IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギリーズ マキンドー リサーチ インスティテュートの特許一覧 ▶ マッセイ ヴェンチャーズ リミテッドの特許一覧

特表2023-512252血管腫の治療のための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】血管腫の治療のための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230316BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 38/55 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/403 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P9/00
A61K31/551
A61K38/05
A61K38/16 200
A61K38/55
A61K31/403
A61K31/401
A61K45/06
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K31/138
A61K31/05
A61K31/495
A61K31/472
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546414
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 NZ2021050012
(87)【国際公開番号】W WO2021154102
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】761251
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522301784
【氏名又は名称】ギリーズ マキンドー リサーチ インスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】522301795
【氏名又は名称】マッセイ ヴェンチャーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ポール フランク
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ、ショーン マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】パターソン、エリン フェイ
(72)【発明者】
【氏名】タン、スウィー トング
(72)【発明者】
【氏名】タン、エン ウイ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA17
4C084AA20
4C084AA24
4C084BA01
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA32
4C084DC40
4C084MA52
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA15
4C084ZA36
4C084ZB26
4C084ZC41
4C084ZC42
4C084ZC51
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC10
4C086BC30
4C086BC50
4C086CB11
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA15
4C086ZA36
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC42
4C086ZC51
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA17
4C206FA19
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA83
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA15
4C206ZA36
4C206ZB26
4C206ZC41
4C206ZC42
4C206ZC51
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、血管腫の治療のための方法および組成物、特に、排他的ではないが、乳児血管腫の治療のための方法および組成物に関する。特定の態様において、方法は、ACE阻害薬またはATIIR2アンタゴニストを対象に局所投与する段階を備える。他の態様において、方法は、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストのうち2以上を局所投与する段階を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における血管腫の治療のための方法であって、ACEiを前記血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える方法。
【請求項2】
前記方法は更に、ベータ遮断薬を前記血管腫に局所投与する段階を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は更に、ATIIR2アンタゴニストを前記血管腫に局所投与する段階を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
対象における血管腫の治療のための方法であって、ATIIR2アンタゴニストを前記血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える方法。
【請求項5】
前記方法は更に、ベータ遮断薬を前記血管腫に局所投与する段階を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は更に、ACEiを前記血管腫に局所投与する段階を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを前記血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は更に、ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストを前記対象に全身投与する段階を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
2種類以上のACEi、2種類以上のベータ遮断薬、および/または、2種類以上のATIIR2アンタゴニストが投与される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
局所投与は、外用投与および/または局所注射を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
全身投与は、前記対象への経口投与を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ベータ遮断薬およびACEiが外用投与され、前記ベータ遮断薬は、投与される前記ACEiの量と比べて、より少ない量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ACEiはプロドラッグである、請求項1から3または6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ACEiが、シラザプリル、エナラプリル、ラミプリル、トランダロプリル、キナプリル、ベナゼプリル、およびカプトプリルからなる群から選択される、請求項1から3および6から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ベータ遮断薬は実質的にR-エナンチオマー形であるか、または、少なくとも前記R-エナンチオマー形の方が多いラセミ混合物を含む、請求項2、3および5から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ベータ遮断薬が非選択的ベータ遮断薬である、請求項2、3および5から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ベータ遮断薬が、R-プロプラノロール、R/S-プロプラノロール、R-チモロール、R/SチモロールおよびS-チモロールからなる群から選択される、請求項2、3および5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ATIIR2アンタゴニストが、L-159,686およびEMA401からなる群から選択される、請求項3から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、シラザプリルおよびR-プロプラノロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルおよびb)R-プロプラノロール、a)シラザプリルおよびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルおよびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール、シラザプリルおよびチモロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリル、およびb)チモロール、a)L-159,686またはEMA401、およびb)R-プロプラノロール、a)L-159,686またはEMA401およびb)S-プロプラノロールまたはラセミプロプラノロール、a)L-159,686またはEMA401およびb)チモロール、a)L-159,686またはEMA401およびb)シラザプリル、または、a)L-159,686またはEMA401、およびb)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルを局所投与する段階を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、シラザプリルおよびR-プロプラノロール、エナラプリルおよびR-プロプラノロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリル、および、b)R-プロプラノロール、a)シラザプリルまたはラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリル、および、b)R-チモロール、a)シラザプリルまたはエナラプリル、および、b)ラセミ(R/S)プロプラノロールまたはS-プロプラノロール、L-159,686、およびR-プロプラノロール、または、L-159,686およびラセミプロプラノロールを全身投与する段階を備える、請求項8から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、L-159,686およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびL-159,686、S-プロプラノロールおよびL-159,686、R/S-プロプラノロールおよびL-159,686、L-159,686およびS-チモロール、L-159,686およびR-チモロール、EMA401およびS-チモロール、EMA401およびR-チモロール、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびR-プロプラノロール、EMA401およびS-プロプラノロール、または、EMA401およびR/S-プロプラノロールを投与する段階を備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、シラザプリルを局所投与してプロプラノロール(ラセミ(R/S)またはR-)を全身投与する段階、ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルを局所投与してプロプラノロール(ラセミ(S/R)またはR-)を全身投与する段階、R-プロプラノロールを局所投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを全身投与する段階、チモロールを局所投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを全身投与する段階、L-159,686またはEMA401を局所投与してプロプラノロール(ラセミ(S/R)またはR-)を全身投与する段階、L-159,686またはEMA401を局所投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを全身投与する段階、L-159,686またはEMA401を全身投与してプロプラノロール(ラセミ(S/R)または(R-))またはチモロールを局所投与する段階、または、L-159,686またはEMA401を全身投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを局所投与する段階を備える、請求項8から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
対象における血管腫の治療のための方法であって、a)ACEi、b)ベータ遮断薬およびc)ATIIR2アンタゴニストのうち2以上を対象に全身投与する段階を少なくとも備える方法。
【請求項24】
前記方法は、ACEiおよびベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを投与する段階を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
2種類以上のACEi、2種類以上のベータ遮断薬および/または2種類以上のATIIR2アンタゴニストが投与される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
ACEiがシラザプリル、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、キナプリル、ベナゼプリル、およびカプトプリルからなる群から選択される、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ベータ遮断薬が実質的にR-エナンチオマー形であるか、または、少なくともR-エナンチオマー形の方が多いラセミ混合物を含む、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ベータ遮断薬が非選択的ベータ遮断薬である、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ベータ遮断薬が、R-プロプラノロール、R/S-プロプラノロール、R-チモロール、R/SチモロールおよびS-チモロールからなる群から選択される、請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ATIIR2アンタゴニストが、L-159,686およびEMA401からなる群から選択される、請求項23から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、シラザプリルおよびR-プロプラノロール、エナラプリルおよびR-プロプラノロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリル、および、b)R-プロプラノロール、a)シラザプリルまたはラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリル、および、b)R-チモロール、a)シラザプリルまたはエナラプリル、および、b)ラセミ(R/S)プロプラノロールまたはS-プロプラノロール、L-159,686、およびR-プロプラノロール、または、L-159,686およびラセミ(R/S)プロプラノロールを投与する段階を備える、請求項23から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記血管腫は乳児血管腫である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ACEiおよびベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬およびATTIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを備える組成物であって、局所投与に好適である組成物。
【請求項34】
前記組成物は外用投与に好適である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物は、2種類以上のACEi、2種類以上のベータ遮断薬、および/または、2種類以上のATIIR2アンタゴニストを含む、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物は、ACEiの量に比べて、より少ない量のベータ遮断薬を含む、請求項33から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記ACEiはプロドラッグである、請求項33から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
ACEiが、シラザプリル、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、キナプリル、ベナゼプリル、およびカプトプリルからなる群から選択される、請求項33から37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
ベータ遮断薬が実質的にR-エナンチオマー形であるか、または、少なくともR-エナンチオマー形がより多いラセミ混合物を含む、請求項33から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
ベータ遮断薬が非選択的ベータ遮断薬である、請求項33から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
ベータ遮断薬が、R-プロプラノロール、R/Sプロプラノロール、R-チモロール、R/Sチモロール、およびS-チモロールからなる群から選択される、請求項33から40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
ATIIR2アンタゴニストが、L-159,686およびEMA401からなる群から選択される、請求項33から41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物は、シラザプリルおよびR-プロプラノロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルおよびb)R-プロプラノロール、a)シラザプリルおよびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルおよびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール、シラザプリルおよびチモロール、a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリル、およびb)チモロール、a)L-159,686またはEMA401、およびb)R-プロプラノロール、a)L-159,686またはEMA401およびb)S-プロプラノロールまたはラセミプロプラノロール、a)L-159,686またはEMA401およびb)チモロール、a)L-159,686またはEMA401およびb)シラザプリル、または、a)L-159,686またはEMA401、およびb)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランドラプリルを備える、請求項33から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物は、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、L-159,686およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびL-159,686、S-プロプラノロールおよびL-159,686、R/S-プロプラノロールおよびL-159,686、L-159,686およびS-チモロール、L-159,686およびR-チモロール、EMA401およびS-チモロール、EMA401およびR-チモロール、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびR-プロプラノロール、EMA401およびS-プロプラノロール、または、EMA401およびR/S-プロプラノロールを備える、請求項33から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記方法は、a)プロドラッグ形態のACEiおよび非選択的ベータ遮断薬、b)非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiを投与する段階を備える、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記組成物は、a)プロドラッグ形態のACEiおよび非選択的ベータ遮断薬、b)非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiを備える、請求項33から44のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管腫の治療のための方法および組成物に関し、特に、排他的ではないが、乳児血管腫の治療のための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血管腫は、血液で充填された空洞を取り囲む内皮細胞の増殖の結果として発達する複雑な成長である。それらは、身体のいかなる場所でも生じ得るが、もっとも一般には、顔面、頭皮、胸部または背部に生じる。血管腫は一般的には、時間と共に徐々に消失し、ほとんどの場合、治療は必要ない。しかしながら、それらは美容的な外観を損ない、心理的に不安にさせることがあり得、病変の場所によっては、機能的な障害を生じさせ得る。例えば目の周囲の組織で生じる場合、失明を生じさせ得る。これらの場合において、永久的な罹患を回避するために治療が必要である。
【0003】
最大で10%の小児に発症する乳児血管腫(IH)は、もっとも一般的な種類の血管腫である。IHは、初期の急速な増殖フェーズ、それに続く、5~10年間の遅い自発的な退縮(多くの場合、これは繊維脂肪残渣につながる(Itinteang et al., Plast. Reconstr. Surg. 2011; 128, 499-507))を特徴とする。
【0004】
増殖性IHを治療するための現在の標準治療は、プロプラノロールなどの低用量β遮断薬を経口投与することを伴う。この手法は比較的成功し、治療を受けた患者の約88%が5週間以内に改善を示し、全体で患者の約60%で治療が成功した(Leaute-Labreze et al. N. Engl. J. Med., 2015; 372, 735-746)。しかしながら、β遮断薬療法中に生じ得る可能性がある耐えられない副作用(Ji et al. Sci. Rep. 2018; 8, 4264)に起因して、IHの管理の大部分は保守的であり、一般的に、生命もしくは機能に対する病変の脅威、または、身体の外観を損なうことにつながる組織の歪みまたは破壊に起因して、乳児期中に介入を必要とする患者の10~15%だけを治療する。さらに、サイズの増加、色の変化または両方として定義される血管腫病変の反跳または再成長が、経口プロプラノロール治療の中止後、特に、1歳の年齢の前に治療が中止されたときに生じ得る(Price et al., 2011, Arch. Dermatol., 147, 1371-1376; Menezes et al., 2011, Ann. Otol. Rhinol. Laryngol., 120, 686-695)。
【0005】
増殖性IHに対する、カプトプリル、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬(ACEi)の経口投与の影響を調査するために複数の臨床研究が実行されてきた。8人の患者における1つの研究において、カプトプリルが1日1.5mg/kgの投与量で投与され、すべての患者において正の作用が実証された(Tan et al. Br. J. Dermatol. 2012; 167, 619-624)。反応は患者間で変動し、早い(n=3)、中程度(n=2)、遅い(n=3)としてスコアが付けられ、14月後に治療が中止され、その後、反跳成長は観察されなかった。しかしながら、30人のIH患者および35人の健康な対象における経口投与されたプロプラノロールとカプトプリルとの効力を比較するランダム化対照試験が実行され、プロプラノロールで治療された患者において、臨床的な改善が有意に大きく、かつ速いことが実証された(Zaher et al.2016,J.Am.Acad.Dermatol.,74,499-505)。
【0006】
増殖性IHの成長を抑制するための局所治療の選択肢が調査されてきたが、現在は臨床使用に利用不可能であり、複数の望ましくない副作用を有する。27人の乳児における平坦な、または、隆起が最小限であるIH病変を治療するために、外用適用される超強力コルチコステロイド、例えば0.05%クロベタゾールプロピオン酸が、4~21週間の期間にわたって使用され、変動のある臨床的改善が観察された(良好な反応35%、部分的反応38%、反応なし27%)(Garzon et al. 2005, J. Am. Acad. Dermatol., 52, 281-286)。しかしながら、有害作用には、局在的な萎縮、低色素沈着、多毛症および感染が含まれ得る。抗血管新生およびアポトーシス促進特性を有する免疫応答調整剤であるイミキモドが表在性IHの外用治療として使用されてきた。一般的に、表在性IHのすべての症例が、5%イミキモドクリームで治療した4月以内に改善する(Ho et al. 2007, J. Am. Acad. Dermatol., 56, 63-68)。しかしながら、副作用には、外観を損なう傷につながる重度の局所的な炎症反応が含まれ得る(Qiu et al. 2013, Pediatr. Dermatol., 30, 342-347)。
【0007】
外用適用されるβ遮断薬も増殖性IHの管理において試験されてきた。眼内圧増加の治療に使用される非選択的β遮断薬であるチモロールは、0.5%溶液またはゲルの形態で外用適用されるとき、臨床的に有益な反応を生じさせることが実証されてきた。外用チモロールは多くの場合、11.3mm未満の平均直径、または、約100mmの体積を有する、局在的非潰瘍性表在性IHに使用されてきた。チモロールは、血管腫の塊に深く浸透せず、したがって、より大きい血管腫の管理において有用でない(Guo et al., 2010, Arch. Opthalmol., 128, 255-256; Chan et al., 2013, 131, e1739-1747)。外用プロプラノロール1%軟膏も、増殖性IHの小規模臨床研究において試験され、約75~90%において、良好~中程度の反応率を示した(良好な反応57~59%、中程度の反応26~33%、反応なし10~15%)(Kunzi-Rapp.2012, Pediatr. Dermatol. 29, 154-159; Xu et al., 2012, J. Am. Acad. Dermatol., 67, 1210-1213)。しかしながら、81人の患者におけるプロプラノロール1%ゲルの効力を評価したランダム化二重盲検プラセボ対照多施設試験において、6人の患者(14.6%)だけが有意な臨床反応を示し、それに比べて、プラセボ群においては1人の患者であった(2.6%)(Clinical Study Report V00400 GL 2 01 1A)。これは、経口投与されたプロプラノロールで観察された約60%の上記の反応率とは対照的である。
目的
【0008】
血管腫の治療のための改善された方法および/または組成物を提供すること、または、少なくとも有用な選択肢を公衆に提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEiを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。
【0010】
第2の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。
【0011】
一実施形態において、ベータ遮断薬は、投与されるACEiの量に比べて、より少ない量だけ投与される。一実施形態において、投与されるACEiとベータ遮断薬との比率は、約1;1~約10:1である。他の実施形態において、投与されるACEiとベータ遮断薬との比率は、約2:1~約10:1、約3:1~約9:1、約4:1~約8:1、または、約5:1~約7:1である。他の実施形態において、比率は、約1:1、約2;1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。
【0012】
一実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は同時投与される。別の実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は任意の順序で連続投与される。
【0013】
第3の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。
【0014】
一実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは同時投与される。別の実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、任意の順序で連続投与される。
【0015】
第4の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。
【0016】
一実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは同時投与される。別の実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、任意の順序で連続投与される。
【0017】
第5の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。
【0018】
一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは同時投与される。別の実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、任意の順序で連続投与される。
【0019】
第1~第5の態様の一実施形態において、2種類以上のACEiが投与される。別の実施形態において、2種類以上のベータ遮断薬が投与される。別の実施形態において、2種類以上のATIIR2アンタゴニストが投与される。2種類以上のACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、同時投与され得るか、または、任意の順序で連続投与され得る。
【0020】
第1~第5の態様の一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストは外用投与される。第1~第5の態様の別の実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストは、局所注射を介して血管腫に投与される。
