(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ライダーセンサ装置およびレーザー信号の送出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20230317BHJP
H04L 27/26 20060101ALN20230317BHJP
G01S 7/495 20060101ALN20230317BHJP
【FI】
G01S7/484
H04L27/26 310
G01S7/495
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575478
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2020019382
(87)【国際公開番号】W WO2022145534
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0187140
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513062881
【氏名又は名称】リサーチ コーポレーション ファウンデーション オブ ヨンナム ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】オム, ジョン スク
(72)【発明者】
【氏名】キム, グン ズン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ヨン ワン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA21
5J084BA50
5J084BB12
5J084BB13
5J084CA05
5J084CA31
5J084CA49
5J084EA01
(57)【要約】
ライダーセンサ装置およびレーザー信号の送出方法が開示される。一実施形態に係るライダーセンサ装置は、光識別データを生成するデータ生成部と、前記光識別データについてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行い、前記光識別データについての複数の変調信号を生成し、前記複数の変調信号のそれぞれに対応し、異なる周波数を有する複数のレーザー信号を生成する光変調部と、前記複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出する送出部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光識別データを生成するデータ生成部と、
前記光識別データについてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行い、前記光識別データについての複数の変調信号を生成し、前記複数の変調信号のそれぞれに対応し、異なる周波数を有する複数のレーザー信号を生成する光変調部と、
前記複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出する送出部と、を含むライダーセンサ装置。
【請求項2】
前記光変調部は、S(このとき、Sは、S>2の自然数)個の可用副搬送波周波数のうち、N(このとき、Nは、0<N<Sの自然数)個の副搬送波周波数を任意選択し、前記光識別データについて前記N個の副搬送波周波数のそれぞれに対応するN個の副搬送波信号を用いたOFDM変調を行い、前記複数の変調信号のそれぞれを生成する請求項1に記載のライダーセンサ装置。
【請求項3】
前記光変調部は、前記光識別データについてFHT(Fast Hartley Transform)ベースのフリップ-OFDM(Flip-OFDM)変調を行い、前記複数の変調信号を生成する請求項1に記載のライダーセンサ装置。
【請求項4】
前記複数の変調信号は、前記複数のレーザー信号の送出方向を変更するために要求される時間以上の長さを有するゼロパディング(Zero Padding)区間を含む請求項1に記載のライダーセンサ装置。
【請求項5】
前記送出部は、前記複数のレーザー信号を結合する光カプラと、
前記光カプラによって結合された前記複数のレーザー信号が入射され、前記複数のレーザー信号を周波数に応じて異なる角度で屈折させて送出するリスレープリズム(Risley Prism)を含む請求項1に記載のライダーセンサ装置。
【請求項6】
前記送出部は、前記リスレープリズムの中心軸を回転軸として用いた前記リスレープリズムの回転角および前記中心軸の方向のうち、少なくとも1つを変更して前記複数のレーザー信号の送出方向を変更する請求項5に記載のライダーセンサ装置。
【請求項7】
前記データ生成部は、前記送出方向が変更された場合に、新しい光識別データを生成する請求項6に記載のライダーセンサ装置。
【請求項8】
前記光識別データは、前記送出方向が変更されるにつれて任意に生成される第1識別データを含む請求項7に記載のライダーセンサ装置。
