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特表2023-512274自由構成可能なパワー半導体モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】自由構成可能なパワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230316BHJP
   H01L 23/58 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/56 D
H01L23/56 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546497
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2021052004
(87)【国際公開番号】W WO2021152021
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】20154510.0
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュダーラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】キチン,スラボ
(72)【発明者】
【氏名】モーン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】リーデル,ゲーアノート
(57)【要約】
パワー半導体モジュール(10)は、少なくとも2つの半導体チップ(24)を含む少なくとも1つの半導体ボード(16)を含み、各半導体チップ(24)は2つのパワー電極(26、28)を有し、パワー半導体モジュール(10)はさらに、少なくとも2つの半導体チップ(24)の上方で半導体ボード(16)に取り付けられたアダプタボード(14)を含み、アダプタボード(14)は、半導体ボード(16)から遠い方の側に、各半導体チップ(24)のための端子エリア(46)を含み、アダプタボード(14)は、各端子エリア(46)において、端子エリア(46)に関連付けられた半導体チップ(24)の各パワー電極(26、28)のためのパワー端子(42)を提供し、各パワー端子(42)は、端子エリア(46)の下方の導電性の垂直ポスト(34、36)を介して、半導体チップ(24)と電気的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体モジュール(10)であって、
少なくとも2つの半導体チップ(24)を含む少なくとも1つの半導体ボード(16)を含み、各半導体チップ(24)は2つのパワー電極(26、28)を有し、前記パワー半導体モジュール(10)はさらに、
前記少なくとも2つの半導体チップ(24)の上方で前記半導体ボード(16)に取り付けられたアダプタボード(14)を含み、前記アダプタボード(14)は、前記半導体ボード(16)から遠い方の側に、各半導体チップ(24)のための端子エリア(46)を含み、
前記アダプタボード(14)は、各端子エリア(46)において、前記端子エリア(46)に関連付けられた前記半導体チップ(24)の各パワー電極(26、28)のためのパワー端子(42)を提供し、
各パワー端子(42)は、前記端子エリア(46)の下方の導電性の垂直ポスト(34、36)を介して、前記半導体チップ(24)と電気的に接続され、
前記パワー端子(42)の各々は、少なくとも2つのプラグコネクタ(52)を有し、
前記アダプタボード(14)は、異なる半導体チップ(24)のパワー電極(26、28)を電気的に接続するための2つのプラグコネクタ(52)を相互接続するためのジャンパーコネクタ(50)を含む、パワー半導体モジュール(10)。
【請求項2】
前記アダプタボード(14)は、前記端子エリア(46)に関連付けられた前記半導体チップ(24)のうちの少なくとも1つの前記端子エリア(46)において、少なくとも1つの補助端子(44)を提供し、その補助端子(44)は、前記端子エリア(46)の下方の導電性の垂直ポスト(38、40)に接続される、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項3】
前記端子エリア(46)に関連付けられた前記半導体チップ(24)のうちの少なくとも1つは制御電極(30)を含み、前記補助端子(44)のうちの1つは、その導電性の垂直ポスト(38)を用いて、前記半導体チップ(24)の前記制御電極(30)と電気的に接続される、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項4】
前記半導体ボード(16)は、前記端子エリア(46)に関連付けられた前記半導体チップ(24)のうちの少なくとも1つのためのセンサ(32)を含み、
