(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】曳航のための船舶に対する曳航ステープル及び船体
(51)【国際特許分類】
B63B 35/68 20060101AFI20230316BHJP
B63B 21/66 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B63B35/68
B63B21/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547091
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2021052431
(87)【国際公開番号】W WO2021156252
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522306697
【氏名又は名称】スビツァ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】トマス バングスロン
(72)【発明者】
【氏名】エスペン グロントビ
(72)【発明者】
【氏名】マーイヤン ムスタク
(57)【要約】
曳航のための船舶のための船体が開示され、デッキ及び曳航綱をガイドするための曳航ステープルを含む。曳航ステープルは、デッキに並列した第1の平面内の対称拡張部を有するガイド要素を含み、ガイド要素は、ガイド要素を船体に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画を含む。第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画は、ガイド要素のメイン区画の手段によって接続される。ガイド要素は、デッキに対向するメイン区画の底側上に位置する曳航綱ガイド面を含み、曳航綱ガイド面は、曳航綱が、第1の平面に垂直な方向においてメイン区画による動きにおいて制限される間、第1の平面内でメイン区画の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、曳航綱に摺動可能に接触するように構成される。曳航ステープルは更に、支持要素を含み、支持要素は、メイン区画の上側上に配列され、ガイド要素の上側から第1の平面に垂直な第2の平面に第1の平面への角度において伸長し、第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画を通じて伸長する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曳航のための船舶に対する船体(1)であって、
-デッキ(13)と、
-曳航綱(10)をガイドするための曳航ステープル(14)と、を備え、
前記曳航ステープル(14)は、
-前記デッキ(13)に並列した第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(14A)を前記船体(1)に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記デッキ(13)に対向する前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を含む、前記船体(1)。
【請求項2】
前記曳航ステープル(14)の前記ガイド要素(20)は、前記第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有する、請求項1に記載の船体(1)。
【請求項3】
前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)が2つの並列区画(22A)及び湾曲区画(22B)を含むように、前記第1の平面から見られるとき、U字形状を有し、前記U字形状ガイド要素(20)の前記2つの並列区画(22A)の前記端区画は、前記取り付け区画(21A、21B)を構成する、請求項1または2に記載の船体(1)。
【請求項4】
前記船体(1)は、前記曳航綱(10)をガイドするための索道器(15)を含み、前記索道器(15)は、前記曳航ステープル(14)の縦方向中心平面において配列される、請求項1~3のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項5】
前記ガイド要素(20)は、前記索道器から前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)への距離が前記ガイド要素(20)の前記外周にわたって変化するような形状にされる、請求項4に記載の船体(1)。
【請求項6】
前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の縦方向中心線の方向において前記索道器(15)から見られる少なくとも140度の視認角度(α)に及ぶ、請求項4または5に記載の船体(1)。
【請求項7】
前記支持要素(16)は、前記船体(1)の垂直方向において、前記デッキ(13)から離れて対向する前記曳航ステープル(14)の上側から、前記索道器(15)よりも前記デッキから更に離れて位置する接続ポイント(17)に伸長する、請求項4~6のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項8】
前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の内周の中に配列される、請求項1~7のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項9】
前記第1の取り付け区画(21A)と前記第2の取り付け区画(21B)との間の前記ガイド要素(20)の幅(W)は、前記船体(1)の縦方向中心線から離れて前記船体(1)の外側に向かって曳航ポイントを動かすように適合される、請求項1~8のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項10】
前記曳航ステープル(14)から前記デッキ(13)への距離は、10センチメートル~200センチメートルの範囲にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項11】
前記支持要素(16)は、前記支持要素(16)が前記ガイド要素(20)を覆う囲いを生成するように、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第2の平面に伸長するシート材料を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項12】
前記支持要素(16)は、前記ガイド要素(20)の前記上側に沿って前記ガイド要素(20)の前記周囲上に配列され、前記周囲に従う第1のエッジ(16A)、及び前記第2の平面に並列し、前記第2の平面において前記船体に取り付けられる第2のエッジ(16B)を有する、請求項11に記載の船体(1)。
【請求項13】
前記ガイド要素(20)は、曳航手順の間に前記曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項14】
前記潤滑システムは、前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)内の複数の開口(18)及び前記複数の開口(18)を通じて前記曳航綱(10)に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含む、請求項13に記載の船体(1)。
【請求項15】
前記船体(1)は、収容ビルディング(19)を更に備え、前記第2の平面は、前記収容ビルディング(19)の後方または前方外装壁(19A)上に位置する、請求項1~14のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項16】
前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の統合部分である、請求項1~15のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項17】
曳航のための曳航ステープル(14)であって、前記曳航ステープルは、曳航綱をガイドするように構成され、前記曳航ステープル(14)は、
第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(14A)を前記曳航のための船舶の船体に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を備えた、前記曳航ステープル。
【請求項18】
