別個のガス調整機器を含み得る。任意選択的に、酸素含有ガスは、反応器の中への導入前に加熱され得る。
【0020】
噴霧熱分解反応器は、その中での噴霧熱分解及び熱分解操作に対応する任意の適切なサイズ及び構造であり得る。様々な実施形態において、噴霧熱分解反応器は、上部反応器入口セクション及び下部反応器出口セクションを有する垂直に細長い円筒形の反応容器を含み、上部反応器入口セクション及び下部反応器出口セクションは、噴霧されたソース液体組成物中の液滴が重力によって落下し、ガスが上部入口セクションから下部出口セクションへ流れる反応器の内部ボリュームを画定する。噴霧熱分解反応器は、混合金属酸化物粉末及び流出ガスが反応器の出口セクションで排出されるように、噴霧熱分解反応器の内部ボリューム内での一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物の形成をもたらすために、高温で動作するように構築及び配置されている。噴霧熱分解反応器は、任意の好適な構築材料で形成され得、様々な実施形態において、噴霧熱分解プロセスの温度範囲に適合する石英、セラミック、又は金属合金などの材料で構築され得る。噴霧熱分解反応器は、任意の有利な形状、フォームファクタ、フットプリント、及び幾何学的特徴のものであり得、そのような反応器は、採用される炉のタイプに応じて、例えば、円筒形、正方形、楕円形、又は他の幾何学的形状であり得る。
【0021】
噴霧熱分解反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物の形成をもたらす目的で、反応器の内部ボリュームの温度が、反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、結晶化、及び混合金属酸化物の形成をサポートするレベル又は範囲に維持されるように動作可能に配置されている好適なヒータ、モニタ、及びコントローラの構成要素を含む熱管理システムが、噴霧熱分解反応器に提供され得る。
【0022】
様々な実施形態において、1つ以上の加熱ゾーンが反応器内に儲けられる。1つの例示的なマルチゾーン反応器配置では、液体ソース組成物の噴霧された液滴の蒸発を開始するために、第1の温度又は第1の温度範囲内で動作するように熱管理システムによって反応器の第1のゾーンを制御することができ、分解/反応をもたらすために、第2の温度又は第2の温度範囲内で動作するように熱管理システムによって反応器の第2のゾーンを制御することができ、混合金属酸化物生成物の形成、圧密、結晶化、及び/又はか焼を実施するために、第3の温度又は第3の温度範囲内で動作するように熱管理システムによって反応器の第3のゾーンを制御することができる。
【0023】
マルチゾーンシステムでは、ゾーン温度、ゾーン長、ガス組成、ガス流量、ソース液体組成、及び液滴サイズなどの要因が、反応器の最初の及びその後のゾーンにおける処理の性質及び範囲に影響を与えることが理解されるであろう。いくつかの混合金属酸化物の場合、特に、混合金属酸化物の特定の結晶相が望まれる場合、追加の加熱ゾーンが有利であり得、それぞれのゾーンの温度が徐々に上昇され、ゾーンの数は混合金属酸化物生成物の必要な結晶化度に依存することも理解されるであろう。反応器内の軸方向温度勾配は、一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物の形成が単一ゾーン反応器内で達成されるように、制御可能に確立され、かつ維持され得ることが更に理解されるであろう。
【0024】
熱管理システムは、任意の適切なシステム構成要素を用いて、任意の好適な方法で構成及び操作することができる。様々な実施形態において、別個のヒータがマルチゾーン反応器のそれぞれのゾーンに関連付けられ得る。例えば、電気抵抗性若しくは他の特徴の熱加熱ジャケット又は熱交換チャンバがマルチゾーン反応器のそれぞれのゾーンを取り囲み、その中に熱交換媒体を流して所望の温度レベルを確立及び維持するか、又は内部ボリューム内に加熱導管を内部配置し、その中に加熱された流体を流す。それぞれの複数のヒータの別個のヒータは、モニタリング及び制御アセンブリと動作可能に連結され得る。アセンブリは、信号伝送ラインを用いて、マルチゾーン反応器の対応するゾーン内の温度を感知するように動作可能に配置されたサーモカップル又は温度センサから温度モニタリング信号を受信する中央プロセッサユニットを含み得る。そのような信号伝送ラインは、受信した温度モニタリング信号に基づいて中央プロセッサユニットが制御信号を反応器の関連付けられたゾーンのヒータに応答的に伝送して、関連付けられたヒータによってそのようなゾーンにおける反応器の加熱を変調し、これによりシステムの動作中に設定点温度又は温度範囲が維持されるように、双方向性であり得る。
【0025】
熱管理システムは、単一ゾーンであるかマルチゾーン特性であるかに関わらず、反応器内で所望の加熱を達成するのに適切なように、構造及び操作において広く変化し得ることが理解されるであろう。
【0026】
様々な実施形態において、反応器内で発熱分解及び/又は反応して、混合金属酸化物生成物の生成を助けるために、ソース液体組成物に促進剤を添加することができる。マルチゾーン反応器システムでは、特定の温度ゾーン内で分解又は反応するために促進剤を添加し、これにより発熱分解及び/又は反応がそのような温度ゾーンだけでなく後続(下流の)反応器ゾーンの温度の上昇(そのような促進剤が配備されていない対応する操作と比較して)を引き起こすことができる。
