(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】サスペンションダンピング
(51)【国際特許分類】
G11B 21/21 20060101AFI20230316BHJP
G11B 5/596 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G11B21/21 D
G11B5/596
G11B21/21 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546067
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 US2021015301
(87)【国際公開番号】W WO2021154862
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】パンカエ、エカラッチ
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(72)【発明者】
【氏名】スダチュン、プリーチャー
(72)【発明者】
【氏名】グラース、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】アンスタナソムバット、チャナトカーン
(57)【要約】
サスペンションアセンブリにおいてばね金属層の上に重なるように構成された誘電体層について説明する。誘電体層は、近位端および遠位端を含む舌部分と、舌部分から延びるトレース部分と、空隙と位置合わせされるとともに、舌部分によって画定される開口部と、を含む。開口部は、空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされた両端を有する長尺状の開口部を含む。開口部は、長尺状の開口部の両端から延在するとともに、ばね金属層の空隙のチャネルと少なくとも部分的に位置合わせされたスリットをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションであって、
ジンバル、近位端および遠位端を含むフレクシャであって、フレクシャは近位端から遠位端まで延びる長手方向軸線を有しており、ジンバルは、ベース部分、舌状部、およびベース部分から舌状部まで延在する1対のばねアームを有するばね金属層と、ばね金属層の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる導電性金属層と、を含んでおり、導電性金属層は、ベース部分から舌状部まで延在する第1の複数のトレースと、ベース部分から舌状部まで延在する第2の複数のトレースとを含んでいる、フレクシャと、
前記ばね金属層に形成されるとともに、前記舌状部を部分的に取り囲む空隙であって、前記第1の複数のトレースの一部および前記第2の複数のトレースの一部は、空隙上で結合されるとともに、前記舌状部に向かって延びており、前記誘電体層の一部は、前記ばね金属層に形成された空隙の一部分と重なっている、空隙と、を備えているサスペンション。
【請求項2】
前記空隙が、両端を有する中央開口部と、中央開口部の両端から延びる第1および第2のチャネルと、を含んでいる、請求項1に記載のサスペンション。
【請求項3】
前記誘電体層が、舌部分と、トレース部分と、前記空隙と位置合わせされるとともに、舌部分およびトレース部分によって画定される開口部と、を含んでおり、
前記舌部分が近位端および遠位端を有しており、前記トレース部分が前記舌部分の遠位端から延在しており、
前記開口部が、前記空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされる両端を有する長尺状の開口部と、長尺状の開口部の両端から延在するとともに、前記空隙の第1および第2のチャネルを少なくとも部分的に露出させるスリットと、を含んでいる、請求項2に記載のサスペンション。
【請求項4】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から、前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの40%まで延在している、請求項3に記載のサスペンション。
【請求項5】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から、前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの25%まで延在している、請求項3に記載のサスペンション。
【請求項6】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から、前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの80%まで延在している、請求項3に記載のサスペンション。
