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特表2023-512295イットリウムとストロンチウムとを分離するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】イットリウムとストロンチウムとを分離するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 3/06 20060101AFI20230316BHJP
   C22B 3/24 20060101ALI20230316BHJP
   C22B 59/00 20060101ALI20230316BHJP
   C22B 3/10 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C22B3/06
C22B3/24
C22B59/00
C22B3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547059
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 US2021016105
(87)【国際公開番号】W WO2021158491
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】16/780,397
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512159487
【氏名又は名称】バテル・メモリアル・インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オハラ,マシュー,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001AA39
4K001AA40
4K001DB02
4K001DB04
4K001DB36
(57)【要約】
YとSrとを分離するためのシステム及び方法が提供される。本システム及び本方法は、工業的に有利な濃度のY溶液を提供することができる、溶液、容器、及び/又は媒体の組合せを提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
YとSrとを分離する方法であって、
内部に第1の媒体を有する第1の容器へ、Y及びSrを含む希酸性混合物を供給する工程と、
前記希酸性混合物を供給しながら、前記第1の容器内で前記希酸性混合物からの前記Yの少なくとも一部を保持し、一方で前記希酸性混合物から前記Srの少なくとも一部を溶出させて、希酸性溶出液を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記希酸性混合物が、90Y及び90Srを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記希酸性混合物が、安定したSr、Ca、及び/又はBaを追加で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記希酸性混合物が、ストックしたSr含有核物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の媒体が、樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の媒体が、HDEHP樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の媒体が、アルキルホスホラス抽出剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記希酸性溶出液が、前記希酸性混合物からの少なくとも一部のSrを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
リザーバから前記希酸性混合物を供給する工程と、
前記希酸性溶出液を前記リザーバへ供給する工程と、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記希酸性混合物が、Zrを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記希酸性混合物を供給しながら、前記第1の容器内で前記希酸性混合物からの前記Zrの少なくとも一部を保持する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記希酸性混合物が、Feを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記希酸性混合物を供給しながら、前記第1の容器内で前記希酸性混合物からの前記Feの少なくとも一部を保持する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記希酸性混合物が、HClを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
YとSrとを分離する方法であって、
第1の媒体を含有する第1の容器、及びYを含む希酸性混合物を供給する工程と、
前記第1の容器へ濃酸混合物を供給する工程と、
前記第1の容器へ前記濃酸混合物を供給しながら、前記第1の容器内から前記Yの少なくとも一部を含む濃酸溶出液を回収する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の媒体が、樹脂を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の媒体が、HDEHP樹脂を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の媒体が、アルキルホスホラス抽出剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の容器が、90Yを含有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の容器が、Zr及びFeの一方又は両方を含有する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の容器へ前記濃酸混合物を供給しながら、前記Zr及びFeの前記一方又は両方の少なくとも一部を保持する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記濃酸混合物が、HClを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
第2の媒体を含有する第2の容器へ前記濃酸溶出液を供給する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
YとSrとを分離する方法であって、
内部に媒体を有する容器へ、Yを含む濃酸性混合物を供給する工程と、
前記濃酸性混合物を供給しながら、前記容器内で前記濃酸性混合物からの前記Yの少なくとも一部を保持し、溶出液を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項25】