【0027】
促進剤は、混合金属酸化物のより高い表面積対質量比、可変細孔サイズ、異なる細孔サイズ分布、及び異なる全細孔ボリュームをもたらすために、温度ゾーンの数を減らすために、及び/又は促進剤の添加のない対応する噴霧熱分解システムと比較して、ゾーンに追加の熱を提供する必要なく、より高いゾーン温度を達成するために有益に採用され得る。この点で、促進剤の選択は、前述の触媒の属性に強く影響する。様々な実施形態において、所望の温度でガス状副生成物に分解し、混合金属酸化物に残留物をほとんど又は全く残さない促進剤を採用することができる。以下の表1に、熱分解反応器内で加速反応温度をもたらすために組み合わせることができる、酸化剤、燃料、及び溶媒成分の可能な促進剤の組み合わせのリストを示す。場合によっては、有機溶媒又は水と有機溶媒との混合物も燃料成分として機能することがある。金属:燃料:酸化剤成分の比などの促進剤組成物中の成分の相対的割合は、本開示の広範な実施において広く変化し得ること、また、特定の噴霧熱分解用途のそれぞれの成分の有利な量及び相対的割合は、本開示に基づいて過度の実験を行うことなく、当技術分野内で容易に決定され得ることが理解されるであろう。
【0028】
【表1】
【0029】
本開示の噴霧熱分解プロセスにおいて混合金属酸化物を生成するのに有用な有機及び無機成分及び組み合わせの前述のリストは、限定を意図するものではなく、他の成分及び組み合わせが、本開示のプロセス及び装置の対応する実施形態において採用され得ること、また、特定の成分又は成分カテゴリは、複数の機能を有する化合物及び/又は組成物を包含し得るか、又は他のカテゴリで利用され得ることが理解されるであろう。例えば、燃料と酸化剤の両方が、ソース液体組成物中の金属塩の一部であり得る。別の例として、金属ヒドラジンシュウ酸塩などのヒドラジン系化合物を、燃料としてではなく酸化剤として採用することができる。更に別の例として、グリセロールも燃料/炭素ソースとして使用することができる。したがって、様々な実施形態において、酸化剤、燃料、及び/又は溶媒の任意の好適な組み合わせを採用して、所望の化学的及び/又は物理的特性を有する混合金属酸化物を生成できることが理解されるであろう。促進剤が反応又は分解する温度は、酸化剤、燃料、及び/又は溶媒のタイプ、それぞれの成分のソース液組成物濃度、並びにガス及び液体の流量などの噴霧熱分解反応器の操作パラメータなどの要因に依存する。
【0030】
ソース液体組成物中の溶媒又は溶媒添加剤は、例示的に、カルボン酸、エステル、イソプロピルアルコール、無機酸、アミン基溶媒、並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせ、混合物、懸濁液、及び溶液のうちの任意の1つ以上を含み得る。ソース液体組成物は、溶液、懸濁液、又は他の液体組成物形態として構成され得る。
【0031】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の一実施形態による混合金属酸化物生成システム10の概略図である。
【0032】
混合金属酸化物生成システム10は、噴霧熱分解反応器12を含む。反応器は、内部ボリューム16を画定する、垂直に細長い円筒形の反応器容器14を含む。反応器は、その上部に、円周方向に離間したガス入口20を含む反応器入口セクション18を含み、それを通して酸素含有ガスを反応器の内部ボリューム16に導入することができる。ソース液体組成物供給ライン30からソース液体組成物を受容し、反応器容器14の内部ボリューム16の中に排出されるソース液体組成物の液滴の噴霧を生成するように噴霧ノズル22が配置される。反応器12は、その下部に、直径が垂直下方に徐々に減少するほぼ円錐形の反応器出口セクション24を含む。
【0033】
混合金属酸化物生成システム10は、ソース液体組成物28が入っているソース液体組成物容器26を含み、ソース液体組成物は、そこから、液体ポンプ32を含むソース液体組成物供給ライン30内を噴霧ノズル22へと流れる。
【0034】
ガスソース容器34には酸素含有ガスが入っており、酸素含有ガスは、そこから、ガス供給ライン36内を噴霧ノズル22へと流れるか、及び/又はガス供給ライン36からガス供給分岐ライン38内をガス入口24へと流れて、反応器の内部ボリューム16へ導入される。
【0035】
混合金属酸化物生成システム10は更に、反応器のそれぞれの熱ゾーンH1、H2、及びH3の温度モニタリングと、それぞれの熱ゾーンの各々において所望の温度又は動作温度範囲を確立及び維持するためのヒータ要素42の応答性変調とのための熱管理モニタリング及び制御アセンブリ40を含む。それぞれの熱ゾーンH1、H2、及びH3は、一般に、図示の実施形態では下方向に上昇する温度特性を有し、温度Tは、TH1<TH2<TH3となるように徐々に上昇する。だが、反応器内で単一温度ゾーン又は複数の温度ゾーンを採用できること、また、他の温度シーケンスを採用できることが理解されるであろう。例えば、TH1<TH2=TH3である、3ゾーン炉(反応器)が採用され得る。様々な実施形態において、反応器出口は、熱交換器を通過して、ストリーム中の水蒸気を凝縮することなく粉末及び副生ガスを十分に冷却し、温度は約100℃であるが500℃未満に維持される。図1のヒータ要素42は、加熱流体が反応器容器壁及び反応器の内部ボリュームを加熱するために流れる環状熱交換チャンバを取り囲む熱加熱ジャケットとして構成され得るか、代替的にヒータ要素は加熱コイル又は他の熱交換要素として内部ボリューム内に内部配置され得る。更なる代替案として、容器壁に、加熱流体が流れる内部熱交換通路が提供され得る。