補助端子(44)は、その導電性の垂直ポスト(40)を介して、前記センサ(32)に電気的に接続される、請求項2または3に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項5】
前記センサ(32)は、温度センサおよび電流センサのうちの1つである、請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項6】
補助端子(44)は、導電性の垂直ポスト(34、36)を介して、前記端子エリア(46)に関連付けられた前記半導体チップ(24)のうちの少なくとも1つのパワー電極(26、28)と電気的に接続される、請求項2~5のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項7】
パワー端子(42)は、それぞれの前記端子エリア(46)の外側領域(46c)に配置され、前記外側領域(46c)は、前記アダプタボード(14)の境界に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項8】
少なくとも1つの補助端子(44)は、前記端子エリア(46)の内側領域(46a)に配置され、前記外側領域(46c)は、前記アダプタボード(14)の前記境界と前記内側領域(46a)との間に配置される、請求項7に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項9】
前記端子エリア(46)は、前記アダプタボード(14)上に少なくとも1列(48)で配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項10】
前記半導体ボード(16)は、前記少なくとも2つの半導体チップ(24)が接合される構造化金属化層(20)を有する基板(18)を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項11】
前記垂直ポスト(34、36)はピンであり、前記ピンは、前記半導体ボード(16)によって提供された接触エリア(28、30、33)上に前記ピンが押し込まれるように、前記アダプタボード(14)に接続され、
各垂直ポスト(34、36)のヘッドは、前記半導体ボード(16)のそれぞれの前記接触エリア(28、30、33)に接合される、請求項10に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項12】
前記半導体ボード(16)は、各半導体チップ(24)のためのチップスケールパッケージ(64)を含み、
各チップスケールパッケージ(64)は、少なくとも1つの半導体チップ(24)と、前記半導体チップ(24)に接続された前記垂直ポスト(34、36)と、前記半導体チップ(24)および前記垂直ポスト(34、36)が埋め込まれる成形カプセル封入(66)とを含み、
各チップパッケージ(64)は、前記垂直ポスト(34、36)が電気的に接続される接合エリア(68)を提供し、
前記アダプタボード(14)は、前記チップスケールパッケージ(64)の前記接合エリア(68)に接合される、請求項1~9のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項13】
前記アダプタボード(14)および前記半導体ボード(16)は、前記少なくとも2つの半導体チップ(24)が埋め込まれた多層回路基板(70)によって提供され、
前記垂直ポスト(34、36)は、前記多層回路基板(70)の貫通バイアである、請求項1~9のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項14】
前記アダプタボード(14)に取り付けられたゲートドライバボード(12)をさらに含み、
垂直ピンが、前記ゲートドライバボード(12)を、前記アダプタボード(14)上の補助端子(44)と相互接続し、
前記ゲートドライバボード(12)は、前記端子エリア(46)の前記パワー端子(42)の一部のみを覆う、先行する請求項のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、パワーエレクトロニクスの分野に関する。特に、この発明は、パワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マルチチップパワー半導体モジュールは通常、(ハーフブリッジ構成などの)定義されたトポロジのために設計されており、パワー半導体チップ同士が並列に接続されて制御されるため、チップの個々の情報を抽出することを可能にしないかもしれない。さまざまな個々のモジュールを使用することによって、複雑なトポロジを実現する必要がある。パワーモジュール端子は典型的には、(搭載温度およびチップ電流などの)チップ個々の診断信号の抽出を可能にしないかもしれない基本接続に制限されている。
【0003】
US 2017 077 068 A1は、チップが接合される基板と、導電性ポストを介して基板と接続されるプリント回路基板とを有する、半導体モジュールを示す。