【請求項9】
前記光識別データは、前記送出方向の変更とは無関係に維持される第2識別データをさらに含む請求項8に記載のライダーセンサ装置。
【請求項10】
前記データ生成部は、前記光識別データを暗号化し、
前記光変調部は、暗号化された前記光識別データについて前記OFDM変調を行い、前記複数の変調信号を生成する請求項1に記載のライダーセンサ装置。
【請求項11】
(a)光識別データを生成するステップと、
(b)前記光識別データについてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行い、前記光識別データについての複数の変調信号を生成するステップと、
(c)前記複数の変調信号のそれぞれに対応し、異なる周波数を有する複数のレーザー信号を生成するステップと、
(d)前記複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出するステップと、を含むレーザー信号の送出方法。
【請求項12】
前記(b)ステップは、S(このとき、Sは、S>2の自然数)個の可用副搬送波周波数のうち、N(このとき、Nは、0<N<Sの自然数)個の副搬送波周波数を任意選択し、前記光識別データについて前記N個の副搬送波周波数のそれぞれに対応するN個の副搬送波信号を用いたOFDM変調を行い、前記複数の変調信号のそれぞれを生成する請求項11に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項13】
前記(b)ステップは、前記光識別データについてFHT(Fast Hartley Transform)ベースのフリップ-OFDM(Flip-OFDM)変調を行い、前記複数の変調信号を生成する請求項11に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項14】
前記複数の変調信号は、前記複数のレーザー信号の送出方向を変更するために要求される時間以上の長さを有するゼロパディング(Zero Padding)区間を含む請求項11に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項15】
前記(d)ステップは、光カプラを用いて前記複数のレーザー信号を結合するステップと、
リスレープリズムを用いて、前記光カプラによって結合された前記複数のレーザー信号を周波数に応じて異なる角度で屈折させて送出するステップと、を含む請求項11に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項16】
前記(d)ステップの後に、
(e)前記リスレープリズムの中心軸を回転軸として用いた前記リスレープリズムの回転角および前記中心軸の方向のうち、少なくとも1つを変更して前記複数のレーザー信号の送出方向を変更するステップをさらに含む請求項15に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項17】
前記送出方向が変更された場合に、前記新しい光識別データを生成するステップをさらに含み、
前記新しい光識別データについて前記(b)ステップないし前記(d)ステップを行う請求項16に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項18】
前記光識別データは、前記送出方向が変更されるにつれて任意に生成される第1識別データを含む請求項17に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項19】
前記光識別データは、前記送出方向の変更とは無関係に維持される第2識別データをさらに含む請求項18に記載のレーザー信号の送出方法。
【請求項20】
前記(a)ステップは、前記光識別データを暗号化するステップを含み、
前記(b)ステップは、暗号化された前記光識別データについて前記OFDM変調を行い、前記複数の変調信号を生成する請求項11に記載のレーザー信号の送出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、ライダーセンサ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ライダーセンサは、3次元距離画像情報を提供し、自律走行車、自律歩行ロボット、自律飛行ドローンなどの多くの未来型モビリティシステムで周辺環境を認識するための必須センサとして使用される。
【0003】
ライダーセンサは、距離測定を望む地点にレーザー信号を送出した後、定められた強度以上のレーザー信号が検出されるかどうかを判断する。定められた強度以上のレーザー信号が検出された場合、ライダーセンサは、レーザー信号を送出した時点とレーザー信号が検出された時点との差に基づいてレーザー信号の飛行時間(Time-of-Flight、ToF)を算出した後、これを距離に換算する。
【0004】