【0021】
第1~第5の態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグである。好ましい実施形態、ACEiは、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリルおよびキナプリルからなる群から選択される。別の実施形態において、ACEiはカプトプリルおよびリシノプリルから選択される。第1~第5の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0022】
第1~第5の態様の一実施形態において、方法は更に、少なくとも1種類のACEi、少なくとも1種類のベータ遮断薬および/または少なくとも1種類のATIIR2アンタゴニストを対象に全身投与する段階を備える。一実施形態において、少なくとも1種類のACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストが経口投与される。1つの特定の実施形態において、少なくとも1種類のベータ遮断薬または少なくとも1種類のACEiが投与される。
【0023】
第1の態様の1つの特定の実施形態において、方法は、ACEiを局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiを局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiを局所投与する段階と、ATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は外用投与され、全身投与される薬剤は経口投与される。
【0024】
第1の態様の一実施形態において、方法は、ACE阻害薬およびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は外用投与され、全身投与される薬剤は経口投与される。
【0025】
第4の態様の一実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ATIIR2を全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は外用投与され、全身投与される薬剤は経口投与される。
【0026】
第3の態様の一実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ATIIR2を全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は外用投与され、全身投与される薬剤は経口投与される。
【0027】
第1~第5の態様の一実施形態において、方法は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ACEi、ATIIR2アンタゴニストまたはベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は外用投与され、全身投与される薬剤は経口投与される。
【0028】
第2~第5の態様の実施形態において、方法は、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiを局所投与する段階を備える。第2~第5の態様の実施形態において、方法は、以下を局所投与する段階を備える。
【0029】
R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリル。
【0030】
第2~第5の態様の特定の実施形態において、方法は、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、SMM02およびS-チモロール、SMM02およびR-チモロール、EMA401およびS-チモロール、EMA401およびR-チモロール、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびR-プロプラノロール、EMA401およびS-プロプラノロール、または、EMA401およびR/S-プロプラノロールを局所投与する段階を備える。
【0031】
第6の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のためのACEi、または、ACEiの使用を提供し、ACEiは、血管腫への局所投与のために製剤(formulated)される。
【0032】
第7の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のためのACEiおよびベータ遮断薬、または、ACEiおよびベータ遮断薬の使用を提供し、ACEiおよびベータ遮断薬は、血管腫への局所投与のために製剤される。第7の態様の一実施形態において、発明は、ベータ遮断薬と組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのACEiを提供し、ACEiおよびベータ遮断薬は、血管腫への局所投与のために製剤される。第7の態様の一実施形態において、発明は、ACEiと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのベータ遮断薬を提供し、ACEiおよびベータ遮断薬は、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0033】
一実施形態において、ベータ遮断薬は、ACEiと比べて、より少ない量だけ使用される。一実施形態において、使用されるACEiとベータ遮断薬との比率は、約1:1~約10:1である。他の実施形態において、使用されるACEiとベータ遮断薬との比率は、約2:1~約10:1、約3:1~約9:1、約4:1~約8:1、または、約5:1~約7:1である。他の実施形態において、比率は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、または約10:1である。
【0034】
一実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は同時に使用される。別の実施形態において、それらは任意の順序で連続的に使用される。
【0035】
第8の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のためのACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、または、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、ACEiおよびATIIR2は、血管腫への局所投与のために製剤される。第8の態様の一実施形態において、発明は、ATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのACEiを提供し、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。第8の態様の一実施形態において、発明は、ACEiと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのATIIR2アンタゴニストを提供し、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0036】
一実施形態において、ACEiおよびATIIR2は同時に使用される。別の実施形態において、それらは任意の順序で連続的に使用される。
【0037】
第9の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のためのベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、ベータ遮断薬およびATIIR2は、血管腫への局所投与のために製剤される。第9の態様の一実施形態において、発明は、ベータ遮断薬と組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのATIIR2アンタゴニストを提供し、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。第9の態様の一実施形態において、発明は、ATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのベータ遮断薬を提供し、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0038】
一実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2は同時に使用される。別の実施形態において、それらは任意の順序で連続的に使用される。
【0039】
第10の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のためのACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。第10の態様の一実施形態において、発明は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのACEiを提供し、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。第10の態様の一実施形態において、発明は、ベータ遮断薬およびACEiと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのATIIR2アンタゴニストを提供し、ベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。第10の態様の一実施形態において、発明は、ATIIR2アンタゴニストおよびACEiと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのベータ遮断薬を提供し、ベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のための製剤である。
【0040】
一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、同時に使用される。別の実施形態において、それらは任意の順序で連続的に使用される。
【0041】
第6~第10の態様の一実施形態において、2種類以上のACEiが使用される。別の実施形態において、2種類以上のベータ遮断薬が使用される。別の実施形態において、2種類以上のATIIR2アンタゴニストが使用される。2種類以上のACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、同時に、または、任意の順序で連続的に使用され得る。
【0042】
第6~第10の態様の一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストは、外用投与のために製剤される。第6~第10の態様の別の実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストは、局所注射のために製剤される。
【0043】
第6~第10の態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグである。好ましい実施形態において、ACEiは、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリル、およびキナプリルからなる群から選択される。別の実施形態において、ACEiはカプトプリルおよびリシノプリルから選択される。第6~第10の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0044】
第6~第10の態様の一実施形態において、治療は更に、少なくとも1種類のACEi、少なくとも1種類のベータ遮断薬、および/または、少なくとも1種類のATIIR2アンタゴニストを対象に全身投与する段階を備える。一実施形態において、少なくとも1種類のACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストが経口投与される。1つの特定の実施形態において、少なくとも1種類のベータ遮断薬または少なくとも1種類のACEiが投与される。
【0045】
第6の態様の一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ACEiおよびii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト、または、i)ACEiおよびii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、i)は血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は対象への全身投与のために製剤される(すなわち、ii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのi)ACEi、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される)。
【0046】
第6の態様の1つの特定の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ACEiおよびii)ベータ遮断薬、または、i)ACEiおよびii)ベータ遮断薬の使用を提供し、i)は血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は対象への全身投与のために製剤される。別の実施形態において、発明は、血管腫への局所投与のために製剤されたi)ACEi、および、対象への全身投与のために製剤されたii)ACEiの使用を提供する。別の実施形態において、発明は、血管腫への局所投与のために製剤されたi)ACEi、および、対象への全身投与のために製剤されたii)ATIIR2の使用を提供する。好ましい実施形態において、i)は外用投与のために製剤され、ii)は経口投与のために製剤される。
【0047】
第7の態様の一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ACEiおよびベータ遮断薬、ならびにii)ACEi、ベータ遮断薬、および/もしくはATIIR2アンタゴニスト、または、i)ACEiおよびベータ遮断薬、ならびにii)ACEi、ベータ遮断薬、および/もしくはATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される(すなわち、ii)ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのi)ACEiおよびベータ遮断薬、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される)。一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための、i)ACEiおよびベータ遮断薬、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2、または、i)ACEiおよびベータ遮断薬、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2の使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される。好ましい実施形態において、i)は外用投与のために製剤され、ii)は経口投与のために製剤される。
【0048】
第8の態様の一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ならびに、ii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト、または、i)ACEiおよびATIIR2、ならびに、ii)ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される(すなわち、ii)ACEi、ベータ遮断薬、および/または、ATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのi)ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、i)は血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は対象への全身投与のために製剤される)。一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための、i)ACEiおよびATIIR2、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2、または、i)ACEiおよびATIIR2、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2の使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される。好ましい実施形態において、i)は外用投与のために製剤され、ii)は経口投与のために製剤される。
【0049】
第9の態様の一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ならびに、ii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト、または、i)ベータ遮断薬およびATIIR2、ならびに、ii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される(すなわち、ii)ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのi)ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される)。一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ベータ遮断薬およびATIIR2、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2、または、i)ベータ遮断薬およびATIIR2、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2の使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される。好ましい実施形態において、i)は、外用投与のために製剤され、ii)は、経口投与のために製剤される。
【0050】
第10の態様の一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のためのi)ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ならびに、ii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト、または、i)ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ならびに、ii)ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される(すなわち、ii)ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのi)ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される)。
【0051】
第10の態様の一実施形態において、発明は、対象における血管腫を治療するためのi)ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2アンタゴニスト、または、i)ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ならびに、ii)ACEiまたはベータ遮断薬またはATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、i)は、血管腫への局所投与のために製剤され、ii)は、対象への全身投与のために製剤される。好ましい実施形態において、i)は外用投与のために製剤され、ii)は経口投与のために製剤される。
【0052】
第7~第9の態様の実施形態において、局所投与による血管腫の治療のための、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEi、または、上記組み合わせの使用が提供される。
【0053】
第7~第9の態様の実施形態において、局所投与による血管腫の治療のための、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリル、または、上記組み合わせのいずれか1つの使用を提供する。
【0054】
第7~第9の態様の実施形態において、局所投与による血管腫の治療のための、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびSMM02、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびEMA401、R/S-プロプラノロールおよびEMA401、または、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、または、上記組み合わせのいずれか1つの使用を提供する。
【0055】
第11の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEiの使用を提供し、医薬品は、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0056】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEiの使用を提供し、医薬品は、同時に、または任意の順序で連続的にベータ遮断薬と組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は局所投与のために製剤される。
【0057】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEiの使用を提供し、医薬品は、同時に、または任意の順序で連続的にATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは局所投与のために製剤される。
【0058】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEiの使用を提供し、医薬品は、同時に、または任意の順序で連続的にATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬と組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬は、局所投与のために製剤される。
【0059】
第12の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための、医薬品の製造におけるACEiおよびベータ遮断薬の使用を提供し、医薬品は、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0060】
一実施形態において、医薬品には、ACEi阻害薬と比べて、より少ない量のベータ遮断薬がある。一実施形態において、医薬品におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約1:1~約10:1である。他の実施形態において、医薬品におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約2:1~約10:1、約3:1~約9:1、約4:1~約8:1、または、約5:1~約7:1である。他の実施形態において、比率は、約1:1、約2;1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。
【0061】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるベータ遮断薬の使用を提供し、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的にACEiと組み合わせる血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ACEiは局所投与のために製剤される。
【0062】
第13の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEiおよびATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、医薬品は、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0063】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるATIIR2の使用を提供し、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的にACEiと組み合わせる血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ACEiは局所投与のために製剤される。
【0064】
第14の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、医薬品は、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0065】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるベータ遮断薬の使用を提供し、医薬品は、同時に、または任意の順序で連続的にATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。ATIIR2アンタゴニストは、局所または全身投与のために、好ましくは局所投与のために製剤され得る。
【0066】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、医薬品は、同時に、または任意の順序で連続的にベータ遮断薬と組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。ベータ遮断薬は、局所または全身投与のために製剤され得る。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は局所投与のために製剤される。
【0067】
第15の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、医薬品は、血管腫への局所投与のために製剤される。
【0068】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるベータ遮断薬の使用を提供し、医薬品は、同時に、または任意の順序で連続的にACEiおよびATIIR2アンタゴニストと組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ACEiは局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ATIIR2は局所投与のために製剤される。
【0069】
関連する態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEiおよびベータ遮断薬の使用を提供し、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的にATIIR2と組み合わせる血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ACEiは局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は局所投与のために製剤される。
【0070】
第11~第15の態様および関連する態様の一実施形態において、医薬品は2種類以上のACEiの組み合わせを含み得る。別の実施形態において、医薬品は2種類以上のベータ遮断薬の組み合わせを含み得る。別の実施形態において、医薬品は2種類以上のATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含み得る。
【0071】
第11~第15の態様および関連する態様の一実施形態において、医薬品は、外用投与のために製剤される。第11~第15の態様の別の実施形態において、医薬品は、局所注射のために製剤される。
【0072】
第11~第15の態様および関連する態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグである。好ましい実施形態において、ACEiは、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリランド・キナプリルからなる群から選択される。別の実施形態において、ACEiは、カプトプリルおよびリシノプリルから選択される。
【0073】
第11~第15の態様および関連する態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0074】
第11~第15の態様および関連する態様の一実施形態において、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的に、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストの全身投与と組み合わせる局所投与のために製剤される。
【0075】
第11~第15の態様および関連する態様の一実施形態において、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的に、ACEiの全身投与と組み合わせる局所投与のために製剤される。別の実施形態において、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的に、ベータ遮断薬の全身投与と組み合わせる局所投与のために製剤される。別の実施形態において、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的にATIIR2アンタゴニストの全身投与と組み合わせる局所投与のために製剤される。
【0076】
薬剤の組み合わせが言及される、第11~第15の態様および関連する態様の特定の実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬、ACEiはプロドラッグ形態であるか、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬、ATIIR2アンタゴニストであるか、または、ACEiはプロドラッグ形態およびATIIR2アンタゴニストである。
【0077】