【0004】
US 2019/150 268 A1は、半導体モジュールを示す。半導体モジュールは、その上にスイッチング素子を有する2つの基板を有し、それらは垂直ポストを介して上方の回路基板と接続され、それは2つの基板を互いに接続する。回路基板は、垂直ポストに接続されたいくつかの導電性エリアを含む。
【0005】
US 2017/047 923 A1は、基板上に半導体スイッチを有するパワー半導体モジュールを示す。半導体スイッチの一方の電極は、ポストを介して基板の上方の回路基板と接続される。
【0006】
US 2017/112 005 A1は、取外し可能なジャンパーを介して接続された複数のサブモジュールを含むパワー半導体モジュールに関する。取外し可能なジャンパーは、サブモジュールにおける1つ以上のパワー半導体スイッチ間の接続が再構成されることを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の説明
この発明の目的は、設置面積が小さく、浮遊インダクタンスが低い、構成可能なパワー半導体モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる例示的な実施形態が、従属請求項および以下の説明から明らかである。
【0009】
この発明は、パワー半導体モジュールに関する。半導体モジュールは、2つ以上の半導体チップを互いに、およびモジュールのハウジングによって露出され得る端子に、機械的および電気的に相互接続するデバイスであり得る。ここおよび以下では、パワーという用語は、半導体モジュールおよび/または半導体モジュールのコンポーネントが10Aを上回る電流および/または100Vを上回る電圧を処理する能力に関し得る。
【0010】
この発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、少なくとも2つの半導体チップを有する少なくとも1つの半導体ボードを含み、各半導体チップは2つのパワー電極を有する。半導体ボードは、半導体チップが基板の金属化層に接合された基板であり得る。半導体ボードは、半導体チップが取り付けられたプリント回路基板であり得る。
【0011】
半導体チップは、トランジスタおよび/またはサイリスタなどの制御可能なデバイスであり得る。半導体チップのうちのいくつかがダイオードであるということもあり得る。半導体チップは、SiまたはSiCまたは別のワイドバンドギャップ材料ベースのものであり得る。半導体チップは、半導体ボードにおいて互いに並んで配置されてもよく、および/または、実質的に1層に配置されてもよい。
【0012】
パワー電極は、エミッタおよびコレクタ、または、ソースおよびドレインであり得る。制御可能な半導体チップはまた、ゲート電極などの制御電極を含み得る。
【0013】
この発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、少なくとも2つの半導体チップの上方で半導体ボードに取り付けられたアダプタボードを含み、アダプタボードは、半導体ボードから遠い方の側に、各半導体チップのための端子エリアを含む。アダプタボードは、ハウジングを介して下方の半導体ボードに取り付けられてもよく、および/または、半導体ボードに電気的に接続されてもよい。アダプタボードは、一方(外)側に端子を含み、他方(内)側に半導体ボードへの電気的接続部を含む、プリント回路基板であり得る。
【0014】
各半導体チップのために、端子エリアが、半導体エリアの上方に配置され得る。異なる半導体チップのための端子エリアは、等しく設計され得る。端子エリアは、半導体チップのすべての電極に、または少なくともパワー電極に個々に接続するための端子を提供し得る。半導体ボードおよびアダプタボードにおいて、半導体チップは、互いから電気的および/または直流的に絶縁されるということがあり得る。端子の接続のみが、半導体チップ間の電気的接続を生成し得る。
【0015】
この発明の一実施形態によれば、アダプタボードは、各端子エリアにおいて、端子エリアに関連付けられた半導体チップの各パワー電極のためのパワー端子を提供する。オプションで、制御電極への、パワー電極への、および/または、半導体チップに関連付けられたセンサへの電気的接続のための1つ以上の補助端子も、端子エリアにおいて提供され得る。
【0016】
一般に、端子は、さらに別の導体が取り付けられ得る導電素子であり得る。
アダプタボードは、半導体チップの上に配置されてもよく、および/または、半導体チップのすべての制御信号およびセンサ信号に接合されてもよい。アダプタボードは、フレキシブルなトポロジ構成および/または診断信号抽出を可能にし得る。
【0017】