このとき、ライダーセンサは、受信したレーザー信号の強度(Intensity)や周波数のみを把握できため、受信したレーザー信号が、自分が送ったものか他のライダーが送ったものかを区別できない。これにより、周波数のレーザー信号を使用する他のライダーセンサから送出されたレーザー信号が受信され、相互干渉現象が発生し得る。また、悪意のある第3者がこの相互干渉現象を用いてライダーセンサの誤動作を誘発させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示される実施形態は、ライダーセンサ装置およびレーザー信号の送出方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るライダーセンサ装置は、光識別データを生成するデータ生成部と、前記光識別データについてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行って前記光識別データについての複数の変調信号を生成し、前記複数の変調信号のそれぞれに対応し、異なる周波数を有する複数のレーザー信号を生成する光変調部と、複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出する送出部と、を含む。
【0007】
前記光変調部は、S(このとき、Sは、S>2の自然数)個の可用副搬送波周波数のうち、N(このとき、Nは、0<N<Sの自然数)個の副搬送波周波数を任意選択し、前記光識別データについて前記N個の副搬送波周波数のそれぞれに対応するN個の副搬送波信号を用いるOFDM変調を行い、前記複数の変調信号のそれぞれを生成できる。
【0008】
前記光変調部は、前記光識別データについてFHT(Fast Hartley Transform)ベースのフリップ-OFDM(Flip-OFDM)変調を行い、複数の変調信号を生成できる。
【0009】
前記複数の変調信号は、前記複数のレーザー信号の送出方向を変更するために要求される時間以上の長さを有するゼロパディング(Zero Padding)区間を含み得る。
【0010】
前記送出部は、前記複数のレーザー信号を結合する光カプラと、前記光カプラによって結合された前記複数のレーザー信号が入射され、前記複数のレーザー信号を周波数に応じて異なる角度で屈折させて送出するリスレープリズム(Risley Prism)を含み得る。
【0011】
前記送出部は、前記リスレープリズムの中心軸を回転軸として用いた前記リスレープリズムの回転角および前記中心軸の方向のうち、少なくとも1つを変更して前記複数のレーザー信号の送出方向を変更できる。
【0012】
前記データ生成部は、前記送出方向が変更された場合に、新しい光識別データを生成できる。
【0013】
前記光識別データは、前記送出方向が変更されるにつれて任意に生成される第1識別データを含み得る。
【0014】
前記光識別データは、前記送出方向の変更とは無関係に維持される第2識別データをさらに含み得る。
【0015】
前記データ生成部は、前記光識別データを暗号化し、前記光変調部は、暗号化された前記光識別データについて前記OFDM変調を行い、前記複数の変調信号を生成できる。
【0016】
一実施形態に係るレーザー信号の送出方法は、(a)光識別データを生成するステップと、(b)前記光識別データについてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行い、前記光識別データについての複数の変調信号を生成するステップと、(c)前記複数の変調信号のそれぞれに対応し、異なる周波数を有する複数のレーザー信号を生成するステップと、(d)前記複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出するステップと、を含む。
【0017】
前記(b)ステップは、S(このとき、Sは、S>2の自然数)個の可用副搬送波周波数のうち、N(このとき、Nは、0<N<Sの自然数)個の副搬送波周波数を任意選択し、前記光識別データについて前記N個の副搬送波周波数のそれぞれに対応するN個の副搬送波信号を用いるOFDM変調を行い、前記複数の変調信号のそれぞれを生成できる。
【0018】
前記(b)ステップは、前記光識別データについてFHT(Fast Hartley Transform)ベースのフリップ-OFDM(Flip-OFDM)変調を行い、前記複数の変調信号を生成できる。
【0019】
前記複数の変調信号は、前記複数のレーザー信号の送出方向を変更するために要求される時間以上の長さを有するゼロパディング(Zero Padding)区間を含み得る。
【0020】
前記(d)ステップは、光カプラを用いて前記複数のレーザー信号を結合するステップと、リスレープリズム(Risley Prism)を用いて前記光カプラによって結合された前記複数のレーザー信号を周波数に応じて異なる角度で屈折させて送出するステップと、を含み得る。
【0021】
