(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】3次元構造体を形成するための構成及びそれに関連する形成方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20230316BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230316BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230316BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230316BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20230316BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/118
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547060
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021052513
(87)【国際公開番号】W WO2021156292
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520489628
【氏名又は名称】ベラセノ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BELLASENO GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】チャヤ,モヒット パラシャント
(72)【発明者】
【氏名】カニ,ネーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ティーレ,ヨーナス アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AH63
4F213AP06
4F213AP11
4F213AP12
4F213AQ01
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
(57)【要約】
実施形態は、3次元構造体を形成する方法に関するものである。本方法は、形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定するステップを含む。本方法は、構造体の座標情報に基づいて3次元構造体の一部分を形成するステップをさらに含む。本方法は、1つ以上の場所のうちの1つの場所に感知装置を位置決めするステップをさらに含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元構造体を形成する方法であって、当該方法は、
形成される前記3次元構造体のレイアウトに関する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定するステップと、
前記構造体の座標情報に基づいて前記3次元構造体の一部分を形成するステップと、
前記1つ以上の場所のうちの1つの場所に前記感知装置を位置決めするステップと、
前記3次元構造体の前記被形成部分の少なくとも一部分に関する、前記1つ以上の決定された場所のうちの1つの場所の前記感知装置により取得される取得データに基づいてプロセス状態を決定するステップと、を含む、3次元構造体の形成方法。
【請求項2】
前記構造体の座標情報は、前記3次元構造体の内部構造に関する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構造体の座標情報は、前記3次元構造体を形成する形成装置を制御するためのツールパス指令を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセス状態を決定するステップは、前記3次元構造体の前記被形成部分の構造上の特徴のパラメータ値を前記取得データに基づいて決定するステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ値は、前記3次元構造体の被形成部分の構造上の特徴の長さ、幅もしくは直径、高さ、粗さ、色、均質性、厚さ及び傾斜角度の少なくとも1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記構造上の特徴は、前記3次元構造体の内部構造のストランドセグメントを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記特徴のパラメータ値は、前記ストランドセグメントのエッジを検出することにより決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ストランドセグメントの前記エッジは、人工ニューラルネットワークプロセス又は傾斜ベースの検出プロセスを実行することにより検出される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プロセス状態を決定するステップは、
前記構造体の座標情報に基づいて、前記3次元構造体の前記部分のストランドセグメントの理想の軸を決定するステップと、
前記被形成部分の前記取得データに基づいて、前記被形成部分のストランドセグメントの実際の軸を決定するステップと、
前記理想の軸と前記実際の軸との比較に基づいて前記プロセス状態を決定するステップと、を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記理想の軸と前記実際の軸との差がしきい値を超えた場合に欠陥のあるプロセス状態と決定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセス状態を決定するステップは、
前記3次元構造体の前記部分のストランドセグメントの理想のパラメータ値と、前記被形成部分のストランドセグメントの決定されたパラメータ値とを比較するステップを含み、
前記ストランドセグメントの前記決定されたパラメータ値は、前記3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分の前記取得データに基づいて決定され、
前記ストランドセグメントの前記理想のパラメータ値は、前記構造体の座標情報と入力値との少なくとも1つに基づいて決定される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記理想のパラメータ値と前記決定されたパラメータ値との差がしきい値を超えた場合に、欠陥のあるプロセス状態と決定するステップを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセス状態を決定するステップは、
前記被形成部分の複数のストランドセグメントと関連付けられた複数のパラメータ値を決定するステップと、
前記複数のパラメータ値の統計的パラメータを決定するステップと、
前記統計的パラメータと比較パラメータとの間の差がしきい値を超えた場合、欠陥のあるプロセス状態と決定するステップを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記決定されたプロセス状態に基づいて、前記3次元構造体を形成するためのプロセスパラメータを適合させるステップをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記3次元構造体の前記部分は、前記3次元構造体の複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットについて、前記感知装置を位置決めするための場所の各グループを決定するステップと、
前記複数のレイヤーセットのうちの1つのレイヤーセットを形成するステップと、
前記レイヤーセットを形成してからその次のレイヤーセットを形成するまでに、場所からなる前記グループの前記場所に前記感知装置を順次位置決めし、それぞれの場所で、前記被形成レイヤーセットのデータを取得するステップと、をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レイヤーセットは、少なくとも第1のサブレイヤーと少なくとも第2のサブレイヤーとを含み、
前記複数の場所のうちの前記場所は、前記第1のサブレイヤーと前記第2のサブレイヤーとの間の交点に基づいて決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の場所のうちの前記場所は、前記第1のサブレイヤーと前記第2のサブレイヤーとの2つの交点の間にある、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の場所は、いくつかの場所を含み、前記いくつかの場所は、ランダムであり、連続であり、アレイベースであり又はユーザが決定可能である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
繰り返し交互に、
前記複数のレイヤーセットのうちの1つのレイヤーセットを形成するステップと、
前記レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、前記レイヤーセットの場所グループの前記場所に前記感知装置を順次位置決めするステップと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
3次元構造体を形成する構成であって、当該構成は、
前記3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて3次元構造体を形成するための形成装置と、
可動な感知装置と、
プロセッサと、を含み
当該プロセッサは、
形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて前記感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定し、
前記1つ以上の場所への前記可動な感知装置の位置決めを制御し、
前記3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分に関する、前記1つ以上の場所のうちの1つの場所の前記感知装置により取得される取得データに基づいてプロセス状態を決定するように構成されている、3次元構造体を形成する構成。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記3次元構造体を形成するため適合された数値コード指令を生成するようにさらに構成され、前記適合された数値コード指令は、形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報と、前記1つ以上の場所の前記感知装置を位置決めすることに関する情報とを含む、請求項21に記載の構成。
【請求項23】
3次元構造体を形成する構成であって、当該構成は、
複数のレイヤーを含む3次元構造体を形成するための形成装置と、
可動な感知装置と、
プロセッサであって、
前記複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットについて、前記感知装置を位置決めするための少なくとも1つの場所を決定し、
前記3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて前記装置による前記レイヤーセットの形成を制御し、
前記レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、前記レイヤーセットと関連付けられた少なくとも1つの場所への前記可動な感知装置の位置決めを制御し、
前記形成されたレイヤーセットの取得データであって、形成されたレイヤーセットと関連付けられた前記少なくとも1つの場所の前記感知装置により取得された取得データに基づいてプロセス状態を決定するように構成されているプロセッサと、を含む、構成。
【請求項24】
請求項21~23に記載の構成の前記プロセッサにより実行されると、前記構成が請求項1~20のいずれか一項に記載の方法を実行する指令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年2月3日に欧州特許庁に出願された欧州特許出願第20155109.0号の優先権を主張し、その内容全体は、あらゆる目的のため本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、3次元構造体を形成するための構成及びそれに関連する形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
3次元構造体の製造は、プリント誤差の間接的な測定又は直接的な測定を用いてモニターすることができる。間接的な測定では、プリントパラメータ並びに環境上の変動要素を測定し、その一方で、直接的な測定では、プリントされた構造体自体の欠陥をモニターする。例えば、熱溶解堆積式(FDM)プリントでは、種々のセンサが、間接的な測定に使用される場合があり、これは、多くの測定可能な変動要素がプリント状態を表し得ることによる。例えば、アコースティック・エミッション(AE)法を、異常なプリント状態を決定しフィラメントの破損を検出するために使用することができる。一部の応用例では、隠れセミマルコフモデル及びk平均法が、プリント状態を区別するために用いられる場合がある。一部の応用例では、ノズルの詰まりのモニターが実行される場合がある。一部の応用例では、材料の堆積状態が、フィラメント供給モータの電流を測定することにより決定され得る。一部の応用例では、2次元のレーザー三角測量方式が、押出成形されるトラックの大きさをスキャンするため使用される場合がある。一部の応用例では、超音波励起を用いてプリント中の接合不良を検出することができる。一部の応用例では、ファイバ・ブラッグ・グレーティング・センサ及び熱電対を試料に埋め込んで、プリント中に発生した残留張力及び温度プロファイルをモニターすることができる。熱電対は、プリントプロセス中の温度条件を評価するため使用される場合がある。一部の応用例では、圧縮センシングを適用することにより、1回のステップで4つの温度測定値を用いて、融解フィラメント加工された試料の温度場を再構成することが可能な場合がある。一部の応用例では、複数のセンサを有するセンサアレイで、プリントプロセスをモニターすることができる。各種プロセスの状態の分類(正常動作、異常動作、ビルド失敗)は、ノンパラメトリックベイズモデルを用いたセンサデータを解析することにより実行可能である。