前記曳航ステープル(14)の前記ガイド要素(20)は、前記第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有する、請求項17に記載の曳航ステープル。
【請求項19】
前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)が2つの並列区画(22A)及び湾曲区画(22B)を含むように、前記第1の平面から見られるとき、U字形状を有し、前記U字形状ガイド要素(20)の前記2つの並列区画(22A)の前記端区画は、前記取り付け区画(21A、21B)を構成する、請求項17または18に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項20】
前記支持要素(16)は、基端(16A)及び上端(16B)を有し、前記基端(16A)は、前記ガイド要素(20)上に配列され、前記上端(16B)は、前記第2の平面に位置する取り付けエリアに取り付けられるように構成される、請求項17~19のいずれか1項に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項21】
前記支持要素(16)は、前記支持要素(16)が前記ガイド要素(20)を覆う囲いを生成するように、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第2の平面に伸長するシート材料を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項22】
前記支持要素(16)は、前記ガイド要素(20)の前記上側に沿った前記ガイド要素(20)の前記周囲上に配列され、前記周囲に従う第1のエッジ(16A)、及び前記第2の平面に並列する第2のエッジ(16B)を有する、請求項21に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項23】
前記ガイド要素(20)は、曳航手順の間に前記曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含む、請求項17~22のいずれか1項に記載の曳航ステープル。
【請求項24】
前記潤滑システムは、前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)内の複数の開口(18)及び前記複数の開口(18)を通じて前記曳航綱(10)に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含む、請求項23に記載の曳航ステープル(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶の曳航の分野に関連する。本開示は、曳航のための船舶の船体に対する曳航ステープル及び曳航ステープルを含む曳航のための船舶に対する船体に関する。
【背景技術】
【0002】
タグボートまたはタグなどの曳航のための船舶は、直接接触によって、または曳航綱の手段によってのいずれかでそれらを押し出しまたは引き込むことによって、その他の、典型的にはより大きな船舶を操縦するために使用される二次的なボートである。タグは典型的には、混雑した港もしくは狭い運河にある船など、それらの自身に対して操縦するためのそれらの能力において制限された船舶、または荷船、機能しない船、丸太の筏、もしくは石油プラットフォームなど、それら自体によって移動することができない船舶を移動させる。
【0003】
より素早く且つより操縦可能な曳航船舶からの支援なしに、巨大船などのより大きな船は、ポートに入り込むことができず、またはポートに入り込むことに困難を有する。
【0004】
タグボートは、曳航される船舶を操縦するための力を生じさせるために、船体のそれらの推進システム及び/または流体特性を使用することがある。タグボートは、直接曳航モードまたは間接曳航モードにおいて動作することがある。直接モード動作の間、タグボートの推進システムの引き込みに起因して、曳航綱に対する曳航綱力が生まれる。したがって、タグボートを船舶の中心線に並列したままにし、または曳航される船舶の対応する側に対して開いたままにするかのいずれかによって、曳航される船舶の初期の動きを停止もしくは低減させること、または舵取りの間に曳航される船舶を支援することが行われる。
【0005】
動的曳航とも称されることがある、間接曳航の間、タグボートは通常、曳航される船舶を追跡し、曳航される船舶を回転及び/または減速させるための力を曳航される船舶に対して及ぼす。曳航される船舶に対して角度付けられた位置にタグボートの船体を配置及び維持するために、タグボートの推進システムが使用されることがある。それによって、曳航される船舶の移動の方向に反して作用する船舶の船体によって流体力が引き起こされる。曳航される船舶の移動の方向に反してタグボートのスターボード側またはポート側などの側を位置付けることによって、タグボートの船体は、水の流れ方向に反して作用する大きな表面をもたらし、それによって、曳航される船舶を回転及び/または減速させるために曳航される船舶に伝達することができる抗力を生じさせる。減速及び/または舵取りは、曳航される船舶によって取られた方向とは反対に、水の流れ方向に対応する参照角度を維持することによってタグにより制御される。ポート側は、船首に対向する、すなわち、航行しているときに船舶が進んでいる方向に向かって前方に対向するオブザーバの左への船舶の側であり、スターボード側は、そのようなオブザーバの右側への側である。
【0006】
タグボートの曳航機器は、タグボートによって生じる力を曳航される船舶に伝えるための重要なリンクである。曳航機器は、異なるタイプのタグボートの間で変化することがある様々な要素を含むことがある。それらの要素は、最も単純なバージョンにある、まさに曳航ビット及び曳航綱または曳航フック及び曳航綱である。しかしながら、曳航機器は、曳航ウインチ、索道器、曳航綱、及び/または曳航ピンをも含むことがある。曳航機器の各々の要素は、曳航綱において生じる高い力に対処することができるような方式において十分に強い必要があり、またはそのように設計される必要がある。高い力に起因して、曳航綱は典型的には、重く且つ強い。曳航機器における要素のいずれかの故障は、タグボートのデッキにわたって曳航綱が突然折れ、または流れることにつながることがあり、それは、タグボートのデッキ上で働く乗組員への損傷を引き起こすことがある。
【0007】
更なる重要な態様は、曳航ポイントの位置であり、本明細書における曳航ポイントは、曳航綱がそこから曳航される船舶に直接行くタグボート上のポイントとして解釈されることになる。曳航綱は、曳航フック、曳航ウインチによってタグに接続されることがあり、及び/または曳航ビットに固定されることがあり、それらは全て、曳航綱がそこから曳航される船舶に直接行くタグボート上のポイントである場合に、曳航ポイントと称されることがある。曳航ポイントの位置は、異なるタイプのタグボートの間で変化することがある。曳航綱を使用した曳航による危険は、包囲すること及び転覆することのリスクである。包囲することは、例えば、タグボートの船体が曳航される船舶に垂直に位置付けられるときの間接曳航の間、曳航綱が右の角度でタグボートに来るときに起こることがある。曳航綱がタグボートの船体中央部及びタグボートへの右の角度にある位置の周りで固定される場合、張力下の曳航綱は、タグボートに対して傾斜モーメントを及ぼす。外部の力に起因して、スターボード側またはポート側などの1つの側にわたって傾斜するいずれかの船舶のように、タグボートの浮力の中心がタグボートの水面下容積の中心に向かって動くにつれて、復原テコが形成されることがあり、傾斜モーメントに対抗し、再度タグボートを直立に押し出し戻す。しかしながら、曳航綱における力が十分に強い場合、それは、曳航綱が良好な時に解放されない限り、包囲することとも称されることがある、水のデッキ-エッジ浸水、洪水、及び転覆につながることがあるタグボートの復原テコを打ち負かすことがある。包囲することは、非常に迅速に起こることがあり、乗組員が時間内に脱出することができなかった場合にインシデントが発生している。
【0008】
包囲することの問題を解決する既知の解決策は、タグボートの収容ビルディングの周りに配列されたリングベアリングにウインチが取り付けられた、カルーセルタイプタグボートを使用することである。曳航ポイントは、船体中央部からの距離におけるリングベアリングの周囲に位置する。ウインチ、よって曳航ポイントは、可動レールを使用して収容ビルディングの周りで360度回転することがある。しかしながら、この解決策は、それがウインチを動かすための駆動システム及び多くの可動部を必要とし、それを高価にさせ、故障しがちにさせるといった不利な点を有する。