前記レーザー信号の送出方法は、前記(d)ステップの後に、(e)前記リスレープリズムの中心軸を回転軸として用いた前記リスレープリズムの回転角および前記中心軸の方向のうち、少なくとも1つを変更して前記複数のレーザー信号の送出方向を変更するステップをさらに含み得る。
【0022】
前記レーザー信号の送出方法は、前記送出方向が変更された場合に、前記新しい光識別データを生成するステップをさらに含み、前記新しい光識別データについて前記(b)ステップないし前記(d)ステップを行い得る。
【0023】
前記光識別データは、前記送出方向が変更されるにつれて任意に生成される第1識別データを含み得る。
【0024】
前記光識別データは、前記送出方向の変更とは無関係に維持される第2識別データをさらに含み得る。
【0025】
前記(a)ステップは、前記光識別データを暗号化するステップを含み、前記(b)ステップは、暗号化された前記光識別データについて前記OFDM変調を行い、前記複数の変調信号を生成できる。
【発明の効果】
【0026】
開示される実施形態によると、OFDM変調によって光識別データを変調して複数の変調信号を生成した後、生成された各変調信号を異なる周波数を有するレーザー信号に変換し、それぞれ異なる測定方向に同時送出できるため、同時に送出されるレーザー信号または他のライダーセンサ装置によって送出されるレーザー信号の間の相互干渉現象を防止できる。
【0027】
また、レーザー信号の送出方向が変更されるにつれて光識別データが変更されるため、送出されたレーザー信号が反射されて受信される反射信号に含まれた光識別データを用いて、受信された反射信号に対応するレーザー信号の送出方向を特定できる。これにより、送出されたレーザー信号についての反射信号の受信の有無に関わらず、送出方向を変更してレーザー信号を送出できるため、距離測定のためのレイテンシを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態に係るライダー(LIDAR、Light Detection And Ranging)センサ装置の構成図。
【0029】
【
図2】一実施形態に係る光変調部および送出部の詳細構成を示す図面。
【0030】
【
図3】一実施形態に係る複数のOFDMエンコーダのそれぞれによって行われる変調過程を示す図面。
【0031】
【
図4】一実施形態に係る送出部によって同時送出されるレーザー信号を説明するための図面。
【0032】
【
図5】一実施形態に係る送出方向の変更を説明するための図面。
【
図6】一実施形態に係る送出方向の変更を説明するための図面。
【0033】
【
図7】一実施形態に係るレーザー信号の送出方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明する。以下の詳細な説明は、本明細書における記述された方法、装置および/またはシステムについての包括的な理解を助けるために提供される。しかし、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0035】
本発明の実施形態を説明するにおいて、本発明に係る公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述される用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語として、これは使用者、運用者の意図または慣例などによって変わることができる。したがって、その定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいてなされるべきである。詳細な説明で使用される用語は、単に本発明の実施形態を記述するためのものであり、決して限定的ではならない。明確に他に使用されない限り、単数形態の表現は、複数形態の意味を含む。本説明において、「含み」または「備え」のような表現は、ある特性、数字、ステップ、動作、要素、これらの一部または組み合せを示すためのものであり、記述されたもの以外に1つまたはその以上の他の特性、数字、ステップ、動作、要素、これらの一部または組み合せの存在または可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0036】
図1は、一実施形態に係るライダー(LIDAR、Light Detection And Ranging)センサ装置の構成図である。
【0037】
図1を参照すると、一実施形態に係るライダーセンサ装置100は、データ生成部110、光変調部120、光カプラ130、および送出部140を含む。
【0038】
一実施形態に係るライダーセンサ装置100は、送出方向を変更しながら複数のレーザー信号をそれぞれ異なる測定地点に同時送出し、同時送出された複数のレーザー信号のそれぞれが物体に反射して戻ってくる信号を用いて周辺環境を把握するための装置である。
【0039】
データ生成部110は、光識別データを生成する。
【0040】