【0036】
したがって、熱管理モニタリング及び制御アセンブリ40は、上部ヒータ双方向信号伝送ライン44、中間ヒータ双方向信号伝送ライン46、及び下部ヒータ双方向信号伝送ライン48を含む双方向信号伝送ラインにおいて温度モニタリング信号を、熱管理モニタリング及び制御アセンブリの処理構成要素に伝送するサーモカップル、温度センサ、又は他の温度モニタリング要素若しくはアセンブリと信号受信関係で結合されたプロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、プログラムされたプログラマブルコンピュータなどを備え得、処理構成要素は、温度モニタリング信号に応答して、双方向信号伝送ライン44、46、及び48においてそれぞれのヒータ要素42に送信されるヒータ制御信号を生成して、それぞれの上部、中間、及び下部ヒータ要素42の設定点又は動作温度範囲を相関的に調整して、混合金属酸化物生成物の所望の生成のために、それぞれの上部、中間、及び下部の熱ゾーンH1、H2、及びH3の各々において所望の温度を確立及び維持する。
【0037】
代替的に、熱管理モニタリング及び制御アセンブリ40は、反応器12の内部ボリューム16で実施される操作が適切にモニタリングされ、制御された温度条件で実施される任意の好適な方法で構成及び/又は操作され得る。例えば、モニタリング及び制御アセンブリには、混合金属酸化物生成システム内の温度、圧力、流量、及び/又は組成を適切に制御するために、システム内の流れ回路のバルブ、流れコントローラ、及び他の構成要素に接続される信号伝送ラインを含み得る。
【0038】
混合金属酸化物生成物粉末及び関連ガスは、反応器の出口セクション24から排出され、粉末及びガス流出ライン50内を粉末回収ユニット52へと流れ、そこで混合金属酸化物粉末は流出ガスから分離され、分離されたガスは、ガス排出ライン54内をガススクラバシステム56へと流れる。粉末回収ユニット52には、例えば、サイクロン分離器、バグハウスユニット、フィルタ、静電集塵器、若しくは前述のもののうちの2つ以上の組み合わせなどの固体/気体分離装置、及び/又は流出ガスから混合金属酸化物粉末を分離及び回収するように配置されている他の分離機器若しくは構成要素が含まれ得る。ガススクラバシステム56は、任意の好適なタイプのものであり得、例えば、物理吸着剤及び/又は化学吸着剤の1つ以上のベッド、湿式スクラバ、又は有害成分中の流出ガスを枯渇させ、これにより、ガスをその後他の最終処分に排出又は流すことができるように配置された他のガス精製ユニット操作機器を備え得る。例えば、ガススクラバシステムは、流出ガスを精製し得、そのため、噴霧ノズル22及び/又はガス入口20への再循環ガス流のために、混合金属酸化物生成システム内で同ガスが再利用され得る。
【0039】
システムは、反応器容器14の内部ボリューム16の中に導入されるガスの湿度を制御するために、ガスソース及び/又はガススクラバシステム56からのスクラビングされ、精製されたガスの再利用に関連付けられた流れ回路に除湿器を更に含んで、噴霧デバイスによって生成され、反応器容器の内部ボリュームの中に排出される液体組成物の液滴を乾燥させるための濃度差駆動力を最大化し得る。
【0040】
図1の特定の実施形態には示されていないが、混合金属酸化物生成システムには、ソース液体組成物及び/又は酸素含有ガスを、噴霧熱分解反応器でのその後の気液接触のために所望の高温又は温度範囲に加熱するための加熱要素が更に含まれ得る。そのような点で、噴霧熱分解反応器へのそれぞれの液体組成物及びガス供給ラインが熱トレースされるか又は他の方法で加熱することができ、並びに/又はガス及び液体組成物のための供給容器を加熱することができる。したがって、統合された熱管理プロセスシステムを提供するために、熱管理モニタリング及び制御アセンブリの一部としてヒータを採用することができる。
【0041】
ソース液体組成物が金属塩を含有する本開示の実施において、本開示のプロセス及び装置は、組成物の溶媒中の金属塩の固有の均質性を生成し、これは、そうでなければ、液滴乾燥操作の蒸発段階で起こり得る、霧化された液滴内の任意の不均一性を大幅に緩和する。液体組成物液滴の比較的小さい直径、対応する低いボリューム、及び対応する高い表面積対ボリューム比により、溶液液滴内の溶媒部分及び金属塩の相対的存在を、蒸発が進行するにつれて液滴全体で比較的一定に保つことができる。この傾向は、そうでなければ、液滴が蒸発、分解、及び酸化物形成を受ける際に起こり得る含有物の任意の層化を大幅に軽減する。
【0042】
図2は、本開示の例示的な実施形態における、混合金属酸化物組成物を生成するための噴霧熱分解プロセスにおける一連のプロセスステップの簡略化されたグラフィカル表現である。
【0043】
図2に示すように、ソース液体組成物(前駆体)は噴霧器22によって霧化されて、反応器容器14の内部ボリューム16を通って下方に落下し、(i)溶媒蒸気が酸素含有ガスの中に移行する蒸発段階、(ii)液滴が固相外殻を形成し、そこから液体が浸透して蒸発し続ける乾燥段階、(iii)分解段階、(iv)熱分解/固体反応段階、及び(v)か焼段階を通過する液滴を生成して、混合金属酸化物組成物の乾燥した粒子を粉末生成物として得る。
【0044】
