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特表2023-512303油圧プレス及び物体をプレスする方法
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  • 特表-油圧プレス及び物体をプレスする方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】油圧プレス及び物体をプレスする方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/02 20060101AFI20230316BHJP
   B30B 1/36 20060101ALI20230316BHJP
   B30B 1/32 20060101ALI20230316BHJP
   B30B 15/20 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B30B11/02 B
B30B1/36 A
B30B1/32 C
B30B15/20 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547069
(86)(22)【出願日】2021-01-30
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 FI2021050062
(87)【国際公開番号】W WO2021152219
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】20200006
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522306479
【氏名又は名称】モビエーター オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハンニネン,ペルッティ
【テーマコード(参考)】
4E089
4E090
【Fターム(参考)】
4E089EA01
4E089EB10
4E089EF01
4E089EF03
4E090AB01
4E090CA03
4E090EB01
4E090HA10
(57)【要約】
本発明は、油圧プレス及びブリケットなどの異なる種類の物体をプレスする方法に関する。油圧プレスは、流体空間(2)を収容する本体シリンダ(1)と、そのロッド(3a)が本体シリンダ(1)の外側に延びる作業ピストン(3)とを備え、作業ピストン(3)は油圧によって流体空間(2)内で動かされるように適合されている。油圧プレスはまた、蓄圧器(4)と、弁を備えた油圧回路とを備える。油圧によって動かされる作業ピストン(7)の内部に、作業ピストン(3)とともに動き、油圧によって作業ピストン(3)に対して素早く移動可能な打撃ピストン(7)が設けられる。さらに、打撃ピストン(7)と油圧プレスによってプレスされる物体(14)との間に、別個の衝撃体(10)が設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体空間(2)を収容する本体シリンダ(1)と、そのロッド(3a)が前記本体シリンダ(1)の外側に延びる作業ピストン(3)とを備える油圧プレスであって、前記作業ピストン(3)は、油圧によって前記流体空間(2)内で動かされるように適合され、前記油圧プレスは、蓄圧器(4)と、弁を備えた油圧回路とを備え、油圧によって動かされる前記作業ピストン(3)の内部に、前記作業ピストン(3)とともに動き、油圧によって前記作業ピストン(3)に対して移動可能な打撃ピストン(7)が設けられること、及び前記打撃ピストン(7)と前記油圧プレスによってプレスされる物体(14)との間に、別個の衝撃体(10)が設けられることを特徴とする油圧プレス。
【請求項2】
前記本体シリンダ(1)の前記流体空間(2)が、前記作業ピストン(3)の第1の側の第1の流体空間(2a)と、前記作業ピストン(3)の第2の側の第2の流体空間(2b)とを備えること、及び前記蓄圧器(4)が前記本体シリンダ(1)の前記第1の流体空間(2a)に油圧的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧プレス。
【請求項3】
前記作業ピストン(3)をプレスされる物体(14)の方に動かすために、前記第1の流体空間(2a)が、油圧流路によって高圧油圧ポンプに接続された油流れオリフィス(5)を有すること、及び前記作業ピストン(3)をプレスされる物体(14)から離れる方に動かすために、前記第2の流体空間(2b)が、油圧流路によって油圧ポンプに接続された第2の油流れオリフィス(6)を有することを特徴とする、請求項2に記載の油圧プレス。