薬剤の組み合わせの使用が言及される、第11~第15の態様および関連する態様の特定の実施形態において、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはラミプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはラミプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはラミプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはトランドラプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはトランドラプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはトランドラプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはエナラプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはエナラプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはエナラプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはキナプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはキナプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはキナプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはベナゼプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはベナゼプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはベナゼプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはカプトプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはカプトプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ACEiはカプトプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはラミプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはラミプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはラミプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはトランドラプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはトランドラプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはトランドラプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはエナラプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはエナラプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはエナラプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはキナプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはキナプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはキナプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはベナゼプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはベナゼプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはベナゼプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはカプトプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはカプトプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはカプトプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はRS-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはシラザプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはラミプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはトランドラプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはエナラプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはキナプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはベナゼプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはカプトプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはシラザプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはラミプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはトランドラプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはキナプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはベナゼプリルであるか、または、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはカプトプリルである。
【0078】
薬剤の組み合わせの使用が言及される、第11~第15の態様および関連する態様の特定の実施形態において、ベータ遮断薬はR-チモロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はR-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はRS-チモロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はR/S-プロプラノロール、ACEiはシラザプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはSMM02、ACEiはシラザプリルであるか、ATIIR2アンタゴニストはEMA401、ACEiはシラザプリルであるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はR-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、ベータ遮断薬はS-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401であるか、ベータ遮断薬はR/S-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはSMM02であるか、または、ベータ遮断薬はR/S-プロプラノロール、ATIIR2アンタゴニストはEMA401である。
【0079】
第16の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストのうち2以上を対象に全身投与する段階を少なくとも備える。
【0080】
第16の態様の一実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を全身投与する段階を少なくとも備える。他の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階を少なくとも備える。
【0081】
第16の態様の一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは同時投与される。別の実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、任意の順序で連続投与される。
【0082】
第16の態様の一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニストは経口投与される。第16の態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグ形態である。第16の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0083】
第16の態様の特定の実施形態において、方法は、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiを対象に全身投与する段階を少なくとも備える。
【0084】
第16の態様の特定の実施形態において、方法は、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリルを対象に全身投与する段階を少なくとも備える。
【0085】
第16の態様の特定の実施形態において、方法は、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、EMA401およびR-チモロール、EMA401およびS-チモロール、または、EMA401およびRS-チモロールを対象に全身投与する段階を少なくとも備える。
【0086】
第16の態様の一実施形態において、方法は、2以上のACEi、2以上のベータ遮断薬、および/または2以上のATIIR2アンタゴニストを投与する段階を備える。
【0087】
第17の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストの2以上、または、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストの2以上の使用を提供し、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、全身投与のために製剤される。
【0088】
一実施形態において、発明は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの少なくとも1つと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのACEiを提供し、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは全身投与のために製剤される。一実施形態において、発明は、ベータ遮断薬およびACEiの少なくとも1と組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのATIIR2アンタゴニストを提供し、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、全身投与のために製剤される。一実施形態において、発明は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの少なくとも1つと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのベータ遮断薬を提供し、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、全身投与のために製剤される。第17の態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグ形態である。第17の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0089】
第17の態様の実施形態において、全身投与による血管腫の治療のための、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、プロドラッグ形態のACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、または、上記組み合わせの使用が提供される。
【0090】
第17の態様の実施形態において、全身投与による血管腫の治療のための、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリル、または、上記組み合わせのいずれか1つの使用が提供される。
【0091】
第17の態様の実施形態において、全身投与による血管腫の治療のための、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびEMA401、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびSMM02、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、シラザプリルおよびEMA401、または、上記組み合わせのいずれか1つの使用が提供される。
【0092】
第18の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストのうち2以上の使用を提供し、医薬品は全身投与のために製剤される。
【0093】
第17または第18の態様の一実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせが使用される。他の実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせが使用される。第18の態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグ形態である。第18の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0094】
第17または第18の態様の一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、同時投与のために製剤される。別の実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、任意の順序の連続投与のために製剤される。
【0095】
第17または第18の態様の一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは経口投与のために製剤される。
【0096】
第18の態様の特定の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造における、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiの使用を提供し、医薬品は全身投与のために製剤される。
【0097】
第18の態様の特定の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造における、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリルの使用を提供し、医薬品は全身投与のために製剤される。
【0098】
第18の態様の特定の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造における、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびSMM02、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、または、R/S-プロプラノロールおよびEMA401の使用を提供し、医薬品は全身投与のために製剤される。
【0099】
第17または第18の態様の一実施形態において、2種類以上のACEi、2種類以上のベータ遮断薬、および/または2種類以上のATIIR2アンタゴニストが使用される。
【0100】
第19の態様において、発明は、ACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせを含む組成物を提供し、組成物は、血管腫への局所投与に好適である。一実施形態において、組成物は外用投与に好適である。一実施形態において、組成物は、ACEiの量と比べて、より少ない量のベータ遮断薬を含む。
【0101】
一実施形態において、組成物におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約1:1~約10:1である。他の実施形態において、組成物におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約2:1~約10:1、約3:1~約9:1、約4:1~約8:1または約5:1~約7:1である。他の実施形態において、比率は、約1:1、約2;1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。
【0102】
一実施形態において、組成物はプロドラッグ形態のACEiを含む。一実施形態において、ACEiは、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、およびゾフェノプリルからなる群から選択される。別の実施形態において、ACEiは、カプトプリルおよびリシノプリルからなる群から選択される。一実施形態において、組成物は非選択的ベータ遮断薬を含む。
【0103】
第20の態様において、発明は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを含む組成物を提供し、組成物は、血管腫への局所投与に好適である。一実施形態において、組成物は外用投与に好適である。
【0104】
第21の態様において、発明は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを含む組成物を提供し、組成物は血管腫への局所投与に好適である。一実施形態において、組成物は外用投与に好適である。
【0105】
第22の態様において、発明は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを含む組成物を提供し、組成物は血管腫への局所投与に好適である。一実施形態において、組成物は外用投与に好適である。
【0106】
第19~第22の態様の特定の実施形態において、組成物は、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiを含む。
【0107】
第19~第22の態様の特定の実施形態において、組成物は、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリルを含む。
【0108】
第19~第22の態様の特定の実施形態において、組成物は、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、または、R/S-プロプラノロールおよびEMA401を含む。
【0109】
第23の態様において、発明は、対象における血管腫の治療の方法を提供し、方法は、ATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは外用投与される。
【0110】
第23の態様の一実施形態において、方法は更に、ベータ遮断薬および/またはACEiを投与する段階を備える。
【0111】
第23の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬および/またはACEiは血管腫に局所投与される。別の実施形態において、ベータ遮断薬および/またはACEiは全身投与される。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストならびにベータ遮断薬および/またはACEiは、同時に投与される。別の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストならびにベータ遮断薬および/またはACEiは任意の順序で連続投与される。
【0112】
第23の態様の一実施形態において、2種類以上のATIIR2アンタゴニストが投与される。別の実施形態において、2種類以上のベータ遮断薬が投与される。別の実施形態において、2種類以上のACEiが投与される。2以上のACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストが、同時に、または、任意の順序で連続的に投与され得る。
【0113】
第24の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のためのATTIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、ATIIR2アンタゴニストは、血管腫への局所投与のために製剤される。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、外用投与のために製剤される。
【0114】
第24の態様の一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、ベータ遮断薬および/またはACEiと組み合わせる、対象における血管腫の治療のためのものである。一実施形態において、ベータ遮断薬および/またはACEiは、血管腫に局所投与される。別の実施形態において、ベータ遮断薬および/またはACEiは全身投与される。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストならびにベータ遮断薬および/またはACEiは同時投与される。別の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストならびにベータ遮断薬および/またはACEiは任意の順序で連続投与される。
【0115】
第24の態様の一実施形態において、2以上のATIIR2アンタゴニストが使用される。別の実施形態において、2種類以上のベータ遮断薬が使用される。別の実施形態において、2種類以上のACEiが使用される。2種類以上のACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストが、同時に、または、任意の順序で連続的に投与され得る。
【0116】
第25の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための医薬品の製造におけるATIIR2アンタゴニストの使用を提供し、医薬品は、血管腫への局所投与のために製剤される。一実施形態において、医薬品は、外用投与のために製剤される。
【0117】
第25の態様の一実施形態において、医薬品は、同時に、または、任意の順序で連続的にACEiおよび/またはベータ遮断薬と組み合わせる、血管腫への局所投与のために製剤される。好ましい実施形態において、ACEiおよび/またはベータ遮断薬は局所投与のために製剤される。別の実施形態において、ACEiおよび/またはベータ遮断薬は全身投与のために製剤される。
【0118】
第25の態様の一実施形態において、医薬品は2種類以上のATIIR2アンタゴニストを含む。
【0119】
第25の態様の一実施形態において、医薬品は、1または複数の種類のACEiおよび/または1または複数の種類のベータ遮断薬を含む。
【0120】
第25の態様の一実施形態において、医薬品は、2種類以上のACEiおよび/または2種類以上のベータ遮断薬と組み合わせる局所投与のために製剤される。第23~第25の態様の一実施形態において、ACEiはプロドラッグ形態である。
【0121】
第23~第25の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。
【0122】
第1~第19および第23~第25の態様ならびに関連する態様の一実施形態において、血管腫は乳児血管腫である。別の実施形態において、血管腫は増殖性血管腫である。
【0123】
一実施形態において、ベータ遮断薬は、プロプラノロール、チモロール、ピンドロール、ソタロール、およびアテノロールからなる群から選択される。第1~第19の態様の一実施形態において、ベータ遮断薬は、エナンチオマーの組み合わせである。一実施形態において、ベータ遮断薬は、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含むエナンチオマーの組み合わせである。一実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、S-エナンチオマー形である。一実施形態において、ベータ遮断薬は、実質的にR-エナンチオマー形である。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は、R-チモロール、S-チモロール、R/S-チモロール、R-プロプラノロール、S-プロプラノロール、R/S-プロプラノロールからなる群から選択される。
【0124】
第1~第25の態様の一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、EMA401、SMM02(L-159,686);PD-123,319、PD-121,981、PD-126,055、L-161,638(ナトリウム塩)およびL-163,579からなる群から選択される。第1~第25の態様の一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、EMA401およびSMM02からなる群から選択される。
【0125】
発明はまた、別々に、または集合的に、本願の明細書において言及される、または、示される部分、要素および特徴、上記の部分、要素、特徴のうち2以上のいずれかまたはすべての組み合わせに幅広く存すると言われてよく、本発明が関連する当技術分野における知られた同等物を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、当該知られている同等物は、別々に説明されている場合と同様に、本明細書に組み込まれるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
すべての新規の側面が考慮されるべきである、本発明のこれらの態様および他の態様は、添付の図を参照して、単に例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【0127】
図1】in vitroにおける単回100μM用量の後の血管腫細胞増殖の阻害に対するACE阻害薬(シラザプリル)およびベータ遮断薬(チモロール)の影響。
【0128】
図2】in vitroにおける血管腫細胞増殖の阻害に対する、異なる比率でベータ遮断薬(チモロール)と組み合わされたACE阻害薬(シラザプリル)の影響。グラフの凡例:左の棒グラフ:24時間、中央の棒グラフ:48時間、右の棒グラフ:72時間。
【0129】
図3】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するベータ遮断薬(チモロール)の影響(n=5)。
【0130】
図4】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するACE阻害薬(シラザプリル)の影響(n=5)。
【0131】
図5】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するAT2受容体阻害薬(EMA401)の影響(n=5)。
【0132】
図6】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するAT2受容体阻害薬(EMA401)の影響(未加工の吸光度データ)(n=5)。
【0133】
図7】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するAT2受容体阻害薬(SMM02)の影響(n=5)。
【0134】
図8】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するAT2受容体阻害薬(SMM02)の影響(未加工の吸光度データ)(n=5)。
【0135】
図9】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対するAT1受容体阻害薬(ロサルタン)の影響(n=5)。
【0136】
図10】in vitroにおける細胞増殖の変化および血管腫細胞に対する実験用アジュバント(溶媒)の影響(対照実験)(n=5)。
【0137】
図11】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対する、異なる比率でベータ遮断薬(チモロール)と組み合わされたACE阻害薬(シラザプリル)の影響(n=5)。
【0138】
図12】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対する異なる比率でAT2受容体阻害薬(EMA401)と組み合わされたベータ遮断薬(チモロール)の影響(n=5)。
【0139】
図13】in vitroにおける複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対する、異なる比率でAT2受容体阻害薬(SMM02)と組み合わされたベータ遮断薬(チモロール)の影響(n=5)。
【0140】
図14】in vitroにおける、複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対する、異なる比率でAT2受容体阻害薬(EMA401)と組み合わされるACE阻害薬(シラザプリル)の影響(n=5)。
【0141】
図15】in vitroにおける、複数の患者に由来する増殖性乳児血管腫細胞の阻害に対する、異なる比率でAT2受容体阻害薬(SMM02)と組み合わされるACE阻害薬(シラザプリル)の影響(n=5)。
【0142】
図16】in vitroにおける血管腫細胞の増殖の阻害に対するベータ遮断薬(チモロールおよびプロプラノロール)およびACE阻害薬(シラザプリル)の単剤としての影響。単一のエナンチオマーとして(S-チモロール、R-チモロール、S-プロプラノロールおよびR-プロプラノロール)、および、エナンチオマーのラセミ混合物として(R/S-プロプラノロール)(25E)調査されたチモロール(25A、B)およびプロプラノロール(25C、D)。
【0143】
図17】in vitroにおける血管腫細胞の増殖の阻害に対する、シラザプリル(ACE阻害薬)と組み合わされるチモロール(ベータ遮断薬)の単一エナンチオマーの影響。
【0144】
図18】in vitroにおける血管腫細胞の増殖の阻害に対する、シラザプリル(ACE阻害薬)と組み合わされたプロプラノロール(ベータ遮断薬)の単一エナンチオマーまたはそのラセミ混合物の影響。
【0145】
図19】投与から72時間後における、異なる患者生検(n=9)に由来する多発性増殖性血管腫細胞株に対する、単剤としてのレニン・アンギオテンシン系阻害薬の用量反応。
【0146】
図20】投与から72時間後における、多発性増殖性血管腫細胞株(n=9)の阻害に対する、ACE阻害薬(シラザプリル)と組み合わされたAT2受容体阻害薬(SMM02)の影響。
【0147】
図21】投与から72時間後における、多発性増殖性血管腫細胞株(n=9)の阻害に対する、ベータ遮断薬(R-プロプラノロール)と組み合わされたACE阻害薬(シラザプリル)の影響。
【0148】
図22】72時間後における、多発性増殖性血管腫細胞株に対するシラザプリルおよびR-プロプラノロールの組み合わせの平均阻害(n=9、エラーバーは標準誤差を表す)。
【0149】
図23】投与から72時間後の、多発性増殖性血管腫細胞株(n=9)の阻害に対する、ベータ遮断薬(S-プロプラノロール)と組み合わせたACE阻害薬(シラザプリル)の影響。