図2のグラフィカル表現は、液滴が反応器の加熱ゾーンを通って移動する際に起こり得る異なるステップを示し、噴霧熱分解プロセスで起こり得る異なるステップを単に例示するものである。1つ以上のステップが同時に又はほぼ同時に起こり得ることを理解されたい。
【0045】
水を溶媒とする本開示の噴霧熱分解システム及びプロセスの操作の例示的な一例として、小さい液滴の比較的大きい表面積を通して溶媒の蒸発が比較的急速に起こるように急速な熱伝達を達成するために、反応器の第1の領域の温度は、200℃~300℃の範囲であり得、反応器の第2の領域の温度は、300℃~1200℃の範囲であり得る。そのような加熱に関連付けられる速い反応時間により、ソース液体組成物中の金属塩の均質性及び分散が、小さい液滴内にその比較的小さいボリュームによって維持されることが確実にされる。小さい溶液液滴は高い熱伝達率及び高い溶媒蒸発率を維持できるため、蒸発、乾燥、熱分解、及び焼結は、数時間から数日もの時間枠を必要とする、混合金属酸化物組成物を生成するための既存のバッチ方法と比較して、数秒から数分の処理時間内で起こる。
【0046】
従来のアプローチに対して短い処理時間及びエネルギー節約に関連付けられる本開示のプロセス及び装置の単純さは、そのようなプロセス及び装置を、担体及び触媒金属がソース液体組成物に含有されており、小さい液滴で一緒に噴霧される不均一系触媒の合成に非常に有利にする。液滴のサイズが小さいこと、表面積対ボリューム比が高いこと、及び固相への急速な蒸発により、担体成分内の触媒金属の実質的に均質的な分布が達成されることが確実にされる。
【0047】
更なる例として、硝酸アルミニウム及び硝酸パラジウム(それぞれアルミニウム及びパラジウムのソース試薬として)が前駆体溶液に溶解される前駆体液体ソース組成物を調製することができ、噴霧、蒸発、析出、熱分解、及び焼結の後に、高表面積酸化アルミニウム上に2重量%パラジウムが高度に分散された固体触媒生成物粉末が生成される。生成物粉末は、ペレット又は押出成形物に形成されるか、構造支持体上にコーティングされて、水素化、脱水素化、及び酸化反応に有用な触媒を提供することができる。液体ソース組成物は、様々な実施形態において、触媒金属ソース試薬及び/又は触媒金属プロモータ試薬を含有し得る。本開示の様々な実施態様において有利に採用され得る触媒ソース試薬には、パラジウムソース試薬、ロジウムソース試薬、白金ソース試薬、及びこれらの様々な組み合わせが含まれる。
【0048】
本開示の利点及び特徴は、以下の実施例を参照して更に説明されるが、これらは、本開示の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではなく、むしろ、自動車排気触媒として有用な混合金属酸化物触媒を生成するためのその特定の用途における、本開示の実施形態の例示と解釈されるべきである。このような自動車排気触媒は、例えば、低級アルカン、アルケン、含酸素添加剤(例えば、一酸化炭素、窒化酸化物)、及び芳香族化合物を含む広範囲の有機分子を含有している排ガスを処理するために利用され得る。
【0049】
実施例1
パラジウム触媒の担体としてのジルコン酸セリウム(CeZr)の合成
57.2グラムのCe(NO・6HO及び41.6グラムのZrO(NOを、174mlの脱イオン水に溶解して前駆体溶液を形成した。金属塩の分解を促進し、より高い最終か焼温度を達成するために、43.5グラムのグリシンを前駆体溶液に添加した。この実施例では、硝酸セリウムアンモニウムが、酸化剤であり、グリシンが、促進剤及び燃料であり、水が、溶媒であった。前駆体及び促進剤は、一緒に200℃~600℃の温度で発熱分解する。
【0050】
空圧ノズルを使用して、前駆体溶液を、直径5インチの石英反応器の中に噴霧した。ノズルへの液体流量は、400ml/時であり、ノズルへの空気流は、35リットル/分であった。これにより、反応器の上部を中心とし、真下に配向された霧化された噴霧コーンが作成された。
【0051】
反応器の温度ゾーンは、反応器の上部1メートルで300℃、中間セクション(約1メートル)で650℃、反応器の底部セクション(約1メートル)で950℃に設定された。
【0052】
生成されたジルコン酸セリウム粉末は、空気流によって反応器を通ってフィルタバスケットに運ばれ、3ミクロンの濾過スクリーンで収集された。
【0053】
以下の表2は、噴霧熱分解によって生成された粉末と、従来のバッチ析出法によって生成された同じ配合の市販の粉末との比較を示している。90%温度変換/除去は、2重量%Pdが硝酸パラジウムとして粉末に添加され、850℃のリーン/リッチサイクルで12時間エージングされ、温度を5℃/分で周囲から500℃まで上げる(ramp)ことによってシミュレートされた排気除去についてテストされた触媒で決定された。変換は、質量分析計を使用して測定された。この方法は、自動車排気変換触媒の触媒スクリーニングについてのAftertreatment Protocols for Catalyst Characterization and Performance Evaluation:Low-Temperature Oxidation Catalyst Test Protocol,The Advanced Combustion and Admission Control(ACEC)Technical Team,Low-Temperature Aftertreatment Group,April 2015,USDRIVE Driving Research and Innovation for Vehicle Efficiency and Energy Sustainability,https://cleers.org/wp-content/uploads/2015_LTAT-Oxidation-Catalyst-Characterization-Protocol.pdf(2020年1月30日にアクセス)に従っている。