【請求項4】
前記作業ピストン(3)の前記ロッド(3a)が中空の管状構造であり、その一端が前記本体シリンダ(1)の外側に延び、他端が、前記ロッド(3a)と同心円状であるシリンダブッシング(9)及びガイドブッシング(11)によって延長され、前記シリンダブッシング(9)及びガイドブッシング(11)は、前記打撃ピストン(7)のストロークの結果として、前記衝撃体(10)を、プレスされる物体(14)に衝突するように案内するように意図されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の油圧プレス。
【請求項5】
前記作業ピストン(3)の前記ロッド(3a)の内側に、前記打撃ピストン(7)と前記衝撃体(10)との間に、可変容積の流体空間(7b)が設けられ、前記可変容積の流体空間(7b)は、前記打撃ピストン(7)をその打撃位置に移動することを目的として前記流体空間(7b)を満たすために、及び前記打撃ピストン(7)の打撃動作を実行することを目的として前記流体空間(7b)を空にするために油圧流路に接続された油流れオリフィス(15)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の油圧プレス。
【請求項6】
前記シリンダブッシング(9)が流体空間(17)を収容し、前記流体空間(17)は、前記衝撃体(10)をその打撃位置に移動することを目的として前記流体空間(17)を満たすために、及び前記衝撃体(10)の衝撃動作を実行することを目的として前記流体空間(17)を空にするために油圧流路に接続された油流れオリフィス(16)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の油圧プレス。
【請求項7】
前記作業ピストン(3)の前記ロッド(3a)の第1の端部が、前記第1の流体空間(2a)に接続された可変容積の流体空間(7a)を収容し、前記可変容積の流体空間(7a)は、前記打撃ピストン(7)の打撃動作を達成するために、前記流体空間(2a)及び前記蓄圧器(4)から排出された作動油で満たされるように適合されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の油圧プレス。
【請求項8】
蓄圧器(4)と、流体空間(2)とそのロッド(3a)が前記本体シリンダ(1)の外側に延びる作業ピストン(3)とを収容する本体シリンダ(1)とを備え、前記作業ピストン(3)が第1の流体空間(2a)と第2の流体空間(2b)とに分けられた前記流体空間(2)内で動かされるように適合された油圧プレスによって物体をプレスする方法であって、プレス動作が2つの連続するステップで行われ、その第1のステップは、前記作業ピストン(3)の移動によって油圧式に行われ、第2のステップは、前記油圧プレスに接続された衝撃体(10)が、前記作業ピストン(3)の内部に提供された打撃ピストン(7)から、前記打撃ピストン(7)の第1の端部にかなり高い圧力を加えることによって、及び前記打撃ピストン(7)がプレスされる物体(14)に向かって移動することを防止する流体空間(7b)において油圧流路に接続された油供給オリフィス(15)を開放することによって、打撃動作をもたらす素早いストロークを受けることによって、行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記打撃ピストン(7)の打撃動作を実行するステップにおいて、最初に、前記衝撃体(10)がプレスされる物体(14)の方に移動することを防止する流体空間(17)に設けられ、油圧流路に接続された油供給オリフィス(16)が開放され、同時に、又はその後、前記流体空間(7b)に設けられた油供給オリフィス(15)が開放されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プレスステップの最初に、前記作業ピストン(3)の内側の前記打撃ピストン(7)の第1の端部に作用する圧力が、前記第1の流体空間(2a)及びそれに油圧式に接続された前記蓄圧器(4)の両方において高められ、同時に、前記作業ピストン(3)、及びそれとともに前記打撃ピストン(7)、並びに前記作業ピストン(3)に取り付けられた前記油圧プレスの他の構成要素(9、10、11)が、プレスされる物体(14)の方に移動され、その後、前記油供給オリフィス(15)及び(16)を開放することによって前記打撃ピストン(7)の素早い打撃動作が実行されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記打撃ピストン(7)の第1の端部に作用する圧力が、圧力計などの感知要素によって測定され、圧力が所定の限界値を超えると、前記油供給オリフィス(15)及び(16)を開放することによって前記打撃ピストン(7)の素早い打撃動作が開始されることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