【0150】
図24】72時間後における、多発性増殖性血管腫細胞株に対するシラザプリルおよびS-プロプラノロールの組み合わせの平均阻害(n=9、エラーバーは標準誤差を表す)。
【0151】
図25】投与から72時間後における、多発性増殖性血管腫細胞株(n=9)の阻害に対する、ベータ遮断薬(R-プロプラノロール)と組み合わせたAT2受容体アンタゴニスト(SMM02)の影響。
【0152】
図26】投与から72時間後における、多発性増殖性血管腫細胞株(n=9)の阻害に対する、ベータ遮断薬(S-プロプラノロール)と組み合わせたAT2受容体アンタゴニスト(SMM02)の影響。
【0153】
図27】投与から72時間後における相乗効果(CI<1)を平均で示す、AT2受容体アンタゴニスト(SMM02)およびACE阻害薬(シラザプリル)の組み合わせから生じる、原発性血管腫細胞株(n=9)にわたる組み合わせ指数(Combination Index)(CI)値の分布。
【0154】
図28】投与から72時間後における相乗効果(CI<1)を平均で示す、ACE阻害薬(シラザプリル)およびベータ遮断薬(R-プロプラノロール)の組み合わせから生じる原発性血管腫細胞株(n=9)にわたる組み合わせ指数(CI)値の分布。
【0155】
図29】投与から72時間後における相乗効果(CI<1)を平均で示す、ACE阻害薬(シラザプリル)およびベータ遮断薬(S-プロプラノロール)の組み合わせから生じる原発性血管腫細胞株(n=9)にわたる組み合わせ指数(CI)値の分布。
【0156】
図30】投与から72時間後における相乗効果(CI<1)を平均で示す、AT2受容体アンタゴニスト(SMM02)およびベータ遮断薬(R-プロプラノロール)の組み合わせから生じる原発性血管腫細胞株(n=9)にわたる組み合わせ指数(CI)値の分布。
【0157】
図31】投与から72時間後における相乗効果(CI<1)を平均で示す、AT2受容体アンタゴニスト(SMM02)およびベータ遮断薬(S-プロプラノロール)の組み合わせから生じる原発性血管腫細胞株(n=9)にわたる組み合わせ指数(CI)値の分布。
【0158】
図32】増殖期中に生検された原発性血管腫細胞の阻害に対する異なるベータ遮断薬の影響。
【0159】
図33】増殖期中に生検された原発性血管腫細胞の阻害に対する異なるACE阻害薬の影響。
【0160】
図34】(A)Strat-Mメンブレンと組み合わせたin vitro皮膚浸透スクリーニングに使用されるカスタムビルドのフランツ拡散セル装置。(B)CF溶液単独(pH7.4)(ひし形)およびCF含有リポソームの希薄懸濁液(<1mM)(正方形)のメンブレン浸透の例。(C)0.5%CFエマルゲル製剤のメンブレン浸透の例。
【0161】
図35】リシノプリルエマルジョンゲルの調製および特性評価。A)エマルジョン製剤の調製へのスケーラブルなルート。B)リシノプリルエマルゲルの写真。C)エマルゲル製剤の光学顕微鏡検査。スケールバー=5μm。D)エマルゲル製剤の凍結割断透過型電子顕微鏡法。スケールバー=2μm。
【0162】
図36】リポソームのスケーラブルな生産。(A)カスタムビルドの大容量リポソーム押出機。(B)1、5、10回の押出後のリポソームのサイズ分布を示す動的光散乱データ。
【0163】
図37】変形性リポソームゲルの調製および特性評価。(A)変形性ゲル製剤のスケーラブルな生産への経路。(B)最終的な変形性リポソームゲルの写真。(C)ハイドロゲルマトリックス(濃い矢印)内に埋め込まれた変形性リポソーム(薄い矢印)を示す凍結割断透過型電子顕微鏡法。
【0164】
図38】フランツ拡散実験におけるリシノプリルの高感度定量化のための蛍光アッセイ。(A)高蛍光性コンジュゲートを形成するリシノプリルとフルオレスカミンとの反応。(B)蛍光強度とリシノプリル濃度との間の再現可能な線形関係。
【0165】
図39】浸透実験。(A)視覚的に明瞭にするための、カルボキシフルオレセイン含有リポソームゲルを含むカスタムビルドのフランツ拡散セルの写真。(B)リシノプリルエマルゲル製剤(円形)および変形性リポソーム(SQH)製剤(正方形)からのリシノプリルの浸透。
【0166】
図40】(A)288nmの吸光度の極大を有する、紫外可視分光法によって決定された塩酸プロプラノロール標準曲線。(B)1%プロプラノロール/シクロデキストリンエマルジョンゲル製剤を使用する、皮膚モデルメンブレンを通じたプロプラノロールの浸透。(C)1%プロプラノロールクリーム製剤を使用する、皮膚モデルメンブレンを通じたプロプラノロールの浸透。(D)1%エマルジョンゲル製剤を使用する、皮膚モデルメンブレンを通じた、プロプラノロール(円形)とリシノプリル(正方形)との間の浸透の比較。
【発明を実施するための形態】
【0167】
以下は、一般的な用語で与えられる、好ましい実施形態を含む本発明の説明である。本発明は更に、本明細書の以下において、本発明をサポートする実験データ、本発明の様々な態様の特定の例、および、本発明を実行する手段を提供する、「例」という見出しの下に与えられる開示から明確になる。
【0168】
発明者は、広範な試験に続いて、驚くべきことに、ACE阻害薬の投与による血管腫微小環境内のACE活性の局所的阻害が有効な治療法であり、現在好ましい標準治療であるベータ遮断薬の経口投与と比較して、優れた長期的安全性プロファイルを有することを発見した。これは、ベータ遮断薬がACEiより優れた治療成果を提供するという様々な報告とは対照的である。
【0169】
発明者はまた、血管腫に局所適用されたACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせの使用は、予期されない相乗効果を提供し、血管腫に対する別の代替的な、より優れた可能性がある治療の選択肢を提供することを発見した。組み合わせの相乗効果に起因して、発明者は、この選択肢は、反跳血管腫、プロプラノロール療法単独では完全に解決しない治療が難しい血管腫の治療に、または、全身性副作用のリスクを下げる、用量を節約する第一選択療法として、特に有用であり得ると考えている。
【0170】
理論によって拘束されることを望まないが、発明者は、ベータ遮断薬と組み合わせたACE阻害薬の局所投与の強化された阻害効果は、血管腫に関する複数の増殖機構の阻害、例えば、血管腫幹細胞に関連するベータ1およびベータ2アドレナリン受容体の阻害、SOX18転写因子の阻害、アンギオテンシンII産生の抑制および結果的なアンギオテンシンII 2型受容体刺激の低下、ならびに様々な他の現在知られていない標的の調節から生じ得ると考えている。
【0171】
さらに、発明者は、血管腫に局所適用される、ベータ遮断薬およびアンギオテンシンII 2型受容体(ATIIR2)アンタゴニストの組み合わせ、または、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの組み合わせの使用は、血管腫の治療のための、なお更なる代替的な治療の選択肢を提供することを確認した。また、発明者は、これは血管腫に関連する複数の増殖機構を標的にするので、化合物単独の単一型の使用と比較して、改善された治療成果を提供し得ると考えている。
【0172】
発明者は、驚くべきことに、本明細書において記載された薬剤の組み合わせを使用して、増殖期の個々の患者生検に由来する原発性血管腫細胞を治療することにより、患者試料(n=9)間で、より一貫したレベルの阻害が生じることを発見した。対照的に、個別の薬剤で治療されたとき、これらの患者由来細胞株の反応において、より高い程度の変動が観察される。これらの結果に基づいて、発明者は、少なくとも、レニン・アンギオテンシン系の異なる側面を標的にする阻害薬(例えば、本明細書において記載される、ACEi、ATIIR2アンタゴニスト、および/または、ベータ遮断薬)の組み合わせを用いた血管腫の局所治療により、個別の薬剤を用いた治療と比べて、より一貫した、より臨床的に優れた結果が生じ得ると考えている。そのような組み合わせの使用はまた、(各単剤の使用と比較して)より少ない用量の関連薬剤を対象に投与することを可能にし得、そのような薬剤に関連し得る任意の有害な副作用のリスクを下げる潜在的な利益を有する。
【0173】
更に、発明者は、局所投与を介した血管腫の治療における特定の使用のACEiは、プロドラッグ形態のものを含むことを発見した。当技術分野において理解されるように、ACEiプロドラッグが肝臓生体内変換を通じて活性化を必要とすることは、予想外であった。このことは、全身投与が唯一の有効な送達の手段であることを示唆する。
【0174】
発明者はまた、驚くべきことに、増殖性血管腫細胞を阻害する能力については、R-ベータ遮断薬とS-ベータ遮断薬との間にほとんど差が無いことを発見し、個別の異性体は単独で、全身療法を必要とする増殖乳児血管腫の治療に現在処方されているラセミ混合物と同じくらい有効であることに気付いた。ベータ遮断薬(チモロールおよびプロプラノロールなど)のR-エナンチオマーは、S-エナンチオマーと同程度に血圧への影響を及ぼさないので、これは重要な発見である。したがって、発明者は、血管腫治療計画におけるベータ遮断薬のR-エナンチオマーの使用により、ベータ遮断薬のS-エナンチオマーおよび/またはラセミ混合物の使用に関連し得る負の副作用のリスクを下げる、または最小化しながら、有効な治療が可能であり得ることを提唱する。
【0175】
生成されたデータに基づいて、発明者はまた、非選択的ベータ遮断薬が、選択的ベータ遮断薬と比べて、血管腫の治療において、より有効であり得ると考えている。
【0176】
発明者はまた、ATIIR2アンタゴニストの局所投与は、血管腫のための有効な治療の選択肢を提供し得ると考えている。発明者の研究は、ATIIR2を単剤として使用することは、ACEiまたはベータ遮断薬の使用と比較して、より少ない用量で有効であることを実証する。理論によって拘束されることを望まないが、発明者は、ATIIR2は乳児期において大量に発現し、早期の成長および発達において役割を果たしている可能性が高いと考えている。第1選択ATIIR2アンタゴニストの臨床開発は、長期間の使用後の全身毒性が原因で、最近中止され、外用ベータ遮断薬の使用に関して全身性副作用が以前に報告された。したがって、発明者は、低用量で局所投与されるATIIR2アンタゴニストを用いて患者を治療することは、ATIIR2アンタゴニスト、BBおよびACEiを全身投与することと比べて、副作用が実質的に無く(または、少なくとも、より低い副作用を有する)、これらの療法に一般に関連する合併症を緩和すると予想する。さらに、発明者は予想外にも、2つの独立の調査(例3:n=5細胞株、例6:n=9細胞株)において、個々の患者生検に由来する増殖性血管腫細胞株を治療するとき、低用量のATIIR2アンタゴニストが、一貫して高いレベルの阻害を生じさせることを発見した。対照的に、単剤としてのBBまたはACEiを用いて治療するとき、これらの患者由来細胞株の反応において、より高い程度の変動が観察される。これらの結果に基づいて、発明者は、ATIIR2アンタゴニストを用いた血管腫の局所治療は、単剤としてのBBまたはACEiを用いた治療と比べて、より一貫した、より臨床的に優れた結果を生じさせる可能性が高いと考えている。
【0177】
発明者はまた、ACEiとベータ遮断薬との間の相対的な活性および/または皮膚拡散率における差を確認した。これにより、血管腫についての新規の投与量および治療計画に関する情報が提供される。
【0178】
発明者は、本発明は、血管腫の進行における早期治療または介入のための、例えば、病変が成長する、または、身体的もしくは美容的な外観を損なう、潰瘍性になる、または、心理的に不販になること、機能的障害、例えば失明を生じさせることを防止し、繊維脂肪残渣の形成を防止するためのファーストインライン医薬品方法を提供すると考えている。病変が重度でない場合、発明者は、ACE阻害薬またはATIIR2アンタゴニストの局所(好ましくは外用)適用を使用することにより、病変の成長を効果的に管理、抑制または防止できると考えている。より速い退縮が必要である、または、そうでない場合、血管腫の治療を強化することが有用である場合において、発明者は、病変の成長を治療、管理または抑制するために併用療法、すなわち、一実施形態において、β遮断薬と組み合わせたACE阻害薬、別の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストと組み合わせたACE阻害薬、別の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬と組み合わせたACE阻害薬、別の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストと組み合わせたベータ遮断薬を使用することを考えている。他の実施形態において、病変の成長が非常に重度である、または、局所投与に対する治療反応が、所望されるものより低い、もしくは遅い場合、本発明による局所投与は、血管腫の治療において有用である1または複数の薬剤(例えば、ACEi、ベータ遮断薬、および/またはATIIR2アンタゴニスト)の全身投与と組み合わされ得る。
【0179】
発明者の結果は、ACEi、またはATIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストの組み合わせを使用する、血管腫の局所治療のいくつかの形態を使用することには利益があることを示しているが、発明者は、そのような組み合わせは、経口投与などの全身経路による血管腫の治療にとって等しく有用であり得ると考えている。
[定義]
【0180】
本明細書において言及される「治療」とは、血管腫の成長を抑制する、阻害する、防止する、または遅くすること、血管腫のサイズを抑制または低減する、血管腫に関連する1または複数の症状を緩和する、および/または、血管腫の身体的外観を改善することを含むように、幅広く解釈されるべきである。好ましいことであり得るが、完全に回復する(血管腫の完全な除去または退縮など)まで対象が治療されることを意味するように解釈されるべきでない。
【0181】
「対象」とは、任意の動物への言及を含むものとして解釈されるべきである。好ましい実施形態において、対象は哺乳類、より好ましくはヒトである。他の実施形態において、対象はイヌ、ネコ、またはウマである。「局所」投与とは、全身投与とは対照的に、血管腫への直接投与(血管腫の位置、または、それに隣接する(例えば覆う)組織に投与することに言及することを含む)を意味するものとして解釈されるべきである。異なる種類の血管腫の性質、および、本明細書に記載される発明(外用送達の好ましい方法を含む)の文脈から容易に理解されるように、血管腫に対する「直接」投与は、血管腫がその中に位置する組織、または、血管腫が隣接する組織に対する局所投与を含むものと理解される。当業者であれば、好適な局所投与手段を容易に理解するであろう。しかしながら、単に例として、それらは(i)血管腫または隣接する組織の局在的注射、および(ii)血管腫の表面、または、血管腫がその中に位置する、またはそれに隣接する組織の表面に対する医薬品の適用(すなわち、例えば皮膚への外用投与)を含み得る。発明の方法の特定の実施形態において、外用投与が好ましい。「全身」投与は、対象の循環系へ薬剤を送達する任意の投与手段を含むものと幅広く解釈されるべきである。全身投与は経腸および非経口投与手段を含む。当業者であれば、好適な全身投与手段を容易に理解するであろう。発明の方法の1つの特定の実施形態において、経口投与が好ましい。
【0182】
「薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤」という語句は、使用される投与量および濃度で組成物が投与される細胞または動物に対して非毒性である任意の有用な担体、賦形剤および希釈剤を指す。「担体、希釈剤および/または賦形剤」は、フィラー、着色剤、防腐剤、安定化剤、充填剤、活性薬剤の放出を制御するのに役立つ薬剤、送達を強化する薬剤、結合剤、溶媒、乳化剤、懸濁剤、滑沢剤、組成物の粘度を変更する薬剤、および保湿剤を含むが、これらに限定されない。
【0183】
発明の文脈において、動物に投与される薬剤の「有効量」は、所望の反応を少なくとも部分的に達成するのに必要な量である。
【0184】
本明細書において、R-エナンチオマー形であるベータ遮断薬が言及され得る。このことは、R-ベータ遮断薬が必ずしも100%純粋であることを意味するものと解釈されるべきでない。ただし、これは(検出の限界内において)好ましいことがあり得る。別のエナンチオマーのレベルのいくらかの許容範囲が許容され得る。S-エナンチオマー形に対する言及についても同じことが当てはまる。いくつかの場合では、少なくともR-エナンチオマーの方が多い好ましい実施形態において、ベータ遮断薬はラセミ混合物を含み得る。「ATIIR2アンタゴニスト」という用語は、本明細書において後に定義される。
【0185】
本明細書において、代替的な用語、AT2受容体阻害薬およびAT2受容体アンタゴニストが、ATIIR2アンタゴニストと互換的に使用され得る。
【0186】
文脈において明確な別段の定めが無い限り、単数形への言及は、複数形への言及を含むものとする。例えば、ACEiの投与への言及は、2種類以上のACEiの投与への言及を含むものと理解されるべきである。ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬への言及についても同じことが当てはまる。
【0187】
本明細書において、2種類以上の化合物(例えば、ラミプリルおよびプロプラノロール)の「組み合わせ」を投与することを含む発明の方法が言及され得る。そのような言及は、化合物が必ず単一の組成物において組み合わされる、または、同時に投与されることを意味するものと解釈されるべきでない(文脈において別段の明確な定めが無い限り)。そのような言及は単に、2種類以上の化合物が投与されることを説明するために使用される。ただし、特定の実施形態において、化合物は、単一の組成物において組み合わされ得るか、または、同時に投与され得る。代替的なスペリングである血管腫(hemangioma)および血管腫(haemangioma)が、本明細書において互換的に使用され得る。
【0188】
本明細書において、1または複数の種類の活性薬剤の投与が別個の組成物において投与されることが言及され得る。これが生じるとき、薬剤はキットの形態で提供され得ることが理解されるべきである。
方法
【0189】
発明は、本明細書に記載される有効量の1または複数の種類の活性薬剤(例えばACEi、ATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬)を投与することによって血管腫を治療する方法を提供する。特定の実施形態において、血管腫は、対象の皮膚または粘膜の表面の中、下、または上に存在するものである。特定の実施形態において、血管腫は、乳児血管腫、皮膚血管腫、毛細血管腫、海綿状血管腫、網膜血管腫(例えば、眼窩の網膜海綿状血管腫、網膜毛細血管腫、脈絡膜血管腫、海綿状血管腫を含む)および/または眼周囲血管腫を含む群から選択される。
【0190】
好ましい実施形態において、発明の方法は、乳児血管腫(1つの好ましい実施形態において、乳児毛細血管腫)の治療に関する。乳児血管腫は、早期の急速増殖期、それに続く遅い自発的かつ長期的(例えば、5~10年)な退縮期からなる特徴的な発展を示す。乳児血管腫は通常、出生の約4~6週から皮膚上で見られるようになる。いくつかの場合、乳児血管腫は完全に退縮するわけではない。乳児血管腫はまた、赤血球および乳児血管腫の内皮によって発現される表面タンパク質であるGLUT1(グルコーストランスポータ1)を含む免疫組織化学的マーカの同種の群の発現を特徴とする。
【0191】
特定の好ましい実施形態において、発明の方法は、増殖性血管腫、すなわち、成長または増殖の状態またはフェーズにおける血管腫の治療に関する。そのような血管腫は典型的には、血管腫病変の急速な自発的成長を特徴とする。例として、乳児血管腫において、増殖期は通常、出生の約4~6週の期間内に生じる。成長の急速な速度は、乳児の成長速度を超えることが特徴であり、それにより、乳児に比例して成長する血管奇形から区別される。この増殖期または状態における血管腫を治療することによって、発明の方法は、血管腫の更なる成長、および、成長の結果生じ得る付随的な障害を防止するために使用され得る。
【0192】
発明の方法は、任意のサイズおよび体積の血管腫の治療に有用であり得る。発明者は、発明の方法が、大きい、または、発達した血管腫の治療に有用であると考えているが、好ましい実施形態において、更なる成長およびそのような成長に関連するリスクを防止するために、血管腫は、その発達の早期に、比較的小さい間に治療される。一実施形態において、発明の方法は、少なくとも約0.01cmの体積を有する血管腫の治療に有用であり得る。
局所投与
【0193】
一実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEiを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。一実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。別の実施形態において、方法は、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。別の実施形態において、方法は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。
【0194】
局所投与は、例えば、外用投与および/または局所注射を含む任意の適切な手段によって生じ得る。好ましい実施形態において、ACEi、ACEiおよびベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストが、血管腫の位置に外用投与される。
【0195】
別の実施形態において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ATIIR2アンタゴニストを血管腫に局所投与する段階を少なくとも備える。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは外用投与される。
【0196】
特定の実施形態において、2以上のACEiの組み合わせが投与され、2以上のベータ遮断薬の組み合わせが投与され、および/または、2以上のATIIR2アンタゴニストの組み合わせが投与される。
【0197】
2以上の薬剤(例えば、ACEiおよびベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニスト、または、2以上のACEi、2以上のベータ遮断薬、または2以上のATIIR2アンタゴニスト、および、それらの組み合わせ)が局所投与される場合、それらは、同時に、または、任意の順序で連続的に投与され得る。薬剤は、単一の組成物または別個の組成物において投与され得る。
【0198】
一実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は同時に投与される。別の実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は任意の順序で連続的に投与される。一実施形態において、1または複数の種類のACEiが投与され、続いて、1または複数の種類のベータ遮断薬が投与される。別の実施形態において、1または複数の種類のベータ遮断薬が投与され、続いて、1または複数の種類のACEiが投与される。
【0199】
一実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストが同時投与される。別の実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストが任意の順序で連続投与される。一実施形態において、1または複数の種類のACEiが投与され、続いて、1または複数の種類のATIIR2アンタゴニストが投与される。別の実施形態において、1または複数の種類のATIIR2アンタゴニストが投与され、続いて、1または複数の種類のACEiが投与される。
【0200】
一実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストが同時投与される。一実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストが任意の順序で連続投与される。一実施形態において、1または複数の種類のATIIR2アンタゴニストが投与され、続いて、1または複数の種類のベータ遮断薬が投与される。別の実施形態において、1または複数の種類のベータ遮断薬が投与され、続いて、1または複数の種類のATIIR2アンタゴニストが投与される。
【0201】
一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストが同時投与される。一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストが任意の順序で連続投与される。
【0202】
特定の実施形態において、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、ATIIR2アンタゴニストおよびプロドラッグ形態のACEiが、同時に、または、任意の順序で連続的に投与される。
【0203】
特定の実施形態において、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリルが、同時に、または、任意の順序で連続的に投与される。
【0204】
特定の実施形態において、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびSMM02、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、または、R/S-プロプラノロールおよびEMA401が、同時に、または、任意の順序で連続的に投与される。
局所および全身投与の組み合わせ
【0205】
一実施形態において、発明の方法は更に、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニストを対象に全身投与する(すなわち、局所投与に加えて)段階を備える。全身投与は任意の適切な手段によって生じ得る。しかしながら、1つの好ましい実施形態において、少なくとも1種類のACEi、少なくとも1種類のベータ遮断薬、および/または、少なくとも1種類のATIIR2アンタゴニストが経口投与される。別の実施形態において、少なくとも1種類のACEi、少なくとも1種類のベータ遮断薬、および/または、少なくとも1種類のATIIR2アンタゴニストが、注射によって、例えば、皮下、筋肉内または静脈注射によって投与される。
【0206】
1つの特定の実施形態において、方法は、ACEiを局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiを局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiを局所投与する段階と、ATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は、血管腫の位置に外用投与され、全身投与される薬剤は、経口投与される。
【0207】
一実施形態において、方法は、ACE阻害薬およびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACE阻害薬およびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は、血管腫の位置に外用投与され、全身投与される薬剤は、経口投与される。
【0208】
一実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬を局所投与する段階と、ATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は、血管腫の位置に外用投与され、全身投与される薬剤は、経口投与される。
【0209】
一実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ACEiを全身投与する段階とを備える。別の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ATIIR2アンタゴニストを全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は、血管腫の位置に外用投与され、全身投与される薬剤は、経口投与される。
【0210】
一実施形態において、方法は、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ACEi、ATIIR2アンタゴニスト、またはベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与される薬剤は、血管腫の位置に外用投与され、全身投与される薬剤は、経口投与される。
【0211】
別の実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストを局所投与する段階と、ACEi、ATIIR2アンタゴニスト、および/またはベータ遮断薬を全身投与する段階とを備える。一実施形態において、局所投与は外用投与され、全身投与は経口投与される。
【0212】
特定の実施形態において、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、プロドラッグ形態のACEiおよびATIIR2アンタゴニストが同時に、または、任意の順序で連続的に投与される。一実施形態において、一方の薬剤が局所投与され、他方が全身投与される。
【0213】
特定の実施形態において、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリルが、同時に、または、任意の順序で連続的に投与される。一実施形態において、一方の薬剤が局所投与され、他方が全身投与される。
【0214】
特定の実施形態において、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびSMM02、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、または、R/S-プロプラノロールおよびEMA401は、同時に、または、任意の順序で連続的に投与される。一実施形態において、一方の薬剤が局所投与され、他方が全身投与される。
【0215】
特定の実施形態において、状況に応じて、2種類以上のACEiが投与され、2種類以上のベータ遮断薬が投与され、および/または、2種類以上のATIIR2アンタゴニストが全身および/または局所投与される。
全身投与
【0216】
他の態様において、発明は、対象における血管腫の治療のための方法を提供し、方法は、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストのうち2以上を対象に全身投与する段階を少なくとも備える。好ましい実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬を経口投与する段階を少なくとも備える。2以上の各種類の活性薬剤の組み合わせは、発明の本態様の方法において使用され得ることが理解されるべきである。さらに、活性薬剤は、同時に、または任意の順序で連続的に投与され得る。
【0217】
全身投与は、任意の適切な手段で生じ得る。しかしながら、好ましい実施形態において、活性薬剤は、経口投与のために製剤される。一実施形態において、それらは固形経口剤形において製剤される。代替的な実施形態において、それらは、液体経口剤形において製剤される。この剤型は、小児科用に特に好ましい。
【0218】
別の実施形態において、活性薬剤は、注射、例えば、皮下、筋肉内または静脈注射による投与のために製剤される。他の実施形態において、活性薬剤は、例えば経皮パッチなどの薬剤送達デバイスを介して送達できるように製剤される。他の実施形態において、活性薬剤は、吸入による投与のために製剤される。