【発明の概要】
【0009】
したがって、存在する欠点を軽減し、緩和し、または対処する、曳航解決策についての必要性が存在し、乗組員の間で故障及び損傷のリスクを低減させる曳航のための信頼でき、且つコスト効率的な解決策を提供する。
【0010】
曳航のための船舶に対する船体が開示される。船体は、デッキ及び曳航綱をガイドするための曳航ステープルを含む。曳航ステープルは、デッキに並列した第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素を含む。ガイド要素は、第1の平面に垂直な第2の平面内でガイド要素を船体に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画を含む。第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画は、ガイド要素のメイン区画の手段によって接続され、ガイド要素は、デッキに対向するメイン区画の底側上に位置する曳航綱ガイド面を含む。曳航綱ガイド面は、曳航綱が、第1の平面に垂直な方向においてメイン区画による動きにおいて制限される間、第1の平面内でメイン区画の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、曳航綱に摺動可能に接触するように構成される。曳航ステープルは更に、支持要素を含む。支持要素は、メイン区画の上側上に配列され、ガイド要素の上側から第1の平面に垂直な第2の平面に第1の平面への角度において伸長し、第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画を通じて伸長する。
【0011】
更に、曳航のための曳航ステープルが提供される。曳航ステープルは、曳航綱をガイドするように構成される。曳航ステープルは、第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素を含む。ガイド要素は、第1の平面に垂直な第2の平面にガイド要素を取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画を含み、第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画は、ガイド要素のメイン区画の手段によって接続される。ガイド要素は、メイン区画の底側上に位置する曳航綱ガイド面を含む。曳航綱ガイド面は、曳航綱が、第1の平面に垂直な方向においてメイン区画による動きにおいて制限される間、第1の平面内でメイン区画の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、曳航綱に摺動可能に接触するように構成される。曳航ステープルは更に、支持要素を含み、支持要素は、メイン区画の上側上に配列され、ガイド要素の上側から第2の平面に第1の平面への角度において伸長する。
【0012】
曳航ステープルが、曳航綱と接触するときに曳航ポイントとしての役割を果たし、曳航のための船舶のデッキに関連して曳航ポイントの位置を低下させ、曳航のための船舶の船体の側により近くにそれを動かすということが本開示の利点である。曳航ポイントを低下させることによって、曳航綱力によって生じ、曳航のための船舶の船体に対して作用する傾斜モーメントが低減する。更に、曳航のための船舶の側により近くに曳航ポイントを動かすことによって、傾斜レバーアームを低減させることができると共に、復原テコアームが増大する。よって、本開示の曳航ステープルは、曳航のための船舶の安定性を改善し、曳航のための船舶の操縦性、並びに直接及び間接曳航性能を改善する。支持要素を曳航ステープルに追加することによって、曳航ステープルの剛性が更に増大すると共に、曳航綱をガイドすることができないことに起因して、曳航ステープルが機能せず、乗組員の損傷を生じさせるリスクを低減させる。
【0013】
更に、本開示に従った解決策は、いずれの可動部をも含まず、それは、解決策のコストを低減させ、解決策の信頼性を改善する。
【0014】
よって、本開示に従った曳航ステープルは、曳航のための船舶の操縦性、直接及び間接曳航性能、並びに安定性を改善すると共に、既存の曳航解決策と比較して、コストを低減させ、信頼性を改善する。
【0015】
本開示の上記及び他の特徴及び利点は、添付の図面を参照してその例示的な実施形態の以下の詳細な説明によって当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本開示に従った、曳航のための第1の例示的な船舶の側面図を例示する。
【
図1B】本開示に従った、曳航のための第1の例示的な船舶の上面図を例示する。
【
図2A】本開示に従った、曳航のための2の例示的な船舶の側面図を例示する。
【
図2B】本開示に従った、曳航のための2の例示的な船舶の上面図を例示する。
【
図3A】本開示に従った、例示的な曳航ステープルの上面図を例示する。
【
図3B】本開示に従った、例示的な曳航ステープルの側面図を例示する。
【
図4】本開示に従った、潤滑システムを含む例示的な曳航ステープルを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な例示的な実施形態及び詳細を、関連する場合の図を参照して、以下に説明する。図面は縮尺通りに描かれている、またはそのように描かれていないことがあり、同様の構造または機能の要素は、図面全体を通じて同様の参照番号によって表されていることに留意されるべきである。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを目的としていることにも留意されるべきである。それらは、開示の網羅的な説明として、または開示の範囲の限定として意図していない。加えて、例示される実施形態は、示されたすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように図示されていない場合、またはそのように明示的に説明されていない場合でも、他の任意の実施形態で実施することができる。
【0018】
これらの図は、明確にするために概略的かつ簡略化されており、他の詳細は省略されているが、開示を理解するのに役立つ詳細を示しているにすぎない。全体を通じて、同じ参照番号が同一または対応する部品に使用される。
【0019】
図1A及び1Bは、
図1Aにおける側面図及び
図1Bにおける船体1の上面図において見られる、本明細書における1つ以上の実施形態に従った、タグボートなどの曳航のための船体1を例示する。船体1は、船舶のメインデッキなどのデッキ13、及び曳航綱10をガイドするための曳航ステープル14を含む。デッキ13は、船体の水線の上方に配列された第1のデッキであってもよい。曳航綱10は、船体1上に配列された曳航綱であってもよく、または曳航される船舶上に配列された曳航綱であってもよい。曳航綱10が船体1上に配列されるとき、それは、船体1に取り付けられたウインチ12に接続されてもよく、それは、ウインチ12に巻き付けられまたはウインチ12から巻き解かれることによって、曳航綱が伸長及び縮小されることを可能にする。ウインチ12は、船体1の中心内で船首から船尾に伸長する船体の縦軸上で中心にされるなど、船体中央部で横方向に配列されてもよい。曳航ステープル14は、デッキ13に並列した第1の平面内に、対称の、または少なくとも必然的に対称の伸長部を有するガイド要素20を含む。第1の平面は、垂直法線を有するなど、実質的に水平であってもよい。ガイド要素20は、第1の平面に垂直な第2の平面内でガイド要素14Aを船体1に取り付けるための第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bを含む。第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bは、ガイド要素20のメイン区画22の手段によって接続される。
【0020】
ガイド要素20は、メイン区画22の底側上に位置する曳航綱ガイド面23を含み、底側はデッキ13に対向している。曳航綱ガイド面23は、第1の平面に垂直な方向においてメイン区画22による動きにおいて制限される間、曳航綱が第1の平面内でメイン区画22の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、曳航綱10に摺動可能に接触するように構成される。
【0021】
曳航ステープルは更に、支持要素16を含む。支持要素16は、ガイド面23とは反対の方向に対向するメイン区画の側など、メイン区画22の上側上に配列され、ガイド要素20の上側から第2の平面に第1の平面への角度において伸長する。よって、支持要素16は、曳航綱10から曳航船舶の船体1への力を利用することが可能であり、曳航綱10から曳航船舶の船体1に力を方向付けることが可能であり、曳航ステープル内の曲げモーメントを低減させる。よって、支持要素16は、曳航ステープル14に剛性を加え、変形されることなく、及び/または破壊することなく、曳航ステープルがより高い曳航力を利用することを可能にする。