【0004】
直接的な測定のため、プリントされたモデルの画像を、拡張現実ベースの技術を用いることによりCADモデルと比較することができる。一部の応用例では、単一のカメラシステム及び二重のカメラシステムを使用して、詰まったノズル、不完全な突起及びフィラメントの損傷を検出することができる。一部の応用例では、プリント中の部分の3次元の画像が、2つのカメラを使用して再構成されて、理想モデルとプリントされた部分との点群間の差を見つけることができる。一部の応用例では、プリントされた部分が、2次元カメラで画像化され得る。プリントされた部分の中心を、検出して、理想の幾何図形的配列の中心と比較することができる。一部の応用例では、ボーダーシグネチャ法(border signature method)を適用して、単純な固体の外側の幾何図形的配列における幾何図形的配列の偏差を検出し、理想の外形とプリントされたレイヤー方向の外形とを比較することができる。一部の応用例では、USB(登録商標)顕微鏡ビデオカメラを用いてずれを測定し制御することができる。
【0005】
オンライン検査の手法を他のプリント技術に用いることができる。例えば、金属ベースの粉末床溶融結合法により製造された部分のコンピュータ断層撮影法(CT)スキャンを行い、すべてのレイヤーの2次元画像を多重フラクタル解析により解析してよい。一部の応用では、縞投影を用いて、AM製造された部分の表面トポグラフィーを測定することができる。さらに、セラミックセンサのレイヤー上において、オンラインシグネチャ解析を実行することができる。一部の応用では、抽出したトラックのシグネチャをテンプレートシグネチャと比較して、欠陥を検出することができる。一部の応用では、選択的レーザー溶融におけるエラーを画像化するために、ビデオフレームからの連続した画像において単一の画素の強度変化を統計的方法により捉えて、経時的に強度プロファイルに異常がある画素を検出できる。その上、プリント対象物にプリントされたプリント部分又はラベルの特異な点を認識して、付加製造された部分の外観を捉えることができる。
【発明の概要】
【0006】
種々の実施形態は、製造プロセス中に3次元構造体の品質をモニターする方法及び構成を提供することに関する。本方法及び構成は、プリント中に欠陥及びその原因を分類しその場所を特定する、改善されたプロセスを提供する。
【0007】
種々の実施形態は、3次元構造体を形成する方法に関する。本方法は、形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定するステップを含む。本方法は、構造体の座標情報に基づいて3次元構造体の一部分を形成するステップをさらに含む。本方法は、1つ以上の場所のうちの1つの場所に感知装置を位置決めするステップをさらに含む。
【0008】
種々の実施形態は、3次元構造体を形成する構成に関する。本構成は、3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて3次元構造体を形成するための形成装置を含む。本構成は、可動な感知装置をさらに含む。本構成は、形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定し、可動な感知装置の1つ以上の場所への位置決めを制御するように構成された、プロセッサを含む。
【0009】
種々の実施形態は、3次元構造体を形成する構成に関する。本構成は、複数のレイヤーを含む3次元構造体を形成するための形成装置を含む。本構成は、可動な感知装置をさらに含む。本構成は、複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットについて、感知装置を位置決めするための少なくとも1つの場所を決定するように構成されたプロセッサをさらに含む。プロセッサは、3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づく本装置によるレイヤーセットの形成を制御するようにさらに構成されている。プロセッサは、レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、レイヤーセットと関連付けられた少なくとも1つの場所への可動な感知装置の位置決めを制御するように、さらに構成されている。プロセッサは、形成されたレイヤーセットの取得した構造データに基づいてプロセス状態を決定するようにさらに構成され、取得した構造データは、形成されたレイヤーセットと関連付けられた少なくとも1つの場所の感知装置により取得されたものである。
【0010】
本開示の前記のもの及び他の特徴は、添付の図面を併用して、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からさらに十分明らかとなるであろう。添付の図面は、本開示によるいくつかの実施形態を示すものに過ぎず、ゆえに、その範囲を限定するものとはみなされない。本開示の利点が一層容易に確認できるように、本開示を添付の図面を用いてさらに具体的かつ詳細に記載していく。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、3次元構造体を形成する方法100のフローチャートを示す。
【
図1B】
図1Bは、3次元構造体を形成する方法160のフローチャートを示す。
【
図2A】
図2Aは、3次元構造体の各種レイヤーセットの例を示す。
【
図2B】
図2Bは、3次元構造体の各種レイヤーセットの例を示す。
【
図3】
図3は、3次元構造体を形成する方法300の少なくとも一部分のフローチャートを示す。
【
図4A】
図4Aは、ストランドが間違って配置された例を示す。
【
図4B】
図4Bは、ストランドが間違って配置された例を示す。
【
図5A】
図5Aは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の訓練用データの画像を示す。
【
図5B】
図5Bは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の訓練用データの画像を示す。
【
図6】
図6は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたエッジ検出の図を示す。
【
図7A】
図7Aは、エッジ・クラスタリング・プロセスから見出された正確なエッジ及び不正確なエッジ721を含むエッジ点を示す。
【
図7B】
図7Bは、エッジ・クラスタリングを用いて主なエッジを決定した結果を示す。
【
図7C】
図7Cは、クラスター化された上部エッジとクラスター化された下部エッジとを識別するためのさらなるクラスタリング・プロセスを示す。
【
図8】
図8は、基準として実際の軸で測定された距離l
realと、基準として理想の軸で測定された距離l
idealとの差を示す。
【
図10A】
図10Aは、勾配ベースのエッジ検出を用いた50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図10B】
図10Bは、勾配ベースのエッジ検出を用いた50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図10C】
図10Cは、勾配ベースのエッジ検出を用いた50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図10D】
図10Dは、勾配ベースのエッジ検出を用いた50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図10E】
図10Eは、勾配ベースのエッジ検出を用いた50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図10F】
図10Fは、勾配ベースのエッジ検出を用いた50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図11A】
図11Aは、細胞培養メッシュのストランドを視覚的にモニターした画像を示す。
【
図11B】
図11Bは、細胞培養メッシュのストランドを視覚的にモニターした画像を示す。
【
図11C】
図11Cは、細胞培養メッシュのストランドを視覚的にモニターした画像を示す。
【
図11D】
図11Dは、細胞培養メッシュのストランドを視覚的にモニターした画像を示す。
【
図11E】
図11Eは、細胞培養メッシュのストランドを視覚的にモニターした画像を示す。
【
図11F】
図11Fは、細胞培養メッシュのストランドを視覚的にモニターした画像を示す。
【
図12A】
図12Aは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図12B】
図12Bは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図12C】
図12Cは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図12D】
図12Dは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図12E】
図12Eは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図12F】
図12Fは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて50mlの乳房足場材を視覚的にモニターした画像を示す。
【
図13A】
図13Aは、50mlの乳房インプラント足場材の測定されたストランドの直径(平均径)のヒストグラムを用いた第1のレベルの評価を示す。
【
図13B】
図13Bは、50mlの乳房インプラント足場材の測定されたストランドの直径(最大径)のヒストグラムを用いた第1のレベルの評価を示す。
【
図13C】
図13Cは、50mlの乳房インプラント足場材の測定されたストランドの直径(最小径)のヒストグラムを用いた第1のレベルの評価を示す。
【
図14A】
図14Aは、50mlの乳房インプラント足場材のレイヤーに関する評価など第2のレベルの評価を示す。
【
図14B】
図14Bは、50mlの乳房インプラント足場材のレイヤーに関する評価など第2のレベルの評価を示す。
【
図14C】
図14Cは、50mlの乳房インプラント足場材のレイヤーに関する評価など第2のレベルの評価を示す。
【
図15A】
図15Aは、50mlの足場材のストランドのストランドに関する評価が行われ得る第3のレベルの評価を示す。
【
図15B】
図15Bは、50mlの足場材のストランドのストランドに関する評価が行われ得る第3のレベルの評価を示す。
【
図16】
図16は、3次元構造体を形成するための構成150の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明において、添付の図面を参照し、当該図面は、特許請求の範囲に記載の主題を実施可能な特定の実施形態を図示目的で示すものである。これらの実施形態を、当業者が主題を実施することができる程度に十分詳細に記載する。種々の実施形態は、異なるものだが、必ずしも相互に排他的なものではないことを理解されたい。「実施形態」、「実施形態の例」、「例示的な実施形態」及び「本実施形態」という用語は、必ずしも、単一の実施形態を指すものではなく、それら及び種々の実施形態の例は、実施形態の例の範囲又は趣旨から逸脱することなく、容易に組合せかつ/又は入れ替えることができる。例えば、一実施形態と関連した、本明細書に記載の特定の特徴、構造又は特性は、特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲を逸脱することなく他の実施形態で実施してよい。本明細書で「一実施形態」又は「実施形態」と言う場合、実施形態に関連して記載した特定の要素、構造、又は特徴が、本説明に包含される少なくとも1つの実施に含まれることを意味する。したがって、「一実施形態」又は「実施形態」という語句を使用しても、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。その上、開示のそれぞれの実施形態における個別の要素の場所又は構成を、特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲を逸脱することなく変更してよいことを、理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味とは理解されず、主題の範囲は、添付の請求項がその権利を有する全範囲の均等物とともに、適切に解釈された添付の請求項によってのみ定義されるものである。図面では、同様の番号は、いくつかの図を通じて同一もしくは類似の要素又は機能を指し、図に描いた要素は、必ずしも相互に合わせて倍率変更する必要はなく、むしろ、個別の要素は、本説明の文脈で当該要素をさらに容易に含むために拡大又は縮小してよい。
【0013】
本明細書において使用される「~の上方」、「~へ」、「~の間」及び「~の上」という用語は、1つのレイヤーの他のレイヤーに対する相対的な位置を指す場合がある。別のレイヤー「の上方」又は「の上」の1つのレイヤーは、直接他のレイヤーと接触してもよいし、又は1つ以上の介在するレイヤーを有してもよい。レイヤー「の間」の1つのレイヤーは、直接、レイヤーに接触してもよいし、又は1つ以上の介在するレイヤーを有してもよい。
【0014】
「a」、「an」及び「the」という用語は、単数を指す場合と、複数を指す場合とがある。さらに、本開示及び添付の請求項で使用される、「及び/又は」という用語は、列記した関連する事項の1つ以上の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを指し、包含することができる。本開示に使用される語句「A及び/又はB」は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味する。本開示に使用される語句「A、B及び/又はC」は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)又は(A、B及びC)を意味する。本開示に使用される用語「又は」は、語句「A、B、又はC」の語句に使用される場合、(A)は(B)及び(C)を除外せず、(B)は(A)及び(C)を除外せず、(C)は(A)及び(B)を除外しないことを意味する。
【0015】
図1Aは、3次元構造体を形成する方法100のフローチャートを示す。
【0016】
方法100は、形成される3次元構造体に関連する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定するステップ110を含む。方法100は、さらに、構造体の座標情報に基づいて3次元構造体の一部分を形成するステップ120を含む。方法100は、さらに、1つ以上の場所のうちの1つの場所に感知装置を位置決めするステップ130を含む。