次のプレスイベントのために、前記作業ピストン(3)、前記打撃ピストン(7)及び前記衝撃体(10)が、前記油供給オリフィス(6)、(15)及び(16)を介して前記流体空間(2a)、(7b)及び(17)を満たすことによってそれらの初期位置へ戻されることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に定義される油圧プレス、及び請求項8の前提部に定義される物品のプレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による新規な油圧プレス及び方法は、高圧圧縮によって精錬された製鋼スラグからブリケットを製造するのによく適している。
【0003】
油圧によって動作する最先端のプレスは、例えば、英国特許明細書であるGB2062517 A号、米国特許明細書であるUS2003167938 A1号、及び日本国特許明細書である特開平6-39599号に開示されている。
【0004】
英国特許明細書であるGB2062517 A号には、製造される製品を型(15、16)に押し込む二重作動式油圧プレスが開示されている。この装置は、外側プレスラム(3)と内側プレスラム(5)とを有し、両者は、共有のシリンダ空間(1)に存在する同一の油圧によって型に向かって移動される。この装置は、型に向かって高速で衝突する別個の衝撃体を有さない。GB2062517 A号による装置はまた蓄圧器(12)を有するが、それは型に向かう内側プレスリムの下方への運動を減速させるために使用されるので、この発明による解決策とは正反対の目的を意図するものである。その上、蓄圧器の圧力は、プレスステップの後、外側プレスラム(3)の内部に設けられた内側プレスラム(5)も
その上方位置まで上昇させる。この動作も、本発明による解決策とは異なる。
【0005】
米国特許明細書であるUS2003167938 A1号には、別々の内側衝撃体(15/25)を有する非常に複雑で巨大なカウンター衝撃プレスが開示されており、内側衝撃体の両方の端部は、正確に定められた衝撃距離(S1/S2)で油圧ラム(14/25)により衝突される。この米国特許明細書による解決策は、作業ピストンの内部に設けられ、高い出力で衝撃体に対して打撃を与える打撃ピストンを開示していない。また、この米国特許明細書は、ストロークがどのように実施されるかについて、より詳細な記載を与えていない。この特許明細書は、「蓄圧器」という語に話のついでに2回言及しているが、それがストロークの実施においてどのような役割を果たすかについては、一切言及していない。また、打撃ピストンと衝撃体との間のバルブを開放することによって、蓄圧器により、作業ピストンの内部に設けられた打撃ピストンが、型内の材料をプレスしている衝撃体に迅速に打撃を与えることが可能になることについても、この特許明細書は言及していない。
【0006】
日本国特許明細書である特開平06-39599 A号も、本発明による解決策とは異なるものである。この日本国特許明細書は、油圧によって制御シリンダ(13)内で下方及び上方に往復動されるシリンダ(8)を開示し、シリンダはその下端に、型に押し込まれるプレスヘッド(1)を有する。プレスステップにおいて、最初にポンプ(P1)により高圧油がシリンダ(8)内の空間(A1)に、ポンプ(P2)により冷却油がシリンダ(8)内の空間(A3)にそれぞれ供給される。移動の最後に、ポンプ(P1)により、両空間(A1及びA3)に高圧油が供給される。プレスステップにおいて、ポンプ(P1)により、シリンダ(8)の内部に設けられた空間(A2)に高圧油を供給することで、シリンダ(8)は上方位置まで持ち上げられる。この装置には、型に向かって高速で衝突する別個の衝撃体は存在しない。しかしながら、この日本国特許明細書は、装置に関連して設けられた油圧回路が蓄圧器(25)を含むことについて一度言及しているが、蓄圧器の使用については記載していない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、先行技術の解決策において直面する問題を排除し、簡単で安価な構造でありながら非常に高い圧縮圧力とパワーを有する新規な油圧プレスを提供し、本発明によるプレス及び方法によって例えば非常に高密度で硬いブリケットを製造することを可能にすることを目的とする。特に、本発明の目的は、精錬された製鋼スラグから非常に高密度で硬いブリケットをプレスすることを可能にすることである。本発明による油圧プレスは、請求項1の特徴付け部分に記載されていることを特徴とする。