【0054】
【表2】
【0055】
一般に、より低い温度が好ましく、また、より有利である。
【0056】
全く同じ配合であるにもかかわらず、本開示の噴霧熱分解プロセスによって調製されたジルコン酸セリウムは、析出法によって調製された市販の材料よりも排気成分の低温除去に対してより活性である。
【0057】
上記に関連して、別個の触媒金属含浸ステップ(この実施例ではパラジウムの含浸)を避けるために、触媒金属を前駆体溶液に含めることが可能であり、好ましいことさえある。
【0058】
実施例2
自動車排気触媒の単一ステップ合成
11.6グラムのCe(NO・6HO、8.7グラムのZrO(NO、及び0.34グラムのPd(NO・xHOを、70mlの脱イオン水に溶解して前駆体溶液を形成した。金属塩の分解を促進し、より高い最終か焼温度を達成するために、11.8グラムのグリシンを前駆体溶液に添加した。この実施例では、セリウム、ジルコニウム、及び硝酸パラジウム(それぞれセリウム、ジルコニウム、及びパラジウムのソース試薬として)が、酸化剤であり、グリシンが燃料であり、水が、溶媒であった。
【0059】
空圧ノズルを使用して、前駆体溶液を、直径5インチの石英反応器の中に噴霧した。ノズルへの液体流量は、400ml/時であり、ノズルへの空気流は、35リットル/分であった。これにより、反応器の上部を中心とし、真下に配向された霧化された噴霧コーンが作成された。
【0060】
反応器の温度ゾーンは、反応器の上部1メートルで300℃、中間セクション(約1メートル)で650℃、反応器の底部セクション(約1メートル)で950℃に設定された。
【0061】
生成された粉末は、空気流によって反応器を通ってフィルタバスケットに運ばれ、3ミクロンの濾過スクリーンで収集された。触媒金属パラジウムが担体材料と共に噴霧されたので、この配合物は共噴霧配合物と称される。
【0062】
前述の実施例1と同様に、触媒を850℃で12時間エージングし、その間に希薄/濃密組成間のシミュレートされた排気サイクルにさらした。排気成分の変換/除去のための温度は、実施例1と同様に決定された。
【0063】
触媒金属の別個の含浸が行われる実施例1の噴霧熱分解プロセスに関する表2からのデータを含み、また、従来の商用析出プロセスの触媒に関するデータを含む、データを以下の表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
一般に、より低い温度が好ましく、かつより有利である。
【0066】
表3のデータは、市販の析出プロセス触媒と比較して、汚染物質の90%除去に必要な温度の顕著な低下と、触媒金属(パラジウム)の別個の含浸を含む実施例1の触媒と比較して、温度の大幅な低下を達成するため、自動車排気触媒を生成するための共噴霧法を使用することの利益を示している。
【0067】
本開示は、特定の態様、特徴、及び例示的な実施形態を参照して本明細書に記載されているが、本開示の有用性は、このように限定されるものではなく、むしろ、本明細書の説明に基づいて本開示の分野の当業者に示唆される多くの他の変形、修正、及び代替の実施形態にまで拡張及び包含されることが理解されるであろう。これに対応して、以下に特許請求される本開示は、その趣旨及び範囲内で、そのようなすべての変形、修正、及び代替の実施形態を含むものとして、広くみなされ、解釈されることが意図されている。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ボリュームを含む噴霧熱分解反応器であって、前記内部ボリュームは、液体組成物の液滴の霧化された噴霧及び酸素含有ガスを受容し、前記内部ボリューム内で前記液体組成物の液滴を前記酸素含有ガスに接触させ、かつ前記接触の後に前記内部ボリュームから混合金属酸化物粉末及び流出ガスを排出するように配置されている、噴霧熱分解反応器と、
前記液体組成物を含有する液体組成物ソースから前記液体組成物を受容し、かつ前記接触のために前記液体組成物の液滴の前記霧化された噴霧を前記内部ボリュームの中に排出するように配置されているアトマイザと、
前記液体組成物を含有する前記液体組成物ソースであって、前記液体組成物は、少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体少なくとも1つの溶媒、並びに内部の操作条件下で前記噴霧熱分解反応器内で発熱的に分解分解する及び/又は発熱的に反応する少なくとも1つの燃料を含む溶液である、前記液体組成物ソースと、
前記酸素含有ガスを含有する酸素含有ガスソースであって、前記噴霧熱分解反応器とガス供給関係で結合されて、前記噴霧熱分解反応器の前記内部ボリュームに前記酸素含有ガスを送達する、酸素含有ガスソースと、
前記噴霧熱分解反応器の前記内部ボリューム内の温度を、前記噴霧熱分解反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、結晶化、及び混合金属酸化物粉末形成をサポートする温度又は温度範囲に維持するように配置されている熱管理システムと、を備え