【0219】
特定の実施形態において、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACEi、非選択的ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト、または、プロドラッグ形態のACEiおよびATIIR2アンタゴニストが同時に、または、任意の順序で連続的に全身投与される。
【0220】
特定の実施形態において、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、RS-プロプラノロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびラミプリル、S-プロプラノロールおよびラミプリル、RS-プロプラノロールおよびラミプリル、R-プロプラノロールおよびトランドラプリル、S-プロプラノロールおよびトランドラプリル、RS-プロプラノロールおよびトランドラプリル、R-プロプラノロールおよびエナラプリル、S-プロプラノロールおよびエナラプリル、RS-プロプラノロールおよびエナラプリル、R-プロプラノロールおよびキナプリル、S-プロプラノロールおよびキナプリル、RS-プロプラノロールおよびキナプリル、R-プロプラノロールおよびベナゼプリル、S-プロプラノロールおよびベナゼプリル、RS-プロプラノロールおよびベナゼプリル、R-プロプラノロールおよびカプトプリル、S-プロプラノロールおよびカプトプリル、RS-プロプラノロールおよびカプトプリル、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、RS-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびラミプリル、S-チモロールおよびラミプリル、RS-チモロールおよびラミプリル、R-チモロールおよびトランドラプリル、S-チモロールおよびトランドラプリル、RS-チモロールおよびトランドラプリル、R-チモロールおよびエナラプリル、S-チモロールおよびエナラプリル、RS-チモロールおよびエナラプリル、R-チモロールおよびキナプリル、S-チモロールおよびキナプリル、RS-チモロールおよびキナプリル、R-チモロールおよびベナゼプリル、S-チモロールおよびベナゼプリル、RS-チモロールおよびベナゼプリル、R-チモロールおよびカプトプリル、S-チモロールおよびカプトプリル、RS-チモロールおよびカプトプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、RS-プロプラノロールおよびEMA401、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、RS-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、RS-プロプラノロールおよびSMM02、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、RS-チモロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、EMA401およびラミプリル、EMA401およびトランドラプリル、EMA401およびエナラプリル、EMA401およびキナプリル、EMA401およびベナゼプリル、EMA401およびカプトプリル、SMM02およびシラザプリル、SMM02およびラミプリル、SMM02およびトランドラプリル、SMM02およびキナプリル、SMM02およびベナゼプリル、または、SMM02およびカプトプリルが、同時に、または、任意の順序で連続的に全身投与される。
【0221】
特定の実施形態において、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-チモロールおよびSMM02、S-チモロールおよびSMM02、R/S-チモロールおよびSMM02、R-チモロールおよびEMA401、S-チモロールおよびEMA401、R/S-チモロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、R/S-プロプラノロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、または、R/S-プロプラノロールおよびSMM02が、同時に、または、任意の順序で連続的に全身投与される。
【0222】
発明の本態様による血管腫の治療のための方法は、本明細書において前に記載された、発明の他の態様による局所(例えば外用)投与のための方法と組み合わされ得ることが理解されるべきである。
ACE阻害薬
【0223】
発明の特定の実施形態において、少なくとも1種類のACE阻害薬(ACEi)が対象に投与される。ACEiは、血管腫病変内のアンギオテンシン変換酵素の活性を選択的または非選択的に阻害、ブロック、または、少なくとも低減することが可能な任意の薬剤であり、ACEiプロドラッグを含む。文脈において別段の定めが無い限り、本明細書におけるACEiへの言及は、その任意の薬学的に許容される塩への言及を含むと解釈されるべきである。誤解を回避するために記すと、本明細書におけるACEiへの言及は、その立体異性体への言及を含むことが意図される。2種類以上のACEiの混合物が発明の方法において使用され得る。
【0224】
発明において有用であるACE阻害薬の例は、これらに限定されないが、カプトプリル、ゾフェノプリル、ゾフェノプリラトなどのスルフヒドリル含有剤、エナラプリル、エナラプリラト、ラミプリル、ラミプリラト、キナプリル、キナプリラト、ペリンドプリル、ペリンドプリラト、リシノプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラト、イミダプリル、イミダプリラト、トランドラプリル、トランドラプリラット、シラザプリル、シラザプリラトなどのジカルボン酸含有剤、フォシノプリルおよびフォシノプリラトなどのホスホン酸含有剤、または、アンギオテンシン変換酵素に対する阻害活性を有する任意の他の天然または合成薬剤を含む。
【0225】
好ましい実施形態において、発明のACEiは、プロドラッグの形態である。特定の好ましい実施形態において、ACEiは、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリルおよびキナプリル、または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、ACEiは、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、およびキナプリル、または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。別の実施形態において、ACEiは、カプトプリルおよびリシノプリル、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される。別の実施形態において、ACEiは、シラザプリル、ラミプリル、トランドラプリル、およびベナゼプリル、または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、長期的に作用するACEiである。
【0226】
表1は、発明の方法において有用であり得る複数のACE阻害薬の例を、それらの生理的、化学的および生物学的特性の情報と共に提供する。
表1:ACE阻害薬、ならびに、それらの化学的、生理的および生物学的特性の例。
【表1】
ベータ遮断薬
【0227】
発明の特定の実施形態において、少なくとも1種類のベータ遮断薬またはそれらの薬学的に許容される塩が対象に投与される。ベータ遮断薬は、ベータアドレナリン受容体に対するアゴニストの結合をブロックする、阻害する、または少なくとも低減する、天然または人工の任意の薬剤であり、プロドラッグを含む。ベータアドレナリン受容体は、ベータ1、ベータ2、ベータ3、または他を含む任意の種類のものであり得る(選択的または非選択的ベータ遮断薬を含む)。文脈において別段の定めが無い限り、本明細書におけるベータ遮断薬への言及は、その任意の薬学的に許容される塩への言及を含むと解釈されるべきである。誤解を回避するために記すと、本明細書におけるベータ遮断薬への言及は、その立体異性体への言及を含むことが意図される。2種類以上のベータ遮断薬の混合物が発明の方法において使用され得る。
【0228】
当業者であれば、発明において有用であるベータ遮断薬を容易に理解するであろう。しかしながら、例として、GoodmanおよびGilmanのthe pharmacological basis of therapeutics、第11版、第10章、271-295ページ、2006年に記載されるものが使用され得る。さらなる例として、ベータ遮断薬が使用される場合、例えば、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、レボブノロール、メドロキサロール、メピンドロール、メチプラノロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン(ベータアドレナリン受容体アンタゴニストでもあるナトリウムチャネル遮断薬)、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、または、それらの薬学的に許容される塩を含む群から選択され得る。さらなる例として、ベータ遮断薬が本発明に従って使用される場合、例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メトプロロール、ネビボロール、または、それらの薬学的に許容される塩を含む群から選択され得る。特定の好ましい実施形態において、本発明において使用されるベータ遮断薬は、非選択的ベータ遮断薬である。当業者であれば、特に、本明細書における他の箇所の説明および例を考慮することによって、非選択的ベータ遮断薬を容易に理解するであろう。しかしながら、例として、非選択的ベータ遮断薬は、プロプラノロール、チモロール、ソタロール、ピンドロール、ナドロール、および、それらの異性体を含む。
【0229】
特定の好ましい実施形態において、本発明において使用されるベータ遮断薬は、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、ベタキソロール、および/またはナドロール、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩を含む群から選択される。特定の実施形態において、ベータ遮断薬は、プロプラノロール、チモロールおよび/またはアテノロール、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩から選択される。1つの特定の実施形態において、ベータ遮断薬はプロプラノロールである。さらなる例として、ベータ遮断薬は、(RS)-プロプラノロール、(R)-プロプラノロール、(S)-プロプラノロール、(RS)-チモロール、(S)-チモロール、(R)-チモロール、(RS)-アテノロール、(S)-アテノロール、(R)-アテノロールから選択され得る。
【0230】
一実施形態において、ベータ遮断薬は、ラセミ体(すなわち、エナンチオマーの組み合わせ)である。一実施形態において、ベータ遮断薬は、エナンチオマーの組み合わせを含み、好ましくは、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含む。一実施形態において、ベータ遮断薬は、実質的にR-エナンチオマー形である。別の実施形態において、ベータ遮断薬は実質的にS-エナンチオマー形である。
ATIIR2アンタゴニスト
【0231】
発明の特定の実施形態において、少なくとも1種類のATIIR2アンタゴニストが対象に投与される。ATIIR2アンタゴニストは、アンギオテンシンII 2型受容体に対するアゴニストの結合をブロックする、阻害する、または少なくとも低減する天然または人工の任意の薬剤であり、ATIIR2アンタゴニストのプロドラッグ形態を含む。文脈において別段の定めが無い限り、本明細書におけるATIIR2アンタゴニストへの言及は、その任意の薬学的に許容される塩への言及を含むと解釈されるべきである。誤解を回避するために記すと、本明細書におけるATIIR2アンタゴニストへの言及は、その立体異性体への言及を含むことが意図される。2種類以上のATIIR2アンタゴニストの混合物が発明の方法において使用され得る。
【0232】
特定の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、参照によって組み込まれる、WO1993023378、WO1995003055、US5173493、WO2006066361、WO2011088504、WO2012010843、WO2013110135、WO2016142867に記載される群から選択され得る。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、以下を含む群から選択される。
・オロダンリガン(EMA401、PD126055または(S)-5-(ベンジルオキシ)-2-(2,2-ジフェニルアセチル)-6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸としても知られる);
・PD123177((S)-1-[(4-アミノ-3-メチルフェニル)メチル]-5-(ジフェニルアセチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩としても知られる);
・SMM02(L-159686(またはL-159,686)または(S)-1,4-ビス(N,N-ジフェニルカルバモイル)ピペラジン-2-カルボン酸としても知られる);
・PD123319((S)-1-(4-(ジメチルアミノ)-3-メチルベンジル)-5-(2,2-ジフェニルアセチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸としても知られる);
・EXP801(2-[(N,N-ジフェニルアミノ)カルボニル]-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸としても知られる);、
・L161638(2-エチル-6-[N-ベンジル-N-(2-チエノイル)アミノ-3-[[2'-(1H-テトラゾール-5-イル)-[1,1']-ビフェニル-4-イル]メチル]キナゾリン-4-(3H)-オンとしても知られる)。
【0233】
1つの特定の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、オロダンリガン(EMA401)およびSMM02を含む群から選択される。SMM02は、選択的アンギオテンシンII 2型受容体(ATIIR2)阻害薬であり、本明細書において前に言及されたように、例えば、L-159686またはL-159,686としても知られ得る。SMM02の異なる名称が、本明細書において互換的に使用され得る。
異なる化合物の組み合わせ
【0234】
特定の実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせを投与する段階を備える。特定の実施形態において、ACEiはプロドラッグ形態である。特定の実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。一実施形態において、方法は、ACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせを投与する段階を備え、ACEiはプロドラッグ形態であり、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。一実施形態において、ACEiは、ベータ遮断薬と組み合わされ、ベータ遮断薬はラセミ体である。別の実施形態において、ACEiはベータ遮断薬と組み合わされ、ベータ遮断薬はエナンチオマーの組み合わせであり、好ましくは、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含む。別の実施形態において、ACEiは、ベータ遮断薬と共に使用され、ベータ遮断薬は実質的に(R)-エナンチオマー形である。好ましい実施形態において、ACEiはベータ遮断薬と共に使用され、ベータ遮断薬は実質的に(R)-エナンチオマー形である。特定の実施形態において、方法は、シラザプリル、トランドラプリル、ラミプリル、キナプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、またはカプトプリルの群から選択されたACEi、および、(RS)-プロプラノロール、(R)-プロプラノロール、(S)-プロプラノロール、(RS)-チモロール、(R)-チモロール、(S)-チモロール、(RS)-アテノロール、(R)-アテノロール、および(S)-アテノロールの群から選択されるベータ遮断薬を投与する段階を備える。特定の実施形態において、方法は、シラザプリルおよび(S)-プロプラノロール、シラザプリルおよび(S/R)-プロプラノロール、または、1つの特定の実施形態において、シラザプリルおよび(R)-プロプラノロールの組み合わせを投与する段階を備える。他の実施形態において、方法は、シラザプリルおよびR-チモロール、または、シラザプリルおよびS-チモロールを投与する段階を備える。
【0235】
特定の実施形態において、方法は、リシノプリルおよびプロプラノロール、リシノプリルおよびチモロール、リシノプリルおよびアテノロール、ラミプリルおよびプロプラノロール、ラミプリルおよびチモロール、ラミプリルおよびアテノロール、トランドラプリルおよびチモロール、トランドラプリルおよびプロプラノロール、トランドラプリルおよびアテノロール、シラザプリルおよびプロプラノロール、シラザプリルおよびチモロール、シラザプリルおよびアテノロール、ベナゼプリルおよびプロプラノロール、ベナゼプリルおよびチモロール、ベナゼプリルおよびアテノロール、キナプリルおよびプロプラノロール、キナプリルおよびチモロール、キナプリルおよびアテノロール、エナラプリルおよびプロプラノロール、エナラプリルおよびチモロール、またはエナラプリルおよびアテノロールの組み合わせを投与する段階を備える。
【0236】
特定の実施形態において、方法は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを投与する段階を備える。特定の実施形態において、方法は、シラザプリルおよびEMA401、シラザプリルおよびL-159686(SMM02)、リシノプリルおよびEMA401、リシノプリルおよびL-159686(SMM02)、ラミプリルおよびEMA401、ラミプリルおよびL-159686(SMM02)、トランドラプリルおよびEMA401、トランドラプリルおよびL-159686(SMM02)、ベナゼプリルおよびEMA401、ベナゼプリルおよびL-159686(SMM02)、キナプリルおよびEMA401、キナプリルおよびL-159686(SMM02)、エナラプリルおよびEMA401、またはエナラプリルおよびL-159686(SMM02)を投与する段階を備える。一実施形態において、方法は、シラザプリルおよびEMA401を投与する段階を備える。別の実施形態において、方法は、シラザプリルおよびSMM02を投与する段階を備える。
【0237】
特定の実施形態において、方法は、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬の組み合わせ、例えば、EMA401およびプロプラノロール、EMA401およびチモロール、EMA401およびアテノロール、L-159686(SMM02)およびプロプラノロール、L-159686(SMM02)およびチモロール、L-159686(SMM02)およびアテノロールを投与する段階を備える。一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬が投与される場合、ベータ遮断薬はラセミ体である。別の実施形態において、ベータ遮断薬は、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含むエナンチオマーの組み合わせである。別の実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(R)-エナンチオマー形である。一実施形態において、ベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。特定の実施形態において、方法は、(R/S)-プロプラノロールおよびSMM02、(S)-プロプラノロールおよびSMM02、または、1つの特定の実施形態において、(R)-プロプラノロールおよびSMM02を投与する段階を備える。別の実施形態において、方法は、(R/S)プロプラノロールおよびEMA401、(S)-プロプラノロールおよびEMA401、または、1つの特定の実施形態において、(R)-プロプラノロールおよびEMA401を投与する段階を備える。
【0238】
特定の実施形態において、方法は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを投与する段階を備える。特定の実施形態において、方法は、リシノプリル、プロプラノロールおよびEMA401;リシノプリル、チモロールおよびEMA401;リシノプリル、アテノロールおよびEMA401;リシノプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);リシノプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02);リシノプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02);ラミプリル、プロプラノロールおよびEMA401;ラミプリル、チモロールおよびEMA401;ラミプリル、アテノロールおよびEMA401;ラミプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);ラミプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02);ラミプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02)、トランドラプリル、プロプラノロールおよびEMA401;トランドラプリル、チモロールおよびEMA401;トランドラプリル、アテノロールおよびEMA401;トランドラプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02)、トランドラプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02);トランドラプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02);シラザプリル、プロプラノロールおよびEMA401;シラザプリル、チモロールおよびEMA401;シラザプリル、アテノロールおよびEMA401;シラザプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);シラザプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02)、シラザプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02);ベナゼプリル、プロプラノロールおよびEMA401;ベナゼプリル、チモロールおよびEMA401;ベナゼプリル、アテノロールおよびEMA401;ベナゼプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);ベナゼプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02);ベナゼプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02);キナプリル、プロプラノロールおよびEMA401;キナプリル、チモロールおよびEMA401;キナプリル、アテノロールおよびEMA401;キナプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);キナプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02);キナプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02);カプトプリル、プロプラノロールおよびEMA401;カプトプリル、チモロールおよびEMA401;カプトプリル、アテノロールおよびEMA401;カプトプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);カプトプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02);カプトプリル、アテノロールおよびL-159686L;エナラプリル、プロプラノロールおよびEMA401;エナラプリル、チモロールおよびEMA401;エナラプリル、アテノロールおよびEMA401;エナラプリル、プロプラノロールおよびL-159686(SMM02);エナラプリル、チモロールおよびL-159686(SMM02)またはエナラプリル、アテノロールおよびL-159686(SMM02)を投与する段階を備える。ベータ遮断薬は、ラセミ混合物を含む任意の異性体において使用され得る。一実施形態において、ベータ遮断薬は、エナンチオマーの組み合わせを含み、好ましくは、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含む。別の実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(S)-エナンチオマー形である。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(R)-エナンチオマー形である。一実施形態において、ベータ遮断薬は、非選択的ベータ遮断薬の群から選択される。
【0239】
他の実施形態において、方法は、本明細書の他の箇所において記載および例示された特定の薬剤の組み合わせの1または複数を投与することを含む。
【0240】
特定の実施形態において、方法は、シラザプリルおよびR-プロプラノロール;a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルおよびb)R-プロプラノロール;a)シラザプリルおよびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール;a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルおよびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール;シラザプリルおよびチモロール;a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルおよびb)チモロール;a)SMM02またはEMA401およびb)R-プロプラノロール;a)SMM02またはEMA401およびb)S-プロプラノロールまたはラセミ(R/S)プロプラノロール;a)SMM02またはEMA401およびb)チモロール;a)SMM02またはEMA401およびb)シラザプリル、または、a)SMM02またはEMA401およびb)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルの局所投与を備える。
【0241】
特定の実施形態において、方法は、シラザプリルおよびR-プロプラノロール;エナラプリルおよびR-プロプラノロール;a)ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルおよびb)R-プロプラノロール;a)シラザプリルまたはラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルおよびb)R-チモロール;a)シラザプリルまたはエナラプリルおよびb)ラセミ(R/S)プロプラノロールまたはS-プロプラノロール;SMM02およびR-プロプラノロール;またはSMM02およびラセミ(R/S)プロプラノロールを全身投与する段階を備える。
【0242】
特定の実施形態において、方法は、シラザプリルを局所投与してプロプラノロール(ラセミ(R/S)またはR-)を全身投与する段階、ラミプリルまたはエナラプリルまたはトランダロプリルを局所投与してプロプラノロール(ラセミ(R/S)またはR-)を全身投与する段階、R-プロプラノロールを局所投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを全身投与する段階、チモロールを局所投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを全身投与する段階、SMM02またはEMA401を局所投与してプロプラノロール(ラセミ(R/S)またはR-)を全身投与する段階、SMM02またはEMA401を局所投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを全身投与する段階、SMM02またはEMA401を全身投与してプロプラノロール(ラセミ(R/S)またはR-)またはチモロールを局所投与する段階、または、SMM02またはEMA401を全身投与してシラザプリルまたはカプトプリルまたはエナラプリルを局所投与する段階を備える。
剤形および組成物
局所
【0243】
本明細書で以前に言及されたように、特定の態様において、発明は、ACEi、ATIIR2アンタゴニスト、ベータ遮断薬と組み合わせたACEi、ATIIR2アンタゴニストと組み合わせたACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせ、または、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせの局所送達による血管腫の治療のための方法を提供する。一実施形態において、これらの薬剤は好ましくは、局所投与に好適な組成物に製剤される。
【0244】
発明における有用な組成物は、少なくとも1種類の活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストからなる群から選択される)、および、好ましい実施形態において、1または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を備える。一実施形態において、組成物は、単一型の活性薬剤(例えば、ACEi、ベータ遮断薬またはATIIR2アンタゴニスト)を含む。別の実施形態において、組成物は、2以上の異なる種類の活性薬剤の組み合わせを含む。例として、一実施形態において、発明における有用な組成物はACEiを含む。別の実施形態において、発明において有用な組成物はベータ遮断薬を含む。別の実施形態において、発明における有用な組成物はATIIR2アンタゴニストを含む。別の実施形態において、組成物は、ACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含む。
【0245】