これに対応して、異なる物体をプレスする方法は、請求項8の特徴付け部分に記載されていることを特徴とする。本発明の他の実施形態は、請求項の残りに記載されていることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明による解決策は、流体空間を収容する本体シリンダと、そのロッドが本体シリンダの外側に延びる作業ピストンとを備える油圧プレスに関し、作業ピストンは、油圧によって流体空間内で動かされるように適合されており、油圧プレスは、蓄圧器と、弁を備えた油圧回路とを備えている。好ましくは、油圧によって動かされる作業ピストンの内部に、作業ピストンとともに動き、油圧によって作業ピストンに対して移動可能な打撃ピストンが設けられ、打撃ピストンと油圧プレスによってプレスされる物体との間に、別個の衝撃体が設けられる。
【0009】
本発明による解決策はまた、蓄圧器と、流体空間を収容する本体シリンダと、そのロッドが本体シリンダの外側に延びる作業ピストンとを備え、作業ピストンが第1の流体空間と第2の流体空間とに分けられた流体空間内で動かされる油圧プレスによって異なる種類の物体をプレスする方法に関する。好ましくは、プレス動作は、2つの連続するステップで行われ、その第1のステップは、作業ピストンをプレスされる物体に向かって動かすことによって油圧式に行われ、第2のステップは、油圧プレスに接続された衝撃体が、作業ピストンの内部に提供された打撃ピストンから、打撃ピストンの第1の端部にかなり高い圧力を加えることによって、及び打撃ピストンがプレスされる物体に向かって移動することを防止する流体空間において油圧流路に接続された油供給オリフィスを開放することによって、打撃動作をもたらす素早いストロークを受けることによって、行われる。
【0010】
本発明による解決策の利点の1つは、装置は単純であることができるが、それにもかかわらず、この発明的構造は、プレスヘッドに一時的な高い打撃速度と打撃力を与えて、プレスされる材料、好ましくは精錬された製鋼スラグから非常に硬く高密度のブリケットを得ることを可能にすることである。同様に、本プレスによって提供される素早く強力なプレス動作は、好ましくは、様々な破砕可能な物体を破砕することを可能にする。
【0011】
以下、本発明を、添付の概略的で簡略化された図面を参照して、単一の実施形態によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による油圧プレスのプレス部分の断面図及び側面図であり、プレスするために作動される前の図である。
図2図1による油圧プレスで使用される衝撃体の側面図である。
図3図1による油圧プレスのプレス部の断面図及び側面図であり、プレス動作の第1のステップである。
図4図1による油圧プレスのプレス部の断面図及び側面図であり、プレス動作の第2のステップである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、油圧プレスが実質的に垂直な姿勢で動作し、プレス方向が実質的に垂直で上から下へ向かうことを想定している。したがって、「下方」又はそれに類する語は、型及びそこでプレスされる材料に向かう方向を指し、「上方」又はそれに類する語は、その反対方向を指す。したがって、「下」又はそれに類する語は、ある物体が、この物体より上に位置する物体よりも型及びそこでプレスされる材料の近くに位置することを指す。
【0014】
図1、3及び4は、プレス動作の異なるステップにおける、本発明による油圧プレスの好ましいプレス部を示す。
【0015】
本発明による油圧プレスの中央プレス部は、流体空間2を収容する本体シリンダ1と、油圧によって流体空間2内で往復動可能な実際の作動ピストン3とを含む。好ましくは、本体シリンダ1は、プレスのフレーム、フレーム及びホース、バルブ、ポンプ、レギュレータ、制御システム又は図示されていない他の構成要素に対して不動化されている。
【0016】
また、油圧プレスは、作動ピストン3の上の流体空間2aに流体流路4aで接続された蓄圧器4を含む。蓄圧器4の好ましい位置は、例えば、本体シリンダ1の直上である。本体シリンダ1の上部、作動ピストン3の上の流体空間2aはまた、例えば300barの油圧を作動圧とする高圧油圧流路が接続される第1の油流れオリフィス5が設けられている。高圧油圧流路には、図示しない制御・遮断弁が設けられている。蓄圧器4は作動ピストン3の上の流体空間2aに流体流路4aで接続されているので、蓄圧器4は油流れオリフィス5を介して、流体空間2aと同じ作動圧を受ける。
【0017】
本体シリンダ1の底部には、作動ピストン3の下の流体空間2bに第2の油流れオリフィス6が設けられ、これに図示しない制御・遮断弁を有する油圧流路が接続されている。
【0018】