この発明の一実施形態によれば、端子エリアに関連付けられた半導体チップのための各パワー端子は、端子エリアの下方の(および/またはパワー端子の下方の)導電性の垂直ポストを介して、半導体チップと電気的に接続される。導電性のポストは、細長くまっすぐな金属体であり得る。垂直方向は、半導体ボードおよび/またはアダプタボードの延在によって定義される平面に直交し得る。垂直方向はまた、半導体チップが配置される平面に直交し得る。垂直ポストは、チップのパワー電極で、または、半導体ボードによって提供され、パワー電極に電気的に接続される導体エリアで、直接終わり得る。
【0018】
端子エリアを用いて、モジュールにおける半導体チップは、並列、直列、ハーフブリッジなどといったすべての所望のトポロジで相互接続され得る。相互接続は、ジャンパーおよび/またはブリッジを用いて行なわれ得る。端子エリアの下方の垂直ポストにより、モジュールはコンパクトに設計され、高いパワー密度を有し、低い浮遊インダクタンスを有し得る。
【0019】
ここで、「~の下方」という用語は、垂直方向に沿った、半導体ボードへの、端子エリアの投影を指し得る。コンポーネントが投影エリアにある場合、それは、端子エリアの下方にあると見なされ得る。
【0020】
マルチチップパワー半導体モジュールは、各半導体チップのパワー電極およびオプションの制御電極すべての別々の接続を提供してもよく、半導体チップはすべて、互いから直流的に絶縁されて配置され得る。これは、さまざまなトポロジおよび/またはコンバータ・イン・パッケージを構成することを可能にし得る。その事例では、補助端子も提供される場合、これは、チップごとの高度な感知および制御を追加で可能にし得る。
【0021】
異なるトポロジについての例は、いくつかのハーフブリッジの中間点が星形結線されたインターリーブトポロジ、多相トポロジ、ハーフブリッジトポロジ、フルブリッジトポロジ、および/またはマルチレベルトポロジ、たとえばNPCブリッジなどである。また、たとえば制御された並列化を動作中に用いる適応型トポロジが可能であってもよく、それは、負荷プロファイルに関して効率を最適化するために使用され得る。
【0022】
この発明の一実施形態によれば、アダプタボードは、端子エリアに関連付けられた半導体チップの端子エリアにおいて、少なくとも1つの補助端子を提供し、その補助端子は、端子エリアの下方の、および/または補助端子の下方の導電性の垂直ポストに接続される。補助端子は、パワー端子よりも小さくてもよく、および/または、より低い電流定格を有していてもよい。
【0023】
この発明の一実施形態によれば、端子エリアに関連付けられた半導体チップは制御電極を含み、補助端子のうちの1つは、その導電性の垂直ポストを用いて、半導体チップの制御電極と電気的に接続される。垂直ポストは、半導体チップのゲート電極に直接接続され得る。
【0024】
この発明の一実施形態によれば、半導体ボードは、端子エリアに関連付けられた半導体チップのためのセンサを含む。センサは、温度センサおよび電流センサのうちの1つであり得る。温度センサは、半導体チップの温度を感知し得る。(搭載電流ミラーなどの)電流センサは、半導体チップを通る負荷電流を感知し得る。センサは、端子エリアの下方に配置され得る。補助端子は、その導電性の垂直ポストを介して、センサに電気的に接続され得る。
【0025】
この発明の一実施形態によれば、補助端子は、導電性の垂直ポストを介して、端子エリアに関連付けられた半導体チップのパワー電極と電気的に接続される。そのような補助端子はアダプタボードを介して導電性の垂直ポストと接続され、導電性の垂直ポストはまた、それぞれのパワー端子をそれぞれのパワー電極に接続するということもあり得る。
【0026】
この発明の一実施形態によれば、パワー端子の各々は、少なくとも2つのプラグコネクタを有する。プラグコネクタは、さらに別のプラグコネクタと機械的および電気的に可逆接続されるように設計されたオスコネクタまたはメスコネクタであり得る。
【0027】
アダプタボードは、異なる半導体チップのパワー電極を電気的に接続するための2つのプラグコネクタを相互接続するためのジャンパーコネクタを含む。ジャンパーコネクタは、ジャンパーと見なされ得る。
【0028】
しかしながら、異なるチップのパワー端子が、ブリッジおよび/またはブリッジ相互接続部と見なされ得る金属ストリップ、回線、および/またはケーブルなどの接合された相互接続部と接続されることも可能であり得る。
【0029】
この発明の一実施形態によれば、パワー端子、パワー端子のうちのいくつか、またはすべてのパワー端子は、それぞれの端子エリアの外側領域に配置され、外側領域は、アダプタボードの境界に配置される。1つ以上のプラグコネクタを含み得るパワー端子のこの部分は、パワー半導体モジュールの端子を接続するために使用され得る。
【0030】
この発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの補助端子は、端子エリアの内側領域に配置され、外側領域は、アダプタボードの境界と内側領域との間に配置される。同様にパワー端子の一部が配置される、第2の外側領域または中間領域があってもよい。第2の外側領域または中間領域は、第1の外側領域と内側領域との間に配置され得る。