【0017】
構造体の座標情報は、形成される3次元構造体のレイアウトに関連する座標情報を含み得るか又は座標情報であってよい。構造体の座標情報は、形成される3次元構造体の物理的構造及び/又はレイアウトの場所、位置、向き、寸法、形状及び/もしくは形態に関連する座標情報を含み得る。構造体の座標情報は、形成される3次元構造体の特徴の場所、位置、向き、寸法、形状及び/又は形態を独自に定義しかつ/又は記載する目盛りもしくは軸の数値を使用する座標系に基づく情報であり得る。任意選択的に、構造体の座標情報は、3つの相互に垂直な軸(例えば、x軸、y軸及びz軸)と、3つの相互に直交する平面とを有する3次元のデカルト座標系に基づいたものであってよい。構造体の座標情報は、3次元デカルト座標を基準としてプリントされる3次元構造体の内部構造及び/又は外部構造に関する情報を含み得る。あるいは、構造体の座標情報は、球座標系、極座標系、楕円座標系もしくは円筒座標系など任意の他の座標系、又は座標がデカルト座標との間で変換可能な任意の座標系に基づくものであってよい。
【0018】
構造体の座標情報は、3次元構造体の構築、マッピング、形態又はレイアウトに関連するコンピュータ支援設計(CAD)の情報を含んでよい(又はそうであってよい)。その上、あるいは又は任意選択的に、構造体の座標情報は、形成装置(例えば、3次元プリント装置又は構成)を制御するためのコンピュータ支援製造(CAM)情報を含んでよい。その上、あるいは又は任意選択的に、構造体の座標情報は、3次元構造体を形成する形成装置を制御するためのツールパス指令を含んでよい(又はそうであってよい)。例えば、構造体の座標情報は、Gコード指令などの数値コード指令を含んでよい(又はそうであってよい)。数値コードツールパス指令及び/又はG-コード指令は、形成される3次元構造体の構造及び/又は構築に関連する座標情報に基づくものであってよくかつ/又は座標情報を含んでよい。このような指令は、プロセッサにより実行されると、3次元構造体を形成するための装置(例えば、供給装置)の動作及び/又は経路を制御することができる。
【0019】
構造体の座標情報は、3次元構造体の内部構造及び/又は外部構造に関連する情報を含み得る。形成される3次元構造体は、例えば、3次元の足場材構造体及び/又はメッシュ構造体を含み得るが、それに限定されない。あるいは、その上又は任意選択的に、3次元構造体は、充填ライン(本明細書ではストランドとも呼ぶ)を含んでよく、又はストランドもしくはラインの格子状ネットワークを含む任意の構造であってよい。充填ラインの代わりに、ストランドは、アウトフィルラインも含むことができ、当該アウトフィルラインは、構造体の外側の境界を形成するものである。
【0020】
形成される3次元構造体(足場材構造体及び/又はメッシュ構造体など)は、複数のレイヤー又は複数のレイヤーセットを含み得る。3次元形成(又はプリント)プロセスにおいて(又はその間に)、3次元構造体は、第1のレイヤーを形成し、次に相互の上部に連続してレイヤーを形成して、連続したレイヤーが相互に垂直にプリント方向(本明細書ではz方向と呼び得る)に積み重なるようにすることによって、形成される。任意選択的に、このようなプリントレイヤーは、横方向のレイヤー、水平方向のレイヤー、平面のレイヤー、又は平坦なレイヤーと理解されてよく、又はそのように呼んでもよい。これらの用語によって、レイヤーは、x-y平面にあるレイヤー又はx-y平面内にあるレイヤーと理解される。このようなプリントレイヤーは、z方向の寸法より大きい(例えば、少なくとも10倍、又は例えば、少なくとも50倍、又は例えば、少なくとも100倍の)x軸(x方向)と、y軸(y方向)とに沿って延びる寸法を備え得る。本明細書で使用する横方向のレイヤー及び水平方向のレイヤーという用語は、プリント方向に垂直な方向を指し得ると理解でき、当該プリント方向は、z方向又は垂直方向であるとみなすことができる。一旦、1つの横方向(又は水平方向)のレイヤーのプリントが完了すると、プリンタは、連続した横方向(又は水平方向)のレイヤーを、先のレイヤーの上部に(又は例えばその上方に、又は例えばその上に、又は例えばその上を覆って)プリントして、その結果、横方向のレイヤーは、(例えば、3次元プリントの場合)プリント方向に相互に垂直に積み重ねられる(例えば、垂直に積み重ねられる)ように進み得る。任意選択的に、1つのレイヤーセット(又はレイヤー)は、第1の方向に向けられたストランドの第1のサブレイヤー(又は第1のグループのサブレイヤー)と、第1の方向とは異なる第2の方向に向けられたストランドの第2のサブレイヤーとを含んでよい。任意選択的に、1つのレイヤーセットは、第1のグループのサブレイヤー又は第2のグループのサブレイヤーのみを含むことに限定されないが、任意のあり得る数のサブレイヤーを含んでよい。それぞれのグループのサブレイヤーは、1つ以上のサブレイヤーを含み得る(又はそれを指し得る)。任意選択的に、交差する(又は例えば十字交差する)ライン又はストランドは、1つのレイヤーセットの複数の反復単位セルを形成してよい。
【0021】
3次元構造体の外部構造は、3次元構造体の外側表面の領域であり得る。外側表面の領域は、3次元構造体のもっとも外側の表面、もっとも外側のレイヤー及び/又はもっとも外側の輪郭を指すことができる(又はそうであってよい)。もっとも外側の表面及びもっとも外側の輪郭は、1つ以上のレイヤー又はストランドから形成することができる。外側表面の領域は、3次元構造体のもっとも外側のレイヤーグループ(例えば、もっとも外側の単一のレイヤー、又は例えば、もっとも外側の複数のレイヤー、又は1つの境界レイヤー)と呼ぶことができる(又はそうであってよい)。外側表面の領域は、3次元構造体の外側(もしくは例えば外の方)を向いた表面を指すものであってよい。
【0022】
3次元構造体の内部構造は、3次元構造体のもっとも外側の境界以外の3次元構造体の任意の部分であってよい。その上、あるいは、又は任意選択的に、1つのレイヤーセット内において他の単位セルによりその側面のすべてが囲まれた単位セルを、3次元構造体の内部構造であるとみなすことができる。その反対に、別の単位セルにより囲まれていない少なくとも1つの側面を含み得る境界の単位セルは、3次元構造体の外部構造の一部とみなすことができる。3次元構造体の内部構造は、もっとも外側の表面から、プリントされるストランドの所望のストランド幅又は厚さの2倍を超えて配置される3次元構造体の任意の部分であってよい。所望のストランドの幅又は厚さは、例えば、プリントされる3次元構造体のストランドの理想の厚さであってよい。任意選択的に、ストランドの平均厚さ(又は幅、又は直径)は、0.001mmと30mmとの間(又は例えば、0.001mm~1mmの間、又は例えば、0.01mmと0.5mmとの間)であってよいが、それに限定はされない。任意選択的に、隣接するライン間の分離距離は、0.001mmと30cmとの間(又は例えば、0.001mmと50mmとの間、又は例えば、0.01mmと50mmとの間)であってよいが、それに限定されない。同様に、第2の方向に向けられたそれぞれのサブレイヤーは、(同一の)第2の方向に向けられた隣接する(又は連続する)サブレイヤーと、ストランドの平均厚さの1%と100%との間の分離距離をおいて分離させることができる。
【0023】
方法100は、形成される3次元構造体に関連する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所(又は、例えば複数の場所)を決定するステップを含む。プロセッサは、1つ以上の場所を構造体の座標情報から又は構造体の座標情報に基づいて決定(又は計算)するように構成可能である。1つ以上の場所は、例えば(
図2A~
図2Bに示すように)、3次元構造体のストランド(又はストランドセグメント)間の交差領域又は交点を計算又は決定することにより、構造体の座標情報から決定可能である。
【0024】
3次元構造体の一部分を形成するステップ120は、3次元プリント装置又は構成により3次元構造体の一部分をプリントするステップを含み得る。3次元構造体は、3次元(3D)プリントプロセスにより形成することができる。3次元プリントプロセスには、光造形法(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、熱溶解堆積法(FDM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、電子ビーム溶解法(EBM)、薄膜積層法(LOM)、結合剤噴射法(BJ)、及び材料噴射法(MJ)の少なくとも1つを含み得る。プロセッサは、構造体の座標情報に基づいて数値コード指令を実行して、3次元構造体を形成するための形成装置の少なくとも一部分の動作及び/又は経路を制御することができる。一部の例では、構造体の座標情報により動作が制御される装置の一部分は、熱溶解堆積法におけるような、3次元構造体(例えば、3次元構造体用ストランド)を形成するためのプリント材料を供給するための供給部分であってよい。他の例では、装置の一部分は、レーザーにより制御されてよく、構造体の座標情報によって、3次元構造体を形成するための材料に対して、焼結、硬化、溶融、結合、積層及び/又は樹脂硬化の少なくとも1つを発生させ得る選択的場所が制御される。その動作が数値コード指令により制御される装置の一部分が、数値コード指令の構造体の座標情報により定義されて選択された場所において3次元構造体を形成する(例えば、3次元構造体のストランドを形成する)役割を担う装置の一部分であり得ることが理解され得る。あるいは又は任意選択的に、3次元構造体は、3次元を超えた動作、例えば、5次元(5D)プリントプロセス又は6次元(6D)プリントプロセスに基づくプリントプロセスにより形成することができる。
【0025】
方法100がその場でのモニタープロセスに関連するものであることから、本明細書で言及する(120で形成される)被形成部分が、形成される3次元構造体全体よりも小さい場合があることが理解できる。例えば、3次元構造体の一部分は、3次元構造体の複数のレイヤー(及び/又は複数のレイヤーセット)からなるあるレイヤーセット(例えば、1つのレイヤーセット、又は例えば1つを超えるレイヤーセット)であってよい。被形成部分は、3次元構造体の内部構造であってよく、又はそれを含んでいてよい。例えば、被形成部分は、3次元構造体内において単位セルの格子を形成する複数の交差するライン又はストランドを含む1つ以上のレイヤーセットを含んでよい。複数のレイヤーのための欠陥検出プロセスを、
図1Bに関連してさらに記載する。
【0026】
方法100は、形成プロセスを開始する前に、又は形成プロセスの間でも、3次元構造体の被形成部分に関連して感知装置を位置決めするための場所からなる1グループを決定するステップを含み得る。例えば、場所からなる該グループは、3次元構造体の一部分の形成前後に決定可能である。方法100は、3次元構造体のさらなる(又は例えばその次の)部分を形成する前に、すでに形成済みの部分に関連して決定された場所からなる該グループのうちの場所に、感知装置を順次位置決めするステップを含み得る。場所からなる該グループは、いくつかの場所を含むことができる。そのいくつかの場所は、ランダムで、連続し、アレイベースでありかつ/又はユーザが決定することができるものである。場所からなる該グループは、1つ以上の(例えば、複数の)場所を指す場合がある(又はそうであってよく、もしくはそれらを含み得る)。
【0027】
場所からなる当該グループの個別の場所(例えば、それぞれの場所)で、方法100は、感知装置により、被形成部分の少なくとも一部分のデータを取得することを含んでよい。感知装置は、被形成部分の構造情報を含むデータを取得することができる任意の感知装置であってよい。例えば、感知装置は、装置のグループからの少なくとも1つの装置であってよく、当該装置のグループは、撮像装置と、カメラと、サーマルカメラと、顕微鏡と、レーザースキャナーと、3次元スキャニング装置とからなる。任意選択的に、取得データは、場所からなる当該グループのそれぞれの場所で取得した被形成部分の2次元画像又は3次元画像であってよい。
【0028】
取得データには、視覚データを含むことができ、当該視覚データは、3次元構造体の被形成部分の1つ以上の構造上の特徴に関連しかつ/又はその構造上の特徴についての構造データを含み得るか又はそのような構造データであり得る。取得データから得たかつ/又は決定された構造情報は、3次元構造体の被形成部分の、物理的な構造上の特徴及び/又はレイアウトの場所、位置、向き、寸法、形状及び/もしくは形態に関連する情報を含み得る。例えば、構造上の特徴は、3次元構造体の被形成部分のライン、ラインセグメント、ストランド、ストランドセグメント、孔及び/又は壁であってよい。
【0029】
その上又は任意選択的に、方法100は、さらに、3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分に関連する取得データに基づいたプロセス状態を決定するステップを含み得る。プロセス状態は、被形成部分(例えば、レイヤーセット)に関連したデータを取得してから、(任意選択的に)3次元構造体のさらなる部分(例えば、さらなるレイヤーセット)を形成するまでに、決定することができる。本明細書において言及するさらなる部分は、すぐ次に形成される部分であってよいが、それに限定はされない。例えば、形成装置は、プロセス状態が決定されるまでプリントプロセスを続けることができ、これは、プロセス状態を決定するのに要する時間によって、3次元構造体の1つ以上のさらなる部分がすでにプリント済みの場合があることを意味し得る。
【0030】
プロセス状態を決定するステップは、3次元構造体の被形成部分の構造上の特徴のパラメータ値を取得データに基づいて決定するステップを含み得る。構造上の特徴のパラメータ値は、3次元構造体の被形成部分の構造上の特徴の長さ、幅もしくは直径、高さ、粗さ、色、均質性、厚さ及び傾斜角度の少なくとも1つであってよい。任意選択的に、構造上の特徴のパラメータ値は、ストランドセグメントのエッジ検出に基づいて(例えば、ストランドセグメントのエッジを検出することにより)決定し得る。例えば、パラメータ値は、ストランドセグメントの検出された2つのエッジの間のストランドセグメントの幅であってよい。ストランドセグメントのエッジは、例えば、人工ニューラルネットワークプロセス又は傾斜ベースの検出プロセスを実行することにより検出可能である。任意選択的に、構造上の特徴のパラメータ値は、構造上の特徴と、所定のベースライン又は比較構造体との差に基づいて(例えば、画像値を引き算することにより)、かつ/又は構造上の特徴と所定のベースライン又は比較構造体との間のずれを決定することにより、決定可能である。