本明細書において言及されるACEi、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬のいずれかは、局所投与のための組成物に製剤され得る。しかしながら、一実施形態において、ACEiは、プロドラッグ形態のACEi、例えば、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリランド・キナプリル、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩の群から選択される。別の好ましい実施形態において、ACEiは、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、およびキナプリル、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。1つの特定の実施形態において、組成物は、外用投与のために製剤され、ACEiは、プロドラッグ形態のACEi、例えば、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、およびキナプリル、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩の群から選択される。別の好ましい実施形態において、組成物は、外用投与のために製剤され、ACEiは、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリルおよびキナプリルからなる群から選択される。組成物が外用投与のために製剤される、別の好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は、チモロール、プロプラノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ナドロール、カルベジロール、カラゾロール、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩を含む群から選択される。ベータ遮断薬は、ラセミ混合物を含む任意の異性体において使用され得る。一実施形態において、ベータ遮断薬は、エナンチオマーの組み合わせを含み、好ましくは、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含む。一実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(S)-エナンチオマー形態である。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(R)-エナンチオマー形態である。一実施形態において、ベータ遮断薬はR-プロプラノロールである。一実施形態において、ベータ遮断薬は、非選択的ベータ遮断薬を含む群から選択される。組成物が外用投与のために製剤される、別の好ましい実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、オロダンリガン(EMA401)、PD123177、L-159686(SMM02)、PD123319、PD126055、EXP801およびL161638、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩を含む群から選択される。
【0246】
一実施形態において、発明の組成物は、プロドラッグ形態のACEiおよび非選択的ベータ遮断薬を含む。
【0247】
特定の実施形態において、発明の組成物は、リシノプリルおよびプロプラノロール、リシノプリルおよびチモロール、リシノプリルおよびアテノロール、ラミプリルおよびプロプラノロール、ラミプリルおよびチモロール、ラミプリルおよびアテノロール、トランドラプリルおよびチモロール、トランドラプリルおよびプロプラノロール、トランドラプリルおよびアテノロール、シラザプリルおよびプロプラノロール、シラザプリルおよびチモロール、シラザプリルおよびアテノロール、ベナゼプリルおよびプロプラノロール、ベナゼプリルおよびチモロール、ベナゼプリルおよびアテノロール、キナプリルおよびプロプラノロール、キナプリルおよびチモロール、キナプリルおよびアテノロール、エナラプリルおよびプロプラノロール、エナラプリルおよびチモロール、またはエナラプリルおよびアテノロールを含む。一実施形態において、使用されるベータ遮断薬は非選択的ベータ遮断薬である。ベータ遮断薬は、ラセミ混合物を含む任意の異性体において使用され得る。一実施形態において、ベータ遮断薬は、エナンチオマーの組み合わせを含み、好ましくは、より高い割合の(R)-エナンチオマーを含む。一実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(R)-エナンチオマー形態である。一実施形態において、ベータ遮断薬は実質的に、(S)-エナンチオマー形態である。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬はR-プロプラノロールである。特定の実施形態において、発明の組成物は、R-チモロールおよびシラザプリル、S-チモロールおよびシラザプリル、R/S-チモロールおよびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、S-プロプラノロールおよびシラザプリル、R/S-プロプラノロールおよびシラザプリル、SMM02およびシラザプリル、EMA401およびシラザプリル、R-プロプラノロールおよびEMA401、S-プロプラノロールおよびEMA401、R/S-プロプラノロールおよびEMA401、R-プロプラノロールおよびSMM02、S-プロプラノロールおよびSMM02、R/S-プロプラノロールおよびSMM02、EMA401およびシラザプリル、SMM02およびS-チモロール、SMM02およびR-チモロール、EMA401およびS-チモロール、または、EMA401およびR-チモロールを含む。
【0248】
他の実施形態において、発明の組成物は、発明の方法において投与される、または有用であると本明細書において記載および例示された特定の薬剤の組み合わせの1つを含む。
【0249】
当業者であれば、注射用組成物、ならびに、ゲル、懸濁液、オイル、エマルジョン、スプレー、粉末、クリーム、泡沫、ローション、軟膏、液滴および同様のものなどの外用組成物を含む局所投与に好適な組成物の種類を容易に理解するであろう。一実施形態において、組成物は、眼投与(例えば、点眼薬または他の好適な点眼用組成物)に好適である。好ましい実施形態において、組成物は、エマルジョンゲル、リポソームゲル、リポソームエマルジョンゲル、またはプロリポソームエマルジョンゲルとして製剤される。別の実施形態において、発明は、本明細書に記載される活性薬剤(活性薬剤の組み合わせへの言及を含む)または組成物の1または複数を含む、局所投与に好適な薬剤送達デバイスを提供する。一実施形態において、薬剤送達デバイスは、発明の方法において投与される、または、有用である、本明細書において記載および例示される活性薬剤の特定の組み合わせの1つを含む。当業者であれば、局所投与のための適切な薬剤送達デバイス、および、それらを製造するための手段を容易に理解するであろう。しかしながら、例として、一実施形態において、薬剤送達デバイスは、局所投与に好適な皮膚パッチである。
【0250】
当業者であれば、本明細書において記載される発明の性質、ならびに、The Handbook of Pharmaceutical Excipients、第6版、2009年、編集者:Raymond C Rose、Paul J SheskeyおよびMarian E Quinn(http://pharmama.info/wp-content/uploads/2018/10/Excipients.pdf)などの医薬品文書およびハンドブックにおいて公開される情報を考慮することにより、注射用組成物および外用組成物を含む、局所送達のための組成物を製剤するのに有用である、様々な好適な担体、賦形剤および希釈剤を容易に理解するであろう。
【0251】
好ましい実施形態において、外用投与のための組成物は、皮膚浸透促進剤を含む。本明細書において言及される「皮膚浸透促進剤」は、皮膚を通じた薬剤の送達の速度を増加、改善できる、および/または、血管腫内への薬剤の浸透の深度を増加できる任意の化学物質、薬剤またはビヒクルである。浸透促進剤の例には、これらに限定されないが、鉱油;ジメチルスルホキシド;グリコール、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および任意の分子量のポリエチレングリコール;アルコール、例えばエタノールおよびイソプロピルアルコール;界面活性剤および乳化剤、例えば、オレイルオレエート、ソルビタンモノオレエート、オクチルドデカノール、イソプロピルパルミテート、オレイルアルコール、オレイン酸エチル、グリセロールモノラウレート、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリルラクテート、Span20~Span80、Tween(登録商標)20~Tween80、N-ラウリルサルコシン、オレイン酸、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリン酸メチル、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ココカプリル酸、セチルアルコール、トランスクトールPを含むトランスクトール、アゾン、ステアリルアルコール、またはそれらの組み合わせ;リン脂質、例えば、レシチン、大豆ホスファチジルコリン、水添大豆ホスファチジルコリン、DOPC、DOPE、DPPC、DPPE、DSPC、DSPE、DOPG、DPPG、DSPG;テルペン、例えばメントール、リモネン、リナロール、シネオール、ネロリドール、ファルネソール、ゲラニオール、カルボン、テルピノレン、アスカリドール、他のエッセンシャルオイル;または、皮膚を通じた薬剤の浸透の速度を増加できる任意の他の薬剤が含まれる。さらに、リポソームおよびプロリポソームなどの担体システムまたはビヒクルが、外用送達を強化するために使用され得る。
【0252】
発明の方法において有用である組成物は、任意選択で、対象に有益であり得る他の薬剤など、そのような組成物に含めることに利益があり得る1または複数の種類の追加の成分を含み得る。例えば、それらは、血管腫を治療するのに有益である、または、そうでない場合、対象の健康もしくは美容的外観に有益である1または複数の追加の活性薬剤を含み得る。
【0253】
組成物は、本明細書における説明を考慮することによって当業者により理解される、対象に送達される望ましい用量(本明細書の他の箇所で記載される)および薬剤の化学的性質を考慮した、任意の適量の活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト)を含み得る。しかしながら、例として、局所投与(例えば、外用)のための組成物については、組成物に存在する活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2)の総量は、約0.01%~約20%(w/w)であり得る。特定の実施形態において、外用組成物について、以下の範囲、すなわち、約0.01%~約19.99%、好ましくは約0.1%~約10%または約8%のACEi;約0.01~約19.99%、好ましくは約0.1%~約10%または約8%のベータ遮断薬;および、約0.01%~約19.99%、好ましくは約0.1%~約5%のATIIR2アンタゴニストが使用され得る。
【0254】
2種類以上の異なる薬剤が単一の組成物において組み合わされる(例えば、ACEiおよびベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2、ATIIR2およびベータ遮断薬またはACEi、ATIIR2およびベータ遮断薬)、発明の実施形態において、それらは、任意の適切な比率で組み合わされ得る。例えば、ACEiおよびベータ遮断薬は、約10:1~1:10の比率で組み合わされ得、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、約10:1~1:10の比率で組み合わされ得、または、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、約10:1~1:10の比率で組み合わされ得る。
【0255】
発明者は驚くべきことに、ベータ遮断薬はACE阻害薬より急速に皮膚に吸収されることを確認したので、1つの特定の実施形態において、ACE阻害薬およびベータ遮断薬の外用固定用量配合剤は、ベータ遮断薬と比べて、より大きい比率のACE阻害薬を含む。一実施形態において、外用組成物におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約1:1~約10:1である。他の実施形態において、比率は約2:1~約10:1である。他の実施形態において、組成物におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約3:1~約9:1、約4:1~約8:1または約3:1~約7:1である。他の実施形態において、比率は、約1:1、約2;1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。他の実施形態において、組成物において、ACE阻害薬と比べて、より大きい比率のベータ遮断薬があり得る。
【0256】
特定の実施形態において、組成物におけるベータ遮断薬とATIIR2アンタゴニストとの比率は、約1:2~約1:10、例えば、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9または約1:10である。
【0257】
特定の実施形態において、組成物におけるベータ遮断薬とACEiとの比率は、約1:2~約1:9、例えば、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、または約1:9である。
【0258】
特定の実施形態において、組成物におけるATIIR2アンタゴニストとACEiとの比率は、約1:1、約1:5、例えば、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4または約1:5である。
【0259】
特定の実施形態において、組成物におけるベータ遮断薬とATIIR2アンタゴニストとの比率は、約1:2.5、約1:5、または約1:10である。
【0260】
特定の実施形態において、組成物におけるベータ遮断薬とACEiとの比率は、約1:2、約1:4または約1:9である。
【0261】
特定の実施形態において、組成物におけるATIIR2アンタゴニストとACEiとの比率は、約1:2、約1:1、または約1:4である。
【0262】
特定の実施形態において、局所投与のための組成物は、約1:1、約1:10、または約10:1の比率のシラザプリルおよびチモロール;約1:10または約1:1の比率のチモロールおよびEMA401;約1:10または約1:1の比率のシラザプリルおよびEMA401;約1:1の比率のラミプリルおよびプロプラノロール;約1:1の比率のラミプリルおよびプロプラノロール、または、約4:1の比率のトランドラプリルおよびチモロールを含む。他の実施形態において、局所投与のための2種類以上の薬剤の組み合わせを含む組成物は、後の本明細書における例および表6において指定される凡その比率である化合物の組み合わせを含む。
【0263】
局所投与のための組成物は、例えば、Gennaro A R: Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Lippincott, Williams & Wilkinsのような標準参考文献において見られ得る標準的な技法に従って作られ得る。好ましい実施形態において、本明細書において記載および例示される製剤および方法が使用され得る。
【0264】
1つの特定の実施形態において、発明において有用である活性薬剤は、エマルジョンゲルにおいて外用投与される。一実施形態において、組成物は、上で記載された群から選択されるACE阻害薬(例えば、リシノプリル、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリル、カプトプリル、および/または、キナプリル)を単独で、または、本明細書において上に記載された群から選択されるβ遮断薬(例えば、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、ベタキソロール、ナドロール)と組み合わせた状態で含み、外用適用のためのエマルジョンゲルとして調製される。ACE阻害薬およびβ遮断薬の濃度は、約0.01~約20重量%(wt%)の範囲であり得る。好ましくは、ACE阻害薬および/またはβ遮断薬の濃度は、約0.1wt%(または約0.5wt%)~約5wt%、より好ましくは、約0.2wt%(または約0.5wt%)~約2wt%の範囲であり得る。ゲルは、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピリドン、ポリビニルアセテート、キトサン、コハク化キトサン、デキストラン、アルガン酸、キサンタンガム、または、医薬製剤に好適な任意の他のゲル薬剤から選択され得る。好ましくは、ゲルはカルボマーであり得るか、またはより好ましくは、カーボポールウルトレッツ10もしくはカーボポールウルトレッツ30のいずれかから選択され得る。さらに、製剤は、活性成分の浸透を最大化するのに十分な比率で、上に記載された群から選択された皮膚浸透促進剤(例えば、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ココカプリル酸、鉱油、およびTween80の組み合わせ)を含み得る。製剤はさらに、ACE阻害薬および/またはβ遮断薬(例えば、シクロデキストリン、特に2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)の溶解性を増加させるための薬剤を含み得、混合物を最終的な酸性度pH6~8まで中和するためのアルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア)を含み得る。医薬製剤の有効期間を増加させるために、防腐剤(例えば、パラベン、好ましい実施形態においては、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)が含まれ得る。
【0265】
別の特定の実施形態において、活性薬剤は、リポソームゲルの形態で外用投与され得る。一実施形態において、リポソームゲル組成物における使用のために調製されたリポソームは、好ましくは変形性リポソーム、超変形性リポソーム、またはトランスファーソームである。リポソームの調製に採用されたリン脂質材料は、当業者によって理解されるように、任意の適切なリン脂質から選択され得る。しかしながら、例として、それらは、例えば、大豆ホスファチジルコリン(SPC)などのホスファチジルコリン(PC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-2-ホスファチジルコリン(DSPC)、1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MSPC)、水添大豆ホスファチジルコリン(HSPC);ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG);卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC);ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS);1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、および12~24炭素原子のアシルまたはアルキル鎖を有するスフィンゴミエリン(SM)などのスフィンゴリン脂質を含む、合成ビヒクル形成脂質、および、天然に生じるビヒクル形成脂質を含む群から選択され得る。相転移温度が高いリン脂質は、変形に耐える堅いメンブレンを形態する傾向があるので、好ましい実施形態において、リン脂質は、低い相転移温度(約37℃未満)を有する。例えば、選択されるリン脂質は、好ましくは、大豆レシチン、大豆ホスファチジルコリン、卵黄レシチン、卵黄ホスファチジルコリンを含み得る。リン脂質材料は、リポソームビヒクルの構造的柔軟性または変形性に影響を及ぼすために、界面活性剤またはエッジアクティベータと組み合わせて使用され得る。「エッジアクティベータ」は、リン脂質リポソーム膜の弾力を増加させることが可能である界面活性剤または化学薬剤であり、例えば、TweenおよびSpanファミリを含むポリソルベート、ソルビタンモノオレエート、胆汁酸塩、ならびに、エタノールおよびイソプロピルアルコールを含むアルコールを含み得る。好ましくは、製剤において使用されるエッジアクティベータは、ポリソルベート、例えばTween80である。リポソーム懸濁液は、任意の数のリポソーム調製法によって調製され得るが、好ましくは、リン脂質/エッジアクティベータ混合物のフィルムが調製される薄膜水分補給法を含み得る。リポソームは、その後に活性医薬薬剤または活性ロード薬剤、例えば、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ショ糖八硫酸アンモニウムまたは酢酸カルシウムの水溶液にリン脂質混合物を懸濁することによって、受動的または能動的にロードされ得る。リポソーム懸濁液は次に、超音波処理または押出を受け、約10~1000nmの範囲、または好ましくは約50~200nmの範囲の制御されたサイズを有する均一なリポソームを形成し得る。能動ロード方法の場合において、均一のサイズを有するリポソーム懸濁液は次に、透析またはクロマトグラフィなどの方法に晒され、リポソーム内部と外部媒体との間に、選択された能動ロード薬剤の濃度の勾配または差を生じさせ、これは、薬剤の溶液をリポソーム懸濁液と混合するときに、所望の活性医薬薬剤をロードするために使用され得る。リポソーム懸濁液は、治療適用のために、単独で、または、本明細書において上で記載された群から選択されるゲルまたは濃化剤(例えばカルボマー)と組み合わせて使用され得る。アルカリ剤、例えば水酸化ナトリウムまたはアンモニアは、最終調製をpH6~8の酸性度に中和するために使用され得、防腐剤、例えばパラベンが製造において含まれ得る。
【0266】
更なる実施形態において、活性薬剤は、担体製剤としてリポソームエマルジョンゲルまたはプロリポソームゲルを使用して外用投与され得る。リン脂質およびエッジアクティベータ(例えば、大豆ホスファチジルコリンおよびポリソルベート80)の適切な組み合わせが溶媒(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールまたはそれらの組み合わせ)中に溶解され得る。特定の場合において、溶媒はさらに、例えば、上で記載された群(例えば、プロピレングリコール、エタノールおよびイソプロピルアルコール)から選択されるとき、皮膚浸透促進剤として作用し得る。一実施形態において、溶媒は好ましくは、等しい量のプロピレングリコールおよびイソプロピルアルコールを含む。リン脂質溶液は次に、約0.1%(または約0.01%)~約20%、または、約0.1%~約10%、または、約0.1%~約8%、または、好ましくは、約0.5%~約5%の調製における最終濃度を与えるのに十分な濃度の活性薬剤を含む適切な量の水溶液と組み合わされ得る。混合物は、ゲルまたは濃化剤、例えばカルボマーと組み合わされ得る。アルカリ剤、例えば水酸化ナトリウムまたはアンモニアは、最終調製をpH6~8の酸性度に中和するために使用され得、防腐剤、例えばパラベンが製造において含まれ得る。
【0267】
別の特定の実施形態において、活性薬剤は、クリームの形態で外用投与され得る。医薬品有効成分の濃度は、約0.01%(または、約0.1%)~約20%(w/w)、例えば、約0.1%~約10%(または、約8%)、または、約0.1wt%(または、約0.5%)~約5wt%の範囲であり得、一実施形態において、約0.5%~約2%であり得る。本実施形態において、活性薬剤は、セチルアルコールおよびステアリルアルコールを含む群から選択される少なくとも1種類の脂肪族アルコール乳化剤;水中油型乳化剤;少なくとも1種類の防腐剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される少なくとも1種類の浸透促進剤;混合物を最終的な酸性度pH6~8に中和するための水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤を用いて製剤される。
【0268】
特定の実施形態において、活性薬剤は、プロプラノロールまたはチモロールから選択される約0.1~約1%ベータ遮断薬を含むクリームまたはゲル;シラザプリル、ラミプリル、トランドラプリル、エナラプリル、キナプリルを含む群から選択される約0.1~約1%ACE阻害薬を含むクリームまたはゲル;シラザプリル、ラミプリル、トランドラプリル、エナラプリル、キナプリルを含む群から選択される約0.1~約1%ACE阻害薬、および、プロプラノロールおよびチモロールを含む群から選択される約0.1~約1%ベータ遮断薬を含むクリームまたはゲル;約0.1~約1%シラザプリルおよび約0.1~約1%プロプラノロールを含むクリームまたはゲル;約0.1~約1%シラザプリルおよび約0.1~約1%チモロールを含むクリームまたはゲル;約0.1~約1%ラミプリルおよび約0.1~約1%プロプラノロールを含むクリームまたはゲル;または、約0.1~約2%トランドラプリルおよび約0.1~約0.5%チモロールを含むクリームまたはゲルの形態で外用投与され得る。
全身
【0269】
特定の実施形態において、発明の方法は、ベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの2以上の組み合わせを対象に全身投与すること、または、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2の局所投与に加えてこれらの薬剤のうち1または複数を投与することを含む。一実施形態において、これらの薬剤は、好ましくは、全身投与に好適な組成物に製剤される。そのような組成物は、少なくとも1種類の活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストからなる群から選択される)、および、好ましい実施形態において、1または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を備える。一実施形態において、組成物は経口投与に好適である。小児科用については、液体製剤が好ましい。別の実施形態において、組成物は、注射、例えば、皮下、筋肉内または静脈注射による投与に好適である。
【0270】
発明による全身投与に好適な組成物は、少なくとも1種類の活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストからなる群から選択される)、および、好ましくは1または複数の種類の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む。一実施形態において、全身組成物は、単一型の活性薬剤(例えば、ACEi、ベータ遮断薬またはATIIR2アンタゴニスト)を含む。別の実施形態において、全身組成物は、2以上の異なる種類の活性薬剤の組み合わせを含む。例として、一実施形態において、発明における有用な組成物はACEiを含む。別の実施形態において、発明における有用な組成物は、ベータ遮断薬を含む。別の実施形態において、発明における有用な組成物はATIIR2アンタゴニストを含む。別の実施形態において、組成物は、ACEiおよびベータ遮断薬の組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストの組み合わせを含む。
【0271】
本明細書において言及されるACEi、ATIIR2アンタゴニスト、およびベータ遮断薬のいずれかは、全身投与のための組成物に製剤され得る。しかしながら、一実施形態において、ACEiは、カプトプリル、エナラプリル、ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリランド・キナプリル、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩の群から選択される。一実施形態において、ACEiはプロドラッグである。一実施形態において、ベータ遮断薬は、非選択的ベータ遮断薬の群から選択される。好ましい実施形態において、ベータ遮断薬は、チモロール、プロプラノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ナドロール、カルベジロール、カラゾロール、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩を含む群から選択される。一実施形態において、ベータ遮断薬はR-もしくはS形であるか、または、両方のラセミ混合物である。一実施形態において、より高い割合のR-エナンチオマーを有するベータ遮断薬のラセミ混合物がある。一実施形態において、ベータ遮断薬は実質的にR-エナンチオマー形である。別の実施形態において、ATIIR2が、オロダンリガン(EMA401)、PD123177、L-159686、PD123319、PD126055、EXP801、およびL161638、および/または、それらのいずれか1つの薬学的に許容される塩を含む群から選択される。
【0272】
好ましい実施形態において、全身投与のための組成物は、ベータ遮断薬(例えば、プロプラノロールおよび/またはチモロールおよび/またはアテノロール)および/またはACEi(カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、トランドラプリル、ラミプリルまたはエナラプリルなど)および/またはATIIR2を含む。一実施形態において、組成物は、プロドラッグの形態のACEiおよび非選択的ベータ遮断薬を含む。
【0273】
特定の実施形態において、発明における有用な全身組成物は、リシノプリルおよびプロプラノロール、リシノプリルおよびチモロール、リシノプリルおよびアテノロール、ラミプリルおよびプロプラノロール、ラミプリルおよびチモロール、ラミプリルおよびアテノロール、トランドラプリルおよびチモロール、トランドラプリルおよびプロプラノロール、トランドラプリルおよびアテノロール、シラザプリルおよびプロプラノロール、シラザプリルおよびチモロール、シラザプリルおよびアテノロール、ベナゼプリルおよびプロプラノロール、ベナゼプリルおよびチモロール、ベナゼプリルおよびアテノロール、キナプリルおよびプロプラノロール、キナプリルおよびチモロール、キナプリルおよびアテノロール、エナラプリルおよびプロプラノロール、エナラプリルおよびチモロール、またはエナラプリルおよびアテノロールを含む。一実施形態において、ベータ遮断薬は、実質的にR-エナンチオマー形である。
【0274】
他の実施形態において、発明の全身組成物は、発明の方法において投与される、または有用であると本明細書において記載および例示された特定の薬剤の組み合わせの1つを含む。
【0275】
発明の方法のこれらの実施形態において有用である全身組成物は、任意選択で、対象に有益であり得る他の薬剤など、そのような組成物に含めることに利益があり得る1または複数の種類の追加の成分を含み得る。例えば、それらは、血管腫を治療するのに有益である、または、そうでない場合、対象の健康もしくは美容的外観に有益である1または複数の追加の活性薬剤を含み得る。
【0276】
当業者であれば、注射用組成物、錠剤、カプセル、ゲル、懸濁液、オイル、エマルジョン、スプレー、粉末、液体および同様のものを含む全身投与に好適な組成物の種類を容易に理解するであろう。一実施形態において、組成物は経口投与に好適である。好ましい実施形態において、組成物は、経口液剤として製剤される。別の実施形態において、発明は、本明細書に記載される活性薬剤(活性薬剤の組み合わせへの言及を含む)または組成物の1または複数を含む、全身投与に好適な薬剤送達デバイスを提供する。一実施形態において、薬剤送達デバイスは、発明の方法において投与される、または、有用である、本明細書において記載および例示される活性薬剤の特定の組み合わせの1つを含む。当業者であれば、全身投与のための適切な薬剤送達デバイスおよびそれらの製造のための手段を容易に理解するであろう。一実施形態において、薬剤送達デバイスは、全身投与に好適な経皮パッチである。