【0031】
内側領域およびオプションで第2の外側領域が、ゲートドライバボードによって覆われるということがあり得る。ゲートドライバボードはその場合、垂直相互接続部によって補助端子と接続され得る。
【0032】
ゲートドライバボードは、パワー端子がジャンパーおよび/またはブリッジと相互接続される第2の外側領域を覆い得る。ゲートドライバボードを用いて、チップごとの制御および/または診断が行なわれ得る。制御電極と相互接続された補助端子に、制御信号が適用され得る。パワー電極および/またはセンサと相互接続された補助端子から、測定信号が受信され得る。
【0033】
この発明の一実施形態によれば、端子エリアは、アダプタボード上に少なくとも1列で配置される。また、半導体チップは、端子エリアの下方に1列以上で配置され得る。たとえば、2つの列が、パワー半導体モジュールの中央垂直面に対して鏡面対称に配置され得る。
【0034】
半導体ボードはどのように設計され得るかについて、いくつかの可能性がある。たとえば、半導体ボードは、金属化層を有する基板に基づいて、プリント回路基板に基づいて、および/または、ベースプレートに取り付けられたチップパッケージに基づいて設計され得る。
【0035】
この発明の一実施形態によれば、半導体ボードは、少なくとも2つの半導体チップが接合される構造化金属化層を有する基板を含む。基板は、ポリマーおよび/またはセラミックスで作られてもよく、片面または両面が金属化層で覆われてもよい。また、分離された1つ以上のリードフレームが、基板として可能である。金属化層は、いくつかのエリアへと構造化され、すなわち分割されてもよく、いくつかのエリアは、1つ以上の半導体チップおよび/または垂直ポストを接続および/または接合するために使用され得る。
【0036】
この発明の一実施形態によれば、垂直ポストはピンであり、ピンは、アダプタボードに接続され、半導体ボードによって提供された接触エリア上に押し込まれる。各垂直ポストのヘッドは、半導体ボードのそれぞれの接触エリアに接合されるということもあり得る。接触エリアは、半導体チップ自体の電極であってもよく、または、金属化層の一部によって提供されてもよい。
【0037】
アダプタボードは、ピングリッドがその基板に接合されたプリント回路基板であり得る。ピングリッドによって、ピンおよび/または垂直ポストが提供され得る。ピングリッドは、半導体ボードに接合され得る。接合は、たとえば焼結、はんだ付け、または導電性接着剤接合によって、たとえばピン上の接着キャップによって実現され得る。
【0038】
この発明の一実施形態によれば、半導体ボードは、各半導体チップのためのチップスケールパッケージを含む。各チップスケールパッケージは、少なくとも1つの半導体チップと、半導体チップに接続された垂直ポスト(たとえば、電気めっきされたバイアおよび再分配層)と、半導体チップおよび垂直ポストが埋め込まれる成形またはPCBカプセル封入とを含み得る。各チップパッケージはまた、垂直ポストが電気的に接続される接合エリアを提供し得る。アダプタボードは、チップスケールパッケージの接合エリアに接合される。チップスケールパッケージは、モジュールの共通のベースプレートに取り付けられ得る。接合エリアは、すべて同じ平面に配置され得るチップスケールパッケージの上面上に提供され得る。
【0039】
半導体チップは、たとえばはんだ付け、焼結、または導電性接着剤接合によってアダプタボードが接合され得る上側に接合エリアを有するチップスケールチップパッケージに予め実装され得る。
【0040】
この発明の一実施形態によれば、アダプタボードおよび半導体ボードは、少なくとも2つの半導体チップが埋め込まれた多層回路基板によって提供される。半導体ボードのみが多層回路基板によって提供されるということもあり得る。どちらの場合も、垂直ポストは、多層回路基板の貫通バイアとして提供されてもよく、貫通バイアは、多層回路基板の複数の層を通過し得る。
【0041】
多層回路基板は、いくつかのポリマー層と、それらの間および/または片側あるいは両側にある導電層とから作られてもよく、それらはともに積層される。半導体チップは、積層プロセス中に多層回路基板に埋め込まれ得る。
【0042】
この発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、アダプタボードに取り付けられたゲートドライバボードを含み、垂直ピンが、ゲートドライバボードを、アダプタボード上の補助端子と相互接続する。プリント回路基板であり得るゲートドライバボードは、半導体チップからの測定信号を処理してもよく、および/または、半導体チップに適用される制御信号を生成してもよい。ゲートドライバボードは、アダプタボード上/内に取り付けられ得る。
【0043】