【0022】
取り付け区画21A、21Bは、ナット及びボルトなどの締め付け手段によって船体に取り外し可能に取り付けられてもよく、または、例えば、船体1に溶接されることによって船体1に固定して取り付けられてもよい。曳航ステープル14が船体1に溶接されるとき、それは、船体1の統合部分であることができ、それは、曳航ステープルの剛性が増大し、曳航の間の曳航ステープル14の故障のリスクを低減させる利点を有する。曳航ステープル14は、第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bを船体1に取り付けるための1つ以上の垂直に配列された梁を含んでもよく、または1つ以上の垂直に配列された梁に取り付けられてもよい。1つ以上の梁は、船体1を通じて垂直方向に伸長してもよく、船体1の統合部分であってもよい。
【0023】
船体1は、曳航綱10をガイドするための索道器15を含んでもよい。索道器15は、船体1の縦方向中心平面に沿って横方向船体中央部など、船体1の中心において配列されてもよい。曳航綱10は、索道器15を通じてウインチから供給されてもよく、その結果、曳航綱は、船体1の縦方向中心平面のエリア内で索道器15を出る。縦方向中心平面は、本明細書で、船体1の後部から船尾になど、縦方向に船体1の中心を通じて伸長する平面と解釈されることになる。よって、縦方向中心平面は、縦方向に船体1の対称平面を構成する。曳航ステープル14は、索道器15が曳航ステープル14の縦方向中心平面に沿って配列されるように、船体1上に配列される。好ましくは、曳航ステープル14は、船体1上に中心に取り付けられ、その結果、船体1の縦方向中心平面及び曳航ステープル14の縦方向中心平面が対応することができる。それによって、曳航のための船舶の曳航特性は、船体1のポート側及びスターボード側上で等しい。曳航綱10は次いで、船体1の曳航ステープル14とデッキ13との間で、及び典型的には、はるかに大きい曳航される船舶に対して上方向の角度において供給され、その結果、曳航綱10は、曳航綱ガイド面23と接触する。
【0024】
曳航ステープル14のガイド要素20は、索道器からガイド要素20の曳航綱ガイド面23への距離がガイド要素20の外周にわたって変化するような形状にされてもよい。それによって、索道器15からガイド要素20に伸長し、曳航綱ガイド面23と摺動して接触する曳航綱10は、曳航手順の間、曳航ステープル14に反して曳航綱10の同一のエリアと擦れない。曳航綱に対する摩擦が同一のエリア内で常に作用しないので、これは曳航綱故障のリスクを低減させる。
【0025】
曳航ステープル14のガイド要素20は、第1の平面において見られるとき、アーチ形状外形を有してもよい。アーチ形状は、例えば、U字形状、半円、半楕円、放物線、馬蹄などであってもよい。
図1A及び1Bに示されるような例示的なガイド要素20は、第1の平面において見られるとき、U字形状を有し、その結果、メイン区画22は、2つの並列区画22A及び湾曲区画22Bを含む。U字形状ガイド要素20の2つの並列区画22Aの端区画は、船体1の垂直壁に、船体1の横断舷牆になど、船体1にガイド要素20を取り付けるための取り付け区画21A、21Bを構成することができる。
【0026】
曳航ステープル14は、船体1の縦方向中心線の方向において索道器15から見られる少なくとも140度の視認角度αに及んでもよい。いくつかの実施形態では、曳航ステープル14は、少なくとも170度、好ましくは少なくとも180度の視認角度αに及んでもよい。それによって、曳航のための船舶の船体1は、ポート方向及びスターボード方向の両方において曳航される船舶に対する70度~90度の角度において位置付けられてもよく、それによって、間接曳航の間など、海錨として船体の流体力を使用するときに船体1によって生じる抗力を増大させる。これは、曳航のための船舶の操縦性、並びに直接及び間接曳航性能を改善する。
【0027】
第1の取り付け区画21Aと第2の取り付け区画21Bとの間の距離などのガイド要素20の幅は、船体1の縦方向中心線から離れて船体1のポート側またはスターボード側などの外側に向かって曳航ポイントを動かすように構成されるなど適合されてもよい。曳航ステープル14は、船体1の内周内に配列されてもよく、その結果、曳航綱及び/またはデッキ13上で働く乗組員は、邪魔されないように、曳航ステープル14と曳航のための船舶の手すりなどの側との間を通ることができる。よって、ガイド要素20の実際の幅Wは、船体1の寸法に依存する。幅Wは、対応する縦方向位置において船体1の幅の20~95%の範囲にあってもよい。いくつかの実施形態では、幅Wは、少なくとも2メートル、少なくとも10メートルなど、好ましくは6メートルである。ポート方向またはスターボード方向のいずれかにおける索道器からガイド要素への距離を増大させることに対応する、ガイド要素20の幅を増大させることは、曳航される船舶に接続された曳航綱10からの上方向の力が作用するレバーアームを増大させる。それによって、曳航のための船舶に対して作用する包囲モーメントに反作用する復原モーメントが増大し、よって、船舶転覆のリスクを低減させる。
【0028】
曳航ステープル14のガイド要素20は、索道器15よりもデッキ13に近くに配列されてもよい。索道器15よりもデッキ13に近くにガイド要素20を配列することによって、曳航ウイングステープルが使用されないケースである、索道器が曳航ポイントを構成する場合と比較して、曳航ポイントが低下する。垂直方向などにおける曳航ステープル14のガイド要素20の曳航綱接触面23からデッキ13への距離hは、10センチメートル~200センチメートルの範囲にあってもよい。距離hを低減させることによって、曳航ポイントが低下し、それは、曳航綱力が作用するレバーアームを低減させ、傾斜モーメントを生じさせる。よって、距離hを低減させることによって、曳航の間に船体1に対して作用する傾斜モーメントが低減し、曳航のための船舶の安定性を増大させ、包囲及び転覆についてのリスクを低減させる。
【0029】
支持要素16は、船体1の垂直方向において、デッキ13から離れて対向するガイド要素20の上側から、索道器15よりもデッキから更に離れて位置する接続ポイント17に伸長してもよい。支持要素16は、曳航ステープル14に剛性を加え、ガイド要素20の材料の疲労及び最終的な故障を引き起こすことがある、曳航力に起因して上方向におけるガイド要素の動きを低減させる。支持要素16は、曳航のための船舶によって曳航綱10に対して生じることがある最大曳航力に耐えるような寸法とされてもよい。
【0030】
図2A及び2Bは、
図2Aにおけるポート側図及び
図2Bにおける船体1の上面図において見られる、本明細書における1つ以上の実施形態に従った、曳航のための船舶に対する船体1を例示する。
図2A及び2Bにおいて見ることができるように、例示的な支持要素16は、第1の平面に垂直な第2の平面上でガイド要素20の上側から接続ポイント17に伸長する、1つ以上のシート要素などのシート材料を含み、その結果、支持要素16は、ガイド要素20を覆う囲いを生成する。船体1は更に、乗組員など、船舶の船上の人員を収容するための収容ビルディング19を含んでもよい。第2の平面は、収容ビルディング19の後方または前方外装壁19A上に位置してもよい。曳航綱10は、収容ビルディング19を通じて経路指定されてもよく、後方または前方外装壁19A内に配列された索道器15を通じて収容ビルディング19を出てもよい。支持要素16は、ガイド要素20の上側に沿ってガイド要素20の周囲上に配列され、周囲に従う第1のエッジ16Aを有してもよい。支持要素16は、前方または後方外装壁19Aになど、第2の平面に並列し、第2の平面における船体1に取り付けられる第2のエッジ16Bを有してもよい。よって、支持要素16は、ガイド要素20を覆う、ルーフなどの囲いを生成する。囲いは、ガイド要素20から第2の平面に及び/または第2の平面に向かった角度において伸長する、ドームまたは錐体の外形を有してもよい。ガイド要素の上側を囲むことによって、曳航ステープル14の剛性を増大させる錐体またはドーム外形ボックス構成が生成される。囲いは更に、曳航綱またはメッセンジャー綱など、曳航されることになる船舶から曳航のための船舶に投げ込まれた綱が最上部から曳航ステープルに入り込み、そのケースでは、曳航綱が曳航綱接触面23に接触せず、及び/または曳航のための船舶のデッキ13上に位置する突起物体に巻き込まれ及び捕えられるリスクを低減させる。1つ以上のシート要素などのシート材料は、曳航ステープル14の最上部で平坦面をもたらす。平坦面は、綱が曳航ステープルを摺動し、曳航のための船舶のデッキ上を摺動することを可能にし、そこから、綱を手動または自動で曳航綱10に接続することができ、曳航ステープルの真下から曳航されることになる船舶に引き出すことができる。支持要素16の傾き及び平坦外部面は、曳航される船舶から投げ込まれた綱が曳航のための船舶のデッキ上の障害物に捕らえられることを防止する。囲いは、曳航のための船舶のデッキ上で働く乗組員に対するカバーまたはシェルタとしての役割をも果たすことができ、それは、投げ込まれた綱によって衝突され、損傷する乗組員のリスクを低減させる。