【0031】
任意選択的に、プロセス状態を決定するステップは、構造体の座標情報に基づいて、3次元構造体の一部分のストランドセグメントの理想の軸を決定する(例えば、計算する、又は例えば生成する)ステップを含み得る。プロセス状態を決定するステップは、被形成部分の取得データに基づいて、被形成部分のストランドセグメントの実際の軸を決定する(例えば、測定する、又は例えば、計算する)ステップをさらに含み得る。プロセス状態は、理想の軸と実際の軸との比較に基づいて決定可能である。欠陥のあるプロセス状態は、理想の軸と実際の軸との差がしきい値を超えた場合に、決定され得る。
【0032】
任意選択的に、プロセス状態を決定するステップは、3次元構造体の一部分のストランドセグメントの理想のパラメータ値と、被形成部分のストランドセグメントの決定されたパラメータ値とを比較するステップを含み得る。ストランドセグメントの決定されたパラメータ値は、3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分の取得データに基づいて決定され得る。ストランドセグメントの理想のパラメータ値は、構造体の座標情報と入力値との少なくとも1つに基づいて決定され得る。入力値は、1つ以上のユーザの入力値、及び/又は1つのデータセットもしくはデータベースの1つ以上の値(例えば、いくつかのプリントにわたる又は前のプロセスのデータの1つの集合)であり得る。理想のパラメータ値と実際のパラメータ値との差がしきい値を超えた場合に、欠陥のあるプロセス状態と決定され得る。
【0033】
その上、任意選択的に又はあるいは、プロセス状態を決定するステップは、被形成部分の複数のストランドセグメントと関連付けられた複数のパラメータ値を決定することを含み得る。複数のパラメータ値の統計パラメータ(例えば、標準偏差、分散、中央値、最頻値、範囲、相関、度数、最大、最小、四分位数、平均、誤差の少なくとも1つ)を決定してもよい。統計パラメータと比較パラメータとの差がしきい値を超えた場合、欠陥のあるプロセス状態と決定され得る。
【0034】
方法100は、決定されたプロセス状態に基づいて、3次元構造体を形成するためのプロセスパラメータを適合するステップをさらに含み得る。プロセスパラメータは、形成温度、周囲温度、冷却プロセス、レイヤーの隙間、ノズルの清浄度、プリント材料の流量、プリント速度、ツールパス及び周囲の湿度、及び/又はレーザー出力からなるグループの少なくとも1つのプロセスパラメータを含み得る。周囲温度は、室温及び/又はチャンバ温度もしくは3次元構造体の形成が行われる囲まれた空間の温度であり得る。形成温度(例えば、プリント温度)は、供給される3次元構造体を形成するための材料(例えば、ポリマー)を保持するカートリッジの温度であり得る。レーザー出力は、3次元構造体を形成するための材料の焼結、硬化、溶融、結合、積層及び/又は樹脂硬化用のレーザー出力及び/又はエネルギーであり得る。
【0035】
図1Bは、3次元の構造体を形成する方法160のフローチャートを示す。方法160は、
図1Aに関連して既に記載の特徴の1つ以上又はすべてを含み得る。
図1Bは、欠陥検出システムのプロセスと、3次元構造体を形成するプロセスをその場でモニターする方法とを示す。
【0036】
図1Aに関連して記載したように、方法160は、プリントされる3次元構造体の複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセット(又は例えば、それぞれのレイヤーセット)について、感知装置を位置決めするための場所のそれぞれのグループを決定するステップを含み得る。場所の該グループは、プリントされる3次元構造体の構造体の座標情報に基づいて決定可能であり、また、場所の該グループは、3次元構造体の形成プロセス(例えば、プリントプロセス)開始前に任意選択的に決定可能である。あるいは、プロセッサは、3次元構造体のそれぞれの部分のための場所の該グループが、それぞれの部分が形成され始める前もしくはその時、あるいは完全に形成される時までに決定される限り、プリントプロセス中に場所の該グループを決定するように構成可能である。任意選択的に又はあるいは、プロセッサは、それぞれの部分が形成された後にそれぞれの部分のための場所の該グループを決定するように構成してもよい。
【0037】
方法160は、3次元構造体を形成するため適合された数値コード指令を生成するステップをさらに含み得る。例えば、適合された数値コード指令は、形成装置の動作と可動な感知装置の動作とを制御する指令を含み得る。適合された数値コード指令は、形成される3次元構造体に関連する構造体の座標情報と、1つ以上の場所に感知装置を位置決めするステップに関連する情報とを含み得る。例えば、感知装置を位置決めするステップに関連する情報は、1つ以上の場所への可動な感知装置の位置決め又は動作を制御するための情報であり得る。さらに、適合された数値コード指令は、1つ以上の場所への可動な感知装置の動作を考慮して、形成装置のタイミングシーケンス又は動作シーケンスを適合させることができる。
【0038】
適合された数値コード指令をプロセッサが実行することによって、方法160は、(方法100に関連して記載したように)3次元構造体の一部分を構造体の座標情報に基づいて形成するステップ120を含み得る。3次元構造体の一部分を形成するステップ120は、複数のレイヤーセットのうちの1つのレイヤーセット(例えば、第1のレイヤーセット、又は例えば、任意の第1のレイヤーセット)を形成する(例えば、プリントする)ことを含み得る又は意味し得る。
【0039】
(第1の)レイヤーセットを形成してからさらなる(又は例えば、その次の、例えば、第2の、もしくは例えば、任意の第2の)レイヤーセットを形成するまでに、方法160は、3次元構造体が形成されるプロセス状態(例えば、製造状態)を決定するステップ140を含み得る。プロセス状態を決定するステップ140は、感知装置を、形成されるレイヤーセットのため決定された場所からなるグループの該場所に順次位置決めするステップを含み得る。プロセス状態を決定するステップ140は、さらに、形成されるレイヤーセットのため決定された場所からなる該グループのそれぞれの場所の形成されるレイヤーセットに関連したデータを(例えば、画像の取得により)取得するステップ130を含み得る。プロセス状態を決定するステップ140は、さらに、(例えば、それぞれの取得画像を処理することにより)取得データを処理するステップ141を含み得る。
【0040】
プロセス状態を決定するステップ140は、理想のパラメータ値と、取得したパラメータ値との比較に基づいて欠陥のあるプロセス状態を決定する(例えば、重大なプリントの欠陥が起こっているか否かを決定する)ステップ142を含み得る。プロセッサが欠陥のあるプロセス状態と決定した場合、プロセッサは、形成プロセスを停止させる指令180又はプリントパラメータを適合させる指令170を実行し得る。欠陥のあるプロセス状態と決定されない場合、プロセッサは、形成プロセスを続行するための指令を実行し、次のレイヤーセットがプリントされ得る。
【0041】
方法160は、複数のレイヤーセットのうちの1つのレイヤーセット(又は1つ以上のレイヤーセット)を形成するステップと、該レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、プロセス状態を順次決定するステップ(形成されたレイヤーセットの場所からなるグループの該場所に感知装置を位置決めするステップを含み得る)とを交互に繰り返すことを含み得る。任意選択的に、後者の交互に繰り返すプロセスは、プリントプロセスが完了し3次元構造体が形成されるまで、又はあるいは、プロセッサがプリントを停止する指令を実行する重大な欠陥が決定されるまで、実行可能である。任意選択的に、欠陥が決定されなくても、特定の3次元構造体(例えば、所定の部分)がプリントされるまで、交互に繰り返すプロセスが実行される場合もある。このような所定の部分は、構造体のレイヤー総数のうち指定もしくは特定の数のレイヤーであってよく、又は3次元構造体内の指定もしくは特定の場所又は部分であり得る。このような所定の部分は、3次元構造体の他の部分より複雑度が高いか又は低い3次元構造体の部分である場合があり、製造プロセスの要件によって選択可能である。
【0042】
感知装置(例えば、市販のデジタル顕微鏡)を使用して、関心領域の画像(写真)をレイヤー方向に捉えることができる。これらの画像は、欠陥を検出するため処理され得る。
図1Bは、検出方法160のレイヤーに関する特徴を示す。レイヤーをプリントするたびに、顕微鏡を、プリンタの軸により指定の関心領域の上方に自動的に配置することができる。視野とモニターされた特徴の大きさとによって、1つ以上の画像が、撮影され処理され得る。カメラの位置決め及び画像の撮影の自動化のため、画像の撮影時間及び最適なカメラの位置を知ることが必要な場合がある。この情報は、数値コード(例えば、Gコード)から引き出され、当該数値コードには3次元足場材構造体をプリントすることに用いられるすべてのプリンタの動作が含まれる。数値コードは、潜在的なカメラの位置を決定するように変更又は適合又は使用可能であり、カメラを位置決めするためのコマンドで変更することができる。任意選択的に、感知装置は、プリント装置(例えば、プリントヘッド)とは個別の又は異なる軸システム上に配列させてよい。適合させた数値コードを用いて、2つの個別の軸システム、すなわち、感知装置の軸システムと、プリント装置の軸システムとを制御することができる。例えば、適合させた数値コードは、異なる軸システムをそれぞれが制御する複数の異なるプロセッサ又は制御器に送られる場合がある。
【0043】
次の画像処理を、ストランドの直径の測定に利用することができる。測定が、所定の許容差の範囲内であれば、プリントは続行され得る。著しい偏差がある場合、プリントは停止され得る(ステップ180)。偏差が所定の許容差(例えば、プリントを停止する程大きくはないが以降のレイヤーの妨げになりかねない偏差)の範囲内である場合、プリントパラメータを調整する場合がある(ステップ170)。調整170の後、プリントプロセスを進行させてよい。方法100及び160を、例えば、ストランドの直径を検出するため、また、その上、あるいは又は任意選択的に、破損もしくは幾何学的な偏差を検出するため用いることができる。
【0044】
【0045】
図2A及び
図2Bは、単位セルのレイヤーセットの図を示す。レイヤーセットは、第1の方向に向けられたストランド228を含む第1のサブレイヤー(又はサブレイヤーの第1のグループ)と、第1の方向とは異なる第2の方向に向けられたストランド229を含む第2のサブレイヤー(又はサブレイヤーの第2のグループ)とを含み得る。
【0046】
任意選択的に、それぞれのサブレイヤーのストランドは、サブレイヤーの始点Sからサブレイヤーの終点Eまで連続して延びる、連続したサブレイヤーのストランドの一部分であってよい。例えば、第1のサブレイヤーのストランド228は、第1のサブレイヤーの始点Sから終点Eまで連続して蛇行する、連続したサブレイヤーのストランドの一部分であってよい。例えば、第2のサブレイヤーのストランドは、第2のサブレイヤーの始点Sから終点Eまで連続して蛇行する、連続したサブレイヤーストランドの一部分であってよい。ライン又はストランドという用語を明細書において使用する場合、まっすぐなラインのみならず、湾曲した又は自由な形態のストランドも含むか又はそれらを指す場合がある。例えば、単位セルを形成する交差するストランドは、まっすぐなラインであってよく、又はあるいは、ストランドは、正弦曲線状のライン又は湾曲していてよく、単位セルは、「自由な形態」の形をとってよい。あるいは又は任意選択的に、レイヤーを、1つを超える始点及び終点を有するパスとしてプリントし得る。例えば、それぞれのレイヤーの間に間隙が存在する場合があるか、又は、レイヤーが異なる領域を含む場合があるか、もしくはそのレイヤーが同時に形成される異なる構造を含む場合がある。
【0047】
任意選択的に、ストランド228、229のそれぞれの各サブレイヤー内のいくつかが、相互に平行であってよい(例えば、サブレイヤー内のストランド間又は正弦曲線状のストランドに最良適合するストランド間の鋭角が、+/-5°の範囲内にあってよい)。あるいは、ストランドは、湾曲したものであってよく、又は相互に平行ではなくランダムな方向に延ばしてよい。
【0048】
任意選択的に、第1のサブレイヤーの複数のストランド228と第2のサブレイヤーの複数のストランド229とを、レイヤーの2次元単位セルの2次元格子構成を形成するように、交点又は交差領域で交差させてよい。積層されたレイヤー構成のそれぞれのレイヤーの2次元の単位セルは、3次元の格子構造を形成可能である。レイヤーセットのそれぞれの単位セルは、単位セルの孔径を確定する隣接するサブレイヤーからの交差するストランド228、229を含むことができるか又はそれらから形成することができる。例えば、第1のサブレイヤーの2つの隣接する(かつ平行な)ストランド228は、第2の(隣接する)サブレイヤーの2つの隣接する(かつ平行な)ストランド229と交差するようにできる。交差するストランドにより囲まれた単位セルの領域は、偏菱形の単位セル、多角形の単位セル、三角形の単位セル、ダイヤモンド形の単位セル、自由な形態形状の単位セル、正方形の単位セル、平行四辺形の単位セル及び/又は六角形の単位セルであってよい。
【0049】
1つのレイヤーセットは、少なくとも第1のサブレイヤーと少なくとも第2のサブレイヤーとを含み得る。複数の場所のうちの特定の場所が、第1のサブレイヤーと第2のサブレイヤーとの間の交点231(例えば、第1のサブレイヤーのストランド228と第2のサブレイヤーのストランド229との間の交点)に基づいて構造体の座標情報から決定され得る。例えば、複数の場所232のうちの特定の場所232は、第1のサブレイヤーと第2のサブレイヤーとの2つの交点231の間にあってよい。
【0050】
プリントプロセス(例えば、FDMプロセス)の後に、レイヤーに関する手法が続き得る。足場材Sの構造をレイヤーセットLで表すことができる。
【数1】
式中、Jは、J∈Nのレイヤーの総数である。プリンタのあらゆる動作は、始点及び終点を有する数値コード指令(例えば、G-コード)により定義することができ、プリントヘッドは、直線状に動き得る。円形の動作は、短い長さの連続したラインで近似し得る。よって、それぞれのレイヤーL
jは、ラインlのセットとして定義し得る。
【数2】
【0051】
【0052】
足場材の幾何学的記述によって、適切なカメラの場所(もしくは位置)又は構造体のレイヤーの関心領域の定義が可能となる。関心領域は、現在のレイヤーとその前のレイヤーとの連結点が発生する領域であってよい。対称的なノズルの場合、これらの連結点の中心は、(x,y)平面に投影された2つの連続したレイヤーL