この発明の一実施形態によれば、ゲートドライバボードは、端子エリアのパワー端子の一部のみを、たとえば、内側領域におけるパワー端子のみを覆う。たとえば、ゲートドライバボードは、異なる半導体チップのパワー端子が相互接続される領域、および/または、補助端子が配置される領域を覆い得る。
【0044】
要約すると、パワー半導体モジュールは、パワー端子およびオプションで補助端子を、モジュールの半導体チップのすべてに別々に提供する。露出された端子を用いて、各半導体チップは、工場でおよび/または使用時に個々に検査され得る。
【0045】
垂直ポストにより、最小の基板面積で最大パワー密度に達することができ、ワイヤボンディングのための空間が必要とされず、対称的な熱拡散とより良好な信頼性とが達成され得る。さらに、垂直ポストは、低いインダクタンスと対称的な電磁設計とをもたらし得る。
【0046】
この発明のこれらのおよび他の局面は、以下に説明される実施形態から明らかになり、当該実施形態を参照して解明されるであろう。
【0047】
図面の簡単な説明
この発明の主題を、添付図面に示す例示的な実施形態を参照して、以下の文章においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】この発明の一実施形態に従ったパワー半導体モジュールの上面図を概略的に示す図である。
図2】この発明のさらに別の実施形態に従ったパワー半導体モジュールを通る断面を概略的に示す図である。
図3】この発明の一実施形態に従ったパワー半導体モジュールの一部の上面図を概略的に示す図である。
図4】この発明の一実施形態に従ったパワー半導体モジュールの一部の上面図を概略的に示す図である。
図5】この発明のさらに別の実施形態に従ったパワー半導体モジュールを通る断面を概略的に示す図である。
図6】この発明のさらに別の実施形態に従ったパワー半導体モジュールを通る断面を概略的に示す図である。
図7】この発明のさらに別の実施形態に従ったパワー半導体モジュールを通る断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図面で使用される参照符号、およびそれらの意味を、参照符号のリストに要約形式で列挙する。原則として、図面では、同一部分には同じ参照符号が与えられる。
【0050】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、ゲートドライバボード12が取り付けられたパワー半導体モジュール10の上面図を示し、一方、図2は、パワー半導体モジュール10の断面図を示す。
【0051】
図2に示すように、モジュール10はゲートドライバボード12から構成され、ゲートドライバボード12はアダプタボード14に取り付けられ、アダプタボード14は、半導体ボード16に取り付けられている。
【0052】
半導体ボードは、DBC(direct bonded copper:直接接合銅)基板またはIMS(insulated metal substrate:絶縁金属基板)といった、1つ以上の金属化層20、22を有する基板18を含み得る。金属化層20は、半導体ボード16に対して互いから直流的に絶縁されたエリア20a、20b、20cへと構造化され得る。エリア20a、20b、20c上で、半導体チップ24が第1のパワー電極26を用いて接合される。半導体チップ24の各々の反対側は、第2のパワー電極28と制御電極30とを提供する。たとえば、半導体チップ24は、トランジスタおよび/またはサイリスタなどのSiおよび/またはSiCデバイスであり得る。
【0053】
たとえば半導体チップ24の温度および/または半導体チップ24を通る電流を感知し得る1つ以上のセンサ32が、半導体チップ24に組込まれ、および/または取り付けられるということがあり得る。そのようなセンサ32は、アダプタボード14に面する接触エリア33を提供し得る。また、電極28、30、および、チップ24によって覆われていないエリア20a、20b、20cの一部も、アダプタボード14に面する接触エリアと見なされ得る。1つ以上のセンサ32は、それぞれの半導体チップ24の搭載センサであってもよく、すなわち、それぞれの半導体チップ24へと一体化されてもよい。
【0054】
メタルコアPCBおよび/またはフレキシブルPCBなどのプリント回路基板であり得るアダプタボード14は、半導体ボード16に面する側に、導電性の垂直ポスト34、36、38、40を含む。ポスト34、36、38、40は、アダプタボード14を半導体ボード14の接触エリア28、30、33と電気的に相互接続し得る。
【0055】
図1に示される反対側に、アダプタボード14は、パワー端子42と補助端子44とを含む。端子42、44は、それぞれの半導体チップ24の上方に配置される端子エリア46に配置される。図1では、たった1つの端子エリア46と内部の端子とが描かれている。しかしながら、モジュール10が端子エリア46の2つの列48を有することが示されている。
【0056】
