(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】電気エネルギー伝送継手及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 11/12 20060101AFI20230316BHJP
B23K 20/12 20060101ALI20230316BHJP
H01R 4/62 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H01R11/12 D
B23K20/12 G
H01R4/62 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560117
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2021084901
(87)【国際公開番号】W WO2021197414
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010249743.8
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519157831
【氏名又は名称】吉林省中贏高科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA06
4E167AA08
4E167BF02
(57)【要約】
本発明は、電気エネルギー伝送継手及びその製造方法を開示し、前記電気エネルギー伝送継手は、電気エネルギー伝送銅部品と、電気エネルギー伝送アルミ部品(9)と、アルミリード線(3)と、を含み、前記電気エネルギー伝送銅部品は電気装置に接続するための固定部品(1)と前記電気エネルギー伝送アルミ部品(9)に接続するための接続部品(2)とを含み、前記電気エネルギー伝送アルミ部品(9)の内部に第1のスルーホールが形成され、前記接続部品(2)の内部に第2のスルーホールが形成され、前記アルミリード線(3)の先端の絶縁層(5)が剥離された後に露出されたアルミコア(4)が前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとを接続してなるキャビティ内に進入し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品(9)が圧着する形態で前記アルミリード線(3)を接続する。前記電気エネルギー伝送銅部品によると、重みが軽く、生産が速く、生産コストを節約する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー伝送銅部品と、電気エネルギー伝送アルミ部品と、アルミリード線と、を含み、前記電気エネルギー伝送銅部品は電気装置に接続するための固定部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品に接続するための接続部品とを含む電気エネルギー伝送継手であって、
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の内部には第1のスルーホールが形成され、前記接続部品の内部には第2のスルーホールが形成され、前記アルミリード線の先端において絶縁層が剥離された後に露出されたアルミコアが前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとを接続してなるキャビティ内に進入し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品は圧着する形態で前記アルミリード線を接続する電気エネルギー伝送継手。
【請求項2】
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の内径は前記アルミリード線絶縁層の外接円の直径の1倍~3倍である請求項1に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項3】
前記アルミコアと前記キャビティとの間には封止剤またははんだが充填される請求項1に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項4】
前記アルミコアと前記キャビティの内壁との間には移行接続装置がさらに設置され、前記移行接続装置の少なくとも一部の表面には、前記アルミコアの表面と前記キャビティの内壁表面との酸化層を突き破るための突起が設置される請求項1に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項5】
前記突起は、波形構造または鋸歯状構造または窪み状構造またはとげ状構造または鋸歯ねじ構造または網状構造である請求項4に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項6】
前記移行接続装置は、少なくとも一部が前記アルミコア上にジョイントされる中空柱体である請求項4に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項7】
前記アルミリード線の圧着長さは少なくとも前記電気エネルギー伝送アルミ部品の長さで5%を占める請求項1に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項8】