【0031】
図3A及び3Bは、
図3Aにおける上面図及び
図3Bにおける側面図からの曳航のための船舶に対する曳航ステープル14を示す。曳航ステープルは、曳航手順の間など、曳航綱をガイドするように構成される。曳航ステープル14は、ガイド要素20及び支持要素16を含む。ガイド要素20は、第1の平面内に対称拡張部を有し、第1の平面は、曳航ステープルが船舶の船体に取り付けられるときに実質的に水平な平面である。ガイド要素20は、ガイド要素20を第1の平面に垂直な第2の平面に取り付けるための第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bを含む。第2の平面は、例えば、船舶の船体の垂直壁であってもよい。第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bは、ガイド要素20のメイン区画22の手段によって接続される。ガイド要素20は、メイン区画22の底側上に位置する曳航綱ガイド面23を含み、曳航綱ガイド面23は、曳航手順の間、曳航綱に摺動可能に接触するように構成される。よって、曳航綱は、第1の平面に垂直な方向においてメイン区画22による動きにおいて制限される間、第1の平面内でメイン区画22の外周に沿って自由に動くことができる。曳航綱ガイド面23は、ガイド要素の周囲全体に沿って妨害されないで伸長することができる。妨害されないで伸長することは、本明細書で、ガイド要素20のメイン区画22に沿って第1の取り付け区画21Aから第2の取り付け区画21Bに伸長するとして解釈されることになる。しかしながら、例えば、潤滑システムについての開口を含む曳航綱ガイド面23は、妨害されないで伸長する曳航綱ガイド面23と矛盾しない。曳航綱に対する摩擦を低減させるために、曳航綱ガイド面23は、摩擦低減被膜によって被膜されてもよい。
【0032】
支持要素16は、ガイド要素20のメイン区画22の上側上に配列され、ガイド要素20の上側から第2の平面に第1の平面への角度において伸長する。支持要素16は、基端16A及び上端16Bを有してもよく、基端16Aは、ガイド要素20上に配列され、上端16Bは、第2の平面内に位置する取り付けエリアに取り付けられるように構成される。第2の平面は、第1の平面に垂直であってもよい。第2の平面は、例えば、ガイド要素20の第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bを通じて伸長してもよい。支持要素16は、曳航綱10によってガイド要素20の曳航綱接触面23上で誘導された力に反作用するように構成される。よって、ガイド要素20に印加された力は、支持要素16を通じて曳航綱10の接触のポイントから、曳航ステープルを付着することができる曳航のための船舶の船体などの取り付け構造体に分散されてもよい。
【0033】
ガイド要素20は、第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有してもよい。アーチ形状外形は、本明細書で、相互に対する距離において、及び相互に並列して配列される第1の区画及び第2の区画を有し、第1の区画及び第2の区画は、1つ以上の湾曲区画によって接続されるとして解釈されることになる。アーチ形状外形は、曳航ステープルに対称外形をもたらし、それによって、アーチ形状外形の中心線の両方の側上で曳航綱に対する対応する接触ポイントをもたらす。それによって、船体は、曳航される船舶がタグボートのどの側に位置するかに関わらず、曳航手順の間に同一の安定性及び曳航性能を有する。更に、寸法及び/または外形など、アーチ形状外形の特性を調節することによって、曳航綱の摩耗を低減させることができる。アーチ形状は、例えば、U字形状、半円、半楕円、放物線、馬蹄などであってもよい。
図4に示される例示的な実施形態では、ガイド要素20は、第1の平面において見られるとき、U字形状を有し、その結果、メイン区画22は、2つの並列区画22A及び湾曲区画22Bを含み、U字形状ガイド要素20の2つの並列区画22Aの端区画は、取り付け区画21A、21Bを構成する。ガイド要素20の外形及び寸法は、第1の平面及び第2の平面の交差から(交差は、曳航ステープル14が船体1に取り付けられるときの曳航ポイントの位置であってもよい)ガイド面23上の位置への距離が、ガイド要素20の周囲にわたって変化するように構成されてもよい。交差から曳航綱ガイド面への距離をガイド要素20の周囲にわたって変化させることによって、曳航綱が、ガイド要素20の外周に沿って、例えば、ポートからガイド要素20のスターボード側に動くとき、ガイド要素20上の曳航綱10の接触ポイントは、曳航綱上の同一のスポットに反して常に擦れず、それによって、曳航綱故障のリスクを低減させる。
【0034】
図3A及び3Bに示される例示的な曳航ステープル14では、支持要素16は、ガイド要素20の上側から第2の平面に及び/または向かって伸長するシート材料を含み、その結果、支持要素16は、ガイド要素20を覆う、ルーフなどの囲いを生成する。囲いは、ガイド要素20から第2の平面に及び/または向かった角度において伸長する、ドームまたは錐体の形状を有してもよい。言い換えると、支持要素は、第1の平面及び/または第2の平面への傾きにより配列されてもよい。ガイド要素20の上側を囲むことによって、曳航ステープル14の剛性を増大させるボックス形状が生成される。囲いは、曳航綱またはメッセンジャー綱など、曳航されることになる船舶から曳航のための船舶に投げ込まれた綱が、最上部から曳航ステープルに入り込まず、その結果、それは、曳航綱接触面23に接触せず、及び/または曳航のための船舶のデッキ上に位置する突起物体に巻き込まれ及び捕えられるリスクを低減させる。シート材料は、曳航ステープル14の最上部で平坦面をもたらし、平坦面は、綱が曳航ステープルを摺動し、曳航のための船舶のデッキ上を摺動することを可能にし、そこから、綱を手動または自動で曳航綱10に接続することができ、曳航ステープルの真下から曳航されることになる船舶に引き出すことができる。曳航ステープル14の囲いは、曳航される船舶から投げ込まれた綱が曳航のための船舶のデッキ上の障害物に捕らえられることを防止する。囲いは、曳航のための船舶のデッキ上で働く乗組員に対するカバーまたはシェルタとしての役割をも果たすことができ、それは、曳航される船舶から投げ込まれた綱によって衝突され、損傷する乗組員のリスクを低減させる。
【0035】
支持要素16のシート材料は、ガイド要素20の上側に沿ってガイド要素20の周囲上に配列され、周囲に従う第1のエッジ16A、及び第2の平面に並列する第2のエッジ16Bを有してもよい。第2のエッジ16Bは、曳航ステープル14を船舶の船体に取り付けるための取り付けエリアとしての役割を果たしてもよい。曳航ステープル14は、例えば、第2のエッジ16Bに沿って船体に溶接されてもよく、その結果、船体と支持要素の第2のエッジ16Bとの間で剛性接続が生じる。船体1と支持要素16との間で付着面を増大させることによって、曳航ステープルの剛性を改善することができる。ガイド要素20を囲むことによって、支持要素16がガイド要素20の周囲の大部分に隣接し、ガイド要素20の1つの小さなエリア上でのみ隣接しないので、ガイド要素20の剛性及びガイド要素20からの力分散を更に増大させることができる。いくつかの実施形態では、支持要素16は、切り取られた錐体としての形状にされてもよく、その結果、支持要素16は、ガイド要素20からの距離において、及び第1の平面に並列して配列された水平区画16Cを含む。よって、支持要素16の傾いた区画は、ガイド要素20から支持要素16の水平区画16Cに伸長する。水平区画16Cは、ガイド要素20の形状に従ってもよいが、寸法においてより小さくてもよい。
【0036】
ガイド要素20及び支持要素16は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、または同様のものなど、海洋使用に適切ないずれかの材料などの金属から成ってもよい。
【0037】