光識別データは、ライダーセンサ装置100によって特定の送出方向を基準に異なる測定地点に向かって同時送出された複数のレーザー信号を、ライダーセンサ装置100によって他の送出方向を基準に送出されたレーザー信号または他のライダーセンサ装置によって送出されたレーザー信号と区別するためのデータであり得る。
【0041】
具体的に、一実施形態によると、光識別データは、異なる測定地点に向かって同時送出される複数のレーザー信号の送出方向が変更されるにつれて任意に生成される第1識別データを含み得る。すなわち、データ生成部110は、同時送出される複数のレーザー信号の送出方向が変更されるたびに、任意の第1識別データを生成できる。
【0042】
一方、一実施形態によると、光識別データは、同時送出される複数のレーザー信号の測定方向とは無関係に一定に維持される第2識別データをさらに含み得る。このとき、第2識別データは、例えば、ライダーセンサ装置100がレーザー信号を用いたスキャン(Scan)動作を開始する時点で任意に生成され、スキャン動作が終了するまで変更されないデータであり得る。他の例として、第2識別データは、ライダーセンサ装置100の装置識別情報のようにライダーセンサ装置100に予めに割り当てられて変更されないデータであり得る。
【0043】
一実施形態によると、データ生成部110は、光識別データを生成した後、生成された光識別データを暗号化することができる。具体的に、データ生成部110は、例えば、AES(Advanced Encryption Standard)アルゴリズム、DES(Data Encryption Standard)アルゴリズムのような対称キーベースの暗号アルゴリズムを用いて光識別データを暗号化することができる。
【0044】
光変調部120は、データ生成部110で生成された光識別データについてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行い、光識別データについての複数の変調信号を生成する。このとき、一実施形態によると、データ生成部110によって光識別データが暗号化された場合、変調のために用いられる光識別データは、データ生成部110によって暗号化された光識別データであり得る。
【0045】
一方、光変調部120によって生成される複数の変調信号は、それぞれ異なる副搬送波集合を用いて生成できる。
【0046】
具体的に、光変調部120は、予め設定されたS(このとき、Sは、S>2の自然数)個の可用副搬送波(Subcarrier)周波数のうち、N(このとき、Nは、0<N<Sの自然数)個の副搬送波周波数を任意選択し、任意選択されたN個の副搬送波周波数のそれぞれに対応するN個の副搬送波信号を用いて光識別データについてのOFDM変調を行い、光識別データについての複数の変調信号のそれぞれを生成できる。このとき、各変調信号を生成するために任意に選択されるN個の副搬送波周波数は、各変調信号ごとに異なり得る。
【0047】
例えば、1024個の可用副搬送波周波数のうち、任意選択された32個の副搬送波周波数を用いて光識別データについて2つの変調信号を生成するものと仮定すると、光変調部120は、可用副搬送波周波数のうち、32個の副搬送波周波数を任意選択して光識別データについてのOFDM変調を行うことによって、光識別データについての1つの変調信号を生成できる。また、光変調部120は、可用副搬送波周波数のうち、32個の副搬送波周波数を任意選択して光識別データについてのOFDM変調を行うことによって、光識別データについての残りの1つの変調信号を生成できる。
【0048】
一方、光変調部120は、光識別データについての複数の変調信号を生成した後、生成した複数の変調信号のそれぞれに対応し、異なる周波数を有する複数のレーザー信号を生成する。
【0049】
具体的に、光変調部120は、生成した複数の変調信号をそれぞれ異なる周波数を有するレーザー信号に変換できる。例えば、光識別データについて生成した変調信号の数が3つの場合、光変調部120は、各変調信号に対応する3つのレーザー信号を生成し、生成された3つのレーザー信号は、それぞれ異なる周波数を有し得る。
【0050】
送出部130は、光変調部120によって生成された複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出する。
【0051】
図2は、一実施形態に係る光変調部120および送出部130の詳細構成を示す図面である。
【0052】
図2を参照すると、一実施形態に係る光変調部120は、それぞれ入力される光識別データdkについてのOFDMシンボルを生成する複数のOFDMエンコーダ121、各OFDMエンコーダ121によって生成されたOFDMシンボルをアナログ信号に変換するD/A(Digital/Analog)コンバータ122、各D/Aコンバータ122によって変換されたアナログ信号について強度変調(Intensity Modulation)を行う複数の強度変調部123および複数の強度変調部123のうち、対応する強度変調部によって変調された信号の入力を受けてレーザー信号を生成するが、それぞれ異なる周波数を有するレーザー信号を生成する複数のレーザダイオード124を含み得る。