前記濃酸性混合物が、90Yを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記媒体が、樹脂を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記媒体が、ジグリコールアミド樹脂を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記媒体が、N、N、N´、N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記濃酸性混合物が、少なくとも一部のSrを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記濃酸性混合物を供給しながら、前記容器内で前記濃酸性混合物からの前記Yの少なくとも一部を保持し、前記Srの少なくとも一部を含む溶出液を形成する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記濃酸性混合物が、少なくとも一部のZrを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記濃酸性混合物を供給しながら、前記容器内で前記濃酸性混合物からの前記Zrの少なくとも一部を保持する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記濃酸性混合物が、少なくとも一部のFeを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記濃酸性混合物を供給しながら、前記容器内で前記濃酸性混合物からの前記Feの少なくとも一部を保持する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
YとSrとを分離する方法であって、
媒体を含有する容器、及びYを含む濃酸性混合物を供給する工程と、
希酸混合物を前記容器へ供給する工程と、
前記希酸混合物を前記容器へ供給しながら、前記容器内から前記Yの少なくとも一部を含む希酸溶出液を回収する工程と、を含む、方法。
【請求項36】
前記媒体が、樹脂を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記媒体が、ジグリコールアミド樹脂を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記媒体が、N、N、N´、N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記容器が、90Yを含有する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記容器が、Zr及びFeの一方又は両方を含有する、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記希酸混合物を前記容器へ供給しながら、前記Zr及び/又はFeの前記一方又は両方の少なくとも一部を溶出する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記希酸混合物が、HClを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記容器が、Srを含有する、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記希酸混合物を前記容器へ供給しながら、前記Srの少なくとも一部を溶出する、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
YとSrとを分離する方法であって、
内部に第1の媒体を有する第1の容器へ、Y及びSrを含む希酸性混合物を供給する工程と、
前記希酸性混合物の前記Yから前記Srの少なくとも一部を分離する工程と、
第1の容器から前記Yの少なくとも一部を溶出させて、Yを含む濃酸溶出液を形成する工程と、
内部に第2の媒体を有する第2の容器へ前記濃酸溶出液を供給する工程と、
前記第2の容器から前記Yの少なくとも一部を溶出させて、Yを含む希酸溶離液(eluant)を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項46】
前記希酸性混合物が、90Y及び90Srを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記希酸性混合物が、安定したSr、Ca、及び/又はBaを追加で含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記希酸性混合物が、ストックしたSr含有核物質を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の媒体が、樹脂を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の媒体が、HDEHP樹脂を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の媒体が、アルキルホスホラス抽出剤を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
リザーバから前記希酸性混合物を供給し、前記分離する工程が、Srを含む希酸性溶出液を回収することと、前記リザーバへ前記Srを含む希酸性溶出液を供給することと、 を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記希酸性混合物が、Zrを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記希酸性混合物を供給しながら、前記第1の容器内で前記希酸性混合物からの前記Zrの少なくとも一部を保持する工程を更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記希酸性混合物が、Feを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記希酸性混合物を供給しながら、前記第1の容器内で前記希酸性混合物からの前記Feの少なくとも一部を保持する工程を更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記希酸性混合物が、HClを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の容器が、90Yを含有する、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の容器が、Zr及びFeの一方又は両方を含有する、請求項45に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の容器へ前記濃酸混合物を供給しながら、前記Zr及びFeの前記一方又は両方の少なくとも一部を保持する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第2の媒体が、樹脂を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項62】