図4は、本明細書におけるいくつかの実施形態に従った、曳航綱対向面から見た曳航ステープルを示す。曳航綱10の摩擦を更に低減させるために、ガイド要素20は、曳航手順の間に曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含んでもよい。潤滑システムは、ガイド要素20の曳航綱ガイド面23内の複数の開口18及び曳航綱と曳航綱ガイド面との間の摩擦を低減させるために複数の開口18を通じて曳航綱10に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含んでもよい。潤滑剤は、例えば、海水などの水であってもよい。潤滑剤供給システムは更に、曳航綱に潤滑剤を供給するためのポンプを含んでもよい。複数の開口を有する解決策は、この解決策がいずれの可動部をも含まないので、解決策がコスト効率的であり且つ信頼できるという利点を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、摩擦低減特性を有する接着剤を含む潤滑剤が使用されてもよい。潤滑剤は、曳航のための船舶上に位置するタンクから供給されてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑システムは、潤滑剤を注入するための1つ以上のノズル(
図4に示されない)を含んでもよく、ノズルは、ガイド要素20の曳航綱ガイド面23内に配列されてもよく、ノズルが曳航綱10に潤滑剤を噴霧するように方向付けられてもよい。潤滑システムにノズルを設けることは、曳航綱に供給される潤滑の量を制御することができ、曳航綱がガイド要素に接触しているガイド要素20のエリアのみに方向付けることができ、それは、潤滑剤の無駄を低減させることができるという利点を有する。潤滑剤の無駄を更に低減させ、潤滑剤が最終的に海に行きつくことを防止するために、潤滑剤収集及び再循環システムが潤滑システムに備えられてもよい。潤滑剤収集及び再循環システムは、過度な潤滑剤を収集するための、曳航のための船舶の船体1内でなど、曳航綱ガイド面23の真下に配列された収集器を含んでもよい。追加のポンプが収集器に接続されてもよく、収集された潤滑剤をタンクに供給し戻してもよい。
【0039】
図1~4において説明された実施形態において言及された特徴は、それらの特定の実施形態に限定されないことに留意されるべきである。曳航ステープル14に関連するいずれかの特徴、及び曳航ステープル14の寸法など、
図1A~2Bにおいて示された船体1に備えられ、船体1に関連して言及された構成要素も、
図3~4に関して説明された曳航ステープル14に適用可能である。
【0040】
更に、本明細書で言及されるとき、垂直軸は、船を通じて、及びその重心を通じて垂直に走る仮想線に関連し、横断軸または横軸は、船を横切り、及び重心を通じて水平に走る仮想線であり、縦軸は、その重心を通じて船の長さを通じて、及び水線に並列して水平に走る仮想線である。同様に、本明細書で言及されるとき、垂直平面は、船の幅を通じて垂直に走る仮想平面に関連し、横断平面または横平面は、船を横切って水平に走る仮想平面であり、縦平面は、船の長さを通じて垂直に走る仮想平面である。
【0041】
開示に従った成果物(曳航のための船舶の船体、及び曳航ステープル)の実施形態は、以下の項目において示される。
【0042】
項目1:曳航のための船舶に対する船体(1)であって、
-デッキ(13)と、
-曳航綱(10)をガイドするための曳航ステープル(14)と、を備え、
前記曳航ステープル(14)は、
-前記デッキ(13)に並列した第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(14A)を前記船体(1)に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記デッキ(13)に対向する前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を含む、前記船体(1)。
【0043】
項目2:前記曳航ステープル(14)の前記ガイド要素(20)は、前記第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有する、項目1に記載の船体(1)。
【0044】
項目3:前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)が2つの並列区画(22A)及び湾曲区画(22B)を含むように、前記第1の平面から見られるとき、U字形状を有し、前記U字形状ガイド要素(20)の前記2つの並列区画(22A)の前記端区画は、前記取り付け区画(21A、21B)を構成する、項目1または2に記載の船体(1)。
【0045】
項目4:前記船体(1)は、前記曳航綱(10)をガイドするための索道器(15)を含み、前記索道器(15)は、前記曳航ステープル(14)の縦方向中心平面において配列される、項目1~3のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0046】
項目5:前記ガイド要素は、前記索道器から前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)への距離が前記ガイド要素(20)の前記外周にわたって変化するような形状にされる、項目4に記載の船体(1)。
【0047】
項目6:前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の縦方向中心線の方向において前記索道器(15)から見られる少なくとも140度の視認角度(α)に及ぶ、項目4または5に記載の船体(1)。
【0048】
項目7:前記支持要素(16)は、前記船体(1)の垂直方向において、前記デッキ(13)から離れて対向する前記曳航ステープル(14)の上側から、前記索道器(15)よりも前記デッキから更に離れて位置する接続ポイント(17)に伸長する、項目4~6のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0049】
項目8:前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の内周の中に配列される、項目1~7のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0050】
項目9:前記第1の取り付け区画(21A)と前記第2の取り付け区画(21B)との間の前記ガイド要素(20)の幅(W)は、前記船体(1)の縦方向中心線から離れて前記船体(1)の外側に向かって曳航ポイントを動かすように適合される、項目1~8のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0051】
項目10:前記曳航ステープル(14)から前記デッキ(13)への距離は、10センチメートル~200センチメートルの範囲にある、先行項目のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0052】
項目11:前記支持要素(16)は、前記支持要素(16)が前記ガイド要素(20)を覆う囲いを生成するように、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第2の平面に伸長するシート材料を含む、先行項目のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0053】
項目12:前記支持要素(16)は、前記ガイド要素(20)の前記上側に沿って前記ガイド要素(20)の前記周囲上に配列され、前記周囲に従う第1のエッジ(16A)、及び前記第2の平面に並列し、前記第2の平面において前記船体に取り付けられる第2のエッジ(16B)を有する、項目11に記載の船体(1)。
【0054】
項目13:前記ガイド要素(20)は、曳航手順の間に前記曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含む、先行項目のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0055】
項目14:前記潤滑システムは、前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)内の複数の開口(18)及び前記複数の開口(18)を通じて前記曳航綱(10)に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含む、項目13に記載の船体(1)。
【0056】
項目15:前記船体(1)は、収容ビルディング(19)を更に備え、前記第2の平面は、前記収容ビルディング(19)の後方または前方外装壁(19A)上に位置する、先行項目のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0057】