【請求項7】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から、前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの50%まで延在している、請求項3に記載のサスペンション。
【請求項8】
前記誘電体層が、舌部分と、トレース部分と、前記空隙と位置合わせされるとともに、舌部分によって画定される開口部と、を含んでおり、
前記舌部分が、近位端および遠位端を有しており、前記トレース部分が前記舌部分の近位端から延びており、
前記開口部が、前記空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされる両端を有す長尺状の開口部を含んでいる、請求項2に記載のサスペンション。
【請求項9】
サスペンションアセンブリのばね金属層を覆うように構成されている誘電体層であって、誘電体層は、
近位端および遠位端を有する舌部分と、
舌部分から延びるトレース部分と、
ばね金属層の空隙と位置合わせするように構成されるとともに、舌部分によって画定される開口部であって、前記空隙の中央開口部と部分的に位置合わせする両端を有する長尺状の開口部を含んでいる開口部と、を備えている誘電体層。
【請求項10】
前記開口部が、前記長尺状の開口部の両端から延在するとともに、前記ばね金属層の空隙のチャネルと少なくとも部分的に位置合わせされたスリットをさらに含んでいる、請求項9に記載の誘電体層。
【請求項11】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの40%まで延在している、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項12】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの25%まで延在している、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項13】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの80%まで延在している、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項14】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの50%まで延在している、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項15】
前記トレース部分の一部が前記空隙上で結合されている、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項16】
フレクシャであって、
ジンバル、近位端および遠位端を備えており、フレクシャは前記近位端から遠位端まで延びる長手方向軸線を有しており、ジンバルは、ベース部分、舌状部、およびベース部分から舌状部まで延在する1対のばねアームを有するばね金属層と、ばね金属層の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる導電性金属層と、を含んでおり、導電性金属層は、ベース部分から舌状部まで延在する第1の複数のトレースと、ベース部分から舌状部まで延在する第2の複数のトレースと、を含んでおり、
空隙であって、前記ばね金属層に形成されるとともに、前記舌状部を部分的に取り囲む空隙をさらに備えており、前記誘電体層の一部は、前記ばね金属層に形成された空隙の一部分と重なっており、前記空隙は、両端を有する中央開口部と、中央開口部の両端から延びる第1および第2のチャネルと、を含んでいる、フレクシャ。
【請求項17】
前記誘電体層が、舌部分と、トレース部分と、前記空隙と位置合わせされるとともに、舌部分およびトレース部分によって画定される開口部と、を含んでおり、
前記舌部分が近位端および遠位端を有しており、前記トレース部分が前記舌部分の遠位端から延在しており、
前記開口部が、前記空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされる両端を有する長尺状の開口部と、長尺状の開口部の両端から延在するとともに、前記空隙の第1および第2のチャネルを少なくとも部分的に露出させるスリットと、を含んでいる、請求項16に記載のフレクシャ。
【請求項18】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの40%まで延在している、請求項17に記載のフレクシャ。
【請求項19】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの25%まで延在している、請求項17に記載のフレクシャ。
【請求項20】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの80%まで延在している、請求項17に記載のフレクシャ。