各端子エリア46では、1つのパワー端子42は、1つ以上のポスト34を介して、それぞれのエリア20a、20b、20cおよび対応するパワー電極26と電気的に接続され得る。1つのパワー端子42は、1つ以上のポスト36を介して、他方のパワー電極28と直接、電気的に接続され得る。1つの補助端子44は、ポスト38を介して、制御電極30と直接、電気的に接続され得る。1つの補助端子44は、ポスト40を介して、センサ32と直接、電気的に接続され得る。1つの補助端子44は、アダプタボード14を介して、パワー電極28、30のうちの1つと接続されるということもあり得る。
【0057】
半導体チップ24は、異なる半導体チップ24のパワー端子44を相互接続するコネクタ50を用いて、異なるトポロジになるよう相互接続され得る。パワー端子44はプラグコネクタ52を含むということ、および、コネクタ50は、これらのプラグコネクタ52に差し込まれ得るジャンパーコネクタであるということがあり得る。コネクタ50は、それらの端でパワー端子42と接合されるブリッジであるということもあり得る。コネクタ50を用いて、モジュール10内部の半導体チップは、直列、並列、ハーフブリッジなどといった異なるトポロジになるよう相互接続され得る。
【0058】
各端子エリア46は、補助端子44が配置される内側領域46aと、パワー端子42の内側部分が配置される中間領域46bと、パワー端子42の外側部分が配置される外側領域46cとに分割され得る。
【0059】
外側領域46cはアダプタボード14の境界に提供されてもよく、端子42の外側部分(およびオプションで、この外側部分におけるプラグコネクタ52)は、モジュール端子54をパワー端子42と接続するために使用され得る(図2参照)。
【0060】
外側領域46cと内側領域46aとの間の中間領域46bにおける端子42の内側部分(およびオプションで、この部分におけるプラグコネクタ52)は、半導体チップ24を互いに相互接続するために使用され得る。
【0061】
内側領域46aでは、ゲートドライバボード12が補助端子44と接続され得る。
図2に戻って、補助端子は、ゲートドライバボード12から突出するピン56が差し込まれ得る圧入プラグを含み得る。ピン56は、垂直ポスト34、36、38、40と同様に、ボード12、14、16に対して垂直に整列され、および/または、ゲートドライバボード12のアダプタボード14に面する側から突出し得る。反対側に、ゲートドライバボード12は、制御コンポーネント、センサ信号を評価するためのコンポーネント、および/または、コンデンサおよび抵抗器などの受動素子といった、ゲートドライバコンポーネント58を含み得る。
【0062】
ゲートドライバボード12は、アダプタボード14よりも小さくてもよく、および/または、端子エリア46の内側領域46aおよび中間領域46bにおいてアダプタボード14のみを覆い得る。
【0063】
図2はまた、アダプタボード14と半導体ボード16とが、アダプタボード14および半導体ボード16に貼り付けられ得るハウジング60を介して、互いに機械的に相互接続され得ることを示す。
【0064】
図3および図4は、異なる端子エリア46の可能性を示す。一般に、パワー端子42のプラグコネクタ52は、平行な2列で配置され得る。また、補助端子44は、パワー端子42と平行であり得る1列で配置され得る。図1および図4に示すように、補助端子44は、双方のパワー端子44の隣に配置され得る。しかしながら、図3に示すように、補助端子44はまた、パワー端子間に配置され得る。
【0065】
図5は、ゲートドライバボード12が、圧入プラグとして設計された補助端子44に押し込まれ得るピン56を有する圧入ピンアレイを有し得ることを示す。さらに、垂直ポスト34、36、38、40は、接触エリア28、30、33に押し付けられるピンであり得る。そのようなピン34、36、38、40は、それぞれの接触エリア28、30、33に焼結されるために適合されたヘッドおよび/またはキャップ62を有し得る。たとえば、ピン34、36、38、40はCuで作られてもよく、Agで作られた焼結キャップを有し得る。
【0066】
アダプタボード14と半導体ボード16とハウジング60との間のモジュール10の内部は、ゲルで充填されてもよく、および/または、樹脂で埋め込まれてもよい。
【0067】
図5のモジュールは、まずチップ24を取り上げて基板18上に配置し、次にそれらを金属化層20に焼結することによって、製造され得る。その後、アダプタボード14が整列され、ピン34、36、38、40が焼結され得る。その後、モジュールはカプセル封入され得る。最後に、たとえばモジュール10の顧客が、ジャンパーコネクタ50およびゲートドライバボード12を押し込み得る。この製造は、埋め込みおよび/またはウェーハレベル処理が必要ないであろうという利益を有し得る。
【0068】
図6は、半導体ボード16が各半導体チップ24のためのチップスケールパッケージ64を含む、パワー半導体モジュール10を示す。半導体ボード16を形成するために、チップスケールパッケージ64は、構造化金属化層20を用いて基板18に接合され得る。