【0277】
当業者であれば、例えば、本明細書において記載される発明の性質、ならびに、The Handbook of Pharmaceutical Excipients、第6版、2009年、編集者:Raymond C Rose、Paul J SheskeyおよびMarian E Quinn(http://pharmama.info/wp-content/uploads/2018/10/Excipients.pdf)などの医薬品文書およびハンドブックにおいて公開される情報を考慮することにより、注射用組成物および経口組成物を含む、全身送達のための組成物を製剤するのに有用である、様々な好適な担体、賦形剤および希釈剤を容易に理解するであろう。
【0278】
全身投与に好適な組成物は、本明細書における説明を考慮することによって当業者により理解される、対象に送達される望ましい用量(本明細書の他の箇所で記載される)および薬剤の化学的性質を考慮した、任意の適量の活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニスト)を含み得る。
【0279】
しかしながら、例として、経口投与のための組成物、または、注射用組成物については、組成物に存在する活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2)の総量は、約0.001mg~約500mgまたは約1000mgであり得る。特定の実施形態において、以下の範囲、すなわち、約0.1mg~約100mg、好ましくは、約0、5mg~約20mgのACEi;約0.1mg~約150mg、好ましくは約0.5mg~約100mgのベータ遮断薬;約0.01mg~約400mg、好ましくは約0.5mg~約100mgのATIIR2アンタゴニストが経口組成物のために使用され得る。
【0280】
2種類以上の異なる薬剤が単一の組成物において組み合わされる(例えば、ACEiおよびベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2、ATIIR2およびベータ遮断薬またはACEi、ATIIR2およびベータ遮断薬)、発明の実施形態において、それらは、任意の適切な比率で組み合わされ得る。例えば、ACEiおよびベータ遮断薬は、約10:1~1:10の比率で組み合わされ得、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、約10:1~1:10の比率で組み合わされ得、または、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、約10:1~1:10の比率で組み合わされ得る。
【0281】
全身投与に有用であるACEi、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬は、本明細書における他の箇所で例示されるいずれかを含む。同様に、本明細書の他の箇所において提供される、(単一の組成物における、または、発明の方法において使用もしくは投与される)1つの化合物と別の化合物との例示的な比率が、全身組成物および送達方法に適用され得る。
【0282】
全身投与に好適な組成物は、例えば、Gennaro A R: Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Lippincott, Williams & Wilkinsなどの標準参考文献において見られ得る標準的な技法に従って製剤され得る。
投与量および投与計画
【0283】
投与される活性薬剤(ACEi、ATIIR2アンタゴニストおよび/またはベータ遮断薬)または組成物の用量、投与の期間、および、一般投与計画は、治療される血管腫のサイズおよび/または重症度、治療される血管腫の種類、血管腫の発達の段階、投与される薬剤または組成物の種類、投与経路、単位投与量のサイズ、使用される賦形剤、担体および同様のものの種類、対象の年齢および/または全般的な健康、ならびに、当業者に知られている他の要素などの変数に応じて対象間で異なり得る。当業者であれば、そのような要素および本明細書に含まれる情報を考慮して、有効量の活性薬剤を対象または血管腫に送達するのに十分で適切な用量を決定することが可能であろう。例として、重度または急速に増殖する血管腫の場合において、あまり重度でない血管腫の治療と比較して、より大きい1日用量、および/または、より長い治療期間が採用され得る。例えば、血管腫の成長が特に重度である、いくつかの場合において、発明による血管腫の局所治療は、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2を含む、血管腫の治療を補助し得る1または複数の薬剤の全身投与を用いて強化され得る。1つの特定の実施形態において、ベータ遮断薬および/またはACEiは、発明による、活性薬剤、または、活性薬剤もしくは組成物の組み合わせ、または、それを含む組成物の局所投与に加えて、全身投与される。
【0284】
投与は適宜、単回1日量、または、複数の個別の分割用量の投与を含み得る。投与計画はまた、本明細書に記載される活性薬剤、または、それを含む組成物の1または複数の投与を含み得る。
【0285】
単なる例として、ACEi、ATIIR2アンタゴニストおよび/またはベータ遮断薬、または、これらの薬剤の1つまたは組み合わせを含む組成物は、1日あたり1~10回(例えば、(好ましくは外用)適用)、好ましくは1日あたり1~5回、または、1日あたり1~3回、より好ましくは、1日あたり1または2回投与され得る。さらなる例として、治療は、約6~14月、好ましくは、血管腫の増殖期の期間にわたって行われ得る。なぜなら、これによって、病変の反跳または再成長のリスクを低減し得るからである。当業者であれば、血管腫の年齢および病変の成長速度から、血管腫の増殖期を容易に認識することが可能である。乳児血管腫の場合において、当業者は、乳児の年齢、および、病変の成長速度から、この期を容易に認識するであろう。しかしながら、単に例として、乳児血管腫については、増殖期は典型的には、最初の12月齢内に生じる。多くの場合、乳児血管腫は、最初の3月において最大サイズの80%に達し得る。
【0286】
活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト)が局所(好ましくは外用)投与される特定の実施形態において、それは、好ましくは、約0.01mg/cm~約50または約100mg/cmの個別の薬剤(血管腫のサイズを参照して測定される)の活性薬剤の1日用量を提供するために投与される。活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト)が外用投与される特定の実施形態において、それは好ましくは、血管腫病変(血管腫の位置における、皮膚、または、例えば血管腫を覆う他の組織表面への言及を含む)の表面の実質的に全体の上に組成物の薄層を形成するのに十分な量を投与される。活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト)が病巣内注射(または血管腫に隣接する組織への注射)によって局所投与される一実施形態において、それは好ましくは、約0.01mg~約50または約100mgの個別の薬剤の活性薬剤の1日用量を対象に投与される。活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト)が病巣内注射(または血管腫に隣接する組織への注射)により投与される特定の実施形態において、それは好ましくは、活性薬剤を血管腫全体にわたって実質的に均等に分配または投与するのに十分な方式で投与される。
【0287】
1つの特定の実施形態において、ACEiは、約0.01mg/cm~約100mg/cm(血管腫のサイズを参照して測定される)の1日用量を提供するように対象に外用投与される。
【0288】
1つの特定の実施形態において、ATIIR2アンタゴニストは、約0.01mg/cm~100mg/cm(血管腫のサイズを参照して測定される)の1日用量を提供するように対象に外用投与される。
【0289】
別の実施形態において、ベータ遮断薬およびACEiは対象に外用投与される。一実施形態において、ベータ遮断薬およびACEiは、約0.01mg/cm~約100mg/cm(血管腫のサイズを参照して測定)の活性薬剤の1日用量を提供するように外用投与される。1つの特定の実施形態において、投与されるベータ遮断薬の用量と比べて、より高い用量のACEiが対象に投与される。
【0290】
別の実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは対象に外用投与される。一実施形態において、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、約0.01mg/cm~約100mg/cm(血管腫のサイズを参照して測定される)の活性薬剤の1日用量を提供するように外用投与される。
【0291】
別の実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは対象に外用投与される。一実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、約0.01mg/cm~約100mg/cm(血管腫のサイズを参照して測定)の活性薬剤の1日用量を提供するように外用投与される。
【0292】
別の実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、対象に外用投与される。一実施形態において、ACEi、ベータ遮断薬、およびATIIR2アンタゴニストは、約0.01mg/cm~約100mg/cm(血管腫のサイズを参照して測定される)の1日用量を提供するように外用投与される。
【0293】
発明の実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は、約10:1~1:10の比率で局所投与され、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストは、約10:1~1:10の比率で局所投与され、または、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは、約10:1~1:10の比率で局所投与される。
【0294】
1つの特定の実施形態において、ACEiおよびベータ遮断薬は、ベータ遮断薬と比べてより大きい比率のACE阻害薬が投与されるように、対象に局所投与、好ましくは外用投与される。一実施形態において、投与されるACEiとベータ遮断薬との比率は、約1:1~約10:1である。別の実施形態において、比率は約2:1~約10:1である。他の実施形態において、組成物におけるACEiとベータ遮断薬との比率は、約3:1~約9:1、約4:1~約8:1または約5:1~約7:1である。他の実施形態において、比率は、約1:1、2;1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。他の実施形態において、ACE阻害薬と比べてより大きい比率のベータ遮断薬が投与され得る。
【0295】
特定の実施形態において、投与されるベータ遮断薬とATIIR2アンタゴニストとの比率は、約1:2~約1:10、例えば、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9または約1:10である。
【0296】
特定の実施形態において、投与されるベータ遮断薬とACEiとの比率は、約1:2~約1:9、例えば、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、または約1:9である。
【0297】
特定の実施形態において、投与されるATIIR2アンタゴニストとACEiとの比率は、約1:1、約1:5、例えば、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4または約1:5である。
【0298】
特定の実施形態において、投与されるベータ遮断薬とATIIR2アンタゴニストとの比率は、約1:2.5、約1:5、または約1:10である。
【0299】
特定の実施形態において、投与されるベータ遮断薬とACEiとの比率は、約1:2、約1:4、または約1:9である。
【0300】
特定の実施形態において、投与されるATIIR2アンタゴニストとACEiとの比率は、約1:2、約1:1または約1:4である。
【0301】
特定の実施形態において、シラザプリルおよびチモロールは、約1:1、約1:10、または約10:1の比率で局所投与され、チモロールおよびEMA401は、約1:10または約1:1の比率で局所投与され、シラザプリルおよびEMA401は、約1:10または約1:1の比率で局所投与され、シラザプリルおよびプロプラノロールは、約1:1の比率で局所投与され、ラミプリルおよびプロプラノロールは、約1:1の比率で局所投与され、または、トランドラプリルおよびチモロールは、約4:1の比率で局所投与される。他の実施形態において、本明細書における後の表6において指定される凡その比率の化合物の組み合わせが局所投与され得る。
【0302】
本明細書において前に言及されたように、一実施形態において、発明は、血管腫の進行における早期治療または介入のためのファーストインラインの方法/医薬品を提供する。発明者はまた、それは、反跳血管腫の治療のための方法/医薬品、および/または、例えば、経口ベータ遮断薬(例えばプロプラノロール)療法単独に十分に応答しない、治療が難しい血管腫のための二次治療用の医薬品を提供し得ることを考えている。病変が重度でない場合、発明は、病変の成長を管理または抑制するために、外用製剤において適用されるACE阻害薬を単独で(または一実施形態において、ATIIR2アンタゴニストを単独で)使用し得る。急速な退縮が必要であるか、またはそうでない場合、治療を強化するのに有用である場合、病変の成長を治療、管理または抑制するために、ACE阻害薬がβ遮断薬と組み合わせて使用され得る。他の実施形態において、ACEiは、ATIIR2アンタゴニストと、または、ATIIR2アンタゴニストおよびベータ遮断薬と組み合わされ得る。別の実施形態において、ベータ遮断薬およびATIIR2アンタゴニストは組み合わされ得る。別の実施形態において、病変の成長が非常に重度である、または、局所投与への治療反応が所望の程度より低い、もしくは遅い場合、発明による局所投与は、ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2などの好適な薬剤の全身投与と組み合わされ得る。一実施形態において、発明による局所投与は、ベータ遮断薬および/またはACEiの全身投与と組み合わされる。一実施形態において、それはベータ遮断薬および/またはACEiなどの薬剤の経口投与と組み合わされる。当業者であれば、本明細書に含まれる情報および血管腫の全身治療に関する公開情報を考慮することにより、全身投与の薬剤の適切な投与量および製剤を容易に理解するであろう。しかしながら、例として、プロプラノロール3.75mg/mL溶液もしくはヘマンジオル(登録商標)溶液などの経口ベータ遮断薬製剤、または、シラザプリル溶液もしくはカプトプリル溶液などの経口ACE阻害薬溶液が使用され得る。発明者は、これにより、更なる相乗的な反応を提供すると考えている。
【0303】
発明の特定の実施形態において、ベータ遮断薬、ACEiおよびATIIR2アンタゴニストの少なくとも2つの組み合わせが対象に全身投与、好ましくは経口投与される。一実施形態において、組成物は好ましくは、各個別の薬剤の約0.01mg/kg(または約0.1mg/kg)~約100mg/kgの活性薬剤の1日用量を対象に提供するように投与される。一実施形態において、ベータ遮断薬、ACEi、およびATIIR2アンタゴニストの少なくとも2つの組み合わせが、注射、例えば皮下、筋肉内、または静脈注射によって全身投与され、各個別の薬剤の約0.01mg/kg(または約0.1mg/kg)~約100mg/kgの活性薬剤の1日用量を対象に提供する。
キット
【0304】
活性薬剤(ACEi、ベータ遮断薬および/またはATIIR2アンタゴニスト)、および、それを含む組成物が、血管腫の治療のためのキットの形態で供給および使用され得る。そのようなキットは、1または複数の好適な容器における少なくとも1種類の活性薬剤、または、好ましくはその組み合わせを含む。薬剤は、対象への直接投与の用意ができた医薬組成物において製剤され得る。代替的に、キットは、1つの容器における1または複数の種類の活性薬剤、ならびに、1または複数の他の容器における医薬担体組成物を含み得、各容器の内容は、投与前に共に混合される。キットはまた、特定の適用の必要性に応じて適宜、更なる別個の容器における追加の薬剤および組成物を含み得る。更に、発明のキットはまた、キットの成分の使用および投与のための命令を含み得る。医薬組成物を保存する、および/または、投与するのに好適な任意の容器が、発明のキットにおいて使用され得る。当業者であれば、好適な容器を理解するであろう。例として、そのような容器は、バイアルおよびシリンジを含む。容器は、好適に殺菌され、密封され得る。
【0305】
SMM02を例外として、以下の例において使用されるすべての阻害薬は、Sigma Aldrich(www.sigmaaldrich.com)、AK Scientific(www.aksci.com)、MedChemExpress(www.medchemexpress.com)またはMedKoo(www.medkoo.comのいずれかから購入された。SMM02(L-159,686、(S)-1,4-ビス(N,N-ジフェニルカルバモイル)ピペラジン-2-カルボン酸)は、US5292726において以前に記載されたように合成された。
例1:乳児血管腫のin vitro細胞培養モデル
【0306】
細胞増殖に対するレニン・アンギオテンシン系阻害薬の影響を評価するために、乳児血管腫のin vitro細胞培養モデルが開発された。血管腫幹細胞を含む、増殖性乳児血管腫細胞の初代細胞株は、疾患の増殖期において患者から取得された組織生検に由来する。初代細胞株は、標準培養培地および条件を使用して、25cmのフラスコにおいて培養される。培養細胞は、追加の培地(200μL)を用いてウェルあたり2500または5000細胞の播種細胞濃度で96ウェルプレートを播種するために使用される。すべての試験は三重反復で実行される。
【0307】
ウェルへの細胞接着を可能にするために、プレートは、一晩インキュベートされる。細胞接着およびコンフルエンシーを確認するために、ウェルの写真が撮影される。その後、調査対象の適切な薬剤がウェルに添加される。24時間後、1セットのプレート(実験およびブランク)が停止される。各ウェルから培地が吸引され、潜在的な将来の解析のために冷凍保存される。培地がウェルに添加され、標準プロトコルに従って、MTT決定が実行される。これは48および72時間繰り返される。
【0308】
毎回の各薬剤濃度、および、すべての対照の三重反復のインキュベーションから、平均±標準偏差が算出される。純生存率(光学密度値)は、各細胞培養から、適切なブランク平均値を減算することによって算出される。MTTデータから、毎回の培養後の各濃度の薬剤の存在下における細胞の生存の割合が決定される。
【0309】
例2:in vitroにおける、患者から切除された増殖性乳児血管腫細胞における血管腫細胞増殖に対するベータ遮断薬およびACE阻害薬の影響
【0310】
増殖性乳児血管腫(例1)のin vitroモデルを使用して、チモロールおよびシラザプリルをそれぞれモデルベータ遮断薬およびACE阻害薬として使用して、局所投与されたベータ遮断薬およびACE阻害薬(ACEi)の影響が調査された。このモデルは、皮膚を通じて薬剤が拡散して標的細胞に達することを表す、血管腫微小環境に薬剤を直接的に局所投与するプロセスを再現する。
【0311】
単回用量のチモロールまたはシラザプリル(100μM)が、血管腫細胞および幹細胞を含む初代細胞株に添加され、その後、24、48、および72時間の時点において、MTTによって細胞生存率が評価された。驚くべきことに、チモロールと比較して、シラザプリルに対する薬物暴露の24時間後に、血管腫細胞増殖の阻害が7倍に著しく増加したことが観察された(図1)。これは、現在の既知知識、および、乳児血管腫の治療においてACE阻害薬がベータ遮断薬より有効でないことを報告する臨床試験の観察とは対照的である。さらに、これらの結果は、チモロール単独の高い局所的濃度が、血管腫組織の減衰に対してほとんど影響を及ぼさないことを示し、現在外用適用されるベータ遮断薬製品および製剤の限定的な臨床有効性をサポートする。
【0312】
シラザプリルの局所投与について見られた正の結果はまた、それがプロドラッグであるという事実に起因して、驚くべきものである。当技術分野において、ACEiプロドラッグは、肝臓生体内変換を通じた活性化を必要とすることがよく理解されている。このことは、全身投与が唯一の有効な送達手段であることを示唆する。
【0313】
興味深いことに、観察結果は、ACE阻害薬シラザプリルの単回用量が、ベータ遮断薬チモロールと比べて、IH細胞の増殖に対してより大きい阻害効果を維持する一方で、シラザプリルでは阻害効果はチモロールと一貫するが、時間と共に減衰することを示し、このことは、一定の阻害を維持することを助けるために連続投与が有益であることを示唆する。
【0314】
まとめると、このことは驚くべきことに、血管腫組織の増殖の阻害において、ACE阻害薬がベータ遮断薬より有意に効果的であることを示している。したがって、増殖性血管腫の治療において、ACE阻害薬(プロドラッグの形態のACE阻害薬を含む)は、例えば外用適用を通じて血管腫に局所適用されるとき、より有効であり得る。これらの発見は、外用ACE阻害薬製品の治療投与計画の情報を提供する。
【0315】
例3:血管腫細胞増殖に対するベータ遮断薬およびACE阻害薬の組み合わせの影響
【0316】
ベータ遮断薬およびACE阻害薬は劇的に異なる阻害プロファイルを生成したので、in vitro血管腫培養モデル(例1)ならびにシラザプリルおよびチモロールをそれぞれモデルACE阻害薬およびベータ遮断薬として使用して、増殖性血管腫細胞の阻害に対するACE阻害薬およびベータ遮断薬の組み合わせが調査された。
【0317】
シラザプリルおよびチモロールが、様々な低い薬剤濃度(0.1~10μM)で、増殖性血管腫細胞と共にインキュベートされ、薬剤:薬剤比率は1:1および10:1、単回投与または1日1回投与のいずれかであり、血管腫細胞濃度は、2500または5000細胞/ウェルであった。細胞生存率が、MTTを用いて、24、48、および72時間の時点で評価された。
【0318】
驚くべきことに、シラザプリルおよびチモロールの組み合わせは、より大きく長期的な血管腫細胞増殖の阻害を生じさせ、これは、より低い薬物濃度、特に、1日1回投与で実現できる(図2、5000細胞/ウェル)。さらに、より低い薬物濃度(10μM)でも、より高い初期細胞濃度(5000細胞/ウェル)で血管腫細胞増殖の長期的で著しい阻害が実現された。これは、単剤で実現されなかった。
【0319】
まとめると、これらの結果は、ACE阻害薬とベータ遮断薬との組み合わせは、増殖性血管腫の減衰において、実質的により効果的であることを示し、この疾患のための効果的な外用治療の製造のための情報を提供する。
【0320】
例4:複数の患者細胞株にわたる血管腫細胞増殖に対するACE阻害薬、ベータ遮断薬、およびアンギオテンシン受容体遮断薬の組み合わせの影響
【0321】
例1~3に記載される調査に加えて、2~10月齢の5人の患者から取得された患者生検に由来する複数の増殖性血管腫細胞株にわたる血管腫細胞増殖に対するベータ遮断薬、ACE阻害薬、およびアンギオテンシンII 1型(AT1)および2型(AT2)受容体阻害薬の阻害効果が確認された(表2)。
表2
【表2】
*複数の実験の結果
【0322】
実験プロトコルは例1に従って実行された。簡潔には、細胞は、各薬剤および薬剤の組み合わせについて、三重反復で、2500細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種された。薬剤は、播種の24時間後に各ウェルに添加され、24時間ごとに再投与された。細胞生存率が、24、48および72時間後にMTTアッセイによって評価された。すべてのプレートが三重反復で実行された。表3に記載されるように、薬剤が単独で、および、組み合わせて評価された。チモロールがモデルベータ遮断薬(BB)として使用され、シラザプリルがモデルACE阻害薬(ACEi)として使用され、ロサルタンがモデルアンギオテンシンII 1型受容体阻害薬(AT1Ri)として、EMA401およびSMM02(L-159686)がモデルAT2Riとして使用された。72時間の時点における結果の概要が表4に示される。
表3
【表3】
表4
【表4】
【0323】
5つの患者由来血管腫細胞株すべてが、ベータ遮断薬(チモロール、図3)、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(シラザプリル、図4)、アンギオテンシンII 2型受容体阻害薬(EMA401(図5および図6)およびSMM02(図7および図8)の適用によって有意に阻害されたが、アンギオテンシンII 1型受容体阻害薬(ロサルタン、図9)の適用によって有意に阻害されなかった。細胞だけ、ならびに、細胞および適切な薬剤候補を溶解するのに使用されるアジュバントを含む対照ウェルは、細胞生存率の変化を示さなかった(図10)。さらに、ベータ遮断薬(チモロール)およびアンギオテンシン変換酵素阻害薬(シラザプリル)(図11)、ベータ遮断薬(チモロール)およびアンギオテンシンII 2型受容体阻害薬(EMA401(図12)およびSMM02(図13))、ならびに、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(シラザプリル)およびアンギオテンシンII 2型受容体阻害薬(EMA401(図14)およびSMM02(図15))の組み合わせは、単剤単独の使用より優れ、相乗作用を通じて増殖性血管腫細胞に対する阻害効果を強化しているように見えることが分かった。組み合わせは、単剤の使用と比較して、同一またはより低い用量で、より良い反応を生じさせる。
【0324】
図3図15は、単剤、または、薬剤の組み合わせのいずれかで治療したときの平均的な反応、および、増殖期の間の異なる患者に由来する5つの原発性血管腫細胞株間の反応の変動の両方を示す。特にチモロールの場合、反応の変動の程度は、経口もしくは外用ベータ遮断薬療法または経口ACE阻害薬で治療されたときの患者間で臨床的に観察される変動を反映する。しかしながら、全体として、結果(図3から図15)は、様々な薬剤の組み合わせについて相乗効果が観察され、薬剤の組み合わせを用いた治療は、1μM以上の濃度が使用されるとき、原発性血管腫細胞株間でより一貫した反応を有する必要があることが観察されたことを示す。さらに、各薬剤の阻害効果は時間と共に改善し、複数を使用することが有利であり得ること、または、1日用量が患者を治療し得ることを示唆する。このことは、各患者由来細胞株間の反応の大きい変動を示す24時間の時点において特に明らかである。負の阻害値(異なる時点においていくつかの細胞株について、または、最低濃度の薬剤(1μM)が使用されるときに観察される)は、ゼロまたは無視できる阻害効果として解釈されるべきであることに留意されたい。
【0325】
例5:血管腫細胞増殖に対するR-およびS-ベータ遮断薬と、ACE阻害薬、ベータ遮断薬との組み合わせの調査
【0326】
ACE阻害薬およびベータ遮断薬を単独で、および、組み合わせて使用して、更なる調査が実行され、低い個々の濃度におけるそれらの影響を確認し、異なるベータ遮断薬エナンチオマーの影響を調査した。
【0327】
実験プロトコルは例1に従って実行された。簡潔に説明すると、細胞は、各薬剤および薬剤の組み合わせについて三重反復で、2500細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種された。薬剤は、播種の24時間後に各ウェルに添加され、24時間ごとに再投与された。細胞生存率が、24、48および72時間後にMTTアッセイによって評価された。すべてのプレートが三重反復で実行された。薬剤は、1~30μMの濃度で、単独で、および組み合わせて評価された(図16図18)。チモロールおよびプロプラノロールは、モデルベータ遮断薬およびシラザプリルをモデルACE阻害薬として使用された。
【0328】
単独の、および、シラザプリルと組み合わせたR-チモロール、S-チモロール、R-プロプラノロール、S-プロプラノロールおよびR/S-プロプラノロールの影響が調査された。R-およびS-プロプラノロールは、特に1~5μMの低濃度において、血管腫細胞増殖の減衰について、R-およびS-チモロールより優れていることが分かった。しかしながら、驚くべきことに、増殖性血管腫細胞を阻害する能力に関して、R-ベータ遮断薬とS-ベータ遮断薬との間には差がほとんど無いことが分かった(図16)。また、驚くべきことに、個別の異性体、R-およびS-プロプラノロールは単独で、ヘマンジオル(登録商標)という商品名の全身療法を必要とする増殖性乳児血管腫の治療のために現在処方されるラセミ混合物と同様に効果的であることに留意されたい。チモロールおよびプロプラノロールのR-エナンチオマーは、S-エナンチオマーと同程度に血圧に対する影響を及ぼさないので、これは重要な発見である。
【0329】
その後、血管腫増殖に対する、ACE阻害薬と組み合わせたベータ遮断薬エナンチオマーの影響が調査された。シラザプリルは例示的なACE阻害薬として使用された。ベータ遮断薬とシラザプリルとの組み合わせは、増殖性血管腫細胞の阻害に対して、個別の薬剤より大きい影響を提供した(例えば、図17図18、72時間を参照)。R-チモロール/シラザプリルおよびS-チモロール/シラザプリルの組み合わせは、R-プロプラノロール/シラザプリル、S-プロプラノロール/シラザプリル、およびR/S-プロプラノロール/シラザプリルの組み合わせと同様の効力を示した。R-ベータ遮断薬とACE阻害薬との有益な治療の影響は、驚くべきものであり、これらの薬剤が心臓血管の副作用のリスクを増加させることなく組み合わされ得ることを示すので、臨床的に重要な所見である。
【0330】
例6:増殖性血管腫の阻害についての、ACE阻害薬、ベータ遮断薬およびアンギオテンシンII 2型受容体遮断薬の組み合わせの間の相乗効果
【0331】
ACE阻害薬、ベータ遮断薬およびアンギオテンシンII 2型受容体遮断薬の組み合わせを使用して増殖性血管腫細胞を阻害するための試験が実行された。これらの薬剤の単独および組み合わせによる血管腫細胞増殖の阻害は、増殖期における生検を介して取得された複数の患者に由来する原発性血管腫細胞株(n=9)を使用して、広範な調査において確認された。各細胞株に関連する患者の病歴は表5に記載される。
表5:初代細胞培養に使用される患者生検の履歴
【表5】
*複数の実験の結果
【0332】
実験プロトコルは例1に従って実行された。簡潔に説明すると、細胞は、各薬剤および薬剤の組み合わせについて三重反復で、2500細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種された。薬剤は、播種の24時間後に各ウェルに添加され、24時間ごとに再投与された。細胞生存率が、24、48および72時間後にMTTアッセイによって評価された。すべてのプレートが三重反復で実行された。表6に記載されるように、薬剤は単独で、および、組み合わせて評価された。プロプラノロールはモデルベータ遮断薬として、シラザプリルはモデルACE阻害薬として、SMM02(L-159686)はモデルAT2Riとして使用された。半有効方程式および質量作用の法則を使用して組み合わせ指数を生成する相乗および拮抗作用を定量化するためのCompuSynオープンソースソフトウェアプロトコル(www.compusyn.com)を使用して相乗効果が測定された。相乗作用、相加作用、および拮抗作用がそれぞれ、CI<1、CI=1、CI>1として定義される。