【請求項21】
前記開口部のスリットが、前記長尺状の開口部の両端から前記舌部分の近位端と遠位端との間の長さの50%まで延在している、請求項17に記載のフレクシャ。
【請求項22】
前記誘電体層が、舌部分と、トレース部分と、前記空隙と位置合わせされるとともに、舌部分によって画定される開口部と、を含んでおり、
前記舌部分が、近位端および遠位端を有しており、前記トレース部分が前記舌部分の近位端から延びており、
前記開口部が、前記空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされる両端を有す長尺状の開口部を含んでいる、請求項16に記載のフレクシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ディスクドライブのサスペンションの分野に関し、より具体的には、本開示は、ディスクドライブのサスペンションに含まれるように構成されるとともに、改良されたサスペンションダンピングを提供するフレクシャの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録ヘッドは通常、トランスデューサとスライダとを備えている。これらは、磁気記録媒体、通常は磁気コーティングを施した回転ディスクに近接して、サスペンションアセンブリによって支持される。サスペンションは、一端に可撓性ジンバル装置を介して読取り/書込みトランスデューサアセンブリを備えたスライダに取り付けられるロードビームと、他端にサスペンションの可撓性部分、すなわち形成領域とを含む。形成領域は次に、サスペンション支持アームに接続される。サスペンション支持アームはアクチュエータと接続する。ディスクの振れや、ディスクの平面に対するぐらつきによるヘッドの動きに追従できるように、トランスデューサのサスペンションは、ディスクの平面に垂直な方向に柔軟であることが望ましい。ディスクの面外運動にトランスデューサが追従しないと、ヘッドとディスクの間隔にばらつきが生じる。さらに、トランスデューサをデータトラック上に正確に配置できるように、サスペンションはディスクと平行な面において極めて高い剛性を持つ必要がある。スライダと磁性体は、音声コイルを動力とするアクチュエータによって、データの適切なトラック上に配置され、データの読み取り、書き込み、および消去が行われる。
【0003】
データはトランスデューサのギャップから磁束の反転という形で磁気記録媒体に転送される。最近では、1枚のディスクに非常に高密度のデータを格納できるようになっている。正確で高密度のデータ符号化のために、トランスデューサの読取り/書込みギャップを、通常、ディスクから数ナノメートルの高さで、できるだけディスクに近い位置に維持する必要がある。ディスクの記憶容量は、ディスク上の読取り/書込みギャップの高さ、すなわち浮上量に強く関連する(a strong function of)。記憶容量はまた、トラック密度、すなわち半径方向に使用できる記録トラックの数に関連する。これは、アクチュエータモータが、あらかじめ書き込まれたデータのトラック上にトランスデューサを位置づけ、ディスクの回転に伴ってそのトラックを追従できる精度で決定される。したがって、ディスクの記憶容量は、6.4516cm2(1平方インチ)あたりの磁束反転の数によって測定される。より正確には、面積密度は、線形ビット密度(トラック2.54cm(1インチ)あたりの磁束反転数)に、半径方向トラック密度(半径方向に利用可能なトラック数)を掛けたものである。通常、線形ビット密度は、半径方向トラック密度よりも1桁大きい。2.54cm(1インチ)あたりの磁束反転数は、ヘッドとディスクとの界面間隔に極めて敏感であり、浮上量の変動により、2.54cm(1インチ)あたりの磁束反転数を著しく減少させる。したがって、ヘッドとディスクとの間隔をできるだけ一定に保つことが非常に重要である。
【0004】
サスペンション共振は、一般に、データシークおよびトラック追従動作時にサスペンションに励起される。ただし、外乱など、サスペンションが共振する原因は他にもある。ディスクドライブの容量を最大化するには、アクチュエータが作動しているときにサスペンションの共振挙動を制御して、より良いトラック追従性能を発揮させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
サスペンションが提供される。サスペンションは、ジンバル、近位端、および遠位端を有するフレクシャを含む。フレクシャは、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸線を有する。ジンバルは、ベース部分、舌状部(tongue)、およびベース部分から舌状部まで延びる1対のばねアームを有するばね金属層を含む。ジンバルはまた、ばね金属層の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる導電性金属層とを含む。