前記接続部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品とは溶接の形態で接続される請求項1に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項9】
前記接続部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品とは摩擦溶接の形態で接続される請求項8に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項10】
前記接続部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品との間には銅及びアルミの原子が相互浸透しまたは相互結合した銅アルミ移行層が形成される請求項8に記載の電気エネルギー伝送継手。
【請求項11】
請求項1乃至10の中のいずれか一項に記載の電気エネルギー伝送継手の製造方法であって、
電気エネルギー伝送銅部品の接続部品と電気エネルギー伝送アルミ部品とを溶接の形態で接続する溶接ステップと、
アルミリード線の先端において絶縁層が剥離された後に露出されたアルミコアを前記キャビティ内に進入させた後、アルミリード線と電気エネルギー伝送アルミ部品とを圧着するアルミリード線圧着ステップと、を含む製造方法。
【請求項12】
前記アルミコアと前記キャビティとの間に封止剤またははんだを充填するステップをさらに含む請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
アルミコア上に移行接続装置を設置するステップをさらに含む請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、特許出願番号が202010249743.8、出願日が2020年04月01日、発明の名称が「電気エネルギー伝送継手及びその製造方法」の中国発明特許の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電気接続技術分野に関し、特に、電気エネルギー伝送継手及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今、ワイヤーハーネスの軽量化を前提として、アルミリード線が大量に使用されているが、電気装置の線接続端部がほとんど銅材質であるため、アルミリード線はさらに電気エネルギー伝送銅部品に接続されるべきである。電気エネルギー伝送銅部品は通常中実状で、材料を浪費し、また中実の電気エネルギー伝送銅部品は通常熱間鍛造の形態で加工されて、消費エネルギーが高く、加工誤差が大きく、電気エネルギー伝送銅部品の製造コストが高い。また、形状の異なる電気エネルギー伝送銅部品がアルミリード線に溶接の形態で接続される時、異なる作業用クランプを使用しなければならないので、コストが増加し、作業用クランプの管理が複雑になる。そして、溶接を行う際、アルミリード線も溶接機器で溶接されるが、アルミリード線が長くて柔らかいので、機器での組立コストを向上させる以外、自動化生産における材料の投入や取出しを実現し難く、溶接を終了した後、アルミリード線を回転させることができないため、溶接中に発生したバリを除去することができない。
【0004】
従って、電気接続技術分野において銅端子の重みをさらに減少してアルミワイヤーハーネスのコストを減少する電気エネルギー伝送継手が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存技術の不足を克服するために、本発明が解決しようとする課題は、スルーホール付きの電気エネルギー伝送銅部品を用いて電気エネルギー伝送アルミ部品に接続することで、電気エネルギー伝送継手の重みをさらに減少し、電気エネルギー伝送継手の製造コストを著しく低減した電気エネルギー伝送継手を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明において採用した技術案の具体的な内容は以下の通りである。
【0007】
電気エネルギー伝送継手であって、電気エネルギー伝送銅部品と、電気エネルギー伝送アルミ部品と、アルミリード線と、を含み、前記電気エネルギー伝送銅部品は、電気装置に接続するための固定部品と、前記電気エネルギー伝送アルミ部品に接続するための接続部品と、を含み、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の内部に第1のスルーホールが形成され、前記接続部品の内部に第2のスルーホールが形成され、前記アルミリード線の先端において絶縁層が剥離された後に露出されたアルミコアが前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとを接続してなるキャビティ内に進入し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品は圧着する形態で前記アルミリード線を接続する。
【0008】
本発明は、
電気エネルギー伝送銅部品の接続部品と電気エネルギー伝送アルミ部品とを溶接の形態で接続する溶接ステップと、
アルミリード線の先端において絶縁層が剥離された後に露出されたアルミコアを前記キャビティ内に進入させた後、アルミリード線と電気エネルギー伝送アルミ部品と圧着させるアルミリード線圧着ステップと、を含む電気エネルギー伝送継手の製造方法をさらに提供する。