項目16:前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の統合部分である、先行項目のいずれか1つに記載の船体(1)。
【0058】
項目17:曳航のための曳航ステープル(14)であって、前記曳航ステープルは、曳航綱をガイドするように構成され、前記曳航ステープル(14)は、
第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(14A)を前記曳航のための船舶の船体に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を備えた、前記曳航ステープル。
【0059】
項目18:前記曳航ステープル(14)の前記ガイド要素(20)は、前記第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有する、項目17に記載の曳航ステープル。
【0060】
項目19:前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)が2つの並列区画(22A)及び湾曲区画(22B)を含むように、前記第1の平面から見られるとき、U字形状を有し、前記U字形状ガイド要素(20)の前記2つの並列区画(22A)の前記端区画は、前記取り付け区画(21A、21B)を構成する、項目17または18に記載の曳航ステープル(14)。
【0061】
項目20:前記支持要素(16)は、基端(16A)及び上端(16B)を有し、前記基端(16A)は、前記ガイド要素(20)上に配列され、前記上端(16B)は、前記第2の平面に位置する取り付けエリアに取り付けられるように構成される、項目17~19のいずれか1つに記載の曳航ステープル(14)。
【0062】
項目21:前記支持要素(16)は、前記支持要素(16)が前記ガイド要素(20)を覆う囲いを生成するように、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第2の平面に伸長するシート材料を含む、項目17~20のいずれか1つに記載の曳航ステープル(14)。
【0063】
項目22:前記支持要素(16)は、前記ガイド要素(20)の前記上側に沿った前記ガイド要素(20)の前記周囲上に配列され、前記周囲に従う第1のエッジ(16A)、及び前記第2の平面に並列する第2のエッジ(16B)を有する、項目21に記載の曳航ステープル(14)。
【0064】
項目23:前記ガイド要素(20)は、曳航手順の間に前記曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含む、項目17~22のいずれか1つに記載の曳航ステープル(14)。
【0065】
項目24:前記潤滑システムは、前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)内の複数の開口(18)及び前記複数の開口(18)を通じて前記曳航綱(10)に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含む、項目23に記載の曳航ステープル(14)。
【0066】
用語「第1」、「第2」、「第3」、および「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などの使用は、特定の順序を暗に意味するものではなく、個々の要素を識別するために含まれる。その上、用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などの使用は、順序や重要性を表すのではなく、むしろ、用語「第1」、「第2」、「第3」、および「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などは、相互に1つの要素を区別するために使用される。単語「第1」、「第2」、「第3」、および「第4」、「一次」、「二次」、「三次」などは、ここや他の場所でラベル付けの目的でのみ使用されており、いずれかの特定の空間的または時間的な順序を表すことを意図していない。更に、第1の要素のラベル付けは、第2の要素の存在を暗に意味するものではなく、逆もまたそうである。
【0067】
単語「comprising(含む)」は、リストされているもの以外の要素またはステップの存在を必ずしも除外しないことに留意されよう。
【0068】
要素に先行する単語「a」または「an」は、複数のそのような要素の存在を排除しないことに留意されよう。
【0069】
特徴が示され、説明されてきたが、それらは、特許請求される開示を限定することを意図するものではないことが理解され、特許請求される開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることが当業者にとって明らかでなる。したがって、明細書および図面は、限定する意味ではなくて例示的なものとみなされる。特許請求される開示は、全ての代替物、修正、及び同等物を網羅することを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図1A及び1Bは、
図1Aにおける側面図及び
図1Bにおける船体1の上面図において見られる、本明細書における1つ以上の実施形態に従った、タグボートなどの曳航のための船体1を例示する。船体1は、船舶のメインデッキなどのデッキ13、及び曳航綱10をガイドするための曳航ステープル14を含む。デッキ13は、船体の水線の上方に配列された第1のデッキであってもよい。曳航綱10は、船体1上に配列された曳航綱であってもよく、または曳航される船舶上に配列された曳航綱であってもよい。曳航綱10が船体1上に配列されるとき、それは、船体1に取り付けられたウインチ12に接続されてもよく、それは、ウインチ12に巻き付けられまたはウインチ12から巻き解かれることによって、曳航綱が伸長及び縮小されることを可能にする。ウインチ12は、船体1の中心内で船首から船尾に伸長する船体の縦軸上で中心にされるなど、船体中央部で横方向に配列されてもよい。曳航ステープル14は、デッキ13に並列した第1の平面内に、対称の、または少なくとも必然的に対称の伸長部を有するガイド要素20を含む。第1の平面は、垂直法線を有するなど、実質的に水平であってもよい。ガイド要素20は、第1の平面に垂直な第2の平面内でガイド要素
20を船体1に取り付けるための第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bを含む。第1の取り付け区画21A及び第2の取り付け区画21Bは、ガイド要素20のメイン区画22の手段によって接続される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
項目1:曳航のための船舶に対する船体(1)であって、
-デッキ(13)と、
-曳航綱(10)をガイドするための曳航ステープル(14)と、を備え、
前記曳航ステープル(14)は、
-前記デッキ(13)に並列した第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(20)を前記船体(1)に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記デッキ(13)に対向する前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を含む、前記船体(1)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
項目17:曳航のための曳航ステープル(14)であって、前記曳航ステープルは、曳航綱をガイドするように構成され、前記曳航ステープル(14)は、
第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(20)を前記曳航のための船舶の船体に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を備えた、前記曳航ステープル。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曳航のための船舶に対する船体(1)であって、
-デッキ(13)と、
-曳航綱(10)をガイドするための曳航ステープル(14)と、を備え、
前記曳航ステープル(14)は、
-前記デッキ(13)に並列した第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(
20)を前記船体(1)に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記デッキ(13)に対向する前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を含む、前記船体(1)。