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、燃料、並びに金属及び酸化剤成分を発熱的に分解及び/又は反応させることによって、前記噴霧熱分解反応器内の促進された反応温度をもたらす金属:燃料:酸化剤成分の比を提供する、
混合金属酸化物粉末を生成するための噴霧熱分解システム。
【請求項2】
混合金属酸化物の連続生成のために操作される、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項3】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物中の前記少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体は、金属塩を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項4】
前記アトマイザは、回転アトマイザ、遠心アトマイザ、ネブライザ、超音波分散器、ノズル、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項5】
前記アトマイザはノズルを含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項6】
前記ノズルは、超音波、空圧、油圧、又はベンチュリノズルである、
請求項5に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項7】
前記アトマイザは、円錐形、平扇形、双扇形、若しくは中空コーン形、又は前述の形のうちの2つ以上の組み合わせの噴霧パターンを生成する、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項8】
前記アトマイザは、0.1μm~500μmの範囲のサイズを有する前記霧化された噴霧内の液滴を排出する、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項9】
前記液体組成物は、前記液体組成物ソースから前記アトマイザに、液体ポンプによって、1.1atm~20atmの範囲の送達圧力で送達される、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項10】
前記酸素含有ガスソース内の前記酸素含有ガスは、酸素、オゾン、空気、酸素富化空気、窒素酸化物、又は前述のもののうちの任意の2つ以上の混合物を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項11】
前記噴霧熱分解反応器は、上部反応器入口セクション及び下部反応器出口セクションを有する垂直に細長い円筒形である、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項12】
前記熱管理システムは、反応器温度をモニタリングするように配置されているセンサから反応器温度感知信号を受信し、かつ噴霧熱分解システム構成要素を応答的に制御して、前記噴霧熱分解反応器の前記内部ボリューム内の前記温度を、前記噴霧熱分解反応器内での一連の液滴蒸発、反応/分解、結晶化、及び混合金属酸化物粉末形成をサポートする温度又は温度範囲に維持するように動作可能に配置されている中央プロセッサユニットを備える、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項13】
前記噴霧熱分解システム構成要素は、前記噴霧熱分解反応器を加熱するように配置されている1つ以上のヒータを含む、
請求項12に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項14】
前記噴霧熱分解システム構成要素は、各々が前記噴霧熱分解反応器の異なるゾーンを加熱するように配置されている複数のヒータを含む、
請求項12に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項15】
前記噴霧熱分解反応器は、2つの異なる加熱されたゾーンを有する、
請求項14に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項16】
前記噴霧熱分解反応器は、3つの異なる加熱されたゾーンを有する、
請求項14に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項17】
前記1つ以上のヒータは、熱加熱ジャケット、熱交換チャンバ、内部に配置された加熱導管、又は加熱流体が流れる反応器容器壁通路を含む、
請求項13に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項18】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、グリシンを含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項19】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、金属硝酸塩、金属硝酸塩水和物、硝酸アンモニウム、硝酸、又は金属塩化物のうちの1つ以上を含む酸化剤を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項20】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物中の前記燃料は、尿素、グリシン、ヒドラジン系化合物、有機アミン、スクロース、グルコース、又はクエン酸のうちの1つ以上を含む