j及びL
j-1の交差点(j>1)により表すことができる。交点は、以下の式として計算可能である。
【数4】
式中、g、h、i∈Nである。
【0053】
これらの点を計算し、対応する交差ラインを決定する各種方法が存在し得る。交点の数がライン数の二乗よりもかなり小さいと仮定した場合、Bentley-Ottmannアルゴリズムを適用することが適切となり得る。交点を計算する前に、ラインを、計算時間短縮のため境界領域のラインを排除するようにフィルターにかけることができる。この操作で、ラインをその長さによってフィルターにかけることができ、プリント部分の孔径に適合させることができる。例えば、プリントされる構造体の最小の孔径より短いラインは、排除してよい。交点を計算することで、カメラの位置を、使用されるカメラの視野に応じて計算することができる。視野がレイヤー全体を捉えるのに十分広い場合、すべての交点の中心が、カメラスポットとして選択され得る。交点が配置されるさらに狭い領域の上方のカメラの位置は、視野が狭すぎてレイヤー全体のモニターができない場合に、計算することもできる。この場合、レイヤーは、レイヤー全体を評価するために、スキャン領域を重ね合わせてもしくは境界を設けて順次スキャンすることができる。さらに、レイヤーを部分的にモニターすることができる場合がある。ランダムに選択された交点に基づいて、レイヤーを部分的に撮像することができる。2つの交点の間のストランド部分は、関心領域とみなしてよい。ストランドの直径の誤差が交点間のブリッジで通常起こるので、この技術は適切であり得る。任意選択的に、カメラの位置が、2つの連続した交点の間となる(例えば、中心となる)ように計算してよい。これらの位置を計算するため、レイヤーjのすべてのライン
【数5】
の前のレイヤーのライン
【数6】
との交点は、そのライン
【数7】
の位置によって分類することができる。分類された点は、以下の式として定義することができる。
【数8】
式中、rは、交点の添え字、gは、ラインの添え字、jは、レイヤーの添え字であり、g、j、r∈Nである。分類後、ラインセグメントの中心が決定され得る。カメラの位置が見つかる範囲を、例えば、境界に近い位置を無視して、限定することもできる。その後、いくつかのあり得るこれらの位置をランダムに選択することができる。カメラの位置の数は、品質管理の要件に左右され、ユーザが指定することができる。あるいは、カメラの位置は、2つの交点の間ではなく、交点自体に存在するように計算してよい。あるいは、カメラを交点に基づいて位置決めする代わりに、カメラを、レイヤーの外側の座標など他の要因に基づくかつ/又はツールパスコードに基づく位置にしてよい。
【0054】
図2Aに、いくつかの交点を有する連続した2つのサブレイヤーを備えたレイヤーセットと、可能性のある多数のカメラ場所を示す。可能性のあるすべてのカメラの場所のうち、例えば、(
図2AではXで識別した)5つのポイントをランダムに選択することができる。
図2Aには、構造分離及び位置計算の結果を示している。本明細書では、2つの交点から境界までの距離で5つのモニター位置を見出すことができる。
図2Bには、
図2Aよりも交点が少ない、2つのサブレイヤーを有するレイヤーセットを示している。例えば、可能性のあるさらに数少ないカメラ場所のうち、(
図2BではXで識別した)1つのカメラの場所をランダムに選択することができる。あるいは、カメラの位置から外側の境界までの距離が設定されたことから、唯一のモニター位置をそのレイヤーに対して見出すことができる。x軸及びy軸は、プリンタの動作の座標を示している。この例は、その数の場所が、ランダムであり、連続したものであり、アレイベースであり、かつ/又はユーザが決定可能なものであってよいことを示している。
【0055】
図3は、3次元の構造体を形成する方法300の少なくとも一部分のフローチャートを示す。
図3は、
図1A~
図2Bの方法に関連して記載した画像処理プロセス140の一部分を示す。画像処理プロセス140を
図4A~
図15Bに関連してさらに記載することができる。その上、方法300は、
図1A~
図2Bに関連してすでに記載した特徴の1つ以上又はすべてを含み得る。
【0056】
方法300は、1つのレイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、画像処理プロセス140を実行するステップを含み得る。(例えば、プロセッサが画像処理アルゴリズムを実施することにより実行され得る)画像処理プロセス140は、
図3に記載したいくつかのプロセス301~312(例えば、連続したプロセス)を含み得るか又は包含し得る。
【0057】
画像処理プロセス140は、構造体の座標情報に基づいて理想の軸302を決定するように、構造体の座標情報(例えば、Gコード又は数値コード)を処理するステップ301を含み得る。例えば、画像処理プロセス140は、ストランドの理想の軸を決定するステップ302又は理想の軸を抽出するステップを含み得る。任意選択的に、理想の軸は、抽出対象の軸を始点Psと終点Peとにより表現し得る、数値コード(例えば、G-コード)による構造の抽出によって得ることができる。
【0058】
画像処理プロセス140は、理想の軸の決定302を実行した後、決定された理想の軸を取得データに対してフィッティングするステップ303を含み得る。取得データが画像である場合、ストランドの画像が特定の位置及び特定の縮尺で撮影可能であるので、抽出された理想の軸を撮影画像上においてフィッティングし得る。フィッティングは、例えば、抽出された理想の軸が画像上でフィッティングされ得るように、画像を回転させるステップ303により実行し得る。これは、カメラの位置及び画素の大きさが分かっているので、行うことができる。
【0059】
303におけるように理想の軸を縮尺し位置決めした後、画像処理プロセス140は、間違ったエッジの検出を回避するため当該軸がストランド上にあるか否かを評価するステップ302を含み得る。プリントされるストランドがない場合、間違った位置でプリントされている場合、又は著しくカールしている場合、理想の軸がストランド上にないと評価され得る。モニター対象のストランドに属していないエッジが、この場合検出され得る。
【0060】
図4A及び
図4Bは、間違った位置決めがされたストランドの例を示す。
【0061】
図4Aでは、ストランドは、ストランドが理想の軸に対して回転しているので、理想の軸415上に位置していない。
【0062】
図4Bでは、ストランドは、ストランドが理想の軸に対して平行移動しているので、理想の軸415上に位置していない。理想の軸のすぐ隣のエッジ416、417は、ストランドの実際のエッジではないので、例えば、ストランドの寸法を測定するために使用することはできない。
【0063】
方法300は、これらの場合が認識されるように画像をグレースケールに変換するステップ304をさらに含み得る。理想の軸に沿った濃淡値の特性は、画像処理の開始時に分析することができる。これらの特性は、連続した軸部分の平均濃淡値の差及び軸に沿った濃淡値の関数の複雑さの場合がある。双方とも、軸に沿った画像の色の均一性を表現している。ストランドが、理想の軸の上に位置していない場合、ストランドの寸法を理想の軸に基づいて測定することはできない。本願では、位置ずれしたストランドを、プリント上の欠陥と定義する場合がある。位置ずれしたストランドは、その場所にあることが想定されるストランドの任意の部分内に理想の軸がないことを意味する場合がある。
【0064】
方法300は、ストランドセグメントの理想の軸が実際にプリントされた軸上に配置されている場合(例えば、実際にプリントされたストランドのエッジの間に理想の軸がある場合)、画像をグレースケールに変換した後、ストランドのエッジを検出するステップ305を含み得る。例えば、エッジ検出のステップ305は、理想の軸が実際にプリントされたストランドのエッジの間にあることが分かった場合、要求された位置調整を得るために実際のストランドの画像を回転及び/又は平行移動させることを含み得る。例えば、
図4A及び
図4Bの場合、理想の軸は、実際にプリントされたストランドのエッジの間にはないので、エッジ検出は、それ以上実行されない。
図8は、実際にプリントされたストランドのエッジの間に理想の軸があることが分かる場合を示している。しかしながら、実際の軸は、要求された方向に位置調整されていない。要求された位置調整は、用いられる画像感知及び画像処理技術に左右され得る。理想の軸の角度は、Gコードにより分かるので、画像は、理想の軸が位置調整されかつ/又は水平となるように(例えば、軸システムの、x方向などの方向に対して平行となるように)回転させることができる。任意選択的に、要求された位置調整は、ストランドのエッジを位置調整する(例えば、軸システムと平行かつ/又は水平に位置調整する)ようなものであってよい。本明細書で位置調整されるという用語は、所定の軸に対するなど、要求された方向に水平又は平行にされる場合を指す。要求された位置調整に関連して使用される位置調整されるという用語は、要求された製造公差に基づいて事前規定された又は要求された任意の角度を指す場合があることを理解できる。
【0065】
画像を回転させた後、理想の軸の方向は、x方向と定義することができ、y方向は、理想の軸と直交するものであり得る。エッジ検出プロセス305は、画像を回転させ画像をグレースケールに変換した後、実行することができる。エッジ検出プロセス305は、勾配検出プロセス(V1*)、又は畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの人工ニューラルネットワークプロセス(V2*)を実施することを含み得る。
【0066】
勾配ベースのエッジ検出器(V1
*)は、エッジのような頻繁にみられる特徴に対して高感度なものであり得る。画像の1次微分を取ることで、大きな点として特徴を検出することができる。この理由のため、画像は、フィルターカーネルで畳み込むことができる。簡単な勾配フィルターは、Prewitt演算子であってよい。x方向及びy方向にフィルターをかけるためのカーネルは、以下のように記述できる。
【数9】
【0067】
画像におけるノイズは、高周波特性も有し得るので、エッジとして検出され得る。間違ったエッジの検出を避けるため、画像は、エッジ検出の操作の前に予め処理することができる。例えば、画像は、ノイズを減衰させるためにフィルターでぼかすことができる。このような演算子の一例が、中央値フィルターであり、当該中央値フィルターは、エッジ保護用フィルターであり得、当該フィルターは、エッジを保ちながらノイズを減衰させることができる。局所的な非線形の輪郭保護用フィルターは、勾配ベースのPrewittフィルターの操作結果を改善するため、エッジ検出より前に行うことができる。保護用フィルターは、エッジとして検出される可能性があるノイズを除去することができる。エッジの向きが分かる場合、フィルターはエッジを1つの方向のみ検出することで十分となり得る。画像の大きさと比較すると、検出されるエッジは、比較的長いものである場合がある。この理由のため、Prewitt演算子のカーネルは、水平方向に拡大され得る。
【数10】
【0068】
例えば、カーネルは、一行に9つの要素、その結果、3×9のカーネルに拡大することができる。エッジの長さによって、フィルターの大きさを適合させることができる。その次に、フィルター処理された画像は、選択範囲において正及び負のy方向に沿ってスキャンされる。理想の軸のy-値を始点として用いることができる。特定の厚さを有するエッジが見つかった場合、y-値が、注目又は検出され、保存され得る。このプロセスは、理想の軸のxの値ごとに行われ得る。
【0069】
あるいは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)(V2*)を、マルチアレイ入力データを処理し、画像を分類するため用いることができる。全結合型多層ネットワークと比較して、入力データの前処理をネットワークに統合し、特徴抽出プロセスをネットワーク自体が行うこともできる。CNNで、画像中の局所グループの相関を考慮することができる。CNNは、画像の異なる領域が重みを共有できるので、その場所に拘わらず特徴を検出することができる。
【0070】
図5A及び
図5Bは、CNNの訓練用データの画像を示し、CNNは、これまでの3次元構造体のプリントプロセス中に得た訓練用画像の一部分で監督を受けながら訓練を受けることができる。訓練用画像は、ストランド又はエッジの一部分を示している。それに応じて、訓練用画像は、「ストランド」又は「エッジ」としてラベル付けされ得る。ネットワークを訓練した後、訓練を受けたネットワークを用いて、モニター中の現在の3次元構造体に対して決定された1つ以上の場所から得た未知の画像のエッジを分類することができる。
【0071】
図5Aは、エッジとしてラベル付け又は識別し得る訓練用データの例を示している。
【0072】
図5Bは、ストランドとしてラベル付けし得る訓練用画像の例を示している。
【0073】
図6は、CNNを用いたエッジ検出631の図を示す。
【0074】
被形成部分に基づいて取得した画像をy-方向に沿って切り取って、切り取られた画像633を生成することができる。例えば、決定された場所の1つにおいてプリント中に撮影された画像全体を、小さい画像に分割する(又は切り分ける)ことができる。小さく切り取られたこれらの画像633は、訓練を受けたCNN631に送られて、訓練を受けたCNNは、画像がエッジを含むか否かにしたがって、画像を分類することができる。
【0075】
勾配型手法と同様に、理想の軸を始点として用いてエッジを探索することもできる。一定(同一)のx座標において、理想の軸のy座標(y
0)を始点として、画像全体を正のy方向と負のy方向とに沿って小さい画像633に切り出すことができる。
図6は、同一のx座標に対応して切り出された複数の画像633を示し、切り出されたそれぞれの画像は、異なるy座標に対応し得る。切り出された画像内の領域をCNN631が解析し得る。一例として、理想の軸の切り出された画像I(x,y
0)から出発して、CNNは、切り出された画像I(x,y
0)にエッジがないことを決定することができる。正のy方向に切り出された画像633のうち、切り出された画像I(x,y
k)は、エッジを識別可能な第1の切り出し画像(又は第1の領域)であり得る。よって、エッジを含む第1の領域(又は切り出し画像I(x,y
k))の中心点の位置を保存することができる。同様に、負のy方向に切り出された画像633のうち、切り出された画像I(x,y
n)は、エッジを識別可能な第1の切り出し画像(又は第1の領域)であり得る。よって、エッジを含む第1の領域(又は切り出し画像I(x,y