【0009】
既存技術に比べ、本発明は以下のような有益な効果を有する。
【0010】
1、前記電気エネルギー伝送銅部品の接続部品の内部に第2のスルーホールが形成されて、前記電気エネルギー伝送銅部品の重みを著しく減少し、生産コストを節約し、また電気エネルギー伝送銅部品を銅管材料でプレス成型することができて、生産が高速で簡単である。また、前記電気エネルギー伝送銅部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品との体積が比較的に小さいため、電気エネルギー伝送銅部品と電気エネルギー伝送アルミ部品との材料の投入や取出しの自動化を実現することができ、また溶接した後に接続部品と電気エネルギー伝送アルミ部品とを溶接する際に発生したバリを直接に除去することができて、加工時間を節約し、組立の効率を大幅に向上させる。
【0011】
2、前記接続部品の内部に形成された第2のスルーホールと前記電気エネルギー伝送アルミ部品の内部に形成された第1のスルーホールとを接続してなるキャビティ内に封止剤またははんだが充填されていて、前記封止剤または前記はんだによって前記キャビティ内の空気を排出して、空気や水による前記接続部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品とに対する腐食を回避し、一方前記電気エネルギー伝送アルミ部品の材質が柔らかいので、アルミリード線を圧着する時に前記電気エネルギー伝送継手の力学性能が不足であることもあるが、前記はんだによって前記接続部品、前記電気エネルギー伝送アルミ部品及び前記アルミコアを接続することで、前記電気エネルギー伝送継手の前記アルミリード線に対する接続強度を強化する。そして、前記はんだによって前記アルミコアと前記接続部品及び前記電気エネルギー伝送アルミ部品との接触面積を増やして、前記電気エネルギー伝送継手の電気学性能をさらに向上させる。
【0012】
3、前記アルミコアと前記キャビティの内壁との間に移行接続装置がさらに設置され、前記移行接続装置の少なくとも一部の表面に突起が設置されていて、前記突起によって前記アルミコアの表面と前記キャビティの表面との酸化層を突き破ることで、前記突起によって前記アルミリード線と前記電気エネルギー伝送アルミ部品との間の抵抗を減少し、前記アルミリード線と前記電気エネルギー伝送アルミ部品との圧着領域の導電性性能を向上させ、抵抗の増加によって該圧着領域が発熱して燃焼事故につながることを減少する。
【0013】
4、前記アルミリード線の圧着長さは少なくとも前記電気エネルギー伝送アルミ部品の長さの5%を占めて、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の接続強度をさらに強化し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の導電性能を向上させる。
【0014】
5、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の内径は、前記アルミリード線絶縁層の外接円の直径の1倍~3倍である。前記アルミリード線を前記電気エネルギー伝送アルミ部品に挿入不能であることを回避するとともに、電気エネルギー伝送アルミ部品と前記アルミリード線とが圧着される時に変形量が増加されて破裂されることを防止することができる。
【0015】
6、前記移行接続装置は、少なくとも一部が前記アルミコア上にジョイントされた中空柱体であって、一方前記移行接続装置を取り付けた後大量の自動化生産を実現して生産効率を向上させる。一方、前記移行接続装置によって緩いアルミコアを事前収縮して、前記アルミコアがより便利に前記キャビティの中に挿入され、生産中に発生するアルミコアの一部のコア線が前記キャビティの外側に位置する状況を回避し、前記電気エネルギー伝送継手の製品品質を向上させる。
【0016】
7、前記接続部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品との間に銅とアルミの原子が相互浸透しまたは相互結合した銅アルミ移行層が形成されて、前記銅アルミ移行層によって銅とアルミとの間の電気化学腐食を有効に減少し、電気エネルギー伝送継手の寿命を約20%延長させる。また、前記接続部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品とが摩擦溶接の形態で接続されて、生産効率を約26%向上させ、省人化を実現し、疲労による誤操作を回避し、安全事故を低減し、製品の品質を向上させることができる。
【0017】