求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項21】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、水、メタノール、エタノール、置換アルコール、グリセロール、ケトン、又はエーテルのうちの1つ以上を含む溶媒を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項22】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物は、カルボン酸、エステル、イソプロピルアルコール、及び無機酸のうちの1つ以上、アミン基溶媒、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせ、混合物、懸濁液、若しくは溶液を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項23】
前記噴霧熱分解反応器から排出される前記流出ガスから前記混合金属酸化物粉末を分離するように配置されている粉末回収ユニットを更に備える、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項24】
前記粉末回収ユニットは、サイクロン分離器、バグハウス、フィルタ、静電集塵器、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含む、
請求項23に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項25】
前記粉末回収ユニットは、前記混合金属酸化物粉末から分離された前記流出ガスを、前記流出ガスから汚染物質を除去するためのガススクラバシステムに排出するように配置されている、
請求項23に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項26】
前記ガススクラバシステムは、物理吸着剤、化学吸着剤、又は湿式スクラバを含む、
請求項25に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項27】
前記ガススクラバシステムは、汚染物質が枯渇した流出ガスを排出するように配置され、前記汚染物質が枯渇した流出ガスは、前記アトマイザ及び/又は前記噴霧熱分解反応器のガス入口へと再利用される、
請求項25に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項28】
前記噴霧熱分解反応器は、200℃~300℃の範囲の温度で操作される第1の加熱された反応器領域と、300℃~1200℃の範囲の温度で操作される第2の加熱された反応器領域と、を含む、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項29】
前記液体組成物ソース内の前記液体組成物の溶液は、触媒金属ソース試薬及び/又は触媒金属プロモータ試薬を含有する、
請求項1に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項30】
前記液体組成物溶液中の前記触媒金属ソース試薬は、パラジウムソース試薬、ロジウムソース試薬、白金ソース試薬、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項29に記載の噴霧熱分解システム。
【請求項31】
少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体、少なくとも1つの溶媒、及び少なくとも1つの燃料を含む溶液の液滴の霧化された噴霧を生成することと、
液滴の前記霧化された噴霧を、一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物形成をサポートする高温で酸素含有ガスと接触させることと、
前記接触させることによって生成された流出ガスから混合金属酸化物粉末を回収することと、を含み、
前記少なくとも1つの燃料は、前記接触させることにおける前記高温で発熱的に分解する及び/又は発熱的に反応し、
前記溶液は、燃料、並びに金属及び酸化剤成分を発熱的に分解及び/又は反応させることによって、前記接触させることにおいて促進された反応温度をもたらす金属:燃料:酸化剤成分の比を提供する、
混合金属酸化物粉末を生成するためのプロセス。
【請求項32】
前記溶液は、Ce(NO ・6H O、ZrO(NO 、グリシン、及び水を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記接触させることは、結晶性形態の前記混合金属酸化物粉末を生成するために実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項34】
前記混合金属酸化物を連続生成するために実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項35】
液滴の前記霧化された噴霧は、0.1μm~500μmの範囲のサイズを有する液滴を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項36】