前記第2の媒体が、ジグリコールアミド樹脂を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項63】
前記第2の媒体が、N、N、N´、N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項64】
前記希酸混合物が、HClを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項65】
YとSrとを分離する方法であって、、
内部に第1の媒体を有する第1の容器へ、Y及びSrを含む強酸性混合物を供給する工程と、
前記強酸性混合物の前記Yから前記Srの少なくとも一部を分離することと、
第1の容器から前記Yの少なくとも一部を溶出させて、Yを含む希酸溶出液を形成する工程と、
内部に第2の媒体を有する第2の容器へ前記希酸溶出液を供給する工程と、
前記第2の容器から前記Yの少なくとも一部を溶出させて、Yを含む濃酸溶離液(eluant)を形成することと、を含む、方法。
【請求項66】
前記強酸性混合物が、90Y及び90Srを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の媒体が、樹脂を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の媒体が、ジグリコールアミド樹脂を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の媒体が、N、N、N´、N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記希酸性溶出液が、HClを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の容器が、90Yを含有する、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記第2の媒体が、樹脂を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記第2の媒体が、HDEHP樹脂を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
前記第2の媒体が、アルキルホスホラス抽出剤を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記濃酸溶出液が、HClを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
YとSrとを分離する方法であって、
第1の容積を有する第1の容器へ、YとSrとの第1の混合物を供給する工程と、
前記第1の混合物から前記Yの少なくとも一部を分離して、前記分離されたYを含む第2の混合物を形成し、第2の容積を有する第2の容器へ前記第2の混合物を移す工程であって、前記第1の容積は、前記第2の容積以上である、工程と、
前記第2の容器からの前記分離されたYの少なくとも一部を移して、前記移されたYを含む第3の混合物を形成する工程であって、前記第1の混合物の前記Y濃度は、前記第3の混合物の前記Y濃度よりも低い、工程と、を含む、方法。
【請求項77】
前記第1の混合物及び第3の混合物が、希酸混合物である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記酸混合物が、HClを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の容器が第1の媒体を収容し、前記第2の容器が第2の媒体を収容する、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の媒体が、前記第2の媒体と化学的に異なる、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記第2の混合物が、濃酸混合物である、請求項76に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年2月3日に出願された、「Systems and Methods for Separating Yttrium and Strontium」と題する米国特許出願第16/780,397号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載の下でなされた発明の権利に関する陳述
【0002】
本発明は、米国エネルギー省によって認められた契約DE-AC05-76RL01830の下において、政府の支援を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、イットリウムとストロンチウムとの分離に関し、特定の実施形態では、本開示は、イットリウム同位体とストロンチウム同位体との分離、及び/又はイットリウム同位体の濃縮形態の調製に関する。
【背景技術】
【0004】
イットリウム同位体は、典型的には、ストロンチウム同位体と共に核分裂生成物であり得、ストロンチウム同位体と同じ溶液中に存在し得る。これらの核分裂生成物はアクチニドの核分裂によって産生される。Srサイクロトロンターゲットは、(p,n)反応によって他の同位体を生成することができる。本開示は、イットリウムをストロンチウムからセパーティング(separting)し、ストロンチウム同位体及びイットリウム同位体の溶液からイットリウム同位体を単離し、並びに/又はイットリウム同位体の濃縮形態を調製するための、システム及び方法を提供する。
【発明の概要】
【0005】
イットリウム(Y)とストロンチウム(Sr)とを分離するための方法が提供される。本方法は、内部に媒体を有する容器へ、Y及びSrを含む希酸性混合物を供給することを含み得る。本方法は、希酸性混合物を供給しながら、第1の容器内で希酸性混合物からのYの少なくとも一部を保持し、一方で希酸性混合物からSrの少なくとも一部を少なくとも溶出させて、希酸性溶出液を形成することを、更に含み得る。
【0006】
媒体を含有する容器及びYを含む希酸性混合物を供給することができる、YとSrとを分離する追加的な方法が提供される。本方法は、容器へ濃酸混合物を供給することと、容器へ濃酸混合物を供給しながら、容器内からYの少なくとも一部を含む濃酸溶出液を回収することと、を含み得る。
【0007】
内部に媒体を有する容器へ、Yを含む濃酸性混合物を供給することと、その濃酸性混合物を供給しながら、容器内で濃酸性混合物からのYの少なくとも一部を保持し、溶出液を形成することと、を含み得る、YとSrとを分離する追加的な方法がまた提供される。
【0008】
YとSrとを分離する方法を含み得る、更なる方法もまた提供される。本方法は、媒体を含有する容器及びYを含む濃酸混合物を供給することを含み得る。本方法は、希酸混合物を容器内へ供給することと、希酸混合物を容器内へ供給しながら、容器内からYの少なくとも一部を含む希酸溶出液を回収することと、を含み得る。