上記した説明は本発明の技術方案の概略にすぎず、本発明の技術手段をさらに明確に把握するためには、明細書に記載の内容に従って実施することができ、また本発明の上記目的、特徴、メリットと他の目的、特徴、メリットとがより明確になるように、以下、好適な実施例を用いて図面を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に記載の電気エネルギー伝送継手の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において所定の発明目的を実現するために採用した技術手段及び効果をさらに説明するため、以下図面と好ましい実施例とを結合して、本発明の具体的な実施形態、構造、特徴及びその効果を詳しく説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明は電気エネルギー伝送継手を開示し、電気エネルギー伝送銅部品と、電気エネルギー伝送アルミ部品9と、アルミリード線3と、を含み、前記電気エネルギー伝送銅部品は、電気装置に接続するための固定部品1と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9に接続するための接続部品2とを含み、前記接続部品2の内部には第2のスルーホールが形成され、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の内部に第1のスルーホールが形成され、前記アルミリード線3の先端は絶縁層5が剥離された後に前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとを接続してなるキャビティ内に進入し、また前記電気エネルギー伝送アルミ部品9は圧着する形態で前記アルミリード線3に接続される。
【0021】
前記接続部品2の内部に第2のスルーホールが形成されて、前記電気エネルギー伝送銅部品の重みを大幅に低減して、生産コストを節約する。また、前記電気エネルギー伝送継手を接続する時、まず前記電気エネルギー伝送銅部品の接続部品2と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9とを接続した後、アルミリード線3の先端を絶縁層5を剥離した後に第1のスルーホールと第2のスルーホールとを接続してなるキャビティ内に挿入し、最後に電気エネルギー伝送アルミ部品9と前記アルミリード線3とを圧着して、接続形態が簡単で、前記電気エネルギー伝送継手の組立の自動化を実現して、組立効率を大幅に向上させることができる。
【0022】
また、前記電気エネルギー伝送銅部品と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9との体積が比較的に小さいため、電気エネルギー伝送銅部品と電気エネルギー伝送アルミ部品9との材料の投入や取出しの自動化を実現することができる。また、溶接した後に直接に接続部品2と電気エネルギー伝送アルミ部品9とを溶接する際に発生したバリを除去することができて、バリを除去する際に前記電気エネルギー伝送継手が前記アルミリード線3を具備せず、加工時間を節約するとともに、組立の効率を向上させ、前記アルミリード線3を具備してバリを除去する際に前記電気エネルギー伝送継手に与える影響を回避して、前記電気エネルギー伝送継手の歩留まりを向上させることができる。
【0023】
なお、本発明において、前記電気エネルギー伝送銅部品は、管状の銅管をプレス成型してなり、プレス成型される電気エネルギー伝送銅部品は固定部品1と接続部品2とを含み、接続部品2の内部には第2のスルーホールが形成され、また、前記アルミリード線3の先端において前記キャビティ内に進入する位置は前記第1のスルーホール内に位置することができ、前記第2のスルーホール内に位置することもできる。
【0024】
銅が活性金属に属されるため、電気エネルギー伝送銅部品は使用中に酸化腐食され易く、前記電気エネルギー伝送銅部品の抵抗を増加して、深刻な場合燃焼事故につながることもあるので、前記電気エネルギー伝送銅部品の寿命を延長するために、前記固定部品1と前記接続部品2との表面にメッキ層を設置し、前記メッキ層の材質が少なくともニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミ、すず、チタン、亜鉛、銅、銀または金の中の1種類を含有することで、前記メッキ層によって前記電気エネルギー伝送銅部品の酸化腐食速度を低下させ、電気エネルギー伝送銅部品の寿命を延長させる。
【0025】
好適な技術案として、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の内径は前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径の1倍~3倍である。前記アルミリード線3の先端を絶縁層5を剥離した後に簡単に前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとが接続してなるキャビティ内に挿入することができる一方、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9が圧着する形態で前記アルミリード線3に接続されるため、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の内径が前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径の3倍以上であると、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9を大きい比例で圧縮してこそ前記アルミリード線3に圧着させることができて、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9に破裂が出現しやすくなる。
【0026】