【請求項2】
前記曳航ステープル(14)の前記ガイド要素(20)は、前記第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有する、請求項1に記載の船体(1)。
【請求項3】
前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)が2つの並列区画(22A)及び湾曲区画(22B)を含むように、前記第1の平面から見られるとき、U字形状を有し、前記U字形状ガイド要素(20)の前記2つの並列区画(22A)の前記端区画は、前記取り付け区画(21A、21B)を構成する、請求項1または2に記載の船体(1)。
【請求項4】
前記船体(1)は、前記曳航綱(10)をガイドするための索道器(15)を含み、前記索道器(15)は、前記曳航ステープル(14)の縦方向中心平面において配列される、請求項1~3のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項5】
前記ガイド要素(20)は、前記索道器から前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)への距離が前記ガイド要素(20)の前記外周にわたって変化するような形状にされる、請求項4に記載の船体(1)。
【請求項6】
前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の縦方向中心線の方向において前記索道器(15)から見られる少なくとも140度の視認角度(α)に及ぶ、請求項4または5に記載の船体(1)。
【請求項7】
前記支持要素(16)は、前記船体(1)の垂直方向において、前記デッキ(13)から離れて対向する前記曳航ステープル(14)の上側から、前記索道器(15)よりも前記デッキから更に離れて位置する接続ポイント(17)に伸長する、請求項4~6のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項8】
前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の内周の中に配列される、請求項1~7のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項9】
前記第1の取り付け区画(21A)と前記第2の取り付け区画(21B)との間の前記ガイド要素(20)の幅(W)は、前記船体(1)の縦方向中心線から離れて前記船体(1)の外側に向かって曳航ポイントを動かすように適合される、請求項1~8のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項10】
前記曳航ステープル(14)から前記デッキ(13)への距離は、10センチメートル~200センチメートルの範囲にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項11】
前記支持要素(16)は、前記支持要素(16)が前記ガイド要素(20)を覆う囲いを生成するように、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第2の平面に伸長するシート材料を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項12】
前記支持要素(16)は、前記ガイド要素(20)の前記上側に沿って前記ガイド要素(20)の前記周囲上に配列され、前記周囲に従う第1のエッジ(16A)、及び前記第2の平面に並列し、前記第2の平面において前記船体に取り付けられる第2のエッジ(16B)を有する、請求項11に記載の船体(1)。
【請求項13】
前記ガイド要素(20)は、曳航手順の間に前記曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項14】
前記潤滑システムは、前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)内の複数の開口(18)及び前記複数の開口(18)を通じて前記曳航綱(10)に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含む、請求項13に記載の船体(1)。
【請求項15】
前記船体(1)は、収容ビルディング(19)を更に備え、前記第2の平面は、前記収容ビルディング(19)の後方または前方外装壁(19A)上に位置する、請求項1~14のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項16】
前記曳航ステープル(14)は、前記船体(1)の統合部分である、請求項1~15のいずれか1項に記載の船体(1)。
【請求項17】
曳航のための曳航ステープル(14)であって、前記曳航ステープルは、曳航綱をガイドするように構成され、前記曳航ステープル(14)は、
第1の平面内に対称拡張部を有するガイド要素(20)であって、前記ガイド要素(20)は、前記ガイド要素(
20)を前記曳航のための船舶の船体に取り付けるための第1の取り付け区画及び第2の取り付け区画(21A、21B)を含み、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)は、前記ガイド要素(20)のメイン区画(22)の手段によって接続され、前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)の底側上に位置する曳航綱ガイド面(23)を含み、前記曳航綱ガイド面(23)は、前記曳航綱が、前記第1の平面に垂直な方向において前記メイン区画(22)による動きにおいて制限される間、前記第1の平面内で前記メイン区画(22)の外周に沿って自由に動くことができるように、曳航手順の間、前記曳航綱(10)に摺動可能に接触するように構成される、前記ガイド要素(20)と、
-支持要素(16)であって、前記支持要素(16)は、前記メイン区画(22)の上側上に配列され、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第1の平面に垂直な第2の平面に前記第1の平面への角度において伸長し、前記第1の取り付け区画及び前記第2の取り付け区画(21A、21B)を通じて伸長する、前記支持要素(16)と、
を備えた、前記曳航ステープル。
【請求項18】
前記曳航ステープル(14)の前記ガイド要素(20)は、前記第1の平面から見られるとき、アーチ形状外形を有する、請求項17に記載の曳航ステープル。
【請求項19】
前記ガイド要素(20)は、前記メイン区画(22)が2つの並列区画(22A)及び湾曲区画(22B)を含むように、前記第1の平面から見られるとき、U字形状を有し、前記U字形状ガイド要素(20)の前記2つの並列区画(22A)の前記端区画は、前記取り付け区画(21A、21B)を構成する、請求項17または18に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項20】
前記支持要素(16)は、基端(16A)及び上端(16B)を有し、前記基端(16A)は、前記ガイド要素(20)上に配列され、前記上端(16B)は、前記第2の平面に位置する取り付けエリアに取り付けられるように構成される、請求項17~19のいずれか1項に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項21】
前記支持要素(16)は、前記支持要素(16)が前記ガイド要素(20)を覆う囲いを生成するように、前記ガイド要素(20)の前記上側から前記第2の平面に伸長するシート材料を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項22】
前記支持要素(16)は、前記ガイド要素(20)の前記上側に沿った前記ガイド要素(20)の前記周囲上に配列され、前記周囲に従う第1のエッジ(16A)、及び前記第2の平面に並列する第2のエッジ(16B)を有する、請求項21に記載の曳航ステープル(14)。
【請求項23】
前記ガイド要素(20)は、曳航手順の間に前記曳航綱を潤滑化するための潤滑システムを含む、請求項17~22のいずれか1項に記載の曳航ステープル。
【請求項24】
前記潤滑システムは、前記ガイド要素(20)の前記曳航綱ガイド面(23)内の複数の開口(18)及び前記複数の開口(18)を通じて前記曳航綱(10)に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給システムを含む、請求項23に記載の曳航ステープル(14)。
【国際調査報告】