【0007】
導電性金属層は、ベース部分から舌状部まで延びる第1の複数のトレースと、ベース部分から舌状部まで延びる第2の複数のトレースとを含む。サスペンションはまた、ばね金属層に形成されるとともに、舌状部を部分的に取り囲む空隙(void)を含む。誘電体層の一部(portion)は、ばね金属層に形成された空隙の一部分(section)を覆う。
【0008】
サスペンションのいくつかの実施形態では、第1の複数のトレースの一部および第2の複数のトレースの一部は、空隙上で結合されて舌状部に向かって延びる。空隙は、両端を有する中央開口部(central opening)と、中央開口部の両端から延びる第1および第2のチャネルとを含む。誘電体層は、舌部分(tongue portion)、トレース部分、および空隙と位置合わせされるとともに、舌部分およびトレース部分によって画定される開口部(aperture)を含むことができる。舌部分は、近位端および遠位端を有する。トレース部分は、舌部分の遠位端から延びる。開口部は、空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされた両端を有する長尺状の開口部(elongated opening)と、長尺状の開口部の両端から延在するとともに、空隙の第1および第2のチャネルを少なくとも部分的に露出させるスリットとを含む。
【0009】
サスペンションのいくつかの実施形態では、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から、舌部分の近位端と遠位端との間の長さの40%まで延びる。具体的には、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの25%まで延びる。他の実施形態では、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの80%まで延びる。具体的には、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの50%まで延びる。
【0010】
誘電体層も提供される。誘電体層は、舌部分、トレース部分、および空隙と位置合わせされるとともに、舌部分によって画定される開口部を含む。舌部分は、近位端および遠位端を有する。トレース部分は、舌部分の近位端から延びる。開口部は、空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされた両端を有する長尺状の開口部を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、開口部は、長尺状の開口部の両端から延在するとともに、空隙の第1および第2のチャネルを少なくとも部分的に露出させるスリットをさらに含む。開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から、舌部分の近位端と遠位端との間の長さの40%まで延びることができる。具体的には、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの25%まで延びる。あるいは、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から、舌部分の近位端と遠位端との間の長さの80%まで延びる。具体的には、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの50%まで延びる。
【0012】
フレクシャも提供される。フレクシャは、ジンバル、近位端、および遠位端を含む。フレクシャは、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸線を有する。ジンバルは、ベース部分、舌状部、およびベース部分から舌状部まで延びる1対のばねアームを有するばね金属層を含む。ジンバルはまた、ばね金属層の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる導電性金属層とを含む。
【0013】
導電性金属層は、ベース部分から舌状部まで延びる第1の複数のトレースと、ベース部分から舌状部まで延びる第2の複数のトレースとを含む。フレクシャはまた、ばね金属層に形成されて舌状部を部分的に取り囲む空隙を含む。誘電体層の一部は、ばね金属層に形成された空隙の一部分を覆う。
【0014】
フレクシャのいくつかの実施形態では、第1の複数のトレースの一部および第2の複数のトレースの一部は、空隙上で結合されて舌状部に向かって延びる。空隙は、両端を有する中央開口部と、中央開口部の両端から延びる第1および第2のチャネルとを含む。誘電体層は、舌部分、トレース部分、および空隙と位置合わせされるとともに、舌部分およびトレース部分によって画定される開口部を含むことができる。舌部分は、近位端および遠位端を有する。トレース部分は、舌部分の遠位端から延びる。開口部は、空隙の中央開口部と部分的に位置合わせされた両端を有する長尺状の開口部と、長尺状の開口部の両端から延在するとともに、空隙の第1および第2のチャネルを少なくとも部分的に露出させるスリットとを含む。