【0333】
ACE阻害薬シラザプリルならびにベータ遮断薬R-プロプラノロールおよびS-プロプラノロールは、1~10μMのすべての細胞株にわたる典型的な用量反応を示した(例えば、図19、72時間を参照)。興味深いことに、AT2RアンタゴニストSMM02は、すべての細胞株で、非線形的な用量反応を示し、観察された阻害の程度の差は、2.5μM~10μMとわずかであった。このことは、むしろ「閾値」または「飽和」作用を示唆し、ここで、最大阻害は、最低濃度が実現されたときに実現できる。さらに、治療が2.5μMの閾値濃度の上で生じるとき、単剤としてAT2RアンタゴニストSMM02を用いる細胞の治療は、すべての患者細胞株にわたって、他の薬剤より一貫した阻害反応を示す。これらの結果は、例4の観察と一貫する(図3図8)。
表6:試験された薬剤の組み合わせ、濃度および比率
【表6】
【0334】
一般に、阻害の組み合わせ(シラザプリル+SMM02;シラザプリル+R-プロプラノロール;シラザプリル+S-プロプラノロール;R-プロプラノロール+SMM02;およびS-プロプラノロール+SMM02)はすべて、特に、より低い濃度の薬剤が使用されたとき(例えば、図19図26、72時間を参照)、単剤の対応する濃度と比べて、より高いレベルの阻害を示した。驚くべきことに、阻害薬の組み合わせはまた、異なる患者由来細胞株間で、より一貫したレベルの阻害を示した。対照的に、単剤を用いた阻害は、細胞株間でより高い程度の変動を有する傾向がある。これらの結果は、血管腫の外用治療のための効果的な固定用量配合剤療法の開発に情報を提供する独自の知見を提供し、例3の観察と一貫している(図3図15)。
【0335】
驚くべきことに、すべての組み合わせ(SMM02/シラザプリル、R/S-プロプラノロール/シラザプリル、R-プロプラノロール/シラザプリル、S-プロプラノロール/シラザプリル、R/S-プロプラノロール/SMM02、R-プロプラノロール/SMM02、およびS-プロプラノロール/SMM02)が、in vitroにおいて、増殖性血管腫細胞の相乗的阻害を示した(図27図31)。このことは、72時間の時点(時間と共に複数の用量が対象に投与される、可能性のある臨床状況を表す)、および、低い個々の濃度において、もっとも明らかである。
【0336】
ACE阻害薬、ベータ遮断薬、およびAT2受容体阻害薬が使用されるときに増殖性血管腫を阻害するための相乗的治療効果の実証は、重要な発見であり、乳児血管腫の治療のための著しい利益を提供し得る。特に重要なのは、R-プロプラノロールおよびシラザプリル、ならびに、R-プロプラノロールおよびAT2受容体阻害薬(例えば、SMM02またはEMA401)の組み合わせである。R-プロプラノロールおよびACE阻害薬の前者の組み合わせは、乳児血管腫の治療において相乗的利益を付与し得、治療に必要な投与量を低減し、心臓血管の副作用の可能性を最小化する。R-プロプラノロールおよびAT2受容体阻害薬(例えば、SMM02またはEMA401)の後者の組み合わせは、何らかの心臓血管の副作用を生じさせることなく、低用量で相乗的治療効果を付与し得る。R-プロプラノロールまたはAT2受容体阻害薬のいずれも、血圧を著しい程度に調節しないことが知られているからである。
【0337】
シラザプリルおよびプロプラノロールの組み合わせを含むこれらの組み合わせはまた、有意に程度が増加した阻害を提供し、これは、単剤の使用と比べて、個別の患者細胞株の間で一貫性が高かった。これらの観察に基づき、発明者は、ACE阻害薬およびベータ遮断薬の組み合わせ、AT2アンタゴニストまたはベータ遮断薬の組み合わせ、ならびに、AT2アンタゴニストおよびACE阻害薬の組み合わせは、ベータ遮断薬単独と比べて、より効果的な治療を提供し、患者集団において、より一貫した反応を提供し得ると考えている。これは特に、小さい血管腫が大きい血管腫に進行することにより永久的に外観を損ない、生命または機能を脅かし、侵襲的な全身もしくは外科的治療、または反跳血管腫もしくは単独のベータ遮断薬療法に完全に反応しない血管腫の二次治療が必要となることを防止するための外用療法としてのファーストライン治療として有用であり得る。
【0338】
実験7:増殖性血管腫細胞株に対する異なるACEiおよびBBの影響の調査
【0339】
ACE阻害薬シラザプリルならびにベータ遮断薬プロプラノロールおよびチモロールを含む薬剤の組み合わせを用いて観察された増殖性血管腫細胞の相乗的阻害に起因する、増殖性血管腫細胞の阻害に対する異なるACEおよびBBの影響を調査するための試験が行われた。
【0340】
実験プロトコルは、増殖期中の個別の患者からの生検に由来する1つの原発性血管腫細胞株を使用して、例1に従って実行された。簡潔に説明すると、細胞は、各薬剤および薬剤の組み合わせについて三重反復で、2500細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種された。薬剤は、播種の24時間後に各ウェルに添加され、24時間ごとに再投与された。細胞生存率が、24、48および72時間後にMTTアッセイによって評価された。すべてのプレートが三重反復で実行された。試験において使用されたベータ遮断薬は、(±)プロプラノロール、R-プロプラノロール、S-プロプラノロール、チモロールおよびベタキサロールである。試験において使用されたACE阻害薬は、シラザプリル、ラミプリル、トランドラプリル、エナラプリル、リシノプリルおよびキナプリルである。結果の概要が表7および図32図33において提供される。
【0341】
ラセミ混合物または単一のエナンチオマーのいずれかである、ベータ遮断薬チモロールおよびプロプラノロールは、一貫したレベルの阻害(45%~57%阻害)を示した。しかしながら驚くべきことに、ベータ遮断薬ベタキソロールは、低(1μM)または高(10μM)濃度において反応を示さなかった(図32、表7)。理論によって拘束されることを望まないが、発明者は、阻害における差は、受容体選択性の差に起因すると考えている。チモロールおよびプロプラノロールの両方は、非選択的ベータ遮断薬であるのに対し、ベタキソロールはベータ選択的ベータ遮断薬である。
【0342】
ACE阻害薬シラザプリル、ラミプリル、トランドラプリル、エナラプリルおよびキナプリルも、増殖性血管腫細胞に対する、良好で同様なレベルの阻害を示した(図33、表7)。興味深いことに、これらのACE阻害薬はすべて、通常は経口摂取後の初回通過代謝によって生成される活性代謝物のエチルエステルプロドラッグである。さらに、各ACE阻害薬のエチルエステルプロドラッグ体は、活性カルボン酸代謝産物と比較されるとき、ACEに対して、より低い化学的親和性を有することが一般的に理解される。対照的に、非プロドラッグACE阻害薬リシノプリルは、増殖性血管腫細胞に対して影響が無かった(図33、表7)。ACE阻害薬の非プロドラッグ形態を使用することにより、より良好な、または、少なくとも等しい影響を生成するはずなので、これは驚くべき結果である。
【0343】
これらの結果は、本発明を実施するために、または少なくとも最適な結果を生じさせるために、非選択的ベータ遮断薬およびプロドラッグ形態のACE阻害薬が好ましいことを示唆する。さらに、ベータ遮断薬プロプラノロールおよびチモロール、それらの個別のエナンチオマー、ならびに、ACE阻害薬シラザプリル、ラミプリル、トランドラプリル、キナプリルおよびエナラプリルは、同等の効力を示すので、発明者は、これらの薬剤の組み合わせを交換することによって、同等に発明を実施できると考えている。
【0344】
表7:結果の概要:72時間の時点における増殖性血管腫細胞の阻害に対する異なるベータ遮断薬およびACE阻害薬の影響。
【表7】
例8:皮膚浸透スクリーニングのためのin vitroモデルシステムを確立する。
【0345】
ベータ遮断薬およびACE阻害薬の皮膚浸透および皮膚吸収の能力を示すために一連の実験が行われた。まず、ドナーおよびレシーバチャンバからなるカスタムビルドのフランツ拡散セル(図34のA)が組織内で構築され、生理的状態を模倣するように温度を制御することを可能にするためにウォータージャケットが備え付けられた。ヒトの皮膚の浸透性を模倣する合成メンブレンであるStrat-M(登録商標)メンブレンを使用して一次スクリーニング調査が実行された。このモデルシステムは、切除された動物皮膚に対して実行される後続の浸透試験の成功を増加させるためのスクリーニング手段として使用された。
【0346】
システムは、皮膚浸透特性が低い水溶性蛍光色素カルボキシフルオレセインの浸透を調査することによって検証された。カルボキシフルオレセインの溶液(100mM、20mM NaHPO、pH7.4、2mL)がドナーチャンバに適用され、120時間の期間にわたって、レシーバチャンバの蛍光がモニタリングされた。この時間の期間にわたって、皮膚モデルメンブレンを通じた水性カルボキシフルオレセインの浸透は観察されなかった(図34のB、ひし形)。比較として、カルボキシフルオレセインは、80:20mol%の比率の大豆ホスファチジルコリン(ホスフォリポン(登録商標)90G)およびポリソルベート80のリン脂質膜組成物を用いて変形性リポソーム内にカプセル化された。リポソームは、メンブレン成分(20mM全濃度;ホスフォリポン90G、およびポリソルベート80;80:20mol%の比率)をクロロホルムに溶解し、溶媒を真空中で除去して薄い脂質膜を形成することによって調製された。膜は、カルボキシフルオレセイン溶液(100mMカルボキシフルオレセイン、20mM NaHPO、pH7.4)を用いて再水和され、100nmポリカーボネート膜を通じて押出され、カルボキシフルオレセインをカプセル化する100nm変形性リポソームを生成した。カプセル化されていないカルボキシフルオレセインは、リン酸塩緩衝液に対する透析を介して除去された(20mM、pH7.4)。低濃度(<1mM)においても、カルボキシフルオレセインをカプセル化する変形性リポソーム製剤は、同一の期間にわたって、Strat-M(登録商標)皮膚モデルメンブレンを越えるカルボキシフルオレセインの浸透を劇的に加速させた(図34のB、正方形)。
【0347】
さらに、0.5%カルボキシフルオレセインを含むエマルジョンゲル製剤が製剤され、浸透システムにおいて試験された。製剤は表8に記載される。カルボマーは水およびカルボキシフルオレセインと組み合わされ、分散された。有機成分は組み合わされ、完全に混合された。有機相は次に、水相と組み合わされ、ホモジナイズされ、その後、ゲル化を開始するためにアンモニア溶液が添加された。
【0348】
カルボキシフルオレセインエマルゲル(2mL)は、Strat-M(登録商標)メンブレンを備えるフランツ拡散セルのレシーバチャンバに配置され、メンブレンを越えるフルオレセインの浸透が経時的にモニタリングされ、蛍光分光法によって定量化された。製剤は、合成Strat-M(登録商標)メンブレンシステムにおいて、急速な浸透の特徴を示し、カルボキシフルオレセインの流動は4.6μg cm-1hr-1であった(図34のC)。これは、ボルタレン(登録商標)エマルゲルを使用するとき、ヒトの皮膚の厚さ全体を越えるジクロフェナクの流動と同等である。
【0349】
まとめると、ヒトの皮膚を越える薬剤の浸透を決定するためのin vitroアッセイシステムが確立され、検証された。さらに、エマルジョンゲル製剤は、活性薬剤の強化された浸透を示す。
表8:カルボキシフルオレセインを含むエマルジョンゲルの例
【表8】
例9:ベータ遮断薬およびACE阻害薬の外用適用のためのエマルジョンゲル製剤
【0350】
イチゴ状血管腫に対するβ遮断薬およびACE阻害薬の外用適用のための製剤の範囲が調査された(下の表9)。製造の容易性、初期安定性、および医薬品有効成分(API)適合性の観点からもっとも成功するのはエマルジョンゲル製剤である。製剤は、カルボマー(カーボポールウルトレッツ10または30)をゲルベースとして、イソプロピルアルコールおよびプロピレングリコールを皮膚浸透促進剤として、流動パラフィンをオイル相として、ココカプリル酸を軟化剤として使用する。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、およびキトサンを含む他のゲルベースが試験された。しかしながら、これらは、ゲル化とは反対に、粘度を増加させるようにだけ作用する傾向がある。
【0351】
単純な手順を利用する、ゲルの調製へのスケーラブルなルートが確立された(図35のA)。まず、APIは水に溶解され、水相を生成し、その後、カルボマーゲルがこれに分散される。有機成分、すなわち、パラフィン液、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ココカプリル酸およびポリソルベート80は組み合わされ、完全に混合され、有機相を生成した。有機相は次に、水相に徐々に追加され、高せん断ホモジナイザを使用して完全に混合され、均質なエマルジョンを形成する。最終段階は、アンモニアまたは水酸化ナトリウムなどの塩基を添加して混合物を中和しゲル化を引き起こすことを伴う(図35のB)。ゲルの光学顕微鏡検査が3月後に実行され、安定的なエマルジョン(図35のC)を示し、サンプルのフリーズフラクチャ透過型電子顕微鏡は、直径約0.5~2μmのエマルジョン滴を示す(図35のD)。
表9:ベータ遮断薬およびACE阻害薬の外用製剤の例
【表9】
【0352】
基本的なゲル剤型は、以前に記載された同一の製剤を使用して、ACE阻害薬エナラプリルおよびリシノプリル、ならびに、β遮断薬プロプラノロールを用いて試験された。両方のACE阻害薬は、有機相の追加の前に、薬剤を水相に溶解させることによって容易に製剤され得る。しかしながら、0.5~1wt%プロプラノロールを含むことにより、最終の塩基化段階において、ゲル化とは反対に、析出を生じさせた。5:1のシクロデキストリン:プロプラノロールの質量比率で2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むことにより、この影響を阻害し、安定的なゲル形成を可能にすることが分かった。さらに、プロプラノロールの析出を防止するために2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが含まれていれば、リシノプリルおよびプロプラノロールは、1wt%の濃度で共に製剤され得る。これらの製剤はまた、チモロール、ナドロール、ピンドロール、ソタロール、アテノロール、ベタキソロロール、ラミプリル、ラミプリラト、キナプリル、キナプリラト、カプトプリル、トランダロプリル、トランダロプリラット、エナラプリル、エナラプリラト、シラザプリル、シラザプリラト、ベナゼプリルおよびベナゼプリラトを含む、ある範囲の他のベータ遮断薬およびACE阻害薬に適している。
【0353】
まとめると、ある範囲の外用クリームおよびエマルジョンゲル製剤が製剤、製造および試験された。これは、単剤として単独の、ならびに、ベータ遮断薬およびACE阻害薬の組み合わせの両方の外用適用に好適なベータ遮断薬およびACE阻害薬の両方が安定な組成物において製剤できるという重要な実証である。
【0354】
例10:ベータ遮断薬およびACE阻害薬の外用適用のためのリポソームゲル製剤
【0355】
ACE阻害薬およびβ遮断薬の適用のためのエマルジョンゲルの製剤に加えて、変形性リポソームおよびそれらの外用ゲルベースにおける取り込みも、製造するためのスケーラブルなルートと共に開発された。薬剤カプセル化および変形性の両方の観点から最適であることが分かっている80:20の大豆ホスファチジルコリンおよびポリソルベート80の脂質組成物が使用された。リポソーム生産の能力を増加させるために、カスタムビルドされた大容量圧力押出機(図36のA)が開発された。この方法は、良好なサイズ制御および多分散性で、ランあたり最大60mL(対照的に、手動押出の場合は1mL/ラン)のリポソームバッチサイズを再現可能に生じさせた(図36のAおよびB)。
【0356】
イチゴ状血管腫に外用適用できるゲル形態で変形性リポソームを製造するために5段階の手順が開発された(図37のA)。まず、変形性リポソームの脂質成分、すなわち大豆レシチンおよびポリソルベート80がイソプロピルアルコールに溶解され、一方でAPI(ACE阻害薬、β遮断薬またはそれらの組み合わせ)が、pH7.4まで緩衝されたリン酸ナトリウムを含む水溶液に溶解された。有機相は、撹拌しながら徐々に水相に添加され、その後、カスタムビルドされた大容量圧力押出機を使用して100nmのメンブレンを通じて押出された(図36のA)。押出されたリポソーム懸濁液は、カルボマーの懸濁液と組み合わされて0.2~1.5wt%の範囲の最終カルボマー濃度を生じさせ、完全に混合されて均質な製剤を生じさせ、その後、水酸化ナトリウム、アンモニアまたはジエチルアンモニアなどの塩基の添加によりゲル化された(図37のB)。ゲルの形態を調査するために、凍結割断透過型電子顕微鏡法がゲルサンプルに対して実行され、ゲルマトリックス内に埋め込まれた約100~300nmのリポソームが明らかになった(図37のC)。
【0357】
まとめると、外用適用に好適な変形性リポソームゲルの製造へのスケーラブルなルートが開発された。これらの製剤および方法は、単剤として単独で、または組み合わせて、ベータ遮断薬およびACE阻害薬およびATIIR2アンタゴニストなどの広範なレニン・アンギオテンシン系阻害薬の含むために好適である。
例11:皮膚を通じて送達されるベータ遮断薬およびACE阻害薬の検出
ACE阻害薬リシノプリルの蛍光検出
【0358】
質量分析法による検出の制限が高すぎてin vitro皮膚浸透試験に有用でないので、蛍光分光法によってリシノプリルの浸透の定量化が試みられた。化学官能化、したがってin vitro定量的検出の容易性に起因してリシノプリルがモデルACE阻害薬として選択された。
【0359】
弱アルカリ条件において、一般的にはアミノ酸およびペプチドにおける第1級アミンと容易に反応して安定かつ高蛍光性のコンジュゲートを形態する非蛍光性スピラン化合物であるフルオレスカミンを使用してアッセイが開発された(図38のA)。蛍光強度とリシノプリル濃度との間の再現可能な線形関係が実現でき(図38のB)、検出限界は0.1μg/mLであり、フランツ拡散実験のレシーバチャンバにおけるリシノプリルの定量化には十分であった。したがって、レシーバチャンバ溶液のサンプルがアルカリ性緩衝液およびフルオレスカミンのアセトン溶液と組み合わされて既知の量のリシノプリルと比較されるプロトコルが開発された。
【0360】
解析のための手順は、説明されるように開発された。まず、以下の溶液が調製された。
・アセトンにおける0.2mg/mLフルオレスカミン
・脱イオン水における0.1mg/mLリシノプリル溶液
・0.1Mホウ酸緩衝液、pH9.5
・pH7.4 20mm NaHPO緩衝液(浸透実験において使用)および
・一連の清潔で乾燥した10mLのメスフラスコ
【0361】
蛍光標準曲線(図9のB)が以下の手順で調製された。各10/mLのメスフラスコに、以下を添加した。
1. 0.5mLのホウ酸緩衝液
2. 0、10、20、40、60、80、100μLの0.05mg/mLリシノプリル溶液
3. 0.6mL-V(リシノプリル溶液を添加)のpH7.4リン酸塩緩衝液
4. 1mLのフルオレスカミン溶液および
5. 最大10mLを作るのに十分なエタノール
6.10分待った後に、390nmの励起波長および487nmの発光波長を使用する蛍光分光法を介して蛍光強度を測定する。
【0362】
当該手順は、段階2および3を、所望される時点において0.6mLのレシーバ溶液と置き換えることによって、フランツ拡散セルのレシーバチャンバにおけるリシノプリルの定量化のために修正される。
【0363】
まとめると、ACE阻害薬リシノプリルの高感度かつ再現可能な検出のために蛍光アッセイが開発された。このアッセイは、皮膚および皮膚モデルメンブレンを通じたACE阻害薬の浸透を定量化および確認するのに有用であった。
例12:皮膚を通じた外用リポソームおよびエマルゲル製剤からのリシノプリルの送達
【0364】
リシノプリルリポソームゲルおよびリシノプリルエマルゲル製剤の浸透の特徴は、リシノプリルの定量化のために開発された蛍光アッセイと組み合わせたフランツ拡散アッセイシステムを使用して評価された。化学官能化、したがってin vitro定量的検出の容易性に起因してリシノプリルがモデルACE阻害薬として選択された。
【0365】
フランツ拡散セルのウォータージャケットは、これらの実験のために、生理温度(摂氏37度)で維持された。ヒトの皮膚の浸透性を模倣する合成メンブレンであるStrat-M(登録商標)メンブレンを使用して浸透実験が実行された。メンブレンは、拡散に抵抗性がある2層のポリエーテルスルホン(PES)と、その下のより開放的で拡散可能なポリオレフィン層とから構成される。これらの高分子層は、メンブレンを横断する方向に孔サイズおよび拡散率の勾配を有するポーラス構造を生じさせ、メンブレンは、追加的に皮膚のような特性を生じさせるために、合成脂質の独自の配合を更に含む。皮膚壊死に起因してレシーバ溶液において生じる混入物を含む任意の第1級アミンの合併症を最低限に抑えるために、および、当該結果を、1%カルボキシフルオレセインを含むエマルジョンゲルを使用する早期浸透試験と比較することを可能にするために、モデルシステムが使用された。変形性リポソームゲル製剤は、5.6μg cm-2hr-1の速度で、モデルメンブレンを越えるようにリシノプリルを輸送することが可能であることが観察された(図39のB)。APIジクロフェナクの場合に急速吸収のために知られている商業的に利用可能なゲル製剤であるボルタレン(登録商標)(ジクロフェナク)エマルゲルと組成が同様である1%リシノプリルエマルゲルを使用して、5.3μg cm-2hr-1の同等な浸透速度が観察された(図39のB)。
【0366】
比較すると、同様の組成の1%カルボキシフルオレセインエマルゲルを使用する我々の以前の調査の結果、4.6μg cm-2 hr-1の浸透速度が生じた。しかしながら、変形性リポソームゲルおよびエマルゲルからのリシノプリル拡散について、それぞれ約30時間および約37時間の長い遅延時間が観察され、一方、同一のin vitroシステムにおいて、カルボキシフルオレセインの浸透について、約5時間の遅延時間が観察された。リシノプリルおよびカルボキシフルオレセインは両方とも、同等の溶解性および分子量(pH7.4で100mg/mL以上、それぞれ、376g/mol、405g/mol)ので、長期の遅延時間は、親油性の差に起因する可能性がある(カルボキシフルオレセインおよびリシノプリルのlogPはそれぞれ、2.9および-1.01)。リシノプリルは、非常に強力で、長期的に作用するACE阻害薬であるので、発明者は、このモデルシステムにおいて観察されるin vitroの遅延時間は、臨床的に有意である可能性は低いと考えている。しかしながら、このことは、他の非常に強力なACE阻害薬(ラミプリル、トランドラプリル、シラザプリルおよびキナプリルなど)であって、経皮輸送のためのより好ましい親油性(それぞれ、2.9、3.5、0.8および3.2のlogP)を有するものが、血管腫の治療のための外用クリームの製剤におよびエマルジョンゲルシステムに好ましいことがあり得ることを示す。
【0367】
まとめると、本明細書の結果は、リシノプリル、モデルACE阻害薬が、ヒトの皮膚モデルメンブレンを通じて効果的に輸送され得ることを示す。エマルジョンゲルおよび変形性リポソームゲル製剤の両方は、同様の拡散速度を生じさせ、薬物拡散の速度は主に、製剤における薬剤の濃度に関連することが示された。さらに、リシノプリル、水溶性ACE阻害薬で観察された遅延時間(logP -1.01)は、水溶性カルボキシフルオレセイン(logP 2.9)より大きく、このことは、より好ましい親油性を有する他のACE阻害薬が、外用適用中の急速吸収により適切であり得ることを示唆している。全体として、これらの結果は、乳児血管腫など、皮膚状態の治療に好適なACE阻害薬の外用組成物の設計に関して情報を提供する。
例13:皮膚モデルメンブレンを通じたプロプラノロールのin vitro浸透
【0368】
ACE阻害薬とベータ遮断薬との組み合わせは、血管腫細胞増殖の減衰における著しい改善を生じさせることが実証されたので、皮膚を通じたベータ遮断薬の浸透速度を確認するための調査が行われた。プロプラノロールは、紫外可視分光法によって正確かつ急速に定量化できるので、モデルベータ遮断薬として選択された。
【0369】
0.5、0.05、0.025、0.0125、0.00625mg/mLの濃度範囲を生じさせる連続希釈時に、プロプラノロール溶液(0.5mg/mL、20mM NaHPO、pH7.4)の288nmにおける吸光度を測定することによってプロプラノロールの標準曲線が構築された。希釈系列は、吸光度との線形相関を生じさせ、相関係数(R)は0.99791であった(図40のA)。
【0370】
その後の浸透試験のために、下の表10に従って、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む1%プロプラノロールエマルジョンゲルおよび1%プロプラノロールクリームが製剤された。
【0371】
簡潔に説明すると、1%プロプラノロールエマルジョンゲルは、適切な割合の有機成分(イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ココカプリル酸、流動パラフィン、ポリソルベート80)を組み合わせることによって製造された。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは水成分に溶解され、その後、塩酸プロプラノロールも溶解された。カルボマーは次に、プロプラノロール水溶液において分散され、それに対して、激しい混合/ホモジナイズを用いて有機相が組み合わされた。その後、pH6~7を達成して溶液がゲルを形成するまで、撹拌しながら液滴の水酸化ナトリウム(1M溶液)が添加された。
【0372】
1%プロプラノロールクリームは以下の手順で製造された。
1.セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60およびミリスチン酸イソプロピルを好適な容器において組み合わせ、混合しながら摂氏65~70度に加熱した。
2.次に、プロピルパラベンが混合物に追加され、摂氏65~70度の温度を維持しながら、完全な溶解を確実にするために混合された。
3.トランスクトールPが別の容器に追加され、摂氏60~65度に加熱され、これに塩酸プロプラノロールが添加され、溶解してスラリーを形成するまで混合された。
4.これは次に、摂氏60~75度で、段階2からの融解有機混合物と組み合わされた。
5.混合器を有する加熱された容器に精製水を添加する。摂氏65~70度に加熱しながら撹拌する。EDTAを添加して、溶解するまで混合する。メチルパラベンを添加し、溶解するまで混合する。温度を摂氏65~70度に維持する。
6.水相および有機相を組み合わせ、温度を摂氏65~70度に維持しながら、高せん断ホモジナイズを用いて、30分間ホモジナイズする。好ましくは、これは真空下で行われる。
7.1M水酸化ナトリウムを用いて、摂氏25度で測定されるpHを5~5.6に調節し、続いて、各添加の間に5分間ホモジナイズする。
8.最終溶液を保管のために適切な容器に移す。混合物は時間と共に濃くなり、半固体クリーム状物質(consistency)を形成する。
【0373】
in vitroにおける皮膚モデルメンブレンを通じたプロプラノロールの浸透が評価された。2mL体積の適切なビヒクル(クリーム対エマルジョンゲル)がフランツ拡散セルのドナーチャンバに配置され、レシーバチャンバにおけるプロプラノロールの濃度が、60時間以上の頻繁な時間間隔で紫外可視分光法によって決定された。エマルジョンゲルビヒクルからのプロプラノロールの浸透は、クリームビヒクルからの浸透より高い速度で生じた(図40のBおよび図40のC)。このことは、エマルジョンゲルビヒクルが、より大きい、より高い程度の速度でベータ遮断薬の吸収を促進していることを示している。1%プロプラノロールエマルジョンゲルと、濃度1%のACE阻害薬リシノプリルを含むエマルジョンゲルとの比較も行われた。同様の速度の薬剤流動が、プロプラノロールおよびリシノプリルサンプルから明らかである。しかしながら、ベータ遮断薬の浸透は、ACE阻害薬より急速に生じ、遅延時間がほとんど無いことを示している(図40のD)。
【0374】
まとめると、皮膚メンブレンを越えるベータ遮断薬プロプラノロールの浸透が実行され、外用適用に好適であるエマルジョンゲルおよびクリーム製剤として製剤されたとき、プロプラノロールが皮膚を通じて急速に吸収され得ることが示された。さらに、これらの結果は驚くべきことに、ベータ遮断薬がACE阻害薬より急速に吸収することを示す。したがって、ACE阻害薬およびベータ遮断薬の外用固定用量配合剤は、同様の速度の吸収を達成するべく、それらの製造において、ベータ遮断薬と比べて、より大きい比率のACE阻害薬を必要とする。これらの結果は、血管腫の治療のためのACE阻害薬およびベータ遮断薬を含む固定用量配合剤製品の製剤に対する重要な知見を提供する。
【0375】
表10:外用適用のためのプロプラノロールを含むクリームおよびエマルジョンゲルの製剤の例
【表10】
例14:固定用量外用配合剤クリーム
【0376】
この例は、血管腫の治療のためのACE阻害薬およびベータ遮断薬を含む外用固定用量配合製品の製剤に関する。記載される製剤は、単に例であり、いかなる方式でも発明の範囲を限定することを意図するものではない。製剤は高い安定性を有することが分かった。
【0377】
例示的な固定用量外用製剤が以下の手順で製造され得る。
1.セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60およびミリスチン酸イソプロピルを好適な容器において組み合わせ、混合しながら摂氏65~70度に加熱する。
2.プロピルパラベンを混合物に添加し、摂氏65~70度の温度を維持しながら、完全な溶解を確実にするために混合する。
3.トランスクトールPを別の容器に添加し、摂氏60~65度に加熱する。適量のベータ遮断薬および/またはACE阻害薬を添加し、溶解してスラリーを形成するまで混合する。
4.摂氏60~75度で、スラリーを段階2からの融解有機混合物と組み合わせる。
5.混合器を有する加熱された容器に精製水を添加する。摂氏65~70度に加熱しながら撹拌する。EDTAを添加して、溶解するまで混合する。メチルパラベンを添加し、溶解するまで混合する。温度を摂氏65~70度に維持する。
6.水相および有機相を組み合わせ、温度を摂氏65~70度に維持しながら、高せん断ホモジナイズを用いて、30分間ホモジナイズする。好ましくは、これは真空下で行われる。
7.1M水酸化ナトリウムを用いて、摂氏25度で測定されるpHを5~5.6または6~7に調節し、続いて、各添加の間に5分間ホモジナイズする。
8.最終溶液を保管のために適切な容器に移す。混合物は時間と共に濃くなり、半固体クリーム状物質(consistency)を形成する。
【0378】
表11:外用適用のための固定用量ベータ遮断薬およびACE阻害薬製剤の例
【表11】
【0379】
存在する場合、上および下で言及される、すべての適用の開示内容全体、特許および公報が参照によって本明細書に組み込まれる。しかしながら、本明細書における任意の適用、特許および公報への言及は、それらが有効な従来技術を構成する、または、世界の任意の国における一般常識の部分を形成するという確認または任意の形態の示唆ではなく、そのように解釈されるべきでない。
【0380】
本明細書、および、後の任意の請求項の全体において、文脈において別段の定めが無い限り、「備える」、「含む」などの用語は、排他的意味ではなく、包含的意味、すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味するものとして解釈される。
【0381】
本明細書において、発明の名称、見出し、または同様のものは、読む人が文書を理解しやすくするために提供されるものであり、発明の範囲を限定するものとして読まれるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
【国際調査報告】