作動ピストン3の管状ロッド3aは、その長手方向において中央が中空であり、本体シリンダ1の底部1aを貫通して、本体シリンダ1よりも下方に延びている。作動ピストン3の上端部では、ロッド3aの中空の中央部が、作動ピストン3の上の流体空間2a内に延びている。ロッド3aの内側では、ロッド3aの中空内部に、円筒形断面を有する細長い打撃ピストン7が、中空内部で、油圧により往復動するように設けられている。打撃ピストン7の上方への移動は、打撃ピストン7が上方に移動して作動ピストン3のロッド3aから出ないように、モーションリミッタ8によって制限されている。しかしながら、打撃ピストン7の上端は作動ピストン3の上の流体空間2aに接続されているため、打撃ピストン7の上端は流体空間2aに存在する圧力にさらされる。
【0019】
作動ピストン3のロッド3aの下方への延長部として、開放された下端を有し、衝撃体10を収容する実質的に円筒形のシリンダブッシング9が設けられ、衝撃体10は円筒形シリンダブッシング9内で長手方向に往復動するように適合されている。衝撃体10の上端には、打撃ピストン7のストロークを受ける衝撃面10aが設けられ、その下に、円筒形シリンダブッシング9の内径に等しい断面直径を有するプランジャ部10bが設けられている。プランジャ部10bの下には、好ましくはプランジャ部よりも小径で、その下端にプレスのプレスヘッド12を有するロッド部10cが設けられている。
【0020】
作動ピストン3の底部に、本体シリンダ1の下に、及び打撃ピストン7の下端と衝撃体10の衝撃面10aとの間に、打撃ピストン7の下の作動ピストン3のロッド3aによって収容される容積可変の流体空間7bに通じる、プレス部の上部から見て第3の油流れオリフィス15が設けられる。この油流れオリフィス15は、図示しない制御・遮断弁を有する油圧流路に接続されている。
【0021】
シリンダブッシング9の下には、シリンダブッシング9の延長部としてガイドブッシング11が取り付けられており、衝撃体10のプランジャ部10bから下に延びるロッド部10cは、その中で往復動するように、及び打撃運動を行うように適合され、その結果、衝撃体10のプレスヘッド12はガイドブッシング11から出て、高速かつ強力に、型13内に収容されてプレスされる物体14を構成する材料に打撃を与える。
【0022】
シリンダブッシング9に、衝撃体10のプランジャ部10bの下に、シリンダブッシング9の内部に位置する衝撃体10のプランジャ部10bの下の流体空間17に通じる、プレス部の上部から見て第4の油流れオリフィス16が設けられる。この油流れオリフィス16は、図示しない制御・遮断弁を有する油圧流路に接続されている。
【0023】
作業ピストン3のロッド3aの中空内部、シリンダブッシング9の中空内部、及びガイドブッシング11の中空内部は一緒に、作業ピストン3、シリンダブッシング及びその延長部として設けられたガイドブッシング11の内側に、打撃ピストン7及び打撃体10の往復動のガイドとしての役割を果たす実質的に連続した同心の経路を形成している。
【0024】
例えばブリケットを製造する場合、型13は、好ましくは平坦で頑丈なベース18上で垂直軸の周りを回転可能であり、かつリボルバーのシリンダに類似した複数の周方向貫通孔を有する実質的に円形のディスクであることができる。各貫通孔は、プレスされる物体14を構成し、ベース18の上面に対して支持されるブリケット塊で充填されるように適合される。型に依存して、型の貫通孔の1つだけ又は全てが一度に充填される。
【0025】
好ましくは、プレスのプレス動作は、少なくとも2つのステップを含む。第1のステップでは、作業ピストン3の移動によってブリケット材料が予備プレスされ、第2のステップでは、打撃ピストン7が起動され、ブリケットのプレスを完了するためのストロークが引き起こされる。好ましくは、ストロークは、プレスの油圧回路に設けられた圧力計などの感知要素からのトリガに基づいて自動的に起動され、圧力計は、流体空間2aに存在する圧力が所定の大きさである場合に、トリガ信号を与え、プレスの制御システムは、第3及び第4の油流れオリフィス15、16の遮断弁を開放する。好ましくは、感知要素は、ストロークの強さを調整できるように制御可能である。
【0026】
例えば精錬された製鋼スラグからプレスされたブリケットによって構成されるプレスされた物体は、本発明によるプレス及び方法によって以下のようにして製造される:
【0027】