【0015】
フレクシャのいくつかの実施形態では、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から、舌部分の近位端と遠位端との間の長さの40%まで延びる。具体的には、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの25%まで延びる。フレクシャの他の実施形態では、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から、舌部分の近位端と遠位端との間の長さの80%まで延びる。具体的には、開口部のスリットは、長尺状の開口部の両端から舌部分の近位端と遠位端との間の長さの50%まで延びる。
【0016】
本開示の実施形態の他の特徴および利点は、添付の図面および以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本開示の実施形態は、添付の図面の図において限定ではなく例として示され、図面における同様の参照は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態による、フレクシャを有するサスペンションの等角図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、サスペンションの裏面の斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、サスペンションのフレクシャを示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、フレクシャ112を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
サスペンションおよびその構成要素が本明細書に記載されている。このようなサスペンションには、2段階作動(DSA)サスペンションおよび3段階作動サスペンションが含まれるが、これらに限定されない。サスペンションは、いくつかの実施形態によれば、ジンバル、近位端、および遠位端を有するフレクシャを含む。フレクシャは、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸線を有する。ジンバルは、ベース部分、舌状部、およびベース部分から舌状部まで延びる1対のばねアームを有するばね金属層を含む。ジンバルはまた、ばね金属層の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる導電性金属層とを含む。
【0019】
導電性金属層は、ベース部分から舌状部まで延びる第1の複数のトレースと、ベース部分から舌状部まで延びる第2の複数のトレースとを含む。サスペンションはまた、ばね金属層に形成されて、舌状部を部分的に取り囲む空隙を含む。第1の複数のトレースの一部および第2の複数のトレースの一部は、空隙上で結合されて舌状部に向かって延びる。誘電体層の一部は、ばね金属層に形成された空隙の一部分を覆う。開示されたフレクシャは追加の剛性を提供し、そのような合成はサスペンションの機械的特性を向上させる。
【0020】
図1は、本開示の一実施形態による、同じ場所に配置されたまたはジンバルベースの作動構造14を備えたフレクシャ12を有するサスペンション10の等角図である。
図1に示されるように、サスペンション10は、近位取付構造としてベースプレート16を含む。サスペンション10はまた、ばねまたはヒンジ領域22に沿ってベースプレート16に結合された剛性またはビーム領域20を有するロードビーム18を含む。ロードビーム18は、ステンレス鋼から形成することができる。フレクシャ12は、フレクシャ12の遠位端にジンバル24を含む。同じ場所に配置されたまたはジンバルベースの作動構造14は、ジンバル24上に配置されて、ロードビーム18の遠位端に隣接する。
【0021】
図2は、本開示の一実施形態による、サスペンション10の裏面(underside)を示す斜視図である。ヘッドスライダ32は、ロードビーム18とは反対側のサスペンション10の側で、ジンバル24の舌状部33に取り付けられる。同じ場所に配置されたまたはジンバルベースの作動構造14は、ロードビーム18とヘッドスライダ32との間のフレクシャ12のジンバル24に取り付けられた、図示の実施形態ではPZTまたは他の圧電アクチュエータであるモータ34を含む。モータ34に印加される電気駆動信号に応答して、モータは、舌状部33およびスライダ32を含むジンバル24の部分を、ほぼ横方向のトラッキング軸を中心に駆動する。本明細書において、近位および遠位とは、サスペンションの長手方向軸線に沿った相対的な方向を指し、横方向とは、サスペンションの長手方向軸線に直交する左方向および/または右方向を指す。例えば、ベースプレート16はロードビーム18の近位にあり、モータ34の両端は横方向に延びている。