【0009】
内部に第1の媒体を有する第1の容器へ、Y及びSrを含む第1の混合物を供給することを含み得る、YとSrとを分離するための追加的な方法もまた提供される。本方法は、第1の容器内の第1の混合物からのYの少なくとも一部を保持することと、第1の容器へ第2の混合物を供給することと、を含み得る。本方法は、Yの少なくとも一部を含む第1の溶出液を第1の容器内から回収することと、内部に第2の媒体を有する第2の容器へ、Yを含む第1の溶出液を供給することと、を更に含み得る。本方法はまた、第1の溶出液からのYの少なくとも一部を第2の容器内に保持することと、第2の容器へ第3の混合物を提供することと、を含み得る。本方法はまた、Yの少なくとも一部を含む第2の溶出液を第1の容器内から回収することを含み得る。
【0010】
YとSrとを分離する方法はまた、内部に第1の媒体を有する第1の容器へ、少なくとも2つの成分の第1の混合物を供給することを含むことができ、第1の容積は第1の容積を定義する。本方法は、第1の容器内に2つの成分のうち1つの少なくとも一部を保持することと、内部に第2の媒体を有する第2の容器へ、第1の容器から2つの成分のうち1つを溶出することと、を含み得る。第2の容器は第2の容積を定義することができ、第1の容積は第2の容積より大きくてもよい。第1の媒体は第2の媒体と異なってもよい。本方法は、第2の容器内に2つの成分のうち1つの少なくとも一部を保持することと、第2の容器から2つの成分のうち1つを溶出させることと、を含み得る。加えて、第1の容器からの溶出は、第1の濃度である一成分を有することができ、第2の容器からの溶出は、第2の濃度である一成分を有することができる。第2の濃度は第1の濃度よりも大きくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態にかかる方法を実施するためのシステムである。
図2】本開示の一実施形態にかかる方法を実施するためのシステムである。
図3】本開示の実施形態にかかる分配係数データである。
図4】本開示の一実施形態にかかる方法を実施するためのシステムである。
図5】本開示の一実施形態にかかる方法を実施するためのシステムである。
図6】本開示の一実施形態にかかる方法を実施するためのシステムである。
図7】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図8】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図9】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図10】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図11】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図12】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図13】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図14】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図15】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図16】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図17】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図18】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
図19】本開示の一実施形態にかかるシステム及び方法を利用して取得されたデータである。
【発明の詳細な説明】
【0012】
本開示のシステム及び方法を、図1図19を参照して説明する。まず図1を参照すると、導管16及び別の導管18を介して流体連通することができる、少なくとも2つの容器12及び容器14を含むシステム10が開示されている。本明細書に記載される全ての容器及び導管に関して、これらは同様に、限定された又は所定の空間内に、液体、若しくは固体粒子、及び/又はそれらの混合物を保持することができる、コンテナ若しくはホルダ、又は実際の任意の形態の装置として言及され得る。導管16及び導管18は、ここでは連続するものとして表現されているが、本明細書全体を通して、一方の容器と他方の容器との間の流体連通を提供する又は提供しないように、所望に応じて開閉するように動作可能なバルブであり得ることを認識されたい。導管はまた、それらを通して交換又は供給される溶液を供給するように構成することができる。したがって、例として、導管は、必要に応じて、酸若しくは有機酸に耐性があり得る、又は有機物自体に耐性があり得る。例示的な実装形態によれば、YとSrとを分離する方法は、Y及びSrを含む希酸性混合物を提供することを含み得る。Y及びSrのこの希酸性混合物は、例えば容器12中に存在することができ、この希酸性混合物は、Yの核種(例えば、90Y、89Y、88Y、又は86Y)と、Srの核種(例えば、90Sr、89Sr、88Sr、又は86Sr)と、を含むことができる。この希酸性混合物は、核処理の副産物であり得るSr含有核物質ストックから供給することができる。例えば、86Yは、同位体的な濃縮86Srターゲット上への(p,n)反応によって生成される、14.7時間半減期同位体である。86Y/86Srの場合、これは86Srサイクロトロンターゲットへのプロトン衝撃の結果であり得る。
【0013】
Sr含有ストック材料を模することができる溶液を調製するための一般的なレシピを、表1に提示する。
【0014】
【表1】
【0015】
スパイク溶液はまた、以下の表2を参照して調製することもできる。
【0016】
【表2】
【0017】
例示的な実装形態によれば、例えば、以下に開示される試薬を用いて調製された希酸性混合物及び濃酸性混合物の溶液などの、酸性試薬を利用することができる。
【0018】
濃塩酸(HCl)は、ACS認証グレード以上であり得る(Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)。HClの希釈液は、Barnstead E-Pure水精製システム(アイオワ州ダビューク)を用いて脱イオン水(≧18MΩ・cm)から調製することができる。シンチレーションカクテルはUltimaGold AB(PerkinElmer、マサチューセッツ州ビレリカ)であった。
【0019】
約2%HNO中の約5mCiの90Srの供給を得ることができ、この溶液を蒸発させて硝酸塩にし、次いでギ酸塩へ変換することができる。90Sr残渣を蒸発させ、使用の前に塩化物塩へ変換することができる。赤外線ランプを使用して、計量体積である変換された90Srストック溶液を、テフロンバイアル(7mL丸底バイアル、Savillex、ミネソタ州エデン・プレイリー)中へ蒸発させることができる。