n))の中心点の位置を保存することができる。このプロセスは、理想の軸のx座標ごとに繰り返し得る。勾配ベースのエッジ検出とCNNベースのエッジ検出との両方の場合において、エッジ検出の結果は、理想の軸の上下に見つかったすべてのエッジ点であり得る。
【0076】
(
図7A~
図7Cに示した)方法300は、1つ以上の主なエッジを識別する(又は見つける)ステップ306と、見つかったエッジ又はエッジ点が正しいエッジ及び/又は誤ったエッジを含む場合があることから、エッジを識別する(又は見つける)ステップ305の後に、エッジ・クラスタリング・プロセスを実行するステップ307とをさらに含み得る。
【0077】
図7Aは、正しいエッジ及び誤ったエッジを含む、エッジ・クラスタリング・プロセスにより見つかったエッジ点721を示す。反射、ノイズ及び隣接するストランドによって、間違ったエッジ721が見つかる場合がある。この理由のため、見つかったエッジをさらに解析する必要がある場合がある。
【0078】
図7Bは、エッジ・クラスタリングを用いて主なエッジを決定した(306)結果を示す。上下の境界の主なエッジを決定するために、隣接するエッジ点の間の角度を計算することができる。点は、2つの隣接する点の間の角度がしきい値を下回っている限り、そのxの値の順番にクラスター化し得る。しきい値を超えた場合、新しいクラスターが創り出され得る。主なエッジは、連続した最長のエッジがストランドの実際の境界に属するとすると、最大のクラスターとして定義され得る。主なエッジは、ストランドの境界全体又は境界のセグメントであり得る。このクラスター化の結果を
図7Bに図示する。連続したエッジ点の最長のクラスターが、主なエッジ722、例えば、主な上部エッジ及び主な下部エッジを形成することができる。点1及び2は、さらなる(又は続く)クラスタープロセスの始点となり得る。
【0079】
図7Cは、クラスター化された上部エッジ723と、クラスター化された下部エッジ723を識別するさらなる(又は最終の)クラスタリング・プロセス307を示す。さらなるクラスタリング・プロセス307において、残りのエッジ点を、主なエッジの外側の点を始点として用いて集めることができる。このクラスター化は、最近傍法に基づくものである。最近傍法は、近傍間のxとyとの差が設定されたしきい値を下回る場合、クラスターに追加することができる。この方法によって、アウトライアーを、クラスタリング・プロセス中に基準として主なエッジを用いることにより除去し得る。このように、標的のストランドの実際のエッジ723(例えば、実際の上部エッジ及び実際の下部エッジ)を識別し得る。
【0080】
方法300は、さらに、エッジ・クラスタリング・プロセス306、307を行った後、ストランドの境界を近似するステップ308を含み得る。エッジ関数は、クラスター化されたエッジ点を用いて平方根誤差を最小限にすることにより近似することができる(ステップ308)。間違った近似を検出するために、エッジ関数の特性を分析する場合がある。
【0081】
ストランドの両方の境界が見つかった場合、ストランドの直径を測定することができる。測定プロセスを適切なものにするために、ストランドの測定軸(例えば、実際の軸)が決定され得る。ストランドの実際の軸が、近似されたエッジ関数によって計算され得る。ストランドの理想の軸は、ストランドが製造プロセス中の平行移動及び回転により位置ずれする場合があるため、間違った測定になる可能性がある。
【0082】
図8は、理想の軸415を基準として測定する方法は、プリントされたストランドが理想の軸に対して角度α(例えば、理想の軸415と実際の軸834との間の角度がαであり、任意選択的に0°<α<180°であり得る)だけ回転することによって、間違った測定を生じる可能性があることを示している。上部エッジと下部エッジとの間の距離は、基準軸と直交して測定可能であって、
図8は、誤差が、基準として実際の軸で測定した距離l
realと、基準として理想の軸で測定した距離l
idealとの間に差があることから起こり得ることを示す。
【0083】
方法300は、ストランドの境界を近似するステップ308の後、測定のため画像を回転させるステップ309をさらに含み得る。例えば、方法300は、実際の軸を要求された方向に適合するように回転させることができる。
【0084】
方法300は、ストランドの寸法を測定するステップ311をさらに含み得る。例えば、ストランドの直径は、実際の軸に直交する方向に上部エッジ723と下部エッジ723との間の距離を計算することにより測定することができる(ステップ311)。
【0085】
図9A~
図9Dは、プリント可能な各種3次元構造体を示す。乳房インプラント及び細胞培養メッシュを含む各種構造体を、製造プロセス中にプリントしモニターすることができる。構造体は、種々のパラメータで製造可能である。例えば、構造体は、各種ノズルの直径、孔の大きさ並びに種々の数のレイヤーでプリント可能である。
【0086】
図9Aは、乳房インプラント足場材(50mlの体積)を示している。底部では、平均孔径を6mmにすることができる。孔径は、高さが増すと小さくなるので、平均孔径は上部では3mmに達する。組織の成長を妨げる障壁の形成を避けるため、レイヤーは、前のレイヤーに対してオフセットさせてプリントすることができる。この技術によって、傾斜のついたチャネル及び特徴的な全体形状が、形成され得る。外側の境界は、円形の構造体から発展し、内側の構造には、直交して交差するまっすぐなストランドのみが含まれる。構造体は、ノズルの直径を350μmとしてプリントすることができる。
【0087】
図9Bは、ストランドの幅を350μm、孔径を700μm、ストランドの向きのオフセットをレイヤーごとに36°にした細胞培養用メッシュを示す。構造体は、ノズルの直径を350μmとしてプリントすることができる。
【0088】
図9Cは、ストランドの幅を150μm、孔径を400μm、ストランドの向きのオフセットを36°にした細胞培養用メッシュを示す。構造体は、ノズルの直径を150μmにしてプリントしてよい。
【0089】
図9Dは、ストランドの幅を150μm、孔径を400μm、ストランドの向きのオフセットを90°にした細胞培養用メッシュを示す。構造体は、ノズルの直径を150μmにしてプリントしてよい。
【0090】
処理可能な画像を得るために、(
図9A~
図9Dの)構造体を、LEDライトを使用して下から照らすことができ、当該LEDライトは、構造体をプリントした基板の下に配置可能である。カメラの位置決めを自動化するために、それぞれの構造体の数値コードを、上に説明したように、1つ以上の場所に関する情報を含むように変更可能である。カメラは、画像が画像取込ソフトウェアで撮影され保存されるまで、計算された位置に動かしてそこで一時停止させることができる。一例として、50mlの乳房インプラントのストランドの直径の測定に、40の倍率を用いることができる。一例として、レイヤーごとに4つのストランドをプリントプロセス中にモニターすることができる。メッシュをプリントしている間、レイヤーごとに10のストランドを、メッシュの孔径によって140と200との間の倍率を用いて、モニターすることができる。換言すれば、場所の数は、ユーザが決定できるが、製造要件の厳密さによって変動する場合がある。
【0091】
図10A~
図10Fは、50mlの乳房足場材(
図9Aに記載)を勾配ベースのエッジ検出を用いて視覚的にモニターした画像を示す。
【0092】
図10Aは、3次元構造体の3番目のレイヤーにおいて重なり合う垂直のストランドを示す。
【0093】
図10Bは、3次元構造体の15番目のレイヤーの水平のストランドを示す。
【0094】
図10Cは、3次元構造体の43番目のレイヤーにおいて重なり合う水平のストランドを示す。
【0095】
図10Dは、3次元構造体の53番目のレイヤーにおいて境界に隣接した水平のストランドが欠落している様子を示す。
【0096】
図10Eは、3次元構造体の75番目のレイヤーの水平のストランドを示す。
【0097】
図10Fは、3次元構造体の18番目のレイヤーの垂直のストランドを示す。
【0098】
勾配ベースの手法を、ストランドの境界を検出するために使用可能である。
図10Aに、3番目のレイヤーから始まる、高さが異なるレイヤーを示す。3番目のレイヤーの画像(
図10A)では、基板の下に配置された紙片の構造が、見えているが、足場材の成長で焦点が合わなくなっている。また、光の当たり具合は、構造が成長するとともに変化し得る。これは、足場材がその構造により光を散乱させる場合があることによる。インプラントの構築によって、ストランドの重なり合いが、プリントにおいて起こる場合があり、これは、現在のレイヤーのストランドの一部分が、直前のレイヤーのストランドの上にあることを意味する。これらのレイヤーは、物理的には連結されておらず、平面視によって相互に上部にあるかのように見えるものの、それらの間の間隙により分離されている。この現象は、
図10A及び
図10Cにおいて起こっている。それにもかかわらず、ストランドの境界(ライン1023)は、正しく検出可能である。
図10Dでは、観察されるべき(例えば、構造体の座標情報に基づいて観察されることが期待される)ストランドが、欠落している。この画像の背景には、引きずられたストランドがいくつか見える。軸評価プロセスは、ストランドがその理想の軸上にプリントされなかったことを意味する軸の場所の間違いを正しく提示した。この位置ずれは、欠陥として記録され得る。この画像では、理想の軸は、ライン1024により表されている。
図10E及び
図10Fの画像は、足場材のさらに高いレイヤーで撮影されたものである。これらのレイヤーでは、孔径は、低い方のレイヤーの孔径よりも著しく小さいものであり得る。
【0099】
処理された画像において、例えば、ストランドの最小(min)もしくはもっとも小さい直径又は幅及び最大(max)もしくはもっとも大きい直径又は幅の値と、その場所とが、視覚化され、測定され得る。任意選択的に、μmでの平均径又は幅(avg)を、モニター対象のストランドセグメントに沿って複数の直径を測定することにより決定可能である。
【0100】
図11A~
図11Fは、
図9B~
図9Dに描いた細胞培養用メッシュ内のストランドを視覚的にモニターした画像を示す。境界を検出するため、勾配ベースの手法を用いることができる。(
図10A~
図10Fの)足場材の観察と比較して、測定対象の構造がさらに小さいので、倍率をさらに高く設定してよい。
【0101】
図11A及び
図11Bは、孔径が700μmであり、ストランドの方向がレイヤーごとに36°変化する、メッシュ内の直径350μmのストランドを示す。連続したレイヤーのストランドは、36°の角度で相互に交差し得る。画像は、140の倍率で撮影された。
【0102】
続く4つの画像は、さらに小さい構造を有するメッシュ内のストランドの測定を視覚化したものである。要求されたメッシュの孔径は、400μmであり、要求されたストランドの直径は、150μmであった。これらの画像は、200の倍率で撮影された。
【0103】
図11C及び
図11Dは、孔径が400μmであり、ストランドの方向がレイヤーごとに36°変化する、メッシュ内の直径150μmのストランドを示す。
【0104】
図11E及び
図11Fは、孔径が400μmであり、ストランドの方向がレイヤーごとに90°変化する、メッシュ内の直径150μmのストランドを示す。
【0105】
図12A~
図12Fは、画像処理の結果を示し、図では、CNNを用いて、エッジ又は境界を検出した。
図12A~
図12Fは、50mlの足場材の製造プロセス中に撮影された生画像であり、
図10A~
図10Fに関連して記載した勾配ベースの手法の場合と同一の各ストランドを示す。勾配ベースのエッジ検出を用いた測定とCNNベースのエッジ検出を用いた測定との間にある程度の偏差を観察し得るが、同様の結果が得られた。これらの偏差は、最大30μmまでのスケールであり得る。これらの偏差によって、CNNベースのエッジ検出の手法と勾配ベースの手法とでは、測定された最小、最大及び平均径が相違する場合がある。これらの相違は、CNNネットワークに送ることができる、切り出された画像の大きさによる場合がある。分類された画像の上のエッジの場所は正確に分からないため、偏差は、切り出された画像の大きさと同程度となる可能性がある。この現象は、
図12Fでリッピングされた近似エッジ関数を観察することで、特に明らかになる。事例の殆どにおいて、エッジは、もっと早期に(画像の境界に現れるとすぐに)検出されたので、起こった偏差は、切り出された画像の大きさよりも小さいものであった。ネットワークに送られた画像の大きさによって、本明細書に示したCNNベースの技術は、40の倍率で5μmの分解能に達した、勾配ベースの手法よりも精度が劣ると思われる場合があった。しかしながら、分解能を改善する必要がある場合、画像の小さめの部分を必要に応じてCNNに送ることができる。これを達成するために、CNNネットワークに、同様に小さめの画像による訓練を受けさせることができる。さらに、必要な場合、訓練用データを増加させることにより、かつ/又は以前はネットワークにより識別不可能だったエッジを含むもしくは包含し得る特定の画像を用いてネットワークを訓練することにより、分解能をさらに向上させることができる。
【0106】
CNNベースのエッジ検出では、エッジは、理想の軸全体に沿って見つかるか又は観察され得る。これは、
図10A~
図10F及び
図12A~
図12Fの各画像を比較すると、観察できる。比較すると、勾配ベースのエッジ検出では、エッジは、理想の軸の最初と最後との部分に見つからないか又は観察されない場合がある。しかしながら、これらのエッジは、CNNにより検出可能である。例えば、
図10Cでは、エッジは、勾配ベースの手法では理想の軸の最後の部分には見つからないが、他方で、これらのエッジは、CNNを用いて検出できる(
図12Cを参照)。処理時間を考慮すると、勾配ベースの技術は、CNNベースの手法よりも高速処理できる可能性がある。しかしながら、CNNベースの手法の消費時間が長くなるか否かは、その応用に大きく左右される。他方では、訓練を受けたCNNは、勾配ベースの方法よりもうまく、低コントラスト領域のエッジを分類することができる。CNNベースの手法において用いられる画像の大きさによっては、勾配ベースの手法の方が、さらに精度が高い場合がある。6mmと大きな孔径の足場材も、400μmと小さな孔径の足場材も、モニターできる可能性がある。しかしながら、デジタル顕微鏡の倍率を変えて、特徴の大きさの差を補償することもできる。
【0107】