液滴の前記霧化された噴霧は、円錐形、平扇形、双扇形、若しくは中空コーン形、又は前述の形のうちの2つ以上の組み合わせの噴霧パターンで生成される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項37】
酸素含有ガスソース内の前記酸素含有ガスは、酸素、オゾン、空気、酸素富化空気、窒素酸化物、又は前述のもののうちの任意の2つ以上の混合物を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項38】
前記接触させることは、下部反応器出口セクションを有した上部反応器入口セクションを有する垂直に細長い円筒形の噴霧熱分解反応器内で行われる、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項39】
前記接触させることにおける温度は、前記接触させることの感知された温度に応答して、前記接触させることが行われる領域の加熱を変調する熱管理システムによって制御可能に維持される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項40】
前記接触させることの前記高温は、前記接触させることが行われる反応ゾーンを通る前記液滴の移動距離に沿って変調される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項41】
前記液滴はグリシンを含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項42】
前記液滴は、金属硝酸塩、金属硝酸塩水和物、硝酸アンモニウム、硝酸、又は金属塩化物のうちの1つ以上を含む酸化剤を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項43】
前記液滴中の前記燃料は、尿素、グリシン、ヒドラジン系化合物、有機アミン、スクロース、グルコース、又はクエン酸のうちの1つ以上を含む
求項31に記載のプロセス。
【請求項44】
前記液滴は、水、メタノール、エタノール、置換アルコール、グリセロール、ケトン、又はエーテルのうちの1つ以上を含む溶媒を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項45】
前記液滴は、カルボン酸、エステル、イソプロピルアルコール、及び無機酸のうちの1つ以上、アミン基溶媒、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせ、混合物、懸濁液、若しくは溶液を含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項46】
前記回収することは、前記接触させることによって生成された前記流出ガスから前記混合金属酸化物粉末を分離することを含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項47】
前記分離することは、サイクロン分離器、バグハウス、フィルタ、又は前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを使用して行われる、
請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記流出ガスをスクラビングして、汚染物質を除去することを更に含む、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項49】
前記スクラビングすることは、物理吸着剤、化学吸着剤、又は湿式スクラバの使用を含む、
請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
汚染物質が除去された前記流出ガスを前記接触させることに再循環させることを更に含む、
請求項48に記載のプロセス。
【請求項51】
前記接触させることは、200℃~1200℃の範囲の温度で実施される、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項52】
前記液滴は、前記溶液中に触媒金属ソース試薬及び/又は触媒金属プロモータ試薬を含有する、
請求項31に記載のプロセス。
【請求項53】
前記触媒金属ソース試薬は、パラジウムソース試薬、ロジウムソース試薬、白金ソース試薬、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
前記パラジウムソース試薬は、硝酸パラジウム水和物である、
請求項53に記載のプロセス。
【請求項55】
少なくとも1つの混合金属酸化物前駆体、少なくとも1つの溶媒、及び少なくとも1つの燃料を含む溶液の液滴の霧化された噴霧を生成することと、
液滴の前記霧化された噴霧を、一連の液滴蒸発、反応/分解、及び混合金属酸化物粉末形成をサポートする高温で乾燥ガスと接触させることと、
前記接触させることによって生成された流出ガスから混合金属酸化物粉末を回収することと、を含み、
前記少なくとも1つの燃料は、前記接触させることにおける前記高温で発熱的に分解する及び/又は発熱的に反応し、
前記溶液は、燃料、並びに金属及び酸化剤成分を発熱的に分解及び/又は反応させることによって、前記接触させることにおいて促進された反応温度をもたらす金属:燃料:酸化剤成分の比を提供する、
混合金属酸化物粉末を生成するためのプロセス。
【国際調査報告】