以下で簡単に説明するように、0.1M HCl中に、Ca(II)、Sr(II)、Ba(II)、及びY(III)の濃縮物を含有する単一元素溶液を調製することができる。
・Ca溶液は、カルシウム金属チップを濃縮HCl中へ溶解させることによって調製することができる。過剰な酸の蒸発後、CaCl塩は、0.1M HCl中に引き上げることができる。調製したCa(II)濃度=99.26mg/mL。
・Sr溶液は、炭酸ストロンチウム(II)塩から調製することができる。塩は、濃縮HClで飽和させて、炭酸塩を破壊し、塩を塩化ストロンチウムへ変換することができる。過剰な酸を一晩蒸発させることができる。次いで、乾燥した塩を0.1M HClへ加えた。調製したSr(II)濃度=260.21mg/mL。
・Ba溶液は、塩化バリウム(II)塩から調製することができる。塩は0.1M HCl中に直接溶解することができる。調製したBa(II)濃度=8.55mg/mL。
・Y溶液は、塩化イットリウム(III)塩から調製することができる。塩は0.1M HCl中に直接溶解することができる。調製したY(III)濃度=3.42mg/mL。
【0020】
90Srストック中に存在する溶解固形物を模するために、これらの溶液のアリコートを90Srスパイク溶液へ添加することができる。
【0021】
例示的な実装形態によれば、図1を参照すると、この希酸性混合物は、Yを含むことができ、Srは、内部に第1の媒体20を有する容器14へ供給することができる。希酸性混合物は7未満のpHを有することができ、希酸性混合物もまた、3未満のpHを有することができる。希酸性混合物は、例えば0.1M未満である酸濃度を有することができるが、酸性を維持するのに充分な酸を含まなければならない。本明細書に記載されるように、希酸性混合物は、元素Sr、Ca、及び/又はBaを追加的に含むことができ、希酸混合物は、例えばストックSr含有核物質を含むことができる。
【0022】
容器14内には、樹脂を含む第1の媒体20があり得る。この樹脂はリン酸水素ビス(2-エチルヘキシル)(HDEHP)を含み得る。第1の媒体はまた、アルキルホスホラス抽出剤も含み得る。あるいは、第1の媒体はまた、Siも含み得る。例示的な実装形態によれば、媒体20は第1の媒体とみなすことができる。
【0023】
Yの精製方法は、直列して2つのカラム又は容器を採用することができる。第1の容器14は、Lnレジン(Eichrom Technologies,Ltd、イリノイ州ライル)の商品名のもとで販売されている、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)系抽出クロマトグラフィ樹脂を含む媒体20を有し得る。使用した粒径分布は100~150μmであったが、50~100μm又は20~50μmなどの他の粒径分布も企図される。
【0024】
Lnレジンは、適切な寸法に切断することができる、1ccのSPEチューブキット(Supelco)の約0.25ccの内容積を有するカラム中へと充填され得る。カラムは、20μmの孔径のポリエチレンフリットを有するポリプロピレンであり得る。カラムには、トリミングされたカラムの上部に挿入することができる特注のプラスチックキャップ(雌型ルアーフィッティング付き)を取り付けることができる。
【0025】
例示的な実装形態によれば、Y及びSrを含む希酸混合物を供給しながら、本方法は、容器14内の希酸性混合物からYの少なくとも一部を保持すること、一方で希酸性溶出液の一部を溶出させて導管18に供給されるであろう希酸性混合物を形成することと、を提供し得る。例示的な実装形態によれば、本方法は、例えば、リザーバ12から希酸性混合物を供給することと、次いで、例えば導管18を介してリザーバ12へ希酸性溶出液を供給供することと、もまた含み得る。
【0026】
例示的な実装形態によれば、希酸性混合物はZrを更に含むことができ、本方法はまた、希酸性混合物を供給しながら、容器14内の希酸性混合物からのZrの少なくとも一部を保持することも含み得る。本方法はまた、容器14内の希酸性混合物からのFeの少なくとも一部を更に保持することも含み得る。希酸性混合物は、HCl、例えば、例として有機酸、例えばギ酸などを含み得る。
【0027】
次に図2を参照すると、媒体20を含有する容器14及びYを含む希酸性混合物22を含み得る、システム25が図示されている。例示的な実装形態によれば、容器14は、例えば、容器14へY/Sr混合物12を供給した後のシステム10の容器であり得る。例示的な実装形態によれば、容器24に含有される濃酸混合物は、導管26を介して容器14へと供給することができる。容器24の濃酸混合物を容器14へ供給しながら、容器14内からのYの少なくとも一部を含む酸溶出液を、導管28を介して溶出液32として容器30内へと回収することができる。
【0028】
例示的な実装形態によれば、容器14は、Zr及びFeの一方又は両方を含むことができ、容器24から容器14へと濃酸混合物を供給しながら、Zr及びFeの少なくとも一部又は両方を保持することができる。例示的な実装形態によれば、この濃酸混合物は、HCl、例えばギ酸などの有機酸を含み得る。更なる実施形態では、本方法は、別の媒体を含有する別の容器へと容器30内から32の濃酸溶出液を供給することができる。この追加の実施形態は、本明細書でより詳細に説明される。加えて、媒体20は、例えばシステム10に記載されるように媒体20として残る。
【0029】
例示的な実施形態によれば、直列したカラムに基づく90Y精製方法が本明細書で企図され、記載される。図3を参照すると、Lnレジン上のYに対する親和性は、HCl濃度の増加と共に負の検出力関数としてほぼ低下する。0.1M HClにおいて、Yの分配係数(K)は10mL/gを超え、HCl濃度が8M HClに増加する時点までに、YのKは約6桁低下する。2つのHCl濃度間のY親和性のこの実質的な変化により、何が希酸性又は濃酸性混合物と考えられるかを決定することができる。例示的な実装形態によれば、本開示のシステム及び方法に関して、希酸性混合物は、例えば、少なくとも10のKを提供する酸混合物であり得、一方で濃酸性混合物は、例えば、10未満のKを提供し得る。これらの各々はLnレジンなどのHDEHP樹脂上のYに関する。
【0030】
更に、図3を参照すると、ジルコニウム90は、90Yの安定した崩壊生成物であるために、古い90Sr含有ストックにおいて懸念される汚染物質である。したがって、ジルコニウム90は90Srストック中で経時的に蓄積する。図3のデータは、Lnレジンに対するZr(IV)親和性がHCl濃度の全範囲にわたって10mL/gを超えることを実証している。したがって、一次Lnレジンカラムは、90Yロード工程中に90Zrを除去することが可能である。更に、90Zrは、90Yが溶出している間はカラム上に保持され、カラム2へと移動し得る(表3を参照)。
【0031】