データ解析において、ストランドの平均径と、1つのレイヤーの全平均径の平均値とは、測定する意味がある変数の可能性がある。不十分なストランド径が、足場材の機械的特性を制限する場合がある。他方で、厚過ぎるストランドは、プリントを硬化させ、孔径を小さくしてしまうので、医学用途では組織の成長プロセスを制限してしまう可能性がある。平均径が、所定の許容差の範囲内でない場合、プリントパラメータの調整が必要な場合がある。不十分な平均径は、材料の流量を増加させるか又はプリント速度を下げることにより補償することができる。逆に、直径は、流量を減少させるか又は速度を上げることにより、小さくすることができる。洗浄の必要がある詰まったノズルはまた、直径が不十分となる原因になる場合がある。さらに重要で測定可能な変数として、ストランドの最大の(もっとも大きい)直径又は幅及び最小の(もっとも小さい)直径又は幅とその場所、並びにストランドに沿った直径の推移が考えられる。この情報を用いて、欠陥を分類することができる場合がある。平均径は許容差の範囲内であるが、ストランドに沿って直径が変化している場合、レイヤーの隙間が不十分であるか又は温度条件が不適切であることによる狭窄現象によるものと判断できる。この場合、プリント条件は、レイヤーの隙間を広げ、冷却プロセスを延長し、かつ/又は周囲温度を調整して改善することができる。さらに、プリントプロセスの安定性を評価することができる。安定性を検査するために、1つのレイヤーもしくはプリント部分全体の1つ以上もしくはすべての平均径、最小径又は最大径の標準偏差を決定することができる。標準偏差が小さい場合、プリントプロセスは、一定で安定しており、このことは、プリントパラメータの最適化のためよい出発点となり得る。他方で、標準偏差が大きいと、不定なプロセスであることを示し得る。このような場合、ストランドの直径の寸法精度を最適化する前に、プロセスを信頼できる一貫性のあるものとすることが有効であり得る。さらに、測定不可能な直径は、ストランドが位置ずれするなど、幾何学的課題を示している場合がある。このようなエラーが起こる理由として、反り、詰まったノズル、引きずられたストランド又はプリンタ軸の不正確な動作が挙げられる。
【0108】
これらの評価方法のいくつかを、
図9Aに関連して記載した乳房インプラント足場材のモニタープロセスから抽出した結果に関連して説明することができる。3つの各種解析レベルを図示する。第1のレベルでは、プリント部分全体を検証して、測定されたすべての直径を考慮することができる。これによって、プリント対象物の全体的な品質を評価できる。第2のレベルでは、単一のレイヤーが品質要件を満たしているか否かの判断に使用できるレイヤーに関する評価を行うことができる。第3のレベルでは、単一のストランドの寸法を解析できる。この評価レベルを用いて、欠陥を分類しプリントパラメータを系統的に最適化することができる。
【0109】
図13A~
図13Cは、乳房足場材のすべてのストランドの直径(最小、最大及び平均径)を測定したヒストグラムを用いた第1のレベルの評価を示す。特定の時間におけるプリント部分全体又はプリントされたすべてのストランドの品質を評価するため、測定された直径の度数をヒストグラムで表示することができる。これは、ヒストグラムが測定された直径のすべての範囲を示すことができるので、適切な技術である。その上、測定された直径のばらつきを視覚化できる。この種の評価は、プリントを終了した後に行う必要があるだけでなく、プリントプロセス中に行ってもよい。
【0110】
図13Aは、乳房足場材の例のためのストランドの平均径対度数のばらつきを表すヒストグラムを示す。
図13Aに示すように、350μmの理想の直径と、測定されたすべての平均径の平均値(μ、単位μm)との差は、10μmの差を超えない。標準偏差(σ=9.5)は、低い。
【0111】
図13Bは、乳房足場材の例のためのストランドの最大(極大又はもっとも大きい)直径対度数のばらつきを表すヒストグラムを示す。
【0112】
図13Cは、乳房足場材の例のためのストランドの最小(極小又はもっとも小さい)直径対度数のばらつきを表すヒストグラムを示す。
【0113】
測定された最大径及び最小径に関しては、標準偏差は、それぞれ高くなり得る(σ=21.8、σ=19.8)。許可された許容差によって、許容された最小径を下回るストランドの直径の度数又は許容された最大径を超えるストランドの直径の度数が、決まる。
【0114】
図14A~
図14Cは、50mlの足場材のレイヤーに関する評価など第2のレベルの評価を示す。
図14A~
図14Cは、レイヤーに関して表示された、測定された直径を示し、
図14Aは、最小径を示し、
図14Bは、最大径を示し、
図14Cは、平均径を示す。これらのグラフがあると、どのレイヤーの直径が、特定の許容差の範囲外であるかが容易に判断できる。品質要件によって、レイヤーは、このレイヤー内の特定の数の直径が、要求された許容差の範囲外である場合に、欠陥のあるレイヤーとラベル付けすることができる。
図14A~
図14Cに示した例では、各種しきい値をユーザが決定することができる。例えば、ストランドの最小径は、225μmを下回ってはならない。最大径は、475μmを超えてはならない。平均径は、310μm~390μmの範囲内であるべきである。直径が許容差の範囲外のストランドは、欠陥であるとみなされ、欠陥のあるプロセス状態と決定され得る。単一のレイヤー又は構造体全体が要求された品質に適合するか否かの判断は、望まれる品質に左右される。直径の許容範囲外にあるストランドの直径は、特定の品質要件を満たしていないと判断される。
【0115】
欠陥の分類及び最適化のため、単一のストランドに沿った直径の推移を評価することが有用となり得る。
【0116】
図15A~
図15Bは、50mlの足場材のストランドのストランド方向の評価を行い得る第3のレベルの評価を示す。
【0117】
図15Aは、測定プロセスの視覚的結果を示すものである。
【0118】
図15Bは、ストランドLの長さに沿った理想のストランド直径(350μm)からのすべての偏差のグラフを示している。許容差の範囲は、例えば、±50μmに設定してよい。理想の直径より小さいか又は±50μmである測定値が、特定の品質要件に合格するように決定され、その一方で、±50μmを超える偏差は不合格と決定され得る。表示されたグラフの特性は、欠陥のタイプによって変動する可能性があり、これによって、欠陥を分類できる場合がある。分類された欠陥の原因が分かっている場合、この分類を用いてプリントパラメータを系統的に調整することができる。
図15Bでは、検査対象のストランドの重要な部分の位置を特定することができる。ストランドのもっとも重要な部分は、直径が最小である可能性があり、当該最小径は、理想の直径から50μmを超えて外れている。ストランドの最小の幅がその中心の外側に位置するので、この欠陥は、狭窄現象として分類可能であり、当該現象は、不適切な冷却プロセス又は不十分なレイヤーの隙間により起こる場合がある。
【0119】
よって、プリントプロセスを停止させる(例えば、プリント停止ステップ180を行う)か、停止させない(例えば、その代わりにプリントパラメータを適合させるステップ170を行う)かは、評価プロセスに求められる厳重さに基づくものであり得ることが理解され得る。例えば、プリントを停止させる決定180は、決定されたパラメータ値の理想のパラメータ値からの偏差の度数及び/又は決定されたパラメータ値の理想のパラメータ値からの偏差の大きさに依存する。これらの偏差のしきい値は、ユーザが決定することができる。
【0120】
図16は、3次元構造体を形成するための構成150の図を示している。構成150は、
図1A~
図15Bに関連して記載した方法を行うか又は実行するように構成可能である。
【0121】
構成150は、3次元構造体104に関する構造体の座標情報に基づいて3次元構造体104を形成するための装置101を含む。構成150は、可動な感知装置102をさらに含む。構成150は、プロセッサ103をさらに含む。プロセッサ103は、形成される3次元構造体に関連する構造体の座標情報に基づいて感知装置102を位置決めする1つ以上の場所を決定し、可動な感知装置102の1つ以上の場所への位置決めを制御するように構成されている。
【0122】
3次元(3D)構造体を形成するための装置101は、光造形(SLA)装置、デジタルライトプロセッシング(DLP)装置、熱溶解堆積(FDM)装置、選択的レーザー焼結(SLS)装置、選択的レーザー溶融(SLM)装置、電子ビーム溶解(EBM)装置、薄膜積層(LOM)装置、結合剤噴射(BJ)装置及び/又は材料噴射(MJ)装置であってよい。
【0123】
感知装置102は、例えば、撮像装置、カメラ、又は3次元スキャニング装置、サーマルカメラ、デジタル顕微鏡、AEセンサ及び/又はCT装置であってよい。
【0124】
プロセッサ103は、コンピュータ可読記憶媒体の指令を実行可能な任意のコンピュータ又は機械であってよい。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ(又はプロセッサ)103により実行されると、コンピュータ103が
図1A~
図15Bに関連して記載した方法を実行する指令を含み得る。
【0125】
構成150は、
図1A~
図15Bに関連して記載した方法を行うための視覚ベースのモニターシステムであってよい。感知装置102(例えば、市販のデジタル顕微鏡)は、レイヤー方向のデータ(例えば、画像)を取得するように構成可能である。取得したデータは、欠陥を検出するため処理され得る。1つ(又はそれぞれ)のレイヤーがプリントされた後、感知装置102が、プリンタの軸により1つ以上の場所に位置決めされ得る。視野とモニターされた特徴の大きさとによって、1つ以上の画像が、撮影され処理され得る。
【0126】
カメラの位置決め及び画像の撮影の自動化のため、画像の撮影時間及び最適なカメラの位置を知ることが必要な場合がある。この情報は、数値コードから引き出され、当該数値コードには3次元足場材構造体をプリントすることに用いられるすべてのプリンタの動作が含まれる。数値コードを、カメラの位置候補を決定するように選別して、カメラを位置決めするためのコマンドで修正してもよい。よって、プロセッサ103は、形成される3次元構造体のレイアウト及び/又は内部構造及び/もしくは外部構造に関連する構造体の座標情報を処理するように構成可能である。例えば、構造体の座標情報は、CADベースの情報又は数値コードの情報を含んでよい。構造体の座標情報に基づいて、プロセッサ103は、3次元構造体104を形成するため適合された数値コード指令を生成するように構成可能である。適合された数値コード指令は、形成される3次元構造体に関連する構造体の座標情報と、1つ以上の場所に感知装置を位置決めするステップに関連する情報とを含み得る。
【0127】
装置101、可動な感知装置102及びプロセッサ103は、相互に連結可能であるので、数値コード指令により動作が制御される装置101の一部分は、数値コード指令の構造体の座標情報により定義されて選択された場所に3次元構造体を形成する装置101の一部分(例えば、プリントヘッド、ディスペンサー、ノズルヘッド、押し出し機又はレーザー)であり得る。
【0128】
プロセッサ103は、3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分に関連する取得データに基づいてプロセス状態を決定するようにさらに構成可能である。取得データは、1つ以上の場所のうち決定された場所の感知装置102により取得又は生成され得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、構成150が、複数のレイヤーを含む3次元構造体を形成するための形成装置101を含むことが理解できる。構成150は、可動な感知装置102を含む。構成150は、以下のように構成されたプロセッサを含む。
(a)複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットについて、感知装置を位置決めするための少なくとも1つの場所を決定し、
(b)3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づく装置による該レイヤーセットの形成を制御し、
(c)該レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、該レイヤーセットと関連付けられた少なくとも1つの場所への可動な感知装置の位置決めを制御し、
(d)形成されたレイヤーセットの取得データに基づいてプロセス状態を決定し、該取得データは、形成されたレイヤーセットと関連付けられた少なくとも1つの位置で感知装置により取得されたものである。
【0130】
本明細書に記載の種々の実施形態は、多孔の足場材の付加製造プロセス中にその場で欠陥を検出するための視覚ベースのシステムに関連するものであってよい。本明細書に記載の種々の実施形態は、プリントされたストランドの直径の測定に基づいた欠陥検出システムの完全なプロセスを提供する。倍率を調整可能なデジタル顕微鏡をセンサ及び視覚ベースのデータ処理用として使用すると、構造体の小さな欠陥を直接検出することができる。種々の概念は、数値コードを用いて自動化されたカメラの位置決め、並びにプリントされたストランドの直径が測定される撮影画像の処理を含み得る。画像処理は、勾配ベースのエッジ検出又はCNNベースのエッジ検出など、少なくとも2つの異なるエッジ検出法を用いて実施可能である。
【0131】
種々の実施形態及び例は、モニター対象のストランドを検出及び測定し得る既存のプリント環境において統合させることができる。種々の実施形態は、測定値を解析する1つ以上の選択肢を提供することができる。例えば、品質管理の要件に基づいて、単一のストランド、レイヤー又は構造体全体の品質を検査することができる。
【0132】
種々の実施形態は、異なる自動制御レベルで実施し得る。それは、手作業による品質管理に適する場合もある。例えば、ユーザは、顕微鏡下で構造体を手作業で配置し、上部レイヤーの画像を撮影してよい。コンピュータが実行可能な指令は、手作業で測定されるストランドの軸を軸の始点と終点とを指定することにより描くように構成可能である。ストランドは、コンピュータが実行可能な指令により測定可能であり、出力が、表示され保存され得る。この場合、数値コードの変更は不要である。任意選択的に又はあるいは、モニタープロセスの自動制御が、自動化されたカメラの位置決め、画像取得及び処理を伴うが、閉ループ制御は伴わずに、実行され得る。本明細書では、ユーザは、製造プロセス中や製造プロセス後いつでもプリント状態にアクセスでき、必要に応じて介入することができる。完全に自動化された閉ループ系もまた、実施可能である。この場合、プリントは、品質要件を満たす限り続くようにすることができ、そうでなければ中止されるか、又はプリントパラメータが補償のため自動的に調整され得る。
【0133】