【0053】
一実施形態によると、複数のOFDMエンコーダ121は、それぞれ光識別データについてFHT(Fast Hartley Transform)ベースのフリップ-OFDM(Flip-OFDM)変調を行い得る。
【0054】
具体的に、
図3は、一実施形態に係る複数のOFDMエンコーダ121のそれぞれによって行われる変調過程を示す図面である。
【0055】
図3を参照すると、まず、各OFDMエンコーダ121は、直-並列変換310によって光識別データdkを並列データに変換した後、変調のために用いる副搬送波の数に応じて光識別データを複数のブロックに分割できる。例えば、光識別データの大きさが256ビットであり、副搬送波の数が32個(すなわち、N=32)である場合、並列データに変換された光識別データは、8ビット大きさの32個のブロックに分割できる。
【0056】
その後、各OFDMエンコーダ121は、分割された各ブロックについてM-PAM(Pulse Amplitude Modulation)320を用いた変調を行い、分割された各ブロックについてのM個のPAMシンボルを生成できる。このとき、Mは、分割された各ブロックの大きさに応じて変動でき、例えば、ブロックの大きさが8ビットの場合、Mは、4(すなわち、4-PAM)であり得る。
【0057】
その後、各OFDMエンコーダ121は、各ブロックについて生成されたPAMシンボルを周波数が異なるN個の副搬送波に順次にマッピング330した後、IDHT(Inverse Discrete Hartley Transform)340を行い、N個の時間領域シンボルを生成できる。このとき、N個の副搬送波のそれぞれの周波数は、予め設定されたS個の可用副搬送波周波数の中から任意に選択され得る。
【0058】
その後、各OFDMエンコーダ121は、IDHT340を介して生成されたN個の時間領域シンボルについてフリップ(Flip)350を行う。具体的に、各OFDMエンコーダ121は、0番目のシンボルからN/2-1番目のシンボルのうち、負数部分を0に変換し、N/2番目からN-1番目のシンボルのうち、正数部分を0に変換し、負数部分を絶対値に変換することによって、フリップ350を行い得る。
【0059】
その後、各OFDMエンコーダ121は、フリップ350が行われたN個の時間領域シンボルについて並-直列変換360を行った後、順次に連結して1つのシンボルストリームを生成できる。
【0060】
その後、各OFDMエンコーダ121は、ゼロパディング(Zero Padding、ZP)370を行い、シンボルストリームの後部にゼロ値からなるゼロパディング区間を追加し得る。
【0061】
このとき、一実施形態によると、ゼロパディング区間は、異なる測定地点に向かって同時送出される複数のレーザー信号の送出方向を変更するために要求される時間以上の長さを有し得る。
【0062】
再度
図2を参照すると、送出部130は、光カプラ131およびリスレープリズム(Risley Prism)132を含み得る。
【0063】
光カプラ131は、各レーザダイオード124で生成されたレーザー信号を結合してリスレープリズム132に出力し得る。また、リスレープリズム132は、光カプラ131によって結合されて出力される複数のレーザー信号のそれぞれを周波数に応じて異なる角度で屈折させて出射し得る。
【0064】
したがって、同じ光識別データについての異なる周波数を有する複数のレーザー信号が異なる測定地点に向かって同時に送出され得る。
【0065】
具体的に、
図4は、一実施形態に係る送出部130によって同時送出されるレーザー信号を説明するための図面である。
【0066】
図4に示された例においては、光変調部120によって同じ光識別データについての周波数が異なる5つのレーザー信号が生成されたものと仮定する。
【0067】
図4に示された例のように、リスレープリズム410は、中心軸A上に一列に配置されて中心軸Aを中心に回転する複数のウェッジプリズム(Wedge Prism)411、412、413で構成される。
【0068】
一方、光カプラ131によって結合されて出力される複数のレーザー信号420は、光ケーブルを介してリスレープリズム410の中心軸Aに沿ってリスレープリズム410に入射される。
【0069】
その後、リスレープリズム410に入射した複数のレーザー信号420は、それぞれの周波数に応じて異なる角度で屈折して送出される。すなわち、リスレープリズム410から送出される5つのレーザー信号421、422、423、424、425は、それぞれリスレープリズム410の中心軸Aを基準とした送出角度が異なり、周波数も異なる。
【0070】