図3はまた、Lnレジンなどの第1の媒体上のFe(III)のKマップも提供する。カラム1のロード工程(0.1M HCl)中、Feは、約10mL/gのKを有し得る。したがって、全てではないにしても、この汚染物質のほとんどは、90Yロード/洗浄中にカラム1上に保持され得る(すなわち、Y/Sr希酸混合物は、第1の容器に供給される)。加えて、Feは、8M HClで約1300mL/gのKを有することができる。したがって、Feは、90Y移送工程中にカラム上に保持され得る(以下の表3を参照されたく、システム25に従う)。
【0032】
【表3】
【0033】
次に図4を参照すると、内部に混合物42を有する容器40への導管44を介した流体連通において内部に媒体38を有する容器36を含み、容器36から任意の溶出液を回収するために別の導管46へ動作可能に結合された、システム35が提供されている。例示的な実装形態によれば、YとSrとを分離する方法が提供され、この方法は、内部に媒体38を有する容器36へ、Yを含むこの酸混合物を伴う濃酸混合物42を供給することを含み得る。この濃酸混合物は、本明細書に記載の図2の方法及びシステムから提供することができ、容器36は、例えば、システム25と位置合わせしてそこから酸性溶出液を受け取ることができる。
【0034】
例示的な実装形態によれば、媒体38は、DGA-Normal Resin(Eichrom Technologies,Ltd.)の商品名のもとで販売されている、ジグリコールイミド樹脂、例えば(ジグリコールアミド)系の抽出クロマトグラフィ樹脂といった樹脂を含み得る。使用される粒径分布は、20~50μm、50~100μm、及び/又は100~150μmであり得る。例示的な抽出媒体は、N,N,N´,N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドを含み得る。
【0035】
濃酸混合物は、例えば、90Sr、89Sr、88Sr、又は86SrなどのSrの放射性同位体及び安定同位体として、Srの少なくとも一部を含み得る。本方法は、濃酸性混合物を供給しながら、容器36内で濃酸混合物からのYの少なくとも一部を保持することと、導管46中のSrの少なくとも一部を含み得る溶出液を形成することと、を含むことができる。濃酸混合物の少なくとも一部はZrを含むことができ、本方法は、容器36へ濃酸混合物を供給しながら、濃酸混合物からZrの少なくとも一部を保持することを含むことができる。追加で又は別々に、濃酸混合物の少なくとも一部はFeを含むことができ、本方法は、濃酸混合物中で供給しながら、容器36内の濃酸混合物からFeの少なくとも一部を保持することを含むことができる。
【0036】
次に図5を参照すると、内部に媒体38を有する容器36及びYを含む濃酸混合物42を含み得る、システム50が提供される。例示的な実装形態によれば、容器54は希酸混合物56を含み得る。この希酸混合物は容器36内へ供給され得る。本方法は、容器36内に希酸混合物56を提供しながら、容器36内からのYの少なくとも一部を含み得る導管52中の希酸溶出液を回収することを提供することができる。容器36内の媒体は、例えば、図4を参照して説明したとおりであり得る。
【0037】
容器36は、例えば、90Y、89Y、88Y、又は86YなどのYの放射性同位体及び安定同位体として、Yの少なくとも一部を含み得る。容器はまた、Zr又はFeのうち1つ以上を含有することができ、本方法は、容器36内のZr及び/又はFeのうち一方又は両方の少なくとも一部を溶出する希酸混合物56を、容器36へ提供することを更に含むことができる。本明細書に記載されるように、希酸性混合物はHClを含むことができ、混合物は、例えば、ギ酸などの有機酸を含み得る。加えて、容器36へ希酸混合物を供給しながら、本方法は、容器内のSrの少なくとも一部を溶出させることを含むことができる。
【0038】
次に、図6を参照すると、容器14及び容器36が直列に設けられたシステム60が提供されており、本明細書に記載のシステム10、システム25、システム35、及びシステム50の実施形態を一緒に利用して、Yを含む溶出液52が調製される。例示的な実装形態によれば、図6を参照すると、Y及びSrを含む第1の混合物12aを、内部に第1の媒体20を有する第1の容器14へ供給することができる。この第1の混合物は希酸性溶液であり得、第1の媒体はHDEHP樹脂などのアルキルホスホラス抽出剤樹脂であり得る。第1の混合物12aからのYの少なくとも一部は、例えば、媒体20を利用して容器14内に保持され得る。
【0039】
例示的な実装形態によれば、第2の混合物24aを第1の容器14へ供給することができ、本方法は、第1の溶出液28を回収することと、内部に第2の媒体38を有する第2の容器36へ、Yを含む第1の溶出液28を供給することと、を更に含むことができる。第2の混合物は、HClなどの強酸性又はコンセントラクテッド(concentracted)酸性溶液であり得、第2の媒体は、N、N、N´、N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドなどのジグリコールアミド樹脂であり得る。本方法は、例えば、媒体38を利用して第1の溶出液28からのYの少なくとも一部を第2の容器36内に保持することと、第3の混合物42を第2の容器36に提供することと、第3の混合物42を供給する場合に第1の容器からYの少なくとも一部を含む第2の溶出液52を回収することと、を更に含むことができる。この第3の混合物は、HClなどの弱酸又は希酸混合物であり得る。
【0040】
他の例示的な実装形態によれば、図6を参照すると、Y及びSrを含む第1の混合物12aを、内部に第1の媒体20を有する第1の容器14へ供給することができる。第1の混合物12aからのYの少なくとも一部は、例えば、媒体20を利用して容器14内に保持され得る。この実施形態によれば、第1の混合物は、HClなどの強酸性又はコンセントラクテッド(concentracted)酸性溶液であり得、第1の媒体は、N、N、N´、N´-テトラ-n-オクチルジグリコールアミドなどのジグリコールアミド樹脂であり得る。
【0041】
この実施形態を続けると、第2の混合物24aを第1の容器14へ供給することができ、本方法は、第1の溶出液28を回収することと、内部に第2の媒体38を有する第2の容器36へ、Yを含む第1の溶出液28を供給することと、を更に含むことができる。この第2の混合物は、HClを含み得る希酸性又は弱酸性溶液であり得、第1の媒体は、HDEHP樹脂などのアルキルホスホラス抽出剤樹脂であり得る。
【0042】
本方法は、例えば、媒体38を利用して第1の溶出液28からのYの少なくとも一部を第2の容器36内に保持することと、第3の混合物42を第2の容器36に提供することと、第3の混合物42を供給する場合に第1の容器からYの少なくとも一部を含む第2の溶出液52を回収することと、を更に含むことができる。この第3の混合物はHClなどの強酸又は濃酸混合物であり得る。
【0043】
加えて、本方法は、容器14と容器36とが実質的に異なるサイズであり、容器14が少なくとも同じ大きさであるが、容器36よりも大きくてもよいということを提供することができる。そのような構成では、プロセスのシステム及び方法から回収されたYは濃縮形態であり得、工業的使用に好適であり得る。したがって、容器14の容積は容器36の容積よりも大きくてもよい。