種々の実施形態を、任意の3次元プリント方法により3次元構造体をモニターするため用いることができる。特に、種々の実施形態は、製造プロセス中に多孔の足場材にFDMプリントされたストランドの品質をモニターすることができる。ストランドの直径を測定するステップは、欠陥及びその原因を分類し位置を特定するのに適切であり得る。製造業者は、プリント対象物の品質を現場で解析することができる場合がある。細胞培養用メッシュ及び独自に作られたインプラントなど、FDMプリントされた多孔構造体が、生体組織工学の応用において普及してきている。足場材の製作について、PCLが、レオロジー及び粘弾性にすぐれていることから、材料として使用される場合がある。PCLは、熱的安定性にすぐれ、これによって、FDMプリントプロセスに適切となる。特に、医学的背景のある応用に対して、洗練された品質管理プロセスが求められている。センサが製造において必須の構成要素となってきているが、もっとも普及している3Dプリント技術の1つとしてのFDMには、モニターシステム並びに開ループ制御系が欠けている。AMプロセスにおいて感知が行われないことによって、現場の品質管理が大変困難なものとなっている。プリントされた部分の内側の構造にアクセスすることが困難又は不可能であることから、プリント後の品質管理もまた複雑である。
【0134】
図1A~
図16に関連して記載した方法及び構成は、付加製造された多孔の足場材をその場でモニターするための視覚ベースの検査プロセスに関連するものであり得る。本方法及び構成は、例えば、幾何学的寸法をモニターすることにより、プリントされた足場材の内部構造の品質を評価することを含み得る。倍率を調整可能な市販のデジタル顕微鏡を使用して、プリントされた対象物の選択された内部領域を捉えることができる。捉えた画像は、コンピュータビジョンの方法で解析することができる。2つの異なるエッジ検出技術の少なくとも1つを用いて、画像の選択領域において境界を検出することができる。第1のエッジ検出技術は、勾配ベースの手法を含むか又はそうであってよい。第2のエッジ検出技術は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の分類に基づくものであってよい。本方法及び構成は、数値コードの選別及び修正に基づくものであってよくかつ/又は制御し得る自動化されたカメラの位置決めを用いることを含んでよい。
【0135】
(例えば、生分解性の)乳房インプラント及び/又は細胞培養用メッシュなど形成される構造体を、その製造プロセス中にモニターすることができる。本方法は、品質管理プロセスの種々の段階において統合させることができる。本方法は、欠陥を自動的に補償する閉ループ系の一部分であってよく、又は重大な欠陥が生じた場合に製造プロセスを停止させることができる。
【0136】
センサを製造プロセスで用いてプロセスの信頼性、再現性及び自動制御を向上させることができる。プリントプロセスをモニターする望ましい効果は、プリント中のエラーを検出すること、プリントパラメータを調整することによりさらなる不具合を回避すること、検出されたエラーが重大な場合にプリントプロセスを自動停止すること、製造された製品におけるモニターが困難なエラー(例えば、内部の特徴の欠陥)を検出することである。これによって、プリント時間が効果的に節減され、材料の無駄が減少し、製造プロセスの品質管理及びドキュメント類が改善される。
【0137】
本明細書に記載の種々の実施形態は、プリントされた(例えば、FDMプリントされた)多孔の構造体をその場でモニターすることに関連するものであり得る。既存の技術は、内部構造よりも外側の境界の寸法をモニターするので、主に中実のプリント対象物に関するものである。一般に、既存の技術は、1ミリメートル未満の分解能には達していない。多孔構造体の品質及び機械的特性は、内部構造の外観により科学的に影響を受けることから、本明細書に記載の種々の実施形態は、内部構造もモニター可能なモニターシステム、方法及び構成に関するものである。プリントの品質の意味ある評価を得るために、ミリメートル未満の範囲の測定を行うことができる。
【0138】
一部の実施形態において、CADデータを用いる代わりに基準として数値コードを用いて、プリント対象物の理想の構造を得ることができる。このような実施形態では、CADプログラムは使用しない。すべての機械の動作及びプリント用ストランドの直径はコードにより分かるので、数値コードを用いて理想の外観の描写を得ることが可能である。
【0139】
本明細書に記載の種々の実施形態は、ストランドの直径をモニターすることに関連するものであり得る。製造された構造体の品質特性は、プリントされたストランドの寸法である。高品質の生成物は、ストランドの直径が規定値で一定であることを特徴とし得る。ストランドの直径の一貫性も、プリントプロセスが安定し信頼できることを示すものであり得る。他方で、一貫性のないストランドの直径及び要求されたストランドの直径からの偏差は、製造プロセスが不安定であることを示唆する。したがって、ストランドの直径をプリント中にモニターすることによって、信頼できるその場での品質管理が可能となるばかりでなく、製造プロセスの最適化も可能となる。生体組織工学にとって、ストランドの直径は、直径の偏差によって、適切な組織の成長が妨げられて機械的特性も変化してしまう可能性がある孔径の変化が生じることから、重要な変数である。
【0140】
本発明は、以下の項目をさらに特徴とする。
項目1: 3次元構造体を形成する方法であって、当該方法は、
形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定するステップと、
構造体の座標情報に基づいて3次元構造体の一部分を形成するステップと、
1つ以上の場所のうちの1つの場所に前記感知装置を位置決めするステップと、を含む方法。
【0141】
項目2: 構造体の座標情報は3次元構造体のレイアウトに関する情報を含む、項目1に記載の方法。
【0142】
項目3: 構造体の座標情報は、3次元構造体の内部構造に関する情報を含む、項目1又は2に記載の方法。
【0143】
項目4: 構造体の座標情報は、3次元構造体を形成する形成装置を制御するためのツールパス指令を含む、項目2又は3のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
項目5: 3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分に関する取得データに基づいてプロセス状態を決定するステップをさらに含み、取得データは、決定された場所の感知装置により取得される、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0145】
項目6: プロセス状態を決定するステップは、3次元構造体の被形成部分の構造上の特徴のパラメータ値を取得データに基づいて決定するステップを含む、項目5に記載の方法。
【0146】
項目7: 上記パラメータ値は、3次元構造体の被形成部分の構造上の特徴の長さ、幅もしくは直径、高さ、粗さ、色、均一性、厚さ及び傾斜角の少なくとも1つである、項目6に記載の方法。
【0147】
項目8: 上記構造上の特徴は、3次元構造体の内部構造のストランドセグメントを含む、項目6又は7に記載の方法。
【0148】
項目9: 上記特徴のパラメータ値は、ストランドセグメントのエッジを検出することにより決定される、項目8に記載の方法。
【0149】
項目10: 上記ストランドセグメントのエッジは、人工ニューラルネットワークプロセス又は勾配ベースの検出プロセスを実施することにより検出される、項目9に記載の方法。
【0150】
項目11: 上記プロセス状態を決定するステップは、
構造体の座標情報に基づいて、3次元構造体の一部分のストランドセグメントの理想の軸を決定するステップと、
被形成部分の取得データに基づいて、被形成部分のストランドセグメントの実際の軸を決定するステップと、
上記理想の軸と上記実際の軸との比較に基づいてプロセス状態を決定するステップと、を含む項目5~9のいずれか一項に記載の方法。
【0151】
項目12: 上記理想の軸と上記実際の軸との間の差がしきい値を超えた場合、欠陥のあるプロセス状態と決定するステップを含む、項目11に記載の方法。
【0152】
項目13: 上記プロセス状態を決定するステップは、
3次元構造体の一部分のストランドセグメントの理想のパラメータ値と、被形成部分のストランドセグメントの決定されたパラメータ値とを比較するステップを含み、
上記ストランドセグメントの決定されたパラメータ値は、3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分の取得データに基づいて決定され、
上記ストランドセグメントの理想のパラメータ値は、構造体の座標情報と入力値の少なくとも1つに基づいて決定される、項目5~12のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
項目14: 上記理想のパラメータ値と上記決定されたパラメータ値との差がしきい値を超えた場合に、欠陥のあるプロセス状態と決定するステップを含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
項目15: 前記プロセス状態を決定するステップは、
被形成部分の複数のストランドセグメントと関連付けられた複数のパラメータ値を決定するステップと、
上記複数のパラメータ値の統計的パラメータを決定するステップと、
上記統計的パラメータと比較パラメータとの間の差がしきい値を超えた場合、欠陥のあるプロセス状態と決定するステップを含む、項目5~14のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
項目16: 上記決定されたプロセス状態に基づいて、3次元構造体を形成するためのプロセスパラメータを適合させるステップをさらに含む、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
項目17: 3次元構造体の一部分は、3次元構造体の複数のレイヤーセットの1つのレイヤーセットを含む、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
項目18: 複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットについて、感知装置を位置決めするための場所からなる各グループを決定するステップと、
上記複数のレイヤーセットのうちの1つのレイヤーセットを形成するステップと、
上記レイヤーセットを形成してからその次のレイヤーセットを作成するまでに、場所からなる上記グループのうちの上記場所に感知装置を順次位置決めし、それぞれの場所で、上記形成されたレイヤーセットのデータを取得するステップと、をさらに含む項目17に記載の方法。
【0158】
項目19: レイヤーセットは、少なくとも第1のサブレイヤーと少なくとも第2のサブレイヤーとを含み、
上記複数の場所のうちの上記場所は、第1のサブレイヤーと第2のサブレイヤーとの間の交点に基づいて決定される、項目17又は18に記載の方法。
【0159】
項目20: 上記複数の場所のうちの上記場所は、第1のサブレイヤーと第2のサブレイヤーとの2つの交点の間にある、項目18又は19に記載の方法。
【0160】
項目21: 1つ以上の場所は、いくつかの場所を含み、そのいくつかの場所は、ランダムであり、連続したものであり、アレイベースであり又はユーザが決定可能である、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
項目22: 本方法は、繰り返し交互に、
上記複数のレイヤーセットの1つのレイヤーセットを形成するステップと、
上記レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、感知装置を上記レイヤーセットの場所グループの上記場所に順次位置決めするステップと、を含む、項目17~21のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
項目23: コンピュータにより実行されると、コンピュータが項目1~22のいずれか一項に記載の方法を実行する指令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【0163】
項目24: 3次元構造体を形成するための構成であって、当該構成は、
3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて3次元構造体を形成するための形成装置と、
可動な感知装置と、
プロセッサと、を含み、
当該プロセッサは、
形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づいて感知装置を位置決めするための1つ以上の場所を決定し、
上記1つ以上の場所への可動な感知装置の位置決めを制御するように構成された、構成。
【0164】
項目25: 上記プロセッサは、3次元構造体を形成するため適合された数値コード指令を生成するようにさらに構成され、適合された数値コード指令は、形成される3次元構造体に関する構造体の座標情報と、1つ以上の場所に感知装置を位置決めすることに関する情報とを含む、項目24に記載の構成。
【0165】
項目26: 3次元構造体の被形成部分の少なくとも一部分に関する取得データに基づいてプロセス状態を決定するようにさらに構成され、該取得データは、1つ以上の場所のうちの1つの場所の感知装置により取得される、項目24に記載の構成。
【0166】
項目27: 3次元構造体を形成する構成であって、当該構成は、
複数のレイヤーを含む3次元構造体を形成するための形成装置と、
可動な感知装置と、
プロセッサと、を含み、当該プロセッサは、
複数のレイヤーからなる1つのレイヤーセットについて、感知装置を位置決めするための少なくとも1つの場所を決定し、
3次元構造体に関する構造体の座標情報に基づく装置による上記レイヤーセットの形成を制御し、
上記レイヤーセットを形成してからさらなるレイヤーセットを形成するまでに、上記レイヤーセットと関連付けられた少なくとも1つの場所への可動な感知装置の位置決めを制御し、
上記形成されたレイヤーセットの取得データに基づいてプロセス状態を決定するように構成され、該取得データは、形成されたレイヤーセットと関連付けられた上記少なくとも1つの場所の感知装置により取得されたものである、構成。
【0167】
本発明の詳細な実施形態において記載してきたが、多くの明らかな変形は、特定の趣旨又は範囲から逸脱せずに可能であることから、添付の特許請求の範囲により記載した本発明が、上の説明に記載の特定の詳細により限定されないことを理解されたい。
【国際調査報告】