【0022】
図3は、本開示の一実施形態による、サスペンション10のフレクシャ12を示す。フレクシャ12は、ステンレス鋼層40などのばね金属、ポリイミドまたは他の誘電体層42、銅または他の導電性材料層44、およびポリイミド層などのカバーレイを重ね合わせて形成される。ステンレス鋼層40は、別の金属または剛性材料から形成することもできる。誘電体層42は、一般に、導電性材料層44に形成された構造を、ステンレス鋼層40の隣接部分から電気的に分離する。
【0023】
カバーレイは、一般に、導電性材料層44に形成された構造を覆いかつ保護する。ジンバル24は、ばねアーム52および舌状部33を含む。ばねアーム52は、ステンレス鋼層40のベース部分50から延出する。舌状部33の一部である取付領域54は、ばねアーム52から延出する支持領域58から延びる1対のストラット56によって、ばねアーム52の間に支持されている。いくつかの実施形態では、1対のストラット56は、ばねアーム52の間で舌状部33を接続または支持するステンレス鋼層40の唯一の部分である。
【0024】
具体的には、ストラット56は、ばねアーム52と舌状部33との間の唯一の構造的連結部となり得る。また、ストラット56は、舌状部33と接続する際に、ベース部分50の遠位のばねアーム52の間を連結するステンレス鋼層40の唯一の部分とすることができる。示されるように、ストラット56は、フレクシャ12の長手方向軸線に対して互いにオフセットされているか、そうでなければ、ばねアーム52に対するトラッキング軸線を中心に取付領域54の回転運動を可能にするように構成されている。ストラット56はそれぞれ、例えばX-Y平面においてステンレス鋼層40の最も狭い部分であってもよく、一方、ステンレス鋼層40の厚さはフレクシャ12に沿って一定であってもよい。
【0025】
導電性材料層44に形成された複数のトレース60は、誘電体層42に形成されたフレキシブル回路に沿ってベース部分50と舌状部33との間に延在している。いくつかのトレース60は、舌状部33上の遠位領域上の位置で終端し、スライダ上の読取り/書込みヘッドの端子に電気的に取り付けられるように構成される。他のトレース60は、モータ34の下方にある舌状部33上の銅パッド64などの接点で終端する。誘電体層42の一部は、導電性材料層44の下で取付領域54上に延び、支持領域58の一部にわたって延びている。舌状部33は、ベース部分50に向かって長手方向に突出しており、フレクシャ12を通る空隙65または開口部(aperture)によって三方を囲まれている。
【0026】
空隙65は、中央開口部(central opening)66、第1のチャネル69Aおよび第2のチャネル69Bを含む。第1のチャネル69Aは、ばねアーム52、ストラット56、支持領域58、および取付領域54によって画定することができる。導電性材料層44に形成されたトレース60Aの第1の部分は、取付領域54から第1のチャネル69Aの上に延在し、そこでステンレス鋼層40より垂設されている(suspended from)。トレース60Aの第1の部分は、空隙65の上に懸架される(suspended over)とともに、ベース部分50に取り付けられる。
【0027】
第2のチャネル69Bは、ばねアーム52、ストラット56、支持領域58、および取付領域54によって画定することができる。導電性材料層44に形成されたトレース60Aの第2の部分は、取付領域54から第2のチャネル69Aの上に延在し、そこでステンレス鋼層40より垂設されている。トレース60Aの第1の部分は、空隙65の上に懸架されるとともに、ベース部分50に取り付けられる。
【0028】
誘電体層42は、中央開口部66、第1のチャネル69A、および第2のチャネル69Bに一致する開口部(aperture)70を有する。誘電体層のいくつかの実施形態は、
図4~7においてさらに詳細に例証する。
【0029】
図4は、本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層42を示す。誘電体層42は、舌部分54A、下部トレース部分60A、上部トレース部分60B、および開口部70を含む。開口部70は、舌部分54A、下部トレース部分60A、および上部トレース部分60Bによって画定される。上部トレース部分60Bは舌部分54Aから延びる。舌部分54Aは、近位端54Bおよび遠位端54Cを含むことができる。誘電体層42の開口部70は、両端を有する長尺状の開口部(elongated opening)71を含む。長尺状の開口部71は、下部トレース部分60Aおよび舌部分54Aの近位端54Bによって画定される。開口部70はまた、長尺状の開口部71の両端から延びるスリット72を含む。スリット72は、舌部分54Aおよび上部トレース部分60Bによって画定される。長尺状の開口部71は、空隙(