【0044】
上記の表3はまた、90Y移送、二次洗浄、及び90Y溶出工程中の第2の媒体(DGA樹脂)上における、4つの選択されたイオンの挙動を示す。
【0045】
例示的なシステム概略図60図6に示されており、符号は以下の表4で定義されている。システム60は3つのポンプ(PP、SP1、及びSP2)を含む。これらのポンプは、重力もまた含み得る多くの潜在的な流体送達システムの1つ以上として提供される。
【0046】
【表4】
【0047】
システム60は、以下の表5に概説される一連の工程を実行するようにプログラムすることができる。カラムを通る送達試薬の容積及び流速は、以下で説明するように、設定してもよい。
【0048】
システム60に送達されるようにプログラムされた試薬容積は、例えば、特定の工程のために1つ(又は2つ)のシリンジ容積が送達された、流体送達システム排水容積の関数であり得る。送達される容積は過剰になるよう意図的にプログラムすることができる(すなわち、カラムを通して送達される試薬の多量な総容積)。
【0049】
【表5】
【0050】
流速は、以下を含み得るいくつかの要因によって最終的に制限され得る:流体経路(主にカラム)によって産生される背圧;漏出前にカラム又はフィッティング又はポンプが処理できる背圧の量;過剰な抽出剤が浸出する前に抽出クロマトグラフィ樹脂が処理することができる背圧の量;及び、カラム樹脂上の分析物の吸着/脱着速度。表5に示す流速範囲は、評価された2つの例示的な流速値を表す。より低い流速はラン1~ラン4に対して実行されてもよく、より高い流速はラン5に対して実行されてもよい。
【0051】
表5に記載のプロトコルを実行するのに必要な経過時間を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
1.25Ci/mLの90Sr放射能濃度を有する例示的な生成物溶液は、Ca、Sr、及びBaについて表7の第2列に列挙された安定な第2族元素濃度を含有していた。Y濃度は、この放射能濃度の90Sr溶液中に存在する90Yのおおよその質量濃度に基づいた。表7の元素及び放射能濃度は90Sr生成物組成の一例にすぎず、他の90Srバッチを表すものではない場合がある。
【0054】
【表7】
【0055】
例示的な1.25Ci/mLの90Sr放射能濃度を考えると、合成の8Ciである90Sr溶液を得るためには6.4mLのこの溶液が必要であると概算された。6.0mLの試料インジェクションループをシステム60に設置することができ(「SL」、図6)、これにより、その塩含有量が約7.5Ciの90Srと同等であった模擬90Sr溶液を日常的に注入することが可能になる。この6.0mLの注入に基づいて、第2族元素の総μg(及びμmol)を表7に列挙する。
【0056】
ストックSr含有溶液の元素組成を厳密に模した90Sr/90Y含有溶液を調製した。溶液安定元素組成を表1及び表7に列挙し、スパイクした90Sr放射能値を表2に列挙する。
【0057】
医療目的のためにこの(又は任意の)精製方法によって生成された単離90Yは、しばしば、≧1×10:1の90Y:90Sr活性比を必要とする。したがって、同位体生成物中の1Ciの90Yごとに、最大で1×10-6Ci(1μCi)の90Srが許容され得る。表8のモル比放射能に基づいて、1μCiの90Srは、第2族元素(例えば、表7に記載される模擬90Srストック溶液を参照)の4.7×10-4μmole(0.47nmole)に相当する。
【0058】
【表8】
【0059】
本開示の90Y単離及び精製プロセスを用いて、90Srに対する90Yの少なくとも10倍の放射能濃縮が達成され得る。5回の試験運転(1~5)に存在する開始90Sr放射能レベルに基づいて、90Y生成物フラクション中の最大90Sr放射能レベルを表9に示す。
【0060】
【表9】
【0061】
90Yの単離及び精製方法(表5)は、図6に示すシステム60を用いて実行することができる。このプロセスは、例示的な90Sr生成物溶液の約7.5Ciのレベルを模するために、高いCa、Sr、Ba、及びYレベルを含む90Sr溶液注入により5回実行することができる。5種の溶液の各々における90Sr放射能レベルを表9に示す。これらの放射能は6mLの溶液中に溶解することができ、試料インジェクションループ(SL、図6)を用いて流体システムへと注入することができる。
【0062】
直列カラムプロセスは、それぞれ、Lnレジン及びDGA樹脂カラムを含むことができる。90Sr/90Y溶液が、例えば、蠕動ポンプによる半自動化様式で試料インジェクションループへとロードされると、90Yの単離及び精製プロセスを完全に自動化することができる。
【0063】
5回の運転のうち最小の90Sr/90Y放射能を含有したラン1では、フラクションコレクタを採用して、プロセス全体にわたって約2mL体積のフラクションを収集することができる(90Y溶出工程を除き、その最中に1mL未満のフラクションを収集した)。90Y放射能クロマトグラムは運転の終了直後に示されており、試料は永続平衡に一旦達した(図7)。0.85mLを表わす最初の3つの90Y溶出フラクションは、注入された試料中の90Yの83%を含有し得る。
【0064】
フラクション中の90Srが90Yと平衡に達する場合、試料インジェクションループからカラム1のロード/洗浄を通じて移動する、不保持90Srのプロファイルを決定することができる。示される例示的なフラクションは体積が各々2mLであり得る。90Srは、最初の6mLの体積中にあり得る。次の2mLフラクションは、残留90Srの大部分を含有し得る。この約30μCiの90Srは、例えば、2つの空気セグメントの間に捕捉された洗浄液のセグメントとして、試料インジェクションループから運ばれ得る。空気セグメントが通過すると、90Sr放射能は、カラム洗浄の残りの部分のベースラインに存在し得る。全体として、ロード/洗浄フラクション中の90Srの97%を占める場合がある。
【0065】
ラン2~ラン5は、ラン1の90Sr/90Y放射能のおよそ2倍を含有し得る。一部のフラクション(90Srロード流出物及び初期90Y溶出)は2つに分割することができる。90Srロードの場合、初回及び次回の10mLフラクションを収集することができる(初回18.2mL及び次回2.35mLが収集されたラン2を除く)。90Y溶出では、初回の0.72~0.84mLを1つのフラクション中に収集し、2.5mLの90Y溶出体積の残りは第2のフラクション中に回収することができる。
【0066】
図8では、表11及び表14を参照すると、ラン2について、一次溶出フラクション中で決定され得る90Y収率は95%であり得る。平衡化された一次ロードフラクションにおける90Sr回収率は98%であり得る。図9では、ラン3について、一次溶出フラクション中の90Y収率は86%であり得る。平衡化された一次ロードフラクションにおける90Sr回収率は97%であり得る。図10では、ラン4について、一次溶出フラクション中の90Y収率は86%であり得る。平衡化された一次ロードフラクションにおける90Sr回収率は100%であり得る。図11では、ラン5について、一次溶出フラクション中の90Y収率は89%であり得る。平衡化された一次ロードフラクションにおける90Sr回収率は104%であり得る。