電気エネルギー伝送アルミ部品の内径と前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径との比による前記電気エネルギー伝送継手の引抜き力と電圧降下とに対する影響を証明するために、異なる電気エネルギー伝送アルミ部品9の内径と前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径との比で製造された電気エネルギー伝送継手の引抜き力と電圧降下とを観察して、その実験結果を表1に示した。
【0027】
【0028】
表1によると、電気エネルギー伝送アルミ部品9の内径と前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径との比が1未満であると、前記アルミリード線3を電気エネルギー伝送アルミ部品の内部に挿入することができない。電気エネルギー伝送アルミ部品9の内径と前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径との比が3を超えると、電気エネルギー伝送継手の引抜き力は2000Nの基準値未満で、電気エネルギー伝送継手の電圧降下は0.5mVの基準値を超えて、電気エネルギー伝送継手の力学性能と電気学性能とのニーズに符合しない。また、電気エネルギー伝送アルミ部品9の内径と前記アルミリード線絶縁層5の外接円の直径との比が大きいと、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9を大きい比例で圧縮してこそ前記アルミリード線3に圧着されるように保証することができて、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9に破裂が出現しやすくなる。
【0029】
前記アルミリード線3の先端において絶縁層5が剥離された後に露出されるアルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤またははんだ7が充填されていて、前記封止剤またははんだ7によって前記キャビティ内の空気を排出してキャビティ中の空気や水による前記接続部品2と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9とに対する腐食を回避する一方、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の材質が柔らかいので、アルミリード線3を圧着する際に前記電気エネルギー伝送継手の力学性能が不足になり、そこで前記封止剤またははんだ7によって前記接続部品2、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9及び前記アルミコア4を接続して、前記電気エネルギー伝送継手の前記アルミリード線3に対する接続強度を強化する。そして、前記はんだ7によって前記アルミコア4と前記接続部品2及び前記電気エネルギー伝送アルミ部品9との接触面積を増加して、前記電気エネルギー伝送継手の電気学性能をさらに向上させる。
【0030】
なお、本発明において、前記はんだの材質は少なくともニッケル及びニッケル合金、カドミウム及びカドミウム合金、ジルコニウム及びジルコニウム合金、クロム及びクロム合金、コバルト及びコバルト合金、マンガン及びマンガン合金、すず及びすず合金、チタン及びチタン合金、亜鉛及び亜鉛合金、銅及び銅合金、銀及び銀合金または金及び金合金の中の1つを含有する。好適な実施形態として、前記はんだの材質は融点がアルミ以下である金属または合金である。
【0031】
また、前記封止剤7が良好な延性と封止性とを有するため、前記アルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤7が充填された場合、前記封止剤7によって前記アルミコア4と前記キャビティとの間の領域を密封し保護して、前記アルミコア4と前記キャビティとが受ける湿気、塩水噴霧による浸食を大幅に減少して、前記電気エネルギー伝送継手の寿命を延長する。
【0032】
封止剤7は、導電性接着剤、ゴム系封止剤、樹脂系封止剤またはオイル系封止剤を含むがこれらに限定されることはない。
【0033】
封止剤またははんだによる前記電気エネルギー伝送継手の性能に対する影響を把握するために、発明者は実験2を行っていて、実験結果を表2に示した。
【0034】
【0035】
表に示すように、前記アルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤またははんだが充填されると、前記電気エネルギー伝送継手の引抜き力値が、前記アルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤またははんだを充填していない電気エネルギー伝送継手より明らかに大きく、電圧降下値は前記アルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤またははんだを充填していない電気エネルギー伝送継手より小さく、従って、前記アルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤またははんだが充填されると、前記電気エネルギー伝送継手が良好な電気学性能と力学性能を有することになる。
【0036】
さらに好適な技術案として、前記アルミコア4と前記キャビティの内壁との間には移行接続装置8がさらに設置され、また前記移行接続装置8の少なくとも一部の表面には突起が設置され、前記突起によって前記アルミコア4の表面と前記キャビティの内壁表面との酸化層を突き破る。
【0037】