図3に示される空隙65)の中央開口部と少なくとも部分的に位置合わせして、スリット72は、第1および第2のチャネル(
図3に示される空隙65の第1および第2のチャネル69A、69B)を少なくとも部分的に露出させる。スリット72は、舌部分54Aの近位端54Bと、舌部分54Aから延びる上部トレース部分60Bとの間の全長73にわたって延びる。いくつかの実施形態では、全長73は、0.6ミリメートル(mm)~0.9mmを含む範囲にある。いくつかの実施形態によれば、上部トレース部分60Bは、導電性材料層内の複数のトレース60の幅によって画定されて、誘電体層42上に配置されるように構成される。いくつかの実施形態によれば、上部トレース部分60Bの幅は、0.2mm~0.25mmを含む範囲である。いくつかの実施形態では、図示の誘電体層42は、サスペンション10とは別に形成されてサスペンション10に使用される。
【0030】
図5は、本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層42を示す。上述のように、誘電体層42Aは、タング部分54A、下部トレース部分60A、上部トレース部分60B、および開口部70を含む。開口部70は、舌部分54A、下部トレース部分60A、および上部トレース部分60Bによって画定される。上部トレース部分60Bは、舌部分54Aの遠位端54Cから延びる。長尺状の開口部71は、下部トレース部分60Aおよび舌部分54Aの近位端54Bによって画定される。スリット72は、舌部分54Aおよび上部トレース部分60Bによって、縮小長74で画定される。スリット72は、上述した全長73よりも縮小長74だけ短く延在する。いくつかの実施形態では、縮小長74は、スリット72の遠位端から、誘電体層42Aの上部トレース部分60B上に配置されている、または配置される予定の導電性材料層における複数のトレース60の近位端までの距離である。縮小長74は、全長73の1~40パーセント縮小したものである。具体的には、縮小長は、舌部54Aの近位端54Bから舌部54Aの遠位端54Cに向かう間のスリット72の長さの25%である。スリット72の縮小は、上部トレース部60Bの誘電体材料を増加させて、誘電体層42Aの寸法を増大させる。
【0031】
図6は、本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層42Bを示す。誘電体層42Bは、舌部分54A、下部トレース部分60A、上部トレース部分60B、および開口部70を含む。開口部70は、舌部分54A、下部トレース部分60A、および上部トレース部分60Bによって画定される。上部トレース部分60Bは、舌部分54Aの遠位端54Cから延びる。長尺状の開口部71は、下部トレース部分60Aおよび舌部分54Aの近位端54Bによって画定される。スリット72は、舌部分54Aおよび上部トレース部分60Bによって、縮小長75で画定される。スリット72は、上述した全長73よりも縮小長75だけ短く延在する。いくつかの実施形態では、縮小長75は、スリット72の遠位端から、誘電体層42Aの上部トレース部分60B上に配置されている、または配置される予定の導電性材料層における複数のトレース60の近位端までの距離である。縮小長75は、全長73の41~99パーセントの長さ縮小である。具体的には、縮小長は、舌部54Aの近位端54Bから舌部54Aの遠位端54Cに向かう間のスリット72の長さの50%である。スリット72の縮小は、上部トレース部60Bの誘電体材料を増加させることで、誘電体層42Bの寸法を増大させる。
【0032】
図7は、本開示の一実施形態による、フレクシャの誘電体層42Cを示す。誘電体層42Cは、舌部分54A、下部トレース部分60A、および開口部70を含む。開口部70は、舌部分54Aおよび下部トレース部分60Aによって画定される。開口部70は、長尺状の開口部71の両端から上部トレース部分60Bに向かって延びるスリットを含まない。代わりに、舌部分54Aは、トレース部分60Aとの結合を含むように幅が拡張されている。前述のスリットの代わりにポリイミドを完全に充填してもよい。ポリイミドの完全充填は、誘電体層42Bの寸法をさらに増大させる。
図3に戻ると、増加した誘電体層42Bは、(上述の)誘電体層42Bと比較して、取付部54上および支持領域58の大部分にわたってより多くの被覆を提供する。
【0033】
図7に示す実施形態のような誘電体層42Cは、完全充填を組み込んでいる。この構成では、トレースモード周波数(frequency)が非常に低いか、または存在しない。
図4に示す実施形態のように、全長73に延びるスリット72を有する誘電体層42を組み込んだサスペンションも、非常に低いトレースモード周波数から存在しないトレースモード周波数を例示する。それぞれ
図5および