【0067】
加えて、ラン5一次カラムロード/洗浄フラクション流出物の2μLアリコートを、収集時に直ちに試料採取することができる。アリコートをシンチレーションカクテルへと添加し、得られた試料を液体シンチレーションアナライザ(liquid scintillation analyzer:LSA)によって計数することができる。この試料は、試料が90Sr/90Yの永続平衡に近づくまで定期的に計数することができる。「ほぼゼロ」時点以降のLSAパルス高スペクトルを図12に示す。高エネルギーの90Y β放出領域は、約1000チャネルを超える低エネルギーの90Sr β放出領域の明らかに上である。「0」時点のスペクトルは、90Yが実質的に試料中に存在しないことを示す(これは一次Lnレジンカラムに吸着されている)。時間が経過するにつれて、90Srの親からの90Yの内部成長が観測される。
【0068】
直列精製プロセスの例示的な性能を、90Yについて表10に示す。表は、システム60へと注入された総90Sr/90Yと、収集されたフラクション全てにわたる決定された90Y放射能と、を提供する。表11は、表10のデータを使用して、全てのフラクションにわたる90Y総回収率(放射能バランス%)及びカラム2溶出における90Y回収率を計算する。
【0069】
【表10】
【0070】
全5回の運転にわたり、システムに注入された放射能の97.2±5.0%を占めることができる。この±5.0%は測定アプローチにおける不確実性として評価した。その結果、この同じ相対的不確実性を使用して、個々の90Y溶出収率に不確実性を割り当てることができる。全5回の運転にわたり、平均90Y溶出フラクションは、注入された総90Yの87.8±4.3%であったと決定することができる。ラン1~ラン4よりも高い流速(例えば、2倍)で実行されたラン5の90Y収率は、他のランと統計的に区別できない90Y生成物収率をもたらし得る。
【0071】
【表11】
【0072】
5回の運転での各一次90Y溶出フラクションの崩壊は、放射測定的に定期的に監視することができる。初期の90Y試料の放射能をほぼゼロの時点で「1」に正規化し、次いで、次の約60日間にわたる放射能フラクションを計算することができる。図13図17のチャートは、理論上の90Y崩壊率上に重ねられた崩壊する90Y溶出フラクションを示す。全ての場合において、崩壊する90Y溶出フラクションは、理論曲線の上に留まることができる。これらの90Y生成物フラクションに任意の90Srが存在していた場合、データは理論曲線を超えて上昇し始めていた。
【0073】
計数の経過日数が約60日に近づくと、90Y生成物フラクションの90Y放射能が低くなりすぎて、放射性検出器で正確に測定できなくなる可能性がある。その時点で、一次90Y溶出フラクションの体積の一部を犠牲にしてシンチレーションカクテルへと注入してもよい。次いで、試料を、LSAによって更に数日間にわたって計数することができる。低い放射能レベルのために、試料は、計数率を得るために長期間(各2時間)にわたって計数されてもよく、次いで、正味の計数率へと変換され、最終的に崩壊単位(Bq)へと変換されてもよい。
【0074】
上記のLSA試料からの崩壊率は、各分析日での崩壊率に変換することができる。90Y生成物フラクション放射能(Bq)の結果を図18に示す。90Y精製運転とLSA分析との間の経過時間を表12に示す。図18に示すように、試料の崩壊率は経時的に減少し続ける。これは、試料中の主要な放射能源が90Yのままであることを示す。したがって、これらの崩壊率は、試料中に存在する痕跡量レベルの90Srとの永続平衡を90Yが達成するまで低下し続けるべきである。
【0075】
【表12】
【0076】
図18のLSAデータを使用して、一次90Y生成物フラクション中の90Sr除染係数を計算することができる。放射能レベルがLSA試料において低下し続けるにつれて、図19に示すように、90Sr除染係数は経時的に上昇し続ける。
【0077】
90Sr含有材料のストックは、記載されたプロセスにおいて消耗品と考えることができる。各90Yミルキングサイクルにより90Srの一部の損失が予想される。しかしながら、90Y分離プロセスの終了時には、できるだけ多くの90Srを保持することが望ましい。高い90Sr回収は少なくとも2つの理由で有益であり得る:(1)回収されない90Srはストックの損失を置き換えるために追加の購入を必要とし、(2)プロセス流出物及び周辺成分における90Srの放射能レベルは廃棄物処分のコストを増加させる。
【0078】
したがって、高収率で高純度90Y生成物を得ることに加えて、各精製サイクルの終わりに90Srの高回収率をもたらす方法が有益であろう。理想的には、90Srの実質的に全ては、一次90Y抽出カラムの流出物中で回収可能であろう。
【0079】
直列カラム精製プロセス(図7図11)中に収集されたフラクションの放射能の結果。各図は、90Y精製プロセスの実行後の、「0」時点付近(左側)及び50~60日経過付近(右側)のフラクションの放射能を示す。左側の図は90Y放射能のフラクションを提示したが、右側の図は90Sr放射能のフラクションを提示した。
【0080】
直列カラム精製プロセスに関与する全てのデュアルカラム流出物及び周辺成分から回収された90Srの分布を、表13に列挙する。上部の影付きの行は、5回の運転の各々へと注入された90Srの決定されたスパイク放射能を提示する。これらは約400~約770μCiの範囲である。太字の行は、カラム1の90Yのロード/洗浄流出物で回収された90Sr放射能を報告している。底部の影付きセルは、直列カラム精製プロセス中に占められた全ての90Srの合計を提示する。
【0081】
【表13】
【0082】
表13のデータは、90Sr放射能の実質的に全てがカラム1のロード/洗浄フラクションを占めたことを示している。次に高い90Sr放射能を伴うフラクションは、ロード/洗浄フラクションに関して≦1.8×10-3であったレベルを含有した(ラン5の「システムリンス」を参照)。
【0083】
表14のデータは5回の運転の各々にわたる90Sr収率を要約している。まず90Srのフラクションは、表13にける「フラクションの合計」対「注入された放射能基準」の値を占めた。全体として、90Y精製プロセスを開始する前に試料採取され得る基準アリコートに関して、90Srの99.4±3.2%を占めることが可能であり得る。±3.2%の相対的不確実性を採用して、「カラム1のロード/洗浄」フラクションを占める90Sr放射能に不確実性を割り当てることができる。これに基づいて、5回全ての実行にわたるカラム1のロード/洗浄流出物における99.3±3.1%の平均90Sr回収率を得ることができる。90Y精製プロセスへと注入された実質的に全ての90Srは、一次Lnレジンカラムから出る流体中で回収可能であり得る。
【0084】
【表14】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】