一方、一実施形態によると、送出部130は、同じ光識別データから生成された複数のレーザー信号をそれぞれ異なる測定地点に同時送出した後に、送出方向を変更できる。このとき、送出方向の変更は、リスレープリズム410の中心軸Aを回転軸としたリスレープリズムの回転角およびリスレープリズム410の中心軸Aの方向のうち、少なくとも1つを変更することによって行われ得る。
【0071】
具体的に、
図5および
図6は、一実施形態に係る送出方向の変更を説明するための図面である。
【0072】
図5に示された例のように、送出部130は、リスレープリズム410の中心軸Aを回転軸として、リスレープリズム410を既設定された大きさだけ回転させることによって、リスレープリズム410を介して異なる測定地点に同時送出される複数のレーザー信号の送出方向を変更できる。
【0073】
また、
図6に示された例のように、送出部130は、3次元空間上におけるリスレープリズム410の中心軸Aの角度φおよびθのうち、少なくとも1つを既設定された大きさだけ変更することによって、3次元空間上における中心軸Aの方向を変更でき、これにより、リスレープリズム410を介して異なる測定地点に同時送出される複数のレーザー信号の送出方向を変更できる。
【0074】
一方、送出部130によって同時送出される複数のレーザー信号の送出方向が変更された場合、データ生成部110は、新しい光識別データを生成できる。
【0075】
図7は、一実施形態に係るレーザー信号の送出方法のフローチャートである。
【0076】
図7に示された方法は、例えば、
図1に示されたライダーセンサ装置100によって行い得る。
【0077】
図7を参照すると、ライダーセンサ装置100は、まず、光識別データを生成する(ステップ710)。
【0078】
このとき、一実施形態によると、光識別データは、同時送出される複数のレーザー信号の送出方向が変更されるにつれて任意に生成される第1識別データを含み得る。
【0079】
また、一実施形態によると、光識別データは、同時送出される複数のレーザー信号の送出方向の変更とは無関係に維持される第2識別データをさらに含み得る。
【0080】
その後、ライダーセンサ装置100は、生成された光識別データについてOFDM変調を行い、複数の変調信号を生成する(ステップ720)。
【0081】
このとき、一実施形態によると、ライダーセンサ装置100は、S(このとき、Sは、S>2の自然数)個の可用副搬送波周波数のうち、N(このとき、Nは、0<N<Sの自然数)個の副搬送波周波数を任意選択し、光識別データについてN個の副搬送波周波数のそれぞれに対応するN個の副搬送波信号を用いたOFDM変調を行い、光識別データについての複数の変調信号のそれぞれを生成できる。
【0082】
また、一実施形態によると、光識別データについて行われるOFDM変調は、FHTベースのフリップ-OFDM変調であり得る。
【0083】
また、一実施形態によると、複数の変調信号は、それぞれ同時送出される複数のレーザー信号の送出方向を変更するために要求される時間以上の長さを有するゼロパディング区間を含み得る。
【0084】
その後、ライダーセンサ装置100は、生成された複数の変調信号をそれぞれ異なる周波数を有する複数のレーザー信号に変換する(ステップ730)。
【0085】
このとき、一実施形態によると、ライダーセンサ装置100は、それぞれ異なる周波数を有するレーザー信号を生成する複数のレーザダイオード124を用いて複数の変調信号のそれぞれを異なる周波数を有するレーザー信号に変換できる。
【0086】
その後、ライダーセンサ装置100は、変換された複数のレーザー信号を周波数に応じて異なる測定地点に同時に送出する(ステップ740)。
【0087】
具体的に、一実施形態によると、ライダーセンサ装置100は、光カプラ131を用いて複数のレーザー信号を結合し得る。また、ライダーセンサ装置100は、リスレープリズム132を用いて光カプラ131で結合して出力される複数のレーザー信号を周波数に応じて異なる角度で屈折させて送出できる。
【0088】
その後、ライダーセンサ装置100は、スキャンが終了したかどうかを判断し(ステップ750)、終了していない場合は、送出方向を変更した後(ステップ760)、スキャンが終了するまで710ないし760のステップを繰り返して行う。
【0089】
このとき、一実施形態によると、送出方向の変更は、リスレープリズム132の中心軸を回転軸として用いたリスレープリズム132の回転角およびリスレープリズム132の中心軸の方向のうち、少なくともいずれかを変更することによって行われ得る。
【0090】
以上、代表的な実施形態により、本発明について具体的に説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、前述した実施形態について本発明の範疇から逸脱しない範囲内で様々な変形が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の権利の範囲は、説明された実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるべきである。
【国際調査報告】