【0069】
各チップスケールパッケージ64は、半導体チップ24のうちの1つ以上と、半導体チップ24に接続された垂直ポスト(電気めっきされたCuバイアおよび/または再分配層など)34、36、38、40と、半導体チップ24および垂直ポスト34、36、38、40が埋め込まれる成形および/またはPCBカプセル封入66とを含み得る。各チップスケールパッケージはまた、チップパッケージをモジュール10の基板18に接合するためのリードフレームおよび/またはベースプレート65を含み得る。
【0070】
反対側で、各チップスケールパッケージ64は、垂直ポスト34、36、38、40が電気的に接続される接合エリア68を提供し得る。アダプタボード14が次に、チップパッケージ64の接合エリア68に接合され得る。
【0071】
たとえば、各チップスケールパッケージ64には、搭載温度および電流センサを有する逆導通IGBT、フリーホイーリングダイオードを有するIGBT、または、2つの平行なSiC MOSFETが収容され得る。
【0072】
図5のモジュールは、まずチップスケールパッケージ64を取り上げて基板18上に配置し、次にそれらを金属化層20に焼結することによって、製造され得る。その後、アダプタボード14が整列され、接合エリアに接合され得る。最後に、たとえばモジュール10の顧客が、ジャンパーコネクタ50およびゲートドライバボード12を押し込み得る。この製造は、ボードを整列させることに関する精度問題が存在しないであろうという利益と、さらなるカプセル封入が必要ないであろうという利益とを有し得る。
【0073】
図6は、少なくとも2つの半導体チップ24が埋め込まれた多層回路基板70によってアダプタボード14および半導体ボード16が提供される、パワー半導体モジュール10を示す。多層回路基板70は、金属ベースプレート22と、半導体チップ24が接合されるリードフレーム72とから作られ得る。金属層22、72間には、ポリマー絶縁層が配置され得る。多層回路基板70の貫通バイアおよび金属化トラックによって、垂直ポスト34、36、38、40が提供され得る。
【0074】
図6のモジュールは、半導体チップ24を取り上げてリードフレーム72に配置し、次にそれらをリードフレーム72に焼結することによって、製造され得る。その後、金属層22、72間にPCB積層が配置されてもよく、アダプタボード14の金属層だけでなく、貫通バイア34、36、38、40、端子42、44などといった他のコンポーネントも含まれてもよく、すべてがともに積層され得る。最後に、たとえばモジュール10の顧客が、ジャンパーコネクタ50およびゲートドライバボード12を押し込み得る。この製造は、モジュールがかなり小さい高さを有し得るという利益と、ほんの少数の接合ステップおよび製造ステップしか必要ないであろうという利益とを有し得る。さらに、追加の基板18は必要ないであろう。
【0075】
この発明を図面および前述の説明において詳細に図示し説明してきたが、そのような図示および説明は、限定的ではなく例示的であると考えられるべきであり、この発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形例は、当該技術分野に精通し、請求されたこの発明を実践する当業者によって、図面、開示内容、および添付された請求項の研究から理解され、達成され得る。請求項において、「含む」という文言は他の要素またはステップを除外せず、また、単数は複数を除外しない。単一のプロセッサまたはコントローラまたは他のユニットが、請求項に記載されたいくつかの項目の機能を実現してもよい。互いに異なる従属請求項にある手段が記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないということを示さない。請求項におけるどの参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0076】
参照符号のリスト
10 パワー半導体モジュール
12 ゲートドライバボード
14 アダプタボード
16 半導体ボード
18 基板
20 金属化層
20a、20b、20c エリア
22 金属化層
24 半導体チップ
26 第1のパワー電極
28 第2のパワー電極
30 制御電極
32 センサ
33 接触エリア
34 垂直ポスト
36 垂直ポスト
38 垂直ポスト
40 垂直ポスト
42 パワー端子
44 補助端子
46 端子エリア
46a、46b、46c 領域
48 列
50 コネクタ
52 プラグコネクタ
54 モジュール端子
56 ピン
58 ゲートドライバコンポーネント
60 ハウジング
62 ヘッド、キャップ
64 チップスケールパッケージ
65 リードフレームおよび/またはベースプレート
66 成形および/またはPCBカプセル封入
68 接合エリア
70 多層回路基板
72 リードフレーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】