図6に示される実施形態など、誘電体層42A、42Bの部分的な充填構成を組み込んだサスペンションは、トレースモード周波数の増加、ジンバルピッチおよびロール剛性(Kp、Kr)の増加、ならびに全長に延びるスリットを含むサスペンションのT1-FX位相範囲からのT1-FX位相範囲の減少を示した。本明細書で使用される用語「z高さ」またはZ-htは、ベースプレートフランジからデータディスク表面までの距離を指す。ポリイミド材料が50%(誘電体層42B)まで増加すると、トレースモード周波数は、全長に延びるスリットを含むサスペンションの周波数から増加する。
【0034】
縮小スリットを組み込んだサスペンションは、全長スリットを備えた実施形態に比べて、ストロークの増加、ジンバルピッチの増加、およびロール剛性の増加を示した。材料が増え、スリットが小さくなることで、特にサスペンションが横方向に曲がるような場合には、サスペンションの剛性を増大させる。
【0035】
サスペンションの横曲げ方向の剛性が増すと、共振ピークPが比較的高い周波数で現れる。例えば、ポリイミドスリットのない誘電体層を組み込んだサスペンションは、トレースモードの共振をほとんどまたはまったく示さない。トレースモードの共振は、誘電体層のスリットが減少するにつれて、より高い周波数で現れる。例えば、誘電体層42を組み込んだサスペンションのトレースモードの共振は8.3kHzである。これに対し、誘電体層42Bを組み込んだサスペンションのトレースモードの共振は、11.9kHzである。誘電体層のスリットが減少すると、T1-FX位相範囲が減少する。ただし、スリットが25%(25%充填(fill))減少すると、トレースモードとT1-FXモードの周波数の分離が少なくなるため、T1-FX位相範囲が増加したように見える。
【0036】
図8は、本開示の一実施形態による、フレクシャ112を示す。フレクシャ112は、導電性材料層44に形成された複数のトレース60を含む。トレース60は、誘電体層42に形成されたフレキシブル回路に沿って、ベース部分50と舌状部33との間に延在する。上述のように、舌状部33は、ベース部分50に向かって長手方向に突出するとともに、フレクシャを通る空隙65または開口部によって三方を取り囲まれている。トレース60がベース部分50から延びると、トレース60の第1の複数62は、空隙65上でトレース60の第2の複数63に向かって収束する。トレース60の第1の複数62および第2の複数63は、ブリッジ61を介して結合されてもよい。ブリッジ61は、誘電体層42の一部によって支持された導電性材料層44の一部を含む。
【0037】
ブリッジ61を組み込んだサスペンションの実施形態は、トレースモード周波数変動(shift)を示した。ブリッジ61を組み込んだサスペンションはまた、ブリッジのないサスペンションよりもヨー周波数の増加を示した。ブリッジ61を組み込んだサスペンションは、ブリッジのないサスペンションよりもストロークの増加とロール剛性(Kr)の増加も示した。第1および第2の複数(62、63)のトレース60を結合するブリッジ61を組み込むサスペンションは、ストロークの増加、およびロール剛性の増加を示した。
【0038】
サスペンションの横曲げ方向の剛性が増すと、共振ピークPが比較的高い周波数で現れる。例えば、トレース60の第1の複数62とトレース60の第2の複数63とを結合するブリッジ61を組み込んだサスペンションは、ブリッジのないサスペンションよりヨー周波数の増加を示す。
【0039】
以上、様々な実施形態について説明したが、これらは例として提示したものであり、限定するものではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細にさまざまな変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、ブリッジ61の構成と誘電体層42A~42Cを別々に考察した。しかし、ブリッジ構成61は、誘電体層42A~42Cのいずれにも実装できる。したがって、実施形態は、所望の性能のための特性を有するようにサスペンションを調整するために独立してまたは一緒に使用されるブリッジおよびスプリットを含む。
【0040】
実際、上記の説明を読むと、当業者には、代替実施形態をどのように実施するかが明らかになるはずである。例えば、説明したフローに他のステップを追加したり、ステップを削除したり、説明したシステムに他の構成要素を追加したり、削除したりすることができる。したがって、他の実施態様は、以下の請求項の範囲内にある。
【0041】
さらに、機能および利点を強調する図は、例示のみを目的として提示されている。開示された方法論およびシステムはそれぞれ、示された以外の方法で利用できるように、十分に柔軟で構成可能である。
【0042】
「少なくとも1つ(at least one)」という用語は、本明細書、特許請求の範囲および図面でしばしば使用されることがあるが、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「前記(said)」などの用語も、本明細書、特許請求の範囲および図面において「少なくとも1つ」または「前記少なくとも1つ」を意味する。
【国際調査報告】