なお、本発明において、前記移行接続装置8の材質は少なくともニッケル及びニッケル合金、カドミウム及びカドミウム合金、ジルコニウム及びジルコニウム合金、クロム及びクロム合金、コバルト及びコバルト合金、マンガン及びマンガン合金、すず及びすず合金、チタン及びチタン合金、亜鉛及び亜鉛合金、銅及び銅合金、銀及び銀合金または金及び金合金の中の1つを含有する。
【0038】
一方、前記突起によって前記アルミコア4、前記移行接続装置8及び前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の間の接触面積を増加して、前記アルミリード線3と前記移行接続装置8との間及び前記移行接続装置8と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9との間の摩擦力を増加し、アルミリード線3が前記電気エネルギー伝送アルミ部品9から離脱することを防止し、前記電気エネルギー伝送継手が良好な力学性能を有する。
【0039】
一方、前記突起によって前記アルミコア4の導電突出点が増加されて、導電効果を向上させるとともに、前記アルミコア4の表面と前記キャビティの内壁表面との酸化層を壊して、アルミコア4と前記移行接続装置8及び前記移行接続装置8と前記キャビティの導電部分とを直接に接触させて、前記電気エネルギー伝送継手の電気学性能を向上させる。
【0040】
具体的に設置する場合、前記突起は、波形構造または鋸歯状構造または窪み状構造またはとげ状構造または鋸歯ねじ構造または網状構造であって、これにより前記移行接続装置8の表面積を増やすことができ、また前記突起によって前記移行接続装置8と電気エネルギー伝送アルミ部品9との間の接続を強化して、さらに多い酸化層を突き破って、導電率を向上させることもできる。
【0041】
前記突起による前記電気エネルギー伝送継手の性能に対する影響を把握するために、発明者は前記突起が波形構造、鋸歯状構造、窪み状構造、とげ状構造、鋸歯ねじ構造及び網状構造である場合を例として、突起による前記電気エネルギー伝送継手の性能に対する影響を証明し、その結果を表3に示した。
【0042】
【0043】
表に示すように、前記移行接続装置8の少なくとも一部の表面に上記形状の構造の突起が設置されると、前記電気エネルギー伝送継手の引抜き力が前記移行接続装置8の表面に突起を設置していない電気エネルギー伝送継手の引抜き力より大きく、電圧降下値は前記移行接続装置8の表面に突起を設置していない電気エネルギー伝送継手の電圧降下より小さく、従って、前記移行接続装置8の少なくとも一部の表面に突起が設置されると、前記電気エネルギー伝送継手がさらに良好な力学性能と電気学性能とを有することになる。
【0044】
他の実施例において、前記移行接続装置8は少なくとも一部が前記アルミコア4上にジョイントされる中空柱体であって、前記移行接続装置8が中空柱体であると、自動化生産を実現して、生産効率が高い一方、前記移行接続装置8によって緩いアルミコア4を事前収縮して、前記アルミコア4がより便利に前記キャビティの中に挿入され、生産中に発生するアルミコア4の一部のコア線が前記キャビティの内部に挿入されない状況を回避し、前記電気エネルギー伝送継手の生産や加工が便利である。
【0045】
前記電気エネルギー伝送アルミ部品9と前記アルミリード線3とが圧着された後にさらに優れた圧着効果を保証するために、前記アルミリード線3の圧着長さは少なくとも前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の長さの5%を占め、これは、前記アルミリード線3の圧着長さが短すぎると、前記電気エネルギー伝送アルミ部品9のアルミリード線3に対する固定力が不足であって、前記アルミリード線3が前記電気エネルギー伝送アルミ部品9から簡単に離脱し、また圧着長さが短すぎると、前記アルミリード線3と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9との圧着箇所の接触面積が小さくなって、電流通過領域が比較的に小さく、前記アルミリード線3と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9との間の抵抗が増加し、圧着箇所にて発熱し、前記電気エネルギー伝送継手の電気学性能を低下させ、深刻な場合は燃焼事故につながるからである。
【0046】
前記アルミリード線3の圧着長さが前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の長さで占める割合による前記電気エネルギー伝送継手の性能に対する影響を証明するために、発明者はアルミリード線3の圧着長さが前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の長さで占める割合が異なるものを観察して、その後上記電気エネルギー伝送継手の力学性能と電気学性能とにテストを行っていて、具体的なテスト結果を表4に示した。
【0047】
【0048】
表に示すように、前記アルミリード線3の圧着長さが前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の長さで占める割合が5%未満であると、前記電気エネルギー伝送継手の引抜き力は2000N未満で、アルミ継手の力学性能のニーズに符合せず、且つ電圧降下は0.5mVを超えて、電気学性能のニーズに符合せず、前記電気エネルギー伝送継手の寿命に深刻な影響を与えるので、前記アルミリード線3の圧着長さが少なくとも前記電気エネルギー伝送アルミ部品9の長さの5%を占めることが好ましい。