作動ピストン3及びそれに取り付けられた部品が図1に示す上方位置にあるとき、作動ピストン3の上の流体空間2a及び蓄圧器4内には、実質的に常圧を有する作動油が存在し、それは、構造によっては作動ピストンの上方位置への移動の結果として流体空間2aの大きさが小さくなった後、ある程度冷却されている。これに対応して、作動ピストン3の下の流体空間2bは大きくなり、第2の油流れオリフィス6を介して供給され、作動ピストンのその上方位置への移動を引き起こす作動油によって満たされる。打撃ピストン7も同様に上方位置にあり、その下面と衝撃体10の上面10aとの間の流体空間7bは、第3の油流れオリフィス15から供給される作動油で満たされている。同様に、衝撃体10はその上方位置にあり、そのプランジャ10bの下の流体空間17は、第4の油流れオリフィス16を介して供給される作動油で満たされている。
【0028】
作業ピストン3が上記上方位置にある状態で、第3及び第4の油供給オリフィス15及び16を閉じ、ブリケット塊などのプレスされる物体をプレスのプレスヘッド12の下で型に投入する。その後、例えば高圧ポンプにより、油供給オリフィス5に作動油を供給し、作動ピストン3の上の流体空間2a及び蓄圧器4の流体空間の圧力を高める。好ましくは、流体空間2a及び蓄圧器の流体空間の圧力は、例えば約300barの最低作動圧力まで高められる。圧力を高めることにより、作業ピストン3及びそれに取り付けられた油圧プレス部品9、10、11が下方へ、型13に向かって移動し、衝撃体10だけでなくガイドブッシング11も、ブリケット塊などの物体14を型13内でプレスする。図3に示す状態は、このステップを表しており、プレス動作の最初のステップと呼ぶこともできる。プレスされる材料中の反圧力が十分に高くなると、プレス動作は自ずと停止する。圧力が流体空間2a内で高まり、高まった圧力が打撃ピストン7の上面に作用するが、打撃ピストン7の下の流体空間7bは、油流れオリフィス15に関連して設けられた油圧流路の弁が閉じていることにより、一緒に押されず、また流体空間7bから出ることもできない作動油で満たされているので打撃ピストン7の内部での打撃ピストン7の移動は防止される。
【0029】
これは、図4に示す状況、すなわちプレス動作の第2のステップに続き、ここでは第3及び第4の油供給オリフィス15及び16、すなわちそれにつながる油圧流路に設けられた遮断弁が開放される。実際には、この開放は、流体空間2aに存在する圧力が所定の大きさまで高まり、感知要素として作用する圧力計が制御システムに第3及び第4の油供給オリフィス15、16の遮断弁を開放する命令を与えた後に自動的に行われる。ここで、流体空間7b及び17内に存在し、打撃ピストン7及び衝撃体10を作動ピストン3に対して所定位置に保持している作動油は、油流れオリフィス15及び16を介して、打撃ピストン7及びラム10の前方から排出され、その結果、流体空間2aの圧力が、蓄圧器4の圧力による支援を受けて、作動ピストン3のロッド3aの上端に設けられた可変容積の流体空間7aに非常に迅速に解放され、打撃ピストン7は、その慣性力と蓄圧器4の作動圧力により、非常に速い速度と力で衝撃体10に打撃を与える。その結果、衝撃体10のプレスヘッド12が、プレスされる予定の、型13に提供されたブリケット塊などの物体14に衝突し、これにより物体14は衝撃体10のプレスヘッド12の成形作用によりさらに一緒にプレスされ、突き固められてコンパクトで硬いブリケットにされる。ブリケットをプレスするとき、好ましくは、セメント、ベントナイト及び/又は石灰などの適切なバインダーをブリケット塊に混合することができる。
【0030】
プレスストローク後、作動油を油供給オリフィス6、15、16を介して十分な圧力で流体空間2b、7b、17に供給することにより、作動ピストン3及びそれに取り付けられた構成部品を持ち上げて型から離す。その後、プレスされたブリケットは、好ましくは、例えば、ブリケットを、型ディスクを通して、型ディスクの下に落とすことができるまで、型ディスクを回転させることによって、型13から取り出される。次のプレスイベントは、次のプレスされる物体14がプレスヘッド12の下に位置するまで型ディスクを回転させることによって、開始することができる。
【0031】
異なる実施形態は、上記の例のみに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で変化し得ることは、当業者には理解されることであろう。本質的なことは、プレスされる物体に衝突する衝撃体に対する非常に迅速かつ強力なストロークが、油圧によって達成されることである。
【0032】
また、本発明によるプレスは、ブリケットだけでなく、他の種類の物体もプレスできることも、当業者には理解されよう。一例として、プレスは、木製、プラスチック製又は金属製の製品などの成形製品を作ることができる。同様に、本発明によるプレスは、衝撃機と同様の方法で、別個のボディの破砕や連続した材料層の破壊に使用することもできる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】