【0049】
さらに好適な技術案として、前記接続部品2と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9とは溶接の形態で接続される。
【0050】
なお、溶接は、摩擦溶接または抵抗溶接または超音波溶接または電磁溶接または圧力拡散溶接またはアーク溶接等の形態を含み、ここで、
(1)摩擦溶接は、摩擦溶接機器を用いて溶接を行い、第1のワークを回転させ、第2のワークを回転する第1のワークへ付勢させて摩擦によって熱を発生し、圧力によって第1のワークと第2のワークとを溶接し、溶接速度が速く、雑音、煙、強い光等の汚染がないメリットを有する。
(2)抵抗溶接は、電流が溶接物及び接触箇所を通過する際に発生された抵抗熱を熱源として溶接物の一部を加熱しつつ加圧して溶接する方法である。抵抗溶接は、金属を填充する必要がなく、生産率が高く、溶接物の変形が小さく、自動化が容易であるメリットを有する。
(3)超音波溶接は、高周波振動波を溶接しようとする二つの溶接物の表面へ伝達し、加圧しつつ二つの物体の表面を相互摩擦させて分子層間の融合を形成し、溶接時間が短く、他の補助剤、気体、はんだを必要とせず、溶接する際に火花を出さなく、環境に優しく、安全であるメリットを有する
(4)電磁溶接は、瞬間的な電流によって強磁場を発生し、磁場力の作用で溶接物を溶接し、非接触溶接に属し、溶接速度が速く、溶接内部応力が小さく、加工精度が高いメリットを有する。
(5)圧力拡散溶接は、二つの溶接物を押し付けて、加熱して保温することで、溶接物が原子の相互拡散による冶金接続になるようにする溶接方法であって、溶接物が熱すぎることがなく、溶融せず、溶接継手の品質が高く、大きい面積の溶接物を溶接可能であって、溶接物の溶接精度が高く、変形が小さいメリットを有する。
(6)アーク溶接は、アークを熱源とし、空気が放電する物理現象を利用して、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギーと機械エネルギーとに変換して金属を接続する目的を実現する。アーク溶接は、溶接環境の制限を受けず、各種の金属材料、各種の厚み、各種の構造形状の溶接に適用するメリットを有する。精密な溶接を行おうとする場合、プラズマ溶接を利用することもでき、プラズマ溶接がアーク溶接の1つであるが、プラズマアークのエネルギーが集中され、生産率が高く、溶接速度が速く、応力変形が小さく、アークがさらに安定的である。
【0051】
さらに好適な実施形態として、前記接続部品2と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9とは摩擦溶接の形態で接続され、これは、スルーホール付きで断面積の大きい接続パーツの場合、摩擦溶接の形態がさらに簡単であるからである。
【0052】
さらに好適な技術案として、前記接続部品2と前記電気エネルギー伝送アルミ部品9との間に銅及びアルミの原子が相互浸透しまたは相互結合して銅アルミ移行層6が形成され、また前記銅アルミ移行層6は少なくとも銅単体、アルミ単体の混合物または銅、アルミ単体と銅アルミ固溶体との混合物を含有し、また前記銅アルミ移行層6によって銅とアルミとの間の電気化学腐食を緩和し、前記電気エネルギー伝送継手の寿命を延長することができる。
【0053】
本発明は、電気エネルギー伝送継手の製造方法をさらに提供し、以下のステップを含む。
【0054】
溶接ステップ:電気エネルギー伝送銅部品の接続部品2と電気エネルギー伝送アルミ部品9とを溶接の形態で接続する。
【0055】
アルミリード線3圧着ステップ:アルミリード線3の先端の絶縁層5が剥離された後に露出されたアルミコア4をキャビティ内に進入させた後、アルミリード線3と電気エネルギー伝送アルミ部品9とを圧着する。
【0056】
さらに、溶接ステップとアルミリード線3圧着ステップとの間に、前記アルミコア4と前記キャビティとの間に封止剤またははんだ7を充填するステップをさらに含む。
【0057】
具体的に、キャビティ内に封止剤またははんだ7を充填するステップは、前記電気エネルギー伝送銅部品の表面の孔を介して、溶接を完成した電気エネルギー伝送銅部品と電気エネルギー伝送アルミ部品9との内部へ溶融された封止剤またははんだ7を注入する。
【0058】
さらに、キャビティ内に封止剤またははんだ7を充填するステップとアルミリード線3圧着ステップとの間に、アルミコア4上に移行接続装置8を被覆するステップをさらに含むことが好ましい。
【0059】
なお、本発明の説明において、「第1」、「第2」等の用語は各部品の名称を説明するためのものであって、各部品の相対的な重要性を指示または暗示するものと見なしてはいけない。
【0060】
上記実施形態は本発明の好適な実施形態にすぎず、本発明の保護範囲がこれらによって限定されることがなく、当業者が本発明に基づいて行ったすべての非実質的な変形及び入れ替えはいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1:固定部品;2:接続部品;3:アルミリード線;4:アルミコア;5:絶縁層;6:銅アルミ移行層;7:封止剤またははんだ;8:移行接続装置;9:電気エネルギー伝送アルミ部品。
【国際調査報告】